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平成 29 3 21 日(火) ところ TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原 専務理事・常務理事セミナー

専務理事・常務理事セミナー2017.3.21 健康保険組合連合会東京連合会 「専務理事・常務理事セミナー」 東京大学 政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット

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と き 平成 29 年 3 月 21 日(火) ところ TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原

主催 健康保険組合連合会東京連合会

専務理事・常務理事セミナー

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2017.3.21 健康保険組合連合会東京連合会 「専務理事・常務理事セミナー」

東京大学 政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット

内閣府 経済財政諮問会議専門委員 古井祐司 【経歴】 東京大学大学院医学系研究科修了、医学博⼠。 2004 年、東京大学医学部附属病院 22 世紀医療センター助教就任。同時期に健康委員会(ヘルスケア・コミッティー)を株式会社化し同社代表取締役就任(2015 年退任)し、産官学連携で予防医学研究を進める。2012 年からは健康経営を普及する研究拠点を同大学政策ビジョン研究センター内に創設、同特任助教就任。 国、⾃治体、保険者団体などで委員を務める。専門は予防医学、保健医療政策。 【主な研究・社会活動】

著書;会社の業績は社員の健康状態で9割決まる;幻冬舎,2015 図解 ここがポイント!データヘルス;東京法規出版,2014 早死にする仕事 ⻑⽣きする仕事;マガジンハウス,2014

雑誌;データヘルス計画に基づく健康な職場づくり:公衆衛⽣ 2016;80(4):247-250 Changes in Walking Styles in the Elderly after the Presentation of Walking Patterns;

Advances in exercise and sports physiology,2015,21(3),59-65 私のまちの健康に資する保健事業の設計と実施:愛知の国保 2014;5:6-9 Long-term care-service use and increases in care-need level among home-based

elderly people in a Japanese urban area;Health Policy,110:94-100,2013

研究;厚⽣労働科学研究循環器疾患・糖尿病等⽣活習慣病対策総合研究事業「特定健診・保健指導における健診項目等の⾒直しに関する研究」研究分担者(平成 25-27 年度)

厚⽣労働科学研究糖尿病戦略等研究事業「集団特性に応じた効果的な保健事業のあり方に関する研究」研究代表者(平成 24-25 年度)

経済産業省「企業価値を⾼める健康経営プロジェクト」統括(平成 22-24 年度)

委員;厚⽣労働省保険局 全国健康保険協会業績評価委員会委員 経済産業省商務情報政策局 次世代ヘルスケア産業協議会健康投資 WG 委員 東京都福祉保健局 健康推進プラン 21 推進会議副座⻑ 東京都東久留⽶市 国⺠健康保険運営協議会会⻑ 東京商工会議所 中⼩企業健康投資・経営推進委員会座⻑

マスメディア; NHK(クローズアップ現代,おはよう日本)/BS JAPAN(日経モーニングプラス)/TOKYO FM(クロノス)/日経

新聞/読売新聞/毎日新聞/朝日新聞/サンケイ新聞/静岡新聞 等

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■病気になるもっと前からの「健康・生活状況」と「治療中の受診⾏動」の両方を把握できます。

■他の職場との比較(ベンチマーク)で自組織の特徴が客観的にわかります。

■最新の研究から個々の健康状況に大きな影響を与えることが示された“職場”に働きかける「保健事業」を実施できます。

はじめに

健康保険組合でなければ、実現が難しいことがあります。

人と組織を動かす素材

働き盛り世代・最大の武器

効果的な事業設計

2

「第2期データヘルス計画の重要性・必要性」- 社会保障政策における位置づけを踏まえて -

東京大学 政策ビジョン研究センター 古井祐司内閣府 経済財政諮問会議・専門委員厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業・研究班代表

健康保険組合連合会東京連合会2017.3.21 専務理事・常務理事セミナー

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1 第2期データヘルス計画の背景と位置づけ

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目 次

はじめに

1 第2期データヘルス計画の背景と位置づけ

2 第1期の実績確認で第2期の世界が変わる

3 小さなPlan-Do-Check-Actionを回すことでデータヘルスの効果があがる

おわりに

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加齢とともに、死亡率が⾼くなっています。30代前半の死亡率を1としたときの性・年齢階級ごとの⼼疾患の死亡率を男⼥別に示した。資料)厚⽣労働省⼈⼝動態統計に基づき作成

平均年齢の上昇に伴って職場の健康リスクが上昇します。

性・年齢階級別⼼疾患の死亡率

45.4歳

38.7歳

1.5倍

2.3倍体調不良や病気などが増える構造です。

6

少⼦⾼齢化に伴い、就業者の平均年齢は上昇を続けています。各年次の平均年齢は、5歳階級の中央の年齢に就業者数を乗じた値を積み上げ、全就業者数で除す方法で産出した。なお、70歳以上の区分は72歳に当該就業者数を乗じている。資料)総務省統計局労働⼒調査に基づき作成

(歳)

45.4歳

38.7歳

40年で約7歳上昇しました。

少⼦⾼齢化に伴い職場の平均年齢が上昇しています。

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アブセンティーイズム プレゼンティーイズム

病欠、病気休業①本⼈へのアンケート調査「昨年⼀年間に⾃分の病気で何日仕事を休みましたか」で把握する。

②⽋勤・休職日数を代理指標として活⽤する。

何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂⾏能⼒や⽣産性が低下している状態本⼈への主観的質問項目により測定。本研究ではWHO-HPQ(Health and Performance Questionnaire)の3項目で算出。

体調不良に伴う⽣産性への影響を捉える指標です。

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健康リスク数別労働⽣産性損失の平均割合 (n=2,264)

1.32.8 3.2

4.86.9

8.5

13.5 14.5

25.9

0.0 0.8 0.8 1.7 1.6 2.34.0 2.9

6.3

0

5

10

15

20

25

30

0リスク 1リスク 2リスク 3リスク 4リスク 5リスク 6リスク 7リスク 8リスク

プレゼンティーイズム アブセンティーイズム

Boles, M., Pelletier, B., & Lynch, W. (2004). The relationship between health risks and work productivity. JOEM, 46(7), 737-745.

健康リスクと⽣産性の関連実証研究によると、健康リスク数が増えるほど⽣産性(プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム)の損失割合は上昇しています。

※健康リスク項目① 栄養バランス不良② やせ・肥満③ ⾼コレステロール④ 運動不⾜⑤ ⾼ストレス

⑥ 予防ケア未受診⑦ ⽣活不満⾜⑧ ⾼血圧⑨ 喫煙⑩ 糖尿病11 飲酒

少⼦⾼齢社会は⽣産性の低下という構造的な課題を内在します。

生産性の損失

健康リスク7

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体調不良に伴う医療のコスト vs ⽣産性損失のコスト

健康関連総コスト (n=3,429)

(N=3,429) 平均(円) 割合(%)2014年度医療費 113,928 15.7%労災補償費 6,870 0.9%傷病手当金支給額 7,328 1.0%アブセンティーイズム(アンケート) 31,778 4.4%プレゼンティーイズム 564,963 77.9%

計 724,868 100%

サラリーマン1⼈あたりで年間医療費11万円:⽣産性60万円

経済産業省 平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業(ヘルスケアビジネス創出支援等)「健康経営評価指標の策定・活用事業」 東京大学政策ビジョン研究センターWG 「アウトカム指標による健康経営の可視化」東大WG報告書 http://pari.u-tokyo.ac.jp/unit/hpm.html

日本の企業でも健康関連コストの構造を捉えました。

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医療費

長期障害 短期障害 アブセン

ティーイズ

ム (病欠)

プレゼン

ティーイズ

間接費用直接費用

(参考)直接・間接費用の割合は、アメリカ大手金融サービス会社従業員 人データ結果を参考に図式化した。

アメリカ商工会議所パンフレットより

生産性の指標

企業における健康関連コストの構造を捉えました。

保険者運営と企業経営の視点実証研究によると、社員の健康は保険者運営の視点だけでなく、経営に与えるインパクトは小さくないことがわかります。

短期障害アブセン

ティーイズ

プレゼン

ティーイズ

ム生産性の指標ム生産性の指標ム生産性の指標

インパクトは小さくないことがわかります。

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貴重な経営資源である社員の健康に投資することで、企業および社員双方の成⻑を実現する経営⼿法が注目されています。

事業主×健保組合協働で健康投資を進めます。

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生産性の向上

企業と協会けんぽとの協働被用者保険においてデータヘルスで目指すことは...

医療資源の最適配分

・⽣活習慣・受診⾏動・服薬 など

健康投資「データヘルス」

超少子高齢社会・日本における課題

健康状況

性・年齢(加齢)職場環境/意識

⾏ 動

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「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」For 2020(重点期間-2018)

コストから投資への構造改革

社会基盤(健康・医療・介護)■健康投資による健康寿命延伸■医療・介護の機会提供 13

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対象が明確(対症)で既に標準化・体系化されている。

対象は環境,⽣活習慣等でこれからパターン化が必要。

治療(保険給付)

予防(データヘルス)

レセプトデータに基づく⾒える化&格差の是正

データヘルスのPDCAをまわして事業の体系化・パッケージ化

データヘルスの徹底による健康・予防施策の確⽴に関して

健康維持率、⽣活習慣病の重症疾患の発症率、服薬管理率等の加⼊者の特性に応じた指標により

データヘルスの進捗管理を⾏う保険者成果指標;Key Performance Indicators

医療保険者

データヘルスのポータルサイトを活用し、地域や職場ごとの健康課題を「⾒える化」した上で、課題に応じた「次の⼀⼿」(効果的な事業メニュー)の導⼊を支援する。先進的なデータヘルス事業を体系的に整理、パッケージ化することで、全国展開を推進する。

経済・財政⼀体改革推進委員会 第2次報告平成28年4月28日 経済・財政⼀体改革推進委員会

2 改革初年度(2016 年度)のスタートダッシュ[1]社会保障 ④データヘルスの強化

確⽴された仕組みを運用し、施策決定に活用する段階

保険者に徹底し、仕組みを確⽴する段階

何をやったかではなく、効果があったか, なかったか。

それはなぜか?

2016.9.29 経済・財政⼀体改革推進委員会資料4

「データヘルス・ポータルサイト」を活用したデータヘルスの標準化

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2 第1期の実績確認で第2期の世界が変わる

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「データヘルス・ポータルサイト」を活用した事業運営(2016年度・37健保組合で試⾏、2017年度より全組合導⼊)

出典)厚⽣労働省保険局,2016 17

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医科+調剤の総医療費の35.1%は、年に100万円以上の群によるものであり、全加⼊者に占める割合は1.7%に過ぎない。これら100万円以上の群のうち、21.0%が⽣活習慣病で23.9%はがんであることから、⽣活習慣病やがんの重症化を防ぐ必要がある。

特定保健指導の効果はあるが、更なるメタボリックシンドローム対策が必要である。また、非肥満の中にもリスク保有者がいる事がわかる。

⽣活習慣病と悪性新⽣物の罹患割合を性別に分けると、⼥性は30歳後半から悪性新⽣物に罹患する⽐率が⾼くなっており、特に乳がんの影響が大きい。

⼀⼈あたり医療費は年齢層が⾼くなるほど医療費が増加する。また健診未受診者の医療費は受診者と⽐較すると⾼い。

医療費全体の2割を調剤が占めている。

事業主と健保の協働で実施している保健事業の更なる充実。

特定保健指導の実施率や健診の受診率は向上しているが⽣活習慣の改善につながっていない。 ヘルスリテラシー向上

被扶養者の健康維持増進

メタボ対策

ジェネリック医薬品促進

⼥性特有のがん予防

口腔ケア

重症化予防

コラボヘルスの推進

重症化予防事業の促進。特に糖尿病、⾼血圧、CKDをターゲットとしたハイリスク者への積極的な介⼊が必要である。

メタボリックシンドローム対策として、特定保健指導の実施率向上や40歳未満の若年層を含む⽣活習慣改善アプローチ等が必要である。

⼥性特有のがんの早期発⾒・早期予防のため、乳がん・⼦宮頸がん検診の受診促進を⾏う。

退職者・被扶養者に向けた受診勧奨の実施による健康診断の受診促進を⾏う。⻭科検診の更なる推進を⾏う。

増え続ける調剤医療費の抑制のため、ジェネリック医薬品の利用促進を⾏う。

事業主と新たな対策を検討する。

加⼊者に対し、現状を広く周知することでヘルスリテラシーの向上を図る。

健康増進(セミナー及びイベントの開催)

健康課題 対策の方向性 保健事業課題・対策の方向性と事業のつながりが整理されている例

職場環境の整備

加⼊者への意識づけ

個別の事業

健康課題と保健事業との紐付け(例1)

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)20

Do

「データヘルス計画作成の⼿引き」厚⽣労働省保険局・健康保険組合連合会(平成29年改訂版)に基づき、第2期データヘルス計画を作成します。

CheckAction

データヘルス計画の設計(Plan)

STEP1基本情報保健事業の実施状況基本分析

健康課題の抽出

目的・目標および評価指標の設定

評価および⾒直し

STEP2

STEP3

STEP4STEP4

対策の方向性の整理

対象および方法・体制の検討

Plan

■健康課題と事業の紐付け→自組合が目指す方向性が明確に!

■目標・評価指標の構造化→事業の設計および評価が可能に!

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• 疾患別医療費割合(本⼈)の順位は以下のとおり• 1.消化器 2.新⽣物 3.循環器 4.呼吸器 5.内分泌・栄養 6.腎尿路

• ⽣活習慣病関連疾病が上位を占める。

• 特定健診受診率は8割を超えており、他健保と⽐較し⾼い。• 特定保健指導実施率は、事業所により異なっている。• メタボリックシンドロームの該当者および予備群は、全組合の割合と⽐較し少なく、取組の成果が出ていると考えられる。

• 特定保健指導の対象とならない者の中に、受診勧奨該当者やコントロール不良者が相当数いることがわかった。

特定保健指導(被保険者)

生活習慣病予防健診

人間ドック

肺がん検診

脳ドック

婦人科検診①②

前⽴腺がん検診

特定健康診査事業(被保険者)

• 医療費の上位かつ対策可能な疾病について保健事業計画を⽴案する。

• 今後も継続的に特定健診受診率アップ対策を講じていく。

• 特定保健指導実施率は、事業所間の差異を埋める取組みの検討を⾏う。

• メタボリックシンドローム該当者及び予備群は他健保と⽐較し低いが、未着⼿のリスク保有層へのアプローチが必要である。

健康電話相談

健康課題 対策の方向性 保健事業

前期高齢者健康指導

重症化予防対策

• 消化器系疾患では、⻭科系疾患の医療費割合が⾼い。• 新⽣物は、25歳以降罹患者数が増加している。• 循環器系疾患、内分泌・栄養、腎尿路系疾患を含めた⽣活習慣病関連疾病の医療費は、総医療費に占める割合が⾼く、特に30歳以降で増加している。

• 主に加齢とともに悪化する疾病の発症および重症化予防(早期発⾒を含む)を中⼼とした対策を講じる。

• 特に⽣活習慣病関連疾病は、総医療費に占める割合が⾼く、重要課題として扱う。

• ⽣活習慣病は、若年期からの⽣活習慣が原因と考えられ、発症者の多い壮年期より前の年代の加⼊者を対象とした計画を検討する。

• がん検診は、早期発⾒につながると考えられることから継続する。

• ジェネリック医薬品は数量ベースを⾒ると、使用量では国の年度平均を上回っているが、薬剤料ベースでは低い。

• 数量ベースでは事業の成果が出ており、今後も継続する。

• 薬剤費が⾼い医薬品を使用する加⼊者への通知等、後発医薬品への切替を促す対応策を検討する。

特定健康診査事業(被扶養者)特定保健指導事業(被扶養者)

後発医薬品差額通知

個々の課題・対策の方向性の抽象度が⾼いため、事業との紐付けが複雑になっている例

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

健康課題と保健事業との紐付け(例3)

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• 被保険者は男性が約8割と多い。• 特に、40歳代の男性が多い構成である。• 被扶養者は、子供を除くと女性が多い。• 55歳から一人あたりの医療費が大きくなっている。

• 生活習慣病系疾患の医療費が大きい(従業員(被保険者)においてはより顕著である。55歳から一人あたり医療費が

大きくなっているのは、生活習慣病医療費増が影響と推測できる)。

• 生活習慣病リスクが高リスクであるものが、多くはないが一定数存在している。

• 医療機関未受診の超高リスク者もいる。• 男性従業員には、生活習慣病リスク保有者が多い。

• 被扶養者においては、乳がんの医療費が高いことが確認できる。乳がんは検診による早期発見・治療が可能なので、対策に努めたい。

・男性の喫煙率はやや高い(全国平均値と同じくらい)。

広報誌制作

育児指導書の配布

医療費Web通知

ウェブツールを用いたセルフケアシステム

特定健診(オプション検査含)

特定保健指導

健康イベントの開催

健康診断・人間ドック(オプション検査含)

トップマネジメントからの健康経営宣言

• 生活習慣病対策が必要である。

• 加入者の年齢構成上、今後、加齢により医療費が大きくなる可能性がある。この年代において、生活習慣病対策は重要となる。

• 若年のうちから、生活習慣病に関心を持ってもらい、生活習慣改善に取り組んでもらいたい。そのための情報提供や運動促進の取組を全体に向けて実施したい。

• 特定保健指導を確実に実施したい(若年者から実施したい)。

• 高リスク者への対応も可能な範囲で実施したい。

• 受診勧奨や保健指導などを事業主の産業保健とも連携して取り組みたい。

• 乳がん対策として、乳がん検診の受診率を高める必要がある。

(併せて、子宮頸がん対策にも取り組みたい。)

• 喫煙対策を実施したい。

家庭用常備薬の斡旋

健康課題 対策の方向性 事業の名称

インフルエンザ予防接種費用補助

歯科健診

重症化予防:専門医の紹介等

宿泊型特定保健指導

該当なし

健康課題・対策の方向性が整理されていないため、

事業との紐付けが困難な例

職場環境の整備

加入者への意識づけ

個別の事業

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

健康課題と保健事業との紐付け(例2)

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保健事業における評価指標の設定(例1)

被保険者は、⽣活習慣病の医療費が最も多く、1⼈当たり医療費も世間⽔準より⾼い。 そのうち、「⾼血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」が約70%を占めるが、これらが重症化や重複発症することで「虚血性⼼疾患」「脳血管障害」「腎不全」へ移⾏する可能性が⾼い。

また、健診結果における⽣活習慣病のリスク該当率は35歳以降加齢により増加しており、平均年齢が44.7歳で今後も上昇が⾒込まれることから⽣活習慣病対策が重要となる。

内容 対象 方法 アウトプット アウトカム健診結果より、リスクの⾼い⼈を抽出し、未受診者には受診勧奨、治療中でコントロール不良者には状況確認を⾏う。

健診結果より、リスクの⾼い⼈受診勧奨(未受診者)、状況確認(治療中コントロール不良者)

保健指導実施率保健指導利用者における健診結果改善率(重症化予防レベルからの改善)

ハイリスク者への重症化予防施策(受診勧奨、就業制限、保健指導等の徹底、強化)を展開

就業制限を必要とするレベルの疾患者(ハイリスク者)

近隣・地方関係会社対象者に対する受診勧奨、就業制限対応強化産業保健スタッフの再配置、体制強化

⾯談・保健指導実施率 ハイリスク者数の減少

・事例検討会の開催と、得られた指導ノウハウを活用した保健指導の実施・糖尿病指導強化体制構築、指導者育成実施

事例検討会の実施回数 ハイリスク者数の減少

ハイリスク者(コントロール不良者)への保健指導の徹底

治療中(服薬中)だが⽣活習慣の維持改善が図れない対象者

・保健指導の実施・運用方法の⾒直し、コントロール不良者への保健指導徹底

保健指導実施率 コントロール不良者の減少

健康課題

保健事業の実施計画(重症化予防)

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

未受診者は「治療率」が短期指標になり得る

⼈材育成、質向上はProcess/StructureでもOK

働きかける動線が意識できている

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計画Plan

実施Do

評価Check

評 価 指 標

目標設定

⾒直し Action

事業設計 事業効果

データヘルスの事業運営における「評価指標」の役割

企業と協会けんぽとの協働データヘルスの標準化のポイントは...

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データヘルス計画目標を達成するよう個別事業(例.重症化予防事業)を組み⽴てます。

(重症)疾患の発症率服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率Outcome Output

目標;重症疾患の発症率を下げることで、医療費削減を目指す。

評価指標;最終的な指標となる「重症疾患の発症率」に向けて、中間的な指標を設定します。

健康課題;糖尿病等の重症化に伴う医療費が他健保⽐較で⾼い。

事業設計;事業の対象、方法、体制を組み⽴てます。26

25

■消化器系疾患では、⻭科系疾患の医療費割合が⾼い。■新⽣物は、25歳以降罹患者数が増加している。■循環器系疾患、内分泌・栄養、腎尿路系疾患を含めた⽣活習慣病関連疾病の医療費は、総医療費に占める割合が⾼く、特に30歳以降で増加している。■特定健診受診率は8割を超えており、他健保と⽐較し⾼い。■特定保健指導実施率は、事業所により異なっている。■メタボリックシンドロームの該当者および予備群は、全組合の割合と⽐較し少なく、取組の成果が出ていると考えられる。■特定保健指導の対象とならない者の中に、受診勧奨該当者やコントロール不良者が相当数いることがわかった。

内容 対象 方法 アウトプット アウトカム

糖尿病の発症・重症化予防 現⾏の特定保健指導では対象とならない者

初回⾯談・電話支援(受診勧奨)ご案内発送後、2ヶ月経過した後、受診の有無を電話で確認

予防対策の実施者数 ⼈工透析患者数の改善

健康課題

保健事業の実施計画(重症化予防)

保健事業における評価指標の設定(例2)

・治療率・改善率/コントロール率などが中間指標になる

受診の有無の確認後の次の⼀⼿は...

対象者の具体像がはっきりすると、アプローチ方法、内容が明確になる・やせで血糖が大変⾼いのに未治療・服薬中だが血糖が⾼いまま

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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データヘルス計画目標を達成するよう個別事業(例.重症化予防事業)を組み⽴てます。

■データの整備(健診データによる対象者抽出、レセプトによる受診確認、事業効果の検証のため)

■事業主・産業医・主治医との連携体制の構築■外部委託事業者の活用(情報収集および選定)■⼈材の確保・教育(ケースカンファレンスの設置)■運営マニュアルの整備(業務フローの整理) 等

■対象者の抽出(優先順位づけ、事業所の選定)■参加の促進(事業主の協⼒、環境の整備) 等Process

Structure

(重症)疾患の発症率服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率Outcome Output

目標;重症疾患の発症率を下げることで、医療費削減を目指す。

対象者ごとにアプローチする動線をつくる・健診結果の値が高い者で、かつ未治療者・治療中だが、値がコントロールされていない者

28

データヘルス計画目標を達成するよう個別事業(例.重症化予防事業)を組み⽴てます。

■データの整備(健診データによる対象者抽出、レセプトによる受診確認、事業効果の検証のため)

■事業主・産業医・主治医との連携体制の構築■外部委託事業者の活用(情報収集および選定)■⼈材の確保・教育(ケースカンファレンスの設置)■運営マニュアルの整備(業務フローの整理) 等

■対象者の抽出(優先順位づけ、事業所の選定)■参加の促進(事業主の協⼒、環境の整備) 等Process

Structure

(重症)疾患の発症率服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率Outcome Output

Outcome/Outputをあげるよう、対象・方法(過程)・体制を組み⽴てます。

目標;重症疾患の発症率を下げることで、医療費削減を目指す。

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第2期データヘルス計画は、第1期・事業の実績確認が起点になります。

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データヘルス計画目標を達成するよう個別事業(例.重症化予防事業)を組み⽴てます。

■データの整備(健診データによる対象者抽出、レセプトによる受診確認、事業効果の検証のため)

■事業主・産業医・主治医との連携体制の構築■外部委託事業者の活用(情報収集および選定)■⼈材の確保・教育(ケースカンファレンスの設置)■運営マニュアルの整備(業務フローの整理) 等

■対象者の抽出(優先順位づけ、事業所の選定)■参加の促進(事業主の協⼒、環境の整備) 等Process

Structure

(重症)疾患の発症率服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率Outcome Output

目標;重症疾患の発症率を下げることで、医療費削減を目指す。

動線をつくるための体制整備・連携するための素材の準備、問題意識の共有

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事業の成否の振り返り;評価および⾒直し(特定健診事業)

振り返り_成功・推進要因 振り返り_課題及び阻害要因 評価

【受診率向上の成功要因】①コラボヘルス推進の⼀貫として、外部委託先からの月次報告(未申込者、未受診者情報)を事業所担当者と共有し、タイムリーで積極的な受診勧奨(督促)の協働が実現したこと。②被扶養者の受診率79.1%(前年⽐+4.8%)の実現は、被保険者経由の督促方法を工夫した(被扶養者本⼈宛のレター)ことが奏功した。工夫内容は、①月次の受診勧奨(督促)②被扶養者本⼈宛のレター作戦③前年、前々年の未受診者あての受診勧奨など

課題:被扶養者の更なる受診率の向上阻害要因:被扶養者へのダイレクトアプローチが出来ないこと対策:①加⼊者向けの健康マイページ「けんぽのここカラダ」にログインして貰い、メールアドレスを取得し、プッシュ型で受診勧奨を⾏う ②未受診の被扶養者インタビューを企画・実施し、未受診の真相を確認し対応策を検討する

5. 100%

・被保険者:事業主と連携して健診受診を勧奨・被扶養者:被扶養配偶者に対し、健診ガイドブックを自宅配送ならびに未予約者への電話受診勧奨を実施した。また社員を通じて、メールにて受診勧奨を⾏った

・被扶養者に対し、電話受診勧奨を導⼊してから年々受診率が増加している・⼀方、不在宅が多く、電話がつながらない対象者も少なくない。・忙しいという理由で受診しない被扶養者が数名はいる(特に40歳未満)ため、28年度から巡回健診も導⼊した。・自治体やパート先で受診する者の健診結果を⼊⼿できないこと

4.80%以上

・被保険者は、法定健診に付加しているのでほぼ100%である。・被扶養者の特定健診受診費用は全額健保負担である。・受診率の上がらない被扶養者に対しての受診勧奨を⼿厚く実施している。受診申し込みの無い⼈に対して、健保スタッフが、郵送2回→電話1回の受診勧奨を実施している。・健診を受けない被扶養者に対して、その理由聞いたアンケートをとっていて、「パート勤務先で受けている」と答えた⼈に、健診結果のコピーを送付をお願いしている。返信用封筒あり。そのお礼は500円クオカード。(38名回収)

・被保険者の受診率はこれ以上は上がらないので、被扶養者の受診率をUPしないと最終目標の90%には達しない。やはり社員と違って、被扶養者には情報提供や健保の想いが届きにくい。

4.80%以上

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

モニタリング&働きかけ

複数の動線を構築

結果の取得依頼が次の働きかけの起点に

未受診の構造を探る

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データヘルス計画の評価および⾒直し(Check-Action)

STEP1基本情報保健事業の実施状況基本分析

健康課題の抽出

目的・目標および評価指標の設定

評価および⾒直し

STEP2

STEP3

STEP4STEP4

対策の方向性の整理

対象および方法の検討Do

CheckAction

Plan

第1期・事業の実績を確認することが、第2期・計画作成のスタートになります。

■目標の達成度の確認→未達成の背景(要因)が明確に!

■目標・評価指標の⾒直し→第2期・計画作成が可能に!

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振り返り_成功・推進要因 振り返り_課題及び阻害要因 評価

・重篤化の防止・安全配慮義務の励⾏

・治療中断者への対応(受診⾏動まで把握できない)・実施率が低い・関係会社への⽔平展開

3.60%以上

外部業者に委託し、対象者全員からアンケートの回収もしくは受診状況を確認する事ができた。

・対象者が毎年同じであるため、頻度及び回数の検討が必要。・事業主側で、産業医からの受診勧奨をおこなっているため、重複する。

3.60%以上

当該年度健診の事後指導とあわせて指導を⾏っている

・⼀部対象者が固定化・保健指導に取り組んでいるものの、明確な改善効果を享受できていないことによるモチベーションの低下・メンタル系疾患の増加等により保健師業務が急増しているため、保健師業務体制の⾒直しが必要

3.60%以上

事業の成否の振り返り;評価および⾒直し(重症化予防事業)

事業主(産業保健)の取組促進

進捗・成果の把握方法をビルトイン

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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振り返り_成功・推進要因 振り返り_課題及び阻害要因 評価

・勤務時間内での⾯談実施(有給⽋務扱い)・工場内での⼀括⾯談の設定

・経年対象者に対する保健指導の対応を検討する・自由申込率の低迷(事業所と連携しコラボにて実施率の向上を図る)・指導内容のマンネリ化をなくすため、指導業者をかえる

2.40%以上

25年度は、問診から保健指導希望者を選択、受診を呼び掛ける⼿法を取った。↓26-27年度は、従来⼿法を踏襲したが、委託業者のヒアリング、選別を実施し、28年度からの被保険者の選択肢を増やす。(5社→8社へ)

25年度の状況;指導受診希望者のみの参加であり、完了率は23-25年でも80-90%と⾼い。(25年度はスタート時期の遅れなどで年度をまたいでいるので減少)希望者以外への働きかけなど幅広い呼びかけが必用な時期となっている。↓27年度は上記の準備期間となったが、28年度は選択肢を増やし、被扶養者への電話勧奨なども実施している。

1.39%以下

・健診結果(2年分)を明記したことで、対象者の意識向上を促した。・スポーツクラブでの特定保健指導を可能、かつ無料とした。

当組合の加⼊者は在籍期間が短いため、指導途中に資格喪失する対象者が多い。 2.40%以上

事業の成否の振り返り;評価および⾒直し(特定保健指導事業)・指導効果をあげる工夫・普及を図る工夫

個別での成果<職場への波及資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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3 小さなPlan-Do-Check-Actionを回すことでデータヘルスの効果があがる

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データヘルス計画事業の実績を確認し、⾒直しを図ります(例.重症化予防事業)

■データの整備(健診データによる対象者抽出、レセプトによる受診確認、事業効果の検証のため)

■事業主・産業医・主治医との連携体制の構築■外部委託事業者の活用(情報収集および選定)■⼈材の確保・教育(ケースカンファレンスの設置)■運営マニュアルの整備(業務フローの整理) 等

■対象者の抽出(優先順位づけ、事業所の選定)■参加の促進(事業主の協⼒、環境の整備) 等Process

Structure

(重症)疾患の発症率服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率Outcome Output

目標;重症疾患の発症率を下げることで、医療費削減を目指す。

Outcome/Outputの評価結果に応じて、対象・方法(過程)・体制を⾒直します。35

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② 平成27年度事業の目標・評価指標の⾒直しを⾏う上で重視したポイント(抜粋)

• アウトプット、アウトカムについて、数値目標を設定することを重視した。ただし、数値目標や指標の設定が難しかったり、⽴てにくかったりする事業に対して、第三者のアドバイスがほしかった。

• アウトカム目標の設定ができていないことが分かった。何をアウトカム目標にすれば良いのか自体が分からない事業がある。

• 次期計画の標準化指標候補として、健康⾏動維持率、健康維持率、服薬管理率、重症疾患発症率があるが、各係数の全体の結果イメージ(全国平均○、ばらつき○、最頻値○等)を早期に公表していただきたい。

• 今後は、個別の目標・成果の設定・管理方法を検討する必要がある。• 目標値を⾒直す上で重視したのは、平成29年度のアウトカムの数値を初めにFIXすることです。そこを

決めたのち、逆算して平成28年度、平成27年度へブレイクダウンした。• 絵に描いた餅で終わっては意味がないので、少し頑張れば届くことができる範囲に目標値を設定し直し、

健保職員のモチベーションを維持・向上できるように⾒直しを⾏った。• 「目的」はあいまいな内容にせず、事業評価につながるように設定した。アウトカム、アウトプットに新たに数

値化した目標を設定する際には、改めてデータ分析を⾏うことにより当健保の現状を把握し、実現可能な範囲の数値目標を設定するよう⼼掛けた。

⇒ 目標の達成(課題解決)に直結するよう評価指標を設定することがポイントとなる。⇒ 事業の効果が表れる期間を意識すること、評価に要するデータ取得のイメージを持っておくことが重

要。なお、関係者のモチベーションにつながるよう短期指標は重要。⇒ 本試⾏事業での取組を踏まえて、標準的な評価指標を「データヘルス計画の作成⼿引き」や

「データヘルス・ポータルサイトのナビ」に反映する。資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度) 38

① データヘルス計画における課題と事業との紐付けによって明らかになった点、気付いたこと(抜粋)

• 課題として認識していながら、計画書に記載がないため、事業計画と紐付けされていないものが多数存在していることが明確になった。

• 課題と事業の紐付けを⾏うことで、事業の背景は明確になった。しかし、課題に対して計画した事業が、これで十分な件数が計画されているかという点や課題に対して計画した事業の規模が十分な規模であったのかという点に対しては、第三者の評価が必要。

• 健保として取組みしにくい課題(メンタル対策、たばこ対策等)についての施策が不十分であり、事業主との協業して検討する必要があることが分かった。

• 事業主体が健保ではなく、事業主等であって、健保が単なるスポンサーであるような事業は、アウトプットに実施率や実施人数を⼊れるのは適切ではないと思った。(当健保では、メンタル相談事業、禁煙指導)

• 複数の事業が1つの課題と紐付けられたため、個別の事業が課題のどの部分の解決を目指しているのか曖昧になっていることもわかった。

• ポピュレーションアプローチが解決になると仮説を置いたが、課題に対するアウトカムに到達するまでに多くのその他要因が影響してしまう為、中間KPIを設定して事業効果を確認する必要があることが分かった。

• 当健保は、できる事・できない事をきちんと検討をした上で事業を決めているため、アウトプット、アウトカムとも達成率の評価が高くなっている。それは良いことであると考えるのか、目標設定が甘かったと考えるのかについて、健保内で議論をしている。

⇒ 健康課題と事業の紐付けの有用性が確認できた。⇒ 事業を組み⽴てる際の背景の確認、事業主が主の取組の位置づけ(課題解決⼿段として取込

む場合)の重要性がうかがえる。

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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④ データヘルス計画のPDCAサイクル全体を通しての考察(抜粋)

• PDCAの全て大事ではあるが、特に健康課題の抽出の前の、「基本分析」が非常に大切であると感じた。そこできちんと分析できていないと、「健康課題」が的外れなものになってしまう。「健康課題」がしっかりと抽出できていれば、優先順位をつけて「実施計画」を明確に策定することができる。よって、基本分析の「事例」をいくつか挙げてもらえると、それを参考にして分析ができる。

• (組織上)⼈的制約がある場合、業務委託を活用することになるが、委託業者とのコミュニケーションのあり方をどうするか検討が必要

• 国が評価指標を提示することは困難としても、業種ごと、地域ごと、企業規模ごとにどのようなアウトカム、アウトプットを設定し、その平均値はどの辺りかというベンチマークを提示してもらいたい。

• 今回の事業を通じて、自健保内あるいは健保と事業主との間で、データヘルス計画をいかに活用していくかが課題であると感じた。実際、全事業を網羅し、それぞれの実施状況を集約するだけでも多くの工数がかかっている。作成すること自体が目標になってしまわないよう、作成段階でのコミュニケーションの過程を大切にするとともに、完成した計画書を自健保内や、事業主側の健康管理部門、現場の医療専門職スタッフと共有できる仕組みが必要だと感じた。

• 保健事業をコラボヘルスで取組むためには、デ-タヘルス計画による課題整理と実⾏計画の具体化と、健康企業宣⾔などによる事業主の意識改⾰の両方が欠かせないと実感する。

⇒ 基本分析や健康課題の設定、優先順位付けの意義が共有できた。⇒ Plan-Do-Check-Actionを小さく(短期で)まわすことで、事業の軌道修正が容易になり、効果があ

がりやすくなる。⇒ また、PDCAをまわす各段階に事業主、委託事業者等を巻き込む(課題の共有、評価指標の設定、

評価に基づく改善策の検討など)ことでコミュニケーションが⽣まれ、データヘルス事業と事業主事業がつながり、評価に必要となるデータの取得・モニタリングがしやすくなる。

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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③ 平成28年度事業の⾒直しを⾏う上で、重視したポイント(抜粋)

• 平成28年度事業を⾒直すという前提で考えていなかったので、基本的に計画は、平成27年度計画を踏襲した。しかし、アウトカムについては、⽴てた数値目標の検証が難しい事業があったので、検証し易い目標に変更した事業もあった。

• これまで保健指導の実施率ばかり⾒てきて、それをアウトカム評価としていたが、保健指導を受けた人が⾏動変容をおこしたのか、健診数値は下がったのか、やせたのか、医療費がどうなったのかが⼀番⾒たいところである。効果の有無は分かるかもしれないが、それを数値目標に落とし込むのはどうやれば良いのかが分からない。

• 自健保の状況に⾒合った事業とすること。マンパワーなど物理的に不可能な計画はあきらめること。• 今後、実効性のある⾒直しを⾏うには、現場を巻き込みながら事業のサイクルに合わせてタイミングよ

く⾏うことが重要であると感じた。また、ポータルサイトで、個別の事業の達成度は数値化されたものの、指標が適切でないため達成度だけでは事業の成否を判断しづらく、どこを⾒直せばよいかわかりづらい事業もあった。今後、サイトのコンテンツとして、適切なアウトプット・アウトカムの設定方法や、事業の⾒直しのアイデアなどを充実させてほしい。

• 参加率や実施率の先にある、事業の効果評価に向けて、どの指標を新たに設定するのかを過去の事業実施による各指標の変化を⾒ることで検討することにした。

⇒ 評価指標を意識した評価&⾒直しにより、事業の実現可能性がわかり、自健保組合の状況・資源に合った事業へと修正されたことがうかがえる。

⇒ 現⾏の評価指標で事業の成否や改善点が⾒えない場合、より短期で効果が表れる指標や中間的な指標の設定が有用と考えられる。

⇒ 本試⾏事業での取組を踏まえて、評価&⾒直しのポイントを「データヘルス計画の作成⼿引き」や「データヘルス・ポータルサイトのナビ」に反映する。

資料)厚⽣労働省 レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(平成28年度)

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(重症)疾患の発症率

医療費

Outcome

「保険者における予防・健康づくり等の取組の推進に当たって共通的に評価する指標」

服薬者のコントロール率 保健指導の実施率

有所⾒(メタボリック・シンドローム該当)率終了者の改善率 特定保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率

Output

指標④情報提供(インセンティブ)

指標①特定健診指標②その他検診

指標③重症化予防

指標⑤適正受診指標⑥後発医薬品

指標①特定保健指導

健康維持率

受診者の健康意識・⾏動情報提供の実施率

特定健診の実施率

指標①メタボ該当率

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■少⼦⾼齢社会・日本では、⽣産性の向上と医療資源の最適配分が構造的な課題となっている。

■最新の実証研究から、社員の健康は企業の⽣産性にも大きく関わることがわかり、健保組合と事業主が協働した「健康投資」が不可⽋となる。

■データヘルスの標準化のもと、第2期はデータヘルスのPDCAをまわすことで効果をあげる。

おわりに

労働者の平均年齢が1970年代から7歳上がったことなどに伴い、職場の健康リスクは2倍に上昇し、⽣産性の低下および社会保障費の増加が進む社会構造となっている。超少⼦⾼齢社会・日本においては、発症後に資源を投⼊する従来の医療・介護モデルから、集団の全体最適を図る「健康増進・予防モデル」へのダイナミックな政策転換が必要となる。

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●重症疾患発症率

医療費

Outcome

試⾏事業でフィージビリティ確認中のOutcome指標(社会保障KPIを含む)

●服薬コントロール率 保健指導の実施率

有所⾒(メタボリック・シンドローム該当)率終了者の改善率 特定保健指導の実施率

⾼リスク者の治療率 受診勧奨の実施率

Output

指標④情報提供(インセンティブ)

指標①特定健診指標②その他検診

指標③重症化予防

指標⑤適正受診指標⑥後発医薬品

指標①特定保健指導

●健康維持率●健康⾏動実施率

情報提供の実施率

特定健診の実施率

指標①メタボ該当率

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