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実現したい千束・大岡山地区 の姿とアイデア 大岡山地区まちづくり協議会案 この文書は、目指すべき地域の将来像と実現のアイデアを4つの基 本的な考えにまとめ、協議会案として作成したものです。 今後、これを検討の素材として、地域の皆様と魅力的な千束・大岡 山地区の実現方策を話し合っていきたいと考えています。 2018 年 9 月 18 日 大岡山地区まちづくり協議会

実現したい千束・大岡山地区 の姿とアイデアhome.catv.ne.jp/pp/seifuudo/matidukuri/2018teian.pdf実現したい千束・大岡山地区 の姿とアイデア 大岡山地区まちづくり協議会案

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実現したい千束・大岡山地区

の姿とアイデア

大岡山地区まちづくり協議会案 この文書は、目指すべき地域の将来像と実現のアイデアを4つの基

本的な考えにまとめ、協議会案として作成したものです。

今後、これを検討の素材として、地域の皆様と魅力的な千束・大岡

山地区の実現方策を話し合っていきたいと考えています。

2018年 9月 18日

大岡山地区まちづくり協議会

1 はじめに

大岡山地区まちづくり協議会は、2011年に地元有志により発足し、大田区「地

域力を生かした大田区まちづくり条例」によって認定された協議会として、千束地

区・大岡山駅周辺地区を対象としたまちづくり活動を進めてきました。

活動2年目の2012年には地域の皆様のご協力を得て、千束・大岡山地区のまちづ

くりに関するアンケートを行いました。その結果、様々な課題が明らかとなりまし

たが、これらをもとに協議会まちづくりのテーマを設定し、「コミュニティ研究」

「みどりと景観」「元気いつまでも」「大岡山ブランド」の4つの部会を立ち上げて活

動を進めてきました。また、月1回の定例会で全体の共有と議論を行っています。

私たち協議会は、千束・大岡山地区のまちづくりについて、地域の方々により具

体的な関心を持っていただけるよう、「この地域をこうしていきたい、こうなってほ

しい」というまちづくりの目標や夢について検討を重ねています。

この文書は、目指すべき地域の将来像と実現のアイデアを4つ

の基本的な考えにまとめ、協議会案として作成したものです。

今後、これを検討の素材として、地域の皆様と魅力的な千束・

大岡山地区の実現方策を話し合っていきたいと考えています。

2 千束・大岡山地区型のまちづくりとは

千束・大岡山地区のようにもともと良質な環境を持つ地域のまちづくりとは、

「豊かな地域コミュニティ・人々のつながり」を強めることが大きな目標となりま

す。それが「みどりが身近なまち」「安全・安心なまち」「地域性と特色あるま

ち」「多世代が暮らしやすいまち」をテーマとして生み出し、まちづくりを進める

原動力となります。それぞれのテーマを実現することが、住民ひとりひとりの「地

域への愛着・地域の特性を尊重し育てていく気持ち」を高めますが、それが重合的

に「豊かな地域コミュニティ・人々のつながり」をまた高めることとなります。

つまりそれぞれが目的と手段両方であり、その循環を促進することが、まちづく

り協議会の活動として目指すところとなります。

協議会はこの循環を促進することで自分たちの住む千束・大岡山地区をより住み

やすいまちにしていくことを目指し、このアイデア集を作成しました。

それぞれのアイデアは地域の現状を踏まえ、求められるコミュニティやそれに必

要な機能について検討したものになっています。このアイデア集を作成すること

で、我々のアクションプランとして活用すると同時に、住民の方々や行政の方に地

域の課題と魅力を知っていただき、同時にまちづくりへの具体的な関心を持ってい

ただきたいと考えています。

豊かな地域コミュニティ・人々のつながり

千束・大岡山地区型まちづくりのテーマと特徴

多世代が暮し

やすいまち

安全・安心な

まち

地域性と

特色あるまち

みどりが

身近なまち

ソフト、コミュニティ重視のテーマ領域を持つこと

まちづくりの循環促進を目指すこと

地域への愛着・地域の特性を尊重し育てていく気持ち

3 4つの基本テーマと具体的アイデア

1.みどりが身近なまち

緑は人々の心を和ませ、憩いの場を提供することができる。千束・

大岡山らしさを踏まえ質・量ともに充実した地域の人に親しまれる緑

を住民の手で育てることと、その緑を維持管理する側との連携を深め

たい。

■具体的アイデア

○花とみどりのまちづくり

「18色のみどり」活動が、地域に定着し成

果が見えるように、 花植えや草取りなどを

応援し、実施団体やボランティアグループと

の絆をつくっていく。

○名板付け

洗足池公園の目につく樹木に名板付けを行う

事業を進めている。この事業を経て、その経

験とノウハウを生かし地域に広くこの名板を

整備することを提案したい。また既存の名板

は高い位置に取り付けられているケースが多

いが、子どもや車いすに乗る人でも目につき

やすい高さを推奨していきたい。

○「一本のミカンの木」植栽運動

当地区では各庭に柑橘系の木がよく見られ

るためか、アゲハチョウやモンキチョウなど

が舞っている。住民自身がまずこの貴重な環

境に気付き、庭に1本の柑橘系樹木を植える

植栽運動をおこしたい。苗木は申請による無

料配布を模索したい。(柑橘系の木としては

レモン、ユズ、キンカン、ナツミカンなど)

○桜のプロムナード

大田区では千束地域整備事業計画として

「清水窪湧水から洗足池」区間の桜のプロム

ナード整備をうたっている。計画は頓挫して

いるが、湧水と池の関係性はしっかりと後世

に残したい地域の歴史である。湧水が池に注

ぐこのルートは目黒線で分断されるが、路面

のデザイン・案内板・沿道の植栽によって連

続性を演出し、再浮上させたい。

また2つの「さくら散歩みち」を整備し、

地区の賑わいを創出させたい。

①さくら散歩みちルート1

大岡山駅~北口商店街~清水窪弁財天~清

水窪小学校下~ウエリナ東急緑道~大岡山

駅(東急病院壁面緑化)~ぞうさん公園~

区の計画道路~洗足池公園

②さくら散歩みちルート 2

大岡山駅~東工大~石川神社~石川町文化

センター~呑川沿い~洗足池

大田区 まちの緑の図千束地区

2.安心・安全なまち

千束・大岡山地区の高齢者が住み慣れたこの地域で安心して暮ら

し続けられるようにするための地域包括ケアシステムの充実が必要

である。

また、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、首都直

下地震やそれに伴う火災、大雨などによる災害に備える防災対策が

必要である。治安状態をよく保つための防犯対策も心がけたい。

■具体的アイデア

○住民同士の互助の気持ちや絆の形成

“元気いつまでもセミナー”(認知症セミナ

ーの継続、介護予防セミナー等)を実施する

ことで知識の習得だけでなく、互助の気持ち

や絆の形成を図る。地域の自治会と協働によ

るセミナー等を開くことによって、理解を深

めていきたい。

○地域包括ケアシステムの実現

行政による地域での様々な医療・介護・福

祉サービス(在宅医療、医療と介護の連携な

ど)の提供に加え、地域住民による支えあ

い・助け合い活動により、地域全体で地域包

括ケアシステムを充実していきたい。

○防災関係のマップ作り

東京都の「東京防災」や大田区の「命を守

る 3点セット」などが全戸に配布された。

現在、協議会ではより広く「地域の資源」を

まとめた地図を作成している。地図にのせる

地域資源としては、樹木や花などの緑や病

院、防災関連では消火栓や防火水槽の位置を

示し、住民の地域への関心を高めたい。

また、各自が被害予測を心掛ける取り組み

を推進していきたい。

○防災訓練への積極的な参加

防災訓練へ参加、また協議会が地域のイベ

ントとして行うことで、実際に災害が発生し

た時の備えを確実にすることができる。ま

た、地域の住人が集まることで交流を図るこ

ともできる。

協議会でのイベントは、自治会や避難拠点

などの単位で行い、地元地域に対応した事例

を示して防災意識を高めていきたい。

3.地域性と特色あるまち

千束・大岡山地区には、日本を代表する大学の1つである東工大や

洗足池周辺にはいくつもの史跡が存在している。このような誇れる

まちを魅力あるまちに育てていきたい。

また、まちなみの美観を損なう問題にも取り組んでいくことが必

要とされる。

■具体的アイデア

○学園都市‐大岡山

もともと千束・大岡山は学園都市を目指し

て作られた。今後東工大がスーパー・グロー

バル大学として発展する。また地域の中核病

院として東急病院がある。東工大や東急病院

と協議会及び地元住民との協同作業で新たな

学園都市の要件を定義づけ、マスタープラン

を作成したい。ハード面に限定せず、ソフト

面も重点的に検討したい。

①大学との連携

東工大内で行われているイベントやオー

プンスペースを地域に開放してもらうよう

働きかけ、地域として可能な協力やサポー

トを行うことで、東工大との良好な関係構

築を目指す。(例えば、地域をテーマとし

たゼミへの協力、学内駅伝への参加、東工

大学内一斉清掃への参加、植栽の維持管理

への協力等)

②学生との連携

東工大の部活動やサークル活動、留学生

等と地域との双方向での交流・連携を目指

し、イベントの開催等の可能性を検討す

る。

例えば、

・ 地域で行う’日本の伝統文化’に学

生・留学生も参加し、交流を深める。

(お祭り、お神輿かつぎ、餅つき、和

太鼓、踊り など)

・ 部活動やサークル活動による地域向け

発表会・展示会の開催、

・ 留学生によるミニ多言語講座

③東急病院との連携

健康のまち大岡山(健康ステーション大

岡山)をテーマに、東急病院や東工大との

連携を深め、スムーズに協働できるような

関係づくりを目指す。

④学生+個別の先生との連携

東工大の学生に協議会に参加してもらえ

るように、フェイスブックで学生の参加を

呼びかける。また、東工大の講義や演習の

場として大岡山周辺地域を活用してもらう

機会を模索する。(例えば、まちづくりに

関する学習の現場として活用してもらう

等)

○まちあるき企画

地域には、まだいろいろ知らない所、歴史

がある所等が少なくない。これらを掘り起こ

してまちあるきを企画し、皆さんと一緒に散

策していきたい。

○だれもが集える場づくり

気軽に集まって話せるような場をつくるこ

とは、地域の人々をつなぐコミュニケーショ

ン機能において大切である。高齢者や子ども

連れの家族など、気楽に誰もが使える場所を

作りたい。

○文化資源・みどりの案内板設置

千束・大岡山の豊かな歴史と文化を広める

ため、案内板を設置して住民の関心を高め

る。洗足池周辺には勝海舟夫妻の墓、西郷隆

盛の留魂詩碑、日蓮上人の「袈裟掛けの

松」、名馬池月の像等文化財が多くある。ま

た、鳳凰閣の整備による「(仮称)勝海舟記念

館」は全国から注目される施設整備となる。

大岡山駅からこれらへの散策路及び誘導路

としての案内板設置を進めていきたい。

○電線・電柱の地中化

電柱は街の景観を損ねるほか、災害時に倒

れると消防車や救急による救援活動を妨げら

れる危険もある。自治会や商店街と一緒に相

談し合って、地域の幹線道路災害時避難路を

中心に電線・電柱の地中化を行政に提案した

い。

○地域の歴史研究

東急電鉄によるまちづくりによって今日の

形が創られてきた千束・大岡山地区。でもそ

の前は…縄文時代からの生活跡、江戸開幕~

明治期の部落の様子、人口が増えていく大正

~昭和と地域史を掘り起し、地域の記録を未

来に残していきたい。一人の作業によらず、

チームを組み、研さんを重ねる中でこれに参

加するたくさんの人々との交流、地域の絆を

深めたい。

4.多世代が暮らしやすいまち

住民の年齢層が幅広い千束・大岡山地区では、高齢者から子ども

まで、世代を超えた暮らしやすさの実現が重要である。世代間交流

を通じてまちの雰囲気やイメージをよりよいものにして、地域活性

につなげることができる取り組みを行いたい。

世代間交流によってこども達を地域全体で見守り、育てることや

子育てをする親世代へのサポートが可能になる。

■具体的アイデア

○小中学校との連携

現在、洗足池公園の樹木名札整備事業を大

森第六中学校と連携して行っていることも世

代間交流と言える。小中学校の生徒たちと連

携すれば、彼らの親世代とも繋がりができて

くる。

自然観察会、洗足池公園の魅力探しスケッ

チ会などを企画し、世代間の交流につなげて

いきたい。

また、こどもが千束・大岡山の環境・人に

ついて理解を深めることを目的としたまち講

話を行うことで、幼いころよりまちへの愛着

をもつきっかけをつくっていきたい。

○イベント・交流会・セミナーの開催

大岡山駅前広場を利用して地域主催の音楽

イベントやスポーツ交流会の開催も世代間交

流につながる(東工大と連携したマラソン大

会の開催など)。

近隣小学校・中学校および東工大のクラブ活

動(吹奏楽部、ブラスバンドクラブ、スポー

ツクラブ等)と地域の方によるイベント・交

流会等を開催していきたい。

また、こども発達支援講演会といった子育

て世代向けのセミナーの実施や、こどもやそ

の親とともにまちあるきを行い、こども達が

気に入っている場所や子育て世代がまちで暮

らす中で抱える課題を発見し、まちづくりに

役立てたい。

○ユニバーサルデザイン化の推進

集会所などの地域の施設や道路などの屋外

公共空間において、段差や長い歩行経路な

ど、移動や滞在の障害となる要因がいまだ多

く残っている。高齢者や障碍者、子ども連れ

など、だれでも積極的に外へ出かけられるよ

う、ユニバーサルデザインの観点から地域全

体の改善を進めたい。

○休憩所の設置

まちの中に座って休める場所が少ない。道

や坂の途中にちょっとした休憩場所があれ

ば、お年寄りが出歩きがし易くなり、そこで

人と話す機会も増える。子育て世代にとって

は、こどもを連れて休み交流できるような場

所も必要だと考える。休むだけではなく、そ

こにいる人とコミュニケーションが生まれる

ような場所づくりに努め、行政などに提案し

ていきたい。

■改訂履歴

2017年3月14日:第1版

2018年9月18日:改定(対象地区を明確化するため、タイトル及び文中の地区表

記を「千束・大岡山地区」とする。ユニバーサルデザインの項

目追加。)