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Copyright © 2010 CRIEPI 電力中央研究所フォーラム2010 研究成果発表会 火力部門 「低炭素化と安定供給の両立を目指して」 12010/10/27 CO 2 回収型火力発電システムの開発 エネルギー技術研究所 犬丸

CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

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Page 1: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

Copyright © 2010 CRIEPI

電力中央研究所フォーラム2010

研究成果発表会 火力部門「低炭素化と安定供給の両立を目指して」

〔1〕2010/10/27

CO2回収型火力発電システムの開発

エネルギー技術研究所

犬丸 淳

Page 2: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔2〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

1.CCSに関する内外の動向

2.CCS技術の課題

3.CCSに関する電中研の取り組み

~新しいCO2回収型火力発電システムの開発~

報告内容

Page 3: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔3〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

出典:CCS2020(経済産業省)

CCS(CO2 Capture and Storage)とは?

回収システム:エネルギー技術研究所

貯留技術:地球工学研究所

政策動向など:社会経済研究所、環境科学研究所

Page 4: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔4〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●CCSの法的枠組みに関するEU指令(2009年4月公布)

・30万kW以上の新設発電プラントに以下を要求①CO2貯留サイトの利用可能性の評価②輸送やCO2回収施設の追設(レトロフィット)等の技術的・経済的な実現可能性の評価

→CO2回収のためのスペースを確保

●英国のCCSに関する対応(2009年11月法案決定)・30万kW以上の新設発電プラントに以下を要求

①将来的なCO2回収機能追設のためのスペース確保②回収・輸送・貯留の実効可能性の評価など

→キャプチャーレディプラントの義務化

EUのおよび英国の政策動向

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〔5〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●EU・2015年までに10~12個の実証プロジェクトを開始(目標)・英国→実証プロジェクト300MW以上のCCS計画に補助

●米国

・DOEは大幅な計画変更(2010年8月;FutureGen 2.0)・IGCC新設は中止→既設ボイラを酸素燃焼に改造

●豪州・国および州政府の積極的なサポート・酸素燃焼(Callide) 、IGCC(ZeroGen)など幅広く開発推進

海外での開発動向

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〔6〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●貯留は4ヶ所で商業運転 (天然ガスプラント、EOR)

●発電+CCSの実証規模(100MW)以上の実施はゼロ

●実証プロジェクト

(100MW以上):80件

燃焼後回収 37件

酸素燃焼 10件

燃焼前回収 33件

(2010年3月現在)

図 CCSプロジェクト(2010年3月現在)

CO2回収型発電プロジェクトの動向

0

200

400

600

800

1000

1200

2008 2010 2012 2014 2016 2018

CCS実施目標年 (または運転開始年)

出力

(MW

、回

収分

)

燃焼後回収(CCR)

燃焼後回収

酸素燃焼(CCR)

酸素燃焼

燃焼前回収(IGCC CCR)

燃焼前回収(IGCC)

UK実証コンペ(英)→

AEP Mountainer(米)  ↓

RWE Rhenish(独)↓

←Callide(豪)

←ZeroGen(豪)

FutureGen(米)

GreenGen(中)

※CCR=CCS Ready

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〔7〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●日本CCS調査株式会社が設立(2008年5月)

・電力11社を含む36社が株主・CCS技術の事業化調査および研究開発

●低炭素社会づくり行動計画(2008年7月:閣議決定)

・CCSは、2020年までに実用化の目処・現状4200円/t-CO2の分離・回収コスト→2020年代に1000円台/t-CO2とするための技術開発を推進

●エネルギー基本計画(2010年6月:閣議決定)・今後計画される石炭火力の新増設に当たってはCCS Readyの導入を検討

・商用化を前提に、2030 年までに石炭火力にCCS の導入を検討

国内の動向

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〔8〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

1.CCSに関する内外の動向

2.CCS技術の課題

3.CCSに関する電中研の取り組み

~新しいCO2回収型火力発電システムの開発~

報告内容

Page 9: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔9〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

1.燃焼後回収システム(Post-combustion)

2. 酸素燃焼システム(Oxy-fuel Combustion)

3. 燃焼前回収システム(Pre-combustion)

●吸収法でのCO2回収は既に実用化

●課題:CO2回収エネルギーの低減など

●実証段階

●課題:酸素製造動力の低減など

●IGCC+CCS、実証段階

●課題:CO2回収エネルギーの低減など

石炭

空気

ボイラボイラ排煙処理

排煙処理

CO2

回収

CO2

回収

煙突

CO2

圧縮圧縮

貯留

石炭

空気

ボイラボイラ排煙処理

排煙処理

CO2

回収

CO2

回収

煙突

CO2

圧縮圧縮

貯留

石炭

酸素 ボイラボイラ排煙処理

排煙処理

CO2

圧縮圧縮

貯留CO2

石炭

酸素 ボイラボイラ排煙処理

排煙処理

CO2

圧縮圧縮

貯留CO2

石炭

空気/ 酸素

ガス化炉

ガス化炉

ガス精製

ガス精製

CO2

回収

CO2

回収CO2

圧縮圧縮

貯留

シフト反応器

シフト反応器

ガスタービン/排熱回収ボイラ

ガスタービン/排熱回収ボイラ

シフト反応:CO+H2O→H2+CO2

H2

石炭

空気/ 酸素

ガス化炉

ガス化炉

ガス精製

ガス精製

CO2

回収

CO2

回収CO2

圧縮圧縮

貯留

シフト反応器

シフト反応器

ガスタービン/排熱回収ボイラ

ガスタービン/排熱回収ボイラ

シフト反応:CO+H2O→H2+CO2

H2

現在検討されているCO2回収型発電方式

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〔10〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

出典: “Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Plants”, DOE/NETL-2007/1281

Copyright ©CRIEPI, All rights reserved, 2009

IGCC       微粉炭火力  LNGコンバインド

CO2回収なし CO2回収あり送電端効率(高位発熱量)

● CO2回収により送電端効率(HHV)は、2割~3割低下。一般に、効率の低下割合は、燃焼後に比べIGCCがやや小さい

CO2回収型発電システムの発電効率試算例

40%

30%

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〔11〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

0 2 4 6 8 10 12 14 16

発電コスト(円/kWh)

*1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第9回コスト等検討小委員会(電事連提出資料)

日本における石炭火力の発電コスト基準:5.7円/kWh*1 (LNG:6.2円/kWh 、原子力:5.3円/kWh )*1

国内(帯水層)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

      IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

豪州(地下深部塩水層 海域)

NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

中東(枯渇油田)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

輸送分離・回収昇圧

貯留

発電コスト(回収無)

((COCO22排出源単位:排出源単位:110110g/kWhg/kWh、、微粉炭焚き火力回収率:微粉炭焚き火力回収率:9090%に相当)%に相当)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

発電コスト(円/kWh)

*1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第9回コスト等検討小委員会(電事連提出資料)

日本における石炭火力の発電コスト基準:5.7円/kWh*1 (LNG:6.2円/kWh 、原子力:5.3円/kWh )*1

国内(帯水層)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

      IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

豪州(地下深部塩水層 海域)

NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

中東(枯渇油田)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

輸送分離・回収昇圧

貯留

発電コスト(回収無)

((COCO22排出源単位:排出源単位:110110g/kWhg/kWh、、微粉炭焚き火力回収率:微粉炭焚き火力回収率:9090%に相当)%に相当)

*1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第9回コスト等検討小委員会(電事連提出資料)

日本における石炭火力の発電コスト基準:5.7円/kWh*1 (LNG:6.2円/kWh 、原子力:5.3円/kWh )*1

国内(帯水層)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

      IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

豪州(地下深部塩水層 海域)

NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

中東(枯渇油田)

      NGCC+燃焼後回収

PC+燃焼後回収

IGCC+燃焼前回収

酸素燃焼

輸送分離・回収昇圧

貯留

発電コスト(回収無)

((COCO22排出源単位:排出源単位:110110g/kWhg/kWh、、微粉炭焚き火力回収率:微粉炭焚き火力回収率:9090%に相当)%に相当)

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参考資料:石炭火力発電の将来像を考える研究会 中間とりまとめ, 2007.4

CO2回収型発電システムのコスト試算例

●発電コスト(円/kWh)は、約1.5倍(含む回収)、約2倍(含む貯留)という試算例あり

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〔12〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

1.CCSに関する内外の動向

2.CCS技術の課題

3.CCSに関する電中研の取り組み~新しいCO2回収型火力発電システムの開発~

報告内容

Page 13: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔13〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●石炭火力発電のCO2排出抑制に向けた電気事業の取り組み

→高効率化(250MW級IGCC実証機の開発など)

→バイオマス混焼の推進

●CCSは中長期的に温暖化防止対策オプションとなる可能性 → 現状のCO2回収技術では発電効率の大幅な低下や発電コストの上昇など課題が山積

低コストかつ高効率な新たな発電システムの開発

出典:http://www.ccpower.co.jp/

研究の背景

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〔14〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●目的:

新たな概念による「CO2回収型高効率IGCCシステム」→実現可能性の評価、課題の抽出、要素技術の開発

(一部をエネ庁/NEDOの受託研究として実施)

●実施概要:

①酸素-CO2吹きガス化炉の特性評価と技術開発(石炭ガス化研究炉などの実験と数値解析技術)

②クローズドガスタービンを含めたシステム全体のFS→コスト評価、実用化に向けた課題の抽出など

プロジェクト課題「CO2回収型火力システム」

本システムの実現可能性を評価

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〔15〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

酸素-CO2ガス化技術の開発

高CO条件での乾式ガス精製の最適化

①「酸素-CO2吹きガス化」と「酸素-CO2ガス燃焼クローズド・ガスタービン」の採用により、発電端効率の大幅な向上

②CO2排ガスの循環によりCO2分離回収装置が不要となり、効率向上とシステムの簡素化が可能

新システムの特徴

石炭

酸素

ガス化炉

ガス化炉

ガス精製

ガス精製

CO2圧縮圧縮 貯留

ガスタービン

ガスタービン

排熱回収ボイラ

排熱回収ボイラ

酸素

蒸気タービン蒸気タービン

水蒸気

CO2 CO2

石炭

酸素

ガス化炉

ガス化炉

ガス精製

ガス精製

CO2圧縮圧縮 貯留

ガスタービン

ガスタービン

排熱回収ボイラ

排熱回収ボイラ

酸素

蒸気タービン蒸気タービン

水蒸気

CO2 CO2

酸素-CO2ガス燃焼GTの課題抽出 全体システムの実現可能性評価(実機

FS)

新しいCO2回収型高効率IGCCシステムの提案

研究開発のポイント

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〔16〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

CO2回収型高効率IGCCシステムの系統概略

石炭ガス化炉

石炭ガス化炉

フィルタ(集じん)

フィルタ(集じん)

酸素製造設備

酸素製造設備

燃焼器燃焼器

再生熱交換器

汽水分離器

汽水分離器

排熱回収ボイラ

圧縮機圧縮機

蒸気タービン

排ガス冷却給水加熱器

石炭

CO2

O2

CO2貯留

蒸気系へ

CO2+H2O

環境設備

環境設備

復水器復水ポンプ

復水器復水ポンプ

圧縮機 ガスタービン

乾式脱硫

乾式脱硫

石炭ガス化炉

石炭ガス化炉

フィルタ(集じん)

フィルタ(集じん)

酸素製造設備

酸素製造設備

燃焼器燃焼器

再生熱交換器

汽水分離器

汽水分離器

排熱回収ボイラ

圧縮機圧縮機圧縮機圧縮機

蒸気タービン蒸気タービン

排ガス冷却給水加熱器

石炭

CO2

O2

CO2貯留

蒸気系へ

CO2+H2O

環境設備

環境設備

復水器復水ポンプ

復水器復水ポンプ

圧縮機圧縮機 ガスタービンガスタービン

乾式脱硫

乾式脱硫

酸素-CO2

ガス化炉

クローズド・ガスタービン

(酸素-CO2ガス燃焼)

再生熱交換機

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〔17〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●酸素とCO2ガスで石炭ガス化・CO2のガス化促進効果(C+CO2→2CO)により、酸素ーN2吹きガス化に比べ、チャー量が低減し冷ガス効率が向上

ガス化炉の性能向上、設備の簡素化

プラントの効率向上、設備の簡素化

●クローズド・ガスタービンを採用(酸素-CO2ガス燃焼)・作動流体中がCO2(+水蒸気) →排ガス温度が高く、再生熱交換器の設置により効率向上

・GT排ガスを直接圧縮・液化して回収→シフト反応器やCO2分離回収装置が不要

CO2回収型高効率IGCCシステムの特徴

Page 18: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔18〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

a) 1300℃級ガスタービン採用* Source:“Cost and Performance Baseline for

Fossil Energy Plants”, DOE/NETL-2007/1281

b) 1500℃級ガスタービン採用(注)湿式:湿式ガス精製、乾式:乾式ガス精製

20

25

30

35

40

45

50

従来IGCC(海外・湿式)*

従来IGCC(日本・乾式)

高効率IGCC(CCSあり・乾式)

送電

端効

率(H

HV

) %

CCSなし

CCSあり

効率大幅低下効率大幅低下効率大幅低下

約44%→34%

CCSでも約40%

約41%→32%

効率大幅低下効率大幅低下効率大幅低下

20

25

30

35

40

45

50

従来IGCC(乾式)

高効率IGCCC(CCSあり・乾式)

送電

端効

率(H

HV

) %

CCSなし

CCSあり

効率大幅低下効率大幅低下効率大幅低下

約48%→37%

CCSでも約42%

プラント性能解析結果例-CO2回収有無の比較-

Page 19: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔19〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

① CO2回収用蒸気動力

② ガス化炉

③ ガス精製設備

④ ガスタービン設備

⑤ 排熱回収設備

出典: [1] 「Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Plants」DOE/NETL-2007/1281

効率向上効果の内容

CO2分離・回収に必要な蒸気の動力に相当する向上分

O2-CO2吹きガス化炉の採用により、冷ガス効率が向上

乾式ガス精製の採用により、ガス精製設備における熱損失が低減

1350℃級ガスタービン及び再生熱交換器の採用により、ガスタービン部効率が向上

三重圧サイクルの採用、SGC収熱利用方法の最適化、及び、排ガス冷却給水加熱器の設置により、排熱回収効率が向上

図 CO2回収型高効率IGCCシステムにおける効率向上効果の概略内訳

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

Proposed IGCC Breakdown GEE IGCC[1]

発電

効率

(%H

HV

)

送電端効率

発電端効率

56%

その他CO2圧縮

酸素製造

送電端効率

40%送電端効率

32%

発電端効率

44%

送電端効率

CO2圧縮

酸素製造

その他

CO2分離回収動力を含む

②①

CO2回収型高効率IGCCシステムにおける効率向上効果の内訳イメージ

* [1]“Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Plants”, DOE/NETL-2007/1281

①CO2回収用蒸気動力相当分

②酸素-CO2吹きガス化炉の性能向上

③乾式ガス精製の採用

④再生熱交換器採用のガスタービン性能向上

⑤排熱回収設備の最適化

効率向上効果の内容

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〔20〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●CO2およびH2Oの分圧が共

に高い条件で適用可能な

チャーのガス化反応モデル

を新たに開発

● 本 モ デ ル を 活 用 し 、 CO2

によるガス化反応促進効

果を示した(右図)

図2

段噴流床ガス化炉のリダクタ(ガス

化炉上段の主にガス化反応が起こ

る 部 分 ) を 対 象 と し た 解 析 結 果

これまでの成果(1)酸素- CO2吹きガス化炉に適用可能なガス化反応モデルの開発

Page 21: CO 回収型火力発電システムの開発...2010/10/27  · Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27 〔11〕0 2 4 6 8 10 12 14 16 発電コスト(円/kWh) *1 平成16年1月総合資源エネルギー調査会電気事業

〔21〕Copyright © 2010 CRIEPI 2010/10/27

●従来型GT燃焼器との比較検討により、設計のための基本

事項(表中赤字)を明らかにした

これまでの成果(2)本システムのガスタービン(GT)燃焼器と天然ガス焚きGT燃焼器の比較-設計基本事項の解明-

提案システムのGT燃焼器

天然ガス焚きGT燃焼器

供給流体

希釈剤 排ガス(CO2+H2O) - -

酸化剤 O2 酸化剤 空気

燃料 石炭ガス 燃料 天然ガス

燃焼領域酸素濃度・ガス温度

制御可能 制御不可

当量比 約1(量論燃焼) 約0.5(酸素過剰燃焼)

サーマルNOxN2分圧低のため発生小

→非予混合燃焼N2分圧高のため発生大

→予混合/二段燃焼

排ガス中O2濃度石炭搬送に利用のため

低減の必要-

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(1)基本システムおよび運転条件の最適化

(2)酸素-CO2ガス化による性能向上効果の解明・実証

(3)チャー回収装置、再生熱交換器、酸素製造装置など各要素機器のコンパクト化、簡素化

(4)高CO濃度ガス雰囲気下での脱硫剤中への炭素析出現象の解明と対策

(5)酸素-CO2燃焼クローズド・ガスタービンの最適設計とプラント制御方法の最適化

(6)実用規模プラントのフィージビリティ・スタディによる性能およびコスト評価

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実用化に向けた研究課題

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●排出源近傍への信頼できる地中貯留技術の開発・評価① 貯留層分布状況の調査と貯留可能量評価法の開発② CO2地中移行評価法の開発③ 簡便なモニタリング技術の開発④ 地下水・地盤との化学反応による鉱物固定

電中研におけるCO2貯留技術の開発

CCS2020(経済産業省)を基に作成

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●海外では多くのCCS実証プロジェクトが発表されているが、実施に移されるかどうかは不透明なものも多く、今後も動向を注視する必要あり

●現状のCO2回収型火力発電には「高コスト」、「送電端効率の低下」などの課題が山積しており、これらを解決する革新的な技術の開発が望まれる

●当研究所は、 CO2回収後も高効率発電(送電端HHVで40%以上)が期待できる新たなCO2回収型IGCCシステムを提案。今後も課題解決に向けた研究開発を着実に進める予定

研究成果の詳細は、ポスターセッションをご覧ください。

おわりに