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現代日本の社会政策を 考える 外国人雇用を中心に~ 愛知学院大学 経済学部 玉井ゼミ

現代日本の社会政策を 考えるceis.sakura.ne.jp/2018/D2_4_2018.pdf愛知県田原市 農家 小久保将啓 中国人2人・フィリピン人2人 (ポイント) 1.家族同然に接する⇒積極的なコミュニケーションにより、

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現代日本の社会政策を考える

~外国人雇用を中心に~

愛知学院大学 経済学部 玉井ゼミ

目次

1. はじめに

2. 基礎データの検証

3. 外国人労働者対策の新展開

4. 技能実習制度の課題

5. 近隣地域での聞き取り調査

6. まとめ

1 .はじめに

2 .基礎データの検証

図表1‐外国人労働者の推移

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130000

平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年

日本全体 愛知県 三重県 岐阜県

図表2‐国籍別外国人労働者の割合

中国, 29.10%

韓国, 4.40%

フィリピン,

11.50%

ベトナム,

18.80%

ネパール,

5.40%

ブラジル,

9.20%

ペルー,

2.20%

G7/8+オーストラリア

+ニュージーランド,

5.80%

その他,

13.70%1,278,670人(前年比194,901人増)

中国ベトナムフィリピン

図表3‐在留資格別外国人労働者の割合

身分に基づ

く在留資格,

35.90%

資格外活動,

23.20%

技能実習,

20.20%

専門的・技術的分野

の在留資格, 18.60%

特定活動,

2.10%

不明, 0.00%

• 永住者• 日本人の配偶者• 永住者の配偶者• 定住者

3 .外国人労働者対策の新展開

新たな在留資格

•「特定技能1号」

→最長5年の技能実習修了、技能と日本語能力試験に合格

在留期間(通算5年)、家族の帯同は認めない

・「特定技能2号」

→さらに高度な試験に合格した熟練技能を持つ者

1~3年ごとに更新可能(更新回数に制限なし)

家族の帯同を認める

新たな在留資格

条件 在留期間 家族の帯同

特定技能1号 一定の技能 通算5年 ×特定技能2号 熟練した技能 更新可能 ○

図表4‐外国人雇用特区

制度改正について問題点

•賃金不払いやハラスメントなど重要な問題を抱えたこの制度を温存

したまま新制度を連結させることにより、さらなる問題の深刻化に

つながるのではないか。

•外国人労働者の大量流入は労働力不足が解消されるため、失業リス

クの上昇や非正規労働者の賃金引き下げのデメリットが生じる。

•大量流入による外国人らのコミュニティ形成の加速。

(治安悪化の懸念)

•問題の多い現状で「特定技能2号」を取得できる外国人労働者は多

くないと考えられるので印象操作といっても過言ではない。

課題<労働面>

悪質な日本語学校ビジネスの存在

安価に雇える

イメージ

失踪する

技能実習生

4 .技能実習制度の課題

技能実習制度

技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、

開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力しよう

とする制度。

実習生は、企業で技能の習得をすることが目的であるが、

実質的に単純労働者としての扱いを受けており、実習企業

を自由に変更することができないため、国際的には

実質的な人身取引との批判を浴びている。

技能実習制度

•外国人技能実習制度における建前と実態のギャップが大きく、

技能実習後の技能移転について詳細なデータがない。

(実態は中小企業の労働力確保)

•薄給と苛酷な労働環境に耐えかねて、失踪する技能実習生が

多く、政府は「失踪」ということだけを取り上げがちであり、

失踪の原因となった「実態」を不透明にする。

•外国人労働者のための社会参加を考えていない制度上、パス

ポートの取り上げや賃金未払い、長時間労働などの人権リス

クが起きやすくなっている。

技能実習制度

<失踪の動機について>※複数回答

2018年(上半期)の失踪者数は4279人

低賃金 67.2%

指導が厳しい 12.6

労働時間が長い 7.1

暴力を受けた 4.9

帰国を強制された 2.5

保証金・渡航費用の回収 0.7

その他 15.3

無回答・不明 0.3

技能実習制度

<成功例>

愛知県田原市 農家 小久保将啓

中国人2人・フィリピン人2人

(ポイント)

1.家族同然に接する⇒積極的なコミュニケーションにより、

短期間で日常会話が可能になるなど、日本語能力の

向上につながる。

2.仕事の対価は明確に支払う

技能実習制度

<成功例>

3.失敗しても頭ごなしに叱らない

⇒失敗は本人というより指導側の指導力

不足であると意識する。

4.地元の人たちとの交流も勧める

5.実習生同士の交流も重視する

技能実習制度

小牧市のプラスチック加工会社で外国人技能実生に対し、

違法残業や賃金未払いがあった。

同様のトラブルは各地で多発している。

また、技能実習などは労働実態がわかりにくいことから、

受入れ拡大に向けて外国人労働者にもしっかりと理解して

もらえるような制度を作っていくことが重要である。

<愛知県の外国人雇用トラブル>

5 .近隣地域での聞き取り調査

インタビューの実施

2018年10月14日~24日

愛知県名古屋市中区

三重県四日市市

今後日本で活躍したい留学生

•母国より高い所得

•多くの労働機会

•日本の技術の取得

なぜ日本で働きたいのか?

•アルバイトの労働時間(週28時間)では足りない

•制度の理解が難しい

制度への評価

制度上の障害

電気関係の職に就きたいが、

技能実習生ではなく、大学の留学生である。

:技能実習生である場合、

その期間は収入が見込めないこと

であった。

留学生の友人が労働時間の上限を超えた

労働をした。

不法労働が発覚し、強制帰国させられた。

:週28時間の労働時間では生活費と学費を

賄うことができないためであった。

•留学生の生活レベルに応じた労働時間の改善

•技能実習生の待遇の改善

•制度の知識を深める対策

制度への要求

5 .まとめ

まとめ

技能を教えてあげる ⇒×

高待遇を考えて来てもらう⇒○

今後も労働力確保のため、今、このような対策をして

いかないともう来てくれなくなる

来日上位の中国・ベトナムも急成長して、今後自国で

働くようになる可能性が高い

まとめ

<外国人労働者を増やすためには>

・外国人労働者側から日本で働きたいと思う制度作り

の実施

・技能実習制度を理解していない外国人労働者が多いため、

外国人労働者に理解してもらえるように制度の改善

・地域別で産業形態に特化した制度づくりが必要

参考資料外国人労働力について

http://www5.cao.go.jp/keizai-

shimon/kaigi/minutes/2018/0220/shiryo_04.pdf

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-

Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-

Gaikokujinkoyoutaisakuka/7584p57g.pdf

愛知県国家戦略特別区域

http://www.pref.aichi.jp/kikaku/kokkatokku/approach/employ-

global.html