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再生医療等製品:条件及び期限付承認等の
新たな制度的枠組みについて
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)再生医療製品等審査部
嶽北 和宏
2015/3/19第14回日本再生医療学会総会シンポジウム8
パシフィコ横浜
本発表は演者の個人的見解を示すものであり、所属する組織の公式な見解ではないことをご留意ください。発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などはありません。
本講演内容はPMDAの公式見解ではなく、
演者個人の見解に基づいた内容であること
をご了承下さい。
はじめに
2
3
医薬品医療機器総合機構(PMDA)とは
PMDAの組織図
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審査系
安全系
共通部門
救済系健康被害救済部
審査業務部・審査マネジメント部
再生医療製品等審査部
新薬審査第一部~第五部、ワクチン等審査部
医療機器審査第一部~第三部
一般薬等審査部、ジェネリック医薬品等審査部
信頼性保証部
安全部第一部~第二部
品質管理部
総務部・財務管理部・企画調整部レギュラトリーサイエンス推進部・国際部
(GCP・GPSP等基準適合性調査)
(GCTP調査、立入検査)
理事
監事
理事
審議役
監事
救済管理役
安全管理監
審査センター長
理事長
上席審議役
審議役
上席審議役
組織運営マネジメント役
審議役
上席審議役
再生医療等製品の審査
理事(技監)
総職員数:749名(H26.4)
審査副センター長(機器、再生)
性能効力
審査チーム
5
再生医療・遺伝子治療製品チーム
次 長
チーム数: 1
審査員数:30人(うちPh.D 25人、M.D. 6人)
(H27.3 現在。人材交流を含む)
再生医療の実用化を促進する制度的枠組み
再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律
【議員立法】 平成25年5月10日公布・施行
再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図る
再生医療等安全性確保法【平成26年11月25日施行】
医薬品医療機器法(改正薬事法)【平成26年11月25日施行】
再生医療等の安全性の確保等を図るため、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工施設についての基準を新たに設けた。
再生医療の実用化に対応できるよう、再生医療等製品の特性を踏まえた承認・許可制度を新設するため、改正を行った。
臨床研究自由診療
多くの製品を、より早く安全な再生医療を迅速かつ円滑に
製造販売
再生医療等製品の特性に応じた条件及び期限付承認制度の導入
細胞培養加工について、医療機関から企業への外部委託を可能に
患者への説明と同意、使用の対象者に関する事項の記録・保存など市販後の安全対策
再生医療等のリスクに応じた三段階の提供基準と計画の届出等の手続、細胞培養加工施設の基準と許可等の手続を定める
迅速性
安全性
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(参考)政令で定める再生医療等製品
薬事法施行令等の一部を改正する政令 別表第二(第二条関係)
ヒト細胞加工製品
一 ヒト体細胞加工製品
二 ヒト体性幹細胞加工製品
三 ヒト胚性幹細胞加工製品
四 ヒト人工多能性細胞加工製品
動物細胞加工製品
一 動物体細胞加工製品
二 動物体性幹細胞加工製品
三 動物胚性幹細胞加工製品
四 動物人工多能性細胞加工製品
遺伝子治療用製品
一 プラスミドベクター製品
二 ウイルスベクター製品
三 遺伝子発現治療製品(前二号に掲げる物を除く。)
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再生医療等製品の例
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(参考)再生医療等製品に該当しないものの一例
ヒト赤血球・ヒト血小板・新鮮凍結血漿
血漿分画製剤
移植医療(造血幹細胞、臓器等)
生殖補助医療用の受精胚及び配偶子
プラセンタエキス(胎盤組織)
ヒト羊膜、ヒト硬膜
生体弁
創傷用ハイドロゲルや無機多孔体等の足場材料
入歯・骨セメント
人工関節・人工血管
細胞保存液、細胞の培養上清
生物学的製剤基準に収載されている弱毒生ワクチン
アンチセンスオリゴヌクレオチド・核酸誘導体
リボザイム、アプタマー
9
1 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料
ア 起原又は発見の経緯 に関する資料
イ 外国における使用状況
ウ 類似する他の治療法との比較検討等
2 製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料
ア 製品の構造、構成細胞、導入遺伝子
イ 使用する原料、材料又はそれらの原材料
ウ 製造方法
エ 規格及び試験方法
3 安定性に関する資料 輸送、保存条件、有効期間の根拠
4 効能、効果又は性能に関する資料 効力又は性能を裏付ける試験
5 製品の体内動態に関する資料ア 生体内分布
イ その他の体内動態
6 非臨床安全性に関する資料ア 一般毒性
イ その他の安全性
7 臨床試験等の試験成績に関する資料 臨床試験等の試験成績
8 リスク分析に関する資料
ア リスク対策計画
イ 製造販売後使用成績調査計画
ウ 実施予定の臨床試験計画
9 法第65条の3第1項に規定する添付文書等記載事項に関する資料
ア 添付文書案
イ 効能、効果又は性能、用法及び用量又は使用方法、使用上の注意(案)等及びその設定根拠
再生医療等製品の承認申請にあたり必要な資料
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臨床開発にあたって
薬機法第23条の25第2項第3号
三 申請に係る再生医療等製品の名称、構成細胞、導入遺伝子、構造、用法、用量、使用方法、効能、効果、性能、副作用その他の品質、有効性及び安全性に関する事項の審査の結果、その物が次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
イ 申請に係る効能、効果又は性能を有すると認められないとき。
ロ 申請に係る効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、再生医療等製品として使用価値がないと認められるとき。
ハ イ又はロに掲げる場合のほか、再生医療等製品として不適当なものとして厚生労働省令で定める場合に該当するとき。
再生医療等製品も従来どおりベネフィットがリスクを上回ることが承認の条件! 11
【再生医療等製品の早期の実用化に対応した承認制度】
再生医療等製品の特性を踏まえた規制の構築
12
治験(有効性、安全性の確認)
承認臨床研究
【従来の承認までの道筋】
※患者のアクセスをより早く!
患者にリスクを説明し同意を得、市販後の安全対策を講じる。
市販
市販後に有効性、さらなる安全性を検証
条件・期限を付して承認
臨床研究
承認又は
条件・期限付承認の失
効
市販
引き続き市販
治験(有効性の推定、安全性の確認)
期限内に再度
承認申請
<再生医療等製品に従来の承認制度を適用する場合の問題点>
人・動物の細胞や遺伝子を用いることから、不均質となるため、有効性を確認するためのデータの収集・評価に長時間を要する。
・有効性については、一定数の限られた症例から、従来より短期間で有効性を推定。・安全性については、急性期の副作用等は短期間で評価を行うことが可能。
再生医療等製品の条件及び期限付承認と従来の承認の関係
13H26.10.8 中医協資料
(参考)抗悪性腫瘍薬の臨床GL
「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン」の
改訂について(平成17年11月1日薬食審査発第1101001号)
第Ⅱ相試験終了時において高い臨床的有用性を推測させる相当の理由が認められる場合には、第Ⅲ相試験の結果を得る前に、承認申請し承認を得ることができる。その際は、承認後一定期間内に、第Ⅲ相試験の結果により速やかに、当該抗悪性腫瘍薬の臨床的有用性及び第Ⅱ相試験成績に基づく承認の妥当性を検証しなければならない。~(中略)~承認申請前に国内で実施する臨床試験数を最小限とし、効率よく、かつ迅速に当該薬剤の導入が図れるように臨床開発計画を立案すべきである。
抗悪性腫瘍薬と同じく、重篤かつ患者数の少ない疾患領域を対象とすることの
多い再生医療分野においても「高い臨床的有用性を推測させる相当の理由」と
なるベネフィットがリスクを上回ることを説明できれば、製造販売後に試験/調査で引き続き有効性の根拠を蓄積していくこと自体は同じであっても、「条件及び期限付承認」だけでなく、通常の「承認」への選択肢の可能性はある。それは審査においてデータを評価した上で検討することになる。
上記は、抗悪性腫瘍薬等(医薬品等)の従来の運用と同じ話。14
「有効性の推定」とは?
承認において大事なことはリスクとベネフィットのバランス。そのバランスは品目ごとに個別評価。
ベネフィット:有効性や性能
リスク:安全性
対象疾患の重篤性
なお残る未知のリスク
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開発品が、対象疾患のどの臨床的位置付けに対し、どの程度の有効性/性能を示せばリスクが忍容でき、再生医療等製品として成立するかが基本。
対面助言でよくある質問
16
どんなデザインの治験をすれば「条件及び期限付承認」が取得できますか?
何例の臨床成績があれば「条件及び期限付承認」が取得できますか?
「条件及び期限付承認」の基準はなんですか?
対面助言でよくある質問へのお答え
どんなデザインの治験をすれば「条件及び期限付承認」が取得できますか?
何例の臨床成績があれば「条件及び期限付承認」が取得できますか?
「条件及び期限付承認」の基準はなんですか?
「条件及び期限付承認」の可能性を対面助言で議論するにあたって
上市後にどのような調査/試験を実施し、最終的にどのように有効性を確認するのか? 開発のライフサイクルのステップとして適切なのか?
その前段階として、治験で何を確認すれば、(推定といえど)期待できる有効性を患者さんに説明できるのか?
これらのご提案をぜひ相談資料に添えてください。 17
条件及び期限付承認に保険適用
18H26.11.5 中医協総会資料
【参考】新規機能区分の基準材料価格の算定方法
19
類似機能区分のあるもの
類似機能区分のないもの
新規材料
類似機能区分比較方式
原価計算方式・製造(輸入)原価・販売費・一般管理費(市販後調査の費用を含む)
・営業利益※
・流通経費・消費税 等※ 業界の実情を踏まえつつ、新規収載品の革新性の度合いに応じて-50%から+100%の範囲内で営業利益率の調整を行う
価格調整(※)
外国平均価格の1.5倍を超える場合は1.5倍に相当する額
※英、米、独、仏、豪の医療材料の価格を相加均した額と比較※ただし、以下に該当する場合は、当該価格を外国平均価格とする。① 最高価格が最低価格の3倍を超え
る場合は、当該最高価格を除外して相加平均した額
② 価格が3か国以上あり、そのうち最高価格がそれ以外の価格の相加平均値の2倍を上回る場合は、当該最高価格をそれ以外の価格の相加平均値の2倍相当とみなして相加平均した額
迅速な
保険導入に係る評価
一定の要件を満たす医療材料の場合に限
る。
補正加算なし
補正加算あり・画期性加算 50~100%・有用性加算 5~ 30%・改良加算 1~ 20%(蓋然性が高い場合 1~ 10%)
・市場性加算Ⅰ 10%・市場性加算Ⅱ 1~ 5%
新医薬品の算定も基本的な考え方は同じ
パッケージの構築には戦略性を!!
20
より安全、より有効な製品を患者さんに提供!! 国際競争力もUp!
Minimum Requirementの達成
かもしれないけれど…
PMDAが相談にのれるところ 承認
開発製品の革新性や画期性等のある点を伸ばして、アカデミアから企業へ高く売り込むには… MoAの解明、CQAの理解 知識管理 Potency評価法開発 信頼性の確保 副次評価項目の充実 POCの確立 長期成績
保存治療等の予後(ベースライン) 製品群の予後(臨床研究等)
品質・非臨床
臨床
ご清聴ありがとうございました
http://www.pmda.go.jp/(日本語)
http://www.pmda.go.jp/english/index.html(英語)
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