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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等 i ABLの実務的な対応像の参考例① 業種 食品製造業 担保目的物 動産(和惣菜)

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ABLの実務的な対応像の参考例①

業種 食品製造業

担保目的物 動産(和惣菜)

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1. 案件の全体像

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1.1 案件の概要

本件は、地方銀行が地域内の既存顧客である食品製造業者を対象として、ABLを実施

したものである。顧客の年間売上高は約12億円、総資産約16億円であり、企業規模と

しては中小企業に該当する。

顧客は、栗、小魚等の原材料を仕入れ、自社工場で和惣菜を製造し、スーパー等小売り

事業者に販売している1。

本件の特徴は、以下が挙げられる。

� 地方銀行が取り組んだ案件であること

� 顧客の業態が製造業であること

� 担保目的物が生モノであり、原材料・半製品・製品を一通りカバーしていること

銀行側の基本スタンスは「企業の実態把握重視型」のABLであり、担保となる在庫を

評価・モニタリングして継続的に顧客の営業活動を把握し、信用リスクの軽減に主眼をお

くものであった。

本件の取組み趣旨は、以下のとおりである。

① 従来活用していなかった在庫を活用することで、以降の必要運転資金枠を安定的に確

保する仕組みを確立すること

② 前記①を確立するため、専門の評価会社を通して在庫の内容や商流の状況確認を行う

こと

ABLにより融資した目的は、顧客の業態の特性により販売サイトが長期化しがちであ

ることから、慢性的に発生する手元運転資金の不足を補うことであった。また、一部の原

材料については、長期保存が可能であることから、価格が下落もしくは量が確保できる時

期に大量に仕入れることもあり、短期的に資金が不足することがしばしばあることも背景

にあった。

上記の背景により、貸出形態はボロイング・ベース型の当座貸越、すなわち、担保適格

額に担保の種類ごとに掛け目(アドバンス・レート)を乗じて算出した金額の合計を貸出

可能金額(上限額)とし、担保適格額に前貸し率を乗じて算出した貸出基準額(ボロイン

グ・ベース)を設定した。本件では、ボロイング・ベースは約2億円、融資期間は1年ご

との自動更新とした。

また、本件では、必要運転資金枠を将来に亘り安定的に供給するため、顧客が負担する

モニタリング・コスト、枠の更新に伴う費用は極力抑える必要があり、かつ対象担保動産

(特に担保評価中に占める割合の高い原材料)については、市況に大幅な変動がない限り

単価の再評価は行わず、在庫量の変動による担保価値の再評価のみを評価会社に依頼し、

これに基づき銀行側が顧客に対して貸出可能金額を通知する形式とした。このように評価

1 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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会社への依頼内容を一定の範囲内に限定し、一部を内製化することにより、一般に地域金

融機関が抱える主要な課題であるコストの低減と行内のノウハウ蓄積を実現できた案件

となった。

加えて、ABLを実施するに当たり、処分価値が認められない在庫については、銀行側

と相互確認の上、在庫構成の適正化の努力を行ってゆくことを前提に取り組んだ点で、規

律のある資金提供が実現できた。

こうした工夫もあり、本件については当初設定した貸出形態を維持し、6 回目の更新を

行い、現在も継続中である。

案件の概要を表 1 に示す。

表 1 案件の概要

項目 概要

貸出人 地方銀行

借入人の

事業規模

年間売上規模:12 億円程度

総資産:16 億円程度

事業概要 和惣菜を製造販売

業種・業態 食品製造業

担保目的物 動産(和惣菜)

取組金額 約 2 億円(当座貸越設定金額)

融資期間 1 年(当座貸越枠を自動更新)

資金使途 運転資金

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1.2 基本的なスキーム

地方銀行が、単独で A 社にABLを実施した。担保目的物は、A 社の事業で使用してい

る和惣菜の原材料、半製品及び製品であった。

実行時には、評価会社が、銀行側からの依頼に基づき、A 社本社、担保目的物の一部を

保管している A 社子会社及び外部倉庫会社(材料・製品保管受託倉庫)からそれぞれ在庫

動産の報告を受けるとともに、各倉庫へ実査を行って担保動産評価を実施した。銀行側は

その評価額に基づき、当座貸越枠を設定のうえ、ABLを実施した。担保設定に際しては、

占有改定及び動産譲渡登記を行い、法務局から登記事項証明書の交付を受けた。

ABL実施後は、3ヶ月ごとに評価会社が在庫動産の数量報告を入手し、これに基づい

て在庫データを整理の上再評価額算出を行い、モニタリング報告として銀行側に提出する

こととした。銀行側はこれに基づいて担保動産及び担保評価額の推移を確認し、モニタリ

ングを実施するとともに、同担保評価額に基づく貸出可能金額の通知を行っている。

半製品・製品等の物理的品質が劣化しやすいものや過剰在庫については全て評価対象外

とすることも検討したが、このうち半製品及び製品等の劣化しやすいものについては、以

下の3つの理由から、適格在庫として取扱った。

① A 社に於いては取引先との取引実績が十分にあり、賞味期限内の在庫の回転が見込

めていたこと

② 評価会社による実地調査によっても適切な包装処理が行った上で冷蔵保管となって

いたこと

③ 相応の処分期間を見込む事が可能である点を確認できたこと

一方、過剰在庫については、従来の商取引及び製造過程で販売・使用が認められる(す

なわち処分価値が見込める)範囲のみを適格担保として取り扱い(それ以外の範囲につい

ては評価対象外)、貸出可能金額に算定することとした。また、処分価値が認められない部

分については、A 社と銀行側で相互に確認し合い、継続的に在庫構成の適正化を行ってゆ

くことで合意した。

【留意点①】

一般に、担保として徴求する在庫品のうち、法的に担保として認められないものなどは「担保

不適格」、回収や価値の実現が困難なものは「評価対象外」として扱い、いずれもあらかじめ担

保価値から差し引いて考える必要がある。

以下に、担保不適格、評価対象外と考えられる在庫品について例示する。

担保不適格:

� 違法物件(覚せい剤、盗品等)

� ライセンス商品・許認可商品

� 資材、包装品、道具、機材

� 所有権がないもの

� 管理が及ばないもの

� 販売先からの前受金、預り相当額

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評価対象外:

� 長期滞留在庫

� 特注品

� 一定以上の数量がない在庫

【留意点②】

一般に生もので、かつ加工しかけた半製品や製品は、処分を想定した場合に価値が出にく

く、また価値が出るとしても、売れるまでの間に価値を維持するための管理に労力とコストがかか

るため、取扱いは慎重に行う必要がある。

そこで、案件取り上げ時には、通常以上に以下の確認を強化する。

� 在庫数量の算出方法

� 実地棚卸のサイクル

� 在庫の保管状況(価値の保全、劣化の防止策)

また、以下のモニタリング・管理を通常以上に的確に、また場合によっては頻度や精度を高め

て実践する必要がある。

� 担保として徴求する在庫の内容を常時モニタリングし、顧客の商流、資金流の把握を強化

する。

� 在庫の内容が適正な環境の下で管理され、その価値を失っていないかを確認する。

本案件の基本的なスキームを図 1 に示す。

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図 1 基本的なスキーム

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2. 金融機関における実務的な対応像

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2.1 営業・提案

2.1.1 取組経緯・案件の適合性選別

(1) 取組経緯

A 社の事業サイクル上、原材料を仕入れてから商品である和惣菜を製造、納入して代金を回

収するまでの間に一定の時間がかかることから、必要運転資金の平準化が難しく、これを補完す

る融資手法として、原材料、半製品及び製品を担保対象としたABLが活用できないか A 社と銀

行側の双方にて検討を開始した。

又、ABL活用の検討を開始するに至った背景として、A 社での全体的な銀行取引関係を整

理・見直しする時期に来ており、A 社と協議を行う中で、以下のABLの導入効果に対するが共通

認識が醸成され、ABLの組成に関する協議、交渉が円滑に進んだ。

① 在庫の内容や商流の状況確認を行うことで滞留在庫等の把握がより詳細に可能となり、

在庫適正化に向けてより詳細・現実的な方法を検討・実行できる。

② 在庫及び商流についてのより詳細な把握・モニタリングが可能となり、A 社及び銀行間の

情報に関する非対称性の解消に資する。

③ 担保評価書作成時の評価会社による業界等ヒアリングにより、A 社の業界での評判等外

部からの客観的な把握が可能となる。

④ ①~③の効果により、取引他金融機関からの信頼性向上に資する。

特に、A 社の経営者は、企業支援のための新しい金融スキームについての理解が早く、ABL

が企業の事業運営で発生する資金ニーズに対して、商材の資産価値に着目してこれを活用する

ことで、従来の金融スキームより柔軟に対応できることのメリットに気づいていたことが、成約のポ

イントとなった。

(2) 案件の適合性選別

本件のABLへの適合性を判断した際のポイントを以下に示す。

第一に、すでに A 社では在庫データの整備が進んでおり、ABLの期中管理(モニタリング)で

重要となる、タイムリーな在庫価値の把握が可能であることから、一定の適合性があると判断され

た。実際、データが不正確であったり、取得に遅延が発生するようであると、粉飾も発生しやすく、

ABLの失敗要因になりやすいため、この点は重要なポイントとなった。なお、ABLを導入するこ

とによって、データの整備がより進む効果があることは知られているが、ABL取組時点で一定の

整備が進んでいなければ、そもそもABL導入は難しい。

第二に、担保対象の一部である原材料(乾燥品が中心)が、換価性及び処分性について評価

可能であることが、評価会社の評価によって確認できたことも判断材料となった。本件では、半製

品や製品も適格担保として評価対象としていたが、これらを全て含めて取引先との取引実績が十

分にあり、賞味期限内の在庫の回転が見込めていること、また評価会社による実地調査によって

も適切な包装処理が行われた上で冷蔵保管となっていることから、相応の処分期間を見込むこと

が可能である点を確認できた。

なお、中には過剰在庫も含まれていたが、従来の商取引及び製造過程で販売・使用が認めら

れる、すなわち処分価値が認められる範囲のみを適格担保として取り扱い、それ以外の範囲に

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ついては評価対象外とした。

第三に、銀行側が A 社にとっての主要取引行であった点も、背景として重要なポイントとなっ

た。銀行側は、A 社から見た取引シェアの約 5 割を押さえており、実績に基づく創業時からの強

固な信頼関係が構築されていたことは、適合性判断に大きく寄与した。実際、ABL取組時の担

保動産評価に限らず、期中管理においても A 社の事務負担は定常的に発生し、積極的な協力

姿勢が求められることになるが、こうしたABLにおける仕組に於いては誠意のある対応が前提と

なるため、信頼関係に大きな影響を及ぼす銀行の取引ステータスは重要なポイントとなった。

【留意点③】

一般に、食品製造業は、腐敗しやすい商材を扱うことが多いこと、衛生面での管理コストが高く

なる傾向があること、風評リスクが懸念されること、競合が多く付加価値を出しづらいことなどか

ら、適合性選別の観点からは厳しく評価せざるを得ない場合が少なくない。

ただし、本件のようにデータの整備や金融機関との信頼関係をはじめABLを実施する上で必

要な条件がそろっていることに加えて、以下のような点が見いだせれば、積極的に評価しやすく

なる。

� 他社や他地域との差別化を図り、希少性の高い商品提案を行っている。

� 地元の農業生産法人等と連携し、トレーサビリティの高い商品として全国レベルで展開でき

ている。

� 食品安全GAP(Good Agricultural Practice)、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control

Point)等の公的な認証を取得している。

2.1.2 事前説明事項・理解度

主な事前説明事項は以下である。

� 基本スキーム(詳細は、1.2参照のこと。)

� 費用負担(詳細は、2.3.6参照のこと。)

� 当初評価費用

� 再評価費用(年 4回)

� 動産譲渡登記に関わる費用(登記費用、司法書士費用)

� 評価・期中管理に伴う協力事項(詳細は、1. 2.1.3(1)参照のこと。)

� 再評価(年 4回)に関わる保管場所毎の在庫集計表及び在庫明細表の取りま

とめ、評価会社への期限内提出

� 銀行側より請求があった場合の担保保管場所又は担保動産上への公示

� 銀行側より請求があった場合の担保保管場所(外部倉庫会社による許諾の手

配を含む)への立ち入りへの協力

� 遵守事項

� 「通常の営業の範囲外」での担保目的物の搬出・処分の禁止

� 担保動産の価値に重大な影響を与え、又は与える恐れのある事由が生じた場

合の、銀行側への通知義務

� 担保保管場所での損害保険契約の維持・継続(外部倉庫会社が付保する損害

保険契約が有効に締結・維持されている確認を含む)

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一般に、ABLは顧客に必要な事項を適切に説明し、理解を得ることが難しいことが

しばしばあるが、A 社は常務が担当として深く関与しており、評価会社による担保評価、

モニタリング等、ABL特有の費用負担に関しても理解度は高かった。

また、A 社の場合、初期の段階から在庫を活用したABL融資スキームに対する知見

があり、どちらかというと、具体的なスキームに対して常務から銀行側の対応可能性に

ついて問い合わせがあったり、メリットを享受したい意欲があった。

当時、業界でもABLが十分に普及していない中で、在庫を担保提供することについ

ての風評被害が懸念材料として残っていたものの、A 社と銀行側の双方にとってのAB

Lの導入効果を共有することができ、協力を得ることに成功した。

2.1.3 協力体制・信用不安

(1) 協力体制

協力的であった背景は、前述のとおり A 社の常務が、金融スキームに限らず、ビジネスにおけ

る新しい取り組みに対し、日ごろからアンテナが高く、理解が早かったため、A社のみならずA社

子会社及び外部倉庫会社との協力体制を敷けたことが大きい。

具体的には、たとえば期中の在庫動産報告に当たっては、A 社の倉庫管理担当者のほか、A

社子会社の倉庫管理担当者、外部倉庫会社担当者から協力を得る体制を敷き、3 か月ごとのモ

ニタリングでは必要なデータを評価会社に提出するための業務フローを確立した。モニタリング

に於いては、3ヶ月毎の基準日における在庫動産についての A 社から評価会社に対する報告が

期日内に行われない場合、評価会社より銀行側に対して報告が行われ、銀行側から A 社に対し

てヒアリングを行い遅延理由等把握する仕組みとなっている。

「譲渡担保権設定契約」においては、以下の協力を契約条項として定義している:

� 契約締結日において、以下を作成、提出する。

� A 社保管物件:当該担保目的動産の明細(担保目的動産の種類、数量等を記載した

書面をいう。以下本項において同じ。)

� 委託保管物件:本件保管委託契約に基づき外部倉庫会社に対して保管を委託してい

る担保目的動産の明細(外部倉庫会社から取得)

� A 社子会社保管物件:第三者担保物件の明細に記載する明細と併せ、「本件在庫証

明書」。なお、提出すべき本件在庫証明書は、本契約締結日の 10 営業日前を基準日

とする。

� A 社及び A 社子会社は、銀行及びモニタリング会社に対し、本契約締結日以降 2、5、8 及

び 11月の各末日として担保物件及び第三者担保物件について本件在庫証明書を作成し、

基準日の翌月 10 日までに本件在庫証明書を提出する。銀行側は同在庫証明書及びモ

ニタリング会社から入手する担保目的動産の評価を基に 3、6、9 及び 12月の各末日(ただ

し、当該日が営業日でないときはその前営業日とする。以下「本件担保評価決定日」とい

う。)までに本件担保評価決定日における本件担保評価貸出可能額を算出し、2 営業日後

までに本件担保評価貸出可能額を書面にて A 社に対し通知するものとする。

� A 及び A 社子会社は、銀行側の請求があったときは、随時、銀行側の指定する日を基準

日とする本件在庫証明書を直ちに提出する。また、銀行側が本件保管場所又は本件第三

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者担保保管場所に立ち入って担保目的動産の管理状況を確認(関連する帳簿又は記録

の閲覧・謄写を含む。)することにつき許諾し、また、本件保管委託業者をして許諾せしめ

る。

� A 社及び A 社子会社は、A 社が被担保債務のいずれかについて期限の利益を喪失した

場合、当該事由が生じた時点における本件在庫証明書を当該事由が生じた日から 10 営

業日以内に銀行側に交付するものとする。

【留意点④】 本件のように、顧客以外に、その子会社や外部倉庫会社等の関係者が多岐にわたる中、AB

Lを的確に実践してゆくのに必要な協力体制を敷くのは容易ではない。複数の先から遅滞なくデ

ータ提出を受け、常時モニタリングに効果的に生かすためには、一定のガバナンスを働かせる

必要があるであろう。 一般には、こうした状況に対応するのに有効なのはコベナンツ管理である。ABLでは在庫な

どの権利関係がぜい弱で、価値の変動が激しい担保を取り扱うことになることから、資料提出義

務のほかに、財務内容、経営状態、担保の価値保全等に係るさまざまなコベナンツを定め、常時

それを管理することでガバナンスの強化を図ることになる。

(2) 信用不安

前述のとおり、業界における信用不安はあったものの、事業運営の性質上、必要運転資金の

ニーズが高く、ABLを活用することのメリットの方が大きいと判断されたため、実施に至った。

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2.2 担保評価

2.2.1 必要書類と入手のタイミング

担保評価においては、A 社から表 2 に示す書類を評価会社に提出されている。このう

ち、在庫調べ集計表(イメージ)を 3章「資料集」に掲載する。

表2 入手書類の概要

書類名 概要 入手時期

在庫調べ集計表

基準日時点での本社ライン(出

荷、製造)毎、工場、関連会社、

における在庫集計表

評価報告書日付の一ヶ月程度前

(基準日は、さらにその一ヶ月程度

前)

在庫報告書 基準日時点での外部倉庫会社

における在庫明細表

評価報告書日付の半月程度前

(基準日は、さらにその一ヶ月程度

前)

2.2.2 内製化と外部事業者の切り分け

評価会社に、ABL実施前の設定基準日時点での在庫担保評価額算出と、融資開始後の

3ヶ月ごとの再評価額算出を依頼している。3か月ごとの再評価額算出は、原則として A

社から送付される原データに基づき(原データは、量が多く銀行側には提示されていない)、

大項目毎の当初評価率に在庫量を掛けることで算出され、担保評価額の増減を把握してい

る。

ただし、当初評価より数年を経過し銀行内部でも、必要に応じて大項目毎の評価率を見直す

ことの必要性を認識している。ただし、その場合は評価率の見直しに当たり評価会社への評価費

用増が伴うことが想定される一方で、A 社へのさらなる費用負担増につながるため、実行につい

ては難しい側面もある。

2.2.3 先行譲渡・所有権留保の有無の調査

(1) 先行譲渡の有無

本件では、占有改定(指図による占有移転を含む)及び司法書士を通じた譲渡登記を行った。

先行登記がないかどうかを確認し、登記事項証明書の交付を通じて、先行登記の有無は確認で

きた。一方、占有改定等によって先行譲渡がなされていないかどうかは、A 社との面談を通じて

確認済みであった。

(2) 所有権留保の有無

取組み検討時に、A 社との面談を通じて所有権留保がないことは確認済みであった。

一方、「譲渡担保権設定契約」の中には、所有権留保が付されていないことを以下のとおり表

明・保証として定義している:

� A 社及び A 社子会社は、銀行側に対し、本契約締結日において以下に記載された事項

が真実にかつ正確であることを表明し、保証する:

� A 社による本契約の締結及び履行並びにそれに基づく取引は、A 社を当事者とする、

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又は A 社若しくはその財産を拘束する第三者との契約に違反又は抵触するもので

はない。

� A 社に関して、本契約上の義務の履行に悪影響を及ぼす、又は及ぼす可能性のあ

るいかなる訴訟、仲裁、行政手続その他の紛争も開始されておらず、又は開始され

る恐れがない。

� 本契約に基づいて A 社が銀行側に対して提出した一切の書類又は資料等に、事実

に反し、又は銀行側に誤解を生じさせる記載が存在しない。

� A 社及び A 社子会社は、銀行側に対し、本契約締結日時点において本件保管場所及び

本件第三者担保保管場所に既に存する担保目的動産については本契約締結日において、

また、本契約締結日以降本件保管場所及び本件第三者担保保管場所に搬入される担保

目的動産については当該担保目的動産が本件保管場所に搬入された時点において、当

該担保目的動産に関して以下に記載された事項が真実に相違ないことを表明し、保証す

る。

� 担保目的動産について、本契約に基づくもの以外に A 社が一切の処分権限を有し

ており、第三者に対する譲渡、質権、譲渡担保その他の方法による担保設定もしくは

担保設定の予約、その他本契約に基づく銀行側の権利に損害を及ぼす又はその恐

れのある処分がなされておらず、かつ、A 社は、第三者のためにかかる処分を行う義

務を負っていない。

� A 社は、本契約及び本件保管委託契約の締結及び履行並びに当該各契約におい

て企図されている取引の実行の結果としてそのような義務を負うことにならない。

� 担保目的動産に関して、仮差押、仮処分、差押、競売の申立、滞納処分による差押

等が開始されておらず、又は開始される恐れが存しない。

� A 社及び A 社子会社の表明及び保証のうち、A 社の表明及び保証に関し誤りがあり、又

は不正確であったことが判明した場合には、A社及びA社子会社は、直ちに銀行側に対し

その旨書面により通知するものとする。

2.2.4 具体的な調査対象と評価手法

調査は、A 社本社、担保目的物の一部を保管している A 社子会社及び外部倉庫会社の倉庫

にある在庫(和惣菜の原材料、半製品及び製品)の評価率算定及び数量把握を行った。

商品等の在庫の担保価値を算定する場合は、必ずしも在庫の内容を細かく分類する必要は

なく、在庫を製造・加工段階によって大まかに区分するのが一般的であり、本件でも、完成品、仕

掛品や半製品、原材料のように区分して算出する方法を採用した。このような区分により、それぞ

れの製造・加工段階にある在庫について、資金化にどの程度の時間を要するか、市場流通性は

どうか、といった観点から担保価値を捉えることができた。

在庫の担保価値を算出する手法としては、次の三種類があり、本件では、売買比較アプロー

チ算出法を採用した。

① 売買比較アプローチ算出法

対象商品もしくはその近似品の売買事例を比較検討し、評価金額を算出する手法で、在

庫の担保評価としては最も一般的な方法。

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② 収入アプローチ算出法

不動産鑑定における「収益還元法」とほぼ同様の方法。レンタル用機器・器具等の評価に

使用することが可能である。

③ 費用アプローチ算出法

不動産鑑定における原価法「再調達価格」とほぼ同様の方法。

評価価格は、基本的に次の三種類があり、評価方法は原則として OLV(通常(静態的)処分価

格。Orderly Liquidation Value)を採用した。ただし、評価額の算出については、商品の特性等か

ら、下記の価格の一つのみを検討する場合もあれば、異なる処分シナリオを想定しながら複数に

ついて検討する場合もある。

① 公正市場価格(Fair Market Value、略称FMV) 通常の取引において決定される価格。すな

わち、物件の売手がなんら強制されることなく、必要な時間をかけて買手を見つけられる状

況を想定した売却価格。

② 通常(静態的)処分価格(Orderly Liquidation Value、略称OLV) 債務者の破綻により商品

(ブランド)価値がある程度低下することを前提に、半年から 1 年程度の合理的な期間内に

買手を見つけられる状況を想定した売却価格。時間的な余裕をもって、既存の販売チャネ

ルや一般事業者への販売、一部オークションや買取業者を利用して処分を行うことを想定し

ている。

③ 強制処分価格(Forced Liquidation Value、略称FLV) 限られた期間内にオークションなどで

強制的に処分しなければならない状況を想定した売却価格。オークション・バリュー

(Auction Value)、またはディストレス・バリュー(Distress Value)ともいう。強制処分価格は通

常処分価格より 20~30%程度は低くなるといわれている。

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2.3 審査回答・担保設定・契約

2.3.1 融資形態、金額、融資方式の説明方法

(1) 融資形態

融資形態はボロイング・ベース型当座貸越とした。

A 社の主力製品の製造に当たっては、原材料の仕入れ・仕込み・製造のために5~6ヶ月間の

在庫・運転資金が必要となる。また、同期間中は在庫(担保目的物)が換価性の高い原材料から

半製品・製品へと形を変えて行くため、換価性は劣るもののある程度換価性が認められる半製品

や製品についても対象担保として本件スキームに組入れている。例年、当社では年末年始の製

品出荷に向け、主力製品につき5~6月ごろより仕入れ・仕込み・製造を始め目的動産の量が増

加するため、年末年始の出荷時期までに、(特段の事情がない限り)担保評価額減少⇒貸出可

能金額減額⇒超過金額の期限前弁済となる状況は、蓋然性が低い。

また、出荷後に在庫金額減少により担保評価額が減額し金額の期限前弁済が必要となるが、

納入先からの販売代として回収可能となるため、弁済が可能となる建付けとしている。在庫金額

に連動した当座貸越枠設定が、事業運営のサイクルとマッチするため、この融資形態が適切で

あると判断された。

「当座貸越契約書」に、貸出可能限度額の算出について、以下の通り規定している:

� A 社は、本件取引期間において、本件譲渡担保権設定契約に基づき銀行側より保管の委

託を受けた担保目的動産の一部を自ら保管し、かつ、残りの一部について、A 社及び外

部倉庫会社間の平成●年●月●日付寄託契約書に基づき、外部倉庫会社に対して保管

の再委託をする。

� A 社は、銀行側に対する債務の担保として、A 社及び銀行間の本契約締結日付集合動産

譲渡担保権設定契約に基づき、銀行側に対して、同契約にて特定される担保動産のうち

外部倉庫会社により譲渡担保権が設定されるものを除く担保動産に譲渡担保権を設定す

る。

� 銀行側は、本件譲渡担保権設定契約に基づき受領する担保目的動産の明細に基づき、

本契約締結日に、担保目的動産に係る本契約締結日の前日時点(ただし、当該時点にお

ける以下に定める方法による相場の調査が合理的に困難である場合には、当該調査が合

理的に可能な直近の時点とする。)の相場をモニタリング会社から入手することにより調査

し、銀行側の定める方法により本契約締結日における担保目的動産の価値を算出するも

のとし、当該算出した結果を基に、担保目的動産を引当てとする本件貸付の貸出可能最

大額(本件担保評価貸出可能額)を合理的に算出するものとする。なお、A 社は、上記担

保目的動産の相場の調査その他のモニタリング等のため、銀行側がモニタリング会社に

対し、担保目的動産に係るモニタリング依頼書を提出し、本件取引期限が到来するまでの

間、モニタリング会社から担保目的動産についてモニタリング等を受けることを委託するこ

とを確認及び承諾する。

� 銀行側は、本件譲渡担保権設定契約に基づき受領する本件在庫証明書に基づき、本契

約締結日以降(3、6、9 及び 12)月の各末日までに、前項記載の方法と同様の方法により、

本件担保評価決定日における本件担保評価貸出可能額を算出する。

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� 銀行側は、A 社より本件在庫証明書を受領した場合には、当該本件在庫証明書を受領し

た日に、上記の方法と同様の方法により、本件在庫証明書受領日における本件担保評価

貸出可能額を算出する。銀行側は、本件担保評価貸出可能額を算出した場合には、本契

約締結日、本件担保評価決定日、本件在庫証明書受領日の、それぞれ 2 営業日後まで

に、本件担保評価基準日における本件担保評価貸出可能額を、それぞれ書面にて A 社

に対し通知する。

(2) 取組金額

事業計画、在庫金額、運転資金の必要金額を勘案し、当座貸越設定金額を約2億円と設定し

た。

(3) 融資方式の説明方法

面談を通じて A 社と協議し、融資条件の説明の一部として、本部と支店担当者にて融資方式

を説明した。

2.3.2 第三者対抗要件の具備(対象物の特定方法)

(1) 対象物の特定方法

動産の種類を和惣菜の原材料、半製品、製品とし、保管場所を A 社本社、担保目的物の一部

を保管している A 社子会社及び外部倉庫会社として、動産譲渡登記を行った。

外部倉庫会社による保管動産にも担保設定は行ったが、担保譲渡人と外部倉庫会社の取引

履歴が長い場合、書面としての寄託契約自体が締結されていないケースも多く、寄託契約の調

整・整備も想定しておく必要がある。

動産譲渡登記上の担保動産表示は、以下の通りとした。

担保目的動産(借入人担保物件:委託保管) [動産通番] 000003 [動産の種類] 惣菜の原材料、半製品、製品 [保管場所の所在地] xxxxx県 xxxx市 xxxxx区 xx番地 [有益事項] 占有代理人の商号:xxxxxxx株式会社 保管場所の名称:xxxxx 事業所倉庫 内訳: 上記保管場所内にある、株式会社 xxxxxxx の商号が添付 されたパレット内に保管された動産全部

【留意点⑤】 集合動産として譲渡担保権を設定する場合、その対象となる物件の範囲を保管場所、対象物

の特性、数量等で特定する必要があるが、これが不明確であると、担保の対象が確定せず、担

保権の実行が不可能となる可能性があり、注意を要する。 保管場所は、その住居表示、郵便番号、名称等で特定し、対象物の特性についてはなるべく

細かい商品名称等記載する。 また、数量については、実務上特定することが困難であることから、「全て」といった記載にして

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差し入れることが多い。考え方として、集合動産担保の担保権を実行する際に、執行官が対象と

なる動産を現場で特定できるかどうかが判断材料となる。

(2) 担保目的物の明認方法

本件では、明認方法は施さなかった。これには、A 社の取引上、支障が発生することに加え、

A 社のABLや遵守事項に対する理解度が高かったこと、銀行側との信頼関係がすでに十分構

築されていたことなどが背景にある。

2.3.3 「通常の営業の範囲」の認識共有

譲渡担保権設定契約では、「通常の営業の範囲」との表現を使用しているが、本件取組に当

たり契約上のコベナンツ等で明確に定義する形での合意形成はしなかった。

経緯・理由は、以下の通りである。

① A 社の事業形態が小売業ではなく、和惣菜の製造販売という形態であり、販売先であるス

ーパー等に対して、著しく価格を下げて提供するなど、担保価値の毀損につながる行為

が想定しにくかったことから、「通常の営業の範囲」を明確に定義する必要性が高くなかっ

た。

② 継続的な処分をおこなって行く事で認識を共有していた一部過剰在庫については、処分

価格について、予め価格レンジ・量等につき認識を共有する事が出来ていた。

2.3.4 保険付保の有無、質権設定の取り決め

(1) 保険の付保状況

A 社自社倉庫 及び A 社子会社の倉庫については、従来付保している普通火災保険の継続

を依頼した。委託保管物件については、外部倉庫会社が火災保険等を掛けており、本件のため

の新たな保険付保の要請は行なっていない。

(2) 質権設定

外部倉庫会社にて保管されている対象動産については、各外部倉庫会社が独自に火災保険

を付保しており、対象動産が占める割合は各外部倉庫会社において一部であるため、保険金請

求権への質権設定は現実的には困難であった。実務的な対応として、各外部倉庫会社が火災

保険を掛けている事実を把握するために、A 社経由にて保険契約書のコピーを入手し、以後も

継続的にコピー入手の上、付保を確認している。

尚、A 社自社倉庫 及び A 社子会社の倉庫については、従来付保している普通火災保険の

継続を依頼し、更新時にコピー入手の上付保を確認している。

2.3.5 表明・保証、コベナンツの設定

(1) 表明・保証の内容

担保動産に関わる表明・保証については、「譲渡担保権設定契約書」において、以下につい

て規定した。

� 担保目的動産は、業界において通常期待される品質・機能を有しており、知りうる限り、何

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らの物理的瑕疵も存在しない。

� 担保目的動産について、本件を除き自社が一切の権限を有しており、第三者に対して担

保設定もしくは担保設定の予約等行っていないこと。

� 担保目的動産は、通常の営業活動により取得・保有されるものであること。

� 担保目的動産に関して、仮差押、差押、仮処分、競売の申立が開始されておらず、開始さ

れる恐れのないこと。

� 担保目的動産に関して、判決、決定、命令又は裁判上もしくは裁判外の和解はなく、いか

なる訴訟、仲裁、行政手続その他の法的手続、紛争解決手続も開始されておらず、又開

始される恐れのないこと。

(2) コベナンツの設定

棚卸資産の比率等の財務コベナンツについては規定していない。

ただし、担保目的物の担保価値に重大な影響を与える、又は与える恐れのある事由が生じた

場合は、事前に連絡するよう約束をした。

また、売上報告書の毎月の提出義務を当初譲渡担保権設定契約書で明記していたが、A 社

の負担を勘案して、協議の結果削除することとした。

2.3.6 費用負担の合意

評価・モニタリングで評価会社を活用するため、係る費用については内容及び金額を事前説

明し、了承を得た。

具体的には、評価会社への「評価依頼書」を直接提示し、具体的な作業内容、協力をいただく

必要がある事項・作業レベル、期間についても説明・協議を行い、了承を得た(資料集参照)。

また、譲渡担保設定契約書には、金融機関側より要求があった場合の、管理状況確認のため

の保管場所への立ち入り等許可が明記されており、これについても事前に確認した。

なお、評価費用について A 社で負担頂く点については、2.1.1(1) 取組経緯にて記載のABL

導入効果(特に在庫の内容や商流の状況確認による滞留在庫把握、その後の在庫適正化に向

け詳細・現実的な方法を検討・実行できる効果)が、A社及び他取引金融機関からの信頼性向上

という点で資する事を A 社に共有頂くことで、了解いただいた。なお、評価費用については、A

社から評価会社に直接支払われる形態とした。これは、銀行を経由する形態とした場合、内部で

の会計処理が複雑となるのを回避するためであった。

「当座貸越設定契約書」では、費用負担に関して次の内容の条項を置いている:

(費用負担)

A 社は、本契約に関して銀行側がモニタリング会社に対して委託する担保目的動産に係る

モニタリング業務に関する費用を負担するものとし、各業務に関わる費用を、モニタリング依

頼書の規定に基づき本件モニタリング会社に対して支払う。

また、「譲渡担保権設定契約書」では、費用負担に関して次の内容の条項を置いている:

(遅延損害金・費用)

� A 社及び A 社子会社が本契約上の支払義務をその支払期日に履行しなかった場合、A

社及び A 社子会社は、当該支払期日の翌日から完済に至る日までの期間につき、当該債

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務不履行に係る金額に対し、年率 14%(1 年を 365 日とした日割計算とする。)による遅延

損害金を支払わなければならない。この場合、A 社及び A 社子会社は、銀行より請求を受

け次第、直ちにこれを支払う。

� 本契約中における計算につき、別途明示的な規定が存在しないときは、両端及び 1 年を

365 日とした日割計算とし、除算は最後に行い、1 円未満は切り捨てる方法にて算出され

る。

� 本契約において別途規定されたものを除くほか、本契約の締結及び履行に関連して発生

する諸経費(本件譲渡担保権の対抗要件具備に関する費用を含む。)及び公租公課につ

いては、全て A 社及び A 社子会社の各負担とする。

2.3.7 その他独自の特殊契約

本案件で特徴的な契約条項は特にない。増担保については、「譲渡担保権設定契約書」では

規定しなかった。

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2.4 期中管理

2.4.1 モニタリングの方法・体制

(1) 実施体制

前述のとおり、3ヶ月ごとにA社本社、担保目的物の一部を保管しているA社子会社及び外部

倉庫会社(材料・製品保管受託倉庫)から、評価会社にそれぞれ数量データが提示され、大項

目毎の当初評価率を当てはめて担保評価額の推移をチェックすることとした。管理状況等の確

認のための立入は可能な規定になっていたが、平時はモニタリングのための訪問は実施してお

らず、データに異常値が認められた場合に、審査部門が必要に応じて訪問することとしていた。

尚、毎年の当座貸越契約更新時には、対象動産のサンプル調査、及び A 社子会社、外部倉庫

会社でのヒアリングの目的のため、担当部店により対象動産保管場所への訪問が実施されてい

る。

基本的に、本案件はボロイング・ベース型の当座貸越であったことから、提示されたデータに

基づく担保評価額が減額し、当座貸越枠内での貸出可能金額が減額した場合には、同貸出可

能金額を超過する(融資)金額について期限前弁済を依頼する仕組みとなっている。

(2) 提出資料

モニタリングにおける A 社からの提出資料は、対象基準月(3ヶ月毎)における保管場所毎の

在庫明細及び在庫集計表である。評価で使用した在庫調べ集計表(イメージ)を 3 章資料集に

掲載しているが、モニタリングでも同様の様式でデータの提供を受けている。

【留意点⑥】 顧客から提出を受けたデータは、以下のようなポイントについて精査する必要がある: � 販売先の内容に大きな変化はないか(新規販売先、シェアの変化、販売先の信用力の変化

等) � 仕入先の内容に大きな変化はないか(新規仕入先、販売先との重複、中間取引の有無等) � 在庫の内容に大きな変化はないか(新種在庫、滞留状況、種類別残高の変化、保管場所の

異同の有無) � 金融機関取引に大きな変化はないか(担保の二重設定等) � 在庫の明細と試算表の数字に矛盾はないか � 売上に対して在庫の数字に矛盾はないか

2.4.2 モニタリング実施による期中対応

前述のとおり、ボロイング・ベース型の当座貸越であり、貸出可能金額が減額となった場合、同

貸出可能金額を超過する金額について、期限前弁済を規定している。例年、当社では年末年始

の製品出荷に向け、主力製品につき5~6月ごろより仕入れ・仕込み・製造を始め目的動産の量

が増加するため、年末年始の出荷時期までに、(特段の事情がない限り)担保評価額減少⇒貸

出可能金額減額⇒超過金額の期限前弁済となる状況は、蓋然性が低い。又、出荷後に在庫金

額減少により担保評価額が減額し金額の期前弁済が必要となるが、納入先からの販売代として

回収可能となるため、弁済が可能となる建付けとしている。

期中対応としてのモニタリングは、具体的には以下の手順にて行われる。

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① 更新後3ヶ月毎の担保評価決定日(月末)の翌月10日までに、A 社が各担保動産保管場所

から取得した在庫データ(当初提出を合意した生データ)を評価会社へ送付する。

② 評価会社は、同データを整理の上、データ受領月の月末までにモニタリング評価書(再評

価金額記載)を銀行側へ提出する。

③ 銀行側は、同再評価金額を基に貸出可能金額を算定し、同金額を A 社へ2営業日後まで

に通知する。

2.4.3 コベナンツ抵触時の期中対応

担保目的物に関するコベナンツ及び担保動産の価値に重大な影響があった場合もしくは恐

れが生じた場合の A 社の通知義務以外、特に規定していない。通常のモニタリングサイクルによ

る再評価金額算出に異常値が認められた場合、その時点までに同原因についての通知が、A

社より銀行側へ行われていない場合、まず担当部店より A 社に対して原因につきヒアリングを行

った上で、A 社及び銀行間で対応策を協議した。

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2.5 換価・処分

2.5.1 実行に至った背景と対応

換価・処分には至っていないため、省略する。

2.5.2 処分ルート

処分ルートの検討は評価会社が担当していた。処分方法は一般的に案件ごとその都度検討・

作成される。

2.5.3 実際の換価処分額と評価額

換価・処分には至っていないため、省略する。

なお、取得している評価は、評価会社が具体的な処分シナリオを策定の上、算出しており、前提条

件に沿った処分が出来た場合にはその評価に近い処分価値が出るものと考えている。

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3. 資料集

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3.1 資料の一覧

表 2 資料一覧表

資料# 資料名 概要

1 集合動産譲渡担保権設定

契約書(抜粋)

評価及び期中管理における顧客の協力義

務、費用負担等

2 当座貸越契約書(抜粋) 貸出可能限度額、貸付実行の前提条件、元

本・利息の支払、費用負担等

3 顧客提供資料(抜粋) 在庫調べ集計表

3.2 契約関連資料

3.2.1 集合動産譲渡担保権設定契約書(抜粋)

株式会社 A 社(以下「甲」という。)、株式会社●●銀行(以下「乙」という。)及び A 社子会

社(以下「丙」という。)は、甲乙間で締結された平成●年●月●日付当座貸越契約書(以

下「本件貸付契約」という。)に基づく甲の乙に対する債務を担保するための、甲及び丙の

保有する動産を対象とする譲渡担保権の設定について、平成●年●月●●日(以下「本契

約締結日」という。)付で、以下のとおり集合動産譲渡担保権設定契約(以下「本契約」とい

う。)を締結する。

第1条 (定義)

1. 本契約において使用される各用語は、本契約において別途明確に定義される場合を

除き、本件貸付契約において定められた意味を有する。

2. 以下の各用語は、以下各号に記載された意味において用いられるものとする。

(1) 「担保目的動産」とは、甲が現在又は将来において所有し、かつ、(i)甲が本件自社保

管場所において直接占有する、又は(ii)本件保管委託業者が本件保管委託契約に基

づく保管として本件保管場所において直接占有する別紙 1 及び別紙 2記載の●●等

並びに丙が現在又は将来において所有し、かつ、丙が本件第三者担保保管場所に

おいて直接占有する別紙 3記載の●●等の動産をいう。

(2) 「被担保債務」とは、本件貸付契約に基づいて、甲が乙に対して現在及び将来負担す

る一切の債務をいう。

(3) 「本件委託保管場所」とは、別紙 1記載の保管場所をいう。

(4) 「本件自社保管場所」とは、別紙 2 記載の保管場所をいう。但し、本件第三者担保保

管場所を除く。

(5) 「本件第三者担保保管場所」とは、別紙 3 記載の保管場所(丙により譲渡担保権が設

定される担保目的動産が保管されている場所に限る。)をいう。

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(6) 「本件譲渡担保権」とは、第 2条に定める意味による。

(7) 「本件保管委託業者」とは、●●株式会社、●●株式会社、●●株式会社、株式会社

●●及び丙並びに当該各会社が本件保管委託契約に基づく保管業務の再々委託を

する場合における当該再々委託先を個別に又は総称していう。

(8) 「本件保管委託契約」とは、(i)①甲及び●●株式会社間の平成●年●月●日付契約

書(その後の修正又は変更を含む。)、②甲及び●●株式会社間の平成●年●月●

日付契約書(その後の修正又は変更を含む。)、③甲及び●●株式会社間の平成●

年●月●日付契約書(その後の修正又は変更を含む。)、④甲及び株式会社●●間

の平成●年●月●日付契約書(その後の修正又は変更を含む。)及び⑤甲及び丙間

の平成●年●月●日付契約書(その後の修正又は変更を含む。)並びに(ii)上記①な

いし⑤の各契約の相手方が当該各契約に基づく保管業務を第三者に再々委託する

場合における当該各再々委託に係る契約を個別に又は総称していう。

(9) 「本件保管場所」とは、第 2条に定める意味による。

第2条 (集合動産譲渡担保権の設定)

1. 甲は、乙に対し、被担保債務を担保するため、次条以下の定めに従い、本契約締結日

現在甲が所有し、かつ、本件委託保管場所及び本件自社保管場所(以下「本件保管

場所」と総称する。)において保管する担保目的動産を、また、(ii)丙は、乙に対し、被担

保債務を担保するため、次条以下の定めに従い、本契約締結日現在丙が所有し、か

つ、本件第三者担保保管場所において保管する担保目的動産を、それぞれ譲渡担保

として譲渡し、その所有権を移転した。

2. 甲、乙及び丙は、(i)本契約締結日以降に甲が所有権を取得することとなる担保目的動

産について、本件保管場所に搬入された時点で当然に担保目的動産の一部を構成す

るものであることを合意し、また、(ii)本契約締結日以降に丙が所有権を取得することと

なる担保目的動産について、本件第三者担保保管場所に搬入された時点で当然に担

保目的動産の一部を構成するものであることを合意し、甲及び丙は、乙に対し、被担保

債務を担保するため、次条以下の定めに従い、これらを譲渡担保として譲渡し、その所

有権を移転する(本条に基づき設定される譲渡担保権を、以下「本件譲渡担保権」とい

う。)。

第3条 (担保目的動産の引渡し等)

1. 甲は、本契約締結日において、本契約締結日現在の担保目的動産について、(i)本件

自社保管場所における担保目的動産(以下「自社保管物件」という。)については占有

改定の方法により、また、(ii)本件委託保管場所における担保目的動産(以下「委託保

管物件」といい、自社保管物件と併せて「借入人担保物件」と総称する。)については本

件保管委託業者を占有代理人とする指図による占有移転の方法により乙に対する引

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渡しを行う。甲は、(i)につき、本契約締結日より、当該担保目的動産を乙のために保管

及び占有をする。また、丙は、本契約締結日において、本契約締結日現在の担保目的

動産のうち本件第三者担保保管場所における担保目的動産(以下「第三者担保物件」

という。)について、占有改定の方法により乙に対する引渡しを行うものとし、本契約締

結日より、当該担保目的動産を乙のために保管及び占有をする。

2. 甲は、前条第 2 項に基づき担保目的動産を構成することとなる動産については、これら

の物件が本件保管場所に搬入された時点で、(i)本件自社保管場所への搬入の場合は、

当然に占有改定の方法により乙に対する引渡しを行い、以後、当該担保目的動産を乙

のために保管及び占有をするものとし、(ii)本件委託保管場所への搬入の場合は、当

然に本件保管委託業者を占有代理人とする指図による占有移転の方法により乙に対

する引渡しを行うものとする。また、丙は、前条第 2 項に基づき担保目的動産を構成す

ることとなる動産については、これらの物件が本件第三者担保保管場所に搬入された

時点で当然に占有改定の方法により乙に対する引渡しを行い、以後、当該担保目的動

産を乙のために保管及び占有をするものとする。

3. 甲及び丙は、乙が請求した場合は、直ちに、担保目的動産が乙の所有に属する事実及

び前二項の引渡しが完了した事実を明らかにするため、乙所定の様式による譲渡担保

権設定に係る公示書を、乙の同意する方法により本件保管場所又は担保目的動産上

に公示する。

4. 本条に基づく乙に対する引渡し又は公示のために要する費用は、甲及び丙の負担とす

る。

第4条 (動産譲渡登記)

1. 甲及び丙は、本契約に基づく担保目的動産の譲渡について、動産及び債権の譲渡の

対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(平成 10年法律第 104号。その後の改

正を含む。)第 7 条の登記手続を遅滞なく行い、登記完了後速やかに、その登記事項

証明書(同法第 11条 2項に定めるものをいう。)並びに甲及び丙の概要記録事項証明

書(同法第 13 条に定めるものをいう。)を乙に提出する。なお、登記の存続期間は本契

約締結日から 10年とし、その他の登記に必要な事項については、乙が別途指定すると

ころによる。

2. 甲及び丙は、乙との間で登記事項又は担保目的動産の内容について変更、追加、存

続期間延長等の合意がなされたとき(本件保管委託契約に基づく本件保管場所の追

加その他の変更を含むが、これらに限られない。)は、これに必要な登記等の一切の手

続を行う。

3. 本条に基づく登記手続に要する費用は、甲及び丙の負担とする。

第5条 (担保目的動産の管理及び処分等)

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1. 乙は、(i)担保目的動産のうち借入人担保物件の保管を甲に委託し、また、(ii)担保目的

動産のうち第三者担保物件の保管を丙に委託し、甲及び丙は、これを無償で受託する。

甲及び丙は、善良なる管理者としての注意義務をもって担保目的動産を保管するもの

とする。なお、甲は、本件保管委託契約に基づき、本件保管委託業者に対し、担保目

的動産の一部の保管を再委託するものとする。

2. 前項の規定にかかわらず、甲及び丙は、第 10条 1項に基づきその遂行を禁止される場

合を除き、担保目的動産を本契約締結時点における甲及び丙の通常業務の範囲内で、

第三者に相当の価格で売却し、又は適切な加工等をすることができるものとする。

3. 本件保管委託契約に基づく本件保管委託業者に対する報酬その他担保目的動産の

保管、保存、販売に要する費用は、甲が負担する。

4. 乙は、甲が本件保管委託契約に基づき本件保管委託業者に対して支払うべき報酬そ

の他の金銭債務について支払を遅滞している場合においては、自ら、本件保管委託業

者に対して当該債務を弁済することができるものとし、甲は、当該弁済を承諾するものと

する。この場合、甲は、乙に対し、当該弁済に係る費用を償還するものとし、当該費用

及び当該支出額に係る遅延損害金相当額の償還につき、乙は、本件貸付契約第 7 条

に従い、当該金銭債務に相当する金員を指定口座から引き落とすことができるものとし、

引き落とした当該金員をもって、甲の乙に対する上記費用償還の支払に充当するもの

とする。

第6条 (保管状況の報告及び確認)

1. 甲は、乙に対し、本契約締結日において、(i)自社保管物件については、甲にて当該

担保目的動産の明細(担保目的動産の種類、数量等を記載した書面をいう。以下本項

において同じ。)を作成した上で提出し、(ii)委託保管物件については、本件保管委託

契約に基づき本件保管委託業者に対して保管を委託している担保目的動産の明細を、

本件保管委託業者から取得した上で提出するものとする。また、(iii)丙は、乙に対し、本

契約締結日において、丙にて第三者担保物件の明細(上記(i)及び(ii)に記載する明細

と併せ、以下「本件在庫証明書」という。)を作成した上で提出するものとする。なお、本

項に基づき提出すべき本件在庫証明書は、本契約締結日の 10 営業日前を基準日と

するものとする。

2. 甲及び丙は、乙及びモニタリング会社に対し、本契約締結日以降 2、5、8 及び 11月

の各末日(但し、当該日が営業日でないときはその前営業日とする。)として前項に定め

るところに従い、借入人担保物件及び第三者担保物件について本件在庫証明書を作

成し、基準日の翌月 10 日までに本件在庫証明書を提出する。乙は同在庫証明書及

びモニタリング会社から入手する担保目的動産の評価を基に 3, 6, 9, 及び 12月の各末

日(但し、当該日が営業日でないときはその前営業日とする。以下「本件担保評価決定

日」という。)までに本件担保評価決定日における本件担保評価貸出可能額を算出し、

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2営業日後までに本件担保評価貸出可能額を書面にて甲に対し通知するものとする。

3. 甲及び丙は、乙の請求があったときは、乙に対し、随時、乙の指定する日を基準日と

する本件在庫証明書を直ちに提出するものとし、また、乙が本件保管場所又は本件第

三者担保保管場所に立ち入って担保目的動産の管理状況を確認(関連する帳簿又は

記録の閲覧・謄写を含む。)することにつき許諾し、また、本件保管委託業者をして許諾

せしめるものとする。

4. 甲及び丙は、甲が被担保債務のいずれかについて期限の利益を喪失した場合、当該

事由が生じた時点における本件在庫証明書を当該事由が生じた日から 10営業日以内

に乙に交付するものとする。

第7条 (保険契約の締結)

1. 甲は、自社保管物件について、本契約締結後速やかに、甲を被保険者とする、乙が同

意する内容(損害保険会社、保険金(保障)額等を含む。以下本条において同じ。)の

損害保険契約を締結し、かかる損害保険契約を乙の同意する内容により、本件譲渡担

保権が存続する期間にわたって有効に維持・継続するものとする。

2. 甲は、本件保管委託業者を被保険者とする損害保険契約が有効に締結・維持されて

いるかにつき、乙の指示に基づき、本件保管委託業者に対して確認するものとする。

3. 丙は、第三者担保物件について、本契約締結後速やかに、丙を被保険者とする、乙が

同意する内容(損害保険会社、保険金(保障)額等を含む。以下本条において同じ。)

の損害保険契約を締結し、かかる損害保険契約を乙の同意する内容により、本件譲渡

担保権が存続する期間にわたって有効に維持・継続するものとする。

第8条 (表明及び保証)

1. 甲及び丙は、乙に対し、本契約締結日において、それぞれ次の各号に記載された事項

が真実にかつ正確であることを表明し、保証する。なお、本条において「自社」とは、甲

による表明保証との関係では甲を指し、丙による表明保証との関係では丙を指すものと

する。

(1) 自社は、日本法に基づき適法に設立され、有効に存続する株式会社であること。

(2) 自社は、本契約の締結及び履行並びにそれに基づく取引を行う権利能力及び行為

能力を有し、これらについて法令、定款、その他の社内規則において必要とされる全

ての手続を完了していること。

(3) 自社による本契約の締結及び履行並びにそれに基づく取引は、(i)自社を拘束する

法令に違反することはなく、(ii)自社の定款その他の社内規則に違反することはなく、

また、(iii)自社を当事者とする、又は自社若しくはその財産を拘束する第三者との契

約に違反又は抵触するものではないこと。

(4) 本契約は、自社に対して適法で有効な拘束力を有し、その各条項に従い執行可能な

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ものであること。

(5) 自社に関して、本契約上の義務の履行に悪影響を及ぼす、又は及ぼす可能性のあ

るいかなる訴訟、仲裁、行政手続その他の紛争も開始されておらず、又は開始される

おそれのないこと。

(6) 本契約に基づく乙に対する担保権の設定は、自社の正常な取引であり、詐害の意図

その他不当な意図に基づくものではないこと。

(7) 自社は実質的にも形式的にも債務超過の状態にはなく、本契約に基づく取引を行う

ことによりかかる状態になることもなく、また、そのおそれもないこと。

(8) 本契約に基づいて自社が乙に対して提出した一切の書類又は資料等に、事実に反

し、又は乙に誤解を生じさせる記載が存在しないこと。

2. 甲及び丙は、乙に対し、本契約締結日時点において本件保管場所及び本件第三者担

保保管場所に既に存する担保目的動産については本契約締結日において、また、本

契約締結日以降本件保管場所及び本件第三者担保保管場所に搬入される担保目的

動産については当該担保目的動産が本件保管場所に搬入された時点において、当該

担保目的動産に関して次の各号に記載された事項が真実に相違ないことを表明し、保

証する。

(1) 担保目的動産は、全て自社の属する業界において通常期待される品質及び機能を

有しており、自社の知り得る限り、何らの物理的瑕疵も存在しないこと。

(2) 担保目的動産について、本契約に基づくもの以外に自社が一切の処分権限を有し

ており、これらにつき、第三者に対する譲渡、質権、譲渡担保その他の方法による担

保設定もしくは担保設定の予約、その他本契約に基づく乙の権利に損害を及ぼす又

はその虞のある処分がなされておらず、かつ、自社は、第三者のためにかかる処分を

行う義務を負っていないこと。自社は、本契約及び本件保管委託契約の締結及び履

行並びに当該各契約において企図されている取引の実行の結果としてそのような義

務を負うことにならないこと。

(3) 担保目的動産は、自社の通常の営業活動によって自社により取得、保有されるもの

であること。

(4) 担保目的動産に関して、仮差押、仮処分、差押、競売の申立、滞納処分による差押

等が開始されておらず、又は開始されるおそれが存しないこと。

(5) 担保目的動産に関して、判決、決定、命令又は裁判上もしくは裁判外の和解はなく、

また、いかなる訴訟、仲裁、行政手続その他の法的手続、紛争解決手続も開始され

ておらず、又は開始されるおそれのないこと。

3. 前二項に定める甲及び丙の表明及び保証のうち、自社の表明及び保証に関し誤りがあ

り又は不正確であったことが判明した場合には、甲及び丙は、直ちに乙に対しその旨

書面により通知するものとする。

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第9条 (甲及び丙の誓約事項)

1. 甲及び丙は、乙の事前の承諾なく、担保目的動産を通常の営業以外の方法で乙以外

の第三者に譲渡せず、担保に供さず、若しくは使用させず、又は通常の営業に必要な

限度を超えてそれぞれ本件保管場所及び本件第三者担保保管場所から搬出せず、若

しくは現状を変更しないこととする。

2. 甲及び丙は、担保目的動産については、第 5条 2項に基づき、本契約締結時点におけ

る甲及び丙の通常業務の範囲内で第三者に相当の価格で売却し又は適切な加工等

をすることができるものであり、それぞれ本件保管場所及び本件第三者担保保管場所

に一旦搬入された担保目的動産を合理的な理由無くそれぞれ本件保管場所及び本件

第三者担保保管場所以外の他の保管場所に移すこと、その他甲及び丙の通常業務の

範囲を逸脱するような不自然又は不合理な方法での担保目的動産と同種の動産の管

理等(それぞれ本件保管場所及び本件第三者担保保管場所その他の保管場所への

搬出及び搬入を含むがこれに限られない。)を行わないものとする。

3. 甲は、乙の指示又は要求があった場合には、毎月の売上等営業活動に関する報告書

とこれらの作成根拠につき、乙に対し直ちに開示又は報告しなければならない。

4. 甲は、本件保管委託契約に基づく本件保管委託業者への報酬の支払その他本件保管

委託契約に基づく義務を遵守するものとする。

5. 甲及び丙は、次の各号記載事由その他担保目的動産の担保価値に重大な影響を与え、

又は与えるおそれのある事由が生じたときは、直ちに、乙に通知しなければならず、ま

た、甲は本件保管委託業者をして乙に対しその旨通知せしめなければならない。

(1) 担保目的動産の全部又は一部につき仮差押、仮処分、差押、競売の申立、滞納処

分による差押等があったとき。

(2) 担保目的動産について変更、毀損、滅失その他の異動を生じ、若しくはその価値が

減少し、又はそれらのおそれが生じたとき。

6. 甲及び丙は、担保目的動産につき、第三者より仮差押、仮処分、差押、競売の申立、滞

納処分による差押等がなされたときは、担保目的動産が乙の所有物であることを主張し

て、乙の権利保護に必要な一切の手続(本件保管委託業者をしてかかる手続を行わせ

しめることを含む。)をとらなければならない。

7. 甲及び丙は、第 5項所定の事由の発生により担保目的動産に損害が発生した場合、乙

に対し、当該時点における本件在庫証明書を直ちに提出するものとする。

第10条 (担保目的動産の搬出の停止・保全等)

1. 被担保債務のいずれかについて期限の利益喪失事由(本件貸付契約第 8条 1項及び

2 項に定める事由をいう。以下同じ。)が発生した場合において、乙が請求した場合に

は、第 5条 2項の規定にかかわらず、甲及び丙は、通常業務の範囲内であるか否かを

問わず、担保目的動産を、自ら又は本件保管委託業者その他の第三者をして、第三者

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に譲渡せず、担保に供さず、若しくは使用させず、又はそれぞれ本件保管場所及び本

件第三者担保保管場所から搬出せず、若しくは現状を変更しないこととする。

2. 被担保債務のいずれかについて期限の利益喪失事由が発生した場合、乙は、任意に、

第 5条 1項に基づく担保目的動産の保管の委託を解約できるものとする。

3. 被担保債務のいずれかについて期限の利益喪失事由が発生した場合、甲及び丙は、

乙の請求に基づき、自ら又は本件保管委託業者をして、乙指定の場所において全ての

担保目的動産を乙又はその指図人に対して直ちに引き渡すこと、その他乙が担保目的

動産を保全する(本件保管場所及び本件第三者担保保管場所への立入り、担保目的

動産の搬出等を含むがこれらに限られない。)ために必要な一切の措置(本件保管委

託契約の解除及び同契約上の甲の地位及び権利義務の乙への移転を含むがこれに

限られない。)を実施するものとする。また、この場合、(i)本件自社保管場所について、

甲及び乙の間に、甲を貸主、乙を借主とする使用貸借契約が、また、(ii)本件第三者担

保保管場所について、丙及び乙の間に、丙を貸主、乙を借主とする使用貸借契約が何

らの通知等を要せず当然に成立するものとする。この使用貸借契約は、乙による担保

目的動産の保全に必要な措置をとることを可能にする目的で締結されるものであり、そ

の期間は、乙がこのような措置を完了した旨をそれぞれ甲又は丙に通知した日か、同

契約の成立日から 3 ヶ月が経過する日のうち、いずれか早く到来した日まで継続する。

4. 乙は、第 1項に基づく担保目的動産の搬出等の停止等、第 2項に基づく担保目的動産

に係る保管の委託の解約及び前項に基づく乙による担保目的動産の保全措置に関し

て、損害賠償義務その他一切の金銭支払義務を負わないものとする。

第11条 (本件譲渡担保権の実行)

1. 甲が被担保債務のいずれかについて期限の利益を喪失した場合、乙は、甲及び丙に

対する通知又は催告その他何らの手続を要しないで、それぞれ借入人担保物件及び

第三者担保物件を任意の方法で処分し、その取得金から諸費用を差し引いた残額を

法定の順序にかかわらず被担保債務の弁済に充当することができるものとし、甲及び

丙は、その処分の方法、時期及び価格若しくは弁済充当の方法につき、何ら異議を申

し立てないものとする。

2. 前項に基づく本件譲渡担保権の実行の結果、弁済充当後に取得金の残額を生じた場

合には、乙は、甲に対し、当該残額を清算金として支払うものとする。但し、清算金につ

いては利息又は遅延損害金は一切発生しないものとする。

3. 甲が被担保債務のいずれかについて期限の利益を喪失した場合において、乙が甲及

び丙に対して本件譲渡担保権を実行する旨の通知を行った場合には、当該通知発出

時点における個々の担保目的動産について、第 2条ないし第 4条に基づく本件譲渡担

保権及びそれに係る対抗要件具備の効果が及ぶものとし、甲及び丙並びに乙はこれを

承認する。なお、かかる通知発出後に本件保管場所及び本件第三者担保保管場所に

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搬入された動産についても、第 2条ないし第 4条に基づく本件譲渡担保権及びそれに

係る対抗要件具備の効果は及ぶものとし、甲及び丙並びに乙はこれを承認する。

第12条 (法的倒産手続開始の際の取扱い)

1. 甲について民事再生手続開始の決定がなされ、甲(その管財人を含む。)と乙との間で

担保目的動産の受戻しについて協議し、又は合意する場合、担保目的動産に係る担

保権の評価については、担保目的動産につき、当該協議又は合意する日の前日にお

ける相場として本件モニタリング会社が提供する価額を基準とするものとする。また、甲

が、民事再生法(平成 11年法律第 225号。その後の改正を含む。)第 148条に基づい

て裁判所に対して担保目的動産に係る担保権消滅許可の申立を行うときは、甲は、当

該申立日の前日における相場として本件モニタリング会社が提供する価額を担保目的

動産の価額として申立書に記載するものとする。

2. 甲について破産手続開始の決定がなされ、甲の破産管財人と乙との間で担保目的動

産の受戻しについて協議し、又は合意する場合、担保目的動産に係る担保権の評価

については、担保目的動産につき、当該協議又は合意する日の前日における相場とし

て本件モニタリング会社が提供する価額を基準とするものとする。また、甲が、破産管財

人をして、破産法(平成 16年法律第 75号。その後の改正を含む。)第 186条に基づい

て裁判所に対して担保目的動産に係る担保権消滅許可の申立を行うときは、担保目的

動産の売得金のうち、当該申立日の前日の相場として本件モニタリング会社が提供す

る価額以上が乙に対して裁判所から配当又は交付されるようにしなければならない。

3. 甲について会社更生手続開始の決定がなされ、甲の更生管財人が財産評定を行う場

合、当該更生管財人は、担保目的動産の譲渡担保に基づいて乙が有する更生担保権

の額の評価については、開始決定時において担保目的動産を購入するとした場合の

想定仕入価格(当該開始決定がなされた日における相場として本件モニタリング会社

が提供する価額をその基準とする。)をその時価として評価し、かつ、更生担保権の調

査に係る認否書においても当該時価の全額を乙の更生担保権として認めるものとする。

また、甲が、更生管財人をして、会社更生法(平成 14 年法律第 154 号。その後の改正

を含む。)第104条に基づいて裁判所に対して担保目的動産に係る担保権消滅許可の

申立を行うときは、当該更生管財人は、当該申立日の前日における相場として本件モ

ニタリング会社が提供する価額を担保目的動産の価額として申立書に記載するものと

する。

4. 本条の規定は、丙について民事再生手続、破産手続又は会社更生手続の各手続開始

の決定がなされた場合に準用する。

第13条 (物上代位等)

甲及び丙は、担保目的動産について、本件保管委託業者その他の第三者に対して、損

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害賠償請求権、保険金請求権、補償金、清算金等の請求権(以下「金銭等」という。)を

取得した場合、金銭等に乙による物上代位の効果が及ぶことを了解し、甲及び丙は乙

の事前の承諾なくこれらの金銭等につき交渉、受領等を行わないものとする。

第14条 (補償)

甲及び丙は、第 8条 1項及び同条第 2項に定める甲による表明及び保証に関し誤りが

あり又は不正確であったことが判明した場合又は甲及び丙が本契約に違反した場合、

それぞれ、甲及び丙は、これにより乙に生じた損失、経費その他一切の損害(損害又は

損失を被らないようにするために支出した費用及び損害又は損失を回復するために支

出した費用(弁護士費用を含む。)を含むがこれらに限られない。)を負担するものとす

る。

第15条 (追加書類の提出等)

甲及び丙は、乙が本契約及び本件貸付契約の目的を達成し、それに基づく取引を実行

するために合理的に必要又は適切であり、かつ乙が要求する場合には、さらに追加の

書類等を調印し、又は乙に提出しなければならない。

第16条 (免責等)

1. 本件譲渡担保権は、乙が被担保債務に関して有する他の担保に追加して設定されるも

ので、かかる他の担保の効力が、本件譲渡担保権の設定、変更、解除及びその他の異

動によって影響を受けることはない。

2. 甲及び丙は、乙がその都合によって他の担保を変更、解除しても、異議を述べず、免責

を主張しないものとする。

3. 甲及び丙は、甲及び丙又は第三者が、被担保債務の担保として、本件譲渡担保権以

外に複数の担保を乙に対して提供するが、いずれの担保から先に実行して弁済を受け

るか、その全部又は一部を実行するか、どの部分を先に実行するか等、担保権の実行

の方法及びその時期等については、乙の裁量によるものとし、甲及び丙はかかる判断

について何らの異議を述べない。

第17条 (遅延損害金・費用)

1. 甲及び丙が本契約上の支払義務をその支払期日に履行しなかった場合、甲及び丙は、

当該支払期日の翌日(同日を含む。)から完済に至る日(同日を含む。)までの期間に

つき、当該債務不履行に係る金額に対し、年率 14%(1年を 365日とした日割計算とす

る。)による遅延損害金を支払わなければならない。この場合、甲及び丙は、乙より請求

を受け次第、直ちにこれを支払う。

2. 本契約中における計算につき、別途明示的な規定が存在しないときは、両端及び 1 年

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を 365日とした日割計算とし、除算は最後に行い、1円未満は切り捨てる方法にて算出

される。

3. 本契約において別途規定されたものを除くほか、本契約の締結及び履行に関連して発

生する諸経費(第 4 条に基づく本件譲渡担保権の対抗要件具備に関する費用を含

む。)及び公租公課については、全て甲及び丙の各負担とする。

第18条 (契約上の権利・地位の譲渡禁止)

甲及び丙は、相手方当事者が事前に承諾しない限り、本契約上の地位又は権利義務を

第三者に譲渡することができない。

第19条 (通知等)

本契約に基づいて行われる相手方当事者に対する通知、請求、指示又は承諾(以下

「通知等」という。)は、書面により行われるものとする。なお、乙の甲及び丙に対する通

知等は、甲及び丙が乙に対して届け出た本店所在地に対して発送されることにより、通

常到達すべき時点に到達したものとみなす。

第20条 (本契約の変更)

本契約の条項は、甲及び丙並びに乙の書面による合意によってのみ修正又は変更さ

れる。

第21条 (本契約の可分性)

裁判所の判決等により、本契約の条項の一部が無効若しくは執行不可能とされた場合、

又は本契約の条項が一定の者若しくは一定の事情に適用される場合には無効若しくは

執行不可能とされる場合、当該条項を有効とするために必要な最小限度の修正が本契

約に加えられるものとする。この場合、かかる条項を除く本契約の他の条項は何らの影

響を受けるものではなく、また、上記の者以外の者又は上記の事情以外の事情に適用さ

れる限り本契約の条項は何らの影響を受けるものではなく、それぞれ従前どおりその効

力を保持するものとする。

第22条 (準拠法及び合意管轄)

本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関して発生する紛争については、●●地方裁

判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第23条 (協議事項)

本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に関し疑義が発生した場合、甲、乙及び

丙は誠実に協議の上これを解決するものとする。

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上記を証するため、本契約書 2 通を作成し、甲及び乙が記名捺印し、各 1 通ずつを保管す

る。

平成●年●月●日

株式会社 A 社

代表取締役

株式会社●●銀行

代表取締役

株式会社 A 社子会社

代表取締役

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別紙 1

担保目的動産(借入人担保物件:自社保管)

【動産通番】 000001

【動産の種類】 惣菜の原材料、半製品、製品

【保管場所の所在地】

【有益事項】 保管場所の名称:本社工場

内訳:上記保管場所内にある惣菜の原材料、半製品、製

品等の動産全部

【動産通番】 000002

【動産の種類】 惣菜の原材料、半製品、製品

【保管場所の所在地】

【有益事項】 保管場所の名称:●●工場

内訳:上記保管場所内にある惣菜の原材料、半製品、製

品等の動産全部

以上

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3.2.2 当座貸越契約書(抜粋)

平成●年●月●日

甲(債務者)

住 所

氏 名 株式会社 A 社 代表取締役

乙(債権者)

住 所

氏 名

株式会社 ●●銀行

代表取締役

株式会社 A 社(以下「甲」という。)と株式会社●●銀行(以下「乙」という。)とは、以下の内

容の当座貸越契約書(以下「本契約」という。)を、平成●年●月●日(以下「本契約締結日」と

いう。)付で締結する。本契約合意の証として、本契約書を2通作成し、甲乙各々1通を保有す

る。

【契約要項】

本件貸越極度額(以

下 に 定義す る 。 ) 金 円

本件取引期限(以下

に 定 義 す る 。 ) 平成●年●月●日 (期限の延長につき第 9条 2項参照)

第 1条(貸付の実行の申込み)

1. 甲は、本契約締結日(同日を含む。)から契約要項記載の期限(同日を含む。以下「本

件取引期限」という。)までの期間(以下「本件取引期間」という。)において、本条に定

める手続に従い、①契約要項記載の金額(以下「本件貸越極度額」という。)から本契

約に基づき実行される貸付(以下「本件貸付」といい、適宜文脈により、本契約に基づ

き実行される個別の貸付又は本契約に基づき実行される全ての貸付を総称したものを

いう。)のうち既に実行済みの本件貸付に係る未弁済元本金額(但し、当該申込みに係

る本件貸付の実行日(以下「本件貸付実行日」という。)において、当該実行される本件

貸付に係る金員をもって弁済される未弁済元本金額を除く。)を控除した額(以下「本

件未使用貸越枠」という。)を超えない範囲で、かつ、②第2条に基づき算出される最新

の本件担保評価貸出可能額(以下に定義する。)の範囲で、本件貸付の実行を申し込

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むことができるものとする。

2. 甲は、本件貸付の実行を希望する場合、本件貸付実行日として希望する日の3営業日

前の午後 3 時までに、甲が予め乙に対して届け出た署名又は印影により作成した乙所

定の当座貸越請求書(以下「本件請求書」という。)を乙に提出する。但し、乙が別途承

諾する場合、甲は、当該期限が経過した後においても本件請求書を乙に提出すること

ができる。

3. 甲は、前二項に基づき本件貸付の実行の申込みを行う場合、本件請求書記載の実行

金額(以下「本件貸付実行金額」という。)について、500万円以上 100万円単位にて指

定するものとする。

4. 甲は、第 1 項及び第 2 項に基づき本件貸付の実行の申込みを行う場合、本件請求書

記載の弁済期(以下「本弁済期」という。)について、本件貸付実行日から[ 3 ]ヶ月後の

応当日以前の営業日を指定するものとする。

第 2条(担保物及び担保評価貸出可能額)

1. 甲は、本件取引期間において、本件譲渡担保権設定契約(以下に定義する。)に基づ

き乙より保管の委託を受けた担保目的動産(以下に定義する。)の一部を(i)自ら保管し、

かつ、残りの一部について、(ii)①甲及び●●株式会社間の平成●年●月●日付寄

託契約書(その後の修正又は変更を含む。)、②甲及び●●株式会社間の平成●年

●月●日付寄託契約書(その後の修正又は変更を含む。)、③甲及び●●株式会社

間の平成●年●月●日付寄託契約書(その後の修正又は変更を含む。)、④甲及び

●●株式会社間の平成●年●月●日付寄託契約書(その後の修正又は変更を含

む。)並びに⑤甲及び●●株式会社(①ないし⑤の契約相手方(当該契約相手方が当

該各契約に基づく保管業務を第三者に再々委託する場合は当該第三者を含む。)を、

以下「本件保管委託業者」と総称する。)間の平成●年●月●日付寄託契約書(その

後の修正又は変更を含む。)(これら①ないし⑤の契約(上記①ないし⑤の当該各契約

の相手方が当該各契約に基づく保管業務を第三者に再々委託する場合は当該各

再々委託に係る契約を含む。)を、以下「本件保管委託契約」と総称する。)に基づき、

本件保管委託業者に対して保管の再委託又は再々委託をするものとする。また、甲は、

本契約に基づく甲の乙に対する債務の担保として、甲及び乙間の本契約締結日付集

合動産譲渡担保権設定契約(以下「本件譲渡担保権設定契約」という。)に基づき、乙

に対して、同契約及びその別紙にて特定される担保動産(本契約に基づく甲の乙に対

する債務の担保として A 社子会社により同契約に基づき設定される譲渡担保権の対

象たる担保動産を含み、以下「担保目的動産」という。)のうち A 社子会社により譲渡担

保権が設定されるものを除く担保動産に譲渡担保権を設定するものとする。

2. 乙は、本件譲渡担保権設定契約第 6 条 1 項に基づき受領する担保目的動産の明細

(以下「本件在庫証明書」という。)に基づき、本契約締結日に、担保目的動産に係る

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本契約締結日の前日時点(但し、当該時点における以下に定める方法による相場の

調査が合理的に困難である場合には、当該調査が合理的に可能な直近の時点とす

る。)の相場を●●株式会社(以下「本件モニタリング会社」という。)から入手することに

より調査し、乙の定める方法により本契約締結日における担保目的動産の価値を算出

するものとし、当該算出した結果を基に、担保目的動産を引当てとする本件貸付の貸

出可能最大額(以下「本件担保評価貸出可能額」という。)を合理的に算出するものと

する。なお、甲は、上記担保目的動産の相場の調査その他のモニタリング等のため、

乙が本件モニタリング会社に対し、担保目的動産に係るモニタリング依頼書(以下「本

件モニタリング依頼書」という。)を提出し、本件取引期限が到来するまでの間、本件モ

ニタリング会社から担保目的動産についてモニタリング等を受けることを委託することを

確認及び承諾する。

3. 乙は、本件譲渡担保権設定契約第6条2項に基づき受領する本件在庫証明書に基づ

き、本契約締結日以降(3、6、9 及び 12)月の各末日(但し、当該日が営業日でないと

きはその前営業日とする。以下「本件担保評価決定日」という。)までに、前項記載の方

法と同様の方法(但し、前項の「本契約締結日」を「本件担保評価決定日」と読み替え

るものとする。)により、本件担保評価決定日における本件担保評価貸出可能額を算

出するものとする。

4. 乙は、前二項以外の規定(本件関連契約(第 3 条に定義する。)の規定を含む。)に基

づき甲より本件在庫証明書を受領した場合には、当該本件在庫証明書を受領した日

(以下「本件在庫証明書受領日」という。)に、第 2 項記載の方法と同様の方法(但し、

前項の「本契約締結日」を「本件在庫証明書受領日」と読み替えるものとする。)により、

本件在庫証明書受領日における本件担保評価貸出可能額を算出するものとする。乙

は、前二項に基づき本件担保評価貸出可能額を算出した場合には、第 2 項に基づく

場合には本契約締結日の、第 3 項に基づく場合には本件担保評価決定日の、また、

第 4 項に基づく場合には本件在庫証明書受領日(本契約締結日及び本件担保評価

決定日と併せ、以下「本件担保評価基準日」と総称する。)の、それぞれ 2 営業日後ま

でに、本件担保評価基準日における本件担保評価貸出可能額を、それぞれ書面にて

甲に対し通知するものとする。

第 3条(貸付実行の前提条件)

本件貸付の実行は、以下の各号全てが各本件貸付の本件貸付実行日において満た

されていることを条件とする。

① 本件貸付実行金額が、本件未使用貸越枠を超えないこと。

② 本件貸付実行金額が、前条に基づき算出される直近の本件担保評価貸出可能

額を超えないこと。

③ 本件譲渡担保権設定契約及び本件保管委託契約が締結され、有効に存続して

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いること。

④ 甲が、本契約、本件譲渡担保権設定契約及び本件保管委託契約(以下「本件関

連契約」と総称する。)の各条項に違反しておらず、また、当該本件貸付実行日以

降においてかかる違反が生じるおそれのないこと。

⑤ 乙が、甲より、本件譲渡担保権設定契約第 4 条に基づき、担保目的動産の譲渡

担保権設定に係る登記事項証明書を受領済みであること。

第 4条(貸付の実行)

乙は、甲による第 1条に基づく本件貸付の実行の申込みに応じる場合には、本件貸付

実行日において前条各号記載の条件が全て満たされている場合にのみ、当該本件貸

付実行日に、当該本件貸付に係る本件貸付実行金額を、甲が乙に対して別途差し入

れた銀行取引約定書(以下「銀取約定」という。)において指定した口座(以下「指定口

座」という。)に入金することにより、本件貸付を実行するものとする。但し、乙は、前条各

号記載の条件が全て満たされていない場合においても、その裁量により、本件貸付を

実行することができるものとする。

第 5条(元本の支払)

1. 甲は、本弁済期に、当該本件貸付に係る本件貸付実行金額を一括弁済する。

2. 甲は、本弁済期以前に、任意に、本件貸付実行金額の全部又は一部を弁済すること

ができる(当該弁済を、以下「期限前弁済」といい、当該弁済を行う日を、以下「期限前

弁済日」という。)。

3. 甲は、第 2 条 4 項に基づき本件担保評価貸出可能額が甲に対し通知された場合で、

本件担保評価基準日における本件貸付の未弁済元本総額が当該本件担保評価貸出

可能額を超過している場合において、かつ、乙が当該通知とともに甲に対し当該超過

部分に係る元本金額を期限前弁済すべき旨を請求する場合(但し、第 2条 2項又は 3

項に基づき本件担保評価貸出可能額が算出された場合においては当該請求は不要と

する。)には、本件担保評価基準日の 5 営業日後までに、当該超過部分に係る元本金

額を期限前弁済しなければならない。

4. 甲が、(i)前二項に基づき期限前弁済を行う場合、(ii)第8条に基づき本契約に基づく債

務につき期限の利益を喪失した際に全ての本件貸付に係る未弁済元本金額を弁済す

る場合、及び(iii)第 8条に基づく本件貸越極度額の減額に基づき期限前弁済を行う場

合においては、乙は、甲に対し、第 6条 2項に基づき前払いをした利息のうち、各弁済

日以降に係る利息を返還するものとし、甲は、上記(i)ないし(iii)の弁済に係る弁済額と

当該利息の返還額とを相殺及び精算することにより、期限前弁済又は弁済を行うことが

できるものとする。

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第 6条(利息の支払)

1. 本件貸付の元本に対する利息は、以下の利率(以下「適用利率」という。)に基づき乙

所定の方法により計算する。

<適用利率>

乙が本件貸付実行日に公表している短期最優遇貸出金利(短期プライムレート)+

0.75%

2. 甲は、本件貸付実行日に、本件貸付実行日(同日を含む。)から本弁済期(同日を含

む。)までの期間について、前項に基づき定める適用利率により、年 365日の日割計算

で算出した利息を前払いする。

第 7条(支払方法・元利金の自動引落)

1. 甲が支払うべき本件貸付に係る元本、利息、損害金その他本契約及び本件譲渡担保

権設定契約に基づき支払うべき一切の金員については、乙は、指定口座から、本弁済

期、期限前弁済日、本件貸付実行日その他本契約に基づき支払うべき金員に係る弁

済期(以下「返済日」と総称する。)に、当該支払うべき金額を引き落とすことができるも

のとし、当該金員をもって、甲の乙に対する支払に充当するものとする。

2. 甲は、前項の取り扱いについては、当座勘定規定又は普通預金規定にかかわらず、

小切手又は払戻請求書の提出を省略するものとする。

3. 乙は、返済日において、指定口座の残高が当該支払うべき金額に満たないときは、乙

が適当と認める順序、方法により、指定口座から資金を引き落として一部返済に充当す

ることができるものとする。なお、乙は、返済日において指定口座の残高が不足してい

たことにより返済日に支払うべき金額の全部又は一部を遅滞した場合には、返済日以

降いつでも本項第一文及び前二項と同様に処理することができる。

第 8条(期限の利益喪失・新規停止・減額)

1. 甲について、銀取約定第 5条 1項各号の事由が一つでも生じた場合、甲は、乙からの

特段の通知なく当然に本契約に基づく一切の債務について期限の利益を失うものとす

る。担保目的動産に対し滞納処分による差押の通知を受けたときも同様とする。

2. 甲について、銀取約定第 5条 2項各号の事由が一つでも生じた場合、又は、本件保管

委託契約上の債務について債務不履行が生じた場合、乙は、(i)甲に対して通知する

ことにより、本契約に基づく甲の一切の債務について期限の利益を失わせ、(ii)その後

の新規の本件貸付の実行を停止し、又は(iii)本件貸越極度額を減額することができ

る。

3. 以下の事由が一つでも生じた場合には、乙はいつでも新規の本件貸付の実行を停止

することができる。

① 甲の合併、事業譲渡、その他の事情により甲の業務内容又は資本構成に大幅な

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変更が生じるような場合。

② 事変又は災害等により、乙の責めに帰すべき事由が無く、乙が実際に本契約に基

づく本件貸付の実行が不可能となった場合。

③ 金融市場の混乱により、銀行が一般に東京インターバンク市場等において、円の

貸借取引ができない状況となった場合。

④ 法令等の変更により、本契約に基づく本件貸付の実行ができない場合。

⑤ 本件在庫証明書の記載に虚偽があった場合。

⑥ 本件保管委託業者について破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他適

用ある倒産手続開始の申立が提起された場合その他担保目的動産の保管に悪

影響を及ぼす事態が生じた場合。

4. 甲は、第 1 項及び第 2 項に基づき甲が本契約に基づく債務について期限の利益を失

った場合には、直ちに当該本契約に基づく全ての債務を支払うものとする。

5. 乙が、第2項及び第3項に基づき新規の本件貸付の実行を停止した場合においては、

甲は、第 1条に基づく本件貸付の実行の申込みをすることができず、かつ、乙は、当該

申込みに応じないものとする。また、かかる場合、既に実行済みの本件貸付について

は、当該貸付に係る本弁済期その他の条件につき特に乙の指定がない限り従来通り

の条件により返済するものとする。

6. 第 2 項に基づき本件貸越極度額が減額された場合において、当該時点における本件

貸付の未弁済元本総額が減額後の本件貸越極度額を超過している場合には、直ちに

当該超過部分に係る元本金額を期限前弁済しなければならないものとする。

7. 甲と乙の合意により本契約が終了する場合には、既に実行済みの本件貸付について

は、特に別段の合意の無い限り、従来通りの条件により返済するものとする。

第 9条(期間)

1. 本契約は、本契約に別途定める場合を除き、本件取引期間中において有効に存続す

る。

2. 甲又は乙が、本件取引期限の 1 ヶ月前までに、本契約を継続しない旨の通知をした場

合を除き、本件取引期限は 1 年間延長されるものとし、以後同様とする。但し、本件取

引期限の延長に当たっては、甲は、本件モニタリング会社に対し、本件モニタリング依

頼書の規定に基づき、期中発生する年間モニタリング費用として当該各依頼書に定め

る金額(40 万円)を一括して前払いするものとし、当該支払に係る領収書の写しを乙に

提出することを条件とする。

3. 本件取引期間は、甲が本契約上の債務について期限の利益を喪失した場合、当然に

終了するものとする。

4. 本条の規定に基づく本件取引期間の終了にかかわらず、甲が本契約に基づき乙に対

して負う全ての債務の履行が完了するまでの間は、かかる債務の履行に関し、本契約

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は有効に存続し、甲及び乙を拘束するものとする。

第 10条(報告)

甲は、銀取約定第 14条に定める場合のほか、第 8条 3項①に定める事由が発生した

場合は、乙に対し、直ちにその旨を報告する。

第 11条(一般規定)

1. (本契約の変更)

本契約は、甲及び乙が書面により合意する場合を除き、これを変更できないものとす

る。

2. (譲渡)

甲及び乙は、相手方当事者が書面により事前に同意しない限り、本契約上の地位並

びにこれに基づく権利及び義務の全部又は一部を第三者に譲渡又は移転しないもの

とする。

3. (銀取約定の適用)

甲及び乙は、本契約に、銀取約定の各条項が適用され、本契約の内容と銀取約定の

内容とが矛盾抵触する場合は、本契約の内容が優先することを確認する。

4. (通知等)

本契約に基づいて行われる相手方当事者に対する通知、請求、指示又は承諾(以下

「通知等」という。)は、書面により行われるものとする。なお、乙の甲に対する通知等は、

甲が乙に対して届け出た本店所在地に対して発送されることにより、通常到達すべき

時点に到達したものとみなす。

5. (準拠法)

本契約の準拠法は、日本法とする。

6. (合意管轄)

本契約に関連する一切の紛争については、●●地方裁判所を第一審の専属的合意

管轄裁判所とする。

7. (誠実協議)

本契約に定めのない事項その他本契約の解釈に関し疑義が生じた場合には、甲及び

乙は、誠実に協議を行い、その対応を決定するものとする。

8. (費用負担)

甲は、本契約に関して乙が本件モニタリング会社に対して委託する担保目的動産に係

るモニタリング業務に関する費用を負担するものとし、各業務に関わる費用を、本件モ

ニタリング依頼書の規定に基づき本件モニタリング会社に対して支払うものとする。

以上

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3.3 評価・モニタリング関連資料

3.3.1 顧客提供資料(抜粋)2

単位:円

区分 分類 仕入先 メーカー名 品 名 品名 2 入数

(荷姿) 単位

(荷姿) ボール

(荷姿) 単位

(荷姿) 数量

×

総数 単価 単価 訂正

金額総数 ×単価

合計 568,305,412

製品 1kg A 食品 森早生栗 8 個 1 個 34 272 624 169,728

製品 2kg A 食品 赤森早生栗 1 個 1 個 12 12 640 7,680

製品 2kg A 食品 青森早生栗 1 個 1 個 121 121 608 73,568

原料 佃煮原料 B 商事 あさり昆布 1 16 2 32 800 25,600

原料 佃煮原料 C 商店 角煮 15 1 4 60 550 33,000

原料 佃煮原料 D 食品 松味楽 2 8 5 80 900 72,000

原料 佃煮原料 D 食品 味噌 2 5 2 20 765 15,300

原料 佃煮原料 E 商店 生あみ 2 8 4 64 550 35,200

原料 佃煮原料 F 食品 甘口昆布 12 1 6 72 520 37,440

原料 佃煮原料 F 食品 しそ昆布 12 1 4 48 520 24,960

原料 佃煮原料 G 商事 しらすくぎ煮 2 6 5 60 1,100 66,000

原料 佃煮原料 H 食品 きゃらぶき 2 8 3 48 830 39,840

原料 佃煮原料 I 食品 味楽煮 2 8 4 64 760 48,640

原料 佃煮原料 I 食品 ちりめん山椒 1 15 5 75 1,000 75,000

原料 佃煮原料 J 食品 いわし甘露煮 (東宝) 2 10 3 60 820 49,200

原料 佃煮原料 K 食品 若さぎ 2 10 8 160 850 136,000

原料 佃煮原料 K 食品 あさり 1 16 28 448 768 344,064

原料 1F L 商事 小女子 1 5 13 65 919.62 59,775

原料 1F L 商事 小女子 1 12 9 108 919.62 99,319

原料 1F L 商事 ちりめん 5kg 1 5 30 150 919.62 137,943

原料 1F L 商事 しらす 5kg 1 5 21 105 919.62 96,560

原料 1F L 商事 小女子 10kg 1 10 4 40 919.62 36,785

原料 1F M 水産 焼き海老 9kg 9 1 2 18 970 17,460

原料 2F N 水産 さつまいも 1 5 19 95 1,000 95,000

原料 2F O 商店 かぼちゃ 1 10 50 500 160 80,000

原料 冷凍 O 商店 a 食品 里芋 1 10 1 10 177 1,770

原料 冷凍 P 商事 b 食品 ちくわ 1 50 44 2200 38 83,600

原料 冷凍 O 商店 里芋(六角) 1 10 2 20 265 5,300

原料 冷凍 O 商店 菜の花 1 10 6 60 232 13,920

原料 冷凍 O 商店 スライスさつま揚 1 1 1 1 5,800 5,800

原料 冷凍 P 水産 いかあられ 1 10 9 90 1,800 162,000

原料 冷凍 P 水産 しょうが千切 1 1 1 1 6,600 6,600

原料 ドライ Q 貿易 乾燥ぜんまい 10kg×1 10 kg 1 2 20 2,400 48,000

原料 ドライ Q 貿易 いもがら 15kg×5 15 kg 1 3 45 1,250 56,250

原料 ドライ R 商店 長ねぎ 1 5 8 40 1,600 64,000

原料 ドライ S 商事 切人参 1 10 15 150 160 24,000

原料 ドライ S 商事 切かぼちゃ 1 20 17 340 300 102,000

原料 ドライ T 食品 油揚げ 1 10 5 50 450 22,500

原料 ドライ T 食品 切さつま芋 1 15 3 45 300 13,500

原料 ドライ U 産業 切干大根 1 10 4 40 360 14,400

原料 ドライ V 商事 くるみ 1 1 25 25 7,650 191,250

原料 ドライ V 商事 切干大根 1 20 2 40 320 12,800

原料 ドライ V 商事 細切牛蒡 1 10 30 300 210 63,000

原料 調味料 V 商事 薄口醤油 20L 1 1 5 5 3,270 16,350

原料 調味料 V 商事 濃口醤油 20L 1 1 3 3 3,270 9,810

原料 調味料 V 商事 水飴 25kg 1 1 18 18 2,730 49,140

原料 調味料 V 商事 昆布エキス 1 10 1 10 1,600 16,000

原料 調味料 V 商事 c 食品 ボビーシード 500g 20 1 1 20 230 4,600

原料 調味料 V 商事 一味唐辛子 300g 30 1 1 30 270 8,100

原料 調味料 V 商事 唐辛子輪切 20g×30 30 1 2 60 90 5,400

原料 助剤 W 産業 焼みょうばん 1 1 1 1 11,500 11,500

原料 助剤 W 産業 中性石鹸 4kg×4 1 1 3 3 2,000 6,000

原料 助剤 W 産業 オイルクリーナー 5kg×2 1 10 5 50 3,800 190,000

原料 ドライ W 産業 竹の子 1 kg 1 4 4 4,800 19,200

原料 ドライ X 商店 筍水煮 2kg×8 2 kg 8 2 32 350 11,200

原料 ドライ X 商店 蓮根水煮乱切 1kg×12 1 kg 12 5 60 370 22,200

原料 ドライ X 商店 蓮根水煮 1/2 1 kg 12 5 60 370 22,200

2 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

47

単位:円

区分 分類 仕入先 メーカー名 品 名 品名 2 入数

(荷姿) 単位

(荷姿) ボール

(荷姿) 単位

(荷姿) 数量

×

総数 単価 単価 訂正

金額総数 ×単価

原料 ドライ X 商店 椎茸原木スライス 1kg×10 10 kg 1 2 20 1,700 34,000

原料 チルド X 商店 人参 1 kg 10 6 60 160 9,600

原料 チルド X 商店 フキ水煮缶 1 1 4 4 1,950 7,800

原料 チルド X 商店 細ごぼう 10 1 3 30 240 7,200

原料 チルド X 商店 筍 1 1 27 27 1,527 41,229

原料 調味料 Y 商事 d 化学 XF 25 kg 1 3 75 370 27,750

原料 調味料 Y 商事 e 食品 料理酒 1 ℓ 1 7 7 6,720 47,040

原料 調味料 Y 商事 f 食品 薄口醤油 20L 1 ℓ 1 本 4 4 3,272 13,088

原料 調味料 Y 商事 f 食品 濃口醤油 20L 1 ℓ 1 本 7 7 3,272 22,904

原料 調味料 Y 商事 g食品 KP 20L 1 ℓ 1 本 12 12 14,000 168,000

原料 調味料 Z 食品 防腐用調味酢 1 ℓ 1 1 1 4,200 4,200

原料 調味料 Z 食品 酢 20L 1 ℓ 1 6 6 1,850 11,100

原料 調味料 Z 食品 白調味料 20L 1 ℓ 1 10 10 3,000 30,000

原料 調味料 Z 食品 h 化学 サラダオイル 16.5kg 1 kg 1 缶 3 3 3,500 10,500

原料 調味料 Z 食品 i 食品 胡麻油 16.5kg 1 kg 1 缶 1 1 8,500 8,500

原料 調味料 AA 食品 i 食品 本味醂 20L 1 kg 1 10 10 1,850 18,500

原料 調味料 AA 食品 j化学 玉造 1 kg 1 10 10 3,600 36,000

原料 ドライ AB 商事 j化学 胡麻 1kg×12 1 kg 12 10 120 360 43,200

原料 ドライ AB 商事 j化学 乾燥ひじき 10kg×1 10 kg 1 3 30 1,390 41,700

原料 ドライ AB 商事 かつお節 1kg×5 5 kg 1 4 20 1,450 29,000

原料 ドライ AB 商事 乾燥椎茸 1kg×10 10 kg 1 1 10 1,300 13,000

原料 チルド AB 商事 k 食品 豆腐 100×6 1 kg 1 2 2 12,000 24,000

原料 助剤 AC 産業 食品シート 1 1 2 2 5.8 12

原料 助剤 AC 産業 粉末寒天 1 1 1 1 3,700 3,700

原料 調味料 AC 産業 l 澱粉 オリゴトース 25kg×10 25 kg 1 5 125 145 18,125

原料 調味料 AC 産業 m 化成 ソルビトール 22kg×10 22 kg 1 5 110 150 16,500

原料 調味料 AC 産業 水飴 25kg 1 kg 1 缶 4 4 2,730 10,920

原料 調味料 AC 産業 麦芽水飴 25kg 1 kg 1 缶 6 6 4,000 24,000

原料 調味料 AC 産業 三温糖 1kg 1 kg 1 袋 6 6 164 984

半製品 バラ AD 貿易 丹沢栗 1 個 1 個 320 320 377 120,640

半製品 バラ AD 貿易 出雲栗 1 個 1 個 320 320 319 102,080

原料 雑穀 AE 商店 n 商店 人丸栗 30kg 1 袋 1 袋 52 52 13,000 676,000

原料 雑穀 AE 商店 n 商店 大峰栗 30kg 1 袋 1 袋 32 32 5,100 163,200

原料 雑穀 AE 商店 n 商店 丹沢栗 30kg 1 袋 1 袋 80 80 4,900 392,000

原料 雑穀 AE 商店 n 商店 そら豆 25kg 1 袋 1 袋 26 26 12,500 325,000

原料 雑穀 AE 商店 o 化学 小豆 25kg 1 袋 1 袋 4 4 15,000 60,000

原料 雑穀 AE 商店 大豆 30kg 1 袋 1 袋 2 2 13,750 27,500

原料 雑穀 AE 商店 p 通商 玉造栗 25kg 1 袋 1 袋 8 8 17,500 140,000

原料 雑穀 AE 商店 人丸栗 30kg 1 袋 1 袋 4 4 6,600 26,400

原料 雑穀 AE 商店 大峰栗 25kg 1 袋 1 袋 7 7 17,000 119,000

原料 薬品 AF 産業 r 醸造 醤油 18 ㍑缶 1 缶 1 缶 21 21 6,320 132,720

原料 薬品 AF 産業 味噌 20 ㍑ 1 本 1 本 5 5 1,950 9,750

原料 薬品 AF 産業 s 商店 重曹 25kg 1 袋 1 袋 9 9 1,900 17,100

原料 薬品 AF 産業 s 商店 ポリリン酸 1F 1kg×15 1 袋 1 C/S 5 4 本 9 950 8,550

原料 消毒液 AF 産業 s 商店 バクトクリーン 10kg 1 ポリ 1 ポリ 9 9 18,000 162,000

原料 エタノール AG 商店 t 製菓 ET 18 ㍑ 1 缶 1 缶 2 2 5,200 10,400

原料 天然色素 AH 商事 t 製菓 GB 500g×1 10 袋 1 C/S 1 10 9,400 94,000

原料 消泡剤 AH 商事 u 化学 KM72 1kg×10 10 本 1 C/S 3 30 1,650 49,500

原料 調味料 AH 商事 v 化学 並塩 10kg 10 kg 1 袋 10 100 580 58,000

原料 調味料 AI 商店 w 発酵 AM 1kg×10 10 kg 1 C/S 24 8 袋 248 710 176,080

原料 調味料 AI 商店 w 発酵 上白糖 30kg 30 kg 1 袋 32 960 112 107,520

原料 調味料 AI 商店 w 発酵 グラニュー糖 30kg 30 kg 1 袋 17 510 129 65,790

原料 調味料 AI 商店 x 精糖 ブラウンシュガー 30kg 30 kg 1 袋 1 30 151 4,530

原料 調味料 AJ 商事 みりん 20 ㍑ 1 本 1 袋 1 1 5,250 5,250

原料 調味料 AK 商事 寒天 1kg×4 4 本 1 束 1 4 3,600 14,400

原料 調味料 AL 産業 y 化成 シロップ 24kg 1 缶 1 缶 35 35 2,160 75,600

原料 調味料 AL 産業 y 化成 G-9 10kg 1 kg 1 C/S 3 3 930 2,790

製品 1kg AL 産業 昆布 1 16 9 144 456 65,664

製品 1kg AL 産業 大峰栗 1 16 4 64 728 46,592

製品 1kg AL 産業 玉造栗 1 16 2 32 960 30,720

製品 1kg AL 産業 玉造栗 1 16 3 48 1,580 75,840

製品 2kg AL 産業 大峰栗 1 8 20 160 1,408 225,280

製品 2kg AL 産業 丹沢栗 1 8 16 128 1,840 235,520

製品 2kg AL 産業 出雲栗 1 8 2 16 3,120 49,920

製品 レトルト AL 産業 出雲栗 800g 6 1 1 6 1,024 6,144

製品 2kg AL 産業 玉造栗 1 1 24 24 2,080 49,920

製品 2kg AL 産業 大峰栗 1 1 50 50 1,440 72,000

製品 2kg AL 産業 森早生栗 1 1 13 13 640 8,320

製品 2kg AL 産業 出雲栗 1 1 22 22 608 13,376

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

48

単位:円

区分 分類 仕入先 メーカー名 品 名 品名 2 入数

(荷姿) 単位

(荷姿) ボール

(荷姿) 単位

(荷姿) 数量

×

総数 単価 単価 訂正

金額総数 ×単価

製品 1kg AL 産業 丹沢栗 1 16 9 144 456 65,664

製品 1kg AL 産業 丹沢栗 1 16 4 64 728 46,592

製品 1kg AL 産業 森早生 1 16 2 32 960 30,720

製品 1kg AL 産業 丹沢栗 1 16 3 48 1,580 75,840

製品 2kg AL 産業 出雲栗 1 8 20 160 1,408 225,280

製品 2kg AL 産業 丹沢栗 1 8 16 128 1,840 235,520

製品 2kg AL 産業 丹沢栗 1 8 2 16 3,120 49,920

製品 レトルト AL 産業 丹沢栗 800g 6 1 1 6 1,024 6,144

製品 2kg AL 産業 玉造栗 1 1 24 24 2,080 49,920

製品 2kg AL 産業 玉造栗 1 1 50 50 1,440 72,000

製品 2kg AL 産業 出雲栗 1 1 13 13 640 8,320

製品 2kg AL 産業 出雲栗 1 1 22 22 608 13,376

製品 1kg AL 産業 大峰栗 1 1 10 10 464 4,640

製品 1kg AL 産業 大峰栗 1 1 51 51 392 19,992

製品 1kg AM 食品 丹沢栗 1 1 219 219 456 99,864

製品 1kg AM 食品 大学いも 1 1 46 46 480 22,080

製品 1kg AM 食品 丹沢栗 1 1 37 37 624 23,088

製品 1kg AM 食品 玉造栗 1 1 301 301 480 144,480

製品 1kg AM 食品 丹沢栗 1 1 33 33 1,080 35,640

製品 1kg AM 食品 玉造栗 1 1 18 18 744 13,392

製品 1kg AM 食品 大峰栗 1 1 32 32 472 15,104

製品 1kg AM 食品 大峰栗 1 1 18 18 384 6,912

製品 1kg AM 食品 大学いも 1 1 22 22 624 13,728

製品 その他 AN 食品 ちりめん山椒 1kg 1 10 14 140 1,000 140,000

製品 缶 AN 食品 丹沢栗 2kg 8 個 1 B 37 296 2,080 615,680

製品 缶 AN 食品 玉造栗 2kg 8 個 1 B 2,481 19,848 1,410 27,985,680

製品 カートン AN 食品 玉造栗 2kg 8 個 1 B 430 3,440 1,440 4,953,600

製品 1kg AN 食品 玉造栗 1 個 1 B 1,386 1,386 392 543,312

製品 1kg AN 食品 玉造栗 1 個 1 B 1,312 1,312 464 608,768

製品 1kg AN 食品 丹沢栗 16 個 1 B 71 1,136 1,080 1,226,880

製品 1kg AN 食品 丹沢栗 16 個 1 B 8 128 664 84,992

製品 1kg AN 食品 昆布 16 個 1 B 133 2,128 456 970,368

製品 2kg AN 食品 昆布 8 個 1 B 326 2,608 864 2,253,312

製品 2kg AN 食品 丹沢栗 8 個 1 B 66 528 3,120 1,647,360

製品 2kg AN 食品 渋皮栗 6kg 1 1 12 12 7,200 86,400

製品 2kg AN 食品 渋皮栗 12.5kg 1 1 76 76 14,400 1,094,400

製品 SP AN 食品 玉造栗 2kg 1 1 98 98 2,176 213,248

製品 レトルト AO 商事 玉造栗 480g 1 個 1 B 1779 1,779 480 853,920

製品 レトルト AO 商事 玉造栗 800g 6 個 1 B 381 2,286 1,024 2,340,864

製品 レトルト AO 商事 大峰栗 1 個 1 B 524 524 480 251,520

製品 レトルト AO 商事 大峰栗 1 個 1 B 89 89 6,750 600,750

製品 レトルト AO 商事 大峰栗 1 個 1 B 989 989 624 617,136

製品 スタンド AO 商事 大峰栗 1kg 16 個 1 B 13 208 1,580 328,640

製品 レトルト AO 商事 大峰栗 800g 1 個 1 B 127 127 499 63,373

製品 レトルト AO 商事 玉造栗 1kg 1 個 1 B 558 558 400 223,200

原料 雑穀 AP 食品 z加工 TGF 72 72 5,200 374,400

原料 雑穀 AP 食品 z加工 EG 107 107 13,000 1,391,000

原料 雑穀 AP 食品 z加工 FG 25 25 12,000 300,000

原料 雑穀 AP 食品 z加工 KS 58 58 16,000 928,000

原料 雑穀 AP 食品 z加工 渋皮栗 95 95 9,100 864,500

原料 雑穀 AP 食品 aa 食糧 渋皮栗 CH 207 207 5,250 1,086,750

原料 雑穀 AP 食品 森早生栗 2 2 17,000 34,000

原料 雑穀 AP 食品 aa 食糧 森早生栗 389 389 24,000 9,336,000

原料 雑穀 AP 食品 森早生栗 B黒 294 294 23,000 6,762,000

原料 雑穀 AP 食品 そら豆 青梅 118 118 4,350 513,300

原料 雑穀 AP 食品 大学いも CH 75 75 13,000 975,000

原料 雑穀 AP 食品 森早生栗 CH 67 67 12,500 837,500

原料 雑穀 AP 食品 aa 食糧 森早生栗 20 1 710 710 3,600 2,556,000

原料 雑穀 AP 食品 aa 食糧 森早生栗 兵庫 286 286 79,500 22,737,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 72 72 60,000 4,320,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 135 135 60,000 8,100,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 230 230 60,000 13,800,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 15 15 60,000 900,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 34 34 60,000 2,040,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 200 200 60,000 12,000,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 130 130 82,000 10,660,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 26 26 95,000 2,470,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 50 50 82,000 4,100,000

原料 雑穀 AP 食品 ab 食品 森早生栗 80 80 82,000 6,560,000

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

49

単位:円

区分 分類 仕入先 メーカー名 品 名 品名 2 入数

(荷姿) 単位

(荷姿) ボール

(荷姿) 単位

(荷姿) 数量

×

総数 単価 単価 訂正

金額総数 ×単価

原料 雑穀 AP 食品 森早生栗 160 160 13,000 2,080,000

原料 調味料 AQ 塩業 ac 化成 SE 22kg 1 〃 1 〃 5 5 2,376 11,880

原料 調味料 AR 産業 ad 製菓 清酒 20L 1 ポリ 1 ポリ 1 1 4,500 4,500

原料 調味料 AR 産業 ad 製菓 本味醂 20L 1 ポリ 1 ポリ 27 27 4,500 121,500

原料 調味料 AS 塩業 塩 1.2kg 1 1 512 512 1,116 571,392

原料 調味料 AS 塩業 ae 食品 1-F 1kg 1 1 13 13 930 12,090

原料 調味料 AS 塩業 ae 食品 塩-1 10kg 1 1 193 193 7,700 1,486,100

原料 調味料 AT加工 72F 1kg 1 1 4 4 1,520 6,080

原料 調味料 AU 塩業 af 化学 硫酸第一鉄 25kg 1 1 3 3 23,000 69,000

原料 調味料 AU 塩業 af 化学 重炭酸ナトリウム 25kg 1 1 15 15 1,900 28,500

原料 調味料 AU 塩業 af 化学 色素 緑色 500g 1 1 5 5 6,300 31,500

原料 調味料 AU 塩業 af 化学 色素 黄色 500g 1 1 13 13 3,200 41,600

原料 調味料 AU 塩業 ブラウンシュガー 30kg 1 袋 1 袋 18 18 4,980 89,640

原料 調味料 AU 塩業 ag 製菓 MIX 糖 20kg 1 〃 1 〃 1,170 1,170 2,200 2,574,000

原料 調味料 AV 商事 ag 製菓 上白糖 20kg 1 〃 1 〃 121 121 2,520 304,920

原料 調味料 AV 商事 ag 製菓 グラニュー糖 20kg 1 〃 1 〃 189 189 2,560 483,840

原料 調味料 AW 塩業 ag 製菓 だししるべ超淡口 20kg 1 ポリ 1 ポリ 2 2 17,000 34,000

原料 エタノー

ル製剤 AX 商事 ah 製菓 ET-N 15kg 1 缶 1 缶 3 3 4,200 12,600

原料 エタノー

ル製剤 AX 商事 ah 製菓 US 18 ㍑ 1 缶 1 缶 1 1 4,100 4,100

原料 エタノー

ル製剤 AY 塩業 黒糖 30kg 1 袋 1 袋 42 42 6,600 277,200

原料 エタノー

ル製剤 AY 塩業 ai 化学 ボイラーソルト 25kg 1 袋 1 袋 20 20 1,100 22,000

原料 エタノー

ル製剤 AY 塩業 ai 化学 SWG 1 1 22 22 9,600 211,200

原料 エタノー

ル製剤 AZ 食品 昆布 10kg 1 1 2 2 15,500 31,000

原料 エタノー

ル製剤 BA 塩業 黒糖 20kg 1 1 2 2 12,500 25,000

原料 エタノー

ル製剤 BA 塩業 醤油 18kg 1 1 7 7 3,870 27,090

原料 エタノー

ル製剤 BA 塩業 昆布 20kg 1 1 8 8 1,200 9,600

原料 エタノー

ル製剤 BB 食品 昆布 10kg 1 1 17 17 15,500 263,500

原料 エタノー

ル製剤 BC 塩業 MS 20kg 1 1 42 42 2,400 100,800

原料 エタノー

ル製剤 BC 塩業 シロップ 24kg 1 1 125 125 2,160 270,000

製品 1kg BC 塩業 aj 化学 栗甘露 1 16 62 992 624 619,008

製品 1kg BC 塩業 aj 化学 栗甘露 特大 1 8 22 176 744 130,944

製品 1kg BC 塩業 aj 化学 栗甘露 1 16 15 240 1,080 259,200

製品 1kg BC 塩業 aj 化学 栗甘露 1 16 141 2,256 496 1,118,976

製品 1kg BC 塩業 ak 食品 栗甘露 1 10 256 2,560 1,600 4,096,000

製品 1kg BC 塩業 ak 食品 栗甘露 1 16 69 1,104 464 512,256

製品 2kg BC 塩業 ak 食品 昆布巻 1 8 73 584 1,540 899,360

製品 2kg BC 塩業 ak 食品 栗きんとん 1 8 1,385 11,080 2,080 23,046,400

製品 缶 BC 塩業 ak 食品 栗きんとん 2.5kg 4 1 137 548 2,688 1,473,024

半製品 一斗缶 BD 商事 ak 食品 栗漬 12.5kg 1 1 3,333 3,333 9,600 31,996,800

半製品 一斗缶 BD 商事 ak 食品 栗漬 13kg 1 1 160 160 6,240 998,400

半製品 一斗缶 BD 商事 ak 食品 栗漬 12.5kg 1 1 7,198 7,198 14,600 105,090,800

半製品 一斗缶 BD 商事 ak 食品 栗漬 12.5kg 1 1 1,824 1,824 12,100 22,070,400

半製品 仕入 BD 商事 ak 食品 栗漬 100 10 14 14,000 28 392,000

半製品 仕入 BD 商事 ak 食品 はまぐり 250 2 3 1,500 26.2 39,300

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 鮒甘露煮 2kg 1 8 1 8 2,600 20,800

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 中羽 2kg 1 8 2 16 2,600 41,600

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 焼あさり 100 10 4 4,000 54 216,000

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 本はぜ甘露煮 2kg 1 8 18 144 2,950 424,800

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 昆布巻 2kg 1 8 3 24 1,200 28,800

半製品 仕入 BE 商店 ak 食品 若さぎ甘露煮 2kg 1 8 4 32 1,700 54,400

半製品 仕入 BE 商店 al加工 いかだ焼き 1 1000 14 14,000 32.5 455,000

半製品 半切缶 BE 商店 al加工 渋皮栗 6kg 1 1 40 40 7,200 288,000

半製品 半切缶 BE 商店 al加工 渋皮栗 12.5kg 1 1 16 16 7,000 112,000

半製品 COOP BE 商店 al加工 栗きん 350g 20 1 2 40 360 14,400

半製品 COOP BE 商店 al加工 栗あん栗きん 180g 20 1 7 140 355 49,700

半製品 COOP BE 商店 al加工 渋皮栗 240g 20 1 44 880 125 110,000

半製品 COOP BE 商店 al加工 山芋 130g 60 1 223 13,380 107 1,431,660

半製品 COOP BE 商店 al加工 山芋 130g 60 1 218 13,080 107 1,399,560

半製品 BE 商店 al加工 あずき 20 1 16 320 100 32,000

原料 冷凍 BE 商店 al加工 ほたて貝 1kg 1 10 6 60 950 57,000

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単位:円

区分 分類 仕入先 メーカー名 品 名 品名 2 入数

(荷姿) 単位

(荷姿) ボール

(荷姿) 単位

(荷姿) 数量

×

総数 単価 単価 訂正

金額総数 ×単価

原料 冷凍 BE 商店 al加工 里芋 10kg 1 1 34 34 1,800 61,200

原料 冷凍 BE 商店 al加工 里芋 10kg 1 1 7 7 1,800 12,600

原料 冷凍 BE 商店 al加工 いもあん 10kg 1 1 985 985 3,450 3,398,250

原料 冷凍 BE 商店 al加工 紫芋 10kg 1 10 174 1,740 400 696,000

原料 冷凍 BE 商店 al加工 はまぐり 16kg 1 16 3 48 430 20,640

原料 冷凍 BE 商店 al加工 蒸し蛸 1 1 16 16 1,100 17,600

原料 一斗缶 BE 商店 al加工 落花生 1 10 11 110 480 52,800

原料 一斗缶 BE 商店 al加工 いもあん 1 10 575 5,750 280 1,610,000

原料 雑穀 BE 商店 al加工 森早生栗 30kg 1 1 10 10 16,000 160,000

原料 雑穀 BE 商店 al加工 出雲栗 30kg 1 1 6 6 32,000 192,000

原料 雑穀 BE 商店 al加工 玉造栗 20kg 1 1 22 22 3,600 79,200

原料 雑穀 BE 商店 al加工 大峰栗 10kg 1 1 37 37 1,800 66,600

原料 雑穀 BE 商店 al加工 大峰栗 10kg 1 1 13 13 13,750 178,750

原料 冷凍 BE 商店 al加工 玉造栗 500g 20 1 40 800 110 88,000

原料 冷凍 BE 商店 al加工 干海老 1 1 kg 1,507 1,507 970 1,461,790

原料 冷凍 BE 商店 al加工 玉造栗 1 1 kg 1,966 1,966 1,425 2,801,550

原料 冷凍 BE 商店 al加工 ちりめん 1 1 kg 385 385 830 319,550

原料 冷凍 BE 商店 al加工 小女子 1 1 kg 19,331 13,991 830 16,044,730

原料 雑穀 BE 商店 ちりめん 30kg 1 1 1,335 1,335 5,200 6,942,000

原料 雑穀 BE 商店 玉造栗 30kg 1 1 105 105 4,550 477,750

原料 雑穀 BE 商店 玉造栗 25kg 1 1 705 705 12,000 8,460,000

原料 雑穀 BE 商店 玉造栗 30kg 1 1 360 360 12,000 4,320,000

原料 雑穀 BE 商店 大峰栗 30kg 1 1 10 10 17,000 170,000

原料 雑穀 BE 商店 大峰栗 25kg 1 1 240 240 16,250 3,900,000

原料 雑穀 BE 商店 大峰栗 30kg 1 1 91 91 20,400 1,856,400

原料 雑穀 BE 商店 大峰栗 30kg 1 1 80 80 18,000 1,440,000

原料 雑穀 BE 商店 丹沢栗 30kg 1 1 32 32 92,000 2,944,000

原料 雑穀 BE 商店 丹沢栗 30kg 1 1 65 65 79,500 5,167,500

原料 雑穀 BE 商店 ちりめん 30kg 1 1 8 8 5,400 43,200

原料 雑穀 BE 商店 うずら 30kg 1 1 34 34 13,750 467,500

原料 雑穀 BE 商店 海老 30kg 1 1 282 282 9,600 2,707,200

原料 雑穀 BE 商店 小峰栗 30kg 1 1 90 15,000 1,350,000

原料 雑穀 BE 商店 丹沢栗 30kg 1 1 143 17,000 2,431,000

原料 雑穀 BE 商店 渋皮栗甘露煮 6kg 1 1 6,686 7,200 48,139,200

原料 雑穀 BE 商店 渋皮栗甘露煮 12.5kg 1 1 468 7,000 3,276,000

原料 雑穀 BE 商店 渋皮栗 12.5kg 1 1 1,150 14,400 16,560,000

原料 雑穀 BE 商店 栗甘露煮 6kg 1 1 1,572 7,600 11,947,200

原料 雑穀 BE 商店 うずら 30kg 1 1 16 24,500 392,000

原料 雑穀 BE 商店 切干大根 1 10 110 320 352,000

原料 雑穀 BE 商店 栗甘露煮 12.5kg 1 1 1,431 15,833 22,657,023

原料 雑穀 BE 商店 渋皮栗 6kg 1 1 303 3,360 1,018,080

原料 雑穀 BE 商店 渋皮栗 30kg 1 1 3,349 4,350 14,568,150

原料 雑穀 BE 商店 そら豆 1 1 380 1,000 380,000

原料 原料 BE 商店 筍 1 1 20 1,650 33,000

原料 原料 BE 商店 筍 1 1 550 2,900 1,595,000

原料 原料 BE 商店 筍ハーフ 20kg 1 1 145 4,000 580,000

半製品 2kg BE 商店 その他半製品合計 - 3,000 420,416

原料 2kg BE 商店 その他原料合計 - 1,500 112,440

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ABLの実務的な対応像の参考例②

業種 工具卸売業

担保目的物 動産(切削工具一式)

売掛債権

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ii

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1. 案件の全体像

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2

1.1 案件の概要

本件は、都市銀行が、既存顧客である工作機械のドリル等の切削工具を扱う卸売業者を対象

として、ABLを実施したものである。顧客の企業規模は中小企業に該当する。

顧客が保有する在庫は切削工具製品(カタログにある汎用品)と特注品に対応するための原

材料(加工前の特殊鋼棒材。注文に合わせてドリルに加工する)であるが、扱っていた動産の在

庫種類が非常に多く、取引先の要望に即時に対応するためには多種多様・大量の在庫を保有

が必要であった。

本件の特徴は、以下が挙げられる。

� 顧客は卸売業者であり、非常に多種多様かつ大量の製品在庫・原材料を有していること

� 販売先は大手メーカーも多く、売掛債権サイトが相応に長いこと

� 資金が必要となる在庫・売掛債権双方を担保対象としていること

銀行側の基本スタンスは「企業の実態把握重視型」のABLであり、担保となる在庫を

評価・モニタリングして継続的に企業の営業活動を把握し、信用リスクの軽減に主眼をお

くものであった。

銀行側においては、以下の採り上げ意義があるものと考えられる。

① 従来資金調達において活用されていなかった売掛債権・在庫を活用することで、以降

の必要運転資金枠を安定的に確保する仕組みを構築できること

② 前記①を確立するため、評価会社や監査法人との連携を通じた在庫の内容や商流の確

認、担保対象債権の分析及びそれらのモニタリングを実施し、その結果として企業実

態把握の深更が図られること

顧客は、安定的な在庫資金の調達方法を模索していたが、不動産等の担保提供可能資産は

少なく、銀行の信用与信の許容範囲での調達に留まらざるを得ない状況にあった。

かかる状況の中、顧客は「欧米のような売掛金や在庫を活用した資金調達」が安定的な資金

調達という課題への解決策となり得るのではないかと考え、主要取引銀行の取引店にABLによ

る資金支援の検討可否について相談を行った。この相談に対して、取引店は本部専門部署を交

え、本格的なスキーム構築の検討を開始した。

銀行側では、従来その担保価値を見出して来なかった在庫についてその担保価値を見出す

必要があることから担保対象となる顧客の扱う在庫(原材料・製品)について詳細な精査を実施し

た。その結果、顧客は世界的にもトップクラスの製品を扱っており、その資産価値が十分に認め

られることが判明した。また、実地調査や監査法人の調査を通じて、多品種にも関わらず在庫の

保管が整備され、管理体制も確立されていることが分かった。

また、本件では売掛債権についても担保の対象とした。一部大手工作機械メーカー向け

売掛債権については債権譲渡禁止特約が付与されていたものの、担保として適格な売掛債

権も相応にあることが確認されたことから、顧客の商流を全体的に担保として捕捉する観

点及びファイナンス金額の極大化を図る観点から、売掛債権を担保の対象とすることとし

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た。

動産担保については顧客の工場・営業所に存在している切削工具在庫及び原材料を担保

対象とした(集合動産譲渡担保権設定)。債権担保については第三債務者不特定の将来発生

する債権を担保対象とした(債務者不特定の将来債権を対象とした譲渡担保権設定)。

以上の検討を通じて、銀行ではABLが可能と判断し、新規融資を実施した。融資形態はボロ

イング・ベース型の当座貸越、すなわち、担保適格額に担保の種類ごとに掛け目(アドバンス・レ

ート)を乗じて算出した金額の合計を貸出可能金額(上限額)とし、担保適格額に前貸し率を乗じ

て算出した貸出基準額(ボロイング・ベース)を設定した。ボロイング・ベースは約3億円、融資期

間は1年ごとの自動更新とした。

本件については当初設定した貸出形態を維持し、自動更新により現在も継続中である。

案件の概要を表 1 に示す。

表 1 案件の概要

項目 概要

貸出人 都市銀行

借入人の

事業規模 (非公開)

事業概要 工作機械のドリル等の切削工具を

卸売り

業種・業態 工具卸売業

担保目的物 動産(切削工具一式)

売掛債権

取組金額 約 3 億円(特別当座貸越)

融資期間 1 年(自動更新により現在も継続)

資金使途 運転資金

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1.2 基本的なスキーム

都市銀行が、メインバンクとしてB 社にABLを実施した。担保目的物は、B 社の動産で切削工

具一式および売掛債権であった。

ABL実施のフローは以下であった。

① B 社より銀行にABLの申込。

② 銀行からの依頼に基づき、動産評価会社が B 社への実地調査をして動産担保評価を実施

し、銀行に評価報告書を提出。また、銀行からの依頼に基づき、監査法人が在庫等の財務

管理体制の調査を行い、管理体制に問題がないことを銀行に報告。銀行側は調査を受けて

行内審査を行い、ABLを実施することを決定。

③ B 社は銀行に対して売掛債権・在庫に対して譲渡担保権を設定し、、第三者対抗要件を具

備。

④ 銀行は B 社に対してファイナンスを実行。

⑤ B 社は銀行側に月次で担保情報を報告。銀行は外部コンサルティング会社(動産評価会

社・監査法人)とともに年次で売掛債権・在庫実査も実施。

⑥ B 社は販売先に在庫を販売し、販売先より売掛債権を回収(銀行より通常商取引の範囲内

における担保対象在庫の販売、担保対象売掛債権の回収を認められている)

⑦ B 社は売上回収金により銀行に対して借入を返済。

在庫評価は評価会社に委託し、在庫の管理体制の確認(財務資料の正確性を担保)は監査

法人との提携のもと実施した。

本案件の基本的なスキームを図 1に示す。

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図 1 基本的なスキーム

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2. 金融機関における実務的な対応像

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2.1 営業・提案

B 社は、工作機械のドリルなど切削工具を扱う卸売業者である。B 社で扱っていた製品種類は

非常に多く、取引先の要望に即時に対応するためには多種多様・大量の在庫が必要であった。

B 社は、安定的な在庫資金の調達方法を模索していたが、不動産等の担保提供可能資産は少な

く、銀行の信用与信の許容範囲での調達に留まらざるを得ない状況にあった。

担保対象となる B 社の扱う在庫(原材料・製品)について詳細な精査を実施したところ、B 社は

世界的にもトップクラスの製品を扱っており、その資産価値が十分に認められることが判明した。

また、実地調査や監査法人の調査を通じて、多品種にも関わらず在庫の保管が整備され、管理

体制もしっかり確立されていることが分かった。

2.1.1 取組経緯・案件の適合性選別

(1) 取組経緯

B 社は「欧米のような売掛金や在庫を活用した資金調達」が安定的な資金調達という課題への

解決策となり得るのではないかと考えていた。一方、銀行側では在庫を活用したファイナンスの

研究を開始しており、具体的な案件への取り組みを検討しているところであった。

かかる中、B 社は主要取引銀行の取引店にABLによる資金支援の検討可否について相談を

行い、この相談に対して、銀行側は本部専門部署を交え、本格的なスキーム構築の検討を開始

した。

こうした経緯から、B 社のニーズ及び銀行側の意向が合致し、成約に至った。

(2) 案件の適合性選別

B 社は、企業規模は小さいものの、実質的な取引銀行が1行のみであり、営業店とのリレーショ

ンも良好であったことから、適時適切な情報提供が期待でき、且つ提供される情報にも信頼がお

けると考えられた。

また、B 社は工作機械のドリルなど切削工具を扱う卸売業者であるが、B 社の親会社は工作機

械メーカーであり、親会社の生産する工作機械に使用される切削工具を迅速、且つ安定的に供

給する必要があった。そのため、多品種、サイズや合金の素材等が異なるもの等多くの種類の在

庫を大量に保有しており、在庫にかかる資金調達ニーズが高かった。

尚、B 社の扱う在庫(原材料・製品)は、その後の詳細な精査で世界的にトップクラスの製品で

あり、その資産価値が十分に認められることが判明した。

以上の通り、銀行とのリレーションの状況、B 社の資金ニーズ、担保対象資産の資産価値、い

ずれにおいてもABLの対象先として適合性があるものと判断された。

2.1.2 事前説明事項・理解度

主な事前説明事項は以下である。

� 融資スキームの概要(担保対象・ファイナンス金額・ファイナンス方法、コベナンツ等)

� ボロイング・ベースの仕組み

� 契約までのスケジュール感

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� 担保対象資産のモニタリング方法

� 導入コスト

B 社には、既に欧米で行われているABLスキームに認識があり、事前説明は円滑に進んだ。

2.1.3 協力体制・信用不安

(1) 協力体制

B 社は外資系企業であり、米国等海外では広く認識されている調達方法であるABLを認識し

ていたことからABLの導入にについては協力的であった。

(2) 信用不安

譲渡登記実施に関する B 社からの風評悪化等に関する懸念の表明は無かった(もともとABL

に対する理解があったことが背景と考えられる)。資金調達は親会社を除き、取引銀行一行から

のみ行っていることから、他の取引銀行の支援方針の変化に対する懸念も生じなかった。

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2.2 担保評価

2.2.1 必要書類入手のタイミング

融資前は期中よりも詳細なデータを取得・確認した。在庫データのサマリーだけでなく、個品別

のデータを受領した。データには、在庫の種類ごとの数量、年間売上実績等が含まれていた。

表 2 入手書類の概要

書類名 概要 入手時期1

製品明細 製品の明細 実査の2週間程度前

原材料明細 原材料の明細 同上

販売実績 製品の年間販売実績 同上

売掛金明細 販売先別売掛債権残高明細 同上

返品明細 製品の年間返品実績 同上

試算表 試算表 同上

【留意点①】 動産担保におけるリスクは、担保対象物件の処分換価時において対象物が換価できない(既

に対象物が無くなっている、対象物が処分可能な状態に無い等)という点が一番大きいと考えら

れる。したがって、動産評価はある一時点において一定の前提条件の下で換価された場合の評

価であることを十分に認識し、あくまで与信判断上の一材料であると捉えることが望ましい。 かかるリスクを十分に認識した上で、モニタリング方法の工夫等によりそのリスクを軽減させて

いくことがABLストラクチャリングにおける重要なポイントと考えられる。

2.2.2 内製化と外部事業者の切り分け

評価会社には、在庫価値の評価を依頼したが、担保対象資産にかかる判断(担保適格性の認

定可否)については、銀行側で決定した。

2.2.3 先行譲渡・所有権留保・譲渡禁止特約の有無の調査

(1) 先行譲渡の有無

先行する動産債権譲渡(担保)の有無を確認するための登記事項概要証明書の取得も実施し

た。

1 入手書類の基準日は入手時期に提出可能な最も近い財務会計の締日時点としている。例えば、財務会計の締日毎

月月末日で資料提出可能な日が翌月15日として、実査を10月10日に行うとした場合、基準日は8月末(9月15日

提出可能)となる。

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(2) 所有権留保の有無

仕入先は全て親会社であり、所有権の移転時期は納入日時点であることを確認した。

(3) 譲渡禁止特約の有無

債権譲渡担保権設定において販売先(第三債務者)との間で締結された取引基本契約書に

債権譲渡を禁止する特約(債権譲渡禁止特約)が存在する場合、当該販売先向けの債権にかか

る譲渡担保権は無効となることから、導入に先立ち B 社が販売先と締結している取引基本契約

の全量について債権譲渡禁止特約の有無を確認した。

2.2.4 具体的な調査対象と評価手法

(1) 調査対象

調査対象の概要を表 3に整理する。

表 3 調査対象の概要

評価対象物 特徴 担保認定可否

およびその理由

売掛債権 在庫販売により発生す

る債権

譲渡禁止特約のある販売先向けの債権、海外

向け債権、延滞債権は担保不適格資産とする

在庫(原材料) 製品の原材料 担保適格資産とする

在庫(製品) 製品在庫 長期滞留在庫と判断されるものは担保不適格

資産とする

(2) 評価手法

(a) 動産担保

評価会社による算出方法はマーケットアプローチに基づいている。

本件では、ボロイング・ベース型融資、すなわち上限を担保適格となる担保対象資産残高に一

定の掛け目を乗じた金額とし、適格担保対象資産残高に応じたファイナンスコントロールを行っ

ている。

担保適格在庫残高に乗じる掛け目の設定において、銀行が評価会社に依頼して、以下に示

すの3種類の評価を算定し、その上で、B 社の業績や処分マーケットの状況を勘案して採用する

掛け目を決定した。

① 公正市場価格(Fair Market Value、略称FMV) 通常の取引において決定される価格。すな

わち、物件の売手がなんら強制されることなく、必要な時間をかけて買手を見つけられる状

況を想定した売却価格。

② 通常(静態的)処分価格(Orderly Liquidation Value、略称OLV) 債務者の破綻により商品

(ブランド)価値がある程度低下することを前提に、半年から 1 年程度の合理的な期間内に

買手を見つけられる状況を想定した売却価格。時間的な余裕をもって、既存の販売チャネ

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ルや一般事業者への販売、一部オークションや買取業者を利用して処分を行うことを想定し

ている。

③ 強制処分価格(Forced Liquidation Value、略称FLV) 限られた期間内にオークションなどで

強制的に処分しなければならない状況を想定した売却価格。オークション・バリュー

(Auction Value)、またはディストレス・バリュー(Distress Value)ともいう。強制処分価格は通

常処分価格より 20~30%程度は低くなるといわれている。

本件の担保対象在庫は切削工具製品及びその原材料であり、且つ保管場所も自社工場であ

ることから、処分検討期間における経年による対象動産の品質劣化や保管場所賃料の増加等の

懸念が少ないと考えられた。したがって、一定程度の期間をかけて処分することが可能と判断さ

れることから、処分価値評価については OLV(通常(静態的)処分価格。Orderly Liquidation

Value)を基準に検討を行った。

評価会社には評価書の一部として、業界調査も依頼した。業界調査は、担保対象在庫の処分

環境の確認のみならず、B 社の業界の動向を確認することで、B 社の事業リスクの判断材料とし

ても活用している。

(b) 債権担保

売掛債権については、債権流動化における債権プール評価プロセス2に準じた方法で評価

を行った。具体的には、担保対象債権に含まれている個別の第三債務者の信用力や集中率

等を分析・統計化し、一定程度の信用力評価ができるよう、債権プール化に必要な信用補完

率を算出する方法を採用した。

一般的なプール債権評価においては、大数の法則に基づくため、極めて多数の母体が必

要となるが、ABLのような中小企業向け融資においては多数の母体があることは稀であるため、

上記の方法により、少数でも評価が可能となるよう工夫している。

2 個別企業の信用力を問わずに、統計的にリスクを把握する方法である。

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【留意点②】 本件では第三債務者不特定の将来債権に対して譲渡担保権を設定している。これにより、在

庫販売に伴い発生する債権を網羅的に担保として捕捉することとなり、商流全体を適切に担保と

して取得し、ファイナンスに繋げることができるようになっている。 しかし、第三債務者が特定されていない債権譲渡担保の場合、以下の点で与信管理上留意

する点があると考えられる。 a.担保権の実効性 担保権実行には第三債務者宛の担保権実行通知の送達が必要であることから、通知の送

達先である第三債務者の住所はしっかりと把握する必要がある。但し、送達先の第三債務者

が極めて多い(何千社等)の場合は、その全てに通知を発送することが難しい可能性がある。

その場合は、全ての債権についての第三債務者宛通知が出来ない可能性があることも、ファ

イナンス検討段階において認識しておく必要がある。 b.モニタリングの網羅性 担保対象債権の第三債務者が広範になることから、第三債務者の信用力等の確認を網羅

的に行うことが難しい可能性がある。モニタリングすべき点を与信検討時に検討し、顧客に対

する与信管理において必要となるモニタリング方法(定期的に残高上位先の第三債務者(販

売先)やその信用力をを確認する等)を予め定めておくことが望ましいと考えられる。 c.入金口座 販売先との関係から、全ての担保対象債権の入金口座を、ABLを導入する銀行の口座に

集中させることは現実的には難しく、一定程度の債権についてのみ入金口座を指定すること

が限界であると考えられる。 当然、全ての担保対象債権を網羅的にモニタリングできるが最も望ましいことであるが、それ

が難しいからといって売掛債権担保を断念してしまうと、ファイナンス金額が小さくなり、顧客のニ

ーズに応えられない可能性もある。ABLは商流全体を担保として捕捉することで顧客の資金ニ

ーズに応えていくことということも大きな目的のひとつである。顧客に対する与信管理を踏まえて

どのようなモニタリングを行うべきか(コーポレートリスクも勘案し、必要なモニタリングはどの範囲

であるか)をよく検討し、その必要範囲でのモニタリングを実施しながらも担保は商流全体を対象

とすることができれば、顧客の資金調達ニーズに一層応えていくことができると考えられる。

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【留意点③】 売掛債権担保における担保価値の評価方法は様々な手法が考えられるが、どの手法を用い

るかについては検討が必要である。債権譲渡禁止特約の存在やダイリューション(返品・値引き

や相殺支払による希薄化)リスク等の存在を検証することは可能であるが、その結果としてどの程

度の回収が見込めるかを客観的に把握することは実際には難しい部分も多い。本件では、債権

流動化における債権プール評価プロセスを活用したが、このような評価手法がどの案件におい

ても採用できるとは限らず(販売先数が少なかったり、極く少数の販売先に売掛債権が集中して

いたりするケースは活用しづらい)、債権担保をどのように評価するかはABLにおける一つの課

題であると思われる。 評価方法を定めることは重要であるが、ABLはモニタリングによる深度ある実態把握を通じて

顧客の資金調達の円滑化を図るという点も重要なポイントである。したがって、画一的な評価方

法を設定し、その結果としての評価ばかりに囚われるのではなく、債権の内容確認で見出された

担保価値のリスクを適切に把握するということが目的であることをよく理解する必要があると思わ

れる。

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2.3 審査回答・担保設定・契約

契約書作成にあたっては弁護士と相談した。作成においては、実査等を経て銀行側が認識し

た譲渡担保権設定上におけるリスクを弁護士に連絡し、契約書内容について工夫を加えた。

また、銀行としてモニタリングするために必要な項目(特注品の受注はあるのか等)、情報とし

て取るべき項目を整理した。

2.3.1 融資形態、金額、融資方式の説明方法

(1) 融資形態

融資形態はボロイング・ベース型の当座貸越とした。

担保対象は切削工具および売掛債権とした。一部大手工作機械メーカー向け売掛債権につ

いては債権譲渡禁止特約が付与されていたものの、担保として適格な売掛債権も相応にあるこ

とが確認されたことから、B 社の商流を全体的に担保として捕捉する観点及びファイナンス金額

の極大化を図る観点から、売掛債権を担保の対象とすることとした。

(2) 取組金額

以上の検討を通じて、銀行ではABLが可能と判断し、当座貸越枠約3億円の新規融資を実施

した。

(3) 融資方式の説明方法

面談を通じて B 社と協議し、融資条件の説明の一部として、本部と営業店担当者にて融資方式を

説明した。

2.3.2 第三者対抗要件の具備(対象物の特定方法)

(1) 登記

動産、債権ともに第三者対抗要件は動産債権譲渡特例法の譲渡(担保)登記により具備した。

登記により担保権の公示性を高め、第三者からの権利侵害に対する牽制を図る意図があった。

動産の種類の表示は、以下とした。

(動産の種類)

切削工具等の製品及び切削工具製造に使用されるカーバイド材料等の原材料

保管場所については、B 社の工場及び全ての営業所について所在地を住居表示にて特定し

ている。営業所についてはほぼ在庫は存在していないものの、在庫を移し替えられるリスクを軽

減するために全ての営業所を対象として特定している。

【留意点④】 動産譲渡登記の動産の種類の記載においては、担保対象物を適切に特定できる記載(第三

者が見ても特定できる記載)である必要がある。一方で、文字数の制限等もあり、過度に細かい

記載は難しい。特定方法については、あらかじめ法務局等ともすり合わせておくことが望ましい

(単に「在庫一式」といった表記では特定性が弱く、法務局でも受付ができない可能性もある。備

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考欄等も活用し、適切な表記を実施することが必要である)

(2) 担保目的物の明認方法

本件では、保管場所への明認方法は、当社の事業運営上支障が生じる可能性があるため、実

施しなかった。

2.3.3 「通常の営業の範囲」の認識共有

(1) 通常の営業の範囲の認識

「通常の営業」の基準は、明らかな投げ売りは通常の営業の範囲に入らないとするなど、B 社と

の間において口頭で認識を擦り合わせた。

契約上、通常の営業については、下記に示す「モデル契約」(集合動産譲渡担保権設定契約

書)と同様の記載とした。

【参考:モデル契約(集合動産譲渡担保権設定契約書)】 第 6 条 (甲による本件譲渡動産の管理及び処分等) 甲:△△△株式会社 乙:株式会社●●銀行 1. 甲は,本件譲渡動産を善良なる管理者の注意義務をもって,乙のために無償で管理するもの

とする。 2. 乙は,甲に対し,甲が本件譲渡動産の全部又は一部を通常の営業の範囲に限り,自ら使用

し,又は第三者に相当価格で譲渡することを認める。 3. 甲は,前項の定めに基づき本件譲渡動産の全部又は一部を第三者に譲渡したときは,その

譲渡代金を乙に開設する甲名義の銀行口座において入金,管理しなければならない。

(2) 共通認識の形成方法

契約書のドラフトが完成した段階で、ドラフトをベースにコベナンツ内容等の重要事項につい

て説明を行い、契約書内容に関する共通認識の形成を行った。

2.3.4 保険付保の有無、質権設定の取り決め

B 社のコーポレートリスクを勘案した結果、在庫に対する銀行を被保険者とする保険付保や既

存保険に対する質権設定は行わなかった。

2.3.5 表明・保証、コベナンツの設定

表明・保証及びコベナンツ条項の内容は、下記に示す「モデル契約」(集合動産譲渡担保権

設定契約書)と同レベルのものを設定している。

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【参考:モデル契約(集合動産譲渡担保権設定契約書)】 第 8 条 (甲による表明・保証) 甲:△△△株式会社 乙:株式会社●●銀行 1. 甲は,乙に対し,以下の事項が本契約締結日において真実に相違ないことを表明し,保証す

る。 (1) 甲は,日本法の下に適法に設立され,かつ現在も有効に存在する〔法人〕である。 (2) 甲は,本契約及び貸付契約に定められている規定を遵守・履行するのに必要な法律上の 完全な権利能力及び行為能力を有している。 (3) 本契約及び貸付契約は,適法,有効かつ拘束力のある甲の債務を構成し,その条項に従 い,甲に対する強制執行が可能である。 (4) 甲は,法令及び定款その他の内部規則に従い,本契約及び貸付契約に基づく甲の義務を 履行するために必要な全ての手続を完了している。 (5) 本契約及び貸付契約に基づく甲の義務の履行に重大な悪影響を与え,若しくは与えるお それのある判決,決定若しくは命令は存せず,かつそのような訴訟,裁判,調査その他 の法的手続又は行政手続も存しない。 (6) 甲は,本契約及び貸付契約により甲の債権者を害する意図を有するものではない。 (7) 甲は,支払不能,支払停止又は債務超過に陥っておらず,本契約及び貸付契約に基づく 取引をすることにより,支払不能,支払停止又は債務超過に陥るおそれはない。 (8) 甲に対し,破産,民事再生,会社更生,特別清算その他の法的整理手続又は私的整理手 続は開始されておらず,かつその申立てもなされていない。 (9) 甲が作成する計算書類及び附属明細書等は,日本国において一般に公正妥当と認められ ている会計基準に適合しており,正確かつ適法に作成されている。 2. 甲は,乙に対し,以下の事項が本契約締結日において真実に相違ないことを表明し,保証す

る。 (1) 本件譲渡動産は,甲が適法に所有し,占有しており,第三者との間で,所有権・占有権 等に関する訴訟,調停,仲裁その他の法的手続又は紛争解決手続は一切存在しない。 (2) 本件譲渡動産には,法定担保物権を除き,用益物権,担保物権その他本件譲渡担保権を 害するような第三者の権利関係は存在せず,また,差押え,仮差押え,滞納処分その他 の乙の本件譲渡担保権の行使を阻害する法律関係及び事実関係は存在しない。 (3) 本件譲渡動産は,第三者が有する特許権,実用新案権,商標権,意匠権,著作権等の知 的財産権その他の権利を侵害するものではない。 (4) 本件譲渡動産の所有,取得及び権利行使について,所轄行政機関より取得すべき全ての 許可,認可,承認,確認等は取得されており,かつ現在も有効である。 (5) 本件譲渡動産につき,その品質,保存状態及び性能等に何らの物理的瑕疵及び法律的瑕 疵は存しない。 (6) 甲は,本件場所について,本件譲渡動産を使用,管理するために必要な使用権限を適法 かつ有効に有している。 (7) 本件場所以外に,別紙記載の種類に属する動産を保管する事務所,工場,倉庫,物流セ ンター等の保管場所は存在しない。 (8) 甲が,既に開示した資料の内容は真実かつ正確なものであり,重要なものを欠くもので はない。

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3. 甲は,乙に対し,前二項に定める表明及び保証のうち,いずれかが真実又は正確でないこと

が判明したときは,直ちに書面により通知しなければならない。

【参考:モデル契約(集合動産譲渡担保権設定契約書)】 第 13 条 (遵守事項) 甲:△△△株式会社 乙:株式会社●●銀行 1. 甲は,乙に対し,以下の事項を遵守することを確約する。 (1) 本件譲渡担保権の設定により乙から借り受ける貸付金を,甲乙間で定める資金使途以外 に使用しないこと。 (2) 甲の計算書類及び付属明細書等について,日本国において一般に公正妥当と認められて いる会計基準に従って適法かつ正確に作成すること。 (3) 毎決算期末時点での貸借対照表上の純資産の金額を●●●●円以上に維持すること。 (4) 毎決算期末時点での貸借対照表上の棚卸資産残高を当該決算期の平均月間売上高で除

した棚卸資産の回転月数を●か月以内に維持すること。 (5) 上記のほか,甲乙間で合意された事項を遵守すること。 2. 甲は,乙に対し,以下の事項を遵守することを確約する。 (1) 本件譲渡動産の全部又は一部の所有,取得,処分その他の権利行使について,所轄行政

機関より許可,認可,承認,確認等を必要とするときは,これらの行政手続を全て履践すること。 (2) 本件譲渡動産の全部又は一部の使用,処分等によって,第三者の特許権,実用新案権,商

標権,意匠権,著作権等の知的財産権を侵害するおそれがあるときは,適法かつ適式に通常実

施権(若しくは通常使用権)又は専用実施権(若しくは専用使用権)の設定,許諾を受けること。 (3) 本件譲渡動産の全部又は一部について,甲を権利者として特許権,実用新案権,商標権,

意匠権,著作権等の知的財産権を取得しようとするときは,当該権利若しくは法的地位の取得,

保全(対抗要件具備を含む。)等に必要な手続を適法かつ適式に履践すること。 (4) 本件譲渡動産の使用,品質維持,管理等に関して生じる公租公課を含む一切の費用を負

担し,支払期限までに適切に支払うこと。 (5) 本件譲渡動産の価値を品質劣化,毀損,処分等により,設定時に比して著しく下回らせない

こと。 (6) 本件譲渡動産を適切に管理,生産し,その品質,保存状態及び性能等に物理的瑕疵又は

法律的瑕疵を生じさせないこと。 (7) 本件譲渡動産の全部又は一部について,乙以外の第三者に対する占有の移転,譲渡,用

益物権の設定,担保物権の設定その他の処分をせず,又は通常の営業の範囲を超えて本件場

所から搬出しないこと。ただし,乙の事前の同意があった場合,又は本契約の定めにより認めら

れた場合はこの限りではない。 (8) 本件譲渡動産について,甲が本契約の定めにしたがって第三者に譲渡した場合には,同

種,同等の代替物を,甲の営業上相当の範囲で補充すること。ただし,別段の合意がある場合

はこの限りではない。 (9) 本件譲渡動産を使用,管理するために必要な本件場所の使用権限を適法かつ有効に保持

すること。 (10) 本件場所に,第三者が所有権,用益物権,担保物権その他の権利を有する本件譲渡動産

と同種の動産を搬入,保管しないこと。 (11) 本件場所以外に別紙記載の種類に属する動産を保管する事務所,工場,倉庫,物流セン

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ター等を新たに取得し,若しくは借り受けず,又は本件場所の名称を変更しないこと。ただし,乙

の事前の同意があった場合はこの限りではない。 (12) 本件譲渡動産の価値を維持するために必要な事業又は契約関係について,適法かつ適

正に維持すること。ただし,乙の事前の同意があった場合はこの限りではない。 3. 甲は,前二項に定める事項について遵守することができないと判断したときは,直ちに乙に対 して通知しなければならない。 4. 乙は,必要と認めるときは,本条に定める事項の遵守の有無について,甲の事務所,工場,倉 庫,物流センター等に立ち入り,帳簿その他の書類の閲覧,謄写等の調査及び在庫の調査を行 うことができ,甲はこれに協力しなければならない。

2.3.6 費用負担の合意

費用は全額をB 社が負担した。動産評価は評価委託者が銀行であったことから銀行側が費用

金額を手数料として受領し、評価会社に対しては銀行側からその費用を支払った。これは、評価

依頼者が誰であるかを明確化させる意図がある。

2.3.7 その他独自の特殊契約

本案件で特徴的な契約条項は特にない。「モデル契約」との比較としては、増担保について規

定していない。

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2.4 期中管理

期中管理は、営業店・商品所管部双方で対応している。増担保条項は入れていなかった。

2.4.1 モニタリングの方法・体制

(1) 実施体制

期中管理は、営業店・商品所管部双方で対応している。月次提出資料のモニタリングは営業

店が中心となり対応する一方、債権の内容確認や在庫評価を伴う年次の実査については商品

所管部が中心に対応した。勿論、年次、月次いずれにおいても営業店・商品所管部のいずれか

一方しか関与しないということはなく、必ず双方ともが関与の上で対応している。

評価会社からは年次再実査のサポートを受けることとした。

【留意点⑤】 期中のモニタリングにおいては、提出される資料からどのような情報が読み取れるのかを十分

に認識する必要がある。在庫データを月次で受領していても、データに記載された品名やコード

等が何を指すのか、分類分けはどのような基準に基づいてなされているか(例えば「『○○湾岸

倉庫』という分類の在庫の中には一部海外在庫が含まれている」といったことは良くあることであ

る)等を十分に理解していないと正確な実態把握、モニタリングを期待することが出来ない。 モニタリングにおいては、受領する資料の内容を本部の商品所管部のみならず、資料を直接

受領する営業店等の現場サイドも理解しておく必要がある。

図 2 モニタリングの体制図

(2) 提出資料

提出資料の概要を、表 4に示す。

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表 4 提出資料の概要

資料名 概要 周期(週・月・四半期等)

売掛金明細 販売先別売掛債権残高明細 毎月

製品明細 製品の明細 毎月

試算表 試算表 毎月

(3) 実態把握

実態把握は①月次でのモニタリング、②年次での実査により実施している。このモニタリング

は、担保対象資産価値の把握等保全のための行為ではあるが、それ以外の効果もあると考えら

れる。

年次の実査では、担保対象資産の評価のための分析や月次モニタリング資料記載内容の確

認を通じて、B 社が調達した「カネ」がどこに使われているのかがよく理解できた。また、かかる理

解を通じ必要な「カネ」はどの程度であり、それがどこから調達されているかについても整理され

た。担保価値の把握に留まらず、「カネ」の流れを把握することで貸出の資金使途が明確化され、

結果として与信管理の強化に繋がることになった。

2.4.2 モニタリング実施による期中対応

前述のとおり、ボロイング・ベース型の当座貸越であり、貸出可能金額が減額となった場合、同

貸出可能金額を超過する金額について、期限前弁済を規定している。

【留意点⑥】 最新の在庫情報がモニタリング提出される資料に反映されるまで一般的には1ヶ月程度のタイ

ムラグが発生すると考えられる。基本的には在庫仕入代金支払サイトがそれ以上であれば問題

ないが、例えば食品系等回転が早い在庫を担保にとった場合、顧客の資金ニーズに適切に対

応するため、ボロイング・ベースの算出方法を調整するケースもあり得る。

【留意点⑦】 担保物の評価はマーケットアプローチが主流である。市場価格の変動が激しい商材を担保物

にとった場合、ボロイング・ベースを採用すると貸出基準額が安定せず、顧客の資金ニーズを満

たすことができない可能性もあることに留意が必要である。場合によっては、コーポレートリスクを

勘案することでボロイング・ベース算出における掛け目を担保評価対比高めに設定し、一定水準

においては安定的な貸出基準額なるような運営とすることによって、顧客の資金ニーズを満たす

こともあり得る。

2.4.3 コベナンツ抵触時の期中対応

本案件ではコベナンツ抵触は発生しなかった。

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【留意点⑧】 コベナンツ抵触時の対応は抵触してしまった現実を踏まえ、今後抵触要因の解消に向け、ど

のように改善させていくかを顧客からヒアリングし、場合によっては改善策に関するコンサルティ

ングを行うことも重要である。

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

23

2.5 換価・処分

2.5.1 実行に至った背景と対応

換価・処分には至らなかったため、省略する。

2.5.2 処分ルート

処分ルートの検討は評価会社が担当していた。

処分方法は一般的に案件ごとその都度検討・作成される。

2.5.3 実際の換価処分額と評価額

換価・処分には至らなかったため、省略する。

なお、取得している評価は、評価会社が具体的な処分シナリオを策定の上、算出しており、前

提条件に沿った処分が出来た場合にはその評価に近い処分価値が出るものと考えている。

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3. 資料集

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3.1 資料の一覧

表 5 資料一覧表

資料# 資料名 概要

1 原材料明細 原材料の材質、サイズ、単価、在庫数と金額

2 製品在庫明細 材質、品目、在庫数、在庫金額

3 売掛金明細 得意先ごとに前月繰越残高、当月売上、当月入

金、次越繰越残高等

4 販売実績 品番ごとに在庫、入庫、出庫の数・金額と売上・

粗利

5 返品明細 品番ごとに返品本数、金額

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3.2 評価・モニタリング関連資料

表 6 原材料明細

素材在庫表(統合版)

Material

No 材質名 Sort 外径 焼入長さ 全長

移動

平均単価 在庫数 金額

1234000000 HSS 1 3.7 39 70 41 4 164

1234000000 HSS 1 3.8 39 70 50 7 350

1234000000 HSS 1 7.4 69 109 129 20 2580

1234000000 HSS 1 7.5 69 109 130 6 780

1234000000 HSS 1 9.4 81 125 196 71 13916

1234000000 HSS 1 14.2 108 160 501 65 32565

1234000000 HSS 1 14.7 114 169 526 3 1578

1234000000 HSS 1 15.2 114 169 581 41 23821

1234000000 HSS 1 15.7 120 178 793 28 22204

1234000000 HSS 1 16 120 178 1259 12 15108

1234000000 HSS 1 16.2 120 178 844 20 16880

1234000000 HSS 1 17.2 125 184 732 11 8052

1234123400 HSS 1 18.2 130 191 1181 57 67317

1234123400 HSS 4 3 16 79 76 2 152

1234123400 HSS 4 5.8 80 116 155 12 1860

1234123400 HSS 4 6 80 116 161 10 1610

1234123400 HSS 4 8 100 142 272 9 2448

1234123400 HSS 4 9.4 107 151 387 32 12384

1234123400 HSS 4 11 125 173 593 62 36766

1234123400 HSS 4 16.2 153 211 876 67 58692

1234123400 HSS 4 8.8 115 175 329 15 4935

1234123400 HSS 4 20.2 166 254 1999 47 93953

… … … … … … … … …

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素材在庫表(HSS穴なし)

Material No 材質名

分 Sort 外径

焼入

長さ 全長

シャンク

寸法

シャン

クタイ

プ

ド

ド

発注

先コ

ード

移動

平均

単価

在庫

数 金額

2050035003 HSS 1 205 3.7 39 70 ZL 1361 41 4 164

2050036003 HSS 1 205 3.8 39 70 ZL 1361 50 7 350

2050072003 HSS 1 205 7.4 69 109 ZL 1361 129 20 2,580

2050073003 HSS 1 205 7.5 69 109 ZL 1361 130 6 780

2050092003 HSS 1 205 9.4 81 125 ZL 1361 196 71 13,916

2050140003 HSS 1 205 14.2 108 160 ZL 1361 501 65 32,565

2050145003 HSS 1 205 14.7 114 169 ZL 1361 526 3 1,578

2050150003 HSS 1 205 15.2 114 169 ZL 1361 581 41 23,821

2050155003 HSS 1 205 15.7 120 178 ZL 1361 793 28 22,204

2050158003 HSS 1 205 16 120 178 ZL 1361 1259 12 15,108

2050160003 HSS 1 205 16.2 120 178 ZL 1361 844 20 16,880

2050170003 HSS 1 205 17.2 125 184 ZL 1361 732 11 8,052

2050180003 HSS 1 205 18.2 130 191 ZL 1361 1181 57 67,317

2110028003 HSS 1 211 3 16 79 ZL 1361 76 2 152

2110056003 HSS 1 211 5.8 80 116 ZL 1361 155 12 1,860

2110058003 HSS 1 211 6 80 116 ZL 1361 161 10 1,610

… … … … … … … … … … … … … … …

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

29

表 7 製品在庫明細

品番 種類 材質 品目 区分 分類記号 在庫数 在庫金額

0101 標準品 HSS ドリル 工具 G1 18,400 3,350,683

0102 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,510 582,359

0103 標準品 HSS ドリル 工具 G1 2,157 692,515

0104 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,408 360,306

0105 標準品 HSS ドリル 工具 G1 122 25,398

0106 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,543 456,374

0107 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3,273 1,148,581

0108 標準品 HSS ドリル 工具 G1 447 260,879

0109 標準品 HSS ドリル 工具 G1 643 357,139

0110 標準品 HSS ドリル 工具 G1 33 24,223

0111 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3,969 1,784,269

0112 標準品 HSS ドリル 工具 G1 73 21,735

0113 標準品 HSS ドリル 工具 G1 107 23,279

0114 標準品 HSS ドリル 工具 G1 717 237,162

0115 標準品 HSS ドリル 工具 G1 50 8,709

0116 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1 261

0117 標準品 HSS ドリル 工具 G1 4 10,509

0118 標準品 HSS ドリル 工具 G1 700 304,480

0119 標準品 HSS ドリル 工具 G1 14 19,986

0120 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3 7,701

0121 標準品 HSS ドリル 工具 G1 20 84,254

0122 標準品 HSS ドリル 工具 G1 9 50,643

0123 標準品 HSS ドリル 工具 G1 8 89,309

0124 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,124 2,033,040

0125 標準品 HSS ドリル 工具 G1 9 22,535

0126 標準品 HSS ドリル 工具 G1 61 94,197

0127 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1 3,308

0128 標準品 HSS ドリル 工具 G1 15 207,815

0129 標準品 HSS ドリル 工具 G1 7 90,387

0130 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1 19,644

0131 標準品 HSS ドリル 工具 G1 6,028 1,688,385

0132 標準品 HSS ドリル 工具 G1 181 45,770

0133 標準品 HSS ドリル 工具 G1 5,169 2,332,503

0134 標準品 HSS ドリル 工具 G1 895 752,684

0135 標準品 HSS ドリル 工具 G1 91 50,790

0136 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,262 1,008,927

0137 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 472 465,855

0138 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 5 21,730

0139 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3,544 1,556,564

0140 標準品 HSS ドリル 工具 G1 339 129,510

0141 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3,180 2,065,103

0142 標準品 HSS ドリル 工具 G1 259 1,281,513

0143 標準品 HSS ドリル 工具 G1 13 42,479

0144 標準品 HSS ドリル 工具 G1 43 261,385

0145 標準品 HSS ドリル 工具 G1 4 48,989

0146 標準品 HSS ドリル 工具 G1 3 76,968

0147 標準品 HSS ドリル 工具 G1 54 37,295

0148 標準品 HSS ドリル 工具 G1 92 706,845

0149 標準品 HSS リーマー 工具 G1 11 11,113

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

30

品番 種類 材質 品目 区分 分類記号 在庫数 在庫金額

0150 標準品 HSS リーマー 工具 G1 1 2,517

0151 標準品 HSS リーマー 工具 G1 1 422

0152 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 301 192,275

0153 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 40 131,640

0154 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 1 836

0155 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 5 5,172

0156 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 1 1,264

0157 標準品 HSS リーマー 工具 G1 3 2,368

0158 標準品 HSS リーマー 工具 G1 7 3,321

0159 標準品 HSS リーマー 工具 G1 1 551

0160 標準品 HSS リーマー 工具 G1 28 36,223

0161 標準品 HSS リーマー 工具 G1 848 615,995

0162 標準品 HSS リーマー 工具 G1 655 475,636

0163 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 2 10,784

0164 標準品 HSS カウンターシンク 工具 G1 3 26,157

0165 標準品 HSS ドリル 工具 G1 1,345 761,166

0166 標準品 HSS ドリル 工具 G1 889 1,027,251

0167 標準品 HSS ドリル 工具 G1 291 551,679

0168 標準品 HSS ドリル 工具 G1 195 507,242

0169 標準品 HSS ドリル 工具 G1 4,265 3,700,077

0170 標準品 HSS ドリル 工具 G1 7,481 3,705,628

0171 標準品 HSS ドリル 工具 G1 116 101,878

0172 標準品 HSS ドリル 工具 G1 47 37,147

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

31

表 8 売掛金明細

コード 得意先名 前月

繰越残高 当月売上

当月

消費税 当月合計 当月入金

次月

繰越残高

1364 abcCuttingToolCo.Ltd

6,079,820

121,100

-

121,100

-

6,200,920

1366 ABLTAIWAN LTD.

-

37,935

-

37,935

37,935

-

1368

ABL

(Thailand)Co.,Ltd.

511,488

463,112

-

463,112

511,488

463,112

1372 ABLKOREA CO.,LTD

16,980,440

1,669,800

-

1,669,800

-

18,650,240

1373 ABL Inc.

77,480

3,410,400

-

3,410,400

77,480

3,410,400

1376 ABL INDONESIA

993,029

288,840

-

288,840

-

1,281,869

4101

mnbv Tool Support

Co.,Ltd.

344,140

98,090

-

98,090

344,140

98,090

201042 AA機鋼㈱

1,263,061

468,510

23,426

491,936

562,223

1,192,774

201053 ㈱CC

90,300

-

-

-

90,300

-

201066 DD㈱ 京都営業所

49,396

90,828

4,541

95,369

44,608

100,157

201069 BBツール㈱

3,246,401

47,238

2,362

49,600

1,702,428

1,593,573

201074 ㈱EE

62,339

24,240

1,212

25,452

62,339

25,452

201075 ㈱FF

946,773

1,340,930

67,047

1,407,977

946,773

1,407,977

201125 DD㈱ 東京支店

443,527

581,013

29,050

610,063

443,527

610,063

201126 ㈱AA鋼機(本社)

692,234

538,236

26,912

565,148

207,002

1,050,380

201129 ㈱GG

2,560,287

2,615,334

130,767

2,746,101

2,560,287

2,746,101

201132 ㈱AA鋼機 長野営業所

905,721

1,016,240

50,812

1,067,052

576,503

1,396,270

201133 ㈱AA鋼機 甲府営業所

463,397

190,292

9,515

199,807

200,283

462,921

201174 HH産業㈱

136,658

167,476

8,374

175,850

136,658

175,850

201195 II株式会社 本社

353,237

83,530

4,177

87,707

-

440,944

201196 II㈱ 大阪営業所

-

19,440

972

20,412

-

20,412

201236 ㈱JJ

31,602

-

-

-

4,757

26,845

201244 KK機工㈱ 九州営業所

95,201

148,246

7,412

155,658

95,201

155,658

201245 ㈱LL

85,341

-

-

-

-

85,341

201248 MM機工㈱

1,307,641

447,899

22,395

470,294

744,572

1,033,363

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

32

コード 得意先名 前月

繰越残高 当月売上

当月

消費税 当月合計 当月入金

次月

繰越残高

201259 ㈱NN豊商会

36,645

79,605

3,980

83,585

-

120,230

201296 PP㈱ 広島営業所

8,736

-

-

-

8,736

-

201297 PP㈱ 名古屋(営)

100,928

40,576

2,029

42,605

100,928

42,605

201299 PP㈱

160,903

34,639

1,732

36,371

79,494

117,780

201310 ㈱QQ 茨城営業所

53,733

154,809

7,740

162,549

53,733

162,549

201311 ㈱QQ 仙台営業所

279,933

211,044

10,552

221,596

279,933

221,596

201312 ㈱QQ 名古屋営業所

1,239,655

952,547

47,627

1,000,174

1,239,655

1,000,174

201313 ㈱QQ(本社)

6,702,020

2,806,770

140,339

2,947,109

6,702,020

2,947,109

201317 ㈱サトク

-

33,800

1,690

35,490

-

35,490

201319 HH産業㈱ 本社

221,285

342,558

17,128

359,686

221,285

359,686

201324 HH産業㈱ 北関東支店

404,855

95,847

4,792

100,639

404,855

100,639

201328 ㈱RR

-

276,000

13,800

289,800

-

289,800

201338 ㈱SS

1,026,546

892,336

44,617

936,953

800,981

1,162,518

201349 KK機工㈱ 東大阪支店

203,002

220,713

11,036

231,749

203,002

231,749

201350 KK機工㈱

241,114

672,487

33,624

706,111

241,114

706,111

※注:関係者保護のため名称やデータを一部変更しています。

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

33

表 9 販売実績

品番 前年末

在庫数

前年末

在庫金額

当年

入庫数 当年入庫額 当年出庫数 当年出庫額 当年売上額 当年粗利額

当年期末

在庫数

当年年期末

在庫金額

101 0 3 41,163 3 41,163 73,548 46,240 0

102 14,457 3,134,466 99,295 9,155,169 95,187 8,898,412 15,675,022 6,808,497 18,565 3,391,223

103 1,694 651,720 969 359,089 1,061 404,502 894,880 537,503 1,602 606,307

104 2,297 713,107 983 338,447 1,009 332,186 801,253 470,587 2,271 719,368

105 1,419 363,373 186 100,619 201 110,012 241,615 136,823 1,404 353,980

106 122 25,398 0 0 0 0 0 0 122 25,398

107 0 22 6,484 22 6,484 15,696 9,996 0

108 1,593 443,819 1,942 387,550 2,067 402,667 921,070 526,131 1,468 428,702

109 3,279 1,161,329 2,484 657,639 2,717 735,277 1,818,001 1,087,011 3,046 1,083,691

110 472 271,408 193 79,407 177 73,081 159,351 89,600 488 277,734

111 641 344,603 357 174,497 310 140,803 295,762 160,665 688 378,297

112 33 24,223 0 0 0 0 0 33 24,223

113 5,388 2,004,129 8,715 1,767,776 9,762 1,903,129 4,618,039 2,724,036 4,341 1,868,776

114 102 27,404 546 182,134 501 167,153 332,390 171,604 147 42,385

115 102 23,024 214 91,859 219 93,514 191,896 101,335 97 21,369

116 723 232,539 431 153,120 434 147,682 322,608 181,234 720 237,977

117 50 8,709 0 0 0 0 0 50 8,709

118 1 261 0 0 0 0 0 1 261

119 5 12,159 5 18,418 5 18,418 28,113 12,894 5 12,159

120 783 358,012 98 61,995 180 114,841 152,540 88,780 701 305,166

121 7 11,853 66 77,526 70 82,002 179,622 98,193 3 7,377

122 4 11,839 13 44,752 13 44,752 115,944 71,787 4 11,839

123 7 28,046 97 397,071 86 362,090 843,550 481,829 18 63,027

124 3 16,872 18 108,225 17 100,244 238,029 137,783 4 24,853

125 2 22,159 13 146,819 11 124,027 273,190 149,831 4 44,951

126 1,267 2,012,990 1,391 2,249,145 1,519 2,225,913 3,197,120 1,156,762 1,139 2,036,222

127 8 19,708 2 4,191 2 4,191 8,565 7,041 8 19,708

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品番 前年末

在庫数

前年末

在庫金額

当年

入庫数 当年入庫額 当年出庫数 当年出庫額 当年売上額 当年粗利額

当年期末

在庫数

当年年期末

在庫金額

128 71 112,491 85 290,135 95 308,429 443,809 151,662 61 94,197

129 1 3,308 30 257,877 30 257,877 230,288 111,145 1 3,308

130 0 5 40,002 5 40,002 62,669 36,127 0

131 0 5 73,932 5 73,932 65,674 54,502

132 5 2,490 5 2,490 4,110 1,715

133 9 117,833 69 1,069,762 62 959,714 2,060,445 1,109,195 16 227,881

134 5 56,451 10 145,882 9 129,452 273,552 1,444,101 6 72,881

135 1 19,644 1 29,704 1 29,704 63,275 33,559 1 19,644

136 6,483 1,741,132 3,122 942,446 3,729 1,051,771 2,481,389 1,436,168 5,876 1,631,807

137 181 45,770 5 1,700 5 1,700 4,240 3,150 181 45,770

138 5,125 2,279,882 3,215 905,834 3,014 840,839 1,787,225 976,224 5,326 2,344,877

139 897 754,118 0 0 1 668 1,590 922 896 753,450

140 146 81,775 136 71,824 180 95,516 186,304 95,229 102 58,083

141 1,272 1,010,139 671 349,234 709 360,404 879,989 524,397 1,234 998,969

142 3 4,206 0 0 3 4,206 7,650 2,985 0 0

143 578 548,171 1,927 1,839,840 2,205 2,089,313 4,627,954 2,544,785 300 298,698

144 0 9 38,433 9 38,433 78,185 40,205 0 0

145 3,552 1,604,981 1,433 586,852 1,522 697,070 1,723,086 1,054,388 3,463 1,494,763

146 343 130,606 2 1,882 4 2,609 6,074 3,804 341 129,879

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表 10 返品明細

品番 返品本数 返品金額

101 -201 -59,988

102 -3 -13,620

103 -18 -16,990

104 -16 -12,695

105 -1 -917

106 -12 -8,110

107 -13 -72,328

108 -2 -6,090

109 -1 -34,768

110 -70 -50,980

111 -6 -9,795

112 -9 -31,409

113 -2 -17,892

114 -10 -10,760

115 -2 -19,950

116 -14 -60,287

117 -1 -8,236

118 -1 -1,573

119 -22 -20,763

120 -17 -41,440

121 -3 -7,302

122 -1 -11,538

123 -219 -285,409

124 -326 -256,308

125 -1 -6,917

126 -1 -6,207

127 -39 -55,601

128 -27 -11,718

129 -3 -16,059

130 -10 -7,704

131 -13 -19,529

132 -3 -14,364

133 -3 -23,475

134 -10 -8,950

135 -4 -4,902

136 -90 -45,340

137 -7 -16,842

138 -2 -15,170

139 -28 -71,501

140 -2 -8,810

141 -1 -1,351

142 -2 -24,073

143 -173 -145,904

144 -20 -23,445

145 -67 -49,510

146 -5 -16,234

147 -148 -187,865

148 -105 -116,140

149 -68 -70,932

150 -35 -41,520

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品番 返品本数 返品金額

151 -1 -4,282

152 -25 -21,600

153 -13 -28,173

154 -3 -4,470

155 -42 -82,251

156 -13 -50,956

157 -10 -6,950

158 -1 -18,972

159 -26 -183,918

160 -2 -30,888

161 -445 -1,516,626

162 -227 -995,296

163 1,071,298

164 -5 -16,890

165 -120 -101,970

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

i

ABLの実務的な対応像の参考例③

業種 金属精錬業

担保目的物 動産(貴金属)

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

ii

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1

1. 案件の全体像

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2

1.1 案件の概要

本件は、都市銀行が既存顧客である金属精錬業を営む業者に対してABLを実施したも

のである。顧客の年間売上高はおよそ数百億円、総資産はおよそ数十億円であり企業規模

としては大企業に該当する。

顧客は、貴金属を含有するスクラップを仕入れ、自社精錬工場で貴金属を抽出して販売

している。最終製品の貴金属の回収期間は短いものの、スクラップの在庫を一定程度保有

しておく必要があることから、運転資金の調達ニーズがあった。

本件の特徴は、以下が挙げられる。

� 都市銀行が取り組んだ案件であること

� 担保目的物が貴金属という市場価格が公表されているものであるため、銀行自身に

よる評価が可能であったこと

� 実査・モニタリングを銀行グループで内製化していること

銀行側の基本スタンスは「企業の実態把握重視型」のABLであり、担保となる在庫を

評価・モニタリングして継続的に企業の営業活動を把握し、信用リスクの軽減に主眼をお

くものであった。

本件の取組み趣旨は、以下のとおりである。

① 従来活用していなかった在庫を活用することで、必要運転資金枠を安定的に確保する

仕組みを確立すること

② 在庫の内容や商流の状況確認及びモニタリングを関連会社との連携により効率的に行

いつつ、企業の実態把握を進めること

銀行としては、顧客に対してこれまで無担保で融資を行ってきたが、融資金額が増えて

きていたため不動産の担保提供について交渉するも、なかなか了解が得られない状況にあ

った。

また、在庫(特にスクラップ)の適正な水準の理解が難しい企業であったため、、追加

の融資にあたっては、何らかの保全を固め、実態把握を進めることを目的としてABLの

形態を採用した。融資形態は当座貸越であり、ボロイング・ベース(貸付可能額)を上限

として毎月の融資金額を決定する方式とした。

一般的にボロイング・ベースとは、顧客から定期的に受領する担保資産のデータ(動産

の場合:数量、価格等)から算出した担保価値に、ヒストリカルデータ等による一定の掛

け目(動産の場合:価格の変動幅、簿価と回収実額の乖離幅、担保資産の毀損率、処分に

かかる費用等)を乗じる等して決定するものであり、以下のような顧客に対しては有効な

方式と考えられる。

� 担保資産の動きと資金繰りとが密接に関連している顧客

� データの整備状況、提出資料の信憑性等、合理的に担保資産の確認、把握が可能な

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

3

顧客

当該顧客の場合、以下のような特徴があったことから、ボロイング・ベースでの融資に

適していると判断した。

� 決済は概ね現金決済であり、担保資産(在庫)の残高と運転資金とが見合うと考え

られたこと。

� 在庫の状況等を管理するシステム等の体制が整っており、また監査法人による監査

を受けていたため、担保資産の確認、把握が可能であり、提出書類等に信憑性が認

められると考えられたこと。

上記の検討を通じ、銀行ではボロイング・ベースによるABLが相応しいと判断し、約

10 億円の新規融資を実施した。

本件については、極度や適用金利は見直しているものの、当初設定した貸出形態を維持

し、現在もABLによる融資を継続中である。

案件の概要を表 1 に示す。

表 1 案件の概要1

項目 概要

貸出人 都市銀行

借入人の

事業規模

年間売上規模: 数百億円

総資産: 数十億円

事業概要 貴金属を精錬・販売

業種・業態 金属精錬業

担保目的物 動産(貴金属)

取組金額 約 10 億円(当座貸越設定金額)

融資期間 1 年(当座貸越枠を自動更新)

資金使途 運転資金

1 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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4

1.2 基本的なスキーム

都市銀行が、メインバンクとして C 社にABLを実施した。担保目的物は、スクラップ

から抽出した貴金属(金、プラチナ等)であった。

実行時には、C 社に対し当座貸越枠を設定するとともに、在庫に担保権を設定した。ボ

ロイング・ベースは、公表されている貴金属の価格を参考に在庫の価格を銀行側で算出し、

そこから処分にかかる費用を差し引いた金額とした。

担保設定に際しては、動産譲渡登記で対抗要件を具備している。また、銀行の関連会社

が C 社の在庫の実査を行い、在庫の保管状況を確認した。

ABL実施後は、C 社は週次で銀行に在庫の数量を報告し、銀行側は報告データに基づ

いて在庫の評価額及びボロイング・ベースを算出(毎月 1 回)した。また、銀行の関連会

社も毎月実査を行い、数量報告が正確であるか確かめた。

本スキームにおける特徴の一つは、評価・実査ともに銀行のグループ内で行った点であ

る。C 社は信用力に特段懸念があった先ではなく、担保処分による回収よりも実態把握を

主目的としていたため、本件では関係当事者を銀行グループに限定して取り組んだ。

担保物である貴金属(金・プラチナ)は田中貴金属工業(株)がホームページで公表し

ている市場価格情報を利用することによって、銀行でおおまかな評価額を算定した。また、

担保の実査については銀行の関連会社に数量の検査だけに業務を限定して委託した。

基本的なスキームは図 1に示す。

図 1 基本的なスキーム

貸付人の

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5

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2. 金融機関における実務的な対応像

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7

2.1 営業・提案

C 社は貴金属を含有するスクラップを仕入れ、自社精錬工場で溶解して貴金属を抽出し、

加工・販売している。最終製品の貴金属の回収期間は短いものの、スクラップの在庫を一

定程度保有しておく必要があることから、運転資金を機動的に調達するための資金調達枠

の設定の依頼があった。

銀行としては C 社の実態把握が予てからの課題であったことから、ABLを活用することで、保

全強化をはかりつつ C 社の実態把握を進め、運転資金調達ニーズに応えようとした。

2.1.1 取組経緯・案件の適合性選別

(1) 取り組み経緯

上述の通り、C 社に対する新規与信を検討するにあたり、在庫の担保取得により保全強化を図

りつつ、担保評価から期中管理に至るプロセスの中で、C 社の状況や業務の実際をつぶさに観

察することができるというABL本来の長所を活用することで、より詳細な企業実態の把握につな

げる狙いがあった。

また C 社としても、対象資産を担保とした資金調達スキームを導入することで、在庫を一定程

度確保する際の運転資金を機動的に調達できるというメリットがあった。

(2) 案件の適合性選別

本件のABLへの適合性を判断した際のポイントを以下に示す。

第一に、無担保融資の可否や不動産等の他に担保徴求が可能な資産の有無の検討が挙げ

られる。C 社の場合は、C 社自身の信用力は少なからずあったものの、既に一定額の与信

があり、無担保での追加の融資が難しい状況にあったことに加え、C 社は不動産を担保提

供することに難色を示していた。

第二に、C 社との信頼関係の強さが挙げられる。C 社とはメインバンクとしてのリレー

ションは構築されていたため、協力が得られる状況にあり、ABLを実施する前段階で、

取組に対する不安や障害は少なかった。

第三に、担保資産に対する評価容易性が挙げられる。本件では、C 社の在庫は貴金属及

び貴金属が含まれるスクラップであり、公表されている情報を用いることにより、銀行で

も担保目的物のおおよその価値評価が可能であった。(田中貴金属工業(株)のホームペー

ジ2で貴金属の市場価格をタイムリーに知ることができるため、比較的簡便に価値を把握す

ることができる。)

2.1.2 事前説明事項・理解度

銀行は C 社に対して融資スキームについて事前説明を手厚く行った(参考資料参照)。

説明資料は図面をふんだんに盛り込んだスライド形式のものを作成し、ABLという新し

いスキームについて理解が進むよう最大限留意していた。特に、ボロイング・ベースの仕

組みについては、C 社側も不慣れであるため、特に手厚く説明を実施した。

事前説明事項は以下であった。

2 http://gold.tanaka.co.jp/index.php

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� 融資スキームの概要

� ボロイング・ベース(貸出可能額)について

� 算出方法

� 運営要領

� ABL実行スケジュールの提案

� 基準日等について

� 協議事項

� モニタリング方法

� 本社及び工場への往訪のタイミング、実査方法

� 週次報告データの形態

� 導入コスト

� アレンジメント手数料

� ファシリティー更新手数料

� 実査に関する手数料金利

� 実費(登記費用、弁護士費用)

2.1.3 協力体制・信用不安

(1) 協力体制

一般的に、ABLでは通常の融資より多くの資料の提出を受けることになるため、顧客の協力

体制の構築が不可欠である。そのため、顧客とのリレーションが一層重要になるだけでなく、顧客

がABLで融資を受けることへの理解、納得感が必要となる。

本件では、ABL取組以前から銀行と C 社間では信頼関係が構築されており、新規与信の供

与という段階においては、ABLという新たな取組に対して協力も取り付けやすかった。また、AB

Lが、不動産を担保提供せずに運転資金を機動的に調達するという C 社が希望した融資手法で

あった点も、通常の融資に比べて事務負担が重いABLでの取組にもかかわらず、動産の担保

提供を含め、協力が得られた要因であったと思われる。

(2) 信用不安

銀行の融資額が他行と比べてもかなり多かったこと、C 社が不動産担保の提供を拒んでいた

ため他行にとっても追加支援のハードルが高かったこと等を鑑みると、メインバンクが運転資金を

支援する手法として在庫を担保徴求することについては、他行にも一定の理解が得られたものと

思われる。

また、担保対象資産に対しては動産譲渡登記を実施したが、債権担保の場合のように債務者

への通知等、登記の事実を積極的に知らしめてはいないことに加え、そもそも C 社の商取引は

現金決済がほとんどであるため、仮に C 社の信用力が悪化したと見なされても、取引に与える影

響は軽微であると考えられることから、ABL取組による C 社の信用不安への懸念については、特

に議論にはならなかった。

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2.2 担保評価

2.2.1 必要書類入手のタイミング

入手書類は、在庫表であり、店舗ごとに在庫の種類及び数量が整理されたデータ(貴金属含

有量の情報を含む)が記載されていた。

表 2 入手書類の概要

書類名 概要 入手時期

①本店、支店(工場)

の施設見取り図 在庫保管場所が分かる図面 契約日付の 1ヶ月程度前

②各種在庫管理帳票

の書式

在庫表の報告フォーマットを決める

ために、まずは C 社における帳票の

書式を確認することを意図して入手

契約日付の 2ヶ月程度前

③在庫表

毎週金曜日時点での、保管場所ごと

の在庫種類・数量、及び貴金属含有

量が記載

毎週金曜日の翌営業日

①、②については契約前に C 社より入手し、内容を把握した。

③についてはボロイング・ベースの算定及び融資実行後のモニタリングに使用するものであり、

毎週金曜日を基準日とし、その翌営業日に C 社から入手した。

2.2.2 内製化と外部事業者の切り分け

担保評価は関連会社も活用することで、銀行内で完全に内製化した。貴金属のようにお

およその市場価格を簡便にチェックすることができ、また顧客の在庫管理が適切に実施さ

れている場合は、外部事業者に依頼せずとも内製化が可能であることが示唆される。

2.2.3 先行譲渡・所有権留保の有無の調査

履歴事項全部証明書を取得することにより、先行する登記の有無を確認した。その他の譲渡や

所有権留保の有無については、表明保証に依拠した。

2.2.4 具体的な調査対象と評価手法

調査対象は、貴金属(主に金及びプラチナ)を含有するスクラップ及び店頭在庫であった。

データは、C 社が提供した店舗ごとの在庫(貴金属含有量の情報を含む)情報である。提供デ

ータの適切性は、毎月、実際に倉庫等で提供データと在庫の数量とを突合すること確認した。

評価額は、田中貴金属工業(株)のホームページにて公表されている単位重量当たりの貴金

属市場価格に C 社提供データを乗じて算出した。その際、以下の掛け目を設定した。

①価格変動に関する掛け目

②処分コストに関する掛け目

③月中の数量変動に関する掛け目

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2.3 審査回答・担保設定・契約

融資形態は当座貸越を用い、金額も極度枠で10億円程度であった。C 社の理解が得られた

ため、担保物の登記も実施した。

2.3.1 融資形態、金額、融資方式の説明方法

(1) 融資形態

当該 C 社は以下のような特徴があったことから、融資形態として、顧客から定期的に受領する

担保資産のデータを基に貸付可能額(ボロイング・ベース)を算出する、ボロイング・ベース型当

座貸越が適していると判断した。

� 決済は概ね現金決済であり、担保資産(在庫)の残高と運転資金とが見合うと考えら

れたこと。

� 在庫の状況等を管理するシステム等の体制が整っており、また監査法人による監査を

受けていたため、担保資産の確認、把握が可能であり、提出書類等に信憑性が認めら

れると考えられたこと。

(2) 取組金額

当座貸越の極度枠を約10億円と設定した。但し、実際の融資金額は毎月のボロイング・ベー

スが上限額となる。

(3) 融資方式の説明方法

面談を通じて C 社と協議し、融資条件の説明の一部として、本部と支店担当者にて融資方式を説

明した。

2.3.2 第三者対抗要件の具備(対象物の特定・方法)

(1) 対象物の特定方法

動産の種類を、貴金属を含むスクラップ及び店頭在庫とし、保管場所を C 社本社、全国に点

在する十数箇所の支店工場として、動産譲渡登記を実施した。担保物の特定のため、保管場所

の確認は丁寧に行った。

C 社は登記に特段の拒否反応は示さず、協力的であった。

(2) 担保目的物の明認方法

本件においては、明認方法は実施しなかった。特段 C 社の信用力に懸念がなかったこと、C 社

のABLや遵守事項に対する理解度が高かったこと、銀行との信頼関係がすでに構築されていた

ことが背景としてある。

2.3.3 「通常の営業の範囲」の認識共有

根担保契約書においては、以下のように通常の営業の範囲について記載があるが、特段 C 社

の信用力に懸念がなかったこともあり、それについての詳細な規定は設けず、C 社との間で明確

な認識摺り合わせはしなかった。

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契約上、通常の営業については、下記に示す記載とした。

根担保契約書の条項(抜粋) 「担保権者は、借入人に対して、通常の営業の範囲内において、担保動産を売却する権限(以

下、「担保動産処分権限」という。)を付与する。」

2.3.4 保険付保の有無、質権設定の取り決め

担保物件については、高価商材であることもあり、警備会社と契約しており、盗難保険がかけ

られていた。

なお、工場で保管されている在庫に関し、工場への事前ヒアリングによって、溶解中のスクラッ

プは危険が伴うため盗難のリスクはそもそも低いこと、加工された製品やインゴットは即日本店に

出荷されることを確認済みであった(参考資料参照)。

既存保険に対する質権設定は行わなかった。

2.3.5 表明・保証、コベナンツの設定

(1) 表明・保証の内容

担保動産に関わる表明・保証については、根担保契約書に記載された。特に特別な条項はな

かったが、銀行側と C 社間の信頼関係により、特に問題なく上記の設定事項に合意が得られた。

表明・保証に関する条項(根担保契約書より抜粋) ○借入人は、本契約締結日において、担保動産について次の各号に掲げる事項が真実か

つ正確であることを表明及び保証する。 ①担保動産に関する一切の権利、権原及び利益は、本契約に基づき担保権者が有する

権利、権原又は利益を除き、借入人のみに帰属すること。また、担保動産につき、担保

権者以外の第三者に対する譲渡、担保権設定、その他担保権者の権利を害するおそ

れのある処分が一切行われておらず、借入人が第三者のために将来これらの行為を行

う旨の債務を負担していないこと。 ②担保動産には、商品価値に影響を及ぼす可能性のある何らの瑕疵が存在しないこと。 ③本契約に従った担保権設定手続きにより、担保動産につき、担保権者を第一順位とす

る第三者対抗要件を具備した有効な根譲渡担保権が成立すること。 ④担保動産につき、滞納処分による差押、第三者による訴訟の提起、仮差押、仮処分、保

全差押、差押、強制執行又は競売等の申立が行われておらず、かつそのおそれもない

こと。 ○借入人は、担保動産明細の各提出日において、担保動産明細に記載の内容その他担保

権者に提供した一切の情報が真実かつ正確であることを表明及び保証する。また、借入

人は各実査日において担保動産明細と担保物の実数に乖離を生じさせない。但し、担保

動産の管理においてその影響が軽微と担保権者が判断する乖離はこの限りではない。

(2) コベナンツの設定

財務制限条項について、下記のように一般的な遵守事項を設定していた。

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財務制限条項(抜粋) ①インタレストカバレッジレシオ1以下としないこと

インタレストカバレッジレシオとは、金利等の負担能力を示す指標のことをいい、最終の決算

期に関する貸借対照表により以下の算式で算出されるものをいう。 (営業利益+受取利息)/支払利息

②2期連続赤字としないこと 2期連続赤字とは、最終の決算期及びその前の決算期において、損益計算書(もしくはこれ

に準じるもの)における当期利益が赤字である場合をいい、3期以上連続して当期利益が赤

字になる場合も改めてこの条項に該当するものとする。 ③債務超過としないこと 債務超過とは、最新の決算期の貸借対照表において、負債が資産を上回る状態をいう。

2.3.6 費用負担の合意

費用は全額を C 社が負担した。

銀行側は、関連会社が行う実査の内容や頻度、ボロイング・ベースの算出には実査結果も勘

案すること等を説明し、本スキームの運用には実査が不可欠であることを C 社に理解させること

で、実査に関する費用は C 社が負担することの了解を得た。

2.3.7 その他独自の特殊契約

本案件で特徴的な契約条項は特にない。「モデル契約」との比較としては、増担保について規

定していない。

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2.4 期中管理

期中管理は、C 社より週次で在庫表を受領し、関連会社が月次で実査を実施しており、在庫情

報は細やかに管理・把握することができている。

2.4.1 モニタリングの方法・体制

(1) 実施体制

モニタリングの体制は実査を関連会社に委託していた点を特徴として挙げることがで

きる。担保在庫のモニタリングの詳細は以下である。

① 週次

C社から在庫の残高に関する資料(下記(2)参照)を受領し、ボロイング・ベース

との乖離状況を確認(後記 2.4.2 参照)。

② 月次(実査)

関連会社が、C社本社で行われる残高照合作業に同席し確認を行う。併せてC社より受

領している週次資料との整合性を確認する。

③ 年2回(実査)

関連会社が、C社工場で行われる残高照合作業に同席し確認を行う。

実査については、月次作業は C 社本社で保管されている在庫に限定し、年 2 回実施の工

場への実査も主要工場に限定する等、モニタリングの実効性と実査の効率性とのバランス

を考慮した。また、C 社自身が行う残高照合作業に同席することで、C 社の追加の事務負

担を軽減した。

なお、本社及び実査の対象とした工場の保管在庫で、C 社が保有する全在庫の80%程

度を占めている。

(2) 提出資料

C 社は毎週金曜日時点で保有する在庫動産の状況を示す資料を提出した。毎週充実した

資料を提出できた背景として、C 社自体が商材の実態を正確に把握し、ドキュメント化す

る社内システムを有していたことが考えられる。

(3) 実態把握

在庫の内容(製品・スクラップの別、金・プラチナの別、店舗別等)を把握できたことにより、銀行

のフロント部署だけではなく、審査部署も C 社の業務内容や商流について理解が深まり、過度に

保守的にならずに弾力的な資金支援を行うことが可能となった。

2.4.2 モニタリング実施による期中対応

(1) ボロイング・ベースの算出

C社から週次で受領する在庫資料及び関連会社が月次で実施している実査の結果を基に、

ボロイング・ベースを毎月算出して C 社に通知した。C 社はボロイング・ベースの範囲内

で、当月の借入希望額を銀行に申し込む。

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(2) 在庫減少時の対応

C 社から週次で在庫資料を受領するが、在庫の減少に伴って在庫評価額がボロイング・

ベースを下回った場合には、専用口座に一定のキャッシュリザーブを行うか、または取組

済みのABLへの内入を行うことを条件としている。

2.4.3 コベナンツ抵触時の期中対応

コベナンツ抵触は特に生じなかった。在庫データに関しては関連会社による実査により数量に

誤りがないことが確認できた。数値の異常値については予め具体的なとりきめはなかった。

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2.5 換価・処分

2.5.1 実行に至った背景と対応

換価・処分には至っていないため、省略する。

2.5.2 処分ルート

C 社は信用力が高く、銀行は換価・処分を想定していなかったため、処分ルートの事前検討は

行っていなかった。

2.5.3 実際の換価処分額と評価額

換価・処分には至っていないため、省略する。

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3. 資料集

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3.1 資料の一覧

表 3 資料一覧表

資料# 資料名 概要

1 提案資料 C社へのABL提案資料。パワーポイント形式で

ボロイング・ベースの原理等

2 事務説明資料 ABL実施にあたっての事務手続き資料。在庫保

管場所が分かる資料の提出を求めている。

3 顧客提供資料

C社から銀行にFAX送信された在庫一覧表。支

店ごとに製品在庫、スクラップ在庫の金、プラチ

ナ量

4 ボロイング・ベース

算出表

金・プラチナの担保価値に基づき、ボロイング・

ベースを算出。

5 打合せ資料 工場を訪問し製造フローを見学。プロセス管理、

帳票類の整備状況、盗難可能性を検証。

6

リボルビング・ファ

シリティー契約書

(抜粋)

一般的なリボルビング・ファシリティー契約書

7 根担保契約書(抜

粋) 保管場所も図面に具体的に指定したものを記載。

8 週次在庫推移 週次でモニタリングした在庫量、相場、在庫金額

を記載。

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3.2 営業・提案関連資料

3.2.1 提案資料

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3.2.2 事務説明資料

C株式会社 御中

在庫を活用した在庫を活用した在庫を活用した在庫を活用したABLABLABLABL事務手続のご案内事務手続のご案内事務手続のご案内事務手続のご案内

1111、必要なお手続、必要なお手続、必要なお手続、必要なお手続

(1)動産譲渡登記の準備

年1回動産譲渡登記を実施します。必要な書類は下記の通りです。

① 委任状(動産譲渡登記・登記事項証明書取得用)各1通

② 印鑑証明書 2通

③ 資格証明書 2通

登記の内容(貴社所在地など)についてご確認をお願い申し上げます。

(2)損害保険への質権設定準備

2222、事務手続、事務手続、事務手続、事務手続((((案案案案))))

(1)担保在庫のモニタリング方法

① 毎月●日

同日夕刻の本社での残高照合作業に関連会社が同席させていただきます。併せて本社・各支店及び工場

での残高日報をご提出頂きます。

② 毎週▲曜日

本社・各支店及び工場の残高日報をご提出頂きます。

③ 年2回

○●工場での残高照合作業に関連会社が同席させていただきます。

(2)実行手続

上記(1)① のモニタリング手続に沿って、以下の通り実行手続を行います。

① 毎日●日+1営業日/ボロイング・ベース通知・借入申し込

② 毎月●日+3営業日/貸付実行日

関連会社による実査の結果を基にボロイング・ベース (貸出可能額)を通知致します。

貴社はその範囲内で調達希望額を決定し、借入申込書を提出します。

(3)キャッシュリザーブロ座の必要残高調整

毎週●曜日にご提出頂く残高日報は、ボロイング・ベース通知日からの残高・価格推移に応じたキャッシュリ

ザーブ口座の必要残高の調整に使用します。

3333、その他頂戴したい資料、その他頂戴したい資料、その他頂戴したい資料、その他頂戴したい資料

(1)各種在庫管理帳票の書式(最終確認)

(2)○●支店について、在庫保管場所が分かる資料及び図面(見取り図)

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3.3 評価関連資料

3.3.1 顧客提供資料3

3 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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3.3.2 ボロイング・ベース算出表4

在庫統括表

内訳 店舗 金 プラチナ

製品在庫 本社 688 244

製品在庫 地金部 24,966 6,528

製品在庫 ○●営業課 0 0

製品在庫 △△支店 228 159

製品在庫 △△支店 332 152

製品在庫 △△支店 1,599 533

製品在庫 △△支店 132 64

製品在庫合計 28,895 8,282

内訳 店舗 金 プラチナ

スクラップ在庫 本社 679 253

スクラップ在庫 本店仮受倉庫 3 7

スクラップ在庫 貴金属部 3,336 1,527

スクラップ在庫 ○●営業課 1,099 248

スクラップ在庫 ○●課 0 0

スクラップ在庫 △△支店 40 14

スクラップ在庫 △△支店 313 132

スクラップ在庫 △△支店 149 61

スクラップ在庫 △△支店 1,079 344

スクラップ在庫 工場在庫 104,544 29,661

スクラップ在庫 工場出荷分 877 964

スクラップ在庫合計 458,425,598 142,995,536

在庫数量(重量合計) 104,544 29,661

時価 ●月●日 877 964

在庫時価 458,425,598 142,995,536

ボロイング・ベース算出

4 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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在庫数量(重量合計) 522,720.18 148,304.85

時価-掛目② 856 943

1-(掛目①+掛目③) 71.0% 64.0%

ボロイング・ベース(掛目後) 317,688,417 89,523,926

ボロイング・ベース(百万切捨て) 317,600,000 89,400,000

ボロイング・ベース合計 407,000,000

極度金額

320,000,000

適用ボロイング・ベース 320,000,000

BB算出方法

在庫数量×(時価-掛目②)×{1-(掛目①+掛目③)}

金 プラチナ

掛目①(価格変動に関する留保率) 17.0% 28.0%

掛目②(処分コストに関する留保率) 105.00 105.00

掛目③(在庫数量に関する留保率) 12.0% 8.0%

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3.4 審査回答・担保設定・契約関連資料

3.4.1 打合せ資料5

面談折衝記録面談折衝記録面談折衝記録面談折衝記録

顧客名 :C株式会社

件名 :在庫ファイナンス

面談折衝記録

日付:××年×月××日

時刻:××時

先方出席者:△△部長

当方出席者:◆◆

内容:

○●工場を往訪し、△△部長より業務フローを聴取するとともに、製造工程を見学した。

1,1,1,1,ヒアリング事項ヒアリング事項ヒアリング事項ヒアリング事項

(1) 当工場では、貴金属のリサイクルを行っている。具体的には、一般顧客、宝飾店、歯科医院等から仕入れた貴

金属合金を精錬し、販売先の用途に応じた貴金属合金に加工している。同業他社としては、××貴金属工業、

◇◆本店などがあるが、業容はよくわからない。

(2) 精錬のプロセスは、仕入れ品の裁断・粉砕、溶解、洗浄、乾燥に分けられる。また、金・プラチナを取り除い

た一次溶解液は、再度、第二次溶解にかけ、できる限り金・プラチナの回収を図っている。

(3) しかし、金・プラチナは、溶解液に溶け込んでしまったり、気化したりするため、実回収できる金・プラチナ

量については、仕入れた合金中から算定される理論値対比、一定のロスが生じるのは避けられない。また、そ

もそも仕入れた合金中の貴金属が理論値に満たないことがある(例えば、 18Kであれば、金の含有率は75%であ

るはずなのに、実際はより低い含有率しかない事態もある)。

(4) 第一次溶解、第二次溶解でも回収できなかった金・プラチナについても、その廃液を専門業者に外注して再度

溶解させることによつて、一定限度なお回収できる。

(5) 加工は、販売先の個別の注文に応じて、精錬の結果取り出された金・プラチナと他の金属と混ぜ合わせて、18K

などの貴金属合金を製造するものである。販売先の個別の注文がないときは、インゴットを製造する。

(6) なお、加工品の販売先は、宝飾店が主である。工業用貴金属合金(触媒など)は、現時点では製造していない。

工業用貴金属合金を製造するには、精度を上げる技術・設備が必要である。

(7) 加工プロセスでも、ロスが生じることがある。金属の比重の関係上、一つの合金中の金プラチナの合有率は、

一定でない可能性がある。このため、例えば、 18Kならば金の含有75%あればいいのであるが、実際には75,07%

にすることが多い。

(8) これらの精錬ロス、加エロスの仝部を勘案したロス率の平均値は、仕入れた合金中から得られる理論値対比、

金では0 6%、プラチナでは1.2%である。

(9) 加工品やインゴットは、付保のうえ、原則として即日本店宛に出荷する。完成品在庫品の切れ端など僅かであ

る。なお、精錬前のスクラップ、完成品は金庫にて保管する。

(10) 溶解中の仕掛品は、素人目には貴金属が溶解しているとはわからないし、また、その中から貴金属を盗取しよ

うにも、危険が伴うため、現実には不可能。なお、工場には、セコム警備をかけているほか、盗難保険も付保

している。

2, 2, 2, 2, 見学結果見学結果見学結果見学結果

(1) 工場に貴金属のスクラップが入荷してから、本店宛に出荷するまでのプロセス管理は厳格であり、それぞれの

プロセスごとの帳票類も整備されている。

(2) ①工場への入退出がチェックされていない、②完成品等を保管する金庫は開扉されたままであり、かつ、誰で

もアクセス可能。在庫管理のハード面は不十分。

(3) 溶解中の仕掛品は、素人目には貴金属が溶解しているか分からないし、また、その中から貴金属を盗取しよう

にも、危険が伴うため、現実にはかなり困難と言える。

以上

5 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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30

3.4.2 リボルビング・ファシリティー契約書(抜粋)

リボルビング・ファシリティー契約書

本契約は、C 株式会社を借入人とし、株式会社○●銀行△△法人営業部を貸付人として、平成××年×月××日

付で以下の通り合意された。

第1条(用語の定義)

第2条(リボルビング・ファシリティー主要条件)

第3条(貸付実行の必要条件)

第4条(貸付の実行に関する条項)

第5条(本契約の有効期間)

第6条(借入人による表明及び保証)

第7条(借入人の義務)

⑧主たる事業内容を変更せず、当該事業を営むのに必

要な許可等を維持し、法令等を遵守して営業を継続

すること。

⑨法令等による場合を除き、本契約に基づく一切の債

務の支払を他の無担保債務(担保付貸付のうち、担

保の換価処分後も回収不足となる債務を含む。)の

支払に劣後させることなく、少なくとも同順位に取

り扱うこと。

⑩別紙1に記載された財務制限条項を遵守すること。

⑪第二回収口座の残高を貸付人が指定する必要残高以

上に維持すること。なお、貸付人は担保動産の価格

及び数量の変動等によりボロイング・ベース適用期

間中でも当該必要残高の追加とそれを充足するた

めの金銭の追加・維持を求めることができる。

第8条(期限の利益喪失事由)

第9条(ファシリティー期間の終了)

第10条(債務の弁済に関する条項)

第11条(期限前弁済に関する条項)

第12条(契約当事者の連絡先)

第13条(貸付債権の譲渡)

第14条(一般規定)

以上

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31

3.4.3 根担保契約書(抜粋)

根担保契約書

C 株式会社(以下、「借入人」という。)及び株式会社○●銀行△△法人営業部(以下、「担保権者」という。)は、借入人及

び担保権者の間で別途合意された銀行取引約定書並びに借入人及び担保権者の間で平成18年9月29日付で締結さ

れたリボルビング・ファシリティー契約書(以下、「リボルビング・ファシリティー契約」という。)に関する担保権を設定するため

に、平成××年×月××日付で以下の通り本契約を締結した。

第1条(定義)

以下に掲げる各用語は、本契約において以下に定め

る意味を有する。なお、本契約において用いられる

各用語のうち、以下に掲げられていない各用語は、

本契約において別途定められている場合を除き、リ

ボルビング・ファシリティー契約において用いられ

ている意味と同一の意味を有する。

「動産及び債権 譲渡特例法」

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する

民法の特例等に関する法律(平成10年法

律第104号)をいう。

「担保動産」 本件保管場所において、本契約締結日現

在保管されている及び将来搬入される借入

人名義の金地金・白金地金の一切をいう。

「被担保債権」 被担保債務に対応する債権をいう。

「被担保債務」

借入人が担保権者に対して現在及び将来

において負担する以下の債務をいう。 ①借入人がリボルビング・ファシリティー契約

に基づき負担する一切の債務 ②①に含まれるものを除き、担保権者と借入

人との間の銀行取引により借入人が負担

する一切の債務 ③担保権者が第三者から取得する一切の

手形上、小切手上の借入人の債務

「事務受託者」 ○●株式会社その他担保権者が適切と認

める者をいう。

「本件保管場所」

別紙 1 の図面により特定された以下の保管場所をいう。 ① 本社:東京都××-××-×× ② △△支店:神奈川県 ③ △△支店:群馬県 ④ △△支店:栃木県 ⑤ △△支店:◆◆県 ⑥ △△支店:◆◆県 ⑦ △△支店:◆◆県 ⑧ △△支店:◆◆県 ⑨ △△支店:◆◆県 ⑩ △△支店:◆◆県 ⑪

「本件担保権」 本件根譲渡担保権をいう。

「本件根譲渡 担保権」

借入人が、第2条第1項及び第2項に基づき

担保動産の上に設定する根譲渡担保権を

いう。

第2条(本件根譲渡担保権の設定)

第3条(担保動産の保管及び処分の委任)

第4条(報告義務)

第5条(借入人による表明及び保証等)

2.借入人は、本契約締結日において、担保動産につい

て次の各号に掲げる事項が真実かつ正確であることを

表明及び保証する。 ①担保動産に関する一切の権利、権原及び利益は、本

契約に基づき担保権者が有する権利、権原又は利益

を除き、借入人のみに帰属すること。また、担保動産

につき、担保権者以外の第三者に対する譲渡、担保

権設定、その他担保権者の権利を害する虞れのある

処分が一切行われておらず、借入人が第三者のため

に将来これらの行為を行う旨の債務を負担していない

こと。 ②担保動産には、商品価値に影響を及ぼす可能性のあ

る何らの瑕疵が存在しないこと。 ③ 本契約に従った担保権設定手続きにより、担保動産

につき、担保権者を第一順位とする第三者対抗要件

を具備した有効な根譲渡担保権が成立すること。 ④担保動産につき、滞納処分による差押、第三者による

訴訟の提起、仮差押、仮処分、保全差押、差押、強制

執行又は競売等の申立が行われておらず、かつその

おそれもないこと。 3.借入人は、担保動産明細の各提出日において、担保

動産明細に記載の内容その他担保権者に提供した一

切の情報が真実かつ正確であることを表明及び保証す

る。また、借入人は事務受託者による各実査日におい

て担保動産明細と担保物の実数に乖離を生じさせない。

但し、担保動産の管理においてその影響が軽微と担保

権者が判断する乖離はこの限りではない。

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32

[別紙1-①]

【本件保管場所の図面】

①本社1F

担保動産保管場所

金庫

入口 ↓

2F担保動産保管場所

流し台

階段

机コピー

金庫

EV

階段

カウンター

階段

入口

WC

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33

②△△支店(工場) 担保動産保管場所

出入口

出入口 扉

出入口 扉

金庫

分析室 電解室

乾燥炉

圧延・加工

金・白金精錬

事務所 事務所

金庫

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34

3.4.4 週次在庫推移6

取引先名:C(株) 入力用シート

在庫 ALL 在庫状況週次データ

在庫金額 在庫 重量実績(g) 在庫単価(相場・円)

基準日 (円) 内 金 内 プラチナ 金 プラチナ 金 プラチナ

2006/10/20 201,535,744 100,388,907 101,146,838 42,430 23,463 473 862

2006/11/1 202,970,967 100,459,309 102,511,659 42,531 24,298 472 844

2006/11/8 265,962,234 132,135,749 133,826,485 53,999 28,867 489 927

2006/11/15 229,775,115 94,371,834 135,403,281 38,566 29,207 489 927

2006/11/20 205,755,056 69,822,013 135,933,043 28,534 29,058 489 936

2006/11/22 260,810,845 99,981,090 160,829,754 40,560 35,371 493 909

2006/11/29 237,363,404 97,620,424 139,742,980 39,571 31,297 493 893

2006/12/6 205,976,901 86,564,968 119,411,933 35,333 27,629 490 864

2006/12/13 199,242,964 85,932,128 113,310,835 35,089 26,229 490 864

2006/12/20 199,805,065 92,102,060 107,703,004 37,577 24,484 490 880

2006/12/27 205,437,328 101,132,757 104,304,571 40,862 23,392 495 892

2007/1/10 197,284,739 98,622,171 98,662,568 40,452 22,146 488 891

2007/1/17 251,674,636 140,343,876 111,330,760 55,936 24,351 502 914

2007/1/22 239,132,972 119,351,092 119,781,880 46,531 25,529 513 938

2007/1/31 258,565,379 135,477,266 123,088,113 51,709 25,843 524 953

2007/2/7 243,851,333 122,022,493 121,828,840 46,627 25,740 523 947

2007/2/14 281,400,282 158,676,078 122,724,205 59,163 25,278 536 971

2007/2/20 263,294,980 129,962,898 133,332,082 48,693 27,594 534 966

2007/2/21 250,008,889 123,444,438 126,564,451 46,724 26,150 528 968

6 営業秘密保護のため、名称等の情報を一部変更している。

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35

2007/2/28 303,781,788 151,293,325 152,488,463 57,439 31,344 527 973

2007/3/7 271,877,167 158,606,336 113,270,830 62,715 24,370 506 930

2007/3/14 290,372,634 175,516,168 114,856,466 69,927 24,600 502 934

2007/3/20 284,503,688 165,031,598 119,472,090 64,115 24,776 515 964

2007/3/28 271,495,486 151,957,169 119,538,317 58,110 24,506 523 976

2007/4/4 263,677,489 140,429,185 123,248,304 53,517 25,086 525 983

2007/4/11 307,213,969 159,380,411 147,833,558 59,183 29,414 539 1,005

2007/4/18 327,191,583 190,537,142 136,654,440 70,050 27,125 544 1,008

2007/4/20 328,353,592 194,461,319 133,892,273 71,969 26,009 540 1,030

2007/4/25 335,103,661 197,382,080 137,721,580 73,132 26,721 540 1,031

2007/5/2 269,892,454 153,199,869 116,692,585 56,888 22,606 539 1,032

2007/5/9 379,668,951 231,195,567 148,473,384 84,532 27,835 547 1,067

2007/5/16 401,331,121 266,164,560 135,166,561 98,799 25,360 539 1,066

2007/5/21 411,330,977 293,289,279 118,041,698 109,600 22,147 535 1,066

2007/5/23 375,786,583 255,843,405 119,943,178 95,822 22,969 534 1,044

2007/5/30 351,264,319 237,150,003 114,114,316 89,054 22,284 533 1,024

2007/6/6 325,046,571 198,629,554 126,417,017 73,133 24,066 543 1,051

2007/6/13 329,467,307 216,783,825 112,683,482 82,490 21,517 526 1,047

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i

ABLの実務的な対応像の参考例④

業種 家電小売業

担保目的物 動産(家電等)

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ii

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1

1. 案件の全体像

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2

1.1 案件の概要

本件は、顧客が業績不振の中、従来の手法では追加融資が難しかった局面でABLによ

るニューマネーが供与された事例である。顧客がABLで得た資金を基に、事業リストラ

や設備投資を行うことができ、業績を好転させた点、さらに、収益による資金と担保在庫

の段階的な換価による資金によってABLを完済したという点で、好事例ということがで

きる。

本件の特徴は、以下が挙げられる。

� 資金使途が赤字資金であること

� 評価会社が、融資先に常駐してコンサルティングを行っていること

� 融資期間中に一部の担保物件の換価・処分を行っていること

(但し、本案件における担保物件の換価・処分は、法的整理や私的担保実行等によ

るものではなく、銀行と顧客の合意の下での計画的・段階的な店舗リストラクチャ

リングに起因して行われたものである)

� 融資により得られた資金を基にリストラと設備投資が可能となったことで業績が回

復し、その収益及び担保物件の一部換価によって得られた資金でABLを完済して

いること

顧客は家電量販業の中堅企業であり、既存の借入金の返済及びリストラ資金として、新

たな融資が必要な状況であった。しかし、メイン行である地方銀行、二番手以降の銀行が

ともに、このままの収益力では融資が難しいという回答をしており、顧客が他の金融機関

からの調達を検討した結果、メイン行は新規行及び評価会社に本案件を紹介することとな

った。メイン行、新規行及び評価会社の三者で協議の上、基本スタンスとして「担保価値

重視型」のABLを顧客に提案した。

顧客への説明後、新規行と評価会社が協力し、店頭並びに物流施設内にある家電等の商

品在庫全てを担保目的物として取得し、約25億円の融資を実行した。背景には、担保目

的物が家電商品であるため、換価・処分性が認められること、評価会社に家電商品に関す

る換価経験が豊富であったこと、在庫が多数の店舗に分散しているため大量減失・散逸リ

スクが低いこと、顧客は十分な在庫管理体制が構築されており状況把握が容易であったこ

となどがあった。

ABL実施中には、毎月の売上高や在庫残高、店舗損益データ等の詳細なデータを毎月

提出することを顧客に求めており、コベナンツ等についても契約書にも明記の上、詳細に

取り決めを行っていた。

また、上記のとおり顧客はABLによって得た資金でリストラを進めたが、その局面に

おいて、銀行がリストラの進捗について規律ある管理を行い、また顧客も評価会社による

事業リストラのアドバイス・実働サポートを活用し、妥協や先延ばしすることなくリスト

ラを貫徹したことが、再生が成功した大きな要因であった。

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3

表 1 案件の概要

項目 概要

貸出人 銀行(本文中では、「新規行」と記

載)

借入人の

事業規模 年間売上規模:数百億円程度

事業概要 家電量販店の営業(中堅)

業種・業態 家電小売業

担保目的物 動産(家電等)

取組金額 約 25 億円

融資期間 1年

資金使途 期限到来借入の返済及び赤字資金

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4

1.2 基本的なスキーム

メイン行の紹介を受けた新規行が、評価会社の協力の下、顧客である D 社にABLを実

施した。実施の際には、担保目的物として、家電量販店である D 社が保有する電化製品の

店舗及び物流施設内の全ての在庫を取得した。

実行前には、新規行から評価会社に D 社が保有する担保価値の鑑定依頼があり、評価会

社はそれを受けて、D 社に在庫価値評価への協力を要請した。評価会社は、D 社から提出

された財務資料や現地視察等の調査を通じて担保価値を評価した。新規行は、評価額に基

づき融資額を決定し、ABLを実施した。担保設定に関しては、動産譲渡登記を行い、法

務局から登記事項証明書の交付を受けている。

ABL実施後は、D 社から毎月提出される売上高等の財務データや在庫動産報告等を基

に、評価会社が新規行に担保評価額を月次で報告した。

新規行は、評価会社からの担保評価額月次報告と、自らによる債務者モニタリング(各

種財務データ・事業計画の進捗・資金繰りの確認、並びに経営陣からの詳細な報告)によ

り、融資のモニタリングを継続的に実施した。

本案件の基本的なスキームを図 1に示す。

図 1 基本的スキーム

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2. 金融機関における実務的な対応像

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2.1 営業・提案

2.1.1 取組経緯・案件の適合性選別

(1) 取組経緯

中堅の家電量販店である D 社は、業績の悪化により、メイン行である地方銀行等への既存借

入金の返済資金が不足していた。D 社は、これらの既存の金融機関からの資金調達を望んでい

たが、当時の収益力・信用力では融資額自体が既にメイン行が支援できる上限に達しており、メ

イン行を含む既存の金融機関では、融資の増額が難しいとのスタンスを取っていた。

そこで、メイン行は、動産の評価会社に動産担保の適正可否の照会をかけ、並行して新規行

にABLでの融資可否を打診した。

その結果、メイン行、新規行及び評価会社の三者でABLでの融資実施のスキームについて

検討を行い、D 社に対して、取り扱う商材の店舗内・物流施設内の全在庫を担保目的物としたA

BLのスキームを提案することとなった。

当初は商材を担保設定することに抵抗のあった D社も、資金調達の安定化ニーズが強かった

ことから、提案を了承し、ABLの実施に至った。

(2) 案件の適合性選別

新規行は、店頭及び物流施設内の全ての在庫商品を担保物件として取得した。これは、これ

らの物件が以下の3つの理由により担保として有効であり、ABLの適合性が高いと判断されたた

めである。

① 対象となった商材が家電商品であり換価・処分性が認められたこと

② 評価会社が家電の換価実績を有していたこと

③ 在庫が多数の店舗に分散しており、大量減失・散逸リスクが低かったこと

また、D社は在庫管理において十分な体制を構築していること、新規行の説明により D社から

積極的な協力姿勢が見られたことで、月次の在庫管理・報告が問題なく実施できると判断された

ことも、案件の適合性を判断する上で非常に重要なポイントとなった。

一般に、顧客が在庫状況を適切に把握し、新規行に対して適切に報告できることは、ABLの

対象として最も基本的な必要条件であり、動産の管理体制が曖昧な企業は対象にできない。そ

の点で、D社は一定水準の管理体制を整備しており、条件に適合していた。

【留意点①】 案件の適合性を判断する際には、ABL実施中に顧客の経営が悪化した場合に、金融機関が

どのように案件を終息させるか、事前に意図を持っておくことが非常に重要である。 本案件においても、D 社の自助努力による業績回復ならびに資産処分による資金捻出をメイ

ンシナリオとしつつ、万が一 D 社が破綻した場合にどのように回収を進めて、どの程度まで回収

が見込めるのか、事前に想定して融資手法・融資金額・制約事項等を設定した。 案件実施中も、換価処分の方法や、回収の見込みはその都度更新しており、その時点で最適

であると考えられる手法を選定した。

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【留意点②】 ABLの実施を判断する際には、同時に顧客の事業計画についても検証する必要がある。ただ

し、案件遂行中にも随時顧客の営業状況に対して指摘し、事前に立てた事業計画も変更するな

ど、流動的な対応を行うのが望ましい。

2.1.2 事前説明事項・理解度

メイン行から評価会社及び新規行にそれぞれ、対応の打診があった。三者はスキームの検討

を行ったのち、D社を交えてABLのファイナンススキームを提案した。

D社は、ABLで在庫を担保設定することに対して当初抵抗があったものの、メイン行の説得や

新規行の対応により、同スキームでの資金調達を決断した。

主な事前説明事項は以下である。

� 動産譲渡登記が必要であること

� 動産譲渡登記の有無は第三者からも把握が可能であること

� 対象動産は融資と引き換えに新規行に譲渡されるものの、通常の営業の範囲においては、

D社による販売等を妨げるものではないこと

【留意点③】 ABLに限らないが、融資取引においては、金融機関は顧客の今後の経営方針等について理

解し、与信供与のために必要であれば改善要請を行うといった交渉が発生する。本案件では、

一般の小売業と同様の資金繰りの改善方法として、不採算かつ採算改善の見込みの薄い店舗

については順次撤退し、当該店舗の在庫を適切に換価処分して現金化することを求めた。 また、通常の営業の範囲外で担保物件のバルク処分を行う際には、担保価値として計上して

いる金額を確実に確保し、金融機関に返済するように求めることがある。条件を明記し、徹底す

ることで、資金回収の確率を高めると共に、顧客との規律が生まれ、結果として両者の期中の意

思疎通をスムーズに展開させることも目的の一つとなっている。 本案件においては、融資を行った後に顧客の実態把握を進めて改善策を考える、という方針

は取らず、融資の前に、金融機関として顧客に求める方向性を示し、かつ金融機関として許容で

きないことがあればそれを明確に示し、最終的には融資契約・担保契約等の文書に反映させて

いる。 このプロセスを正しく行うことで、期中に金融機関がモニタリングすべきことや、債権保全のた

めの意思決定プロセスが自ずと明確になる。これらを曖昧にすると、ABLとして機能不全に陥る

のみならず、結果として顧客をあるべき方向へ導くこともままならないであろう。 また、顧客は、例えば、より経営の自由度が確保された高金利ファイナンスやマイノリティエク

イティファイナンスを募るなどの他の選択肢と比較する中で、経済的な条件の優位性からABLを

選択することとなった。顧客が、ABLを理解した上で選択することが、その後の協力体制を構築

するために重要である。

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2.1.3 協力体制・信用不安

(1) 協力体制

D 社は、業界内での競争激化により、数期連続で赤字を計上しており、経営再建のためには

資金調達が不可欠であったこと、さらにメイン行及び二番手行からは融資の増額が期待できなか

ったことから、抜本的な再建計画の実施のため、資金調達の可能性の高いABLの取り組みに対

して、次第に協力的な姿勢になっていった。

融資契約には、D社の協力義務や遵守事項違反時に想定されるD社へのアクションについて

の説明が明確に記載されている。また、スキームの説明時に、D 社の協力姿勢が融資検討の大

前提となることを、評価会社から十分に説明していたことも協力的になりえた一因であると考えら

れる。

(2) 信用不安

D社は、上場企業であったため開示の対象にもなったが、特段信用不安についての問題は聞

かれなかった。

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2.2 担保評価

本案件では、評価会社が担保評価を実施し、この担保評価に基づいて、新規行が資金の融

資を実行した。

担保評価の際には、詳細なデータの提出をD社に要求しており、販売データや在庫数量等は

もとより、他社との契約状況や担保権の設定状況等は全て確認を行っている。

2.2.1 必要書類入手のタイミング

(1) 評価に必要な書類

最少在庫管理単位(単一品目:SKU)レベルの在庫データや、月次店舗損益の資料を必要書

類として要求した。これらの書類は、評価目的のみならず、店舗のスクラップ&ビルド、在庫の健

全化を通した業務・収益改善計画の実行、モニタリングのために取得する必要があった。

また、事業計画、リストラ計画、資金繰りについては詳細なデータを徴求した。入手した書類に

ついては表 2に一覧で掲載した通りである。

表 2 入手書類の概要

書類名 概要 入手時期

最少在庫管理単位レベルの在

庫データ 在庫各品目の数量、簿価、上代

融資予定日 8 週間前

最少在庫管理単位レベルの過

去 24 か月の販売データ

在庫各品目の販売数量、売上原価、

売上高

(在庫データとマッチング分析す

ることで、品目・カテゴリ毎の回転

や値引率等を算出できる)

融資予定日 8 週間前

過去 12 ヶ月の買掛金明細 主要仕入先からの買掛金残高推移

を把握

融資予定日 8 週間前

過去 12 ヶ月の月次仕入先・金

主要仕入先からの仕入額推移を把

融資予定日 8 週間前

各店舗の賃貸借契約書 担保差入等の制限の有無を確認 融資予定日 8 週間前

主要仕入先との契約書 担保差入等の制限の有無、所有権留

保等を確認

融資予定日 8 週間前

過去 24 か月の月次店舗損益

在庫の販売データとの整合性確認

(新規行)

リストラ計画の適切性等を確認

融資予定日 8 週間前

今後のリストラ計画(店舗閉

鎖計画・人員削減計画等)

(新規行)

リストラ計画の適切性、資金繰りと

の整合性等を確認

融資予定日 8 週間前

過去 12 ヶ月の月次資金繰り

(新規行)

販売、仕入実績との整合性と季節性

等の確認

融資予定日 8 週間前

過去 3 ヶ月ならびに今後 3 ヶ

月の

日繰り資金繰り表

(新規行)

販売、仕入実績、リストラ計画との

整合性確認

融資予定日 8 週間前

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2.2.2 内製化と外部事業者の切り分け

(1) 外部事業者への委託

評価会社に対して、ABLをD社に提案する段階以前に、メイン行から案件の紹介があり、その

後、新規行とメイン行、評価会社の三者でスキームについて協同して検討し、顧客に提案を行っ

た。

動産評価にかかる費用(評価会社への委託料)は、新規行から評価会社に支払われた。

【留意点④】 金融機関は、評価会社の評価手法や換価実績等を予め入念に確認した上で、担保評価を評

価会社に発注する必要がある。評価書の取得が目的化し、形骸化したプロセスになってしまう

と、顧客に無用なコストを負わせるのみならず、最終的には金融機関の債権毀損の一因になりか

ねない。

【留意点⑤】 評価会社への費用の支払い方法は、①顧客が直接支払う、②金融機関経由で支払う、の2通

りが考えられるが、顧客が評価費用を把握しない後者の方が不要な価格交渉を生まず、円滑に

融資が進む場合が多い。 顧客は、資金調達に必要な費用の総額を金融機関に支払う場合には、資金調達のための必

要経費として処理しやすいものであるが、評価会社に対する個別の支払いについては、本当に

必要なのか、委託料は適正なのか、といった様々な抵抗を生じさせ、円滑な案件組成の妨げに

なる。これは、結局顧客自身にとっても、無駄な労力と時間を消費するものである。 ABLを提案する金融機関は、顧客がトータルコストで他の資金調達と比較検討できるよう、シ

ンプルな条件提示を心がけるべきである。また、金融機関が自ら委託し費用負担を行うことでも、

自らの意向を充分に反映した評価業務を評価会社に行わせることを意識することも期待できよ

う。

(2) 新規行の役割

新規行は、担保価値評価に際しての前提条件・シナリオ等について、評価会社と綿密に協議

をし、評価業務を評価会社に委託した。また、担保評価以外の調査のため、販売や仕入れ状況

等を確認した。

融資契約書における担保評価に関する概要は以下の通りである。

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(1) 「適格在庫額」とは、貸出人、評価会社その他貸出人の指定する第三者の裁量において

借入人が所有する適格在庫を評価した金額をいう。なお、評価額は、在庫の再評価に応

じ、貸出人、評価会社その他貸出人の指定する第三者の裁量により変更できるものとす

る。

(2) 貸出人が必要と判断した場合は、貸出人の満足する合理的な方法により再評価を行うも

のとする。

(3) 借入人は、貸出人が必要と認めて請求した場合、貸出人、評価会社その他貸出人が指

定する第三者による、適格在庫の保管場所、借入人の事業所、店舗、倉庫等貸出人が

必要と判断する場所への立ち入り、貸出人が必要と判断する事項の調査及び確認、資

料の閲覧等に応じ、協力する。

(4) 借入人は、貸出人の当該調査、確認及び閲覧作業に協力し、当該作業に必要な費用を

負担しなくてはならない。

2.2.3 先行譲渡・所有権留保の有無の調査

(1) 先行譲渡の有無

既に他の案件で担保登録されている商品はなかった。

(2) 所有権留保の有無

(a) 店舗における担保提供禁止条項の有無調査

本件では、担保提供禁止条項は存在しなかった。

【留意点⑥】 一般に、賃借店舗等においては、賃貸借契約の中で、商品を担保として提供することを禁止

又は事前承諾事項としているケースがある。この場合、保守的に考えれば担保不適格と考えるこ

とができるが、必要に応じて、店舗賃貸人に対して商品担保提供の承諾を得る交渉を行うことも

検討に値する。

(b) 各仕入先(家電メーカー等)との仕入契約における担保提供禁止、所有権留保ならび

にそれに対応する買掛金残高の調査

本件では、仕入契約における担保提供禁止条項等は存在しなかった。

一般に、仕入先との商取引基本契約等において、仕入れた商品を担保に提供することを禁じ

ているケースが見られる。また、仕入先から、「仕入代金の決済が完了していない商品は所有権

を留保する」とされている場合もある。この場合、当該仕入先から仕入れた商品残高と、当該仕入

先への買掛金残高の小さい方の金額を、担保不適格在庫金額とみなすことが適切である。

これらのリスクを把握するため、本件では、担保対象物候補となっている在庫商品の大宗をカ

バーする主要仕入先との商取引契約を確認し、所有権留保の条項の有無についてチェックし

た。

2.2.4 具体的な調査対象と評価手法

本評価においては、実現可能性と担保価値の極大化の観点を踏まえ、既存小売店舗におけ

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る在庫換価(いわゆる閉店セール)による換価を前提として評価を行った。評価額は、評価会社

自身が換価会社となり、どのように在庫換価を遂行するかを想定した内容となっている。

本件では、換価額として純換価額(NOLV = Net Orderly Liquidation Value)が採用された。純

換価額は、以下の数式により計算され、換価プロセスによって貸出人が最終的に得る回収原資

の目安となる金額である。

純換価額(NOLV) = 総換価額(GOLV) - 換価経費

� 総換価額(GOLV)

在庫を換価することによって回収される金額(対象資産の買い手が売り手に対して支払うと

想定される金額)。本評価においては、閉店セールによって計上される売上高に相当する。

� 換価経費

対象資産を換価する際に必要な経費(人件費・賃料・水道光熱費・倉庫費用・リクイデーショ

ン手数料など)

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2.3 審査回答・担保設定・契約

2.3.1 融資形態、金額、融資方式の説明方法

(1) 融資形態

融資は1ヶ月に一度の特定日に追加借り入れが可能な形式で行われた。ただし、定期的に担

保目的物の適格性確認・担保の再評価を行い、ボロイング・ベースによって一部弁済が必要な

場合には、弁済させるスキームとした。

ボロイング・ベース計算書については、D 社が作成し、虚偽のないことを財務担当役員が宣言

する旨を記載・捺印したうえで新規行に提出している。(新規行は、D 社から別途提出されるボロ

イング・ベース算出の根拠資料との整合性を確認する)

契約上は、ボロイング・ベース算出について以下の文章で規定していた(抜粋)。

貸出人は借入人に対し、当該実行希望日における本件貸付金の合計額が、下記計算式に

より算出される金額(以下「担保評価額」という。)を超えない範囲においてのみ、当該申込みに

係る貸付を行う。なお、下記計算式において、「適格債権額」及び「適格在庫額」は、当該実行

希望日の直近において算定された金額をいう。

(計算式)

担保評価額 = [適格債権額]×0.7 + [適格在庫額]×0.9

(強制期限前返済)

借入人は、毎月末日午後●時時点(以下「基準時点」という。)における適格債権額及び適格

在庫額について、第●条第●項の計算式に基づく計算を行った結果を、貸出人に対し、別紙●

の様式の書面(以下「ボロイング・ベース計算書」という。)により報告するものとする。

(2) 取組金額

ボロイング・ベースをもとに融資を実行しており、取組金額は約25億円であった。

(3) 融資方式の説明方法

メイン行、新規行、評価会社の三者で融資契約前に D社に融資スキームの説明を行った。

【留意点⑦】

一般的に、営業店担当者にとってはボロイング・ベースでの融資方式を説明することは困難で

あることが多い。多くの金融機関では、ABL専門の担当者が顧客への説明や、その後のフォロ

ーアップ等を担当している。

2.3.2 第三者対抗要件の具備(対象物の特定方法)

(1) 対象物の特定方法

動産譲渡登記及び占有改定を行うことにより、第三者対抗要件を設定した。登記対象となった

動産は、D社が保有していた家電製品である。

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(2) 担保目的物の明認方法

登記の際、明認方法は施していない。本案件では、店頭在庫、倉庫在庫全ての商品を担保目

的物としたため、明認方法の必要がなかった。

2.3.3 「通常の営業の範囲」の認識共有

(1) 通常の営業の範囲の認識

一般に「通常の営業の範囲」は業種によって変化するが、本件のような小売業の場合には、閉

店セールや改装セール等、ならびに BtoBのバルクセールを「通常の営業の範囲外」とした。

契約上は、以下の文言で「通常の営業の範囲」を規定していた(抜粋)。

借入人は、以下の各号の行為を行う場合には、事前に貸出人に書面をもって通知すると

ともに、貸出人の事前の書面による承諾を得なければならない。

(1) (中略) (2) 閉店セール、バルクセール等通常の営業の範囲外での借入人の在庫の売却

(3) 別紙記載の閉鎖対象店舗に存する適格在庫の別店舗への移動

(4) 事業計画外の店舗閉鎖

(2) 共通認識の形成方法

本件では、「通常の営業」の範囲について契約書に記載した。

2.3.4 保険付保の有無、質権設定

(1) 付保状況

通常の企業保険を付保していた。

(2) 質権設定

企業保険に質権設定を行っていた。契約上は、以下の文章で規定した(抜粋)。

(1) 借入人は、担保設定される借入人が保有する在庫等の資産に関し、貸出人が承認する

内容の保険の付保を維持する。

2.3.5 表明・保証、コベナンツの設定

(1) 表明・保証の内容

本件においては、下記に示す「モデル契約」(集合動産譲渡担保権設定契約書)と同レベル

のものを設定している。

【参考:モデル契約(集合動産譲渡担保権設定契約書)】 第 8条 (甲による表明・保証)

甲:△△△株式会社 乙:株式会社●●銀行

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1. 甲は,乙に対し,以下の事項が本契約締結日において真実に相違ないことを表明し,保証す

る。 (1) 甲は,日本法の下に適法に設立され,かつ現在も有効に存在する〔法人〕である。 (2) 甲は,本契約及び貸付契約に定められている規定を遵守・履行するのに必要な法律上

の完全な権利能力及び行為能力を有している。 (3) 本契約及び貸付契約は,適法,有効かつ拘束力のある甲の債務を構成し,その条項に

従い,甲に対する強制執行が可能である。 (4) 甲は,法令及び定款その他の内部規則に従い,本契約及び貸付契約に基づく甲の義務

を履行するために必要な全ての手続を完了している。 (5) 本契約及び貸付契約に基づく甲の義務の履行に重大な悪影響を与え,若しくは与える

おそれのある判決,決定若しくは命令は存せず,かつそのような訴訟,裁判,調査その他 の法的手続又は行政手続も存しない。 (6) 甲は,本契約及び貸付契約により甲の債権者を害する意図を有するものではない。 (7) 甲は,支払不能,支払停止又は債務超過に陥っておらず,本契約及び貸付契約に基づ

く取引をすることにより,支払不能,支払停止又は債務超過に陥るおそれはない。 (8) 甲に対し,破産,民事再生,会社更生,特別清算その他の法的整理手続又は私的整理

手続は開始されておらず,かつその申立てもなされていない。 (9) 甲が作成する計算書類及び附属明細書等は,日本国において一般に公正妥当と認めら

れている会計基準に適合しており,正確かつ適法に作成されている。 2. 甲は,乙に対し,以下の事項が本契約締結日において真実に相違ないことを表明し,保証す

る。 (1) 本件譲渡動産は,甲が適法に所有し,占有しており,第三者との間で,所有権・占有権 等に関する訴訟,調停,仲裁その他の法的手続又は紛争解決手続は一切存在しない。 (2) 本件譲渡動産には,法定担保物権を除き,用益物権,担保物権その他本件譲渡担保権

を害するような第三者の権利関係は存在せず,また,差押え,仮差押え,滞納処分その他 の乙の本件譲渡担保権の行使を阻害する法律関係及び事実関係は存在しない。 (3) 本件譲渡動産は,第三者が有する特許権,実用新案権,商標権,意匠権,著作権等の

知的財産権その他の権利を侵害するものではない。 (4) 本件譲渡動産の所有,取得及び権利行使について,所轄行政機関より取得すべき全て

の許可,認可,承認,確認等は取得されており,かつ現在も有効である。 (5) 本件譲渡動産につき,その品質,保存状態及び性能等に何らの物理的瑕疵及び法律的

瑕疵は存しない。 (6) 甲は,本件場所について,本件譲渡動産を使用,管理するために必要な使用権限を適

法かつ有効に有している。 (7) 本件場所以外に,別紙記載の種類に属する動産を保管する事務所,工場,倉庫,物流

センター等の保管場所は存在しない。 (8) 甲が,既に開示した資料の内容は真実かつ正確なものであり,重要なものを欠くもので はない。

3. 甲は,乙に対し,前二項に定める表明及び保証のうち,いずれかが真実又は正確でないこと

が判明したときは,直ちに書面により通知しなければならない。

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(2) コベナンツの設定

財務コベナンツとして、最低手元流動性(DSCR:デット・サービス・カバレッジ・レシオ)を設定

した。その他の条項としては、定期的な報告を行うことや、担保価値を棄損する可能性がある行

為を行う際の事前承諾事項等についても規定した。

コベナンツの対象となる項目は資金繰りに直結する部分に限定し、資金使途についても特別

なに制限は設けなかった。

コベナンツに関する具体的な文言は以下の通りである(抜粋)。

(1) 借入人は、デット・サービス・カバレッジ・レシオが 2 四半期連続して●●を下回らない

よう維持する。

(2) 借入人は、毎月末時点において借入人の有する現金及び預金残高の合計額が、金●

●百万円を下回らないよう維持する。

2.3.6 費用負担の合意

評価会社への委託料の支払いは新規行負担で行われたため、D社に費用金額についての詳

細等を共有していない。

その他、融資にかかる作業費用については実費での清算とした。

2.3.7 その他独自の特殊契約

契約時の取り決めで、閉店、在庫処分を行う場合には、事前に新規行に申請し承諾を得る必

要があることとした(事前承諾事項)。また、それらの運営は「貸出人が指定する第三者」(評価会

社を想定)の監視のもとで行うこととした。

契約上、具体的な文言は以下の通りである(抜粋)。

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借入人は、担保動産の処分又は評価の時期、方法、価格等又は使用貸借の設定に一切異議

を述べない。

借入人は、貸出人又は貸出人の委託する第三者による担保動産の処分及び貸出人による担

保動産の評価その他本担保権の実行(法定の手続によらない任意の実行を含む。)について必

要な協力(借入人の事務所、店舗、倉庫その他貸出人が必要と判断する場所において、貸出人

又は第三者が担保動産の処分をするにあたって必要となる当該場所の賃貸人その他関係者の

承諾を得ること及び貸出人又は貸出人の指定する第三者により担保動産の処分が行われる場

合の以下の各号に掲げる事項(当該事項を行うに当たり第三者の承諾を得る必要がある場合に

おける当該第三者からの承諾の取得を含む。)を含むがこれらに限られない。)をしなければなら

ない。

(1) 貸出人又は貸出人の指定する第三者が、担保動産の処分の対象となる事務所、店

舗、倉庫等を使用できるようにすること。

(2) 貸出人又は貸出人の指定する第三者が、トレード・ネーム及びロゴその他担保動産の

処分に必要な知的財産権(商標を含むが、これに限られない。)を使用できるようにするこ

と。

(3) 借入人は、貸出人又は貸出人の指定する第三者のために、借入人の顧客名簿その他

担保動産の処分に必要な情報を使用する義務を負うこと。

(4) 貸出人又は貸出人の指定する第三者が、クレジット・カード機械、レジスター、銀行口

座、コンピューター、その他担保動産の処分に必要な什器その他一切の物を使用できる

ようにすること。

(5) 貸出人又は貸出人の指定する第三者が、担保動産の処分に必要な人員を確保するこ

と(担保動産の処分の対象となる事務所、倉庫等の従業員を使用できるようにすることを含

むが、これに限られない。)。

(6) 担保動産の処分その他の本担保権の実行(法定の手続によらない任意の実行を含

む。)に関連して取得した債権、金銭その他の資産については、貸出人又は貸出人の指

定する第三者の指示に従ってこれを取り扱うこと。

借入人は、別途規定される場合を除き、借入人が貸出人のために保管する担保動産を、通常

の商取引・営業販売方法にしたがって、第三者に販売し、又は他の本件保管場所へ移動させる

ことができる。なお、借入人は、担保動産を他の本件保管場所へ移動する場合、事前に貸出人

にその旨通知する。ただし、担保動産についてそれ以外の譲渡その他の処分(担保設定を含む

がこれに限られない。)や他の場所への移動等を行ってはならない。

借入人は、貸出人に対する本契約及び関連担保契約に基づく債務がすべて履行されるま

での間、次の各号に掲げる事項を、自らの費用と責任により遵守するものとする。

(1) 借入人は、貸出人に提出した予算、事業計画及び資金繰計画を誠実に遂行するも

のとする。

(2) 借入人は、事業計画における店舗閉鎖計画に基づき、平成 P 年●月末までに別紙

●(1)記載の店舗を、平成 P+1年▲月末までに別紙●(2)記載の店舗を閉鎖する。

(3) 借入人は、店舗閉鎖を行う場合、当該閉鎖店舗内で適格在庫の換価・処分を行う。

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【留意点⑧】 一般に、店舗主導で在庫処分時の運営を行うと、損益計算書を傷めないような行動原理が働き

がちとなり、売れにくい在庫を残してしまい、結果として担保価値を毀損することに繋がりかねな

い。 そこで、第三者が運営することで、適切なプロモーション・値引きの実行が可能となり、セール

からの資金回収の最大化と、残存在庫の健全化・担保価値の維持を両立することができる場合

がある。

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2.4 期中管理

期中管理に当たっては、D 社に対し、毎週売上・粗利等、データの詳細を提出することを要求

した。データ提供などに関するコベナンツに抵触した場合の対処方法なども、契約書に明記され

ていた。

また、評価会社は、担当者を D 社の店舗に派遣し、店舗のオペレーションや人員配置等、実

際の業務に関して多岐に渡るアドバイスを行った。

2.4.1 モニタリングの方法・体制

(1) 実施体制

期中のモニタリングについては、新規行が行っている。評価会社は、D 社と新規行の間に入っ

て事業再生の支援を行った。店舗閉鎖の実行状況についても、新規行が詳細なモニタリングを

行った。

また、新規行によるモニタリングと並行して、評価会社が D社からコンサルティング業務を受託

し、D社の業績改善をサポートした。評価会社の担当者が、D社内にほぼ常駐し、在庫の適正化

により資金繰りを改善、業界各社や消費トレンドの情報の還元や、店舗オペレーション指導や人

員配置指導により、収益を改善した。

主なコンサルティング業務は、以下のとおりである。

� 半期ごとの店舗実地調査を通して、店舗レイアウトや販促資材のアドバイスを D社商品部

へ定期的に実施した。

� 毎月のカテゴリー別売上、在庫推移分析と店舗別の売上、在庫分析を行った。カテゴリー

別の推移に関しては、市場動向との比較を D社にフィードバックした。

� また、D 社は3業態の店舗があることから、業態別の売上トレンドを分析し、売上の好調要

因、不調要因をフィードバックした。いずれも商品部の戦略がどの程度遂行されているか

を検証し、財務部などの管理部へフィードバックした。

� 月次の分析を行い、傾向と翌月の対策をアドバイスすることにより、新規行に提出するモ

ニタリング提出資料のベースを作成し、D社の資料作成の円滑化をサポートした。

� D 社が店舗閉鎖計画を立て、評価会社は、店舗毎に計画された閉鎖プラン(売上計画・

在庫消化計画)をセール開始前にシミュレーションし、計画の妥当性を分析した。

� 閉店セール終了後に実績の検証を行い、未達の計画に対しては、その原因のフィードハ

ックを行い、次回の閉店セールの計画に反映をさせるようにアドバイスを提供した。

(2) 提出資料

D 社は、評価会社と、原則毎月の売上・粗利・仕入・売掛金残高・在庫残高・店舗損益データ

を提出することを取り決めた。データは単品レベルで記載されているものとし、店舗の収益に関

する情報も細かく要求した。(別添資料参照)

また、新規行は、表 3に示す資料の提出を受ける取り決めとなっていた。

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表 3 提出資料の概要

資料名 提出時期

D社の月次資金繰り実績表及び月次店舗閉鎖実

績表 前月分を当月 15日まで

D社の月次資金繰り計画及び月次店舗閉鎖計画 翌月分を当月 15日まで

D社がボロイング・ベース計算書を作成するた

めの基礎となった資料 前月分を当月 5営業日目まで

ボロイング・ベース計算書 前月分を当月 10営業日目まで

D社と新規行が合意した様式による店舗閉鎖計

画書 閉店セール開始日の 5営業日前まで

閉店セールによって換価した適格在庫の換価金

額に関する報告書 閉店セール完了後 5営業日後まで

本項各号に記載する書類の他、新規行が合理的

な必要性に基づいて請求する資料 貸出人から請求があり次第速やかに

2.4.2 モニタリング実施による期中対応

(1) 増担保以外の対応策

基本的に本件では、増担保は設定することはなく、期限前弁済を要求することで対応してい

た。

期限前弁済に関する具体的な記載内容は以下の通りである。

借入人は、毎月末日午後●時時点(以下「基準時点」という。)における適格債権額及び適格

在庫額について、第●条第●項の計算式に基づく計算を行った結果を、貸出人に対し、別紙の

様式の書面(以下「ボロイング・ベース計算書」という。)により報告するものとする。

当該評価後の担保評価額が当該基準時点における貸付合計額を下回る場合、借入人は貸

出人に対し、前項に基づく報告後直ちに当該差額相当額を期限前返済(以下「強制期限前返

済」という。)しなければならない。

前項のほか、借入人は、店舗の閉鎖をした場合、当該店舗閉鎖時の直近の評価額を基準に、

下記計算式に基づき算出される額を、当該店舗閉鎖完了後直ちに貸出人に返済しなければな

らない。

(計算式)

[閉鎖店舗に存する在庫簿価] × ([適格在庫額]÷[借入人が保有する在庫簿価])

2.4.3 コベナンツ抵触時の期中対応

コベナンツ抵触時の評価会社の対応事項は、契約書にも明記しており、融資実行前には事前

説明を行っている。

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2.5 換価・処分

ABL実施中に、D 社の事業リストラの過程で、計画的な店舗閉鎖に伴い当該店舗に所在する

在庫の段階的な換価・処分が発生した。当初は、D 社単独での在庫換価(いわゆる閉店セール

を活用した在庫の換価)を進めていたが、融資契約上求められている換価率等の報告が正確性

に欠けた上、換価結果が不十分(売上高未達並びに売れ残り在庫発生)であった。そこで、D 社

は、新規行とも協議の上、以後の在庫換価のマネジメントと実行支援を評価会社に一任すること

とし、新規行の監督の下、評価会社が方法・進捗を管理しながら D 社による在庫処分が行われ

た。

2.5.1 換価に至った背景と対応

(1) 換価に至った背景

通常の営業の範囲外での在庫換価に際しては、換価対象在庫のボロイング・ベース算入相当

額以上の弁済又は新規行が指名する換価専門会社の指揮下での在庫換価を要する、と契約書

上で規定していた。

【留意点⑨】 一般に、顧客自身による換価の場合、換価実行直後にボロイング・ベースに算入している金額

通りの弁済を求めることで、滞留在庫を温存して問題を先送りしないことを求める必要がある。 顧客が、通常の営業の範囲外の在庫換価ノウハウを有していない場合は、評価会社に換価の

指揮統轄を委託することを選択するのが好ましい。このプロセスを通して、強い規律が生まれ、

採算管理面での甘さがなくなる等の効果が現れ、収益・資金繰りが改善することが期待できる。

【留意点⑩】 弁済の内容が契約書に記載されていないと、金融機関と顧客間の規律が弱まり、処分により

得られた資金が返済されない可能性があるため、記載漏れのないよう留意する必要がある。

(2) 換価のプロセス

当初の D社単独での在庫換価のパフォーマンスが不十分であったため、ボロイング・ベース算

入相当額以上の返済原資を捻出できず、新規行の担保カバーと D 社の資金繰りの両面に不安

が生じたため、D社及び新規行からの要請を受けて、評価会社が換価プロセスにも参画した。

前述の通り、D 社へはコンサルティングを目的として評価会社から派遣された人員が、業界動

向及びリストラクチャリングの専門家としてのアドバイスを行っており、換価・処分についても、当

該担当者を通じて行われた。

評価会社は、D 社が新規行から求められている換価条件(借入返済期限および返済額)を把

握し、D 社がそれを実現するための換価手法のアドバイス、店舗における価格設定指導、人員

配置のコントロール等を行った。

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D社単独での換価結果がおもわしくなかった原因として以下が考えられる。

� 将来入金される見込みのリベート(奨励金)を換価額に織り込んだ計画となるなど、融資契

約と整合性がとれていなかったこと

� D 社の財務部門が、融資契約の内容を踏まえて順守すべき具体的な数値目標を営業部や

商品部に対して行っていなかったこと

� 店頭換価が終了するまで、期中の管理をほとんど行っていなかったこと

上記3点を改善するため為に、第三者である評価会社が店舗閉鎖の計画段階で、計画書

の信憑性を検証した。更に、計画に基づき店頭換価が行われているかどうかを評価会社と

D 社で店頭換価期間中にモニタリングを実施し、計画通りに進むように微調整を行った。

店頭換価終了後には、評価会社が結果の分析を行い、その結果(良好な点や改善点)を D

社と共有し、次回の店頭換価に反映させるという PDCA サイクルを実施していた。

【留意点⑪】 上記内容から、コベナンツ設定時やモニタリング時にはポイントを把握し、実行するこ

とが重要である。 � 各部署に契約書の内容を理解させ、徹底する。 � 商慣習を理解し、将来発生するかもしれないリベート(奨励金)の存在と内容を認識

しておく。(担保物処分時に換価額に算入することは通常できない。) � 担保物処分時は、期中管理を確実に行い、PDCA サイクルを的確に実施する。

2.5.2 処分ルート

換価は評価会社がD社による在庫換価を支援することで進められ、小売企業の在庫換価に最

も適しているとされる「店頭換価」という手法で行われた。

本件では、店舗別営業損益が芳しくなくかつ賃借契約の期限が近い店舗を中心に、閉店する

計画があったため、それら店舗を活用し、「閉店セール」を行うことで、当該店舗に存在する在庫

ならびに他店や物流施設で滞留している在庫を消費者に対して販売することで換価を行った。

第三者の専門会社が換価を主導することによる主なメリットは、以下の通りである。

� これまでの換価経験を活かした換価額の最大化

� 貸出人の意向に沿った確実な換価履行(先送りや躊躇の排除)

� 第三者が手掛けることによる透明性確保、適確な報告

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【留意点⑫】 店頭換価以外の換価手法は、以下の通り大別されるが、状況に応じて最適だと考えられる手法

を用いることが重要である。

� 卸売(ホールセール・バルクセールともいわれる): � 対象会社の既存の商流に加え、換価会社のネットワークを活用し、全量一括または複

数に分割した動産を、順次潜在的な買手と商談をし、売却していく手法である。 � 卸売業・製造業の在庫の換価に活用されることが多い。 � ABLの貸手は、換価会社による動産の切り分け、商談の順序や交渉、ネットワークや

業界内での信用度、情報管理等の巧拙によって換価結果は大きく異なることを認識し

ておく必要がある。

� オークション: � 潜在的な買手に対し、同時に同内容で案内をし、入札を募る手法である。 � 個別あるいはブロックごとに動産を切り分け、それぞれに対して最も高値の買手に対し

て売却を行う。 � 機械設備の換価に活用されることが多い。インターネットを通して世界中の買手が参加

する大規模なオークションも行うことができる。 � 換価会社は、オークションを取り仕切り、多くの買手に対して売却手続きや動産のデリ

バリー等を遅滞なく行うための経験とノウハウが必要である。

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2.5.3 実際の換価・処分額と評価額

(1) 評価率と換価率の比較

表 4に、評価率と手法の異なる換価率の比較を示す。

表 4 評価率と手法の異なる換価率の比較

① 評価率 87.4%(月次評価の平均値)

② D 社

換価率 69.4% 77.3% 71.0% 77.3% 75.2% 64.5% 60.6%

③ 評価会社

換価率

90.5% 89.1% 92.6% 96.1% 89.9%

①評価率: (評価会社の評価額(換価報酬を差引済))÷(簿価)

②D社換価率: (D社が単独で換価を行った際の換価額)÷(簿価)

③評価会社換価率: (評価会社が換価を行った際の換価額(換価報酬を差引済))÷簿価

評価率(①)においては、評価会社自身が換価を手掛けることを想定し、その際に受領する標

準的な換価報酬が差し引かれた数値となっている。

また、評価会社換価率(③)においては、評価会社が実際に受領した換価報酬を差し引いた

数値となっている。

一方、D 社換価率(②)においては、D 社が独力で換価を行ったため、外部への換価報酬等

は発生しておらず、差し引かれていない数値である。

表 4 によると、評価会社が担保評価を行った数値(①評価率)と、D 社が自ら店頭換価を行っ

た数値(②D 社換価率)に大きな乖離がある。また、①評価率と③評価会社換価率では、評価会

社換価率がやや上回っている程度で大きな乖離はないことがわかる。

(2) 実際の換価時に当初評価と乖離する要因についての注意喚起

D社換価率が評価会社換価率を下回った主たる要因は以下の通りである。

� D社の過去の経験のみから、在庫を処分するための値引率等の計画を策定したこと。

� 閉店セール期間中、店舗のパフォーマンスについて本部が十分な管理を行っておらず、店

舗がケースバイケースで値引を行っていたこと。(D 社にはセール後に残った在庫を他店に

移動する習慣があり、移動経費がセール終了後に発生するなどの問題もあった。)

D 社ではカテゴリー別に詳細な値引計画・販売計画が作成されておらず、また、期中の消化

率管理がされていなかった。D 社の手法では一方で過度の値引きによる投げ売りが発生し、他

方では本来値引きして売るべき商品(いわゆる、不稼働商品)をセール終了後に他店舗へ移動

せざるを得ず不要なコストが発生するという結果を招いた。

換価実施主体を D 社から評価会社に転換

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評価会社による換価セールでは、期中に適切な値引率の変更と消化率の管理を行うことによ

り、すべての商品を売り切り、他店舗への移動を行うことなくセールを終了した。

加えて、事前に行った詳細な分析を基に、他店舗の滞留品なども投入したことで、在庫の健全

化という副次的な効果も得られた。

【留意点⑬】

一般に、顧客は業況悪化等の際に資金繰りを正常化させるために在庫の安売り・投げ売りを

行うことがある。この場合、多くは売れやすい在庫(即ち評価率も高い在庫)から優先的に売れて

いき、在庫量・在庫金額が減少するのみならず、構成の悪化を招き、当初評価が前提としている

在庫内容から乖離してしまうことがある。

金融機関は、上記事態を未然に防ぐため、在庫内容と資金繰りの両面をモニタリングし、兆候

が見られた時にはモニタリングの頻度と精度を上げるなどの対応を行う必要がある。

評価額との乖離を最小限に抑えるためには、金融機関は顧客との事前合意事項に沿ってモ

ニタリングを行い、改善要求を行う必要がある。期中管理や交渉のプロセスは金融機関と顧客双

方にとって、労力や心理的抵抗を伴うこともあるが、両者の公平、適切な関係の維持にとっては

避けて通れないものである。

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3. 資料集

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3.1 資料の一覧

表 5 資料一覧表

資料# 資料名 概要

1 評価資料(在庫の推移) 製品カテゴリーごとの在庫の月次推移

2 評価資料(売上の推移) 製品カテゴリーごとの売上高月次推移

3 評価資料(粗利の推移) 製品カテゴリーごとの粗利益額月次推移

4 評価資料(店舗在庫の推移) 店舗ごとの在庫月次推移

5 評価資料(店舗売上の推移) 店舗ごとの売上高月次推移

6 評価資料(店舗閉鎖計画) 店舗の閉鎖スケジュール予定を週次で管理

するための計画表

7 評価資料(店舗閉鎖実績) 店舗閉鎖セール時の反場実績を管理するた

めの実績表

3.2 営業・提案関連資料

次頁より、主に担保評価時に D社より取得した資料を添付する。

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資料ABLH25(5)-5

30

3.2.1 評価資料(在庫の推移)

201●/2/28 時点 201●/3/31 時点 201●/4/30 時点

在庫カテゴリ カテゴリー 原価在庫 売価在庫 原価在庫 売価在庫 原価在庫 売価在庫

5,400,000,000 8,100,000,000 4,500,000,000 6,800,000,000 4,400,000,000 6,600,000,000

1,800,000,000 2,400,000,000 1,900,000,000 2,600,000,000 2,000,000,000 2,800,000,000

400,000,000 600,000,000 400,000,000 600,000,000 400,000,000 600,000,000

1,200,000,000 1,800,000,000 1,100,000,000 1,800,000,000 1,200,000,000 1,800,000,000

7,700,000,000 9,700,000,000 7,900,000,000 9,800,000,000 8,100,000,000 10,100,000,000

700,000,000 1,000,000,000 700,000,000 1,000,000,000 700,000,000 1,100,000,000

500,000,000 700,000,000 500,000,000 700,000,000 500,000,000 600,000,000

1,000,000,000 800,000,000 1,000,000,000 900,000,000 1,000,000,000 800,000,000

300,000,000 400,000,000 300,000,000 400,000,000 300,000,000 400,000,000

500,000,000 700,000,000 500,000,000 700,000,000 500,000,000 700,000,000

1,600,000,000 2,400,000,000 1,700,000,000 2,500,000,000 1,500,000,000 2,400,000,000

1,900,000,000 2,800,000,000 2,200,000,000 3,300,000,000 2,000,000,000 3,000,000,000

1,200,000,000 1,800,000,000 1,300,000,000 1,900,000,000 1,300,000,000 1,900,000,000

1,100,000,000 1,600,000,000 1,100,000,000 1,600,000,000 1,200,000,000 1,700,000,000

400,000,000 600,000,000 400,000,000 500,000,000 500,000,000 600,000,000

600,000,000 1,000,000,000 1,000,000,000 1,500,000,000 1,200,000,000 2,000,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 200,000,000 100,000,000 200,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

300,000,000 400,000,000 300,000,000 400,000,000 300,000,000 400,000,000

1,800,000,000 2,400,000,000 1,800,000,000 2,400,000,000 1,800,000,000 2,400,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

総計総計総計総計 28,800,000,00028,800,000,00028,800,000,00028,800,000,000 39,600,000,00039,600,000,00039,600,000,00039,600,000,000 29,000,000,00029,000,000,00029,000,000,00029,000,000,000 39,900,000,00039,900,000,00039,900,000,00039,900,000,000 29,300,000,00029,300,000,00029,300,000,00029,300,000,000 40,400,000,00040,400,000,00040,400,000,00040,400,000,000

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資料ABLH25(5)-5

31

3.2.2 評価資料(売上の推移)

在庫カテゴリ カテゴリー 売上金額(201●/2 月度) 売上金額(201●/3 月度) 売上金額(201●/4 月度) 売上金額(2010/●月度)

3,800,000,000 7,000,000,000 4,400,000,000 2,900,000,000

900,000,000 1,300,000,000 1,300,000,000 800,000,000

200,000,000 200,000,000 200,000,000 200,000,000

400,000,000 500,000,000 500,000,000 400,000,000

3,100,000,000 4,300,000,000 4,300,000,000 3,300,000,000

300,000,000 300,000,000 300,000,000 300,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

900,000,000 1,300,000,000 1,300,000,000 900,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

400,000,000 400,000,000 400,000,000 400,000,000

1,000,000,000 1,300,000,000 1,300,000,000 1,000,000,000

1,000,000,000 1,500,000,000 1,500,000,000 1,200,000,000

700,000,000 800,000,000 800,000,000 700,000,000

500,000,000 500,000,000 500,000,000 500,000,000

300,000,000 200,000,000 200,000,000 200,000,000

700,000,000 700,000,000 700,000,000 1,300,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

200,000,000 200,000,000 200,000,000 200,000,000

400,000,000 600,000,000 600,000,000 400,000,000

700,000,000 1,000,000,000 1,000,000,000 800,000,000

400,000,000 500,000,000 500,000,000 400,000,000

100,000,000 100,000,000 100,000,000 100,000,000

総計総計総計総計 16,300,000,00016,300,000,00016,300,000,00016,300,000,000 23,000,000,00023,000,000,00023,000,000,00023,000,000,000 20,400,000,00020,400,000,00020,400,000,00020,400,000,000 16,300,000,00016,300,000,00016,300,000,00016,300,000,000

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資料ABLH25(5)-5

32

3.2.3 評価資料(粗利の推移)

在庫カテゴリ カテゴリー 粗利益額(201●/2 月度) 粗利益額(201●/3 月度) 粗利益額(201●/4 月度) 粗利益額(201●/5 月度)

150,000,000 260,000,000 440,000,000 270,000,000

60,000,000 110,000,000 90,000,000 70,000,000

40,000,000 40,000,000 40,000,000 40,000,000

110,000,000 120,000,000 120,000,000 100,000,000

330,000,000 350,000,000 340,000,000 280,000,000

80,000,000 90,000,000 80,000,000 80,000,000

20,000,000 20,000,000 20,000,000 20,000,000

80,000,000 90,000,000 100,000,000 90,000,000

20,000,000 20,000,000 20,000,000 20,000,000

60,000,000 60,000,000 60,000,000 50,000,000

100,000,000 130,000,000 130,000,000 100,000,000

80,000,000 100,000,000 100,000,000 70,000,000

160,000,000 160,000,000 150,000,000 130,000,000

100,000,000 110,000,000 100,000,000 100,000,000

40,000,000 20,000,000 20,000,000 30,000,000

100,000,000 100,000,000 120,000,000 180,000,000

10,000,000 10,000,000 10,000,000 10,000,000

90,000,000 80,000,000 80,000,000 70,000,000

280,000,000 430,000,000 340,000,000 280,000,000

160,000,000 220,000,000 170,000,000 170,000,000

40,000,000 30,000,000 50,000,000 40,000,000

10,000,000 10,000,000 10,000,000 10,000,000

総計総計総計総計 2,120,000,0002,120,000,0002,120,000,0002,120,000,000 2,560,000,0002,560,000,0002,560,000,0002,560,000,000 2,590,000,0002,590,000,0002,590,000,0002,590,000,000 2,210,000,0002,210,000,0002,210,000,0002,210,000,000

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資料ABLH25(5)-5

33

3.2.4 評価資料(店舗在庫の推移)

店コード 店名 住所 201●/2/28 時点簿価 201●/3/31 時点簿価 2010/●/30 時点簿価 201●/5/31 時点簿価

1111 599,000,000 638,000,000 654,000,000 625,000,000

1112 11,000,000 10,000,000 14,000,000 11,000,000

1113 140,000,000 149,000,000 150,000,000 146,000,000

1114 66,000,000 68,000,000 72,000,000 69,000,000

1115 90,000,000 91,000,000 91,000,000 90,000,000

1116 51,000,000 49,000,000 46,000,000 45,000,000

1117 155,000,000 158,000,000 158,000,000 156,000,000

1118 91,000,000 94,000,000 100,000,000 98,000,000

1119 186,000,000 192,000,000 195,000,000 194,000,000

1120 142,000,000 149,000,000 148,000,000 141,000,000

1121 78,000,000 78,000,000 81,000,000 77,000,000

1122 210,000,000 214,000,000 205,000,000 276,000,000

1123 215,000,000 233,000,000 234,000,000 310,000,000

1124 32,000,000 32,000,000 32,000,000 31,000,000

1125 257,000,000 288,000,000 278,000,000 259,000,000

1126 77,000,000 64,000,000 74,000,000 83,000,000

1127 69,000,000 71,000,000 85,000,000 86,000,000

1128 196,000,000 195,000,000 208,000,000 203,000,000

1129 255,000,000 256,000,000 276,000,000 255,000,000

1130 144,000,000 132,000,000 137,000,000 130,000,000

1131 340,000,000 349,000,000 361,000,000 348,000,000

1132 92,000,000 92,000,000 90,000,000 92,000,000

1133 47,000,000 48,000,000 49,000,000 48,000,000

1134 115,000,000 113,000,000 113,000,000 113,000,000

1135 70,000,000 68,000,000 72,000,000 69,000,000

1136 29,000,000 27,000,000 28,000,000 28,000,000

1137 161,000,000 169,000,000 166,000,000 158,000,000

1138 205,000,000 218,000,000 381,000,000 318,000,000

1139 97,000,000 100,000,000 104,000,000 98,000,000

1140 240,000,000 254,000,000 260,000,000 247,000,000

1141 68,000,000 72,000,000 73,000,000 68,000,000

1142 125,000,000 126,000,000 125,000,000 117,000,000

1143 196,000,000 196,000,000 195,000,000 194,000,000

1144 17,000,000 17,000,000 17,000,000 16,000,000

1145 49,000,000 49,000,000 52,000,000 50,000,000

1146 1,000,000 1,000,000 1,000,000 1,000,000

1147 64,000,000 64,000,000 72,000,000 74,000,000

1148 50,000,000 47,000,000 57,000,000 58,000,000

1149 70,000,000 60,000,000 71,000,000 70,000,000

1150 38,000,000 37,000,000 37,000,000 37,000,000

1151 157,000,000 161,000,000 164,000,000 159,000,000

1152 142,000,000 142,000,000 146,000,000 141,000,000

1153 75,000,000 77,000,000 75,000,000 75,000,000

1154 167,000,000 177,000,000 187,000,000 179,000,000

1155 297,000,000 324,000,000 341,000,000 338,000,000

1156 205,000,000 216,000,000 222,000,000 214,000,000

1157 216,000,000 228,000,000 232,000,000 222,000,000

1158 61,000,000 57,000,000 64,000,000 62,000,000

1159 155,000,000 152,000,000 153,000,000 0

店舗合計店舗合計店舗合計店舗合計 6,613,000,0006,613,000,0006,613,000,0006,613,000,000 6,802,000,0006,802,000,0006,802,000,0006,802,000,000 7,146,000,0007,146,000,0007,146,000,0007,146,000,000 6,879,000,0006,879,000,0006,879,000,0006,879,000,000

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資料ABLH25(5)-5

34

3.2.5 評価資料(店舗売上の推移)

店コード 店名 住所 売上金額(201●/2 月度) 売上金額(201●/3 月度) 売上金額(201●/4 月度) 売上金額(201●/5 月度)

1111 444,000,000 543,000,000 502,000,000 438,000,000

1112 10,000,000 15,000,000 16,000,000 14,000,000

1113 146,000,000 199,000,000 176,000,000 154,000,000

1114 35,000,000 44,000,000 41,000,000 37,000,000

1115 78,000,000 94,000,000 76,000,000 74,000,000

1116 29,000,000 31,000,000 27,000,000 25,000,000

1117 71,000,000 110,000,000 84,000,000 74,000,000

1118 87,000,000 112,000,000 91,000,000 82,000,000

1119 103,000,000 146,000,000 124,000,000 110,000,000

1120 118,000,000 157,000,000 121,000,000 100,000,000

1121 60,000,000 77,000,000 63,000,000 59,000,000

1122 179,000,000 250,000,000 202,000,000 238,000,000

1123 192,000,000 276,000,000 217,000,000 254,000,000

1124 13,000,000 13,000,000 12,000,000 13,000,000

1125 142,000,000 211,000,000 192,000,000 163,000,000

1126 25,000,000 45,000,000 31,000,000 26,000,000

1127 21,000,000 45,000,000 34,000,000 28,000,000

1128 76,000,000 124,000,000 93,000,000 83,000,000

1129 111,000,000 169,000,000 148,000,000 132,000,000

1130 49,000,000 74,000,000 56,000,000 56,000,000

1131 152,000,000 184,000,000 169,000,000 140,000,000

1132 59,000,000 83,000,000 71,000,000 62,000,000

1133 27,000,000 38,000,000 31,000,000 26,000,000

1134 69,000,000 95,000,000 75,000,000 69,000,000

1135 44,000,000 53,000,000 47,000,000 39,000,000

1136 11,000,000 14,000,000 12,000,000 9,000,000

1137 85,000,000 121,000,000 95,000,000 82,000,000

1138 128,000,000 176,000,000 206,000,000 208,000,000

1139 70,000,000 86,000,000 72,000,000 61,000,000

1140 148,000,000 236,000,000 198,000,000 156,000,000

1141 41,000,000 50,000,000 45,000,000 39,000,000

1142 92,000,000 125,000,000 110,000,000 91,000,000

1143 112,000,000 154,000,000 117,000,000 103,000,000

1144 11,000,000 17,000,000 14,000,000 12,000,000

1145 25,000,000 37,000,000 28,000,000 26,000,000

1146 3,000,000 3,000,000 3,000,000 3,000,000

1147 23,000,000 39,000,000 31,000,000 29,000,000

1148 18,000,000 28,000,000 22,000,000 19,000,000

1149 23,000,000 35,000,000 26,000,000 24,000,000

1150 16,000,000 23,000,000 19,000,000 16,000,000

1151 109,000,000 139,000,000 117,000,000 98,000,000

1152 68,000,000 90,000,000 81,000,000 77,000,000

1153 42,000,000 50,000,000 45,000,000 40,000,000

1154 98,000,000 120,000,000 104,000,000 89,000,000

1155 295,000,000 386,000,000 309,000,000 246,000,000

1156 123,000,000 184,000,000 132,000,000 122,000,000

1157 136,000,000 184,000,000 159,000,000 132,000,000

1158 21,000,000 33,000,000 23,000,000 22,000,000

1159 58,000,000 75,000,000 63,000,000 29,000,000

合計合計合計合計 4,096,000,0004,096,000,0004,096,000,0004,096,000,000 5,595,595,595,593,000,0003,000,0003,000,0003,000,000 4,730,000,0004,730,000,0004,730,000,0004,730,000,000 4,229,000,0004,229,000,0004,229,000,0004,229,000,000

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資料ABLH25(5)-5

35

3.2.6 評価資料(店舗閉鎖計画)

閉店セール シミュレーション

店名 ●●店

閉鎖日 201●/7/30

用語定義

分類コード分類コード分類コード分類コード 分類名分類名分類名分類名 在庫数在庫数在庫数在庫数 簿価簿価簿価簿価 売価売価売価売価 売上高売上高売上高売上高 換価率換価率換価率換価率

(対簿価)(対簿価)(対簿価)(対簿価)

換価率換価率換価率換価率

(対売価)(対売価)(対売価)(対売価)

100.8% 77.0%

99.2% 75.8%

99.0% 75.8%

103.2% 76.4%

105.6% 82.7%

105.3% 75.1%

96.0% 73.6%

105.2% 74.7%

101.8% 76.9%

104.2% 79.0%

104.5% 79.1%

104.3% 79.2%

104.7% 78.8%

101.8% 77.2%

99.6% 76.6%

101.6% 77.7%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

98.7% 75.2%

総計 103.2% 78.9%

日程日程日程日程 簿価簿価簿価簿価 売価売価売価売価 売上高売上高売上高売上高 換価率換価率換価率換価率

(対簿価)(対簿価)(対簿価)(対簿価)

換価率換価率換価率換価率

(対売価)(対売価)(対売価)(対売価) 消化率消化率消化率消化率

1 週目 6/4~6/10 109.7% 83.9% 30.0%

2 週目 6/11~6/17 109.7% 83.9% 15.0%

3 週目 6/18~6/24 109.7% 83.9% 15.0%

4 週目 6/25~7/1 109.7% 83.9% 9.0%

5 週目 7/2~7/8 92.2% 70.5% 10.0%

6 週目 7/9~7/15 92.2% 70.5% 7.0%

7 週目 7/16~7/22 92.2% 70.5% 9.0%

8 週目 7/23~7/30 70.6% 53.9% 5.0%

合計合計合計合計 111103.2%03.2%03.2%03.2% 78.9%78.9%78.9%78.9% 100.0%100.0%100.0%100.0%

簿価 当社シートでは「基本原価ベース」と記載

売価 当社シートで使用されるランク別の平均値入率を中分類ベースに割り当て、

加重平均で算出された想定平均上代

売上高 閉店セール時の値引後の売上高

換価率(対簿価) 売上高÷簿価で算出。

換価率(対売価) 売上高÷売価で算出。値引率を意味する。

消化率 想定売価ベースで算出。販売売価金額÷売価で算出。

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資料ABLH25(5)-5

36

3.2.7 評価資料(店舗閉鎖実績)

対象店舗 CD: 1111

対象店舗名称: ●●店 ①②セール開始時店舗在庫

セール期間 6/4~7/30 ③④閉店セール期間中の売上高

第●条 check 63.7% ⑤⑥セール期間中の移出在庫(=メーカー返品金額・他店移動も含む)

差額 -9545678 ⑦⑧追加投入在庫(期間中の仕入れ金額・振入金額)

⑨⑩売り残し在庫(期間中及び閉鎖後の他店振替金額)

⑪⑫売り残し在庫(廃棄処理金額)

⑬値引率(期間中の平均値引率)

カテゴリー

CD

カテゴリー

名称

①在庫高

簿価

②在庫高

上代

③売上高

原価

④売上高

売価

⑤移出在庫

簿価

⑥移出在庫

上代

⑦投入在庫

簿価

⑧投入在庫

上代

⑨売残在庫

簿価

(他店振替)

⑩売残在庫

上代

(他店振替)

⑪売残在庫

簿価

(廃棄処理)

⑫売残在庫

上代

(廃棄処理)

⑬値引率

カテゴリー

CD

カテゴリー

名称

割引率

vs

33.6% -43.3%

36.8% -32.3%

31.0% -16.6%

2.2% 19.6%

-108.3% 341.0%

-42.8% 109.3%

-464.6% 767.1%

39.0% -25.1%

-57.7% 122.7%

-70.9% 1097.2%

-33.0% 1138.5%

-34.7% -792.0%

-54.4% 229.5%

-84.0% 172.5%

-81.3% 330.5%

6.6% 57.3%

0.0% 0.0%

20.6% 693.3%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

0.0% 0.0%

-48.9% 113.7%

合計合計合計合計 ----6.6%6.6%6.6%6.6% 合計合計合計合計 38.6%38.6%38.6%38.6%

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資料ABLH25(5)-5

37

契約書基準算出

売上高差異

カテゴリー

CD

カテゴリー

名称

⑭基準対象

在庫簿価

⑮基準対象

在庫上代

⑯基準対象

販売原価

⑰基準対象

販売売価 値引率

カテゴリー

CD

カテゴリー

名称 在庫簿価 在庫上代 販売原価 販売売価 割引率

カテゴリー

CD

カテゴリー

名称

売上高

vs

63.4%

20.1% 100,529

54.4%

22.1% -336,038

37.9%

21.2% 186,537

2.6%

22.2% 957,642

-322.5%

18.5% 1,065,036

-84.6%

24.7% -186,823

-742.1%

25.1% 175,569

49.3%

24.1% -102,842

-102.2%

20.5% 36,592

-1075.9%

21.3% 10,833

-1119.5%

18.9% -963,317

812.2%

20.2% -1,678,548

-209.9%

19.6% -343,023

-150.8%

21.8% 271,903

-299.4%

31.1% -471,469

-36.8%

20.5% -3,421,205

0.0%

0.0% 0

-693.3%

0.0% -101,624

0.0%

0.0% 2,145,902

0.0%

0.0% 0

0.0%

0.0% 0

-89.5%

24.2% 95,606

合計合計合計合計 ----17.7%17.7%17.7%17.7%

合計合計合計合計 20.9%20.9%20.9%20.9% 合計合計合計合計 ----2,558,2,558,2,558,2,558,741741741741

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

i

ABLの実務的な対応像の参考例⑤

業種 輸入食品卸売業

担保目的物 動産(輸入食品)

売掛債権

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

ii

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

1

1. 案件の全体像

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

2

1.1 案件の概要

本件は、都市銀行が既存顧客である輸入食品の卸売業を営む業者に対してABLを実施

したものである。顧客の年間売上高は約50億円、海外から輸入した食品を国内の量販店

やスーパーマーケット等に販売していた1。

業種柄、恒常的に運転資金が発生していたが、不動産等担保に適した資産を多く保有し

ていなかったためABLを検討した。売掛債権及び動産に担保設定することにより、実態

把握にも有効であると考えた。

売掛債権については、債権譲渡登記で第三者対抗要件を具備していたが、債務者宛の譲

渡通知は留保していた。一方、在庫(輸入食品)は、動産譲渡登記制度の運用前であり、

第三者倉庫に保管されていたため、指図による占有改定により対抗要件を具備した。

本件の特徴は、以下が挙げられる。

� 都市銀行が取り組んだ案件であること

� 融資期間中に担保物件の換価・処分を行ったこと

� モニタリングを銀行グループで内製化していること

銀行側の基本スタンスは「企業の実態把握重視型」のABLであり、担保となる在庫を

評価・モニタリングして継続的に企業の営業活動を把握し、信用リスクの軽減に主眼をお

くものであった。

本件の取組み趣旨は、以下のとおりである。

① 従来活用していなかった在庫を活用することで、必要運転資金枠を安定的に確保する

仕組みを確立すること

② 在庫の内容や商流の状況確認及びモニタリングを関連会社との連携により効率的に行

いつつ、企業の実態把握を進めること

顧客はABLの実行後、主要仕入先との販売代理店契約の解除が引き金となって、事業

再生 ADR2を申請した。顧客が経営破綻には至っていないことから、銀行としては風評リ

スク等を考慮して担保権の実行には踏み切らなかったが、本件ABLが対象資産(売掛債

権及び在庫)に直接紐づく融資であったことから、事業再生 ADR 手続きのなかで、本件

は優先的に弁済を受けることができ、最終的には、全額の回収に成功した。

案件の概要を表 1に示す。

1 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

2 ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続の略称であり、訴訟手続によらず民事上の紛

争解決を目指す当事者のために、公正な第三者が関与してその解決を図る手続のこと。事業再生 ADR は、事業再

生の円滑化を目的として、平成19年度産業活力再生特別措置法の改正により創設。(出所:経済産業省 産業再生

課資料 http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/gaiyo_adr.pdf)

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

3

表 1 案件の概要3

項目 概要

貸出人 都市銀行

借入人の

事業規模 売上:約 50億円

事業概要 食品の輸入及び卸売

業種・業態 輸入食品卸売業

担保目的物

および対抗要件

①第三債務者宛売掛債権(大口販売先のみ)

:債権譲渡登記(債務者宛通知は留保)

②動産(輸入食品)

:指図による占有改定

取組金額 約 4億円(当座貸越設定金額)

融資期間 1年

資金使途 運転資金

3 営業秘密保護のため、事業形態の情報を一部変更している。

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

4

1.2 基本的なスキーム

都市銀行が、メインバンクとしてE社にABLを実施した。担保目的物は、動産(輸入

食品)及び売掛債権であった。

期中管理においては、在庫明細書(外部倉庫会社作成のもの)および売掛明細(E社作

成のもの)は銀行および銀行の関連会社の両方に提出させていた。銀行の関連会社は、提

出された明細をチェックし、モニタリング結果を月次で銀行に報告していた。

基本的なスキームを図 1に示す。

図 1 基本的なスキーム

① E 社は、仕入先(海外食品メーカー)から商品を仕入れる。(在庫の発生) ② E 社は、仕入先に対して代金を支払う。 ③ E 社は、倉庫会社が作成した在庫明細を銀行と関連会社に提出する。 ④ E 社は、販売先に商品を納入する。(売掛債権の発生) ⑤ E 社は、売掛債権明細を銀行と関連会社に提出する。 ⑥ 関連会社は、在庫明細と売掛債権明細をチェックし、銀行にモニタリング結果を報告する。 ⑦ 銀行は、銀行関連会社からの報告結果を基に貸付基準額を算出し、融資を実行する。 ⑧ E 社は、販売先から売掛債権の期日に資金を回収する。 ⑨ E 社は、売掛債権の回収金によって、融資の弁済を行う。

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平成 25 年度 ABL及び電子記録債権の普及促進のためのケーススタディ等

5

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資料ABLH25(6)-5

6

2. 金融機関における実務的な対応像

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資料ABLH25(6)-5

7

2.1 期中管理

2.1.1 モニタリングの方法・体制

(1) 実施体制

売掛債権については、E 社から債権の発生・回収状況について月次で資料を受領し、関連会

社において、入金予定額と入金実績との乖離状況等を検証した。

動産については、倉庫会社が作成する倉庫明細を月次で受領し、関連会社において長期滞留

在庫の有無等を検証した。食料品であったため、賞味期限に留意した。

(2) 提出資料

売掛債権に関しては、E 社が月次で資料(債務者毎の請求額、回収額等)を提出していた。

動産に関しては、倉庫会社が作成した明細(商品名、数量、入庫日等)を受領していた。

(3) 実態把握

売掛債権については、多くが他行口座への入金であったため、実態把握には限界があったも

のの、特段の問題は発生しなかった。

動産については、関連会社が半年毎に実査。在庫明細と実際の残高との突合、保管状況等を

確認しており、特段の問題は発生しなかった。

2.1.2 モニタリング実施による期中対応

E 社は、突然主要仕入先より販売代理店契約を解除する旨の通知を受領し、その数か月後に

仕入れが停止することになった。実際には、通知を受領してから速やかにE社から銀行に一報が

あったが、契約の解除をモニタリングによって早期に察知することは困難であったと考えられる。

モニタリングは、月次で実施していたため、在庫数量の変化を察知するには、実際に契約が

解除されて仕入れが停止してから最大で 1 ヵ月はかかる。また、担保対象物は食品で需給の季

節変動が激しかったため、在庫数量が大幅に減少していたとしても直ちに異常値として検出でき

なかった恐れがある。

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資料ABLH25(6)-5

8

【留意点①(顧客リレーションの構築)】 一般に、モニタリングには顧客の協力が必須である。顧客の協力とは、具体的には以下が含

まれ、その内容は幅広い。 ①正確な在庫データ作成 ①´保管場所毎の在庫情報(ロケーション)管理 ②実地調査への協力 ③営業(販売)状況の正確な説明・データ管理 ④債権自体の管理、債権の回収状況の管理 ⑤仕入先・販売先・倉庫業者等との契約状況の管理 一方、金融機関のニーズを満たす顧客は、以下のようなポイントを満たす企業である。 ①相応の規模がある ②経営者を牽制できる実務者が存在する ③金融機関の高い取引地位がある ④業歴・(金融機関との)取引歴がある 上記ポイントは、例えば金融機関として顧客と取引歴が非常に長く、取引地位も高く、経営者

を金融機関自身が牽制できるような地域に密着した地域金融機関の場合などは、規模に拘る必

要はないものと考えられる。 本件では、案件組成の際の手立てとして、企業規模相応な先であること、倉庫会社作成の在

庫データを(E社経由ながら)受入することで正確な在庫データを、受入する手立てがなされてい

る。 債権の状況については顧客提出書類であるが、入金予定と入金実績の突合をすることで、報

告の確からしさを確認している。さらにこれらの2つの資産につき、外部会社(関連会社)の目を

通すことで、確認の精度を上げていると考えられる。 顧客より、有事の報告が速やかに金融機関にあるときは、以下のいずれかと考えられる。 ①金融機関と顧客が、有事の対応相談も可能な信頼関係であるか ②担保対象資産を容易に売却・処分等行えないスキームであるのか 本件では、案件組成時・期中ともに、円滑な関係が築けていたことが推察される。

2.1.3 コベナンツ抵触時の期中対応

コベナンツ条項として以下二点を規定していた(抜粋)。

1. 対象在庫につき、毎日一定量(●●ケース)以上の売却を行うこと。 2. 倉庫に常に●億円以上の価値の在庫を保管していること。

E 社は、売上における主力商品の比率が高かったため、主要仕入先との販売代理契約の解除

は E 社の経営にとっての大きなリスクであった。そのため、コベナンツとして販売代理契約の解除

を盛り込んでおくべきであったと考えられる。

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2.2 換価・処分

本案件では、回収局面に至ったため、特に回収時の流れに焦点を当てて記載する。

2.2.1 回収に至った背景と対応

E 社の主力商品について、仕入先の海外メーカーが E 社との販売代理契約を解除したことが

発端であった。E 社はそれによる影響で破綻にまで陥ることはなかったものの、販売代理契約解

除後に事業再生 ADR を正式申請し、第三者の力も借りて債務整理を行うこととなった。

幸い本件については、対象資産(売掛債権及び動産)に直接紐づく融資であり、本件のみが担

保付であったことから、他の融資の返済がストップした中、優先的に弁済を実施するということで

合意を得ることができた。

E 社の営業収入から資金繰り上許される範囲で弁済を受け、最終的には E 社側からの売掛債

権及び動産への担保権解除要請を受け、全額回収に成功した。

E 社は、販売代理店契約の解除の通知を受けて速やかに銀行にその旨の連絡をした。早期

の連絡を受けたことにより、銀行側も早急に対応を検討することができたことも、回収の成功につ

ながった要因の 1つである。仮に、E 社が銀行に連絡をしなかった場合、モニタリングによる早期

の察知は困難であったため、事業再生 ADR の申請のタイミングで察知することになった可能性

が高い。

【留意点②(金融機関内連携)】 一般に、在庫や金銭債権担保は判例が少なく、他の当事者との交渉が難しい。 在庫の売却価格は売却活動をしてみないと判然とせず(評価は事業継続前提かつブランド毀

損がない等金融機関では事前に判断できない前提もあるが、一方で売却時は風評が出回って

いるケースが多い)、担保価値を他の当事者に明示することは困難である。 このため、金融機関内の営業拠点・審査所管部署・商品所管部署が一枚岩になるよう金融機

関内調整を行うことが重要である。(添担保の様な)交渉姿勢の場合、無担保債権者と同程度の

対応を迫られることも多く、そうでなくても再生の為に無担保債権者同様に返済スケジュールの

変更対応(リスケジュール)を要請されることも多い。担保権を実行した場合と再生に向けたリスケ

ジュールの場合、どちらが優位か判然としないとされる金融機関内の議論から、リスケジュールに

傾く事例もある。 本件は、早期の顧客報告を受け、行内の対応体制を迅速に構築し、さらに早期に顧客が担保

権者である金融機関と同じ考えを共有することに成功した事例であると考えられる。

2.2.2 処分ルート

担保目的物として在庫を取得していたが、これは主として E 社の事業活動の把握を目的とした

ものであり、当初は在庫処分による回収までは想定していなかった。

E 社に関する上記事態を受けて、売掛債権については債務者宛の通知や入金口座の変更

(銀行指定口座への入金)といった対応も検討したものの、E 社自身は営業を続けていたため、

従前通り E 社自身の販路で販売することが回収の極大化につながると判断した。また、風評リス

クにも十分に配慮した。

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2.2.3 実際の換価・処分額と評価額

本件は、通常の販売ルートで在庫を処分したため、ほぼ想定された価格で換価された。

なお、融資にあたっては、過去の E 社の回収・販売実績等から、以下のような考え方で評価額

を算出していた。

� 売掛債権:債権額の85%

� 動産:簿価の80%

【留意点③(デフォルト対応)】 一般的に顧客がデフォルトした場合、金融機関としては以下の対応が検討される。

①担保権実行の上、金融機関名義での売却 ②破産財団または再生債務者と別除権の受け戻しに関する協定を締結し、破産財団または再

生債務者名義で売却または再生債務者に売却 上記、①については一般的に以下のリスク・デメリットがある。 � (商流にない)金融機関名義での売却により、売却価格が相場比低くなる � (売却不能商品の)混在判明による(当該商品の廃棄による)2次損失の発生 � (商品によって、)風評被害の発生

上記、②については①比以下のメリット・デメリットがある。 � 破産財団からの売却価格は(裁判所の許可もあり)、一定の妥当性が図られている � (不動産の状況(※)によっては)販売不能商品の引き取りを行わなくてよくなる � 売買の当事者でなくなる上、売買は裁判所許可によるものであり、風評被害のリスクが一定

レベルで排除される � デメリットとして、売却代金の財団への組み入れが一定程度必要になる � 再生債務者への売却の場合、価格の妥当性が争点になる

(※)不動産の(根)抵当権者である場合、販売不能商品の引き取りを行わなくても、不動産

処理費用に転化される為、引き取りを行わざるを得ないケースもあり注意が必要。 本件では、債務者自身の売却で、事業再生 ADR の中でも想定された価格での売却を確保でき

たということで、いずれも上記懸念を払拭できたものと思われる。また、上記販売状況の金融機関

の随時把握ができる状況に鑑み、やはり債務者の在庫・債権管理体制が一定水準以上であり、

且つ、リレーションも引続き保たれていたと推察される。 表 2 に、上記①、②の対応について、メリット、リスク、デメリットを整理する。

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表 2 売却者名義の違いによるメリット、リスク、デメリットの比較

論点 ①担保権実行の上、金融機関名義で

の売却

②破産財団または再生債務者と別除

権の受け戻しに関する協定を締結し、

破産財団または再生債務者名義で売

却または再生債務者に売却

売却価格

(△) (商流にない)金融機関名義での売却

により、売却価格が相場比低くなる。

(○) 破産財団からの売却価格は(裁判所

の許可もあり)、一定の妥当性が図ら

れている

売却不能

商品による

損失

(×) (売却不能商品の)混在判明による

(当該商品の廃棄による)2次損失の

発生

(○) (不動産の状況によっては)販売不能

商品の引き取りを行わなくてよくなる

風評被害

(△) (商品によって、)風評被害の発生

(○) 売買の当事者でなくなる上、売買は裁

判所許可によるものであり、風評被害

のリスクが一定レベルで排除される

その他

- (×) 費用控除後売却代金の財団への組

み入れが一定程度必要になる

- (△) 再生債務者への売却の場合、価格の

妥当性が争点になる

【凡例】 ○:メリット、△:リスク、×:デメリット