独居のがん患者を支える

地域相談支援ワークショップ ２０１４.１１.8

北里大学病院 トータルサポートセンター

認定医療社会福祉士 前田景子

〜超高齢単身社会を目前に控えて〜

今回の内容

① 単身独居者はなぜ増えるのか

② 単身独居高齢化の時代が来る

③ 単身独居のプラス面とマイナス面

④ 神奈川県の状況

⑤ 北里大学病院での関わりと事例

⑥ 相談員としての姿勢とは

単身者とは・・・・

単身予備軍の存在

伴侶や親との死別など、誰もが単身者と

なる可能性がある

同居する親族・パートナー・友人など

がおらず、１人で生活をしている人

独居とは・・・・このような意味で使っている

人間関係

同居する親族・パートナー・友人など

がおらず、１人で生活をしている人

コミュニティ

２０３０年には全世帯の４割が単身世帯〜単身は標準世帯〜

なぜ、単身者は増えるのか？

① 晩婚化と未婚率の増加

② 結婚しなくても生活出来る経済力

の向上と価値観の変化

③ 非正規雇用労働者の増加

雇用不安定、賃金上昇なし

→ 結婚出来ない現状

超高齢化＋単身社会の到来

（出典） 日本の世帯数の将来推計（全国推計） より平成２０年３月推計 国立社会保障・人口問題研究所

単身のがん患者が増えるのは当然

治療・療養をしながら

１人で生きていける社会環境を

作ることは急務

単身で住むということ

① 病気・失業時の経済的困窮のリスク

・ ６０代前半までは公的年金支給前であり

経済的困窮に陥りやすい

・ 同居者が代わりに働き手となる等の手段

が得られない

単身で住むということ

② 社会的な孤立のリスク

・ 仕事に従事していない場合に陥りやすい

・ 仕事を辞めた場合に職場に代わる人間関係

構築は難しい

話し相手や相談相手がいる割合

（出典）平成２０年６月 内閣府男女共同参画局 高齢男女の自立した生活に関する調査

単身で住むということ

③ 精神的な孤立のリスク

相談相手が不在もしくは得にくい

単身で住むということ

④ 自らの生死に

責任を負うことの難しさ

責任を負う方

そうでない方 様々な場合がある

単身で住むということ

神奈川県の特徴

人口 約 ９０９万９千人 （平成２６年１０月現在）

全国で２番目に多い人口

高齢化の動向

２００５年 １４８万人→ ２０２５年 ２３０万人

高齢人口増加率は１．５６倍 全国（１．４２倍を上回る）

高度成長期の転入世代の高齢化

短期間での高齢化

都道府県別にみた高齢単身世帯の割合と伸び率

（出典） 国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計より

神奈川県の特徴

人口に比較して少ない医療機関

人口１０万人当たり全病床数 全国で最下位

人口１０万人当たり療養病床 全国で下から２番目

（東京圏の９割、全国の５割の水準）

地域がん診療連携拠点病院の数（県指定含む） ２３カ所

緩和ケア病棟の数 １５カ所 計２７２床

神奈川県の特徴

5.4 5.8 6.2

4.9

6.3 6.8

8.2

5.6

6.8

10.3

6.1

4.2

10.8

8.2

4.7 3.9

12.4

7.0

5.4

10.8 9.2

7.1 8.0 8.0

5.6

11.9

19.0

13.6

9.3

14.6

9.9

16.9

15.7

19.0

9.4

17.2

12.2 12.5

5.8

15.9 16.0

20.9

11.0

15.5

9.9

15.5

6.1

0

5

10

15

20

25

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

数人口10万人当たりの在宅療養支援診療所数

人口10万人当たりの都道府県別在宅療養支援診療所数

全国平均 10.1

保険局医療課データ 平成23年7月

21

神奈川県の特徴

人口10万人当たりの都道府県別訪問看護事業所数

6.2

8.7

6.3

4.0

4.9 5.2

6.0

4.2

3.5

5.8

3.6 3.7

5.1

4.5

5.3

4.5

7.0

10.1

5.9

8.3

7.0

4.4 4.7

6.1 6.3

7.9 7.8 8.1

6.8

10.8

8.0

10.8

8.5

7.2

8.5

10.5

6.0

8.8

7.9

6.2

6.9 7.3

9.2 9.3

8.7

10.2

4.7

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県 石川県 福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

数

人口10万人あたりの訪問看護事業所数

全国平均 6.8

平成22年介護給付費実態調査 平成22年人口動態調査

○ 都道府県によって、訪問看護事業所の整備状況は異なる。

24

北里大宅病院の紹介

神奈川県県北地域の３次救急センターを持つ特定機能病院

病床数 １０３３床

がん相談支援センター 相談員の構成

がん看護専門看護師 ２名

ソーシャルワーカー １５名

２０１３年度 独居がん患者に関わった実患者数n＝１８７

単身独居者, 34

同居者がい

る, 153

２０１３年度 単身独居がん患者 相談者内訳（n＝３４人）

本人, 21

家族, 13

, 0 , 0

本人からの相談 内容内訳 n＝２１件

内訳, 0

経済的な

相談, 5

在宅療養, 8

入院・入所

先探し, 3

医療機関情

報, 1

その他, 4

財産分与、意思決定代行者探し、など

親族からの相談 内容内訳 n＝１３件

内

訳, 0

経済的な相

談, 1

在宅療養, 6

入院・入所

先探し, 5

その他, 1

単身独居者にとって療養場所検討はハードルが高い

① 本人に代わる意思決定者の登場が

求められる → いない場合は？

② 療養場所の見学が困難な時がある

③ 経済的に負担が大きい

単身独居者にとって療養場所検討はハードルが高い

④ 死を前提とした計画の困難さ

状態悪化時にどうしたいか

最後をどのように迎えたいか

↑

前もって考える事が困難な事柄を

前もって考える必要がある

適切かつ早い時期からの準備が必要

症状緩和に切り替わる時点での病状理解

と今後を考えるモチベーション作り

アドバンスケアプランニングの推進

相談員は「死」を考え意識する姿勢を持つ

単身独居は当たり前になる

民間では、すでに単身独居者を支える様々な

とりくみが始まっている・・・

会員制の有償ボランティア行政書士による死後事務委任計約有料の身元保証契約や生活支援

など・・・尊厳ある独居しの可能性を

相談員自身が知る

単身独居者が地域とつながりやすい下地

を作る

利用しやすい相談窓口を目指す相談窓口の広報の徹底参加しやすいがんサロンを考える医療、介護のみならず法律、住宅、就労など他分野の専門家（社会資源）を知る・つながる

がん相談員に出来ることは？

単身独居者が地域とつながりやすい下地

を作る

どのように生きている人なのかを知る想像する

多様な価値観を知る自分の価値観を知る

がん相談員に出来ることは？

伴走者としてその人にあった的確な支援をする

ご清聴ありがとうございました