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山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips 集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法 まちづくり会社 『みんなの貯金箱財団』 と 地域おこし協力隊の活動 ※Tips( ティップス ) とは、パソコンを利用する際の , コツ、秘訣、裏技などを指す .

山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

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Page 1: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips 集

大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法まちづくり会社 『みんなの貯金箱財団』 と 地域おこし協力隊の活動

Tips( ティップス )とはパソコンを利用する際の コツ秘訣裏技などを指す

目次

1 富士吉田プロジェクトの概要   ~慶應義塾大学と富士吉田市の連携にもとづく地域活性実践モデル~11    富士吉田プロジェクトメンバー

12    プロジェクトの歩み13    事業一覧 ( 富士吉田みんなの貯金箱財団と地域おこし協力隊 )

2 まちづくり会社「富士吉田みんなの貯金箱財団 」 齊藤智彦21    廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』

22    地域デザインコンペティション23    クリエーター誘致活動24    ふじよしだ未来キャンプ25    留学生モニターツアー26    定住促進事業

3 地域おこし協力隊31   地域ブランディング 齋藤萌 ~スタディツアーの提言を 地域おこし協力隊となり実現~ 

311   『吉田ごはんプロジェクト』312   『富士山じかんアプリ』

32   空き家活用 赤松智志  ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321   空き家活用プロジェクト『アキナイ』322   6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323   ゲストハウス『SARUYA』

33   市民活動支援 斎藤和真 ~やりたいことができるまちにしたい~

331   『まちプロ』332   事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCocooking ]

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11 富士吉田プロジェクトメンバー山梨県

慶應義塾大学

SFC( 湘南藤沢キャンパス )玉村研中島研一ノ瀬研 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスから主に3つの研究チームが富士吉田市を訪れ調査研究を行っているプロジェクトを統括する玉村教授と学生らは主に市街地の活性化に関する調査研究都市計画が専門の中島特任准教授らは上吉田と呼ばれる歴史的地区の景観形成ランドスケープなどが専門の一ノ瀬教授らは富士山周辺の自然環境を生かす取り組み等調査研究は多岐にわたる

まちづくり部まちづくり戦略課

 富士吉田市まちづくり部まちづくり戦略課は2015年7月にまちづくりを中心的担う部署としてまちづくり推進課と共に発足した元々慶應連携担当は企画財政課 (2012年度 )慶應義塾連携まちづくり推進室 (2013年度 )政策企画課 (2014年度~2015年 6月迄 ) と部署が変わりながら担当してきたしかし実際は部署は変わりつつも何人かの職員も共に異動して継続的に事業を担っている

 一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団と富士吉田市地域おこし協力隊は2012年度の大学研究チームによる調査研究によって提案された内容をもとに2013年富士吉田市が設立導入した事業である初期メンバーは慶應義塾大学SFCの研究スタッフで現在同財団代表を務める齊藤智彦(元玉村研 研究員)と地域おこし協力隊 赤松智志(元中島研)齋藤萌(元玉村研)の3名である3名とも2013年4月から富士吉田市に移住して活動しているまたその翌年には3人目の地域おこし協力隊として斎藤和真(慶應義塾大学院政策メディア研究科修了)財団所属のデザイナーとして八木毅更に翌年には定住促進担当として渡辺麗小林純(現在は飲食部門担当)再開発部門担当として青木はるひが加わった現在は財団スタッフと子会社スタッフ(LLC 新世界通り)地域おこし協力隊合わせ15名程で活動している

富士吉田プロジェクトは山梨県富士吉田市慶應義塾大学の三者による地域活性に関する包括協定をきっかけに活動がスタートした大学の研究チームが様々な視点から調査を実施市への提言を行い行政はそれらをもとにした施策を立ち上げてきた現場での事業の企画運営はまちづくり会社(一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団)と地域おこし協力隊が協力して担っている 大学と行政の連携協定は2007年12月に締結され初期は教授による講演や連携についての協議など主に教授陣による市との交流が中心だったが2010年度以降スタディーツアーの開始とともに学生や研究スタッフによる交流も始まったまたSFC( 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス ) と富士吉田市の距離が車で 1 時間半程と近いことから学生による自主的なスタディーツアーも頻繁に行われた多い年は年間のべ300名以上の慶應大学の学生が富士吉田を訪れている 2013年以前から調査研究に携わっていた研究スタッフの齊藤智彦が中心となって市内にまちづくり会社の立ち上げ大学生 2名も移住して地域おこし協力隊として活動をはじめた

連携協定

調査研究提案

アドバイス協働 設立導入

まちづくり会社富士吉田みんなの貯金箱財団times地域おこし協力隊

富士吉田市

玉村 雅敏 氏総合政策学部教授専門は公共経営など富士吉田プロジェクトの全体をコーディネートする

中島 直人 氏大学院政策メディア研究科特任准教授専門は都市計画主に歴史的地区の整備計画などに携わる

一ノ瀬 友博 氏環境情報学部教授主に富士山の登山道や周辺自然環境の活用について調査研究を行う

水越 欣一課長慶應連携初期から事業に携わる現在は課長として市のまちづくりを牽引

荒井 慶悟 氏水越課長とともに初期から本事業に携わる明るいムードメーカー的存在

渡辺 英之 氏連携事業の主な行政側担当リーダー財団とともに事業を計画実施する

勝俣 浩太 氏庁内再編のタイミングで合流こまめな気遣いでチームを支える

(左写真) 1列目左から 小林純大村聡一郎(建築設計担当アルバイト)齋藤萌  渡辺麗 2列目左から 斎藤和真渡辺和奈(H28 年度から定住促進担当)齊藤智彦青木はるひ八木毅赤松智志  左上 中川宏文(H28 年度地域おこし協力隊 建築設計担当)

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2011年度2007年度 ~2010年度

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度12 富士吉田プロジェクトの歩み

慶應義塾大学と県市が連携協定締結

スタディツアー本格化多数の学生が参画

調査から実証実験へ市の事業として提案へ

まちづくり会社(貯金箱財団)の設立地域おこし協力隊導入

地域デザインコンペ開催外部人材の積極的な導入

財団事業の拡大協力隊独立準備

2007年度12月  連携協定締結 2月 協定締結イベント開催

2008年度 8月 教育講演会 10月 誘致企業市長懇話会11月 SKY サミットにて 上山信一教授講演

2009年度地下水調査研究開始 地下水年代測定1

 9月 高校大学連携開始 10月 誘致企業市長懇話会

2010年度地下水調査研究 地下水年代測定2スタディツアー 「地域資源を活かした 地域振興策の調査研究」

学生らがシンポジウムにて調査研究内容を発表した

 7月 SFC 七夕祭参加 9月 市民公開ゼミ(浜田研)10月 誘致企業市長懇話会 12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究 水質分析等教職員業務支援システム共同開発環境イノベーターコース 「再生可能エネルギーに    関する調査研究」地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

学生による都市と富士吉田地域の持続的な価値の協創関係を構築するモデル提案

スタディツアー 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

中島研究会一ノ瀬研究会が現地にて調査研究を行い富士山の自然環境や歴史文化地区の活用について6つの提案を行った富士吉田商工会議所     創立 60 周年事業「富士吉田産業ビジョン」の策定 9月 下吉田まちづくりセミナー    (中島直人特任准教授講演)10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究   水質調査を活かす調査研究等スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

食を通じた地域ブランディングの実践及びまちづくり会社貯金箱財団地域おこし協力隊の導入等の事業提案を行った

スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

暖簾を活用した景観整備史跡(ヤーナ側)の清掃活動ワークショップ登山道をなど実施した教職員業務支援システム共同開発地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究水の価値を伝えるパンフレット作成スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」下吉田の地域活性化のため中心市街地や織物産業など地域資源を調査及びそれを活かした方策検討等スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」上吉田地区にある歴史的建造物を公開する「OPENおしまち」を実施「貯金箱財団協力隊事業開始」3名が富士吉田市に移住富士吉田みんなの貯金箱財団設立財団協力隊拠点整備環境スタディツアーの試行空き家対策HPの開設空き物件(ハモニカ横丁)改修

アキナイ(空き不動産活用)事業として協力隊と財団地域の人々のの協力で使われなくなった6軒続きの長屋をコミュニティスペースとして改修した参照 322食のブランディングHP開設教職員業務支援システム共同開発育児応援サイト「ママフレ」開設地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」スタディツアー中島研究会「魅力ある街のデザイン調査研究」

「貯金箱財団協力隊事業」新たに3名が富士吉田市に移住財団事務所移転ふじよしだ芸術倉びらき開催市民活動支援事業開始参照 331  映画館をつくる会の立ち上げ  商工会議所青年部事業協力デザイン事業開始 繊維産業 PR媒体作成事業 ふじさんミュージアム  ミュージアムショップデザイン富士吉田地域デザインコンペ開催

地域の資源を公開し広く富士吉田での事業への協力者を募るコンペを開催307 件の応募があり地域内外との多様な関係性を構築した地域おこし協力隊事業空き物件の改修 参照 321ともや堂 - 鍼灸治療院松山ベース -シェアハウス周遊観光アプリ 参照 312 富士山じかんアプリの試行富士吉田市の魅力発信地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会スタディツアー中島研究会「貯金箱財団協力隊事業」市民活動支援事業 -公募助成開始 まちのプロジェクト 4団体支援空きスナック街再生事業 「新世界通り復活プロジェクト」 参照 21  地域が繁栄し  ていた時代の  象徴である飲  食店街の再生  をスタート財団事務所改装(コンペ事業)  コンペで公募  した財団事務  所ビルを複合  施設へと改装  参照 22 人材育成事業 参照 24外国人ガイド育成事業参照 25定住促進事業開始 参照 26特産品開発商品化事業商工会議所ブランディング事業デザインコード策定事業ふるさと納税支援事業地域おこし協力隊事業ゲストハウスオープン参照 323  協力隊の集大  成としてゲスト    ハウス事業を  開始定住に  つながる 観光周遊アプリ 参照 312 富士山じかんアプリ運用支援その他富士吉田市の魅力発信その他連携協定事業 3

LLC

新世界通り

企画会社

企画会社

企画会社

旅行会社

不動産会社

企画会社

NPO

法人定住促進

企画会社

企画会社

企画会社

Cino Lab

八木毅

富士山じかんアプリ

鍼灸ともや堂

映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

株 C

o-cooking

市民活動支援富士吉田に映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

Co-cooking

協働事業富士山じかんアプリ

商工会議所青年部

富士五湖青年会議所

その他市内活動団体事業

寄付配当収益

育成事業化支援

独立起業

13 富士吉田みんなの貯金箱財団+地域おこし協力隊 事業一覧概念図

新世界通り復活プロジェクト

(21

地域デザインコンペティション

(22

クリエイター誘致活動

(23

ふじよしだ未来キャンプ

(24

外国人ガイド育成

(25

空き物件活用

その他 地域活性化事業

企画事業受託事業定住促進事業

(26

商工会議所ブランディング事業

織物情報発信

(23)

博物館ショップデザイン業務

(23)

各種デザイン業務

(23

その他

地域おこし協力隊齋藤萌  「地域ブランディング」

(31

赤松智志 「空き家活用プロジェクト」

(32

斎藤和真 「市民活動支援」(財団協働)

(33

SARUYA

(ゲストハウス)

地域教育事業

一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団 (代表理事 齊藤智彦 )地域おこし協力隊支援事業

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2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

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街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 2: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

目次

1 富士吉田プロジェクトの概要   ~慶應義塾大学と富士吉田市の連携にもとづく地域活性実践モデル~11    富士吉田プロジェクトメンバー

12    プロジェクトの歩み13    事業一覧 ( 富士吉田みんなの貯金箱財団と地域おこし協力隊 )

2 まちづくり会社「富士吉田みんなの貯金箱財団 」 齊藤智彦21    廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』

22    地域デザインコンペティション23    クリエーター誘致活動24    ふじよしだ未来キャンプ25    留学生モニターツアー26    定住促進事業

3 地域おこし協力隊31   地域ブランディング 齋藤萌 ~スタディツアーの提言を 地域おこし協力隊となり実現~ 

311   『吉田ごはんプロジェクト』312   『富士山じかんアプリ』

32   空き家活用 赤松智志  ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321   空き家活用プロジェクト『アキナイ』322   6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323   ゲストハウス『SARUYA』

33   市民活動支援 斎藤和真 ~やりたいことができるまちにしたい~

331   『まちプロ』332   事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCocooking ]

` 1

11 富士吉田プロジェクトメンバー山梨県

慶應義塾大学

SFC( 湘南藤沢キャンパス )玉村研中島研一ノ瀬研 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスから主に3つの研究チームが富士吉田市を訪れ調査研究を行っているプロジェクトを統括する玉村教授と学生らは主に市街地の活性化に関する調査研究都市計画が専門の中島特任准教授らは上吉田と呼ばれる歴史的地区の景観形成ランドスケープなどが専門の一ノ瀬教授らは富士山周辺の自然環境を生かす取り組み等調査研究は多岐にわたる

まちづくり部まちづくり戦略課

 富士吉田市まちづくり部まちづくり戦略課は2015年7月にまちづくりを中心的担う部署としてまちづくり推進課と共に発足した元々慶應連携担当は企画財政課 (2012年度 )慶應義塾連携まちづくり推進室 (2013年度 )政策企画課 (2014年度~2015年 6月迄 ) と部署が変わりながら担当してきたしかし実際は部署は変わりつつも何人かの職員も共に異動して継続的に事業を担っている

 一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団と富士吉田市地域おこし協力隊は2012年度の大学研究チームによる調査研究によって提案された内容をもとに2013年富士吉田市が設立導入した事業である初期メンバーは慶應義塾大学SFCの研究スタッフで現在同財団代表を務める齊藤智彦(元玉村研 研究員)と地域おこし協力隊 赤松智志(元中島研)齋藤萌(元玉村研)の3名である3名とも2013年4月から富士吉田市に移住して活動しているまたその翌年には3人目の地域おこし協力隊として斎藤和真(慶應義塾大学院政策メディア研究科修了)財団所属のデザイナーとして八木毅更に翌年には定住促進担当として渡辺麗小林純(現在は飲食部門担当)再開発部門担当として青木はるひが加わった現在は財団スタッフと子会社スタッフ(LLC 新世界通り)地域おこし協力隊合わせ15名程で活動している

富士吉田プロジェクトは山梨県富士吉田市慶應義塾大学の三者による地域活性に関する包括協定をきっかけに活動がスタートした大学の研究チームが様々な視点から調査を実施市への提言を行い行政はそれらをもとにした施策を立ち上げてきた現場での事業の企画運営はまちづくり会社(一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団)と地域おこし協力隊が協力して担っている 大学と行政の連携協定は2007年12月に締結され初期は教授による講演や連携についての協議など主に教授陣による市との交流が中心だったが2010年度以降スタディーツアーの開始とともに学生や研究スタッフによる交流も始まったまたSFC( 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス ) と富士吉田市の距離が車で 1 時間半程と近いことから学生による自主的なスタディーツアーも頻繁に行われた多い年は年間のべ300名以上の慶應大学の学生が富士吉田を訪れている 2013年以前から調査研究に携わっていた研究スタッフの齊藤智彦が中心となって市内にまちづくり会社の立ち上げ大学生 2名も移住して地域おこし協力隊として活動をはじめた

連携協定

調査研究提案

アドバイス協働 設立導入

まちづくり会社富士吉田みんなの貯金箱財団times地域おこし協力隊

富士吉田市

玉村 雅敏 氏総合政策学部教授専門は公共経営など富士吉田プロジェクトの全体をコーディネートする

中島 直人 氏大学院政策メディア研究科特任准教授専門は都市計画主に歴史的地区の整備計画などに携わる

一ノ瀬 友博 氏環境情報学部教授主に富士山の登山道や周辺自然環境の活用について調査研究を行う

水越 欣一課長慶應連携初期から事業に携わる現在は課長として市のまちづくりを牽引

荒井 慶悟 氏水越課長とともに初期から本事業に携わる明るいムードメーカー的存在

渡辺 英之 氏連携事業の主な行政側担当リーダー財団とともに事業を計画実施する

勝俣 浩太 氏庁内再編のタイミングで合流こまめな気遣いでチームを支える

(左写真) 1列目左から 小林純大村聡一郎(建築設計担当アルバイト)齋藤萌  渡辺麗 2列目左から 斎藤和真渡辺和奈(H28 年度から定住促進担当)齊藤智彦青木はるひ八木毅赤松智志  左上 中川宏文(H28 年度地域おこし協力隊 建築設計担当)

2

2011年度2007年度 ~2010年度

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度12 富士吉田プロジェクトの歩み

慶應義塾大学と県市が連携協定締結

スタディツアー本格化多数の学生が参画

調査から実証実験へ市の事業として提案へ

まちづくり会社(貯金箱財団)の設立地域おこし協力隊導入

地域デザインコンペ開催外部人材の積極的な導入

財団事業の拡大協力隊独立準備

2007年度12月  連携協定締結 2月 協定締結イベント開催

2008年度 8月 教育講演会 10月 誘致企業市長懇話会11月 SKY サミットにて 上山信一教授講演

2009年度地下水調査研究開始 地下水年代測定1

 9月 高校大学連携開始 10月 誘致企業市長懇話会

2010年度地下水調査研究 地下水年代測定2スタディツアー 「地域資源を活かした 地域振興策の調査研究」

学生らがシンポジウムにて調査研究内容を発表した

 7月 SFC 七夕祭参加 9月 市民公開ゼミ(浜田研)10月 誘致企業市長懇話会 12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究 水質分析等教職員業務支援システム共同開発環境イノベーターコース 「再生可能エネルギーに    関する調査研究」地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

学生による都市と富士吉田地域の持続的な価値の協創関係を構築するモデル提案

スタディツアー 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

中島研究会一ノ瀬研究会が現地にて調査研究を行い富士山の自然環境や歴史文化地区の活用について6つの提案を行った富士吉田商工会議所     創立 60 周年事業「富士吉田産業ビジョン」の策定 9月 下吉田まちづくりセミナー    (中島直人特任准教授講演)10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究   水質調査を活かす調査研究等スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

食を通じた地域ブランディングの実践及びまちづくり会社貯金箱財団地域おこし協力隊の導入等の事業提案を行った

スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

暖簾を活用した景観整備史跡(ヤーナ側)の清掃活動ワークショップ登山道をなど実施した教職員業務支援システム共同開発地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究水の価値を伝えるパンフレット作成スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」下吉田の地域活性化のため中心市街地や織物産業など地域資源を調査及びそれを活かした方策検討等スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」上吉田地区にある歴史的建造物を公開する「OPENおしまち」を実施「貯金箱財団協力隊事業開始」3名が富士吉田市に移住富士吉田みんなの貯金箱財団設立財団協力隊拠点整備環境スタディツアーの試行空き家対策HPの開設空き物件(ハモニカ横丁)改修

アキナイ(空き不動産活用)事業として協力隊と財団地域の人々のの協力で使われなくなった6軒続きの長屋をコミュニティスペースとして改修した参照 322食のブランディングHP開設教職員業務支援システム共同開発育児応援サイト「ママフレ」開設地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」スタディツアー中島研究会「魅力ある街のデザイン調査研究」

「貯金箱財団協力隊事業」新たに3名が富士吉田市に移住財団事務所移転ふじよしだ芸術倉びらき開催市民活動支援事業開始参照 331  映画館をつくる会の立ち上げ  商工会議所青年部事業協力デザイン事業開始 繊維産業 PR媒体作成事業 ふじさんミュージアム  ミュージアムショップデザイン富士吉田地域デザインコンペ開催

地域の資源を公開し広く富士吉田での事業への協力者を募るコンペを開催307 件の応募があり地域内外との多様な関係性を構築した地域おこし協力隊事業空き物件の改修 参照 321ともや堂 - 鍼灸治療院松山ベース -シェアハウス周遊観光アプリ 参照 312 富士山じかんアプリの試行富士吉田市の魅力発信地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会スタディツアー中島研究会「貯金箱財団協力隊事業」市民活動支援事業 -公募助成開始 まちのプロジェクト 4団体支援空きスナック街再生事業 「新世界通り復活プロジェクト」 参照 21  地域が繁栄し  ていた時代の  象徴である飲  食店街の再生  をスタート財団事務所改装(コンペ事業)  コンペで公募  した財団事務  所ビルを複合  施設へと改装  参照 22 人材育成事業 参照 24外国人ガイド育成事業参照 25定住促進事業開始 参照 26特産品開発商品化事業商工会議所ブランディング事業デザインコード策定事業ふるさと納税支援事業地域おこし協力隊事業ゲストハウスオープン参照 323  協力隊の集大  成としてゲスト    ハウス事業を  開始定住に  つながる 観光周遊アプリ 参照 312 富士山じかんアプリ運用支援その他富士吉田市の魅力発信その他連携協定事業 3

LLC

新世界通り

企画会社

企画会社

企画会社

旅行会社

不動産会社

企画会社

NPO

法人定住促進

企画会社

企画会社

企画会社

Cino Lab

八木毅

富士山じかんアプリ

鍼灸ともや堂

映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

株 C

o-cooking

市民活動支援富士吉田に映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

Co-cooking

協働事業富士山じかんアプリ

商工会議所青年部

富士五湖青年会議所

その他市内活動団体事業

寄付配当収益

育成事業化支援

独立起業

13 富士吉田みんなの貯金箱財団+地域おこし協力隊 事業一覧概念図

新世界通り復活プロジェクト

(21

地域デザインコンペティション

(22

クリエイター誘致活動

(23

ふじよしだ未来キャンプ

(24

外国人ガイド育成

(25

空き物件活用

その他 地域活性化事業

企画事業受託事業定住促進事業

(26

商工会議所ブランディング事業

織物情報発信

(23)

博物館ショップデザイン業務

(23)

各種デザイン業務

(23

その他

地域おこし協力隊齋藤萌  「地域ブランディング」

(31

赤松智志 「空き家活用プロジェクト」

(32

斎藤和真 「市民活動支援」(財団協働)

(33

SARUYA

(ゲストハウス)

地域教育事業

一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団 (代表理事 齊藤智彦 )地域おこし協力隊支援事業

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2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

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街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 3: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

11 富士吉田プロジェクトメンバー山梨県

慶應義塾大学

SFC( 湘南藤沢キャンパス )玉村研中島研一ノ瀬研 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスから主に3つの研究チームが富士吉田市を訪れ調査研究を行っているプロジェクトを統括する玉村教授と学生らは主に市街地の活性化に関する調査研究都市計画が専門の中島特任准教授らは上吉田と呼ばれる歴史的地区の景観形成ランドスケープなどが専門の一ノ瀬教授らは富士山周辺の自然環境を生かす取り組み等調査研究は多岐にわたる

まちづくり部まちづくり戦略課

 富士吉田市まちづくり部まちづくり戦略課は2015年7月にまちづくりを中心的担う部署としてまちづくり推進課と共に発足した元々慶應連携担当は企画財政課 (2012年度 )慶應義塾連携まちづくり推進室 (2013年度 )政策企画課 (2014年度~2015年 6月迄 ) と部署が変わりながら担当してきたしかし実際は部署は変わりつつも何人かの職員も共に異動して継続的に事業を担っている

 一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団と富士吉田市地域おこし協力隊は2012年度の大学研究チームによる調査研究によって提案された内容をもとに2013年富士吉田市が設立導入した事業である初期メンバーは慶應義塾大学SFCの研究スタッフで現在同財団代表を務める齊藤智彦(元玉村研 研究員)と地域おこし協力隊 赤松智志(元中島研)齋藤萌(元玉村研)の3名である3名とも2013年4月から富士吉田市に移住して活動しているまたその翌年には3人目の地域おこし協力隊として斎藤和真(慶應義塾大学院政策メディア研究科修了)財団所属のデザイナーとして八木毅更に翌年には定住促進担当として渡辺麗小林純(現在は飲食部門担当)再開発部門担当として青木はるひが加わった現在は財団スタッフと子会社スタッフ(LLC 新世界通り)地域おこし協力隊合わせ15名程で活動している

富士吉田プロジェクトは山梨県富士吉田市慶應義塾大学の三者による地域活性に関する包括協定をきっかけに活動がスタートした大学の研究チームが様々な視点から調査を実施市への提言を行い行政はそれらをもとにした施策を立ち上げてきた現場での事業の企画運営はまちづくり会社(一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団)と地域おこし協力隊が協力して担っている 大学と行政の連携協定は2007年12月に締結され初期は教授による講演や連携についての協議など主に教授陣による市との交流が中心だったが2010年度以降スタディーツアーの開始とともに学生や研究スタッフによる交流も始まったまたSFC( 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス ) と富士吉田市の距離が車で 1 時間半程と近いことから学生による自主的なスタディーツアーも頻繁に行われた多い年は年間のべ300名以上の慶應大学の学生が富士吉田を訪れている 2013年以前から調査研究に携わっていた研究スタッフの齊藤智彦が中心となって市内にまちづくり会社の立ち上げ大学生 2名も移住して地域おこし協力隊として活動をはじめた

連携協定

調査研究提案

アドバイス協働 設立導入

まちづくり会社富士吉田みんなの貯金箱財団times地域おこし協力隊

富士吉田市

玉村 雅敏 氏総合政策学部教授専門は公共経営など富士吉田プロジェクトの全体をコーディネートする

中島 直人 氏大学院政策メディア研究科特任准教授専門は都市計画主に歴史的地区の整備計画などに携わる

一ノ瀬 友博 氏環境情報学部教授主に富士山の登山道や周辺自然環境の活用について調査研究を行う

水越 欣一課長慶應連携初期から事業に携わる現在は課長として市のまちづくりを牽引

荒井 慶悟 氏水越課長とともに初期から本事業に携わる明るいムードメーカー的存在

渡辺 英之 氏連携事業の主な行政側担当リーダー財団とともに事業を計画実施する

勝俣 浩太 氏庁内再編のタイミングで合流こまめな気遣いでチームを支える

(左写真) 1列目左から 小林純大村聡一郎(建築設計担当アルバイト)齋藤萌  渡辺麗 2列目左から 斎藤和真渡辺和奈(H28 年度から定住促進担当)齊藤智彦青木はるひ八木毅赤松智志  左上 中川宏文(H28 年度地域おこし協力隊 建築設計担当)

2

2011年度2007年度 ~2010年度

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度12 富士吉田プロジェクトの歩み

慶應義塾大学と県市が連携協定締結

スタディツアー本格化多数の学生が参画

調査から実証実験へ市の事業として提案へ

まちづくり会社(貯金箱財団)の設立地域おこし協力隊導入

地域デザインコンペ開催外部人材の積極的な導入

財団事業の拡大協力隊独立準備

2007年度12月  連携協定締結 2月 協定締結イベント開催

2008年度 8月 教育講演会 10月 誘致企業市長懇話会11月 SKY サミットにて 上山信一教授講演

2009年度地下水調査研究開始 地下水年代測定1

 9月 高校大学連携開始 10月 誘致企業市長懇話会

2010年度地下水調査研究 地下水年代測定2スタディツアー 「地域資源を活かした 地域振興策の調査研究」

学生らがシンポジウムにて調査研究内容を発表した

 7月 SFC 七夕祭参加 9月 市民公開ゼミ(浜田研)10月 誘致企業市長懇話会 12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究 水質分析等教職員業務支援システム共同開発環境イノベーターコース 「再生可能エネルギーに    関する調査研究」地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

学生による都市と富士吉田地域の持続的な価値の協創関係を構築するモデル提案

スタディツアー 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

中島研究会一ノ瀬研究会が現地にて調査研究を行い富士山の自然環境や歴史文化地区の活用について6つの提案を行った富士吉田商工会議所     創立 60 周年事業「富士吉田産業ビジョン」の策定 9月 下吉田まちづくりセミナー    (中島直人特任准教授講演)10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究   水質調査を活かす調査研究等スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

食を通じた地域ブランディングの実践及びまちづくり会社貯金箱財団地域おこし協力隊の導入等の事業提案を行った

スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

暖簾を活用した景観整備史跡(ヤーナ側)の清掃活動ワークショップ登山道をなど実施した教職員業務支援システム共同開発地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究水の価値を伝えるパンフレット作成スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」下吉田の地域活性化のため中心市街地や織物産業など地域資源を調査及びそれを活かした方策検討等スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」上吉田地区にある歴史的建造物を公開する「OPENおしまち」を実施「貯金箱財団協力隊事業開始」3名が富士吉田市に移住富士吉田みんなの貯金箱財団設立財団協力隊拠点整備環境スタディツアーの試行空き家対策HPの開設空き物件(ハモニカ横丁)改修

アキナイ(空き不動産活用)事業として協力隊と財団地域の人々のの協力で使われなくなった6軒続きの長屋をコミュニティスペースとして改修した参照 322食のブランディングHP開設教職員業務支援システム共同開発育児応援サイト「ママフレ」開設地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」スタディツアー中島研究会「魅力ある街のデザイン調査研究」

「貯金箱財団協力隊事業」新たに3名が富士吉田市に移住財団事務所移転ふじよしだ芸術倉びらき開催市民活動支援事業開始参照 331  映画館をつくる会の立ち上げ  商工会議所青年部事業協力デザイン事業開始 繊維産業 PR媒体作成事業 ふじさんミュージアム  ミュージアムショップデザイン富士吉田地域デザインコンペ開催

地域の資源を公開し広く富士吉田での事業への協力者を募るコンペを開催307 件の応募があり地域内外との多様な関係性を構築した地域おこし協力隊事業空き物件の改修 参照 321ともや堂 - 鍼灸治療院松山ベース -シェアハウス周遊観光アプリ 参照 312 富士山じかんアプリの試行富士吉田市の魅力発信地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会スタディツアー中島研究会「貯金箱財団協力隊事業」市民活動支援事業 -公募助成開始 まちのプロジェクト 4団体支援空きスナック街再生事業 「新世界通り復活プロジェクト」 参照 21  地域が繁栄し  ていた時代の  象徴である飲  食店街の再生  をスタート財団事務所改装(コンペ事業)  コンペで公募  した財団事務  所ビルを複合  施設へと改装  参照 22 人材育成事業 参照 24外国人ガイド育成事業参照 25定住促進事業開始 参照 26特産品開発商品化事業商工会議所ブランディング事業デザインコード策定事業ふるさと納税支援事業地域おこし協力隊事業ゲストハウスオープン参照 323  協力隊の集大  成としてゲスト    ハウス事業を  開始定住に  つながる 観光周遊アプリ 参照 312 富士山じかんアプリ運用支援その他富士吉田市の魅力発信その他連携協定事業 3

LLC

新世界通り

企画会社

企画会社

企画会社

旅行会社

不動産会社

企画会社

NPO

法人定住促進

企画会社

企画会社

企画会社

Cino Lab

八木毅

富士山じかんアプリ

鍼灸ともや堂

映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

株 C

o-cooking

市民活動支援富士吉田に映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

Co-cooking

協働事業富士山じかんアプリ

商工会議所青年部

富士五湖青年会議所

その他市内活動団体事業

寄付配当収益

育成事業化支援

独立起業

13 富士吉田みんなの貯金箱財団+地域おこし協力隊 事業一覧概念図

新世界通り復活プロジェクト

(21

地域デザインコンペティション

(22

クリエイター誘致活動

(23

ふじよしだ未来キャンプ

(24

外国人ガイド育成

(25

空き物件活用

その他 地域活性化事業

企画事業受託事業定住促進事業

(26

商工会議所ブランディング事業

織物情報発信

(23)

博物館ショップデザイン業務

(23)

各種デザイン業務

(23

その他

地域おこし協力隊齋藤萌  「地域ブランディング」

(31

赤松智志 「空き家活用プロジェクト」

(32

斎藤和真 「市民活動支援」(財団協働)

(33

SARUYA

(ゲストハウス)

地域教育事業

一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団 (代表理事 齊藤智彦 )地域おこし協力隊支援事業

4

2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

5

街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

9

実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 4: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

2011年度2007年度 ~2010年度

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度12 富士吉田プロジェクトの歩み

慶應義塾大学と県市が連携協定締結

スタディツアー本格化多数の学生が参画

調査から実証実験へ市の事業として提案へ

まちづくり会社(貯金箱財団)の設立地域おこし協力隊導入

地域デザインコンペ開催外部人材の積極的な導入

財団事業の拡大協力隊独立準備

2007年度12月  連携協定締結 2月 協定締結イベント開催

2008年度 8月 教育講演会 10月 誘致企業市長懇話会11月 SKY サミットにて 上山信一教授講演

2009年度地下水調査研究開始 地下水年代測定1

 9月 高校大学連携開始 10月 誘致企業市長懇話会

2010年度地下水調査研究 地下水年代測定2スタディツアー 「地域資源を活かした 地域振興策の調査研究」

学生らがシンポジウムにて調査研究内容を発表した

 7月 SFC 七夕祭参加 9月 市民公開ゼミ(浜田研)10月 誘致企業市長懇話会 12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究 水質分析等教職員業務支援システム共同開発環境イノベーターコース 「再生可能エネルギーに    関する調査研究」地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

学生による都市と富士吉田地域の持続的な価値の協創関係を構築するモデル提案

スタディツアー 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

中島研究会一ノ瀬研究会が現地にて調査研究を行い富士山の自然環境や歴史文化地区の活用について6つの提案を行った富士吉田商工会議所     創立 60 周年事業「富士吉田産業ビジョン」の策定 9月 下吉田まちづくりセミナー    (中島直人特任准教授講演)10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究   水質調査を活かす調査研究等スタディツアー玉村雅敏研究会「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係作りに関する調査研究」

食を通じた地域ブランディングの実践及びまちづくり会社貯金箱財団地域おこし協力隊の導入等の事業提案を行った

スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」

暖簾を活用した景観整備史跡(ヤーナ側)の清掃活動ワークショップ登山道をなど実施した教職員業務支援システム共同開発地域情報化研究コンソーシアム市職員派遣研修高校大学連携事業10月 藤沢中等部農業体験12月 慶應科学技術展視察

地下水調査研究水の価値を伝えるパンフレット作成スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」下吉田の地域活性化のため中心市街地や織物産業など地域資源を調査及びそれを活かした方策検討等スタディツアー中島研究会一ノ瀬研究会 「富士山と富士信仰を活用した      観光施作等調査研究」上吉田地区にある歴史的建造物を公開する「OPENおしまち」を実施「貯金箱財団協力隊事業開始」3名が富士吉田市に移住富士吉田みんなの貯金箱財団設立財団協力隊拠点整備環境スタディツアーの試行空き家対策HPの開設空き物件(ハモニカ横丁)改修

アキナイ(空き不動産活用)事業として協力隊と財団地域の人々のの協力で使われなくなった6軒続きの長屋をコミュニティスペースとして改修した参照 322食のブランディングHP開設教職員業務支援システム共同開発育児応援サイト「ママフレ」開設地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会「富士吉田市の地域活性化に関する調査研究」スタディツアー中島研究会「魅力ある街のデザイン調査研究」

「貯金箱財団協力隊事業」新たに3名が富士吉田市に移住財団事務所移転ふじよしだ芸術倉びらき開催市民活動支援事業開始参照 331  映画館をつくる会の立ち上げ  商工会議所青年部事業協力デザイン事業開始 繊維産業 PR媒体作成事業 ふじさんミュージアム  ミュージアムショップデザイン富士吉田地域デザインコンペ開催

地域の資源を公開し広く富士吉田での事業への協力者を募るコンペを開催307 件の応募があり地域内外との多様な関係性を構築した地域おこし協力隊事業空き物件の改修 参照 321ともや堂 - 鍼灸治療院松山ベース -シェアハウス周遊観光アプリ 参照 312 富士山じかんアプリの試行富士吉田市の魅力発信地域イノベーター塾その他

スタディツアー玉村雅敏研究会スタディツアー中島研究会「貯金箱財団協力隊事業」市民活動支援事業 -公募助成開始 まちのプロジェクト 4団体支援空きスナック街再生事業 「新世界通り復活プロジェクト」 参照 21  地域が繁栄し  ていた時代の  象徴である飲  食店街の再生  をスタート財団事務所改装(コンペ事業)  コンペで公募  した財団事務  所ビルを複合  施設へと改装  参照 22 人材育成事業 参照 24外国人ガイド育成事業参照 25定住促進事業開始 参照 26特産品開発商品化事業商工会議所ブランディング事業デザインコード策定事業ふるさと納税支援事業地域おこし協力隊事業ゲストハウスオープン参照 323  協力隊の集大  成としてゲスト    ハウス事業を  開始定住に  つながる 観光周遊アプリ 参照 312 富士山じかんアプリ運用支援その他富士吉田市の魅力発信その他連携協定事業 3

LLC

新世界通り

企画会社

企画会社

企画会社

旅行会社

不動産会社

企画会社

NPO

法人定住促進

企画会社

企画会社

企画会社

Cino Lab

八木毅

富士山じかんアプリ

鍼灸ともや堂

映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

株 C

o-cooking

市民活動支援富士吉田に映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

Co-cooking

協働事業富士山じかんアプリ

商工会議所青年部

富士五湖青年会議所

その他市内活動団体事業

寄付配当収益

育成事業化支援

独立起業

13 富士吉田みんなの貯金箱財団+地域おこし協力隊 事業一覧概念図

新世界通り復活プロジェクト

(21

地域デザインコンペティション

(22

クリエイター誘致活動

(23

ふじよしだ未来キャンプ

(24

外国人ガイド育成

(25

空き物件活用

その他 地域活性化事業

企画事業受託事業定住促進事業

(26

商工会議所ブランディング事業

織物情報発信

(23)

博物館ショップデザイン業務

(23)

各種デザイン業務

(23

その他

地域おこし協力隊齋藤萌  「地域ブランディング」

(31

赤松智志 「空き家活用プロジェクト」

(32

斎藤和真 「市民活動支援」(財団協働)

(33

SARUYA

(ゲストハウス)

地域教育事業

一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団 (代表理事 齊藤智彦 )地域おこし協力隊支援事業

4

2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

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街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

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組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 5: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

LLC

新世界通り

企画会社

企画会社

企画会社

旅行会社

不動産会社

企画会社

NPO

法人定住促進

企画会社

企画会社

企画会社

Cino Lab

八木毅

富士山じかんアプリ

鍼灸ともや堂

映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

株 C

o-cooking

市民活動支援富士吉田に映画館をつくる会

路地裏の僕たち

テバタトラベル

Co-cooking

協働事業富士山じかんアプリ

商工会議所青年部

富士五湖青年会議所

その他市内活動団体事業

寄付配当収益

育成事業化支援

独立起業

13 富士吉田みんなの貯金箱財団+地域おこし協力隊 事業一覧概念図

新世界通り復活プロジェクト

(21

地域デザインコンペティション

(22

クリエイター誘致活動

(23

ふじよしだ未来キャンプ

(24

外国人ガイド育成

(25

空き物件活用

その他 地域活性化事業

企画事業受託事業定住促進事業

(26

商工会議所ブランディング事業

織物情報発信

(23)

博物館ショップデザイン業務

(23)

各種デザイン業務

(23

その他

地域おこし協力隊齋藤萌  「地域ブランディング」

(31

赤松智志 「空き家活用プロジェクト」

(32

斎藤和真 「市民活動支援」(財団協働)

(33

SARUYA

(ゲストハウス)

地域教育事業

一般財団法人富士吉田みんなの貯金箱財団 (代表理事 齊藤智彦 )地域おこし協力隊支援事業

4

2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

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街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

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富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 6: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

2 まちづくり会社 「富士吉田みんなの貯金箱財団」 代表理事 齊藤智彦

21 廃屋スナック街再生『新世界通り復活プロジェクト』22 地域デザインコンペティション23 クリエイター誘致活動24 ふじよしだ未来キャンプ25 外国人ガイド育成26 定住促進事業

基本情報

正式名称 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団代表理事 齊藤智彦設立者 山梨県富士吉田市

事業内容 地域課題解決 地域ブランディング  起業支援 市民活動支援 人材育成 空き物件活用再生 市街地再開発 各種デザイン 広報 企画運営 地域おこし協力隊支援 定住促進業務 

設立年月日 2013年 8月8日基本財産 300万円スタッフ数 15名(2016年3月現在)所在地 山梨県富士吉田市富士見1-1-5電話番号 0555-73-9438E-mail infofpbfjp

齊藤智彦 

 中国アメリカドイツで美術を専攻作家活動ののち帰国し帰国後はクリエイティブと都市の関係性について研究2013年に富士吉田市に移住し行政協力のもとまちづくり会社『富士吉田みんなの貯金箱財団』を設立

慶應義塾大学SFC研究所 研究所員一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団 代表理事一般社団法人 リバースプロジェクト 理事一般社団法人 アプリュス 理事札幌ソーシャルデザインプロジェクト アドバイザー

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街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 7: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

街の誇りを取り戻す廃屋スナック街再生「新世界通り復活プロジェクト」21

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組織体制総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団 LLC 新世界通り建築監修 一般社団法人リバースプロジェクト建築施工 (株)滝口建築現場進行補助 大村聡一郎(東京理科大学)メニュー開発 NPO法人 Food Designers NetworkHP 製作 HakunaBara Inc店内照明植栽 Replanter看板デザイン 若岡伸也事業計画策定支援 半谷経営研究所資金計画策定支援 都留信用組合全体進行管理 東沢由紀協力 富士吉田市役所 富士吉田商工会議所青年部 富士五湖青年会議所 本町大好きおかみさん会 山梨県立ひばりが丘高校 うどん部 山梨県立富士北稜高校 Future House Lab 東京理科大学 坂牛卓研究室

実施スケジュール2014 年度 貯金箱財団主催イベントなどで様々な人に対して 新世界通りを紹介rarr地域の人々が魅力に気づく

2015 年  3月 新世界通り復活プロジェクト企画作成 新世界通り測量大会  6月 新世界通り大掃除大会  7月 解体作業開始  8月 新世界通り復活祭 11月 移住無尽新世界通り1 12月 移住無尽新世界通り2 新世界まるさんかくしかく 改装工事着工2016 年  1月 どんど焼きナイトフィーバー  2月 合同会社新世界通り設立 内覧会 富士山はしご祭り参加 新世界まるさんかくしかくオープン 新世界乾杯通り出展者説明会開催

新世界通り復活プロジェクトとは 富士吉田市の下吉田西裏地区にある長さ50mにも満たない路地を新世界通りと呼ぶかつて織物産業の隆盛とともに富士吉田は戦後最大の好景気を迎えた西裏地区のとなりの地区では毎週2回織物の市が開かれ地域内で織られた生地を売りに来る業者とそれを買い付けに来た人々で賑わった織物関係者はそこで得たお金をもとに夜の街である西裏地区へと繰り出したガチャマン景気と呼ばれる最盛期には織物業者はガチャンと1回機を織るごとに1万円が手に入ると言われるほどに儲かったそうしたお金を旦那衆が景気良く使うことにより「日本三大歓楽街の1つ」と呼ばれるほど盛り上がったしかし外国から安い製品が入ってくると織物産業は衰退をはじめるそれにともない西裏の繁華街も衰退していった40年ほど前新世界通りには20軒以上の飲み屋がひしめき合っていたが今では焼き鳥屋が1軒のみとなってしまったそうしたなか貯金箱財団では赴きある昭和レトロの街並みとして富士吉田を訪れる人々に新世界通りを紹介してきた「面白いゴールデン街みたい」という感想が多かった貯金箱財団では当時の賑わいを取り戻そうと人々が集まる仕掛けを独自のプロセスで創っている

写真左改装前の店内の様子屋根が落ち光が差し込む 写真右3店舗オープンした後の外観

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地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 8: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

地域の人が関わる仕掛け 新世界通り復活プロジェクトは貯金箱財団及び地域おこし協力隊の3年間の事業の中でも最も大規模で困難なものとなった改修や開業にかかる費用が大きいだけではなく飲食店としての持続的な経営の視点も求められる建築物としての魅力はもちろんのこと飲食のテナントが入り大勢のお客様が来たくなる空間が求められるまた立地や耐久性営業許可など乗り越えるべき課題は山積していたそのため飲食店としてオープンする前から新世界通りの「復活」のイメージを住民と共有しともに機運を高めていくことを目指したオープンしてから呑みにくるのではなく改修しつくる段階から地域の人も一緒に参加し「新世界通りはなんだか賑わってきた」「楽しい場所だ」という実感をもてるよう事業を組み立てた新世界通り復活プロジェクト まずは大掃除から 最初に取り掛からなくてはいけないのは新世界通りの各店舗に大量に残されたゴミを片付けることだった一般的に清掃業者に依頼すると 100万円は下らないそこで貯金箱財団では地元住民に協力を仰いだ近隣の地域の人々にも大勢に声をかけ「大掃除大会」と銘打ってイベントとして大掃除を行った当日は地元の高校生や商工会議所の青年部や

婦人会など総勢60名が集まった 一日の掃除でトラック9台分ものゴミが片付けられた自力の解体から復活祭まで 大掃除をしていると参加者から「改装する前にお祭りがしたい」「早くここで呑みたい」という意見が出た改装が完了しオープンするまでは半年以上かかるそれまでに大掃除で高まった盛上りを無駄にしないため急遽夏祭りとして「新世界通り復活祭」をすることにしたすでに6月富士吉田の夏は短いお盆を過ぎると夜は半袖で歩けなくなるギリギリのタイミングを見計らって開催日を8月22日とした 「復活祭」までにどの程度店舗に手を入れるかを話し合った現状のままで十分という意見もあったが「あの新世界通りが本当に復活するかもしれない」という実感を地元住民に持ってもらうため変化を感じることができる「演出」をしようと決めた「改装前のイベント」というアイデアは単純だが実施には想像よりも大きな手間がかかる自分たちの手で急ピッチで解体作業を行い簡易的なカウンターを設置空間を演出するため照明など雰囲気作りにはこだわった結果復活祭には2000名以上の住民が訪れ新世界通り復活への機運は確実に高まった

写真左大掃除大会の様子 写真中実際に解体するスタッフ 写真右上下新世界通り復活祭の様子

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プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

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組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 9: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

プロジェクトチームの立ち上げ 仮店舗での「復活祭」成功の後も住民が新世界通りと関わることのできるイベントしつつ実店舗を出店するための体制づくりをはじめた事業計画策定や資金繰り改装の設計など貯金箱財団の現在のスタッフだけでは追いつかない仕事内容となったため事業計画や設計監修には外部人材を登用することにしたその際に今までの貯金箱財団のプロジェクトで関わった人々が期間的にも報酬的にも厳しい条件であったにも関わらず快く協力してくれチームが出来上がった営業可能な実店舗への改装 老朽化した建物をいかし営業可能な店舗をつくるには多くの改装が必要となる上下水道の接続建物の構造補強厨房設備の導入など予算は膨らんでいくしかし「廃墟のようなこの物件の改装は新築そっくりにする必要はなく今ある魅力を活かして新たな価値観を表現するべきだ」というコンセプトを計画当初から確認していたため内外装は最低限の内容に抑えるという方向性はゆるがなかった関わりを生み出す仕掛け合同会社新世界通りの設立 新世界通り事業を貯金箱財団の事業の一つとしてこのまま続けていくことも検討したがより多くの人々に関わってもらえるように新たに合同

会社を設立したこれは貯金箱財団の理想として掲げる「街に住む人々が自ら関与してまちづくり事業を担う」というスタイルを推進するための体制整備である貯金箱財団は包括的にまちづくりに取り組む団体である事業は多岐にわたる住民からすると具体的な事業内容を理解するのが難しいのだその点「合同会社新世界通り」ならばわかり易く事業資金を集める際も説明しやすいこのように合同会社設立という手段も街の人々が関わりやすくするための仕掛けなのである新世界「まる」「さんかく」「しかく」のオープンへ 2016年2月3日合同会社新世界通りを設立し2月23日に晴れて新世界「まる」「さんかく」「しかく」の3店の飲食店がオープンした合同会社新世界通りでは新世界通りの全体を一括で借り上げ改修しテナントとして貸し出すことが事業の根幹となるが最初の 3 店舗は合同会社の直営店としたこれはテナントに入居した飲食店同士のトラブルや通りの雰囲気が壊れることを防ぐためにまずは企画者側の狙いを表現する必要がある考えたためだ2016年3月にテナントの出店者募集を開始2016年夏に全10店舗でのグランドオープンを目指している

写真左上改装後の外観 写真左下内覧会に集まった人々 写真右上新世界まるさんかくしかく 内観

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地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 10: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

地域に新しい仲間をふやす方法「富士吉田地域デザインコンペティション」22

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制主催 富士吉田地域デザインコンペティション実行委員会

共催 富士吉田商工会議所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 一般財団法人 富士吉田みんなの貯金箱財団

総合企画 運営  富士吉田みんなの貯金箱財団

審査委員 南條史生(森美術館館長) 太刀川英輔(NOSIGNER 代表) 村松一(一般社団法人リバースプロジェクト代表) 実行委員 実行委員長 堀内茂 富士吉田市長 実行副委員長 齊藤智彦(貯金箱財団代表理事) 都留信用組合(地域資源紹介) 山梨中央銀行(地域資源紹介) 富士吉田商工会議所(地域資源紹介) 富士工業技術センター(地場産業紹介) 粟井英朗環境財団(協賛) ふじよしだ観光振興サービス(販路相談) ( 株 ) イトーキ(市外協力企業コーディネート)

資源提供協力企業 富士山の銘水株式会社(水) 富士ハウス工業株式会社(曲線組子) 株式会社 STS 研究所(保冷剤) 舟久保織物(織物) 有限会社渡小織物(織物) 渡邊織物(織物) 株式会社西多屋(豆腐) ふじよしだ観光振興サービス(うどん) 協賛 富士五湖広域行政事務組合 公益財団法人粟井英朗環境財団 株式会社イトーキ 協力 富士吉田市役所 富士工業技術センター 都留信用組合 山梨中央銀行 新倉観光バス株式会社 ヤフー株式会社 インテージリサーチ JTB 総研 JTB GMT リクルート 一般社団法人リバースプロジェクト

地域に仲間を増やす地域デザインコンペティション 地域にはデザイナーが足りない建築家も足りない新しい事業を生み出しプロジェクトを進めていく人手が圧倒的に足りない足りないなら仲間を増やそう地域デザインコンペはその有効な手段となる どんな地域にもすぐ足下に魅力的な資源がたくさんあるところがその魅力を磨き外に向けて発信する力が欠けていて活かしきれないという状況がどこの地域にもある富士吉田市も例外ではない 貯金箱財団でも設立から半年が経過し理解者や協力者が増えてきたころにこの問題に行き当たった地域内の人材や視点だけでは限りがある住民が見たことのないあっと驚くようなデザインと仕組みを一緒につくれる人を探し出しチームに加わってもらう必要があったそのための仕掛けとして地域デザインコンペティションを企画した地域資源の魅力発信につながるアイディアを集めそれを考えてくれたデザイナーや建築家自身まで仲間にしてしまおうと目論んだのだ

外の視点で「アイディアを出したくなる題材」をセレクト デザイナーに応募してもらうには題材選びが重要だその際地域の人が題材にしてほしい一押し産品と地域外の人が求める「アイデア

を出したくなるような産品」にはギャップがあることが多い例えば富士吉田市民がソウルフードであるうどんを食べてほしいと思っても観光客は一般的にほうとうを選ぶ同じように地元の人が売り出したいものと外の人が面白い魅力的だと感じるものは一致しないそうした事実を踏まえた上で今回の地域デザインコンペティションでは伝統的ある産品や地域が売り出したいもののほかにも特徴的で面白いけれどまだ知名度のない地域資源を洗い出しコンペティション形式でアイデアを募ることとしたこの洗い出しには市内の多様な企業と取引のある地元金融機関や商工会議所にご協力いただき貯金箱財団スタッフの移住者などの「よそ者の視点」も取り入れたその結果地域住民ですら知らなかった新たな資源の発掘にもつながった公募には必ずデザイナーをいれること 題材選びと並んで大切なことはこの地域デザインコンペティションの企画自体がチャレンジする価値があり魅力的だ思ってもらえることだそのために力を入れたのが公募のホームページやチラシポスターのデザインであるデザイナーや建築家はそれらのデザイン性から「自分たちのデザインを理解し評価してもらえるコンペかどうか」を判断するはずだと私たちは考えた貯金箱財団がコンペティションを実施した

写真左プロダクト部門 うどん 優秀賞作品プレゼンテーションボード 写真右作品をもとに試作された製品

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実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 11: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

実施スケジュール2014 年  3月 貯金箱財団代表とイトーキ戸田が東京で出会い 何か一緒に事業ができないか検討にはいる  4月 コンペティションのアイデアが出る  5月 富士吉田市に企画案のプレゼンを行う rarr富士山世界文化遺産登録1周年事業となる  9月 HP フライヤー ポスターなどの準備をする 10月 第1回実行委員会開催 情報公開公募開始 11月 第 1回現地見学ツアー 12月 第 2回現地見学ツアー 第 2 回実行委員会開催 公募締め切りrarr1次審査2015 年  2月 公開2次審査授賞式 10月 物件改装部門 富士製氷改修工事 着工2016 年  2月 物件改装部門 富士製氷改修工事 竣工  3月 物件改装部門 内覧会開催

2014年度に緊急雇用制度を活用し新たにデザイナーを採用していたためホームページやチラシポスターの制作はそのデザイナーとの綿密な打合せのもとに進めることができた今回の地域デザインコンペティション終了後に応募者に動機をヒアリングしてみると「Web やチラシなどがしっかりデザインされていて信用できるコンペだと思った」との声が多かった

仲間を集めるために人を呼び込む そもそもは仲間集めが目的のためできるだけ多くの人とつながりをつくれるよう公募期間中に2回の現地見学ツアーを企画した新宿発の貸切バスを準備し富士吉田市内の地域産品の生産現場や物件改装部門で扱う対象物件の見学さらには市内を巡り一緒に食事をするなど交流がうまれるツアーとなるよう配慮した「わざわざコンペのために現地まで来る人がいるのか」という不安はあったが募集してみると 1 週間ほどで満席となった企画の手応えを感じた瞬間だ 現地見学ツアーの反響は大きかった定員オーバーでツアーに参加できなかった方々に個別で現地ツアーの対応が可能であることを連絡すると是非見学したいという方からひっきりなしに問合せがきた

最終的には公募期間中にツアーも合わせると200名以上をご案内したアポなしで突然「車で名古屋から来ました」という方や遠くは愛媛から来た方もいたそうして実際に富士吉田を訪れてくれた方々と全て連絡先を交換し地域デザインコンペティションの受賞の有無にかかわらず「面白そう」「仕事を一緒にしてみたい」と思う人とその後もコンタクトをとるように心がけた実際にそのなかから別の仕事が決まるなど仲間づくりが着実に成功していった

はたして応募数はそして審査から授賞式まで 現地見学ツアーが終わり公募の締め切りを待つだけとなったツアー参加者は多かったものの締め切り 1 週間前の時点で応募は数点のみ「応募がこのまま集まらなかったら」「この中に質が高い応募作品がなかったらどうしよう」と不安な日々だった ところが締切日とその前日に大量の応募作品が届いた応募作品の束で貯金箱財団の事務所が溢れかえるほどだった最終的に応募は国内外から307件作品のクオリティも想像をこえる高さでギリギリまで粘って応募して頂けたのが良く分かる内容だった

左上公募ホームページ Top 画面 写真右現地見学ツアーの様子

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 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 12: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

 すぐに審査がはじまった締め切り直後に審査員に見てもらい入賞作品が決定想定以上の応募点数にどの審査員も審査には時間かかったものの物件改装部門も2月には公開プレゼンテーション形式の2次審査及び授賞式が行われた2次審査は並み居る強豪を押しのけて東京理科大学坂牛卓研究室の大学院生2名と助手による三人組のチームが最優秀賞となった授賞式にも100名以上の観客が訪れて最後までコンペティションとして大いに賑わった

一緒に作り上げ仲間になる 物件改装部門で最優秀賞となった東京理科大学のチームは3月からすぐに実際の設計作業をスタートさせた受賞した3名だけでなく同じ研究室の学生らも現場を訪れ一緒に解体作業や内外装工事を手伝ってくれた最終的に訪れた学生数は延べ200人以上受賞したチームの大学院生2名は施工期間が始まると富士吉田に泊まり込みで作業を手伝ったそのうちの一人大学院2年生の中川宏文は卒業後に貯金箱財団の建築担当として富士吉田に移住することが決まった

写真上段左からコンペ授賞式の様子改装後外観改装前改装後階段室  写真中段左から改装前改装後 3F 内観(現在貯金箱財団事務所) 写真左下物件改装部門最優秀賞プレゼンボード

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デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

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富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 13: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

デザインのクオリティを押し上げ地域に新しい発想を加える「クリエイター誘致活動」23

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田芸術倉びらき2014実施概要開催期間  2014年8月2日~8月17日開催場所  旧富士製氷(現 富士吉田みんなの貯金箱財団)  下吉田織物倉庫他市内空き店舗等10会場参加作家大野智史狩野哲郎小池浩央鈴木基真ゾフィーバラバスニコラビュッフェパオラパレスアレックスデルマスパスカルカルデラック山下麻衣+小林直人YAT

ライブパフォーマンストンチと川村亘平斎映画上映 監督トークショー 西川美和監督「ゆれる」

主催富士吉田みんなの貯金箱財団共催富士急行株式会社 富士吉田に映画館をつくる会特別協賛都留信用組合協力大野智史 HAGIWARA PROJECTS TOMIO KOYAMA GALLERY山本現代 YAT Takuro Someya Contemporary Art University of MtFuji 富士吉田商工会議所青年部後援富士吉田市

やりたいことをやる人を街に招き入れる 富士吉田みんなの貯金箱財団は設立当初から「やりたいことができる街づくり」をテーマに掲げて事業を行っているしかしながら本当の意味でやりたいことをできる人材というのはそんなに多勢いるわけではなくむしろやりたいことはぼんやりと持ちつつ実際は何もできないでいる人がほとんどである富士吉田市でも同じような状況が見られたことから貯金箱財団では自分のやりたいことをゼロから構築する力を持つアーティストやデザイナーなどの「クリエイター」を街に呼び込むことによって地域の人たちに自分達のやりたいことをやる姿を感じてもらいやりたいことを始めるための刺激となってもらおうとしているデザイナーとアーティストを雇用する 貯金箱財団で最初に誘致したのがデザイナーの八木毅とアーティストの南條俊輔フランソワである貯金箱財団が二期目に入るにあたり活動のさらなる飛躍のため緊急雇用の制度を活用し貯金箱財団の職員となってもらったチームの中にデザイナーがいることで書類やチラシパンフレットなどのクオリティが確実に向上するとともに対外的にデザイン業務を受注することが可能となり貯金箱財団における収益事業の一つの柱となったまたアーティストがチームにいることにより

ミーティング時に様々なアイデアが提案されるようになったさらにはアーティスト自身のもつネットワークから貯金箱財団の活動への協力者も今までにはない多様性が生まれた芸術祭の開催とアーティストインレジデンス 貯金箱財団に二人のクリエイターが入り最初に取り組んだのが芸術祭の開催だった2014年の夏に開催し様々な倉庫や空き店舗を活用したことから「富士吉田芸術倉びらき」と名付けた県内のアーティストグループに加え全国的に活躍するアーティスト海外で活躍するアーティストなど総勢20名ほどが作品を市内10箇所に展示したまた期間に合わせてハンガリーからもアーティストに来てもらい実際に住みながら作品の制作やワークショップを開催してもらうアーティストインレジデンスや貯金箱財団が支援する市民活動団体「富士吉田に映画館をつくる会」による映画の上映会も行われた上映作品は富士吉田で撮影された映画「ゆれる」西川美和監督によるトークショーも行われたさらにトンチと川村亘平斎による音楽と影絵が融合したライブパフォーマンスなども開催された このような取り組みは2015年度も継続しフランス人とアメリカ人のアーティストによる滞在制作と展覧会を開催した

写真左ゾフィーバラバスとワークショップ参加者の様子 写真右ライブパフォーマンスのフィナーレで子供とアーティストが触れ合う様子

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デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 14: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

デザイナーがまちに入る デザイナーとアーティストを雇ったことの一番のメリットは制作物のクオリティが飛躍的に向上したことだろう企画書一つ作るにしてもプロのデザイナーの手が入ることによって企画内容やアイデアをクライアントに伝えるのが非常に容易になったまたそれらの企画書や制作物を見てデザインに関係した仕事が多く持ち込まれるようになった2014年度は大きい案件としてふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)のリニューアルオープンにあたりミュージアムショップのデザインヱッズのプロデュース紙モノやロゴのデザインを受注することができた実際に完成したミュージアムショップも非常にオシャレで今までなかった地元の製品が購入できると好評だまたデザイナーがまちにいることによって何よりも地域住民のデザインに対しての意識が向上したと感じられる今まではとりあえず身近な誰かにお願いして特別こだわりを持たなかった人々がいいデザインと感じられるモノを身近に置くことでしっかりとデザインの意味を捉えられるようになったと感じられる展覧会とはまちを外にひらく行為アーティストをまちに呼び込んでメリットと感じたことはアーティストとまちの人が一緒に話をするなかでまちの人たちがアーティストの存在

存在を面白いと感じそうしたアーティストらのアイデアを聞きに来ると言った循環が生まれたことだ明らかにまちの中で異質な存在のアーティストではあるがまちの人たちも自分たちにはない面白いアイデアを持っていると認識してくれたことによりまちに今までなかった動きが起こるきっかけとなったまたそうした異質なモノとのつながりに慣れることでまちの人自身が積極的に外の人とのつながりを求めるようになったと感じられる またそうしたまちの人に対しての刺激だけでなくアーティストが展覧会を行うたびにそのネットワークから今まで富士吉田に来たこともなかった多勢の人が訪れることとなったアーティストにとっては展覧会をする以上多くの人に見てもらわなくては意味がないその為にもしっかりと告知を行いツアーやワークショップの開催など様々な手段で人をまちに呼び寄せたそうした行為の中でアーティスト自身が来てくれたお客さんに対して作品だけでなくまちも含めて案内をしてくれたわざわざ遠くから来てくれるお客様に対して富士吉田市でやる意味やその価値を含めての案内でありそした展覧会を行う一連の流れがまちを外にひらく行為となった

写真左列ふじさんミュージアム(富士吉田歴史民俗博物館)リニューアル時に受託したミュージアムショッ及び紙モノデザイン写真中列地場産業である織物を PRする目的で作られたリーフレット類  写真右デザイナーによってデザインされた新世界復活祭のフライヤー

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未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 15: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

未来をつくる人を育てる「ふじよしだ未来キャンプ」24

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未来を語れる人を育てる まちづくりは住民の話し合いからはじまる未来への思いを言葉にする重要なプロセスであるそのときに課題と感じたのは「どんな未来を創りたいか」を明確に語れる人が少ない現状だ公共的なまちづくり事業では住民の声を反映させるために様々な人に意見や考えをヒアリングする場が度々設けられるそうした場で意見を語る人たちが未来のことを語らなかったらどうなるのだろうかそういう場に参加する人たちは比較的時間に余裕があり地域で顔役となる世代が多いまたそういう場に若者が参加したとしても世間で騒がれている社会問題や身近な課題をいかに解決するかといった短絡的な方向に議論が向かってしまいがちであるしかし今ある社会問題が未来とどうつながっているのかを考えることは非常に少ないそうした状況を踏まえrdquo 未来のことを考えてまちづくりに取り組んでいける人rdquo を育てるための取り組みが「ふじよしだ未来キャンプ」であるまずは楽しみを共有する ふじよしだ未来キャンプは全四回開催した全てが二部構成になっており前半は講師の方々と一緒に作業を行い後半が講師の話を聞いたり参加者みんなで考える時間となっているメインの講師はパーマカル

一緒に作業した仲間だから耳を傾ける楽しい時間に既に伝わっている 第一回ふじよしだ未来キャンプの後半はバーベキューの昼食をはさんで再開された内容は四井氏によるパーマカルチャーデザインの取り組みを中心とした活動紹介だパーマカルチャーの基本的な考え方や四井氏の生活を通しまちの持続可能性について考える機会となった ここでのポイントは「すでに前半で講師との楽しい体験を共有していること」だ一般的な講演会や講座では一方的に講師が話をしたりすぐにワークに入ってしまいがちであるその場合講師と受講生という関係性になってしまい教える側と学ぶ側の間に壁ができてしまうまた話を聞いたり考えたりするだけでは頭しか使わずどうしても身体的な感覚が欠如するその点ふじよしだ未来キャンプでは前半に講師と体を使って作業し一つの目的を共有達成しているまたその作業自体に四井氏の普段の活動のコンセプトや大事にしている点などが十分すぎるほど詰まっており参加者は楽しい作業をしながら既にその片鱗を体験し終わった状態にあるよって後半の講演は一から新たに学ぶのではなく前半の答え合わせをしているような状況となるふじよしだ未来キャンプでは残りの3回も同様のプログラムとして構成している

チャーデザイナー(持続可能な文化社会環境をデザイン)を教えるSoil Design 代表の四井真治氏と富士吉田みんなの貯金箱財団の代表理事である齊藤智彦が勤め第二回のゲストには俳優で映画監督でもあるRebirth Project 代表 伊勢谷友介氏第三回のゲストには Rebirth Projectで食を担当する新納平太氏を迎えた ふじよしだ未来キャンプの第一回前半は四井氏と共に日干しレンガとかまど造りを行った日干しレンガは赤土と砂石灰に麻の繊維を細かくほぐしたものを混ぜ水を加えながらよくこねた後型枠に入れて成型し3週間ほど乾燥させると出来上がるそうした日干しレンガは組み立てかまどやピザ釡アフリカでは家まで建てられる材料である第一回では第二回のピザ釡造りの準備として日干しレンガをつくりあらかじめ用意した日干しレンガでかまど造りも行った そもそも多勢で何かを作り上げるのは楽しい土をこねるのも楽しければ実際に生活で使うようなものを自分の手で作ることができるのも楽しいそうしたみんなが積極的に手を出したくなってしまう作業を四井氏の指導のもと子供から大人まで多勢で力を合わせて作業を行った

写真左参加者全員で材料となる土をこねる様子 写真右作業について説明する四井氏

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子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

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組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

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「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 16: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

子供も大人も一緒に参加する ふじよしだ未来キャンプでは全 四回のうち第一回から第三回は親と子供が一緒に参加できるプログラムとした親子で気兼ねなく参加できるプログラムは普段まちづくり活動に参加することが難しい子育て世代の参加につながったまたそれ以外にも高校生や大学生孫を連れたお年寄り世代の参加もあったそうした多世代の参加者全員に同じように話を聞き同じようにワークショップに参加してもらった結果普段触れ合うことのない世代がそれぞれ将来やまちの未来に対して考えを伝え合うことができ世代間の意識共有がうまくいった20年後のまちを考える ふじよしだ未来キャンプは様々な講師と「楽しみを交えつつ手を動かしてから考えること」を中心に行ったまたプログラムの全てに共通して考えてもらったことが「20年後の未来」である多世代間でお互いに20年後のあるべき姿を共有しそのために何をしなくてはいけないかを考えてもらった未来をつくる人を育てるプロセスのはじまりである

二回目からは指示しない参加者自身で場を作る ふじよしだ未来キャンプの第二回の共同作業は日干しレンガを組む際の目土止めのため前回と同様の土づくりから始まったこの際のポイントはrdquo 参加者の自主性に委ねるrdquo という方針だ参加者が集合後にその日のスケジュールだけ伝え「後は前回と同じなので勝手にやってください必要な時だけ聞いてください」というお任せスタイルを貫いたこのスタイルは非常に機能し初回に参加した参加者が「あぁでもないこうでもない」と思い出しながら初回に出られなかった参加者に教えつつ作業をしていく様子が見られたまた作業内容も土づくり以外にも薪割りや食事の準備などを用意していたが誰が仕切るわけでもなくそれぞれが気を使いながら役割を分担して必要なことをこなしてくれた こうしたスタイルは一般的なワークショップや講座と比較すると投げやりのようにも思えるかもしれないが講師と受講者の間だけのやりとりではなく参加者同士が常に考えながら動いてもらうことができる与えられたお題だけを考えるのではなく積極的に「自分が何をしなくてはいけないか」を考えさせる状況は後半のワークショップやトークの際のチームビルディングとしてそのまま機能していた

写真左参加者全員で 20 年後のまちのあり方について考えるワークショップの様子 写真右トークショーの際子供に意見を求める様子

ふじよしだ未来キャンプ実施概要事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

主催 富士吉田みんなの貯金箱財団講師 四井真治(Soil Design) 齊藤智彦(富士吉田みんなの貯金箱財団)ゲスト講師 伊勢谷友介(リバースプロジェクト) 新納平太(リバースプロジェクト)企画協力 一般社団法人リバースプロジェクト協力 ふじさん牧場 富士吉田市役所 一般財団法人ふじよしだ観光振興サービス開催日程 第1回 8月30日 日干しレンガとかまどづくり 第2回 9月22日 ピザ釡づくりとかまどご飯 第3回11月 7日 ピザ釡でピザづくり 第4回 3月1920日 みんなで何をするか考える合宿

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観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 17: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

観光客を市街へ「外国人ガイド育成」25

FUJIYOSHIDAPROJECTS

組織体制事業名世界文化遺産rsquorsquo 富士山rsquorsquo 活用活性化事業(文化庁 平成27年度文化遺産を活用した地域活性化事業)

企画 運営 富士吉田みんなの貯金箱財団協力 株式会社 JTB 総合研究所 株式会社トモノカイ 富士吉田市役所 一般財団法人 ふじよしだ観光振興サービス 杉本充江(日本語教師)

年間2000万人が訪れる富士山周辺のポテンシャル 富士吉田市は山梨県の東南部に位置し観光資源として富士山を有する自治体である東京から公共交通機関を利用しても2時間以内にアクセスでき周辺には富士五湖や忍野八海など観光名所が数多く存在する富士山一帯での観光客数は年間2000万人ともいわれるそれならば富士吉田市の観光産業は順調かというとそうではない富士吉田市自体の認知度低いのだ 富士山の登山者が通る吉田ルート ( 五合目 吉田口)や富士急ハイランドはよく知られており観光客も多いがその一方でこの2つが富士吉田市であることはあまり認知されていないさらに市街地まで訪れる観光客が少ないため観光産業に重要となる宿泊のお客様が少ないのが現状だ対照的に河口湖や山中湖周辺は訪日外国人観光客の増加で宿泊施設の稼働率が80パーセントを超えるところも珍しくない富士吉田市内にもたくさんの観光スポットしかしガイドがいない 富士吉田の市街地でも確実に観光客が増加しているスポットもあるその一つが新倉山浅間公園通称忠霊塔 Google イメージ検索でrsquorsquo JAPAN rsquorsquo と入力すると検索トップにでる日本を象徴する風景の場所だ成田空港でも歓迎の言葉とともにここの写真が使われている外国人観光客も

SNS などで情報を知り東南アジアの観光客を中心に人気のスポットとなっているしかし実際に行こうとすると多言語での案内に対応しておらずたどり着くのは難しいほかにも昭和レトロな町並みの残るエリアや富士山信仰で栄えた歴史的エリアなど外国人に喜ばれるスポットは多いが中国語韓国語タイ語等の言語に対応できる日本人ガイドが少なく案内人も圧倒的に不足している日本に住む外国人が自国の観光客にガイドをできる仕組み 富士山や富士急ハイランドを目指してくる観光客の足を市街地に向かせるにはどうしたらよいのか官民に共通の悩みであり様々な対策が立てられてきたそんななか富士吉田みんなの貯金箱財団が考えた企画が「外国人ガイドの育成」である 課題となる多言語対応や彼らのニーズの把握を日本人が担うのではなく発想を転換し日本に来ている外国人留学生に担ってもらおうというアイディアである市内でガイドスキルを教えそのまま観光ガイドとして仕事ができれば日本に住み続ける選択肢も増え観光産業にとってだけでなく地域の活性化にもつながる私たち日本人が海外旅行に行く際にも現地に日本人ガイドがいると心強いはずだまた日本人ガイドが現地の情報をブログ等を使って日本語で発信していれば

写真左新倉山浅間公園(忠霊塔)から富士山を眺める留学生たち 写真右観光ガイドの実習を体験する留学生

それを貴重な生の声として参考にするだろう日本にいる外国人留学生が富士吉田市の観光ガイドになれるような育成プログラムができるのか貯金箱財団では JTB 総合研究所の協力のもと実現可能性を確かめるべく「留学生モニターツアー」を行なった

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実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 18: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

実施スケジュール(9月18日~19日) 1日目  富士吉田市内見学ツアー 吉田のうどん打ち体験2日目 観光ガイド研修1(旅行商品の作り方 JTB 総合研究所) 観光ガイド研修2(ガイド日本語講座 杉本充江氏) 留学生視点でのオススメ観光スポット選び(9月25日~26日)3日目 留学生視点でのオススメ観光スポット下見ツアー4日目 留学生ガイドによるモニターツアーコース作り(11月13日~14日 or20日~21日)5日目 モニターツアーコース下見現地確認6日目 留学生ガイドによるモニターツアー実施

外国人留学生の視点でつくるモニターツアー 「留学生モニターツアー」は3部構成で行われ留学生たちは1泊2日の日程を3回計6日間富士吉田で過ごしてもらった第一回では貯金箱財団のスタッフによる富士吉田市周辺の観光地の案内翌日は株式会社 JTB 総合研究所の研究員による観光ツアーの作り方講座と日本語教師の杉本氏による留学生向け観光ガイドのための日本語講習を行った最後に行ってみたい観光スポットの洗い出しをした 第二回は留学生が選ぶ「富士吉田の行ってみたいスポット」を実際に全員で訪れ翌日にはそれらの場所をもとに留学生の視点による観光客に向けの富士吉田ツアーを考案した見えてきた課題 実際に留学生とともに富士吉田周辺観光を行いまたお勧めの観光ツアーを考えてもらう中で地域の課題も浮き彫りとなったたとえば団体観光客を受け入れるキャパシティのある施設が市街地には圧倒的に足りていないこと今までは地元の視点で是非案内すべきと感じていた場所が実際のツアーに組み込もうとすると時間や人数のキャパシティがたりず不可能だということに気づかされたまた外国人が日本を観光する際は富士山という景観やブランドには興味があり「富士

山を見たい」というニーズはあるもののその他の富士山にまつわる歴史資源や文化資源にはさほど興味がなくあくまで日本らしい場所や過ごして楽しい場所が好まれる傾向が見えてきた具体的には富士山世界文化遺産の構成資産でもある北口本宮富士浅間神社である日本人には富士山信仰の文脈で案内が好まれるが外国人目線では他の神社との違いがわからず理解してもらうには歴史的背景が難しすぎた一方で「ゴルフの打ちっ放しに行きたい」や「牧場で動物と触れ合いたい」といった驚くような意見も見られた言語と同様にニーズの把握の点からも日本人がガイドをするよりも望まれるツアーの組み立てが可能になることがわかった実際に留学生が外国人をガイドする 第 3 回目は今までのプログラムを体験してきた留学生が外国人観光客を相手に実際にガイドするモニターツアーを行なった留学生が前回までに覚えた知識で自分達の視点で外国人が楽しめる行程を考案し面白いと思う場所をガイドして回る実際にツアーに参加した外国人モニターの声としては「やはり旅行に行った際にぶつかる壁は文化の違いだからこそ同じ国の人がしっかりと現地でガイドをしてくれるのは安心感がある」「現地の人しか知らない情報を教えてくれるのが嬉しい」

といった狙いに沿ったコメントをもらった今後事業として外国人向けにガイドの育成を行い実際に現地の観光に携わってもらう為に引き続き準備を続ける予定である

写真左モニターツアーのコースと時間配分を考える留学生 写真右実際に外国人を案内する留学生

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移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

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実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

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貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

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 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

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富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

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「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 19: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

移住者を受け入れる土壌をつくる定住促進事業26

FUJIYOSHIDAPROJECTS

実施スケジュール

2015 年  4月 ふじよしだ定住促進センター運営業務委託受託 空き家バンク運営開始 第 1 回定住促進イベント「富士吉田Night」 第2回定住促進イベント 「空き家争奪ソフトボール大会」  5月 第3回定住促進イベント「富士吉田Night」  6月 第4回定住促進イベント「新世界通り大掃除大会」  7月 TURNS カフェやまなし 貯金箱財団代表登壇  8月 第5回定住促進イベント「富士吉田Night in 甲府」 11月 第6回定住促進イベント「移住無尽新世界」 定住促進ホームページ開設 三県合同移住相談会有楽町交通会館 第7回定住促進イベント「移住無尽 in 神田」 12月 第8回定住促進イベント「移住無尽新世界」 2016 年  1月 TURNS ツアーやまなし 富士吉田ガイド役  2月 第9回定住促進イベント「富士吉田クエスト」

ふじよしだ定住促進センター運営業務委託とは 国主導による地方創生の流れをうけ2015年度から富士吉田市でも人口問題対策として市内に定住促進センターを開設し富士吉田市へ移住定住を促進することとなった定住促進センターでは (1) 移住希望者の相談業務(2)空き家バンクの運営(3)定住を希望する者に対する情報の発信提供(4)定住に関するイベントの企画支援(5)定住希望者のニーズ把握及び情報のフィードバックを担う 富士吉田みんなの貯金箱財団は2015年4月から「ふじよしだ定住促進センター運営業務委託」を受託スタッフの大半が市外からの移住者であることをいかし移住者の目線にたったサポートを行っている富士吉田スタイルの定住促進活動をつくる 一般的に定住促進業務となると東京の移住定住イベントに出向きまちの紹介をしたり移住希望者に地域を案内したりすることが主な業務となるしかしそれでは本当の意味で自分たちの伝えたい富士吉田の魅力や街の楽しさが伝わらない富士吉田流の移住定住促進活動のスタイルとはなにかひとつの方向性として「住民と移住希望者さらに移住者である自分たちがが一緒に楽しめるような事業が富士吉田らしいのではないか」と考えたそこで貯金箱財団による定住促進事業は「富

士吉田に住んでいる人と移住希望者が一緒に楽しむ住促進事業」というコンセプトを打ち出したつながりのある都市のコミュニティからはじめる 定住促進事業を受託して最初のイベントは2014年度に行った「富士吉田 Night」だ「富士吉田 Night」は富士吉田市外で開催する「富士吉田のファンコミュニティを作るための活動」であるやみくもにどこか場所を借りて広報を行い集客し開催するといった流れではなく「富士吉田地域デザインコンペティション」政策プロジェクト部門 優秀賞を受賞したつばめ舎建築設計事務所協力のもとまずはかれらの持つコミュニティに向けてや「とりあえず富士吉田に来て実際に遊んでみませんかそしたらきっとファンになりますよ」というイベントだ実際にそうした取り組みから2015年度はのべ200名以上が富士吉田を訪れその中から実際に移住する人も現れた地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 富士吉田側で開催した最初のイベントは富士吉田市内外の人が一緒に楽しむ「ソフトボール大会とバーベキュー」だったそもそも富士山の見える場所で開催できるソフトボール大会とバーベキューは誰もが参加したくなるコンテンツだ富士吉田市内からも多くの参加者が集ま

写真左定住促進ソフトボール大会の様子 写真左富士吉田Night で語らう人々

18

貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

19

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 20: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

貯金箱財団流定住促進事業のポイント

1 地域外にファンのコミュニティをつくる 移住定住促進事業をするにあたりどうしても地元の人だけで頑張って PR や誘致活動を行ってしまいがちだからこそあらかじめ地域と関係のある地域外のファンの人々と協力して地域外にファンコミュニティをつくるそうしたファンがすぐに移住できなくても周りの人にに紹介してくれるかもしれない2 地域内外の人が一緒に全力で楽しむ 現地見学を行う際に移住希望者と案内人だけで地域を紹介してしまいがちだ単純な見学ツアーにするのではなく地元の人と移住希望者が一緒に活動して仲良くなれるプログラムにしよう地元の人と仲良くなれば移住希望者ももっと気軽に来れるかも3 まずは地域を育てる 外から移住者を受け入れたいという思いはありつつも先ずは自分たちの地域を見直そう地域の人がその地域にしっかりと定住できる環境を作っておくことが最優先

合うという互助制度である月に一度決まったメンバーが集まりお金を出し合いその月困っている人がそのお金を貰いまた別の月は他のメンバーがお金を貰うといった具合である今は貯金会などと呼ばれみんなで毎月集まりお金を積み立て特定の目的(みんなで行く旅行など)の予算を文字通り貯金する仕組みである移住無尽はそれら地域の習慣をふまえて地域内で移住希望者を応援するために地域住民と移住希望者が一緒に資金を積み立てる取り組みだ住民と移住希望者が一緒に飲みながら地域の話題を語りつつ交流を行う 2015年度は3回開催し111名が参加し11万1000円が集まった住民はイベントを楽しみつつ移住者を応援することとなり移住希望者へ移住歓迎のメッセージともなった移住者を誘致するのではなくまずは地域を育てる定住促進事業へ 2015年度定住促進事業を受託して最終的な振り返りはまずは外部の人を呼び込もうとする施策ではなく内部の人が地域のことを誇りに思い地域に定住することの重要性だった地域の人がその地域に定住できる環境こそが一番の移住定住促進施策と言えそうだ

り70名を超える人数での大ソフトボール大会となったイベントや通常業務から見えてきた課題 2015年度は自主企画でのイベントだけで9回県や雑誌社の依頼のイベントを入れるとほぼ毎月の割合でイベントを開催もしくは参加してきたまた日々の定住促進センターへの問い合わせ空き家バンクへの登録や空き家バンク利用希望者への対応などを含めると 1 年間で800名以上の方々と交流したその中で見えてきたのが「イベントで多くの人に移住を勧めるが実際移住して住むことのできる物件や移住してまでやりたくなる仕事がなかなか紹介できないそもそも移住者を受け入れる準備が全然できていない」という現実だった移住者を受け入れる土壌をつくる移住無尽という新たな仕組み 定住促進事業を受託してから行ってきた業務に加え貯金箱財団として日々地域住民の方々と交流する中で定住促進事業を行う際まずは「移住者を受け入れるための土壌づくり」が必要だという結論に至った空き家や仕事の整備だけでなく街の人自身の人口問題に対する理解を進め富士吉田に外からの人を温かく迎える雰囲気をつくるのだ そこで始めた企画が「移住無尽」である無尽とは山梨県に昔からある習慣の一つで元々は地域が貧しかったためお互いに金銭面で助け

写真左移住無尽の様子 写真右定住促進センターの運営する定住促進HP (httpgogogo223jp)

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3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 21: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

3 地域おこし協力隊

31 地域ブランディング ~スタディツアーの提言を地域おこし協力隊隣実現~

311 『吉田ごはんプロジェクト』312 『富士山じかんアプリ』

32 空き家活用 ~空き家改修の経験からゲストハウスをオープン~

321 空き家活用プロジェクト『アキナイ』322 人が人を呼ぶ6軒長屋の再生『ハモニカ横丁』323 空き家活用のゲストハウス『SARUYA』

33 市民活動支援 ~やりたいことができるまちにしたい~

331 『まちプロ』332 事例紹介 [ 富士吉田に映画館をつくる会 ] [ 路地裏の僕たち ][ テバタトラベル ] [CoCooking]

齋藤萌 (1990年生まれ )

慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住新卒で富士吉田市地域おこし協力隊となる2016年 3月で任期を終了し東京都内の企業へ就職予定

赤松智志(1989年生まれ)慶應義塾大学総合政策学部卒2011年度スタディツアーから富士吉田に関わり2013年に移住学部 4年時に富士吉田市地域おこし協力隊となる2015年 7月に自身の宿を同市内で起業任期後と同市を拠点としまちづくり活動に従事する

赤松智志(1989年生まれ)慶応義塾大学SFC政策メディア大学院卒ラクロスで日本代表候補選出大学院ではスポーツを通した地域振興を実践2014年富士吉田市に移住2016年度協力隊 3年目を迎え教育プログラムの開発に着手

富士吉田市 地域おこし協力隊活動支援体制

富士吉田市

貯金箱財団(中間支援団体)

地域おこし協力隊

人件費 活動費 財団事業収入 補助金等

地域おこし協力隊予算人件費200万円 人活動費200万円 人

活動費+補助金財団予算など事業支援住居活動予算

20

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

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ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 22: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

2013

2014~

富士吉田らしい食文化を発信する「吉田ごはんプロジェクト」311

FUJIYOSHIDAPROJECTS

 「吉田ごはん」とは富士吉田の歴史文化環境などに基づく食材による富士吉田のブランディングを目指す取り組みである手法としては食品にまつわる物語を洗い出し活用方法を探ることを行なっていくスタートのきっかけとなったのは2012 年度実施の「『現代版富士講』モデルに基づく都市と富士吉田市の新たな関係づくりに関する研究」である

 この実験を卒業プロジェクトとして行いその後富士吉田市に移住して地域おこし協力隊として着任食にまつわる活動を引き続き行った食文化や農産品の更なる調査を行い得られた情報はホームページ(吉田ごはんWEB)や紙媒体(水のまち水のひと)等での発信や地産品を使ったメニュー開発依頼イベントのフードコーディネート等に活用富士吉田らしい食材や料理を積極的に取り入れようとする機運に応える取り組みを行なっている(右図参照)

調 査飲食店生産者など関係者へヒアリング

メニュー開発新たな活用方法を提案

情報発信紙媒体WEB ページ

出店企画イベント等で提供

集積整理特徴入手先等リスト化

富士吉田の歴史文化環境などを背景に持つ食資源を「吉田ごはんブランド」として提唱しそれぞれの食品の奥深さを伝えるポスターとポストカードを作成当初はフリーペーパーも検討したがそれぞれの食品に注目してもらうためまた多くの人に一目で認知してもらうためにその形をとったポスターA1サイズ食材の写真とブランドコンセプトを表す文章を記載ポストカード葉書サイズで一つ一つの食品の魅力を表現(5000 枚配布 )

[ 上 ]ポストカード両面題材は水かけ菜ミルキークイーンかくれんぼバーグふじやまビール馬刺しの五種表には食品の写真を全面に配置裏面は詳細な説明を記載しながら葉書として送ることができる形とした

左ポスターカード掲示の様子右上カード 5種類右下山梨日日新聞掲載記事

 同研究では富士講や富士山の水などにまつわる食材や料理を様々な視点で調査地域産品だけにとどまらない歴史や生活に根ざした背景を持つ食資源を富士吉田らしい食文化rdquo 吉田ごはんrdquo と定義した食を通じて地域を誇りに思ってもらうことを目指す取り組みとして特徴的な食べ物を記したポスターとポストカードを作成印象的な写真やキャッチコピーを記しているそれらを観光拠点等に設置する実証実験を行なった

富士吉田市で古くから栽培されている「新倉柿」地元有志の方々が保存と伝承のため尽力するrdquo 富士吉田の守り伝えたい味rdquo の一つこのような潜在的なrdquo 吉田らしいrdquo食に価値を見出すことが本プロジェクトの大きなテーマである

吉田ごはんカード -学生の提案した食文化 PRプロジェクト -2012 年 12 月

2012

「吉田ごはん」取組の流れ 調査対象協力者(一例)

農業水資源関係富士吉田市産業観光部農林課美富士農業研究会武藤商会新倉柿保存会葭之池温泉オルタ農園リーフレンド山口養鱒場富士見釣り堀 他

郷土料理歴史関係富士吉田市歴史民俗博物館御師 毘沙門屋筒屋北口本宮富士浅間神社 他

イベント市民活動関係富士山ときめき隊粟井英朗環境財団リバースプロジェクト 他「吉田じかん」「富士山じかん」への展開 21

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 23: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌から一言食べ物は奥が深く取り組みの範囲も広くテーマが定まらないこともありましたその中でもrdquo 地域の人や外から来る人が求めているrdquo という感覚が企画を始めるときの確かな判断基準になったと思います料理や撮影など必要なスキルがはっきりしていたこととそこで自分の成長を感じられる場面が多かったことがやりがいや期待につながっていた気がします

富士吉田では富士山の地層に雨水が浸透し20~40 年かけて濾過されながら湧き出ている不純物が少なく味も非常においしい水は街の産業や生活の様々な場面で役立っているまた水の質の良さに関する科学的根拠は 2013 年度までの慶應大学による水資源の調査研究によってより明確になったそういった研究結果や街と水の密接な関わりを広く地域住民に知ってもらうことを目的に水の魅力発信ペーパー「水のまち水のひと」を制作したペーパーは水に愛着を持っている人の話や恩恵を受けている産業などにフォーカスして 19 の記事を掲載また富士吉田市の水のおいしさに関するデータをわかりやすく図示したコラムも記載した

上実際の紙面

吉田ごはんの源泉は ldquo富士吉田の水rdquo だった2014 年 4 月

冊子形態  タブロイド版 8 ページ 印刷部数  20000 部 配布方法 広報ふじよしだ平成 26年 5月号と一緒に全戸配布       富士吉田市役所道の駅ふじよしだ富士吉田市立図書館       粟井英朗環境財団冊子掲載スポット等に設置

2012 年度より集めてきた食資源に関する情報(写真 生産者情報 ストーリー等)をまとめたホームページを整備した富士吉田にゆかりのある食材に関する物語や生産現場の様子のコラムを掲載写真を中心としたビジュアルや読み物としての内容を楽しみながら広く知ってもらうことを目的としている

[URL] httpyoshidagohanwebfc2com

左取材の様子 右サイト TOP ページ

吉田ごはんWEB - ldquo富士吉田らしい食rdquo がわかるサイト -2013 年 6 月

富士五湖青年会議所主催のイベント「やまなし未来祭」にて地域産品を使った弁当の開発企画に協力富士吉田みんなの貯金箱財団との協働によりオリジナルレシピとパッケージの試作を重ねた富士五湖をイメージした五種類の巻き寿司「富士五湖ロール」を考案し製作富士吉田産米やニジマスの他富士北麓の一市二町四ヵ村全ての特産品を取り入れている

毎年7月富士山の開山祭の風物詩である「ひじきとじゃがいもの煮物」をアレンジした「富士山お山開きコロッケ」を商工会議所青年部主催のイベント「フジコレ」にて製作販売したコロッケは市民活動団体「富士山ときめき隊」と協働で開発試作在来種のじゃがいもを使いすべて手作りで提供したコロッケはイベント当日 200 個以上が完売した

左五種類のパッケージ 右試作品一例

左イベント時の調理風景 右イベント時の看板商品

郷土料理をお祭り屋台の軽食にアレンジ2014 年 10 月

青年会議所と共同開発富士五湖の恵みを詰め込んだ巻寿司2014 年 8 月

ltlt商品概要 gtgt

「ニジマスマリネ」 富士吉田産ニジマス河口湖産レタス「鹿肉味噌焼き」  河口湖産鹿肉西桂町産味噌道志村産クレソン「ベーコンエッグ」 山中湖産ベーコン忍野村産たまご「マスフレーク」  富士吉田産ニジマス「鳴沢菜漬け」   鳴沢村産鳴沢菜

販売価格 5種類セット yen1000販売場所 青年会議所山梨ブロック大会「やまなし未来祭」ほかイベント

富士北麓地域では鹿が森林の草木を食べてしまう食害問題が深刻化している食害の現状を知り課題解決方法を探るスタディツアーを旅行企画会社リディラバ粟井英朗環境財団富士吉田みんなの貯金箱財団の協働で試験的に実施したツアー行程中の食事としてオリジナルの鹿肉カレーを提供ルーを使わない本格派レシピでジビエを身近に楽しめる一皿となった

(一社)リバースプロジェクトの主催する食育ツアー「おむすびプロジェクト in 富士吉田」の行程ならびに食事のコーディネートを行なった約50人が参加したツアーではニジマスの養殖場見学とつかみ取りを行い目の前で捌いて調理昼食は農家の方のお話を聞きながら富士吉田産のごはんを炊き地場野菜肉魚をつかったバーベキューを楽しんだ

左鹿肉カレー提供イメージ 右ツアー風景

左昼食バーベキューの食材 右ニジマスを捌く様子を見学

[URL] httphouse475rebirth-projectjpomusubievent食の生産現場と食卓を丸ごと学ぶ食育ツアー2014 年 10 月

鹿の食害環境問題を味わいながら学ぶ一日2014 年 1 月

22

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 24: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

ldquo日常を過ごすrdquo 新たな観光のあり方を提案するアプリ「富士山じかんアプリ」312

FUJIYOSHIDAPROJECTS

富士吉田市では富士山をはじめとする観光資源を有しながらもまちなかへの観光客誘致に対する課題があったその解決に向けた慶應義塾大学生によるフィールドワークや地域おこし協力隊による「吉田ごはんプロジェクト」をきっかけに富士吉田の隠れた魅力を発信するプラットフォーム「富士山じかん」の構想が形作られたフィールドワークでは見過ごされていた富士吉田の魅力スポットに光を当てrdquo 富士吉田の日常の時間を過ごすことrdquo を価値とする新しい観光のあり方を提案地域おこし協力隊(齋藤)の集めた情報や素材を活用し富士吉田市と慶應義塾大学SFC研究所場づくりマーケティングコンソーシアムの協働でアプリの開発を行なった

「富士山じかん」はO2O(オンラインとオフラインを行き来し相互に活用するマーケティング手法)を取り入れ名刺サイズのカードWEB ページスマートフォンアプリポスターなど様々なツールを展開また特徴のある取り組みとして富士山じかんに掲載する店舗で買い物をすると市民団体への寄付ができるプログラムを実施している寄付は富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて行なわれておりアイコンであるぶたの貯金箱と店舗情報や寄付先を記した POP を目印として店頭に設置している

産官学連携で開発し 協力隊が運用するアプリ学生の提案から実装へ

市民活動への寄付を組込み

富士吉田市

慶應義塾 DNP(開発担当)

地域おこし協力隊(齋藤萌)hArr

アプリに関する事業は富士吉田市から慶應義塾大学 SFC 研究所への業務委託で行なわれ大日本印刷が開発を担当現地でのコンテンツ収集管理を地域おこし協力隊(齋藤萌)が担っている

協力関係図

おもしろポイント担当者の位置づけ

オフラインツール(カード)

オンラインツール(アプリ WEB)

名刺サイズのカードに観光食事買い物等のスポット情報を集約配布数 各 800~1500 枚掲載数 累計 71 種 (2015 年 12 月現在57 種掲示)設置場所道の駅富士吉田富士山駅待合室富士吉田市観光案内所 富士吉田市立図書館富士ビジターセンター各掲載店など

富士山じかんカード

富士山じかんアプリ

富士山じかんWEB

左2014 年度版吉田じかんカード 右2015 年度版富士山じかんカード一例

富士吉田らしい時間を過ごせるスポットが直感的に探せる見つかるスマートフォンアプリスタンプラリー機能も付加可能DL数 1000(2015 年 11 月現在)掲載数観光スポット 92 件 +避難所 67 件iPhone android 対応

右アプリホーム画面左ポスター掲示風景

カードアプリ貯金箱などすべてのツールに関する説明とスポット一覧を案内するWEB ページ掲載数計 92 件

右スポット一覧画面(PCブラウザ閲覧時) 23

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

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空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 25: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

「富士山じかん」の新展開-富士山じかんが市民活動を支援する -

ユーザーが観光拠点に掲示されている富士山じかんカードやポスターアプリを見て富士吉田市周辺のスポットを探索し街歩きをしたりお店に訪問したりします

街を周遊し買い物をするカード掲載店で買い物をすると店舗売上金の一部が富士吉田みんなの貯金箱財団を通じて寄付金として集められますこの仕組みは「貯金箱プロジェクト」と名付けられ富士吉田市周辺の飲食店など 32 店舗が参加しています

買い物額の一部が寄付金に集まった寄付金は貯金箱財団が支援している市民活動(まちプロ)の各団体に助成金として交付されます(2015 年度4団体) 331 参照

寄付金で市民活動団体を支援

2015 年度助成団体

団体名称 活動概要

富士吉田に映画館をつくる会路地裏の僕たちテバタトラベルCoCooking

市内での映画上映イベントの実施地元アーティストを活用したイベント開催手機織り教室の開催(保育園お祭り会場等)食育や郷土料理に関する体験活動の実施

2015 年度貯金箱プロジェクト

現在地から検索地図から現在地周辺の情報を検索カテゴリーから探す7つの大目的19 の小目的で検索コースから探すテーマ別のコースを選択

スタンプラリースタンプモジュールを活用した機能2015 年 8 月には富士登山客の麓からの登山と街の回遊を促進する「富士山登山スタンプラリー 2015」を実施

富士山じかんアプリの機能詳細

実施主体地域おこし協力隊齋藤萌より一言

様々な主体の関わりで面白いツールができたと思います

学生協力隊によるフィールドワーク開始

吉田じかんカードリリース4月

吉田じかんカード構想開始10 月

8月

アプリ構想 開始11 月

学生フィールドワーク開始

吉田ごはんプロジェクト構想開始10 月

7月

吉田ごはんカードリリース12 月

1月アプリ企画提案

富士山じかんアプリ ver1 リリース10 月 アプリ ver2 リリース

スタンプラリー実施

8月

富士山じかんカードリリース貯金箱プロジェクト開始

4月

10 月 カード増刷貯金箱構想開始

12 月

【こだわりポイント】プロの力も借りたクオリティの高い写真と丁寧な取材をもとに一から考えたコピーライティングは自慢です【苦労したポイント】カードのリニューアルの際制作費をいただくことにしたため掲載をやめる店舗が出てきたことです一方で新たに載せたいという方もおり勇気づけられました

集計方法hellip事業者ごとに月々定額または特設商品売上から一定額を集計

鍼灸ともや堂ホームページ 「富士吉田に行こう」富士山じかん掲載店である鍼灸院の自社ホームページにて富士山じかんの情報を活用した街の紹介ページを公開している

その他の展開 (2)吉田さんぽ写真を撮りながら街中をめぐるフォトラリーふじよしだ観光振興サービス主催吉田じかんカードよりスポット情報写真を提供(2014 年実施)

その他の展開 (1)

右写真吉田さんぽパンフレット

寄付金額 2015 年 4~9 月 ¥206000 2015 年 9 月~2016 年 3 月 ¥348000

[URL] httpwwwtomoyadoucom[ 右図 ] 紹介ページキャプチャ

参加店舗 32 軒

1 2 3

2012 吉田ごはん 2014 吉田じかんrarr富士山じかん 2015 富士山じかん2013 吉田じかん年表でみる

 プロジェクトの推移

24

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

25

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

26

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

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20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 26: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

空き家を街を楽しむタネにしたい空き家活用プロジェクト「アキナイ」321

FUJIYOSHIDAPROJECTS

企画運営地域おこし協力隊 ( 赤松 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団 滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算各案件によるメディア掲載山梨日日新聞 (14年3月4日 ) 毎日新聞 (14年3月29日 )      TURNS vol10NHK甲府 NHK「おはよう日本」NHK「あさイチ」      Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )

D A T A

アキナイプロジェクトとは

  アキナイは「飽きない」「商い」「空きない」とそれぞれ 3つの意味が込められている地域おこし協力隊のプロジェクトである主に移住者と空き家のマッチングを行い空き家を介した地域コミュニティづくりを行っている移住者への物件紹介改装支援それに伴う仲間づくりの支援をしている 物件紹介では市内不動産業者の情報の取りまとめを行い独自Webサイトで情報を発信している改装支援は工務店との連携のもとプロによる施工だけでなく地域住民の参加型施工の場を提供し地域に開かれた改装現場となるよう心がけているそして改装等を通じて移住者が地域の中で仲間をつくっていけるようサポートする空き家対策として以上3つの取り組みを行政企業地域住民の連携を得ながら実施している

ハモニカ横丁(2013 年 5月~ )

 アキナイプロジェクト第 1弾改修物件として築 60 年以上の 6軒長屋の改修を行った6軒のうち3軒分に手を加え移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして利用している改修には延べ 100名以上の参加者が集まった           322 参照

hostelampsalon SARUYA(2015 年 4月~ )

 築 100 年近い木造 2階建てをゲストハウスとして改修赤松が地域おこし協力隊任期終了後の事業として開業解体耐震補強耐火工事など旅館業法に関わる法律に則った改修作業となった補強工事以外は概ね自分たちの手で改修した         323 参照

物件紹介 仲間づくり改装支援

松山 BASE(2014 年 5月~ )

 所有者から活用依頼を受け元々女子寮だった物件をシェアハウスとして改修した風呂トイレのみ業者に依頼しそれ以外の共有スペースや5部屋ある個室は入居希望者など参加者を募り壁を塗ったり棚を作ったりなど作業を行った費用は所有者負担

リノベーションクラス(2015 年 9月~ )

 地元高校の生徒と共に実際の活用を見越した空き家の活用改修プランづくりを行ったプランづくりをしながら物件の清掃活動近隣住民へのヒアリングなどを実施次年度以降練られたプランを元に改修作業へと向かう費用は民間

鍼灸治療院(2014 年 9月~ )

 東京から単身で移住を検討されている方の治療院開業の相談を受け物件紹介と改装支援を行った木造平屋建てに保健所の指導を仰ぎながら治療スペースと待合室ご本人の休憩スペースを整備費用は借主負担である

Little Robot(2014 年 11 月~ )

 アキナイのパートナー企業である工務店の新事業店舗として改修された物件物件を紹介し改修にあたってのボランティア募集などをサポ―トリノベーションクラスと協働し改修した物件でもある費用は補助金及び借主負担である

≪運営主体として改修した物件≫ ≪改修支援を行った物件≫

リノベーションクラスに参加している高校生と改修予定物件

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人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

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地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

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「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

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このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

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201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 27: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

人が人を呼ぶ6軒長屋の再生「ハモニカ横丁」322

FUJIYOSHIDAPROJECTS

S C H E DU L E

2013 年 4 月5月

  6 月

  8 月 9 月  10 月 11 月 12 月2014年 1月 3 月

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

ABOU T ハモニカ横丁

 ハモニカ横丁は移住者向けの短期滞在スペース兼イベントスペースとして活用している1階には滞在者用のキッチントイレ浴室などがあり共有スペースでは度々イベントが開催される2階には個室が 2部屋あり最大 2組の移住者希望者が滞在できる

「ハモニカ横丁」地域おこし協力隊

赤松智志

貯金箱財団 複数の大規模改修プロジェクトを実践する

工   務   店 同じ所有者が持つ別の空き家を借り飲食店をはじめる

移   住   者 6 名の移住者が利用し市内に空き家を借りて定住所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

資金

施工

改装前~改装中 改修後

移 住 者地 域 住 民

改装参加改装参加 差入

若       者 その後アキナイの各改装プロジェクトに参加

地 元 高 校 生 建築系列の授業で空き家利活用がプログラム化する

DA T A

企画運営 空き家活用プロジェクト「アキナイ」(地域おこし協力隊赤松)事業主体富士吉田みんなの貯金箱財団協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団          滝口建築事業期間2013 年 5 月~事業予算2800000 円       - 既存ストック有効活用助成金 ( 総務省 )2000000 円       - 富士吉田みんなの貯金箱財団      800000 円メディア掲載山梨日日新聞 (2014 年 3 月 4日 ) 毎日新聞 (2014 年 3 月       29 日 ) TURNS vol10NHK 甲府 NHK「おはよう日本」        NHK「あさイチ」 Web マガジン「雛形」(2015 年 3 月 14 日 )集客実績短期滞在利用者数 6名 ( うち 3名定住 ) 見学者数約 150 名      イベント集客数約 2000 名(対象期間2013年5月~2015年12月)

 地域で空き家活用を進めていくためには所有者をはじめとする地域住民がその可能性を理解している必要があるハモニカ横丁という 6軒長屋の再生はそのためのモデル物件であり改装後は移住者向け滞在スペース兼イベントスペースとして使われている また改装から活用に至るプロセスを通じてまちづくりを進める上での仲間づくりの場となっていたことが大きなポイントである改装作業に参加するだけではない多様な空き家活用への関わり方を用意することで空き家に関わることに楽しみを感じ結果的に街の空き家利活用を進めていくことができるのである

お披露目となったハモニカ横丁げんき祭での集合写真

1階共有スペース 2階滞在スペース

ハモニカ横丁外観

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地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

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「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 28: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

地域おこし協力隊として赤松が移住朝の散歩中に物件に遭遇交渉開始 (全 5回 )所有者との交渉協力隊と地元住民で物件の清掃を行い所有者の信用獲得 助成金申請賃貸契約締結解体作業開始解体作業内装プラン等の具体化水回り基礎補強工事ガス工事有志を募り内装作業開始内装作業完成披露イベント「ハモニカ横丁げんき祭 2013 春」を開催

応援の仕方②  見学する

 プロジェクトをすすめていくうちに地域外からの視察や見学が来ることがあるハモニカ横丁にも県外の自治体職員地域おこし協力隊などが訪れている地域外の評価や応援が増すことで地域内の評価も高まり空き家活用が一気に広がっていく

主体的な関わり方①  計画をつくる

 街への想いを巡らせながら活用のアイデアを集まった方々と一緒に検討した計画づくりに関わった人たちはハモニカ横丁がオープンした後もイベントによく参加してくれる地域の方々と頭と心を使って計画をつくることで気持ちのこもった活用ができる

応援の仕方③  お披露目 お祭に行く

 改修を終えた物件はすぐに活用をはじめるのでなく地域の人たちに実際に改修後の姿を見ていただく機会をつくったそうすることで「あの空き家がこうも変わるんだ」という実感を得てもらうことができる空き家活用のプロジェクトに興味がなくても関わりを持てる機会としてお披露目となる「ハモニカ横丁げんき祭」を開始した

主体的な関わり方②  改修する

 一般的に空き家活用のプロジェクトにおいて最も分かりやすい参加方法が改修である主催者も参加者も一定の成果や実感を持ってプロジェクトに参加することができ空き家活用のプロセスに楽しく参加することができるので有効的であると言えるまた一度参加した人たちが継続的にプロジェクトに参加しやすく改修を通じたコミュニティが生まれやすいこともポイントである 共に改修を行った若いメンバーを中心として現在ハモニカ横丁の活用が進められている自分たちが直した物件のため思い入れが強く改修後も度々足を運んでくれる

応援の仕方① 差し入れ

 差し入れが地域では一番親しみのある参加の方法かもしれない特に高齢な方は応援したい気持ちはあれど実際の作業に参加することは難しいためこの方法でよく応援してもらうことがある差し入れがあることで改修作業に参加している人たちのモチベーションがあがるそれぞれの関わり方が良い影響を与え合うようになる また地域の方から差し入れをいただいたということはその活動やプロジェクトが認められ始めた一つの指標となるのでその後の活用に重要な接点である

 空き家活用を広めていくための大切なポイントは多様な関わり方を用意しておくことであるそれは単に改装の手伝いを募り直していくこと以外にいくつか方法がある例えば改装の計画づくり実際の改装作業への参加など主体的に手を動かす関わり方そして見学や差し入れまた完成した際のお披露目会に参加するなど応援するように関わる方法もあるそれぞれの得意を活かした関わり方を尊重しまたそれらが楽しい場となっていることが重要である

主体的な関わり方③ 活用する

 直した物件を継続的に活用していくためにこの部分の関わり方を充実させることが大切であるハモニカ横丁は改修後「移住者向け滞在スペース兼イベントスペース」として活用している完成までに関わって来た地域の人たちが定期的に足を運ぶ場となっているため地域外からやって来た移住希望者との面白い接点が生まれている

空き家の楽しみ方

27

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

FUJIYOSHIDAPROJECTS

SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

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1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

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「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 29: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

地域おこし協力隊が立ち上げたゲストハウス「hostelampsalon SARUYA」323

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SARUYA地域おこし協力隊

赤松智志

若       者 地域内の若者たちが集いはじめる

商   店   街 商店街内での景観整備等の新たな事業が生まれる

地 場 工 務 店 隣接の空き店舗で飲食店を開業宿との連携が生まれる

移   住   者 移住希望者が宿を目的に街を訪れるようになる

地域活動団体 英語教室の開催 英語版地域 MAP を作成

所 有 者 物件貸与

貯金箱財団

地 場 工 務 店

商 工 会 議 所 補助金

計画策定支援

施工

開業準備~開業 開業以降~

7月 5月4月2月 3月1月12 月11 月10 月9月8月 6月

56

354

430400

380

270

100120

200

322

210252

単位名2015 年 2016 年

宿泊客数実績と予想

事業主体地域おこし協力隊 ( 赤松智志 )協  力富士吉田市役所 富士吉田みんなの貯金箱財団      富士吉田市商工会議所 滝口建築事業期間2014 年 10 月~事業予算8000000 円        - 民間都市開発推進機構   5000000 円      - 地域おこし協力隊活動資金 1000000 円      - 商工会議所空き店舗補助金  500000 円      - クラウドファンディング 1000000 円      - 自己資金 500000 円

DA T A

 SARUYA は男女共用ドミトリー 13 床と小さな宿泊施設ではあるが年間観光客数が延べ 2000 万人を超える富士五湖地域では十分にビジネスとして成立させることができるそれは観光客数宿泊客数に対して宿泊施設の数が不足していることが要因としてあるSARUYA はそれを多少なりとも解決するための事業であるこに違いはないしかしそれ以上にこれまでにこの地域を訪れなかった層の観光客を集めていくことがSARUYA の命題としてある 7月~ 8月の富士登山シーズン4月~ 5月の桜シーズン11 月頃の紅葉シーズンには例年多くの観光客が訪れるそれ以外の時期に関しては目的となるコンテンツが少ないため自然と減ってくるSARUYA としてまずはオフシーズンにも人が訪れるようなコンテンツを宿に囲い込む形ではなく街と連携していける計画を立てている段階である

金銭的なやり取りのある宿泊客と金銭的なやり取りがなく宿を訪れる地域の人たち地域の中で運営していく以上どちらかの存在しかない宿というのは元々目指してはいなかった一般的にプライベートが担保されるべき宿という空間をオープンな場にしていくその矛盾をいかに魅力的に解決していけるかが開業以来懸案している課題である

PRO B L EM

 富士吉田市は日本の象徴富士山があり年間延べ 2000 万人の観光客が訪れている一方で訪れる観光客に対して宿泊施設が不足しているという課題を抱えている旅館やホテルなどの大型宿泊施設ではなく街により入り込んだ「暮らすような旅」が流行りとなっている中で地域住民との交流ができるような現在のニーズに見合った宿泊施設が必要であり宿自体の魅力や個性を求めて観光客が集まるような宿が必要であったまた富士山の世界文化遺産登録以降外国人観光客の数も著しく増加しており安価で気軽な宿のニーズも顕著になっていた 活用した物件は築 90 年の元美容室周辺にも店舗が立ち並ぶ商店街

SARUYA のこれまでとこれから

外国人ゲストが受付でチェックインをしている様子

 の一角に位置している一連の空き家プロジェクトの一つとしても位置づけられるが左記のようにインバウンド事業の課題解決への取り組みでもあり街なかの交流人口の増加を見据えた事業でもある 街との交流というニーズを満たすために宿の機能に付随して 1階にサロンスペースを設けている当然宿泊客も利用するスペースであるが地域の人たちが集まれるような場にもしているそのため開業後は市内に居住する若者たちが集まり議論するような姿も増えてきていたりまた地域の若者同士だけでなく地域住民と宿泊客の交流も生まれはじめている

外国人ゲストと地域の若者の交流28

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 30: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

宿泊タイプ男女共有ドミトリー (13 床 )宿 泊 費3300 円 泊支 払 い現金 クレジット (VISA card Master card American Express)館 内 設 備 ラウンジ 共同キッチン 共同トイレ 共同シャワー フリーwifi ランドリー 中庭 レンタルサイクル その他予約サイトBookingcom Agoda Air bampbスタッフ数3 名(地域おこし協力隊 デザイナー 作家)

他地域ゲストハウスとの共同イベント 甲府市のゲストハウス「BACCHUS」と共同で開催した宿泊付きイベント「さかな祭」今後の甲府と富士吉田の交流をゲストハウスが起点となり深めていくことが目的であった地域内のコミュニケーションを育むサロンスペースであると同時に富士吉田と他地域を結ぶためのサロンでもある地域の中で完結したスペースにしてしまうとその後の広がりや企画の展開の幅が狭まってしまうため地域間交流の企画も行っている

  hostelampsalon という名をつけた理由として宿という場が単に泊まるためだけの場所でなく街に対してオープンな場にしていく必要があると思い「salon」という機能を付随させたオープンな場にすることで街と宿を行き来する人や情報をより多様にすることができるそうすることで「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」そんな相互補完的な関係性を街と宿で築くことができるはずである開業以来日常的なサロンスペースとするためにまずは様々なイベント企画を通じて人や情報の流れを促している

A BOU T HO S T E L  ABOU T SA L ON

商店街事業 商工会議所連携事業として開催した「HELLO FUJIYOSHIDA」外国人観光脚が増えている中で宿周辺の飲食店の方々も気軽にコミュニケーションが取れるように実践的な英会話レッスンを行った講師は市内の ALT が務めた

音楽ライブ 音楽を通じて普段サロンスペースに足を運ばない世代や層の方々が集まれる機会をつくったまた「泊まれる」という宿としての強みを活かしながら意識的に地域の外から人を集め宿泊付きの企画として開催したそうすることで宿での企画を目的に来ながらも街のことを知り興味を持つキッカケをつくることができる

お正月イベント 初詣や書初め餅つきなど日本人でも馴染みが無くなってしまっているお正月の伝統行事を地域の方に教えてもらいながら子どもたちや外国人ゲストと共に行った誰もが参加しやすい分かりやすい企画となった

オープニングイベント 2015 年 7月のオープニングイベントには地元商店街の方々や市外などから約 100 名が集まった参加した方々にはご飯とお酒が振る舞われサロンスペースの意味や地域の方々との関わり方「宿が街を面白くする街が宿を面白くする」という相互に高め合う関係性を確認し合った何をするところなのか場所の機能を早い段階で伝えることが大切である

SARUYA 外観

SARUYA2階客室 SARUYA1 階受付 29

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

FUJIYOSHIDAPROJECTS

「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

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機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

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慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 31: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

市民の「やりたい」から始まるローカルファウンディング

「まちプロ」331

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「やりたいことができるまちにしたい」誰もが胸の中に「本当はやりたい事」「こうなってほしい」という「思い」を持っているしかし実際は資金もなければやり方が分からなかったり一緒に取り組む仲間もいないそうした人を支える仕組みが「まちプロ」で市民の「やりたい」を「できる」に変えていくこれからそんな市民の思いを事業にした4つの事例を事例を紹介していく

+ 1 市民の思い 2 財団の支援

3 事業の実施 4 事業の成果

芽 水

花 花畑

市民の「まちがこうなってほしい」という思いを形にするため企画段階から

ヒアリングを十分に行い企画書作りからサポートするさらに仲間集め予算組

寄付の仲介広報の補助まで財団の支援し多様な展開を生んでいる

まちに対してアクションを起こしたい市民の声 財団の有する資金とノウハウの提供

「自分たちが住んできたこれからも住んでいく富士吉田を少しでも楽しくしたい」

現在は公募で集まった4団体をまちプロとして支援

「こどもたちが将来富士吉田にいたいと思ってもらえるような仕掛けを作りたい」

そんな市民の思いを受け形にするサポートをしている

各事業の成果から次の段階1子どもの頃通ったあのまちの映画館を復活させたい ~富士吉田に映画館をつくる会~

2伝説の地元出身バンドをみんなに知ってほしい ~路地裏の僕たち~

3地場産業の後継者を育成していきたい ~テバタトラベル~

4「食」を通して地域に集いの場をもたらしたい ~ cocooking ~

仲間が増えた賛同者が増えた移住者が増えた起業につながった

子どもたち成長した富士吉田のことを知ってもらえた

事業の成果として富士吉田の明日につながる新しい展開が生まれてきている

30

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 32: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

このまちでは映画館の復活を本気で企んでいます

「富士吉田に映画館をつくる会」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

映画館を復活させたいほんの 3 0 年前は5館も映画館があったこどものころ毎週のように通った街の映画館を次の世代にも作ってあげたい

資金集め企画調整最終的に映画館を作る資金計画を作り趣旨に賛同する市民を増やすために市内の様々な場所で上映会を企画し調整や広報などを行う

延べ 20 0 0 人に上映会一年に 1 0 回の上映会を行い延べ 2 0 0 0 人ほどに映画を見てもらった各所で配ったちらしも 1 0 0 0 枚以上にのぼる

仲間出現場所提供ちらしを見たイベントに来たという人たちがコアメンバーとして増え利用可能な空き家が見つかった

上映イベントで使用したチラシ一部

富士吉田に映画館をつくる会 台本

市内外で上映会を毎月実施しているトップの画像は山中湖のイベント会場にて野外上映会を行っている風景その他に寺やアーティストのスタジオ空き家や軽トラの荷台まで様々な場所を活用し上映会を実施

「このまちにも昔は5つの劇場があった初デートの定番だったよ」映画をみんなで見る文化を次の世代にも受け継ぎたい小さなまちに小さくてもいいからいつでも行けるみんなの映画館をつくりたい

1 企画調整

4成果=仲間

3毎月の上映イベント

2大規模上映イベント

イベント参加者から自分も映画館を作りたいと活動をサポートしてくれるメンバーが増えてきているのぼりの製作からチラシのデザイン機材のプレゼントまで様々な関わり方をしてくれる仲間が増えた「映画が好きだし地域との接点として映画ってちょうど良いんだよね」

「まちのいたるところが映画館だったら素敵じゃない」会のメンバーのそんな一言から毎月街を映画館として様々な場所で上映会を行っているお寺お菓子屋さん空き家宿泊施設公園まで街のいたるところで映画が見れる環境を作っている

会が発足しはじめは大きなイベントをして活動を周知しようと大規模な上映会を行った富士吉田で撮影された映画を実際に撮影場所になった市議会議場や倉庫にて監督もお呼びしてトークも交えながら実施し150 人を超える観客があった映画の持つ可能性が感じられた

昔青春時代を過ごした映画館を復活させたい思いを受け全国のミニシアターの活動を調査すべく 8ヶ所の視察に行き経営を学びロードマップを作成した小さなまちで映画館を維持していくには会員制度を確立させみんなで支える必要があるそこで上映会を重ねて会員の拡充をすすめることになった

富士吉田の人たちは皆口々に昔は映画館がたくさんあったという話をしてくれる新作が出るたびに朝から夜までいりびたったそうだそんな映画館が富士吉田ではなくなってしまった大型のシネコンの誕生やテレビの普及など要因は様々であるが街に映画館があることは文化的教養施設であることと共に市民が集うことができるコミュニティ空間として機能する「健全な男女交際の場だよ映画館っていうのは(会長 談)」

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

31

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 33: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

地元出身バンドの音楽で交流人口が増加さらに移住者も出現

「路地裏の僕たち」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

1上映会に並ぶ来場者の列上映毎に 300 人以上が列をなし体育館から小学校の

入り口まで連なった 2展示を見る来場者体育館内にギターや直筆の作詞ノー

トライブ時の衣装などを展示した 3会場にてフジファブリックのチャイムを

聞く来場者その後富士吉田の町の中のゆかりの地へ出かけていった

故ボーカルである志村正彦の富士吉田

凱旋ライブでの写真

フジファブリックとは

富士吉田を愛し富士吉田を唄った人気バンド

1 2

地元出身バンド「フジファブリック」の故ボーカルの縁の地富士吉田「富士吉田凱旋ライブ 路地裏の僕たち上映会」には 1000 人以上が集まった(背景写真)地元住人から移住者まで音楽バンドを通じた新しい人のつながりの作り方

フジファブリックの故ボーカルを偲び街に来てくれるファンへの恩返しがしたい市内の人たちにももっと知ってもらいたいという故ボーカルの同級生の思い

ライブ映像の上映会を企画し広報も兼ねてフジファブリックの思いを伝えるチラシを市内の全世帯に配布した

故ボーカルの母校の体育館にてライブ映像の上映会と使用していたギターなどの展示を行い市内外から 1000 人以上の来場者が訪れた

イベントをきっかけに交流人口の拡大や市への移住など地域の活性化につながっている若い世代が移住していることもポイントだ

20157

20152

20153

20154

20155

20156

201412 「路地裏の僕たち」の隊長である渡辺氏が12 月 24 日の志村正彦の命日

に合わせてイベントをしようと企画(時間的制約rarr断念)

命日に合わせて行われた忘年会にて来年誕生日でのイベント実施を決意

「まちプロ」公募開始「路地裏の僕たち」隊長渡辺氏が応募

「まちプロ」に正式に採択誕生日に合わせ7月 10 日前後にファンに

感謝を表ベントを財団の支援のもと実施する

志村家に挨拶へ行く両親より志村正彦フジファブリックの思いを来て

くれるファンに伝えて欲しいという思いを託される

7月 11 日富士吉田凱旋ライブの上映会を実施することを決定タイトル

「路地裏の僕たち上映会-となりのノッポにバットを借りて下一小に集合だ

-」とし核となる同級生で集まり企画の内容を詰めるその際貯金

会を行い事業資金となる 14 万円を集める

上映会は3回行い母校の体育館で実施する方針が固まった

1 資画

イベントの実施には機材費人件費場所代など 30 万円の経費がかかる

財団をはじめとする5ヶ所の機関より助成金などで 22 万円の集まり

残りを両親が負担していただいたことにより事業が可能になった

2広報

広報宣伝費が 15 万円と大きなウェイトをしめる多くの市民の方に知って

もらいたいという両親の思いを叶えるためだそこでフジファブリック

のジャケットデザイン等を担当していた柴宮夏希にデザインを依頼したと

ころ快諾少額のデザイン費によるポスターチラシが完成する同時に

SONYMUSIC のフジファブリック公式 HP での告知も実施少なくともファン

クラブ 5万人の目に止まる

3スタッフ

同級生はもちろん市の若手職員財団職員映画館をつくる会など導線

から受付警備まで多くのボランティアの力が集まったさらに協賛店

の中から飲食店が3店舗が出店ハタオリトラベルも物販を行いさなが

ら富士吉田物産展の様相を呈した

夏の体育館での上映会になるため暑さ対策として富士山の銘水より160

リットルの水もいただき看護師も待機フジファブリックファンの

移住者達の協力も得て準備は進み志村家をよく知る近隣の住民により

自治会への挨拶回覧板による周知も行われた

当日青空のもと県の内外から 1000 人を越える来場者があった

会場内のファンノートは感謝の言葉で埋まった会場を彩っていたチラシ

ポスターは1枚も残らずファンが大切に持ち帰った

「フジファブリック」は 2000 年に市内の下吉田中学校と吉田高校で出「会った同級生が結成したロックバンドで2004 年にメジャーデビューを果たし多くのファンを魅了した2008 年には富士吉田市で凱旋ライブを実施し「地元の富士吉田でライブをして満員にすることが夢だった」と語った2009 年ボーカルの志村正彦が突然他界した志村正彦がこの世を去った後も多くのファンが彼の歌に魅了され多くのファンが富士吉田に訪れている誕生日や命日には駅や母校に県外からもファンがつめかけるそんな現状に対して志村正彦の同級生達が彼が残してくれた多くのファンたちへ恩返しがしたいとイベントを企画している

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の支援

「俺の同級生マジやばい」資金集め思いの具現化

L I V E 映像の上映会 県外からの移住者

32

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

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 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 34: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

「ブラウニー屋こいのぼり」経営 太田氏 

「鉄板焼き屋臭獣」経営 桑原氏

富士急行株式会社 営業本部部長 渡辺氏 

ソニー ミュージック 樋口氏

元フジファブリックドラム 渡辺氏

名古屋市出身 機屋勤務 乃一氏

イベント時の広報協力(中づり駅構内バス内)

記念切符の企画アナウンスの変更

イベント時に出店前日準備撤収作業

独自に広報活動

「2010 年頃からたびたび富士吉田に通っていました通っている中で出会った方に今の職場である機屋を紹介してもらいファブリックで働きたいと思い繊維学部に通い勉強し2016 年度より採用してもらいました一点の曇りもなく来てよかったと思います」

「志村くん(故ボーカル)は僕が住んでいる新町出身のミュージシャンだから応援していたよ自治会も彼の父と一緒だし新町の回覧でイベントのチラシも回しておいたよたくさんの人に富士吉田に訪れてもらうキッカケを作ってくれてすごいことだよ」

「フジファブリックはとても特別なバンドソニーミュージック会長も何度も富士吉田を訪れているほど社として大切に尊敬しているアーティストですそんなフジファブリックを知ってもらう機会を作ってくれただけでも感謝しています」

ライブ映像の無償提供

公式サイトによる PR(100 万アクセス 1 ヶ月)イベントなどで定期的に富士吉田に来訪

富士の織物に携わりたいと機屋に就職

現鉄板焼き屋元ミュージシャン

フジファブリックを尊敬する地元の後輩

「僕は遅くて河口湖に引っ越してきてから初めて知ったここの地域のミュージシャンだって聞いて聞いてたけど今じゃ毎日店ではフジファブリックしか流さないよ(笑)本当に最高だね」

「富士吉田に生まれて富士吉田で音楽をやり始めていつも一歩前にはフジファブリックがいた何回か一緒にライブもしたこともあるけど本当に尊敬してるまちづくりとか地域おこしとかよくわからないけどフジファブリックのことならいつでも手伝う」

「なんかこういうことやるとさ正彦が一番嫌がるだろうねでもお前はこんなに必要にされててこんなにお前の音楽を好きで集まってくれる人たちがいるんだよって残されたおれらはたくさんの人に恩返しっていう使命があるんだよね」

路地裏の僕たち 代表

初代フジファブリック メンバー

1 若い世代の声

2 若い世代の声

1協力企業の声

2協力企業の声

1交流者移住者の声

2交流者移住者の声

     

集合写真 イベント時の人があふれてる

イベント会場にて展示を見るファンSONY 公式 HP上のイベント案内イベント準備に集う同級生やファン

 フジファブリックのライブ映像の上映会をするにあたり故ボーカルの同級生やファンなど若い世代が手伝いたいと多方面からスタッフが集まった飲食店の経験がある者が当日出店し音楽ができる者はコピーバンドとして演奏をし特別なスキルのない若いスタッフもイベントの運営や雑務を担ってくれた何かしら関わりたいと若手世代の思いが集まったスタッフは 30 人ほどで下は 24歳上は 50 歳と幅広い世代が協力してくれたものの平均年齢は35 歳ほどで若い世代が中心となりイベント運営を行った 多くの地域の現場で若者の地域活動への参画は望まれているものの地元の若者が積極的に地域課題に取り組む事例は少ない今回の事業では音楽という比較的若者が取り組みやすい題材でかつ地元の若者をフューチャーした取り組みであったことから多くの若者が関わりをもつ結果につながったと考えられるまちづくりに全く興味がない層が地域を活性化させたのである

 企業の社会貢献が問われる今地元企業や大手企業が CSR として地域活性化に関する事業に協力することは珍しいことではない本事例でもいくつかの大手企業の協力を得て事業を実施している現フジファブリックの所属レーベルのソーニーミュージックからは上映会前の 1 か月間アーティスト公式 HP にて無償で広報をしていただいた効果としておよそ延べ 100 万人以上の目に触れたとのことだった上映のための版権を有している東芝 EMI からも上映の許可をいただいた 地元の企業として富士急行株式会社からも協力をしたいという話をいただいた電車やバスの中吊り広告や全富士急行線駅でのポスターの掲示下吉田駅でのアナウンスを使った広報記念切符の発行と多岐にわたる配慮をいただいたそのほかに採水企業や織物の会社も製品提供などを通してイベントに貢献していただいた 様々な企業の支えがありイベントは大成功をおさめ企業にとっても広報効果をうむ結果となった

故ボーカルの誕生日である 7 月 10 日と命日である 12 月 24 日は下吉田駅に多くのファンが降りるファンはまちの中のゆかりの地を巡って回る大根おろしパスタが有名なゆかりの喫茶店では毎年腱鞘炎になるほど大根おろしをするという毎年通うファンも多い さらには富士吉田市への移住の決め手としてフジファブリックの出身地であることを理由として挙げる人もいる私(地域おこし協力隊斎藤和真)もフジファブリックの大ファンで移住を決めた内の一人である市移住定住促進センターにフジファブリックが好きで移住したいという問い合わせが来ることも珍しくなく市の東京から女性を招いた婚活ツアーでは参加女性の半数がフジファブリックファンであったイベントがきっかけで富士吉田を訪れ現地の空気を感じてもらうことで交流人口の拡大や移住者獲得の要因となっているようだスタッフは参加者とのふれあいを大切にし温かみのあるイベントを作っている まちの住民もフジファブリックの人をひきつける力に気づきはじめた

若い世代の地域活動への積極的な参画 県 内 外 の 企 業 か ら の 協 力 交流人口増加移住者出現の要因

「同級生だった」 「同じ野球チームで」

「いとこの親友で」 「ファンなんだ」経 済 的 支 援 か ら 人 的 支 援 ま で

音 楽 と い う 地 域 資 源 の 魅 力イベントを行えば1000人以上

通っているうちに移住してしまう人までPOINT POINT POINT

フジファブリックが残した「音楽」という地域資源だからできたこと

すごい すごいすごい

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉全体で高止まりが続く 和牛の生産は母牛から子牛を生ませる繁殖農家と子牛を大きくする肥育農家との分業が多い両者が売買するせり価格は黒毛和牛1頭が10月に前年比2割増の67万2千円41カ月連続で前年を上回る 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け政府が「攻めの農業」として輸出を強化する和牛ただ足もとの産地では子牛の高値に戸惑

 和牛の子牛の数が減りせり価格が上がっている子牛の売買頭数は3年前より1割減り価格は7割上がった牛を育てる農家が高齢化などで減ったからだ牛肉の小売価格も3年間で2割ほど高くなっている独立行政法人「農畜産業振興機構」によると10月の和牛100グラムの小売価格(全国平均)はサーロインが1335円かたが754円前年同月と比べともに1割高い輸入品も円安で同程度上がり牛肉

33

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

34

市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
Page 35: 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 · 山梨県 富士吉田プロジェクト 地域活性化の実践 Tips集 大学と行政の連携にもとづく新たなまちづくりの方法

 富士吉田の基幹産業である織物だが産地として衰退し深刻な後継者不足に悩まされているそんな状況に対して機屋の若手組織であるハタオリトラベルが産業の未来を守るべく自分たちの売り上げの一部から機織り体験教室の費用をねん出した

 出資金をもとにして地域の子ども達に機織りを体験してもらう場を設定できないかと企画がはじまった地元の織手と連携して市内6保育園の年長児童に対して手機織り体験教室を実施することが決まった財団がきめ細かく企画の立ち上げもサポートしていった

 保育園での体験教室がメディアに取り上げられ様々な機関から協力の申し出が来るようになった商工会議所や学校自治体などと連携が生まれた さらに市の子育て支援課や県の産業振興課からの事業としても取り上げられる予定である常設の体験施設の設置の話も出るほどである

 市内全保育園の年長園児 270 名に対する体験教室での事業を実施した新聞や広報民放やケーブルテレビにも取り上げてもらいテバタトラベルの活動が認知された 市制 60 周年祭など県内外 10 箇所以上のイベントで体験教室をおこなった計 400 名のこども約100 名の大人に手機織りを体験した

地場産業

継承事業

スタ

ート

3機織り体験教室の実施

1機屋の若手立ち上がる

2企画を伝える

4常設の手機体験施設へ

この街の保育園児はみんな手織りのランチョンマットを持っている

「テバタトラベル」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

機織りのまち富士吉田だが後継者不足という機織り産業の危機が目の前にhellip機屋若手組織であるハタオリトラベルが市内全保育園での手機織り体験教室を実施した次の若い世代への伝統継承は始まったばかりだ

テバタトラベル活動のポイントPOINT1 実際に産業として危機感を持っている機屋と子供たちに機織りを伝えていきたい織り手である職人と地域の産業として繋いでいきたい行政とのそれぞれの思いが合致しているため精力的に様々な活動を実施することができたそれが富士吉田の長期的にみると富士吉田の産業を支える活動として認知されはじめさらに多くの団体から声をかけてもらっている

POINT2 当初は想定していなかったのだが子ども達にとって手機織り体験はとても魅力的なコンテンツであるイベントや体験会では30分待ちは当たり前で何人も列をなして手機織り体験会に参加してくれる糸の色味実際に手を動かして自分でものをつくれる達成感など子どもも楽しく親としても教育として質の良いコンテンツだと評価を得ている

POINT3 地域住民からの関心も高く多くの取材も受ける子どもと地場産業の接点を生み伝統を継承していく事業なのでまちとして支えていく仕組みの構築が望まれる

市民の思い

事業の成果事業の実施

財団の支援

機織りの文化を守りたい富士吉田では毎日どこでも機織の機械の音が聞こえるそんな地場産業に衰退の危機がhellip機屋の若手と織り手のおばちゃん達が立ち上がった

後継者育成事業計画

50 0 人以上に体験教室市内全 6 保育園への出張教室の実施各種イベントへの出店を繰り返し市内外の子供たち5 0 0 人以上に手機織り体験を実施した

新たなフォロワーの出現出資者であった機屋の職人達が出張教室に先生として毎回参加してくれたさらに市や県から後継者育成事業として次年度から予算化された

後継者育成のために機屋 1 2 社が旗艦店の売り上げから活動費を捻出してくれた資金をもとに未就学児に対して体験教室の実施を企画する

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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

1

31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

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  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成
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市民の思い

事業の実施 事業の成果

財団の事業

食を通じた地域貢献

漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

漠然とした思いを企画化

すでに市内で活動している食の団体と繋ぎその中から「うどん」に焦点を絞り高校生と一緒に体験教室を企画

観光客への地元食 PR漠然とした東京への違和感学生のころ関わっていた富士吉田なら仲間もいるし何かできそうな気がした

移住起業受賞まちプロをきっかけに移住しまちで活動していく内に富士吉田で企業を決意共に活動していた高校生も各賞を受賞

支えてくれる仲間がいるから移住してきて起業した

「co cooking」332

FUJIYOSHIDAPROJECTS

慶應の後輩が富士吉田に移住してきた富士吉田で起業もしただってこのまちだったらやりたいことがやれて支えてくれる人もいる学生時代親しんだ富士吉田は一番夢が叶えやすいまちになっていた

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31市民と慶応と高校生とうどん打ち体験会の風景 2東京銀座の子ワーキング

スペースにて仕事帰りのサラリーマンを対象にコークッキング 3RICOHフュ

ーチャーハウスにて調理を通した教育プログラムの実施風景

川越 一磨(24)東京都板橋区出身 慶應義塾大学 総合政策学部卒業 SAPPOROグループ 銀座ライオン勤務

ひばりが丘高校うどん部

cocooking のパートナーとして事業を一緒に進めてきた地元 B級グルメを PRしている「ひばりが丘高校 うどん部」

 

[ ]コークッキング富士吉田を拠点として起業ひばりが丘高校各賞の受賞と認知度UPと生徒の成長

co cooking仲間と一緒に楽しく地域活動できる富士吉田移住企業はお金より仲間のほうがやっぱり大切

食を通じた地域の活性化という共通のテーマで活動しているひばりが丘高

校うどん部2015 年度はコークッキング貯金箱財団と一緒に多数の事業を

仕掛けた市内で新たなうどんのレシピの作成や外国人向けのうどん打ち

体験教室イベントへの出店を重ね1年間で 3000 食のうどんやうどんを

活用した製品を販売し50 万以上の利益を生み出したその利益をもとに

吉田のうどんを紹介する冊子の発行やHPの運用をしているスーパー高校生

事業の成果コークッキング高校生に現れた成果

cocooking富士吉田で活動してた実績から山梨県イノベーションキャンプ入賞日本総研主催ピッチコンテスト「未来 2016」出場2015 年 12 月富士吉田市を拠点として起業

ひばりが丘高校 商業高校研究発表大会山梨県最優秀賞活動を通して生徒が主体的に地域の人にスポットを当てる HP を作成その HP が全国高校 HP コンテストでグランプリに輝く

SFC 在学時慶應義塾連携として上吉田の調査研究に携わるその後2年間 SAPPOROグループの飲食店である銀座ライオンに勤務自分自身で料理を通したプロジェクトを仕事にしていきたいという思いからcocooking を開始「まちプロ」をきっかけに富士吉田に移住富士吉田で食をテーマに活動している団体と連携して料理を通じたコミュニティづくりを行っている主に富士吉田のご当地グルメであるうどんを広めている活動をしている高校生と連携して観光客向けのうどん打ち体験をパッケージ化したその他富士吉田を拠点としながら慶応やリコーとも連携しながら社員研修を行うなど市内外で活動を広げている

35

  • 01表紙
  • 02目次
  • 1-1メンハー紹介
  • 1-2富士吉田フロシェクトの歩み
  • 1-3事業一覧
  • 2-0財団表紙
  • 2-1新世界
  • 2-2コンヘ0324
  • 2-3クリエイター誘致
  • 2-4未来キャンフ
  • 2-5留学生モニターツアー
  • 2-6定住促進
  • 3協力隊表紙
  • 311富士吉田まとめ資料_吉田こはん0323
  • 312富士吉田まとめ資料_富士山しかん0323
  • 321富士吉田フロシェクトまとめ_akinai ver4
  • 322富士吉田フロシェクトまとめ_harmonica ver6
  • 323富士吉田フロシェクトまとめ_saruya5
  • 33【まちフロ説明】-完成
  • 331【映画館をつくる会】説明資料-完成
  • 3321【路地裏の僕たち】説明資料-完成
  • 3322【路地裏の僕たち-アウトカム】説明資料-完成
  • 333【テハタトラヘル】説明資料-完成
  • 334【cocooking】説明資料-完成