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デジタルカメラマガジン 5-2019 120 121 PRODUCT olorEdgeにエントリークラスの CS2410 が加わった。価格設定にか なり挑戦したモデルでなんと 5 万円ほどで 購入できてしまう。レタッチなど色にこだ わるのなら ColorEdge と思っていたけど、 値段が高くてとあきらめていた人にはかな り魅力的な製品だ。上位モデルに比べる と基本スペックが落ちる部分もあるが、通 常使用にはまったく問題のないレベル。実 際に好調な滑り出しを見せているという。 いまや 24 インチディスプレイならば 1 万 円台から購入できるご時世だが、それはあ くまでも質を問わなければの話だ。写真を 眺めるだけならばともかく、色調整を始め とする各種のレタッチに、輝度ムラ、色ム ラが散見されるディスプレイを用いるのは 抵抗がある。さりとてさすがに ColorEdge は買えないという声は度々耳にする。 こうした層の受け皿になっているのが、 EIZOのFlexscanシリーズだ。出荷時に しっかりと調整を行い、各種カラーモード の実用性も高い。満足のできる品質が確 保できる。唯一の難点は経時変化への対 応力だ。Flexscanでもソフトウェアキャリ ブレーションによる補正は可能だが、階調 の縮退は避けられない。ディスプレイは長 く使用するデバイスだけに、ハードウェア キャリブレーション機能の有無はやはり大 きい。そこで選択肢に挙がってくるのがこ のCS2410だ。 これだけ安 価ならば、 Flexscanとの置き替えも一考する価値は ある。当面はハードウェアキャリブレー ションを考えていない人でも、CS2410 を 購入しておけば、将来的に測色器を購入 するだけで長期にわたり品質を保持できる ようになる。 C 外光や照明が表示面に差し込む環境ではオプションで用意さ れている遮光フード「 CH2400 」(18,000円前後)を使いた い。C S2410は測色器を内蔵しないため、 測定毎にフードを 外す必要があるがマグネット式なので簡単に着脱できる 脱着が簡単なマグネット式 遮光フード も別売で用意 24インチのColorEdgeベーシックモデル ColorEdge CS2410 信康  写真提供 藤原嘉騎 EIZO エイゾー 発売日 2019 3 19 実勢価格 53,000 円前後 24 インチクラスのColorEdge CS シリーズのスペック比較 CS230 CS2410 CS2420 サイズ 23インチ 24インチ 24インチ 解像度 1,920 ×1,080 1,920 ×1,200 1,920 ×1,200 画素密度 96ppi 94ppi 94ppi 色域 sRGBカバー率97sRGBカバー率100Adobe RGBカバー率99コントラスト比 1000 1 1000 1 1000 1 USB端子 PC接続USB 2.0 ×2 背面ハブUSB 2.0 ×2 PC接続USB 3.1 ×1 側面ハブUSB 3.1 ×3 PC接続USB 3.1 ×1 側面ハブUSB 3.1 ×3 遮光フード 組み立て マグネット マグネット 標準消費電力 21W 18W 26W 外形寸法(W×H×D544 ×372.5526.5 ×245.5mm 554.4 ×396551 ×245mm 554.4 ×396551 ×245mm 質量 7.5kg 7.9kg 7.8kg 実勢価格 65,000円前後 53,000円前後 97,000円前後 CHECK 01 色域は、 パソコンの 作業環境をはじめさま ざまなデバイスでサ ポートさ れ て い る sRGBを100%カバー している。カラーモー ドにもs R G Bモードを 用意しており、Color Navigator7(別売) を使えばいつでもキャ リブレーションを行うこ とが可能だ sRGB色域100カバーする CHECK 03 スタンドはシンプルながら、チルト( 手前5°~奥側35°)、 スウィベル(344°)、ピボット(右90°)の動きが可能。ま た、昇降も155m mの範囲で調整できる。90°回転する ことで縦表示に対応する。これだけ広い可動範囲を備え るため、大抵の設置場所に対応できるだろう さまざまな設置環境に 対応できる高い可動性 CHECK 06 液晶パネルの背面上部には持ち運びの際に使用でき るハンドルを用意している。社内プレゼンで会議室に 移動する際や、スタジオ内での使用時に重宝する。な お、昇降のロック機構はないので、アームを最大に伸 ばした状態での運搬となる 持ち運びに便利取っ手を装備 CHECK 08 USB3.1の端子は、 背面にアップストリー ム1ポート、側面にダ ウンストリーム3ポート を装備。EX3使用時 はダウンポートに接続 すれば 取り回しが 楽 になる。ダウンポート のうち1つはスマート フォンやタブレットの 急速充電に対応 USBハブの1つは 急速充電に対応 急速充電 対応ポート CHECK 09 5° 35° 155 mm FRONT 信号入力端子は、DisplayPort、HDMI、DVI-D 24ピンの3系統を装備している。D i s p l a y P o r tと HDMI用のケーブルはパッケージに同梱されているた め、ノートPCとのマルチディスプレイ環境にする場合 にもケーブルを別途購入する必要がない 信号入力端子は 3系統を用意 CHECK 07 BACK 写真家・藤原嘉騎がCS2410を試す ノート PCでは見えなかった色、細部が確認できる 今回、EIZO ColorEdge CS2410をノートPCに接続 しレタッチを行った。使用方法は非常に簡単で、同梱の HDMIケーブルを使い、CS2410とノートPCをつなぐだ け。面倒な設定もなく、そのまますぐに使用可能だ。憧れ のデュアルディスプレイがほんの数秒で完成する。24イン チの大画面はノートPCとは違い、拡大表示せずとも細部 が見えるので写真のセレクトや現像もしやすく、作業効率 が非常に良い。さらに、ディスプレイの表面処理が光を 反射しにくいアンチグレアなので外光や背後の映り込みが 抑えられ、これまで以上に集中して作業を行えた。 タブレットを使ってレタッチをしている。プリント時との色 が近いので安心して細かい色の調整が行えるのが良い 一般家庭にはちょうど良 い24インチサイズ。フー ドもそれほど大きくないの が良い IPSパネル色変化が少ない CS2410にはIPS方 式の液晶パネルを採 用している。 画 面の 視野角は水平・垂直 とも178 °を確保して おり、鑑賞点の違い による白浮きや色 変 化が少ない。表面は アンチグレア 処 理を 施しており、映り込み しにくく、目への負担 を軽減している CHECK 02 キャリブレーションは 専用センサーで行う 別 売オプションのフィルター方 式 測 色 器「 E X 3 」 ( 17,000円前後 )。これを使用することでハードウェ アキャリブレーションが行える。「ColorNavigator7」 ( EIZOのWebサイトからダウンロード)を起動し、画 面の指示に従ってセットするだけで良い CHECK 04 Quick Color Matchにも対応 Quick Color Matchは、3ステップの操作で ディスプレイの表示とプリントの色合わせを行う ユーティリティー。用紙を選び、写真をドラッグ& ドロップし、プリントするだけで色合わせが行える CHECK 05 縦表示 PRODUCT REVIEW

CS230 CS2410 CS2420 EIZO 榊信康 藤原嘉騎 23 24 …...120 デタルカメラマガジン 5 -2019 121 PRODUCT olorEdgeにエントリークラスの CS2410が加わった。価格設定にか

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Page 1: CS230 CS2410 CS2420 EIZO 榊信康 藤原嘉騎 23 24 …...120 デタルカメラマガジン 5 -2019 121 PRODUCT olorEdgeにエントリークラスの CS2410が加わった。価格設定にか

デジタルカメラマガジン 5-2019120 121

PRODUCT

olorEdgeにエントリークラスのCS2410が加わった。価格設定にか

なり挑戦したモデルでなんと5万円ほどで購入できてしまう。レタッチなど色にこだわるのならColorEdgeと思っていたけど、値段が高くてとあきらめていた人にはかなり魅力的な製品だ。上位モデルに比べると基本スペックが落ちる部分もあるが、通常使用にはまったく問題のないレベル。実際に好調な滑り出しを見せているという。 いまや24インチディスプレイならば1万円台から購入できるご時世だが、それはあ

くまでも質を問わなければの話だ。写真を眺めるだけならばともかく、色調整を始めとする各種のレタッチに、輝度ムラ、色ムラが散見されるディスプレイを用いるのは抵抗がある。さりとてさすがにColorEdgeは買えないという声は度々耳にする。 こうした層の受け皿になっているのが、EIZOのFlexscanシリーズだ。出荷時にしっかりと調整を行い、各種カラーモードの実用性も高い。満足のできる品質が確保できる。唯一の難点は経時変化への対応力だ。Flexscanでもソフトウェアキャリ

ブレーションによる補正は可能だが、階調の縮退は避けられない。ディスプレイは長く使用するデバイスだけに、ハードウェアキャリブレーション機能の有無はやはり大きい。そこで選択肢に挙がってくるのがこのCS2410だ。これだけ安価ならば、Flexscanとの置き替えも一考する価値はある。当面はハードウェアキャリブレーションを考えていない人でも、CS2410を購入しておけば、将来的に測色器を購入するだけで長期にわたり品質を保持できるようになる。

C

外光や照明が表示面に差し込む環境ではオプションで用意されている遮光フード「 CH2400」(18,000円前後)を使いたい。CS2410は測色器を内蔵しないため、測定毎にフードを外す必要があるがマグネット式なので簡単に着脱できる

脱着が簡単なマグネット式遮光フードも別売で用意

24インチのColorEdgeベーシックモデル

ColorEdge

CS2410

文 ●榊 信康 写真提供 ●藤原嘉騎EIZO エイゾー

発売日 2019年3月19日 実勢価格 53,000円前後

24インチクラスのColorEdge CSシリーズのスペック比較CS230 CS2410 CS2420

サイズ 23インチ 24インチ 24インチ

解像度 1,920×1,080 1,920×1,200 1,920×1,200

画素密度 96ppi 94ppi 94ppi

色域 sRGBカバー率97% sRGBカバー率100% Adobe RGBカバー率99%

コントラスト比 1000:1 1000:1 1000:1

USB端子 PC接続USB 2.0×2 背面ハブUSB 2.0×2 PC接続USB 3.1×1 側面ハブUSB 3.1×3 PC接続USB 3.1×1 側面ハブUSB 3.1×3

遮光フード 組み立て マグネット マグネット

標準消費電力 21W 18W 26W

外形寸法(W×H×D) 約544×372.5~526.5×245.5mm 約554.4×396~551×245mm 約554.4×396~551×245mm

質量 約7.5kg 約7.9kg 約7.8kg

実勢価格 65,000円前後 53,000円前後 97,000円前後

CHECK 01

色域は、パソコンの作業環境をはじめさまざまなデバイスでサポートさ れ て い るsRGBを100%カバーしている。カラーモードにもsRGBモードを用意しており、Color Navigator7( 別売 )を使えばいつでもキャリブレーションを行うことが可能だ

sRGB色域を100%カバーするCHECK 03

スタンドはシンプルながら、チルト( 手前5°~奥側35°)、スウィベル(344°)、ピボット(右90°)の動きが可能。また、昇降も155mmの範囲で調整できる。90°回転することで縦表示に対応する。これだけ広い可動範囲を備えるため、大抵の設置場所に対応できるだろう

さまざまな設置環境に対応できる高い可動性CHECK 06

液晶パネルの背面上部には持ち運びの際に使用できるハンドルを用意している。社内プレゼンで会議室に移動する際や、スタジオ内での使用時に重宝する。なお、昇降のロック機構はないので、アームを最大に伸ばした状態での運搬となる

持ち運びに便利な取っ手を装備CHECK 08

USB3.1の端子は、背面にアップストリーム1ポート、側面にダウンストリーム3ポートを装備。EX3使用時はダウンポートに接続すれば取り回しが楽になる。ダウンポートのうち1つはスマートフォンやタブレットの急速充電に対応

USBハブの1つは急速充電に対応

急速充電対応ポート

CHECK 09

5° 35°

155mm

FRONT

信号入力端子は、DisplayPort、HDMI、DVI-D 24ピンの3系統を装備している。Disp layPor tとHDMI用のケーブルはパッケージに同梱されているため、ノートPCとのマルチディスプレイ環境にする場合にもケーブルを別途購入する必要がない

信号入力端子は3系統を用意CHECK 07

BACK

写真家・藤原嘉騎がCS2410を試すノートPCでは見えなかった色、細部が確認できる 今回、EIZO ColorEdge CS2410をノートPCに接続しレタッチを行った。使用方法は非常に簡単で、同梱のHDMIケーブルを使い、CS2410とノートPCをつなぐだけ。面倒な設定もなく、そのまますぐに使用可能だ。憧れのデュアルディスプレイがほんの数秒で完成する。24インチの大画面はノートPCとは違い、拡大表示せずとも細部が見えるので写真のセレクトや現像もしやすく、作業効率が非常に良い。さらに、ディスプレイの表面処理が光を反射しにくいアンチグレアなので外光や背後の映り込みが抑えられ、これまで以上に集中して作業を行えた。

タブレットを使ってレタッチをしている。プリント時との色が近いので安心して細かい色の調整が行えるのが良い

一般家庭にはちょうど良い24インチサイズ。フードもそれほど大きくないのが良い

IPSパネルで色変化が少ない

CS2410にはIPS方式の液晶パネルを採用している。画面の視野角は水平・垂直とも178°を確保しており、鑑賞点の違いによる白浮きや色変化が少ない。表面はアンチグレア処理を施しており、映り込みしにくく、目への負担を軽減している

CHECK 02

キャリブレーションは専用センサーで行う

別売オプションのフィルター方式測色器「 EX3 」( 17,000円前後 )。これを使用することでハードウェアキャリブレーションが行える。「ColorNavigator7」

( EIZOのWebサイトからダウンロード)を起動し、画面の指示に従ってセットするだけで良い

CHECK 04 Quick Color Matchにも対応

Quick Color Matchは、3ステップの操作でディスプレイの表示とプリントの色合わせを行うユーティリティー。用紙を選び、写真をドラッグ&ドロップし、プリントするだけで色合わせが行える

CHECK 05縦表示

PRODUCT REV

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