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1 / 8 Photo by Takumi Yamada “なんか、ズルい” H ABON PAPER Curation paper Sharing about the viewpiont of “mono-coto” Habon な人々のモノコトの視点をシェアするキュレーションペーパー 2015.05 issue 23 Write about love / I Didn't See It Coming ズルい!! 行きたいところがない ずるいいきもの 今月の○○問題 「よく生きるための技術」 今月の食通 「ライブ感のある食事旅のススメ 「夜のピクニック」 私の仕事道具 「変わっていくもの、変わらないもの」 連載京都綺譚第二十三回 「慈照寺(銀閣)」 おわりに 「段取りの目的化」 2015.3.1 (Sun) Last month HABON “先取り”の本

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Photo by Takumi Yamada

“なんか、ズルい”

HABON PAPERCuration paper Sharing about the viewpiont of “mono-coto”

Habon な人々のモノコトの視点をシェアするキュレーションペーパー

2015.05issue 23

Write about love / I Didn't See It Comingズルい!!行きたいところがないずるいいきもの今月の○○問題「よく生きるための技術」今月の食通「ライブ感のある食事」旅のススメ「夜のピクニック」私の仕事道具「変わっていくもの、変わらないもの」連載京都綺譚第二十三回「慈照寺(銀閣)」おわりに「段取りの目的化」

2015 . 3

. 1

(Sun )

Last month

HABON

“先取り”の

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保険会社勤務。趣味はお菓子作りとビールを飲むこと。先週もビール作りに行っていました。

杤尾 夏紀

結 婚 こんにちは。せいです。 突然ですが、私、結婚しました。そもそもお前誰やねん!という多くの方の疑問をよそに話を進めます(笑)。自分で言うのも何ですが、まさかこの僕が結婚するなんて、という驚きがいまでもあります。ちなみに、相手も僕と同じで(絶滅危惧種とされている)和歌山県南部出身者です。というか、高校の同級生です。 そんな話をすると、まず多くの人に、「すごい!高校時代から付き合ってたの!?」言われます。でも、違います。「むしろ高校時代は話したこともないかも。」というと、「そしたら、どうやって出会ったの?」という話に必ずなります。「一昨年(卒業してから、10 年ぐらいたった28 歳の頃)僕が住んでた中目黒のシェアハウス(中目黒 901ではない)で飲み会をした時に、よく知る高校の同級生が連れてきてくれたのが出会ったきっかけ」というと、だいたいの人が、「すごい!運命的だね!」と言ってくれます。確かに、客観的にそれだけ聞くと、運命的かもしれません。うーん。でも当の本人たちは、そういった皆さんの反応に対してピンときていません。 そんな僕ですが、結婚について考えてみました。結婚といえば、恋と愛の違いだ。ということで(こじつけだけど。)恋と愛の違いを考えよう。ということで、自分の話の前に、先人たちの言葉を、訊ねてみました。 “恋は下心。愛は真心”

うん、漢字を見たまんまだ。 “恋は落ちるもの。愛は与えるもの。”うん、そうそう。でも英語では falling love っていうから、愛にも落ちるね。 “愛はきっと奪うでも与えるでもなく、気がつけばそこにあるもの。”うん、直前の名言を否定したね。さすがミスチル。 “恋は奇跡。愛は意志。”うん、小松菜奈はかわいい。(ルミネの広告見てみて!) なるほど、みんなうまく表現してますね。じゃあ僕が考えると恋と愛の違いとは何か、そして、相手に対してどういう愛を持って結婚したのかというと、、、 うーん。わからない。うまく言えない。妻にも聞いてみたら、同じく、「うーん。うまく言えたない。。。」だって。どうしよう。早速やばいかも。この二人。 でも、話をしていて少しだけわかったこと。それは、お互いに今はっきりとした答えを表現できないことを許容し合えていること。それでいて、それぞれが見ているモノを尊重しているし、期待しあえていること。つまりあれだ、一緒に答え探しを楽しめそうだということだ。この答えって、ずるい?

※タイトルは、ここ数日のお気に入りベルアンドセバスチャンの名曲より引用

「Write about love / I Didn't See It Coming」

1984 年和歌山県田辺市生まれ。リノベーション専門の不動産会社勤務。中目黒でルームシェアしているときに、ひょんなことから、もう一つの中目黒ルームシェアコミュニティと繋がったことが HABON との出会い。ちなみに、結婚した今もシェアハウス” the c” に住んでます。

太田 聖

結 婚○○ちゃん、またおもちゃ買ってもらってずる~い!○○ちゃん家は、日曜にディズニーランドだって、ズルい!子供の頃はしょっちゅう思ってた気がする。その度に『他所は他所、うちはうち!』と定番の文句で窘められたなぁ。 ズルいって、大人になるにつれ、あまり感じなくなってきた感情だ、と思う。 ズルいってなんだろう。社会人になってからは、あの人ズルいな~!と使うときは、うまいなぁ、とか、やるなぁとか、どちらかというと肯定の意味で使ってる。それは大人になって、気持ちの余裕が出来たからだろうか。あの人が認められるのは、努力してきたから、信念があるから、会話が上手だから、気が効くから、笑顔が素敵だから。 自分にはない魅力を素直に認められるようになった時に、ズルいという感情は、どこかに消えていった気がする。 人は人、自分は自分、当たり前のことが腹落ちしたら、ズルいと妬むより、スゴイ!と褒めた方が、ずいぶん楽ちんだ。とか、綺麗なことを書いたけれど、ちきしょう、とか、ムカつく、とかは今でもしょっちゅう思ってる。プライドを傷つけられると、あの人は嫌な奴だ、とか、反省もせず人のせいにしたりもする。 でも、こういうときは大抵、負けるもんか、とか、今に見てろ、とか、前向きな考えがでてくるもの。ズルいと妬むのは一番無意

味なことだと三十路も過ぎると気付いてしまう。 嫌な感情が渦巻いても二十代はお肌ピチピチしてたけど、三十代はそうもいかない。無意味どころか肌荒れの原因にすらなる。最悪だ。 ズルい、なんて感情はとっとと捨て去るのが吉‼�できればムカついたり、とかもしないで暮らしたい! あ、でも今床に転がってて、『絶対起きるっ』って言ったのに、起こしたらキレ気味の旦那さんには結構ムカついてる。まだまだ修行が足りません…。

「ズルい!!」

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旅 行 

 「趣味は?」と聞かれたら「旅行」と答えるくらい僕は旅行が好きなのだが、最近旅をしたいという気持ちが弱まってきている。正確にいうと、行きたいところは国内外問わずたくさんあるのだが、行くための調べごとを始めようとすると、まあ別に行かなくてもいいかという打ち消しの力が心の中に働くような感じだ。 たぶんそれには色々な理由や原因があって、日本のほとんどの都道府県に行ったことがあり、海外にも 10 回ほど渡航しているので、過去の経験から何となく予測をつけてしまうことや、インターネットを通してその場所の風景やその場所で何が起きているかをざっくりと把握できてしまうことだろう。 また、未知のものに出会うという旅そのものの悦びを求めつつ、自分の気持ちを高めてくれるであろう場所(例えば facebookで友人が話題にしている場所)ありきで旅行のプランを考えたりと、結局は無難で分かりやすい価値を旅行に求めてしまっている自分に辟易する。情報と経験(と年齢?)が僕を旅から遠ざけるのか。 とはいっても、先日大阪に帰省したついでに、ふらりと少し足を延ばして行った鳥取砂丘には、自分でも意外なほど感動した。有名な観光スポットであり、もちろん行く前から写真では見ていたし、正直なところ大きな期待はしていなかったけれども、実際に目の当たりにして僕はその風景に夢中

になった。 雨で濡れた砂丘の砂が太陽の光で乾いていく様子や、途方もない砂山の大きさとか、心動かされるものがたくさんあった。 20代前半のころは、旅をする(移動する)こと自体が目的で、快楽であったけれども、今はその場所でこそ経験でき、感じることができる何かに価値をおくようになったと思う。(経験に価値があるという意味では、あえて旅行に行く必要もないとも言える。)だからこそ、冒頭に書いたように、旅行したいという気持ちと、インターネットの情報や過去の自分の経験で知ったつもりになって「別に行かなくてもいいか」という気持ちがいつも葛藤を起こす。 ただ、それを振り切って一歩踏み出した先に旅の感動が待っていることも知っている。

「行きたいところがない」

大阪出身、東京在住の三十路目前男。職場も家も外国人旅行者が多いエリアで道案内が日課となってます。最近 Kindle を買いました。

筒井 佳樹

動 物  「憎めない」という「ずるさ」を持っているのが、ねこという生き物である。 一般的にねこはわがままで気分屋だと評されている。私もそう思う。だが、少なくとも日本人はねこ大好きな人が多いのではないだろうか。以前留学先の現地の方が「日本人はねこ好きなの?それにしてもねこグッズ多いよね」と不思議がっていた。確かにねこグッズは街に溢れている。それどころか、本屋に並んでいるフォトブックは他の動物よりも数が多いように感じる。ねこ駅長をはじめとする「看板ねこ」も存在する。「ねこも杓子も」、「ねこの手も…」等ことわざにも「ねこ」は多数登場する。浮世絵にだって登場する。そのくらい日本人は昔からねこ好きが多いのだと指摘されて初めて実感した。 私のねこ事情はというと、自宅では諸事情で飼ってはいないが、実家では一匹のねこを飼っている。御歳8歳のおばあちゃんねこである。実家に帰るのが盆と正月の年に 2 回、それも滞在日数が一週間にも満たないものだから、簡単には構ってくれない。その為、毎回会うたびに自己紹介がてら、私という人間を覚えてもらうために餌付けをする。何回かすると覚えてもらうことができるので構ってもらえる。構ってもらえる、と言ってもねこ自身の気分が乗ったときだけであり、逆にこちらが構ってもらうと困る時に、“にゃーにゃーにゃーにゃー”とお呼びがかかることが多い。そのときは

適当にこちらの用事を引きあげてからお相手する体制に入る。すると、かのねこは “ぷいっ” と何事もなかったようにあちらに行ってしまう。これを人にされると憤慨ものであるが、ねこなら仕方ない。というか「なんだツンデレなのか、可愛いやつめ」とかなんとか言いながら、にやにやしながらねこのおしりを追いかけて無理矢理構ってもらう。ねこもねこで嫌そうじゃない。このねこの気分屋性質から始まる一連のやりとりがとてもとても愛らしくて憎めない。嫌いになんかなれない。あぁ…ずるい。

「ずるいいきもの」

建築設計屋。アート、ファッション、美学 etc が大好物。よくカメラ片手に路地裏を歩いています。最近は露出ダクトがエロティックだと感じます。

門井 美樹

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代々木上原が気になっている。昔からハリッツの

ドーナツ、カタネベーカリーのパン、エンボカ東

京のピザなど美味しいところがたくさんあります

が、4月末に新たなスポットが誕生しました。

代々木上原の駅を降りた目の前にあるN

ODE

UEHARA

。まるで外にいるかのような開放的な1

階にはカフェとグローサローショップがあり、地

域の住人に新鮮な食材を提供し、地下はグリル&

ダイニングでこだわりのある肉類や新鮮な魚介類、

旬の野菜などを炭火のグリルで調理したシンプル

で彩りのあるメニューを提供しています。

なんでもここは小田急電鉄が開発をしていて、そ

のため「Train To Table

」をコンセプトに、小田急

沿線で生産される肉や野菜、相模湾近郊の魚介類

などを使うことで生産者や作り手を紹介する「ロー

カル食」を提案しているそうです。

 

僕のおすすめするこの場所の使い方はカウン

ター席に座って、ライブ感を楽しみながら食事す

ること。地下のグリルは目の前で炭火焼をしてく

れ、目ではその手際の良さを楽しみ、食にまつわ

るエピソードで会話を楽しみ、もちろん美味しい

食事で舌鼓。3拍子揃った体験はこの場所ならで

は。おすすめメニューはグリル野菜とキャベツと

ピーナッツのガドガドサラダ。ピーナッツソース

が濃厚ですごく美味しい。あとメインの真だこの

炭焼き。たこを「旨味の塊」と言い切る私は、シ

ンプルながらその旨味を最大限に引き出すスパイ

スや味付けに感動しました。

メニューは京都で話題のレストランkiln

の船越雅

代さんが手がけていて、運が良ければ目の前で調

理してくれますかも。

 

なんでこんなに大絶賛かって??それは僕の勤

めている会社が企画設計運営しているからですよ

(笑)。テーマにあわせて「ズルい」感じで紹介さ

せていただきました。

 

あと個人的には食後のコーヒーとして、ちょっ

と歩くけど「パドラーズコーヒー」ってコーヒー

屋さんもおすすめです。店主の松島さんが厳選し

たコーヒーをとっても美味しくいただけます。

「ライブ感のある食事」

今月の  通

建築を通して場作り、まちづくりを行う会社に勤務。企画から設計、小物のデザインまで含めてトータルでデザインしています。

東京都渋谷区西原 3-11-8 ℡ 03-3466-0497小田急線代々木上原駅目の前

東京都渋谷区西原 2-26-5小田急線代々木上原駅徒歩 8分

杤尾 直也 PADDLERS COFFEENODE UEHARA

 

僕は、岡山県西粟倉村という人口1,500

人の村

で、薪工場の工場長として働いています。工場長

と言っても、僕とカナダ人の元レストランオーナー

のダニエルの二人だけの小さな工場です。

 

薪工場では、フォークリフトやチェーンソー、

薪割り機の力を借りつつ、手作業の部分も多く、

木と自分の身体と向き合う日々。村が環境省のモ

デル都市に選ばれているので、全国から再生可能

エネルギーや林業、まちづくり関連の視察を受け

るのですが、現場のあまりのローテクぶりに、逆

に自動化や機械化のアドバイスを受けます。

 

多分、想像以上にシンプルな仕事です。単純だ

けど奥が深い部分もあり、体力は必要だけど、そ

れ以上に身体の使い方を意識することで、作業効

率が大きく変わってきます。ボトルネックになっ

ている部分に焦点を当て、やり方を工夫するとい

う感じです。山や畑に囲まれた環境で鳥の鳴き声

や川の音を聞きながら働く環境は、仕事と言うよ

り、音楽やスケボーなんかに打ち込んでいる感覚

に近いと感じています。

 

僕もダニエルも今の働き方を楽しんでいるし、

今後は林業にも進出したいと思っているので、そ

の訓練の過程でもあります。(薪割り体験やイン

ターンも随時受け入れています。林業の入口とし

ての薪工場って、どうでしょうか?)

 

さて、僕の人生はというと、ここに来るまで、

地元へのU

ターンも含めて5回移住しています。

この回数は、ずっと地元で過ごしてきた人からす

ると多く、転勤族や放浪癖のある旅人からすれば

少ないといったところでしょうか。

移住は視野を

広げるチャンスですが、移住を重ねる生き方にも

実は技術が必要で、「旅は人生の目的ではない」と

いう信条を持つ僕にとって、移住すること自体は

経験値ではなくて、そこから何を学ぶか、移住し

た先で何をするかという軸をきちんと持たないと、

表面的な人間関係しか築けないし、自分自身の人

生のステージを上がることは出来ないと思ってい

ます。なぜ、これを心構えではなく“

技術”

と言っ

たか。それは表面的でも良いからです。

 

自分の軸を決め、信じきれなくても、そういう

風に生きてみる。すると、何かが変わってくるは

ずです。

「よく生きるための技術」

滋賀県大津市出身。昨年 9 月に岡山県西粟倉村へ移住。再生可能エネルギーの事業に取り組むローカルベンチャーで薪割りと薪ボイラー運用の日々。音楽と音楽にまつわる文化をこよなく愛す。趣味でバンドやDJ 等を嗜む、通称、サブカル好きの薪工場長。

高野 哲成

今月の○○  

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「明後日、夜のピクニックに参加しませんか?」

 

知り合いから届いたメッセージに、わたしは迷

う事なく参加を決めた。

 

恩田陸の「夜のピクニック」はわたしの大好き

な小説。高校生活最後の一大行事「夜間歩行」。夜

を徹して生徒が80km

を歩き抜く、そのひと晩を

描写した物語だ。お誘いのピクニックはそれを模

して、少し短いけれど60km

、代々木公園から鎌

倉の七里ガ浜まで歩くというものだった。最近大

阪から上京した幼なじみも誘って、7

:00PM代々

木公園を出発。松濤あたりを通過しながら「こん

な豪邸に住んでみたい」、目黒川沿いを歩きながら

「このお店すてき、こんど行こう」、そんな世間話

や笑い話をしていると、学芸大学まではあっとい

う間。夜の住宅街は、東京といえどもひっそりと

していて静か。こころなしかひんやりとして、とっ

ても気持がちいい。久しぶりに幼なじみとバカ話

をして、初対面の参加者のひととなりを聞いたり。

とにかくしゃべるのが楽しくて仕方ない。しゃべ

る、そして歩く。これ以外の誘惑がない夜の時間

は濃密である。しかし、話したい気持ちはあるのに、

武蔵小杉あたりで確実に口数が減った。菊名あた

りで「リタイヤして終電で帰る?」という悪魔の

ささやきが聞こえ、終電の時間を過ぎたころには

参加を悔いるほど足に違和感が。2:00AM

になっ

たころ、完全に足の感覚が無くなってくる。足を

かばうおかしな歩き方をしていたからか、横浜の

港南あたりから腕まで痛くなってきて、歩きが完

全にロボット化。ここからがとてつもなく長かっ

た。ほんとうは一歩さえ踏み出すのが苦痛なのに、

ゴールしたいという気力だけで歩いているので、

歩く速度がみんな亀のごとくスローダウン。鎌倉

市に到達したころには、心も身体も麻痺して、み

んな再びおしゃべりになるからおもしろい。朝日

「夜のピクニック」

のススメ

 

Habon

に参加しながら、常々声を大にして言い

たい!と思っているのは、今の中学生が送ってい

る日常は、私たちが中学生だった頃の日常とは大

きくかけ離れたものになっている!ということ。

その最たるものがスマートフォンです。クラスの

LINE

グループがあるのは当たり前。夜中の3時に

連絡してもばれなければ怒られない。学校帰りに

寄り道してとった写真をTw

itter

にあげてみたり

。「こんなの一体どう指導したらよいの!?」と、

言いたくなることがたくさん起こります。皆さん

だったらどうしますか?

 

さらにそんな時代の流れの中で学校の環境その

ものも大きく変わろうとしています。私が授業に

行くときに教室に持っていくのは、教科書、ノート、

そしてタブレットパソコン。教室にはプロジェク

ター備え付けの可動式ホワイトボードが黒板に設

置され、パソコン画面をいつでも投影することが

「変わっていくもの、変わらないもの」

中学校の先生8年目。もうそろそろ異動なので、今年は今までの恩返し!と思って滅私奉公中。いや、プライベート大事にしないといけないのもわかってるんですよ…

熊井 直子

私の仕事

できます。また、生徒にも1人1台タブレットを

貸し出していて、画面上で作業をさせるような活

動も可能。たとえば先日行った授業では、生徒が

書いた作文を写真で撮影し、それをデータとして

全員で共有しました。どの作文のどういうところ

がよいのかをタブレット上で交流し、推敲に役立

てる…

そんなこともできます。今はまだ行ってい

ませんが、そのうち、宿題のプリントなどもタブ

レット上に配布してやらせることも可能になるの

では!?または、ネット上にワークシートをのせ

ておくので、家でプリントアウトしなさい、なん

てことも起こりうるのでは!?等々、皆さんのお

子さんが中学校に上がる頃には、おそらく家庭の

パソコンは必須で、子供たちの勉強道具の1つに

なっているのではないかと予想されます。下手し

たらもう学校という場所に行く必要もなくなって

いってしまうのかも…

 

でも、その中で大切にしたいと思っている私の

仕事道具は「私自身」です。機械はいつか壊れる

かもしれない。でも、「教育」という仕事は絶対に

なくなりません。常に健康であること。笑顔であ

ること。生徒の心の動きを理解し、それに対応す

る力があること。感動があるからこそ人生であり、

感動は人との関わりの中でしか生まれるものでは

ないと信じています。時代は変化していくけれど、

子どもが「子ども」である、ということは何も変

わりません。環境の変化を恐れず、子どもの本質

に寄り添う心こそが、誰にでも訪れる「誰かを教

育すること」に欠かせない道具であると、私は考

えます。

最近、食欲が止まらない。食べても、食べても、食べたくなる。だから、わたしには歩みが必要です。食べて、歩いて、ゼロにする。食欲が罪悪感になるのが一番不幸。だから、歩かなければ!

橘 真子

を背中に受けて歩いていると自然と

昔話をはじめだすから、あの小説は

実際の状況に忠実であると今になっ

て思う。

 

七里ケ浜に着いたのは9:00AM

浜辺に付いた時は、疲労感でも眠気

でもなく、爽快感。そして一番感じ

たのは、二足歩行でどこまででも行

けるということの驚き。自分の行き

たいところに、時間をかければどこ

へでも行けるということを身をもっ

て体験できたことが、気持ちよかっ

た。

 

次は東へ、九十九里浜を目指した

いと思っている。どなたか一緒に、

偉大なる二足歩行、しませんか?

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昨年(2014年)2月、マレーシアに出張に行き、「なんていいところだ、夏に行こう」と夏休みを“先取り”して買った本。 結果、マレーシアがからんだ航空機事故が2回もあったことをうけ、行かず。今はイスラム過激派も怖いし、いったいいつになったら行けるのやら・・・。

坂本 有希 「Malaysia Time」なし RSVP

近未来のSFミステリィ。とある目的を持ったミチルとロイディは衛星にも感知されていない“年を取らない”女王が統治する国に不時着。そこで起こる殺人をきっかけに紐解かれていくこの国の歴史と実体。さらにミチルとロイディの正体が明らかになる。描かれている近未来の様子がこれから実際に起こりそうなリアルを帯びている。いや、もうすでに実現可能なのではないかと思わせる一冊。

門井 美樹 「女王の百年密室 」森博嗣新潮社

橘 真子 「あずきバーはなぜ堅い? おいしい雑学200」おいしい雑学研究会

オレンジページ

吉田 亮介 「地域社会圏主義 」山本 理顕LIXIL 出版

初対面の相手と楽しくおしゃべりするには? 自分と話していて、楽しいとかリラックスできるとか そういう印象を持ってほしいから、 お互いが共感できる話のネタを、先取りして投げかけられる人になりたい。 「食べもの」や「食べること」は老若男女の関心ごと。 食べる事がきらいなひとはいないから、 食の雑学を携えておけば、何かと使えます。

日本のこれからの暮らし方を先取りした本と言えばコレ。 戦後日本がまい進してきた、1つの住宅に1家族が住むというモデルから、 大きな1つの住宅に500人が協同しならが住むというモデルへの変革を提言した本です。 webの世界ではもう当たり前なシェアという概念が実空間に広がるとどうなるのか?という視点で読むと面白いかもしれません。

「特別阿房列車」最近の鉄道ブームを先取り(何十年も前に)していたのでは・・・「何にも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」一度読んだら、不思議な世界に引きこまれてしまうこと受け合いです。

小野間 萌 「内田百聞 ちくま日本文学 001」内田 百けん 筑摩書房

小説は現在を先取りした世界を示すことがある。この本は日本人の少年が現在の国と言う枠組みは外して、新たに自分たちの国を作ることを宣言している。これはここ数年で起きている。1つの国の中や、国家間をまたいで、新たな国や自治を作ろうとする動きを先取りしている。

山田 匠 「希望の国のエクソダス」村上 龍 文藝春秋彰国社

田鍋 圭助 「ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り」 ニック・ビルトン日本経済新聞出版社

時代を” 先取り” して twitter を創りだしたのは誰だったのか!?を、赤裸々に書いた本。ジャックにとっては、自分の物語を伝えるのが目的だった。エブにとってツイッターは、他人の物語を伝えるのが目的だった、同じ 140 字でもコンセプトが違って面白い。

2015 年 3 月 1日(日)18 時~@銀座 League 「先取りな本」 11 名春が待ち遠しいのもありますが、4月からは新年度。今年度を先取りできちゃう本、自分の中だけで勝手に先取りしてる本、ずっと昔から先取りしちゃってた本などなど、集まるかなと思いこのテーマに。実際のところは・・・・以下御覧ください。

熊井 直子

「昨日、狂言見に行ったんだけどさ、萬斎、超カッコ良かったんだよね!」・・・という会話は一般的ではないと思います。でも、東京オリンピックが決まった今、英語も大事だけど、伝統芸能もありでしょ!!この本を読めば、今まで敷居が高かった能や狂言がみに行きたくなるはず。そして、日常の中にも「伝統的な和」があることに気付くはず・・・。

「狂言サイボーグ」 野村萬斎

文藝春秋

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New Books in Habon Library

本をシェアすることで、自分の興味の一歩先にある“オススメの本” と “人” に出会える新しいライブラリーの仕組み

Habonとは

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狩谷 俊介

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「ゆるく考えよう」ちきりん

イースト・プレス

杤尾 直也

これからのことを考えるときに参考にしている本。1秒間で世の中ではどんなことが起こっているのか、それを認識した上で、自分の行動を振り返ってみる。そんな使い方をしています。 ただ流し読みしたとしてもとても面白い雑学の本です。

おちゃらけ社会派を自称するスーパーブロガーが語る、ゆるいけど、極論に聞こえるけど、最後には附に落ちてしまう、傾いてるけど、カッコイイ!!

「1秒の世界 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND」山本 良一 , Think the Earth Project

ダイヤモンド社社

山川 早霧 「仕事のお守り 」ミシマ社 編ミシマ社

写 真「今月のiPhone Snap」Ryosuke Yoshida Mako Tachibana Keisuke Tanabe

「なんか憧れる③」 「爽やかパパ??」 「ここではノーモア盗撮泥棒」

「なんか憧れる①」 「三重のなばなの里、花街道にときめき」 「これからの春の風物詩」

「明治神宮のご神木、ご利益を期待」 「コスプレ初心者あるある」「なんか憧れる②」

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箔を貼れなかったのは、富子に資金援助をせがんで断わられたからであろうか。池の向こうに佇む銀閣には、古今東西の美に通じた義政独特の感性が宿っている。しかし彼の境遇を考えるとどこか、男の哀愁をも感じざるを得ない。 その義政、やはり悪妻の生命力には勝てず、彼女より先に世を去ってしまう。その死の間際に彼は、あのメロディに乗せて「バイバイありがとうサーようなら~」と口ずさんだとか。バイバイが Bye Bye とともに、富子の演じた倍々ゲームにかかっていることは、風流人・義政の最後の意地というところだろう。

アクセス:アクセス: 京都駅から市バス 17系統などで50分程度、「銀閣寺道」又は「銀閣寺前」下車

連載「京都綺譚」

おわりに

第二十三回 慈照寺(銀閣) 「ズルい」といえば「女」、そしてあの印象的なイントロが頭を駆け巡る。そんな同世代の皆さん、こんにちは。私はあの頃中学生でした。 京都の歴史の中で「ズルい女」としてまず思い起こされるのは、日野富子だ。室町の八代将軍足利義政の正室であり、名にし負う悪女。まず義政の後継の座を私情で次々とすげ替えて、応仁の乱の原因の一端をつくってしまう。そうかと思えば大名に金や米を貸したり、関所を設けて通行料を召し上げたりして、乱世の最中に着々と蓄財に励む。今に伝わる富子のエピソードはこのようなものばかりで、実にズルい。いやズルいを通り越して、誰も信じられない世に、嫌われながらも必死に生き抜いたであろう、ひたむきな生命力さえ感じてしまう。 東山の慈照寺(銀閣)は、そんな富子に翻弄され続けた夫・義政が、世を厭って建てた山荘である。三代将軍義満の金閣と対をなすものだが、こちらは随分と質素だ。仕上げに銀

「段取りの目的化」 先日、実家に行った時のお話。 あまりマメでない自分は、実家に帰るからといって基本、お土産なんて用意しないのだが、きちんとしているしっかり者の妻は、いつも何かしらの手土産をいつの間にか買ってきて、ちゃんと親に渡してくれる。 今回もそのはずだったのが、数日前たまたま高島屋にいたこともあり、お土産を一緒に買おうという話になった。そして今回もお菓子を買う予定だったのだが、いつも甘いものなのもね~と言いながら歩いていたら、滋賀県から出張販売に来ていた「ぷりぷり海老しゅうぼう」という、出汁付き水餃子みたいな商品に目がいった。 これぞ出張販売に来ているおばちゃん!といったよく喋る少し押しが強め(でも居心地は悪くない)店員さんに試食を勧められ食べてみると、これはうまい!お土産にいいかも…と思っていると、「うちの商品は要冷凍だけど、持ち歩き 7 時間は持つよ」というナイス営業トークにも乗せられ、今回のお土産に決定~!となった。

 自宅に戻った後、那須に行くまで冷凍庫で保存し、「お土産持っていくの忘れないようにしなきゃね」というコメントにより、玄関に「お土産忘れずに!」という張り紙を準備、当日お互い忘れてないかを確認して家を出ることが出来た。しかし那須からの帰り道、電車に揺られていると突然「そういえばお土産って渡した?」と妻の悲鳴にも似た声が。ハッと思いバッグを確認してみると、まさかの「ぷりぷり海老しゅうぼう」が…!あの出張販売に期てたおばちゃんもびっくりな、持ち歩き 40 時間が経過していました…。 今回、世の中には” 手段の目的化”だけでなく、” 段取りの目的化” も存在することを発見。本来お土産を渡すことがゴールなのに、「お土産を忘れずに持って出る」ことがゴールになってしまい、自分のお土産持参任務は完了した故の結果…。お土産は渡すまでがお土産!ということを肝に銘じようと思った出来事でした。

(吉田 亮介)

「未定」次回のHabon

HabonPaper issue 24同時発行

HabonPaper issue 23

「なんか、ズルい」

京都大学助教。「都市の様相」に関する研究を展開している。

北 雄介

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2015年5月14日 第1刷発行発行所 中目黒ハウス901連絡先 [email protected] 

 ずるいの辞書的意味は「自分の利益を得たりするために、要領よく振る舞うさま。またそういう性質であるさま。」ということを基本にしてどの写真もそのずるさ=自分の算段やしてほしいこと。を隠すために相手に対して「理由を飛び越して、人間にある感情をひきおこさせてしまう。」ということをテーマに選んでみました。 手で触れているのは、アフガニスタンのギャッぺと呼ばれる藍染の絨毯。「触り心地がいいので触れてみて下さい良かったら買って下さい」なんてどこにも書いてないのに、触りたくなる、ゴロゴロしたくなる、欲しくなる。絨毯はそこにあるだけなのに欲しいという気持ちを増幅させる。だからとてもずるい。

山田 匠都内の大きな会社で建築意匠設計の仕事をしています。 2015年の前半は、次の動きへの下地づくりと頭の中の整理に当てています。 自分では思いもよらない考えに出会えて、いつも新鮮な気持ちになれるのでhabonに参加しています。

表紙の写真

杤尾直也 吉田亮介田鍋圭助 橘真子Habonメンバー一同

Staff

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