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てんかんの根治治療に向けた治療法の開発をめざす

octor nterview

―2012年に北東北てんかんセンターが開設され,センター長に就任されました。センターの位置づけについて教えてください。

 私は,弘前大学定年退官後,医療法人清照会湊病院により開設された北東北てんかんセンターにおいて,研究と診療を継続することになりました。当センターは青森県南部では初のてんかん治療専門外来となります。この場所を選んだ理由としては,退官直前に八戸の講演会に招かれ,地元の医師から「てんかんの相談先がない」といわれたことが大きなきっかけとなりました。てんかん診療のさらなる充実をめざす湊病院院長のバックアップを得て当センターの開設に至り,2012年4月よりこちらで診療を継続しています。 外来は完全予約制ですが,2017年4~5月までの新患患者数は800例にも及び,セカンドオピニオンも含め多くの患者さんが受診されています。また現在,

キャリーオーバーや治療ギャップの問題を解消し最新レベルのてんかん診療を提供すべく,当センターを中心に各施設が機能分化しながら連携する「八戸市てんかん治療ネットワーク」(図)の構築をめざしています。

てんかん診療における精神科医の役割

―40年以上,てんかんの臨床と研究に従事されています。医師になられた頃と今とではてんかん診療に違いはありますか。

 私は1972年に弘前大学医学部神経精神医学講座に入局しましたが,当時からてんかんは神経細胞の過剰興奮によって引き起こされる病態と捉えられていました。今と異なるのは,てんかん発作を止めるという一側面からだけでなく,てんかん患者さんについて総合的に把握しようとする研究が重視されていた点です。 てんかんを長期に患うと人格障害が起こる,性格が変わる,社会精神医学的問題が出てくるという前提で,多くの医師が患者さんを全人的に診ようとしていた時代でした。

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兼子 直 先生医療法人清照会 湊病院名誉院長/北東北てんかんセンター長

Pro�le1972年弘前大学医学部卒業。1978年英国ブリストル大学薬理学教室客員研究員。1985年弘前大学医学部神経精神医学講座講師。1987年英国ケンブリッジ大学薬理学教室客員教授。1989年弘前大学医学部神経精神医学講座助教授,1995年同教授。2012年より湊病院名誉院長・北東北てんかんセンター長,弘前大学名誉教授。

地域における最新のてんかん診療体制構築をめざす

40 精神科臨床 │Vol.3 No.4(212) SAMPLECopyright(c) Medical Review Co.,Ltd.