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DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析 新潟大学大学院 自然科学研究科 環境科学専攻 流域環境学コース 博士前期課程1田野井 翔子

DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

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DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析

新潟大学大学院 自然科学研究科 環境科学専攻 流域環境学コース 博士前期課程1年 田野井 翔子

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2008年から 試験放鳥開始

水田魚道 ビオトープ設置 冬期湛水 など

トキの餌場創出のために・・・

有効性を検証して、順応的管理行う必要がある。

そのためには・・・

トキが利用する餌種の情報が不可欠

再導入に向けた自然再生事業

トキの再導入に向けて

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約80%が判別不能な小さな生物

不明

不明

不明

直接観察

寺島 卒論

形態学的な食性解析

食性解析の必要性

糞・胃内容物の残渣 餌生物の形態学的特徴に基づき同定

トキの胃内容物が採取される機会は限られている 消化状態による識別限界

10mm

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約80%が判別不能な小さな生物

不明

不明

不明

直接観察の結果から

寺島 2011

形態的な食性解析

食性解析の必要性

糞・胃内容物の残渣 餌生物の形態学的特徴に基づき同定

トキの胃内容物が採取される機会は限られている 消化による識別限界

より詳細に識別できる食性解析の方法で

餌生物種を明らかにすることが必要

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PCR法によって増幅されたDNA断片を用いる →消化されたサンプルからでも精度高い識別が可能

DNAバーコーディング法を用いた食性解析の有効性

DNAバーコーディング法

食性解析の方法として適している

データベース上の DNA情報と照合 生物が持つDNA情報 種を識別

No. 種名 配列

EC20 ヒメガムシ CGGGAT-CTACAT・・・

EC21 ゴマフガムシ CGGAAC-ATCCAG・・・

EC22 ヒメゲンゴロウ CGAATC-AGCCAC・・・

EC23 ナミテントウ GCATTG-GACCTC・・・

EC24 ヨモギハムシ ATCCGA-CATTGA・・・

? CGGGATーCTAC… ナミテントウ

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1.餌候補生物のDNAライブラリの作成 2.DNAバーコーディング法を用いてトキの食性を詳細に解明

より費用対効果の高い餌場創出のために必要な基礎情報を提供し 餌種を考慮した自然再生方法の提案

目的

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方法

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糞のサンプリング

国中平野北東部

国中平野 南西部

羽茂地域

調査期間:2012年2月~2013年1月 調査場所:トキが多く定着する3地域 利用を確認した場所 採集方法:トキの利用・飛去を確認後 使い捨てスプーンを使い回収 保存方法:-30℃冷凍

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DNAライブラリ用の生物サンプリング 調査期間:2012年6月~12月 調査場所:国中平野北東部の水田6ヵ所 採集方法:見つけ取り スィーピング ベイトトラップ カラシ法 土壌のソーティング 保存方法:-30℃冷凍 70%エタノール浸漬

国中平野北東部

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DNAバーコーディング法を用いた食性解析の流れ

DNA抽出

DNA断片の増幅

DNA配列の決定

データベースとの照合

餌生物種の特定

クローニング

GCATTG-GACCTC・・・

No. 種名 配列

EC20 ヒメガムシ CGGGAT-CTACAT・・・

EC21 ゴマフガムシ CGGAAC-ATCCAG・・・

EC22 ヒメゲンゴロウ CGAATC-AGCCAC・・・

EC23 ナミテントウ GCATTG-GACCTC・・・

EC24 ヨモギハムシ ATCCGA-CATTGA・・・

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プライマーの選定

DNA抽出

DNA断片の増幅

DNA配列の決定

データベースとの照合

餌生物種の特定

クローニング

DNAを増幅するためにはプライマーが必要

既存のプライマーについて トキの餌候補生物種でも利用できるかを検討する

プライマー

プライマー

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採取するコロニー数の決定

DNA抽出

DNA断片の増幅

DNA配列の決定

データベースとの照合

餌生物種の特定

クローニング

採取するコロニーの数によって 出現種数は変化する ↓ 採取する数を決定する必要がある まず各時期それぞれの糞から 50個ずつ採取し、決定する

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照合するライブラリ

DNA抽出

DNA断片の増幅

DNA配列の決定

データベースとの照合

餌生物種の特定

クローニング

佐渡島で採集された餌候補生物の 種名とDNAの配列を対応させた ライブラリを作成して照合する

今回はWeb上のDNAデータベースとの 照合を行った

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解析に用いた糞について 農事暦に合わせて1年間を5つの期間にわけ 糞の解析を行った

Ⅰ期 : 5月~7月中旬 田植え~稲が伸びるまで

Ⅱ期 : 7月中旬~9月 稲が伸びきる時期

Ⅲ期 : 10月~12月中旬 稲刈り後

Ⅳ期 : 12月中旬~2月 積雪

Ⅴ期 : 3月~4月 雪解け~田植え前

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結果

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プライマーの選定

無脊椎動物 Zeale et al. (2011)が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む 無脊椎動物に広く対応

脊椎動物 Shezad et al. (2012)が作成した 脊椎動物(魚類・両生類・爬虫類など)に対応したプライマーを選定

ドジョウ クロサンショウウオ

アマガエル マルタニシ

ハグロトンボ ハサミムシ

100bp

1000bp

500bp

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結果<採集した糞の数 解析したコロニー数> 採取するコロニー数の決定

0

20

40

60

80

100

120

0 1~10 11~20 21~30 31~40 41~50

Ⅰ期

Ⅱ期

Ⅲ期

Ⅳ期

Ⅴ期

無脊椎動物 コロニーを50個採取した時の 出現種数を100%とする 30個で、80%以上カバーできる →30個採取する

0

20

40

60

80

100

120

0 1~10 11~20 21~30 31~40 41~50

Ⅰ期

Ⅱ.Ⅲ.Ⅳ.Ⅴ期

脊椎動物 コロニーを50個採取した時の 出現種数を100%とする 20個で、100%カバーできる →20個採取する

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検出した餌生物種:Ⅰ期 無脊椎動物 識別した分類群 相同性 コロニー数

6_1 ユスリカ科T 93% 21 ヨドミツヤユスリカ 100% 5 ガガンボ科 96% 4

6_2 ユスリカ科T 93% 11 ユスリカ科P 94% 2 ヨドミツヤユスリカ 100% 1 ガガンボ科 97% 9 6_3 ヒトツモンミミズ 100% 1

アメリカザリガニ 100% 28 コガムシ属 96% 1

7-1 アメリカザリガニ 100% 1 イエバエ科 94% 1 ガガンボ科 96% 3 カブラヤガ 100% 1 シャチホコガ科 91% 1 オサムシ科 94% 1 Poecilus属(キンナガゴミムシの仲間) 96% 2 Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 96% 9 Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 98% 1 オサムシ科 93% 1 Harpalus属(ゴモクムシの仲間)の一種 99% 2 ケラ 100% 1 ヒシバッタ科 92% 1

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識別した分類群 相同性 コロニー数 6_1 ユスリカ科T 93% 21

ヨドミツヤユスリカ 100% 5 ガガンボ科 96% 4

6_2 ユスリカ科T 93% 11 ユスリカ科P 94% 2 ヨドミツヤユスリカ 100% 1 ガガンボ科 97% 9 6_3 ヒトツモンミミズ 100% 1

アメリカザリガニ 100% 28 コガムシ属 96% 1

7-1 アメリカザリガニ 100% 1 イエバエ科 94% 1 ガガンボ科 96% 3 カブラヤガ 100% 1 シャチホコガ科 91% 1 オサムシ科 94% 1 Poecilus属(キンナガゴミムシの仲間) 96% 2 Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 96% 9 Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 98% 1 オサムシ科 93% 1 Harpalus属(ゴモクムシの仲間)の一種 99% 2 ケラ 100% 1 ヒシバッタ科 92% 1

検出した餌生物種:Ⅰ期 無脊椎動物

18項目の餌生物を検出

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅱ期(7月中旬~9月)

8-1 ヒトツモンミミズ 100% 24

シャチホコガ科 93% 5

ヤガ科 90% 1

ヤガ科 89% 15

8-2 オカダンゴムシ sp. 100% 4

ヒトツモンミミズ 100% 5

双翅目 sp. 98% 6

8-3 ヒトツモンミミズ 100% 27

アメリカザリガニ 100% 2

ミツカドコオロギ 100% 9

オンブバッタ属 98% 2

8-4 アメリカザリガニ 100% 29

Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 96% 1

検出した餌生物種:Ⅱ期 無脊椎動物

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅱ期(7月中旬~9月)

8-1 ヒトツモンミミズ 100% 24

シャチホコガ科 93% 5

ヤガ科 90% 1

ヤガ科 89% 15

8-2 オカダンゴムシ 100% 4

ヒトツモンミミズ 100% 5

双翅目 sp. 98% 6

8-3 ヒトツモンミミズ 100% 27

アメリカザリガニ 100% 2

ミツカドコオロギ 100% 9

オンブバッタ属 98% 2

8-4 アメリカザリガニ 100% 29

Pterostichus属(ナガゴミムシの仲間) 96% 1

検出した餌生物種:Ⅱ期 無脊椎動物

10項目の餌生物を検出

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅲ期(10月~12月中旬)

10-1 オサムシ科 sp. 96% 11

タイワンハネナガイナゴ? 100% 19

10-2 アメリカザリガニ 100% 12

ガガンボ科 97% 14

ユスリカ科 93% 1

コガムシ属 96% 3

10-3 アメリカザリガニ 100% 28

コガムシ属 96% 2

10-5 ミヤコムモンユスリカ 100% 2

ガガンボ科 96% 23

ショウジョウバエ属 95% 3

ハマダラカ属 96% 1

検出した餌生物種:Ⅲ期 無脊椎動物

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅲ期(10月~12月中旬)

10-1 オサムシ科 sp. 96% 11

タイワンハネナガイナゴ? 100% 19

10-2 アメリカザリガニ 100% 12

ガガンボ科 97% 14

ユスリカ科 93% 1

コガムシ属 96% 3

10-3 アメリカザリガニ 100% 28

コガムシ属 96% 2

10-5 ミヤコムモンユスリカ 100% 2

ガガンボ科 96% 23

ショウジョウバエ属 95% 3

ハマダラカ属 96% 1

検出した餌生物種:Ⅲ期 無脊椎動物

9項目の餌生物を検出

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅳ期(12月中旬~2月)

2-2 ツリミミズ科 86% 6

ガガンボ科 97% 24

2-3 ガガンボ科 97% 14

ヤガ科 90% 13

マドガ科 91% 1

イエバエ科 94% 2

2-4 ガガンボ科 97% 20

ショウジョウバエ科 94% 1

アブ科Hybomitra属 95% 9

2-5 アメリカザリガニ 100% 1

ショウジョウバエ属 95% 19

ヤチバエ属 95% 8

イエバエ科 94% 1

ヤドリバエ科 93% 1

検出した餌生物種:Ⅳ期 無脊椎動物

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅳ期(12月中旬~2月)

2-2 ツリミミズ科 86% 6

ガガンボ科 97% 24

2-3 ガガンボ科 97% 14

ヤガ科 90% 13

マドガ科 91% 1

イエバエ科 94% 2

2-4 ガガンボ科 97% 20

ショウジョウバエ科 94% 1

アブ科Hybomitra属 95% 9

2-5 アメリカザリガニ 100% 1

ショウジョウバエ属 95% 19

ヤチバエ属 95% 8

イエバエ科 94% 1

ヤドリバエ科 93% 1

検出した餌生物種:Ⅳ期 無脊椎動物

11項目の餌生物を検出

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅴ期(3月~4月)

4-1 ガガンボ科 97% 11

シマクロハナアブ 99% 4

ニクバエ科 92% 5

ハモグリバエ科 94% 1

カマキリ科 88% 6

メバエ科 94% 3

4-3 アメリカザリガニ 100% 26

トンボ科 89% 4

3-1 ガガンボ科 97% 28

ガガンボ科 91% 2

3-2 アメリカザリガニ 100% 1

コバネダニ科 85% 1

ガガンボ科 96% 18

ナミハナアブ属 98% 9

Potamia属(イエバエの仲間) 96% 1

検出した餌生物種:Ⅴ期 無脊椎動物

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識別した分類群 相同性 コロニー数

Ⅴ期(3月~4月)

4-1 ガガンボ科 97% 11

シマクロハナアブ 99% 4

ニクバエ科 92% 5

ハモグリバエ科 94% 1

カマキリ科 88% 6

メバエ科 94% 3

4-3 アメリカザリガニ 100% 26

トンボ科 89% 4

3-1 ガガンボ科 97% 28

ガガンボ科 91% 2

3-2 アメリカザリガニ 100% 1

コバネダニ科 85% 1

ガガンボ科 96% 18

ナミハナアブ属 98% 9

Potamia属(イエバエの仲間) 96% 1

検出した餌生物種:Ⅴ期 無脊椎動物

11項目の餌生物を検出

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検出した餌生物種:Ⅰ~Ⅴ期 脊椎動物

種名 備考 identitis

Ⅰ期(5月~7月中旬)

7-1 Misgurnus anguillicaudatus ドジョウ 98/99(98%)

Ⅱ期(7月中旬~9月)

8-4 Misgurnus anguillicaudatus ドジョウ 98/99(98%)

Rana catesbeiana ウシガエル 90/90(100%)

Nipponia nippon トキ 126/126(100%)

Ⅲ期(10月~12月中旬)

10-5 Misgurnus anguillicaudatus ドジョウ 98/99(98%)

Ⅳ期(12月中旬~2月)

2-5 Misgurnus anguillicaudatus ドジョウ 98/99(98%)

Ⅴ期(3月~4月)

ドジョウが通年、Ⅱ期にはウシガエルも検出された トキも検出されたが精度には影響しない程度

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結果のまとめ

月 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

ミミズ類

双翅目・鱗翅目

アメリカザリガニ

ミミズ類

オサムシ科

コガムシ属

バッタ目

コガムシ属

田植え 稲が伸びる 稲刈り 積雪期 雪どけ 農事暦

ドジョウ

ウシガエル

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検出された無脊椎生物の種数変化 期間ごとの陸棲・水棲無脊椎生物の種数

種数

全体の種数はⅠ期(5月~7月中旬)において最も多く Ⅲ期(10月~12月中旬)に水棲生物種数の割合が最多であった

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

水・コウチュウ目

水・ハエ目

水・その他

バッタ目

陸・コウチュウ目

陸・チョウ目

陸・ハエ目

陸・その他

不明

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検出された無脊椎生物の種数変化 期間ごとの陸棲・水棲無脊椎生物の種数

種数

水棲はハエ目の種数が通年多かった 陸棲はバッタ目・コウチュウ目→チョウ目・ハエ目へと 種数が多い分類群が変化していた

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

水・コウチュウ目

水・ハエ目

水・その他

バッタ目

陸・コウチュウ目

陸・チョウ目

陸・ハエ目

陸・その他

不明

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各期における餌生物種の検出頻度の変化 期間ごとの陸棲生物・水棲無脊椎生物のコロニー数割合

検出頻度

Ⅱ期以外は水棲無脊椎生物が多く Ⅱ期(7月~9月)においては、陸棲無脊椎生物が多い傾向

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

水・コウチュウ目

水・ハエ目

水・その他

バッタ目

陸・コウチュウ目

陸・チョウ目

陸・ハエ目

陸・その他

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各期における餌生物種の検出頻度の変化 期間ごとの陸棲生物・水棲無脊椎生物のコロニー数割合

検出頻度

水棲はハエ目とアメリカザリガニが多く検出された 陸棲はコウチュウ目→バッタ目・チョウ目・ミミズ類→チョウ目・ハエ目と多く検出される分類群が変化していた

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

水・コウチュウ目

水・ハエ目

水・その他

バッタ目

陸・コウチュウ目

陸・チョウ目

陸・ハエ目

陸・その他

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餌候補生物のDNAデータベース作成 Class Order Family Genus

Actinopterygii Cypriniformes Cyprinidae Misgurnus ドジョウ

Beloniformes Adrianichthyidae Oryzias メダカ

Perciformes Gobiidae Rhinogobius トウヨシノボリ

Amphibia Caudata Hynobiidae Hynobius クロサンショウウオ

Anura Hylidae Hyla ニホンアマガエル

Ranidae Rana ウシガエル

アカガエル

ツチガエル

Rhacophoridae Rhacophorus モリアオガエル

Gastropoda Architaenioglossa Viviparidae Bellamya マルタニシ

Basommatophora Lymnaeidae Limnaea モノアラガイ

Arachnida Araneae Pisauridae Dolomedes スジアカハシリグモ

スジブトハシリグモ

Lycosidae Trochosa アライトコモリグモ

Arctosa エビチャコモリグモ

Araneidae Larinides ナカムラオニグモ

Argiope ナガコガネグモ Malacostraca Isopoda Aselloidea Ligidium ニホンヒメフナムシ

Armadillidium Armadillidium オカダンゴムシ

Decapoda Cambaridea Procambarus アメリカザリガニ

Insecta Coleoptera Carabidae Carabus アオオサムシ

Dolichus セアカヒラタゴミムシ

Platynus オオヒラタゴミムシ

Pterostichus ヨリトモナガゴミムシ

オオクロナガゴミムシ

キンナガゴミムシ

コガシラナガゴミムシ

Synuchus キアシツヤヒラタゴミムシ

Anoplogenius キベリゴモクムシ

Harpalus ヒメケゴモクムシ

アカアシマルガタゴモクムシ

トゲアシゴモクムシ

ウスアカクロゴモクムシ

ケゴモクムシ

Stenolophus ムネアカマメゴモクムシ

アオゴミムシ

Chlaenius コキベリアオゴミムシ

キボシアオゴミムシ

Pheropsophus ミイデラゴミムシ

Haliplidae Peltodytes コガシラミズムシ

Dytiscidae Agabus クロズマメゲン

Rhantus ヒメゲン

Cybister クロゲンゴロウ

Stemolophus ヒメガムシ

Hydrochara コガムシ

Berosus ゴマフガムシ

Silphidae Eusilpha オオヒラタシデムシ

Scarabaeidae Popillia マメコガネ

Coccinellidae Hamonia ナミテントウ

Tenebrionidae Gonocephalum ヒメカクスナゴミムシダマシ

Class Order Family Genus コスナゴミムシダマシ

ホソスナゴミムシダマシ

Cerambycidae Chloriphorus エグリトラカミキリ

Batocera シロスジカミキリ

Chysomelidae Chysolina ヨモギハムシ

Arachya ウリハムシモドキ

Curculionidae Lixus アイノカツオゾウムシ

ハスジカツオゾウムシ

Nesalcidodes オジロアシナガゾウムシ

Odonata Calopterygidae Calopteryx ハグロトンボ

Lestidae Lestes オオアオイトトンボ

Sympecma オツネントンボ

Platycnemididae Copera モノサシトンボ

Coenagrionidae Ceriagrion キイト

Ischnura アジアイトトンボ

Cercion オオイトトンボ

Aeshnidae Polycanthagyna ヤブヤンマ

Anax クロスジギンヤンマ

Gomphidae Trigomphus コサナエ

Cordulegastridae Anotogaster オニヤンマ

Libellulidae Lyriothemis ハラビロトンボ

Orthetrum シオカラトンボ

Sympetrum アキアカネ

マユタテアカネ

Dermaptera ノシメトンボ

Anisolabididae Gonolabis ヒゲジロハサミムシ

Orthoptera Labiduridae Labidura オオハサミムシ

Tettigoniidae Eobiana ヒメギス

Ruspolia クサキリ

Conocephalus ホシササキリ

ウスイロササキリ

オナガササキリ

Phaneropteridae Phaneroptera ツユムシ

Ducetia セスジツユムシ

Gryllidae Mitius クマコオロギ

Teleogryllus エンマコオロギ Trigonidiidae Svistella クサヒバリ

Pteronemobius ヤチスズ ヤチスズ?

Gryllotalpidae Gryllotalpa ケラ

Tetrigidae Criotettix トゲヒシバッタ

Tetrix ハラヒシバッタ

Pyrgomorphidae Aractomorpha オンブバッタ

Acrididae Oxya コバネイナゴ

Acrida ショウリョウバッタ

Locusta トノサマバッタ Oedaleus クルマバッタモドキ

Hemiptera Reduviidae Oncocephalus トビイロサシガメ

Pentatomidae Eysarcoris オオトゲシラホシカメムシ

Belostomatidae Ranatra ミズカマキリ

Page 35: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

餌候補生物のDNAライブラリ作成 Class Order Family Genus

Actinopterygii Cypriniformes Cyprinidae Misgurnus ドジョウ

Beloniformes Adrianichthyidae Oryzias メダカ

Perciformes Gobiidae Rhinogobius トウヨシノボリ

Amphibia Caudata Hynobiidae Hynobius クロサンショウウオ

Anura Hylidae Hyla ニホンアマガエル

Ranidae Rana ウシガエル

アカガエル

ツチガエル

Rhacophoridae Rhacophorus モリアオガエル

Gastropoda Architaenioglossa Viviparidae Bellamya マルタニシ

Basommatophora Lymnaeidae Limnaea モノアラガイ

Arachnida Araneae Pisauridae Dolomedes スジアカハシリグモ

スジブトハシリグモ

Lycosidae Trochosa アライトコモリグモ

Arctosa エビチャコモリグモ

Araneidae Larinides ナカムラオニグモ

Argiope ナガコガネグモ Malacostraca Isopoda Aselloidea Ligidium ニホンヒメフナムシ

Armadillidium Armadillidium オカダンゴムシ

Decapoda Cambaridea Procambarus アメリカザリガニ

Insecta Coleoptera Carabidae Carabus アオオサムシ

Dolichus セアカヒラタゴミムシ

Platynus オオヒラタゴミムシ

Pterostichus ヨリトモナガゴミムシ

オオクロナガゴミムシ

キンナガゴミムシ

コガシラナガゴミムシ

Synuchus キアシツヤヒラタゴミムシ

Anoplogenius キベリゴモクムシ

Harpalus ヒメケゴモクムシ

アカアシマルガタゴモクムシ

トゲアシゴモクムシ

ウスアカクロゴモクムシ

ケゴモクムシ

Stenolophus ムネアカマメゴモクムシ

アオゴミムシ

Chlaenius コキベリアオゴミムシ

キボシアオゴミムシ

Pheropsophus ミイデラゴミムシ

Haliplidae Peltodytes コガシラミズムシ

Dytiscidae Agabus クロズマメゲン

Rhantus ヒメゲン

Cybister クロゲンゴロウ

Stemolophus ヒメガムシ

Hydrochara コガムシ

Berosus ゴマフガムシ

Silphidae Eusilpha オオヒラタシデムシ

Scarabaeidae Popillia マメコガネ

Coccinellidae Hamonia ナミテントウ

Tenebrionidae Gonocephalum ヒメカクスナゴミムシダマシ

Class Order Family Genus コスナゴミムシダマシ

ホソスナゴミムシダマシ

Cerambycidae Chloriphorus エグリトラカミキリ

Batocera シロスジカミキリ

Chysomelidae Chysolina ヨモギハムシ

Arachya ウリハムシモドキ

Curculionidae Lixus アイノカツオゾウムシ

ハスジカツオゾウムシ

Nesalcidodes オジロアシナガゾウムシ

Odonata Calopterygidae Calopteryx ハグロトンボ

Lestidae Lestes オオアオイトトンボ

Sympecma オツネントンボ

Platycnemididae Copera モノサシトンボ

Coenagrionidae Ceriagrion キイト

Ischnura アジアイトトンボ

Cercion オオイトトンボ

Aeshnidae Polycanthagyna ヤブヤンマ

Anax クロスジギンヤンマ

Gomphidae Trigomphus コサナエ

Cordulegastridae Anotogaster オニヤンマ

Libellulidae Lyriothemis ハラビロトンボ

Orthetrum シオカラトンボ

Sympetrum アキアカネ

マユタテアカネ

Dermaptera ノシメトンボ

Anisolabididae Gonolabis ヒゲジロハサミムシ

Orthoptera Labiduridae Labidura オオハサミムシ

Tettigoniidae Eobiana ヒメギス

Ruspolia クサキリ

Conocephalus ホシササキリ

ウスイロササキリ

オナガササキリ

Phaneropteridae Phaneroptera ツユムシ

Ducetia セスジツユムシ

Gryllidae Mitius クマコオロギ

Teleogryllus エンマコオロギ Trigonidiidae Svistella クサヒバリ

Pteronemobius ヤチスズ ヤチスズ?

Gryllotalpidae Gryllotalpa ケラ

Tetrigidae Criotettix トゲヒシバッタ

Tetrix ハラヒシバッタ

Pyrgomorphidae Aractomorpha オンブバッタ

Acrididae Oxya コバネイナゴ

Acrida ショウリョウバッタ

Locusta トノサマバッタ Oedaleus クルマバッタモドキ

Hemiptera Reduviidae Oncocephalus トビイロサシガメ

Pentatomidae Eysarcoris オオトゲシラホシカメムシ

Belostomatidae Ranatra ミズカマキリ

23科26種 DNAライブラリ作成

今後更に充実させる必要

Page 36: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

考察

Page 37: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

これまでの食性解析の結果と比較して

これまで識別されていた餌生物種

今回検出できた餌生物

今まで識別できなかった餌種が解析できた バーコーディング法が有効だった

魚類 両生類 爬虫類 無脊椎生物

オサムシ科 ハエ目 チョウ目 バッタ目

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Ⅲ期までは地表性の昆虫の活動性が高い時期と重なる Ⅳ・Ⅴ期は成虫の活動性は下がり、地中の幼虫類に限られる 特定の種を好んでいるというよりは 各時期に多く存在する生物を捕食している?

なぜ陸棲生物で種数が多い分類群に変化があったのか?

Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 Ⅴ期

田植え 稲が伸びる 稲刈り 積雪期 雪どけ 農事暦

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Ⅱ期は稲が伸びきり、トキが水田内を利用しづらい 同時期にトキは畦や調整田を高頻度で利用する(中津ら 2011) トキが水田内に入れず、畦で陸棲生物を多く捕食している?

なぜⅡ期には陸棲無脊椎生物のコロニーが多いのか?

ヒトツモンミミズ ヤガ科 ミツカドコオロギ

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データベースの補強の重要性

佐渡の生物を用いたDNAライブラリと照合すると 相同性92%だったヒシバッタ科 sp. →100%一致でトゲヒシバッタと同定 相同性96%だったコガムシ属sp. →100%一致でコガムシと同定 今後データベースを充実させることで より同定の精度を上げることも可能

34.9%

37.3%

27.7%

科 sp. 属 sp. 種

Web上のデータベースと照合した 場合の各識別精度の割合

Page 41: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

水生生物に関する管理方法の提案

Page 42: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

水生生物に関する管理方法の提案

水生昆虫について 農薬の影響に配慮 魚類 江や水田魚道などを設置する 外来種 外来種対策と餌場創出をあわせて管理

Page 43: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

陸棲生物に関する管理方法の提案

Page 44: DNAバーコーディング法を用いた 放鳥トキの食性解析...Zeale et al. (2011) が作成した 節足動物に対応したプライマーを選定 貝類やミミズ類を含む

陸棲生物を考慮した管理方法の提案

オサムシ科 バッタ目 ハエ目・チョウ目 除草剤をまく時期や地域を考慮する 今後は、畦も餌場創出の重要な要素として考慮する必要あり?

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餌種を考慮した管理方法の提案

一年を通じて、陸棲・水棲の双翅目が検出された 耕起や湛水の有無による影響の調査が必要

トキに適した採餌環境とするには 物理的環境や景観要因も非常に重要である 餌生物を考慮した環境とトキの採餌に適した環境 両方を取り入れ、餌場創出・管理を行っていく必要がある

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今後の展望

糞によって出現種や種数にばらつきあり 今後解析する糞を増やす

種まで検出できたのは30%以下だった 検出精度を高めるためライブラリを充実させる

重要な餌種の特定には量的評価は不可欠 より精度の高い量的な評価をしていく必要

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謝辞 本研究の遂行にあたり、多くの方々にご協力頂きました。 厚く御礼申し上げます。