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変圧器耐震装置[支柱型連接タイプ]の開発および施工事例
○ 大原宏行 ,松本泰彰(株式会社関電工) 石田知也 ,伊丹純司,矢口大輔(特許機器株式会社)
野沢清昭(富士重工業株式会社)
Development of Earthquake-resistant device for Transformers [Pole connection type ] and the Construction example.
Hiroyuki Ohara , Yasuaki Matsumoto (Kandenko Co.,Ltd.)
Tomoya Ishida , Junji Itami , Daisuke Yaguchi (Tokkyokiki Co.,Ltd.) Kiyoaki Nozawa (Fuji Heavy Industries Ltd.)
キーワード:変圧器耐震装置,支柱型連接タイプ,JEM-TR252,BCP,モールド変圧器 1.まえがき
地震動によるモールド変圧器の損傷防止および受変
電設備の健全性維持によりお客さまのBCP に貢献す
る変圧器耐震装置には,写真 1 の 2 種類がある。
基本性能は同等で,本装置を装着した変圧器は防振
ゴムや防振架台を使用していても設計用標準震度 2.0に耐え,耐震クラス S を満足し,二次側端子部変位量
を±50mm 以内に抑制(JEM-TR252 1)準拠)すること
を主な特長とし,平成 26 年度から現場導入を開始した。
本稿では支柱型を応用した「連接タイプ」の紹介と,
富士重工業株式会社における施工事例を報告する。
写真 1 変圧器耐震装置
2.変圧器耐震装置[支柱型連接タイプ]の開発
2-1.概要および効果[特願 2014-120630 号]
前述の支柱型耐震装置はオープン変電所など広いス
ペースに設置された変圧器への適用を基本とするが,
実際の現場では複数の変圧器が狭い間隔で設置されて
いることが多く,個々の変圧器への支柱型耐震装置適
用は変圧器間で隣合う支柱が干渉するため難しい。 そこで,図 1 のように隣合う支柱を共通化すること
で,例えば 500kVA トップランナーモールド変圧器の
場合,従来は耐震装置適用に 600mm 以上の間隔を要
したところを 300mm で適用可能とした。また,図 2のように各支柱間をビームとブレースで結び複数変圧
器を一体的に抑えることにより,共通の支柱に求めら
れる強度を元の支柱強度の 1.35~2 倍未満とした。 支柱 1 本あたりの必要強度は増加するが,支柱本数
の削減によりコスト削減と組立作業時間短縮を図った。
図 1 支柱型連接タイプの概要
図 2 支柱構造および変圧器動作への対応
2-2.性能評価
写真 2 は 500kVA モールド変圧器 2 台に支柱型連接
タイプを適用した実大モデルの加振実験写真である。 東日本大震災芳賀波(震度 7 相当)を用い,地震波
レベル(加振強度)25%および 100%で加振した際の
変圧器A・B双方の二次側端子部変位量を表 1 および
2015 年電気設備学会全国大会
Copyright © 2015 IEIEJ-239-
E-1
図 3 に示す。なお,比較のため変圧器A単体を耐震対
策のない状態で加振した結果も併記した。本装置を装
着した変圧器は共に防振架台を併用したため,より変
位が増す条件ではあったが,地震波レベル 100%時で
も変位量は±50mm 以内に十分収まる高い性能を得た。
写真 2 支柱型連接タイプの加振試験状況
表 1 加振試験結果
二次側端子部変位量 [mm]
連接タイプ耐震装置取付地震波
レベル 耐震対策なし
[変圧器A] [変圧器A] [変圧器B]
25% 28 [グラフ 1] 2 [グラフ 2] 4 100% -※ 15 [グラフ 3] 18
※地震波レベル 35%で変位が 50mm 超過したため実施せず
図 3 加振試験結果グラフ(抜粋)
3.施工事例
自動車の製造を行う富士重工業株式会社群馬製作所
矢島工場内の塗装工場に本装置を導入した。電気室は
最上階にあり,電源喪失による生産影響はもとより電
気火災による二次災害防止対策が重要な建物である。 3-1.建物概要
S 造 地上 3 階(電気室 2 カ所)
変圧器:三相 1,500kVA 3 台,三相 1,000kVA 5 台,
三相 500kVA 1 台,単相 200kVA 2 台
入出力電圧:6,600 / 420・210・210-105 V
図 4 モールド変圧器配置(連接設置箇所の一部)
3-2.震災被害状況
東日本大震災では,写真 3 に示すアンカーボルトの
破断や変圧器の設置位置ずれなどの被害が生じた。
写真 3 東日本大震災における被災状況
3-3.施工上の工夫および施工状況
実験で使用した 500kVA 変圧器の重量約 1,400kg に
比べ,対象となる1,000kVA変圧器の重量は約2,200kgあり,増加する揺れの力に対応するため個々の部材強
度を高めたほか,支柱の耐震強度を増すため支柱と床
面との間にプレートを設け,アンカーボルトの本数を
増やした。これらの対処により図 4 に示す変圧器配置
でも基本性能を満足する耐震装置を適応できた。
写真 4 および写真 5 に施工状況を示す。
写真 4 施工状況 1
写真 5 施工状況 2
4.まとめ
変圧器耐震装置[支柱型連接タイプ]は隣接した複
数変圧器を一体的に抑えるもので,以下の特長がある。
・変圧器間隔 300mm 以上で適応可能(従来は 600mm) ・従来型同等の耐震性能を保持しつつ,変圧器 1 台あ たりのコスト削減と組立作業時間を短縮
5.参考文献
1) 日本電機工業会(JEMA):JEM-TR252「配電用変 圧器の変位量抑制指針」
2015 年電気設備学会全国大会
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