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2002・05・30
秦泉寺 晟
2002年度前期 経営情報学特講-b
e-Businessにおけるビジネスモデルの構築
■ 企業情報化の取組み
1.企業情報化レベルの3段階
2.事務作業の改善目的
3.業務効率改善の目的
4.事業構造改革の目的
■ インターネットの普及による社会変化
1.インターネットの仕組み概要
2.社会の変化
3.事業環境の変化
■ インターネット活用による事業構造変革(ビジネスモデル)事例
1.ネット通信販売ビジネス
2.オークションビジネス
3.カスタムオーダー生産・販売ビジネス
4.「One to One」マーケティング型ビジネス
5.業種固有のE-コマース・サイトでのビジネス
6.ビジネスモデルについて
・・
・・
人材派遣
金融機関
ロジスティック
連携企業群
企業情報化レベルの3段階
インターネット
第1段階
第2段階
第3段階
OA機器+
パソコン
サーバ/PC + LAN + OA機器
社内情報システム + インターネット + 社外情報システム
■ 情報化レベルはその目的において構築レベルが異なる
第1段階 : 事務処理作業の改善 / 第2段階 : 業務効率の改善 / 第3段階 : 事業構造の改革
55.0%
18.8%
12.9%
% = 平成11年度中小企業情報化実態調査
(平成12年度「中小企業白書」資料)
S.Jinsenji
情報化レベル < 最小 >・・・事務処理作業の改善
MFP
PC
業務アプリケーション
文書
公衆電話回線
事務アプリケーション
< 目的 >
< 手段 >
・事務処理作業の処理工数の低減
・作業内容・量に対しての機器の最適配置
(機器の機能・性能/台数/設置場所・・)
データ保管(ワープロ/表計算・・)
(会計処理/販売管理・・)
・事務処理作業の基本機能の -文書作成 -複写 -保管・検索 -配信 処理に付き最適の機器の導入
・一連の処理作業効率の向上 -作業者の動きを最小化する機器選択と配置 -処理の待ち時間を最小化する機器選択
・(省資源化/経費節減化)
-機器の選択と利用ルールの設定
S.Jinsenji
情報化レベル < 中規模 >・・・業務効率改善
・・
公衆回線
COM.サーバ業務 サーバ
モバイルPC (外勤社員・他)
クライアントPC
< 目的 >
< 手段 >
・業務処理プロセスの改善
・管理業務の最適化と効率向上社外取引先
・クライアント-サーバ型コンピュータシステム導入-目的毎のサーバ
-クライアントPC (外勤者向けモバイルPC含) -LANシステム -関連アプリケーション・ソフトウエア
・業務処理システムの導入
-基幹業務処理のためのERPパッケージの導入 (財務・会計管理/生産・在庫管理/購買・販売管理/物流管理/人事管理)
-個別業務処理・管理のためのパッケージの導入 (マーケティング:SFA/CRM/CTI 生産:SCM/CIM/JIT 等など)
・グループウエアの導入
-コミュニケーション手段 : Webメール/共通アドレス帳
電子会議室/掲示板/回覧版
-個々の仕事の管理 :スケジュール管理/行き先案内板
プロジェクト管理/ToDoリスト
-定型業務処理 : (金銭精算・申請処理等の)ワークフロー
-文書・データ管理 : 共有情報の管理
-その他 : 施設予約/他
S.Jinsenji
情報化レベル < 大規模 >・・・事業構造改革
・・
・・
人材
金融機関ロジスティック
連携企業群
インターネット
企業内システム
< 目的 >
< 手段 >
顧 客
・事業構造の改革 - 共通の事業目的を持ったパートナー企業との事業連携 - ビジネス機能のアウトソーシング
・新規事業の創出
・目的/目標の明確化
・コンサルタントの引き入れ
- ビジネスモデルの設計・評価 - パートナー企業とのビジネスプロセス・仕組み設定 - 情報システムの概要設計
・情報システム構築
- サイトの設定 (自社内/外部活用/公共環境活用) - 社内システムの構築
・運用開始と評価
- 当初戦略との整合性 - 利用者の満足度
・継続的なメンテナンス
仕組み・システム・コンテンツ・・
S.Jinsenji
インターネットの仕組み < 通信インフラの構成概要 >
ケーブルテレビ回線
ケーブルTV局 ケーブルTV局
電話局 電話局携帯電話 携帯電話
電話器 電話器
i-mode i-mode
インターネット プロバイダー
インターネット プロバイダー
パソコン パソコン
パソコン パソコン
電話器 電話器
TV受像器TV受像器
公衆電話回線ISDN高速通信回線
公衆電話回線ISDN高速通信回線
専用回線
ケーブルテレビ回線
専用回線
S.Jinsenji
インターネットの普及による社会変化 -1
《 社会の変化 》
■ 超分散化の社会 → 必要情報は世界の何処からでも入手可能
→ 個人の情報を全世界に発信提供
■ 社会から距離の概念がなくなる → 目的の場所まで移動しなくても用が足せる
→ 世界の情報はリアルタイムで入手可能
■ 時間のない社会
→ 営業時間は限られてない・常時OPENの状態
→ 日本は夜中でも海外は昼間の活動時間帯
S.Jinsenji
《 事業環境の変化 》
■ 企業規模の大小と言った概念は意味がなくなる → 資本の力で立地条件の良いところに出店→出店は田舎の小さい事務所のサーバの上に出店
一坪の店で全世界の市場を対象 ・ 仮想空間上にショッピングモールの形成 ・ 扱い商品はXX万アイテム (楽天市場 / その他ショッピングモール / amazon.Com・・)
→ 不足能力は他社との連携によるバーチュアルエンタープライズ(ネットワークで繋がった企業連合組織)で事業展開 (AA-net 21 / その他ECサイト ・・)
■ 従来になかった新規事業・サービスの創出 → オンラインオークション(車・住宅・旅行・・)/デジタルコンテンツの販売(MP3による音楽ソース)・・
(Yahoo!オークション / priceline.Com ・・)
■ 「スケジュール社会」から「デマンド社会」へ → 大量生産・大量販売型事業から、個人の購買スタイルに合わせた供給体制へ (シチズン時計工房 / デルコンピュータ ・・)
■ 「大衆を対象とした社会」から「個人を対象とした社会」へ → 個人取引きの履歴が蓄積されD/B化される→個人情報を基にニーズに合致した対応=リピータ顧客の獲得
(Wine .Com / ・・)
■ 社会の力学「供給者主導」から「需要者主導」へ
インターネットの普及による社会変化 -2
S.Jinsenji
ネット通信販売ビジネス (規模の大小の概念は意味がない)
ショッピングモール
インターネット
インターネット
・ ・ ・
・ ・ ・
大規模・小規模の販売事業者
購入顧客
ネット上の
仮想商店街
インターネット
金融機関
¥
¥決済
配送
情報
情報
インターネット
・ ・ ・
・ ・ ・
大規模・小規模の出版・製造業者
購入顧客
¥
¥
配 送
■ネット上の仮想商店街を介して売り手と買い手を仲介 (楽天市場・・他ショッピングモール)
■製品供給者の多種・多量な商品を 一箇所で顧客に仲介販売 (amazon.Com/e-toys・・他)
*出店者は実店舗を持たずに物販ができる*モール運営者は出店者からの手数料で運営
¥
製品データベース
顧客データベース
手数料課金・集金
仕入れ代金決済
発注
書評等
アソーシエイトパートナー
情報の流れお金の流れ製品の流れ
ネットワークによる卸・小売業者
物 流
*一箇所での土地・建物投資で全世界を相手に物販可能*流通経費・在庫リスク・人件費面での付加価値利益確保
S.Jinsenji
オークション・ビジネス (新規事業・サービスの創出)
オークションサイト
インターネット
■売り手と買い手の情報を結び付け売買を成立させる仲介(Yahoo!オークション / priceline.Com・・)
情報の流れお金の流れ製品の流れ
・・・・・・・・・・
¥ ¥
航空会社・ホテル・中古車個人売り手
売上
情報入手入 札
¥決済集金
販売情報
顧客データベース
*サイト運営者は売り手から売買手数料を徴収
売り手企業および個人
購入顧客
インターネット
売上
この形態の売買モデルは主体が売り手側にある場合と買い手側にある場合との2タイプのモデルが存在する
●一般的なオークション・モデル
売り手が 指値で商品提供
買い手が 指値を参考に入札
最高値をつけた顧客に落札
●逆オークション・モデル (priceline.Com)
売り手が指値を参考に商品提供
買い手が 購入希望商品を指値
最低値をつけた売り手に落札
売り手データベース
S.Jinsenji
カスタムオーダー生産・販売ビジネス (スケジュール社会からデマンド社会へ)
¥
メーカーの運営するコマースサイト
SCM
情報の流れお金の流れ製品の流れ
インターネット
メーカー
製品情報ホームページ
製 品
データベース
受 注
データベース
見積 発注
問合せ確 認
顧 客データベース
課金・集金
物流
配送
顧 客
■製品仕様・規格が顧客ごとに異なる受注対応メーカー直販型 (シチズン時計/デル・コンピュータ・・他 自動車/アパレル・・)
*メーカーが自社の事業のためにサイトを構築
製造業の事業構造改革
大量生産/大量販売型の事業構造
受注生産型事業構造
・多様な顧客ニーズに対応した商品提供
・顧客ニーズの的確な把握
・大量生産/販売に伴う在庫リスクの回避
・物流コスト・販売プロモーションコストの削減
・サプライチエーン・マネジメントによる生産効率の向上
・等など
トータルな経営効率の改善が可能
S.Jinsenji
情報の流れお金の流れ製品の流れ
「One to One」マーケティング型ビジネス (対象を大衆から個人へ・・)
インターネット
・ ・ ・
購入顧客
¥
¥
配 送
製 品データベース
顧 客データベース
課金・集金
仕入れ代金決済
発注
ネットワーク・パワーショップ・サイト
物 流
商品情報
売れ筋情報
商品情報
・・・・・
小売店
製造元・販売元業者
*一箇所での土地・建物投資で全世界を相手に物販可能*流通経費・在庫リスク・人件費面での付加価値利益確保
■顧客を囲い込み商品の定常的販売と市場情報を供給業者へ仲介 (酒類・食品/書籍・CD・・など顧客の嗜好性の高い商品)
CRM
システム
商品カテゴリーごとに顧客購入実績をデータベースにより管理し、CRMシステムにより顧客と商品の関係を把握して顧客のリピータ化を図る
ある商品をある数販売する場合の諸経費は すべて新規顧客 ≧ すべてリピータ顧客 X 10
初回購入
二回目以降購入
高頻度リピート購入
固定化
・商品情報の提供・新製品などNEWS提供
・顧客嗜好に合致した商品 に絞り込んだ情報の提供・顧客/商品関連分析 マーケティングデータとして活用
・顧客へのインセンティヴ提供・顧客の完全囲い込みへ
S.Jinsenji
中小建設業向けマーケットプレース・ビジネスモデル (新たな産業構造の構築)
■工事案件予告・応募/資材調達/見積もりを中心にした中小建設業界向けE-コマース・ビジネスモデル
従来の施工者選定のモデル 企業間EC導入施工者選定のモデル
施 主
建築・設計事務所
建設会社
積算業務業者選定
建設会社
積算業務業者選定
建設会社
積算業務業者選定
・・
見積り合わせ
施 主 施 主 施 主
建築・設計事務所 建築・設計事務所 建築・設計事務所
CM事務所 CM事務所
AA-Net21 施工者選定支援サービス・ネット
<詳細別紙>
建設会社 建設会社・・ サブコン会社 資材業者
積算業務サービス
D/B
見積り合わせ
注) : 2000年4月以降立上げ : 将来(3年以内)立上げ
- 系列化された業界構造 → 参入機会の閉鎖性/最適業者の選択制約/
- 見積価格の不透明性(非合理的積算) → 採算割れ受注(下請け業者)/施工品質の悪化/
- トータル業務効率の非効率性 → 会社単位のクローズド業務システム・仕組
- 設計者側と施工業者側との出会いの場を拡大 → 施工業者側のビジネス機会の拡大/最適業者の選択
- 見積内容の透明性・合理性の確立 → 正当利益の確保/
- トータル業務効率の改善 → 業務の分業化(アウトソーシング)/EDI等の導入によるビジネス連携 → 新工法・新資材のナレッヂ共有化によるコストダウン・最適工事
TWX-21 EC-バックヤード・システム
S.Jinsenji
中小建設業向けE-コマース・ビジネスモデル (詳細)
利用者
ポータル サービス
バックヤード システム
インターネット/エクストラネットの環境でWebを使って案件毎の処理を推進する
設計事務所/CM事務所
*案件情報UP・・(Web上) *施工者選定
施工業者建設業者/サブコン/資材業者
*会社情報/工法・技術等得意情報提供・・(HP)*設計事務所との情報交換/連絡・調整・・(Mail)
インターネット
< アークメディア ACCSサービス > ・・ AA-Net 21 system*会員登録/会員情報集積/会員管理*施工業者選定支援 / 積算表による積算支援 (・案件予告/物件見積り合せ状況/見積もり内容閲覧/決定案内)*会員連絡ボード機能(Mail・掲示板)/新工法・VEノウハウ紹介など*電子カタログ提供
< HITACHI ECシステム) > ・・ TWX-21 system
エクストラネット
*見積もり支援/図面・仕様書交換/受発注支援/決済業務支援*会員管理/課金管理/*ネットワーク状況管理/運用監視/セキュリティー監視*外部ECドメイン接続
積算業務支援・受託
その他
サービス
日立製作所社内で実稼動実績を持つECシステムの機能を活用
新たな仕組の構築
S.Jinsenji
ビジネスモデルについて -1
《 ビジネスモデルとは 》
《 ビジネスモデル特許とは 》
■ ビジネスの仕組み・方法(プロセス)につき構造化したもの
- 情報・通信技術の進展に伴い、これらを活用することにおいて従来とは異なるビジネスの仕組みを生み出すことが可能となってきた
- 新たに生み出されたビジネスの仕組み・方法のアイディアは特許として保護される
■ ビジネスモデル特許の要件
① 情報技術(インターネット)を利用したビジネスの仕組み・方法に関する発明であること ・情報技術を利用していないビジネスの仕組み・方法だけの場合は特許を認めない (日本・特許庁ガイドライン)
② 新規性があること
・特許出願以前に発明内容が公知(先願公告/発表)となっていないこと
③ 進歩性があること
・当該分野の専門家が容易に思いつかないほどの工夫がなされていること
・既知のビジネスモデルを情報技術を利用して運用するようにした ← 新規性はあっても進歩性がない
情報技術の特性・機能を活かして、新たなビジネスモデルを構築した ← 新規性・進歩性ともあると見なされる
S.Jinsenji
ビジネスモデルについて -2
《 ビジネスモデル特許取得に当たってのポイント》
BM特許を取得したいとお考えですか?
BMを構築するに当たり情報化技術・機器等のリソースを利用しますか?
あなたのBMはすでに公知となっていますか?
先行技術調査が必要です!
BMそのものは新しいものですか?
あなたの事業化されているBMはノウハウとして秘密にしておきたいとお考えですか?
不明
A B C D EA B C D E
Yes No
Yes
Yes
Yes
Yes
No
No
No
No
A
B
C
D
E
A
B
C
D
E
情報化技術・機器のリソースをどのように利用しているかさえ明らかにしておけば、利用技術がありふれたものでもBM特許取得可能
情報化技術利用面で、何か新しい工夫がほどこされたものであれば、BM特許取得可能
BM自体がいくら斬新でも情報化技術と組み合わせたものでないと、日本では特許取得が出来ないケースが多い (米国では可能性あり)
他人がBM特許を取得するのを阻止するために、日付を明確に証明できる様態で公表すること
他人が同じBM特許を取得する恐れがある。そのような場合でも、事業継続可能となるよう先使用権主張のための防衛的資料を用意しておくこと
S.Jinsenji
資材
製造B
製造A
物流
金融
販売
インターネット
インターネット
バーチャルショッピングモール( 店 a・b・c・d・・・ )
バーチャルショップ( 独立店 )
金融
市場市場
B to C 型活用形態 B to B 型活用形態(企業同士のビジネス機能での繋がり)(企業と顧客の直接的繋がり)
製造開発 販売 他
・・
市 場
親企業
下請け/協力会社
路肩商店 (商店街)
従来型ビジネス形態
ビジネスにおけるインターネットの活用形態
S.Jinsenji
E-ビジネスの事例 (COMPAC 対 DELL computer) <参考資料>
■一見同じようなビジネスを行っていながら、何故に業績・企業価値評価に差が出るのか
COMPAC
DELL売上高 (前年比伸率) 純利益 株式時価総額
出典資料
FORTUNEDec.6 ,1999 ‘991stQ e-50
$ 24.5B ( 0%) - 2.7M 42B
$ 12.3B (59%) 940 M 110B
顧 客 DELL(日本) DELL(マレーシア) 部品メーカー
フェデラルエクスプレス
注 文 生産指示 部品発注
納期・ 配送状況
配送 指示
部品納入
製品 出荷
製品 配送
受注(入金)から顧客納入まで 最短 6日
納期・配送状況通知
個人・法人客発注 インターネット・ 電話・セールスマン による発注
受注・物流管理 sys. 生産管理 sys. 生産管理 sys.
物流管理 sys.
通関・配送のすべての業務
輸 送
支払認証・入金管理生産指示出荷・輸送・納期管理
完成品組立検査・梱包
部品の生産組立・検査
受注後即日納入3ヶ月生産計画開示
すべての配送業務は第3者にアウトソーシング
完成品は成田に到着後フェデックス物流拠点から顧客に直送される
ディーラーCOMPAC 顧 客
計画生産・計画販売
生産拠点生産管理販売管理
注 文
セールスマンによる 受注活動
販売プロモーション
広告宣伝販売店開拓フォロー
告 知個人・法人客
S.JINSENJI
COMPAC
DELL
S.Jinsenji