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― 休載のお知らせ ―
今月号掲載予定の早稲田大学名誉教授朝岡良平氏の「貿易慣習の諸問題(12)」は、筆者の都合により休載し、 4 月号に掲載いたします。
4022012-2012-0303
今月号の内容
記事1. 第18回国連CEFACT総会報告(2/2) ………………………………………………… 1
記事2. 国連CEFACTからのお知らせ ………………………………………………………… 16
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記事1. 第18回国連CEFACT総会報告(2/2)
2012年2月15日より17日までジュネーブの国連欧州本部にて開催されました掲題会議に日本代表団として出席致しましたので、その概要を下記の通りご報告致します。
財団法人日本貿易関係手続簡易化協会 業務第三部長 平井 一海
本報告は2012年2月号と3月号に分けて掲載しております。
第1回 (前号2012年2月号に掲載) 1.国連CEFACT総会について 2.第18回国連CEFACT総会の特記事項 3.議事概要 3.1 第1日目(2月15日午前の議事) 3.2 第1日目(2月15日午後の議事)
第2回 (本稿) 3.議事概要(続き) 3.3 第2日目(2月16日午前の議事) 3.4 第2日目(2月16日午後の議事) 3.5 第3日目(2月17日午前の議事) 3.6 第3日目(2月17日午後の議事)
3.3 第2日目(2月16日木曜日午前)議事
議題8:貿易円滑化と電子ビジネスに関する課題:国連CEFACTにおける官民協力のビジョン
現実
上程議案書:ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/MISC.1
第2日目は、国連CEFACTの組織戦略と活動計画を、各政府機関および民間部門にとって優先度が高いニーズに重点化されたものとなることを確実にすることを目的として、下記3区分でパネルディスカッションを行った。パネルA:政府、各国の国内組織、地域組織、および国際組織の視点からの提言パネルB:民間部門および標準開発に携わる組織の視点からの提言パネルC:各国政府への勧告、および標準維持して行く上での、世界的な視野に立った上で
の重点的課題
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パネル別の討議の大要は下記の通り:① パネルA司会役副議長: Mike Doran氏 ● パネラー1: Graziano Severini氏(イタリア経済開発省:Italian Ministry of Economic
Development) ➢ プレゼン内容:イタリア国際貿易ハブ(ITH-Italia: International Italian Hub-Italia)
◆ イタリアは、2012年1月に行政府簡素化法を施行させ、官僚主義を排して、行政手続きの簡素化と迅速化を推進する。
◆ その受益者は、イタリアのGDPの2/3を占める中小企業である。◆ 韓国が2007年に完成させた U-Trade-Hubと同様、シングルウィンドウにとどまらず、B2B、B2Gの電子化を進める。
◆ 開発にあっっては、国連CEFACTの勧告と標準を基本とする。
● パネラー2:Gerard Hartsink氏(EPC(European Payment Council:欧州決済協議会)議長)
➢ プレゼン内容:SEPA(Single Euro Payment Area:単一ユーロ決済地域)の現状◆ SEPA加盟国はEuroに加盟している17ヶ国以外に、スイスなど(ERM European Exchange Rate Mechanism)加盟国などを加え32ヶ国が加盟しており、加盟国の
Oper onal structure of ITH-ItaliaMarketing & Promotion
Public O ces
Financial
ITH-Ital i a sev ices
e-marketing
e-licensing
e-logistics
Operators /Firms
Financial Institutions
Logistics Providers
C t
e logistics
e-customs clearence
e-foreign exchange payments
Customs
Payments/Foreign X
TDR
Trade Document Repository
図3-3
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人口は約4.9億人。年間銀行決済件数は715億件13。◆ SEPAが目指すのは、銀行間送金(為替)取引のみでなく、自動引き落とし(Direct Debit)やカード決済(手数料引き下げを含む)を国内取引と同等のサービスで提供するシステム構築である。これらの運用開始は2014年1月1日とアナウンスされている。
◆ 上記の構築では、標準化が必要不可欠であり、IBAN14(ISO13616)およびBIC15
(ISO9362)の統一利用、SEPA Direct Debitルールブックの制定、銀行間送金フォーマットをXMLのISO20022利用を義務化するなどの施策を進めている。
● パネラー3:Angela Strachan氏(国際貿易センター:International Trade Centre UNCTAD/WTO)
➢ プレゼン内容:UNCTADとWTOが共同運営する国際貿易センター16が行っている、中小企業を対象とする与信活動の概要。Angela Strachan氏が急遽欠席のため、司会のMike Doran氏が代読。
上記パネラーのプレゼンの後、司会のMike Doran氏より2012年1月にダボス(スイス)で開催された World Economic Forum 2012(以下、「フォーラム」と略す)における国際貿易の
13 SEPAの広報資料によるもので統計の詳細は不明であるが、クレジットカード決済や同一銀行内の決済などを含む数字と推察される。(参考)全銀ネットの銀行間取引件数(平成22年)13.8億件
14 IBAN:International Bank Account Number 所在国、銀行名、支店、口座番号を1つのコードで特定出来る。ISO13616として規格化されている。
15 BIC:Bank Identifi er Code別名 SWIFTコード。金融機関識別コードの標準書式としてISO9362として規格化されている。16 旧GATT貿易センター
図3-4
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テーマを敷衍した後、(休憩時間中の事前打ち合わせに従い)日本代表団にコメントを求めた。日本代表団は、フォーラムにおいて、米国の国土安全保障省長官がアナウンスした米国のNational Strategy for Global Supply Chain Security (国際サプライチェーンセキュリティのための国家戦略)において、世界と協調してサプライチェーンセキュリティの標準開発とその施行を進める旨を表明した事は、注目に値する事。しかしながら、その翌々週に開催された米国連邦議会下院の国土安全保障委員会の公聴会で、国土安全保障省の高官が当該戦略について証言を行ったが、対象とする標準化組織としては、WCO, ICAO, IMOのみを挙げ、国連CEFACTには言及が無かった点は、国連CEFACTのOutreach(広報、普及啓蒙活動)での実績のアピール不足として改善すべき課題と考える旨の意見を表明した。
② パネルB司会役副議長: Tim McGrath氏 ● パネラー4: Stephane Arach氏(フランス農務省)およびBruno Prepin氏(Agroedi
Europe) ➢ プレゼン内容:フランスのECOPHYTO 2018プロジェクト概要
◆ フランス政府農務省は、2008年からの10年計画で、同国の農産物の農薬使用量を50%削減する政策プロジェクトを進めている。
◆ 病害の元となるバクテリア、細菌、寄生虫などのデータベース構築、およびフランス国内2700箇所で行う検査データを集積する情報処理システムの構築はAgroEDI が担った。
◆ データ交換は国連CEFACTの技術仕様に準拠、データ項目は共通辞書(コア構成要素ライブラリ)2011年後期版に収容。
図3-5
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図3-6
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● パネラー5:Kevin McKiley氏(ISO事務局次長) ➢ プレゼン内容:ISOの使命と国連CEFACTとの協調
✓ 本人欠席のため、ビデオのプレゼンを放映し、MoUMGに基づき、貿易円滑化と電子ビジネスのための世界標準を整合性をもって協調して開発して行く方針を再確認。
● パネラー6:Anders Grangard氏(GS1) ➢ プレゼン内容:GS1と国連CEFACTの協調関係について
◆ GS1の組織概要(省略)◆ GS1 eComの活動について
✓ 活動の中心は、従来のEDIメッセージ標準の開発からプロセス標準の開発にシフトしつつある。具体的には、GS1の下では LIM(Logistics Interoperability Model)グループの活動、GS1 GUSI(Global Upstream Supply Initiative)の活動が進んでいる。
✓ サプライチェーン管理も変化しつつあり、RFIDの利用拡大、食品安全や環境問題(ゴミ処理、リサイクル)への対応のニーズが高まっている。
✓ 政府関係機関の動きでは、(EUの)電子VATインボイス標準化の動き、サプライチェーンのセキュリティ管理強化などの動きが現実化している。
✓ GS1 eComの標準に関する実態調査では、UN/EDIFACTをベースとしたEANCOMの利用が依然として着実に伸びていること。いわゆるWeb EDIがそれに迫る勢いで導入が進んでいる一方で、XML EDIの導入が伸び悩んでいる点が注目される。
図3-8
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✓ GS1からみた国連CEFACTの価値は下記の4点に集約される:ⅰ) GS1のユーザはどんどん拡大しつつあり、各種の産業分野で採用の検討が進められており、官民のいろいろな分野の専門家が集う国連CEFACTの場は、それら新規ユーザの課題解決に有効である。
ⅱ) GS1からの参加メンバーによって開発された技術標準や勧告の集積。例、UN/EDIFACT (EANCOM)、XML(e-Invoice etc.)
ⅲ) 共通辞書など、国連CEFACTのシンタックスに中立(Syntax Neutral)な成果物は、GS1と他の電子標準との差異を埋める役割を持つ。
ⅳ) GS1は、国連CEFACTの中核的な標準を一部または全て採用している。例、UMM, CCL, UCM
✓ 国連CEFACTからみたGS1の価値は下記の3点に集約される:ⅰ) 100万社以上のユーザの声を(GS1)を通じて汲み取ることが出来る。ⅱ) 国連CEFACT活動に不可欠な専門家の供給源である。ⅲ) 国連CEFACTの勧告と標準を積極的に採用・活用している。
✓ 国連CEFACTの今後の活動への提言ⅰ) 勧告および標準の開発期間の短縮-- 完璧性は求められていない。関係者の期待通りに成果物を提供できることが大切である。
ⅱ) 過去の成功にばかりとらわれていると、組織的危機を招く。ⅲ) 外部の組織・機関とのコミュニケーションや協調の拡大より強化すべきである。
例、WCO, EU, WTO, APEC, ANSI, CEN, ISO しかしながら、第一志望とする相手は国連CEFACT内部で熟慮すべきである。
3.4 第2日目(2月16日木曜日午後)議事
議題8:続き
上程議案書:ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/MISC.1
③ パネルC司会役副議長: Harm-Jan van Burg氏 ● パネラー7:Ajin Jirachiefpattana氏 ➢ プレゼン内容:アジアの課題
Ajin氏は、アジア地域48ヶ国の内で、移行経済国は(モンゴルなど)数カ国に過ぎず、(日本・韓国などを除き)多くは発展途上国であり、それら諸国は、技術援助や教育訓練を待ちわびている事を指摘し、活動計画中のECE執行委員会の主導で進められている移行経済諸国重点の教育訓練について牽制を行った。
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● パネラー8:Alexander Sazonov氏、(ロシア) ➢ プレゼン内容:ロシアおよびCIS加盟国の電子文書認証基盤
◆ ロシアおよびCIS加盟国は、1991年に結成したRCC(Regional Commonwealth in the fi eld of communications:通信分野におけるCIS地域連合)の下で、Transboundary Trusted Space(TTS:電子文書に関わる国際認証基盤)の構築を進めている。
◆ TTSは、電子署名の認証局(CA)サービスの提供に留まらず、法的資格認証、公正証書認証、タイムスタンプ認証、地点認証などのサーバー群と文書の登録データベースで構成されるシステムであり、権限証券(Transferable documentsあるいは Negotiable documents)の取り扱いも対象としている。
◆ 権限証券の電子化に関わる法的課題については、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)のWorking Group IVで活動している。
TTS architecture
Support for distributed access control
TTS architecture
Document in the common trust infrastructure
図3-9
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● パネラー9:Antonio Conte氏(欧州委員会産業・企業局長、情報通信技術の競争力強化および技術革新担当)
➢ プレゼン内容:EUの標準化政策および電子ビジネスへの取り組み◆ EUは、加盟27ヶ国で単一市場を造成すべくデジタル戦略(Digital Agenda)を進めている。その戦略において、標準化はその政策実現のツールである。
◆ EUの標準化政策の重点は、工業製品の標準化からビジネスプロセスおよび生産プロセス(サービスを含む)の標準化に進化しつつある。
◆ 2011年6月1日付けで欧州委員会から欧州理事会と欧州議会に答申し承認されたEUの標準化に関する規則(以下、「EU規則」と略す)では、認定された欧州の標準化組織は、CEN, CENELEC, ETSI(以下、これらを「ESO」と総称する)であり、国際標準化組織では、ISO, IEC, ITUのみで、その他の組織は(国連CEFACTを含め)対象外となった。この事実は、EUのECE(国連CEFACTを含む)に対する評価を示すものである。
◆ 一方で、情報通信に関わる世界の標準化活動の大勢は、CEN/CENELEC/ETSIの活動範囲を超えて、それ以外の組織で行われていることは認識している。しかしながら、EUの公共調達における標準化に関しては、CEN/CENELEC/ETSIの標準のみが採用される。
◆ EUのデジタル戦略では、世界の各種標準の相互運用性の必要性を強調しており、上
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記のEU認定標準化機関以外の協力・貢献が望まれるし、かつそれらが開発した標準を利用する必要も認識している。
◆ EU規則の特記事項は下記の通り:✓ ESOには、中小企業、消費者組織・団体、環境保護組織・団体、その他社会組織の意見を汲み取ることを義務付けた
✓ 標準化対象領域をサービスにまで拡大した。✓ ECOの活動計画と標準開発作業では各国の標準化組織(NSB)との協調を確実に行うこととした。
✓ 標準としての要件を明記した。(EU規則Annex II) 例)知財権は(F)RAND ((Fair) Reasonable And NonDiscriminatory)◆ EUの電子インボイス(e-Invoice)の推進は、2010年12月2日着けの欧州委員会から欧州理事会と欧州議会に宛てた答申(COM(2010)712)によって基本方針が示された。
◆ 当該文書では、国連CEFACTの業際取引用インボイス(CII: Cross Industry Invoice)が基本モデルとして下記の通り明記された。“The UN/CEFACT Cross-Industry Invoice (CII) v.2 should be adopted as the common reference semantic data model upon which future e-invoicecontent standard solutions are based".“UN/CEFACT is invited to pursue the fast development of e-business messages that are complementary to the e-invoice, and will improve the ability of businesses, trade and administrative organisations to exchange products and relevant services eff ectively.”
◆ EUは、電子インボイスの利用促進を目的に、2010年11月2日付けで、欧州委員会決議(2010/C 326/07)でEuropean Multi-stakeholder Forum on e-Invoicingを3年間の時限で設立し、下記を遂行している;✓ EU加盟27ヶ国 における電子インボイスの導入状況のモニタ✓ 模範事例(Best practice)の普及啓蒙✓ EU加盟国間のクロスボーダー取引上の障害の特定✓ 単一データモデルへの収斂(事実上、OASIS UBLとCIIの一本化を意味する)
パネルディスカッション終了後に、司会役の副議長による総括が行われた。通例であれば、下記文言が決議となるはずであったが、ECE事務局の最終ドラフトでは決議か
らは除外された。
ビューロは、プレゼンを行ったパネラー(代表団からの選任を含む)に謝意を表明し、パネルディスカッションが、活動計画(2012-2013)の審議に価値ある枠組みを与えることを希望した。
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3.5 第3日目(2月17日金曜日午前)議事
議題9:活動計画(2012-2013)
上程議案書:ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/10
先ず、副議長のMat Wicktor氏による活動方針(201-2013)包括説明が行われ、人的資源の不足問題を解決するためには利害関係者の支援が必要不可欠であることを強調した。引き続き、議題3においてロシアから提起された各副議長のPDA毎の役割分担が、補任の
スキルに応じて適切に行われているのかとう疑問に答える形で、副議長別に、就任までの履歴と背景説明、国連CEFACTでの活動履歴(それがある場合)、担当PDAの課題をそれぞれの副議長が自己PRした。副議長別の説明で気づいた点は下記の通り:① Pier A. Cucino氏担当分野であるBPSでは、要員不足問題が深刻であり、専門家の募集と、組織改革の過程で離れてしまった専門家の呼び戻しが急務である。
② Mike Doran氏国連CEFACTに於ける20年の活動、その後半はFMG議長として国連CEFACTを牽引して来た。
③ Viktor Dravista氏ベラルーシ出身。ロシアおよびCIS諸国を代表する人選、国連CEFACT活動実績は無い。
④ Tahseen Khan氏インド出身。特記事項無し
⑤ Tim McGrath氏オーストラリアのFreemantle 出身、ICT企業やオーストラリアのTrade Gate(既に廃止された)を経て、OASISで活動、UBLの開発に参画し、議長を務めていた。
⑥ Bruno Prepin 氏は帰国し欠席同氏の最近の活動は、第2日目議題8のパネルBをご参照下さい。
⑦ Harm Jan van Burgオランダ税関に35年間勤務、その間、OECD, WCOなどにオランダ税関を代表し参加。
⑧ Mats Wicktor氏スエーデン税関勤務、スエーデン税関を代表しWCOに参加、AEO制度の企画立案、WCOの教育訓練(capacity building)、SWEPROの委員を務める。
⑨ Peter Amustz氏は帰国し欠席現在、米国国防総省DCMA(防衛調達契約管理局)勤務。副議長の自己紹介に続き、議長履歴の自己紹介が行われた。連邦準備制度、世界銀行を経て、BISに勤務(既に退職)国連CEFACT議長は4期8年務めた。
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上記の後、代表団長との質疑応答が行われ、フランス代表団からは、ドメイン・コーディネータの位置付けと責任の明確化が行われないと活動の活性化に結びつかないとの意見表明が行われた。
日本代表団は、平成24年2月2日開催された、JEC運営委員会での審議の結論として、現在国連CEFACTが抱えている問題の殆どは突き詰めるところ、人的資源の不足にその根本原因がある。その問題解決を最優先に取り組まない限り、組織改革に当初掲げられた種々のメリットは殆ど実現出来ないことを指摘した上で、喫緊の問題として、BPSにおける品質管理のための検証(Validation)の仕事が、日本から参加している遠城秀和氏、一個人に課せられ、同氏は極めて過大な負担を強いられている一方で、(日本代表団が知る限りにおいては)それを解決する努力をビューロが執っているとは思えないという点を指摘した。
これに対して、議長は当該問題の存在はビューロとして十分に理解・認識しており、BPSのハーモナイゼーション担当のドメイン・コーディネータであるMary Kay Blantz氏に支援を求めている旨説明。Mary Kay Blantz氏からは、同氏のグループから2名前後を遠城氏の支援にアサインする予定である旨補足説明が行われた。ビューロの回答は、要員不足問題の抜本的な問題解決となるものでは無いが、日本代表団と
して、活動の優先順位に関して活動方針の書き換えまでの要求は控えた。
決議事項12-15
議題5(続き):勧告37号
上程議案書: ECE/TRADE/C/CEFACT/2010/14/Rev.1 ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/8席上配布文書: ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/MISC.3
総会は「活動方針(2012-2013)(ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/111)」を承認した。総会はビューロに対し、活動方針の審議において各国代表団から出された意見、および追加提案を斟酌し、それらを如何に実行に移すかを記載した覚え書きを3ヶ月以内に作成提出することを要請した。当該覚え書きは活動計画(2012-2013)の付属文書とし、公式言語である3ヶ国語で作成される。総会はさらに、今後開催される総会の度に、提案されたプロジェクト、進行中のプロジェクト、および完了したプロジェクトのそれぞれについて、進捗状況と作業内容を記述した一覧を公開することとした。
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副議長のTim McGrath氏より、席上配布文書に沿って勧告37号の審議の経緯と今後の取り扱いに関する説明が下記の通り行われた: ● 電子署名された文書の相互運用性を確立するには、法的課題、専門技術上の課題、組織管理や商用上の課題を総て包含した枠組みが求められる。
● もし、上記の課題解決がばらばらに行われるとすれば、勧告37号の仕様は不完全なものとなり、電子署名された文書の相互運用性を国際的に確立する事は出来ない。
● 従い、国連CEFACTとしては、①国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が相互運用性を確立する法的前提条件を明らかにし、②国連CEFACTは、組織運用および電子署名の機能面で相互運用性を実現するベストプラクティスを提案し、③ISOが技術標準で相互運用性を実現するという3層構造を提案する。この3層構造によって上記のそれぞれが、相互運用性を改善のための取り組みを発展させて行くことが出来る。
● 国連CEFACTの勧告37号開発プロジェクトチームは、上記の認識で最終草案を仕上げたが、上記の3層構造を保っていくには、(UNCITRAL/国連CEFACT/ISOの間で)継続的に組織ガバナンスを保持して行く必要性があると、ビューロは考える。
● 現実問題として、電子署名に関わる技術標準はISOに一本化されてはいないので、複数の標準開発組織が、相互に独立して開発を進めれば、相互運用性は実現出来ないという課題が存在する。
● 従って、ビューロは、(国連CEFACTを含め)これら組織が(公開に進む以前に)草案段階で協議する総体的な管理の枠組みの構築を期待する。ビューロは、ISOとUNCITRALに対して、2012年秋にウイーンで開催を計画する第20回フォーラムとUNCITRAL Working Group IVの年次会議を並行開催し、上記枠組みの構築に向けた話し合いを提案する。
上記説明の後、各国代表団との質疑応答が下記の通り行われた。 ● フランス代表団は、(フランス代表団長が総会初日に出席出来なかったことへの配慮から)勧告37号の審議が最終日に繰り下げられた事に感謝しつつも、プロジェクトチームが、公開開発手順に則った作業を進めたにも関わらず、本総会での承認を求めずに、審議に留まった事は、国連CEFACTのプロジェクト開発工程の予見可能性、および公開開発手順への信頼を著しく損ねた。こうした不確実性の結果、ボランティアベースの活動を維持していく上で、頼みの綱となる支援組織の予算措置を極めて難しくし、今後の活動の不確実性を高めた事を、ビューロは重く受け止めるべきである旨、遺憾の意を表明した。
● 日本代表団は、既に実用化されている日本政府の政府認証基盤(GPKI)においては、相互運用性仕様書が制作され公開されている(但し日本語のみ)事を紹介し、その上で、(3層構造は理解するが)勧告37号の必要性と実用性の検証が必要ではないかとの疑問を提起した。
それに対しては、Tim McGrath氏からは、同氏が説明した通り、勧告は、ベストプラクティスの勧奨を行うものであり、日本政府が執った方策がそれに背反するものでもなく、且つ日本
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政府に変更を強いるものでもない旨説明が行われた。 ● ISO代表団長からは、勧告37号の説明文書(ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/8)中の「MoUMG17の下で、ISO TC/154と事前協議の機会を持った」との記載は事実に反する旨、意見表明が行われた18。
決議事項12-10
決議事項12-11
3.6 第3日目(2月17日金曜日午後)議事
議題10:その他議題
ISO代表団長より、ISO/TC154の覚え書き(ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/MISC.3)で指摘した問題を、口頭で注意喚起した。議長は、見解の相違として返答し、最終的に議事録記載で決着した。また、ECE事務局より、第19回総会を2013年の春に開催したい旨、各国代表団に提案が行われ、了承された。
決議事項12-16
総会は勧告37号に関する説明文書(ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/8)を認知した。
総会は勧告37号に関し、下記を決議した:・ ビューロ副議長(技法および技術担当)の指揮の下で、作業を継続する。・ 国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)、国際標準規格(ISO)、およびその他の関係組織・機関と協調し、電子署名の相互運用性を確立するための組織的管理(Governance)の枠組みを形成するための作業に着手する。・ 上記枠組みを2012年11月までに形成することを総会は要請する。・ 当該枠組みには勧告37号草案を次回国連CEFACT総会までに総会間承認に付すことを可能にする計画を織り込むことする。
17 MoUMG: Memorandum of Understanding Management Group 2003年にISO, IEC, ITUと国連CEFACTが交わした覚え書きに基づくグループで、活動の重複を避け、協調をもって標準開発を進める事を取り決めた。
18 ISO TC/154の日本メンバーが開発を進めているISO15433(電子署名文書の長期保存)との摺り合わせが行われていなかった事が背景。
総会はISO代表団の口頭報告およびISO/TC154の覚え書き(ECE/TRADE/C/CEFACT/2012/MISC.3)を認知した。総会は第19回総会を2013年の早い時期に開催する事を決定し、ビューロおよびECE事務局に対して、共同して総会の準備にあたり、各国代表団長に周知するように要請した。
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議題11:議長選挙
上程議案書:なし現職議長のStuart Feder氏の任期満了に伴う、議長選挙が行われ、アメリカ代表団長が推
すStuart Feder氏以外に立候補者が無く。同氏は再選された。
決議事項12-17
議題9:議案の一括採択
審議の残り時間が少なく、議事録確認は行われず、事務局が用意した、決議事項確認書によって決議1~17までを逐条的にチェックされた上で承認された。議事録草案は、3カ国語(英、仏、露)で各国代表団長に開示し、修正意見を求めた上で、
総会間承認に付される事となった。
決議事項12-18
総会はStuart Feder氏を議長に選出した。
総会は、第18回総会における上記決議および暫定議事録を採択し、2月29日までに議事録最終版を各国代表団に送付し確認を求めることを事務局に要請した。
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記事2. 国連CEFACTからのお知らせ
2.1 2012年3月19日
コア構成要素によるビジネス文書(電文)生成技術仕様の第1版が期間60日のパブリックレビューとして公開されました。この仕様は国連CEFACT技法・技術PDAにて開発され国連CEFACTコア構成要素を元にどのようにシンタックス(構文規則)に依存しないビジネス文書を作るのかを詳述・定義しており、シンタックスと技法の両面からビジネス文書の基本構成を定義します。
草案は下記にて閲覧可能です。https://sites.google.com/a/documentengineeringservices.com/methodology-and-technology-pda/core-component-business-document-assembly-ccbda/documents/CCBDA_TS_PublicDraftV1-1.0_29FEB12.pdf
ご意見は下記のコメントログをお使い頂き、2012年5月14日までにSue Probert宛にお送り下さい。https://sites.google.com/a/documentengineeringservices.com/methodology-and-technology-pda/core-component-business-document-assembly-ccbda/documents/CCBDA_Comment_Log.xls
2.2 2012年3月16日
国連CEFACTスキーマ・ライブラリD.11A版が機関承認され閲覧可能となりました。監査レポートは間もなく公開予定です。
2.3 2012年3月8日
国連CEFACTは政府公報(官報)の電子化プロジェクトへの参加を募集しております。このプロジェクトは政府公報に関係するビジネスの計画や取引を記録する場合にビジネスプロセスのモデルやビジネスクラス図を作成するために設計されたものです。本プロジェクトは個人、企業あるいは組織に対する強制力を持つ情報が、所与のフォーマットやメ
ディアを通じて公共に伝達されるプロセスを包含しております。この情報伝達は情報そのものとそれが公共に伝わる方法の2つの要素を含んでいます。この公開情報の対象は特定されず、また匿名でのアクセスを可とします。プロジェクトは公共調達ドメインからの公報によって開始されます。参加申し込みは下記にて受け付けております。
http://www1.unece.org/cefact/platform/display/TBG/Legal+Notice+Publication+%28LNP%29
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ご興味がある方は是非このプロジェクトに参加願い、協力願えれば幸甚です。官報の公布やeGovernmentの運営、あるいは電子公共調達(eTendering)ドメインに携わった方は特に歓迎致します。また次の分野に係る方 も々同様に歓迎致します。官報やその他公的な出版サービス、新聞、電子入札基盤、電子申請及び他の入札や入札情報サービス、公共調達者、市場調査の監督及び評価者、本件に関係する他の分野での専門家。各国代表団長から推薦していただいても結構です。参加者は(出身国・組織から)独立した専門家として、国連CEFACT行動規範と知的財産権基本方針に従い行動して頂きます。参加の意向(プロジェクト申請の添付書類にあるフォームをご覧ください)またはより詳しい情報は
プロジェクトリーダーのDidier Hardy宛にメールをお送り下さい。
2.4 2012年3月8日
(UN/EDIFACT)標準化文書の表記とディレクトリの文書化に関する規約(R.1023)に関する改訂12版は期間60日のパブリックレビューとして公開されました。UN/EDIFACTディレクトリ2011年後期版(D.11B)より掲載された新メッセージであるGOVCBR(The Government Cross-Border Regulatory)をUN/EDIFACTの正しいメッセージ書式とする為に、国連CEFACT技法・技術PDAにより規約を改訂したものです。この改訂はセグメントテーブルの4.3.1.章に関するセグメント位置表示(Segment Position Indicator)のサイズに関するものです。本改訂によって、これまでは文字4桁であったものが5桁に拡張されています。この変更に伴い国連CEFACTの公式ページに掲載されたディレクトリ中のASCII文書ディレクトリ(EDMD)から情報を取り出すプログラムの運用に問題が発生する可能性があります。
当該草案は次のサイトにて閲覧可能です。https://sites.google.com/a/documentengineeringservices.com/methodology-and-technology-pda/rules-for-presentation-of-standardized-message-and-directories-documentation/documents/R1023rev12draft.pdf
本件に関するご意見は2012年4月16日までにGait Boxman宛にお送り下さい。
2.5 2012年2月28日
UNECEは2011-2版のUN/LOCODEを公開しました。
2.6 2012年2月28日
2012年4月16~20日にジュネーブにて開催される第19回国連CEFACT Forumが正式に公表されました。メインフォーラムのサイトにてホテル、ビザ等、本フォ-ラムに関する詳細がご覧になれます。
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本協会の事業は、財団法人JKA、
日本財団、財団法人貿易・産業協
力振興財団からの助成金等、
関係業界からの寄付金および賛助
会費ならびにコード事業の収入に
よって行われております。
JASTPRO 第37巻 第12号 通巻第402号
・禁無断転載
平成24年3月30日発行 JASTPRO刊11-16
発 行 所 (財)日本貿易関係手続簡易化協会 東京都中央区八丁堀2丁目29番11号 八重洲第五長岡ビル4階 電 話 03-3555-6031(代) ファクシミリ 03-3555-6032 http://www.jastpro.org編 集 人 山 本 達 見
本誌は再生紙を使用しております。
協会ホームページのリンク集のご案内
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当協会のホームページのリンク集には、当協会の活動と日本輸出入者コードのユーザの方々の
お役に立つと思われる関係諸機関・団体のホームページへのリンクを下記の分類で掲載しており
ますので、ご活用下さい。
s当協会に関係する我国の官公庁・公的機関(独立行政法人を含む)
s輸出入関係手続きに関係する業界団体等
s輸出入関係手続きに〔国内物流〕関係する情報源と用語集
s国際空港の公式ページ
s国際貿易港の公式ページ
s貿易振興・簡易化や電子商取引の標準化活動を行なっている国内組織・団体
s貿易振興・簡易化や電子商取引の標準化活動を行なっている海外組織・団体
s貿易振興・簡易化や電子商取引の標準化に関係する国際機関
sその他の組織・機関
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JASTPRO広報誌電子版への切り替えのご案内
当協会の広報誌は2007年 4月より印刷版と電子版の2つのメディアを提供しております。
印刷版と電子版は二者択一ではございませんが、印刷版につきましては賛助会員の方々には、
これまで通り口数を配布部数の上限とさせて頂きます。(電子版には制限はございません。)
電子版への切り替えと、配布部数の追加方法:
毎月20日までに、次の項目を下記のアドレスへ送信してください。
sご所属の組織名称
s所属されている部署
s申込者氏名
s連絡先電話番号
s送達をご希望のメールアドレス
【申込み宛先】
(財)日本貿易関係手続簡易化協会
業務第三部長 平井一海
E-mail address: [email protected]
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