Upload
others
View
1
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
表⾯性状計測の基礎
オリンパス株式会社| 産業機器営業 | ⽜丸元春 | 2020年11⽉11⽇
2 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
表⾯粗さ測定
機械加⼯⾯の表⾯の微細な凹凸すなわち表⾯粗さは、加⼯表⾯の品質及び表⾯の機能に⼤きな影響を及ぼす
表⾯粗さの測定評価は古くから⾏われている
表⾯粗さを表すパラメータも数多く定義され⽤いられている
表⾯粗さ測定の最近の状況
3
産業・⽣物医療・⾷品業界の様々な分野で、製品機能向上に伴い、素材及び部品の正確な表⾯の評価が要求されている。
特に近年は形状だけでなく、その表⾯粗さの評価・検査が重要視され、表⾯粗さ測定のニーズが⾼まっている。
測定の⽬的 製品になった時の性能に左右 性能には関係ないが⾒た⽬(外観)を重視 数値や画像データで定量的な指標としての評価
表⾯粗さ測定の最近の状況
4
表⾯粗さ測定
触針式粗さ計が多く使⽤されている
課題 触針式では測定が難しい試料の増加 測定したデータの信頼性が不⾜
⾮接触で⾼精度三次元の評価が必要 試料形状や測定の⽬的に応じて使い分けが必要
5 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
表⾯粗さの評価
⽅法 ⼿で触る。⽬で⾒る。(⼤昔〜現在)・・・最も基本的な⽅法 触針式粗さ測定機(1930年頃〜現在) ⾮接触式測定 (2000年頃〜)
←⽐較⽤標準⽚(Rubert社)
画像引⽤元:http://www.rubert.co.uk/comparison-specimens/
6 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
波⻑成分による形状の分類と測定機
マイクロラフネス 粗さ成分 うねり成分
1μm 数⼗μm
~数mm
形状成分
原⼦間⼒顕微鏡ex)OLS4500
数mm
〜数百mm
レーザ顕微鏡ex)OLS5000
触針式表⾯粗さ測定機
1nm
原⼦間⼒顕微鏡レーザ顕微鏡
触針式表⾯粗さ測定機
注)ここの数値は⽬安であり、
規定値ではない。
触針式表⾯粗さ測定機
触針式表⾯粗さ測定機
8
基本原理︓機械的なプローブによって標本の表⾯をトレース
送り装置
コラム
プローブ
(ピックアップ)
触針
対象物
固定具
測定台
測定ループ
メリット◆⻑年の利⽤実績◆信頼性⾼い◆規格体系が完備デメリット◆標本に傷が付く◆⾯粗さ測定は時間がかかる
9 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
スタイラス形状
◆触針先端半径︓rtip=2um、5um、10um※先端の摩耗により、実際の半径はさらに⼤きくなる場合があることに注意
0.59um
1.87um1.14um
R2um
R2um
R5um
R5um
60°
60°
90°
90°
カットオフ、基準⻑さ、評価⻑さ
カットオフフィルタを使って「粗さ」と「うねり」に分離カットオフ波⻑=基準⻑さ評価⻑さは基準⻑さの5倍以上を推奨
カットオフ、基準長さ、触針先端半径などの測定条件をどのように決めるか?
測定例
JIS B0633:2001 JIS B0651:2001
超え 以下 超え 以下 超え 以下
0.006 0.02 0.025 0.1 0.013 0.04 0.08 0.4
0.02 0.1 0.1 0.5 0.04 0.13 0.25 1.25
0.1 2 0.5 10 0.13 0.4 0.8 4 2 (Rz>3なら
5でも可)
2 10 10 50 0.4 1.3 2.5 12.5 8 5 1.5
10 80 50 200 1.3 4 8 40 25 10 5
λs (μm)
最大サンプリング
間隔(μm)
測定条件
2.5
最大の触針先端半径 Rtip
(μm)
20.5
RSmの範囲 (mm)
周期的波形及び
RSmの評価基準長さ
λc(カットオフ)
(mm)
評価長さ5×λc(mm)
Raの範囲 (μm) Rzの範囲 (μm)
Ra, Rq, Rsk, Rku,Rdqの評価
Rz, Rv, Rp, Rc,Rtの評価
非周期的(ランダム)波形
たとえばRzを測定する場合
11
測定例
λc=0.25mm(=基準⻑さ)断⾯曲線
粗さ曲線
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮
12
13 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
⼗分な評価⻑さを確保できない場合、どうすればよいか︖
⑤① ② ③ ④
基準長さ
①②
③
④⑤
標準的な測定方法
5倍の意味合いを配慮
そもそも5倍の意味とは・・・・まんべんなく測定するために、基準⻑さを5区間以上含む⻑さで測定し、個々の区間のパラメータ値の平均をとりなさいという意味
さらに配慮するなら、、
面粗さで全面を評価
むしろ、こっちの⽅が望ましい
測定⾯は⼩さくても、5倍をはるかに
超える情報量
代表的な表⾯性状パラメータ
Rz , Rp , Rv
Ra , Rq
RSm , Rdq
Rk , Rpk , Rvk
<補⾜> 旧規格との対応 (出典︓JIS B0601:2013 表C.2)
(旧)Ry=(現)Rz
(旧)Sk=(現)Rsk≠ (現)Sk
(旧)Sm=(現)RSm
(旧)Rz=(現)Rzjis≠ (現)Rz
(旧)Δq=(現)RΔq= (現)Rdq
3D測定レーザー顕微鏡(共焦点顕微鏡法)OLS5100
21
前処理・準備不要、ノウハウがなくても誰でも簡単に使える前処理・準備不要、ノウハウがなくても誰でも簡単に使える
同⼀視野内の輝度情報・⾼さ情報・⾊情報を同時に取得同⼀視野内の輝度情報・⾼さ情報・⾊情報を同時に取得
⾮接触で、ナノに迫る⾼分解能観察と⾼精度測定⾮接触で、ナノに迫る⾼分解能観察と⾼精度測定
レーザー顕微鏡
基本原理︓光のプローブで標本表⾯を⾮接触で三次元スキャン
メリット
◆⾮接触である(標本に傷が付かない)
◆情報量が豊富
◆操作が簡単
◆微細な領域のピンポイント測定が可能
デメリット
◆数⼗mm程度の⻑い距離の測定は時間がかかる
LEXT OLS5100
λ=405nmレーザ顕微鏡
▼
λ=550nm光学顕微鏡の中⼼波⻑
▼
λ=0.405μm、NA=0.95の場合、分解能ε =0.61×0.405/0.95≒0.23μm
..61.0
ANλ
ε
OLS5100の光学配置と光源
半導体レーザ
対物レンズ
光スキャナピンホール
フォトマルチプライヤ
LEXT OLS5100
OLS5100の光スキャナと光検出器
半導体レーザ
対物レンズ
光スキャナピンホール
フォトマルチプライヤ
⼊射光
光スキャナ
・微細な集光スポットを標本の表⾯に照射しラスタスキャン・光検出のダイナミックレンジの広いフォトマルチプライヤで受光⇒レーザ顕微鏡ではこれらの技術によって急峻な形状を測定可能としている
・微細な集光スポットを標本の表⾯に照射しラスタスキャン・光検出のダイナミックレンジの広いフォトマルチプライヤで受光⇒レーザ顕微鏡ではこれらの技術によって急峻な形状を測定可能としている
24 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
レーザ顕微鏡の光学系 コンフォーカル光学系
円形ピンホール
レーザ
光検出器
対物レンズ
結像レンズ
標本
ピントの合った光
ピントの外れた光
コンフォーカル像
通常の顕微鏡画像ボケ像が重畳される
フォーカスの合った像のみ画像化
点(レーザ集光スポット)で照明
⼆次元スキャン
点で検出
25 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
⾼さ測定の原理Z位置
光検出強度(I)
ピーク位置
ピーク強度
高さ
全画素についてピーク位置Z(x, y)を算出
全画素についてピーク強度I(x, y)を算出
高さ画像Z(x, y)
(x, y)
I(x, y)
X
YZ
輝度画像
⾼さ検出分解能
26 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
1μm
100xNA0.9550xNA0.95
20xNA0.6
10xNA0.3
5xNA0.15
Z位置
光検出強度(I)
(x, y)
X
YZ
注)カーブの特性はNAの他にも光源波⻑、ピンホール径、収差の有無にも依存する。
※表⾯粗さの測定は、なるべく⼤きなNAを推奨 (少なくともNA>0.6 以上の対物レンズ)
ナノサーチ顕微鏡(原⼦間⼒顕微鏡法)OLS4500
原⼦間⼒顕微鏡
XYスキャナ
Zスキャナ
レーザダイオード
探針
レンズ
カンチレバー
カンチレバーホルダ
2分割フォトディテクタ
試料
基本原理︓カンチレバー(先端径がナノメートルレベルの極微細プローブ)によって標本表⾯を三次元的にトレース
メリット◆⽔平、垂直分解能が⾼い
デメリット◆測定可能エリアが狭い(⼀般に数⼗〜100μm)
29
多彩な観察⽅法で測定場所を特定、シームレスに画像を切換観察測定ポイントを⾒失う事無く、⽬的のAFM画像を短時間で測定(カラー明視野、カラー微分⼲渉、簡易偏光、レーザー微分⼲渉)
光学顕微鏡、レーザー顕微鏡、AFM機能の⼀体化
ナノサーチ顕微鏡の紹介
30
SPM⼩型ユニットの特徴同じ場所を光学顕微鏡画像やレーザー顕微鏡画像からAFMに簡単に切替可能
ナノサーチ顕微鏡の紹介
新型SPMユニット
5x、20x、50x、100x対物
31
光学顕微鏡観察・レーザー観察とSPM探針を同軸同焦に位置合わせ
ナノサーチ顕微鏡の紹介
明視野5x 明視野20x レーザー50x
レーザー100x/Zoom2x
レーザー100x/Zoom4x
AFM10umエリア
切換えても⽬標を⾒失わない
⽬標を探してSPM測定
32
レーザー顕微鏡による表⾯粗さ測定
33 33
サンプルの表⾯状態に影響されない粘性、弾性、柔らかい表⾯粗さ測定にも対応
やわらかいサンプルを触針式粗さ測定機でスキャンすると、測定したい⾯を削り取ってしまう。
サンプル︓粘着性テープ256×256um
レーザー顕微鏡で捉えられる粗さ
34 34
微細箇所の表⾯粗さを測定狭いエリアへの粗さ測定にも対応
レーザー顕微鏡で捉えられる粗さ
数⼗ミクロンのワイヤの上を触針式粗さ測定機でスキャンするのは困難。 サンプル︓極細ワイヤ φ50um
対物レンズ100x
35 35
透明膜下基板表⾯の粗さ測定
レーザー顕微鏡で捉えられる粗さ
ポリイミド膜
基板表⾯の粗さ測定
3636 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
レーザー顕微鏡で粗さ測定をする
触針式粗さ計と同様な測定をする場合
レーザー顕微鏡で新たに粗さ測定する場合
37 37
⻑⼨法線粗さ測定モード
触針式粗さ計と同様な測定をする場合
測定場所を確認してからワンラインデータを取得
3838 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
測定後のデータに対してノイズ除去、傾き補正、ガウシアンフィルタの実⾏
触針式粗さ計と同様な測定をする場合
3939 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
レーザー顕微鏡で粗さを測定する場合
測定のポイント 対物レンズの選択
レーザー専⽤対物20x、50x、100x(Saが0.1um以下は50xレンズ以上を推奨)
測定エリア(評価⻑さ)の設定測定対象のRSmが最低10周期以上⼊る様に設定1画⾯ 叉は 貼り合わせ画像
ノイズ除去の実⾏
形状除去の実⾏
ガウシアンフィルターは基本無しを推奨(正確にとれている全てのデータで評価)但し、評価内容に応じて適⽤
4040 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
レーザー顕微鏡で粗さを測定する場合
画像(輝度・⾼さ)、ヒストグラム、数値での⽐較3D画像で全体の様⼦把握3D画像で全体の様⼦把握
4141 2020/11/11 No data copy / No data transfer permitted
評価に応じた粗さパラメータサジェスト
凹凸の⼤きさを評価
⾼さの分布を評価
⽬の細かさを評価
⽅向性を評価
周期性を評価
⽀配的な形状を評価
突起の数やその先端形状を評価
磨耗前後の変化量を評価
Sq、Sa、Sz、Sp、SvSsk、Sku、ヒストグラム
Sal、Sdq、Sdr
Std、Str、⽅向プロット
PSD(パワースペクトル密度)
PSD(パワースペクトル密度)
Spd、Spc
Sk、Spk、Svk
42
ナノサーチ顕微鏡による表⾯粗さ測定
43
測定のポイント 動作モード ダイナミック(共振)or コンタクト モード
⾛査速度 0.5〜1Hz
表⽰画素数 256〜512
評価⻑さ 測定対象のRSmが20~50周期(JIS R 1683)
傾き補正の実⾏
ガウシアンフィルターは基本無しを推奨(正確にとれている全てのデータで評価)但し、評価内容に応じて適⽤
AFMで粗さを測定する場合
44
AFMで粗さを測定する場合(ターゲット材表⾯の粗さ測定)
画像、ヒストグラム、数値での⽐較3D画像で全体の様⼦把握3D画像で全体の様⼦把握