18
認証機関が明かす 移行の 5 つのコッ はじめに 「大人の規格」とい うことができる2015 年版規格は、組織の裁量によって、多様 な迎用のスタイルをとることが可能となっ たことが大きな特徴である 。本連載では 移行の対応にかける リソース (人手や時 間)の捻出に苦應し、システムの移行その ものを浚巡あるいは躊躇する組織に向け て、ムダな手間をかけずにできるだけ簡便 に移行するための5 つのコツについて解 説している。連載第2 回の前回は、コツ 1 して「マニュアル改訂はどうするか」につ いて、①現在迎用しているマニュアルに ついて、改訂版規格の箇条構成に合わ せて再編する方法、および現行マニュア ルの箇条構成を用い、これに改訂版規 格の追加要求を追記する方法や、②規 格要求事項をフロ ー図で体系的に示し、 マニュアルとする考え方などについて紹 介した。ここで注目すべきは、 ISO9001 ISO14001 ともに、全箇条の7-8 割は、 2008 年版(品質)および2004 年版(探 境)の規格の延長線上の取組みで構成 されている点である 。 2015 年版規格は、 詳細に 差 異 分析を行うと、品 質も環境も 100 数十件の改訂点があるが、この中の7 -8 割は大きな手 間をかけることな く、対 応が可能であるといってよい 。よって、今 回ど次回はこの7-8 割以外、すなわち変 70 アイソス No.2292016 12 月号 3 コツ2: リスク及び機会の考え方 執筆/株式会社日本環境認証機構審査本部取締役審査本部長 水上浩 化の大きい部分に対 してスポッ トを当て 、 2015 年版規格において、最低限ここだけ は押さえておく必要がある重要部分として 「リスク及び機会の考え方」および「組織 の状況をどう捉えるか」について、それぞ れコツ 2 および3 として取り上げることとし た。 2015 年版規格において従来の延長 線上にない、 2-3 割の要素の大部分は この「リスク及び機会への取組み」および 「組織の状況」であり、これらは2015 版規格で新たに迎入された箇条である 。 2015 年版規格におけるリス ク及び機会の位置付け 図表 1 2015 年版規格におけるリスク 及び機会の位置付けを示す。本体系図 中にある[]内の数字は、 2015 年版規格 の箇条番号を示している 。「リスク及び機 会」(箇条6.1) は本体系図のほぼ中央に あり、 ISO9001 では 「組織の状況」(箇 4.1 4.2) を考慇して決 定することが求 められている。またISO14001 では 同様に 「組織の状況」に加えて、 環境側面 (箇 6.1.2) および順守義務(箇条6.1.3) 関連するリスク及び機会を決定することと されている。いずれにしても、ここで決定し たリスク及び機会は戦略的な品質あるい は環境の取組みや計画の領定において 考慇しなくてはならない。さらに、品質では 2008 年版規格の「製品実現」に相当する 「運用」(箇条 8) においても、リスク及び (箇条 9.1)- マネジメン トレビュー( 箇条 9.3) において取組みが有効であったかの 評価が求められている。環境においても 同様に、「迎用」(箇条8)- 「パフォーマン ス評価」(箇条9) において、リスク及び機 会への考胞が求められている 。すなわち、 品質、環境のいずれにおいても、リスク及 び機会は2015 年版規格の底流にある基 本的な配慇事項であるといえる 。 なお、リスク及び機会の定義はISO 9001 ISO14001 とで異なっている 。品 質においては「リスク」を「不確かさの影 聾」と定義し、注釈において、リスクという 言 薬は好ましくない結果に しかな らない可 能性の場合に使われることがあるとされて おり、リスクヘの対応は回避、機会追求、 共有、保有、リスク源の除去などが例示さ れ、機会と しては、新たな慣行の採用、新 製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客 への取組み、パートナーシップの構築、新 たな技術の使用などが列挙されている。 これに対して、環境では「リスク及び機 会」をー語として扱い「潜在的で有害な 影響 (f!( 威)及び潜在的で有益な影孵 (機会)」と定義している 。 一 言 でいえば、好ましくない状況に対し

品質•懐境改訂規格への 移行のnawata02.cafe.coocan.jp/iso2015/data100/data09/zdat12/...2016/11/11  · 認証機関が明かす 品質•懐境改訂規格への 移行の5つのコッ

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認証機関が明かす

品質•懐境改訂規格への移行の5つのコッ

はじめに

「大人の規格」ということができる2015

年版規格は、組織の裁量によって、多様

な迎用のスタイルをとることが可能となっ

たことが大きな特徴である。本連載では

移行の対応にかけるリソース (人手や時

間)の捻出に苦應し、システムの移行その

ものを浚巡あるいは躊躇する組織に向け

て、ムダな手間をかけずにできるだけ簡便

に移行するための5つのコツについて解

説している。連載第2回の前回は、コツ1と

して「マニュアル改訂はどうするか」につ

いて、①現在迎用しているマニュアルに

ついて、改訂版規格の箇条構成に合わ

せて再編する方法、および現行マニュア

ルの箇条構成を用い、これに改訂版規

格の追加要求を追記する方法や、②規

格要求事項をフロー図で体系的に示し、

マニュアルとする考え方などについて紹

介した。ここで注目すべきは、ISO9001、

ISO 14001ともに、全箇条の7-8割は、

2008年版(品質)および2004年版(探

境)の規格の延長線上の取組みで構成

されている点である。2015年版規格は、

詳細に差異分析を行うと、品質も環境も

100数十件の改訂点があるが、この中の7

-8割は大きな手間をかけることなく、対

応が可能であるといってよい。よって、今

回ど次回はこの7-8割以外、すなわち変

70 アイソス No.2292016年 12月号

第3回 コツ2:リスク及び機会の考え方

執筆/株式会社日本環境認証機構審査本部取締役審査本部長

水上浩

化の大きい部分に対してスポットを当て、

2015年版規格において、最低限ここだけ

は押さえておく必要がある重要部分として

「リスク及び機会の考え方」および「組織

の状況をどう捉えるか」について、それぞ

れコツ2および3として取り上げることとし

た。2015年版規格において従来の延長

線上にない、 2-3割の要素の大部分は

この「リスク及び機会への取組み」および

「組織の状況」であり、これらは2015年

版規格で新たに迎入された箇条である。

2015年版規格におけるリス

ク及び機会の位置付け

図表1に2015年版規格におけるリスク

及び機会の位置付けを示す。本体系図

中にある[]内の数字は、2015年版規格

の箇条番号を示している。「リスク及び機

会」(箇条6.1)は本体系図のほぼ中央に

あり、ISO9001では 「組織の状況」(箇

条4.1、4.2)を考慇して決定することが求

められている。またISO14001では同様に

「組織の状況」に加えて、 環境側面 (箇

条6.1.2)および順守義務(箇条6.1.3)に

関連するリスク及び機会を決定することと

されている。いずれにしても、ここで決定し

たリスク及び機会は戦略的な品質あるい

は環境の取組みや計画の領定において

考慇しなくてはならない。さらに、品質では

2008年版規格の「製品実現」に相当する

「運用」(箇条8)においても、リスク及び

機会を考應し、監視•測定 •分析及び評価

(箇条9.1)-マネジメントレビュー(箇条

9.3)において取組みが有効であったかの

評価が求められている。環境においても

同様に、「迎用」(箇条8)-「パフォーマン

ス評価」(箇条9)において、リスク及び機

会への考胞が求められている。すなわち、

品質、環境のいずれにおいても、 リスク及

び機会は2015年版規格の底流にある基

本的な配慇事項であるといえる。

なお、リスク及び機会の定義はISO

9001とISO14001とで異なっている。品

質においては「リスク」を「不確かさの影

聾」と定義し、 注釈において、リスクという

言薬は好ましくない結果にしかならない可

能性の場合に使われることがあるとされて

おり、リスクヘの対応は回避、機会追求、

共有、保有、リスク源の除去などが例示さ

れ、機会としては、新たな慣行の採用、新

製品の発売、新市場の開拓、新たな顧客

への取組み、パートナーシップの構築、新

たな技術の使用などが列挙されている。

これに対して、環境では「リスク及び機

会」をー語として扱い「潜在的で有害な

影響 (f!(威)及び潜在的で有益な影孵

(機会)」と定義している。

一言でいえば、好ましくない状況に対し

て品質では「リスク」、環境では「脅威」と

表現し、好ましい状況を品質および環境

で、いずれも「機会」と表現していることに

なる。

さて、 2015年版規格において、「リスク

及び機会」の概念は基本事項として重

要であることを述べたが、いくら2015年

版規格に則してリスクと機会を決定して、

取組みや計画を策定しても、結果として

2008年版の品質、 2004年版の環境マ

ネジメントシステムに基づく取組み、計画

と比較して、何ら変化がないということで

あれば、規格が改訂された意図が全く

反映されておらず、意昧がないといえる。

いわゆる2015年版規格を用いる場合の

Before/ Afterで品質、環境のパフォー

マンスが向上すること、端的には新たな品

質、環境目標が策定されることが2015年

版規格へ移行する際に最も重要であると

いってよい。

そこで次に、リスク及び機会を踏まえた

新たな目標設定について考えてみる。

リスク及び機会を踏まえた新

たな目標設定の視点

図表2にリスク及び機会を踏まえた新

たな目標設定の視点を示す。連載第1回

目(本誌10月号)に、 2015年版規格が充

図表1 2015年版規格におけるリスク及び機会の位置付け

組織の状況

関連する内部

及び外部の

課題の理解[4.1]

利害関係者の

ニーズ及び期待

の理解

[4.2]

マネジメントレビュー[9.3]

監視測定[9.1]内部監査[9.2]

図表2 リスク及び機会を踏まえた新たな目標設定の視点

現在の品質目標

・歩留り向上

・不良率低減

新たな品質目標の視点

•新製品(サービス) の発売•新市場の開拓

などの機会.. ・クレーム削減• 生産性向上

現在の環境目標

• 電力使用量の削減• 燃料使用量の削減・省資源の推進

・廃棄物の削減• 化学物質の削減

リスクを未然に回避

* 攣 、知る」 へ

単なる「法順守」から「法令のリスク・機会の検討」へ

合より確実に達成する

くリスク>古新たな価値(魅力的品質)を創造する

く機会>

分に浸透した組織を想定して、品質、環

境マネジメントそれぞれに対する、ある架空

の経営会議でのやり取りの例を示した。

これらのシナリオには、市場ニーズや外

部•内部の課題などの動向を踏まえて、ビ

ジネスチャンス(機会)を選択した場合に

想定されるリスクについて、組織内の関

係各部門がその立場や職貴において、

多面的かつ自由闊達に議論し、最終的

な経営判断に結び付けるという状況が

盛り込まれている。 市場ニーズや外部 • 内

部の課題についてば次号(連載第4回)

にて解説するが、このシナリオにおいて最

も重要な事柄が、 リスクと機会の考慇であ

・法対応のビジネスヘの影響を技術で克服

り、戦略的な取組みや意思決定におい

て、必要欠くべからざる視点であることが

わかる。

さて、リスクと機会を考慮することで、現

状の2008年版に基づく品質目標、および

2004年版に基づく環境目標がどのように

変わるかについて考えてみたい。

現在の2008年版規格に基づく品質目

標としては、ともすると図表2に示す如く、

歩留まり向上、不良率低減、クレーム削減

や生産性向上などが掲げられている状

況が見受けられる。また、 2004年版に基

づく環境目標は、電力、燃料、廃棄物、 化

学物質の削減や省資源の推進に関連

アイソス No.2292016年 12月号 71

図表3 リスク及び機会の再考による新たな品質目標設定の例

①現状の品質目標、実施施策の例

一 I 怠霜;】 | 出荷検査の強化

セル生産方式の導入

セカンドベンダーの開拓

開発技術者の育成

新規生産設備の導入

開発プロセスの標準化

不良品流出リスクの低減

小ロット短納期による顧客獲得機会の増大

低価格、短納期の機会拡大災害時の生産停止リスク低減

技術者の不足リスクの解消

生産設備の老朽化による品質低下リスクの解消

開発リードタイム短縮による先行者利益確保機会の増大

②リスクと機会を再考した場合の新たな品質目標、実施施策の例

一 I 訂度9灯;ふ | 出荷検査の強化 不良品流出リスクの低減工秤内不良率の栖小化 不良品の迅涼•正確な検出(機会)

セル生産方式の導入生滓管理システムの改寿廂客ニーズヘの柔軟な対応

小ロット短納期による顧客獲得機会の増大新たな生産管理方式の導入(様会)

セカンドベンダーの開拓 低価格、短納期の機会拡大

外部捉供者選定某準の恋再 災害時の生産停止リスク低減災害時の闘逹遅延リスク抵減

開発技術者の育成教育貸料(紺織の知識)の刷新 技術者の不足リスクの解消新市場へのタイムリーな製品・サ一 新技術の導入(機会Lピ新規生産設備の導入設備管理、メンテナンス方式の改寿

生産設備の老朽化による品質低下リスクの解消メンテナンスコストの増大(リスク)

開発プロセスの標準化新規開発事例のDB化と共有新紺品・サーピスの市場投入

開発リードタイム短縮による先行者利益確保機会の増大他戌功プロセスの事例共有(機会)

※斜体、 下線は新たに想定したリスクと機会および品質目標、実施施策

したテーマが典型的である。これらの目標

を、リスクを考應して、より確実に達成す

ること、そして、ビジネスチャンス(機会)を

見出して、あらたな価値(魅力的品質)を

創造するとの視点から見直してみる。す

なわち、あらたな品質目標として、新製品・

サービスの発売、新市場の開拓などのビ

ジネスチャンスに対して、予想されるリスク

を未然に回避することで、魅力的品質の

向上、ひいては真の顧客満足につなげる

ことができると考えられる。一方、環境目

標においては、従来の「削減」(リスク・{,l(

威)の視点から「やり方を変える」(機会)

へ進化させることで、例えば、間接業務の

72 アイソス No.2292016年 12月号

コスト削減や、品質改善を通した環境貢

献などの価値がもたらされる。さらに、法

令の順守についても単なる「法順守」か

ら「法令のリスク・機会の検討」の視点を

用いることで、法対応のビジネスヘの影磐

を新たな技術で克服するなどの取組み

が期待される。

図表3に、より具体的なリスク及び機

会の再考による新たな品質目標設定の

例を示す。①は現状の品質目標、実施施

策の例を示している。各品質目標、実施

施策には、それぞれの取組み立案の目

的を検討した内容を併せて示した。出荷

検査の強化の目的としては、不良品流出

リスクの低減、新規生産技術の導入の目

的としては、生産設備の老朽化による品

質低下リスクの解消などが対応している。

これらの目的は、その内容から 「リスク及

び機会」に対応していることがわかる。さ

て次に②のリスクと機会を再考した場合

の新たな品質目標、 実施施策の例を考

察する。現在挙げられているリスクと機会

から、関連した別のリスクと機会を検討し

てみよう。例えば、不良品流出リスクの低

減に対して、不良品の迅速 •正確な検出

(機会)を考えるとすると、 出荷時点では

なく、より上流側における工程内不良率

の極小化との品質目標に至る。小ロット短

納期による顧客狼得機会の増大につい

て、セル生産方式の導入を目標としてい

た項目については、より広い見地から、新

たな生産管理方式の導入(機会)を考慇

すると、生産管理システムの改善や、顧客

ニーズヘの柔軟な対応などの新目標が

想起される。また、技術者の不足リスクの

解消に関連して、新技術の導入(機会)

を考えると、新たな品質目標の候補とし

て、教育資料(組織の知識)の刷新や、

新市場へのタイムリーな製品・サービスの

投入といったアイテムを検討することがで

きることになる。

環境も同様である。図表4にリスク及

び機会の再考による新たな環境目標設

定の例く製造業>を示す。①の現状の

環境目標、実施施策の例は、 基本的に

はエネルギー、廃棄物、化学物質の削減

やリスク低減の目標設定となっている。こ

こで、品質の場合と同様に①について、

環境目標や実施施策の立案の目的、す

なわちリスクと機会について考えてみる。

例えば、照明のLED化はエネルギーやコ

ストの削減機会、フロン使用設備適正管

理は新たなフロン排出抑制法の順守義

務違反リスクの回避、省エネ機器設計技

術者の育成は省エネ機器売上拡大目標

の阻害)スクなどが 「リスク及び機会」で

ある。次に、②において、現在挙げられて

いるリスクと機会から、新たな環境目標を

考えてみる。例えば、エネルギー削減機会

については、現在は照明のLED化が挙

げられているのに対して、より業務プロセ

スに着目して、 省エネ型の生産設備や、

設備は同じでも製造のプロセスを改善し

てより省エネが達成できるようなアイテム

を創出するなど、 「やり方を変える」といっ

た考え方が生まれる。さらに、リスクと機会

自体も新たに検討することにより、より多

くの環境目標の候補を導くことができる。

例えば、省エネ機器売上拡大目標の阻害

リスクについては、より具体的見地から、

営業力不足による失注リスクとの考え方

も見出すことができる。このリスクを考應す

ると、営業マンの育成という新たな目標設

定ができることになる。廃薬物削減機会

認証機関が明かす 昂質・環境改訂規格への移行の5つのコッ

図表4 リスク及び機会の再考による新たな環境目標設定の例〈製造業〉

①現状の環境目標、実施施策の例

一 馴. . IIIIIM1*1!-照明のLED化 エネルギー削減やコスト削減機会 環境側面

フロン使用設備適正管理フロン排出抑制法施行順守義務違反リスク 順守義務回避

電子マニュフェスト化 報告義務違反低減の機会 順守義務

省エネ機器設計技術者の 省エネ機器売上拡大目標の阻害リスク その他育成

省エネ性能を重視した新規 エネルギー削減目標の阻害リスク低減導入設備の選択

環境側面

漏洩時の緊急事態対応 有害物質漏洩による汚染リスクの低減 環境側面

廃棄物分別によるリサイク 廃棄物削減機会 環境側面ル化 処理コスト削減機会

②リスクと機会を再考した場合の新たな環境目標、実施施策の例

一 --g~ 『一馴fl遍照明のLED化省エネ設備・プロセスの導入 エネルギー削減機会やコスト削減機会 環境側面

フロン使用設ぎ備a適正管理 フロン排出抑制法施行順守義務違反リスク回避 順守義務舷象物筐設備洗い出し 親制リスク対応

電子マニュフェスト化順守評価時瑚の見直し 報告義務違反低減の機会 順守義務

省幽エゴネ機器設計技術者の育成芸業マン育成

省幽エゴネ機器売上拡大目標の阻害リスク写業力不足による失注リスク その他

省エネ性能を重視した新規氾入 エネルギー削減目標の阻害リスク低減設設備備の導選入択考虚事項ルール化 設備導入による環境負荷増大リスク 環境側面

漏洩時の緊急•/.\事逗態i対応 漏洩時の汚染リスク低減受入•取扱し擾尻の改善 漏洩リスクの低滅 環境側面産害物質侍用麻止 温洩疲染リス2.!12風避

廃棄物分別によるリサイ'"クル化廃棄物削減機会処理コスト削減機会 環境側面リサイクル業者との連携 リサイクル率向上榛会

※斜体、下線は新たに想定したリスクと機会および環境目標、実施施策

についてもリサイクル率向上の機会を考

應すれば、従来の廃棄物分別によるリサ

イクル化から派生して、リサイクル業者と

の連携(によるリサイクル率向上)などの

新テーマも創出されることになる。

なお、2015年版ISO14001では、組織

に対するリスク及び機会をもたらす可能

性のある要素として(著しい)屎境側面、

順守義務およびその他の(組織の状況

に関連した) 事柄が示されているので、図

表4中に 「どうしてEMSで?[発生源]」と

して、これらの要素を記載した。

次頁図表5にはリスク及び機会の再

考による新たな牒境目標設定の例<サー

ビス業>を示す。②のリスクと機会を再考

した場合の新たな環境目標、実施施策

の例においては、省資源化の機会から

詰め替え、簡易包装商品の販売拡大や

レジ袋の有料化などの環境目標を掲げ

ていたが、リスクと機会において、容器・包

装廃薬時の環境負荷(リスク)を考慮す

ることで、低環境負荷容器包装の導入と

いった新たな環境目標の設定につなげる

ことができる。同様に、防災用品の販売

アイソス No.2292016年 12月号 73

認証機関が明かす 品質•環境改訂規格への移行の5つのコッ

図表5 リスク及び機会の再考による新たな環境目標設定の例〈サービス業〉

①現状の環境目標、実施施策の例

一 羅.. 一哨~:r-詰め替え、簡易包装商品の販売拡大 省資源化の機会

レジ袋の有料化

農水産物仕入先の多角化 器作物、水産物の収穫変動リスクの低減

防災用品の販売拡大

なまずのかば焼きの開発

優良産廃処理業者認定取得

売上拡大の機会

乱獲による水産資源の減少リスクの低減

取引先、売上拡大の機会

販売商品の環境性表示 環境訴求による販売促進機会

②リスクと機会を再考した場合の新たな環境目標、実施施策の例

環境側面

その他

環境側面(生態系保護)

順守義務

環境側面

一 1111111111M県l~-一詰め替え、簡易包装商品の販売拡大 省貧源化の機会レジ袋の有料化 容器・包特際棄時の精境負荷(リスク)

環境側面

侶環境負荷容器包器の導入

典水産物仕入先の多角化 雖作物、水産物の収穫変動リスクの低減同内生倖地の育戌(柑資) 地,滓坤消による環境負荷(柘減(橋会)

防災用品の販売拡大防災型店額の充実化

売上拡大の機会防災を涌した培域貢献

その他

なまずのかば焼きの開発生物多様性に配慮した商品企

乱獲による水産資源の減少リスクの低減介業活動の生熊系への影響の顕在化(リス之

環境側面(生態系保護)

優良産廃処理業者認定取得廃蒸物徘出者と姐理事業者

取引先、売上拡大の機会順守義務

との運携による3Rの加滓リユース・リサイクル技術向上(楠会)

販売商品の環境性能表示 環境訴求による販売促進機会環境側面

営業マンの教育 廂客ニーズとのミスマッチによる失注(リスク)

※斜体、 下線は新たに想定したリスクと機会および環境目標、実施施策

拡大から、 地域貢献の視点を機会として

考應することで、防災型店舗の充実化、

さらに販売商品の環境性能表示から、顧

客ニーズとのミスマッチを考廊して、 営業

マンの教育といった環境目標へ展開する

こともできる。

おわりに

以上のように、2015年版規格において

最も重要な変化点である「リスク及び機

会」および「組織の状況」の考え方の舜

74 アイソス No.2292016年 12月号

入のうち、本号ではリスク及び機会を取り

上げ、 2015年版に移行する際に、品質、

珠境パフォーマンスをBefore/Afterで

明確に向上させて、新たな品質・JWl境目

標や実施施策が設定されるようにするた

めのコツについて詳述した。ムダな手間を

かけずに移行することを優先するあまり、

折角2015年版規格へと移行しても、パ

フォーマンスが向上しないのでは全く意昧

がない。本号と次号をヒントにして、是非と

も新たな目標展開を試みてほしい。

なお、前回(第3回)の記事において図

表3中に「組織の状況の決定/リスク・機

会/目標展開シート」という様式が記載さ

れているが、本号の固表3-5は、この様

式の構成と関連しており、次号(第4回)

において、この様式の全貌を紹介する。

本稿が、移行にお悩みの組織各位に

とって少しでもヒントとなれば幸いである。▼

株式会社日本環埃認証機構 審査本部

取締役審査本部長

水上浩

束;;(I此工大学大学院梱士課程修了。hり士(..l学)。1983年、株式会社東芝人社。研究開発センターにて、機甘杓の伝熱に関する研究開発業務を経て、同センターのlSO1 400 1 に~.~づく即撹マネジメントシステムを構総 2007年、東芝環境推巡部にて東芝グループの段1脱経営方針・施策の策定および全社展耕l・推巡業務に従・Ji:。2011年、株式会名!:El本閑境認証機構人社。収締役技術部長を経て、2015年より現職。各種マネジメントシステムの帝在スキームの確立•実施•維持及び術府員の育成などを統括平t理。

改ar版対応実践出巡魯寧惑寧寧寧魯寧寧魯寧寧巡寧魯寧寧寧惑巡巡惑寧惑寧寧寧一、一~"•

組織が明かす2075年版有効活用方法

第3回 「6計画 6.1リスク及び機会への取組み」

連載にて、ISO9001:2015 (以下QM

S)に代表されるISOMS規格改正への

対応について、私が組織の中においてど

のように現実的に対応しているのかを事

例を交えてお話させて項いております。前

回、前々 回と「4.1組織及びその状況の

理解」「4.2利害関係者のニーズ及び期

待の理解」について説明させて頂きまし

た。今回は「6計画 6.1リスク及び機会

への取組み」を中心に関連する条項や

用語の定義を交え、私がどのように規格

を理解して現実的な対応をしたのかにつ

いてお話したいと思います(図表1)。

附属書SLをベースにした改正規格の

要求事項である「6計画 6.1リスク及び

機会への取組み」の主な内容は、「00

マネジメントシステムの計画を策定すると

き、組織は、4.1に規定する課題及び、4.2

に規定する要求事項を考慮し、次の事

項のために対処する必要があるリスク及

び機会を決定しなければならない。00

マネジメントシステムが、その意図した成果

を達成できるというli'(E信を与える(ことを

確実にする) 。望ましくない影替を防止又

は低減する。継続的改善を達成する」、

更に「組織は、次の事項を計画しなけれ

ばならない。上記によって決定したリスク

及び機会に対処する活動。次の事項を

行う方法として、その取組みの00マネ

80 アイソス No.2292016年 12月号

執筆/メルクパフォーマンスマテリアルズマニュファクチャリング合同会社

静岡事業所 事務グループマネージャー 若松裕己

ジメントシステムプロセスヘの統合及び実

施、及びその取組みの有効性の評価」と

なっています。また、「望ましい影評を増

大する」ISO14001:2015 (以下EMS)で

は、「著しい環境側面、順守義務」などが

加えられ条項の構成も細分化されており、

この章にはセクター規格固有の要求事項

が大きく関連していることが分かります。

この要求事項を5Wll-Iに分解してみ

ると、誰(Who)「組織の」、何処(Where)

「00マネジメントシステムの適用範囲に

おける」、何 (What)「リスク及び機会を決

定しなければならない」、この先は私の見

解を交えて、どうして (Why)「00マネジ

メントシステムの意図した成果を達成する

ために」、何JI寺("When)「00マネジメント

システムの計画を策定するとき」、どのよう

にして (How)「4.1の課題、4.2の要求事

項を考應して」、ということになると思います

(図表2)。

ここで規格要求事項のキーワードを

附属書SL、並びにQMS及びEMSで

比較しながら確認してみましょう。この条

項のキーワードのひとつ、 附属書SLで

は「ensure-canachieve」(達成でき

ることを確実にする)だったのですが、

2015年版ではQMS、EMSともに 「give

assurance-can achieve」(達成できると

いう確信を与える)と変更されています。

これは私の独断的な解釈ですが、この

章の要求事項は「00マネジメントシステ

ムの意図した成果を達成する」ことに影

響を与える「リスク及び機会」なので、そ

れに対処する取組みによって「望ましい

影靱は増大」「望ましくない影響は防止・

図表1 リスク及び機会への取組み

Cs ~o~

品質トラブル労慟災害、環境事故とか

法律違反や不祥事とかも

低減」されるでしょうが、マネジメントシステ

ムの元来の 「00マネジメントシステムの

意図した成果を達成する」ための活動を

しなければ「ensure-canachieve」(達

成することを確実にする)にはならないの

で、 阻害要因が管理されるという意味で

「giveassurance-can achieve」(達成

できるという確信を与える)という表現にし

たのではないかと思います。

4.1項 、4.2項に続き、この章でも

「determine」という単語が使われていま

すが、なんとこの章ではこれまで私が主張

していた本来の意昧「決定」と訳されて

います。これは「リスクと機会」は、「00

マネジメントシステムの意図した成果を達

成する」のに影響を与えるものと限定した

としても、あまりにも広範囲にわたっており、

「自ずと決まる」というものではなく、数多

くの「リスクと機会」の中から組織が管理

すべきものを決定(取組むべきものを選

択)しなければならないということだと思い

ます。

事業継続マネジメントにおいては、 「リス

ク選好(RiskAppetite)」という言薬があ

り「組織に追求する、又は保有する意思

があるリスクの緻及び種類」と定義されて

います。これは組織の戦略と非常に密接

な関係を持ち「組織は自らの活動をする

うえで、どの程度までリスクを覚悟している

か」ということであり、「リスク及び機会へ

図表2 リスク及び機会への取組み(5W1Hに分解すると)

Who(誰): 組織の

Where(何処).

00マネジメントシステムの

適用範囲における

What(何)

リスク及び機会を

決定しなければならない

Why(どうして).

00マネジメントシステムの意図した成果を達成するため

When(何時).

00マネジメントシステムの

計画を策定するとき

How(どのようにして)

4.1の課題、 4.2の要求事項

を考慮して

図表3 リスク及び機会への取組み(図で表現すると)

00マネジメントシステムが意図した成果を達成

継続的改善を達成

會 -リスク及び機会

マネジメントシステム

組織の能力

の取組み」は組織が戦略的に決定すべ

きひとつの重要事項と言えると思います。

また、もっと具体的な場面において「リスク

許容度 (RiskTolerance)」としヽう言薬が

ありますが、こちらは現実的なさまざまな脅

威に対して 「どこまでリスクを許容(受容)

できるか」という基準(指標)になります。

それでは、マネジメントシステムにおける

「リスク及び機会」 について、用語の定

義を踏まえて少し考えてみようと思いま

す。まず、リスクとは「目的に対する不h府か

さの影膀」と定義されています。この中で、

「目的」は「00マネジメントシステムの意

図した成果」として、「影響」は「期待され

ていることから、好ましい方向(機会) 及

び、又は好ましくない方向(リスク)に乖離

●叫髯柑申含

すること」として考えてみます。「意図した

成果を達成する」ことに関する 「不確かさ

の影響」とは、好ましいケースでは「追い

風が吹いて予定通り、あるいは予定以上

に達成」、好ましくないケースでは 「逆風

が吹いて未達成、あるいは中止」というこ

とであり、規格では前者に対しては「増

大」、後者に対しては「防止、又は低減」

することが要求されています。これらが「リ

スク及び機会への取組み」であり、更に

取組みの 「有効性評価」をすることが要

求されています(図表3)。

ところで、「リスク及び機会」における

「望ましい影孵」と「望ましくない影磐」と

は実際にどのようなものがあるでしょうか?

影暢を受ける先は多岐にわたっており、

段階がありますので、どこにフォーカスす

アイソス No.2292016年 12月号 81

図表4 リスク及び機会への取組み(影響とは)

望ましい影響とは?

ビジネスチャンス、製品改良、業務改善、コスト削減、信頼獲得、その他

ぃ1IIIJlt..-

三--c::J--

望ましくない影響とは?

ロストビジネス、売上低迷、業務過多、利益率低下、業務停止、その他

図表5 リスク及び機会への取組み 事例ー1

マネジメントシステムプロセスヘの統合・実施

望ましくない影響(リスク)

資源(人員、設備など)の不足・誤配分

技術力(力昼、経験など)の限界

バートナー(サプライヤーなど)の限界 口望ましい影客(機会)

マーケットシェア拡大

新規フィールドヘの参入

新規顧客の獲得 三

組織の

決定事項

(意図した成果)

現行製品の品質向上

図表6 リスク及び機会への取組み 事例ー2

マネジメントシステムプロセスヘの統合・実施

望ましくない影響(リスク)

変更による品質トラブル発生

代替物質の危険有害性

貧源(人員、設備など)の不足・誤配分

望ましい影響(機会)

社会的地位の向上

マーケットシェア拡大

新規フィールドヘの参入

= ニコ

組織の

決定事項

(意図した成果)

化学物質Aの代替物質の早期開発

るかによっても違いがあると思いますが、 利益率低下、業務停止など、いくらでもあ

「望ましい影評」としては、ビジネスチャン ると思います(図表4)。

ス、製品改良、業務改善、 コスト削減、信

頼獲得など、「望ましくない影磐」として それでは、 実際にリスク及び機会につ

は、ロストビジネス、売上低迷、業務過多、 いて、望ましい影孵、及び望ましくない影

評、それらへの取組みに関して、具体事

例で考えてみましょう。

事例ー1は「現行製品の品質向上」と

いう組織の決定事項(意図した成果)に

ついてです。このケースにおいて、望ましく

ない影孵(リスク)としては、資源(人員、

設備など)の不足 • 誤配分 、 技術力(カ

紐、経験など)の限界、パートナー(サプラ

イヤーなど)の限界などとすると、これに対

処する取組み(防止・低減)としては、(遮

正な)人員計画・人材開発、投資計画、

協力関係の維持 • 拡大などが考えられる

と思います。同様に望ましい影孵(機会)

としては、マーケットシェア拡大、新規フィー

ルドヘの参入、新規顧客の獲得などとす

ると、取組み(増大)には、(適正な)販売

戦略、新規事業開発、応用技術開発な

どがあると思います(図表5)。

事例ー2は「化学物質Aの代替物質

の早期開発」という組織の意思決定に

ついてです。このケースにおいて、望まし

くない影悲限(リスク)としては、変更による

品質トラブル発生、 代替物質の危険有

害性、夜源(人員、設備な ど)の不足 •

誤配分などとすると、これに対処する取

組み(防止・低減)としては、(適正な)

FMEA品質作り込み、危険有害性謂

査 (SDS)、人員計画・人材開発などが

考えられると思います。同様に望ましい

影聾(機会)としては、社会的地位の向

82 アイソス No.2292016年 12月号

改訂版対応実践記

組織が明かす 2015年版有効活用方法

図表7 リスク及び機会への取組みの有効性評価 事例ー1

望ましい影誓(機会)

マーケットシェア拡大

新規フィールドヘの参入

新規顧客の復I* 疇合

雪合

望ましくない影誓(リスク)

資源(人員.設儀など)の不足・誤配分

技術力(力量.経験など)の殴界

バートナー(サブライヤーなど)の限界

各種会闊、マネジメントレピュー、内部監査、その他

・ マーケットシェア拡大に繋がっているかつ

• 新規フィールドの可能性はつ

• 新規顧客の可能性はつ

各種会様、マネジメントレビュー、内部監査、その他

・ 適切な人員を配性出来ているかつ

・ 設備などに不足はないかつ

• 協力関係に問題はないかつ

上、マーケットシェア拡大、新規フィールド

への参入などとすると、取組み(増大)に

は、(適正な)社会へのアピール、販売戦

略、新規事業開発などがあると思います

(図表6)。

次に「リスク及び機会への取組み」に

対する 「有効性の評価」について、 具体

事例で考えて見ましょう。

事例ー1の「現行製品の品質向上」と

いうケースにおける、リスクヘの取組み(防

止 •低減)として、 (適正な)人員計画・人

材開発、投資計画、協力関係の維持 •拡

大、機会への取組み(増大)には、(適正

な)販売戦略、新規事業開発、応用技術

開発を挙げました。これらの取組みの有

効性を評価する方法として、前者では、

各種会議、マネジメントレビュー、内部監

査などにおいて、マーケットシェア拡大に

つながっているか?新規フィールドの可能

性は?新規顧客の可能性は?などの観

点で有効性の評価がされるだろうと思い

ます。後者では、各種会議、マネジメントレ

ビュー、内部監査などにおいて、適切な

人員を配置できているか?設備などに不

足はないか?協力関係に問題はないか?

などの観点で有効性の評価がされるだろ

うと思います(図表7)。

事例ー2の 「化学物質Aの代替物

質の早期開発」というケースにおける、

リスクヘの取組み(防止•低減)として、

図表8 リスク及び機会への取組みの有効性評価 事例ー2

望ましい影響(ill会)

社会的地位の向上

マーケットシェア拡大

新規フィールドヘの参入 •合

雪合

臼ましくない影響(リスク)

変更による品質トラブル発生

代苔物質の危陰有害性

賃源(人員.設Illなど)の不足・誤配分

各種会繕、マネジメントレピュー、内部監査、その他

・適切なアピールをしているかつ

・マーケットシェア拡大に繋がっているか つ

• 新規フィールドの可能性は?

検査・試験、品質実精推移、各種会請、 マネジメントレピュー、内部監査、その他

・ 品質トレンドに異常はないか?

• 危険有害性情報は適切に確認できたかつ

・適切な人員を配酋出来ているかつ

FMEA品 質作り込み、危険有害性調査

(SDS)、人員計画・人材開発、機会へ

の取組み(増大)には、(適正な)社会へ

のアピール、販売戦略、新規事業開発を

挙げました。これらの取組みの有効性を

評価する方法としては、前者では、 各種

会議、マネジメントレビュー、内部監査など

において、溜切なアピールをしているか?

マーケットシェア拡大につながっているか?

新規フィールドの可能性は?などの観点

で有効性の評価がされるだろうと思いま

す。 後者では、検査•試験、品質実績推

移、各種会議、マネジメントレビュー、内部

監査などにおいて、品質トレンドに異常は

ないか?危険有害性情報は適切に確認

できたか?適切な人員を配誼出来ている

か?などの観点で有効性の評価がされる

だろうと思います(図表8)。

次に前回説明しました「組織の状況」と

「利害関係者」の関係に加えて、 「リスク

及び機会への取組み」との関係を考えて

みます。

事例ー1は、組織の目的 「半導体市場

でのシェア拡大」と内外の課題「微細化

が進んでいる(外部)」「現行製品では

対応不可、新製品の上市が間に合わな

い(内部)」を考慮して、意思決定(意図

した結果)「現行製品の品質向上、次世

代新製品の早期上市」しています。この

意思決定に対して、利害関係者が、影響

を与え得る立場及び影智を受け得る立

場として存在し、さまざまなニーズと期待を

持っているということになります。

更に、ここにリスク及び機会による望まし

い影響と望ましくない影響が存在し、それ

ぞれに対して増大、並びに防止又は低減

アイソス No.2292016年 12月号 83

改訂版対応実践記

組織が明かす 2015年版有効活用方法

図表9 組織の状況、利害関係者、リスク及び機会への取組みの関係 事例ー1

望顎しくない影響(リスク)

資源(人員、設IIなど)の不足・誤配分

技術力(力量.経験など)の限界

バートナー(サプライヤーなど)の履界

紐ましい影響(撮会)

マーケットシェア拡大

新規フィールドヘの参入

新規凰客の損得

直置 ,

籍織の目的

‘ 影響を与える中J¥!IIIJJ係名のニーズ

Ill客 品買蔓求事項への過合

取引先:過剰な蔓求品貫の回祖

株 主 利益確保

影響を受ける利害I関係者のニーズ

屈客:変更による品賢トラプルの禾然防止

取引先.契約(品質甍求事項)のレビュー

従婁R・現場への過"な覆求事項の回這

株主 利益確保

図表10 組織の状況、利害関係者、リスク及び機会への取組みの関係 事例ー2

望ましくない影響(リスク)

変更による品質トラブル免生

代と物質の危検育害性

貸翼(人員.設●など)の不足・誤配分

鑓ましい影響(復会)

社会的地位の向上

マーケットシェア拡大

断規フィールドヘの夕入

口璽 鼻 ヽ

影響を与える利害閲係名のニーズ

Ill客:品質憂求印項への選合

官公庁.化学窃Jl(Aの規闊召化

株主.社会的賣任(利益確保)

影響を受ける利害関係者のニーズ

屈客:代11物賣による品質卜うブルの禾然防止

取引先 契約(品II襄求事項)のレピュー

従稟員・代鯖物買伎用への安全性確保

株主:社会的貴任の全う(利益確保)

という取組みをマネジメントシステムとして

統合 •実施しています(図表9) 。

事例ー2は、組織の目的 「半尚体市場

でのシェア拡大」と内外の課題「有害化

学物質の規制強化(外部) 」「ほとんどの

製品に有害化学物質Aが使用されてい

る(内部)」を考慇して意思決定(意図し

た結果)「化学物質Aの代替物質の早

期開発」しています。この意思決定に対

しても、利害関係者が影態を与え得る立

場、及び影孵を受け得る立場としてさまざ

まなニーズと期待を持っています。

更に、ここにもリスク及び機会による望

ましい彩磐と望ましくない影評が存在し、

それぞれに対して増大、並びに防止又は

低減という取組みをマネジメントシステムと

して統合•実施しています(図表10) 。

今回は「6計画 6.1リスク及び機会へ

の取組み」の解釈について、前回、前々

回の 「4.1組織及びその状況の理解」

「4.2利害関係者のニーズ及び期待の

理解」も交えて触れてきました。これまでに

も述べましたが、附屈嚇SLに基づく新し

い規格梢造の骨格については全てのマ

ネジメントシステムに共通であり、これを合

理的かつ効果的に活用しない理由はな

いと考えています。今回の説明はマネジメ

ントシステムが元来持っている基本的か

つ重要機能である未然防止プロセスにつ

いてであり、具体的にどのように理解し何

をすべきなのかを魯いたつもりです。読者

のみなさんに少しでもヒントになりましたら

幸いです。▼

メルクパフォーマンスマテリアルズマニュファクチャリン

グ合同会社

静岡事業所 事務グループ マネージャー

若松裕己

モーターサイクル屯装品メーカー、fじ子デバイスメーカーにて品質f呆証業務を経験し、その後ドイツ・ヘキスト社の屯子材料部l"I(現在のメルクパフォーマンスマテリアルズの前身)にて品質保証業務に就き、 1994年から1SO9001の認証取得に携わる。その後、ISO9001:2000シンポジウムに民間企業からのワーキングメンパーとして参加。それ以降、 QMSだけでなく、EMS、BCMS、OJ-ISMSなど広くISOのMS規格の砕入・迎用に関わる業務に従事し現在に至る。また、東北裳災以降は、社外に対するBCMの普及活動にも参加。JRCA登録QMS密査貝補(A01218)CEAR登録EMS帝査只補(Al0418)IRCA登録QMS、BCMS、OH&SMS審在口補(01198497) BCI(Business Continuity Institute): Associate Member of BCl

84 アイ‘ノス No.2292016年 12月号

1

この6.1.1「リスク及び機会への取組み」は、図4のように、規格4.1「内部外部の課題」及び4.2「利害関係者のニーズ及び期待」、つまり、本紙での「事業計画」を実現する上でのリスクと機会をマネジメントシステムの計画に入れることが要求されています(環境ISO固有の「著しい環境側面(6.1.2)」と「順守義務(6.1.3)」については改訂前の規格と大きな変更はありません)。

2015年版規格で新しく追加された要求事項である6.1.1「リスク及び機会への取組み」(環境ISOの場合は6.1.4も)を実現するにはどのような仕組みにすれば良いのでしょうか。規格6.1の要求事項を見ると図5のような記載があります。図5のアンダーラインの個所を見ると、環境、品質規格共にマネジメントシステムプロセスヘの統合が規定されています。ただし、多少の違い(品質規格では品質マネジメントシステムに必要なプロセスである箇条4.4に統合、一方、環境ISOでは環境マネジメントシステムプロセスを6.2、7、8、9.1とより詳細に規定し、かつ、他の事業プロセスにも統合しても良いとある)は見受けられるものの、運用上は特に気にならないと思います。

事業計画を実現するためのマネジメントシステム構築6.1.1「リスク及び機会への取組み」

事業計画を実現するためのマネジメントシステム構築6.1.1「リスク及び機会への取組み」

本資料はCEAR広報誌66号 2017/10発行を引用しています。

2

図6では、「事業計画」に書かれた内部外部の課題(4.1) や利害関係者のニーズ及び期待(4.2) を表のA欄に書き込み、それらを実現する際に考えられるリスク及び機会を決定します(B欄) 。

リスク及び機会の決定は、規格6.1.1の中に記載されているいくつかの視点(① 意図した成果を達成するという確信を与える② 望ましくない影響を防止・低減③ 改善の達成④ 望ましい影響を増大… 品質ISOのみ)で決定するように要求されています。このような視点で見た時、ひとつの「事業計画」を実現するために、複数のリスクや機会が発生することもあり得ます。

図6では、事例として「顧客へのトップ品質の提供」という「事業計画」には、ふたつのリスク( 流出不良が出ることによるイメージ悪化、社内不良発生による不良流出の確率増加)とひとつの機会(品質保証プロセスの再構築による顧客へのイメージアップ)を記載してみました。また、図6のフォームでは、C欄にマネジメントシステムのプロセス(「目標p:箇条6.2」「運用p:箇条8」「支援p:箇条7」「測定p: 箇条9」「他のP」)と「有効性評価」の欄を設けて、リスク及び機会をどのプロセスに関連付けするかを配慮しました。C欄の最後にある「有効性評価」は、単に規格の要求事項になっているだけでなく、計画されたリスク及び機会への対応が確実に行われ、意図した成果を出しているかどうかを確認するうえでも重要な項目になります。

3

図7は、リスク及び機会をマネジメントシステムのプロセスに確実に反映するため、各マネジメントシステムプロセスに何を入れるかを具体的に記入するフォームです。厳密なマネジメントシステムを構築するには、このようなやり方も有効です。リスク及び機会は様々なものがあるため、「目標P」に入れた方が良いか、あるいは「運用P」で対応した方が適切か、または、「測定P」に入れてしばらく様子を見るということもあるかもしれません。ここでは時間をかけて十分検討することが必要です。本紙ではふたつのフォーム(図6、7) を紹介しましたが、これから色々なものが出てくると思います。自社に適した最適なものを選定いただければと思います。

4

「事業計画」は色々なタイプがあります。本章では、それらのタイプとマネジメントシステムプロセスヘの展開について考えてみました。会社の向かっていく方向は様々です。「規模の拡大にこだわる会社」「拡大よりも質を重視する会社」「特定のニッチ分野への深堀に力を入れる会社」「社員の感動を重要視する会社」など、経営者の個性やこだわりによって会社の向かう方向は全く異なってきます。これまで色々な会社を訪問しましたが、時々、あっと驚く方針を掲げている組織がありました。ある会社は「人本経営」を掲げ、売上や利益をほとんど意識せず、社員の感動と生活を重点に置いているとのことでした。社長の話では、社員のやる気が維持できれば結果(会社利益)は後からついてくるとのことで、視点を変えれば色々な経営があることを気づかされました。このように、経営方針は千差万別ですが、一方、経営方針を実現するために展開される「事業計画」のひとつひとつは、いくつかのタイプに分類されます。分類する切り口は色々あると思いますが、今回はマネジメントシステムとの繋がりを配慮して、三つのタイプに分けてみました(図8)。Aは、現状よりもっと高みを目指す「改善活動」です。会社経営で初めに計画する「売上目標の実現」や「利益率改善」「省エネ推進」「顧客クレーム低減」などがあります。このような活動は当然ながら「目標P」というツールを使うことになります。この「目標P」は、「誰が」「いつまで」「どのような手段で」などを明確化され、適切に運用していれば意図した成果を得ることができます。

事業計画のタイプとマネジメントシステム事業計画のタイプとマネジメントシステム

5

また、ここでは意図した成果が出たかどうかを監視するためにも「測定P」も関係してきます。また、場合によっては、改善活動によって新たな仕組みが出来上がった時には「運用P」の中に仕組みを追加する必要があります。ほかにも「支援P」の中のインフラの整備や力量教育にも関わるものがあるかもしれません。あまり形式的な対応も問題ですが、マネジメントシステムには様々なツールがあるということを意識する必要があります。

Bは、新しい仕組みやプロセスの構築、及び設備の導入など、これまでになかったモノを作る「新規構築」です。例えば「新しい生産管理システムの構築」「短納期生産ラインの導入」「00リスクに対する対策」などが考えられます。これまでは似たようなケースとして、環境ISOで「維持管理(著しい環境側面を配慮して環境マネジメントシステムの中に構築)」というものがありますが、「事業計画」の場合は多種多様なタイプが予想され、そのためにも広い視野と柔軟な対応が必要になると思います。通常は、構築した仕組みやプロセスを「運用P」に人れることで完了ですが、状況によっては「支援P」のインフラや力量教育にも関係してきます。また、これらの「新規構築」は、その内容によって構築に長い時間と試行錯誤が必要です。このような時はプロジェクト活動として「支援P」のコミュニケーション(会議体の中で計画的に実施)しても良いし、あるいはAの目標プロセスを用いるという方法もあります。

Cの「社内意識の統一」は、人の心に関わる部分です。会社のビジョンや方針などを理解させ、かつ、その重要性を自覚させるもので、会社にとっては大変重要なものです。当該活動は「支援P」に入っている箇条7.3の「認識」に関係してきます。そのための方法としては、一般的に内部コミュニケーション(支援P) の中で継続的に説明し、社員の自覚を促す必要があります。場合によっては「掲示」や「カード」を持たせるといった方法をよく見かけます。上記で挙げたほかにも色々なタイプがあると思いますが、基本的にマネジメントシステムの中には便利な道具が揃っており、ほとんどの「事業計画」を実現することができます。

1

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

横浜国立大学 リスク共生社会創造センター センター長大学院環境情報研究員教授 野口和彦氏

皆さんこんにちは。年の瀬を迎えて季節を感じる落語に「芝浜」という人情話があります。話を継承した立川談志は、落語は人間の業の肯定だと言いました。人間はそう強くはなくさぼったり手を抜いたり、悪事を働くという業を肯定するのが落語だと言っています。ただ、今日の話は人間の業の肯定ではなく、克服です。人間は弱いから仕方ないでは済まない世の中になり、いかに乗り越えていくかという話になっています。

テーマ「リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用」ですが、申し上げたいことは二つです。一つは先ほどMSSの統合というお話がありましたが、ISOではマネジメントシステムや文化がたくさんあり、それぞれの立場で主張しているのですが、考えてみればマネジメントシステムは一つ企業文化も一つあるだけで、いろいろなマネジメントシステムや文化をそれぞれの立場で主張されてもうまく行きません。マネジメントシステムの統合は大事な問題です。そういう意味で、リスクがその接着材になるのではないかと思います。会社のリスクをそれぞれの担当で見ているだけでなく、視点を共有することでマネジメントが有効になるかもしれないという想いがあります。もう一つは、今迄のやり方を変えてみませんか、という提案です。後者からお話しします

■経営技術改革としてのリスクマネジメントの導入

今迄のマネジメントは、ほとんどが経験や結果に基づいた、失敗に学ぶマネジメントだと言えます。事故や不祥事を起こせば強引に変わらざるを得ない状況に置かれますから、平穏時であれば失敗に学ぶことはある種合理的で効率的だと言えます。ところが、状況が大きく変わる時にはそうはいきません。同じ方法を繰り返しても翌年うまく行くとは限らない、なぜなら方法は環境に応じて評価されるからです。そこに失敗に学ぶという問題点があります。小さい失敗や怪我は人や組織を育てますが、失敗が一組織の経営にとどまらず業界も含めた信頼まで揺るがすような規模であれば二の手はありません。失敗に学べないとなると可能性の段階で物事を考えていかなければならなりません。

2

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

昨今の不祥事では、今までトラブルが無かったので良いとしていたのです。無作為に何もしないのはもう駄目です。結果が出てから反省しても遅いのです。リスクという可能性に対してきちんと見ていく方法に変えていくことが本質です。再発防止は大事で何もせず新しいことを始めても信用してもらえませんが再発防止をとりあえず行い安住してしまえば意味はありません。

■マネジメントシステムの変化

今の一般的なリスク対応が本当のリスク対応かという話です。品質問題と品質リスクは同じかという問いかけの方が分かりやすいと思います。品質問題とは単にクレーム対応だと思っていませんか。品質の重要な概念に顧客満足度があります、購入者以外の意見を聞かなければ本当に品質が良いのか分かりません。本当の品質は顧客渦足度だけではつかめないと思います。そのような限界を持つ考え方はずっと続いています。昨今、集約的に不祥事が表出してきました。ものづくり日本とうたっていたものがバタバタと崩れてきています。いろいろな組織でリスクの洗い出しを行っていますが、私から見ると経験したことをリスクの形にしているだけで、新しい発見は見られずリスク管理・対応をしているとは言えません。単に再発防止をしていると言った方が明確です。リスクという概念はありふれていますが本当のリスクとは何か見直す必要があります。ISOがあえてリスクの概念を取り込むという意味を考えてください。組織の目的の明確化は、それぞれの業務視点での問題解決を行い集めれば組織の問題が解決できると言う状況ではなくなってきたということがあります。会社の目的を明確化していく寄り添い方をしないと事業はよくなりません。今までのリスク分析では、リスクの洗い出しという大雑把な指示を出して、担当者は自分がリスクだと思うものを集めて報告するという繰り返しをしているので、集めたリスクは会社の視点ではなく担当者の視点に過ぎない場合もあります。内外の組織状況の特定とは、リスクは環境により変化するので、これから先会社の外側とか会社自体がどうなっていくのだろうかという類推をしないと、将来のリスクは分かりません。自分が現在や過去の業務だけを対象に見ていると、将来の判断が出来ますかという問いかけであり、物事の推移を見ていくよう書いてあります。

3

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

リスクアプローチによるマネジメントシステムの活用テクノファ News 2018/02/10号 引用

関係者とのコミュニケーションとは、リスクコミュニケーションは場合によっては情報開示のように捉えられて、例えばCSRや環境の報告書などで自分たちの情報を出すことで企業はコミュニケーションをとっていると思ってきたのです。リスク分析を行った担当者が分析結果を住民と共有したり話し合うことがコミュニケーションだと思ってきました。今のコミュニケーションは結果の共有だけではなく品質や環境、リスクを分析する前に知らなければいけないことがあると言っています。顧客が何を求めているのか何が不満なのか、最新の知識はどういうものか、今までの知見だけを頼りに考えるのではなく仕事をする前に必要なことをきちんと聴き、調べる事を言っています。規格として大きく踏み出すための考え方だと思います。

■リスクマネジメントの原則リスクマネジメントは何が正しくて何が正しくないというものではありません。リスクは考え方によってどうにでも定義が出来ます。今はいろいろな議論の中でリスクの考え方が変化して来ています。なぜISOで新しい概念が必要になったのか理由をお話しします。リスクマネジメントはいろいろな業界で使われていますが、業界ごとに違っていました。企業、更に社会としてリスクの考え方がバラバラだということで、IS031000でリスクの標準語と言えるものを作りました。IS031000規格は数少ない日本の提案規格なので大切にしていただければと思います。安全、情報、環境といった各分野の管理ツールで、ネガティブな影響コントロールする規格と思われてきたのですが、実際の経営はポジティブな影響を主体として計画を作るのでネガティブな影響の視点だけでは経営として十分に使えないことがあり、新たな概念が必要になりました。リスクマネジメントが価値を創造するとはどういうことか、企業は何らかの価値を得るために活動しています。リスクマネジメントは価値つくりそのもので、自分が守りたい価値を作るものであるという定義になっています。次に、ネガティブな影響を管理するに留まらず組織のあらゆるプロセスに不可欠な部分であり、意思決定の一部であるとしていてここがポイントです。リスクを考えるときはあらゆる不確かさの側面に共通する問題だと言っています。ここが、リスクという概念がいろいろなマネジメントシステムをつなぐ接着材になれると考えている所以です。不確かさに明確に対処するとありますが、不確かな場合でもどう対応するか明確にするということです。組織に合わせて作られ、人的及び文化的要因を考慮に入れるとありますが、これが正解というものはなく、組織によって違うということです。リスクマネジメントは周辺状況により変化するリスクに対応するもので、常に見直しをすることが大事です。最新のIS031000のリスクの定義は「目的に対する不確かさの影響」とされています。リスクは目的により見方が違うため、まず目的(視点)を明確にすることがとても大事です。良い方向としてリスクを取りたいという考え方もあります。ポジティブとネガティブは生産活動に両方入っていて分けられないと考えます。良いと思われる政策でも必ず落とし穴がある、悪い影響が含まれているという両方の可能性を見るのがマネジメントの考え方です。個人レベルではなく組織として考えます。今回のリスクマネジメントの統合或いは導入は従来と比べ違和感があると思います。痛みがあってもやらなければなりません。

■まとめ最後に、「経営と現場がプロである組織造り」についてですが、プロというのは人間の業に甘えません。弱くても強くならなければいけないと思うのがプロです。プロは人間の業を肯定しますがそこに甘えるのは違うと思います。それぞれがプロでなければいけない、特に経営者は人事・組織・予算の中で自分の価値観を示してください。いろいろなことが起きましたが、どこかで起きたことは身近で起きると考えたほうが良いです。「敵を知り己を知らば百戦危うからず」という言葉をお送りします。これから何が起こるか可能性をしつかり見極めてください。辛くても厳しくても目をそらさないほうがいいと思います。もう一つ、自分の弱さを知ることも大事です、出来ていないことを出来ていないと見極めないと何をやっていいのか分からないと思います。最後は孫子のPDCAということで終わります。ご清聴ありがとうございました。