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電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み 今夏の電力需給見通しと 節電へのご協力のお願い 電力の安定供給 再生可能エネルギーへの取り組み スマートグリッドに関する取り組み 蓄電技術の現状 平成24年7月7日 九州電力株式会社

電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

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Page 1: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

電力の安定供給とスマートグリッドに関する取り組み

1 今夏の電力需給見通しと節電へのご協力のお願い

2 電力の安定供給

3 再生可能エネルギーへの取り組み

4 スマートグリッドに関する取り組み

5 蓄電技術の現状

平成24年7月7日

九州電力株式会社

Page 2: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

1 今夏の電力需給見通しと

節電へのご協力のお願い

1

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2

◎ 今夏の需給見通し

今夏の需給見通し

原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年並みの気温となった場合には、7月から9月上旬にかけて、供給力が不足する見通し。

7月 8月 9月上旬

時間最大電力 1,634 1,634 1,583

供給力 1,560 1,574 1,510

供給予備力(予備率%)

▲75(▲4.6%)

▲60(▲3.7%)

▲74(▲4.6%)

(単位:万kW)【昨夏並みの節電を見込んだ一昨年並み気温の場合の需給バランス】(発電端)

〔上記に加え随時調整契約(※)の発動による需要減(実効量24万kW)を見込んだ場合〕

供給予備力(予備率%)

▲51(▲3.1%)

▲36(▲2.2%)

▲50(▲3.2%)

※ 随時調整契約:需給ひっ迫時に通告などに基づき負荷抑制を行うもの。

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一昨年夏実績(最大3日平均)

昨夏実績(最大3日平均)

※1 過去5ヵ年の時間最大(H1)/最大3日平均(H3)比率により算出※2 一昨年の時間最大発生日(H22.8.20)並みの気温により算出

※1

(時間最大)

1,730万kW 1,613万kW

1,634万kW

○ 現時点(計画段階)では、お客さまが昨夏以上の節電に取組んでいただけるかどうかを見極めることが難しいため、今夏については、昨夏相当(一昨年比▲7%程度)の節電が継続することを前提に想定。

(気温:34.6℃)

▲193万kW気温影響 :▲ 80節電影響 :▲123景気影響等:+ 10

1,537万kW(気温:32.9℃)

▲130万kW気温影響 :▲ 22節電影響 :▲123景気影響等:+ 15

1,600万kW(気温:34.2℃)

今夏想定

※2

[平年並み気温の場合]

[一昨年並み気温の場合]今夏の需要想定における節電影響の考え方

当社が実施した「節電に関するお客さまアンケート」の結果では、昨夏に節電を実施したお客さまの9割以上が今夏も節電に取組むと回答。

(最大3日平均)

(参考)今夏の電力需要の想定(8月)

今夏の需給見通し(つづき)

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(参考)発電設備容量と今夏の供給力(8月)

4

発電設備容量

2,355万kW

火力 1,405

揚水 230

水力 173

原子力 526

供給力(8月)

1,574万kW

地熱等 21

1,245

150

110

活用が見込めない分 ▲781万kW

地熱等 23

融通等47

万 kW

発電設備容量と供給力との差

揚水 ▲80

o昼間の揚水発電時間が長くなることから、揚

水発電の供給力が低下

o電力需要の変動によって、揚水発電の運転に

必要な時間が変わるため、揚水発電の供給力

も変動

水力 ▲63 o河川の出水状況を考慮

(渇水時でも安定的に見込める分を計上)

地熱等 +2 o蒸気量の減を考慮:▲6万 kW

o太陽光供給力の織込み:+8万 kW

(安定的に見込める分を計上)

火力 ▲160

o休止・長期計画停止中の発電所(唐津、大分)

の控除:▲138万 kW

o新大分発電所のガスタービン出力に対する気

温の影響を考慮:▲25万 kW

o緊急設置電源や自家発からの受電増など:

+2万 kW

融通等 +47 o一般電気事業者融通:+45万 kW

o発電事業者からの受電等:+2万 kW

原子力 ▲526

o全基停止:▲526万 kW

玄海原子力▲348万 kW

川内原子力▲178万 kW

合計 ▲781 ―

今夏の需給見通し(つづき)

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現時点(計画段階)で対応可能なあらゆる供給力対策を織込み

・火力発電所の補修停止時期の調整

- 新大分1号系列第1軸(10万kW)のガスタービン更新工事の延期など

・長期停止火力の再稼動

- H23年度末に廃止予定であった苅田新2号(37.5万kW, 経年40年)の

運転再開

・緊急設置電源

- 豊前発電所にディーゼル発電機(0.4万kW)を設置

- 離島の移動用発電設備(0.3万kW)の活用

・他社からの受電等

- 他電力会社からの計画的融通の受電:昼間45万kW、夜間101万kW

- 自家発からの受電:昼間15万kW、夜間13万kW

など

今夏の需給見通し(つづき)

(参考)今夏の供給力対策

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◎今夏における節電のお願い

今夏においては、昨夏並みの節電を見込んだとしても、供給力が不足する見通しです。

このため、需給ひっ迫が予想される、7月2日(月)から9月7日(金)の平日(お盆期間8/13から8/15を除く)の9時から20時について、ピーク需要を一昨年の実績から▲10%程度以上抑制する必要があります。

この目標を達成するため、お客さまにおかれましては、以下の内容で節電へのご協力をお願いします。

今夏における節電のお願い

【お願いの内容】

・ 7月2日(月)から9月7日(金)の平日(お盆期間8/13から8/15を除

く)の9時から20時について、一昨年比▲10%程度以上の使用最大電力の節

電をお願いいたします。

・ 特に気温が高く電力需要がピークに達する時間帯(九州では13時から17時)

において、重点的な節電をお願いいたします。

・ また、上記の期間・時間帯以外につきましても、お客さまの生活や経済活動

に支障のない範囲での節電に引き続きご協力をお願いいたします。

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7今夏における節電のお願い(つづき)

特に気温が高く電力需要がピークに達する時間帯(九州では13時から17時)については、

九州全体として最大電力の▲10%程度以上の節電が必要です。

ピーク以外の時間帯(9時~13時および17時~20時)については、電力需要が相対的に

低く推移するため、同時間帯は、昨夏並み(九州全体として一昨年比▲7%程度)以上の節電

でも、九州全体としては対応可能と考えています。

(参考)九州全体の電力需要から見た節電の要請内容

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◎お客さまにさらなる節電にご協力いただくための当社の取組み

メディア等を通じた情報提供と節電のお願い

(当社ホームページ)- でんき予報による需給状況の発信- 各発電機の役割・活用方法(揚水発電の活用方法等)の掲載

(その他)- 新聞広告・テレビCMによるPR

お客さまへの節電のお願いと上手な電気の使い方等のお知らせ

(ご家庭)- 節電の取組み事例・効果を記載したチラシの全戸配布- 検針のお知らせ票裏面によるPR

(法人お客さま)- 個別訪問、ダイレクトメール送付- 各種業界団体を通じたお願い

更なる需要抑制を目的とした料金メニュー

(500kW以上の法人お客さま)- 夏季計画調整契約の6月前倒し

(500kW未満の法人お客さま)- 夏季計画調整契約の適用範囲拡大(300kW以上へ)- 最大需要電力調整割引の新設

(ご家庭)- ピーク料金設定による負荷抑制効果の実証試験※を実施(モニター1,000件) ※次頁に詳細

自治体へのご協力のお願い ・自治体ホームページや広報誌への節電関連記事の掲載

8今夏における節電のお願い(つづき)

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今夏における節電のお願い(つづき)

※負荷抑制効果の実証試験概要目 的 ・「料金インセンティブによる夏季ピーク抑制効果」の検証

実施機関 ・平成24年7月1日~9月30日(10月~事後アンケート)

対 象 ・自動検針装置を設置済の一般家庭から1,000件程度のモニターを募集

(約2,500件の応募者(5/11締切)から選定)

内 容 ・モニターに2種類の仮想料金を提示

・現行メニューとの差額を謝礼金から増減し、負荷抑制効果を検証

(参考:仮想料金単価のイメージ)

8 8 13 1624 13 16

現行(基準単価) 仮想単価A(夏季抑制型)

22 24

20円/kWh20円/kWh

50円/kWh

8円/kWh

16円/kWh

120円/kWh

8円/kWh

*前日通知

仮想単価B(緊急ピーク型)

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2 電力の安定供給

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• 産業用• 業務用• 家庭用

• 原子力• 火力• 水力• 地熱• 他社など

• 原子力• 火力• 水力• 地熱• 他社など

発電設備容量(=設備の能力)

供給力として活用が見込めない設備容量(kW)

供給予備力

供給力(=供給に活用できる設備容量)

kW

供給力

電力需要

気温等による需要増リスク

発電所トラブル等による供給力低下リスク

発電設備の定期点検、気象状況等による

【供給予備力の概念図】

「供給予備力」の必要性

発電設備は、定期点検や気象状況等の制約により、設備能力を100%電力供給に活用すること

ができません。

また、活用できる設備(=供給力)も、設備の突発的トラブル等により、供給力が低下するリスクが

あります。さらに、電力需要も、気温等により増加するリスクがあります。

これらのリスクが実際に起きた場合でも、電力を安定的に供給するためには、供給力に一定の余

裕(=供給予備力)が必要となります。

リスク

リスク 供給予備力の範囲内で対応

電力需要

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「供給予備力」の必要性(つづき)

発電所のトラブルや出水状況による水力発電の減少、また景気変動などの予想外の

需要変動などに備え、一定の予備力が必要です。

年間の計画段階においては、需要・供給の両面において、不確実性が高いことから、

想定される電力需要に対して、「8~10%」程度の予備力が必要です。

日々の運用段階では、需要の予測精度が高まることから、急激な需要増加や電源ト

ラブルなど、不測の事態にも対応できるように、最低でも「3~5%」 程度確保して

おくことが必要です。

【電力の需給は生き物】

(需要面)

電力需要は、気象条件(気温・天候等)、景気、社会イベント(オリンピック等)などの影響

を受けて変動します。

特に、気温の影響は大きく、夏は気温が1℃上がると、火力機1基分に相当する約50万

kWの電力需要が増加します。

(供給面)

電力供給面においては、発電所の突発的なトラブルや少雨による水力発電量の減少など、

供給力が低下するリスクがあります。

【供給予備力の必要性】

12

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電力会社では、時々刻々と変動する電力需要に合わせて、発電所の出力を調整し、需要と供給力のバランスをとることにより周波数を一定に保っている。

電力需要が供給力を上回ると周波数が低下するが、発電機は一定範囲の周波数でしか運転できないため、大きく低下すると最悪の場合には、連鎖的に複数の発電機が停止し、広範囲の停電に至るおそれがある。

このような不測の停電を回避する最後の手段として、セーフティネットとしての計画停電の準備を行っている。

発電が減少し供給力が不足

周波数が低下

複数の発電機が連鎖的に停止

全発電機停止

広範囲停電

供給力不足が発生した場合の問題(広範囲停電の可能性) 13

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当日

・火力機の出力向上運転を決定

・五島内燃力設備、移動用発電設備の臨時稼動を決定

・他電力からの追加の応援融通の受電を決定

・電力市場から当日分電力を調達

・報道機関や「緊急時の節電お願いメール」配信等を通じた緊急節電の事前要請

(上記対策を講じても当日の需給ひっ迫が予想される場合)(予備率3%未満)・他電力からの緊急的な応援融通の受電を要請

・スポット負荷調整契約(ネガワット)に基づく当日の負荷調整を要請・特別高圧お客さま(通電継続型計画停電適用のお客さま)に大幅なピークカットを要請・政府の「需給ひっ迫警報」、報道機関や「緊急時の節電お願いメール」配信等を通じた緊急節電要請

(計画停電の可能性がある場合:前日18時頃までに公表)・翌日予定(実施の可能性)のスケジュール(停電時間帯、サブグループ)をお知らせ

(当日段階になっても需給ひっ迫が解消されない場合)・随時調整契約に基づく負荷抑制を要請・政府の「需給ひっ迫警報」、報道機関や「緊急時の節電お願いメール」配信等を通じた緊急節電要請(この場合には、空調設備の使用を控えるなどのご協力をお願いします)

・他電力の需給状況を踏まえた更なる緊急的な応援融通の受電(実需給が近づくに従い、リスクが見通せるようになるため、応援融通受電の可能性が高まる)

(計画停電が必要な場合:実施2時間前までに公表)(中西6社全体の予備率1%未満)・当日予定(実施の最終決定判断)のスケジュール(停電時間帯、サブグループ)をお知らせ

前日

最後の手段として計画停電を実施

前週~前々日

需給ひっ迫時の対応

※大型発電所の計画外停止が重なり短時間に需給がひっ迫する場合等においては、上記手順によらず計画停電を実施することがあります。

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計画停電のエリア・手順

鹿児島

熊本

宮崎

大分

福岡

佐賀

長崎

北九州

停電エリアが一部の地域に偏らないようにA・Bの2つのエリアに分割

Aエリア福岡、佐賀、大分、宮崎

Bエリア北九州、長崎、熊本、鹿児島

各エリアを10~20万kW毎に30のサブグループに細分化し、時間帯毎の不足する供給力の大きさに応じて、前日夕刻の段階で割り当てを行います。

15

・不足する供給力の大きさに応じて実施サブグループを割り当て。(前日夕刻に公表)

A5 B5

A4 B4

A3 B3

A2 B2

A6 B6

A15 B15

A14 B14

A13 B13

A12 B12

A16 B16

A25 B25

A24 B24

A23 B23

A22 B22

A1 B1 A11 B11 A21 B21

A26 B26

A9 B9

A8 B8

A7 B7

A10 B10

A19 B19

A18 B18

A17 B17

A20 B20

A29 B29

A28 B28

A27 B27

A30 B30計画停電をお願いする順番

不足する供給力の大きさ

【計画停電スケジュールのイメージ】

※1日1回、各時間帯のうち

約2時間停電

21:00

8:30 10:30 12:30 14:30 16:30 18:30 20:30

第1時間帯 第2時間帯 第3時間帯 第4時間帯 第5時間帯 第6時間帯

9:00 11:00 13:00 15:00 17:00 19:00

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① マレーシア

発生日:平成8年8月3日

概 要:

・送電線の事故により、複数の発電機(全体の16%程度)が停止。

・供給力不足により周波数が低下し、他の発電機が連鎖的に停止し、全土が停電。

(停電量:580万kW程度)

② イタリア

発生日:平成15年9月28日

概 要:

・スイスから電力を受電している送電線が停止し、イタリア国内で供給力不足を

を招き、周波数が低下。

・これにより、発電機が連鎖的に停止し、全土が停電。

(停電量:2,400万kW程度)

③ 韓 国

発生日:平成23年9月15日

概 要:

・残暑によって需要が急増し、予備率が1%程度まで減少。

・全土に亘る停電を回避するため、電力会社が、全土の10%程度(162万世帯)

の電力需要を緊急的に抑制。(輪番停電)

過去に発生した広範囲停電の例 16

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韓国での計画停電訓練 17

韓国は、昨年9月に供給力不足による大停電が発生したことを受け、6月21日、全国一斉に計画停電訓練を実施。

(訓練概要)

・時 間:午後2時から10分間ずつ2段階で実施

(それぞれ予備電力が200万kW、

100万kWを下回った状態を想定して実施)

※韓国の安定供給予備力は500万kW以上。

・効 果:2時10分を基準に548万kW(原発5基分に

相当)の電力消費を減らしたと推測。

・課 題:効果の7割は企業の操業時間の移動や非常発電機の

作動によるもので、一般家庭の自発的な節電は

5,000kWにとどまった。

・規 制:7月からはドアを開けたまま冷房をして摘発されれ

ば、最大300万ウォン(約20万円)の課徴金が

科され、主要大型ビルの冷房温度を規制するなど強

制措置が始まる。中央日報より抜粋

エレベーター救出訓練の様子

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3 再生可能エネルギーへの取り組み

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国産エネルギー有効活用の観点から、また地球温暖化対策面で優れた電源で

あることから、風力・太陽光・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネル

ギーの積極的な開発、導入を進めています。

再生可能エネルギーへの取組み

《風力・太陽光の設備導入量》

2020年度までに、風力と太陽光あわせて300万kWの導入に向けて取組んでいます。

23 27 30 33 41 56 7419 23 25 30 3540

41

300

0

50

100

150

200

250

300

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2020

風 力

太陽光

42 50 56 63 76

(万kW)

96115

※合計は四捨五入の関係で合わないことがある

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《風力発電》41万kW(全国の約15%)

現在約40万kWが導入されています。引続き導入量の拡大を図ります。

周辺環境との調和も考慮した上で、有望と見込まれる地点において風況調査、評価を実施します。

《太陽光発電》74万kW(全国の約20%)

メガソーラー大牟田発電所の運転開始

平成22年11月、福岡県大牟田市の 港発電所跡地に当社初の太陽光発電所であるメガソーラー大牟田発電所(3,000kW)が営業運転を開始しました。

メガソーラー大村発電所の開発

長崎県大村市の大村発電所跡地に おいても、メガソーラー発電所(13,000kW)を開発予定です。

再生可能エネルギーへの取組み (つづき)

【長島ウインドヒル(50,400kW)】鹿児島県長島町

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《水力発電》183万kW

大規模な水力地点は、ほぼ開発済みですが、今後とも経済性、立地環境面などを勘案し、水力発電の調査・開発を計画的に進めるとともに、河川の維持用水などの未利用エネルギーを活用した小水力発電の導入、技術支援に取り組んでいき

ます。

《地熱発電》21万kW(全国の約40%)

九州は地熱資源に恵まれており、国内最大規模の八丁原発電所(11万kW)をはじめ、当社における地熱発電設備の総出力は全国の約4割を占めています。

地熱発電は他の再生可能エネルギーに比べ、年間を通じて安定した電気を供給

できます。今後も技術面、経済性、立地環境面などを勘案し、有望と見込まれる地域の現地状況など新たな開発に向けた調査・情報収集を行います。

《バイオマス発電・ごみ発電 》25万kW

当社及びグループ会社では、鶏糞やごみ、木質チップなどを燃料とした発電を行っています。・ 苓北発電所における木質チップ混焼事業 (2010~2014年度)・ みやざきバイオマスリサイクル(鶏ふん)、福岡クリーンエナジー(ごみ)

また、バイオマス発電やごみ発電業者から電力を購入しております。バイオマス発電(8件)、ごみ発電(30件)

3 再生可能エネルギーへの取組み (つづき) 21

Page 23: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

みやざきバイオマスリサイクル(外観)

223 再生可能エネルギーへの取組み (つづき)

発電事業概要

事業目的 鶏ふん焼却に伴う灰の販売

焼却熱を利用した電力の販売

事業場所 宮崎県児湯郡川南町

鶏ふん焼却量 13.2万トン/年

発電出力 11,350kW

鶏ふんをエネルギー有効利用の観点から、発電燃料として直接燃焼させ

発生電力を販売すると同時に、鶏ふん焼却灰は肥料原料として有効利用

しています。

みやざきバイオマスリサイクル(鶏ふん)の概要

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4 スマートグリッドに関する取り組み

23

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スマートグリッドとは、従来からの集中電源と送電系統の一体運用に加え、情報通信技術(ICT※)の活用により、太陽光発電等分散型電源や需要家の情報を統合・活用して、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システムの実現を目指すもの。 ※ICT=Information and Communication Technology

出典:低炭素電力供給システムに関する研究会報告(2009年7月経済産業省)

商業ビル

太陽光集中連系

系統用蓄電池

〔配電系〕

工場

風力

メガソーラー

営業所

光、メタル、PLC、無線

変電所 変電所

通信線

〔送電系〕

原子力

工場

メガソーラー

風力

電力

運用機関

水力

火力

電力

電力電力

電力

電力

系統用蓄電池

Battery

電力

電力

情報

〔お客さま系〕

エコキュート

蓄電池

PHV

電力線

通信線PLC無線光ファイバー

情報サービス

メーター

太陽光発電

:電力ネットワーク

:情報ネットワーク

:電気の流れ

HEMS

Battery

Battery

PLC (Power Line Communication:電力線搬送通信) :電力線を通信回線としても利用する技術

HEMS(Home Energy Management System:ホームエネルギーマネジメントシステム):電気機器などの監視及び季節や電気の使用状況に応じて、住宅内の電気エネルギーを最適に制御するシステム

PHV (Plug-in Hybrid Vehicle:プラグインハイブリッド車) :コンセントから差込プラグを用いて直接バッテリーに充電できるハイブリッドカー

【スマートグリッドのイメージ】

九州電力の目指すスマートグリッド 24

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九州電力の目指すスマートグリッド (つづき)太陽光や風力は気象状況によって電気出力が大きく変動します。

そうした出力が不安定な電源が大量に普及した場合においても、高品質・高信頼

度の電力供給を維持できるよう、原子力・火力・再生可能エネルギーなど全ての電源の

最適運用を行えるスマートグリッドの構築を目指しています。

【スマートグリッドのイメージ】

太陽光

蓄電池

一般家庭

一般家庭

低圧新型電子メータ

お客さま電力使用量の見える化例

時間

電力量

地域内で

電力を調整

スマートシティなど

メガソーラー

風力

原子力

系統用蓄電池

火力

水力

工場

九州全体での

需給調整

凡例

送配電線情 報

電 力

太陽光発電の余剰電力への対応例

原子力等

再生可能エネルギー

25

Page 27: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

配電系統への影響

系統全体への影響

系統の安定性

需 給 調 整

逆 潮 流 ① 電圧上昇

④ 単独運転防止機能の低下

③ 余剰電力の発生

② 周波数調整力の不足

⑤ 一斉解列

再生可能エネルギー大量導入時の課題 26

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「次世代送配電ネットワーク研究会」報告書(経済産業省)を基に作成

太陽光発電の出力が設置箇所の消費電力を上回り、系統に電力が逆流した場合、配電系統の電圧が上昇。逆潮流が増大し、法定電圧(101±6V)を逸脱する場合、太陽光発電のPCS(※)の電圧上昇抑制機能が動作し、太陽光発電の出力が抑制される。

※PCS(パワーコンディショナ):太陽光の発電電力(直流)を系統電力(交流)に変換する装置

【課題①】配電系統における電圧上昇 27

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*1 : 電力需要の小刻みな変動(20分程度以内)に対しては中央給電指令所から火力・水力などの発電量を自動的に微調整して、周波数を維持する機能

*2 : 図は、第1回低炭素電力供給システムに関する研究会新エネルギー大量導入に伴う系統安定化対策・コスト負担検討小委員会(経済産業省)資料より

太陽光の導入量が拡大すると、その変動に対応する周波数調整力が不足するおそれ(1)電力需要の小刻みな変動(20分程度以内)に、太陽光出力の変動が加わることで、

供給エリアごとに確保している調整力(LFC*1容量)が不足するおそれ。(2)天候の変化による太陽光出力の大幅な変動に備えて、バックアップ電源が必要。

「次世代送配電ネットワーク研究会」報告書(経済産業省)を基に作成

【課題②】周波数調整力の不足 28

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太陽光発電が増加すると、需要の少ない時期(軽負荷期)に、ベース供給力(原子力、水力、火力最低出力)等と太陽光による発電量が需要を上回り、電力の余剰が発生するおそれ。太陽光発電が増加すると、系統側の電源設備・流通設備とも稼働率が低下し、電源・流通双方でコストアップが発生。

「次世代送配電ネットワーク研究会」報告書(経済産業省)を基に作成

【課題③】余剰電力の発生(需給バランス) 29

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電力系統における蓄電池の設置揚水発電の新増設5月の大型連休や年末年始等における太陽光発電の出力制御新規の電力需要の創出

「次世代送配電ネットワーク研究会」報告書(経済産業省)を基に作成

揚水発電の新増設電力系統への蓄電池の設置電力系統に設置する蓄電池と火力・水力発電との協調制御

③ 余剰電力の発生

② 周波数調整力の不足

低圧系統における柱上変圧器の分割設置太陽光発電のPCSによる無効電力の制御高圧系統(6600V)における電圧調整装置(SVCやSVR等)等やLPC(他配電線との電力融通装置)の設置

① 配電系統における電圧上昇

30課題に対する対策の方向性

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スマートグリッド実証試験

実施場所 ・佐賀県玄海町 ・鹿児島県薩摩川内市

実施期間 ・平成24年度 ~ 平成26年度

主な内容

・電力需給の効率的運用に関して、スマートコミュニティ等の特定地域内の部分最適化と電力系統全体での最適化の協調性を検討・太陽光発電などの分散型電源が配電線に集中、拡大した場合の電力系統への影響(電圧、潮流面)の問題点把握とその対応策の検討・電力使用量の見える化などのお客さまサービス

設置設備

・太陽光発電設備・蓄電池・お客さま電力使用量の表示端末・低圧新型電子メータ

電力需給面の課題の抽出と技術的な検証を目的に、スマートグリッドの実証試験を実施する。

31

Page 33: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

◎実証試験の検証イメージ

太陽光

蓄電池

一般家庭

一般家庭

低圧新型電子メータ

お客さま電力使用量の見える化例

時間

電力量

地域内で

電力を調整

太陽光

蓄電池

一般家庭

一般家庭

低圧新型電子メータ

お客さま電力使用量の見える化例

時間

電力量

地域内で

電力を調整

玄海地区

薩摩川内地区

メガソーラー

風力

原子力

系統用蓄電池

火力

水力

工場

九州全体での

需給調整

凡例

送配電線情 報

電 力

32スマートグリッド実証試験 (つづき)

Page 34: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

計量業務の効率化を目的に通信機能を持った低圧新型電子メーター(ユニットメーター)の開発に取組み、2009年11月からお客さまに導入を開始

2011年度末までに約18万台の導入

これらの遠隔検針システムの実用化に向けた実証試験を評価し、2012年度以降の更なる導入拡大やデータのスマートグリッドへの活用などを検討

低圧新型電子メーター(ユニットメーター) 33

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5 蓄電技術の現状

34

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電 池

化学電池

物理電池 太陽電池

一次電池

二次電池

燃料電池

化学物質の持つエネルギーを化学反応により、電気エネルギーに変換する

放電(電地から電気を取り出すこと)後、充電できずに1回の使用で終わるもの

放電後、充電することにより繰り返し使用が可能なもの

燃料(天然ガス等)中の水素と空気中の酸素を反応させ、その際発生するエネルギーを電気エネルギーに変換するもの

太陽の持つ光エネルギーを電気エネルギーに変換するもの

光や熱等のエネルギーを電気エネルギーに変換する

電池製造方法により大きく3種類に区分される

(蓄電)

(蓄電)

(蓄電)

(発電)

主な電池種類 用途

マンガン、アルカリ、

オキシライド、リチウム、空気

玩具、腕時計、携帯用AV機器など

主な電池種類 用途

NAS、レドックスフロー 大容量電力貯蔵装置

鉛 産業用機器、自動車用

ニッケル水素 電力貯蔵装置、家電製品、HEV

リチウム 電力貯蔵装置、家電製品、HEV、EV、PHEV

主な電池種類

単結晶太陽電池

多結晶太陽電池

アモルファス太陽電池

主な電池種類

固体高分子燃料電池(PEFC)

リン酸型燃料電池(PAFC)

溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)

固体電解質型燃料電池(SOFC)

電池の分類蓄電技術の主流は電池であり、現在流通している電池を分類すると以下のようになる。 (研究開発で実証試験中のものを含む)玩具や腕時計の小型電池から電気自動車用の大型電池など、多岐に渡って使用されている。

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各種二次電池の得失比較 (概要)

種類 鉛電池 NaS電池 ニッケル水素電池 リチウム電池

エネルギー密度 (Wh/kg) (※1) △約35 ◎ 約110 ○ 約60 ◎ 約120

エネルギー効率(%) (※1) △ 87 ○ 90 ○ 90 ◎ 95

サイクル寿命 (サイクル) (※1) ◎ 4500 ◎ 4500 △ 2000 ○ 3500

大電流放電(時間率)(※2) △ 1 △ 6~7 ○ 1 ◎ 0.5

大容量化実績(※2) ○ MWh級 ◎ 数100MWh級(※2) △ 0.1MWh級(※2) ○ MWh級(MHI)

価格(万円/kwh) (※1) ○ 50 ◎ 2.5 △ 10 △ 約40 (H23)△ 約10 (H24)

運用性 (※1 ※2)

○過充電に強い△低SOCで劣化(※3)△SOC管理リセット要

△ ヒーター損失大△ SOC管理リセット要△H23年火災事故が発生し、現在原因調査中

○過充放電に強い△SOC管理リセット要

○過充放電に弱いがSOC管理で対応可

出典 (※1)蓄電池技術の現状と取組について(資源エネルギー庁 H21年)、但しリチウム電池除く

(※2)系統安定化に向けた蓄電池技術の動向と課題(産業技術総合研究所 H20年) 、但しリチウム電池除く

(※3)SOCとは電池残存容量のことで、State Of Chargeの略称

(当社&MHI開発)リチウム電池ニッケル水素電池NaS電池鉛電池

流通している二次電池の特長を以下に示す。各電池とも比較的大容量システムへの適用が可能である。但し、各電池ともエネルギー密度、使用環境などに特徴があるため、適用先に応じた電池選定が必要である。

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リチウムイオン電池は、電気自動車用や電力貯蔵用への普及拡大が予想され、今後も更に軽量・コンパクトな電池が開発される方向である。また、国家プロジェクトでは、リチウム電池の安全性等、性能の飛躍的な向上に加え、コスト、安全性等についても実用化が見込める革新的な電池開発に取り組んでいる。

※出典:蓄電技術開発室パンフレット(NEDO 2010年6月)

当社&MHI開発

各種二次電池の容量・出力 37

Page 39: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

二次電池ロードマップ ( 出典:経済産業省HP 『技術戦略マップ2010 二次電池分野』 )

二次電池ロードマップ2010(経産省)

エネルギー密度志向型

出力密度志向型

寿命志向型

経済産業省では二次電池の対象用途とそれぞれに要求される性能を明確化し、主用途ごとに分類し、電池の分類を行っている。

ロードマップでは、電気自動車(EV)やフォークリフトなど移動体用の他、系統安定化など定置用蓄電システムの普及も想定している。

38

Page 40: 電力の安定供給と スマートグリッドに関する取り組み2 今夏の需給見通し 今夏の需給見通し z原子力発電所の再稼動がない場合、昨夏並みの節電効果を見込んでも、一昨年

出典 (※)蓄電池技術の現状と取組について(資源エネルギー庁 H21年2月)

○構成材料が豊富で、量産による低コスト化が可能○充放電効率が高い△温度保持が必要

△温度保持用ヒーターの電力供給が必要

○低コスト○過充電に強い○リサイクル体制が確立

△低い充電量では電極が劣化し、充電容量が低下△充放電効率が低い

鉛電池

NaS電池

【参考1】 各種二次電池の特長 (鉛、Nas) 39

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正極 ・・・・・・・リチウム含有の金属複合酸化物

負極 ・・・・・・ 炭素電解液 ・・・・ 有機溶媒電池容器 ・・ アルミ等の金属セパレータ・・ ポリエチレンやポリプロピレン

単体電池正極

集電体

多孔質セパレータ

負極

正極

正極端子

ガス排出弁

有機電解液

容器

負極端子

負極

セパレータ

高エネルギー密度なので、小型・軽量化が可能

他の二次電池と比べ、長寿命

大電流充放電が可能

LiMO2 + C Li1-XMO2 + CLiX

充電

放電 (M:Co、Mn、Ni、Alなど)

67×116×175mm容量 :185Wh 電圧 3.7V重量エネルギー密度:132Wh/kg体積エネルギー密度:285Wh/L電極

特長

【参考2】 各種二次電池の特長 (リチウムイオン電池:当社開発) 40

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当社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称:NEDO)受託事業として、三菱重工業(株)と共同で、H18~22年度(5年間)までリチウムイオン電池を使った系統連系試験を実施した。

具体的には、132kWh(33kWh×4並列)のリチウムイオン電池蓄電システムを製作し、三菱重工業(株)諫早工場の太陽光発電設備のうち、100kWと連系して実証試験を行い、蓄電池により太陽光発電を平滑化させ、系統へ連系できる成果が得られた。

系統連系円滑化蓄電システムの回路構成

システムの設置図

諫早工場

【参考3】システム技術~系統連系円滑化蓄電システム(概要)~ 41

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現行の内燃力発電と協調がとれたシステム制御技術を確立するため、鹿児島県の小離島の電力系統

に、太陽光、風力及び電池を導入したマイクログリッドシステムを構築し、実証試験を行っている。

小呂島

黒島 硫黄島 竹島

口永良部島

口之島

中之島平島諏訪之瀬島

悪石島小宝島宝島

種子島

屋久島

与論島

壱岐

対馬

甑島列島

五島列島

奄美大島 喜界島

徳之島

沖永良部島

総合研究所

黒島 竹島

中之島

諏訪之瀬島

小宝島

宝島

運用データ

(運転情報、映像等)

<実証項目>・太陽光発電の出力変動補償

・太陽光発電の出力平準化

・太陽光発電の時間帯シフトによる

内燃力発電機の高効率運転

離島

既設内燃力

発電等 太陽光発電

(比率)蓄電池

風力 発電

黒島 240kW 60kW (31%) 322kWh*1 10kW

竹島 190kW 7.5kW ( 9%) 33kWh*2

中之島 253kW 15kW ( 8%) 80kWh

諏訪之瀬島 160kW 10kW (13%) 80kWh 小宝島 110kW 7.5kW (11%) 80kWh

宝島 200kW 10kW ( 8%) 80kWh

※各島とも新施設は当社内燃力発電所の敷地内又は近傍

【参考4】システム技術~ 離島マイクログリッドシステム(概要)~

*1 リチウム電池66kWh設置*2 リチウム電池のみ設置

42

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