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オペアンプ基礎2020年9月30日
群馬大学協力研究員
東京電機大学非常勤講師
中谷 隆之
1)オペアンプとは?(理想オペアンプ)
2)増幅器回路の基本
・反転増幅器と非反転増幅器
3)負帰還の効果
・精度や歪の改善
・入力抵抗の理想化、出力抵抗の理想化
4)キーとなるオペアンプ仕様
・DC特性(入力バイアス電流、オフセット電圧/電流と温度ドリフト)
・AC特性(周波数特性、スルーレート、歪、雑音など)
5)電圧帰還オペアンプと電流帰還オペアンプ
・汎用、高精度、高速オペアンプの選択
・電圧モードオペアンプと電流モードオペアンプの選択
実践的
オペアンプ(演算増幅器)
2
オペアンプはアナログ回路設計における基本コンポーネント。
名前の通り、様々な演算(線形演算、非線形演算)が可能なコンポーネント
オペアンプを用いた回路設計のポイントを理解しよう。
線形回路応用:
・増幅(ゲインアンプ)
・信号加減算
・差動増幅
・電圧源
・電流源
・電圧-電流変換
・電流-電圧変換
・アクティブフィルタ
・積分回路
・微分回路 など
非線形回路応用:
・対数演算
・指数演算
・平方根演算
・乗算/除算演算
・絶対値演算
・正弦波発振
・方形波、三角波発振
・リミッタ回路 など
http://www.philbrickarchive.org/
1952年世界初商用真空管オペアンプ
K2-W GAP/R社(George A Philbrick)
真空管:12AX7 2本
ゲイン:X15,000 (84dB)
電源:±300V4.5mA
信号レンジ:±50V
価格:20ドル
用途:
アナログコンピュータ
1963年世界初モノリシックオペアンプμA702 Fairchildゲイン:68dB電源:+12V/-6V 価格:300ドル(売れず)
1965年μA709 Fairchildゲイン:94dB電源:±15V 商業的に大成功
Operational Amplifier
オペアンプ重要技術・負帰還(Negative Feedback)・差動対( Differential Pair)
理想オペアンプ
3
理想オペアンプの条件
・オープンループゲインが無限大
・入力インピーダンスが無限大
すなわち入力電流がゼロ
・出力インピーダンスがゼロ
すなわち出力電流による出力電圧変化なし
・周波数特性が無限大
・パルス立ち上がりや立下り時間がゼロ(スルーレートが無限大)
・入力オフセット電圧がゼロ。温度影響なし
・内部雑音ゼロ
実際のオペアンプ回路設計では、
・まず理想オペアンプで回路設計を行い
・次に様々な特性劣化要因、誤差要因
を検討して最適なオペアンプを選択し回路設計
を行うとやりやすい。
Ideal Op Amp.
出力
反転入力
非反転入力 +
-ANon-inverting input
inverting input
A反転入力
非反転入力
オペアンプのシンボル
この様なシンボルもある
4
基本的な使い方:反転増幅回路
いろいろな言い方
バーチャル・ショート
バーチャル・グランド
イマジナリ・ショート
イマジナリ・グランド
仮想接地、仮想グランド、
仮想短絡
二つの入力端子(反転入力と非反転入力端子)の電圧差が 0V というバーチャル・ショート
(仮想短絡)の考えを利用すると回路設計が簡単。そうすればオームの法則程度で設計可能。
入力
出力
Vout
Vin
0V
R1
R2仮想接地
基準点
R1
R2
VinVout仮想接地
V1≈0V
電流 I
反転増幅回路はシーソーと同じ考え方
負帰還が正しく動作していると、
・オペアンプの反転入力はバーチャルグランド(V1≈ 0V)
・入力電流はI=Vin/R1
・この電流はR2にのみ流れて、R2の両端にVR2=Ix R2
すなわち
電流 I
𝐕𝐨𝐮𝐭 = −𝐈 𝐱 𝐑𝟐 = −𝐕𝐢𝐧𝐑𝟐
𝐑𝟏
𝑮𝒂𝒊𝒏 = −𝑹𝟐
𝑹𝟏
反転ゲイン式
Inverting amplifier
R1,R2抵抗の絶対精度ではなく比精度が重要
反転増幅回路の特徴
5
反転増幅回路の特徴
・入出力の位相が反転
・入力抵抗が低い(Rinになる)
・CMRR(同相信号除去特性)の影響受けない
反転入力の電位が固定されて入る為
・簡単に信号の加算回路が作れる
Rin
Rf
VinVout
入力抵抗
帰還抵抗
R1
R2
RfVin1
Vin2
Vout
信号の加算
~
~
𝑽𝒐𝒖𝒕 = −𝑹𝒇
𝑹𝟏𝑽𝒊𝒏𝟏 +
𝑹𝒇
𝑹𝟐𝑽𝒊𝒏𝟐
Rの最適抵抗値範囲(経験的に)
・高精度DC応用:10K~100KΩ
高い抵抗精度(組抵抗)得るには100KΩが限度
抵抗値大きくすると抵抗雑音が増加
・Audio帯域応用:2K~20KΩ
周波数帯域確保、抵抗からの雑音低くするため
・Video帯域応用:200~2KΩ
周波数帯域確保するため抵抗値は高くできない
これ以上抵抗下げると電力増加と歪増加
信号切り替え/ゲイン切り替え回路
6
反転増幅回路+CMOSスイッチ
で入力切替やゲイン切り替え回路を構成
すると、CMOSスイッチのON抵抗がゲイン
精度に影響する.
CMOSスイッチのON抵抗は数十~数百Ω
しかも、温度や信号レベルでON抵抗が変化
R1
R2
R3Vin1
Vin2
CMOSスイッチ
ron1
ron2
Vout
反転増幅
反転増幅回路でCMOSスイッチのON抵抗が問題とならないゲイン切り替え
Vin1
Vin2
VOUT
R1 R2
R3 R4
SW1 SW2
Vin
VOUT
R1 R2 R3
SW1 SW2
𝐆𝐚𝐢𝐧1=-𝐑𝟐+𝐑𝟑
𝐑𝟏
𝐆𝐚𝐢𝐧𝟐=-𝐑𝟑
𝐑𝟏+𝐑𝟐
基本的な使い方:非反転増幅回路
7
非反転増幅回路でもバーチャル・ショート(仮想短絡)の考えを利用する。
非反転増幅回路の特徴・入出力の位相が同相
・入力抵抗が極めて高い。この特徴が重要
CMOSスイッチを用いたゲイン切り替え回路
などに多用される
R1
R2
Vin
Vout
0VGND
非反転増幅器の考え方
負帰還が正しく動作していると、
・反転入力は非反転入力電位が入力電圧に
と等しくなる
・R1,R2に流れる電流は、I=Vin/R1
・出力VoutはR1とR2にかかる電位の足し算
Vout=Vin+(I x R2) すなわち
𝑽𝒐𝒖𝒕 = 𝑽𝒊𝒏 + (𝑽𝒊𝒏
𝑹𝟏R2)=Vin(1+
𝑹𝟐
𝑹𝟏)
Non-inverting amplifier
Vin Vout
R1 R2
バーチャルショートでこの電位はVin
電流 I
Vin
非反転増幅ゲイン式
𝐈 =𝐕𝐢𝐧
𝐑𝟏
𝑮𝒂𝒊𝒏=1+𝑹𝟐
𝑹𝟏
信号切り替え/ゲイン切り替え回路
8
非反転増器の入力インピーダンスが非常に大きい(理想オペアンプでは無限大)特性を利用
・信号源抵抗Rsの影響を無視できる
・非反転増幅回路をゲイン切り替えに使用すると、CMOSスイッチのON抵抗が無視できる
CMOSスイッチ
R1
R3
R2
ron1
ron2
+-
~
Vin
Rs
Vs
信号源
Zin=∞
Zin
=∞
Vout+-
ゲインを決める抵抗は高精度レシオ特性(比精度)を持つアレイ抵抗(組抵抗)使用
CMOSオン抵抗ronの影響は、オペアンプ反転入力インピーダンスが高いため無視できる
非反転増幅
Gain𝟏 = 𝟏 +𝐑𝟏
𝐑𝟐+𝐑𝟑
𝐆ain2=1+ 𝐑𝟏+𝐑𝟐
𝐑𝟑
CMOSアナログスイッチを用いたゲイン切り替え回路
9
・非反転増幅でX1,X10,X100,X1000ゲイン切り替え
・AD797はバイポーラ入力超低雑音オペアンプ。等価入力雑音 0.9nV/√Hz(typ)
・ADG412は汎用CMOSアナログスイッチ。Ron=25Ω(typ)、ton=175ns(typ)
CMOSアナログスイッチRon特性ADG412
10K
1K
100Ω
11.1Ω
x1
x10
x100
x1000
20p
1K
1K
1K
+15V
-15V
1KVin
Vout
スイッチ制御(TTL)
0.1μ
0.1μ
0.1μ
0.1μ
0.1μ
ADG412
AD797
+15V
-15V
+5V 高精度アレイ抵抗ADG412データシート Analog Devices
参考 OpAmp Applications Analog Devices
反転増幅+非反転増幅組み合わせ:信号加減算回路
10
・オペアンプの反転、非反転回路を組み合わせると信号の加減算回路(差動回路)を構成できる
・左回路だと入力抵抗低いので、各入力に非反転増幅回路を付加して高精度差動回路
(Differential Amplifier)を実現。
加減算(差動)回路
Vin1
Vin2
R1 R2
R3
R4
VOUT
R1=R3R2=R4とすると
𝑽𝒐𝒖𝒕 =𝑹𝟐
𝑹𝟏(Vin2-Vin1)
差動回路:Vdiff差動信号のみ増幅しVCOM同相信号(誘導雑音など)は除去
R1
R3
R2
R4
R5
R6
R7
+
+-
-
VOUT
Vin1
Vin2
Vdiff
VCOM
~
~
高精度差動増幅回路
R1=R2 R4=R5=R6=R7 とすると
Vout=(1+𝟐𝐑𝟏
𝐑𝟑) 𝐕𝐢𝐧𝟐 − 𝐕𝐢𝐧𝟏 =(1+
𝟐𝐑𝟏
𝐑𝟑)𝐕𝐝𝐢𝐟𝐟
Vin1
Vin2
差動信号(信号成分)
同相信号(雑音成分)
Note:右回路も仮想短絡の考え方使えばオームの法則で解析可能
負帰還システム
11
・負帰還は1927年にベル研のHarold S. Blackにより発明
・増幅度Aを有する増幅器出力から帰還増幅度β(通常減衰系)を介した信号を
入力に負帰還する。増幅度Aが充分に大きいと、ゲインはβにより決まる。
負帰還の効果を知る Negative Feedback
β回路は一般的に抵抗網で構成
増幅度A
帰還増幅度β
Σ+
-
入力Vin
出力Vout
帰還Vβ
Vout=A 𝑽𝒊𝒏 − 𝑽𝜷
=A 𝑽𝒊𝒏 − 𝜷𝑽𝒐𝒖𝒕
𝑽𝒐𝒖𝒕𝑽𝒊𝒏
=𝟏
𝜷
𝟏
𝟏 +𝟏𝑨𝜷
Vout
VβR1
R2 β=𝑹𝟏
𝑹𝟏+𝑹𝟐
𝑽𝜷 =𝑹𝟏
𝑹𝟏 + 𝑹𝟐𝑽𝒐𝒖𝒕
Harold S. Black
負帰還の基本原理と効果
12
負帰還:
オペアンプ出力を位相反転して入力へ帰還すること
負帰還の主な効果
・安定なゲインの確保、高精度化、歪の改善
・オペアンプ出力インピーダンスの低減
・オペアンプ入力インピーダンスの増加
負帰還動作時の入出力関係式
Vout=Vin𝑨
𝟏+𝑨𝜷
𝛃 =𝐑𝟏
𝐑𝟏 + 𝐑𝟐
Vin Vout
R1 R2 β回路
A
・オープンループゲイン:A
・帰還率:β
・ループゲイン:Aβ
・帰還量:1+Aβ
・クローズループゲイン:G
VinVout
+
-A
負帰還ループ
ββVout
𝑮 =𝑽𝒐𝒖𝒕
𝑽𝒊𝒏=(1+
𝑹𝟐
𝑹𝟏)(
𝟏
𝟏+𝟏
𝑨𝜷
)
𝟏
𝜷 誤差項
負帰還の効果:高精度化
13
例えばオープンループゲインAOL=100dB(=105)を有するオペアンプで、クローズゲイン
ACL=40dB(x100)で使用すると、帰還量Aβは60dBとなり、精度、歪などが60dB(x1000
または1/1000)改善される
𝑽𝒐𝒖𝒕
𝑽𝒊𝒏=(1+
𝑹𝟐
𝑹𝟏)(
𝟏
𝟏+𝟏
𝑨𝜷
)
誤差項周波数(Hz)
100
80
60
40
20
0
ゲイ
ン(d
B)
10 100 1k 10k 100k 1M
クローズループゲイン:ACL=1+R2/R1
オープンループゲイン:AOL
帰還量 1+Aβ(≒ループゲインAβ)
-6dB/oct(-20dB/dec)の一次特性
帰還量 (1+Aβ)≈ 𝑨βこれが精度や歪の改善に寄与する
回路設計では、この帰還量が必要な精度を満たす様に設計帰還量60dBだと0.1%精度0.01%精度必要なら帰還量は80dB確保
周波数2倍で-6db減衰周波数10倍で-20dB減衰
負帰還:オープンループゲインが及ぼす精度
14
1M100K10K1K100101
0
-1.0
+40
+100
+120
ゲイン誤差(%
)
-0.5
ゲイン(d
B)
拡大
オープンループゲイン120dBと100dBオペアンプ(ユニティゲイン周波数は1MHzで同じ)クローズループゲイン20dB(x100)としたときの、ゲイン精度をシミュレーションAOL=120dBオペアンプではゲイン誤差0.01%,AOL=100dBオペアンプではゲイン誤差0.1%
𝐀𝐎𝐋 = 𝟏𝟐𝟎𝐝𝐁
𝟏0𝟎𝐝𝐁
𝐀𝐂𝐋 = 𝟒𝟎𝐝𝐁(𝐱𝟏𝟎𝟎)
𝐀𝐎𝐋 = 𝟏𝟎𝟎𝐝𝐁 クローズループゲイン精度
シミュレーション
負帰還:ノイズゲインと信号ゲイン
15
信号ゲイン=1+R2/R1
信号ゲイン=-R2/R1
信号ゲイン=-R2/R1信号ゲイン=-R2/R3
信号ゲイン=-R2/R1
ノイズゲイン=1+R2/R1
ノイズゲイン=1+R2/R1
ノイズゲイン=1+𝐑𝟐
𝐑𝟏∕∕𝐑𝟑
ノイズゲイン=1+𝐑𝟐
𝐑𝟏∕∕𝐑𝟑
・Vin入力に対するVout出力へは
信号ゲインで決まる
・電圧ノイズやオフセット電圧は
ノイズゲインで決まる
・負帰還の安定性に寄与するβは
ノイズゲインによる
・非反転増幅器では、信号ゲインと
ノイズゲインは同じ
・反転増幅器では、信号ゲインと
ノイズゲインが異なる
・負帰還回路で(D)の様にR3追加すると
帰還の安定性は向上するが
精度劣化、雑音増加、
オフセット電圧誤差増加を伴う
参考 Op Amp Applications :Analog Devices
(A)非反転増幅
(C)反転加算増幅
(B)反転増幅
(D)位相補償でR3追加
Vin
Vout+-
Vin1
Vin2
Vout
R1 R2
R1
R2R3
+
-
Vin
Vout
R1
R2R3
+-
Vin Vout
R1 R2
+-
信号ゲイン:入出力間の信号ゲイン
ノイズゲイン:帰還量を決め、精度を決める
非反転増幅では
信号ゲイン=ノイズゲイン
実際のオペアンプオープンループゲイン直線性
16
入力30μV
出力20V
8μV-27%
高精度オペアンプOP177のオープンループDC直線性の例・オープンループゲイン
AOL≒20V/30μV=6.67x105=116dB
・±10V出力における、エンドポイント
法での最大非直線性誤差は
約27%もある。
図はOP177データシート Analog Devices
・オープンループ直線性があれば簡単にゲイン補正で精度維持可能
・実際のオペアンプにおけるオープンループゲインは非安定性、非直線性が数十%にも及ぶ
原因は温度、負荷、電源電圧、信号レベル依存性ほか様々
・このため負帰還で必要精度を確保するには帰還量1+Aβが必要
入力
出力
オペアンプの出力インピーダンス特性
17
シミュレーションオペアンプAol特性
100dB
0dB1MHz10Hz
負帰還を施したオペアンプの出力インピーダンス
A
+
-
オープンループ
出力抵抗Ro
オペアンプはオープンループで数十~数百Ωの出力抵抗がある。
負帰還をかけると、出力インピーダンスは帰還量だけ改善(出力インピーダンスが低下)
Zo
𝒁𝒐 ≈𝑹𝒐
𝑨𝜷
オープンループ特性が周波数特性を持つので、周波数高くなると帰還量が減り出力インピーダンスは高なる。
Aβが80dBあればRoが𝟏
𝟏𝟎𝟒倍される
10 100 1K 10K 100K 1M 10M
100
10
1
100m
10m
1m
出力
イン
ピー
ダン
スZo
(Ω
)
周波数 (Hz)
出力インピーダンス特性(シミュレーション)
・非反転バッファ・オープンループゲイン100dB・ユニティゲイン周波数1MHz・オープンループ出力抵抗100Ω
オペアンプの入力インピーダンス特性
18
オープンループ入力抵抗Rin=100KΩとした時の、入力インピーダンス特性(シミュレーション)
シミュレーションオペアンプAol特性
100dB
0dB1MHz10Hz
負帰還によりバイポーラ入力オペアンプの入力抵抗を理想に近づける
オープンループ入力抵抗値が、負帰還効果でAβ倍される。
A
+
-Zin
𝑍𝑖𝑛 = 𝐴β Rin
オープンループ特性が周波数特性を持つので、周波数高くなると帰還量が減り入力インピーダンスは低くなる。
Aβが80dBあればRinが104倍される
100k
1M
10M
100M
1G
10G
0dB20dB
1M100k10k1k10010
𝐀𝐂𝐋 = 𝟒𝟎𝐝𝐁
周波数 (Hz)
入力
イン
ピー
ダン
ス(Ω
)
負帰還:負帰還系の安定性に留意
19
・一般的な汎用オペアンプは、単一極のみを持つ一次特性に内部位相補償されている。
このため、x1~Aolまでのクローズループゲインにおいて、安定して使用可能(発振しない)
・オープンループ特性に2つ以上の極を持つと、クロズーループゲンイをx1からfp2の範囲で使用
すると発振。fp1~fp2の範囲で使用すれば負帰還の系は安定。
クローズループゲイン
全て範囲で負帰還系は安定
この範囲だと不安定(発振)
この範囲だと安定
周波数(Log) 周波数(Log)
fp1 fp1
fp2
オー
プン
ルー
プゲ
イン
(dB
)
オー
プン
ルー
プゲ
イン
(dB
)
-6dB/oct(-20dB/dec)
-6dB/oct(-20dB/dec)
-12dB/oct(-40dB/dec)
00
0
AOL AOL
ACL
ACL
2つの極(時定数)を持つ負帰還
20
2つの極(時定数)を持つオペアンプ回路において、2つ目の極をfp2とすると
・クローズループゲインACLをfp2以上とすると不安定
・ACLがfp2だと、周波数特性上に+3dBのピーク発生(位相余裕45度)
・ACLを1/fp2以下とすると、ピークの発生はほとんどない(位相余裕60度)
・fp2の極が不安定性に影響する低いACLで使用する場合は、位相補償を行う
極-ゼロ補償や、fp1を低い周波数に移すなど
fp1に極を持つオペアンプ
Ro
CL
負帰還
+
-
RoとCLによるfp2
2つの極(時定数)が出来る例
負荷容量
AOL
ACLfp2
fp1
-6dB/oct(-20dB/dec)
-12dB/oct (-40dB/dec)
fC < fp2/2
周波数 (Hz)
クローズループゲインACLをこの範囲で使用する
クローズループゲインACLをこの範囲で使用すると不安定
ゲイ
ン(d
B)
オペアンプの主な仕様
21
入力特性 主な単位 AC動的特性 主な単位
入力オフセット電圧 (Vos) mV ゲインバンド幅積 (GBW) MHz
オフセット電圧ドリフト (dVos/dT) μV/℃ フルパワーゲインバンド幅 (FPBW) MHz
入力バイアス電流 (Ib) nA スルーレート (SR) V/μs
入力オフセット電流 (Ios) nA 高調波歪み (HD2,HD3) %
同相入力電圧範囲 (Vcm) V 全高調波歪み+雑音 (THD+N) %
同相信号除去比 (CMRR) dB セトリング時間 (ts) μs
オープンループループゲイン (Aol) dB
入力インピーダンス (Zin) kΩ//pF 雑音特性
入力電圧雑音 (En:0.1~10Hz) μV/p-p
出力特性 等価入力電圧雑音密度 (en) nV/ HZ
出力電圧範囲 (Vo) V 等価入力電流雑音密度 (in) nA/ HZ
最大出力電流 (Io) mA
短絡電流 (Is) mA 電源特性
出力インピーダンス (Zo) Ω 電源電圧 (Vs) V
最大容量負荷 (Cload) pF 静的電源電流 (Is) mA
電源電圧変動 (PSRR) dB
代表的なオペアンプ仕様
オペアンプの仕様を理解しよう
入力オフセット電圧・バイアス電流・オフセット電流
22
入力オフセット電圧は、オペアンプ入力段を構成する
2つのトランジスタ(差動回路)のベース-エミッタ間電圧
Vbe差により発生。
FET入力オペアンプでは差動構成FETのゲート-ソース間
電圧Vgs差により発生。
入力バイアス電流は、入力トランジスタのベース電流.
FETではゲート電流は、ほとんど無視できる。
入力オフセット電流は、+入力と-入力の
入力バイアス差 Ios=Ib(+)-Ib(-)
入力オフセット電圧
Vos
Ib+
Ib-入力バイアス電流 A
+
-
2I
I I
Q1 Q2
FET入力オペアンプ入力部
+
-
𝑉𝑂𝑆 = 𝑉𝑔𝑠1 − 𝑉𝑔𝑠2
入力オフセット電圧2I
I I
Q1 Q2
バイポーラ入力オペアンプ入力部
+
-
Ib+
Ib-
𝑉𝑂𝑆 = 𝑉𝑏𝑒1 − 𝑉𝑏𝑒2
入力オフセット電圧
入力バイアス電流
入力バイアス電流はpA
Differential pair
入力オフセット電圧・バイアス電流・オフセット電流の影響
23
オペアンプの入力オフセット電圧Vosおよび入力バイアス電流Ibの影響を計算
出力換算オフセット誤差(RTO)=Vos 1 +𝑅2
𝑅1+ {𝐼𝑏+ ⋅ 𝑅3 1 +
𝑅2
𝑅1} − (𝐼𝑏− ⋅ 𝑅2)
入力換算オフセット誤差(RTI)=𝑉𝑂𝑆 + 𝐼𝑏+ ⋅ 𝑅3 − 𝐼𝑏−𝑅1∙𝑅2
𝑅1+𝑅2
ただし 𝑅3 =𝑅1∙𝑅2
𝑅1+𝑅2ならば 入力換算オフセット誤差(RTI)=𝑉𝑂𝑆
ノイズゲイン=𝟏 +𝐑𝟐
𝐑𝟏
Vin1に対する
信号ゲイン=𝟏 +𝐑𝟐
𝐑𝟏
Vin2に対する
信号ゲイン=−𝐑𝟐
𝐑𝟏
+
-
入力オフセット電圧
入力バイアス電流
Refer to output
Refer to input
FET入力オペアンプの入力バイアス電流
24
FET入力オペアンプの入力バイアス電流はバイポーラ入力タイプに比べ極めて低い
FETゲート電流は、周囲温度+自己発熱により大きく影響され、10度で2倍増加する。
また入力レベル(CMV:同相電圧)によりバイアス電流が変化する。
高インピーダンス部分の高精度回路設計では要注意。
汎用FET入力オペアンプ(LF412)入力バイアス電流
約50pA汎用FET入力オペアンプ(LF412)入力バイアス電流温度特性
高速・高精度FET入力オペアンプ(OP627)入力バイアス電流
TIデータシートより
100
80
60
40
20
01050-5-10
同相(入力)電圧 (V)
入力バイアス電流(PA
)
1p
10p
100p
1n
10n入力バイアス電流(A
)
-50 50 1000
温度 (℃)
-50 50 1501000接合部温度 (℃)
1p
10p
100p
1n
10n
0.1p
入力バイアス電流(A
)
OPA627入力バイアス電流温度特性
1.0
1.1
1.2
0.9
0.80 15-15
同相(入力)電圧 (V)
入力バイアス電流(
倍率)
オープンループゲイン特性
25
汎用タイプLF412オープンループゲイン
AOL=106dB
高精度タイプOP177オープンループゲイン
AOL=140dB
ビデオ用高速タイプAD8045オープンループゲイン
AOL=63dB
TIおよびADIデータシートより
・DCにおけるオープンループゲインAOLは
汎用オペアンプで約106dB,高精度タイプで120dB以上、ビデオ用で約60dB
・基本的には1次特性(-6dB/oct,-20dB/dec)になっており、0dBのクローズループで
使用しても安定となるように内部位相補償されている
・広帯域オペアンプではx2やx10以上で安定となるように内部位相補償してある品種もある
100
0
80
60
40
20
120
1M10K1001
利得(d
B)
周波数 (Hz)
0
80
40
120
140
1M10K10010.01周波数 (Hz)
利得(d
B)
0
20
40
60
1G10M100K 1M 100M
0
-90
-180
-270
-360
位相
ゲイン
利得(d
B)
位相(d
eg)
Open loop gain
同相信号除去(CMRR)特性
26
オペアンプの入力電圧が変化すると
同相信号除去特性(CMRR)を受け
入力部での誤差要因となる。
・非反転増幅回路で影響
・反転増幅回路では影響受けない
反転、非反転入力が≒0Vのため
・CMRRは周波数特性を有する
オープンループ(AOL)に似た特性
非反転増幅器では、必ずCMRR特性による精度劣化を伴う
高精度オペアンプのCMRR特性例
100K10K1K10010
150
140
130
120
110
100
90
80
CM
RR
(dB
)
周波数 (Hz)
OP177
Common mode rejection ratio
ADIデータシートより
非反転増幅におけるCMRRによる誤差
A+
-CMRR=100dBとすると
CMRRによる誤差
105
入力レベル(CMV)により変化するCMRRおよびオフセット誤差
27
・入力電圧(CMV)範囲において、CMRR特性が
変化するオペアンプがある。
・特にCMOSオペアンプRail to Rail特性に注意
・(+)入力と(-)入力でCMRRが相違
・ある入力レベルの所でCMRRに段差を生ずる
・入力同相電圧で入力バイアス電流が変化
するオペアンプがある。
入力同相電圧でCMRR特性が変化するオペアンプ例
CMRR
http://www.rohm.co.jp/web/japan/news-detail?news-title=2015-07-30_article_opamp&defaultGroupId=fa_1
Common mode voltage
電源電圧変動(PSRR)
28
PSRRは電源電圧の変動がオペアンプ出力に及ぼす影響。
・PSRRは周波数特性を有する。オープンループゲイン特性と近い特性
・高い周波数でのPSRRが悪くなるので、最適なパスコンによるデカップリングが重要
オペアンプ電源にスイッチング電源使用するとスイッチング雑音がオペアンプ出力に重畳される
1M10K1001
140
120
100
80
60
40
20
0
周波数 (Hz)
PSR
R (
dB
)
OP177
オペアンプのPSRR特性例
Power supply rejection ratio
OP177データシート Analog Devices
電源ピンは“入力信号ピン”と考えよ
電源ピン 0.1μFセラコン
100μF~電解コンデンサ
電源入力
+V
-V
数十μF電解コンデンサ
数十μF電解コンデンサ
~5cm
100μF~電解コンデンサ+
+
+
+
A
ノイズ特性:オペアンプ電圧ノイズと電流ノイズ
29
等価入力電流ノイズ密度電流ノイズは1Hzあたりの密度で表す
𝑖𝑛=pA/ 𝐻𝑍 またはnA/ 𝐻𝑍
オペアンプ雑音は、fc周波数より高い周波数
では、フラットなノイズ特性(ホワイトノイズ)
特性を有する。
fc以下では、1/fの周波数特性でノイズが
増加する1/fノイズ特性を有する。
またオペアンプは電圧性ノイズと電流性ノイズ
がスペックされる。
ノイズは1Hzあたりの密度で定義される
等価入力電圧ノイズ密度電圧ノイズは1Hzあたりの密度で表す
𝑒𝑛 = 𝑛𝑉/ 𝐻𝑍
周波数 (Hz)
雑音密度
nV/ 𝑯𝒁
k
fC
𝟏
𝒇コーナ周波数
-3dB/octave
𝑒𝑛 = 𝑘 𝑓𝑐1
𝑓1/fノイズ
ホワイトノイズ
+~等価入力ノイズ電圧密度
en
In+
In-
等価入力電流ノイズ密度
+
抵抗から発生するノイズは大きい
30
全ての抵抗は次式で表される熱雑音enを発生する。
抵抗値が大きくなるとノイズが増加し、また温度が上昇してもノイズが増加する
R:抵抗値 (Ω)
T:絶対温度 T(K)=T(℃)+273
B:ノイズ帯域(Hz)
K:ボルツマン定数 (1.38 x10-23 J/K)
27℃において
・50Ωの抵抗は0.9nV/ 𝐻𝑍
・1KΩの抵抗は4nV/ 𝐻𝑍
・10KΩの抵抗は12.7nV/ 𝐻𝑍のノイズを発生
オペアンプ用いたノイズ設計では、
・オペアンプ電圧ノイズ、電流ノイズ
・抵抗熱雑音(結構大きい)
・ノイズは周波数帯域の関数
に留意した設計を行うこと
𝒆𝒏 = 𝟒𝒌𝑻𝑩𝑹 (𝑉𝑟𝑚𝑠/ 𝐻𝑍)抵抗の熱雑音
1
0.1
10
100
1000
雑音
電圧
密度
(nV
/𝑯𝒁)
抵抗値 (Ω)1 10 100 1K 10K 100K 1M
27℃
ノイズ帯域とrms/p-pノイズ
31
ノイズ計算するときの帯域はノイズ帯域。一次特性の(-3dB)帯域とは異なる。
rmsとp-pノイズの関係
ノイズ計算はrms実効値で計算される。
rms実効値とp-p雑音の関係は
ノイズがガウシアン分布と仮定し、
一般的に p-p≈6.6 x rms で扱われる
p-p値左記p-pを外れる確率
2 x rms 32%
3 x rms 13
4 x rms 4.6
5 x rms 1.2
6 x rms 0.27
6.6x rms 0.10
7 x rms 0.046
8 x rms 0.0006
ノイズ帯域
-6dB/oct一次特性
ノイズ帯域の定義
fp fe
ゲイン(d
B)
周波数
𝑓𝑒 =π
2𝑓𝑝=1.57𝑓𝑝
-3dB帯域
ノイズ特性:rmsノイズの計算
32
rmsノイズは周波数の関数。周波数帯域広ければrmsノイズは増加する
周波数帯域(fL~fH)の Vn rmsノイズは、
1/fノイズ
𝑽𝒏 𝒓𝒎𝒔 = 𝑽nw 𝒇𝑪 𝐥𝐧𝒇𝑪
𝒇𝑳+ 𝒇𝑯 − 𝒇𝑪
ホワイトノイズ電圧密度nV/√Hz
ホワイトノイズ
NJM5532(NJRC)
1/fノイズコーナー周波数fc=10Hz
Vnwホワイトノイズ
1/fノイズ
オペアンプ入力換算電圧雑音特性例
計算例:
𝒇𝐋 = 𝟎. 𝟓𝐇𝐳, 𝒇𝐇 = 𝟏𝐊𝐇𝐳, 𝒇𝐂 = 𝟏𝟎𝐇𝐳,
𝑽𝒏,𝒓𝒎𝒔 = 𝟏𝟔𝟎𝒏𝑽 𝒓𝒎𝒔
𝑽𝒏,𝒑−𝒑 = 𝟔. 𝟔𝒙𝟏𝟔𝟎𝒏𝑽𝒓𝒎𝒔
= 𝟏. 𝟎𝟔μ𝑽𝒑 − 𝒑
𝐕𝐧𝐰 = 𝟓𝐧𝐕/ 𝐇𝐙
DC計測以外では、rmsノイズはホワイトノイズが支配項となる
NJRCデータシート
オペアンプノイズ特性例
33
・入力電圧ノイズ特性において、バイポーラ入力タイプはFET入力タイプより低ノイズ
バイポーラ入力低雑音オペアンプでは、1nv/ 𝑯𝒁以下の低ノイズタイプもある
1nv/ 𝑯𝒁は50Ω抵抗で発生する熱雑音レベル
・FET入力低ノイズオペアンプでは5nv/ 𝑯𝒁程度
・ FET入力タイプの1/f ノイズはバイポーラ入力に比べて大きく1/f コーナ周波数も高い
fcコーナが約100Hzでen≒0.9nV/√Hz fcコーナが約10KHzで
en≒1nV/√Hz
FET入力タイプは1/fコーナがブロード
FET入力低雑音タイプOPA627
1M10K10011
10
100
周波数 (Hz)
入力電圧雑音密度(n
V/√H
z)
バイポーラ低雑音タイプAD797
100 10K 1M0
1
2
3
4
周波数(Hz)
入力電圧雑音密度(n
V/√H
z)
バイポーラ高速タイプAD8099
1M 100M10K10011
10
100
1000
入力電圧雑音密度(n
V/√H
z)
各オペアンプデータシート Analog Devices およびTI
オペアンプ増幅器におけるノイズ計算
34
50Ω抵抗熱雑音
1KΩ抵抗熱雑音
1KΩ抵抗熱雑音
オペアンプ電圧雑音
オペアンプ電流雑音
オペアンプ電流雑音
出力換算雑音 雑音源
Op Amp Applications :Analog Devices
ノイズゲイン
50Ω信号源、オペアンプ非反転増幅器(x2)、オペアンプ等価入力電圧雑音密度5nV/√Hz,
等価入力電流雑音密度2pA/√Hz、オペアンプ帯域180MHz(-3dB)としたときの出力雑音rmsを計算。
各要素雑音を2乗加算し平方根
オペアンプ:ゲイン帯域幅積(GBW)
35
オペアンプのオープンループゲイン特性AOLが一次特性(-6dB/oct)とし、
小信号ユニティゲインfu(オープンループゲインがx1=0dBとなる周波数))とすると、
各クローズループゲインG(正確にはノイズゲイン)とカットオフ周波数fcの積が等しい
𝑮𝟏𝒇𝑪𝟏=𝑮𝟐𝒇𝑪𝟐=𝒇𝑼
例えばユニティゲイン周波数1MHz
(GBW=1MHz)のオペアンプで、
20dBゲイン(x10)増幅器構成すると
-3dB周波数帯域は100KHz
40dBゲイン(x100)増幅器構成すると
-3dB周波数帯域は10KHz
ただし小信号時
Gain bandwidth product
ゲイン(d
B)
AOL オープンループゲイン特性-6dB/oct (-20dB/dec)
fc1 fc2 fu
ACL2
ACL1ノイズゲインG1
ノイズゲインG2
G= 1 +𝑅2
𝑅1
周波数(Hz) 1M100K10K
x100
x10
x1
スルーレートとフルパワーバンド幅
36
スルーレート(SR)とは出力電圧の最大変化率の事
通常v/μsで表す。
・バイポーラ汎用オペアンプでは数V/μs
・FET汎用オペアンプでは十数V/μs
・ビデオ用高速オペアンプでは数百V/μs
オペアンプのフルパワーバンド幅(FPBW)は
アンプの最大フル振幅を 2Vp とすると
サイン波の最大スルーレート(傾き)は
(dV/dt)max=2πfVp
(Hz)
計算例スルーレートSR=10V/μs,振幅Vp=10V(20Vp-p)
FPBW=𝑺𝑹
𝟐𝝅𝑽𝒑=
𝟏𝟎(𝑽
𝝁𝒔)
𝟐𝝅×𝟏𝟎= 𝟏𝟓𝟗 (𝑲𝑯𝒛)
Slew rate & Full power bandwidth
入力波形Ein
出力波形Eout
スルーレートで歪んだ波形
NECデータブック
小信号ユニティ帯域が3MHzあっても、FPBWは159KHz
Ein
EoutA
ボルテージフォロワー
オペアンプ:全高調波歪(THDとTHD+N)
37参考 Op Amp Applications :Analog Devices
THD+N = 𝑉2
2+𝑉32+𝑉4
2+ ...+𝑉𝑛2+𝑉𝑛
2
𝑉𝑆*100 (%)
THD = 𝑉2
2+𝑉32+𝑉4
2+ ...+𝑉𝑛2
𝑉𝑆∗ 100 (%)
Vs:信号振幅 (Vrms)
V2:2次高調波歪 (Vrms)
Vn:n次高調波歪 (Vrms)
Vn:測定帯域での全ノイズ (Vrms)
全高調波歪THDは信号振幅(Vrms)と、n次までの高調波歪成分(Vrms)の比。%かdBで表現。
一般的には5次高調波成分まで計算されることが多い。
高調波歪は2次歪みと3次歪成分が支配項。
THD+Nでは、高調波歪と雑音の合算と信号振幅の比で計算。ただしDC成分は除く
Total harmonic distortion
THD =20Log 𝑉2
2+𝑉32+𝑉4
2+ ...+𝑉𝑛2
𝑉𝑆(𝑑𝐵)
または
THD+N =20Log 𝑉2
2+𝑉32+𝑉4
2+ ...+𝑉𝑛2+𝑉𝑛
2
𝑉𝑆(dB)
または
各オペアンプのオーディオ帯域THD+N特性の例
38
NE5532 (NJRC):汎用オーディオ用
Gain=+10,RL=10kΩ
出力電圧 (Vrms)
-80
-100
-120
(dB)
20KHz
1KHz
20Hz
LME49990 (TI) 超低歪みオペアンプ
-80
-100
-120
-140
(dB)
Gain=1相当
AD797 (ADI) 超低ノイズ産業用
Gain=+10RL=600Ωf=10KHz
0.001
0.01
0.1
0.0001
(%) OPA627 (TI) FET入力産業用-60
-80
-100
-120
-140
(dB)
TI,およびADIデータシートより
セトリング特性
39
・セトリング時間は、最終収束値の規定誤差範囲に収まるまでの時間
・最終収束値の0.1%または0.01%に収まるまでの時間で規定される場合が多い
・高速/高精度なセトリング時間を測定するには高度な測定ノウハウが必要。・セトリング特性にロングテール特性を有するものがあるので注意
位相補償方法や熱的な結合などにより発生
高速オペアンプのセトリング特性例AD8099
+0.1%
-0.1%
Settling time
AD8099データシート Analog Devices
出力
0 時間
セトリング時間
回復時間立上り時間不感時間
セトリング時間仕様の誤差幅
参考 Op Amp Applications :Analog Devices
セトリング特性:周波数特性ピーク発生とパルス特性オーバシュート
40
パルス特性上でのオーバシュート
周波数特性上でのピーク
周波数 (Hz)
ゲイン(d
B)
周波数特性上での位相余裕量とピーク量
規格化ゲイン(d
B)
規格化周波数 (Hz)
位相余裕 30度
-3dB
Operational Amplifier Analog Devices
広帯域化かセトリング特性重視かで、最適な位相補償方法が異なる
一次特性に位相補償されたオペアンプがセトリング特性に有利
41Application Report JAJA206 高速データ変換 TI
きれいな一次特性-6dB/oct
高精度なセトリング特性は、一次特性が優れる
一次特性セトリング時間
誤差 時間
1% 4.6τ
0.1% 6.9τ
0.01% 9.2τ
10ppm 11.6τ
1ppm 13.8τ 周波数特性
最終値
時間τ
63%
100%
0
時定数 τ=CR
RC~
Vin Vout
セトリング特性:ロングテールの発生
42
オペアンプの位相補償回路において、
極-ゼロがミスマッチしていると、過渡応答に
“ロングテール”と呼ばれる長い時定数を持つ
セトリング項が形成される
高精度セトリング特性の劣化 Long tail
セトリング特性
セトリング特性にテール(段差)が生じる
Application Report JAJA206 TI
ω0 ω1 ω1’
ゼロ点
極(ポール)
極(ポール)
極-ゼロ補償のBode線図例
極-ゼロ位相補償で段差生じやすい
周波数
ゲイン(dB)
時間
出力電圧
オペアンプの出力位相反転
43
入力が許容コモンモード電圧範囲を外れた場合、反転入力と非反転入力の機能が
入れ替わり、出力が反転する現象。古いタイプのFET入力オペアンプなどで見られる。
Analog Devices AN-849
位相反転を生じないCMOSオペアンプ例OPAx172シリーズ TI
オペアンプの位相反転例
OPAx172データシート TI
出力位相反転せずに飽和するのみ
位相反転なし、過大入力保護内蔵オペアンプ例
44
ADA4096オペアンプオペアンプ内蔵の過大入力保護用に、シリーズ抵抗に替え
てFETを使用。過大電圧により等価ON抵抗が増加する。
過大電圧0Vでは4.5KΩが、30Vでは22kΩに増加。
±40Vの過大同相入力電圧印加しても、位相反転を
生じない。
ADA4096オペアンプデータシート ADI
過大入力印加時の入力バイアス電流
ADA4096
入力±40V
出力±10V
オペアンプ電源±10Vの時
ADA4096
オペアンプのEMI除去比:EMIRR
45AN-1689 TI
EMI対策オペアンプ
一般的なオペアンプ
携帯電話などのRF電磁波(数百M~数GHz)が
オペアンプに入力されると、RF信号がオペアンプ内
部の非線形性要因で検波され、オペアンプ出力に
オフセット電圧誤差として現れる。
最近のオペアンプでは入力にEMI対策がされている
タイプもある。
携帯電話など
オペアンプ出力
最近のCMOSオペアンプEMI特性(OPAx172)
OPAx172データシート TI
Electromagnetic interference rejection ratio
両電源(デュアル電源)オペアンプ
46
両電源(デュアル電源)オペアンプでは、プラスとマイナスの2種類の電源を使用する。一般的には、±15Vまたは±5Vがよく使われる。単一電源でも、プラスとマイナスの電源電圧が異なっても問題ない。
両電源動作における信号振幅範囲
+V
-V
+V +V
-V -V
GND
GND
電源電圧が異なる両電源GNDレベルが中心ではない
電源電圧が同じ両電源GNDレベルが中心
パスコンは+V,-Vにそれぞれ接続
信号振幅を最大限利用できる
マイナス側での信号振幅が制限される
単電源オペアンプ
47
単電源動作における信号振幅範囲
プラスの単一電源
+V
+V
GND
マイナスの単一電源
GND
-V
-V
両電源(デュアル電源)での使用もOK
+V
-V
+V
-V
GND
+V
+V/2
単電源での一般的使用方法(AC結合アンプ)
単電源オペアンプ
4848
単電源オペアンプ特長
・一電源のみでOK
・一般的に低消費電力
・バッテリ駆動ポータブル機器用などに適する
単電源オペアンプ設計上の留意点
・信号振幅が小さくなるので誤差の影響が大きくなる
オフセット電圧、バイアス電流、有限なオープンループ利得、雑音など
・一般的に、ノイズの多いデジタル電源が使用される事が多いのでPSRRに要注意
・扱う振幅からRail-to-Rail入力&出力特性が必要とされることが多い
・デュアル電源オペアンプに比べて一般的に精度が劣る。必要精度を吟味
・多くのオペアンプでは単電源動作での仕様もデータシートに提示している。
ただしGNDおよび電源電圧近傍のRail-to-Rail特性についての仕様に注意
レール・ツー・レール オペアンプ
49
信号振幅が電源電圧(+Vcc~GNDまたは+Vcc~-Vcc)範囲まで扱えるオペアンプを
Rail-to Railオペアンプと呼ぶ。
Rail to rail Op amp
汎用両電源オペアンプ 汎用単電源オペアンプ
GND
+V
-V GND
+V
この範囲使用NG
Rail to railオペアンプ
GND
+V
GND~+V範囲で使用可能
+V
GND
+V入力rail to rail
GND
+V出力rail to rail
入力rail to rail、出力rail to rail および入出力rail to railタイプがある
2個入り、4個入りオペアンプ
50
AD822(dualタイプ)のクロストーク
2個入り(Dualタイプ)、4個入り(Quadタイプ)オペアンプでは
チャンネル間クロストーク(チャンネル間セパレーション)に注意
・1KHzで約-130dB,100KHzで約ー95dBのクロストーク発生。
・DC応用では問題ないがビデオ帯域では注意必要
・発熱変動(負荷電流変化)大きい所での使用は注意。(熱帰還影響)
・経験的に4個入りのスペースフアクターはあまり高くない。デュアルタイプが使いやすい。
NEC産業用リニアICハンドブック
-80
-70
-90
-100
-110
-120
-130
-1401M100k10k1k
周波数 (Hz)
クロ
スト
ーク
(dB
)
100K10K1K10010
150
100
50
0
周波数 (Hz)
チャ
ンネ
ルセ
パレ
ーシ
ョン
(dB
)
Analog Devicesデータシート
デュアルタイプ 汎用オペアンプチャンネルセパレーション uPC458
汎用オペアンプの選択
51
タイプ 用途概要 特性概要 価格汎用 12ビット精度以下での オープンループゲイン約100dB 数十円
DCからオーディオ応用 入力オフセット電圧数mV周波数帯域(BW) 約1MHzスルーレート1V/μsから10V/μs程度
高精度 14ビット精度以上での オープンループゲイン 120dB以上 100円以上おもにDC回路応用 入力オフセット電圧数1mV以下
温度特性(温度ドリフト)1μv/c以下高速 数MHz以上を扱う オープンループゲイン60-80dB
ビデオ信号応用 周波数帯域(BW) 数十MHz 数百円スルーレート数百V/μsec
タイプ 利点 欠点バイポーラ入力 汎用(低価格) 入力バイアス電流
高精度化しやすい 入力抵抗低い(オープンループ)スルーレート低い(FET比較)
FET入力 高入力インピーダンス DC特性がバイポーラに比べ悪い低入力バイアス電流 ノイズ特性がよくない高いスルーレート バイポーラタイプより高価
チョッパ入力 極めて低い温度特性 チョッパノイズが発生安定度が極めて高い 周波数特性よくない(DC応用が主)オープンループゲインが大きい
CMOS 極めて低い消費電力 DC特性があまり良くないノイズ特性がよくない
アーキテクチャ 利点 欠点電圧帰還型 汎用で品種おおい クローズループゲインで周波数特性
いかなる演算回路も可能 が大きく影響される電流帰還型 高周波特性が良い 汎用的に使用できない
クローズゲインで周波数特性 (例えば積分回路など)があまり影響しない DC特性があなり良くない
その他の選択要素
・1個、2個、4個入りか
・単電源かデュアル電源か
・電源電圧
・消費電力
・入手性(セカンドソースあるか)
・形状、パッケージ
・コスト
電圧帰還(VFB)オペアンプ
52
電圧帰還オペアンプ電圧帰還オペアンプ・一般的なオペアンプアーキテクチャ
・二つの入力が高入力抵抗で
電圧入力として使用
・出力から反転入力に負帰還が
施こされ、反転入力の電圧が
非反転入力と等しい電圧に制御される
特徴:
・種々の演算回路(積分や微分回路他)
に使用できる。
・クローズループゲイン(使用ゲイン)が
高くなると周波数特性悪くなる
周波数特性は(1+𝑅2
𝑅1)で決まる。
+
-
Vin
Vout
入力抵抗=∞
入力抵抗=∞
R1
R2
v≈ 𝟎𝒗𝑨(𝒔)v
𝑽𝑶𝒖𝒕
𝑽𝒊𝒏= 𝟏 +
𝑹𝟐
𝑹𝟏
𝟏
𝟏+𝟏
𝑨 𝑺 𝜷
A(S):オープンループゲイン
Voltage feedback Op amp
電圧帰還型汎用オペアンプ構成
53
NE4558
ロームApplication Note
差動増幅 エミッタ接地増幅
Cc
2I
電圧帰還型汎用オペアンプは
差動増幅+エミッタ接地増幅+出力段から
構成されている。
差動増幅+エミッタ接地の2段増幅回路
で約106dBのオープンループゲンを確保。
エミッタ接地増幅器の入出力間に接続
されたコンデンサCcにより、一次特性に
位相補償されている。
スルーレートは差動回路の動作電流(2I)と
位相補償容量Ccにより決定される。
オープンループゲイン特性
NE4558
1M
電圧帰還オペアンプのアーキテクチャによる選択
54
汎用オペアンプ:2段増幅構成
高精度オペアンプ:3段増幅構成
高速オペアンプ:1段増幅構成
低歪みオペアンプ:3段増幅構成
gm1
A1 +1
CCZL1
gm1
A1 A2 +1
ZL1 ZL2
A3
C1
C2
R1 gm1
A1 A2 +1
ZL1 ZL2
A3
ZL3
Ccミラー容量による一次特性に位相補償AOL=106dB
1段構成増幅のため高速。数百MHオペアンプAOL=60dB程度
3段構成増幅のため高オープンループゲイン複雑な位相補償。帯域は低いAOL=130~140dB
gm1
A1 A2 +1
CC
ZL1 ZL2
gm2
出力バッファ
3段構成増幅だが各段局部負帰還で直線性改善複雑な位相補償。オーディオ帯域での歪み向上AOL=100dB
複雑な位相補償セトリング特性は良くない
電圧帰還バイポーラ汎用オペアンプ
55
・μA741は1968年Fairchild社が開発した汎用オペアンプ
・RC4558は1970年中頃にレイセオン社がオーディオ用に開発
・NE5532/34は1980年前半にSignitics社が開発した、低歪みオーディオ用オペアンプ
これらオペアンプは、いまだに現役
・汎用オペアンプは各社からセカンドソースあり。ただし特性は各社異なり互換性には要注意
型番 開発もと 回路数入力タイ
プオープンループ
AOK(dB)入力オフセット
電圧 (V)入力バイアス
電流(A)入力雑音電圧V/Hz
入力雑音電流A/Hz
帯域(Hz)
スルーレート(V/μs)
備考
μA741 Fairchild 1 BJT 106 1m 80n 1M 0.5 歴史ある汎用オペアンプ
RC4558 Rayheon 2 BJT 110 0.5m 150n 8n 3M 1.7 汎用&オーディオ
RC4560 Raytheon 2 BJT 100 0.5m 40n 15M 5.5 4558の出力段強化
RC4580 Raytheon 2 BJT 110 0.5m 100n 5.5n 12M 5 4558性能向上
NE5532 Signetix 2 BJT 100 0.5m 200n 5n 0.7p 10M 9 特にオーディオ用
NE5534 Signetix 1 BJT 100 0.5m 500n 3.5n 0.4p 10M 13 特にオーディオ用
LF356 NS 1 JFET 106 3m 30p 15n 0.01p 5M 12 FET入力パイオニア
TL081/82/84 TI 1/2/4 JFET 106 3m 30p 18n 0.01p 3M 13 FET入力汎用
TL071/72/74 TI 1/2/4 JFET 106 3m 65p 18n 0.01p 3M 13 FET入力汎用
LF412 NS 2 JFET 106 1m 50p 25n 0.01p 4M 15 FET入力汎用
LM2904 NS 2 BJT 100 2m 25n 0.6M 0.5 単一電源
LM358 NS 2 BJT 100 2m 45n 1M 0.25 ローパワー
汎用オペアンプ仕様概要 仕様値はtyp
TI社データシートから
BJT:バイポーラ入力オペアンプFET:FET入力オペアンプ
汎用オペアンプの高調波歪み
56
シリーズ 型番 メーカ 歪み(%)
5532/34 NE5534P TI 0.00040 NE5532AP TI 0.00040
NJM5532DD NJRC 0.00077 NE5532N Signetics 0.00123
4500系 NJM4556ADD NJRC 0.00077
NJM4580DD NJRC 0.00094 UPC4570 NEC 0.00126
NJM4565D NJRC 0.00153 UPC4560C NEC 0.00210 RC4558P TI 0.00299 NJM4560DD NJRC 0.00421 NJM4558DD NJRC 0.00435
UPC4558C NEC 0.01450 2000系 NJM2068DD NJRC 0.00081
NJM2043DD NJRC 0.00086 NJM2041D NJRC 0.00180
741系 UPC741C NEC 0.00909
MC1741CP Motorola 0.04030 UA741CN STM 0.04160
データ http://blogs.yahoo.co.jp/denshiyorimichi/50206283.html
汎用/オーディオオペアンプ2次+3次歪み特性例周波数4KHz、負荷2.5KΩ、電源±15V
同一型番でも製造メーカ異なると、かなり歪み値が異なる。互換性に注意のこと
型番THD
1KHz(dB)THD
10KHz(dB)
NJM5532 -122 -117NJM4580 -120 -105
NJM4560 -117 -101NJM2082 -112 -94
NJM2114 -121 -115OPA627 -122 -113
LM833 -119 -105
LF356 -118 -90TL072 -108 -91
汎用オペアンプTHD測定例
高精度、低雑音オペアンプ
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世代 型番オープンループ
AOK(dB)入力オフセット
電圧 (V)オフセット電圧ドリフトV/℃
入力バイアス電流(A)
入力オフセット電流(A)
入力雑音電圧V/Hz
入力雑音電流A/Hz
帯域(Hz)
スルーレート(V/μs)
電源電流(A)
1st OP07 114 30μ 0.3μ ±1.2n 0.5n 9.6n 0.12p 600k 0.2 1.7m2nd OP77 142 10μ 0.1μ +1.2n 0.3n 10n 600k 0.3 1.7m3rd OP177 142 10μ 0.1μ +1.2n 0.3n 10n 600k 0.3 1.2m4th OP1177 130 15μ 0.2μ +0.5n 0.2n 7.9n 0.2p 1.3M 0.7 0.4m5th AD8677 140 45μ 0.5μ 0.2n 0.2n 10n 0.07p 600k 0.2 1.1m
6th AD4077 130 10μ 0.1μ -0.4n 0.1n 6.9n 0.2p 3.6M 1.2 0.4m
高精度オペアンプOP07系の進化 電源±15V、仕様はtyp値、Analog Devices
型番オープンループ
AOK(dB)入力オフセット
電圧 (V)オフセット電圧ドリフトV/℃
入力バイアス電流(A)
入力オフセット電流(A)
入力雑音電圧V/Hz
入力雑音電流A/Hz
帯域(Hz)
スルーレート(V/μs)
備考
OP27 125 10μ 0.2μ ±10n 7n 3n 0.4p 8M 2.8 初代低雑音
LT1028 150 10μ 0.2μ ±25n 12n 0.85n 1p 10M 15 高AOL
AD797 146 25μ 0.2μ 0.25μ 100n 0.9n 2p 110M 20 低ノイズ高速
OP627 120 40μ 0.4μ 1p 0.5p 5.2n 1.6f 16M 55 FET入力
低雑音オペアンプ 電源±15V、仕様はtyp値
製造メーカ:OP27(ADI),LT1028(LTC),AD797(ADI).OP627(TI)
ADI,LTC,TI各社データシートから
汎用と高精度との境は?
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分解能 1LSB相当
ビット数N
2N % FS ppm FS dB FS
2 4 25 250,000 -124 16 6.25 62,500 -246 64 1.56 15,625 -368 256 0.39 3,906 -4810 1,024 0.098 977 -6012 4,096 0.024 244 -7214 16,384 0.0061 61 -8416 65,536 0.0015 15 -9618 262,144 0.0004 4 -10820 1,048,576 0.0001 1 -12022 4,194,304 0.000024 0.24 -13224 16,777,216 0.000006 0.06 -144
分解能12bit程度までが汎用アナログ設計範囲、
それ以上の精度だと高精度アナログ設計領域
ppm=10−6 20𝐿𝑜𝑔1
2𝑁
汎用域
高精度域
高速オペアンプ(電圧帰還型)
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型番オープンループ
AOK(dB)入力オフセット
電圧 (V)オフセット電圧ドリフトV/℃
入力バイアス電流(A)
入力雑音電圧V/Hz
帯域(Hz)
スルーレート(V/μs)
最大電源電圧(V)
備考
AD8099 ADI 85 0.1m 2.3μ -6μ 0.95n 510M 1350 12.6 x5周波数帯域
AD8021 ADI 86 0.4m 0.5μ 7.5μ 2.1n 490M 120 24ADA4895 ADI 108 53μ 0.15μ -11μ 1n 236M 943 11 x10周波数帯域
ADA4898 ADI 103 20μ 1μ -0.1μ 0.9n 65M 55 36THS4211 TI 70 3m 40μ 7μ 7n 1G 970 15THS4304 TI 65 0.5m 5μ 7μ 2.4n 3G 830 6OPA836 TI 125 65μ 1μ 650n 4.6n 200M 200 5.5LM6171 TI 90 1.5m 6μ 1μ 12n 160M 3600 34 Quad Core
高スルーレートの得られるQuad Core型電圧帰還オペアンプ(LM6171)
+V
-V
Vout
(+)Vin
(-)VinRg
ADI,TI各社データシートから
ローパワーCMOSオペアンプ
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CMOSオペアンプの特長
・極めて小さい入力バイアス電流(pA~fAオーダ)特性と低消費電力
・低電源電圧および低入力バイアス電流を必要とするアプリケーションに最適
・一般的にRail to Rail入出力フルスイング動作を実現
入力および出力のダイナミックレンジをGNDから電源電圧までとることが可能
バイポーラオペアンプの特長
・高耐圧化が容易であり、広い動作電源電圧範囲が実現
・バイポーラデバイスはCMOSデバイスよりも素子のマッチング精度が優れDC精度が良好
・デバイス構造上入力バイアス電流(トランジスタのベース電流)が大きい
・素子単体の雑音特性はCMOSよりもバイポーラデバイスのほうが優れる
・音声信号を扱う用途や低雑音が望まれる分野に対してはバイポーラオペアンプが適する
最近の汎用CMOSオペアンプ:OPAx172
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CMOSオペアンプの欠点といわれた、精度、雑音、速度、高耐圧などの課題を克服したCMOSオペアンプが製品化。例えばOPAx172シリーズ(TI製)など
1ドル/個(1000個単位)
オープンループ特性 全高調波歪(THD)特性
OPAx172 データシート(TI)
・電源: +4.5 V to +36 V,±2.25 V to ±18 V 、電源電流:1.6mA/amp
・オフセット電圧: ±0.2 mV 、オフセット電圧ドリフト: ±0.3 μV/℃
・入力バイアス電流 : ±8pA、等価入力雑音: 7 nV/√Hz
・オープンループゲイン:130dB、同相電圧除去(CMRR): 120 dB
・ゲインバンド幅(GB積): 10 MHz 、スルーレート:10V/μs
・全高調波歪THD:0.00005%(-126dB) (1KHz)
・Rail to Rail入出力、EMI and RFI フィルタ入力
電流帰還(CFB)オペアンプ
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電流帰還オペアンプ(別名:トランスインピーダンス・オペアンプ)・ビデオ用途などの高速用オペアンプ回路として使われる
・非反転入力は高入力抵抗で電圧入力、反転入力は低入力抵抗(インピーダンス)で
電流入力。反転入力へは出力から電流で帰還され反転入力電流がゼロとなるように
制御される。結果的に反転入力電位は非反転入力電位に等しくなる。
・基本的に、増幅回路(反転増幅および非反転増幅)として使用される。積分回路などの使用は向かない。
広帯域、高スルーレート高速オペアンプ Current feedback Op amp
電流帰還オペアンプ
反転入力低インピーダンス
非反転入力インピーダンス=∞ +
-
+1
RO
VinVout
R1
R2
T(S)T(S):トランスインピーダンスゲイン
i
i𝑽𝒐𝒖𝒕𝑽𝒊𝒏
≈ 𝟏 +𝑹𝟐𝑹𝟏
𝟏
𝟏 +𝑹𝟐𝑻 𝒔
𝑹𝑶 ≪ 𝑹𝟏 , 𝑹𝟏 ≪ 𝑹𝟐 とすると
電流帰還オペアンプではR2をデータシート最適値に設定し、ゲイン設定はR1により決定すること。ゲインによる周波数特性劣化が防げる
電流帰還型オペアンプの構成
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電流帰還オペアンプは、非反転入力は高インピーダンス電圧入力に対し、反転入力は低インピーダ
ンス電流入力。反転入力に負帰還かけると、反転入力へ流れる電流がゼロとなるように系が働く。
反転入力端子電流I はA点でRT(トランスインピーダンス)にて電圧に変換される。RTは数百KΩ~数
MΩ。RTが高いほど高精度(電圧帰還型でのオープンループゲインAOLが高いことに相当)
非反転入力反転入力
A
トランスインピーダンス
(高入力インピーダンス)
(低入力インピーダンス)
Op Amp Applications :Analog Devices
電圧ノード
電流ノード
別名トランスインピーダンスオペアンプとも言われる。電流をトランスインピーダンスで電圧に変換する意味。
電流帰還型オペアンプのパイオニアはComlinear
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・電流帰還オペアンプ(CFA)は、HP技術者のNelsonが1980年に設立したComlinearが先駆者
・モジュール型、ハイブリッドIC型の電流帰還オペアンプを次々に開発
Comlinearは後にNSに買収された。
・厚膜ハイブリッドICで作られたCLC103の回路が、以降の各社電流帰還オペアンプの原型
CLC103仕様概要:
周波数特性:300MHz(4Vp-p)
85MHZ(20Vp-p)
スルーレート:6000V/μs
立上り時間:2ns(5Vp-p 10-90%)
セトリング時間:5ns(10Vstep 0.4%)
2次、3次歪み:-46dB(2Vp-p,
オペアンプ企業の栄枯盛衰
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発足企業名 途中名 現企業名 オリジナルオペアンプ 備考
Texas Instruments(TI) TI TL060/080/070シリーズ M&Aで幅広いレパートリ
National Semiconductor(NS) TI LMシリーズ(LM301など) モノリシックオペアンプの2大老舗
Burr Brown TI OPAシリーズ 産業用中心
Comlinear NS TI CLCシリーズ 電流帰還オペアンプのパイオニア
Raytheon TI RC4558など オーディオ用オペアンプ老舗
Analog Devices(ADI) ADI ADシリーズ 産業用中心
PMI ADI OP07/77/177など 高精度オペアンプ老舗
Computer Lab. ADI HOSシリーズ 高速オペアンプ
Linear Technology(LTC) ADI LTCシリーズ 高精度オペアンプ
Maxim ADI MAXシリーズ 高速オペアンプ
FairChild NS ルネサス μA709/741など モノリシックオペアンプ2大老舗
Harris ルネサス HA25シリーズ 誘電体プロセス使用高速オペアンプ
Intersil Onsemi ICLシリーズ ローパワー
Elantec Onsemi ELシリーズ 高速オペアンプ(Harris互換)
RCA Onsemi CAシリーズ 高速オペアンプ
Motrola Onsemi 汎用オペアンプ互換
Apex Cirrus Apex 高圧オペアンプ、パワーオペアンンプ
AMD (AM685/687コンパレータ) 汎用オペアンプ、高速コンパレータ
Philbrick(GAP/R) モジュール型オペアンプの老舗
Philips NXP 汎用オペアンプ
Signetics Philips NXP NE5532/34など オーディオオペアンプ
Thmson STM 汎用オペアンプ
日立/NEC ルネサス 汎用オペアンプ
新日本無線 (NJRC) NJRC MUSE高級オーディオ 汎用、オーディオオペアンプ互換
ローム ローム 汎用オペアンプ
・過去、アメリカ中心に多数のオペアンプメーカがあった。
・各社それぞれ特徴のあるオペアンプを開発してきた
・近年M&Aで再編が進み淘汰。特にTIが多くのアナログ企業を買収しアナログ帝国を作り上げている
予定
アナログICはTIとADIの2社に集約
伝説のアナログ・グル
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1960年代、何人かの有名なアナログルがいた。彼らがアナログICの礎を築いた。
1960年代にIC OPアンプの歴史を作った
Widlarもその一人。
世界初のICオペアンプ μA702、電圧レギュ
レータ μA723 などを開発。
汎用オペアンプとして広く使われている
μA741 の元となった LM101 もWidlarの設計
である。
アナログ要素回路の発明もしており、ワイド
ラー電流源やバンドギャップ・リファレンスは
実際のアナログICで、よく使われている。
Robert J WidlarBob DobkinJim WilliamsBarry Gilbertetc
Operational Amplifiers Analog Devices