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栃木県社会福祉士会
(高根沢町障害児者生活支援センターすまいる)
菅間 直子 *「公益社団法人日本社会福祉士会 平成26年度障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修より」
1
講義2 虐待防止の内部研修の実施方法
講義と演習の流れ
2
都道府県伝達研修の実施方法
虐待防止マネージャーが行う研修のポイント 研修ツール(冊子)の理解と使用方法
わかりやすい伝え方
伝達研修ツール(冊子)の使用方法
虐待防止マネージャーが行う研修のポイント 伝達研修の実践(ペアワーク→フィードバック) ※ワークシート
わかりやすい伝え方
演
習
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当該講義・演習 の 目 的
都道府県伝達研修の実施方法
内部研修の実施方法
虐待防止マネージャーに対する研修のポイント 法令・制度・ことば理解の範囲
虐待が発生したときの対応方法と通報義務の徹底
虐待防止の取り組みと虐待かどうかの判断~方向性を示すことの重要性
「身体拘束は虐待」の徹底と「やむを得ず身体拘束を行う」ときの条件
講
義
90
障害者福祉施設で働く人が、 障害者福祉施設内において、 障害者虐待をしないようにすること
3
正規職員にかかわらず、パートさんも。
利用者さんに直接かかわる支援員だけではなく、事務員さん、栄養士さんも。
自ら虐待しないことは、もちろんのこと、伝達研修に参加した人(虐待防止マネージャーorサービス管理責任者)の施設において、ゼッタイに障害者虐待が起きないようにすること。
目 的
支 援
4
虐 待
業務=仕事
偏 見 無理解 あきらめ 安 易 疲 れ 未 熟 偏 見 無 理 解 あきらめ 安 易 疲 れ 未 熟
法令・制度・ことば理解の範囲
5
法令・制度・ことば理解の範囲
6
「障害者」(法第2条1項)→障害者基本法第2条1項と同じ
「じゃー学校の先生や医師が虐待したら虐待じゃないの~?」 ~法第3条「何人(なんびと)も、障害者に対し、虐待をしてはならない」だから、どのような立場の方でも、もちろん障害者に対する虐待はしてはいけません。ただし、障害者虐待防止法で対応できるのは「養護者」「使用者」「障害者福祉施設従事者等」です。
「障害者虐待」(法第2条2項)→「養護者」「使用者」「障害者福祉施設従事者等」による虐待
「障害者手帳をもっている人だけが障害者ではなく、「その他の心身の機能障害」のある人も対象。手帳の取得や区分認定などを前提にせず対応しなければなりません。
「障害者虐待防止法の目的」(法第1条)
4つのポイント ・障害者虐待防止 ・障害者虐待防止のための国の責務 ・虐待を受けた障害者の保護と自立支援 ・養護者の支援
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「障害者虐待の種類」(法第2条7項)→身体的、性的、心理的、放棄・放置、経済的
虐待防止センターとして啓発研修をおこなったとき、こんな意見も寄せられました・・・ 「何が虐待で何が支援か、明確に示してほしい。このままでは不安で日々の支援をやっていけない」(就労継続支援事業所職員) 「障害者福祉施設・事業所における障害者虐待の防止と対応の手引き」に掲載されている「障害者虐待の例(「障害者虐待防止マニュアル」NPO法人PandA-J)」を示して、具体的にイメージしてもらいましょう。また、これを元に施設内の支援スキルを再検証しましょう。
虐待防止のための環境整備(法第15条)→職員に対する研修の実施、チェックリスト・ヒヤリハットシートの活用、苦情解決制度・サービス評価・オンブズマンの利用 など
・チェックリスト、ヒヤリハットシートは管理者や虐待防止マネージャーが様式を作成し、職員が「記入するだけ」ではなく、それを活用する重要性を喚起しましょう。 ・虐待防止委員会で、浮かび上がった課題について「どうしておきているのか」を分析。その改善計画を作成して取り組む。その過程と結果をさらに分析し、必要に応じて改善計画を修正し、再度取り組む→PDCAサイクルによる虐待防止策を強調しましょう。 ・チェックリストやヒヤリハットシートは、虐待防止という視点に加え、日々の支援の改善につながること。また、記入した職員の利用者に対する取り組み方法や考え(迷いや苦悩など)も知ることができるツールでもあることを強調しましょう。
虐待が発生したときの対応方法と
通報義務の徹底
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障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
を受けたと思われる障害者を発見した者は、
速やかに、これを市町村に通報しなければな
らない。(法第16条)
行動障害のある重度の知的障害者Xさんが、部屋中を歩き回っていたところ、職員Aと職員Bが後から追いかけ背後から飛び乗った。そうしたところXさんは背後に転倒。後頭部を床に強く打ち付け出血し、動かなくなってしまった。 それを見ていた同僚職員Cは「これって虐待だ」と思いました。 Cさんは、まずどのような行動をしなければなりませんか。優先順位も意識して、ア~エのいずれかを選んでください。 (次シート)
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ア 速やかに市役所障害者虐待防止センターに電話でXさんが出血した経緯について通報した。
イ 出血を止めるために応急措置。しかし、出血がひどく、応急措置では対応できないと判断し、救急車を呼んだ。
ウ 他の部屋にいるサービス管理責任者兼虐待防止マネージャーYさんのところまで行き、状況を伝え、対応方法について相談した。
エ 出張している施設長の携帯電話に連絡し、対応方法について相談した。
●虐待発生時の対応マニュアルが整っていない施設のとき
( )→( )→( )→( )
●施設内に虐待発生時の対応マニュアルが厚生労働省マニュアルに従い整っていて、「虐待(「疑い」含む)発生時は虐待防止マネージャーに速やかに連絡する」などの規定があるとき
( )→( )→( )→( )
施設職員も施設内で起きた障害者虐待を見たときは、速やかに市町村(虐待防止センター)に通報すること→通報義務が法第16条により規定されています。
ただし、緊急性のあるときは、応急手当が先。
法第16条を(通報義務)を意識しつつ、虐待防止委員会などにより対応方法が事前に決まっているとき(厚生労働省マニュアルに基づいた施設内対応マニュアルを整備するなど)はそれに従う。しかし、施設内で対応したとしても通報義務は発生するので、施設長等が速やかに市町村(虐待防止センター)に通報する義務がある。
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「虐待が発生したときの対応方法と通報義務の徹底」 伝えるべきこと
施設内対応マニュアルはありますが、それに従って施設長に連絡しても何も動いてくれません。それでもマニュアルに従わなければなりませんか?
虐待(「疑い」ふくむ)が発生しているにもかかわらず、「適切な対応がなされない」と感じたときは、施設内対応マニュアルにかかわらず、速やかに市町村(虐待防止センター)に通報してください。 通報をしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いを受けません(法第16条第4項)。
また、刑法の秘密漏示罪その他の守秘義務に関する法律の規定は、これらの通報を妨げるものと解釈してはなりません(法第16条第3項)。
市町村(障害者虐待防止センター)
通報義務
相談 相談
通報義務
通報義務
A施設
虐待を受けたと思われる障害者を発見した人
虐待防止マネージャー (サービス管理責任者)
施設長 管理者
厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課地域生活支援推進室虐待防止専門官障害福祉専門官曽根直樹氏資料より (一部加筆)
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2)虐待の疑いと緊急性について協議
初期段階
3)事実確認の方法について協議
4)事実確認
5)虐待事実の確認 13
障害者虐待担当課 (住民票・生活保護・年金・国民健康保険などの担当課) 虐待防止センター
当該障害者施設(管理者、サービス管理責任者、虐待防止マネージャー、職員) 本人、家族、障害者施設以外の関係者
1)通報(法第16条第1項)及び届出(法第16条第2項)の受付
障害者虐待担当課 虐待防止センター コア メンバー
例1) ①受付(電話)
例3) ①受付(電話)→②内容確認(面談)→③内容確認(電話)・・・
例2) ①受付(電話)→②内容確認(電話)
4-1)再事実確認
管 理 職
障害者施設従事者等による障害者虐待への市町村・都道府県の対応
※速やかに(48時間)に目視。必要に応じて都道府県に相談・報告
障害者虐待が疑われる場合
コア メンバー
管 理 職
【市町村】
対応段階
6)虐待防止・障害者保護を図るための各法規定による権限行使
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障害者施設対応:報告徴収・立入調査 監督 等 都道府県への報告(法第17条)
障害者・家族対応:ケース会議の開催
障がい福祉担当課 サ計画を立てた・立てる相談支援専門員 基幹相談支援センター 利用が想定される障害福祉サービス提供事業所など
障害者虐待が認められた場合
7)虐待防止・障害者保護を図るための 障害者総合支援法、社会福祉法等による権限行使(法第19条) 障害者施設対応:【社会福祉法】 報告徴収、措置命令、事業制限・停止命令、認可取消
【障害者総合支援法】施設等からの報告徴収、勧告、措置命令、指定取消
従事者等による虐待の状況等の公表(毎年度)(法第20条)
【市町村】
【都道府県】
専門機関:警察 医療機関 家庭裁判所 成年後見(権利擁護)センター など
専門機関:警察 検察庁 医療機関など
虐待防止の取り組みと虐待かどうかの判断
~方向性を示すことの重要性~
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●虐待防止委員会の活用
・管理者を委員長に配置する~責任の明確化 ・サービス管理責任者など現場の責任者が虐待防止マネージャー ~実効性のある体制 ・利用者、家族、第3者委員などの参加
16 支援スキルの向上
客観性の担保
組織
活動内容
・虐待防止の啓発 ・朝礼(引継打合せ)・内部研修・掲示物の検討 ・支援内容の確認~チェックリストの活用 参考:「障害者虐待防止の手引き(チェックリスト)」http://www.shakyo.or.jp/research/09check.html
・支援方法の改善~ 行動計画の策定(P)→実行(D)→効果の測定(C)→行動計画の見直し(A)
・虐待(「疑い」含む)発生時の対応方法の明確化(市町村への通報タイミング)と職員への周知~虐待防止(対応)マニュアルの整備(見直し)
●虐待防止マネージャーの役割
・サービス管理責任者など現場の責任者が就任
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・チェックリスト、ヒヤリハット報告の実施、集計、分析
・担当部署の把握と共に虐待発生の芽を確認
・職員ひとりひとりの「知識や支援技術の向上」のためのアドバイザー的役割
・虐待防止委員会と各部署のパイプ役
・虐待防止委員会への報告
障害者虐待の判断に当たってのポイント
ア 虐待をしているという「自覚」は問わない イ 障害者本人の「自覚」は問わない ウ 親や家族の意向が障害者本人のニーズと異なる場合がある
エ 虐待の判断はチームで行う
「これがオレのやり方」「先輩からこれがイチバンいい対応方法と教えられた」(ベテラン職員) →身体的虐待が「普通の支援」となってしまい、それが伝達している。
「だって私は○○職員のこと好きだから。愛しているから。結婚したいから・・・」(知的障害女性) →障害の特性や利用環境から他に頼れる人がいない、選択肢がないという状況にあるため、虐待を虐待と感じない、感じることができない。
「職員のみなさんにはたいへんお世話になっている。悪いことしたり、言うことを聞かなかったら、一発や二発殴ってやってください。それが本人のためなんです。」(利用者家族) →本人より家族の意向が優先・・・その家族に正しい情報(権利擁護、虐待防止)が伝わっていない。
障害者福祉施設内では、虐待防止委員会において判断。虐待防止委員会が機能しないときは市町村(虐待防止センター)に通報。通報を受けた市町村は管理職を交えたコアメンバー(複数)で判断。
放置したり、見逃したり、そして隠蔽すると虐待は重篤化する!
●障害者福祉施設・事業所における虐待の例と対応方法
1)相談支援専門員Aさんは、モニタリングで行った施設で、支援員が笑いながら嫌がる利用者を追いかけているのを見た・・・
虐待の疑い大です。相談支援専門員Aさんは速やかに市町村(虐待防止センター)に通報してください。
2)同僚支援員のBさんは、排せつ介助をしているとき、排せつを促す合図のためと言い、利用者の太ももをつねっていた・・・
虐待です。見た職員は速やかに市町村(虐待防止センター)に通報か、管理者もしくは虐待防止マネージャーに報告してください。
3)就労継続支援B型事業所職員のCさんは、施設内作業の納期管理を担当しています。きょうは納品日で、午後3時までに商品を納めなければなりませんが、利用者Dさんは体調がすぐれないのか、やる気がないのか、業務に集中しないばかりか、他利用者の作業の邪魔をしていました。思わずCさんは大声で「早くやりなさい!」と怒鳴ってしまいました・・・
虐待の疑いがあります。見た職員は速やかに市町村(虐待防止センター)に通報か、管理者もしくは虐待防止マネージャーに報告してください。
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●通報・相談のあとは・・・① 1)相談支援専門員Aさんは、モニタリングで行った施設で、支援員が笑いながら嫌がる利用者を追いかけているのを見た・・・
虐待と認定される可能性が高い案件です。
市町村(虐待防止センター)は通報に基づき事実確認をします。施設側はその事実確認に全面的に協力してください。思い違いや誤解であれば、個別支援計画や支援記録などを元に説明してください。
2)同僚支援員のBさんは、排せつ介助をしているとき、排せつを促す合図のためと言い、利用者の太ももをつねっていた・・・
虐待と認定される案件です。
なぜ、排せつを促す合図が「太ももをつねる」ことになっているのか。支援方法の検討はしているのか。他支援員はどのような支援をしているのか。個別支援計画はどのように作成されているかなど、支援員Bさんの問題としてだけ取り上げるのではなく、施設としての対応方法にも問題が認められるものです。虐待防止委員会での徹底的な原因究明と今後の支援方法の検討が必要です。
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虐待の疑い大です。相談支援専門員Aさんは速やかに市町村(虐待防止センター)に通報してください。
虐待です。見た職員は速やかに市町村(虐待防止センター)に通報か、管理者もしくは虐待防止マネージャーに報告してください。
●通報・相談のあとは・・・②
・就労継続支援B型事業所C職員は、施設内作業の納期管理を担当しています。きょうは納品日で、午後3時までに商品を納めなければなりません。しかし、利用者Dさんは体調がすぐれないのか、やる気がないのか、業務に集中しないばかりか、他利用者の作業の邪魔をしていました。思わずC職員は「早くやりなさい!」と大声で怒鳴ってしまいました・・・
常態化していたり、声の大きさが利用者らを威嚇するほどの大きさだったりすると虐待と認定される可能性が高い案件です。
Dさんに対する支援について「怒鳴る」以外に方法はないのか。「怒鳴る」ことが本当に業務に集中できる支援か・・・検討する余地は大いにあります。
また、取引業者の指定した納期に間に合わせようとしなければならない責任をC職員ひとりに任せていなかったか・・・管理者、サビ管、他職員等との役割分担について検討しなければなりません。
以上について、市町村(虐待防止センター)または虐待防止委員会において、状況を説明し、今後の支援方法について検討することが必要です。
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虐待の疑いがあります。見た職員は速やかに市町村(虐待防止センター)に通報か、管理者もしくは虐待防止マネージャーに報告してください。
虐待防止委員会を必ず設置し、そして、機能させること。
虐待防止マネージャーを必ず配置し、現場の状況に即した虐待防止の活動を行うこと。
虐待かどうかの判断においても「本人主体」を貫く。
虐待の判断は個人ではなく、チームで行うこと。
虐待(「疑い」含む)案件を隠蔽、放置しないこと。
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「虐待防止の取り組みと虐待かどうかの判断」 伝えるべきこと
私の勤める施設に虐待防止委員会が作られ、虐待防止マネージャーにはサビ管のCさんが就任することになりした。しかし、中身については何も伝わってきません。本当に虐待防止に役立つのでしょうか。
虐待防止委員会は特定の人のためのものではありません。施設内の虐待を防止するために、管理者、虐待防止マネージャーを中心に職員(正規職員、パート職員を問わず。また、支援員、看護師、事務員、栄養士などの職種を問わず全ての職員)にその内容が明らかにされるものでなければなりません。委員長や虐待防止マネージャーは、そこで話し合われたり、決定したりしたことについては、責任をもって全ての職員に伝えなければなりません。また、職員からは虐待防止に関することは何でも相談して、虐待防止委員会が機能するよう働きかけてください。
「身体拘束は虐待」の徹底と
「やむを得ず身体拘束を行う」ときの条件
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●「身体拘束は虐待」の徹底
正当な理由なく 身体を拘束することは 身体的虐待
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【サービス管理責任者の役割】 ○基準第50条第1項第4号 解釈通知 (平成18年12月6日障発第1206001号・平成26年3月31日障発0331第51号改正)
「サービス管理責任者は、利用者に対する効果的かつ適切な指定療養介護(注:指定生活介護、指定就労継続支援等)を行う観点から、適切な方法により、利用者の解決すべき課題を把握した上で、療養介護計画(注:個別支援計画)の作成及び提供した指定療養介護(注:指定生活介護、指定就労継続支援等)の客観的な評価等を行う者」(以下略)
サービス管理責任者の役割・責務を確認。 利用者に対する効果的かつ適切な支援を行うために、個別支援計画を作成し、利用者らに説明し、同意を得る。そして、後にモニタリングを行う。「支援」が「虐待」であってはならないことは自明なこと。
【サービス管理責任者の責務】 ○基準第58条(個別支援計画の作成) 同59条(サービス管理責任者の責務)
(平成18年9月29日厚生労働省令171号・平成26年1月23日厚生労働省令第5号改正)
同解釈通知(平成18年12月6日障発第1206001号・平成26年3月31日障発0331第51号改正) (概要)適切な支援内容の検討、適切なアセスメント、担当者会議(個別支援会議)の開催、利用者又はその家族に対する個別支援計画の説明と同意、個別支援計画の見直し、モニタリング、他障害福祉サービス事業の利用状況の把握、自立生活可否の定期的な検討、他の従業者への技術指導及び助言 など
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【サービス提供責任者】 ・基準第26条(居宅介護計画の作成) (平成18年9月29日厚生労働省令171号・平成26年1月23日厚生労働省令第5号改正)
「サービス提供責任者は利用者又は障害児の保護者の日常生活全般の状況及び希望等を踏まえて、具体的なサービスの内容等を記載した居宅介護計画を作成しなければならない。」 ・利用者又はその同居の家族に居宅介護計画の内容を説明し、交付 ・居宅介護計画の実施状況の把握と変更
サービス提供責任者の役割 利用者の生活状況や希望(ニーズ)を踏まえて居宅介護計画を作成し、その実施状況を把握していくことから、サービス管理責任者と同様に、「支援」が「虐待」であってはならないことは自明なことであること。
●やむを得ず身体拘束をするときの条件
1)「切迫性・非代替性・一時性」に該当すること
3要件に該当しても、身体拘束を行う判断は組織的にかつ慎重に行います。
2)組織による決定と個別支援計画への記載
3)本人・家族への十分な説明
身体拘束を行ったときには、その態様、時間、対象者の心身の状況、やむを得ない理由を記録してください。また、実地指導(監査)や家族面談などにおいてその内容を説明してください。記録がなされていないと、運営基準違反に問われる場合があります。(厚生労働省令第172号・第48条 同第171号・第73条など「身体拘束等の禁止」)
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4)必要な事項の記録
個別支援会議における慎重な検討・決定してください。個別支援計画へ身体拘束の態様及び時間、やむを得ない理由を記載してください。
面接により丁寧な説明をして、同意を得てください。
サービス管理責任者とサービス提供責任者の役割(責任)を再確認。
「身体拘束は虐待」を徹底。
「やむを得ず身体拘束をするとき」の条件、手続きを確認。
身体拘束をしないようにするために、常に支援技術の向上に取り組むことの重要性を確認(「1日目講義3 身体拘束・行動制限を廃止するための取り組み」をもう一度確認)
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「『身体拘束は虐待』の徹底と『やむを得ず身体拘束を行う』ときの条件」 伝えるべきこと
利用者Aさんは、突然予想もしない行動を起こすことがあり、それを制限しないと他の利用者がケガをする危険性があります。そのようなときに行動制限することも身体拘束=身体的虐待にあたりますか。
この問いかけは、利用者Aさんが「突然予想もしていない行動」を起こすことが、想定されているわけですので、このことを虐待防止委員会などでしっかりと検討し、必要な対応方法を決めておくことが必要です。やむを得ず身体拘束をするときは、その条件を今一度確認し、所定の手続きを経ておくことが必要です。
全く想定していないことが起きたときは、「緊急避難」として、その行動を制限したり、身体拘束することも当然認められるものです。何もせず、自傷や他害を放置しなければならないということではありません。
自分自身へのケア方法
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●自分自身へのケア方法
1)抱え込まない
先輩・同僚・後輩と共有・共感 最近は法人、施設を超えた連携の場(研修会・基幹相談支援センター)での共有・共感
2)ストレスの原因を究明
3)体調管理
趣味、スポーツ、関心事など。現状からの逃避(いつもと違う「場所・時間・人」を確保)
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4)仕事以外の興味・活動
・ストレスとは?~外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態
・ストレスの原因は何か?仕事(勤務時間、支援技術、報告・連絡・相談、提案、人事調整)、人(仕事:利用者・家族・上司・同僚・部下、家族、友人、知人)、体調不良、社会的要因(消費税増税、原発事故など)など 結婚、入学、新築などの喜ばしいことも原因になる
・ストレスサインを知る~どういう時にイライラしてしまうか?!原因になる類似のパターンを知る。
体調不良(疲れ、痛み、凝りなども含む)は、不安、イライラ、あせり、落ち着きのなさ、怒り、無気力などを生む要因。ストレス発散を理由に「飲み過ぎ、吸い過ぎ、遊びすぎ」なども注意。
虐待防止マネージャー
厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」http://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html
「5分間でできる職場のストレスチェック」http://kokoro.mhlw.go.jp/check/
研修ツール(冊子)の理解と使用方法
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●研修ツール(冊子)の構成
1)障害者虐待防止法 虐待防止法の目的と定義
2)通報義務
4)障害者虐待防止の徹底
虐待防止委員会の整備や虐待防止マネージャーの配置。そして、それを活用。
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5)虐待防止委員会・虐待防止マネージャー
施設・事業所で虐待の疑いが起こったら、相談を受けた人も含めて、必ず通報しなければなりません。
管理者の虐待防止研修受講の徹底・虐待防止の組織的取り組み・施設・事業所の手引き(厚生労働省マニュアル)を参考に
身体拘束をしない支援の検討が、支援の質の向上に繋がる。
6)身体拘束することは身体的虐待
3)深刻な虐待事件
2つの事例 深刻な虐待には共通する事柄
障害者虐待防止の一番の道は、 誠実な施設・事業所の運営と 支援の質の向上です。
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●研修ツール(冊子)の使用方法
1)15分~20分程度で伝える。
短時間に集中的に。伝えられないときは複数回にわけて。
2)全ての職員に伝える。
3)繰り返し伝える。
確認テストを活用する。アンケートを実施する。
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4)習得状況を確認する。
正規職員、パート職員を問わず。また、支援員、看護師、事務員、栄養士などの職種を問わず全ての職員。ボランティア、実習生にも伝える。
定期的に。同じ話になってもよいので、繰り返し伝える。
わかりやすい伝え方
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わかりやすい伝え方のポイント
ア 一緒に考えていくという姿勢
イ 全体の構成を伝える
・虐待防止研修と銘打って実施する研修ですが、受講する障害者福祉施設職員は自らの日頃の支援について否定されたかのような印象を持ちがちです。 ・伝達研修時には、講師であるみなさんも日頃から利用者の様子に困惑しながら、支援方法に悩みつつも、しかし、よりよい支援をどう構築していくかについて一緒に考えていく仲間であることを強調しましょう。
・限られた時間の中で、多くのことを伝え、そして、理解・納得してもらわなければなりません。 ・冒頭では、研修の目的とポイントを伝えましょう。また、あわせて時間配分と休憩時間も伝えましょう。安心して受講してもらえます。 ※このパワポ資料の冒頭を参考にしてください。
ウ 具体的な事例を取りまぜて説明
エ 感想や意見を発する機会を作る
・話の内容にリアリティを持たせるために、具体的事例を取りまぜて話しましょう。 ・その事例は自らが関わっていたり、又は詳しくその内容(当事者の状況や環境など)について把握できているものを、個人が特定できないように手を加えて示すようにしましょう。
・感想、意見、質問などを聞く時間を設けるようにしましょう。 ・研修終了後にレポート、アンケートを提出してもらいましょう。 ・終了後に自らの施設内で起きている虐待(疑い)案件についての相談が寄せられる場合もあります。対応に窮する感想等については、後日対応するなどし、放置しないようにしましょう。 ・確認テストをするとより理解が深まります。
「わかりやすい伝え方」 参考になる書籍
池上彰(いけがみあきら)
• 「伝える力」(PHPビジネス新書)
• 「伝える力2」(PHPビジネス新書)
藤沢晃治(ふじさわこうじ)
• 「『分かりやすい説明』の技術」(講談社ブルーバックス)
• 「『分かりやすい表現』の技術」(講談社ブルーバックス)
• 「『分かりやすい文章』の技術」(講談社ブルーバックス)
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