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消防庁インタビュー ツ肖防法の 問題 点 を探 る 法適用の 積層棚 外菩Fからの 働 きが 検討も 恭一 課長補佐 自治省消防庁予防救急課 J`林 本紙 現在 どのよ うな基準で ,倉庫 内の 防災指 導を していますか。 小林課長補佐 それは消防法の 政令と施行規則 を基準に して い ます。 ただ ,倉庫用の政令 とい のはない わけですね。ですから,消防法17条 系で,防火対象物の 用途.構造 規模 に応 じて消 防設備 をつ けなければい けない とな って おり,そ 細かい 内容が政令以下で決まっているので,こ れが基準 になると思います。例えば ,政令 の10条 でいえば (消 火器具に 関す る基準 )とい うのがあ って ,これ は劇場 な ら面積 に 関係なく消火器具が 要ると うよ うになっています。倉庫に関係す る 14項 では ,延面積が 1∞平方メー トル 以上になっ た ら消火器 具が要 るとな ってい ます。以下,消防 設備 ごとに決 ま りがあ って, この 中にたまたま倉 庫が入っているとい うことですね。 本紙 倉庫や工場の内容はだいぶ変わってきて いると思うんですハ についての 対応は自治 体でケ ースバ イケ ースでや ってい ますね。 階は床か棚か 小林課長補佐 倉庫 の うち,危険物 だ とか特殊 可燃物だとかは法17条 体系 に加 えて ,それぞれ 対応 して いますが ,そ うい うものを入れていない 一般の 倉庫については ,今 のところ見直す必要性 が あるとい う認識はあ まりあ りません。 本紙 例 えば,倉庫 に対する規制 は床 面讚 が基 になっていますが.製品でい うと 「中2階」 と うような呼び方 をす るものがあ りま して ,倉庫 内の空間 に もうひ とつ 床 をは って ,棚を載せ るわ けですね。そ うす ると, これを床 とみ るのかあ る は棚の一 部 と してみ るのかで倉庫 の 面積が変わ るわ けですね。例 えば, 床 としてみて しま うとス プリ クラーとかその 消防設 備が必要 になる とい うことが考え られ るわ けですが , 倉庫 内で の 用途 として は棚であ るとい うことがぁ りますね この辺 はいかがで しょうか。 作業 内容 捉え方の 問題 小林課長補佐 その辺については ,昭和4年 6 月15日 予防課長回答 とい うのがあ りま して,「 庫 内に設 ける積荷 用 の 棚の取扱いについて」 とぃ う項が入っています。これです と 「棚 と 2階の床 とを区別す る規準 は何に拠 るべ きか 」 とい う質問 に対 して 「棚または床 の区別 について は ,一般的 には ,当該部分に積荷を行 う場合に ,積荷を行 う 者が当該部分の 外部 にいてその作業を行 うことが できる構造の ものを 「棚」 と し,当該部 分を歩行 し,またはその上にいて作業を行 うものを 「床」 とすることが適当であるが ,具体的 には,そ の形 状,機能等を勘案 の上 ,社会通念 に従 って半1断す ることが必要である。」としています。 本紙 となると,作業の 捉 え方が問題 にな りま すね。そうすると ,自治体ではケースバ ィヶ ―ス でみているわけですか ら,ある地区ではいい とさ れ たものが別 地区 ではだめ とい ぅことにな りま すね。 小林課 長補佐 それは ,境界領域によってはい ろあるか も知れません。例え ば 「1.5″ 以下 は床にみ さい 」などとい うょうにピシ ッと決め てしまえば簡単 すが ,そうすると ,上 乗らな いのにど うして床なんだなどということが出てき そ うですね。高さで規定すれば明快であ っても , 実態か ら見てそ う う規定 の仕方は適当でない -106-

法適用の判断むずかしい積層棚...これは,倉庫に限らずどんなものでも同じです。建築規準法などでも境界領域というものは必ずあ って,場合によって解釈が異なるなどということ

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Page 1: 法適用の判断むずかしい積層棚...これは,倉庫に限らずどんなものでも同じです。建築規準法などでも境界領域というものは必ずあ って,場合によって解釈が異なるなどということ

消防庁インタビュー ツ肖防法 の 問題 点 を探 る

法適用の判断むずかしい積層棚

外菩Fか らの働 きがけで検討も

恭一 課長補佐自治省消防庁予防救急課 J`林

本紙 現在どのような基準で,倉 庫内の防災指

導をしていますか。

小林課長補佐 それは消防法の政令と施行規則

を基準にしています。ただ,倉 庫用の政令という

のはないわけですね。ですから,消 防法17条の体

系で,防 火対象物の用途.構 造 規模に応じて消

防設備をつけなければいけないとなっており,その細かい内容が政令以下で決まっているので,こ

れが基準になると思います。例えば,政 令の10条

でいえば (消火器具に関する基準)と いうのがあ

って,こ れは劇場なら面積に関係なく消火器具が

要るというようになっています。倉庫に関係する

14項では,延 面積が 1∞平方メートル以上になっ

たら消火器具が要るとなっています。以下,消 防

設備ごとに決まりがあって, この中にたまたま倉

庫が入っているということですね。

本紙 倉庫や工場の内容はだいぶ変わってきて

いると思うんですハ それについての対応は自治体でケースバイケースでやっていますね。

中三階 は床か棚 か

小林課長補佐 倉庫のうち,危 険物だとか特殊

可燃物だとかは法17条の体系に加えて,そ れぞれ

対応 していますが,そ ういうものを入れていない

一般の倉庫については,今 のところ見直す必要性

があるという認識はあまりありません。

本紙 例えば,倉 庫に対する規制は床面讚が基

準になっていますが.製 品でいうと 「中2階 」と

いうような呼び方をするものがありまして,倉 庫

内の空間にもうひとつ床をはって,棚 を載せるわ

けですね。そうすると, これを床とみるのかある

いは棚の一部としてみるのかで倉庫の面積が変わ

るわけですね。例えば,床 としてみてしまうとス

プリンクラーとかその他の消防設備が必要になる

ということが考えられるわけですが,倉 庫内での

用途としては棚であるということがぁりますね。この辺はいかがでしょうか。

作業内容の捉え方の問題

小林課長補佐 その辺については,昭 和4年 6

月15日の予防課長回答というのがありまして,「倉

庫内に設ける積荷用の棚の取扱いについて」とぃ

う項が入っています。これですと 「棚と2階 の床

とを区別する規準は何に拠るべきか」という質問に対 して 「棚または床の区別については,一 般的には,当 該部分に積荷を行う場合に,積 荷を行 う

者が当該部分の外部にいてその作業を行うことが

できる構造のものを 「棚」とし,当 該部分を歩行

し,ま たはその上にいて作業を行うものを 「床」

とすることが適当であるが,具 体的には,そ の形

状,機 能等を勘案の上,社 会通念に従って半1断す

ることが必要である。」としています。

本紙 となると,作 業の捉え方が問題になりま

すね。そうすると,自 治体ではケースバィヶ―ス

でみているわけですから,あ る地区ではいいとさ

れたものが別の地区ではだめといぅことになりま

すね。

小林課長補佐 それは,境 界領域によってはい

ろいろあるかも知れません。例えば 「1.5″以下

は床にみなさい」などというょうにピシッと決めてしまえば簡単ですが,そ うすると,上に乗らないのにどうして床なんだなどということが出てき

そうですね。高さで規定すれば明快であっても,実態から見てそういう規定の仕方は適当でないと

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Page 2: 法適用の判断むずかしい積層棚...これは,倉庫に限らずどんなものでも同じです。建築規準法などでも境界領域というものは必ずあ って,場合によって解釈が異なるなどということ

判断したのだと思います。将来どういう形態のも

のが出てきても一応対応できるように, このよう

に抽象的な決め方をしてやってきたゎけですね。

これは,倉 庫に限らずどんなものでも同じです。

建築規準法などでも境界領域というものは必ずあ

って,場 合によって解釈が異なるなどということ

もあるわけです。そういう場合行政上は,実 例が

かなり多くなって一定の傾向が出てくれば,そ れ

をまとめて基準なり行政実例の形で統一していく

ことになるだろうと思います。

本紙 その一定の傾向が出てくるとぃうのは,

どういう時点を捉えてのことでしょうか。

棚 の 用 語 が 統 一

小林課長補佐 それは,去 年一般的であったも

のが来年になったら違うとか,ど んどん傾向が変

化 している時は決めにくいですが,あ る程度決ま

ってきたら, こういうものについてはこういうお、

うに扱うというものを出していくのはあると思い

ますね。倉庫については,そ ういう要望が今まで

あまりないから, していないんでしょう。

本紙 棚の業界からしてみると,今 まで用語と

かがまだ決まってなかったので言いにくいという

ことがあったらしいんですね。でも4月 に,用 語

とか機能とかいうことの統一がされまして少 し働

きかけていこうか,と いうような声がぼつぼつ起

こりつつあります。

細 分 化 して検 討

小林課長補佐 そういうものがまとまったら,

こちらに聞かせて頂きたいと思いますね。要する

に,あ る程度まとまってこないうちは,さ っき申

し上げたように,社 会通念上から判断して,人 が

上に乗るものは 「床」であるし,乗 らないで作業

しているものは,あ るいはフォークリフトのよう

なもので品物を積むようなものは 「棚」ではない

かというような非常に抽象的な言い方をせざるを

得ないし,そ ういうとかなり幅があって,確 かに

おっしゃるように,場 合によって判断が違うとい

うのはあり得るでしょうね。ただ, ものがある程

度かたまってくれitそ れをもう少し細分化して,こういう場合はこうだと分けることはやぶさかで

積層棚は床か棚か

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Page 3: 法適用の判断むずかしい積層棚...これは,倉庫に限らずどんなものでも同じです。建築規準法などでも境界領域というものは必ずあ って,場合によって解釈が異なるなどということ

Eヽヽ

はないと思っています。

本紙 棚はひとつの例ですが,そ れ以外にもい

ろいろあって,倉 庫,工 場の使い方も変ってきていると思います。っまり,倉 庫とか工場の防災対策 ・指導は,今 うかがった政令によってゃってらっしゃるわけですが, こうした変化にはどのように対応するのでしょうか。

外部からの働きかけが必要

小林課長補佐 倉庫 0工場の使い方がどう変化してきているのか,詳 しいことは現在はつかんでいません。ただ 「倉庫というものはこんなもの地という考え方で想定したものから現在のものが防災上非常にかけはなれた構造になってしまえば,また見直していくということには当然なるでしょうね。それは社会的な声とか要望とか,組 合 ・団体の働きかけといぅ形で出てきて。国として問題があると考えれば新しい形のものに対応していくことになると思います。そぅぃぅものがないうち

は, こちらとしても何が問題なのかわかりませんから動きようがないですね:

行政実例 の積 み重 ね

本紙 そうすると,現 状の基準とか判断基準で現実にそうした変化に対応できているのかできていないのかというのは,ま だ正確にはゎからない

ということなんでしょぅね。

小林課長補佐 現場の消防機関が判断に困って防災上建物をどんなお、うに判断したらいいでしょうかと質問があると,そ れはこちらで調べて,大体こんなところで判断したらどうでしょうかとぉ答えしているんです。それはどこの県から来たものでも,全 国に通知 して,一 応これについてはこんな考え方で扱いなさいと指導します。その時,さらに細かいところはわからないのでどうしょぅかとまた質問が来ると,そ のつど調べてこういぅふうにしなさいょと行政実例の積み重ねをしているわけです。それは,法 律 政令.規 則の段階で

工場の設備も日進月歩で変化 している

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