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抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てんかん患者への応 Establishment of Simple Determination Methods of Antiepileptic Drugs and Application to Therapeutic Drug Monitoring of Infant Patients with Epilepsy Undergoing Polypharmacy 平成 27 年度 論文博士申請者 髙橋 良平 (Takahashi, Ryohei) 指導教員 吉田 久博

抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

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抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てんかん患者への応

Establ ishment of Simple Determinat ion Methods of Ant iep i lept ic Drugs

and Appl icat ion to Therapeut ic Drug Monitoring of Infant Pat ients with

Epi lepsy Undergoing Polypharmacy

平成 27 年度

論文博士申請者

髙橋 良平 (Takahashi , Ryohei )

指導教員

吉田 久博

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目次

緒言 1

第 1 章 薬物特性と分析方法 4

1. 薬物特性 4

2. 分析方法 5

3. 結果 12

4.考察 17

第 2 章 患者血中濃度測定と動態特性 24

1. 対象患者 24

2. 方法 24

3. 結果 26

4. 考察 31

第 3 章 新規測定法の臨床応用 35

症例 1 35

症例 2 36

総 括 38

謝 辞 39

引用文献 40

図・表 43

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緒言

正常なニューロンは興奮性シグナルと抑制性シグナルとのバラン

スに応じて興奮する.一方,てんかんは,抑制性シグナルの減弱,興

奮性シグナルの過剰,シグナル伝達シナプス間の受容体異常などによ

り,これらバランスがくずれ,発作が起きる状態を言う.発作部位に

より部分発作や全身発作などに分類され,各々多彩な症状を呈する.

また発病年齢・基礎疾患・発作間欠時の症状・経過などを統合的に判

断し,てんかん分類を行い,てんかん診療にあたる.てんかんは種々

の成因によってもたらされる慢性の脳疾患で,その多くが幼児期に発

病する小児特有の疾病である.発症率は小児に多く,脳の成長ととも

に減少し,脳卒中などの脳疾患に伴い高齢者で増加する (Fig. 1).

てんかんの薬物療法は,発作型や各てんかん分類・症候群をもとに,

年齢,性別ならびに薬物代謝の個人差を考慮し,抗てんかん薬を選択

する.効果が充分でない,または副作用が効果を上回っている場合に,

抗てんかん薬の評価を行う.抗てんかん薬の評価は投与量の至適化,

個別化も考慮に入れるべきである.その場合,薬物血中濃度測定が有

用である.血中濃度が測定できない場合,血中濃度が低いため増量す

べきなのか,第一選択薬が無効なのか判断できず,治療選択の幅を狭

めることができない.そのため,血中濃度測定はきわめて重要である.

それらの結果を踏まえ,次の治療薬を選択する.第二選択薬を追加す

る場合,併用する薬剤が増えることにより,薬物相互作用を発現する

可能性があり,この点からも抗てんかん薬の血中濃度測定は重要であ

る.薬物血中濃度測定は,特定薬剤治療管理料として認められている

が,保険請求できるのは月 2 回または 2 剤と決められている.そのた

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め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方

法を確立することは極めて重要である.

また,小児における抗てんかん薬の血中濃度測定は,採血自体が大

きな負担となる.一般に検体検査を行う場合,成人・小児の区別なく

一定量の試料が必要である.血液は分注などのデッドボリュームや複

数回測定の必要性も考慮して,血漿 0.2mL に対し,全血液量として

2mL 程度が必要となる.この量は成人では 42mL に相当し,患児に大

きな負担を強いることになる.そのため,欧州の基準では,循環血液

量の 3%を超えず,かつ 1 回量として 1%を超えない量であることが示

されている.このような観点より,小児の薬物療法には,より少量の

試料で測定できる微量高感度分析法の確立が望まれている.

新規抗てんかん薬の一部の薬物については,海外では,測定キット

が開発 1 , 2 )されており,汎用機器を用いて測定が可能であるが,使用

頻度の低い薬物については国内販売されておらず,臨床現場で適応す

るには経営面の問題も生じている.また, LC/MS を用いた報告 3 - 5 )も

あるが機器導入費,保守費用などの観点から医療現場では普及してい

ない.また,HPLC による測定法もいくつか報告 6 - 1 1 )されているが,

試料量が多く必要なため,小児の血中濃度測定には適していない.前

処理や費用に関して,固相抽出や液液抽出は調製に時間を要し,手技

に習熟する必要がある.また,資材費を要することから,臨床現場で

迅速かつ安価に実施するには適していない.さらに特異性試験につい

ては,数種の薬剤について検討されているのみであり,併用薬につい

て網羅的に検討されていないため,実臨床での多剤併用患者の検体測

定には適していない可能性がある.また,外注検査による測定も可能

であるが,結果判明までに時間を要し,別途採血が必要となる.

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以上の問題点を解決することを目的として,本研究では,難治性小

児てんかん患者の治療に用いられる 3 種の新規抗てんかん薬,すなわ

ちトピラマート,ラモトリギンおよびスチリペントールの簡便かつ迅

速に微量試料で高感度分析可能な測定方法の開発を試みた.また,今

回開発した簡易測定方法を臨床応用し,その有用性について評価した

1 2 - 1 4 ).

本論文では研究成果を,第 1 章;薬物特性と分析方法,第 2 章;患

者血中濃度測定と動態特性,第 3 章;新規測定法の臨床応用の 3 章に

分けて論述する.

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第 1 章 薬物特性と分析方法

1 . 薬物特性

1-1. トピラマート

トピラマート (Fig. 2) は,分子量 339.36 で, pKa8.7 の酸性薬物で

あり, (オクタノール/水 ) 分配係数は logPC=0.59 で,適度な脂溶性

を有している.特異的な UV 吸収がなく蛍光発光しないが,特異な官

能基 (スルホンアミド基 ) を有することから,ラベル化剤を用いた

HPLC 法による血中トピラマート濃度測定法が報告されている 6 ).し

かしこの方法は,多くの試料量 (1000 µL) を必要とすることから,採

血量の少ない小児患者試料に適用するには難しい状況である.したが

って,本研究では,ラベル化剤を変更し,より簡易で高感度な微量分

析法の開発を行った.

1-2. ラモトリギン

ラモトリギン (Fig. 3) は,分子量 256.09 で, pKa5.7 の塩基性薬物

である. (オクタノール/水 ) 分配係数は logPC=0.9 であり良好な脂

溶性を有している.UV 検出器による血中ラモトリギン濃度測定法の

報告 7 - 1 0 )がされているが,そのほとんどは多くの試料量 (200 µL) を

必要とすることから 9 , 1 0 ),採血量の少ない小児てんかん患者試料へ適

用するのは困難である.また,これら報告の多くは,測定法の有効性

や分析精度について多施設間での比較検討がなされていない 7 - 1 0 ).さ

らに,血中ラモトリギン濃度測定法に対する併用薬の影響について生

体試料を用いて詳細に検討した報告は少なく 7 - 1 0 ),小児検体を用いた

検討はほとんど行われていない.したがって本研究では,小児 TDM

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に適したより簡易な前処理方法を用いた UV 検出器による微量分析法

の開発を行った.

1-3. スチリペントール

スチリペントール (Fig. 4) は,分子量 234.29 で, pKa14.2 であり,

(オクタノール/水 ) 分配係数は logPC=2.94 と極めて脂溶性が高く,

水に溶けにくい薬物である.順相系の移動相を用いた HPLC による

血中スチリペントール濃度測定法の報告 11 )もされているが,併用薬

の測定系への影響に関する研究は未だ報告されていない.また既報

では,前処理において液液抽出 11 )を用いており,迅速に測定を開始

するのは困難である.さらに,試料量が多く必要 (100 µL) なこと

11 )から,採血量の少ない小児患者へ適用するのは困難である.した

がって,本研究では臨床現場で迅速に測定することを目的として,

選択性の高い蛍光検出器による簡易な分析法の開発を行った.

2. 分析方法

2-1. トピラマート

2-1-1. 試薬

トピラマートは SIGMA-ALDRICH 社より購入した.4-エチルベンゼ

ンスルホンアミドおよび 4-クロロ -7-ニトロベンゾフラザン (Fig. 2)

は東京化成工業 (株 ) より入手した. 60% 過塩素酸は関東化学 (株 )

製を用い,アセトニトリル,メタノールおよび精製水はすべて HPLC

用を用いた.新鮮凍結血漿は日本赤十字社より入手した.

2-1-2. 標準溶液および試薬の調製

トピラマート標準溶液はトピラマート 50.0 mg をメタノールにて

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50.0 mL に溶解したものを,内部標準物質 ( I .S .) として 4-エチルベン

ゼンスルホンアミドを,また蛍光ラベル化剤として 4-クロロ -7-ニト

ロベンゾフラザンを使用した.それぞれ 50 mg をメタノールにて 50

mL に溶解した.また, I.S .は, 4-エチルベンゼンスルホンアミドを,

250 µg/mL の濃度になるようにメタノールで希釈したものを使用した.

トピラマート, 4-エチルベンゼンスルホンアミドおよび 4-クロロ -7-

ニトロベンゾフラザンは,溶解後 4℃保存にて 2 ヶ月間安定なことか

ら,調製後 2 か月以内のものを使用した.

2-1-3. 試料調製

1.5 mL の遠心用チューブに,各濃度に調製した検量線用スタンダー

ドまたは血漿試料 100 μL を分取し, 10 µL の I.S .を添加後,除タンパ

ク処理および pH 調整として 100 µL の 6%過塩素酸を加えて撹拌後,

15 分間放置した.さらに,ジクロロメタン 1 mL を加え,10 分間混和

した後, 20℃, 17,400×g で 15 分間遠心分離し,水相を除去した後,

窒素気流下でジクロロメタン層を留去した.残渣に精製水 100 µL,4-

クロロ -7-ニトロベンゾフラザン溶液 100 µL,および 0.1M 炭酸水素ナ

トリウム水溶液 25 µL を加え, 55℃にて 120 分間反応させた.次に,

室温にもどした後,HPLC 用バイアルに移し,測定試料とした.

2-1-4. 測定機器および測定条件

HPLC 分析装置には,バイナリポンプ SL,デガッサ,オートサンプ

ラー,カラムコンパートメント (恒温槽 ) ,および蛍光検出器で構成

された Agilent1200series の HPLC システム (Agi lent Technologies 社製 )

を 用 い た . 分 析 カ ラ ム に は , Discovery HS-C18 column (3 µm, 4.6

mm×150 mm, SIGMA-ALDRICH 社製 ) を用い,測定時 50℃に保ち,ガ

ードカラムとして Inerts i l ODS-80A (5 µm, 10×4.0 mm, GL Sciences 社

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製 ) を使用した.移動相は 25 mM リン酸緩衝液 (pH2.5) / メタノール

/ アセトニトリル (50 : 40 : 10, v/v/v) を 1.0 mL/min で送液して分析

を行った.HPLC 注入量は 1 回 20 µL であり,トピラマートの検出に

は蛍光検出器 (Ex /Em: 470 / 537 nm ) を使用した.また測定試料は,

調製後各測定開始時間まで 4℃にて保存した.

2-1-5. 検討項目

測定法の妥当性を明らかにするため,検量線および直線性,定量再

現性,ならびに特異性試験について検討した.検量線用スタンダード

溶液は,標準溶液 10.0 µL に新鮮凍結血漿 90.0 µL を添加し撹拌した

後,新鮮凍結血漿にて希釈を行い, 0.1, 0 .2, 0 .5, 1 .0, 2 .0 , 4 .0 , 8 .0 , 16.0

および 32.0 µg/mL の濃度溶液を調製した.各試料中薬物濃度の測定

には,当該薬物のピーク面積を I.S .のピーク面積で補正する内部標準

法を用いて評価した.

【検量線】検量線の作成には,各濃度 3 点の平均値を使用し,最小 2

乗法を用いて直線性を評価した.

【再現性】日内の定量再現性は,治療濃度域を中心に各濃度につき 5

回繰り返し測定することによって評価した.また,同様の濃度で 5 日

間に渡り定量することにより日間再現性を評価した.精度は変動係数

(C.V.) にて評価し,正確度は (定量値 / 理論値 ) × 100% で評価した.

なお,判断基準は United States Pharmacopeia (USP) の基準 1 5 )を参照

した.

【特異性】特異性試験については,健常人より得られた新鮮凍結血漿

を用いて内因性物質の影響を確認した.また,抗てんかん薬 20 種類,

国内未承認の抗てんかん薬 4 種類ならびに抗てんかん薬の代謝物 4 種

類を併用した時の影響について精査した.検討を行った薬剤は,アセ

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タゾラミド,エトスクシミド ,オクスカルバゼピン,オクスカルバ

ゼピン代謝物である 10-モノヒドロキシカルバゼピン,ガバペンチン,

カルバマゼピン,カルバマゼピン代謝物であるカルバマゼピン -10,11-

エポキシド,クロナゼパム,クロバザム,クロバザム代謝物である

N-デスメチルクロバザム,ジアゼパム,臭化カリウム,スチリペント

ール,スルチアム,ゾニサミド,チアガビン,トピラマート,ニトラ

ゼパム,バルプロ酸,ビガバトリン,フェニトイン,フェニトイン代

謝物である p-ヒドロキシフェニトイン,フェノバルビタール,フェル

バメート,プリミドン,ラモトリギン,ルフィナミドおよびレベチラ

セタムであり,薬物の濃度は一般的に用いられている臨床治療濃度を

使用した.

2-2. ラモトリギン

2-2-1. 試薬

ラ モ ト リ ギ ン お よ び ク ロ ル ゾ キ サ ゾ ン (Fig. 3 ) は

SIGMA-ALDRICH 社より購入した.アセトニトリル,メタノールおよ

び精製水はすべて HPLC 用を用いた.新鮮凍結血漿は日本赤十字社よ

り入手した.

2-2-2. 標準溶液および試薬の調製

ラモトリギン標準溶液は,ラモトリギン 50.0 mg をメタノールにて

50.0 mL に溶解したものを使用した.同様に,I.S .として用いたクロル

ゾキサゾンについても 50 mg をアセトニトリル 50 mL に溶解し, 20

µg/mL の濃度に希釈したものを使用した.ラモトリギンおよびクロル

ゾキサゾンは,溶解後 4℃保存にて 2 ヶ月間安定なことから,調製後

2 か月以内のものを使用した.

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2-2-3. 試料調製

1.5 mL の遠心用チューブに,各濃度に調製した検量線用スタンダー

ドまたは血漿試料 100 μL を分取し, 100 µL の I.S .を加えて撹拌後,

15 分間放置した.20℃,17,400×g で 15 分間遠心分離し,上清 100 µL

を HPLC 用バイアルに移し,精製水 50 µL を加えて撹拌した後,定量

を試みた.

2-2-4. 測定機器および測定条件

HPLC 分析装置には,バイナリポンプ SL,デガッサ,オートサンプ

ラー,カラムコンパートメント (恒温槽 ) および UV 検出器にて構成

された Agilent1200series の HPLC システム (Agi lent Technologies ) を

用いた.分析カラムには,Cadenza CD-C18 column (3 µm, 4.6 mm ×150

mm, Imtakt ) を 用 い , 測 定 時 50 ℃ に 保 ち , ガ ー ド カ ラ ム と し て

Mightysi l RP-18 GP 5-4.6 (5 µm, 関東化学 ) を使用した.移動相は A:

25 mM リン酸緩衝液 (pH4.6), B: メタノール -アセトニトリル混液

(4:3, v/v) を 32-37%B (0-23 min), 32%B (23-26 min), 1.0 mL/min で送

液して分析を行った.HPLC 注入量は 1 回 20 µL であり,ラモトリギ

ンの検出には UV 検出器 (UV: 215 nm ) を使用した.また測定試料は,

試料調製後,測定開始直前まで 4℃に保存した.

2-2-5. 検討項目

ラモトリギン測定法の妥当性を明らかにするため,検量線および直

線性,定量再現性,ならびに特異性試験について検討した.検量線用

スタンダード溶液は,標準溶液 10.0 µL に新鮮凍結血漿 90.0 µL を添

加し撹拌した後,新鮮凍結血漿にて希釈を行い,0.1, 0 .3 , 0 .5, 1 .0 , 2 .0 ,

4 .0 , 8 .0 ,16.0 および 32.0 µg/mL の濃度溶液を調製した.各試料中薬物

濃度の測定には,当該薬物のピーク面積を I.S .のピーク面積で補正す

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る内部標準法を用いて評価した.

【検量線】検量線の作成には,各濃度 3 点の平均値を使用し,最小 2

乗法を用いて直線性を評価した.

【再現性】日内の定量再現性は,治療濃度域を中心に各濃度につき 5

回繰り返し測定することによって評価した.また,同様の濃度で 5 日

間に渡り 定量す る ことで日 間再現 性 を評価し た.精 度 は変動係数

(C.V.) として評価し,正確度は (定量値 / 理論値 ) × 100%として評価

した.なお,判断基準は USP の基準 1 5 )を参照にした.

【特異性】特異性試験については,健常人より得られた新鮮凍結血漿

を用いて内因性物質の影響を確認した.また,抗てんかん薬 20 種類,

国内未承認の抗てんかん薬 4 種類ならびに抗てんかん薬の代謝物 4 種

類を併用した時の影響について精査した.検討した薬剤名の詳細はト

ピラマートの項を参照のこと.

2-3. スチリペントール

2-3-1. 試薬

スチリペントールおよびキサントン (Fig. 4) は和光純薬工業株式

会社より購入した.アセトニトリル,メタノールおよび精製水はすべ

て HPLC 用を用いた.新鮮凍結血漿は日本赤十字社より入手した.

2-3-2. 標準溶液および試薬の調製

スチリペントール標準溶液はスチリペントール 50.0 mg をメタノ

ールにて 50.0 mL に溶解したものを,また I.S .として用いたキサント

ンは 50 mg をアセトニトリルにて 50 mL に溶解し,200 µg/mL の濃度

になるように溶解したものを使用した.スチリペントールおよびキサ

ントンは,溶解後 4℃保存にて 2 ヶ月間安定なことから,調製後 2 か

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月以内のものを使用した.

2-3-3. 試料調製

1.5 mL の遠心用チューブに,各濃度に調製した検量線用スタンダー

ドまたは血漿試料 10 μL を分取し,50 µL の I.S .を加えて攪拌した後,

15 分間放置した.20℃,17,400×g で 15 分間遠心分離し,上清を HPLC

用バイアルに移し,測定試料とした.

2-3-4. 測定機器および測定条件

HPLC 分析装置には,バイナリポンプ SL,デガッサ,オートサンプ

ラー,カラムコンパートメント (恒温槽 ) および蛍光検出器から構成

された Agilent1200series の HPLC システム (Agi lent Technologies ) を

用いた.分析カラムには,Discovery HS-C18 column (3 µm, 4.6 mm×150

mm, SIGMA-ALDRICH) を用い,測定時 50℃に保ち,ガードカラムと

して Inerts i l ODS-80A (5 µm, 10 mm×4.6 mm, GL Sciences) を使用した.

移動相は 25 mM リン酸緩衝液 (pH2.6) / アセトニトリル (43 : 57, v /

v) を 1.5 mL/min で送液して分析を行った.HPLC 注入量は 1 回 5 µL

であり,スチリペントールの検出には蛍光検出器 (Ex / Em : 210 / 400

nm ) を使用した.また測定試料は,試料調製後各測定開始時間まで

4℃に保存した.

2-3-5. 検討項目

測定法の妥当性を明らかにするため,検量線および直線性,定量再

現性,ならびに特異性試験について検討した.検量線用スタンダード

溶液は,標準溶液 10.0 µL に新鮮凍結血漿 90.0 µL を添加し撹拌した

後,新鮮凍結血漿にて希釈を行い, 0.1, 0 .5, 1 .0 , 5 .0 , 10.0 , 20.0 および

40.0 µg/mL の濃度溶液を調製した.各試料中薬物濃度の測定には,当

該薬物のピーク面積を内部標準物質のピーク面積で補正する内部標

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準法を用いて評価した.

【検量線】検量線の作成には,各濃度 3 点の平均値を使用し,最小 2

乗法を用いて直線性を評価した.

【再現性】日内の定量再現性は,治療濃度域を中心に各濃度につき 5

回繰り返し測定することによって評価した.また,同様の濃度で 5 日

間に渡り 定量す る ことで日 間再現 性 を評価し た.精 度 は変動係数

(C.V.) として評価し,正確度は (定量値 / 理論値 ) × 100%として評価

した.なお,判断基準は USP の基準 1 5 )を参考にした.

【特異性】特異性試験については,健常人より得られた新鮮凍結血漿

にて内因性物質の影響を確認した.また,抗てんかん薬 20 種類,国

内未承認の抗てんかん薬 4 種類ならびに抗てんかん薬の代謝物 4 種類

を併用した時の影響について精査した.検討した薬剤名の詳細はトピ

ラマートの項を参照のこと.

3. 結果

今回開発した測定法の妥当性を明らかにするため,検量線および直

線性,定量再現性,ならびに特異性試験について検討した結果,以下

の成績を得た.

3-1. トピラマート

3-1-1. 検量線および直線性

濃度の異なる 9 点のトピラマート溶液を用いて検量線を作成した

結果, 0.1-32.0 µg/mL の濃度において良好な直線性を示した.回帰直

線は, y = 0.19x - 0 .01 であり,ほぼ原点 (切片の 95%信頼区間 ; -0 .05

~ 0.02) を通過した (Fig. 5) .相関係数は r = 0.99, p < 0.01 であり,

この範囲で薬物定量測定が可能と確認された.

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3-1-2. 定量再現性

定量再現性は,0.1, 0 .2, 0 .5, 2 .0 および 8.0 µg/mL の濃度について評

価した (Table 1 ).精度は日内再現性では 0.8-7.1%,日間再現性では

1.3-9.3%であった.正確度は日内再現性では 99.9-105%,日間再現性

では 99.2-107%であった.

トピラマートの定量下限値を 0.1 µg/mL (S / N > 10) に設定し, 0.1

µg/mL における日内再現性および日間再現性について評価した結果,

変動係数 C.V.は 9.3%以下であり,正確度は 105-107%であった.

3-1-3. 特異性試験

トピラマートのピークが約 13.5 分, I.S .のピークが 約 18.8 分に検

出された.また健常人より得られた新鮮凍結血漿において,内因性物

質による妨害ピークは検出されなかった.

薬物添加新鮮凍結血漿の結果を Table 2 に示す.ゾニサミドのピー

クが約 8.2 分に検出されたが,トピラマートおよび I.S .ともに分離は

良好で定量に影響は見られなかった.ゾニサミド以外の薬剤に関して

はトピラマートの定量に影響を与えるピークは見られなかった.

なお,2009 年 6 月から 2010 年 5 月における繰り返し測定において

カラムの劣化による分離不良は認められなかった.

3-2. ラモトリギン

3-2-1. 検量線および直線性

濃度の異なる 9 点のラモトリギン溶液を用いて検量線を作成した

結果, 0.1-32.0 µg/mL の濃度において良好な直線性を示した.回帰直

線は y = 0.12x – 0 .02 であり,ほぼ原点 (切片の 95%信頼区間 ; -0 .04~

0.02) を通過した (Fig. 6) .相関係数は r = 0.99, p < 0.01 であり,こ

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の範囲で定量測定が可能と確認された.

3-2-2. 定量再現性

定量再現性は, 0.1 , 0 .3 , 2 .0, 8 .0 および 16.0 µg/mL の濃度について

評価した (Table 3).精度は日内再現性では 1.3-6.9%,日間再現性で

は 1.7-7.1%であった.正確度は日内再現性では 99.4-106%,日間再現

性では 99.1-106%であった.

ラモトリギンの定量下限値を 0.1 µg/mL (S / N > 10) に設定し, 0.1

µg/mL における日内再現性および日間再現性について評価した結果,

変動係数 C.V.は 7.1%以下であり,正確度は 103-106%であった.

3-2-3. 特異性試験

ラモトリギンのピークが約 5.4 分,I.S .のピークが 約 12.8 分に検出

され,健常人より得られた新鮮凍結血漿において,内因性物質におけ

る妨害ピークは検出されなかった.

薬物添加新鮮凍結血漿の結果を Table 4 に示す.各薬物のピークが

アセタゾラミド約 2.3 分,レベチラセタム約 2.4 分,スルチアム約 3.5

分,エトスクシミド約 3.9 分,ゾニサミド約 4.5 分,プリミドン約 4.8

分,フェルバメート約 4.9 分, p-ヒドロキシフェニトイン約 6.8 分,

フェノバルビタール約 8.2 分,カルバマゼピン -10,11-エポキシド約 9.7

分,オクスカルバゼピン約 11.7 分,フェニトイン約 18.0 分およびカ

ルバマゼピン約 20.0 分に検出されたが,ガバペンチン,クロナゼパ

ム,クロバザム,N-デスメチルクロバザム,ジアゼパム,スチリペン

トール,チアガビン,トピラマート,ニトラゼパム,バルプロ酸およ

びビガバトリンについては検出されなかった.いずれの薬物添加して

も,ラモトリギンおよび I.S .ともにピークの分離は良好で定量に影響

は見られなかった.

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なお, 2009 年 6 月から 2010 年 11 月における繰り返し測定におい

てカラムの劣化による分離不良は認められなかった.

3-3. スチリペントール

3-3-1. 検量線および直線性

濃度の異なる 7 点のスチリペントール溶液を用いて検量線を作成

した結果, 0.1-40.0 µg/mL の濃度において良好な直線性を示した.回

帰直線は, y = 0.19x - 0 .01 であり,ほぼ原点 (切片の 95%信頼区間 ;

-0 .02~ 0.07) を通過した (Fig. 7) .相関係数は r = 0.99,p < 0.01 であ

り,この範囲で定量測定が可能と確認された.

3-3-2. 定量再現性

定量再現性は,0.1, 0 .2 , 20.0 および 30.0 µg/mL の濃度について評価

した (Table 5) に示す.精度は日内再現性では 2.5-8.7%,日間再現性

では 3.0-7.8%であった.正確度は日内再現性では 97-104%,日間再現

性では 96.1-105%であった.

スチリペントールの定量下限値を 0.1 µg/mL (S / N > 10) に設定し,

0.1 µg/mL における日内再現性および日間再現性について評価した結

果,変動係数 C.V.は 3.2%以下であり,正確度は 96.1-104%であった.

3-3-3. 特異性試験

I.S .のピークが 約 4.2 分,スチリペントールのピークが約 4.6 分に

検出され,健常人より得られた新鮮凍結血漿において,内因性物質に

おける妨害ピークは検出されなかった.

薬物添加新鮮凍結血漿の結果を Table 6 に示す.特異性の検討にお

いても,各薬物のピークは注入後 60 分において,いずれも認められ

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ず,定量に影響は見られなかった.

なお,2012 年 2 月から 2010 年 5 月における繰り返し測定において

カラムの劣化による分離不良は認められなかった.

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4.考察

4-1. トピラマート

最初に, HPLC による定量で重要なラベル化剤の選択を検討した.

本研究では,アミノ基のラベル化剤としてベンゾイルクロリド,o-フ

タルアルデヒド,クロロぎ酸 9-フルオレニルメチル,4-クロロ -7-ニト

ロベンゾフラザン,および 4-(N,N-ジメチルアミノスルホニル ) -7-フル

オロ -2 ,1 ,3-ベンゾオキサジアゾールを用い,各ラベル化剤の反応性に

ついて検討した.その結果,4-クロロ -7-ニトロベンゾフラザンの反応

性が最も高く夾雑物ピークが少なかったことから,本剤を用いて測定

を行った.

I .S .の選定についても,従来第一アミノ基のアマンタジン 6 )を用い

る方法が報告されているが,今回トピラマートと同様,スルホンアミ

ドを有する 4-エチルベンゼンスルホンアミドを I.S .として用いた.

トピラマートの pKa が 8.7 であり pH が低くなるにつれて解離型の

比率が減少することから,酸性条件下で抽出を行った. pH 調整剤と

して 6 %過塩素酸,リン酸,塩酸,酢酸について検討を行ったが,共

沈がみられず除タンパク処理も可能なため, 6 %過塩素酸による酸性

条件下で抽出を行った.抽出溶媒としてジクロロメタン,ジエチルエ

ーテル,ヘキサン,酢酸エチル,トルエン,ジクロロメタン:アセト

ニトリル混液 (4:1 v/v) およびジクロロメタン: 2-プロパノール混液

(3:1 v/v) について検討を行ったが,抽出率および迅速性ともにジクロ

ロメタンによる抽出が再現性良くトピラマートを抽出することがで

き,十分適用できるものと考えられた.

4-クロロ -7-ニトロベンゾフラザンは,弱アルカリで誘導化反応が進

むことが知られている 1 6 ).本研究では,アルカリ化剤として炭酸水

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素ナトリウム水溶液,水酸化ナトリウム水溶液,ホウ酸緩衝液および

トリエチルアミンについて検討した結果,トピラマートに対する反応

性が高く,夾雑物ピークの少ない 0.1M 炭酸水素ナトリウム水溶液を

緩衝液として加える方法を選択した.4-クロロ -7-ニトロベンゾフラザ

ンによる誘導体化反応は,約 120 分で完全に終了した.反応時間によ

るトピラマートや I.S .の反応物の分解は認められなかった.

移動相は 25 mM リン酸緩衝液 (pH4.6) / メタノール / アセトニト

リル (65 : 20 : 15, v/v/v) にて検討を行い,リン酸緩衝液の pH を 2.5

に変更し分離を試みたが,夾雑物ピークがトピラマートの保持時間に

出現した.そのため,移動相の各比率を変更し検討した結果, 25 mM

リン酸緩衝液 (pH2.5) / メタノール / アセトニトリル (50 : 40 : 10,

v/v/v) とすることで,夾雑物ピークとトピラマートの分離が可能であ

った.

ラベル化剤を用いた HPLC によるトピラマートの測定法について

は,クロロぎ酸 9-フルオレニルメチルを用いる方法 6 )が既に報告され

ている.しかし,血漿量として 1000 µL 以上の多量の試料が必要であ

り,採血量の少ない小児には適用困難と考えられる.本研究において

は,既報 6 )の 1/10 量である血漿試料 100 µL と極めて少量の試料より

トピラマート濃度測定が可能であった.本研究において,少量の試料

で測定が可能であった要因として,① Bahrami らの報告 6 )では血漿試

料に対して除タンパクと pH 調整を行っていないが,本研究では除タ

ンパク処理と pH 調整に 6 %過塩素酸を用いることにより,トピラマ

ートの血漿タンパクとの結合による誤差を減らせたこと,また,採血

後 pH 変動がおこりうる血漿試料に対し, pKa が 8.7 のトピラマート

の抽出を酸性領域で安定させたこと,② Bahrami らの報告 6 )ではスル

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ホンアミドを有するトピラマートに対して,第一アミノ基を有するア

マンタジンを I.S .に選定したのに対して,本研究ではトピラマートと

同様,スルホンアミドを有する I.S .を選定し,4-クロロ -7 -ニトロベン

ゾフラザンに対する反応性を可能な限りトピラマートと同一にて行

ったことが影響していると考えられる.

また,本研究はラベル化反応を利用した測定法であることから,ラ

ベル化体生成状況について考察する必要がある.トピラマートと 4-

クロロ -7-ニトロベンゾフラザンの反応に関しては,Mart inc らが 2014

年に構造を決定し,論文報告 1 7 )しているが,本測定法では,基質に

対して大過剰のラベル化剤を加えており,検量線の濃度範囲内におい

て直線性が保たれている.また,同一試料を LC/MS 法にて再測定し,

相関性を比較した結果,本研究と LC/MS 法において,相関係数は r =

0.98, p < 0.01,回帰直線は y = 1.0x - 0 .1 であり,高い相関関係 (Fig.

8) を認めた.ラベル化反応開始後, 24 時間まで経時的に観察を行っ

たが,反応ピークの増減が認められなかったことから,ラベル化反応

は平衡状態に達しており一定の割合でラベル化体が生成されたもの

と考えられる.

特異性の検討において,トピラマートと同様に,スルホンアミドを

有するゾニサミドのピークが約 8.2 分に検出されたが,他の薬剤に関

しては,測定開始 60 分後においてもピークの検出が認められず,ト

ピラマートの定量に影響を与えなかった.この結果は,ゾニサミド以

外の薬剤が酸性条件下ジクロロメタンにおいて抽出されなかったた

め,あるいは 4-クロロ -7-ニトロベンゾフラザンのラベル化において

反応しなかったためではないかと推察される.利尿薬の多くは,スル

ホンアミドを有しているため本測定法によるトピラマートの定量に

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影響を与える可能性が推察される.本研究においてメチクランについ

て特異性試験を行ったが,クロマトグラム上には影響は認められなか

った.メチクラン以外の利尿薬については隣接基にハロゲンが置換さ

れており,反応性が低下することが予想される.また,小児は電解質

のバランスが崩れやすいことから,積極的な利尿薬の投与が避けられ

ているため,小児てんかん患者におけるトピラマートと利尿薬が併用

される可能性は低いと考えられる.しかし,4-クロロ -7-ニトロベンゾ

フラザンの反応性からアミノ基を有する薬剤,または,その代謝物へ

の影響については否定できず,その測定にあたり併用薬について注意

する必要があると考えられる.

4-2. ラモトリギン

最初に, HPLC による定量で重要な前処理方法について検討した.

これまでにも血中ラモトリギン濃度測定法の報告されているが,その

多くは固相抽出 7 )による前処理が用いられている.固相抽出法は選択

性が高いものの,操作が繁雑で前処理に時間を要するなどの問題点を

抱えている.本研究では,臨床現場で簡易に実施できる除タンパク法

による前処理について検討した.血漿試料の除タンパク剤としてアセ

トニトリル,メタノールおよび 6 %過塩素酸について検討した結果,

除タンパク効果が高く, I.S .を同時に添加しても安定性が高いアセト

ニトリルの等量添加法が最適と判断された.

除タンパク法を用いたラモトリギンの測定法については,Croci ら

8 )により既に報告されている.この測定法 8 )では内面逆相型からなる

ISRP column を用いており, 300 から 400 検体を定量するとカラムの

背圧が高くなり繰り返し測定することができない.一方,本測定法で

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は,同様の現象は認められず,繰り返し測定を行うことが可能であっ

た.

ODS カラムを用いた血中ラモトリギン濃度測定法は Pat il ら 9 )およ

び Ramachandran ら 1 0 )により既に報告されている.しかし,本研究に

おいて,血漿試料が 100 µL と極めて少量の試料よりラモトリギン濃

度測定が可能であった.この結果は,Pat i l らの報告 9 )の 1/2 量の血漿

試料であり,Ramachandran らの報告 1 0 )の 1/3 量の血漿試料であった.

ラモトリギン測定法の定量下限値は, Pat i l ら 9 )および Ramachandran

らの報告 1 0 )では 0.2 µg/mL であるのに対し,本研究では 0.1 µg/mL で

あった.

移動相は 25 mM リン酸緩衝液 (pH4.6),メタノール -アセトニトリ

ル混液 (4:3, v/v) = 65:35 (v/v) を一定条件で送液する方法について検

討したが,特異性の検討においてプリミドンのピークがラモトリギン

の保持時間に出現した.そこで,移動相の各比率を変更し検討した結

果,A:25 mM リン酸緩衝液 (pH4.6),B:メタノール -アセトニトリル混

液 (4:3, v/v), 32-37% B (0-23 min), 32% B (23-26 min), 1.0mL/min で

グラジエント送液することで,ラモトリギンとプリミドンを良好に分

離することができた.また,他の薬剤を添加し特異性について検討し

た結果,ラモトリギン濃度測定に何ら影響をおよぼすことのないこと

を確認した.Ramachandran らの報告 1 0 )では,多波長での吸光度をも

とに波長間で補正計算を行うことによってラモトリギンの測定を可

能としている.これに対して,本測定法は単一波長のみでラモトリギ

ンの測定が可能であった.

また,本測定法の妥当性をより詳細に検討するため,同一試料を

LC/MS 法にて再測定し,相関性を比較した結果,本研究と LC/MS 法

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との相関係数は r = 0.99, p < 0.01,回帰直線は y = 1.1x - 0 .24 で,高

い相関関係が認められた (Fig. 9).

4-3. スチリペントール

本研究では,前処理に迅速な除タンパク法を用い 1 試料あたり保持

時間は 5 分以内で分離可能であった.また試料量は,May ら 5 )の報告

では 100 µL, Arends ら 11 )の報告では 200 µL 必要であるのに対して,

今回開発した測定法では試料量が 10 µL で済むこと,さらに併用薬の

影響が皆無であることを示した.

最初に,臨床現場で信頼性のある結果を提供するために内部標準法

による検討を行った. I.S .の選定に関して,スチリペントールと同一

のオキシベンゼン基を有するサフロール,イソ酪酸ピペロニルおよび

キサントンについて検討した.イソ酪酸ピペロニルはスチリペントー

ルと分離が不十分であり,サフロールはスチリペントールに対して保

持時間が長いことからキサントンを I.S .として採用した.

次に検出器の検討を行った.併用薬の影響を排除すること,ならび

にこれまで蛍光検出器を用いた報告がないことから,選択性の高い蛍

光検出器を用いた.まず初めにスチリペントールの紫外可視吸収スペ

クトルを測定した.その結果, 210, 266 および 302 nm に吸収極大波

長が観測された.励起波長 210 nm において,蛍光スペクトルを測定

した結果, 310 から 420 nm に蛍光極大波長が観測された.これまで

の報告 1 8 )を考慮し,臨床状態での血中スチリペントール濃度である 4

から 22 µg/mL の範囲において直線性を満たす波長を検索した.その

結果,励起波長は 210 nm,蛍光波長は 400 nm において,夾雑物の影

響を受けることなくスチリペントールおよび I.S .の定量が可能であっ

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た.定量下限値は May らの報告 5 )が 0.2 µg/mL であり,Arends らの報

告 11 )が 1.0 µg/mL であるのに対して,本研究では 0.1 µg/mL まで定量

が可能であった.

移動相を 25 mM リン酸緩衝液 : アセトニトリル = 50 : 50 (v/v) と

し,一定条件で送液した.リン酸緩衝液の pH を 2.6, 4.8 および 6.9

に変更し検討した結果, pH の上昇に伴い保持時間が短縮するものの

ノイズが検出された.これらの結果を踏まえ,移動相の比率を 25 mM

リ ン 酸 緩 衝 液 (pH 2.6) :アセトニト リル = 43: 57 (v/v)と し , 1.5

mL/min で送液した.

本測定法による検出特異性についても,スチリペントール濃度測定

に関して影響がないことを確認した.

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第 2 章 患者血中濃度測定と動態特性

前章において開発した測定法の妥当性ならびに有用性を明らかに

するため,患者検体を用いて血中濃度測定を行い,各薬物の動態特性

について検討した.

1 . 対象患者

埼玉県立小児医療センターまたは国立病院機構静岡・てんかん神経

医療センターにおいて,トピラマート,ラモトリギンまたはスチリペ

ントールが処方されている難治性小児てんかん患者を対象とした.い

ずれかの薬物を同一量 8 日以上反復服用している患者より,内服後

2-4 時間に採血を行った.

なお,本研究は人試料を用いることから,各施設の倫理委員会にて

事前審査を受け,承認を得た後,被験者および代諾者の同意の下に実

施した.

2 . 方法

2-1. 測定方法

採取した患者検体は定量まで -25℃で保存し,測定時に解凍融解し

て測定に供した.各検体中薬物濃度の測定には,第 1 章に記した方法

1 2 - 1 4 )を用いて実施し,試料中の総薬物濃度を測定した.

2-2. 解析方法

【 C と D の関係】各患者より得た血中薬物濃度 (C;µg/mL) と各薬物

の体重当たりの 1 日投与量 (D;mg/day/kg) との相関関係について検

討した.なお,同一患者について複数測定した場合は,直近の測定値

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を用いた.投与量と血中濃度の相関関係について, Microsoft® Excel

2010 を用いて解析し,線形近似,指数近似,対数近似および累乗近

似曲線にあてはめ,最も相関性の良い式を求めた.

【 C/D 変動要因】一部の薬物については,成長に伴いクリアランスが

変動 1 9 )することから,クリアランスに及ぼす年齢,体重,体表面積,

および各種臨床検査値(アルブミン値,腎機能等)の影響を明らかに

するため,Microsoft® Excel 2010 を用いて相関係数ならびにP値を求

めた.P値が 0.05 以下の場合に有意と判定し,回帰分析を行った.

すなわち,クリアランスの変動を評価する指標として, 1 日投与量に

対する血中薬物濃度の比 (C/D 比;day・Kg/L) を算出し,各種変動要

因との相関性について検討した.なおクリアランスの低下に伴い C が

低下することから,C/D 比の上昇はクリアランスの低下を,C/D 比の

低下はクリアランスの上昇を示す.

クリアランスに影響を及ぼす要因を認めた場合,その要因が投与設

計する際の変動要因となり得るか否か詳細に検討した.変動要因が体

重の場合を例に詳述する (Fig. 10).最初に C/D 比と体重の回帰直線

を求め,次に変動要因の中央値を起点に,各患者との体重差 (ΔW) を

算出した.これに回帰直線の傾き (S lope) を掛け合わせ,各患者の体

重増減により生じるクリアランスの変動率 (ΔW × Slope) を求めた.

その後,補正係数 α = 1 + (ΔW × Slope) の式に当てはめ,各患者の補

正係数を算出した.得られた補正係数 α は体重の増減により,クリア

ランスが低下上昇することを示唆しており,投与量と血中濃度のとの

関係に影響する要因と推察される.そこで,投与量を α で補正し,血

中濃度との相関性について検討した.その他の変動要因についても同

様に解析を行った.

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またトピラマートについては,未変化体尿中排泄率 80%の薬剤であ

ること 2 0 )から,腎排泄の指標として血清クレアチニン濃度を,肝代

謝の指標として体表面積を使用し,補正係数 α = 1 + 0.8K + 0.2H の式

より各患者の補正係数を算出した後,投与量 × α と血中濃度との相関

性について検討し,投与設計する際の変動要因としての役割について

評価した.なお,K は血清クレアチニン濃度に基づく変動率を,H は

体表面積に基づく変動率を示しており,先の変動率 (ΔW × Slope) と

同様に,C/D 比と血清クレアチニン濃度との関係式より K 値を,また

C/D 比と体表面積との関係式より H 値を求めた.

【相互作用】トピラマートまたはラモトリギン投与患者における薬物

相互作用については,各薬物動態特性を考慮し,酵素誘導剤併用の有

無による血中薬物濃度変化について検討した.評価に際しては C/D 比

の変動,またスチリペントールについて非線形性薬物動態解析を行っ

た.なお,C/D 比は平均±標準偏差で表示した.

【統計解析】統計的有意差検定には,Microsoft® Excel 2010 を用いて

t 検定を行った.多剤併用下における薬物動態の解析には,トピラマ

ートまたはラモトリギンを投与する患者で酵素誘導剤を併用投与し

ていない患者群より得た値を基準とし,併用患者群より得た値と比較

することにより評価した.いずれも p < 0.05 を有意差ありと判定した.

3 . 結果

3-1. トピラマート

3-1-1. 投与量と血中濃度の関係

トピラマートの被験者数は 41 名であり,年齢分布 (Y.O.) (中央値 )

は, 1 .0-14.9 (9.3)であった.また,体重分布 (kg) (中央値 ) は 8.1-73.7

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(20.7)であった.

各患者におけるトピラマートの 1 日投与量と血中薬物濃度の関係

について検討した結果,両者の間に良好な直線関係を認めた.また最

も相関性の高い近似曲線として y = 1 .1x を得た.相関係数は r = 0.88,

p < 0.01 であった (Fig. 11) .

3-1-2. C/D 比

一部の薬物では成長に伴いクリアランスが変化することから 1 9 ),

クリアランスに及ぼす年齢,体重,体表面積および各種臨床検査値と

の関連性について検討した.トピラマートの解析結果を Fig. 12 に示

す.トピラマートの C/D 比は年齢,体重,体表面積,クレアチニン濃

度との間に相関を認めたが,アルブミン値およびその他臨床検査値と

の間には相関は認められなかった.

相関性を認めた各項目について,補正係数 α を算出して投与量を補

正し,血中濃度との関係について再検討した.しかし補正係数 α を

様々な形式に変換し,D と C の相関性について検討したが,補正係数

を使用しない D と C の相関係数を上回る,すなわち相関性の向上を

示す,成績は得られなかった (Fig. 13,14).

また,トピラマートは未変化体尿中排泄率 80%の腎排泄型薬剤であ

ること 2 0 )から,腎排泄および肝排泄の指標を考慮した補正係数を算

出し,この補正係数 α を用いて D と C の相関性について検討したが,

相関性の向上を示す結果は得られなかった (Fig. 15).

3-1-3. 多剤併用下における薬物動態の解析

酵素誘導剤であるフェノバルビタールまたはカルバマゼピンの併

用による C/D 比への影響について検討した.酵素誘導剤非併用群の

C/D 比は 1.2±0.4 day・Kg/L,フェノバルビタール併用群では 0.6±0.3

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day・ Kg/L,カルバマゼピン併用群では 1.2±0.5 day・Kg/L であり,

フェノバルビタール併用による顕著な酵素誘導効果が観察され,両群

間に有意な差が観察された (Table 7) .

3-2. ラモトリギン

3-2-1. 投与量と血中濃度の関係

ラモトリギンの被験者数は 51 名であり,年齢分布 (Y.O.) (中央値 )

は, 2 .5-14.8 (11.6)であった.また,体重分布 (kg) (中央値 ) は 7.0-63.3

(29.3)であった.

各患者におけるラモトリギンの 1 日投与量と血中薬物濃度の関係

について検討した結果,両者の間に良好な直線関係が観察された.ま

た最も相関性の高い近似曲線として y = 0.48x + 0.29 を得た.相関係

数は r = 0.80, p < 0.01 であった (Fig. 16).

3-2-2. C/D 比

ラモトリギンについてもトピラマート同様,年齢,体重,体表面積

及び各種臨床検査値と C/D 比との関係について検討した.一部の因子

との間にも弱い相関を認めるものの,投与量を調節する変動要因とは

認められなかった (Fig. 17).これらの成績は,ラモトリギンの体内動

態に及ぼす年齢,体重,体表面積,アルブミン濃度,腎機能の影響が

少ないことを示唆している.

3-2-3. 多剤併用下における薬物動態の解析

酵素競合薬剤としてバルプロ酸,また酵素誘導剤としてカルバマゼ

ピン,フェニトイン,フェノバルビタールまたはプリミドンについて,

これら薬剤との併用の有無による C/D 比の影響を検討した.酵素競合

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薬剤を併用下において,酵素誘導剤非併用群では 2.5±1.1 day・Kg/L,

酵素誘導薬剤併用群では 0.9±0.5 day・Kg/L であり,酵素競合薬剤非

併用下における酵素誘導剤併用群では 0.7±0.3 day・ Kg/L であった.

酵素競合薬剤の併用により薬物消失遅延が,また酵素誘導剤の併用に

より顕著な消失亢進が観察され,両者の間に有意な差が観察された

(Table 8) .

3-3. スチリペントール

3-3-1. 投与量と血中濃度の関係

スチリペントールの被験者数は 37 名であり,年齢分布 (Y.O.) (中

央値 ) は, 7 .0-14.8 (12.3)であり,体重分布 (kg) (中央値 ) は 13.5-45

(20.5) であった.

各患者におけるスチリペントールの 1 日投与量と血中薬物濃度の

関係について検討した結果,投与量の上昇に伴い血中濃度も上昇した

が,上昇の程度は投与量の増加に伴いより顕著に上昇し,投与量と血

中濃度との間に非線形性を示した.また最も相関性の高い近似曲線と

して y = 0.06x1 . 4 を得た.相関係数は r = 0.86, p < 0.01 であった (Fig. 18).

3-3-2. C/D 比

スチリペントールについてもトピラマート同様,年齢,体重及び各

種臨床検査値と C/D 比との関係について検討した.血清クレアチニン

との間にも弱い相関を認めた.スチリペントールは高脂溶性薬物でア

ルブミンとの結合率が 99%と高いことから,C/D 比とアルブミン濃度

との相関性について検討した.しかし両者の間に相関性は観察されな

かった (Fig. 19).

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3-3-3. 非線形薬物動態の解析

スチリペントールは非線形薬物動態を示すことから,ミカエリス・

メンテン式の Km (mg/L) および Vmax (mg/day/kg) を求めた.検討を

行った式は,1/D = Km/(Vmax × C) + 1/Vmax (Fig. 20),D = -(Km × D)/C

+ Vmax (Fig. 21) および C =(Vmax × C)/D – Km (Fig. 22) であり, Km

および Vmax は,それぞれ 56.5 および 4.6, 56.5 および 3.5,ならび

に 54.5 および 3.0 であり,いずれの計算式を用いても近似した値が得

られた.

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4. 考察

トピラマートは半減期が 19-23 時間,蛋白結合率が 13-17%,未変

化体尿中排泄率が 80%と高く,腎抽出率の低い,腎排泄型の薬剤であ

る 2 0 ).クリアランス変動要因として腎固有クリアランスの関与が推

察される.ラモトリギンは半減期が 24-35 時間,蛋白結合率が 56%,

未変化体尿中排泄率が 10%と低く,肝抽出率の低い,肝代謝型の薬剤

である 2 1 ).クリアランス変動要因として肝固有クリアランスの関与

が推察される.またスチリペントールは蛋白結合率が 99%と高く,未

変化体尿中排泄率が 25%である.肝抽出率は約 0.25 である肝代謝薬

物 2 2 )で,クリアランス変動要因として肝固有クリアランスと蛋白結

合率の関与が推察される.またいずれの薬物も分布容積が大きく,細

胞内外を問わず広く分布する特性を有していると考えられる (Table

9).

これら動態特性を有する薬物を反復投与した際の血中濃度推移を

シミュレートしたグラフを Fig. 23 に示す.一般に,血中濃度をモニ

ターする場合トラフ値が用いられるが,今回投与した薬剤はいずれも

半減期が長く,繰り返し投与 8 日目以降は平衡状態に達していること,

平衡状態時における血中濃度の変動幅が 10%程度であること,また近

似した時間帯に採血していることから,各患者から得たデータは定時

測定により得られた値であり,薬物動態特性を解析する上で特に支障

ないものと考えられる.

一般に,クリアランスが上昇すると,血中濃度が低下することから,

クリアランスの変動を評価する指標として,1 日投与量に対する血中

薬物濃度を C/D 比を用いた.なお, C/D の単位は day・Kg/L となり,

クリアランスの逆数に相当する.

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4-1. トピラマート

投与量と血中濃度の相関関係について検討した結果,トピラマート

の血中濃度は投与量と良好な直線性を示し,その薬物動態特性が線形

性を示す薬剤と考えられた.トピラマートの C/D 比は年齢,体表面積

および体重との間に相関を認めたことから,これら要因が投与設計す

る際の変動因子となり得るかより詳細に検討した.しかし,いずれの

場合も補正係数を使用しない D と C の相関係数を上回る,すなわち

相関性の向上を示す成績は得られなかった (Fig. 13, 14).

次に,トピラマートの動態特性を考慮した補正を行った.すなわち,

トピラマートは未変化体尿中排泄率が 80%であること 2 0 )から,腎排

泄率を 80%,肝排泄率を 20%とし,それぞれの補正係数を算出した.

腎排泄の指標は血清クレアチニン濃度,肝排泄の指標は体表面積を用

いた.しかし,この補正係数 α を用いても,相関性の向上を示す結果

は得られなかった (Fig. 15).

以上のことから,少なくとも腎機能が正常な小児にトピラマートを

単独投与する場合,成人と同様,体重に基づいて投与設計すればよい

と判断される.

また,トピラマートは,主に腎にて排泄されるが, 20%が肝代謝さ

れる薬剤である.主に CYP3A4 により代謝されることから,CYP3A4

誘導剤による薬物動態への影響を明らかにするため,酵素誘導剤併用

による C/D 比に関して比較検討した.本研究では,酵素誘導剤として

フェノバルビタールまたはカルバマゼピンを選択した.酵素誘導剤非

併用群に対し,フェノバルビタール併用群では顕著な酵素誘導効果が

観察され,統計的に有意な差を認めた (Table 7).この結果は, Adin

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らの報告 2 3 )と類似していた.一方,カルバマゼピン併用群では Adin

らの報告 2 3 )と異なり,有意差が認められなかった.本研究において

カルバマゼピン併用群で有意差が認めらなかった要因として, Adin

らの報告 2 3 )が 20 症例を対象としているのに対して,本研究では 6 症

例と少ないことが関与しているものと推察される.これらの成績は,

トピラマート投与患児に併用薬を用いる場合,相互作用の有無につい

て事前調査すると共に,投与中も定期的に血中濃度測定する必要があ

ることを示唆している.

4-2. ラモトリギン

投与量と血中濃度の関係において,ラモトリギンは良好な直線性が

示したことより,線形性を示す薬剤と考えられる. C/D 比は,年齢,

体重,アルブミン値,肝・腎機能等,いずれの因子とも相関性が認め

られなかったことから,肝機能に異常のない小児にラモトリギンを単

独投与する場合,体重に基づいて投与量を設定すればよいと考えられ

る.

また,ラモトリギンは,肝代謝薬剤でグルクロン酸抱合により代謝

される.そのため,同経路で代謝され酵素競合薬剤であるバルプロ酸

を併用した時,あるいはグルクロン酸抱合を誘導する薬剤を併用した

時に,血中濃度への影響が懸念される.本研究では,酵素競合薬剤と

してバルプロ酸,また酵素誘導薬剤としてカルバマゼピン,フェニト

イン,フェノバルビタールあるいはプリミドンを併用した時の C/D 比

の変動について検討した.その結果,酵素競合薬剤を併用した群では,

酵素誘導剤併用群に比して,C/D 比は高値を示した (Table 8).これら

の成績は,成人を対象とした May ら 2 4 )および Batt ino らの報告 2 5 )と

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一致しており,ラモトリギンを投与する小児に併用薬を投与する際,

併用薬に起因する酵素阻害作用あるいは酵素誘導作用に注意する必

要があることを示唆している.

4-3. スチリペントール

血中スチリペントール濃度と 1 日投与量との関係について, Levy

ら 2 6 )は 21 から 50 歳の成人 6 例を対象に種々検討した結果,ミカエ

リス・メンテン型の非線形薬物動態を示すことを報告している.一方,

Arends らは,線形を示す症例だけでなく非線形を示す症例もあること

を報告 5 )している. Arends らは,年齢についても検討しており, 12

歳以上のグループでは, 12 歳未満のグループより 1 日投与量に対し

て血中スチリペントール濃度が高いとを報告 5 )している.本研究では,

投与量を増すごとに血中スチリペントール濃度がより顕著に上昇す

る曲線を描き,回帰直線より求めた相関係数よりも良好な値を得るこ

とができた.そこで,ミカエリス・メンテンの式を,両逆数プロット

をはじめ様々な式に変形し,Vmax および Km を求めた.その結果,

いずれの変形式から得た数値も Levy らの報告 2 6 )と近似した値を示し

た.

また,スチリペントールは蛋白結合率が 99%と非常に高い薬物で,

結合タンパクとしてアルブミンが関与しているが,アルブミン値と

C/D 比との間に相関性は認められなかった.スチリペントールは様々

な酵素により代謝されるが CYP2C19 も関与しており,遺伝子多型を

はじめ様々な要因が関与しているためにアルブミン値との間に相関

性が得られなかったのではないかと推察される.

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第 3 章 新規測定法の臨床応用

前章において得た各薬剤の薬物動態特性ならびに薬物相互作用に

関する知見を基に,血中濃度コントロール不良の患者に対し,今回開

発した測定方法を利用して薬剤学的介入を実施した.

症例 1

トピラマート血中濃度が 0.7 µg/mL と低値を示す患児 (2 歳 10 ヶ月,

女児, 12.0 kg) に TDM 介入を行った (Fig. 24).患児は 2011 年 10 月

よりてんかん発作を発症した.主治医はウエスト症候群を疑い,診

断・治療ガイドラインに準拠して 2 7 ) ,ビタミン B6 製剤投与より治

療を開始した.さらにグロブリン製剤および ACTH 製剤を追加投与し

たが症状の改善は認められなかった. 2011 年 12 月から,脱力発作に

対してバルプロ酸,上肢上げ発作に対してゾニサミドの投与を開始し,

適宜増量を試みた. 2012 年 5 月にバルプロ酸は無効と判断して投与

を中止し,トピラマートに変更した.その結果,発作は消失したこと

から,以降,ゾニサミドとの 2 剤併用投与にて発作をコントロールし

た. 2014 年 4 月より再び発作が出現したことから,トピラマートの

血中濃度を測定した.その結果, 0.7 µg/mL と低値であった.同時に

測定した生化学検査の結果には,腎機能および肝機能を始め様々な検

査値に異常値所見は認められなかった (Table 10).2012 年 5 月のトピ

ラマート投与開始時より投与量を変更していないことから,トピラマ

ート投与量が少ないことが原因と判断し,投与量の増量を計画した.

薬剤投与開始時の年齢は月齢 7 ヶ月であり,トピラマートの適応外

年齢であったことから,発作が抑制できた時点での投与量を維持量と

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していた.今回,年齢の上昇に伴い体重も増加したことから投与量の

増量が必要と判断した.

血中濃度は有効域 5.0 µg/mL を目標 2 8 )に,先の動態特性の結果を踏

まえ投与設計した.その結果,投薬量を 1.5 mg/kg から 4.9 mg/kg に

増量することで,血中濃度は 5.0 µg/mL まで上昇すると予測した.臨

床医は代謝性アシドーシスの発症を懸念し,2 段階での増量を実施し

た.すなわち,投薬量を一旦 1.5 mg/kg から 3.0 mg/kg に増量したと

ころ,血中濃度が 2.8 µg/mL に上昇したが副作用の発現は観察されな

かった.そこでさらに投与量を 6.0 mg/kg に増量した結果,血中濃度

は 6.0 µg/mL に上昇し,てんかん発作ならびに副作用も認められない

ことから,以後維持投与量として継続投与した (Fig. 24).現在,脳波

検査に合わせて半年毎に血中濃度を定期的にモニターしており,体重

および血中濃度に大きな変動はなく,良好に経過している.

症例 2

ラモトリギンとバルプロ酸の併用投与患児 (14 歳 10 ヶ月,女児,

49.3 kg) に TDM 介入を行った (Fig. 25).患児は 2004 年 10 月より発

作が出現したためバルプロ酸の投与を開始した. 2008 年 2 月よりカ

ルバマゼピンを追加投与し, 2011 年 9 月よりさらにラモトリギンを

併用投与し,以降 3 剤にててんかん発作をコントロールしていた.

2013 年 2 月,てんかん発作も皆無であり,妊娠可能年齢になったこ

とから,投薬数の減数を検討した.削減対象薬として投与薬剤中で有

効性が低いにもかかわらず胎児奇形発症率の高いバルプロ酸を選択

した.第 2 章で得た成績より,バルプロ酸併用中止によりラモトリギ

ン血中濃度の低下が予測されたことから,薬学的介入を行った.

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本患者においてバルプロ酸併用時のラモトリギン血中濃度は 9.1

µg/mL であった.同時測定した生化学検査の結果には,腎機能および

肝機能を含め異常値を示す検査所見は認められなかった (Tab le 11 ).

第 2 章の結果より,バルプロ酸の併用中止した場合,C/D 比 0.7 day・

Kg/L,ピーク血中濃度は 2.3 µg/mL になると予測され,投与量の増加

により血中濃度は維持可能と判断した.医師と協議した結果,ラモト

リギンは急激な増量により致死的な皮膚障害などの副作用を発症す

ることから,バルプロ酸中止後に血中濃度を測定し,発作の発症状況

を確認した上で,新たな血中濃度を設定することにした (Fig. 25).

バルプロ酸中止 4 ヶ月後に血中濃度を測定した結果,ラモトリギン

の血中濃度は 3.4 µg/mL に低下していた.本症例では,最小有効濃度

2 8 )まで血中濃度の上昇を目指し,投与量を 6.0 mg/kg に増量した.そ

の結果, 2 ヶ月後の血中濃度は 5.4 µg/mL に上昇し,目立った発作が

認められないことから,維持量として継続投与した.本症例は,成人

期への移行に伴い,他院へ転院した.

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総 括

小児てんかん患者に有効かつ安全な至適薬物療法を遂行するため

には薬物血中濃度測定は極めて重要である.今回難治性てんかんの治

療に用いられている 3 種の抗てんかん薬 (トピラマート,ラモトリギ

ン,スチリペントール ) を対象に,様々な処理条件を改良することに

より,臨床応用可能な簡便かつ迅速に微量試料で高感度分析可能な

HPLC 測定法の開発を行った.

今回開発した分析法は,いずれの薬物もこれまでの報告より少量の

試料で測定できた.また,極めて特異性に優れ,併用の可能性のある

薬物の影響を受けることなく良好に分離定量することができた.

今回開発した測定法を難治性小児てんかん患者試料を用いて評価

した結果,トピラマートおよびラモトリギンは投与量と血中濃度の間

に線形性を示すこと,併用する薬剤により影響を受けることを認めた.

一方,スチリペントールについては非線形性を示し,投与設計する際,

各薬剤の体内動態特性を十分把握した上で対処する必要があること

を認めた.

また,本測定法により血中濃度をモニタリングすることで,トピラ

マートおよびラモトリギンを服用している患者の血中濃度を良好に

コントロールすることができた.

これらの成績は,今回開発した分析方法が抗てんかん薬の血中濃度

モニタリングに極めて有用であり,有効かつ安全な薬物療法を遂行す

る上で有益なツールとなり得ることを示している.

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謝 辞

本研究の遂行に際し,終始ご懇意なるご指導,ご鞭撻を賜りました

明治薬科大学 薬物体内動態学教室 吉田久博教授に深甚なる謝意

を表します.

本研究を進めるにあたり,有益なご助言ならびにご指導を賜りまし

た埼玉県立小児医療センターの各先生方に深謝致します.

本研究に際し,多くの知識や示唆を頂いた埼玉県立がんセンター

治験管理室 柵木信男先生に感謝の意を表します.

本研究の遂行にあたり,多大なるご尽力をいただきました国立病院

機構静岡てんかん・神経医療センターの各先生方に感謝致します.

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A., Clin. Pharmacol . Ther. , 36, 661-669 (1984).

27) 伊藤正利 , てんかん研究 , 24, 68-73 (2006).

28) 猪爪信夫 , TDM 研究 , 30, 53-108 (2013).

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43

図・表

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Table 1. Intra- and inter-assay precision and accuracy results for plasma

samples with topiramate

Drug Added

(μg/mL)

Intra-assay (n = 5) Inter-assay (n = 5)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

topiramate

0.1

0.2

0.5

2.0

8.0

0.1

0.2

0.5

2.1

8.1

3.3

7.1

2.6

3.7

0.8

105

104

99

104

101

0.1

0.2

0.5

2.0

8.1

9.3

3.8

7.5

1.8

1.3

107

103

99

101

102

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Table 2. List of drugs checked for topiramate method interference

Drug Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min) Drug

Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min)

acetazolamide 20 N.D. nitrazepam 0.1 N.D.

carbamazepine 10 N.D. oxcarbazepine 10 N.D.

carbamazepine-10,11-

epoxide 5 N.D. phenobarbital 40 N.D.

clobazam 0.5 N.D. phenytoin 20 N.D.

clonazepam 0.1 N.D. potassium bromide 1000 N.D.

N-desmethylclobazam 5 N.D. primidone 10 N.D.

diazepam 0.5 N.D. rufinamide 20 N.D.

ethosuximide 100 N.D. stiripentol 10 N.D.

felbamate 100 N.D. sultiame 20 N.D.

gabapentin 20 N.D. tiagabine 0.1 N.D.

p-hydroxyphenytoin 10 N.D. topiramate 20 13.5

lamotrigine 10 N.D. valproic acid 100 N.D.

levetiracetam 50 N.D. vigabatrin 50 N.D.

10-hydroxycarbazepine 40 N.D. zonisamide 20 8.2

I.S. (4-ethylbenzenesulfonamide) 250 18.8 blank plasma ー ー

N.D. ; not detected within 60 min from injection

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Table 3. Intra- and inter-assay precision and accuracy results for plasma

samples with lamotritine

Drug Added

(μg/mL)

Intra-assay (n = 5) Inter-assay (n = 5)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

lamotorigine

0.1

0.3

2.0

8.0

16.0

0.1

0.3

2.0

8.1

16.6

6.9

2.2

1.3

1.8

2.2

106

105

99

102

104

0.1

0.3

2.0

8.2

16.4

7.1

6.4

3.1

2.9

1.7

103

106

99

102

102

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Table 4. List of drugs checked for lamotorigine method interference

Drug Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min) Drug

Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min)

acetazolamide 20 2.3 nitrazepam 0.1 N.D.

carbamazepine 10 20.1 oxcarbazepine 10 11.7

carbamazepine-10,11-

epoxide 5 9.7 phenobarbital 40 8.2

clobazam 0.5 N.D. phenytoin 20 18.0

clonazepam 0.1 N.D. potassium bromide 1000 N.D.

N-desmethylclobazam 5 N.D. primidone 10 4.8

diazepam 0.5 N.D. rufinamide 20 N.D.

ethosuximide 100 3.9 stiripentol 10 N.D.

felbamate 100 4.9 sultiame 20 3.5

gabapentin 20 N.D. tiagabine 0.1 N.D.

p-hydroxyphenytoin 10 6.8 topiramate 20 N.D.

lamotrigine 10 5.4 valproic acid 100 N.D.

levetiracetam 50 2.4 vigabatrin 50 N.D.

10-hydroxycarbazepine 40 N.D. zonisamide 20 4.5

I.S. (chlorzoxazone) 20 12.8 blank plasma ー ー

N.D. ; not detected within 60 min from injection

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Table 5. Intra- and inter-assay precision and accuracy results for plasma

samples with stiripentol

Drug Added

(μg/mL)

Intra-assay (n = 5) Inter-assay (n = 5)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

Found (mean)

(μg/mL)

Precision CV

(%)

Accuracy

(%)

stiripentol

0.1

0.2

20.0

30.0

0.1

0.2

20.7

30.8

3.0

8.7

2.5

3.9

104

97

104

103

0.1

0.2

20.4

30.8

3.2

7.8

3.0

6.1

96

105

102

103

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Table 6. List of drugs checked for stiripentol method interference

Drug Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min) Drug

Concentration

(μg/mL)

Retention time

(min)

acetazolamide 20 N.D. nitrazepam 0.1 N.D.

carbamazepine 10 N.D. oxcarbazepine 10 N.D.

carbamazepine-10,11-

epoxide 5 N.D. phenobarbital 40 N.D.

clobazam 0.5 N.D. phenytoin 20 N.D.

clonazepam 0.1 N.D. potassium bromide 1000 N.D.

N-desmethylclobazam 5 N.D. primidone 10 N.D.

diazepam 0.5 N.D. rufinamide 20 N.D.

ethosuximide 100 N.D. stiripentol 10 4.6

felbamate 100 N.D. sultiame 20 N.D.

gabapentin 20 N.D. tiagabine 0.1 N.D.

p-hydroxyphenytoin 10 N.D. topiramate 20 N.D.

lamotrigine 10 N.D. valproic acid 100 N.D.

levetiracetam 50 N.D. vigabatrin 50 N.D.

10-hydroxycarbazepine 40 N.D. zonisamide 20 N.D.

I.S. (xanthone) 200 4.2 blank plasma ー ー

N.D. ; not detected within 60 min from injection

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Treatment group n Age

(Y.O.)

BW

(kg)

Concentration

(μg/mL)

Dose

(mg/day/kg)

C/D ratio

(day・kg/L)

+ Other AEDs . 26 9.4

±4.4

30.6

±19.5

5.5

±3.4

4.9

±3.0

1.2

±0.4

+ PB + Other AEDs 9 7.4

±4.1

15.6

±5.6*

4.7

±3.0

8.8

±6.0

0.6

±0.3*

+ CB + Other AEDs 6 11.7

±3.1

34.4

±17.8

4.5

±2.6

4.1

±2.2

1.2

±0.5

Means ± S.D. C/D ratio = Concentration/Dose. *p<0.05

PB; phenobarbital, CB; carbamazepine, AEDs; antiepileptic drugs.

Table 7. Age, body weight, plasma concentrations, doses, and C/D ratio of topiramate

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Treatment group n Age

(Y.O.)

BW

(kg)

Concentration

(μg/mL)

Dose

(mg/day/kg)

C/D ratio

(day・kg/L)

+ VPA … . 20 9.9

±3.7

31.1

±15.9

3.7

±3.0

1.5

±0.9

2.5

±1.1

+ VPA + inducers 15 11.4

±2.3

30.9

±11.4

3.8

±3.2

4.5

±2.8*

0.9

±0.5*

+ inducers ... . 16 10.8

±3.7

37.0

±16.5

3.5

±2.1

5.7

±3.0*

0.7

±0.3*

Means ± S.D. C/D ratio = Concentration/Dose. *p<0.05

Inducers; carbamazepine, phenytoin, phenobarbital, or primidone.

Table 8. Age, body weight, plasma concentrations, doses, and C/D ratio of lamotrigine

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トピラマート ラモトリギン スチリペントール

T1/2(hr) 19-23 24-35 6.0-8.6

バイオアビラビリティ(%) >70 97.6 -

蛋白結合率(%) 13-17 56 99

未変化体尿中排泄率(%) 80 10 25

分布容積(L/kg) 0.6-0.8 0.9-1.2 1

全身クリアランス(mL/min/kg) 0.3-0.5 0.4-0.6 3.3-6.0

抽出率 0.03-0.04 (腎) 0.03-0.04 (肝) 0.17-0.32 (肝)

消失特性 腎排泄 肝代謝 肝代謝

タンパク結合依存

クリアランス変動要因 CLintR CLintH CLintH, fuB

Table 9. トピラマート,ラモトリギンおよびスチリペントールの薬物特性

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TP(g/dL)

ALB(g/dL)

T-BIL(mg/dL)

D-BIL(mg/dL)

I-BIL(mg/dL)

CHO(mg/dL)

TG(mg/dL)

7.1

4.4

0.5

0.0

0.5

197

89

GOT(U/L)

GPT(U/L)

ALP(U/L)

LD(U/L)

CK(U/L)

UN(mg/dL)

CRE(mg/dL)

34

11

674

48

3

11

0.27

UA(mg/dL)

Ca(mg/dL)

P(mg/dL)

Na(mEq/L)

K(mEq/L)

CL(mEq/L)

2.0

10.1

4.8

140

4.2

110

症例1 Table 10. トピラマート介入事例_検査値

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TP(g/dL)

ALB(g/dL)

T-BIL(mg/dL)

D-BIL(mg/dL)

I-BIL(mg/dL)

CHO(mg/dL)

TG(mg/dL)

7.2

5.0

0.5

0.1

0.4

130

51

GOT(U/L)

GPT(U/L)

ALP(U/L)

LD(U/L)

CK(U/L)

UN(mg/dL)

CRE(mg/dL)

13

11

134

141

63

13

0.48

UA(mg/dL)

Ca(mg/dL)

P(mg/dL)

Na(mEq/L)

K(mEq/L)

CL(mEq/L)

3.2

9.9

3.7

139

4.3

103

症例2 Table 11. ラモトリギン介入事例_検査値

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年齢

発症率(人口/

10万人当り)

有病率、累積発症率(%)

発症率 累積発症率

有病率

Fig. 1. てんかんの年代別発症率

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Fig. 2. Chemical structures of topiramate, 4-ethylbenzenesulfonamide and

4-chloro-7-nitrobenzofurazan

topiramate 4-ethylbenzene-

sulfonamide

4-chloro-7-nitro-

benzofurazan

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Fig. 3. Chemical structures of lamotrigine and chlorzoxazone

lamotrigine chlorzoxazone

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Fig. 4. Chemical structures of stiripentol and xanthone

stiripentol xanthone

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Fig. 5. Calibration curve and linearity of topiramate

Concentration (μg/mL)

Peak

are

a r

ati

o (

arb

itra

ry

un

it)

y = 0.19x – 0.01

r = 0.99, p < 0.01

(means of 3samples each)

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Fig. 6. Calibration curve and linearity of lamotrigine

Concentration (μg/mL)

Peak

are

a r

ati

o (

arb

itra

ry

un

it)

y = 0.12x – 0.02

r = 0.99, p < 0.01

(means of 3samples each)

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Fig. 7. Calibration curve and linearity of stiripentol

Concentration (μg/mL)

Peak

are

a r

ati

o (

arb

itra

ry

un

it)

y = 0.11x + 0.02

r = 0.99, p < 0.01

(means of 3samples each)

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HPLC analysis (μg/mL)

Fig. 8. Relationship of plasma topiramate concentrations of

HPLC analysis and LC/MS analysis

LC

/MS

an

aly

sis

(μg/m

L)

y = 1.0x – 0.1

r = 0.98, p < 0.01

(n = 46)

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HPLC analysis (μg/mL)

Fig. 9. Relationship of plasma lamotrigine concentrations of

HPLC analysis and LC/MS analysis

LC

/MS

an

aly

sis

(μg/m

L)

y = 1.1x – 0.24

r = 0.99, p < 0.01

(n = 42)

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Concentration /

Dose

体重 (kg)

y=0.02x+0.64

r = 0.83

Fig. 10. 体重中央値を用いた場合のトピラマートのConcentration / Dose比補正

中央値 患者体重

α α

患者体重

△W △W

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Fig. 11. Relationship between plasma concentration and dose

of topiramate

Dose (mg/day/kg)

Con

cen

trati

on

g/m

L)

y = 1.1x

r = 0.88, p < 0.01

(n = 26)

Page 68: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

0

1

2

0

1

2

年齢(Y.O.) 体重 (kg)

y=0.06x+0.60

r = 0.66, p < 0.01

ALB (g/dL) eGFR (mL/min/1.73㎡)

y=0.006x+0.46

r = 0.32, p = 0.11 y=-0.14x+1.76

r = 0.12, p = 0.59

y=0.02x+0.64

r = 0.83, p < 0.01

Fig. 12. トピラマートのConcentration / Dose比

0

1

2

0

1

2

0

1

2

y=0.72x+0.42

r = 0.81, p < 0.01

0

1

2

体表面積 (㎡)

SCr (mg/dL)

y=1.22x+0.59

r = 0.62, p < 0.01

Concentration /

Dose

(day・

kg/L)

Page 69: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

0

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5

0

5

10

15

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

y=1.24x+0.74

r = 0.84, p < 0.01

y=0.04x+0.29

r = 0.78, p < 0.01

y=0.12x+0.17

r = 0.84, p < 0.01

y=0.44x+1.9

r = 0.78, p < 0.01 C (

μg/m

L)

logC

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

Fig. 13. 体重補正を行ったトピラマートの投与量と血中濃度の関係

0

5

10

15

Page 70: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

0.0

5.0

10.0

15.0

0 10 20 30

0.0

0.5

1.0

1.5

0 50 100

0.0

5.0

10.0

15.0

0 5 10 15

0.0

0.5

1.0

1.5

0 5 10 150

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5

0

5

10

15

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

y=0.96x+0.34

r = 0.86, p < 0.01

y=0.01x+0.23

r = 0.85, p < 0.01

y=0.09x+0.20

r = 0.79, p < 0.01

y=0.44x+1.7

r = 0.82, p < 0.01 C (

μg/m

L)

logC

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

Fig. 14. 体表面積補正を行ったトピラマートの投与量と血中濃度の関係

0

5

10

15

Page 71: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

0

5

10

15

0 5 10 15

0

5

10

15

0 10 20 30

0.0

0.5

1.0

1.5

0 5 10 15

0.0

0.5

1.0

1.5

0 10 20 300

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5

0

5

10

15

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

y=0.52x+3.1

r = 0.49, p < 0.05

y=0.04x+0.32

r = 0.72, p < 0.01

y=0.06x+0.38

r = 0.54, p < 0.01

y=0.38x+2.3

r = 0.70, p < 0.01 C (

μg/m

L)

logC

α × D(mg/kg) (1+logα) x D(mg/kg)

Fig. 15. 腎,肝排泄補正を行ったトピラマートの投与量と血中濃度の関係

0

5

10

15

Page 72: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

Fig. 16. Relationship between plasma concentration and dose

of lamotrigine

Dose (mg/day/kg)

Con

cen

trati

on

g/m

L)

y = 0.48x + 0.29

r = 0.80, p < 0.01

(n = 16)

Page 73: 抗てんかん薬簡易分析法の確立と多剤併用小児てん …2 め,多剤併用する場合や頻回測定を要する場合,安価で簡易な測定方 法を確立することは極めて重要である.

0.0

0.5

1.0

1.5

0.0 0.5 1.0

0.0

0.5

1.0

1.5

0 1 2

0.0

0.5

1.0

1.5

0 50 100

0.0

0.5

1.0

1.5

0 10 20

0

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5

0

0.5

1.0

1.5 Concentration /

Dose

(day・

kg/L)

年齢 (Y.O.) 体重 (kg)

y=0.03x+0.3

r = 0.33, p = 0.21

ALB (g/dL)

y=0.01x+0.29

r = 0.49, p = 0.052

y=-0.02x+0.92

r = 0.26, p = 0.34

y=0.35x-0.85

r = 0.38, p = 0.16

Fig. 17. ラモトリギンのConcentration / Dose比

0

0.5

1.0

1.5 y=0.39x+0.18

r = 0.48, p = 0.06

体表面積 (㎡)

ALT (U/L)

0

0.5

1.0

1.5

SCr (mg/dL)

y=0.70x+0.29

r = 0.48, p = 0.06

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Fig. 18. Relationship between plasma concentration and

dose of stiripentol

Dose (mg/day/kg)

Con

cen

trati

on

g/m

L)

y = 0.06x1.4

r = 0.86, p < 0.01

(n = 37)

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0.0

0.5

1.0

0 20 40

0.0

0.5

1.0

0 20 40 60 800.0

0.5

1.0

0 5 10 150

0.5

1.0 Concentration /

Dose

(day・

kg/L)

年齢 (Y.O.) 体重 (kg)

y=0.02x+0.11

r = 0.32, p = 0.06

y=0.003x+0.23

r = 0.13, p = 0.45

y=-0.002x+0.32

r = 0.11, p = 0.52

y=0.06x+0.02

r = 0.17, p = 0.33

Fig. 19. スチリペントールのConcentration / Dose比

0

0.5

1.0

0

0.5

1.0

0

0.5

1.0

0.0

0.5

1.0

0.0 0.5 1.0 1.5SCr (mg/dL)

y=0.27x+0.16

r = 0.41, p < 0.05

0

0.5

1.0

ALT (U/L) ALB (g/dL)

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Fig. 20. Michaelis-Menten plot of Stiripentol

1/D = Km/(Vmax × C) + 1/Vmax

1 / Concentration (L/mg)

1 /

Dose

(k

g/d

ay

/mg)

y = 0.08x + 0.02

(n = 37)

Vmax = 56.5 mg/day/kg

Km = 4.6 mg/L

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Fig. 21. Michaelis-Menten plots of Stiripentol

D = -(Km × D)/C + Vmax

Dose / Concentration (L/day/kg)

Dose

(m

g/d

ay

/kg)

y = -3.5x + 56.5

(n = 37)

Vmax = 56.5 mg/day/kg

Km = 3.5 mg/L

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Fig. 22. Michaelis-Menten plot of Stiripentol

C =(Vmax × C)/D - Km

Concentration / Dose (kg/day/L)

Con

cen

trati

on

(m

g/L

)

y = 54.5x -3.0

(n = 37)

Vmax = 54.5 mg/day/kg

Km = 3.0 mg/L

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Concentration (μg/m

L)

トピラマート ラモトリギン スチリペントール

4

8

0

4

8

0

4

8

0

0

5

10

15

20

0

5

10

15

20

2

4

6

上限-下限

13.2-15.2

上限-下限

4-4.6

上限-下限

15.5-16.7

Time (day)

0

Fig. 23. 反復投与シミュレーション

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症例1

Fig. 24. トピラマート介入事例_症例1

部分発作

全般発作

投薬歴

(mg/kg)

トピラマート

血中濃度

(μg/mL)

有効治療域

’11/10 ’12/05 ’14/04 ’11/12

バルプロ酸 Vit.B6

グロブリン 製剤

ACTH製剤 ゾニサミド

//

介入

’14/10 ’14/07

1.5 トピラマート

6.0

発作

3.0

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症例2 部分発作

全般発作

’04/10 ’11/09 ’13/02 ’08/02

介入

4.0 ラモトリギン

// ’13/06 ’13/08

0

5

10

有効治療域

投薬歴

(mg/kg)

ラモトリギン

血中濃度

(μg/mL)

発作

Fig. 25. ラモトリギン介入事例_症例2

カルバマゼピン

バルプロ酸

6.0