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鳥羽市事業系生ごみを活用した廃棄物系バイオマス 発電等および海岸漂着物等によるバイオマス発電等 エネルギー利用導入に関する計画策定業務 -報告書- 平成 27 年3月 (株)地域計画建築研究所(アルパック)

鳥羽市事業系生ごみを活用した廃棄物系バイオマス …...鳥羽市事業系生ごみを活用した廃棄物系バイオマス 発電等および海岸漂着物等によるバイオマス発電等

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鳥羽市事業系生ごみを活用した廃棄物系バイオマス

発電等および海岸漂着物等によるバイオマス発電等

エネルギー利用導入に関する計画策定業務

-報告書-

平成 27年3月

(株)地域計画建築研究所(アルパック)

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目次

1. 計画策定の背景と目的 .................................................................................................... 1

2. バイオマスに関する鳥羽市の現状 .................................................................................. 2

2.1. 鳥羽市の廃棄物系バイオマス等に関する現状 ........................................................ 2

2.1.1. 地勢 ................................................................................................................... 2

2.1.2. 人口 ................................................................................................................... 3

2.1.3. 産業構造............................................................................................................ 4

2.1.4. 観光業(観光客数、ホテル旅館等の立地) ..................................................... 5

2.1.5. 農業 ................................................................................................................... 7

2.1.6. 林業等 ............................................................................................................... 9

2.1.7. ごみ量・資源化量等 ....................................................................................... 10

2.1.8. し尿汚泥・浄化槽汚泥 ..................................................................................... 11

2.1.9. 海岸漂着物 ...................................................................................................... 12

2.1.10. 答志島について ........................................................................................... 14

2.2. エネルギー利用の検討対象とする廃棄物系バイオマス等 .................................... 15

3. 市内の廃棄物系バイオマス等の利用可能量と導入計画 ............................................... 16

3.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥等 ............................................................................ 17

3.1.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の賦存量 .......................................................... 17

3.1.2. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥に関する本市の特性および社会情勢 .............. 20

3.1.3. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の利用手法及び事業収支 ................................. 21

3.1.4. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の利用可能量 ................................................... 23

3.1.5. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥のエネルギー利用導入事業の検討 .................. 25

3.2. 海岸漂着物 ............................................................................................................. 31

3.2.1. 海岸漂着物の賦存量 ....................................................................................... 31

3.2.2. 海岸漂着物の利用可能量 ................................................................................ 33

3.2.3. 海岸漂着物に関する本市の特性および社会情勢............................................ 33

3.2.4. 海岸漂着物のエネルギー利用導入事業 .......................................................... 36

3.2.5. 事業化可能性の検討 ....................................................................................... 39

3.3. 木質バイオマス ...................................................................................................... 43

3.3.1. 木質バイオマス賦存量 .................................................................................... 43

3.3.2. 木質バイオマス利用可能量 ............................................................................ 45

3.3.3. 森林バイオマスに関する本市の特性および社会情勢 .................................... 45

3.3.4. 木質バイオマスの活用方法及び事業収支 ...................................................... 47

3.3.5. 運用に関する検討(設備、必要な人工等) ................................................... 50

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4. 市内の廃棄物系バイオマス等のエネルギー利用導入計画 ........................................... 54

4.1. 各バイオマスの導入計画 ....................................................................................... 54

4.1.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥 ......................................................................... 54

4.1.2. 海岸漂着ごみ .................................................................................................. 54

4.1.3. 木質バイオマス ............................................................................................... 55

4.2. 各バイオマスの導入スケジュール ......................................................................... 56

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1. 計画策定の背景と目的

近年、全国的に、エネルギーの地域での地産地消に対する意識が高まっており、地域内

で利用できるバイオマス資源の把握と利活用が望まれている。ここで、本市においては、

観光都市であるため、一般廃棄物に占める事業系のごみの割合が過半を占めるなど、事業

系一般廃棄物、とりわけ観光産業であるホテル・旅館等の生ごみの減量や利活用が求めら

れているところである。

また、本市は伊勢湾内外の潮流が相対する場所であり、多くの漂着ごみが見られるが、

そのために海岸機能の低下や生態系を含めた環境・景観の悪化、漁業への被害、観光面で

の影響などが指摘されており、こうした漂着ごみへの対策も課題となっている。

このような理由から、本市では、生ごみや漂着ごみ等の、市内での活用が期待されるも

のの現在未利用のバイオマスについて、バイオマス発電等エネルギー利用導入に関する計

画を検討することとした。

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2. バイオマスに関する鳥羽市の現状

2.1. 鳥羽市の廃棄物系バイオマス等に関する現状

生ごみや海岸漂着物等未利用バイオマスに関連する本市の現状は以下のとおり。

2.1.1. 地勢

本市は、三重県の東端部、志摩半島の北側、伊勢湾の入り口の西部側に位置し、伊勢湾

と太平洋・熊野灘に面しており、市域面積は 107.99km2、70%以上を森林が占めている。

三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台となった神島をはじめ、戦国武将九鬼嘉隆が眠る答志

島、しろんご祭(海女の祭 り)の菅島、江戸川乱歩と妻隆が愛を育んだ坂手島といった 4

つの有人離島をはじめとする離島部と半島部から構成され、変化に富んだ海岸線を中心に

数多くの 自然の景勝を有しており、全域を伊勢志摩国立公園に指定されている。

岬や海底は、良好な岩礁部であるため、古くから女性が体ひとつで素潜り漁をする「海

女文化」が根付いており、鮑、さざえ、うに、なまこなどを漁獲し、また、刺し網、一本

釣り、黒のり・ワカメ・牡蠣養殖なども盛んに行われている。

位置 東経 136°50′ 北緯 34°28′

面積 107.34 平方キロメートル

出所:第五次鳥羽市総合計画

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2.1.2. 人口

今後の生ごみ等バイオマス発生量の基礎となる人口については、国勢調査によると昭和

35 年をピークにゆるやかに減少を続けており、平成 22 年は約 21,435 人、8,057 世帯とな

っている。

なお、うち離島は 、3,893 人( 18.2%)、1,319 世帯( 16.4%)である。

出所:鳥羽市統計要覧

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2.1.3. 産業構造

今後の事業系生ごみ等バイオマス発生量の基礎となる産業構造については、漁業及び観

光関連産業の割合が高い。

産業別就業者数は、第 1 次 1,325 人、第 2 次 1,814 人、第 3 次 7,100 人、分類不能 627

人で、第三次産業が約7割を占めている。

出所:第五次鳥羽市総合計画

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2.1.4. 観光業(観光客数、ホテル旅館等の立地)

事業系生ごみ等バイオマス発生量に直接的な影響の大きい観光業については、本市は、

ホテル・旅館・民宿など多種多様な宿泊施設を有しており、式年遷宮の時期なども宿泊滞

在拠点としての受け皿となっている。

観光客数及び宿泊者数ともに減少傾向で、伊勢神宮の式年遷宮を契機に平成 25 年度いっ

たん持ち直し、平成 26 年はやや減少してそれぞれ約 440 万人、約 190 万人となっている。

出所:第五次鳥羽市総合計画

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出所:鳥羽市統計要覧

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2.1.5. 農業

生ごみ等バイオマスの発生源であるとともに、消化液等エネルギー利用の際の残渣の受

け入れ先となる農業については、水田が約 180ha、畑が約 30ha とともに少ない。

なお、糞尿等畜産系バイオマスの発生源であるとともに、生ごみ等バイオマスの利活用

における飼料の受け皿となる畜産業も少ない。

出所:第五次鳥羽市総合計画

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出所:鳥羽市統計要覧

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2.1.6. 林業等

本市は、森林が市域の7割以上を占め、そのうち約7割が広葉樹(薪炭林)である。

木質系バイオマスに関連する林業等については、林家はおらず、担い手は森林組合であ

り、少量を間伐している状態である。

出所:鳥羽市統計要覧

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2.1.7. ごみ量・資源化量等

生ごみ等バイオマスの発生状況については、ごみの総量は約 11,000t/年強で減少傾向にあ

るが、生ごみ等を含む可燃ごみは約 9,000t/年で横ばいの状況である。

なお、最も大きな離島である答志島地区は、独立した清掃センターで可燃ごみを処理し

ているが、耐用年数を超えており、それへの対応が喫緊の課題となっている。

出所:第五次鳥羽市総合計画

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2.1.8. し尿汚泥・浄化槽汚泥

バイオマスの一つであるし尿汚泥・浄化槽汚泥については約 9,400kl/年弱で、し尿浄化槽

人口の増加に伴う浄化槽汚泥の増加により増加傾向にあり、し尿処理施設の処理能力に近

づきつつあり、それへの対応が喫緊の課題となっている。

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2.1.9. 海岸漂着物

本市においては、伊勢湾の入り口に位置するその地理的条件から答志島における多量の

海岸漂着物が問題になっている。

海岸漂着物の状況やこれまでの対策の概要は以下のとおり。

(1)海岸漂着物の調査の概要

環境省では、2007 年度から 2010 年度にかけて、「漂流・漂着ゴミに係る国内削減方策モ

デル調査」を鳥羽市の答志島において実施し、漂着物の量と質、効率的な回収・処理方法、

発生源や漂流・漂着メカニズムの推定、対策のあり方等が検討された。

三重県では、この調査結果を踏まえ、2009 年度から 2010 年度にかけて県内の伊勢湾内

の主要な海水浴場等の 14 海岸での海岸漂着物概況調査、伊勢湾内の海岸漂着物詳細調査及

び伊勢湾流域での河川ごみ実態調査等を実施した。

(2)海岸漂着物の調査結果の概要

伊勢湾内に漂着するごみの量の推計値は、年間約1万1千トンであり、このうち外海か

ら流入するごみを除いても約1万トンのごみが、三重県だけでなく愛知県や岐阜県からも

川の流れによって伊勢湾流域から流出している。

海岸漂着物の量は、鳥羽市の答志島・奈佐の浜が圧倒的に多く、鳥羽市・志摩市に集積

する傾向が認められた。これは、この地域が湾口に位置し、潮流や風などの影響により、

特定の地域に集中するためと考えられる。

また、海岸漂着物の種類は、流木等の自然物が約8割を占め、漁業系、生活系、事業系

はほぼ同じである。

(3)海岸漂着物に対する取組

三重県では、愛知県、岐阜県、名古屋市とともに、三県一市で「海岸漂着物対策検討会」

を設置し、伊勢湾流域圏で連携した対策を進めている。

また、県内だけでなく愛知県や岐阜県からのボタンティアにより、鳥羽市答志島で海岸

清掃が行われるなど、広域で連携した活動も始まっている。

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http://www.eco.pref.mie.lg.jp/isewan/08/

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2.1.10. 答志島について

答志島は、鳥羽港の北東約 2.5km に位置する鳥羽市最大の島であり、総面積 6.98k ㎡、

周囲 26.3kmで、周囲には多くの無人島がある。

島の 80%が自然林で占められており、桃取町の奈佐には、市の木であるヤマトタチバナ

の原木が生えており、県の天然記念物にも指定されている。

答志(とうし)、答志和具(とうしわぐ)、桃取(ももとり)の 3 地区があり、産業面は、

漁業と観光の調和のとれた地域振興を目指している。

交通体系については、市営定期船が佐田浜港から答志、和具行きと桃取行きの2区間に

分かれてそれぞれ 1 日 8~10 便が運航されている。

【答志島の概要】

・面積・・・6.98k 平方メートル

・周囲・・・26.3km

・世帯数・・・769 世帯

・人口・・・2,578 人(男 1,200 人、女 1,378 人)

1.答志地区・・・343 世帯 1,295 人(男 597 人、女 698 人)

宿泊施設・・・旅館、民宿など 7 軒(収容能力 327 人)

2.和具地区・・・168 世帯 524 人(男 249 人、女 275 人)

宿泊施設・・・旅館、民宿など 16 軒(収容能力 882 人)

3.桃取地区・・・258 世帯 759 人(男 354 人、女 405 人)

宿泊施設・・・旅館、民宿など 3 軒(収容能力 180 人)(平成 23 年 3 月末)

・観光客数・・・166,800 人(平成 21 年 3 月~平成 22 年 2 月)

https://www.city.toba.mie.jp/kikaku/ritoushinkou/toushijima/html/toushijima.html

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2.2. エネルギー利用の検討対象とする廃棄物系バイオマス等

本市における廃棄物系バイオマス等に関する現状から、以下のバイオマス等をエネルギ

ー利用の検討対象とする。

① 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥

一般廃棄物の総量は減少する中で、可燃ごみは横ばいであり、本市は観光関係の宿泊

施設が多いことから事業系生ごみも多い。

また、し尿・浄化槽汚泥も増加傾向で、処理施設の処理能力に近づきつつあり、それ

への対応が喫緊の課題となっている。

② 海岸漂着物

登志島において非常に多く、清掃センターも耐用年数を超えており、喫緊の課題とな

っている。

③ 木質バイオマス

市域の約7割を森林占め、さらにその約7割が広葉樹で、現状では利用は少ないが、

社会的に利用ニーズが高まっている。

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3. 市内の廃棄物系バイオマス等の利用可能量と導入計画

以下では、前章で抽出した、市内で利活用が見込まれる廃棄物系バイオマス等について、

種類別、業種別に賦存量と利用可能量を算出し、それぞれについてエネルギー利用導入に

関する計画を検討した。

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3.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥等

3.1.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の賦存量

(1)厨芥類

市内の家庭や事業所から排出される厨芥類の全量を賦存量とした。

本市の一般廃棄物の排出量は、家庭系ごみが年間で 3,546t、事業系ごみが約 5,775t で

あり、事業系ごみの方が多い。平成 22 年に三重県が実施した県内の家庭ごみについての実

態調査結果によると、家庭ごみ中の生ごみの重量比が約 50%であったこと、また、本市で

の過去の調査結果では、事業系ごみ中の生ごみの重量比が約5割であることから、以下の

表のように、市内の生ごみの賦存量を 4,500t/年と想定した。

なお、市内のホテルや旅館などで、堆肥化装置等を用いて、生ごみを自主的に堆肥化等

の資源化をしている事例があるが、過去の補助件数から想定すると、わずかだと見込まれ

る。また、食品製造業から排出される厨芥類は産業廃棄物であり、一般廃棄物とは別途排

出されているが、下表に示すように、鳥羽市の排出量はわずかと見込まれる。

平成 25 年度の一般廃棄物排出量から算出した厨芥類の賦存量

家庭系一般廃棄物 事業系一般廃棄物 計

一般廃棄物排出量 3,546t 5,775t 9,321t

厨芥類割合 50% 48% -

厨芥類賦存量 1,773t 2,772t 4,545t

※家庭系一般廃棄物中の生ごみの割合は、「平成 22 年度ごみ減量導入可能性調査報告書」(H23.3 三重県)

から、鳥羽市近隣の志摩市の値を採用した。

※事業系一般廃棄物中の生ごみの割合は、「ごみ減量化手法検討調査報告書」(H19.3 鳥羽市)での推計結

果を用いた。

産業廃棄物の厨芥類(動植物性残さ)の推計排出量

産業廃棄物

動植物性残さ排出量 5.6千t

伊勢志摩地域製造品出荷額等 4,085,458万円

鳥羽市製造品出荷額等 69,608万円

厨芥類賦存量 95t

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<参考図>

家庭系一般廃棄物中の厨芥類の割合

出典:「平成 22 年度ごみ減量導入可能性調査報告書」(H23.3 三重県)

事業系一般廃棄物中の厨芥類の割合

注)平成17年度のごみ質は厨芥類の割合がかなり高かったため、平成15年度、16年度

2年間の平均を可燃ごみのごみ質とした。

出典:「ごみ減量化手法検討調査報告書」(H19.3 鳥羽市)

紙・布類

ビニール・樹脂・皮革類

木・竹・わら類

厨芥類

不燃物類

その他

32.5%

9.7%

5.1%

48.1%

1.4%

3.2%

紙・布類

ビニール・樹脂・皮革類

木・竹・わら類

厨芥類

不燃物類

その他

32.5%

9.7%

5.1%

48.1%

1.4%

3.2%

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(2)し尿・浄化槽汚泥

市内の家庭や事業所から排出され、市に搬入されるし尿・浄化槽汚泥の全量を賦存量と

した。

賦存量は、次図のし尿処理量に示すように、平成 25 年度で約 9.5 千tであった。

し尿・浄化槽汚泥の賦存量

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3.1.2. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥に関する本市の特性および社会情勢

(1)厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥に関する本市の特性

1)厨芥類に関する特性

本市は観光産業が盛んであり、大規模なホテルや旅館が多数立地しているため、人口

規模の割に厨芥類の排出量が大きいことが特徴としてあげられる。また、その他にも、

豊富な海産物を利用した飲食店や水産加工業なども立地しており、厨芥類を排出する事

業所の割合は高く、量も大きいと見込まれる。

厨芥類の資源化の手法としては、堆肥化、飼料化、バイオガス化等様々な方法が検討

対象となるが、いずれの場合も分別排出・分別収集による資源化が求められる。

2)し尿・浄化槽汚泥に関する特性

本市は観光産業が盛んで、大規模なホテルや旅館が多数立地しているが、それらのホ

テルや旅館は市街地だけでなく、市街地以外の景勝地に多数立地しているという特徴が

ある。そうした地域・施設では合併浄化槽が利用されており、今後も浄化槽汚泥が継続

して排出されると見込まれる。

(2)厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥を巡る社会情勢

一時期、バイオガス化施設の整備は進んでいなかったが、近年、特に家庭や事業所の

厨芥類などの一般廃棄物を対象とした施設の整備が、山口県防府市、京都市(平成 31 年

整備予定)などで進んでいる。

また、FITが始まり、バイオガス化施設で発電した電力が高く購入される仕組みが

導入されたことにより、施設整備の流れはさらに進むと想定される。

なお、これまで特に一般廃棄物を利用したバイオガス化が進まなかった理由として、

残さや異物の処理費用が高いことがあったが、福岡県大木町や京都府京丹後市など、液

肥を農業利用することで処理費用を不用にする取組が増えている。

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3.1.3. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の利用手法及び事業収支

(1)厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の利用手法の概要

1)厨芥類の活用方法の概要

厨芥類を資源化し、利用する手法としては、堆肥化、飼料化、バイオガス化等様々な

方法が検討対象となる。

しかし、厨芥類の排出量が多いホテルや旅館等の宿泊施設は、調理場等が狭隘な場合

も多いほか、繁忙期と閑散期でごみ量が大きく違い、ごみ量の多い忙しい時期には、分

別排出の徹底が困難なこと、市内には堆肥を利用できる農地が比較的少ないなどの理由

から、家畜の安全面の理由から分別基準を厳密に守る必要がある飼料化よりは、堆肥化

やバイオガス化の方が適している。

ただし、堆肥化については、堆肥にプラスチックなどの異物が含まれていても栽培上

の問題は少ないが、堆肥を使用する農家に好まれないため、なるべく異物の少なくする

とともに、生成した堆肥を篩いにかけるなどして、できる限り異物を除去することが望

ましい。一方、バイオガス化の場合は、前処理で残さを取り除くことができるとともに、

できた液肥からの異物除去も可能である。

なお、3.1.1 節でも示したように、家庭系一般廃棄物にも重量比で 50%程の厨芥類が含

まれており、これらも堆肥化、飼料化、バイオガス化等が可能である。しかし、鳥羽市

はそれほど堆肥需要が大きくないことに加え、家庭系の厨芥類については、説明会など

で丁寧に説明しても、事業系一般廃棄物以上に異物の除去を徹底させることが難しい場

合が多く、バイオガス化が適していると言える。

2)し尿・浄化槽汚泥の活用方法の概要

し尿・浄化槽汚泥については、堆肥化、バイオガス化といった方法が活用方法として

検討対象になる。し尿・浄化槽汚泥については、汚泥中の固形物濃度が低いため、処理

量の割には取り出せるエネルギー量や得られる堆肥化量は少ない。

ただし、本市の場合、市内の農地がそれほど多くないため、農地の面積に合わせた資

源化が求められる可能性もある。

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厨芥類の各資源化方法の比較

技術 項 目 内 容

堆肥化

対象物 家庭系生ごみ、食品加工残渣、卸小売食品残渣、汚泥、家畜ふん尿、剪定枝等

搬入物管理 ○異物が混入した堆肥は、農家が利用したがらないため、プラスチック等の異物の混入防止を徹底する必要がある。

成分の安定化、

施肥したときの

安全性確保

○肥料として必要な成分を含んでいることなどが要請される。

・普通肥料:窒素、リン酸、カリ等の主成分が保証されている肥料であり、

肥料の種類によって公定規格が細かく設定されている。

・特殊肥料:使う人が容易にその品質を識別でき、組成が簡単な肥料である。米ぬか、魚かす、堆肥等が含まれる。

○市場で流通させるには、肥料取締法に基づく届出、登録及び品質表示が必要。

環境対策 周辺への臭気対策が必要

経済性

○施設建設費は、日量10tの場合で、処理能力1t当たり2千4百万円程度。

○農地で利用可能な肥料とするには二次発酵する必要があり、生成に時間を要するとともに、熟成用のスペースが必要となる。

○生ごみ以外の畜産廃棄物などによる肥料など、競合製品が多い。

例)特殊肥料5~10円/kg

需要先の確保 近隣に農地等の堆肥の利用先を確保する必要がある。

飼料化

対象物 食品加工残渣、卸小売食品残渣

搬入物管理 家畜等の飼料とするため、異物の混入防止や腐敗防止を徹底する必要がある。

家畜等の

安全性の確保

○飼料として栄養分や油分、塩分、水分を家畜等に適した状態に調整する必要がある。特に、油分の配合率が高いと食肉の品質に影響を与える可能性がある。

○飼料安全法で、配合飼料は公定規格により家畜ごとに各種成分の許容範囲が定められており、認定が必要である。

環境対策 周辺への臭気対策が必要である。

経済性

○施設建設費は、日量10tの場合で、処理能力1t当たり9千万円程度。

○配合飼料等よりも安価で供給する必要がある。平均的な配合飼料の

価格は、50~58円/kg(豚用)、55~56円/kg(鶏用)である。

需要先の確保 安定的に飼料を受け入れる畜産農家等の利用先を確保する必要がある。

バイオ

ガス化

対象物 家庭系生ごみ、食品加工残渣、卸小売食品残渣、汚泥、家畜ふん尿 など

搬入物管理 ○飼料化や堆肥化に比べると異物混入に対して柔軟性を持つ

○異物が混入すると、メタン発酵効率が低下する

安定的な

メタンガス発生

○メタン発酵の阻害要因であるアンモニアの発生を抑えるため、CN比は10~15

以上が望ましい。

環境対策 周辺への臭気対策と残さへの対策が必要である。

経済性

○施設建設費は、日量5tの場合で、処理能力1t当たり1億数千円程度。(ただし、残さを資源化する場合は、かなり安くできる)

○発酵残さや排水等を廃棄物処理する場合は、多額の費用がかかる。

○バイオガスを発電して売電する場合、FITに適合する場合は、39円/kwhとかなり高額で売却できる。

需要先の確保 ○バイオガスは天然ガスの代替燃料として、発電のほか、熱供給や自動車燃料等に利用できる。

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23

3.1.4. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥の利用可能量

(1)厨芥類の利用可能量

分別排出に参加する割合を、事業系は7割、家庭系は6割とした。その場合、厨芥類の

利用可能量は約 3,000tである。

平成26年度の一般廃棄物排出量から算出した厨芥類の賦存量

家庭系一般廃棄物 事業系一般廃棄物 計

厨芥類賦存量 1,773t 2,772t 4,545t

分別排出参加率 60% 70% -

厨芥類利用可能量 1,064t 1,940t 3,004t

鳥羽市人口

(住基台帳 H27.2) 20,398人 20,398人 -

厨芥類分別排出原単位 143g/人・日 260g/人・日 403g/人・日

※家庭系一般廃棄物中の参加率は、家庭や事業所の生ごみを回収してバイオガス化、液肥利用を進めてい

る福岡県大木町の原単位を参考に設定した。

(2)し尿・浄化槽汚泥の利用可能量

し尿・浄化槽汚泥については、賦存量と同じく、現在のし尿・浄化槽汚泥の処理量全量

を利用可能量とした。

なお、現在の処理施設である鳥羽志勢クリーンセンターは、155kL/日の処理能力を持っ

ているが、現在の処理実績は年間約 55,000t(日平均処理量約 150kL)であり、ほぼ能力

的な限界に近づいている。

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鳥羽志勢クリーンセンターの概要

出典:平成 26 年度一般廃棄物処理実施計画(鳥羽市)

し尿処理量(実績)

出典:平成 24 年度 一般廃棄物処理事業のまとめ(三重県)

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3.1.5. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥のエネルギー利用導入事業の検討

(1)エネルギー利用導入事業の概要

民間事業者が、市民、事業者が分別排出した生ごみと、し尿・浄化槽汚泥を原料として、

バイオガス化を行う事業について検討した。

具体的には、別途市内民間事業者が事業化を検討中であることなどを勘案し、原材料及

び規模の異なる3つのパターンについて、物質収支、エネルギー収支、環境負荷について

検討した。

検討したパターンは、以下の3つである。パターンaでは、分別排出に協力的な、大規

模ホテルやスーパーの生ごみを対象に資源化を行う。パターンbでは、市内の事業系一般

廃棄物の全量を、パターンcでは加えて家庭系生ごみやし尿・浄化槽汚泥についてもバイ

オガス化を実施する。

a 事業系生ごみを資源化(小規模型)

b 事業系生ごみを資源化(市内一括型)

c 事業系・家庭系生ごみと浄化槽汚泥を資源化する複合型

展開 パターン

a 事業系生ごみを資源化 小規模型

b 事業系生ごみを資源化 市内一括型

c 事業系・家庭系生ごみと浄化槽汚泥を資源化する複合

概要

・生ごみを多量に排出するホ

テルやスーパー等で、分別

排出に協力的な事業者の生

ごみを対象に資源化を実施

する。

・得られた液肥は、市内の農

地等で利用する。

・市内から排出される事業系

生ごみの全量を資源化す

る。

・得られた液肥は、市内の農

地等で利用する。

・食品製造業が排出する産業

廃棄物も資源化対象とする

・一般廃棄物処理の一部事務

組合を構成する他市の事業

系一般廃棄物も受け入れる

・市内から排出される事業系

生ごみと、離島であり、別途

処理施設が立地する答志島

を除く家庭系生ごみの全量

を資源化する

・得られた液肥は、市内の農

地等で利用する。

・産廃、他市の事業系一般廃

棄物についても受け入れる

・し尿・浄化槽汚泥について

は、本市の排出量の約 1/2

程度である、日量 10t程度を

受け入れる

規模

・日処理量 5t/d

・民間事業者が市内に施設を

整備する。

・日処理量 10t/d

・民間事業者が市内に施設を

整備する。

・日処理量 20t/d

・民間事業者が市内に施設を

整備する。

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<参考>検討したバイオガス化事業の概要

分別排出した生ごみを分別収集し、バイオガスプラントに投入する。バイオガスは発電

に利用し、施設内の電力をまかない、余剰電力は売却する。残渣・残液の処理にはかなり

のコストがかかることから、全量を液肥利用する。

バイオガス化事業のイメージ

<参考>先進地におけるバイオガス化事業例

生ごみ

(事業所、家庭)

バイオガス

施設

バイオガス

残渣、残液

場内利用、余

剰電力を売却

液肥化

メタン発酵 発電

農地 利用

排水処理 河川 放流

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鳥羽志摩地域では観光産業が地域の中心的な産業であることからも、こうした取組を

地域外に広く発信し、付加価値を付けた農業を実施することが可能である。

液肥を利用することにより、肥料の使用量を減らすことが可能となれば、農家にとっ

てコスト削減のメリットが生まれる。さらに、液肥の栄養分が適切で、農家が使いたく

なる性状のものになっていれば、本調査で参照した福岡県大木町のように液肥が地域の

農家に支持される付加価値の高い製品になることも不思議ではない。

事実、本調査で参照した福岡県の大木町では、得られた液肥を有効活用し、付加価値

をつけた農業を実施することに成功しており、単なるごみ処理事業にとどまらない、地

域活性化の手段として役立っている。

鳥羽市においても、厨芥類の資源化をきっかけとして、風光明媚な自然環境にふさわ

しい、資源循環型の地域を作り上げることにより、更なる発展に結びつけることが可能

だと考えられる。

<参考>液肥利用を核とした福岡県大木町の取り組み

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(2)事業化可能性の検討

厨芥類をバイオガス化する想定について、検討した各パターン別に事業収支を示す。

結果を見ると、浄化槽汚泥を受け入れて、その対価として補助金等(7k円/t)が得られ

るパターンcだけでなく、生ごみだけを日量5t受け入れるパターンaでも、生ごみの処

理費用を 15,000円/t得られれば、収入が支出を上回ることがわかる。

なお、消化液からは、液肥が最大 5,000t(パターンc)生成され、これを全量利用する

と約 130ha の水田の施肥量に該当する。これは市内の水田の経営耕地面積約 140ha とほぼ

同じであり、理論的には、生成した液肥を全て鳥羽市内で使うことも可能と見込まれる。

また、液肥利用を実施した場合、慣行農法に比べて、肥料台が約 9,500円/10a安くなる

と言われており、液肥利用による農家の経済性は 1,000万円以上に相当する。

なお、収集に係るコストは含まれていない。また、家庭系厨芥類や浄化槽汚泥を施設に

投入する場合についても、事業系の厨芥類と同じ金額が得られるとみなしている。

最後に、パターン 3 の浄化槽汚泥を投入する場合、浄化槽汚泥からのガス発生量は小さ

いため、売電収入は小さくなるものの、規模拡大によるコスト低減効果が大きいことから、

単位量当たりのガス発生量の低下をある程度まかなえる収支構造となっている。

検討結果

展開パターン

a 事業系生ごみを資源化小規模型

b 事業系生ごみを資源化市内一括型

c 事業系・家庭系生ごみと浄化槽汚泥を資源化する複

合型

生ごみt/d 5 9 10

t/y 1,825 3,285 3,650

浄化槽汚泥等t/d - - 20

t/y - - 7,300

備考浄化槽汚泥は、濃縮設備を設ける

年間ガス発生量 Nm3/y

kWh/y 212,209 381,977 492,325

備考 365日で計算 365日で計算 365日で計算

生産量 t/年 1,825 3,285 4,745

施肥可能面積(35t/haとして算出) ha 52.1 93.9 135.6

イニシャルコスト(バイオガス化等) 千円 150,000 227,357 250,000

イニシャルコスト(発電) 千円 20,000 20,000 20,000

イニシャルコスト(寿命20年想定) 千円/年 8,500 12,368 13,500

ランニングコスト 千円/年 8,500 12,368 13,500

備考 イニシャル5%と想定

残渣について 液肥利用 液肥利用 液肥利用

年間収入(みかけ、廃棄物軽減分含む) 千円/年 35,651 64,172 73,951

売電収入(年間) 千円/年 8,276 14,897 19,201

売電単価(税抜) 円/kWh 39 39 39

※参考 売電収入(20年間) 千円/20年 165,523 297,942 384,014

事業系生ごみ 千円/t 15 15 15

処理受け入れ収入 千円/年 27,375 49,275 54,750

浄化槽汚泥受け入れ収入 千円/t - - 7

(市からの補助) 千円/年 - - 51,100

処理費用、浄化槽汚泥受け入れ補助含む 千円/年 18,651 39,436 98,051

農家にとっての経済性 千円/t 4,950 8,921 12,882

概要

液肥

収入

経済性

支出

収支

廃棄物処理量

発電量(年間)

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(3)液肥利用方法についての検討

①液肥の普及体制の整備

市、農家(JA)、鳥羽市等が連携して普及に努める。その際は、説明会等を実施し、啓発

に努めるほか、液肥の利用マニュアルの作成や液肥利用者協議会のようなものを設置して

液肥普及さらには液肥利用農産物のブランド化などを目指す仕組みを構築する。

液肥そのものに関しては、三重県の農業試験所が液肥を用いた栽培試験を実施しており、

特に問題となる成分は含まれていないことに加えて、生育を促進する効果が見られた。

三重県で施肥実験を行ったメタン消化液の概要

②液肥を利用する農家への協力

大木町では、町(バイオガス事業者)が、農協やし尿・浄化槽メーカーと協力して、液

肥を運搬し、農家の代わりに液肥の散布等を行っている。液肥の散布は 1,000 円の手間賃

のをいただくのみで、散布まで行っている。大木町の場合は、町の事業であるため、事業

の位置づけが異なっているが、液肥を処理する場合のコストと比べれば、液肥を作るコス

トはかなり安価である。

③液肥利用計画

液肥が本格利用できるのは、本格稼働後になる。ただし、実際には肥料取り締まり法律

などの制限があることから、それまでに散布方法の確認や成分分析、肥料登録などを済ま

せておく必要がある。

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(4)事業化に向けた留意事項

バイオガス化の残さを液肥化し、地域で有効利用することにより、地域ぐるみの循環社

会システムの形成につなげることができる。

なお、バイオガス化の残さは、地域内循環やコストの視点から液肥利用することが望ま

れる。ここで、鳥羽市の場合は、農地面積の少ないことが課題となるが、今回の試算では、

得られる液肥量は、市内の水田での必要肥料量とほぼ同じであり、他の畑や果樹園等を活

用する仕組みを構築することで、全量を消費することは十分に可能であると見込まれる。

なお、液肥利用をスムーズに進めるためには、農家の参加を促すためにも、市・農家・

事業者や農協等が協力して、液肥の利用や、得られた農産物を地域で利用する取組などを

進める必要がある。そうした事業を担うための場づくり、組織(プラットホーム)づくり

等の取り組みも、施設整備と同時に進めることが必要である。

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3.2. 海岸漂着物

3.2.1. 海岸漂着物の賦存量

鳥羽市内の答志島に漂着する海岸漂着物の全量のうち、バイオマスの量を賦存量とした。

三重県の海岸漂着物対策計画では、伊勢湾に漂着する漂着物量を推計している。その結

果によると、漂着物のうち、鳥羽市に漂着する量を約 5,000t/年、そのうち、答志島に漂

着する量を約 3,000t/年と推計している。また答志島では、漂着物のうち灌木や流木が約

82%を占めていることから、賦存量を約 2,500t/年とした。

海岸漂着物の賦存量

鳥羽市内の海岸漂着物量 約 5,000t/年

うち、答志島の海岸漂着物量 約 3,000t/年

海岸漂着物中のバイオマス割合 82%

答志島の賦存量 約 2,500t/年

伊勢湾に漂着する漂着物量の推計結果

出典:海岸漂着物対策計画(三重県)

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海岸漂着物の組成

※下の円グラフは、自然物以外を 100 とした場合の内訳である

出典:海岸漂着物対策計画(三重県)

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3.2.2. 海岸漂着物の利用可能量

利用可能量は、賦存量 2,500t(6.9t/日)のうち、トラック等で運搬し、施設に搬入で

きる量と考え、1日当たり3t/日、年間 1050tと想定した。

なお、平成 25 年に、三重県が鳥羽市と四日市市と協力して海岸漂着物の回収を実施した

結果では、両市の合計で約 1,150tの海岸漂着物を回収しており、それだけの量を回収する

ことは可能であると見込まれる。(回収量は、県、鳥羽市、四日市市の回収量の合計)

海岸漂着物回収実績(H25 年度)

※平成 26 年度の数値は見込み量

出典:平成 25 年度海岸漂着物地域対策推進事業状況報告書(三重県)

3.2.3. 海岸漂着物に関する本市の特性および社会情勢

(1)海岸漂着物に関する動向

平成 18年頃から、国は海岸漂着物対策の取組を実施しており、環境省などを中心として、

関係省庁による取り組みを進めてきた。しかしながら、①処理しきれない質と量の漂着物

が海岸に流れ着いていること、②法的な処理の責任が明確に定められていない、③他の都

道府県や外国で発生したものが多く当該地方公共団体のみに責任を負わせることが不適当

であること、と言った理由から、平成 21 年には海岸漂着物処理推進法を制定した。

同法では、①海岸漂着物等の円滑な処理とその発生抑制を施策の両輪とする、②関係者

の相互協力が可能な体制づくりや民間団体等との連携、協力、支援を通じて多様な主体の

適切な役割分担と連携の確保を図る、③周辺国との間で国際的な協力の推進を図る、とい

った方針を定め、それに基づいた取り組みを進めている。

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海岸漂着物処理推進法の概要

出典:環境省資料

(2)海岸漂着物に関する本市の特性

本市の海岸線は複雑な地形のリアス式海岸となっているほか、伊勢湾の入口となるとこ

ろに、答志島等の島々があるなど、美しく、変化に富んだ海岸線は本市の魅力である。

その一方、こうした複雑な海岸線や、伊勢湾の入口に位置するという地形上の特性によ

り、次頁の図に示すように、伊勢湾を漂う海岸漂着物の多くが、本市、とりわけ答志島に

漂着している。こうした海岸漂着物は、景観や観光事業に悪影響を与えていることに加え、

漁業活動にも影響を及ぼしている。また、回収・処理に係る費用も大きな負担である。

このように、本市は、伊勢湾の海岸漂着物対策を考える上で欠かせない地域であり、伊

勢湾全体の環境をよくするためには、本市での海岸漂着物対策を進める必要がある。

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<参考>三重県の河川からペットボトルを「漂流」させた場合の経路実験結果

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3.2.4. 海岸漂着物のエネルギー利用導入事業

(1)エネルギー利用導入事業の概要

組成にも示されるように、漂着物のうち8割以上が流木,灌木等のバイオマスであるが、

それらは塩分を高濃度に含むため、ボイラーの腐食やダイオキシンの発生の恐れがあり、

そのままでは利用は難しいと見なされている。そのため、エネルギー利用においても、塩

分濃度の低い他のバイオマス等と混ぜることにより、適切な濃度に加工することが必要で

ある。(次頁図参照)

また、塩分は表皮に集中しているものの、写真にも見られるように、流木の大きさも不

揃いであることから、表皮を剥ぐなどの加工も困難である。そのため、雨ざらしにする、

真水で洗浄するなどの手法をとった上で、ある程度の塩素濃度に耐えられる施設で熱回収、

燃料化、セメント原料化するなどの方法が考えられる。

さらに、漂着ごみには、漁網や飲料容器などを初めとしたきょう雑物もかなり含まれる。

これらについては、回収段階である程度分別することができるものの、それでも、わずか

な異物の混入は防ぐことは困難である。

これらの理由により、漂着物の処理の検討においては、炭化炉等での燃料化等を手法と

して選択した。

具体的には、海岸漂着物を答志島のごみと混合した上で、炭化炉で燃料製造を行うこと

とした。

答志島の漂着ごみの状況

出典:三重県・伊勢湾再生ホームページ

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図 木材への塩分の浸透調査結果

(2)燃料化事業の実施に関する検討事項

① 燃料化施設の立地場所

燃料化施設については、塩分対策として、答志島で発生する一般廃棄物(約 3,000t/年)

と混合して処理を行うことから、現在の廃棄物処理施設に新たな設備を設けることとした。

また、現在の廃棄物処理施設は海岸に面した箇所にあるため、海岸漂着物の回収や運搬等

の面でもメリットが大きい。

② 海岸漂着物の収集体制

日常における海岸漂着物の回収については、集めた海岸漂着物の運搬や施設の維持管理

等も含めて、民間事業者等に委託することとした。

なお、回収に関しては、現在も海岸漂着物回収イベントが毎年行われているほか、環境

団体等による自主的な清掃活動も実施されているが、こうした取組に加えて、今後は、さ

らにエコツアーの一環として海岸漂着ごみ対策を位置づけるなどの取組を行うことで、新

たな集客にも繋げることが可能である。

③ 燃料製造施設の整備

以下に燃料製造施設のフローを示す。稼働条件は 250日/年、7時間/日(粉砕など前処理

は 4時間/日)とする。漂着物は施設搬入後にしばらく野ざらしで乾燥を進めることとして

いるが、製造する燃料や重油を使用した蒸気を熱源として、さらに投入前にある程度強制

的に乾燥させる能力を有する。漂着物の処理量は、粉砕機の能力を 500kg/h として、粉砕

時間はメンテナンス時間を考慮して6時間とする。漂着物は乾燥した後、一時保管された

のち、炭化を行う。

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38

燃料製造事業フロー図

④ 塩素率のコントロール

燃料製造事業の場合、一般的に燃料購入先からは塩素率 0.3%未満であることが求められ

る。そのため、製造した炭化燃料の塩分をコントロールするため、海岸漂着物と答志島の

可燃ごみとを適切に混合することが必要となる。

M

LPG

海岸

漂着物

可燃ごみ

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39

3.2.5. 事業化可能性の検討

漂着物の焼却あるいは燃料化について、事業収支を示す。

収支の対象としては、収集に係る費用と処理に係る費用とを想定した。また、処理に付

いては、答志島の一般廃棄物と混焼する場合と、集めた漂着物をそれだけで炭化・燃料化

する場合の 2 通りで検討を行った。なお、検討対象のフローは中間処理だけであり、収集

運搬費用や最終処分の費用は見ていない。

算定結果によると、海岸漂着物1t当たりコストは、答志島の可燃ごみと混合処理する

場合が約 7 万 6 千円/t、海岸漂着物のみで処理する場合が約 8 万円/tであり、それほど違

わなかった。

なお、現在の処理コスト(中間処理)は、次頁の表に示すように、海岸漂着ごみで 10 万

円/t(収集運搬で約 8 万円/t)であり、それよりは低かった。また、答志島での可燃ごみ

処理コストは、収集運搬や焼却灰の処理コスト等を含めない中間処理のコストのみで約 7.5

円/tと想定されており、それよりは高い結果であった。

トータルの費用(年間)では、可燃ごみと混合してエネルギー化する場合が 1 億 3,600

万円、海岸漂着物のみでエネルギー化する場合が 7,800 万円であった。

検討結果

展開パターン

海岸漂着物を可燃ごみと混合した炭化・燃料化

海岸漂着物のみで炭化・燃料化

t/d 12 -t/y 800 -

備考年間約800t(実績値より)

-

t/d 4.0 4.0t/y 1,000 1,000備考 250日回収とした 250日回収としたt/d 16 4t/y 1,800 1,000

炭化物発生量 t/y 900 500炭化物カロリー kcal/kg 2,000 2,000発生した炭化物の熱量 Mcal/y 657,000,000 365,000,000イニシャルコスト単価(炭化+付帯) 千円/t 80,000 80,000             (破砕設備) 千円 80,000 80,000処理規模 t/d 16 4イニシャルコスト計 千円 1,360,000 400,000イニシャルコスト年換算(20年) 千円/年 68,000 60,000ランニングコスト 千円/年 68,000 20,000

備考 イニシャル5%と想定 イニシャル5%と想定年間負担計 千円/年 136,000 80,000生成物量 t/年 900 620生成物販売収入(3円/kgと想定) 千円/t 2,700 1,860処理t当たり支出 千円/t 76 80収支 計 千円/年 133,300 78,140

処理量 計

収入

収支

炭化炉での資源化の概要

答志島で発生する可燃ごみ

海岸漂着物

炭化の経済性

支出

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<参考>現在の処理コスト(答志島の可燃ごみ及び海岸漂着ごみ)

可燃ごみ(800t/年) 人件費 1500 万/年、施設整備 500 万円/年、計 2.5 万円/t

海岸漂着物(1000t/年) 収集運搬約 8 万円/t、処理処分2万円/t、計 10 万円/t

答志島の焼却施設を新規整備した場合のコスト概要

施設規模

(日処理量)

8t/d

(現在の施設と同じ)

整備費用単価 5,000 万円/処理t

整備費用(計) 40,000 万円

20 年の均等払いとした

場合の単年度負担額

2,000 万円

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図 炭化・燃料化施設の具体的イメージ

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(3)事業化に向けた留意事項

事業化に向けては、海岸漂着物を回収する仕組みの構築が必要である。表に示したのは、

ボランティアを中心として回収を実施する場合のコスト試算例であるが、この場合は、約

50 人のボランティアを中心に回収するとし、ボランティアの人件費は見込んでいないが、

それでも約 140 万円/日のコストがかかっている。

この試算例を詳細に見ると、費用の大きな部分は、集めた漂着物の収集・運搬と処理委

託であることからも、現在の答志島のごみ処理施設の土地を有効活用し、運搬距離をコス

ト低減に取り組むことの効果が大きいことが推測される。

収集に係るコストの試算例

出典:山口県海岸漂着物処理マニュアル

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3.3. 木質バイオマス

3.3.1. 木質バイオマス賦存量

本市の森林面積は約 7,500ha で、市域の 7 割を占める。そのうち、約 7 割が広葉樹で残

りが 3 割と、本地域は広葉樹が多い地域である。

本市の潜在賦存量(森林面積×年間森林成長量)は、広葉樹35,700m3/年、人工林15,525m3/

年である。

土地利用区分別割合(平成 20 年)

出典:第 4 次鳥羽市国土利用計画(案)

都道府県別樹種別森林成長量(m3/ha・年)

出典:NEDO 都道府県別森林成長量

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本市潜在賦存量

広葉樹 人工林

面積割合 70% 30%

面積割合 5,250 2,250 ha

成長量 6.8 6.9 m3/ha・年

潜在賦存量 35,700 15,525 m3/年

合計潜在賦存量 51,225 m3/年

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3.3.2. 木質バイオマス利用可能量

本市の森林の特徴および社会情勢を踏まえ、利活用については、広葉樹を対象として検

討を行う。なお、賦存量を前頁に算出を行ったが、全てを搬出するには、林道等の整備が

必要であり、また傾斜によって全て出せるわけではない。そこで、現在の林道を活用して、

搬出可能な面積を森林面積の約 5%※として、利用可能量は、約 1,800m3/年である。

※既往研究の中で、傾斜度、林道からの距離別の搬出割合について、傾斜度 10℃までで 100%、林道 100m

で約 75%という結果、および林業地帯でない地域での傾斜度 0~15°で、林道からの距離 100m 以内が

全体の約 5%であったことから、約 5%と設定。

3.3.3. 森林バイオマスに関する本市の特性および社会情勢

本市の森林に関する特徴としては以下の項目があげられる。また、現在の利用量につい

ても以下に示す。

一方、社会情勢をみると、2012 年に再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を国

が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づける制度、固定価格買取制度が

スタートした。その結果、全国で太陽光発電所をはじめ再生可能エネルギーの導入が進み、

未利用材等を活用した木質バイオマス発電所の建設が始まっている。三重県内でも、現時

点でも、1 施設稼働、2 施設が計画中と木質バイオマスは発電所の建設が予定されている。

また、環境産業市場では、薪ストーブが推計項目の一項目に加えられるなど、その販売

量増加は顕著である。また、家庭用薪ストーブだけでなく、飲食店等の需要も広がってい

る。なお、広葉樹の薪は人工林の薪よりも価値が高く、本地域の賦存量とも照らしあわせ

ると、本市の森林資源の活用方法として検討の余地があると想定される。

【本地域の特徴】

広葉樹(薪炭林)が多くを占める。

林家はおらず、担い手は森林組合である。なお、現在年間約 25ha を間伐し、ほぼ

切り捨て間伐で利用がされていない。出材は 3 割程度である。

市では、現在薪ストーブの促進を行っており、出材したものを無料で配布している。

市内に 1 件、炭を生業とする若手事業者がいる。

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【社会情勢】

参考:木質バイオマス発電による地域への波及効果(林野庁ホームページより)

●5,000kW の発電の試算

・一般住宅約 1 万 2 千世帯分の電力を供給

・木質バイオマス燃料を年間約 6 万トン(約 10 万 m3 程度)消費

・発電収入は、燃料全てを間伐材等の未利用材とすると約 12~13 億円程度。燃料代は約 7

~9 億円(山元、チップ加工施設、運搬関係者等に還元)

・間伐材等の収集、加工、発電所等で計 50 人程度新たに雇用

資料:林野庁「固定価格買取制度地方説明会」資料

参考:固定買取価格制度:未利用木質バイオマス

平成 26年度 平成 27年度

買取価格(税抜) 2,000kW未満

32円/kWh 40円/kWh

2,000kW以上 32円/kWh

買取期間 20年間 20年間 20年間

※既認定の案件については、従来の調達価格において、発電事業者が投資判断を下してい

ることから、新たな価格区分が創設されても、従来の価格が適用されるのが原則ですが、

未利用木質バイオマス発電については、初期投資後に発生する燃料費の割合が他の再生

可能エネルギー電源に比べて非常に大きく、燃料調達に当たって既認定の事業者が不利

な条件になり得ることから、調達価格等算定委員会での指摘も踏まえ、例外的に平成 27

年 4月 1日時点で既認定の 2,000kW未満の未利用木質バイオマスについても、新たな 40

円/kWhの調達価格を同日から適用することとなった。

参考:薪ストーブの市場規模(億円)

出典:環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告(平成 26 年 5 月環境産業市場規模検討会)

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3.3.4. 木質バイオマスの活用方法及び事業収支

3.1 で算出を行った木質バイオマス利用可能量を「薪」として活用することを中心に想定

し、以下に事業収支を示す。なお、活用形態別のメリットデメリットは次頁に示す通りで

ある。

需要先の確保も必要なことから、初期段階の利用量を 3.1 で算出した利用可能量 1,800m3

(約 1,440t)とする。

なお、1,440t を全て薪にした場合、約 18 万束(1 束 8kg と想定)である。また、2.1kg/h

利用するピザ釜において、12 時間、週 5 日開店として、年間 7t の利用である。これは約

138 台分のピザ釜分ということになる。

そこで、需要先の一つに、現在需要がある製紙用チップも需要先とし、組み合わせでの

検討を行う。以下に算出を行った結果を示す。

薪を 300t(50,000 円/t)、製紙用チップ原木を 1,140t(7,500 円/t)、原木購入(または

搬出価格 6,000 円/t)とした場合、その他の事業費用(人件費、需要先確保の営業、輸送費)

に約 15,000,000 円/年が利用できる算段となる。

活用フロー

賦存量 51,225 m3/年

広葉樹 人工林35,700 m3/年 15,525 m3/年

約 5% 林道整備状況によって拡大

利用可能量約 1,800 m3/年 約 t/年

0.8 t/m3約 1,440 t/年

チップ素材 チップ製造薪 300 t/年 1,140 t/年 t/年

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前提条件整理(市域の状況および社会情勢等より整理)

活用方法 特徴

優先順位 メリット デメリット

薪製造 ・広葉樹が主である本市にと

っては、有利(針葉樹より

広葉樹の方が単価が高い)。

・チップなどと比べても、単

価が高い。

・設備投資が小さくて可。

・人手が必要。

・需要先への営業が必要。

チップ原木 ・固定価格買取制度によるバ

イオマス発電施設が県内に

立地する計画があり、大量

の木質バイオマスの需要が

ある(買取期間の約 20 年は

需要が発生)。

・設備投資が少なく、事業リ

スクは低い。

・素材としての販売するた

め、単価は低い。

チップ製造 ・チップ原木に比べ、単価が

高い。

・設備投資が大。

・事業性確保のためには、年

5,000t~10,000t(原木)

の生産となり、原木の確

保、チップ需要先の安定確

保が必要となる。

・事業リスクの軽減のため、

多様な需要先の確保が必

要。

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検討結果①

薪価格 製紙用チップ原木

収入

販売量 300 t/年 1,140 t/年

販売価格 50,000 円/t 7,500 円/t

収入 15,000,000 円/年 8,550,000 円/年

収入合計 23,550,000 円/年

支出

原木購入量 300 t/年 1,140 t/年

原木価格(搬出価格) 6,000 円/t 6,000 円/t

支出 1,800,000 円/年 6,840,000 円/t

原木購入合計費用 8,640,000 円/t

収支(運用に活用できる費用) 14,910,000 円/年

検討結果②

チップ製造

収入

販売量 3,000 t/年

販売価格 12,000 円/t

収入 36,000,000 円/年

収入合計

支出

原木購入量 3,000 t/年

原木価格(搬出価格) 6,000 円/t

減価償却費 ※ 7,500,000 円/年

原木購入合計費用 18,000,000 円/年

支出合計 25,500,000

収支(運用にかける費用) 10,500,000 円/年

※初期投資費用 1 億 5 千万円とし、半額国等の補助を活用。10 年で償却と設定

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3.3.5. 運用に関する検討(設備、必要な人工等)

(1)薪およびチップ素材提供について

●必要な設備について

薪製造に必要な主な設備は、「薪割機」「結束バンド機(なくても可)」である。その他、

車両やチェーンソーなどである。また、薪は販売まで乾燥させておく必要があるが、その

際の雨よけ、防虫ネットなども必要である。

以下に薪割機事例を示す。薪割機は能力によって価格差があるが、30 万円~100 万円で

ある。結束機は半自動から自動まで多種あるが、約 15 万~である。

チップ素材提供については、車両、チェーンソーなどである。

薪割機事例

商品名 WS-100国産電動薪割機

小型モデル

WS-188 油圧薪割機

最長処理能力 400mm 400~500mm

破砕力 3.2t 8.0t

サイクルスピード (出)14秒 (入)10秒 (出)11秒 (入)9秒

動力 電動 100V/750W 三菱製エンジン OHV4.2ps

サイズ寸法 122cm x 29cm x 60cm 145cm x 38cm x 65cm

重量 65kg 95kg

価格 312,840(税込)

単相 200V仕様(\328,000)

365,040円(税込)

出典:和光商事株式会社

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商品名 WS500 国産油圧薪割機 中型モデ

WS-750SL 国産油圧薪割機 大型モデ

最長処理能力 600mm 1,000mm

破砕力 9.1t 11t

サイクルスピー

空冷 4サイクルエンジン 5ps (出)12秒 (入)9秒

動力 空冷 4サイクルエンジン 5ps 空冷 4サイクルエンジン 7.5ps

及びディーゼルエンジン可

サイズ寸法 175cm x 49cm x 71cm 249cm x 61cm x 94cm

重量 147kg 303kg

価格 581,040円(税込) 919,080円(税込)

出典:和光商事株式会社

●必要な人工について

既往報告(秩父市緑の分権改革推進事業報告書)によると、2 人体制で 1 時間 13 束であ

り、300t(37.500 束)を製造するためには、1 日 8 時間、250 日/年間労働とすると、2.8

人/日が必要となる。なお、既往報告の社会実験では、工程のうち、結束作業および結束用

の針金輪づくりが作業時間の大半を占めていることから、導入設備によっては、短縮され

る可能性がある。

チップ素材に関しては、搬出、運搬以外の労働で可能である。

●必要な土場について

薪割機等は、上記に示す通り、小さなものであるが、薪をストックしておくための土場

が必要である。薪棚について約 525kg を h1,5m×w1.1m×d0.8m に収めるとすると、300t

の薪場として 530m2 が必要となる。通路等も考えると約 1600m2 が必要となり、さらに、

木材ストック場、作業場も考えると 3,000m2 が必要となる。

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出典:e-薪ネット(岐阜県東白川村での取組)

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(2)チップ製造について

●必要な設備について

チップ製造については、以下の項目が必要となる。

【必要な設備および価格目安】

項目 価格(イニシャル)万円 備考

かんかん 150 ~ 700 4t、10t車輛

受け入れホッパー 400 ~ 500

ドラムチッパー(供給装置) 400 ~ 2000

ふるい 400 ~ 700

ヤード(ベルトコンベヤー) 1,000

建屋

機械室 9,000 600m2×15万/m2

ヤード 2,700 180m2(60m2*3)

合計 14,050 ~ 16,600

●必要な人工について

チップ化について、上記の設備を全て揃った場合は、チップ化についてはオートメーシ

ョンであることから、1 名程度である。

また、オートメーション化しない場合は、2~3 名が必要となる。

●必要な場所いついて

機械室で約 600m2、ヤードで 180m2 が必要となる。なお、木材ストックの土場は別途必

要となる。

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4. 市内の廃棄物系バイオマス等のエネルギー利用導入計画

これまでの検討から、廃棄物系バイオマス等の導入計画は以下のとおり。

4.1. 各バイオマスの導入計画

4.1.1. 厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥

【事業展開】

・現在、市内の民間事業者が、事業系の厨芥類をバイオガス化してエネルギー利用すると

ともに、液肥を農地で活用する事業を検討している。

・当該事業に関しては、まだ施設立地場所も決まっていないなど流動的な部分が多く、実

際に事業が始まるまでにはある程度の時間を要すると見込まれるが、その間に、市とし

ては、施設立地場所の選定に関する助言や、ホテル・旅館やスーパー等の排出事業者へ

の事業効果のPRや情報提供、収集運搬許可業者などの関連事業者との連携の構築、液

肥の施肥効果や液肥利用に関する農家への経済的メリットの説明など、事業実施に向け

た支援が望まれる。

・なお、こうした支援については、市だけで取り組むよりも、観光業の組合や農業団体な

ど実際の事業に関わる関係者と進めることが望ましいため、こうした関係者との調整等

を進めることが必要である。

【波及効果】

・年間約 1,800t/年(施設規模5t/日の場合。10t/日の場合は約 3,500t/年)の生ごみを

資源化することで、鳥羽市の一般廃棄物の資源化率を約 15%(施設規模5t/日の場合。

10t/日の場合は約 29%)向上させることができる。

・10t/日の施設で液肥を製造する場合、液肥を約 3,300t生産、利用することで、農家の

施肥コストを約 900 万円削減できる。また、生ごみを鳥羽市で処理することにより、山

田エコセンターへの支払を約 5,000 万円節約可能である。

・市の基幹産業である観光業のイメージアップに繋がり、集客力向上などが見込まれる。

・バイオガス化施設が市内にできることで雇用が増える。また、厨芥類の分別収集に当た

っては収集人員の増加が想定され、その雇用効果も見込まれる。

4.1.2. 海岸漂着ごみ

【事業展開】

・燃料化を実施する前段階として、実際の海岸漂着物を用いたチップ化、炭化燃料化など

の実験を実施し、海岸漂着物が燃料として利用出来ることを確認する必要がある。

・また、その間に、収集体制の整備、今後の答志島の可燃ごみの処理動向の検討を進める

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ことが求められる。その際は、県や国とも調整し、炭化・燃料化方法が海岸漂着物の効

果的な利活用方法であることを確認し、継続的な海岸漂着物対応についての協力を得る

ことが望まれる。

・その際は、市民や事業者とも連携した海岸漂着物対応の体制を構築するなど、市として

海岸漂着物に継続的に取り組む体制づくりを行う。

【波及効果】

・約 1,000t/年の海岸漂着物を有効活用できる(伊勢湾岸に漂着する海岸漂着物の約 1/3)。

・海岸漂着物対策を市としてPRすることで、新たな観光客等の誘致、海岸漂着物対策事

業の視察受け入れなど、市の来客数の増加に寄与する。

・現在の海岸漂着物の処理コスト(約 10 万円/t)に比べ、炭化によるエネルギー化(約7

~8万円/t)の方が、年間 1,000t処理する場合、約 2,000 万円のコスト削減になる。

4.1.3. 木質バイオマス

【事業展開】

・事業リスクの低い、薪収集事業およびチップ用原木の収集を中心に活用を展開していき

市内の主体形成や気運の高まりを考慮し、チップ化製造等の検討を具体化していくことが

考えられる。

・具体的には、森林事業者や森林担当部署等とも連携しながら、平成 27 年度~2,3 年内に

住民等を巻き込んだ収集の試行や販路調査などを行う。

・その後、試行を踏まえ、事業展開を行っていくことが考えられる。

【波及効果】

・約 1,440t/年の森林資源の活用(約 860 万円が森林に還元)

・薪化等の事業で約 3 名の雇用を創出

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4.2. 各バイオマスの導入スケジュール

H27 H28   H29以降

バイオマス発電等エネルギー利用導入スケジュール

木質バイオマスのエネルギー化

海岸漂着ごみのエネルギー化

厨芥類及びし尿・浄化槽汚泥のエネルギー化

環境協会等との連携でのPR

答志島の処理体制を含めた事業体制の検討

市民等を巻き込んだ社会実験

薪事業やチップ原木事業の準備

国や県との調整・庁内での方針検討

森林事業者等との事業化に向けた連携・調整

民間事業者の支援

関連事業者との調整

浄化槽汚泥処理の検討

事業開始に向けた具体的行動

漂着ごみのエネルギー化実験

漂着ごみ対策に関するPR、観光協会との連携

事業展開方針の検討