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野生生物と人間の共生を通じた 熱帯林の生物多様性保全と 地域参加型エコツーリズム開発支援 一般社団法人エコロジック 地域開発コーディネーター 安藤智恵子

野生生物と人間の共生を通じた 熱帯林の生物多様性保全と 地域 ... · 2019. 3. 18. · ガボン・ムカラバ国立公園における これまでの研究とエコツーリズム開発の概要

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Page 1: 野生生物と人間の共生を通じた 熱帯林の生物多様性保全と 地域 ... · 2019. 3. 18. · ガボン・ムカラバ国立公園における これまでの研究とエコツーリズム開発の概要

野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全と

地域参加型エコツーリズム開発支援

一般社団法人エコロジック 地域開発コーディネーター 安藤智恵子

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絶滅危惧種(IUCN)ゴリラの種類と分布

クロスリバーゴリラGorilla gorilla diehli

マウンテンゴリラG. beringei beringei

東ローランドゴリラG.b. graueri

西ローランドゴリラG.g. gorilla

ヒガシゴリラニシゴリラ

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ガボン・ムカラバ国立公園におけるこれまでの研究とエコツーリズム開発の概要

1999~ 京都大学による調査開始

2019~2014年 SATREPS「野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全」(PROCOBHA)

2015~2017 JICA草の根・支援型 「ムカラバ地域におけるエコツーリズム開発のためのガイド養成」

2017~2020 JICA草の根・パートナー型 「ムカラバ地域におけるインタープリテーション手法を用いた地域参加型エコツーリズム開発」

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緑の国「ガボン共和国」

1960年: フランスから独立レオン・ンバ初期大統領就任

1967年~2009年: オマール・ボンゴ・オンディンバ大統領就任

2002年: 13の国立公園設定(国土の10%以上)

2009年~: アリ・ボンゴ大統領就任

首都: リーブルビル人口: 約200万人(2017年)公用語: フランス語チバンガ

ドゥサラ村

Libreville

Cameroon

Eq. Guinea

R. Congo

AtranticOcean

Gabon

Equator

Moukalaba-Doudou NP

ムカラバ・ドゥドゥ国立公園

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ムカラバ・ドゥドゥ国立公園面積:約5000km2

乾季と雨季平均気温:21~34度

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野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全

期間:2009~2014年(5年間)

実施団体:京都大学

関係機関(ガボン):熱帯生態研究所、国立科学技術研究所、国立公園庁他

プロジェクト目標:科学的データに基づき、住民参加による生物多様性の持続的管理手法が提案される。

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ニシローランドゴリラ

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1日の行動

昼寝(1~2時間くらい)

移動と採食の繰り返し

晩ごはん

ベッドを作って寝る

(夕方6時くらい)

日の出とともにベッドから起きる(朝6時くらい)

朝ごはん

移動と採食の繰り返し

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木に登り果実を食べる

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毎日ベッドを作って寝る

写真:ゴリラ図鑑(ぶんけい)より

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ゴリラの社会構造

ゴリラ図鑑(ぶんけい)より

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ブチアナ・キャンプドゥサラ村から4km北西に位置

する。ここをベースキャンプにして様々な調査を行っている。

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グループ・ジャンティ(GG)

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ムカラバのゴリラたち

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ドゥサラ村ムカラバ・ドゥドゥ国立公園とムカラバ川を境に隣接する、人口100人程度の小さい村。チバンガから北へ約80km。

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ムカラバ周辺の住民の生活の現状 現金収入がない

野生動物による畑被害も深刻

若者の流出

伝統文化の衰退

人口減少

小学校の閉鎖

診療所がない

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ムカラバ周辺の住民の生活の現状 現金収入がない

野生動物による畑被害も深刻

若者の流出

伝統文化の衰退

人口減少

小学校の閉鎖

診療所がない

インタープリテーション手法を用いた地域参加型エコツーリズムの導入

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「地域参加型エコツーリズム」とは

1. 観光を通じて、地域の人たちがその地の自然、文化遺産を守る手助けとなる。

2. 観光と通じて、地域の人たちが経済的な恩恵を得られる。

3. 地域の人たちが、訪れた人に

その地の自然、文化、生活様式

を紹介することで、お互いが

学び、尊敬しあえる。

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「インタープリテーション手法」とは

現在、世界中の国立公園、教育施設、観光現場、行政、企業などで、活用されている伝える技術。

• そのモノの背後にある価値を伝える

• 有形(Tangible)から無形(Intangible)

• メッセージを伝える

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JICA草の根事業による「エコツーリズム開発のための現地ガイド養成」と「地域参加型エコツーリズム開発」

(2015~2020年)

目的: 地域住民が地域参加型エコツーリズム開発について理解し、自ら関わる意思と技能を身につけ、ムカラバ地域でのエコツーリズム活動が持続すること。

<主な活動内容>① インタープリテーション指導者の育成② 自然と文化の観光資源の発掘③ 住民ガイド研修

④ 地域の自然と文化を紹介するコミュニティセンターの建設

⑤ 観光開発に主体的に関わる住民グループの設立

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方法(講義とフィールドワーク)

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テーマ:自分たちの文化を守ることが、ゴリラの住む森を守ることにつながる

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住民たちが作成した観光プログラムの例

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ガイド用マニュアルの作成

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住民と建設したコミュニティセンター

2018年10月

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住民グループの設立

TU GHO KONDE(成功あるのみ!) メッセージ: TU SOBINIANU MIRIME(一致団結!)

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今後の展望

コミュニティセンター展示の完成と、住民ガイドによる案内指導

行政・観光会社・国際NGO、研究機関など連携し、住民が主体的に観光開発に関われるよう促す

ムカラバのエコツーリズムモデルをもとに、ガボン国内の他地域で人材育成をするとともに、地域参加型エコツーリズム開発支援を継続する

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エコロジックの活動 <ミッション>

エコツーリズムを通じて世界の多様な自然環境・地域文化と人々の尊厳を守る

<主な活動>

世界各国においてインタープリテーション手法を用いた地域参加型エコツーリズム開発の支援

http://ecologic.or.jp/

富士宮でのインバウンドエコツーリズム活動

https://www.mtfujiecotours.com/

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ご清聴ありがとうございました