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厚生労働省 医政局 研究開発振興課 治験推進室長 井本昌克 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について 平成28212平成27年度 2回 臨床研究・治験活性化協議会

臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

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Page 1: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

厚生労働省 医政局 研究開発振興課

治験推進室長 井本昌克

臨床研究・治験の現状と今後の動向について

平成28年2月12日

平成27年度 第2回 臨床研究・治験活性化協議会

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医薬品産業の現状と課題

主な現状と課題

Ⅰ 我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

Ⅱ 医薬品開発の費用は高騰する一方、日本企業の規模は小さいⅢ 多くの大手製薬企業が長期収載品に収益を依存しており、転換が急務Ⅳ 基礎的医薬品は、度重なる薬価改定で一部について採算が悪化、安定供給策が必要

Ⅴ 後発医薬品市場は、経営規模が小さい企業が多数存在し、体質強化が課題

2

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95

7154 52

6343

52 57 63

101 101118

109 114130 138

117 110

135

722

500

406 391

463424 422

382406

534499 508524

560632

689

556

601 601

0

100

200

300

400

500

600

700

800

0

50

100

150

200

250

300

初回治験届出数(新有効成分のみ抜粋)

治験届出数

初回治験届出数 治験届出数

新GCP公布 新たな治験活性化5か年計画

全国治験活性化3か年計画(1年延長)

新GCP完全施行外国臨床データ受入れ拡大

活性化5か年計画2012

治験計画届出数の推移

3

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19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度初回 3件 9件 15件 28件 23件 28件 23件N回 35件 73件 98件 106件 98件 102件 146件割合 7.4% 15.6% 20.2% 21.2% 17.6% 23.4% 28.1%

※「国際共同治験」とは、新薬の世界的規模での開発・承認を目指して企画される治験であって、1つの治験に複数の国の医療機 関が参加し、共通の治験実施計画書に基づき、同時並行的に進行する治験をいう。 4

国際共同治験届出件数

治験届出件数に占める国際共同治験届

出件数の割合(%)

3 9 15 28 23 28 2335

73

98

10698

102

146

7.4

15.6

20.2 21.2

17.6

23.4

28.1

0

5

10

15

20

25

30

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度

n回治験届件数のうち国際共同治験届出件数

初回治験届件数のうち国際共同治験届出件数

治験計画届出件数全数(初回+n回)に占める国際共同治験届出件数の割合

薬物の国際共同治験の届出推移

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40

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100

120

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160

180

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

抗悪性腫瘍薬 生物学的製剤 中枢神経用薬

循環器官用薬 糖尿病用剤

治験届件数の推移(薬効分野別)

5

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2 50 1 0 1

5 3

136

20

56

5

148

16 6

56

1925

33

0

10

20

30

40

50

60

70

N回 初回

医薬品の医師主導治験の年次推移

医師主導治験の治験計画届出件数

件数

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医療機器の医師主導治験の年次推移

医師主導治験の治験計画届出件数

件数

10 0

23

0

32

4

7

0 0 0

1

2

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

N回 初回

7

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計画中(6課題)

・迅速がん診断支援装置*

・フェニル酪酸Na

・レンバチニブ

・ペランパネル

・レンバチニブ(胸腺がん)

・WT1ペプチドワクチン

実施中(19課題)

・リュープロレリン酢酸塩

・サリドマイド

・グルカルピダーゼ

・テムシロリムス

・エプレレノン

・オラパリブ

・アルベカシン硫酸塩

・肺動脈ステント*

・シクロスポリン

・A型ボツリヌス毒素

・液体塞栓システム*

・モニエタノールアミンオレイン酸

・5-アミノレブリン酸+Fe

・ch14.18/CHO

・フィルグラスチム

・5-アミノレブリン酸(腹膜播種)

・ブレンツキシマブベトチン

・多孔化カバードステント*

・小児補助人工心臓*

承認済(13品目)

・フェンタニルクエン酸塩

・インフルエンザワクチン(H5N1:成人)(2件)

・アルガトロバン水和物

・フェノバルビタールNa

・ベプリジル塩酸塩水和物

・タクロリムス水和物

・滅菌調整タルク

・PDT半導体レーザ*/タラポルフィリンNa

・脳血管拡張ステント*

・リツキシマブ(小児ネフローゼ)

・小児補助人工心臓*

*:機器機械等

研究終了(11課題)・イマチニブメシル酸塩 ・ヒドロキシカルバミド・イリノテカン塩酸塩水和物・テガフール、ギメラシル、オテラシルK配合剤・ラパチニブ、トラスツマブ・インフルエンザワクチン(H5N1:小児)・PEG-ADA ・アンブロキソール・メルファラン ・CH14.18・テムシロリムス(小児肝芽腫)

平成16年1月の研究開始以降、

・研究採択 : 51課題・治験計画届 : 46件・承認取得 : 13品目( 11課題)・承認申請準備中: 4課題

医師主導治験支援の実績~臨床研究・治験推進研究事業~

(平成27年8月7日現在)

承認申請準備中(5課題)・L-アルギニン製剤・リツキシマブ(ITP)・自家培養表皮*・ブリリアントブルーG・5-アミノレブリン酸(膀胱がん)

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1.「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月閣議決定・抜粋)国民の「健康寿命」の延伸(医療分野の研究開発の司令塔を創設)

○ 医療分野の研究開発の司令塔として健康・医療戦略推進本部及び(独)日本医療研究開発機構を創設する法案成立。

○ 医薬品や医療機器などの医療分野の研究開発を各省連携により推進していく体制の構築。

2.「健康・医療戦略」 (平成26年7月閣議決定・抜粋)

国が行う医療分野の研究開発の環境の整備○ 臨床研究及び治験実施環境の抜本的向上

・ 革新的医療技術創出拠点の総合活用、ARO※機能の構築による臨床研究、治験の推進。※Academic clinical Research Organization

・ 国際水準の質の高い臨床研究・治験が確実に実施できる仕組みの構築。 9

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創薬支援ネットワーク協議会

本部長 :内閣総理大臣

副本部長:内閣官房長官及び健康・医療戦略担当大臣

本部員:その他国務大臣

健康・医療戦略推進本部

健康・医療戦略推進

専門調査会

健康・医療戦略

参与会合

専門的調査政策的助言

議長:健康・医療戦略担当大臣副議長:健康・医療戦略室長構成員:関係府省局長クラス

健康・医療戦略推進会議

内閣官房 健康・医療戦略室➢事務局機能

健康・医療戦略の推進体制

次世代医療機器開発推進協議会

ゲノム医療実現推進協議会

次世代医療ICT基盤協議会

健康・医療戦略ファンド

タスクフォース

次世代ヘルスケア産業協議会

医療国際展開タスクフォース

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人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(医学系指針)

疫学研究に関する倫理指針(疫学指針) 臨床研究に関する倫理指針(臨床指針)

平成14年施行(平成19年全部改正)(文部科学省・厚生労働省告示)

平成15年施行(平成20年全部改正)(厚生労働省告示)

疫学指針と臨床指針は、近年の研究の多様化に伴い、適用関係が不明確になってきたため、平成25年2月より、文部科学省及び厚生労働省の合同会議において見直しの検討を開始。

最近の臨床研究における不適正事案も踏まえて検討を進め、平成26年12月に両指針を「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」として統合。

臨床(医療現場)という「研究の場」に着目

疫学(統計的手法にる病因等の解明)という「研究の方法」に着目

疫学指針及び臨床指針の見直し

平成26年12月22日告示 平成27年4月1日施行11

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医療法に基づく臨床研究中核病院

医療法に基づく臨床研究中核病院になることで期待されること

○「臨床研究中核病院」の名称を掲げることで、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院として認知され、より質の高い最先端の臨床研究・治験が実施できるため、

①臨床研究・治験に参加したい被験者が集まり、症例が集積される

②臨床研究・治験を実施するための優れた研究者等の人材が集まってくる

③他の施設からの相談や研究の依頼が集まってくる

などの効果が期待される。

医療法に基づく臨床研究中核病院○日本発の革新的医薬品・医療機器等の開発を推進するため、国際水準の臨床研究等の中心的役割を担う病院を「臨床研究中核病院」として医療法上に位置づけ(平成27年4月施行)

臨床研究中核病院

優秀な研究者被験者

研究依頼 革新的医薬品等の実用化の促進

集積

12

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施設要件(四条の三第一項第五号、六号、八号、九号)

人員要件(四条の三第一項第七号)

○不適正事案の防止等のための管理体制の整備

• 病院管理者の権限及び責任を明記した規程等の整備

• 病院管理者を補佐するための会議体の設置

• 取組状況を監査する委員会の設置

*上記の他、申請時に過去の不適正事案の調査、再発防止策の策定等の義務づけ。

○以下の体制について担当部門・責任者の設置、手順書の整備等を規定

• 臨床研究支援体制• データ管理体制• 安全管理体制• 倫理審査体制• 利益相反管理体制• 知的財産管理・技術移転体制• 国民への普及・啓発及び研究対象者への相談体制

○自ら行う特定臨床研究の実施件数

○論文数

○主導する多施設共同の特定臨床研究の実施件数

○他の医療機関が行う特定臨床研究に対する支援件数

○特定臨床研究を行う者等への研修会の開催件数

Ⅰ 特定臨床研究に関する計画を立案し実施する能力

Ⅱ 他の医療機関と共同して特定臨床研究を行う場合に主導的な役割を果たす能力

Ⅲ 他の医療機関が行う特定臨床研究の援助を行う能力

Ⅳ 特定臨床研究に関する研修を行う能力

○診療科

・10以上

○病床数・400以上

○技術能力について外部評価を受けた臨床検査室

※特定機能病院の要件を参考に設定。

○臨床研究支援・管理部門に所属する人員数

※平成23年度に選定された5拠点の整備状況を参考に設定。

実施体制

医療法第四条の三に規定されている臨床研究中核病院の承認要件について、「能力」、「施設」、「人員」の観点から検討。

臨床研究中核病院の承認要件について〔概要〕

5人

10人

15人

12人

3人2人

1人

能力要件 (四条の三第一項第一号~第四号,第十号)

(参考)法律上の規定実績(別紙参照)

・医師・歯科医師

・薬剤師

・看護師

・臨床研究コーディネーター

・データマネージャー

・生物統計家

・薬事承認審査機関経験者

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特定臨床研究の能力要件の基準値について

1.特定臨床研究を実施する能力(Ⅰ、Ⅱ)に関する基準値

2.特定臨床研究を援助する能力(Ⅲ)・研修を行う能力(Ⅳ)に関する基準値

特定臨床研究の新規実施件数(過去3年間)

①自ら実施した件数(括弧内は特定疾病領域の場合)

②多施設共同研究を主導した件数(括弧内は特定疾病領域の場合)

医師主導治験が4件 (2件)

又は

臨床研究*が80件 (40件)

(ただし医師主導治験を1件以上実施)

*医薬品・医療機器等を用い、介入・侵襲を伴うものに限る。

医師主導治験が2件 (1件)

又は

臨床研究*が30件 (15件)

*医薬品・医療機器等を用い、介入・侵襲を伴うものに限る。

◯特定臨床研究の実施件数は、基本的に医師主導治験について、①自ら実施した件数、②多施設共同研究を主導した新規件数について設定。併せて関連する論文数も設定。

◯基準値は「健康・医療戦略」の達成目標との整合を図りつつ、平成23年度に選定された5拠点の実績を参考に設定。※ただし、特定疾病領域(医療上の必要性が高いものの企業による開発が進まない、難病・希少疾病、小児疾患、新興・再興感染症)を中心に行う病院については、要件を緩和。

◯基準値は平成23年度に選定された5拠点の実績を参考に設定。

別紙

特定臨床研究に関する論文数(過去3年間)

(括弧内は特定疾病領域の場合)

45件(22件)

· 他の医療機関が行う特定臨床研究に対する援助の件数 15件(過去1年間)

· 特定臨床研究を実施する者を対象とする研修会の開催件数 6件(過去1年間)· 特定臨床研究を支援する者を対象とする研修会の開催件数 6件(過去1年間) 等 14

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臨床研究・治験活性化5か年計画2012の目標

1.9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立(1)症例集積性の向上(主に企業主導治験)

(2)治験手続の効率化(主に企業主導治験)

(3)医師等の人材育成及び確保(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)

(4)国民・患者への普及啓発(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)

(5)コストの適正化(主に企業主導治験)

(6)IT技術の更なる活用等(企業主導治験、医師主導治験、臨床研究に共通)

2.日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)

(1)臨床研究・治験の実施体制の整備(2)臨床研究等における倫理性及び質の向上(3)開発が進みにくい分野への取組の強化等(4)大規模災害が発生した際の迅速な対応

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臨床研究・治験活性化5ヵ年計画2012

アクションプラン

(5)コストの適正化(主に企業主導治験)

<中・長期的に目指すこと><項目番号42>○抗がん剤の併用療法による医師主導治験が増加していることを踏ま

え、医師主導治験における治療薬等同様の効能又は効果を有する医薬品に対する保険外併用療養費の適用拡大について検討する。

<具体的な取組内容>

国は抗がん剤の併用療法による医師主導治験において同種同効薬にかかった費用について調査する。

国は、調査結果を踏まえ、治験薬と同様の効能又は効果を有する医薬品の費用負担に関する対応を確認し、医師主導治験における保険外併用療養費の適用拡大について検討する。

16

平成24年度より順次開始

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保険外併用療養費について○ 医師主導治験に限らず、医薬品の治験においては、治験薬の予定される効能・効果と同様の効能・効果を有する医薬品(同種同効薬)の投薬及び注射に係る費用は、保険外併用療養費の支給対象外となっている。

○ この点、抗がん剤等の治験のように、複数の同種同効薬を同時に投与することが多い治験では、その薬剤費が治験を実施する医師・医療機関にとって負担が大きいことから、 「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」においても、医師主導治験における同種同効薬に対する保険外併用療養費の適用拡大について検討することとされている。

○ 保険外併用療養費制度の給付の範囲

治験薬 テムシロリムス

併用薬カルボプラチンパクリタキセル

(卵巣がんに適応あり)

(例)卵巣がんを対象とした医師主導治験

既に適応を有して保険適用されていても、治験薬に併用される同種同効薬は保険外併用療養費の給付の対象とならない。

「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(抜粋)Ⅱ 1(5)コストの適正化<中・長期的に目指すこと>○ 抗がん剤の併用療法による医師主導治験が増加していることを踏まえ、医師主導治験における、治験薬と同様の効能又は効果を有する医薬品に対する保険外併用療養費の適用拡大について検討する。

平成27年10月21日第307回 中医協総会

資料抜粋

17

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18

保険外併用療養費に係る療養についての費用の額の算定方法(平成18年厚生労働省告示第496号・抜粋)

健康保険法(大正11年法律第70号)第86条第1項に規定する療養(同法第63条第2項第1

号に規定する食事療養及び同項第2号に規定する生活療養を除く。) <中略> についての費用の額の算定については、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59

号)の例による。この場合において、別表第1の上欄に掲げる療養を行った場合にあっては同表の下欄に掲げる療養を行ったものとみなして、別表第2の上欄に掲げる療養を行った場合にあっては同表の下欄に掲げる点数を用いて、それぞれ算定するものとする。

別表第1

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第17項に規定する治験(人体に直接使用される薬物に係るものに限る。)に係る診療

上欄の診療のうち検査、画像診断、投薬及び注射に係る診療(投薬及び注射に係る診療にあっては、当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る診療に限る。)を行わないもの。ただし、医薬品医療機器等法第80条の2第2項に規定する自ら治験を実施しようとする者による治験

に係る診療にあっては、上欄の診療のうち投薬及び注射に係る診療(当該治験の対象とされる薬物の予定される効能又は効果と同様の効能又は効果を有する医薬品に係る診療に限る。)を行わないもの

<参考>平成27年10月21日第307回 中医協総会

資料抜粋

18

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医師主導治験の実施状況について○ 医師主導治験が実施される医薬品は、企業が採算性等の問題から参入しないものであり、難病や希少がんを対象とするものが大部分を占めることから、医師主導治験の件数は企業治験と比較して限定される。

722

500

406 391

463424 422

382406

534499 508 524

560

632

689

556601 601

7 11 5 15 8 17 1159

32 31 53

0

200

400

600

800

治験計画届出数(件)

治験計画届出数の推移

新GCP公布全国治験活性化

3カ年計画(1年延長)

新たな治験活性化5カ年計画

臨床研究・治験活性化5カ年計画2012

うち、医師主導治験の治験計画届出件数

治験計画届出件数

(注)2001年までは年単位で、2002年以降は年度単位の件数での集計。

平成27年10月21日第307回 中医協総会

資料抜粋

19

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医師主導治験に関する課題と論点

• 患者に医療上必要な医薬品等を迅速に届けるため、平成15年から医師主導治験が医薬品医療機器等法に位置づけられており、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」においても、医師主導治験や臨床研究に対する更なる支援の必要性が指摘されている。

• 医薬品の治験では、同種同効薬の投薬及び注射に係る費用は保険外併用療養費の支給対象外とされており、抗がん剤等の治験のように、複数の同種同効薬を同時に投与することが多い治験では、その薬剤費が治験を実施する医師・医療機関にとって負担が大きいとの指摘がある。

○ 採算性等の問題で企業治験が行われないが、臨床の現場で必要性の高い医薬品を患者に届けるために実施される医師主導治験については、治験医師・医療機関の負担を更に軽減するため、医師主導治験の同種同効薬の投薬及び注射に係る費用についても、保険外併用療養費の支給の対象としてはどうか。

【論点】

【現状と課題】

平成27年10月21日第307回 中医協総会

資料抜粋

20

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【Ⅲ-8(重点的な対応が求められる分野/イノベーションの適切な評価)-⑨】

医師主導治験における保険外併用療養費の対象拡大

骨子【Ⅲ-8(9)】

第1 基本的な考え方

採算性等の問題で企業治験が行われないが、臨床の現場で必要性の高い医薬品を患者に届けるために実施される医師主導治験について、治験医師・医療機関の負担を更に軽減するため、保険外併用療養費の支給対象を拡大する。

第2 具体的な内容

医薬品の治験では、同種同効薬の投薬及び注射に係る費用は保険外併用療養費の支給対象外とされているところ、医師主導治験については、同種同効薬に係る費用についても保険外併用療養費の支給対象とする。

個別改定項目について(中医協総-4 28.1.27) P321より

21

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平成28 年1月15 日以降の承認申請及び治験届出に適用。

申請期間に係る経過措置申請資料に第3相試験、後期第2相試験が含まれる場合は、平成26 年7月14 日までに開始されている場合

に限り適用除外、含まれない場合は、平成29 年7月14 日までに申請される場合に限り適用除外。

復帰突然変異試験に係る経過措置細菌を用いる復帰突然変異試験の実施が求められる場合、平成26 年7月14 日までに開始された試験につ

いては、注2に従って実施されたものとみなして差し支えない。

医師主導治験の経過措置平成30年4月1日以降の治験届けに適用(申請資料に第3相試験、後期第2相試験が含まれる

場合については、平成30年3月31日までに開始されている場合には適用除外)

新たなICHガイドラインと医師主導治験~ICHガイドラインへの対応~

22

ICH-M7 潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理(平成27年11月10日付け審査管理課長通知(薬生審査発1110 第3 号))

(1) 「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインの改訂について」(Q3A(R2)ガイドライン)、「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改訂について」(Q3B

(R2)ガイドライン)及び「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス」について」(M3(R2)ガイダンス)を補完するもの。

(2) 医薬品に含まれるDNA 反応性(変異原性)不純物について、臨床開発段階及び製造販売承認申請における評価方法及び管理方法の指針を示した。

GCP省令の規定 ICH-GCP

第5条、第15条の3(医師主導治験)被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の

依頼をするために必要な試験を終了していなければならない

2.4 The available nonclinical and clinical information on

an investigational product should be adequate to

support the proposed clinical trial.

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臨床試験の公開に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(WHO)~

http://www.who.int/ictrp/results/en/ 23

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臨床試験の公開に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(WHO)~

WHO Statement on Public Disclosure of Clinical Trial Results

Background 略

Reiteration of WHO position on clinical trial registry sites

Before any clinical trial is initiated (at any Phase) its details are to be registered in a

publicly available, free to access, searchable clinical trial registry complying with

WHO’s international agreed standards. The clinical trial registry entry should be made

before the first subject receives the first medical intervention in the trial.

Updating clinical trial registry entries

All clinical trial registry sites are to be updated as necessary to include final enrolment

numbers achieved, and the date of actual study completion (defined as the last data

collection timepoint for the last subject for the primary outcome measure). If clinical

trials are terminated, their status is to be updated to note the termination, and to

report the numbers enrolled up to the point of termination.

Reporting timeframes for clinical trials

Clinical trial results are to be reported according to the timeframes outlined below.

Reporting is to occur in BOTH of the following two modalities.

http://www.who.int/ictrp/results/reporting/en/ 24

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臨床試験の公開に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(WHO)~

1. The main findings of clinical trials are to be submitted for publication in a peer

reviewed journal within 12 months of study completion and are to be published

through an open access mechanism unless there is a specific reason why open

access cannot be used, or otherwise made available publicly at most within 24

months of study completion.

2. In addition, the key outcomes are to be made publicly available within 12 months of

study completion by posting to the results section of the primary clinical trial

registry. Where a registry is used without a results database available, the results

should be posted on a free-to-access, publicly available, searchable institutional

website of the Regulatory Sponsor, Funder or Principal Investigator.

It is noted that several journals allow open access publication of clinical trial

findings. Some journals have an explicit policy of supporting publication of negative

trials. These 12 month and 24 month timeframes represent the longest possible

acceptable timeframe for reporting and shorter timeframes are strongly

encouraged. It should be possible in most instances for reporting to occur in

shorter timeframes.

http://www.who.int/ictrp/results/reporting/en/ 25

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臨床試験の公開に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(WHO)~

Reporting of past clinical trials results

Unreported clinical trials conducted in the past are to be disclosed in a publicly

available, free to access, searchable clinical trial registry. In addition it is desirable

that unreported clinical trials are published in a peer reviewed journal.

Inclusion of Trial ID in clinical trial publication

The Trial ID or registry identifier code/number is always to be included in all

publications of clinical trials, and should be provided as part of the abstract to

PubMed and other bibliographic search databases for easy linking of trial reports with

clinical trial registry site records. Bibliographic search databases such as PubMed are

encouraged to make Trial IDs easily available by inclusion in the abstract of each

clinical trial record.

Note on Data Sharing Initiatives

The benefit of sharing research data and the facilitation of research through greater

access to primary datasets is a principle which WHO sees as important. This

statement is not directed towards sharing of primary data. However WHO is actively

engaged with multiple initiatives related to data sharing, and supports sharing of

health research datasets whenever appropriate. WHO will continue to engage with

partners in support of an enabling environment to allow data sharing to maximise the

value of health research data.http://www.who.int/ictrp/results/reporting/en/ 26

Page 27: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

NEJM Jan 28 2016

臨床試験の投稿に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(ICMJE)~

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Page 28: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

LANCET Jan 23, 2016

28

臨床試験の投稿に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(ICMJE)~

Page 29: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

JAMA February 2, 2016

29

臨床試験の投稿に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(ICMJE)~

Page 30: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

臨床試験の結果公表に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(EU)~

https://www.clinicaltrialsregister.eu/ 30

Page 31: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

https://eudract.ema.europa.eu/docs/guidance/Trial%20results_Modalities%20and%20timing%20of%20posting.pdf

臨床試験の結果公表に係る世界の動向~臨床研究のデータの共有について(EU)~

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Page 32: 臨床研究・治験の現状と今後の動向 について - Med...医薬品産業の現状と課題 主な現状と課題 Ⅰ我が国は数少ないグローバルな医薬品開発の拠点の一角を占めている

クリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)の背景と概要

○ 新しい医薬品、医療機器等の開発に当たっては、世界的にコストが高騰している。特に、医薬品にあっては、タフツ大学の試算によると1新薬当たり$2,558 million(約3,000億円)要するといわれている。(Nov. 18, 2014, Tufts Center for the Study of Drug Development)

○ 近年、疾患登録システムを活用した新たな臨床開発の手法が開発されている。スウェーデンでは、ナショナルレジストリを活用した無作為化比較臨床試験を実施し、1症例当たりのコストを50ドルとした。(Lauer MS, D'Agostino RB Sr. N Engl J Med 2013;369:1579-1581.)

○ また、国内でも、国立がん研究センターにおける先駆的な取組として、”Scrum-Japan”がある。全国のネットワーク病院においてがん患者のゲノムスクリーニングを行い疾患登録システムに登録することで、希少がん患者の治験組入れを効率的にする仕組みであり、10以上の製薬企業も費用負担し、参加している。

○ 国立がん研究センター以外の各ナショナルセンター(NC)においても、平成26年から疾患登録システムの構築を開始しているところ。

背景

○ 各NCの疾患登録システムを治験・臨床研究に対して最大限活用するため、関係機関のネットワークを構築し、産学連携による治験コンソーシアムを形成するとともに、疾患登録情報を活用した臨床評価の手法に関するレギュラトリーサイエンス研究を行う。

○ これらの取組により、国内開発の活性化を促すとともに海外メーカーを国内開発へ呼び込む。

CINの概要

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