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国際石炭情勢の展望 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 化石エネルギー・国際協力ユニット 石炭グループ 佐川 篤男 432回定例研究報告会 2019723IEEJ © 20197月 禁無断転載

国際石炭情勢の展望 - IEEJFOB )の推移 0 50 100 150 200 250 300 350 400 2010 年 1 月 2010 年 7 月 2011 年 1 月 2011 年 7 月 2012 年 1 月 2012 年 7 月 2013 年

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国際石炭情勢の展望

一般財団法人日本エネルギー経済研究所

化石エネルギー・国際協力ユニット 石炭グループ佐川 篤男

第432回定例研究報告会 2019年7月23日IEEJ © 2019年7月 禁無断転載

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本報告のポイント

2018年の世界の石炭需要は、欧州、北米で減少したものの、アジアで7,050万toe、世界全体では5,370万toeの増加(特に、一般炭はインド、アセアン、中国が、原料炭はインド、中国が牽引)⇒ これに伴い石炭輸入も拡大

2019年、2020年は、アジア(インド、アセアン、中国等)を中心に新興国で石炭需要は増加し、石炭輸入も拡大

これに対して石炭供給は、2016年年央からの市況の回復により豪州をはじめ産炭国では休山中の炭鉱の再開や既存炭鉱の拡張が進み、また、コロンビアやロシア等は、今後も拡大するアジア市場への供給拡大を視野に入れている。需要に見合った供給が見込まれる

一般炭スポット価格は、2019年年初の100ドル/トンから6月末には70ドル/トンまで下落。今後、秋口まで70ドル/トン台前半で推移した後、2020年に向けて80ドル/トンまで上昇

原料炭スポット価格は2019年に入り、200ドル/トン前後で推移。休山中炭鉱の再開や既存炭鉱の拡張、新規ソースの拡大等により供給力が高まりつつあり、2020年に向けて170ドル/トンまで下落

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石炭価格(一般炭FOB)の動向 一般炭スポット価格(アジア市場)は、2018

年8月から下落で推移2019年6月末には、70ドル/トンを割り込む

欧州市場スポット価格は、50ドル/トン(右図DES ARA Index)

7月に入り両市場とも反転

2出所: globalCOAL

一般炭スポット価格(豪州ニューキャッスル港出しFOB)の推移

40

50

60

70

80

90

100

110

120

130

Sep

-17

Oct

-17

Nov

-17

Dec

-17

Jan-

18

Feb-

18

Mar

-18

Apr

-18

May

-18

Jun-

18

Jul-1

8

Aug

-18

Sep

-18

Oct

-18

Nov

-18

Dec

-18

Jan-

19

Feb-

19

Mar

-19

Apr

-19

May

-19

Jun-

19

Jul-1

9

(US$/t)

NEWC Index

RB

DES ARA Index

0

20

40

60

80

100

120

140

160

2010

年1月

2010

年7月

2011

年1月

2011

年7月

2012

年1月

2012

年7月

2013

年1月

2013

年7月

2014

年1月

2014

年7月

2015

年1月

2015

年7月

2016

年1月

2016

年7月

2017

年1月

2017

年7月

2018

年1月

2018

年7月

2019

年1月

2019

年7月

(US$/t)

0

20

40

60

80

100

120

140

2016

年7月

2016

年8月

2016

年9月

2016

年10

月20

16年

11月

2016

年12

月20

17年

1月20

17年

2月20

17年

3月20

17年

4月20

17年

5月20

17年

6月20

17年

7月20

17年

8月20

17年

9月20

17年

10月

2017

年11

月20

17年

12月

2018

年1月

2018

年2月

2018

年3月

2018

年4月

2018

年5月

2018

年6月

2018

年7月

2018

年8月

2018

年9月

2018

年10

月20

18年

11月

2018

年12

月20

19年

1月20

19年

2月20

19年

3月20

19年

4月20

19年

5月20

19年

6月20

19年

7月

(US$/t)

109.69

56.49

72.42

122.57

90.68

110.60

78.30

101.83

68.81

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石炭価格(原料炭FOB)の動向 原料炭スポット価格は、中国での国内炭供給逼迫(2016年夏)や自然災害(

2017年3月下旬にQLD州をサイクロンが直撃)、炭鉱事故の影響などで乱高下 2018年下期にはインドと中国での輸入増と供給側での要因(炭鉱事故、滞船)

により上昇し、2018年10月以降220ドル/トンで推移 2019年に入り200ドル/トン前後で推移していたが、足元180ドル/トンまで下

3出所: IHS

原料炭スポット価格(豪州高品位強粘結炭FOB)の推移

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2010

年1月

2010

年7月

2011

年1月

2011

年7月

2012

年1月

2012

年7月

2013

年1月

2013

年7月

2014

年1月

2014

年7月

2015

年1月

2015

年7月

2016

年1月

2016

年7月

2017

年1月

2017

年7月

2018

年1月

2018

年7月

2019

年1月

2019

年7月

(US$/t)

0

50

100

150

200

250

300

350

2017

年1月

2017

年2月

2017

年3月

2017

年4月

2017

年5月

2017

年6月

2017

年7月

2017

年8月

2017

年9月

2017

年10

2017

年11

2017

年12

2018

年1月

2018

年2月

2018

年3月

2018

年4月

2018

年5月

2018

年6月

2018

年7月

2018

年8月

2018

年9月

2018

年10

2018

年11

2018

年12

2019

年1月

2019

年2月

2019

年3月

2019

年4月

2019

年5月

2019

年6月

2019

年7月

(US$/t)

229

174

260

290

140150

211231

178 173

201

181

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世界の石炭消費 世界の石炭消費は、アジアを中心に増加してきたが、次第に鈍化し、2015年、

2016年と減少 2017年、2018年と再びアジアが牽引し増加

4出所:BP Statistical Review of World Energy June 2019

2013 2014 2015 2016 2017 2018 対前年

増減14/13 15/14 16/15 17/16 18/17

アジア・太平洋 2,749.7 2,768.6 2,751.0 2,738.9 2,770.8 2,841.3 (70.5) 0.7 -0.6 -0.4 1.2 2.5 欧州 377.6 354.5 339.2 326.8 315.5 307.1 (-8.4) -6.1 -4.3 -3.6 -3.5 -2.7 CIS 131.4 128.3 130.0 128.3 126.4 134.9 (8.5) -2.3 1.3 -1.3 -1.4 6.7 北米 465.4 463.2 404.8 371.7 365.1 343.3 (-21.7) -0.5 -12.6 -8.2 -1.8 -6.0 中南米 34.6 36.4 35.8 35.5 34.8 36.0 (1.3) 5.2 -1.7 -0.7 -2.1 3.7 中東・アフリカ 108.4 113.1 108.2 108.8 105.8 109.4 (3.6) 4.3 -4.3 0.6 -2.8 3.4 世界計 3,867.0 3,864.2 3,769.0 3,710.0 3,718.4 3,772.1 (53.7) -0.1 -2.5 -1.6 0.2 1.4

対前年伸び率(%)消費量(百万 toe)

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主要石炭輸入国(地域)の輸入量変化<一般炭> 2015年に大きく減少した中国が2016年以降再び増加 アセアンが2016年以降で毎年1,000万トン超の増加 増加が止まっていたインドは2018年に2,260万トン増加 韓国は2017年に1,650万トン増加し、2018年は横ばい 一方で、EUは2013年以降で減少傾向<原料炭> 2014,15年と減少した中国が2016,17年と増加、2018年は再び減少 2016年に減少したインドは2017,18年と増加

5出所: 各国貿易統計、TEXレポート等

対前年比の増減(一般炭) 対前年比の増減(原料炭)

28.7

-5.1 -15.3

11.3

13.2

-1.1

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

2013 2014 2015 2016 2017 2018

EU

インド

台湾

日本

韓国

中国

(百万トン)

45.7

3.4

-42.2

7.9 12.7

40.7

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

120

2013 2014 2015 2016 2017 2018

アセアン

EU

インド

台湾

日本

韓国

中国

(百万トン)

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主要石炭輸出国(地域)の輸出量変化<一般炭> 3年連続で減少したインドネシアは、2017年以降、再び増加 ロシアは2016年以降で増加し、米国も2017年以降で増加 コロンビアは、2016,17年と増加したが、2018年は減少<原料炭> 豪州は2017年に大きく減少したが、2018年は増加に 米国、カナダは2017,18年と増加、ロシアは2016,17,18年と増加

6出所: 各国貿易統計、TEXレポート等

対前年比の増減(一般炭) 対前年比の増減(原料炭)

51.2

4.6

-47.5

-5.2

66.6

35.2

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

2013 2014 2015 2016 2017 2018

米国

南アフリカ

コロンビア

ロシア

インドネシア

豪州

(百万トン)

30.2

6.5

-19.6

2.5

-2.2

19.5

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

2013 2014 2015 2016 2017 2018

米国

ロシア

カナダ

豪州

(百万トン)

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中国の石炭消費・生産・輸入 減少傾向にあった消費は、2017年にほぼ

横ばい、2018年は増加に 生産も、同様に減少傾向(特に2016年は

生産調整により急減)であったが、2017年、2018年と増加

輸入量は、2016年以降増加傾向褐炭の輸入拡大が顕著2019年1-5月計は、対前年同期比で670万トンの増加(うち、一般炭▲730万トン、原料炭690万トン増、褐炭680万トン増)

7

出所:BP Statistical Review of World Energy June 2019

輸入量(月別)輸入量

出所:TEXレポート(元データは中国海関統計)

221.5

288.7

327.0

291.6

204.0

255.5 270.9 281.4

0

50

100

150

200

250

300

350

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

褐 炭

その他石炭

無煙炭

一般炭

原料炭

1,852

1,874

1,895

1,864

1,826

1,691

1,747

1,829

1,904

1,928

1,969

1,954

1,914

1,889

1,890

1,907

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万toe) 生産量 消費量

消費量、生産量

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

11月

12月

201720182019

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月

11月

12月

2017

2018

2019

(千トン) (千トン)

出所:TEXレポート(元データは中国海関統計)

一般炭(一般炭+その他石炭) 原料炭

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インドの石炭消費・生産・輸入 石炭消費、生産ともに増加 国内炭増産政策から、輸入量は2016,17年

と微減したが、2018年は2,930万トン増加(一般炭2,260万トン、原料炭670万トン)

2019年1-4月は対前年同期比で1,530万トン増加(一般炭1,530万トン、原料炭▲30万トン)

一般炭は需要が増加するなか、品質問題やコスト問題、輸入炭焚き火力の運開等から、輸入は増加

原料炭は国内埋蔵量が少なく、輸入は増加

8

消費量、生産量

出所:BP Statistical Review of World Energy June 2019

輸入量

注:2012年までは年度ベース。出所:Ministry of Commerce and Trade

251 255 256 269 281 284 287 308 305

330 353

388 395 400 416 452

0

100

200

300

400

500

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万toe) 生産量 消費量

出所:Ministry of Commerce and Trade

輸入量(月別)一般炭(一般炭+その他) 原料炭

102.8

145.8 164.4

193.5 207.0

198.8 198.0

227.4

0

50

100

150

200

250

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

その他

無煙炭

一般炭

原料炭

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

2017

2018

2019

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2017

2018

2019

(千t) (千t)

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その他アジアの石炭輸入 マレーシア、フィリピン、ベトナムでは、石炭

火力の運開によりの2016年以降で輸入は急速に拡大2019年も石炭火力の運開により拡大

韓国では、石炭火力の運開から2017年に増加2019年1-5月は対前年同期比で600万トン減少(うち一般炭▲560万トン、原料炭▲20万トン)

日本は、ほぼ横ばいで推移今後も横這いで推移 2019年1-5月は対前年同期比で240万トン減少

(うち一般炭▲90万トン、原料炭▲130万トン)

アセアン主要国石炭輸入国

出所:日本貿易統計 出所:TEXレポート(元データは韓国通関統計)

出所:TEXレポート(元データは通関統計)

韓国日本

175.2 185.2 191.5 188.4 190.6 189.7 192.8 192.8

0

50

100

150

200

250

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

無煙炭

一般炭

原料炭

62.4

56.4

0

10

20

30

40

50

60

70

2018 2019

(百万トン)

1-5月

77.7 75.3

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

2018 2019

(百万トン)

1-5月

9

48.8 53.1 55.1 59.0

77.5 90.7

103.8

0

20

40

60

80

100

120

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

ベトナム

フィリピン

タイ

マレーシア

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欧州(EU28か国)の石炭消費・生産・輸入 石炭消費量は、2013年をピークに減少 石炭生産量は、2012年以降で減少 石炭輸入量は、一般炭が2013年をピー

クに減少。原料炭はほぼ横ばいで推移 2019年以降も、消費は減少し、それに

伴い生産、輸入も減少の見込み

10

消費量

出所:BP Statistical Review of World Energy June 2019

生産量

出所:BP Statistical Review of World Energy June 2019

輸入量

出所:EUROSTAT、2017年、2018年は消費量、銑鉄生産量からIEEJ推定

280.4 288.2 294.6 287.6268.6 261.4

239.7 234.24.7%

2.8% 2.2%

-2.4%

-6.6%

-2.7% -8.3% -2.3%

-10%

-5%

0%

5%

10%

15%

20%

0

50

100

150

200

250

300

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(Mtoe)

対前年伸び率

168.3 167.9 157.1 150.3 144.5

132.5 130.7 125.8

1.7%-0.3%

-6.4%-4.3% -3.8% -8.3%

-1.4%-3.7%

-10%

-5%

0%

5%

10%

0

50

100

150

200

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(Mtoe)

対前年伸び率46.0 43.7 42.9 44.7 39.5 42.7 43.6 42.7

168.3 187.0 200.7 194.1 185.4 168.7 142.7 141.9

214.2 230.7

243.6 238.8 224.8

211.4 186.4 184.6

0

50

100

150

200

250

300

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

一般炭

原料炭

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米国の石炭需給 2016年まで石炭消費、生産、輸出は

急減 2017年以降、消費は引き続き減少し

たが、石炭価格の高止まりを受け輸出は増加特に原料炭輸出は、2017年の豪州のハリケーンによる原料炭輸出減をカバー

2019年に入り輸出は、一般炭、原料炭ともに前年度比で減少1-5月で一般炭▲250万トン、原料炭▲210万トン

11注:2017年は炭種別データは公表されていない出所:EIA出所:TEXレポート(元データは米国通関統計)

消費量

石炭生産量の推移石炭輸出量の推移

出所:EIA

97.1

114.1 106.7

88.2

67.1 54.7

87.9

104.9

0

20

40

60

80

100

120

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

その他石炭

亜瀝青炭

無煙炭

一般炭

原料炭

932 824 858 852738 679 679 636

2121 21 21

20 16 18 18

4643 43 43

3835 33 32

1,003889 924 918

798731 717 687

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

商業・民生

他産業

コークス

電力

(百万st)

1,0961,016 985 1,000

897

728775 756

0

200

400

600

800

1,000

1,200

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万st)

無煙炭

褐炭

亜瀝青炭

瀝青炭

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豪州の石炭輸出 輸出は、輸出需要の停滞、他輸出

国の輸出増により2015年からほぼ横這いで推移2017年はQLD州を襲ったサイクロンにより原料炭の輸出が減少

2019年に入り、輸出は一般炭、原料炭ともに対前年比で微増で推移

2016年初めまでの価格低迷により不採算炭鉱を中心に閉山、休山が進んだが、2016年年央からの市況回復により休山中炭鉱の再開や既存炭鉱の拡大が進む

また石炭資産の整理(売買)により寡占化が進む

12

出所:TEXレポート(元データは豪州通関統計)

石炭輸出

Rio Tinto:石炭事業から撤退 Anglo American:豪州一般炭事業から撤退 Vale:豪州から撤退し、モザンビークに集中 Glencore、Yancoal :Rio Tintoの資産を取得するなどNSW州を中心に

一般炭事業を拡大強化 Whitehaven:一般炭、PCI炭の事業を拡大 BHP Billiton:QLD州を中心に原料炭事業に集中、拡大強化

301.0 280.8

316.1

358.4 387.4 388.3 391.2

373.0 385.8

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

(百万t)

無煙炭、他

一般炭

原料炭

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まとめ(2019-20年の石炭市場) 一般炭輸入は、アジアを中心に新興国で拡大。特に、インド、アセアンで増加。

中国も国内需要の拡大により増加が見込まれる一方で、欧州、北米では減少が継続

アジアなどの輸入増加量が欧米の輸入減少量を上回り、世界の一般炭輸入は増加する

供給サイドでは、豪州を中心に石炭業界の再編(石炭資産売買)が進んだが、供給能力は維持されている。ロシアやコロンビアは引き続き輸出力を高める方針。

一般炭市場は、供給力 > 需要は継続

原料炭輸入は、インドで増加。中国の原料炭輸入は2018年に減少したが、2019年に入り対前年同期比で増加傾向。その他、ブラジルなど新興国では微増

インドを中心に新興国での増加により、世界の原料炭輸入は増加 供給サイドでは、休山中炭鉱の石炭資産売買が進んだが、供給体制に大きな変化

はなく、供給能力は維持されている。休山中の炭鉱の再開や既存炭鉱の拡張、新規ソースで生産拡大により供給能力が増大

原料炭市場は、需要を満たす供給が可能 ただし、一般炭は価格の低下に伴い、また脱石炭の動きも相俟って、供給力がそ

がれることが考えられる。13

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まとめ(2019-20年の石炭価格) 一般炭スポット価格(豪州ニューカッスル港出しFOB価格):

1月の100ドル/トンから足元70ドル/トンまで下落し、価格は下げ止まった。秋口に向けて70ドル/トン台前半で推移した後、冬期の需要期に向けて上昇する。2020年は季節要因などによる変動はあると思われるが、上昇基調で推移し、80ドル/トン台まで上昇

原料炭スポット価格(豪州高品位強粘結炭FOB価格):原料炭価格は、200ドル/トンから足元180ドル/トンまで落ちてきているが、2020年に向けても下落基調で推移し、170ドル/トンまで下落

(ドル/トン)

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2018年平均 2019年平均 2020年平均

一般炭スポット価格 106.30 80 77

原料炭スポット価格 207.10 195 175

一般炭、原料炭の年平均スポット価格

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