17
農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性 ~ 生物機能の高度活用による新たな農業と新産業の創出 ~ 平成29年6月2日 農林水産省 農林水産技術会議事務局 経済産業省 経済産業省

農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

農林水産省と経済産業省の連携による

「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

~ 生物機能の高度活用による新たな農業と新産業の創出 ~

平成29年6月2日

農林水産省 農林水産技術会議事務局 経済産業省 産 業 技 術 環 境 局 経済産業省 商 務 情 報 政 策 局

Page 2: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

内 容

1. 情勢・背景

2.「4つの目標」

1) 種苗開発における国際競争力の強化

2) 種苗開発を起点としたフードバリューチェーンの構築

3) 食のヘルスケア産業の創出・振興

4) 革新的バイオ製品による新産業創出・市場拡大(「バイオ・マテリアル革命」)

3.「4つの目標」達成に向けた「4つの戦略的取組」の方向性

4. まとめ

Page 3: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

1-1.育種(品種改良)に関する技術革新

○ゲノム情報を利用した育種が実用化。育種期間を短縮、有用形質のみを導入。

○生物情報ビッグデータとAI技術の活用により、画期的な品種の開発が可能に。

○ゲノム編集技術により、遺伝子の狙った箇所を書き換え、精密な育種が可能。

○ 機能性成分を多く含み食味も優れる野菜品種

タ キ イ 種 苗 が「ファイトリッチシリーズ」として15品種を販売

1.ゲノム情報を利用したDNAマーカー育種で作出された実用品種

2.生物情報ビッグデータとAI技術の活用

3.ゲノム編集技術の登場

○DNA解読技術の革新により、膨大なゲノム情報が蓄積。 ○AI技術が実用レベルに。

↓ AI技術を利用した育種技術(ゲノミックセレクション)

・機械学習でゲノム情報・形質データから遺伝的能力を予測。 ・優良個体の効率的選抜、複数遺伝子が関わる形質の改良が可能。

選抜対象集団 選抜個体

DNA多型データ

予測モデル

○ ゲノム編集技術は、特別な「はさみ」で遺伝子の狙った箇所を切断し、変異を起こす技術。

○ 放射線育種と異なり、精密な育種が可能。

○ 従来の遺伝子組換えと異なり、外来遺伝子を残さないことができる。

修復される時にエラーが起こると…

高日持ち性トマト 単為結果トマト 天然毒素のないジャガイモ

超多収イネ 高日持ち性トマト 単為結果トマト 天然毒素のないジャガイモ

ゲノム編集の基本原理

ゲノム編集を利用した品種開発が進行中 1

Page 4: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

1-2.種苗開発への民間参入促進、世界の種子企業の動向

○農業競争力強化のため、民間参入を促進。

○世界の大手種子企業は、再編により資本力、研究開発力等を強化。また、バイテク農作物を開発、バイオインフォマティクス企業と連携しゲノム育種を推進。

1.農業競争力強化のための種苗開発への民間参入の促進

3.世界の大手種子企業の動向

2.世界的な種子業界の再編

農業競争力強化プログラム 関連法の制定

種苗開発への民間事業者の参入促進

良質で低廉な種苗の供給

○ 世界大手種子企業各社はゲノム編集作物を開発中。モンサント、デュポンは基本特許保有者と提携。

○ モンサント、シンジェンタが、イスラエルのバイオインフォマティクス企業と連携し、ゲノム育種を推進。

世界の主要な種苗会社の再編の動き

2

ワキシーコーン開発

基本特許1

BROAD研/MIT

基本特許2

カリフォルニア大 /ウィーン大

基本特許3

ヴィリニュス大

モンサント

デュポン クリスパー セラピューティック

カリブー バイオサイエンシズ

インテリア セラピューティック

ジュノ セラピューティクス

バイエル バーテックス ノバルティス リジェネロン

クロス ライセンス

農業関係 医療関係 ベンチャー

BROAD研の勝利・ カリフォルニア大が上訴

特許係争

エディタス メディスン

Google

投資

情報協力:SIP「新たな育種体系の確立」1系

Page 5: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

1-3.食による健康長寿社会実現への期待

○健康食品の市場規模は毎年拡大。平成27年度から、機能性表示食品制度が開始。公表された機能性表示食品約900件のうち、生鮮食品はわずか8件。

○日本食の健康維持・増進効果が指摘されているが、科学的エビデンスが不足。

1.健康食品の市場規模の拡大

7000

7200

7400

7600

7800

2014 2015 2016

(見込)

2017

(予測)

健康食品市場規模の推移

(出典:矢野経済研究所プレスリリース「健康食品市場に関する調査 を実施(2017年)」を基にグラフを作成)

2.機能性表示食品制度の導入

(出典:消費者庁パンフレット「「機能性表示食品」って何?」)

温州みかん

β-クリプトキサンチン

(骨代謝のはたらきを助ける)

めめはな茶

メチル化カテキン

(目鼻の不快感を緩和)

○平成27年4月から機能性表示食品制度が開始。

○平成29年5月24日時点の機能性表示食品の公表件数は925件。うち、生鮮食品はわずか8件。

3.食品の健康維持・増進効果に関する科学的エビデンス(論文数) 日本食 : 130論文 地中海食:2042論文 PubMedでの検索結果(2013年6月19日)

(出典:日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する研究 (H25.6.24)における東京大学・佐々木敏教授資料より) 3

(億円)

Page 6: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

1-4.バイオ経済の拡大と世界の動向

1-5.情勢・背景のまとめ(農業とバイオに関する戦略の策定)

○OECDが「バイオ経済」の考え方を提唱。2030年に約1.6兆ドルに拡大すると予測。

○米国IT企業等がバイオベンチャーに積極的に投資。

1.OECDが「バイオ経済」の拡大を予測 2.グーグル、マイクロソフト等がバイオベンチャーに投資

① バイオ分野の技術革新 ② 農業競争力強化のための民間参入促進 ③ 世界の大手種子企業の動向 ④ 健康長寿社会実現への期待 ⑤ バイオ経済の拡大と各国の取組

農業とバイオテクノロジーに関する戦略を取りまとめ、政府、民間企業、生産者、研究機関・大学等が協働して、新たな農業と新産業の創出を図ることが必要。

○ OECDの2030年バイオ経済市場予測は約1.6兆ドル。うち、工業分野は39%、農業分野は36%。

○ 米、EU、独、英等はバイオ経済に関する戦略を策定。

OECD報告書(2009年) 「The Biotechnology to 2030」

健康(25%)

工業(39%)

農業(36%)

OECDの予測

4

世界バイオ市場 約1.6兆ドル(2030年)

Page 7: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

1-6.農林水産分野のバイオ技術利用における日本の強み・弱み

○ 日本のイネ等のゲノム研究・ゲノム育種の水準は世界トップレベル。トマト等のゲノム編集農水産物の開発が進行。 ○ 健康関連市場の急速な拡大、アジアにおける食市場の拡大で、日本の農林水産物の市場開拓・拡大の機会。 ○ バリューチェーンの構築が不十分。育種等の研究開発において消費者・実需者のニーズを的確に捉えきれていない。

強み (S)

・日本の農家が高品質な農作物を生産。 ・イネ等のゲノム情報の蓄積・ゲノム育種は世界トップレベル。 ・イネ、トマト、ジャガイモ、マグロ等のゲノム編集農水産物の研究開発が進展。

・豊富な植物遺伝資源(世界5位)や育種素材を保有。 ・我が国独自の遺伝子組換えカイコを用いた有用物質生産技術。

弱み (W)

・生産から消費までのバリューチェーンの構築が不十分。育種、栽培技術、流通加工技術の研究開発がバラバラに行われ、消費者・実需者のニーズを的確に捉えきれていない。

・規模の小さな生産法人・食品企業が多く、研究開発投資・研究人材が少ない。

・大規模コホート研究が不十分。 ・健康増進・維持効果の評価が不足。日本食のエビデンスが少ない。 ・AI人材、バイオインフォマティシャンの不足。

機会 (O)

・健康関連市場の急速な拡大。アジアにおける食市場の拡大。 ・農業競争力強化プログラム関連法等による民間事業者の参入促進。

・生物情報ビッグデータの蓄積とゲノム編集技術の登場。新たな育種技術の確立による高付加価値農作物の生産・流通の可能性。

脅威 (T)

・世界の大手種子企業が、再編により研究開発力・マーケティング力を強化。

・世界の大手種子企業がゲノム編集農作物の商業栽培を計画。国際機関との共同育種プログラムや、基本技術の開発者と特許に関する提携の動き。

・欧米を中心に野菜・果樹の国際プロジェクトが複数進行しているが日本の貢献は弱い。

・国内では、遺伝子組換え農作物等に対する受容性が低い。 ・ゲノム編集に対する規制・管理が定まっていない。 ・科学的根拠に乏しい、いわゆる「健康食品」の氾濫。

高品質な農作物、育種素材 生体情報の蓄積 新たな育種技術

生産者・生産法人 生産者団体

流通加工業 中食・外食産業

消 費 者 多様なニーズ

機能性農産物・食品開発 国産農産物の輸出力強化

バリューチェーンの構築

5

Page 8: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

2-1.「4つの目標」(目指すべき方向)

生物機能の高度活用による新たな農業と新産業の創出の「4つの目標」

【農業改革】

目標1:種苗開発における国際競争力の強化 ⇒バイオ技術の活用と民間の参入促進により、我が国の種苗開発体制を抜本的に強化。

目標2:種苗開発を起点としたフードバリューチェーンの構築 ⇒消費者・実需者ニーズにあったマーケットインの発想に基づく、育種・種苗開発、 栽培技術開発、流通加工技術開発を推進。もって、生産者の所得向上につなげる。

【新産業創出】

目標3:食のヘルスケア産業の創出・振興 ⇒農林水産物の健康維持・増進効果の評価技術の開発、機能性農林水産物・食品の開発等により、「食のヘルスケア産業」を創出・振興。

⇒バリューチェーンの構築、農林水産物の高付加価値化により、生産者の所得を安定・向上。

⇒健康寿命の延伸、増大する医療費の抑制に貢献。(平成27年度の医療費:約42兆円)

目標4:革新的バイオ製品による新産業創出・市場拡大(バイオ・マテリアル革命) ⇒生物機能の活用により、炭素循環型産業システムの構築、革新的バイオ素材による経済成長を実現。 6

Page 9: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

2-2.目標1: 種苗開発における国際競争力の強化

対応方向 ・DNAマーカー等を駆使した干ばつに強い作物の開発 ・低リン酸、低窒素等不良な土壌条件下でも健全に生育する作物の開発 ・高温による不稔を回避する早朝に開花する作物の開発 ・稲のいもち病や大豆のさび病といった世界的に広がりを見せている重要病害の抵抗性品種の開発

(出典:総務省 平成25年度版 情報通信白書)

世界人口の推計

(出典:IPCC 第5次評価報告書 2013)

世界の地上気温の経年変化 (年平均)

1950年から2100年までの 気温変化(観測と予測)

(出典:農水省 海外食料需給レポート2015)

穀物需給の推移と見通し

生産量

消費量

期末在庫率

「緑の革命」は多収性品種の導入と多施肥による食料増産を実現した。

今般は、効率よく肥料成分を活用できる品種の導入により、環境と経済性に配慮しつつ世界的な気候変動に対応した食料安定供給を図る「新たな緑の革命」を実現。

○世界の平均気温は今後の1世紀で最大5℃近く上昇、人口は2050年には97億人に達する見込み。

○穀物生産は伸びるものの需要に追い付かず、世界的な食料需給は逼迫する可能性。

○地球規模の気候変動や爆発的な世界人口増加に日本の育種技術で対応し、世界をリードすべき。

(新たな緑の革命)

7

Page 10: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

2-3.目標2: 種苗開発を起点としたフードバリューチェーンの構築

○農産物の実需の過半が加工・業務用となるなど、生活様式・嗜好や流通・消費構造の変化により、消費者・実需者のニーズが変化・多様化。バリューチェーンの構築が不十分なため、ニーズのミスマッチや廃棄ロスが発生、生産者に価値を十分還元できていない。

○マーケットインの発想に基づく、品種改良と連動した流通加工技術の開発等により、「情報」と「モノ」の両面から、フードバリューチェーンの構築を支えることが必要。

農作物生産

中食・外食

消費者

海外輸出

AI、IoTによる「情報」のバリューチェーンの構築

小売り

流通加工 種苗開発

「モノ」のバリューチェーン

従来育種、 スマート育種等

栽培・施肥技術、 スマート農業技術等

高品質・定コスト加工技術、品質保持技術(貯蔵、包装、殺菌)、鮮度評価技術、成分管理技術等

マーケットインの発想に基づき、品種改良等と連動した流通加工技術の開発を実施。

品質保持期間の長期化等により、加工・業務向けの定時・定量・高品質(定品質)の出荷等が可能となり、生産者の所得を安定・向上させるとともに、廃棄物ロスの低減等が可能になる。 8

消費者・実需者のニーズに基づいて技術開発課題を明確化

Page 11: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

2-4.目標3: 食のヘルスケア産業の創出・振興

○ 新たなシーズの開発、ヒトへの効能確認

○ 健康・未病状態の見える化 ○ 未病検診技術の確立

大規模コホート研究

融合

機能性農林水産物・食品の開発(SIP)

玄米(γ-オリザノール)

柑橘(ノビレチン)

オリーブ(マスリン酸)

ヒト介入試験で実証

長期間 追跡調査

など

未病バイオマーカーの探索・開発

健康 軽度の 不調

未病 病気

腸内細菌

ストレスマーカー

睡眠の質

「健康」をチェックする 指標を選定

miRNA解析 認知機能

血液・尿中マーカー

唾液・涙液内生理活性物質

遺伝子発現

アミノ酸インデックス

活動量

メタボローム解析

体格

健診

食事

血液

データベース構築

ビックデータ 解析

社会・経済的な背景・動向

1 高齢化に伴う健康長寿ニーズの高まり

→ 現在、健康食品・サプリメント市場は約1.5兆円と推定されているが、潜在ポテンシャルは現在の2倍以上との予測あり (2012年、(株)インテージ社調査)。

2 食品の機能性表示制度が開始

→ 平成29年5月24日時点の機能性表示食品の公表件数は925件。

3 増え続ける医療費問題への対応

→ 医療費増大は2025年度には約60兆円に達する見込み。医科の医療費(約29.3兆円)のうち、3分の1は生活習慣病関連。公的保険外の健康管理サービス等の創出により、医療費の抑制が必要。

● 国民の健康の増進、健康寿命の延伸・超高齢社会におけるQOL向上。

● 医療費の抑制。

● 国産農産物の付加価値向上。

期待される効果

自分の健康を維持するために自分で食や食生活をデザインする新たなシステム

生産者 (機能性作物生産)

食品製造業 (機能性保持加工)

食関連サービス (配食、栄養指導等)

未病検診サービス ヘルスチェック機器

食のヘルスケア産業

○国民の健康長寿への関心の高まりから、保健機能食品等へのニーズが拡大。 ○農林水産物が有する健康機能性・栄養機能性等をいかし、農林水産物を食事として摂取すること

で、国民の健康の維持・増進を図ることが可能。 ○「食のヘルスケア産業」を創出・振興し、健康寿命の延伸と医療費の抑制に貢献。

国民

9 (注)未病とは、健康と病気を「二分論」の概念で捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念。

Page 12: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

2-5.目標4: 革新的バイオ製品による新産業創出・市場拡大(「バイオ・マテリアル革命」)

○生物の優れた機能を活用し、バイオプロセスによる革新的な製品を開発・生産。工業分野、エネルギー・環境分野、農林水産分野の産業システムを改革。

○炭素循環型産業システム、革新的バイオ素材による経済成長等を実現。

スマートセルインダストリーの鮮明な図を挿入

10

Page 13: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

3-1. 「4つの目標」達成に向けた「4つの戦略的取組」の方向性(概要)

戦略的取組1: 研究開発システムの改革と戦略的な研究開発の推進 「4つの目標」達成のための研究開発プロジェクト等の推進

⇒「スマート育種システム」の開発・構築、農林水産物の健康増進・維持効果の評価技術の開発等

プログラム・マネージャー(PM)の導入等により、農水省の研究への民間企業の中核的参加を促進

「『知』の集積と活用の場」の加速化等による、 オープンイノベーションを推進するプラットフォームの形成

遺伝資源・生物素材、生物情報、バイオ技術等の民間への提供体制の構築 等

戦略的取組2: 産業化・事業化促進のための環境整備と支援 社会実装直結型の育種や情報共有・マッチングの推進等による、種苗開発への民間企業の

参入促進、我が国の種苗開発体制の強化

農林水産物・食品に適した健康維持・増進効果の評価方法について検討が必要

ゲノム編集技術利用に関するルールの明確化、規制上の取扱に関する国際的調和の推進

長期を要するバイオ分野の研究開発について民間投資支援策やベンチャー支援の検討 等

戦略的取組3: 国民、社会とのコミュニケーション等を通じた国民理解の浸透 バイオテクノロジーの利用等に関し、国民との双方向コミュニケーションの強化

科学的根拠に基づく規制の実施、安全に関するガバナンスの強化 等

戦略的取組4: 知的財産の適切な管理・活用 知財の管理・活用におけるオープンとクローズの的確な使い分け

研究開発段階からの戦略的な知財マネジメントの計画・実施 等 11

Page 14: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

3-2.「4つの戦略的取組」に基づく施策の方向(案)① 「スマート育種システム」の開発・構築

○民間事業者の種苗開発参入促進等のため、「スマート育種システム」を開発・構築し、遺伝資源・育種素材、生物・環境情報、育種技術、育種サービスを提供。

消費者・実需者等

国研・ 大学

連携・支援 民間・ 公設試

育種基盤技術の開発等

ゲノミックセレクションの高度化 ゲノム編集技術等、新育種

技術の開発

育種データベース

AI, 機械学習等による ビッグデータ解析

スマート育種システム

遺伝子や交配親の 最適な組合わせ

品種開発

DNAマーカー・育種母本等

ニーズ

育種技術による実証

スマート育種システムの活用による 品種開発の加速化

ゲノミックセレクションやゲノム編集技術等により、遺伝子単離や、DNAマーカーや育種母本の開発を実施

従来の育種法では作出困難な優良形質を持つ育種素材・品種の開発。

民間事業者等への「育種ビッグデータ」、育種技術、育種素材等の提供、育種素材・品種開発サービス。

ゲノム情報等のオミクスデータ 形質評価データ 気温、日照等の栽培環境

データ

育種ビッグデータの整備・データベース化

遺伝資源の確保

海外遺伝資源 育種素材・実験系統群等

12

Page 15: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

3-2.「4つの戦略的取組」に基づく施策の方向(案)② 農林水産物の健康維持・増進効果の測定・評価技術の開発等

○農林水産物の健康維持・増進効果の評価技術の開発、機能性農林水産物の開発等を実施。簡便で精度の高い健康状態チェックシステムを開発。

○関心のある自治体などと協働して、機能性農産物を組み合わせた食品・食事を提案できるシステムを構築。

食品製造業 ○食改善支援サービス業 (配食、栄養指導等) ○食料の提供

契約 連携

【健康維持農産物・食品の開発・製造】 【食改善支援サービス】 【健康診断サービス】

機能性表示みかん(β-クリプト

キサンチン)

機能性表示緑茶

(メチル化カテキン) 機能性表示飲料

セルフ・フードプラン ニングシステム

●健康維持・増進のための新たな食生活指針の開発

◇農産物・食品に特化した健康維持・増進効果の評価プロトコール確立 ◇健康を維持・増進する機能性農林水産物・食品の開発、日本食・丸ごと農産物のエビデンス獲得 ◇健康維持・増進のための食生活指針(i-フードガイド)の確立

●個人の健康の状態を評価するための新たなシステムの開発

◇健康↭軽度不調生体マーカー(睡眠の質、身体機能、代謝機能、ストレス、腸内環境、認知機能等)、計測デバイス開発 ◇大規模コホート等ヒト試験による実証 ◇センシングサービス提供、フィード バック

ビッグデータ データベース

関心のある自治体等

睡眠の質等を正確に測定

13

●機能性の高い農林水産物、栄養価の高い農林水産物等を開発

高リコピン高日持ち性

先行開発例

高機能トマト (筑波大)

低アレルゲン性卵 (産総研, 農研機構)

○生産者・産地 ○食材の提供

健康診断 栄養状態評価

連携

Page 16: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

3-2.「4つの戦略的取組」に基づく施策の方向(案)③ 「生物資源データプラットフォーム」の構築と「自動合成ファウンドリ」の確立

14

技術基盤の整備

○公的機関が保有する生物資源について、その機能情報(ゲノム配列などマルチオミックス情報)を分析、協調領域としてビッグデータ化。

○生物の物質生産機能をAI解析し、ゲノムレベルでデザインする自動合成ファウンドリ(生物機能設計・自動細胞作製システム)を確立。

Page 17: 農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイ …...農林水産省と経済産業省の連携による 「次世代バイオ農業戦略(仮称)」の策定の方向性

4.まとめ(今後の予定)

農林水産省、経済産業省が連携して、さらに、「次世代バイ

オ農業戦略(仮称)」の検討を深める。

関係機関・企業等からのヒアリングの実施を検討。

一部の関係府省との意見交換の開始を検討。

総合科学技術・イノベーション会議と情報共有し、政府全体

のバイオに関する戦略の検討に反映。

アジア最大のバイオビジネスイベント「Bio Japan 2017」にお

いて、紹介予定。

15