31
第25回日本慢性期医療学会 in 仙台 8-6-1 チーム医療(6) 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- 青梅慶友病院 ふなやま みき ○船山 美希(介護職),舟口 沙織,後藤 望実,尾澤 仁美,藤田 正子,高瀬 亜優,後 智子,桑田 美代子, 介護職教育係り一同 《はじめに》 青梅慶友病院は、許可病床数736床、入院患者の平均年齢約89歳、平均在院期間3年5 ヶ月、9割が認知症を 有し、9割が死亡退院する「終の住処」の役割を担う療養病床である。【豊かな最晩年をつくる】を理念に掲げ、 多職種チームでケアを実践してきた。認知症を発症した高齢者をケアする時、一人の意思ある人として対応し、 自ら訴えることのできない苦痛を緩和し、人としての尊厳を保つことが重要である。その時、多職種で関わる ことで豊かな関わりが提供できると考えている。 当院では昨年度から、更なる認知症の対応力を磨くため研修を開催している。その中のプログラムの一つに 事例検討に寸劇を用いたTeam Care Drama (以下、TCD)を行っている。実際の対応場面を基にした事例を TCDとして視覚化し、その後、多職種のチームで対応方法についてグループワークを行った。研修後のアンケー ト結果からは、多職種連携・協働の必要性・意義を確認する事ができたとの評価が多かった。しかし、実際の ケア現場では、その結果とは異なる状況もあった。そこで今回、昨年と同じシナリオを活用し、新たに認知症 の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み たので報告する。 《方法及び結果》 昨年開催したTCDの効果を確認することを目的に、ケアへの活用の具体的な内容聴取を行った。それと同 時に、具体的なTCDの方法として、認知症の基礎知識の視覚化を再検討した。TCDの研修プログラムは、昨 年と同様のシナリオを活用する。しかし、グループワーク実施時の構成メンバー及び検討内容は新たな方法を 導入した。研修の効果は、アンケート調査を実施することにした。開催の詳細は、当日報告する。

認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-1 チーム医療(6)認知症対応力を多職種チームで磨く-Team Care Drama の活用-

青梅慶友病院

ふなやま みき

○船山 美希(介護職),舟口 沙織,後藤 望実,尾澤 仁美,藤田 正子,高瀬 亜優,後 智子,桑田 美代子,介護職教育係り一同

《はじめに》 青梅慶友病院は、許可病床数736床、入院患者の平均年齢約89歳、平均在院期間3年5 ヶ月、9割が認知症を有し、9割が死亡退院する「終の住処」の役割を担う療養病床である。【豊かな最晩年をつくる】を理念に掲げ、多職種チームでケアを実践してきた。認知症を発症した高齢者をケアする時、一人の意思ある人として対応し、自ら訴えることのできない苦痛を緩和し、人としての尊厳を保つことが重要である。その時、多職種で関わることで豊かな関わりが提供できると考えている。 当院では昨年度から、更なる認知症の対応力を磨くため研修を開催している。その中のプログラムの一つに事例検討に寸劇を用いたTeam Care Drama(以下、TCD)を行っている。実際の対応場面を基にした事例をTCDとして視覚化し、その後、多職種のチームで対応方法についてグループワークを行った。研修後のアンケート結果からは、多職種連携・協働の必要性・意義を確認する事ができたとの評価が多かった。しかし、実際のケア現場では、その結果とは異なる状況もあった。そこで今回、昨年と同じシナリオを活用し、新たに認知症の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試みたので報告する。

《方法及び結果》 昨年開催したTCDの効果を確認することを目的に、ケアへの活用の具体的な内容聴取を行った。それと同時に、具体的なTCDの方法として、認知症の基礎知識の視覚化を再検討した。TCDの研修プログラムは、昨年と同様のシナリオを活用する。しかし、グループワーク実施時の構成メンバー及び検討内容は新たな方法を導入した。研修の効果は、アンケート調査を実施することにした。開催の詳細は、当日報告する。

Page 2: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-2 チーム医療(6)認知症対応力を多職種チームで磨く―認知症ケアスタッフ教育プログラム指導者用ガイドの作成―

青梅慶友病院

あらしだ よりこ

○嵐田 順子(看護師),鈴木 忍,西野 信賢,宮崎 澄子,坂本 優子,根岸 みちる,春木 晴子,野呂 修平,大越 栄子

《はじめに》 青梅慶友病院(以下、当院)は、許可病床数736床、入院患者の平均年齢約89歳、平均在院期間3年5 ヶ月、9割が認知症を有し、9割が死亡退院する「終の棲家」の役割を担う療養病床である。【豊かな最晩年をつくる】を理念に掲げ、超高齢者・認知症高齢者を「最期まで意思ある人」としてケアを提供するために、多職種チームで様々な取り組みを実践してきた。昨年度からは、更なる認知症ケアの向上を目指し、「認知症ケアマニュアル」の改訂を行った。認知症とそのケアに関する知識を得ることは重要である。しかし、マニュアルを読むだけでは、実践に活かせないことも事実である。 そこで今回、「認知症ケアマニュアル」を基に、全部署で活用できる『慶成会認証ケアスタッフ教育プログラム指導者用ガイド(以下、ガイド)』の作成を試みた。ガイドとは、各部署で学習会開催時に活用できる教材である。認知症ケアに関する知識を実践に応用することは容易いことではない。だからこそ、そのガイドを活用し、多職種チームで認知症ケアに取り組み、学習したことで行動の意味づけ、ケアの選択、評価に活用されることを目的に活動を試みたので報告する。

《方法》 当院の「認知症ケアマニュアル」を基に、第一段階:ガイド内容及び構成の検討、第二段階:ガイドの作成、第三段階:各部署から人選されたスタッフに対し、ガイドの使用方法の説明及び指導の実施、第四段階:各部署でガイドを用いての学習会の開催を行った。また、それと同時に、認知症高齢者に対する意思を尊重するスタッフ対応の基本を再確認しルール化した。実施しての詳細は当日発表する。

Page 3: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-3 チーム医療(6)認知症初期集中支援チームの取り組みについて~医療ソーシャルワーカーの視点から~

五条川リハビリテーション病院 医療福祉相談室

たかすぎ ひであき

○高杉 英明(ソーシャルワーカー)

【はじめに】当院は愛知県清須市に位置する一般病棟、医療療養型病棟、回復期リハビリ病棟をもつ全160床のケアミックス型病院である。平成28年10月より清須市事業として「認知症初期集中支援チーム」の委託を受けることになった。病院がチームの中心として活動している環境であることから、医療・福祉の立場、視点の違いを報告する。

【活動内容】平成28年10月1日から発足設置場所:五条川リハビリテーション病院チーム員:発足時 医師1名 看護師1名 社会福祉士1名平成29年5月現在 医師1名 看護師3名 作業療法士1名 社会福祉士1名訪問延べ回数:8回対応件数:3件(内終了1件)

【考察】医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)として退院支援を行う中では、医療・介護サービスへ確実につなげることが可能だが、支援チームのチーム員としての活動の中では純粋にサービスにつながるケースが少ない結果となり、活動の難しさを実感した。MSWとしても支援チーム員としても支援対象の中心は本人であることには相違はないが、短期間での介入によるラポール形成、入院か在宅かの生活場面の違いから、多岐にわたる社会資源の確保やアプローチの方法の確立等が必要と考える。

【まとめ】MSWであること、社会福祉士であること2つの視点から医療・福祉の面において必要とする社会資源や立ち位置の違いの難しさを実感した。本人、家族にとって「いつでも相談できること」が日常生活において身体的・精神的負担の軽減を図ることにつながると考える。そのためには地域の社会資源を把握し、シームレスに連携できるよう積極的なアウトリーチが必要だろう。

Page 4: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-4 チーム医療(6)心不全・腎不全の増悪を繰り返しながら,約1年間担当する中で多職種との連携の重要性を再認識した一症例

1 芳珠記念病院 リハビリテーション科,2 芳珠記念病院 看護局,3 芳珠記念病院 栄養部,4 芳珠記念病院 薬剤部

こもり くにはる

○小森 邦治(理学療法士) 1,木村 繁文 1,金井 正鷹 4,坂下 理香 3,坂田 美紀 2,西田 好克 1,上田 佳史 1

【はじめに】重症心不全患者の長期ケアは,急性増悪予防とQOLをいかに維持・改善できるかが大きな課題となる.今回入院中に心不全・腎不全寛解と増悪を繰り返し,退院まで約1年を要したが多職種の介入により自宅へ退院可能となった症例を報告する.

【症例紹介】87歳男性,右下肢痛増強があり歩行困難・両下肢浮腫著明にて入院.下肢痛は大腿骨骨髄炎疑い,また心不全・腎不全と診断あり治療を開始.入院17日よりリハビリ処方.介入当初は疼痛・倦怠感に伴い,活動耐性低下著明でADL全介助,体重66.9㎏・CTR68.4%・BNP216pg/ml・EF値60%であった.

【経過】入院55日目には全介助で車椅子乗車し昼食摂取可能となったが,入院67日目より動悸・呼吸苦出現,安静度はギャッチアップ座位までとなった.入院89日目には体重74.2㎏・CTR75.4%・BNP349pg/mlにてECUMを3回/週で開始.開始後徐々に体重減少・利尿もあり開始20日でECUM離脱.入院149日目に車椅子乗車での昼食摂取再開.全身状態確認しながら病棟での活動性向上,持ち込み食が多く体重・浮腫増加があり,NST介入し摂取エネルギー量の調整や,塩分管理の指導を家族へ行った.徐々に活気も出始め入院210日目からは立位,242日目には平行棒歩行が可能となった.退院に向け病棟で車椅子乗車にて排泄動作・乗車時間拡大を行ったが,入院298日目に胸部X-P上にて再度心拡大・胸水増加あり.病棟での活動を制限し退院調整を行ったが,胸水改善はみられなかった.しかし在宅復帰後のフォロー体制を再検討し,入院331日目に体重61.1㎏・CTR76.7%・BNP126pg/ml・EF値61%で自宅退院された.

【考察】今症例は重度の心不全のため回復に時間がかかり,長期の安静臥床を強いられた.また本人の活動意欲と身体機能の著しい低下が危惧されたが,デコンディショニングの進行予防・改善と共に多職種・家族と連携し自宅退院が可能となった.本人・家族も含め問題を解決していくチーム医療の重要性を再認識した症例であった.

Page 5: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-5 チーム医療(6)療養病棟における多職種との患者カンファレンスについて

静岡徳洲会病院

みやぎしま まき

○宮城島 真希(看護師),伊藤 真弓

《はじめに》 当院は、静岡県中部にある急性期、療養、障害病棟をもつケアミックスの病院である。院内では多職種が協同しており、業務を円滑に行うためにお互いのコミュニケーションが重要である。療養病棟では、入院が長期となり治療方針の変更など情報の共有不足が発生していた。もともと少人数でのカンファレンスを行っていたが、平成28年2月より週1回院長と病棟看護師全員による患者カンファレンスを開始し、治療方針が周知され、看護の統一化を図ることができたためその経過を報告する。

《経過》 昨年、院内で医師と多職種の情報共有不足や認識の違いが原因と考えられるトラブル事例が多く発生し、療養病棟では状態変化による治療方針の変更など情報共有不足が発生していた。その対策として院長による患者カンファレンスを行うことになった。週1回午後の20分間程のカンファレンスで、その日の出勤看護師は全員参加とした。業務の時間調整等スタッフの協力を得た。また誰もが自由に発言できるよう声をかけていった。今回の取り組みはアンケート調査を行い評価した。

《結果》 療養病棟看護師のアンケート調査から院長カンファレンスを行ったことで主治医の方針が理解でき患者への看護が明確になったなどの意見が多く聞かれ70%以上が「良い」「とても良い」と答えている。また、スタッフからの声でMSWとの定期的なカンファレンスも開始された。

《考察》 長期療養患者は、入院中様々な状態の変化があり、その都度個人に合わせた治療方針や看護の方向性を検討する必要がある。今回、院長カンファレンスに看護師全員が参加することにより医師と病棟全体で同じ方向性の情報共有ができた。また、MSWとのカンファレンスに結びつき、更に患者の援助が明確になった。患者の変化に合わせた治療と看護ケアを目指し、今後も多職種とのカンファレンスを充実させていきたい。

Page 6: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-6-6 チーム医療(6)介護職員とともに残存機能を活かすケアを考える

介護老人福祉施設ヴィラ泉

ながさわ くみこ

○長澤 久美子(理学療法士),浅原 夏奈子,上杉 美音子,工藤 奈々子,岡澤 瑞希

[はじめに] 適切なケアを行うことは、認知機能・身体機能を維持し、安心・安全な生活を提供する上で極めて重要である。ユマニチュード(ケア技術)を介護職員とともに学習・実践し、職員と利用者様の変化について検討した。

[方法]対象;介護職員9名と利用者様4名(平均年齢87.0±13.0 / HDS-R2.3±3.9)1)事前アンケート・聞き取り(職員の意識調査、利用者様の問題行動・表情など)2)ユマニチュードを学習(資料と動画)/実践/成功・失敗体験を記録3)最終アンケート・聞き取り(職員と利用者様の変化)

[結果] 介護抵抗のあった利用者様について7 / 9名の職員が奇声・拒否・暴力が減り、全職員が指示理解に改善がみられたと回答。トイレ誘導も4 / 9名が2人介助から1人で行えることが増えたと回答した。職員の変化として初期は「時間がない」という意見が多かったが、徐々に「急がば回れの意識の切り替えが必要」と変化した。利用者様の変化を目の当たりにし、最終調査では「ユマニチュードは職員のケアの満足度を上げる為にも必要」

「利用者様からみたケアを考えるようになった」の回答が多く、継続する必要性を全員が感じると回答した。[考察] 加齢とともに身体的・精神的・社会的な活動は減少する。コミュニケーションの機会の減少は、認知面でも廃用を招く。理解力の低下は混乱と不安を招き、介護抵抗はケアの阻害因子となる。結果的にADL・QOLの低下・介助量の増加を招くこととなる。 今回「見る」「触れる」「話す」と「ケアの手順」を見直すことで、利用者様の注意を掴み、随意的運動に結び付け、残存機能を使用する介助を行うことができた。利用者様、介護者双方の身体的・精神的負担の軽減にも繋がった。 利用者様に安心・安全な生活を送っていただけるよう、生活の場で残存機能を使いやすいケアを介護職員とともに引き続き考えていきたい。

Page 7: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-1 チーム医療(7)当院における多職種協働によるミールラウンドの現状と効果

1 愛全病院 栄養科,2 愛全病院 診療部,3 愛全病院 看護部,4 愛全病院 リハビリテーション部

たかはし まりな

○高橋 麻莉奈(管理栄養士) 1,氏家 志乃 1,小山 美樹 1,小嶋 恵利子 4,江端 健治 4,下川原 佳代子 3,松本 礼子 3,山田 康之 2

【はじめに】2015年の介護報酬改定で経口移行・経口維持加算の算定条件が変更となり、嚥下造影検査や嚥下内視鏡以外の評価手法以外の評価方法も認められ、多職種による食事の観察や会議により協働して支援してゆくプロセスを評価する仕組みとなった。当院では2015年より多職種協働によるミールラウンドを実施している。その現状と効果について報告する。

【方法】介護療養病棟で嚥下障害食を喫食している患者34名(経管栄養併用患者3名を含む)を対象に医師、歯科医師、看護師、言語聴覚士、理学・作業療法士、介護福祉士および管理栄養士で月2回、昼食時にラウンドを行い、口腔ケア、摂食時の姿勢、摂食時間、摂食量や食事環境等について観察した。必要に応じて改定水飲みテストや頚部聴診法による嚥下機能評価を実施し、さらに普段の様子や病状の変化など病棟看護師・介護士からの情報も加えて、多職種による協議を行い経口移行計画書・経口維持計画書を作成した。計画書の内容を病棟看護師・介護士とも情報共有し、協働して支援を行った。また摂取量の少なさや偏食といった個別の問題には、自作の栄養ゼリーを提供し対応した。

【結果】対象患者34名の97%は認知症を有し、先行期・準備期主体の摂食嚥下障害を有する患者が70%を占めた。経管栄養併用患者3名は全て経管栄養を離脱し経口栄養に移行、現在も経口摂取を継続している。また経口摂取患者31名は、全て介入開始時の食形態を維持しており、血清アルブミン値、BMIおよび摂取栄養量いずれにおいても低下を認めていない。

【考察】多職種がそれぞれの視点で提案し、食事内容を調整した事は経口維持継続に繋がった。特に、日常生活に深く関わる介護福祉士からの介助の工夫、注意点等の情報は、嚥下機能のみならず、全身状態や精神状態を把握する上で役に立った。今後も多職種と連携を深め、経口摂取を維持するための支援を続けていきたい。

Page 8: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-2 チーム医療(7)多職種連携により在宅生活を実現できた症例 ~管理栄養士の立場から~

1 ベルピアノ病院 診療技術部 栄養管理室,2 ベルピアノ病院 医療診療部,3 ベルピアノ病院 診療技術部 薬剤科,4 ベルピアノ病院 診療技術部 リハビリテーション室,5 ベルアンサンブル介護相談センター,6 ベルアンサンブル訪問看護ステーション,7 ベルピアノ病院 地域連携・在宅療養支援センター 医療福祉相談室

ろくや ときこ

○ 録 家  時 子( 管 理 栄 養 士 ) 1, 久 村  岳 央 2, 長 友  孝 純 3, 川 村  広 美 4, 前 川  喜 広 7, 糸 谷  恵 6,山本 佳宏 5

【はじめに】今回、当院の入院患者で低栄養、嚥下状態の低下、複雑な家族背景や経済的背景のため在宅復帰困難と判断されたが、多職種連携で在宅生活を実現できた一症例を報告する。【症例】80代男性。独居で知人が身の回りの世話をしていた。2015年8月に心不全で急性期病院へ救急搬送されたが状態は安定し、経管栄養が開始され当院へ転院となった。【入院経過】VF検査では嚥下障害重度で経口摂取困難と判断。しかし、在宅復帰の強い希望があり、言語聴覚士と連携しながらスープやヨーグルトを昼のみ提供。その後、3食経口摂取に移行できたが、知人に精神疾患があるため、嚥下食の調理や介護能力は乏しいと判断された。ヘルパーの介入も勧めたが断固拒否のため、当院の訪問診療・訪問看護・訪問薬剤指導・訪問栄養指導と週2回半日デイのサービスで退院となった。【退院経過】退院後、自宅へ訪問して食事の確認をすると、食事はレトルトのみで摂取エネルギー量が少なく栄養状態の悪化が懸念された。そこで、訪問栄養指導では調理実習に重点を置いて嚥下食の作り方を指導した。また、知人からはあいまいな回答が多く信憑性に欠いていた為、多職種で情報を共有しながら正しい情報の獲得と問題点の追求・対策を行った。【結果】介入時、レトルト食品のみではトータル栄養量854Kcal、 蛋白質22.9gの提供であったが、食事指導の結果で2 ヵ月後にはエネルギー量1545Kcal、 蛋白質59.8gと目標摂取エネルギー量の97%を達成。1500円程度かかっていたレトルト購入費も食材購入で35%削減できた。その後、肺炎で入退院を繰り返したため施設入所となったが、それまでの計9 ヵ月間望んでいた在宅生活をおくることができた。【まとめ】今回、多職種連携できたことで情報の集約と問題解決ができ、在宅生活を維持できた。今後も他の職種と連携して訪問栄養指導の必要な患者に適切に介入し、地域包括ケアシステムの一員として務めていきたい。

Page 9: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-3 チーム医療(7)当院歯科とのチーム医療の現状と今後の在り方

友愛記念病院 歯科

はらぐち かつひろ

○原口 克博(歯科医師)

【はじめに】 当院は認知症治療病棟、医療療養病棟、介護保険病棟の212 床を有する病院である。診療科は内科、精神科、心療内科、リハビリテーション科、歯科である。併設している歯科は、常勤・非常勤歯科医師各1名、歯科衛生士2名、受付1名で診療にあたっている。歯科では介護保険病棟の入院患者様に対して口腔衛生管理を行い、要請があれば全病床の患者様の歯科治療、口腔ケア等に随時対応している。しかし全入院患者様に対しての口腔機能維持・管理は、できていない。そこで今回歯科とのチーム医療を推進することを目的に調査を行ったので報告する。

【方法】 歯科とのチーム医療を推進すると思われる多職種職員に対して、「歯科について」、「高齢者の口腔内の特徴」、

「口腔機能」、「口腔ケア」、「歯科との連携」、「チーム医療」についてアンケート調査を行った。対象者は145名の職員でそのうち医療事務職員8名を含んでいる。

【結果と考察】 我々歯科と多職種職員の間に知識や認識に違いがあり、同一職種間にも知識と技術に差があることがわかった。歯科と各職種間での関わりが少ないことも感じられた。また、チーム医療、多職種連携等についての十分な理解が得られていないことも判明した。このことが歯科とのチーム医療の推進が思うように行われていない原因の一つと考えられた。 今後歯科とのチーム医療を進めるには、歯科と多職種間及び職員間における知識・技術を共有することが重要と考えられた。それには職員間の情報共有と多職種間の垣根を越えた関係が必要と思われた。さらに歯科からの情報発信や病院全体での勉強会等も必要であると思われた。また、入院時に口腔の重要性を御家族に対して説明すること、入院時の歯科検診等を行えるようなシステムの導入も視野に入院患者様の少しでも快適な入院生活をサポートすることが重要だと考えられた。

Page 10: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-4 チーム医療(7)NST委員会の活動報告-反省と今後の課題-

1 西日本病院 栄養部,2 西日本病院 医局

ほんごう えみ

○本郷 恵未(管理栄養士) 1,山中 眞由美 1,松本 優 1,田辺 徹太郎 1,松浦 亜紀 1,北平 裕恵 1,桑原 里沙 1,坂口 眞琴 1,兼田 博 2

【はじめに】当院は399床を有し、急性期から慢性期までの医療を提供している。平均在院日数は15.9日、平均年齢は72.5歳で、入院患者数は年間約3,000例である。管理栄養士は9名在籍している。平成19年のNST委員会発足から10年、加算取得し4年が経過した。これまでの活動内容を振り返り、当院NSTの今後の課題について検討したので報告する。

【方法】平成19年のNST委員会立ち上げから、平成29年4月までの10年間の実績を振り返った。また、平成27年3月~平成28年9月までに介入終了した患者を対象とし、介入件数、平均年齢、介入理由、介入期間について検討した。

【結果】NST稼働当初は統一したスクリーニング項目がなく、実際の年間依頼件数が7件だった。平成21年度に当院独自のスクリーニング項目を導入し、平成28年度では1234件まで増加した。平成27年3月~平成28年9月までの1年9 ヶ月間に介入終了した件数は456件であった。介入理由については、「アルブミン 3.0 mg/dl 未満」が67%と最も多かった。平均年齢は82.7±10.6歳、平均介入日数は42.3±19.5日であった。

【考察】スクリーニング項目の見直しにより、低栄養患者への早期介入が可能になったと考えられる。今後も見直しを重ねていきたい。現在のNST平均介入日数は42.3±19.5日であった。1 ヶ月以上の長期入院病棟を含めた平均となっているためと考えられるが、早期の栄養状態改善のために短期間の栄養評価方法について検討する必要がある。また、NST介入患者の平均年齢は、当院の入院患者の平均を上回っていた。年齢別のNST介入効果について検討していきたい。

【まとめ】栄養不良患者を早期に抽出することで、合併症予防、重症化予防、褥瘡改善、経口摂取への移行など、得られる効果は大きい。今後は、短期間の栄養指標としてプレアルブミンの定期的な検査の導入、SGAに基づいたスクリーニング項目の見直しを行い、さらなる栄養改善に向けた活動をしていきたい。

Page 11: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-5 チーム医療(7)診療報酬改定による栄養指導の取り組み

東浦平成病院

しらやま まみ

○白山 真美(管理栄養士),廣田 あかり,形田 美子

[はじめに]H28年度診療報酬改定により栄養指導の内容および対象の拡充がなされた。以前から当院外来において糖尿病、高血圧など食事療法を必要とする患者様が多く来院されているが、十分な栄養指導を行えていない現状であった。今回、外来・栄養課で連携し、各々業務を確立することで必要な患者様に適切な栄養指導が行えるよう取り組んだので報告する。

[方法]・外来業務:患者選定フローチャートの利用、即時の栄養指導の受け入れ、待ち時間の活用、空き診察室への誘導・栄養業務:栄養指導情報の共有、指導媒体の選定、厨房内業務改善、再指導の有無をカルテに記載・実施期間:平成28年4月1日~平成29年3月31日の1年間 (29年4月以降も継続中)[結果]H28年度 外来栄養指導件数 161件、平均13.4件/月、再指導件数 33件、入院栄養指導 38件H27年度 外来栄養指導件数 9件、 平均0.75件/月、再指導件数 0件、 入院栄養指導 35件

[考察]4月より外来・栄養課で連携し、外来栄養指導の増加・継続に力を入れてきた。 上半期は定期的に受診には来ていたが、栄養指導を受けたことがない方の指導が入り、件数が急激に増加した。下半期になると、継続的に指導が必要な方・指導を希望する人が中心となり、件数はピーク時より落ち着ついた。2回目以降の依頼も入るようになり、再指導の予約制度がうまく機能したと考えられる。また、指導時間は患者様の診察・採血結果の待ち時間を活用しており、患者様の負担にならないよう配慮をしている。 栄養指導は医師の指示により実施されるが、対象者の抽出や栄養状態のアセスメント、食生活・生活習慣など、看護師・管理栄養士が情報を共有・集約し、 医師へ積極的に働きかけることが重要である。今後も継続的な栄養指導を行い、疾病治療に栄養面から貢献していきたい。

Page 12: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-7-6 チーム医療(7)経口維持加算算定に向けての取り組み

介護老人福祉施設 ヴィラ桜ヶ丘

くさま じゅんいち

○草間 純一(言語聴覚士),宮内 見輔,堤 亮介,蜂須賀 早紀,竹内 さよみ,関口 裕詞,渡辺 弘子,佐藤 真奈美,武久 洋三

[はじめに]2015年4月より介護保険が改定され、経口維持加算の算定要件が変更された。この改定により施設でも算定しやすいものとなった。また、一旦経口摂取を中止するような出来事があると、高齢者では短期間でより一層の廃用が起ると知られている。このことを背景に、出来る限り経口摂取を継続していける様支援を始め、当施設でも加算を算定する運びとなった。算定するにあたり、当施設での取り組みと成果について報告する。

[方法]加算対象者は、医師の指示のもと言語聴覚士(以下ST)によるスクリーニング検査を実施し、摂食嚥下障害が疑われる方から選定。家族の同意を得られた方を経口維持加算の対象者とした。リハ科、栄養課、看護、その他の職種を交えてミールラウンドを週に1回昼食時に実施。加算対象者には経口維持計画書に基づきチェックを行い、その後ミーティングを実施。また、STが個別で嚥下訓練を実施した。

[結果]週に1回のミールラウンドを行うことにより、加算対象者だけでなく、全入居者の摂食時の様子を共有する事ができ、食事形態、姿勢、食事の介助方法などを検討し、経過を追って観察する事が可能であった。また、現場からの要望を即時に対応する事が可能であった。しかし、昼食時は他職種も多忙なため時間の調整が難しいことがあった。

[考察]ミールラウンドを実施することにより、他職種からの視点や支援を改めて知ることができた。同じ情報を共有することで共通の目標を持つことができ、多面的なアセスメントがなされ有機的に連携を図れるのではないかと考える。また、実施頻度について、現場からの要望を即時に対応できている為、週に1回が望ましいと考える。 今後について、経口維持加算を算定する対象者が増加すると思われる。そのため、ミールラウンドの実施頻度、実施方法などをシステム化し、運用していくことで経口摂取の維持を可能にすると考えている。

Page 13: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-1 健康管理働く腰を守りたい~福祉用具の積極的な活用と就業前腰痛予防の実践~

おおやま病院 看護科

あずま まりこ

○東 真理子(看護師),下坂 幸子,林 みずほ,酒井 陽子

【はじめに】看護介護業務上の腰痛による労災申請数は、10年間で3.5倍と増加し深刻である。当院では、腰痛予防勉強会やスライディングシート・ボードを導入し、患者の持ち上げをなくすよう努めている。しかし中腰作業や徒手的(持ち上げ)介助が腰痛の一因となっている。腰痛発生のリスクを低減させるには作業前に準備体操やストレッチを実施することが有効である。今回、就業前のラジオ体操・ストレッチを実施、福祉用具を活用し腰痛予防対策に取り組んだのでここに報告する。

【研究方法】対象:N病棟 看護15名 介護12名期間:X年10月~X年6月方法:アンケート2回(X年10月 X年6月)ラジオ体操・ストレッチ・ポスター掲示勉強会

【結果】1回目アンケートより全体の85%が腰痛経験者だった。腰に負担を感じる業務は特にオムツ交換・体位変換が挙がった。福祉用具の正しい使い方を「知らない」52%いた。福祉用具の使用度は35%と低かった。理由として面倒・時間がかかる・使い方の知識不足が挙がった。持ち上げない・かがまない姿勢を意識し福祉用具の手技を復習した。2回目アンケートより腰痛効果の実感度は88%いた。福祉用具は100%が使用している。しかし上手くできなかった人も11%いた。手技の見本や安全介助のための危険性を書面で表した。腰痛予防対策について、100%が継続していく必要があると認識した。ラジオ体操継続について「良い」56%いた。又、職場全体で取り組んだほうが良いと声が挙がった。

【考察・まとめ】人間の身体は突然の動きに弱いため、負担がかかる業務の前に身体をほぐすことが大切である。毎日続けることで普段使用しない関節を動かし、柔軟性の向上や血行増進、腰痛予防・回復を期待することができる。今回の活動は、自身の健康に気付き仕事に取り組む意欲に繋がった。福祉用具を活用し、身体を守り看護介護の質の向上に努めたい。又、職場全体で活動を広げていく必要がある。

Page 14: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-2 健康管理当院の職員健診にて実施した腰痛調査の現状と今後の課題

博愛記念病院

なかむら けんいちろう

○中村 賢一郎(理学療法士)

[背景]職員の腰痛健診は推奨されており、当院でも腰痛の問診は実施していた。しかし、近年は職員の腰痛有病率が上昇傾向であり、リハビリテーション(以下リハビリ)従事者側から、職員の腰痛改善に向けたプログラムを考案するために、腰痛調査を実施した。

[方法]職員健診(平成28年1月実施)に腰痛調査ブースを設け、対象職員671名(男性:154名、女性:517名)に対して日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下JOABPEQ)とVisual Analog Scale(以下VAS)を用いて紙面でのアンケート調査、立位体前屈(以下FFD)、下肢伸展挙上(以下SLR)の評価を実施した。

[結果]現在、腰痛ありと答えた職員は671名中173名(25.8%)、腰痛の既往も含めると671名中442名(65.9%)という結果であった。また、職種別では全18職種中、7職種において腰痛を訴える職員が30%を超えており、年代別では、20代から徐々に増加傾向で、60代では33.0%と最も多い。職員数が多い5職種(介護士、看護師、リハビリ、調理、事務)でVAS、FFDの値を比較すると、特に介護士、看護師が平均値以下の割合が多い。

[考察と今後の課題]厚生労働省が公表している業務上疾病における災害性腰痛の割合は非常に多く、平成27年の統計では業種別の腰痛発生割合で、保健衛生業が全体の約30%を占めている。医療・介護現場における腰痛罹患率は5 ~ 6割とされ、調査結果でも看護師、介護士の腰痛割合が高くなっている。現在、腰痛に対する統一的なプログラムは確立されていないが、現場での動作指導や姿勢の改善、腰背部のストレッチや筋力トレーニングによる身体機能の向上が腰痛の軽減、働きやすさへと繋がるのではないか。そして、提供プログラムの効果・検証を積み重ねることが今後の課題であり、腰痛改善の担い手として、職員の腰痛軽減に努めたい。

Page 15: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-3 健康管理当院の介護職員における腰痛に関する聞き取り調査結果

西宮回生病院

なかがわ ひろみ

○中川 裕美(介護福祉士)

[はじめに]全国的に介護職員が不足しており、当院も充足できているとは言えない。しかし、腰痛が原因でやむなく離職するケースもあり、離職に至らずも腰痛を抱えながら働いているケースも多い。今回、介護職員の腰痛の原因は、業務遂行上で予防策を講じれば軽減でき、本人のQOLも落とさず、離職防止になるのではないかと考え、聞き取り調査を行った。結果、今後の方向性を見いだせたので報告する。

[方法]方法:聞き取り調査内容(重複回答あり)①腰痛があるか、何時頃からか、痛みへの対策を行っているか②予防策を行っているか、どんな予防策か③どの場面で腰に負担を感じるか期間:平成28年12月1日~ 26日対象:当院の介護職員22名倫理的配慮:結果は個人を特定しないよう配慮することを説明し承諾を得た。

[結果]①あり11名(50%)なし11名(50%)20年以上前から最近まで発生時期は分散していた。痛みへの対策は、コルセット8名、鎮痛剤3名、湿布3名、体操2名だった。②腰痛のない人の49.7%、ある人の13.5%が体操を行い、姿勢に気をつけていた。③排泄交換11名、体交時9名、入浴4名、トランス4名

[考察]調査結果は、腰痛のある介護職員とない介護職員が半分ずつであった。また、腰痛のない介護職員の約50%は予防対策を行っていたが、腰痛のある介護職員の86.5%は行っていなかった。文献によると、約80%が原因不明の腰痛であり、原因不明の腰痛に対する取り組みとして重要視されているのは予防体操であった。そこで、今後の取り組みとして、まず腰痛の原因と考えられる業務を抽出し、ボディメカニズムに基づき、腰に負担をかけない方法で業務遂行できるように教育していく必要があると考える。同時に、腰痛のない職員を活用して、予防体操や良い姿勢保持を啓発していくなど好循環の職場環境作りが重要と考える。

Page 16: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-4 健康管理リハビリテーションスタッフによる透析室での介助指導~スタッフの介護負担を軽減する為に~

富家千葉病院 リハビリテーション室

にいみ まさとし

○新見 雅俊(作業療法士),奥田 香織,村越 大輝,影原 彰人,須賀 晴彦

【はじめに】 当院の外来透析患者の身体機能は低く、重度介助の方が多い状態であった。透析室スタッフ(以下、HDスタッフ)の移乗介助に関して、経験不足等によるリスク管理が不十分な点や移乗介助方法が各患者に対して適切ではない状態を認めた。HDスタッフからは、「移乗を行ってると腰が痛くなる」「腰痛予防の為に移乗の指導をして欲しい」といった要望も聞かれていた。その為、リハビリテーションスタッフ(以下、リハ)に移乗動作の介助指導をしてほしいとの依頼があり、HDスタッフの腰痛予防を含めた移乗の介助指導及びリハビリテーション介入を約2年程前から開始した。

【目的】 ①離職の原因となる腰痛の訴えが多い事から、腰痛予防の為にも介助指導を実施。②HDスタッフによる移乗の際、リスク管理を踏まえた上で、各対象者に合った適切な介助量で安全に行えるといった2つの事を目標とした。今回、リハビリテーション介入した事でHDスタッフの移乗に関してどのような変化を認められたか調査した。

【方法】HDスタッフにアンケート形式で調査を実施①アンケート:移乗に関する内容について5項目実施②対象者:医師2名、臨床工学技士5名、看護師9名、介護士3名③移乗介助に関する勉強会、実技指導:看護師9名、介護士3名※外来透析利用者(系列特養を含む)の移乗を対象としている

【結果】 詳細な結果は当日の発表をもって報告する。なお、介入後からHDスタッフより「介助しやすい」「楽」という話が聞かれている。リハとしては、以前に比べて移乗前の事前準備に気を掛ける姿を認められる。

【結語】 今回、リハがHDスタッフに介助指導を行ったが、介助方法以外にもリスク管理やベッド上での起こし方などといった指導も今後の課題であった。今後、HDスタッフがリハに介助方法や動作指導といった内容を確認できる環境を目指す事で、移乗時のリスク管理や介護負担軽減に繋がると考える。

Page 17: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-5 健康管理腰痛軽減を目的にボディメカニクスを用いたケアを実践した取り組み

柴田病院 看護部

まき まゆみ

○牧 真由美(介護福祉士),藤川 純江,岡野 智枝

【はじめに】看護師・介護士にとって腰痛は職業病の一つに挙げられる。腰への負担を軽減する方法にボディメカニクスがある。A病棟でも腰痛を訴える職員がおり、習慣的に中腰でケアを実施している場面を見ることがある。ボディメカニクスについ学んだことがある職員もいるが活用でていない。そこでボディメカニクスについて再度学習し活用することで、腰痛がどの程度軽減できるか取り組んだ結果を報告する。

【研究方法】対象者:A病棟スタッフ22名期 間:平成28年9月5日~ 12月15日方 法:ボディメカニクス学習前後に排泄、体位変換、更衣、各ケア前後の腰痛変化を5段階評価リハビリスタッフによるボディメカニクスの学習会と指導

【倫理的配慮】研究の趣旨について説明、同意協力を得る。

【結果・考察】腰痛評価排泄:実施前 3点増悪8% 2点増悪24% 1点増悪68%→実施後 3点0% 2点増悪31% 3点増悪69% 体位変換:2点増悪24% 1点増悪76% →2点増悪7% 1点増悪93% 更衣:3点増悪8% 2点増悪29% 1点増悪63%→3点増悪0% 2点増悪30% 1点増悪70%ボディメカニクスを再度学び直すことで、お互いに声を掛けながらケアを実施するようになった。しかし、いつものやり方になることもあり、大きな腰痛軽減に繋がらなかったと考える。ケアの前後で腰痛が3点増悪するスタッフがいなくなったことは、腰痛軽減のためには、ボディメカニクスを意識し習慣化する必要がると感じた。

【まとめ】本研究を通してボディメカニクスが、腰痛の軽減に繋がることを再認識した。今後も、腰痛予防、悪化防止のためにボディメカニクスが、定着習慣化できるように継続していきたい。

Page 18: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-6 健康管理働きやすい職場をめざして~離職原因腰痛予防に取り組んで~

陵北病院 看護科

こたき あつし

○小滝 敦(介護福祉士),田中 宏樹,岡元 晴恵

Ⅰはじめに介護職は、トランスファー・排泄介助が主な業務であり、腰への負担が多く、腰痛を抱えながら仕事をしている職員が多くいるといわれている。当病棟においても、腰痛を抱えて仕事をしている職員が多いことが面接で分かり、腰痛予防への業務改善を行なった。病棟職員へのアンケート調査を実施し、腰痛予防以外にも患者の安眠確保やオムツのコスト削減にも繋がったのでここに報告する。Ⅱ研究目的腰痛予防 悪化を防ぐⅢ調査期間2016年8月1日~ 11月31日Ⅳ研究対象病棟患者52名 職員看護11名 介護14名Ⅴ研究方法1)ストレッチ体操実施 2)9時排泄介助時 2人対応する 3)レク時介護職員ラジオ体操、4)新パット導入し朝5時排泄介助の見直し 5)ラクラックスにて平行移動 6)取り組みアンケート調査Ⅶ結果・考察多くの職員が腰痛を抱えており、介護職を中心に夜勤明けの排泄介助業務が辛く、疲れが残っていると答えが多くあり、この問題を解決することが職員の離職を防ぎ、仕事のモチベーション維持につながると考えた。また、白十字社のストロングパッドへ変更し、朝5時の排泄介助をなくす業務改善を行った。今回、業務改善する事で腰痛予防だけでなく、起床してしまう患者、不穏で付き添わなければならない患者対応、トイレ介助に精神的ゆとりを持って対応できた。また、患者安眠の確保にもなり、職員の明けの身体への負担・疲労が軽減でき、腰痛悪化予防につながったと考える。排泄介助2人対応は拘縮の強い患者等含めて患者・職員にとって安全で安楽なのではないかと思う。また、2人で行うことできれいに洗浄できると思われる。しかし職員数に応じて2人対応出来ないこともあるのが事実であり、今後の課題でもある。Ⅷまとめ1、業務改善を行うことにより、腰痛予防悪化を防ぐことができた。2、患者の安眠を保つことができた。 3,職員の精神的ゆとりができモチベーション維持に繋がった。

Page 19: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-8-7 健康管理当院の療養病棟におけるセーフティケアの推進とその課題

富山城南温泉病院 リハビリ科

つかだ ひろのり

○塚田 大紀(作業療法士)

【はじめに】当院の療養病棟は190床と個人病院としては県内でも病床数が多く、多忙な日常業務の中、旧来のケアの方法で腰痛のある職員も多かった。そこで、職員全体の意識改革とともに、ケアの質をより高めるために、患者・職員双方に安全・安心なケア(以下セーフティケア)を推進し、今後の課題について検討したので、ここに報告する。

【セーフティケアとは】アメリカで腰痛予防対策として実施されている『SPH(Safe Patient Handling)』を手本にした日本での取り組み。福祉機器・介護技術教育により、介護職員の腰痛予防(負担軽減)と同時に、対象者の能力に合った安全・安心なケアの実施を目的とする。

【経過】昨年9月にセーフティケア委員会を発足し、9月に朝礼前のラジオ体操を開始、スライディングボード、シートの購入と使用方法の伝達、10・11月にはセーフティケア・福祉用具についての研修会の実施、広報誌の作成(11月、H29.2月)、アンケート(10月、12月、6月)を実施し、セーフティケアの推進と福祉用具等の環境整備を行っている所である。

【結果】昨年10月に行ったラジオ体操についてのアンケートでは、7割近い職員に腰痛があるものの、約6割の職員に心身両面において効果が見られた。昨年12月に行った福祉用具使用についてのアンケートでは、スライディングシートのような比較的簡便なものに関しては約7割がある程度理解し使用していると答えた反面、「物品の準備に時間がかかる」「忙しい時は使えない」等の意見も見られた。

【考察と今後の課題】現場が中心となって研修会等を行い、正しい知識を基に計画的に推進することで、徐々にセーフティケアへの理解は浸透していると思われるが、まだまだ不十分である。今後も職員教育・技術向上も必要だが、同時に、業務改善とともに、より福祉用具を使いやすい環境作りが必要と考える。

Page 20: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-1 地域連携(1)PFMの導入に向けた実践的支援―入退院マネジメント強化の必要性とPFMが果たす役割―

小林記念病院 連携室

なかい としこ

○中井 敏子(看護師),加藤 豊範,榊原 敦子,山崎 光子,藤井 政子,小田 高司

PFM(Patient Flow Management)とは、入退院マネジメント強化の手法で、平均在院日数の短縮、病床稼動率の向上、新入院患者数の増加、救急搬送患者の受け入れ数拡大、手術件数の増加、在宅復帰率の向上などを行なう管理方法で急性期病院では10億円を超える増収実現の効果が認められたという報告がある。当院において地域包括ケアシステムに対応するために、従来のPFMの概念を一部改変し、新たなPFMシステムを構築した。その結果、病床稼働率の向上、新規入院患者の増加、及び収益が増加したので報告する。Ⅰ.研究目的:「回復期・慢性期病院へのPFMの導入」の評価と課題の抽出Ⅱ.期間:H28年8月~H29年5月Ⅲ.方法

【システム構築】1. 行政施策の内容と背景の理解、地域特性や自院の課題把握2. 基盤整備(病床管理システム構築・情報共有の場や情報共有ツール整備)3. 病棟再編成4. 病棟科長・リハビリ科長への意識改革5. 医師の意識改革6. 地域連携活動強化

【評価項目】新規入院患者数・病床稼働率・収益Ⅳ.結果PFMの導入により、前年度と比べ新規入院患者数が増加し病床稼働率が上昇した。その結果、収益増加へつながった。Ⅴ.考察超高齢化社会を迎え、さまざまな理由で退院困難な症例への対応が問題となっている。また、機能分化された病棟を計画通り稼動させるには、常に患者の病態変化を把握し、医療・看護の必要度併せて、“いつ、どこの病棟に移ってもらうか?”を一元管理する必要である。地域包括ケア病棟や介護施設を持っている当法人だからこそ、地域包括ケアシステムの一部を積極的に担う使命があると考えている。Ⅵ.結論本研究により、慢性期病院において機能に合致したPFMを導入する有用性が確認された。

Page 21: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-2 地域連携(1)連携室業務効率化のためのData Scientistの必要性の評価

1 小林記念病院 薬剤科,2 小林記念病院 連携室

かとう とよのり

○加藤 豊範(薬剤師) 1,2,中井 敏子 2,小田 高司 2

【背景】Data Scientist(以下DS)とは、情報処理や統計学等を利用しデータを意味のあるものへと加工し、ビジネス課題を整理、解決するスキル有する者を指す。この職種が他業種に導入され大きな成果を上げている。医療業界でも、レセプトデータ等のビッグデータをもとに病院の現状を分析するスキルを持った者、すなわち医療版DSが必要とされている。一方で、地域包括ケアシステムの推進により、多くの病院は地域のニーズに答えていくことが求められている。当院においても、「患者の生活を中心にした地域医療」を展開し成果を上げている。今後も当院が地域医療に貢献するためには、連携室業務の効率化が必須である。そこでDS業務に注目し、部分的な業務の導入を行った。その結果、病床稼働率の上昇、新規入院患者数の増加などが認められたので報告する。また、PFM(patient floor management)との連携も有用であったので報告する。

【方法】2017年1月から5月を対象期間とした。DS業務は、入院患者の紹介元、入院病名等の分析や病床機能と入院患者の関係性の分析等とした。また、実際に地域の開業医、居宅、施設等訪問し、聞き取り調査を行い分析結果と比較した。分析結果を元に、病床運営や患者獲得を目的とした営業活動を行った。評価方法は、前年度同期間の病床稼働率、新規入院患者数、収益等を比較とした。

【結果・考察】分析した結果を元に、PFMと連動したベッドコントロールと営業を行った結果、病床稼働率、新規入院患者数、収益等は全年度と比較し上昇した。この結果は、DSによる分析結果と地域のニーズが一致し、PFMと連携した効率の良い病床運営が行われた結果と考える。近年、医療業界においてデータ管理の重要性は高まっている。DS業務を導入することにより、一元的なデータ管理が可能となり連携室業務を効率化することが可能となった。連携室業務において、DSを導入する有用性と必要性が明らかとなった。

Page 22: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-3 地域連携(1)在宅と病院の法人内連携~入退院患者の推移と地域連携上の課題検討~

大久野病院

たきしま えつこ

○滝島 恵津子(看護師),林 文月,蛯名 由美子,鈴木 実枝,柚木 祐子,森松 靜,進藤 晃

【はじめに】当法人の在宅と病院の法人内連携において、地域連携上の課題が多く見えてきた背景には、在宅で療養生活を送る方の病態悪化時の緊急入院の病床確保や、迅速に入院し治療や看護介護の提供を行い、退院後在宅での療養生活を継続して行えるような慢性期医療病院の必要性が高まっている。継続的で切れ目のない看護介護が行われなくてはならないが、多職種連携の現場では、必要な情報が伝わり難く連携上支障が生じていた。相互の管理体制を根本的に見直し、地域在住の療養生活を送る方にとって安心してその人らしい生活が送るように地域連携上の課題検討を行った。

【方法】1) 入退院患者の推移調査2) 地域連携会議発足3) 情報不足に対する補足4) 退院情報用紙の標準化5) 訪問と病院の相互の現場研修6) 研修伝達講習会7) 在宅部門で「病棟紹介・施設基準の説明」を開催8) 自宅退院困難患者の症例研究実施

【結果・考察】地域連携会議での検討内容は1/ 3が「患者情報」。それ以外の2/ 3は職場環境・連携システム等であった。目の前に起こる問題解決をするだけでなく、管理者が職場環境をカイゼンする努力がとても大切である事を再確認した。連携会議開催から1年後、情報不足による混乱が減った。訪問看護は介護者である家族が中心であり、利用者と家族へのサポートも重要である。入院中の情報提供が訪問看護にいかに必要で、充分なサポートが提供できるかを在宅研修で理解した。また、在宅部門での施設基準に関しての勉強会では入院調整準備が効率的になるための知識として有効であった。症例研究では在宅復帰困難な症例研究から、複雑な準備や家族の受け入れ・環境調整などのたくさんの退院支援を再確認した。

【おわりに】在宅との連携において看看連携は基本連携で、多職種連携が協働することが重要である。その継続的な連携では、看護の特性をフルに活かすべき所かと考える。

Page 23: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-4 地域連携(1)在宅と病院の法人内連携~お互いの立場を理解する事により連携を図った経緯について~

1 大久野病院,2 大久野病院訪問看護ステーション

ゆぎ ゆうこ

○柚木 祐子(看護師) 2,日馬 也素子 2,滝島 恵津子 1,鈴木 実枝 1,森松 靜 1,進藤 幸雄 2,進藤 晃 1

【はじめに】近年在宅療養が促進され、医療依存度の高い患者が退院するようになってきている。当訪問看護ステーションでも、そのような患者が増し介護者の介護負担は大きくなっている。当法人の療養型病床へ入院をする機会も増し入退院時の医療連携が重要になってきた。そのような状況の中で連携がうまくいかず困惑した状況下からいくつかの段階を経て改善した経緯を報告する。

【方法】1) 入退院患者の推移調査2) 地域連携会議発足3) 地域連携会議の内容を周知4) 訪問看護師へ「病棟紹介・施設基準の説明会」を開催5) 訪問と病院の相互の現場研修6) 研修伝達講習会

【結果・考察】ステーションへの新規依頼は、地域の急性期病院や居宅介護支援事業所が多く同法人の療養型病床への入院は、在宅介護を開始後、病状の悪化や、介護負担が増し在宅困難な状況になった場合が多かった、入院の機会が増し連携がうまくいかず連携会議を発足、情報伝達とお互いの理解不足が連携不備の一因である事がわかった。それに対し伝達する情報の整理を行うとともに、相互の現場研修や訪問看護師への病棟紹介・施設基準の説明会を実施、連携会議の内容は確実に訪問看護スタッフへ伝達し、問題解決に向け管理者たちが努力している事を伝えた。それらを繰り返す事で今まで、「在宅でのあたりまえ」で物事を考えていた事が、病院での事情もあると言う事がわかりお互いの立場を理解する事ができ、看看連携がスムーズになってきた。又、連携を図った事で、レスパイト入院を機会に、在宅では評価できなかった持続吸引機の装着が行えた。情報の整理と、問題解決への取り組み、お互いの立場を理解する事が有効な連携となり患者により良いケアを実施できる事につながると考えられる。

【今後の課題】今後、この考えを多職種連携にもあてはめていき法人全体の連携を図っていき、患者様へ有効なケアを行えるよう努力していきたい。

Page 24: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-5 地域連携(1)高齢・障害支援課と連携し、サービス導入拒否した外来通院患者へ介護保険を導入した事例の一考察

平成横浜病院

うすき りょうた

○薄 亮太(社会福祉士),松野 妙子,谷 雅代,三輪 健,武久 洋三

【はじめに】介護保険制度を始め、国の社会制度は申請主義である。本人が申請意思がなければ、サービス利用出来ない。本症例では、様々な理由から介護保険等の利用が必要であるにも関わるず、介護保険利用を本人が拒否され、導入に時間を要した症例である。本症例には、区の高齢・障害支援課(以下、行政)も関わっており、医療機関と行政がどのような連携を経て介護保険導入につながったのか考察したい。

【対象】糖尿病外来に通院する70代男性。元々自宅1階部分が長女が経営している酒屋。2階部分が本人住居スペースとなっている。本人は、独居で無年金。長女から経済支援と食事等の支援がある。本人は、お店の商品をくすねたり近所の人からお金を無心するなど問題行動が多い。KPは、近所に住む長女。本人の日頃からの行いから関係性は不仲で、苛立ちから本人へ暴力がある。行政は、長女からの暴力を問題視し介入していた。

【方法】外来受診を契機に医師を中心に本人へ介入し、行政が同席のもと自己決定するための介入アプローチをした。

【結果】当初養護老人ホームの導入寸前まで至ったが、本人拒否によりサービスに繋がらなかった。それ以降、本人は外来通院から遠ざかり、糖尿病が悪化。行政介入により、現状の問題点把握に努めながら、本人と相談し介護保険導入に至った。現在は、小規模多機能型利用し本人の健康管理ができる体制となった。

【考察】外来患者の場合、病院側から積極的介入が難しい。本症例は、行政から病院へ介入依頼を契機に援助に必要な情報が揃い介護保険サービス導入が出来た。本人の医師決定を確認する場として、外来受診を通じて本人中心とした意思決定するアプローチしたことも成功の一要因と思われる。当院では、外来専門の社会福祉士がいる体制ではないが、生活に踏み込む場合関係機関との密接な連携がとれれば本症例のような支援ができると考えます。

Page 25: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-9-6 地域連携(1)急性期・慢性期から在宅までのトータルした在院日数短縮の一考察

1 永井病院 地域連携室,2 永井病院 診療情報管理室,3 永井病院

しまだ まほ

○ 島 田  真 歩( 社 会 福 祉 士 ) 1, 岡 田  萌 1, 市 川  賀 子 1, 井 上  純 子 1, 山 田  理 絵 1, 小 松  聖 偏 2,市川 徳和 3

【目的】平成28年度の医療療養病棟の入院患者344名のうち、256名が在宅からの入院であり、88名が急性期病院からの入院患者である。当院では、急性期病院からの患者を早期に受け入れ、在宅復帰に繋げることを目標としている。この受け入れの現状の把握を目的に調査したので報告する。

【方法】平成28年度に急性期病院より医療療養病棟へ入院した患者88名の退院先と、在宅へ退院した患者の①平均年齢 ②前医在院日数 ③転院相談日から転院までの期間 ④主傷病 ⑤当院在院日数 を抽出。

【結果】退院先は、在宅50名、死亡12名、転院11名、老健2名、入院中13名であった。在宅へ退院した患者50名については、①86歳 ②平均18日 ③平均6日 ④大腿骨近位端骨折11名、廃用症候群6名、心不全・肺炎4名、肋骨骨折・急性硬膜下血腫2名、その他21名 ⑤平均28日 であった。

【考察】長期療養目的での入院患者だけでなく、在宅復帰に向けての入院患者も多いことが分かった。当院在院日数の平均をみると30日以内には退院している。主傷病別にみると、大腿骨骨折・肺炎等の在院日数は平均30日を越えており、退院までに時間を要するため、早期の退院調整が必要であると考える。また、転院相談日から転院までの期間は平均6日であるが、このうち2日を最低受け入れ準備日数とし、前医在院日数を4日短縮できるとすると、在宅復帰までの期間短縮に繋がる可能性がある。早期に受け入れできるよう病床管理を行うことにより、さらなる患者の受け入れに対応でき、急性期病院の後方支援病院として機能していくことが可能になると考える。

【結語】地域包括ケアシステムを推進していく中で、慢性期医療を担う病院として、急性期病院等との連携を密に行い、患者の在宅支援を中心に地域医療に貢献していく。

Page 26: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-1 地域連携(2)地域医療連携室における関連機関への訪問活動から見えてきたこと

1 金上病院 地域医療連携室,2 金上病院 医局

おおいずみ まなみ

○大泉 真奈美(事務職) 1,日下 俊史 1,中嶋 満枝 1,2,安藤 由紀子 1,2

【はじめに】当院は、地域包括ケア病棟、医療療養病棟、介護療養病棟99床の在宅療養支援病院で、併設施設を有している。平成27年4月に地域包括ケア病棟を新設したが、求められている在宅支援機能を充分に果たすため「地域医療連携室」の取り組みを見直した。関連機関への訪問活動(以下「訪問活動」)を行い、その結果を分析した。

【期間・対象・方法】期間:平成28年2月~平成29年4月対象:訪問した関連機関27件のうち病院9件・診療所8件方法:病院・診療所において、訪問前後3ケ月間の紹介件数の変化、また、紹介件数以外の紹介状況で見えてきたことについて検討した。

【結果】病院について。当院と距離が比較的近い機関において、訪問後の紹介数が訪問前の2倍前後増加したところが2件あった。また、訪問前紹介がなかったところから、距離が比較的遠いにも関わらず訪問後紹介があった。以前より紹介が多い機関から、先方の紹介患者数において当院が2番目から1番目になったとの報告があった。その他、隣県の機関より、結果としては紹介まで結びつかなかったが電話相談が数例あった。診療所について。訪問前に紹介がなかったところから訪問後紹介があり、また、その中で入院に結びついたケースで紹介元の医師による患者訪問があった。また、紹介医から口頭で勧められ来院するケースもあった。

【考察】訪問前は紹介がなかった機関から訪問後に紹介があったことで訪問活動の効果が実感できた。以前より紹介があった機関は紹介数の大きな変化はなかったが、当院の取り組みをより知っていただき、結びつきがさらに強くなった。また、診療所から高次医療機関へ紹介となり、その後当院に転入院するケースでは、退院時に以前のかかりつけ医に逆紹介しており、今後データとして地域医療連携室が把握し分析する必要性を感じた。今後も訪問活動を行い、地域包括ケアシステムの中で当院の役割を果たしていきたい。

Page 27: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-2 地域連携(2)当院における入院症例の検討―入院不可症例を中心に

聖ヶ丘病院

うえはら そういちろう

○上原 總一郎(医師),本川 順一,寺島 ひとみ,寺沢 真智子,青山 房子,井上 慶俊,高橋 公志

目的:地域医療連携から統合への流れは本制度の急性期から慢性期への質と、病床数の量を軸に調整する変動期にある。将来の制度変革における地域医療連携共存への対応に資するべく、慢性期病院である当院の入退院例の動向調査と、特に入院例と不可症例の年次的検討を行った。方法:聖ヶ丘病院の平成24 ~ 28年度の5年間の当院の入院判定会議の統計指標をもちいた。すなわち、各年度における入院判定3870例の主病名、紹介先、紹介から入院までの期間、不可症例とその内容、さらに退院例とその行く先等々である。成績:①全対象3870例で、649 ~ 834例/年と増加傾向、主病名は心・肺疾患が40%,脳疾患は15%,それに整形・リハビリを加えると75%前後を占め、糖尿病、認知症を基礎にする疾病は年々漸増傾向にあった。②入院紹介先は周辺急性期病院からが48 ~ 55%(西胆振以外1%)、それ以外の病院・クリニックから3 ~ 4%、老健11 ~13%、居宅12 ~ 15%、特養等の介護系18 ~ 20%であり、③入院までの期間は平均5.4 ~ 8.6日で、④紹介先からの入院はほとんど入院するが、入院不可症例は84 ~ 163例/年で全紹介例の10 ~ 19%/年と紹介数の増加に伴い増加した。⑤入院不可例の70 ~ 80%が紹介先における病状悪化、他病発生、他院へ転院等であり、当院での入院判定会議基準(医療レベル、経済経営的問題等々による)により不可例は入院不可全例の8 ~ 14.7%(6~ 14例)であった。結論:急性期を主とする入院紹介先の当院に対する入院要望への迅速・精密な対応が必要不可欠であることは言うまでもない。さらに入院不可症例に対する配慮を考えると、地域周囲の医療・介護諸施設との情報交換関係を考えれば、症例情報のいわば眼光紙背に徹る読みに習練することと、その透明性に腐心して伝えることが地域の医療・介護施設との相互信頼の醸成に寄与するのみならず、ひいては当院の医療・看護レベル・経営の向上に利するものと考えられた。

Page 28: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-3 地域連携(2)長期慢性期医療療養病床の医療連携

回心堂病院

はやし かずゆき

○林 和幸(事務職)

【はじめに】当院は東京都渋谷区に位置する137床の医療療養型病床である。長期慢性期医療病床として入院前には当院の医療提供について患者様ご家族への十分な説明と理解を得た上で療養頂く事としている。しかし、近年慢性期病床の役割が変りつつある中で、ご家族の希望も多岐にわたってきた。当院は内科的対処療法が中心の医療提供となっている為、希望に対し近隣急性期及び在宅相談との医療連携、退院支援連携が見られてきた。平成28年度の入退院集計から、医療連携が見られてきたので報告する。

【集計資料】平成28年度入退院転院件数

【結果、考察】入退院ともに年間100件前後で推移しており、長期慢性期として退院の大半を死亡退院で占めている。近年少数件数ではあるが転院、施設退院といった件数があがってきた。転院ついては治療目的や長期療養継続の為の転院といった事が見られた。こうした転院については近隣急性期との医療連携がなされ、ご家族もストレスなくスムーズな転院が実現できている。また、施設退院等については施設までのワンクッション等受け入れ段階で退院支援を視野に入れた件数が見られた。

【まとめ】今後の療養病床としては、地域社会資源として長期看取りだけの姿勢を貫くのではなく地域の医療機関及び地域包括、施設との連携で慢性期医療としての潤滑的な連携構築が求められる。また、その中で治療を希望された際には治療後の療養を十分に理解頂いたうえで急性期との連携を活用する事が希望される。

Page 29: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-4 地域連携(2)慢性期病院における肝不全患者に対する治療とケア -急性期病院との連携から看取りまで-

協立温泉病院 医局

すみだ あつこ

○住田 厚子(医師),黄 泰平

【はじめに】急性期病院の入院期間短縮に伴い、末期肝不全の患者は施設や自宅に退院できず、慢性期病院に転院することが多い。急変する症例もあり、慢性期病院での限界に直面する。今回、当院に入院した非代償性肝硬変症例に対してQOLを重視した医療を実現できたのかどうかを検討した。【対象】H17年5月からH29年5月まで当院で入院加療した非代償性肝硬変35症例を対象とした。年齢は57歳~ 94歳で、男性10名、女性25名であった。【結果】肝性脳症28例、腹水27例、黄疸15例、食道胃静脈瘤8例(以上重複あり)、肝癌併発は16例であった。吐下血や肝癌の治療、腹水穿刺再灌流のため急性期病院へ転院した症例が5例、自宅または施設への退院が5例、当院での死亡24例、在宅での看取り1例であった。症例1は75歳、女性。H17年に腰椎圧迫骨折のリハビリ目的で当院入院。汎血球減少を認め、非アルコール性脂肪性肝炎による肝硬変、食道静脈瘤を認めた。急性期病院に転院し内視鏡的静脈瘤結紮術を施行。H20年に肝癌にて肝切除施行。以後数回にわたり肝癌治療を受けた。当院では大腿骨骨折術後のリハビリ入院などの経過を経て、H26年、残存肝癌による肝不全で緩和ケアを行い死亡した。症例2は72歳、女性。H23年、心不全治療後のリハビリ目的で当院入院。非アルコール性脂肪性肝炎による肝硬変、腎不全、心不全の増悪があり、急性期病院に転院の上、人工呼吸器管理、離脱後当院再入院となった。徐々に状態悪化し、本人希望で自宅退院。往診医の訪問診療にて退院3日後に死亡した。

【結語】慢性期病院では、吐下血や癌発症時の急性期病院への転院希望や治療困難な可能性についても十分ICすることが大切である。患者の希望に応じ、急変時の対応についてあらかじめ急性期病院と連携する必要がある。また在宅看取りの希望があれば、往診医に協力を依頼するなど、満足と納得の医療に努めていきたい。

Page 30: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-5 地域連携(2)療養病棟における紹介患者の減少と地域状況の変化~地域で生き残っていくための地域連携と集患対策~

清水病院 地域連携室

こやま ゆういち

○小山 有一(ソーシャルワーカー)

当院は療養病棟60床、在宅復帰機能強化加算を取得し、急性期病院の受皿としての機能を担うべく、運営して参りました。近年、地域の急性期病院から医療区分2,3の患者紹介が減少傾向にあり、稼働率の低下につながっている。秩父地域の人口推計では、2025年までに高齢者人口は約10%の増加を見越しているが、総人口で見ると約18%の減少が予測されます。また、埼玉県の地域医療構想の資料では、秩父地域の医療受療は今後ほぼ横ばいで推移すると見込まれ、現状では将来必要となる病床数は確保されている状況。しかし、2025年の医療受療数の推計では病床過剰地域となっています。その影響が出てきたのか、近隣病院の病床転換や病床閉鎖の動きも出てきている。今後ますます医療区分2,3の患者の確保が困難になる可能性があると危機感を抱く。地域連携と集患対策の取り組みとして、地域病院のMSWとは顔の見える関係を大事に、定期訪問にて、自院の空床情報、受入可能患者、受入までの日数の案内や、貴院の患者状況(稼働状況)のなどを情報交換させていただきながら患者を紹介していただいている。しかし、地域の病院からだけでは稼働の維持が難しくなり、遠方病院へも目を向け、FAXによる空床情報を発信している。また、ベッドコントロールとしては、次月の入退院患者シミュレーションを立て管理している。今回、当院の集患に向けた取り組みについて報告する。

Page 31: 認知症対応力を多職種チームで磨く -Team Care Drama の活用- · の基礎知識の視覚化を試み、グループワークの方法を再検討し多職種チームで磨く認知症対応力の向上を試み

第25回日本慢性期医療学会 in 仙台8-10-6 地域連携(2)病床再編成に伴う営業訪問活動と効果について~ソーシャルワーカーが営業訪問活動を行う意義とは~

1 小林記念病院医療福祉相談課,2 小林記念病院連携室,3 小林記念病院薬剤科,4 小林記念病院事務部

おとべ なお

○音部 奈緒(ソーシャルワーカー) 1,加藤 豊範 2,3,中井 敏子 2,磯貝 充輝 4,小田 高司 2

【はじめに】当院は、平成28年10月31日まで一般病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟を有する196床の病院であった。平成28年12月1日より医療療養病棟(以下:療養病棟)を立ち上げることとなり、ソーシャルワーカー(以下:SW)が連携室看護師、広報営業担当薬剤師とともに営業訪問活動を行った。その効果を以下に示す。

【活動の内容】Ⅰ.訪問期間平成28年11月1日~平成29年3月31日Ⅱ.評価期間平成28年11月1日~平成29年3月31日 同期間の紹介入院患者数を前年度と比較したⅢ.訪問の目的1.病床再編成の情報発信を行う2.透析患者など療養病棟対象患者について説明する3.入院医療に関する地域のニーズの掘り起こしを行うⅣ.訪問先1.透析クリニック2.介護事業所(居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、地域包括支援センターなど)3.福祉施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、サービス付高齢者向け賃貸住宅など)Ⅴ.方法1.連携室看護師、広報営業担当薬剤師、SWの3名で訪問した2.医療依存度の高い人を抱える事業所には看護師、社会的背景が困難な人を抱える事業所にはSWと、訪問先の特性に合わせて訪問者を選定した3.訪問後課題分析を行い、次の訪問先に活かす

【結果・考察】評価期間における透析クリニック、介護事業所、福祉施設からの紹介入院患者数は41件であった。前年度同期間の紹介入院患者数は30件であった。前年度同期間と比べ増加した。地域のニーズに合致した病棟を立ち上げたこと、紹介入院患者の状況を紹介元にフィードバックしたこと、社会資源の活用を必要とする患者ニーズを掘り起こしたことが増加の理由と考えられた。また、社会資源の活用に精通したSWが多職種と営業訪問活動を行ったことが、紹介入院患者増加の一因であると考えられた。地域のニーズが、医療やケアだけでなく社会資源の活用に向けられた結果である。SWが営業訪問活動を行う有効性と意義が明らかになった。