13
午前の部(9:10~9:50) 情報・通信 (9:10~9:50) 座長 : 藤尾 三紀夫(沼津高専) G- 04 AdaBoostとKCFを用いた車両数推定手法の検討 G- 01 AIによる選果作業の省力化の基礎検討 ○五味 昂平, 謝 孟春, 森 徹, 村田 充利, 下村 樹(和歌 山高専) 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発表者氏名(所属) ○ 講演者 G- 03 英語学習を支援するための対話式日記システムの開 ○菊山 かのん, 謝 孟春, 森 徹, 村田 充利, 下村 樹(和 歌山高専) G- 02 複数マイクロホンによる音源位置推定の精度比較 ○伊藤 樹, 渡部 誠二(鶴岡高専) ○斎藤 諒, 渡部 誠二,(鶴岡高専)

口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

  • Upload
    others

  • View
    2

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

演   題

午前の部(9:10~9:50)

情報・通信 (9:10~9:50) 座長 : 藤尾 三紀夫(沼津高専)

G- 04 AdaBoostとKCFを用いた車両数推定手法の検討

G- 01 AIによる選果作業の省力化の基礎検討○五味 昂平, 謝 孟春, 森 徹, 村田 充利, 下村 樹(和歌山高専)

口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場

講演番号 発表者氏名(所属) ○ 講演者

G- 03英語学習を支援するための対話式日記システムの開発

○菊山 かのん, 謝 孟春, 森 徹, 村田 充利, 下村 樹(和歌山高専)

G- 02 複数マイクロホンによる音源位置推定の精度比較 ○伊藤 樹, 渡部 誠二(鶴岡高専)

○斎藤 諒, 渡部 誠二,(鶴岡高専)

Page 2: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

演   題

午後の部(14:00~15:30)

G- 16患者の動向監視支援システムの開発~転落の認識について~

G- 17 脳波測定によるPower Poseのストレス評価

G- 18 認知行動療法を用いたストレス緩和システムの検討

G- 19咬筋部筋電位を利用した入力システムの動作信頼性評価

G- 22災害地における端末の移動と密度を考慮した通信トラヒック特性の解析

G- 23初学者に対するサイバー攻撃演習を通したネットワークセキュリティ教育の提案

口頭発表【情報・通信】午後 専攻科棟 3階 G会場

講演番号 発表者氏名(所属) ○ 講演者

情報・通信 (14:00~14:40) 座長 : 渡部 誠二(鶴岡高専)

情報・通信 (15:00~15:30) 座長 : 森 徹(和歌山高専)

休  憩

○干川 尚人(小山高専)

○山内 剛, 樺澤 辰也(長岡高専)

G- 21電子基準点データを利用したRTK測位による詫間基準局の位置測定

○宮内 大輝, 小野 安季良(香川高専)

○渡部 航平, 日下部 太星, 宍戸 道明(鶴岡高専)

○芹澤 歩弥, 小池 志歩, 藤尾 三紀夫(沼津高専)

○齋藤 夕綺, 宍戸 道明(鶴岡高専)

○玉置 天地, 謝 孟春, 森 徹, 村田 充利, 下村 樹(和歌山高専)

Page 3: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

AIによる選果作業の省力化の基礎検討

(和歌山高専 電気情報工学科)

○五味昂平・謝孟春・森徹・村田充利・下村樹

キーワード:深層学習,画像認識,農業,選果

1. はじめに

近年、日本の農業は就業人口の減少と高齢化が

深刻化している。農業就業人口は 2005 年の 335

万人から 2016年には 192万人になり、高齢者比

率は 2005年に人口全体の 58%から、2016年には

65%にまで増加した。

労働力不足の改善方法の一つとして、機械や自

動制御装置による省力化が挙げられる。本研究で

は、農作業での選果の工程に着目し、人工知能(AI)

の主流である深層学習を用いて、作業の省力化の

基礎を検討する。

2. 深層学習による選果の構成

深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

ークによって機械が自動的にデータから特徴を

抽出できる学習手法である(1)。深層学習を用いた

選果のシステムの構成として、(1)選果済の画像

データの入手、(2)深層学習を用いて特徴の抽出、

(3)学習とテストを繰り返して正答率を評価とい

う大まかな部分からなる。入力データ数を d、認

識したデータの正答数を cとし、学習の正答率 p

を式(1)により求める。

p = c/d (1) 本研究では、学習用データは、みかんを対象と

して、農家によって選果されたみかんの画像を撮

影し、そのラベルの記録を行って作成した。深層

学習の入力データは、1280×960の画像データを

64×64 ピクセルにリサイズし、トレーニング用

データとテスト用データを 2:1 の割合でランダ

ムに分割して与えた。

3. 実験と結果

まず、農家で撮影した画像 366枚を用いて実験

を行った。ラベルとしての選果結果の種類は、今

回の実験では「出荷できる」と「出荷できない」

の二通りである。

「出荷できる」のデータを 212 枚、「出荷できな

い」のデータを 154枚使用し、トレーニング用デ

ータ 245枚、テスト用データ 121枚で学習を行っ

た結果を図1に示す。縦軸が正答率、横軸が

epoch数を示す。

この条件下の学習では、正答率が 44%から 56%

に変動し、ランダム選択と変わらない結果になっ

てしまったため、学習がうまくできなかったと考

えられる。

次に、画像データの質の向上のため、オリジナ

ルデータに①外縁部の切り取り、②15°ずつの回

転、③二段階のエッジ強調フィルター、④二段階

のアンシャープマスク処理、という四つの処理を

施し、画像データ数を 30倍に複製した。

トレーニング用データ 7356 枚、テスト用デー

タ 3624枚で学習を行った結果を図2に示す。

図2から、正答率が最大で 90%に到達してい

ることがわかった。また、50epochまで緩やかに

改善され続けているため、epoch数の増加による

さらなる改善も期待できる。

4. 今後の課題

今後の課題として、更に高品質な学習データの

入手方法の確立、データを入力する際の手法の改

善等が挙げられる。

参考文献

[1] 山下隆義著,ディープラーニング,講談社

(2016)

お問い合わせ先 氏名:謝孟春 E-mail:[email protected]

図1 データ数 366での学習結果

図2 データ数 10980での学習結果

G-01

Page 4: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

複数マイクロホンによる音源位置推定の精度比較

(鶴岡高専 制御情報工学科 1 鶴岡高専 情報コース 2 )

○伊藤樹 1・渡部誠二 2

キーワード:音源位置推定,遅延時間推定法,相互相関法,交点

1.緒言 音源方向推定の代表的な手法である遅延時間推定法は,マイクロホンに到達する音信号の時間差から音源方向を推定する.本研究室では,この手法を応用して音源位置推定(以下,「従来手法」と称する)の研究を行ってきた.しかし,従来手法には音源位置が 45°,225°のとき推定精度が低いという問題点があった.この問題を解決するためにマイクロホンの配置を変え,音源位置を推定する新たな手法を提案する.本稿では,従来手法と提案手法によって音源位置を推定した際の精度の違いを RMSEにより評価した. 2.音源位置推定手法

Fig.1に提案する位置推定手法の概要を示す.まず,各マイクロホンに到達する音信号の時間差を用いて音源方向を推定する.CH1と CH2によって推定した音源方向𝜃1より,音源位置を仮定するための直線を導出する.

𝑎1 = tan 𝜃1 (1) y = 𝑎1𝑥 (2)

また,CH1と CH3からは,これらを焦点とする双曲線を導出する. |√𝑥2 + (𝑦 − 2𝐷)2 − √(𝑥 − 𝐷)2 + 𝑦2| = 𝑐𝑡13 (3) この 2 線の交点を求めることにより音源位置を推定する.ここで𝑐は音速,𝑡13は CH1 とCH3の時間差とする.

3.実験概要

3本の精密マイクロホンを x-y平面上に配置する.2本は原点から D=0.23m離れた x軸上に,もう 1 本は原点から 2D=0.46m 離れた y軸上に配置した.音源は,原点を中心とした半径 1m,1.5m,2m,2.5mの円を描き,その円上を 16等分した位置に配置した.音源位置は,録音した音データを基に従来手法,提案手法にて推定した.推定結果は x座標,y座標ごとにRMSEを求めて精度を評価した.

4.実験結果および考察 Fig.2に音源位置 45°,225°における RMSEを示す.従来手法では,x座標,y座標ともにRMSE値が約 1.2であることが分かる.一方,提案手法の RMSE値は x座標が約 0.8,y座標が約 0.9と,提案手法に比べ x座標で 35%減,

Fig.1 提案手法

Fig.2 音源位置 45°,225°における RMSE y座標で 25%減となった.したがって,提案手 法は従来手法に比べ,音源位置 45°,225°で高い推定精度を有し,改善されていることがわかる. 5.結言 本研究では,音源とマイクロホン間の距離を変更し,2つの手法によって音源位置を推定した際の精度の違いを調査した.その結果,音源位置 45°,225°において,提案手法の方がRMSEの値が小さく高精度であった. 参考文献 [1] 澳本拓郎,福本昌弘:“相互相関法による音源位置推定”,高知工科大学 学士学位論文 pp3-11,(2012) お問い合わせ先 氏名:渡部誠二 E-mail:[email protected]

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

x y

RM

SE

座標

従来手法 提案手法

G-02

Page 5: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

英語学習を支援するための対話式日記システムの開発

(和歌山高専電気情報工学科)

○菊山かのん・謝孟春・森徹・村田充利・下村樹

キーワード:対話式日記システム,英語学習、学習支援、開発

1.はじめに 2018年の日本人の EF 英語能力指数は 88ヵ国中 49位であり、英語能力が問題視されている。特に英語で自分の意見を表現する学習が足りないと言われている。英語学習は日々の積み重ねが大事であるが、しかし毎日英語学習を続けるのは容易ではない。そこで、本研究では、英語学習を支援するための対話式日記システムを作成し、英語学習へのモチベーションの向上を試みる。 2.対話式日記システムの構成 英語学習を支援する対話式日記システムは主に日記システムと対話システムで構成される。 日記システムは FileMakerで作成され、ユーザが書いた英文日記を自動でデータベース化し、検索機能を用いて学習を振り返れるようにする。 対話システムは、Talk API を用いてチャット形式で会話を提供する。対話システムが日記を付けるに対して、ユーザの日記のデータベースから趣味や活動を読み取った情報を元に、褒めたり、同感することで、充足感を与え、モチベーションを向上させる。 対話式日記システムは、図 1に示すような構成である。

図 1 対話式日記システム構成 管理者はメンバーのアカウントを作成する。 学生は学生用の画面で、学習の予定を確認し、対話システムと会話し、今日の日記を書き、教師に提出する。連絡事項画面では、教師を含むすべてのメンバーが閲覧でき、質問などを送ることができる。 教師は、教師用の画面で学生から提出された日記を添削し、返却することができる。予定画面では、作成した予定を学生全員に通達することができる。

3.実験と結果 開発した対話式日記システムを用いて、高専

4年生を対象にテストを行った。その結果の一部を表 1に示す。

英語回答と日本語回答を書くことで、自身の感想を言語化し、英語化するプロセスが出来ている。現時点で文章量にばらつきがあり、日記をつけるモチベーションに差が見られた。

4.今後の課題 現在作成途中の対話システムでは、日記のデータを踏まえた会話ができないため、日記のデータとの連携機能が必要である。今後の課題として、File Maker内のデータを外部に移し、他のシステムも使用できるように改善する方法などを検討する予定である。また、モチベーションの向上を確認するために、アンケート調 査を行う予定である。 お問い合わせ先 氏名:謝 孟春 E-mail:[email protected]

提出者名 A B C日記作成日 11/27 12/4 12/4質問番号

英語質問文英語回答 I bought a new

video game. Iwanted it for a longtime, and its themeis WWⅡ. Throughthe game, we canexperience itartificially, so Irealized the tragedy.

Yes, I did.I studiedPython.It' was verydifficult butinteresting.

Therewasnothingfuntoday.I wassleepyall day.

日本語回答 新しいゲームを買った。前からずっと欲しかったやつで、第二次世界大戦がテーマとなっている。ゲームを通して、戦争を疑似体験できるから、戦争の悲惨さに気がついた。

はい。Pythonの勉強をしました。それはとても難しいが面白いかったです。

今日は楽しいことがなかった。一日中眠かったよ。

メモ artificially : 擬似的にtragedy : 悲惨さ

Python プログラミング言語

1Did you have any fun today?

表 1 学生ユーザが提出した日記

G-03

Page 6: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

AdaBoostと KCFを用いた車両数推定手法の検討

(鶴岡高専 制御情報工学科 1,鶴岡高専 情報コース2)

○斎藤諒 1・渡部誠二2

キーワード:車両数推定,AdaBoost,haar-like特徴,KCF 1. 緒言 交通量調査は, 道路交通の実態を把握するために定期的に実施されており, 得られた情報は道路計画や道路管理に活用され, 各種の道路政策の基礎資料となる. 現状, 交通量調査は人手による目視で行われているが, これは費用・手間が掛かることに加え, 計測精度が不明瞭である. そのため, 画像処理技術を用いた自動処理で実施することが求められている . 画像処理技術を用いた交通量推定の代表的手法として, 背景差分法による手法の研究が盛んに行われている[1]. しかし, 背景画像との差分から車両を検出しているため, 検出対象以外の物体の誤検出, 照明変動に対して頑健でないなどのデメリットがある. 本研究では, 統計的手法(AdaBoost)により検出し, KCF により物体の移動を追跡する車両数推定手法を提案し, 評価した. 2. 概要 本研究で提案する手法は, 検出部・追跡部・カウント部の 3つの要素からなる. 概要をFig.1に示す. 検出部には, 2つの領域の輝度差による haar-like特徴を特徴量とした AdaBoo stを用いる. これは, 用意したサンプルデータをもとに複数の弱識別器を組み合わせた強識別器を学習する学習手法の一つである[2]. 追跡部には, 随時学習しながら追跡する KCFを用いる. これは, 画像全体から物体位置を抽出する回帰問題とし, 物体領域画像をシフトすることで学習画像を仮想的に増やして学習を行い追跡する. カウント部では, 追跡の軌跡との線分交差判定により車両数をカウントする. 3. 実験方法 本研究では, 片側一車線道路を上方から撮影した動画により, 提案手法を評価する. 動画は, フレームレート 30fps, 5 分間のものを使用する. また, AdaBoost に用いる学習画像として正解画像 5,000枚, 不正解画像 2,000枚を使用し, ステージ数 16, 20 ,24のそれぞれで評価を行う. 4. 実験結果及び考察 AdaBoostのステージ数における車両数推定 の結果の比較を Table 1に示す. ステージ数が 小さい場合, 誤検出が多くなり, 大きい場合と

Fig.1 提案手法の概要

Table 1 ステージ数における結果の比較 Number of Stages

Accuracy Error rate

Frame rate [fps]

16 0.83 0.17 25.80 20 0.90 0.08 29.84 24 0.93 0.01 30.23

比較して推定の正確性が低くなることがわかる. また, フレームレートは誤検出による追跡の計算量増加に影響を受けていると推測される. 評価に用いた動画のフレームレート 30fpsに対し, 提案手法は 25~30fps であるため, リアルタイム性があると考えられる. また, 車両に隠蔽が発生する場合, 検出率は低下した. 5. 結言 本研究では, AdaBoostとKCFを用いた車両数推定手法の検討を行った. 推定の正確性・リアルタイム性により, 提案手法の有効性が確かめられた. 今後は, 誤検出の低減・検出対象の拡大を検討する. 参考文献 [1] 西田ら: “デジタル動画像を用いた移動体の流動計測および識別に関する研究”, 土木情報利用技術論文集, Vol.16, pp.19-26, (2007) [2] 山下ら : “Real AdaBoost を利用したOnline Boosting による人物追跡”, 情報処理学会 研究報告, Vol.31, pp.85-92, (2007) お問い合わせ先 氏名:渡部 誠二 E-mail:[email protected]

Trajectory

Object Region Counter

G-04

Page 7: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

患者の動向監視支援システムの開発

~転落の認識について~ (沼津高専制御情報工学科 1, 沼津高専専攻科 2)

○芹澤歩弥 1・小池志歩 2・藤尾三紀夫 1

キーワード:認知症患者,距離センサ,Kinect2,転落動作

1 緒論 近年,日本は超高齢化により,入院する認知症

患者の割合が著しく増加し,院内を徘徊した際の

転倒等による怪我が多発している.その対策とし

て巡回や離床センサが利用されているが,患者の

動向の認識は難しい.そこで本研究では,距離情

報に基づき,ベッド上の患者の状態を連続的に把

握する患者の動向監視支援システムの開発を行

っている.本報では,患者の転落動作の認識を行う

手法について検討したので報告する. 2 患者の動向監視支援システムの現状 距離センサとして Kinect 2 を用い,ベッド面

中心から垂直上方に設置して,得られた距離デー

タと患者がいない状態の距離データの差分を患

者画素として認識している.そして,認識したベ

ッド領域と患者画素の位置関係から患者の状態

を認識している. 現状では,ベッド外に立っている,ベッド外に

寝ている(Lying on floor),ベッド外に座っている,ベッド端に座っている,ベッド上に座っている,ベッドに寝ている(Lying),ベッドに横向きで寝てい

る,人がいない,の 8 状態を判別できる[1]. 3 患者の転落動作の認識手法 患者の転落は,患者がベッド上で起き上がり,

四つん這い状態で柵に手を掛け,乗り越えようと

することで生じる.このため,まずは四つん這い

の認識を行う. 図 1 に示すように,患者が四つん這いになると,

頭の高さが座っている状態と同程度になる.この

状態の場合に,図 2 のように頭の位置から胴の方

に探索を行い,深度が大きく変化する(薄い青が

高く,濃い青が低い)まで腰の方向へ深度を調べ

ていく.この深度差の大きい箇所が 80 回以上続

いた場合,四つん這いと認識する.図3は,患者

がベッド上に寝ている状態からベッド外へ転落

した状態までの患者の動きを実際に計測し,開発

したシステムで認識した結果を示している.ここ

で図中の赤い丸が頭を示している.同図より,開

発したシステムで,転落前の四つん這い状態を認

識できていることがわかる.

頭頭

(a)座っている状態 (b)四つん這い状態

図 1 座っている状態と四つん這い状態

頭 頭

(a)座っている状態 (b)四つん這い状態

図 2 座っている状態と四つん這い状態の高さ

(a)寝ている状態(b)四つん這い状態(c)転落した状態

(Lying) (Crawling) (Lying on floor)

図 3 認識したベッド上の各状態

4 結論 本研究では,患者のベッドからの転落する直前

の四つん這い状態の認識手法について検討した.

今後は,ベッド上で四つん這いになっている状態

と,ベッドから転落した状態の間である「ベッド

から転落する状態」の認識手法について研究を行

う必要がある. 参考文献 [1] 小池志歩,藤尾三紀夫:患者の動向監視支援

システムの開発 –ベッド外での転倒状態の

検出-:IMEC2018, 2B1-2 お問い合わせ先 氏名:藤尾三紀夫 E-mail:[email protected]

G-16

Page 8: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

脳波測定による Power Poseのストレス評価

(鶴岡工業高等専門学校創造工学科情報コース)

〇齋藤夕綺・宍戸道明

キーワード:Power Pose,ストレス緩和,脳波

1.はじめに 近年,過度なストレスに起因する健康障害や自殺の増加が深刻な社会的問題となっている.これにともない,ストレス緩和に関して各方面から研究が進められている.とりわけ,ストレスとポーズの関係性に対する調査では,手足を広げた開放的な High Power Pose(以下 HPP)と手足を狭めた閉鎖的な Low Power Pose(以下 LPP)について,唾液中のコルチゾールからストレス評価[1]

がなされた.その結果,HPP 終了時におけるストレス減少および LPP終了時におけるストレス増加が確認された.しかし,ストレス指標として信頼性が高い脳波によるストレスとポーズの関係性は明らかにされていない. したがって,本研究では脳波測定の観点から

HPPおよびLPP開始時と終了時のストレス状態を比較・評価した. 2.実験方法

HPPおよびLPP開始時と終了時に測定した脳波からストレス状態を比較した.測定にはデジタル脳波計(EGG-1200,日本光電)を使用し,電極は国際 10/20法に基づく 6点(Fp1,Fp2,C3,C4, F7,F8)に配置した.また,ストレス指標は精神的負荷とされる 波と 波のパワースペクトルの比率( )[2]とした.被験者は健常な学生 10名(男子 8名,女子 2名)とした.被験者には,1分間のポーズ維持を指示し,その後 5分間の休憩を設けた.また,ポーズの前後で感情の変化について尋ねた.以上の手順で HPP と LPP の両方を実施した. 3.実験の結果および考察

Fig. 1に各ポーズ終了時における の割合を示す.図中において,ポーズ開始時が比較の基準(100%)である.HPP終了時の は被験者によらずポーズ開始時より低値を示した. はストレスの緩和に伴い減少傾向を示すため,ストレス緩和への有用性が示唆された.一方,LPP 終了時において が上昇した被験者 C,E,J は不快感を訴えた.そのほかの被験者の はポーズ開始時より低値を示し,感情の変化についての聞き取りからもリラックスや眠気を確認した.これは,LPP に不快感を抱かなかった被験者の主観が,脳波に反映したと考えられる.したがって, LPPはストレス増加の傾向があるとは断定でき

Fig. 1 各ポーズ終了時における の割合

注:Mean±S.D. ない. 今回の結果より,HPP における定量的なスト

レス緩和の効果や個人の主観に依存性が高いLPP の不快感についての継続的な調査が必要とされた. 4.まとめ 本研究では,HPPおよび LPP開始時と終了時のストレス状態を脳波測定より評価した.得られた結果の要約を以下に記す. 1) 被験者によらず,HPP 終了時の はポー

ズ開始時より低値を示したため,1 分間のHPP 実施によるストレス緩和への有用性が示唆された.

2) LPPに不快感を訴え, の割合が上昇したのは被験者の 30%であった.

参考文献 [1] Carney,D.R.,Cuddy,A.J.,&Yap,A.J.(2010)P

ower Posing:brief nonverbal display affect neuroendocrine levels and risk tolerance. Phychological Science,21(10)1363-1368.

[2] 平井章康,吉田幸二,宮地功:簡易脳波計による学習時の思考と記憶の比較分析,マルチメディア・分散強調とモバイルシンポジウム,Vol.2013,pp.1441-1446(2013)

お問い合わせ先 氏名:宍戸道明 E-mail:[email protected]

G-17

Page 9: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

認知行動療法を用いたストレス緩和システムの検討

(和歌山高専電気情報工学科)

○玉置天地・謝孟春・森徹・村田充利・下村樹

キーワード:認知行動療法,ストレス計測,ストレス緩和システム

1.はじめに 他の国に比べ日本人のストレス対策への関

心は低く、ストレスを強く感じていても、心療内科や精神科を受診したり、カウンセリングを受けようとする人は少ない。 そこで、本研究ではストレス計測の結果を基

に、セルフマネジメントに適した認知行動療法(以下 CBT)を用いたカウンセリングによってストレス緩和を行うシステム開発を検討する。

2.ストレス緩和システムの構成 ストレス緩和システムはストレスの計測と

カウンセリングからなる。ストレスの計測には図 1のように、いくつかの質問によって得られる性格解析結果や毎日のストレス度、カウンセリングの為に趣味嗜好データといった利用者データを利用する。ストレス度は利用者が 0~100 の数値で自身のストレスを表す主観的ストレスと、質問に対する答えから推測される無意識下での客観的ストレスの二種類である。 カウンセリングは、図 2のように①ストレッ

サー(ストレスの原因)の分析、②ストレス度の可視化などによる自己の客観視、③ストレッサーに応じたアドバイス、④ストレス度の変化によるアドバイスへの評価を繰り返しで行う。

図 2.カウンセリングプロセス

3.実験と結果 構成したシステムの計測やストレス緩和の効果を確認するために 10名の大学生を対象に実験を行った。その結果の一例を図3に示す。横軸は受けたカウンセリングの回数で、縦軸はストレス度である。 結果から主観的ストレスと客観的ストレス共に 2,3回のカウンセリングで減少したが、その後 11回ごろまでは殆ど変化は無く、12回以降では主観的ストレスがかなり減少した事が分かった。これにより、カウンセリングがストレスの緩和に一定の効果があったと考えられる。 一方、客観的ストレスは全体的に変化が少なかった。それは、測定に用いた質問に偏りがあり、数が少なかったことが原因と考えられる。そのため、カウンセリングが必要かを客観的ストレスによって判断する現在の手法は改善する必要がある。

4.まとめ 現在のストレス度の測定に関する質問から上位 10%にあたる高ストレス者を判別することが難しい。今後の課題として、質問の構成と判断基準の見直しなどが挙げられる。

参考文献 [1]. 松尾美香他,学生向けストレス認識尺度の

作成,教育学論集(2016) お問い合わせ先 氏名:謝孟春 E-mail:[email protected]

図 1.ストレス計測

図 3.ストレス度の変化

G-18

Page 10: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

咬筋部筋電位を利用した入力システムの動作信頼性評価

(鶴岡高専 制御情報工学科 1,生産システム工学専攻2,創造工学科情報コース 3)

○渡部航平 1・日下部太星2・宍戸道明 3

キーワード:自立支援,咬筋部筋電位,電動車いす 1. 緒言 少子高齢化による要介護者の増加にともない,介護サービスの質低下を防止する福祉機器への期待は大きい。とくに,車いすは自立支援や介護支援者の負担軽減を図る汎用的な移動機器であり,昨今では電動化が促進されている。しかし,その操作方法はいずれも四肢動作を伴うため,上肢動作に制限がある場合は,操作が困難となる。 本研究では,咬筋部筋電位を利用した入力システムを開発し,その動作信頼性を評価した。 2. 装置概要 本システムは,本研究グループが開発した頭部揺動および咬筋部筋電位を入力信号とする入力デバイス[ 1 ](HFI)とマイクロコンピュータおよび PCから構成される。 HFIが検出した筋電位は,マイクロコンピュータを介して A/D 変換され,咬合の有無を判定した後,PC に送信される。システムは,咬合の検出により入力状態の切り替えが可能である。 3. 実験方法 3-1. 実験概要 本実験では,電動車いすの操作を前提としたシステム操作の動作信頼性評価を実施した。 被験者には,PC ディスプレイに表示されている電動車いすの動作指示(前進・停止)に従い,システムの操作によって入力状態を一致させるタスクを与えた。タスクの試行回数は,被験者 1人に対し 50回とした。なお,被験者は健常な男性 5名(平均 20歳)とした。 3-2. 評価方法 システムの動作信頼性は,ISO9241-11に準拠し,ユーザビリティにおけるタスク達成時間(効率)とタスク達成率(有効さ)の指標から評価した。タスク達成時間は,動作指示に対する操作に要した時間により評価した。タスク達成率の評価式は式(1)のとおりである。また,本システムにおける動作信頼性の比較として,ジョイスティック操作についても同様の実験を実施した。なお,動作状態はレバーの傾き状態から判定した。

達成率 [%] =タスク達成数

試行回数 (50回)× 100

4. 実験結果および考察

Fig. 1に各被験者のタスク達成時間を示す。 HFIとジョイスティック操作における達成時間

Fig. 1: 各被験者のタスク達成時間

Fig. 2: 各被験者のタスク達成率 の差は,平均してわずか 0.12 secであり,両者同等の反応速度を有していた。

Fig. 2に各被験者のタスク達成率を示す。ジョイスティック操作の達成率は,安定して高かったのに対し,HFIの達成率は被験者間のばらつきが大きく,最大約 30%の差が確認された。HFI による達成率が最も低かった被験者 C の筋電位では,チャタリングが多発していた。この原因としては骨格やかみ合わせなどの個人差が挙げられ,これらを考慮したデバイス設計が不可欠である。 5. 結言 本研究では,咬筋部筋電位を利用した入力システムの動作信頼性を評価した。その結果,本システムはジョイスティック操作と同等の効率を有していた。また,有効さの向上には再現性の高いプロダクトデザインが不可欠となる。

参考文献 [ 1 ] 阿部尚熙ら“咬筋部筋電位および頭部姿勢を利用したポインティングデバイスの開発”,科学・技術研究, Vol. 6 ,No. 1, pp35-40,2017 お問い合わせ先 氏名:宍戸道明 E-mail:[email protected]

0

0.4

0.8

1.2

A B C D E

達成時間

[sec]

被験者

HFI ジョイスティック

Mean ± S.D.

020406080

100

A B C D E

達成率

[%]

被検者

HFI ジョイスティック

(1)

G-19

Page 11: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

表 1 詫間基準局の RTK測位結果 緯度 北緯 34.23431871° 経度 東経 133.6367554°

楕円体高(m) 62.02

電子基準点データを利用した

RTK 測位による詫間基準局の位置測定

(香川高専専攻科電子情報通信工学専攻 1,香川高専通信ネットワーク工学科2)

○宮内大輝 1・小野安季良2

キーワード:GPS, QZSS, RTK基準局 1.緒言 GPS などの衛星から送られる衛星の位置情報を,移動局のみで取得し測位する方法を単独測位と呼ぶ。単独測位では,衛星からの電波の到達時間の揺らぎを考慮できないため,測位誤差が数メートル生じる。これを改善する方法の一つとして RTK(Real Time Kinematic)測位がある。これは,移動局での測位に,他の基準局で受信した衛星データを用いる相対測位の1種で,緯度と経度が正確に判明している基準局を利用できれば,1cm単位での正確な測位が可能となるものである。

われわれは過去に,詫間キャンパスから一番近くにある奈良先端科学技術大学院基準局(奈良基準局と呼ぶ)のデータを位置補正データとして,開局予定の詫間基準局の位置を報告した。しかし,奈良基準局と詫間基準局の直線距離は約 200kmあり,詫間基準局の正確な測位ができたのか疑問である。そこで,本研究では,基準局として国土地理院の電子基準点を利用し,開局予定の詫間基準局の正確な位置を求めたので報告する。 2.RTK測位の原理

RTK測位とは,測位したい移動局で単独測位して算出した位置情報を基準局で測位したデータで補正する測位法である。一般に,基準局が近いほど精度が上がる。基準局で観測したデータは,インターネット回線を通して情報配信局である NTRIP Caster に送信される。移動局

は,この NTRIP Caster にアクセスし,測位計算に利用する基準局の必要な衛星データを取得して位置補正する。

3.電子基準点を利用した RTK測位

詫間キャンパスから最も近い三野電子基準点のGPSおよびQZSSの観測データを利用する。このため,詫間基準局での単独測位でもそれらの衛星データを受信した。三野電子基準点と詫間キャンパスの直線距離は約 10km である。電子基準点のデータ提供サービスはリアルタイムには取得できないので,詫間基準局での単独測位日の後日,国土地理院のサイトからその日の三野電子基準点の観測データをダウンロードした。そして RTKLIB の後処理測位ソフトウェア RTKPOSTを用いて,詫間基準局で単独測位した緯度,経度を位置補正した。測位結果はF3解準拠である。 測定は,平成 30 年 10 月 25 日 15 時から 24

時間行なった。測位精度数 cm を保証する Fix解を得るまでに,Float解と呼ばれる時間経過とともに Fix 解に収束するまでの途中の解を得る。全観測点数のうち,Fix 解は 86.6%であった。表 1は,Fix解を得たときの測位結果の平均値である。Fix解の平均値からのばらつきは,緯度方向に約 10cm,経度方向に約 11cmであった。

4.結言 本研究では,詫間基準局の緯度,経度を電子

基準点データで補正する RTK 測位法で正確に測位した。今後の予定として,本基準局を開局する予定である。 お問い合わせ先 氏名:小野安季良 E-mail:[email protected]

図 1 RTK測位の原理

G-21

Page 12: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

災害地における端末の移動と密度を考慮した

通信トラヒック特性の解析

(長岡高専専攻科電子機械システム工学専攻)

○山内剛 樺澤辰也

キーワード:セルラ方式,端末間直接通信,通信トラヒック特性

1.緒言 これまでの研究では 2 次元単一セルにおける移動モデルの解析について,セルの中心にある避難所と避難者の自宅間を往復するモデルの解析が行われた.本研究では,より現実的な移動モデルとして避難所が 2 箇所ある場合を考え,この移動モデルにおいて密度と避難所間距離による影響を理論的及び計算機シミュレーションにより明らかにすることを目的とする. 2.解析モデル 避難所の集中場所が 2 箇所存在する場合の解析モデルを図 1に示す.集中場所の配置,集中場所に避難している避難者の拡散場所が存在するエリアおよび端末の移動については,次のように仮定する.集中場所はそれぞれPR1,PR2とする.また,それらの x座標を𝑥𝑅1,−𝑥𝑅1とし,y軸対称に存在するものとする.ここでPR1に避難する避難者の拡散場所はエリア A,PR2に避難する避難者の拡散場所はエリア Bに一様に存在するものとする.端末の移動に関して,各々の拡散場所に平均𝑡1の指数分布に従う滞在時間だけ滞在した後,集中場所に向かって直線的に一定速度𝑣で移動する.そこで平均𝑡0の指数分布に従う滞在時間だけ滞在した後,拡散場所へ向かう.以降同様のポイントで滞在と 移動を行うものとする.また,エリア A とエリアBとで密度差がある場合の解析も行った.

図 1 集中場所が 2箇所ある解析モデル

3.解析方法 理論解析にあたって,送信端末位置と受信端末位置の考えられるすべての場合の直接通信可能確率を算出した.端末が経路に存在する場合は,時間と共に移動している端末同士の距離が直接通信可能距離以下となる確率を算出することは困難であったため,経路に生起した端末において全て直接通信もしくは間接通信を行うものと仮定して解析を行った. 4.結果とまとめ セル半径𝐿 = 200m,エリア A,Bの端末台数はそれぞれ 100台,400台とした合計 500台,端末の平均移動速さ𝑣 = 1.5m/s,𝑥𝑅1 = 100m,セルに割り当てられたチャネル数𝑆 = 20,𝑡0 =3h,𝑡1 = 1h,経路の平均滞在時間𝑡2 = 93.9s, 生起呼量 15erl,平均保留時間を 90s として,解析を行った.𝑡2は各エリアの拡散場所から集中場所までの平均移動距離を求めることで導出した値である.この結果を図 2に示す.𝑎𝑐1,𝑎𝑐2はそれぞれ経路における通信が全て直接通信,間接通信と近似したものである.

図 2 端末が 100台と 400台に 分布した場合の呼量

結果より理論値の妥当性が確認できた.また,直接通信可能距離が集中場所間の距離を上回ると運ばれる呼量が大きくなることが分った. お問い合わせ先 氏名:樺澤辰也 E-mail:[email protected]

G-22

Page 13: 口頭発表【情報・通信】午前 専攻科棟 3階 G会場 講演番号 発 …...2. 深層学習による選果の構成 深層学習とは、多層構造のニューラルネットワ

図 1 システム概要図

初学者に対するサイバー攻撃演習を通した

ネットワークセキュリティ教育の提案

(小山高専電気電子創造工学科)

○干川尚人

キーワード:セキュリティ,ネットワークサービス,アクティブラーニング,情報教育

1.はじめに 現代社会ではインターネット上のネットワークサービスシステムが無くてはならないものとして日常的に利用されている.しかし,利用者のリテラシ教育実施前に,そのサービス利用が先行しており,教育が運用においついていない現状がある.そこで,筆者は攻防戦型演習の手法を取り入れた初学者向けのネットワークセキュリティ教育を提案する.本報告は提案システムとこれを用いて実施した試験講義の結果について示す. 2.初学者へのセキュリティ教育の課題 セキュリティ技術はコンピュータやネットワークの多方面に渡る技術分野と密接に関わるため,必要な知識領域が幅広く,これらを横断して結びつける総合的な仕組みの理解が必要になる.高専の低学年や後期中等教育課程ではコンピュータや情報通信ネットワークについて学ぶが,学習単元を一体のシステムとして触れる場がないため,その内容が日常利用している種々のサービスと同じものだという実感が伴いにくい.ネットワークセキュリティ教育の現場では,参加者が攻撃,防御の立場になり攻防を行う攻防戦型の演習Capture The Flag(以下 CTF)が行われている.この演習遂行にはネットワークシステムの理解が不可欠であるため,このような能動的な演習型教育はシステムの統合的な学習効果を期待できる.しかし,CTF演習の参加者は一定水準以上の情報系技術の習得が前提となっており,情報リテラシ初学者の教育手法として適用することは難しい.

3.サイバー攻撃演習による情報教育 近年の学生はスマートフォンなどのディジタルメディアを日常的に利用している世代である.従って,能動的な演習授業を実施する上で,ネットワーク端末機器の操作で障害は少なく,またソーシャルネットワークサービス,動画共有サイトのようなネットワークサービスの概念も理解している.そこで,筆者は学生らが日常利用している「インターネット上のネットワークサービスのセキュリティ」を題材に,アプリケーションサーバに対するサービス拒否(Denial of Service :以下 DoS)攻撃を行う演習型講義を考案した.実

装システム概要を図 1に示す.本演習システムは孤立したネットワーク上で構築し,録画したストリーム動画の配信サーバとこれを仲介するポータルサイト,そして受講生の操作端末と攻撃端末から成る.サービス拒否状態の実現は配信サーバの上限セッション数で調整し,演習で使う攻撃コマンドは繰り返し動画ストリームの接続要求を行うだけの単純な設定である.そのため,受講生が習得する知識は「攻撃」を実現する技術ではなく,サーバ/クライアント,セッション数といった「ネットワークの基本的な技術知識」に留まる.

4.実施結果 実際に本システムを用いた試験講義を行った.この実験の被験者は前期中等教育課程に属する13~15歳の計 8名で,高専低学年や後期中等教育課程の情報系科目については学習していない.講義実施後,学習効果を問う試験を実施したところ,インターネットの仕組みについて 88%,ネットワーク・クライアントの仕組みについて 50%,DoS 攻撃について 100%が正答を解答しており,被験者の年齢では理解が困難だと思われる基本的なネットワーク知識の習得結果を示した.

5.おわりに 本報告では考案した教育演習システムを用い

た試験講義の結果を示したが,今後は実施前後の効果測定指標を改善し,厳格な定量評価を図る.また被験者も増やしてその精度を高めていく. お問い合わせ先 E-mail:[email protected]

G-23