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当院の白内障治療方針 高松赤十字病院眼科 齋藤了一

当院の白内障治療方針¬¬16...白内障手術の目的 1.水晶体の混濁を取る。 高い確率で達成されるようになってきた。 2.近視・遠視・乱視等の屈折を

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当院の白内障治療方針

高松赤十字病院眼科 齋藤了一

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白内障手術の目的

1.水晶体の混濁を取る。

高い確率で達成されるようになってきた。

2.近視・遠視・乱視等の屈折を

矯正する。 近年の目標はより高いQOVを目指す

屈折矯正白内障手術

Refractive Cataract Surgery

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屈折矯正白内障手術

(Refrative cataract surgery)

1.遠視・近視を矯正する。 ・術前遠視・近視の矯正 ・術後屈折誤差矯正

2.乱視を矯正する。

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遠視・近視矯正への取り組み

1.優れたIOL度数計算式の採用 personal A定数の決定への模索 (遠視・近視の度数はIOLの度数を 選択することにより可能) 2.術後屈折の誤差矯正

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1.IOLの前方移動

Inをoutに。約-1.0Dの近視化のみ可能

2.IOL交換

初回手術後時間が経過している場合。破嚢等の合併症。

再誤差が生じる危険。

3.Pigggy back IOL

2次的にIOLをoutに挿入する方法。上記riskを回避できる。

4.LASIK

設備的制約。

眼内レンズ度数ずれ矯正の方法

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1.Piggybackとは

肩や背中に荷物を背負い運ぶ様を表す単語。眼科領域ではレンズにレンズを乗せるという意味。

2.適応

初回手術で球面度数ずれを起こし、眼鏡・CL・monoision等の保存的方法で許容できないもの。

3.ブドウ膜炎、内皮障害のないもの。

Piggyback法(1)

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挿入するIOLの度数

矯正すべき眼鏡度数/0.7のIOLを挿入

(-5.0Dから+5.0Dの範囲、この近辺のIOLは1Dきざみ)

Piggyback法(2)

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Piggy back法ビデオ

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H25.8.19の前眼部所見

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1.Piggyback法矯正を行い良好な結果を得られている。

2.手術手技が比較的容易であり、合併症も少なく予測精度が優れていると考えられる。

3.また初回手術IOLの度数が不明でも有効な方法であることが大きなmeritであると思われる。

当院で施行した症例の考案

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・乱視とは、眼球の屈折面が球面ではなく、眼の経線方向によって屈折力が異なるため、外界の1点から出た光が眼内で1点に結像しない眼の屈折状態を総称したものです

乱視とは

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屈折力が強い経線を強主経線 屈折力が弱いい経線を弱主経線

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角膜乱視>>水晶体乱視(白内障術後に無)

>>>その他の成分による乱視

なので白内障手術時には角膜乱視の矯正が大切

乱視の内訳

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角膜乱視矯正(正乱視)

1.切開法を選択し強主線切開

を行い乱視のカーブを緩めて乱視矯正を行う。 角膜切開>直線切開(約0.5)>Frown切開 の順で乱視矯正量が多い

2.1.5D以上の角膜正乱視 Toric IOLを使用

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切開法とCCC

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・比較的強い乱視の症例の主経線に直交する角度に乱視を打ち消すレンズを付加したIOLを挿入する。

・不正乱視、非対称性乱視は適応外。

Toric IOL

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Toric IOL

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症例

80才女性

白内障手術目的で近医より紹介され2015.当科

初診となる。既往歴はHT,SSS

初診時視力

RV=0.2(0.7×+3.25D=C-4.0D A100°)

LV=0.4(1.0p×+3.25D=C-1.75D A80° )

両眼の水晶体に中等度の皮質混濁を認めた。

眼底に著変なし。

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右眼屈折値データ

R) S+4.0D C-4.0D A99°

R1 7.78mm 43.5D 104°

R2 7.34mm 46.0D 14°

Cyl -2.5D 104°

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術後

6.15(術後3か月目)

RV=1.2(1.5×C-0.5D A104°)

R) S-0.25D C-0.75D A104°

点眼ヒアレイン4Rのみ

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1 .水晶体の混濁除去以外の付加価値と

して屈折矯正を正確に行い患者満足度の向上を追求。

2.切開位置、切開法の選択により弱い乱視を矯正。強い乱視の矯正にはToric IOLを採用。

3.適切な度数調整を適切なIOLの選択により行い、ずれが生じた場合はPiggyback法により矯正を行う。

当院の白内障治療方針