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2018 年 3 月 30 日 作成 2018 年 4 月 27 日 変更 電源接続や設備形成の検討における前提条件 (送配電等業務指針第62条)としての 想定潮流の合理化の考え方について 電力広域的運営推進機関

電源接続や設備形成の検討における前提条件 (送配 …...0 2018年3月30日 作成 2018年4月27日 変更 電源接続や設備形成の検討における前提条件

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2018年 3月 30日 作成

2018年 4月 27日 変更

電源接続や設備形成の検討における前提条件

(送配電等業務指針第62条)としての

想定潮流の合理化の考え方について

電力広域的運営推進機関

1

〔変更履歴〕

年月日 内 容

2018.3.30 作成

2018.4.27 第6章 適用時期およびアクセス案件の取り扱い

(2)電源接続案件募集プロセスへの対応について

当面の適用方法(補足)を追記

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目 次

第1章 はじめに

1.1 目的

1.2 想定潮流について

1.3 これまでの考え方

1.4 今後の考え方

第2章 概要

2.1 想定潮流の基本的な考え方

2.2 自然変動電源の出力評価方法

第3章 前提条件

3.1 検討断面等

3.2 火力電源

3.3 再生可能エネルギー電源

3.4 原子力電源

3.5 連系線潮流の設定

3.6 特殊需要

第4章 電源稼働の蓋然性評価方法

4.1 重負荷期(最大需要時)の評価

4.2 軽負荷期(最小需要時)の評価

4.3 中間期の評価

第5章 再生可能エネルギー電源の出力評価方法

5.1 自然変動電源の出力設定の考え方

第6章 適用時期およびアクセス案件の取り扱い

6.1 適用時期

6.2 検討中のアクセス案件への対応

第7章 おわりに

3

第1章 はじめに

電力広域的運営推進機関は、広域連系系統のあるべき姿とその実現に向けた考

え方を示す広域系統長期方針を2017年3月に策定した。その中で、今後、電

力系統利用の円滑化および低廉化を目的として流通設備効率の向上を図っていく

ために、電源接続や設備形成の検討に際しての「想定潮流の合理化及び精度向上」

に取り組むこととした。これを踏まえ、本機関は、一般送配電事業者と協力し、

適切な信頼度の確保を前提とした想定潮流の合理化の検討を行った。

流通設備の設備形成は、供給支障及び発電支障の発生を抑制又は防止するため、

電力系統性能基準を充足するよう行っているが、この充足性評価は、通常想定さ

れる範囲内で評価結果が最も過酷になる電源構成、発電出力、需要、系統構成等

を前提としている(送配電等業務指針第62条)。

本書は、この送配電送業務指針第62条での電力系統性能基準への充足性の評

価に当たっての「最も過酷」であることの考え方について、より実態に近い形で

合理的なものとすべく、統一的な基本的考え方、具体的手法および適用時期等を

取り纏めたものであり、今後はこの考え方に基づくものとする。

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1.1 目的

現状の供給信頼度や電源運用の自由度を大きく低下させることのない範囲

で、実態をより反映した電源稼働を前提とすることによって想定潮流の合理化

を図り、流通設備効率の向上及び電力系統利用の円滑化を図る。

1.2 想定潮流について

「想定潮流」には以下の考え方がある。系統計画では、②の「想定潮流」が用

いられる。

① 実際に流れる潮流(実潮流)を想定すること。運用段階で主に使用している。

② 電源の連系や稼働の状態について、シナリオ(リスク対応分※を考慮)を設定

し電力系統に流れる潮流を想定すること。シナリオ設定によって全体の系統あ

るいはローカル系統においてどのような信頼度の系統を構築するかが決定さ

れる。流通設備の計画(系統計画)段階で主に使用している。

※ 需要変動(気温誤差等)や電源脱落等、通常発生しうるリスクに対して、

系統混雑を生じさせないよう考慮するもの

1.3 これまでの考え方

電源が多く連系する系統における現状の想定潮流は、送配電等業務指針に基づ

き通常想定される範囲内で最も過酷になる電源構成、発電出力、需要、系統構成

を前提に評価してきた。具体的には、電源の供給力を最大限活用する観点から、

連系された電源には基本的に運用制約を生じさせないことを前提に、軽負荷断面

あるいは重負荷断面で電源出力が最大となるケースを想定していた。このため、

想定潮流が過大になる場合があった。

1.4 今後の考え方

従来よりも需要断面を細分化し電源稼働の蓋然性評価を行うことで、現状の

供給信頼度を大きく低下させることなく系統の利用効率向上を図る。また、自

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然変動電源の出力を想定するには、発電実績を基に、「日射や風況等の自然条

件による地域間の不等時性」などをデータ分析し、出力評価の合理化を図る。

これらの取り組みにより、従来よりも実態に即した基幹ループ系統、放射状

系統(特別高圧以上)の潮流想定を行うこととする。本報告書においては、具

体的な放射状系統における想定潮流の合理化の手法について以降の章に取りま

とめた。

【電源稼働の蓋然性評価による想定潮流(イメージ)】

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第2章 概要

2.1 想定潮流の基本的な考え方

個別の放射状系統(個別系統)の潮流は、その系統内の発電と需要の差によ

って求まる。この時、電源の稼働状況はメリットオーダー※1に応じたエリア※2

全体の需給バランスによって決まる。

よって、以下の検討ステップにより、個別系統の想定潮流を求める。

検討ステップ①-a. エリア全体での電源出力評価

(稼働の蓋然性が高い電源の評価)

検討ステップ①-b. エリア全体での需要評価

(リスク対応分を踏まえた需要評価)

検討ステップ②-a. 個別系統での電源出力評価

検討ステップ②-b. 個別系統での需要評価

※1 燃料費の安い電源から順番に稼働することにより電源全体の発電コストを最小化

すること

※2 各一般送配電事業者の管轄する区域

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検討ステップ①-a エリア全体での電源出力評価

エリア全体の需給バランスから、電源稼働の蓋然性評価を行う。

火力はメリットオーダーによる稼働となるが、同燃種においては発

電コストが大きく変わらず、ユニット毎の評価が困難であること等

から、燃種ごとのメリットオーダーを前提として考える。

検討ステップ①-b エリア全体での需要評価

需給バランスを評価する上では、需要変動(気温誤差、景気変動

等)や電源脱落等、通常発生しうるリスクを考慮すると、長期計画

段階では、需要の8%相当の供給予備力※3を確保することが必要と

されている。このため、需給バランス評価後、当該需要の8%を控

除することで、当該リスク対応分を確保する。

※3 沖縄エリアについては、単独系統であり、他エリアからの応援融通が期

待できないことを踏まえ、周波数制御機能付き調整力及び単機最大ユニ

ット相当分等を考慮

検討ステップ②-a,b 個別系統での電源出力と需要評価

エリア全体で決まった稼働の蓋然性が高い電源を、個別系統でも

稼働の蓋然性が高い電源として出力評価を行う。電源稼働の蓋然性

を評価したエリア全体の需要に応じて、エリア全体と個別系統の需

要の比率等から、各燃種が稼働する個別系統の需要を評価する。

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2.2 自然変動電源の出力評価方法

自然変動電源の出力評価は、自然条件により一定でないこと、地点によって

高出力となるタイミングが異なることなどの特徴を考慮すべきと考えられる。

想定潮流の合理化・精度向上を図るため、自然変動電源の出力について、具体

的な系統における発電実績を基に、以下に関するデータ分析を実施し、各個別

系統の特徴も考慮しつつ、出力評価する。

・電源が連系する範囲による影響

電源が連系する範囲が広範囲である場合と、ローカル系統等の範囲が狭

い場合のならし効果の違い

・季節や時間帯による影響

特定の季節や時間帯による特徴を踏まえた、自然変動電源の出力および

ならし効果

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第3章 前提条件

3.1 検討断面等

発電機稼働状況とエリア需要から潮流が多いと想定される断面を検討する。

検討にあたっては、気候の影響により発電出力や補修率が異なることから、特

徴的な検討断面に細分化し、発電機稼働状況は電源種別単位(火力は燃料種別

単位)とする。なお、未連系電源のうち契約申込み電源は、稼働扱いを基本と

する。

具体的には、以下のとおり。

前提条件 エリア全体(供給力) 個別系統

検討断面

[基本] 発電機の電源種別(火力は燃料種別)ごとに稼働に応じた需要断面を設定する。 [具体的内容] 軽負荷期、中間期、重負荷期(夏・冬)の4断面に区分けし、各断面で燃料種別に対応した需要を求める。 ただし、月割りや断面数は地域や系統の特性を考慮し、個別で設定する。 〔例〕 ・重負荷期(夏):7,8,9 月 ・重負荷期(冬):1,2 月 ・軽負荷期:4,5,10 月 ・中間期:上記以外

同左

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3.2 火力電源

原則、検討断面に応じた最大出力とし、エリア全体では補修率を考慮する。

個別系統においては、検討段階で補修停止する電源を特定できないため、系統

状況に応じて個別に評価する。具体的には、以下のとおり。

前提条件 エリア全体(供給力) 個別系統

稼働順 燃種ごとのメリットオーダーでの稼働を基本とする。 (LNGは Conv,CC,ACC,MACC を考慮※1)

同左 (ただし、非稼働扱いは除く)

稼働時の出力 原則、検討断面に応じた最大出力 同左

補修停止 広域機関が供給計画に基づき提供する各電力エリアの補修率(各月)を目安として算出する。

原則、補修停止なし (ただし系統状況を踏まえ個別に設定可能)

非稼働扱い電源 (稼働が見込まれない電源)

長期計画停止電源および「H3(最大3日平均)需要+供給予備力 8%」を考慮しても稼働しない電源(燃種)。 ただし、一般送配電事業者が現状確保している供給予備力電源(調整電源)は、今後の需給状況(原子力の稼働状況や電源の連系状況等)を考慮した上、稼働電源として取り扱う。

同左

メリットオーダー適用外 BOG制約※2、フリッカ対策※3、周波数維持等による運転制約やメリットオーダーでの評価が困難なローカル系統の火力等は、実態を踏まえて個別に稼働を判断する。

同左

※1 LNG に関しては、以下の4種類に細分化する。

Conv: Conventional (従来型)

CC : Combined Cycle(コンバインドサイクル)

ACC :Advanced Combined Cycle(改良型コンバインドサイクル)

MACC: More Advanced Combined Cycle(1500℃級コンバインドサイクル)

※2 LNG など低温液体を輸送・貯蔵する際に、自然入熱等により気化するガスを発電用燃料に用いてガス放散を回避するための発電制約のこと

※3 人間の目に不快感を与えるような明るさのちらつき(照明フリッカ)を生じさせる比較的短い周期の電圧変動(電圧フリッカ)を抑制するための対策のこと

3.3 再生可能エネルギー電源

エリア全体の検討にあたっては、再生可能エネルギー電源の出力は安定的に

供給力を見込める部分(L5:発電実績の下位5日平均値)による評価が基本

であるが、例えば太陽光発電の出力は、天候に左右されるだけでなく、時刻別

に出力が大きく変化する。そのため、太陽光発電の出力時と出力なしの2パタ

ーンで評価を行う。

個別系統においては、再生可能エネルギー電源の出力は局所的に高出力とな

ることが想定されるため、実績に応じた最大出力(太陽光発電の場合は、「出

力なし」パターンもあり)を見込む。具体的には、以下のとおり。

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前提条件 エリア全体(供給力) 個別系統

水力 L5※4(供計と整合)を基本とする。 原則、実績最大相当

揚水 重負荷期において、供給予備力 8%に揚水が含まれるのであれば考慮する。

原則、実績最大相当 稼動実績等の実態を踏まえて検討する。

太陽光

① PV出力を見込むパターン(快晴等) ⇒ 実績最大相当

② PV出力が見込めないパターン (点灯・夜間・雨天等)

を基本とする。

①原則、実績最大相当 ②出力なし

風力 L5※4(供計と整合)を基本とする。 原則、実績最大相当

バイオマス 最大出力 最大出力

地熱 最大出力 最大出力

※4 L5供給力〔電力需給バランスに係る需要及び供給力計上ガイドライン:資源エネルギー庁〕

◆水 力:月ごと(1月~12月)に供給力が低かった下位5日の平均値(L5)を過去30年間平均した値により評価する。

◆風 力:エリア内の風力発電の供給能力は、過去の発電実績が把握可能な期間について、水力の評価手法を参考に、最大需要発生時(月内は同一時刻)における発電実績の下位5日平均値により評価する。

3.4 原子力電源

前提条件 エリア全体(供給力) 個別系統

稼働時の出力 補修停止(過去実績等)を考慮 最大出力

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3.5 連系線潮流の設定

・需要および自然変動電源出力について、数種類のシナリオ※5で広域メリッ

トオーダーシミュレーションを実施。

※5 シナリオについては、間接オークション開始後の実績も考慮しながら必要に応じて見直しを行

うものとする。

<シナリオパターン(2018 年度計算実施例)>

ケース 1 ケース 2 ケース 3 ケース 4 ケース 5 ケース 6 ケース 7 ケース 8

需要 各月最大需要カーブ 各月最小需要カーブ

電源 太陽光 各月最大出力カーブ 各月最小出力カーブ 各月最大出力カーブ 各月最小出力カーブ

風力 各月最大 各月最小 各月最大 各月最小 各月最大 各月最小 各月最大 各月最小

・上記のシミュレーション結果や実績潮流等も踏まえ、地内系統の潮流が厳し

くなる連系線潮流を設定する。

3.6 特殊需要

エリア需要の変動と相関性がない個別系統の需要に対しては、個別に評価す

る必要がある。具体的には、以下のとおり。

前提条件 エリア全体(供給力) 個別系統

特殊需要の扱い --- エリア需要に関係性のない工場地域等は、実績評価に基づき調整する。

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(参考)基幹ループ系統の考え方

基幹ループ系統の潮流は、全系の需給バランスによって変化することから、

検討対象範囲の潮流が過酷となる断面を選定し、その断面において通常想定さ

れる需給バランスを考慮し、潮流想定を行う。

ただし、通常想定される範囲においては、系統混雑が発生しない設備形成と

する必要があることから、必要に応じて単機最大相当の電源停止等のリスクを

個別に考慮する。

基本的な潮流想定の前提条件は、以下のとおり。

検討断面 検討対象範囲の潮流が最大となる断面

電源

原子力 想定される稼働状況を考慮し設定

火力 需給バランスを考慮した出力設定

揚水 実運用を考慮し設定

太陽光 検討断面において通常想定される出力(最小~実績最大)

風力 同上

水力 同上

地熱 同上

バイオマス 同上

連系線 数種類のシナリオでの広域メリットオーダーシミュレーションによる算定結果、実績潮流等を

踏まえ、検討断面で地内系統の潮流が厳しくなる連系線潮流を設定

リスク分 通常想定されるリスクを考慮(最大容量機の停止等)

その他 BOG制約、フリッカ対策、周波数維持等による運転制約やメリットオーダーでの評価が困

難なローカル系統の火力等は、実態を踏まえて個別に稼働を判断する。

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第4章 電源稼働の蓋然性評価方法

4.1 重負荷期(最大需要時)の評価

(1)エリア全体にて重負荷期の特徴に応じた供給力(発電)の積み上げを、第

3章の前提条件に従い実施。

(2)エリア全体にてリスク対応分を考慮した需要を評価して、どの電源まで稼

働するか確認する。(上記の例では石油まで稼働)

(3)個別系統にて、第3章の前提条件に従い(2)で確認した電源まで稼働し

た場合の発電出力を確認する。

(4)個別系統の最大需要を求め、(3)で求めた発電出力との差が、重負荷時

の想定潮流となる。

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4.2 軽負荷期(最小需要時)の評価

(1) エリア全体にて軽負荷期の特徴に応じた供給力(発電)の積み上げを、

第3章の前提条件に従い実施。

(2) エリア全体にてリスク対応分を考慮した需要を評価して、どの電源まで

稼働するか確認する。(上記の例では石炭まで稼働)

(3) 個別系統にて、第3章の前提条件に従い(2)で確認した電源まで稼働

した場合の発電出力を確認する。

(4) 個別系統の最小需要を求め、(3)で求めた発電出力との差が、軽負荷

時の想定潮流となる。

稼働 しない

稼働 しない

稼働 しない

16

4.3 中間期の評価

(0) 個別系統の電源構成をもとに、想定潮流が最大となる可能性のある燃料

種別ごとの複数の出力パターンを抽出

(上記の例では、LNG(Conv)まで稼働するパターンと LNG(ACC)まで

稼働するパターンが考えられる)

(1) それぞれのパターンに対して、エリア全体にて中間期の特徴に応じた供

給力(発電)の積み上げを、第3章の前提条件に従い実施。

(2) エリア全体にてリスク対応分を考慮した需要を評価して、どの電源が稼

働を開始するか確認する(上記の例では LNG(Conv)が稼働を開始)。

電源の特徴や稼働状況によっては、稼働を開始する燃種のうち個別系統

の電源相当分の需要規模を考慮し評価する。

(3) 個別系統にて、第3章の前提条件に従い(2)で確認した電源まで稼働

した場合の発電出力を確認する。

(4)個別系統の需要を、エリア全体と個別需要の比率などから求め、(3)で

求めた発電出力との差が、中間期の1パターンの想定潮流となる。

(5)(1)~(4)に対して、想定潮流が最大となる可能性のある燃料種別ご

との複数パターン全てに対して行い、その中で最大となるものが、中間

期の想定潮流となる。

稼働 しない

17

第5章 自然変動電源の出力評価方法

5.1 自然変動電源の出力設定の考え方

(1)電源連系が広範囲である系統における出力評価

自然変動電源の出力評価については、原則、混雑は発生しないという考え方

に基づけば、ならし効果は見込むものの、それぞれの系統の特徴を踏まえ、そ

の最大実績相当を採用する。

また、想定潮流が最大となる季節(時期)が特定できるのであれば、それを

考慮した最大実績相当を採用する。

(2)ローカル系統における出力評価

基本的な考え方は電源連系が広範囲である系統と同じであるが、電源が連系

する範囲の狭いローカル系統における分析では、ならし効果は、ほとんど見ら

れない。加えて、現状においては、万一の系統混雑に対する実効性のある発電

機の抑制方法が確立されていないため、慎重な出力評価が必要となる。

(3)出力設定の考え方

表1に示す各ケースにおける具体的な自然変動電源の出力設定の考え方は、表

2を基本とする。なお、未連系電源および連系済みではあるがデータ取得期間が

短い電源については、同一電源種別の実績最大相当を基本とするが、当該電源の

実績データがないことから、ならし効果やメリットオーダーによって稼働状況を

判断すべき電源の有無は考慮せずに、最大受電電力とすることも可とする。

表1.系統状況に応じた出力評価のケース

設備区分

全社需給バランスの考慮

(電源稼働の蓋然性評価)

要 不要※

基幹ループ系統を構成する設備 ケース① ―

500kV 送電線、主変

ケース② ケース③

275kV, 220kV 送電線、主変

154kV, 110kV, 77kV, 66kV 送電線 ケース④

※メリットオーダーによって稼働状況を判断すべき電源が連系していない系統

(自然変動電源のみが連系する系統等)

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表2.各ケースにおける自然変動電源出力の考え方

ケース

特徴 自然変動電源の出力設定

供給エリア

メリットオーダーによっ

て稼働状況を判

断すべき電源

既連系 未連系

特高連系 配変以下連系 特高連系 配変以下連系

① 広 有

実績最大相当を上限に潮流が過酷となる出力を設定

② 広~狭 実績最大相当

③ 広

実績最大相当

実績最大相当

(配変潮流の

実績最大)

実績最大相当

(最大受電電力とすることも可)

④ 狭

実績最大相当

(最大受電電力と

することも可)

実績最大相当

(配変潮流の

実績最大)

実績最大相当

(最大受電電力とすることも可)

(参考)ならし効果の検証結果例〔第 25 回 広域系統整備委員会資料〕

(1)電源連系が広範囲である系統のならし効果の評価例

a.太陽光のならし効果

広範囲に電源連系する系統の太陽光発電合計出力は、一定のならし効果が

見込まれ、さらに季節によって実績の違いがみられる場合がある。このた

め、夏季重負荷、冬季重負荷期や軽負荷期といった特定の季節(時期)を検

討する場合は、それに対応する実績ベースの値を用いることが可能と考えら

れる。

図1.広範囲系統のならし効果(太陽光発電)

19

b.風力のならし効果

広範囲に電源連系する系統の風力発電合計出力は、太陽光と同様に一定の

ならし効果が見込まれ、さらに季節によって実績の違いがみられる場合があ

る。このため、夏季重負荷、冬季重負荷期や軽負荷期といった特定の季節

(時期)を検討する場合は、それに対応する実績ベースの値を用いることが

可能と考えられる。

図2.広範囲系統のならし効果(風力発電)

c.太陽光と風力発電のならし効果

太陽光は時間帯別で下記のような出力変化があるため、検討する時間帯が

特定できる場合は、太陽光出力については考慮していくべきである。

一方、風力は時間帯別でみた出力変化がほとんどないことを考慮すると、

太陽光が高出力となる時に、太陽光と風力の合成も高出力になり得ると考え

られる。

図3.広範囲系統のならし効果(太陽光と風力発電合成)

20

(2)ローカル系統におけるならし効果の評価例

a.太陽光のならし効果

ローカル系統では、電源が連系する範囲が数十キロメートル程度であり、昼

間の時間帯において、この範囲でほとんどならし効果は見込めない。

図4.ローカル系統のならし効果(太陽光発電)

b.風力のならし効果

ローカル系統では、電源が連系する範囲が数十キロメートル程度であり、こ

の範囲でほとんどならし効果は見込めない。

図5.ローカル系統のならし効果(風力発電)

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c.太陽光と風力発電のならし効果

ローカル系統では、昼間の時間帯において太陽光・風力は各々フル出力近く

となるため、ほとんど合成のならし効果は見込めない。

図6.ローカル系統のならし効果(太陽光と風力発電合成)

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第6章 適用時期およびアクセス案件の取り扱い

6.1 適用開始時期

2018年4月1日

6.2 検討中のアクセス案件への対応

(1)基本的な対応方針

・既設設備の有効活用の観点から、2018年4月1日時点で、検討中の案件に

対しては、原則として「想定潮流の合理化」の検討を行い回答する。

・ただし、「想定潮流の合理化」適用のために回答が遅延することが申込者や後続

の事業者に対して不利益となる場合は、現行の方法で回答するなど柔軟に対応

する。

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(2)電源接続案件募集プロセスへの対応

a.基本的な考え方

通常のアクセス案件と同様に、2018年4月1日時点で検討中の案件(工事

費負担金補償契約⑫前)に対しては、想定潮流の合理化を適用し増強工事の見直

しについて検討する。

b.当面の適用方法(aの補足)

適用時点のステータスに応じて、基本的には以下のとおり実施する。

oプロセス開始申込み後~開始の決定前(①以降、②前まで)

・開始申込み者に対して、既存の接続検討結果等が想定潮流の合理化前の可能性が

あることから、想定潮流の合理化を適用した接続検討の実施及び再度事業性判断

(増強工事費の単独負担可否)をいただくようご案内する。その上でもなお、プロ

セス開始を希望される場合は、広域機関で、プロセスの開始要件に該当するか否か

を確認する。

oプロセス開始の決定後~接続検討回答前(②以降、⑦前まで)

・接続検討において、想定潮流の合理化を適用する。

<新たな空容量が生じる場合>

新たな空容量を含めた空容量内に応募者全員の電源容量が入るか。

Yes→入札対象工事は不要となる。

No →募集要綱にて提示した増強工事に加え、新たな空容量をプロセスで

活用した上で入札対象工事を検討する。

以降は通常フロー。

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o入札後~再接続検討回答前(⑦以降、⑪前まで)

・再接続検討において、想定潮流の合理化を適用する。

<新たな空容量が生じる場合>

Ⅰ 新たな空容量を含めた空容量内に入札者全員の電源容量が入るか。

Yes→入札対象工事は不要となる。以降は通常フロー。

No →Ⅱへ

Ⅱ 入札の成立条件を満たしているか。

Yes→通常フロー。

No →Ⅲへ

Ⅲ 新たな空容量を活用すれば入札者全員が入れる規模縮小案があるか。

Yes→規模縮小案にて、再接続検討を回答。以降は通常フロー。

No →新たな空容量をプロセスで活用。以降は通常フロー。

o再接続検討回答後~工事費負担金補償契約前(⑪以降、⑫前まで)

・原則として、再度の再接続検討の際に、全ての優先系統連系希望者にお知らせの

上、想定潮流の合理化を適用。(上記「入札後~再接続検討回答前(⑦以降、⑪前

まで)」の手続きを実施。ただし、入札者は優先系統連系希望者と読み替え。)

o工事費負担金補償契約以後(⑫以降)

・既に契約済みの案件となることから遡及適用しない。

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第7章 おわりに

今回、現状の供給信頼度や電源運用の自由度を大きく低下させることのない範

囲で、実態をより反映した電源稼働を前提とすることによって想定潮流の合理化

を行うための取組について取り纏めを行った。今後、一般送配電事業者は、原則

として本書における基本的考え方や具体的手法に基づいて、系統アクセス検討を

行っていくものとする。また、本機関は想定潮流の合理化等を踏まえた一般送配

電事業者の系統アクセス検討の結果について、その妥当性を確認していくものと

する。