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関東甲信越地方会及び教育企画 - kktcs.co.jp · 関東甲信越地方会及び教育企画 プログラム・抄録集 水野 有三(公立学校共済組合 関東中央病院

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関東甲信越地方会及び教育企画関東甲信越地方会及び教育企画

プログラム・抄録集

水野 有三(公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科)

2015年3月21日(土・祝)公立学校共済組合

関東中央病院 2階 講堂(〒158-8531 東京都世田谷区上用賀6-25-1)

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ご挨拶

 第61回日本老年医学会関東甲信越地方会にご参加頂き、有り難うございます。この度は、伝統ある本会

の会長を務めさせて頂き誠に光栄に存じます。従来、本会は大学医学部の関連教室あるいはそれに準ずる御

施設により運営されてきました。今回、一般市中病院である我々の手に会の開催が委ねられました事、名誉

な事であると同時に、大変な重責 と感じておりました。翻って考えますと、高齢者医療の実践の場は、多く

の場合、一般市中病院、クリニック、各種高齢者用施設はもとより、一般家庭内にまで及びます。診療科・

職種の壁を越えて学際的、包括的、全人的視点から高齢者を診るのが老年医学だとすれば、東京都23区最

大の高齢者人口を有するこの世田谷区において、在野の立場から地方会を開催する意義も有ると思い至りま

した。

 本会では、老年医学に資する興味深い、あるいは実践的な内容のプログラムにすべく腐心致しました。特

別講演では、病理学的見地から老化を眺めてみるという内容で岡輝明先生に御講演頂きます。ランチョンセ

ミナーでは、骨粗鬆症における病診連携やチーム医療を通して地域での骨折予防に取り組む術(リエゾンサー

ビス)を細井孝之先生にご紹介頂きます。午後の教育講演では稲葉彰先生にパーキンソン病と類縁疾患に関

する基礎から最新の知識までをレビューして頂きます。アフタヌーンセミナーでは、終末期医療、緩和ケア、

在宅医療の分野に精通しておられる佐野広美先生、秋山正子先生に御講演頂くとともに、ディスカッション

の時間をお取りしました。一般演題にも多くの興味深い症例をお寄せ頂き、我々の知見を広げて下さると期

待しています。講演演者、座長の先生方はもとより、お力を貸して頂きました関係者諸氏に深謝致します。

 身の丈に合った学会を目指しましたが、多少背伸びをした感も否めません。学会準備は、不慣れな作業で

あったため、不備も多々有り、ご迷惑をお掛けする事と存じますが、高齢者に接するが如く、寛容の目で見

て下されば幸いです。

 最後に、この世田谷区用賀の地には、徒歩圏内に馬事公苑、砧公園という都内有数の緑に溢れた憩いの場

があります。春になれば、当院は周囲を桜並木で囲まれる恵まれた環境にあります。ここで皆様にお会い出

来ますことを楽しみにしております。

第61回日本老年医学会関東甲信越地方会 会長水野 有三

公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 部長

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用賀駅

小田急線 至 新宿

至 成城

関東中央病院

笹原小学校東

上用賀6丁目

東京IC用賀出口

三本杉陸橋

瀬田

用賀小学校

OKストアバス乗り場

郵便局

東京農業大学

馬事公苑

千歳通り

世田谷通り

東名高速・首都高速玉川通り(

R246)

西用賀通り

環八通り

東急田園都市線

至 渋谷

千歳船橋駅

砧公園改札北口を出て、右奥をエスカレーターで地上へ

南口正面より商店街に入り、突き当たりを左へ、すぐに右へ

バスでのアクセス東急田園都市線「用賀駅」発:東急バス・1番乗り場:用21「関東中央病院」行/用22「美術館」行(約10分)【関東中央病院】下車(正面玄関に到着)

・3番乗り場:等12/用06「成城学園前駅」行(約10~15分)【関東中央病院前】下車徒歩1分

詳細(バス時刻表)はこちらをご確認ください。(http://www.kanto-ctr-hsp.com/access/  )

電車でのアクセス

・東急田園都市線「用賀駅」下車 徒歩25分 バス・タクシーをご利用ください。

・小田急線「千歳船橋駅」下車 徒歩15~20分

関東中央病院 駐車場のご案内・入庫後、2時間まで200円 ・以後30分毎に150円加算※お車でご来場の方は受付にお声かけください。

関東中央病院

交通案内

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参加者へのご案内・単位のご案内

参加受付 参加受付は下記の場所・時間にて開設いたします。場  所 : 関東中央病院 2階 講堂前ホワイエ受付時間 : 9:00~17:00

参加費 1,000円(学生・初期研修医・コメディカルスタッフは無料)

参加証 参加費と引き換えに参加証(ネームカード)をお受け取りのうえ、各自で所属・氏名をご記入ください。学生・初期研修医・コメディカルスタッフの参加者も受付にて参加証をお受け取りのうえ、各自で所属・氏名をご記入ください。会期中、会場では必ずご着用ください(着用がない場合、講演会場にはご入場いただけません)。

抄録集 地方会参加者には、参加受付の際、1冊お渡しいたします。また、別途購入をご希望される方には、1冊1,000円で販売いたします。数に限りがございますのでご了承ください。

単 位 下記の聴講により、日本老年医学会専門医の資格更新のための研修単位が取得できます。

地方会一般演題の聴講 7単位教育講演の聴講 3単位座長・発表者 2単位

懇親会 プログラム終了後、懇親会を開催いたします。是非ご参加ください。場  所:関東中央病院 1階 レストラン参 加 費:無料

関連会議 日本老年医学会関東甲信越地方支部 世話人会 場所:関東中央病院 2階 保健栄養指導室 時刻:12:40~13:10日本老年医学会関東甲信越地方支部 総会 場所:関東中央病院 2階 講堂 時刻:13:10~13:25

参加者へのお願い 撮影及び録音について 講演会場内での撮影及び録音は禁止させていただきます。携帯電話のご使用について  講演会場内での携帯電話のご使用は禁止させていただきます。また、会場内では電源をOFFにするかマナーモードに設定してください。

お呼び出しについて  講演会場内でのお呼び出しはいたしません。参加受付付近に掲示板、伝言板を設置しますので、参加受付までお声かけください。

奨励賞選考委員飯島  節 (国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局)江頭 正人 (東京大学医学部附属病院 総合研修センター)海老原 覚 (東邦大学大学院医学研究科 リハビリテーション医学講座)金子 英司 (東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター)竹本  稔 (千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学講座) (敬称略・50音順)

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座長・演者へのご案内

講演時間 1.指定演題の講演時間は事前にご案内いたしました通りです。2.一般演題の演者一人あたりの講演時間は下記の通りです。   発表:6分   討論:2分3.奨励賞候補演題(奨励賞選考会)の演者一人あたりの講演時間は下記の通りです。   発表:6分   討論:4分4.プログラムの進行に支障のないよう、講演時間は厳守してください。

座長の方へ 1. ご担当セッション開始30分前までに下記の座長受付にお越しいただき、ご担当セッション開始15分前までに会場前方の次座長席にお着きください。

2. 会場進行係はおりますが、セッションの進行は座長にお任せいたします。演者お一人の講演時間を厳守してください。発表順はプログラム記載の通りですが、進行ならびに追加発言・討論等に関しましては座長にご一任いたします。

3. 前のセッションが早く終了した場合は、プログラムに記載されている担当セッションの開始時間までお待ちください。

演者の方へ 1. ご発表セッション開始30分前までに下記のPCセンターにお越しいただき、受付と試写を行ってください。

2.すべてPCでの発表になります。スライド・OHPの使用は出来ませんのでご注意ください。3.発表データの受付について(1) 発表データは、CD-ROM、USBフラッシュメモリ等のメディアに記録してPCセンターに

ご持参ください。対応OSはWindowsのみとなりますので、Macintosh をご使用の場合には必ずPC本体をご持参ください。メディアは、ウイルス定義データを最新のものに更新した状態のセキュリティソフトでメディアにウイルスが感染していないことをご確認の上、ご持参ください。

(2) PCセンターにて、試写・動作確認を必ず行ってください。試写終了後はそのまま会場にお越しいただいて結構です。

(3) PC本体をご持参の場合には、試写・動作確認後、発表の15分前までに会場内の機材卓へPC本体をご提出いただき、接続のチェックを行ってください。講演終了後、機材卓にてPC本体をご返却いたしますので、速やかにお引き取りください。

(4) 操作方法等、ご不明な点がございましたらPCセンタースタッフにお気軽にお問い合わせください。

(5) ご発表データの中に動画・音声がある場合には、パソコン本体のご持参をお奨めいたします。4.ご発表時間の10分前までに会場前方の次演者席にお着きください。5. 発表時間終了の1分前に黄色ランプ、発表時間終了時に赤ランプでお知らせします。発表時間の厳守をお願いいたします。

6. ご登録いただきました抄録は、地方会開催後、日本老年医学会雑誌に「地方会記録」として掲載されます。また、J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)上の≪ジャーナル≫ブロックに「日本老年医学会地方会記録」としてPDF形式で掲載されます。当日までに抄録の修正がございます場合には、Word にて作成いただき、CD-ROM、USBフラッシュメモリ等のメディアに記録して、試写の際に、PCセンターにご提出ください。

座長受付 座長受付は下記の場所・時間にて開設いたします。  場  所 : 関東中央病院 2階 講堂前 欅文庫(図書館)内  開設時間 : 9:00~17:30

PCセンター PC センターは下記の場所・時間にて開設いたします。  場  所 : 関東中央病院 2階 講堂前 欅文庫(図書館)内  開設時間 : 9:00~17:30

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PC発表データ作成についてのお願い

本地方会では、口演発表を全てPCによるプレゼンテーションとさせていただきます。下記の要領で作成したデータをCD-ROMまたはUSBフラッシュメモリでご持参ください。会場設置PCの対応OSはWindowsのみとなりますので、Macintoshをご使用の場合には必ずPC本体をご持参ください。セッションを円滑に進行するために、ご発表データの作成にあたりましては以下の事項をお守りください。

Windows MacintoshPC本体のご持参 ○ ○メディアのご持参(CD-ROM/USBメモリ) ○アプリケーション PowerPoint 2007/2010/2013動画ソフト Windows Media Player*Macintosh の場合は必ずPC本体をご持参ください。

【メディアをご持参の場合】■使用OSとアプリケーションO S :Windows 7アプリケーション :PowerPoint 2007/2010/2013

■画面サイズ(解像度)XGA(1024×768)となります。この環境で画面の全てが不具合無く表現される事を予めご確認ください。

■フォントWindowsに標準搭載されているフォントのみ使用可能です。【使用可能フォント】

・ ・ ・ ・Times New Roman・Arial・Arial Black・Arial Narrow・Century・Century Gothic・Courier New・Georgia上記以外のフォントを使用した場合、文字や段落のずれ、文字化け、文字が表示されない等のトラブルが起こる可能性があります。

■ファイル名ファイル名は「演題番号 _氏名.ppt(x)」としてください。

■動画について動画をご使用される場合はご自身のPC本体のご持参を推奨いたします。ご発表データ内で動画を使用する場合には、Windows Media Player の初期状態に含まれるコーデックで再生できる動画データ(動画データWMV形式推奨)に限定いたします。

■音声について音声の出力は可能です。データ登録の際に必ずお知らせください。

■リンクについてのご注意ご発表データに、他のデータ(画像・グラフ等)をリンクしている場合には、必ず1つのフォルダにそのリンクデータを保存していただき、事前に動作確認をお願いします。

■データの消去についてサーバーにコピーさせていただいたデータは、発表終了後に責任を持って完全に消去いたします。

【PC本体をご持参の場合】■電源についてACアダプターを必ずご持参ください。バッテリーでの使用はトラブルの原因になります。

■液晶プロジェクターへの接続液晶プロジェクターへの接続はミニD-sub15ピン3列コネクター(通常のVGA端子)のみとさせていただきます。それ以外の接続端子はお受けできませんのでご注意ください。ご持参いただくPCによっては、専用のコネクターが必要になる場合がございます。変換コネクターが必要な場合には必ずご持参ください。

■バックアップデータご持参のお願いご持参いただくPCに保存されているご発表データの損失に備え、CD-RまたはUSBフラッシュメモリでご発表データのバックアップをご持参ください。また、当該バックアップは発表時にも携行してください。(ご発表中、ご持参のPCにトラブルが生じた場合、バックアップデータを使用して対応いたします。)

【共通のご案内】■会場での発表について演台上には、液晶モニター、キーパッド、マウスが用意されております。登壇と同時にスライドショーの1枚目を投映いたしますので、その後の操作は演者ご自身で行ってください。なお、オペレーターによる操作をご希望の方は、試写の際にお申し出ください。

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演題発表時における利益相反(COI)状態の開示について

開示対象 本地方会で演題を発表する全ての筆頭演者は、利益相反の有無にかかわらず、発表時にその開示を行う必要があります。

開示方法 開示用スライドは、下記のスライド見本(スタイルの変更は可)に準じて作成してください。演題発表の際、作成した開示用スライドをご発表データ(スライド)の1枚目に入れて、利益相反について開示してください。

※申告すべき利益相反(COI)状態がない場合のスライド見本

CO I

※申告すべき利益相反(COI)状態がある場合のスライド見本

CO I

利益相反に関して 利益相反(COI)についての詳細は日本老年医学会ホームページ「利益相反」ページをご確認ください。http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/coi/index.html

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会場案内図

懇親会レストラン

1階

2階

7階

講演会場講堂

世話人会保健栄養指導室

企業展示・休憩室食堂・談話室

参加受付

看護学生控室

PCセンター欅文庫

本部応接室

コンビニ

正面玄関

※地方会当日は祝日のため正面玄関からはご入館いただけません。

タクシー乗り場 バス停

…入館経路

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講演会場関東中央病院 2階 講堂 世話人会・懇親会会場

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

3月21日(土・祝)

奨励賞表彰式・閉会挨拶

Ⅵ.循環器・腎臓・消化器座長:神﨑 恒一(杏林大学医学部 高齢医学)

Ⅴ.奨励賞選考会座長:金子 英司(東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター)     海老原 覚(東邦大学大学院医学研究科 リハビリテーション医学講座)

Ⅳ.代謝内分泌・栄養座長:小林 一貴(千葉大学大学院医学研究院 地域災害医療学寄附講座)

アフタヌーンセミナー「その人らしい最期を支える」

演者:佐野 広美(医療法人財団慈生会 野村病院 診療部科長 緩和ケア部門長 緩和ケア内科)   秋山 正子( 株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション 統括所長・

暮らしの保健室 室長・NPO法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長)座長:辻 彼南雄(水道橋東口クリニック 院長)共催:株式会社三和化学研究所

教育講演「パーキンソン病と類縁疾患:診断と治療の進歩」

演者:稲葉  彰(公立学校共済組合 関東中央病院 神経内科 医長)   座長:水野 有三(公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 部長)

関東甲信越地方支部 総会

ランチョンセミナー「超高齢化社会における骨折予防をめざす骨粗鬆症の診療

~他職種連携の意義と実践にむけて~」演者:細井 孝之(医療法人財団健康院 健康院クリニック 副院長・予防医療研究所 所長)座長:林  泰史(東京都リハビリテーション病院 前院長)共催:小野薬品工業株式会社

特別講演「病理解剖からみたヒトの老化の形態学~呼吸器の老化を中心に~」

演者:岡  輝明(公立学校共済組合 関東中央病院 病理科 部長)座長:杉本 恒明(公立学校共済組合 関東中央病院 名誉院長/東京大学 名誉教授)

Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液座長:山本  寛(東京都健康長寿医療センター 呼吸器内科)

Ⅱ.神経・精神座長:櫻井 博文(東京医科大学 高齢総合医学分野)

Ⅰ.老年症候群・看護・介護座長:浦野 友彦(東京大学医学部附属病院 老年病科)

開会挨拶

懇親会関東中央病院 1 階 レストラン

関東甲信越地方支部 世話人会関東中央病院 2 階 保健栄養指導室

21~25

16~20

12~15

AS1~AS2

EL

LS

SL

9~11

6~8

1~5

17:52~18:00

17:12~17:52

16:22~17:12

15:50~16:22

14:25~15:40

13:25~14:15

13:10~13:25

12:00~12:50

11:00~11:50

10:34~10:58

10:10~10:34

9:30~10:109:20~9:30

18:00~19:30

12:40~13:10

日程表

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会  長 水野 有三 (公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 部長)

実行委員 宮尾益理子 (公立学校共済組合 関東中央病院 健康管理科 部長)

須藤 紀子 (公立学校共済組合 関東中央病院 健康診断科 部長)

佐田  晶 (公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 医長)

鶴谷 悠也 (公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 医長)

岩端 直子 (公立学校共済組合 関東中央病院 メディカルクラーク)

事 務 局 林田 直樹 (アクセスブレイン)

第61回日本老年医学会関東甲信越地方会 実行委員会

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プログラム

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3月21日(土・祝) 講演会場 講堂

3月 21日(土・祝) 講演会場 講堂

開会挨拶 9:20~9:30

Ⅰ.老年症候群・看護・介護 9:30~10:10

座長:浦野 友彦(東京大学医学部附属病院 老年病科)

1 「高齢アルツハイマー病患者のフレイルと酸化ストレスマーカー」東京医科大学病院 高齢診療科廣瀬 大輔,畑中 啓邦,波岡 那由太,深澤 雷太,山川 仁子,佐藤 友彦,高田 祐輔,羽生 春夫

2 「改善困難な在宅患者褥瘡に黄耆建中湯と人参養栄湯が奏効した症例」東京医科大学病院 高齢診療科1),関東中央病院 神経内科2),岡本メモリクリニック3),東京医科大学病院 麻酔科4),長岡技術科学大学工学部 生物系医用生体工学教室5)

高崎 朗1),織茂 智之2),服部 亮3),波岡 那由太1),高田 祐輔1),平尾 健太郎1),福本 一朗5),矢数 芳英4),羽生 春夫1)

3 「褥瘡のエコー診断について―当院における施行例―」関東中央病院 皮膚科1),関東中央病院 看護部2),関東中央病院 臨床検査部3)

梅原 嘉一1),三浦 俊介1),吉村 順子1),鑑 慎司1),日野 治子1),井本 俊子2),石川 扶貴子2),金杉 貴幸3)

4 「胃切後の嚥下性肺炎患者に内視鏡的胃管空腸留置が有効であった一例」博仁会第一病院 内科1),博仁会第一病院 外科2),群馬大学医学系研究科 総合医療学3)

田村 耕成1),戸塚 統2),佐藤 和徳2),田村 遵一3)

5 「セルフネグレクトによる高度肥満のため廃用をきたした一例」東京医科歯科大学 老年病内科佐伯 浩介,佐々木 真理,馬渕 卓,泉本 典彦,豊島 堅志,阿部 庸子,金子 英司,下門 顕太郎

Ⅱ.神経・精神 10:10~10:34

座長:櫻井 博文(東京医科大学 高齢総合医学分野)

6 「頚部血管雑音を契機として診断し得た椎骨動静脈瘻の1例」防衛医科大学校病院 神経・抗加齢血管内科1),所沢ハートセンター2)

石塚 麻菜美1),西田 尚史1),小松 知広1),綾織 誠人2),遠藤 康弘1),佐々木 誠1),池脇 克則1)

7 「当院で経験した脳幹型PRES 2症例についての検討」公立学校共済組合 関東中央病院 神経内科蝦名 潤哉,高橋 真,平田 浩聖,佐々木 美幸,北薗 久雄,吾妻 玲欧,稲葉 彰,織茂 智之

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3月21日(土・祝) 講演会場 講堂

8 「失行と意識障害で発見された頭蓋内リンパ腫の2例」杏林大学 高齢医学三ツ間 小百合,輪千 督高,長田 正史,新井 さおり,竹下 実希,井上 慎一郎,松井 敏史,長谷川 浩,神﨑 恒一

Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液 10:34~10:58

座長:山本 寛(東京都健康長寿医療センター 呼吸器内科)

9 「突然の痙攣と意識障害をきたした副鼻腔原発悪性リンパ腫80代男性の1例」東京医科大学 高齢総合医学講座1),東京医科大学 分子病理学講座2)

畑中 啓邦1),清水 聰一郎1),久米 一誠1),仲矢 丈雄2),峯尾 松一郎2),黒田 雅彦2),羽生 春夫1)

10 「シェーグレン症候群を合併し、血清反応陰性高齢発症関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症の鑑別に苦渋した一例」東京大学医学部附属病院 老年病科西脇 唯,秋好 沢諭,木棚 究,石井 正紀,浦野 友彦,小川 純人,秋下 雅弘

11 「急性冠症候群を合併し診断に苦慮した慢性特発性好酸球性肺炎の1例」東京大学 老年病科福井 辰侑,山賀 亮之介,高山 賢一,浦野 友彦,山口 泰弘,小川 純人,秋下 雅弘

特別講演 11:00~11:50

「病理解剖からみたヒトの老化の形態学 ~呼吸器の老化を中心に~」座長:杉本 恒明(公立学校共済組合 関東中央病院 名誉院長�東京大学 名誉教授)

公立学校共済組合 関東中央病院 病理科 部長SL 岡 輝明

ランチョンセミナー 12:00~12:50

「高齢者における骨折予防―骨粗鬆症の診断と治療 update」座長:林 泰史(東京都リハビリテーション病院 前院長)

医療法人財団健康院 健康院クリニック 副院長・予防医療研究所 所長LS 細井 孝之

共催:小野薬品工業株式会社

関東甲信越地方支部 総会 13:10~13:25

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3月21日(土・祝) 講演会場 講堂

教育講演 13:25~14:15

「パーキンソン病と類縁疾患:診断と治療の進歩」座長:水野 有三(公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科 部長)

公立学校共済組合 関東中央病院 神経内科 医長1),公立学校共済組合 関東中央病院2)

EL 稲葉 彰1),高橋 真2),北薗 久雄2),吾妻 玲欧2),平田 浩聖2),佐々木 美幸2),織茂 智之2)

アフタヌーンセミナー 14:25~15:40

「その人らしい最期を支える」座長:辻 彼南雄(水道橋東口クリニック 院長)

AS1 「地域連携により「その人らしさ」を支える緩和ケア病棟の活動」医療法人財団慈生会 野村病院 診療部科長 緩和ケア部門長 緩和ケア内科佐野 広美

AS2 「その人らしい最期を支える」株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション 統括所長・暮らしの保健室 室長・NPO法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長秋山 正子

共催:株式会社三和化学研究所

Ⅳ.代謝内分泌・栄養 15:50~16:22

座長:小林 一貴(千葉大学大学院医学研究院 地域災害医療学寄附講座)

12 「糖質制限による減量効果および脂質プロフィールの著明な改善がみられた症例の検討」田岡病院 内科1),中村整形外科クリニック2)

板東 浩1),中村 巧2)

13 「強化インスリン療法からDPP�4阻害薬を加えたBOT療法に変更し良好な血糖コントロールを得た高齢2型糖尿病の一例」東京都保健医療公社 豊島病院 内分泌代謝内科1),東京都心身障害者福祉センター2),東京医科歯科大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌・代謝内科3)

安東 環1),堀内 敏行2),大橋 忠将1),竹川 幸男1),宇根 直子1),岩嶋 富美子1),小川 佳宏3)

14 「肝硬変合併高齢者糖尿病患者におけるDPP�4阻害薬リナグリプチンの安全性・有効性の検討」船橋市立医療センター 代謝内科下山 立志,中村 俊介,岩岡 秀明

15 「リラグルチド併用によりインスリンを大幅に減量しえたウェルナー症候群の一例」千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学山本 雅,藤本 真徳,井出 真太郎,井上 宏美,石川 耕,小林 一貴,竹本 稔,横手 幸太郎

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3月21日(土・祝) 講演会場 講堂

Ⅴ.奨励賞選考会 16:22~17:12

座長:金子 英司(東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター)

海老原 覚(東邦大学大学院医学研究科 リハビリテーション医学講座)

16 「高齢糖尿病患者におけるBody mass index と背景因子の関連性の性差―断面調査による検討―」日本医科大学 老年内科1),山形大学医学部 第三内科2),獨協医科大学医学部 薬理学講座3),昭和大学医学部 内科学講座(糖尿病・代謝・内分泌内科学部門)4),大洗海岸病院コアクリニック5)

三枝 太郎1),渡邉 健太郎2),大内 基司3),小原 信4),鈴木 達也1),大庭 建三5),加藤 丈夫4),安武 正弘1)

17 「PET�CTが診断に有用であった、自覚症状の不明瞭なリウマチ性多発筋痛症の一例」公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科角元 利行,鶴谷 悠也,近藤 真衣,長谷部 正紀,佐田 晶,宮尾 益理子,水野 有三

18 「呼吸不全にて死亡したレビー小体型認知症の1剖検例」東京医科大学病院 高齢診療科1),東京医科大学 分子病理学分野2),東京都健康長寿医療センター バイオリソースセンター 神経病理3)

廣瀬 大輔1),清水 聰一郎1),深澤 雷太1),沖田 美佐1),馬原 孝彦1),山田 郁子2),村山 繁雄3),羽生 春夫1)

19 「水疱性類天疱瘡を認めた2型糖尿病患者の特徴について」東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科1),東京都健康長寿医療センター 皮膚科2)

小寺 玲美1),千葉 優子1),坪井 由紀1),佐藤 謙1),金原 嘉之1),田村 嘉章1),種井 良二2),森 聖二郎1),井藤 英喜1),荒木 厚1)

20 「器質化血栓による静脈還流不全と自律神経障害により頻回の失神をきたしたレビー小体型認知症の一例」東京都健康長寿医療センター 循環器内科齋藤 義弘,小松 俊介,杉江 正光,田中 旬,石山 泰三,石川 譲治,武田 和大,坪光 雄介,藤本 肇,原田 和昌

Ⅵ.循環器・腎臓・消化器 17:12~17:52

座長:神﨑 恒一(杏林大学医学部 高齢医学)

21 「高齢入院患者における多剤処方の実態調査と、降圧薬処方適正化の試み」青梅慶友病院渡辺 由貴子,木村 満,小林 龍一郎,氏原 千寿子,大塚 太郎

22 「肺動脈性肺高血圧症に大動脈弁狭窄症を合併した一例」関東中央病院 循環器内科松岡 良,沼尾 嘉美,澤田 直子,齊藤 暁人,杉下 靖之,吉玉 隆,田部井 史子,伊藤 敦彦,野崎 彰,山下 尋史

23 「糞便性イレウスから腹部コンパートメント症候群に陥った慢性腎不全の1例」新潟大学 腎・膠原病内科金子 佳賢,成田 一衛

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3月21日(土・祝) 講演会場 講堂

24 「脾動脈-左腎静脈シャントによる高アンモニア血症に対しB�RTOを施行した症例」杏林大学医学部 高齢医学井上 慎一郎,竹下 実希,船曳 茜,高附 里江,三ツ間 小百合,輪千 督高,小原 聡将,松井 敏史,長谷川 浩,神﨑 恒一

25 「化学療法にて長期生存が得られていたが、腹膜播種により消化管穿孔をきたした膵癌の1例」公立学校共済組合 関東中央病院 消化器内科鈴木 辰典,渡邉 健雄,外川 修,中村 知香,西畠 瑞希,三井 達也,後藤 絵理子,磯村 好洋,瀬戸 元子,小池 幸宏

奨励賞表彰式・閉会挨拶 17:52~18:00

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抄 録

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特別講演

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………SL 特別講演

「病理解剖からみたヒトの老化の形態学 ~呼吸器の老化を中心に~」公立学校共済組合 関東中央病院 病理科 部長

岡 輝明

老化は加齢にともなう臓器・組織の形態変容とそれに対する適応現象と見え、その主な形態学的表現は実質細胞の委縮・減少、支持組織の変容、消耗色素やアミロイド物質などの沈着などである。しかし、栄養状態や生活環境などの要因によってその形態変容は一様ではなく、個体差がある。病理解剖は、ヒトの疾病の形態変容の解析作業である。同類の形態変化を病気の特徴と考えて類型を作り、質的判断をしている。しかし、個体の病気はひとつとして同じものはない。この微妙なゆらぎの把握が小さな発見につながることが少なくない。また、病理解剖は病気に侵された臓器の観察と同時に、許容される範囲でそのほかのすべての臓器、組織の観察を行い、個体の全貌を把握しようと努める。病気の形態変化は見えにくいものもあるが、多くは劇的である。しかし、老化や個体差といった病気以外の形態変容は臓器、組織のあえかなつぶやきに真摯に耳を傾けないと見落してしまう。得意な領域や興味のある臓器だけでなく、目の前に展開している形あるものすべてに等しく関心をもつことが求められる。しかも、これらの作業はルーチンワークに堕してはならない。経文を唱え続ける修行のごときものであり、評価はされにくい。しかし、形態学者にとって対象物の観察は苦行ではなく、楽しみである。演者は学びの途上にある一形態学徒にすぎないので学問的に深い内容の話はできようもないが、これまでの観察の一端をご覧にいれ、諸賢の批評をいただき、同時に病理解剖の医学における意義を考える機会としたいと考えている。

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特別講演

岡 輝明

【略歴】昭和 54 年 3 月 岩手医科大学医学部 卒業昭和 54 年 4 月 東京大学医学部 病理学教室昭和 59 年 7 月 国立病院医療センター 臨床検査科 病理検査室室長平成 1年 10 月 国立療養所東京病院 臨床検査科科長平成 2年 4月 東京大学医学部 病理学教室助手平成 10 年 4 月 東京大学大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 人体病理学教室講師平成 11 年 8 月 公立学校共済組合 関東中央病院 病理科部長

現在に至る

【専門分野】病理形態学、病理解剖学

【所属学会など】日本病理学会(評議員)日本臨床細胞学会(評議員)東京都臨床細胞学会(副会長)日本呼吸器学会(代議員)日本画像医学会(評議員)中央環境審議会 環境保健部会 石綿健康被害判定小委員会(委員)

【賞など】日本臨床細胞学会東京都支部功労賞The best doctors in Japan 2012�2013, 2014�2015

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教育講演

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………EL 教育講演

「パーキンソン病と類縁疾患:診断と治療の進歩」公立学校共済組合 関東中央病院 神経内科 医長1),公立学校共済組合 関東中央病院2)

稲葉 彰1),高橋 真2),北薗 久雄2),吾妻 玲欧2),平田 浩聖2),佐々木 美幸2),織茂 智之2)

パーキンソン病は中脳黒質のドパミンニューロンの変性脱落により、緩徐進行性に振戦、筋強剛、動作緩慢、姿勢反射障害をきたす神経変性疾患で、脳幹を中心にレビー小体の沈着が認められる。レビー小体型認知症は、認知症にパーキンソニズムを伴い、繰り返す幻視、症状の変動がみられ大脳を中心にレビー小体が沈着する。パーキンソン病では上記の運動症状のほか、非運動症状として起立性低血圧、便秘などの自律神経症状、

嗅覚障害、レム睡眠行動異常症(RBD)、抑うつなどが見られることがあり、しかもこれらは運動症状の発現以前に出現していることがあり注目されている。パーキンソン病と鑑別が必要な疾患は、神経変性疾患として進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、皮質基底

核変性症などがあり、症候性パーキンソニズムとして正常圧水頭症、脳血管性障害、薬剤性パーキンソニズムなどがある。パーキンソン病の診断は基本的には臨床経過と神経所見によるが、さらに画像検査などの補助検査がより

正確な診断のために役に立つ。画像診断法として頭部MRI では通常の撮像法ではパーキンソン病は通常、脳萎縮などの異常を認めない。

進行性核上性麻痺では中脳の萎縮、多系統萎縮症では被殻外側や、橋・小脳の萎縮と異常信号、皮質基底核萎縮症では大脳皮質の限局性萎縮が認められる。正常圧水頭症では側脳室の拡大、高位円蓋部のくも膜下腔・脳溝の狭小化、シルビウス裂の拡大に加え、脳梁角の狭小化が特徴である。3 Tesla MRI を用いると中脳黒質と青斑核のメラニンを画像化することができ、パーキンソン病ではメラニンの密度の低下が認められる。核医学検査では、MIBG心筋シンチグラフィを用いるとパーキンソン病やレビー小体型認知症では発症早

期から心筋での取り込み低下が見られる一方、他のパーキンソニズムや認知症をきたす疾患では取り込み低下が見られず鑑別診断の有力な検査と考えられる。脳血流 SPECTではパーキンソン病やレビー小体病では後頭葉での血流低下が見られることがある。最近保険適応となったDAT scan は、ドパミンニューロン終末のドパミントランスポーターの機能を評価

する検査法である。パーキンンソン病やレビー小体型認知症では運動症状側優位に集積の低下が見られ、アルツハイマー病などの他の認知症の鑑別や病態評価に有用である。ただし進行性核上性麻痺や多系統萎縮症など大脳基底核が障害される疾患でも異常をきたすため注意が必要である。パーキンソン病の治療は運動症状に対する薬物療法と起立性低血圧や認知症状などの非運動症状に対する

治療に分けられる。運動症状に対しては L�Dopa を中心にドパミンアゴニストなどを追加していく。進行期になると抗パーキンソン病薬の血中濃度変動に伴う症状の変動(wearing off やジスキネジア)が問題となり、近年では持続的なドパミン刺激(Continuous dopaminergic stimulation)という概念が広まりドパミンアゴニストを中心に長時間安定した血中濃度を維持できる薬物が利用できるようになっている。パーキンソン病やレビー小体型認知症の認知症状には、これまでアルツハイマー型認知症に保険適応の

あったコリンエステラーゼ阻害薬が利用可能となったが、通常用量では過敏反応をきたす例があることに注意が必要である。

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教育講演

稲葉 彰

【略歴】昭和 63 年 3 月 25 日 高知医科大学(現、高知大学)医学部 卒業昭和 63 年 6 月 1日 東京医科歯科大学医学部附属病院 神経内科医員(研修医)平成 1年 1月 1日 長野県厚生連リハビリテーションセンター鹿教湯病院 内科平成 1年 7月 1日 東京医科歯科大学医学部附属病院 神経内科医員(研修医)平成 2年 1月 1日 東芝林間病院 内科平成 3年 4月 1日 東京医科歯科大学医学部附属病院 神経内科医員平成 4年 4月 1日 東京都立神経病院 神経内科平成 6年 4月 1日 東京医科歯科大学医学部附属病院 検査部医員平成 8年 4月 1日 東京医科歯科大学医学部附属病院 検査部文部科学教官助手平成 16 年 4 月 1日 中野総合病院 神経内科医長平成 18 年 4 月 1日 横須賀共済病院 神経内科部長平成 20 年 10 月 1 日 関東中央病院 神経内科医長

【専門分野】神経内科学臨床神経生理学

【所属学会】日本内科学会(認定内科医)日本神経学会(学会専門医)日本臨床神経生理学会(認定医)日本自律神経学会

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ランチョンセミナー

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………LS ランチョンセミナー

「高齢者における骨折予防―骨粗鬆症の診断と治療 update」医療法人財団健康院 健康院クリニック 副院長・予防医療研究所 所長

細井 孝之

骨粗鬆症は加齢とともに罹患者が増加する代表的な疾患の一つであり、それに起因する骨折は日常活動度や生活の質を低下させるのみならず、生命予後をも悪化させる。本疾患は老年症候群の主要な要素として捉えられるが、さらにはロコモティブシンドロームの中でも重要な位置をしめている。わが国における骨粗鬆症診療関連のガイドラインは、1998 年に発行された「骨粗鬆症の治療(薬物療法)

のガイドライン」が最初のものである。EBMに基づいて作成される診療ガイドラインとしては草分けの一つであったと思われる。1998 年版とその改訂版である 2002 年版は治療、とくに薬物療法に関するエビデンスをまとめることに重点が置かれていたが、2006 年版の作成に際し、骨粗鬆症の予防も重要な柱の一つとし、タイトルも「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」と改められさらなる内容の充実がはかられた。2006年版では各薬剤に関するまとめはもとより、非薬物療法すなわち食事療法や運動療法についてもエビデンステーブルが整備され、それらに基づいた推奨グレードも提示され、この方針は 2011 年版においても踏襲された。1998 年版の作成母体は折茂肇先生を主任研究者とする厚生労働科研費の研究班であったが、その後は日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、財団法人骨粗鬆症財団の 3者からなるアドホック委員会としての骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会の体制が確立された。現在進められている改訂作業も、上記 3団体からの代表からなる学際的な委員会で行われている。本年春に発行が予定されている今回の改訂版では、①骨粗鬆症の病態に関する知見をアップデートすること、②改訂された原発性骨粗鬆症の診断基準や骨代謝マーカーの適正使用ガイドなどの内容を反映させること、③骨粗鬆症治療薬についてアップデートすること、④医療経済に関する記載を充実させること、などを柱に作業が進められている。なお、エビデンスレベルと推奨グレードについての表記方法は変更しないことになっている。本セミナーでは、骨粗鬆症に関する診断と治療について、ガイドライン改訂の方向性を踏まえて解説する

予定である。

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ランチョンセミナー

細井 孝之

【専門分野】老年医学、抗加齢医学、骨粗鬆症などの骨代謝疾患、内科特に内分泌・代謝疾患

【略歴】1981 年千葉大学医学部医学科卒業。東京大学医学部第 3内科、米国バンダービルト大学医学部血液研究部門、東京大学医学部老年病学講師、東京都老人医療センター内分泌科部長、国立長寿医療研究センター臨床研究推進部長を経て、2013 年 8 月より医療法人財団健康院 健康院クリニック副院長。2014 年 8 月 1日医療法人財団健康院 予防医療研究所所長兼任。現在に至る。

医療法人財団健康院 理事日本骨粗鬆症学会 理事同学会骨粗鬆症リエゾンサービス委員会ワーキンググループ長同学会A�TOP研究会運営委員

公益財団 骨粗鬆症財団 理事

医学博士(東京大学)東京大学医学部老年病学教室非常勤講師(平成 10 年 4 月 1日~現在)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版作成委員(事務局長)東京骨を守る会世話人

【受賞】神澤(かんざわ)医学賞1996 年度日本骨代謝学会奨励賞 2002 年度日本骨代謝学会学術賞 その他

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アフタヌーンセミナー「その人らしい最期を支える」

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………AS1 アフタヌーンセミナー

「地域連携により「その人らしさ」を支える緩和ケア病棟の活動」医療法人財団慈生会 野村病院 診療部科長 緩和ケア部門長 緩和ケア内科

佐野 広美

「ホスピスなのに患者さんを退院させるんですか?」今から 3年前、当緩和ケア病棟開設間もない頃、患者の退院に当たり、担当ケアマネージャーに連絡を入れた際の言葉に驚かされた(相手も驚いたのだろうが)。私たちの緩和ケア病棟は、一般病棟での緩和ケア実践から構築してきた密な地域連携を継続する形で、平成 23 年 12 月に開設した。在宅患者の療養支援を活動の主目的とし、24 時間緊急受け入れ、入院後の在宅復帰支援を積極的に行っている。入院患者は 90%が在宅から、40%が緊急入院、入院後の自宅退院率は40%である。当院は在宅診療部門を持たないので、これらは地域の在宅関連機関との密な連携から成り立っている。3年間の連携在宅診療機関は 60 を超え、緩和ケア病棟退院時の在宅医との連携率は 85%に達する。冒頭 3年前の出来事を乗り越え、今や患者が入院すると、地域の訪問看護師やケアマネージャー、ときに

在宅医までもが気軽に病棟に立ち寄り、私たちと患者・家族の情報交換をすることは日常的になっている。そして患者にも「また帰ってきてね、待ってますよ、私たちがいるから大丈夫。」と声をかけてくださる。ホスピスというとやや閉鎖的なイメージもあるが、最近は多くの施設でこのような在宅関係者との交流が少しずつ進んできている。入院希望者の増加、診療報酬上の問題などの社会的背景からホスピス・緩和ケア病棟でも入院期間短縮が求められる時代となった。しかし、本来何故退院するのか?自宅にこそある「その人らしさ」のためではないだろうか。そして、その在宅療養と「その人らしさ」を支えるのが地域連携であり、地域の力である。私たちの地域の力、連携の力は確実に上がってきている。それを示す数字として、緩和ケア病棟退院後在

宅医により自宅看取りができた症例数の増加(平成 24 年度 11 名、25 年度 30 名、26 年度途中 20 名)があり、このなかには独居者 7名、65 歳以上の高齢者夫婦世帯 15 名が含まれている。また、緩和ケア病棟申込後入院せずに亡くなられた患者のうち、在宅医により自宅看取りができた症例の割合の増加(平成 24 年度16%、25 年度 35%、26 年度途中 44%)にも着目した。当院の役目は入院エントリーだけであったにも関わらず「もしものときに入れるという安心感があったから頑張れました。」という声をいただくことがたびたびある。多くの在宅関連機関との密な連携が当院の自宅退院率を支え、当院の 24 時間救急受入体制が少しでも安心できる自宅療養や自宅看取りの増加に寄与していると考える。自宅か病院か、考えることは大事だが決める必要はない。地域のなかで「その人らしさ」を支える一員と

して、病院も是非仲間に入らなければいけない。そんな活動をしている緩和ケア病棟をご紹介させていただきます。

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アフタヌーンセミナー「その人らしい最期を支える」

佐野 広美

【略歴】昭和 60 年 3 月 群馬大学医学部 卒業昭和 60 年 6 月 東京大学医学部附属病院 第三外科平成 4年 4月 青梅市立総合病院 外科平成 11 年 11 月 東京都職員共済組合青山病院 外科平成 17 年 4 月 医療法人財団慈生会野村病院 外科平成 23 年 12 月 同院にて緩和ケア病棟開設 緩和ケア内科部門長現在に至る

【専門分野】緩和ケア医療

【所属学会】日本緩和医療学会(暫定指導医)日本外科学会(専門医)日本消化器外科学会(認定医)日本消化器内視鏡学会(専門医)日本生命倫理学会日本臨床倫理学会

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アフタヌーンセミナー「その人らしい最期を支える」

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………AS2 アフタヌーンセミナー

「その人らしい最期を支える」株式会社ケアーズ 白十字訪問看護ステーション 統括所長暮らしの保健室 室長NPO法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長

秋山 正子

地域包括ケアの推進が、国を挙げて叫ばれている。死の病院化が進み、8割の人々が病院で亡くなる時代の中、これからは在宅ケアの時代、在宅での看取り

も推進されているがなかなか進んでいない。その「在宅」の概念も単なる自宅という考え方ではなく生活する場としての広がりを見せている。患者と家族の意思決定に基づく選択とはほど遠い、病状の認識の不十分な状態での「病院から追い出され

た」というマイナスの感情をもった状態での看取りも見受けられる。つまり、放り出された感の中での、在宅ケアの選択と看取りに向かう道程が結構増えてきていて、在宅ケアが始まってから、意思確認を含んだアプローチを、医師を交えてしなくてはならないことも多くなった。超高齢化社会の突入に伴い、独居高齢者のターミナルステージ、認知症とがんの併発例や、介護者が認知

症など、困難に感じる背景を持つ事例も増えている。たとえ一人暮らしであっても、その人らしく暮らした生活の場での人生の終わりをどう支援するか?でき

れば、重装備にならずに終末期が過ごせたらどんなに良いかと思うこのごろである。高齢化の進んだ団地の中に開いた「暮らしの保健室」での勉強会事例などを参考に、重装備にせずに終末期を支援し、ひいては看取りの出来るまちづくりへの発展へと繋がれたらと願っている。重度になってからの対応ではなく、予防から看取りまで、もっともっと地域に情報を発信し、人々の生き

る意欲を促し、穏やかな過程を経て人生を終えるところまで支援できることを実現できると信じてやまない。

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アフタヌーンセミナー「その人らしい最期を支える」

秋山 正子

【略歴】秋田県生まれ。1973 年聖路加看護大学卒業。関西にて臨床及び看護教育に従事。実姉の末期がんの看取りを経験時に、在宅ホスピスケアに出会い 1992 年から東京都新宿区にて訪問看護を開始。2001 年母体法人の解散に伴い会社設立。現在株式会社ケアーズ代表取締役、白十字訪問看護ステーション統括所長として、新宿区及び東久留米市にて訪問看護・居宅介護支援・訪問介護の 3事業を展開。2011 年高齢化の進む巨大団地に暮らしの保健室開設。四谷坂町に看護小規模多機能(複合型)ミモザの家を準備中。

【著書】「家で死ぬこと考えたことありますか?」 2012 年 (保健同人社)「在宅ケアのはぐくむ力」 2012 年 (医学書院)「在宅ケアのつながる力」 2011 年 (医学書院)「在宅ケアの不思議な力」 2010 年 (医学書院)など

【受賞】2009 年(平成 21 年)11 月 社会貢献支援財団「平成 21 年度 社会貢献者」表彰2012 年(平成 24 年) 4月 第 8回ヘルシー・ソサエティ賞

【役職】株式会社ケアーズ 代表取締役・白十字訪問看護ステーション 統括所長特定非営利活動法人 白十字在宅ボランティアの会 理事長新宿区介護サービス事業者協議会 副会長東京都在宅療養推進会議 委員東京都看護職員需給見通し策定検討会 委員など

異名は「市谷のマザー・テレサ」。2010 年 3 月 NHKプロフェッショナル仕事の流儀に訪問看護師秋山正子として取り上げられる。イギリスのマギーズセンターに出会い、がん患者と家族のための新しい相談支援の形を模索。現在maggie’sTokyo project(2014 年 9 月)の共同代表を勤める。2011 年高齢化の進む団地に「暮らしの保健室」を開設。住民の健康や介護に関する相談に応じ、地域医療連携にも関与している。2014 年 9 月 NHKスペシャルにて「新宿“人情”保健室」としてドキュメントされる。

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Ⅰ.老年症候群・看護・介護

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………1 Ⅰ.老年症候群・看護・介護

「高齢アルツハイマー病患者のフレイルと酸化ストレスマーカー」東京医科大学病院 高齢診療科

廣瀬 大輔,畑中 啓邦,波岡 那由太,深澤 雷太,山川 仁子,佐藤 友彦,高田 祐輔,羽生 春夫

【目的】高齢者の認知症患者は、非認知症患者と比べて老年症候群を高率に合併する。今回、高齢のアルツハイマー病(AD)患者を対象に酸化ストレスマーカーを測定し、認知症とフレイルの関連について検討した。【対象】当科外来通院中の高齢AD患者 48 例(平均年齢 81 歳、男性 22 例、女性 26 例)を対象とした。フレイルは、体重減少、筋力低下、疲労、歩行速度の低下、身体活動の低下(Obu study の改変基準)のうち3項目以上をフレイル、1~2項目をプレフレイル、0項目をフレイルなしとした。酸化ストレスマーカーはdROM(血液中の酸化性生物ヒドロペルオキシド量を反映)とBAP(塩化第二鉄の還元能を反映)を測定し、BAP�dROMを抗酸化予備能とした。【結果】dROMはプレフレイル群とフレイル群で有意に高値であり、BAPはフレイル群で低下した。BAP�dROMはフレイルなし群>プレフレイル群>フレイル群となり、フレイル群では酸化ストレスマーカーが亢進した。【結論】高齢のAD患者では、フレイルと酸化ストレスマーカーとの関連が示唆され、ADとフレイルは、酸化ストレスという観点から共通する病態が含まれると考えられた。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………2 Ⅰ.老年症候群・看護・介護

「改善困難な在宅患者褥瘡に黄耆建中湯と人参養栄湯が奏効した症例」東京医科大学病院 高齢診療科1),関東中央病院 神経内科2),岡本メモリクリニック3),東京医科大学病院 麻酔科4),

長岡技術科学大学工学部 生物系医用生体工学教室5)

高崎 朗1),織茂 智之2),服部 亮3),波岡 那由太1),高田 祐輔1),平尾 健太郎1),福本 一朗5),矢数 芳英4),羽生 春夫1)

身体麻痺を有する高齢者の褥瘡は改善に苦慮する場合が多く、特に在宅医療に於いては入院治療と比べ介護力不足要因も加味され治癒が困難である。本症例は 87 歳男性、66 歳時、脊髄動静脈瘻により手術後から歩行障害、両下肢疼痛によるADL低下に伴い在宅医療にて療養中であった。経過中 Stage4(NPUAP分類)の褥瘡を併発。褥瘡治療を行うも改善困難であった。デブリードマンに加えて黄耆建中湯エキス顆粒を内服開始としたところ改善が認められ、東洋医学的には補剤にあたる人参養栄湯を追加としたところ内服開始から約 6ヶ月後に治癒に至ったためここに報告する。

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Ⅰ.老年症候群・看護・介護

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………3 Ⅰ.老年症候群・看護・介護

「褥瘡のエコー診断について―当院における施行例―」関東中央病院 皮膚科1),関東中央病院 看護部2),関東中央病院 臨床検査部3)

梅原 嘉一1),三浦 俊介1),吉村 順子1),鑑 慎司1),日野 治子1),井本 俊子2),石川 扶貴子2),金杉 貴幸3)

褥瘡を予防するためには、体圧分散マットレスの使用、適切な体位変換による除圧対策、ずれの予防などが基本である。更には患者のADLや栄養状態を評価するなど、褥瘡の危険性のある高齢で寝たきりの患者を総合的に、きめ細かくケアしていく必要がある。褥瘡ケアにおいて近年、DTI(deep tissue injury:深部組織損傷)という概念が注目を浴びている。DTI とは、肉眼的に表皮や真皮に大きな損傷が無いにも関わらず、脂肪組織や筋肉などの皮下組織に既に損傷が起きている状態をいう。時間の経過とともに急速に深い褥瘡に進行するリスクがあるため、なるべく早期の段階で診断し、予防ケアを行う事が重要である。しかし、DTIを肉眼で診断するのは難しい。近年、DTI の診断においてエコー検査の有用性が報告されている。当院でも血清CK値の上昇があるなど、DTI に進行するリスクのある症例に対しエコー検査を施行している。体位変換の励行や体圧分散マットレスの使用など、適切な対策を行うことによりDTI の発症を予防できている。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………4 Ⅰ.老年症候群・看護・介護

「胃切後の嚥下性肺炎患者に内視鏡的胃管空腸留置が有効であった一例」博仁会第一病院 内科1),博仁会第一病院 外科2),群馬大学医学系研究科 総合医療学3)

田村 耕成1),戸塚 統2),佐藤 和徳2),田村 遵一3)

【症例】79 歳 男性【主訴】発熱、咳、痰【既往歴】胃癌(S62、幽門側胃切除後。ビルロート 2法で再建。残胃は小さい)【現病歴】脳血管障害等により寝たきり、ADL全介助レベルの患者。約 1年前より嚥下障害のため肺炎を繰り返すようになる。このため約半年前から経鼻胃管を留置し経腸栄養を開始したが、嚥下性肺炎の再発を繰り返していた。10 日前より 38℃の発熱が持続するため当院紹介入院となる。【経過】検査の結果、経腸栄養の逆流による嚥下性肺炎と診断した。胃癌手術のため残胃容積が小さいことが逆流の要因と考えられた。経鼻内視鏡下にガイドワイヤーを用いながら、胃管先端を空腸輸出脚まで挿入し留置したところ、逆流みられず栄養が安定して注入可能となった。【考察】嚥下障害で摂食困難な例で、胃切除後のため経皮内視鏡的胃瘻造設術が行えない場合、経鼻胃管で栄養することが多い。しかし本例のように残胃が小さい場合、逆流による誤嚥を繰り返す場合が多い。経鼻内視鏡+ガイドワイヤーを用いる本法は空腸への胃管挿入が容易であること、また胃切後長期経過しているため経腸栄養の空腸への注入トラブルが少ないことから有用と考えられ報告する。

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Ⅰ.老年症候群・看護・介護

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………5 Ⅰ.老年症候群・看護・介護

「セルフネグレクトによる高度肥満のため廃用をきたした一例」東京医科歯科大学 老年病内科

佐伯 浩介,佐々木 真理,馬渕 卓,泉本 典彦,豊島 堅志,阿部 庸子,金子 英司,下門 顕太郎

【症例】65 歳女性【現病歴】若い頃から肥満だった。28 歳時に妊娠糖尿病を指摘されて以降、当科外来に通院し内服にてHbA1c : 7.0%前後で経過。視力の低下を自覚しても眼科を受診せず、44 歳時に糖尿病網膜症で右眼失明。60 歳時に夫が要介護状態になったことや、左眼の網膜症の進行等がストレスとなり摂食量が増え、入院前の 1年間で推定 30kg 体重が増加した。自己の肥満や外食への過度な出費の自覚はなかった。肥満の進行とともにADLは低下しトイレ歩行も困難となった。腹部への熱傷を契機に寝たきりとなり、減量・環境調整目的に入院となった。【入院時所見】身長 160cm、体重 137kg、BMI : 57.0、HbA1c : 6.8%、ADLは全介助【経過】1400kcal�日のカロリー制限を行い、廃用症候群に対して理学療法を開始した。1か月間で体重は 123.7kg まで減量し、見守り下で車いす移乗・平行棒歩行が可能になった。家族の介護力が低いため介護保険を導入して環境を整備し、退院となった。【考察】セルフネグレクトによる高度肥満から要介護状態に至った症例であり、家族の理解や他職種の介入、環境調整が非常に重要である。

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Ⅱ.神経・精神

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………6 Ⅱ.神経・精神

「頚部血管雑音を契機として診断し得た椎骨動静脈瘻の1例」防衛医科大学校病院 神経・抗加齢血管内科1),所沢ハートセンター2)

石塚 麻菜美1),西田 尚史1),小松 知広1),綾織 誠人2),遠藤 康弘1),佐々木 誠1),池脇 克則1)

症例は 72 歳女性。右側変形性股関節症の術前精査で心雑音精査は循環器内科、気管支喘息は呼吸器内科で精査したが、心雑音の原因となる器質的心疾患は認めず、気管支喘息も吸入ステロイドにより安定していた。一方、頸部雑音が聴取されたため、精査目的で当科紹介となった。聴診上、右側頚部を最強点とする連続性雑音を認め、頚動脈超音波検査を施行したところ、血管雑音の聴取部位に一致して椎骨動静脈瘻シャント血流を認めた。頚部MRAでも C7レベルの右側椎骨動静脈瘻の形成を認め、超音波所見と一致する所見であった。治療方針については、脳神経外科と協議した上で、頚部痛、耳鳴りなどの自覚症状や神経症状などを認めないため経過観察とした。椎骨動静脈瘻の原因としては約 15 年前の右内頚静脈カテーテル挿入との関連が疑われた。頚部連続性雑音の聴取を契機に頚動脈超音波検査と頚部MRAにて診断した高齢の無症候性椎骨動静脈瘻の 1例を経験した。椎骨動静脈瘻は比較的稀な疾患で、無症状の場合乳様突起下の聴診が診断上非常に重要であり、文献的考察を加え報告する。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………7 Ⅱ.神経・精神

「当院で経験した脳幹型PRES 2症例についての検討」公立学校共済組合 関東中央病院 神経内科

蝦名 潤哉,高橋 真,平田 浩聖,佐々木 美幸,北薗 久雄,吾妻 玲欧,稲葉 彰,織茂 智之

【背景】PRES : Posterior reversible encephalopathy syndrome は高血圧や産褥子癇、免疫抑制剤の使用などにより後頭葉に可逆性の脳浮腫が引き起こされる疾患で、今回、当院で経験した脳幹型 PRESの 2例を報告する。【症例】症例 1は 83 歳女性。歩行障害、嚥下障害が出現し入院。収縮期血圧は 220mmHg、四肢の筋力低下、negative myoclonus を認め、頭部MRI で脳幹型 PRESと診断、降圧治療にて徐々に改善した。症例 2は統合失調症の 72 歳女性。易転倒性、構音障害、右上下肢の不全麻痺が出現し入院。血圧は 227�119mmHg、左内包に新鮮梗塞、脳幹にT2�WI高信号を認め、脳梗塞、脳幹型 PRESと診断。脳梗塞治療と緩徐な降圧療法で改善した。【結果】来院時高血圧、降圧治療による改善は共通し、頭部MRI では橋を中心に左右対称性のT2�WI高信号領域を認め、後大脳動脈は脳底動脈支配であった。【結論】これらの症例に共通してみられた背景因子は従来型 PRESにも見られるものであり、脳幹型 PRESの病態解明のために今後の症例の蓄積が必要であると思われた。

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Ⅱ.神経・精神

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………8 Ⅱ.神経・精神

「失行と意識障害で発見された頭蓋内リンパ腫の2例」杏林大学 高齢医学

三ツ間 小百合,輪千 督高,長田 正史,新井 さおり,竹下 実希,井上 慎一郎,松井 敏史,長谷川 浩,神﨑 恒一

今回急激な失行と意識障害で発見された、頭蓋内リンパ腫の症例を 2例経験した。症例はいずれもADLが自立し、これまでに認知症の指摘はなかった。月単位で進行する失行と意識障害を主訴に受診した。血液検査で軽微な炎症所見を認め、原因検索目的に入院した。入院後に施行した頭部MRI 検査のT2画像でいずれの症例も脳室周囲を中心に高信号域を認めたことから、頭蓋内腫瘍を疑い、脳神経外科へコンサルテーションを行った。のちに 1例は頭蓋内リンパ腫の治療歴が判明し、その再燃と診断した。化学療法の施行後、失行ならびに意識障害は軽快した。もう 1例は精査中に意識障害が進行し、頭部CTで病巣からの出血を認め死亡に至った。頭部の病理解剖で頭蓋内リンパ腫と確定診断した。急激な失行や意識障害を見たときには頭蓋内疾患の可能性についての鑑別が必要であり、時に致死的状況に至る原因であることもあるため早急な診断が望ましい。また頭蓋内悪性疾患の可能性も念頭におき、精査を進めることが重要である。

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Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………9 Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液

「突然の痙攣と意識障害をきたした副鼻腔原発悪性リンパ腫80代男性の1例」東京医科大学 高齢総合医学講座1),東京医科大学 分子病理学講座2)

畑中 啓邦1),清水 聰一郎1),久米 一誠1),仲矢 丈雄2),峯尾 松一郎2),黒田 雅彦2),羽生 春夫1)

症例は 80 歳男性。2012 年 12 月より右下眼瞼から頬部の腫脹を自覚。1月 21 日に当院眼科、耳鼻科を紹介受診。右中鼻道より生検施行し、悪性リンパ腫(DLBCL)の診断。1月 31 日加療目的にて当科紹介受診、R�2�3CHOP療法を 5コース施行。両眼頬部の腫脹はほぼ消失。6コース目施行前の 5月 19 日、全身性の痙攣と意識障害にて近医総合病院へ救急搬送、人工呼吸器管理となった。抗てんかん薬にて痙攣消失し、人工呼吸器を離脱。5月 21 日当院当科転院。頭部造影MRI にて、左前頭葉や橋左側~左小脳半球に造影効果を認め、悪性リンパ腫中枢浸潤の診断となった。High dose MTX療法を 2クール施行し、中枢病変の縮小を認めた。ステロイド、抗てんかん薬内服にて痙攣発作消失、意識レベルの改善を認めた。8月 14 日意識レベルの急激な悪化を認め、心肺停止となり、死亡。病因精査の為、病理解剖を施行。直接死因として悪性リンパ腫の橋浸潤による中枢性呼吸不全の可能性が指摘された。中枢性悪性リンパ腫の頻度は決して多くないが、副鼻腔原発の悪性リンパ腫では中枢浸潤の可能性を考慮しなくてはいけない。病理所見を含め、ここに報告する。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………10 Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液

「シェーグレン症候群を合併し、血清反応陰性高齢発症関節リウマチとリウマチ性多発筋痛症の鑑別に苦渋した一例」東京大学医学部附属病院 老年病科

西脇 唯,秋好 沢諭,木棚 究,石井 正紀,浦野 友彦,小川 純人,秋下 雅弘

81 歳男性。手関節、膝関節、肩関節周囲の筋痛を主訴に近医通院していたが、数か月経過後より意識消失を繰り返し精査目的に当科入院。入院後は意識消失を認めず貧血以外には意識消失の原因となりうる異常を認めなかった。その一方で、持続する関節痛および筋痛を認め精査の結果、血清反応陰性であったが高齢発症関節リウマチ(EORA)の分類基準を満たし、リウマチ性多発筋痛症(PMR)も疑われた。また、抗 SS�A抗体陽性、ガムテスト陽性、唾液腺シンチグラフィによる顎下腺分泌能低下の所見に基づき、シェーグレン症候群の合併も判明した。高齢者では身体機能の低下から多剤併用に対して慎重を要するため、EORAの初期治療はステロイド剤内服が一般的である。これは PMRの診断的治療ともなるため、治療開始後に症状が改善した際は両者の厳密な鑑別は困難であり、治療開始後も関節炎症状が進行した時点でEORAと鑑別し抗リウマチ薬を併用するのが現状である。また、シェーグレン症候群の乾燥症状に対して補助診断に用いた唾液腺シンチグラフィにおいて、加齢に伴う生理的な唾液分泌能低下に関する文献的報告は乏しく、その検討に関しても併せて報告する。

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Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………11 Ⅲ.呼吸器・膠原病・血液

「急性冠症候群を合併し診断に苦慮した慢性特発性好酸球性肺炎の1例」東京大学 老年病科

福井 辰侑,山賀 亮之介,高山 賢一,浦野 友彦,山口 泰弘,小川 純人,秋下 雅弘

症例は 86 歳男性。陳旧性脳梗塞・陳旧性心筋梗塞・骨粗鬆症などで当科外来通院していた。H26 年 7 月より労作時呼吸困難を発症。同年 10 月に右前胸部痛を発症、当院緊急入院。トロポニンT陽性、入院 6時間後の心電図にてV1�2 の陰性T波が出現。緊急冠動脈造影の結果、#7に 90%狭窄あり、PCI 施行した。又、入院時よりWBC�CRP 高値と CTにて両肺上下葉背側の浸潤影あり。嚥下性肺炎合併を疑い抗生剤加療開始したが、胸痛持続し、肺浸潤影増悪、広範囲にスリガラス影も出現した。入院時より好酸球増多症を認めたが、寄生虫感染・Churg�Strauss 症候群・薬剤・ABPAを示唆する所見は認めなかった。慢性特発性好酸球性肺炎と診断し、メチルプレドニゾロン 320mg�日 3日間点滴の後、プレドニゾロン 30mg内服とした。点滴翌日より好酸球増多症は改善し胸痛も消失した。胸部浸潤影・スリガラス影も徐々に寛解し、プレドニン漸減、12.5mg まで減量したところで退院、外来加療継続とした。胸痛や呼吸困難を主訴に来院する高齢者は多いが、その一因として慢性特発性薬剤性も鑑別に挙がり、考察も交えここに報告する。

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Ⅳ.代謝内分泌・栄養

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………12 Ⅳ.代謝内分泌・栄養

「糖質制限による減量効果および脂質プロフィールの著明な改善がみられた症例の検討」田岡病院 内科1),中村整形外科クリニック2)

板東 浩1),中村 巧2)

著者らは長年にわたり、肥満や糖尿病などメタボリックシンドローム(Met�S)を有する症例に対して、糖質制限を実施し、啓発活動を続け報告してきた。今回の研究企画について下記に示す。Study�1:対象は糖質制限を行ったMet�S の 2000 余例で、方法は減量実績を検討した。結果として体重の減量率は、10%以上が 27%、5�9.9%が 32%、0�4.9%が 35%であった。Study�2:糖質制限を行った症例の中で、68 歳男性は、糖質制限を開始した日から、食後血糖の上昇が劇的に改善し、HbA1c が数ヶ月で正常化し、詳細に検討した。Study�3 : 62 歳男性は、長年、空腹時採血でも中性脂肪(TG)値が 358�982mg�dL と著明な高値を持続し、抗体脂質異常薬の服用でも改善がみられなかった。軽い糖質制限の開始後、1年後にTGは 207�238mg�dL まで下降し、2年後には 108�144mg�dL まで下降した。なおHbA1c 値は 6.2→6.7→5.8%との経過を示した。以上を報告し、各研究で考察するとともに、今後の問題や課題についても発表を行う。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………13 Ⅳ.代謝内分泌・栄養

「強化インスリン療法からDPP�4阻害薬を加えたBOT療法に変更し良好な血糖コントロールを得た高齢2型糖尿病の一例」東京都保健医療公社 豊島病院 内分泌代謝内科1),東京都心身障害者福祉センター2),

東京医科歯科大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌・代謝内科3)

安東 環1),堀内 敏行2),大橋 忠将1),竹川 幸男1),宇根 直子1),岩嶋 富美子1),小川 佳宏3)

【症例】77 歳、男性【主訴】空腹感【既往歴】67 歳 腰部脊柱管狭窄症【現病歴】59 歳時に糖尿病と診断。72 歳時にインスリン導入。退院後インスリン離脱するもコントロール不良となり 2回目の入院。以降、強化インスリン療法�メトホルミン内服による治療を継続しHbA1c 6%台で経過していたが、77 歳時 3月 HbA1c 9.0%と再び不良となり 3回目の入院。【経過】入院後食事療法と強化療法を継続。食生活、服薬・インスリン注射手技の乱れが判明し再指導を行った。尿中CPIR 60μg�日と分泌能は保たれていたため、シタグリプチン、メトホルミン、グラルギンによるBOT療法開始。ボグリボース追加しCGMSでは血糖日内変動は良好となり退院となった。【考察】高齢者DMではインスリン抵抗性増大、および分泌低下により耐糖能悪化及びインスリン注射の手技指導にも多々難渋する。本症例は強化療法で低血糖と不安定な血糖日内変動がDPP�4 阻害薬を加えたBOT療法に変更し安定した。インスリン注射回数の減量とDPP�4 阻害薬のインスリン感受性およびグルカゴン分泌改善効果により安定した血糖日内変動が得られたと示唆された。

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Ⅳ.代謝内分泌・栄養

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………14 Ⅳ.代謝内分泌・栄養

「肝硬変合併高齢者糖尿病患者におけるDPP�4阻害薬リナグリプチンの安全性・有効性の検討」船橋市立医療センター 代謝内科

下山 立志,中村 俊介,岩岡 秀明

【目的】従来、肝硬変合併糖尿病患者には原則としてインスリン療法を行ってきたが、多くの患者は投与するインスリン総量が少ない割に 1日 3回から 4回の自己注射を余儀なくされており、特に高齢者において負担が大きかった。近年、肝障害の程度にかかわらず用量調節無しで投与可能とされるDPP�4 阻害薬リナグリプチンが登場した。我々は、リナグリプチンの肝硬変合併高齢者糖尿病患者に対する安全性と効果を検討した。【方法】当院通院中でインスリン療法を受けている 75 歳以上の肝硬変合併糖尿病患者 15 名[男性 8名、女性 7名、年齢 79.13±3.72 歳、グリコアルブミン(GA)値 24.25±8.23%]の治療法をインスリン療法からリナグリプチン単独療法に切り替え、肝硬変の諸指標及びGAの推移を検討した。【結果】リナグリプチン切り替え前後のGA値、Child�Pugh 分類に差はなく、血清トランスアミナーゼ値の変化も認められなかった。【結論】従来、肝硬変合併糖尿病患者には原則としてインスリン療法を行ってきたが、リナグリプチンは肝硬変合併高齢者糖尿病患者の肝硬変も血糖コントロールも悪化させず安全に使用できると考えられる。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………15 Ⅳ.代謝内分泌・栄養

「リラグルチド併用によりインスリンを大幅に減量しえたウェルナー症候群の一例」千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学

山本 雅,藤本 真徳,井出 真太郎,井上 宏美,石川 耕,小林 一貴,竹本 稔,横手 幸太郎

51 歳男性。35 歳時にウェルナー症候群(WS)と診断され、翌年に糖尿病を指摘された。インスリン強化療法(アスパルト 56 単位�日、デグルデク 44 単位�日)およびシタグリプチン 100mg�日によりHbA1c は6.1%、しばしば低血糖も認めたため治療調整目的にて入院となった。身長 164 cm、体重 51.8 kg、BMI 19.3kg�m2、内臓脂肪蓄積 141.5cm2 および脂肪肝を認めた。シタグリプチンをリラグルチドへ変更したところ、アスパルトを中止しデグルデクを 22 単位�日まで減量しても血糖は良好に保たれた。変更前後の比較評価ではインスリン分泌能、脂肪肝および血流依存性血管拡張反応などが改善していた。WSは内臓脂肪蓄積とインスリン抵抗性を伴う糖尿病を合併し、ピオグリタゾンやシタグリプチンの有用性が報告されているが、GLP�1 アナログ製剤の使用報告はない。リラグルチドは食後インスリン分泌増加作用の他、肝細胞に対する β酸化促進作用や血管内皮保護作用が報告されており、WSにおいても血糖改善効果をはじめとする多面的効果をもたらす有効な治療と考えられた。

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Ⅴ.奨励賞選考会

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………16 Ⅴ.奨励賞選考会

「高齢糖尿病患者におけるBody mass index と背景因子の関連性の性差―断面調査による検討―」日本医科大学 老年内科1),山形大学医学部 第三内科2),獨協医科大学医学部 薬理学講座3),

昭和大学医学部 内科学講座(糖尿病・代謝・内分泌内科学部門)4),大洗海岸病院コアクリニック5)

三枝 太郎1),渡邉 健太郎2),大内 基司3),小原 信4),鈴木 達也1),大庭 建三5),加藤 丈夫4),安武 正弘1)

【方法】対象は外来通院中の高齢糖尿病患者 175 例(平均年齢 74.0±6.1 歳)。全例の背景因子として年齢、性別、BMI、喫煙歴、収縮期・拡張期血圧、高血圧症合併、スタチン内服有無および早朝空腹時の生化学データを記録。対象を全例、男性群および女性群のBMI で四分位し、全例および性別の四分位群と背景因子の関連性につき検討。【結果】BMI 四分位群別の背景因子の検討で、全例では収縮期・拡張期血圧、HDLコレステロール、中性脂肪および尿酸、男性群では中性脂肪、女性群ではHDLコレステロール、中性脂肪および尿酸が四分位群間で有意な差を認めたが、それ以外の背景因子には有意な差は認めなかった。目的変数をBMI 四分位群、説明変数を背景因子とした線形回帰分析では全例では性別、年齢、HDLコレステロールおよび中性脂肪、男性群では中性脂肪、女性群では拡張期血圧、LDLコレステロールおよび尿酸がBMI 四分位群と有意な関連性を認めたがその他の背景因子と有意な関連性は認めなかった。【結論】高齢糖尿病患者におけるBMI と背景因子の関連性に性差を認め、高齢糖尿病患者の肥満の関連因子に性差がある可能性が示唆された。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………17 Ⅴ.奨励賞選考会

「PET�CTが診断に有用であった、自覚症状の不明瞭なリウマチ性多発筋痛症の一例」公立学校共済組合 関東中央病院 代謝内分泌内科

角元 利行,鶴谷 悠也,近藤 真衣,長谷部 正紀,佐田 晶,宮尾 益理子,水野 有三

症例は 83 歳男性。独居でADLは自立。糖尿病、脳梗塞後、狭心症、胃癌術後等にて近医通院中であった。入院 2週間前より 37℃台の発熱と左肩の疼痛が出現。近医受診し、NSAIDs、抗生剤処方されるが改善せず、CRP16mg�dl と高値であったため、当院紹介され入院となる。左肩の疼痛・挙上困難、両側股関節痛を認め、炎症反応上昇を認めるものの、血液・尿検査、造影CT等にて、熱源は同定できなかった。リウマチ性多発筋痛症(PMR)も疑われたが、入院後自覚的な訴えは少なくなり、確定診断が困難であった。ADLが低下し、ほぼ寝たきりの状態となったため、PMRの診断に有用との報告があり、かつ感染症や悪性腫瘍を鑑別できる PET�CTを施行した。両側肩関節・股関節周囲への集積以外は特記すべき所見なく、PMRと診断した。PSL 10mg�日にて著明に炎症値は改善し、投与 3週間後には 100mの歩行が可能となった。PMRの診断は自覚症状に基づく点が多いが、それが不明瞭な高齢者では客観的な所見が診断の補助となる。感染症や腫瘍を同時に鑑別し得る点からも、PET�CTの有用性は高いと考えられ、文献的考察を踏まえて報告する。

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Ⅴ.奨励賞選考会

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………18 Ⅴ.奨励賞選考会

「呼吸不全にて死亡したレビー小体型認知症の1剖検例」東京医科大学病院 高齢診療科1),東京医科大学 分子病理学分野2),

東京都健康長寿医療センター バイオリソースセンター 神経病理3)

廣瀬 大輔1),清水 聰一郎1),深澤 雷太1),沖田 美佐1),馬原 孝彦1),山田 郁子2),村山 繁雄3),羽生 春夫1)

症例は 89 歳男性。2013 年 2 月に間質性陰影指摘されるも、呼吸器症状ない為、未加療で経過観察となった。同年 5月両側上肢の静止時振戦出現。近医からエリーテン、ジアゼパム投与されており、薬剤性パーキンソニズムを考慮し、薬剤中止指示し、精査開始。その後も静止時振戦が継続し、MIBG心筋シンチのH�M比:1.64 と低下を認めた。Yahr1 相当のパーキンソン症候群として、静止時振戦に対し、ゾニサミドにて加療開始し、静止時振戦は消失。高齢者の為、DLBも考慮し、精査継続。MMSE22�30 と低下、SPECTで後頭葉内側面の血流低下、DATスキャンで SBR : 2.88 と低下を認めた。認知機能障害、パーキンソニズム、DAT集積低下から probable DLB と診断し、2014 年 2 月より塩酸ドネペジル 3mgにて加療開始。同年 8月 20 日呼吸困難出現し。8月 21 日当院当科緊急入院。間質性肺炎の急性憎悪と診断し加療行うも改善認めず 9月 10日に死亡。剖検による神経病理学的所見と文献的考察を加えて報告する。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………19 Ⅴ.奨励賞選考会

「水疱性類天疱瘡を認めた2型糖尿病患者の特徴について」東京都健康長寿医療センター 糖尿病・代謝・内分泌内科1),東京都健康長寿医療センター 皮膚科2)

小寺 玲美1),千葉 優子1),坪井 由紀1),佐藤 謙1),金原 嘉之1),田村 嘉章1),種井 良二2),森 聖二郎1),井藤 英喜1),荒木 厚1)

【目的】2013 年 4 月から 2014 年 9 月までの期間に水疱性類天疱瘡を発症した高齢 2型糖尿病患者の臨床的特徴について検討した。また、同時期に水疱性類天疱瘡と診断された糖尿病を有しない高齢患者 9例との比較も施行した。【結果】2型糖尿病患者における水疱性類天疱瘡の発症年齢は平均 81.8 歳であり、男性 4例、女性 2例であった。発症時の平均HbA1c 値は 7.9%であり、6例中 5例で発症前にビルダグリプチンを内服していた。ビルダグリプチン内服中止およびステロイド治療にて皮疹の改善を認め、病勢を反映する血清抗BP180 抗体の数値も減少傾向が見られた。ただし、ステロイド治療にて血糖コントロールが不安定となり、全症例でインスリンの導入が必要であった。一方、糖尿病を有しない水疱性類天疱瘡患者では、平均発症年齢 85.3 歳であり、男性 1例、女性 8例と女性に多い傾向を認めた。【考察】薬剤との因果関係は不明であるが、高齢糖尿病患者にDPP�4 阻害薬を投与する際には水疱性類天疱瘡の発症にも注意を要すると考えられた。さらに、皮膚科の治療と連携しながら早期よりインスリンによる血糖コントロールが必要であることも示唆された。

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Ⅴ.奨励賞選考会

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………20 Ⅴ.奨励賞選考会

「器質化血栓による静脈還流不全と自律神経障害により頻回の失神をきたしたレビー小体型認知症の一例」東京都健康長寿医療センター 循環器内科

齋藤 義弘,小松 俊介,杉江 正光,田中 旬,石山 泰三,石川 譲治,武田 和大,坪光 雄介,藤本 肇,原田 和昌

症例はレビー小体型認知症で精神科通院中の 85 歳男性。MIBGシンチでH�M比の低下はあるが明らかな錐体外路症状はなく、自転車で散歩できるADLであった。X年 7月体重減少と心窩部痛にて救急外来受診、下肢浮腫はなし。造影CT施行にて下大静脈腎静脈分岐部直下から両側総腸骨静脈にかけて深部静脈血栓を認めたため抗凝固治療開始し 1か月後に自宅へ退院。11 月に約 1分持続する痙攣様発作にて再入院。胸部CTにて肺塞栓症の合併はないが、やや縮小した深部静脈血栓は残存していた。頭部CT、MRI で脳血管疾患、腫瘍を認めず、脳波でてんかん発作は否定的であった。起立に際して痙攣、失神を頻回に認めたため tilt試験施行、収縮期血圧が 140 から 60 mmHgに低下し迷走神経因性失神と診断した。貧血精査のため施行した胃カメラにて進行胃癌と多発肝転移を認め血栓症の原因と考えた。薬物療法奏功せず立位トレーニングも不可能で、ほぼ起立不可能となり転院となった。器質化血栓による静脈還流不全がレビー小体型認知症の起立性低血圧を増悪させ、頻回の失神により認知症の進行が悪化したと考えられた興味深い症例であり文献的考察を加え報告する。

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Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………21 Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

「高齢入院患者における多剤処方の実態調査と、降圧薬処方適正化の試み」青梅慶友病院

渡辺 由貴子,木村 満,小林 龍一郎,氏原 千寿子,大塚 太郎

当院入院中の高齢患者における多剤処方の実態把握と、降圧薬の処方適正化を試みた経過について報告する。2014 年 3~5月の新規入院患者 44 人の持参薬は 0剤~14 剤で、6剤以上の処方例は 26 人(54.3%)、10剤以上は 7人(14.6%)であった。他方、当院入院後、2011 年 1 月から 2014 年 6 月(6か月間)に 6剤以上を処方(多剤処方)された患者の割合は、全入院患者に対し平均 16.5%であった。薬剤別では 2014 年 6月 1日の全入院患者 699 人(平均年齢 88.2 歳)中、下剤 360 人(51.5%)、降圧薬 247 人(35.3%)、胃薬 227人(32.5%)の順であった。処方適正化の試みとして 2014 年 6 月に収縮期血圧 130mmHg以下で降圧薬の中止検討を主治医に促した結果、同年 6月 1日の降圧薬処方例 247 人中、同年 11 月 1 日までに 69 人(27.9%)が当該薬を中止した。降圧薬の中止前後における血圧の平均値は、収縮期血圧 119.9mmHgから 130.9mmHgへ上昇したが、許容範囲と思われた。降圧薬の内服再開例は 69 人中 2人であり、今回提示した血圧の指標は多剤処方の見直しの際に有用と思われた。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………22 Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

「肺動脈性肺高血圧症に大動脈弁狭窄症を合併した一例」関東中央病院 循環器内科

松岡 良,沼尾 嘉美,澤田 直子,齊藤 暁人,杉下 靖之,吉玉 隆,田部井 史子,伊藤 敦彦,野崎 彰,山下 尋史

76 歳女性。CREST症候群に伴う肺高血圧症に対しベラプロスト、タダラフィルで加療されていたが、労作時呼吸困難が増悪したため当科紹介受診。既往に高血圧がある。入院時、室内気で SpO2 90%と酸素化不良を認めた。心エコーで推定右室圧 48mmHgと肺高血圧の増悪があった他、最大圧較差 45mmHgの大動脈弁硬化を認めた。カテーテル検査で平均肺動脈圧 30mmHg、平均肺動脈楔入圧 13mmHgで且つ肺疾患が否定され、肺動脈性肺高血圧と診断。在宅酸素療法とボセンタンが導入された。しかしボセンタン導入直後から心不全が増悪し、心エコーで大動脈弁狭窄と肺高血圧の増悪を認めた。大動脈弁狭窄症の根治的治療が必要と判断され、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)が施行された。本症例では、肺血管拡張薬の導入により一回拍出量が増加し、大動脈弁の圧較差が顕在化した可能性が考えられた。肺高血圧合併の大動脈弁狭窄症は外科的弁置換のリスクが高いことが知られており、TAVI の良い適応となる可能性がある。肺動脈性肺高血圧症の合併例に対しTAVI を施行した報告はこれまでになく、貴重な症例を経験したため報告する。

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Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………23 Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

「糞便性イレウスから腹部コンパートメント症候群に陥った慢性腎不全の1例」新潟大学 腎・膠原病内科

金子 佳賢,成田 一衛

【症例】67 歳男性。X�15 年、慢性腎臓病を指摘され、球形活性炭、炭酸カルシウムを内服したが腎機能は徐々に悪化した。また慢性の便秘症に対し下剤 3種類を用いていたが排便は不十分であった。X年 3月末期腎不全となり、入院翌日血液透析を導入した。入院後便秘症、腹部膨満感が増悪、第 5病日に糞便性イレウスを発症した。呼吸循環障害および膀胱内圧の上昇を認め、イレウスに伴う腹部コンパートメント症候群及び敗血症性ショックと診断、同日開腹し壊死した腸管切除を行った。開腹による除圧にて呼吸循環動態に改善を認め、術後は持続血液濾過透析とエンドトキシン吸着療法を併用した。その後ショック状態から離脱し、尿量増加、腎機能の改善を認め血液透析から離脱した。【考察】腹部コンパートメント症候群は腹部外傷、手術、イレウスなどを原因として腹圧の上昇を来し、呼吸循環障害を生じる。本症例は腹腔内に多量の内臓脂肪が存在した上に、糞便性イレウスに伴い腹圧が著しく上昇した。高齢者腎不全患者は重度の便秘を生じることが多く注意が重要である。

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………24 Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

「脾動脈-左腎静脈シャントによる高アンモニア血症に対しB�RTOを施行した症例」杏林大学医学部 高齢医学

井上 慎一郎,竹下 実希,船曳 茜,高附 里江,三ツ間 小百合,輪千 督高,小原 聡将,松井 敏史,長谷川 浩,神﨑 恒一

症例は 86 歳男性。高血圧、糖尿病(インスリン療法導入)、脂質異常症、陳旧性脳梗塞があり、外来通院していた。今回 201X年 8月 18 日午前 3時頃、脱衣所で排尿しようとする異常行動を認めた。翌朝ベッドから離床できず、呼びかけへの反応も緩慢であったため、当院救急外来へ搬送となった。来院時 JCS2 の意識障害と上下肢の不随意運動を認めた。既往にウイルス性肝炎やその他の肝疾患がないのにもかかわらず、血清アンモニア値 110μmol�l と高値であり、当科へ緊急入院した。意識障害や上下肢の不随意運動はBCAA製剤を含む補液治療により軽快したが、40~70μmol�l 程度の高アンモニア血症が残存した。造影CT検査による精査の結果、脾静脈-左腎静脈シャントを認め、原因と考えられた。同シャントに対しバルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術(B�RTO)を施行した。施行後、血清アンモニア値は正常化した。今回、脾静脈-左腎静脈シャントに伴う高アンモニア血症の症例を経験した。興味深い病態であり、文献的な検討を含め報告する。

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Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

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…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………25 Ⅵ.循環器・腎臓・消化器

「化学療法にて長期生存が得られていたが、腹膜播種により消化管穿孔をきたした膵癌の1例」公立学校共済組合 関東中央病院 消化器内科

鈴木 辰典,渡邉 健雄,外川 修,中村 知香,西畠 瑞希,三井 達也,後藤 絵理子,磯村 好洋,瀬戸 元子,小池 幸宏

【症例】83 歳男性【主訴】便秘【現病歴】2007 年 11 月 30 日糖尿病の悪化にて膵疾患を疑われ、当院紹介受診。膵癌、腹膜播種の診断でGEM単剤で化学療法開始し、計 64 クール施行。2013 年 2 月の CTにて PDの判定。2nd line としてTS�1 開始。2013 年 8 月上旬までは固形物を摂取できていたが、徐々に逆流症状が出現。8月 29 日上部内視鏡では幽門部に全長 5mm程度の狭窄あり、スコープは通過しなかった。生検では悪性細胞の検出なく、PPI 内服で狭窄症状は改善。外来でTS�1 再開し、合計 9クールまで施行。11 月下旬からは便秘が増悪傾向となった。12月 10 日精査目的で入院となった。【経過】絶食、胃管留置、下剤内服にて症状改善し、第 7病日から食事を再開。第 8病日に腹痛出現し、CTにて消化管穿孔が疑われた。原病を考慮し保存的加療を行う方針となった。炎症のコントロールはつかず、第 11 病日に永眠となった。【考察】化学療法にて長期生存が得られていたが、腹膜播種による消化管穿孔をきたした症例を経験した。病理解剖の結果および文献的考察を加え報告する。