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Discussion Purpose Only 国際的に見たわが国食品産業の実態と今後の戦略 東アジア食品産業投資研修会 ~東アジア投資基礎コース~ Discussion Purpose Only 2010Copyright © Mizuho Corporate Bank,Ltd. 産業調査部 流通生活チーム

国際的に見たわが国食品産業の実態と今後の戦略...Unilever Kraft foods PepsiCo Coca-Cola 日本ハム 日本のROA:低い水準に収斂 世界のROA:格差が大きい

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国際的に見たわが国食品産業の実態と今後の戦略

東アジア食品産業投資研修会

~東アジア投資基礎コース~

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産業調査部

流通生活チーム

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本資料の分析テーマ

1.食品製造業の海外市場開拓の特性

2.食品産業における諸外国と日本の収益性格差の要因

3.海外展開に必要な経営資源(ネスレのマネジメント事例よりスタディ)

4.食品業界のクロスボーダーM&Aの潮流

5.アジア展開における諸外国企業との戦略比較

6.日本企業の強みをアジアで活かすビジネスモデル

1

本資料中の「西欧」の定義

欧州委員会及び国連統計の定義を参考に、以下の国を西欧諸国とした

イギリス

フランス

ドイツ

オランダ

スイス

ベルギー

イタリア

スペイン

オーストリア

デンマーク

ギリシャ

フィンランド

アイルランド

ルクセンブルク

ポルトガル

スウェーデン

アイスランド

ノルウェー

チェコ

本資料中の「先進国」の定義

IMFが「Advanced Economies」に分類する以下の国(但し中国を除く)

米国

カナダ

イギリス

フランス

ドイツ

オランダ

スイス

ベルギー

イタリア

スペイン

オーストリアデンマーク

ギリシャ

フィンランド

アイルランド

ルクセンブルク

ポルトガル

スウェーデン

アイスランドノルウェー

キプロス

イスラエル

オーストラリア

ニュージーランド

日本

台湾

韓国

シンガポール

P2P5

P23

P35

P52P58

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2

食品製造業の海外市場開拓の特性

g

製品寿命長い/高単価/輸出可能

g

物性的価値が重要

(文化を問わず共通)

自動車産業自動車産業 食品産業食品産業

g

数社の有力メーカー

g

数社の完成車メーカー

g

多数の部品メーカー

g

賞味期限あり/低単価/輸出不向き

g

情緒的価値が重要

(食文化により格差)

製品特性

競争相手

産業構造

代替品

g

多数の中小~大企業

(日本の5.5万事業所の99%が零細・中小企業)

g

工場で造る輸送機器

(自転車、バイク、鉄道、飛行機)

g

生鮮品で作る手料理

(カロリー・栄養摂取可能な全ての食品)

g

「料理人」=完成車メーカーの役割

g

多数のカテゴリー別食品メーカー

海外市場g

経済水準の向上により販売数量が拡大

g

嗜好は国レベルで異なる

g

経済水準が向上しても数量拡大は見込

めない(胃袋の体積は一定)

g

嗜好は地域・都市レベルで異なる

製造技術 g

ハイテク(安価な模倣が困難) g

ローテク(安価な模倣が容易)

海外進出メリットg

生産コストと為替リスクの引下げ

g

規模の優位性による収益拡大海外展開の意義を再確認することが重要

食品製造業の海外戦略を展望する場合、他の産業と異なる特性を十分に踏まえる必要がある

(出所)みずほコーポレート銀行産業調査部作成

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-20.0%

-10.0%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

食品製造業の事業特性食品製造業の事業特性

日本の食品上場企業151社の規模とROA

世界の食品上場企業(売上高上位250社)の規模とROA

(出所)各社アニュアルレポートよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2008年度の各社期末決算数値を使用

食品製造業は日本でも海外でも「分散型事業」であり、規模の優位性が低い産業

但し、海外企業の方が、企業によって収益性のばらつきが大きく、売上規模によらず日本企業よりも収益性が高い企業が多い

-20.0%

-10.0%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

億円

売上:USD(M)

売上:億円

(出所)パシフィックデータよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2008年度の各社期末決算数値を使用

キリン

Nestle

アサヒ味の素

Unilever

Kraft foods

PepsiCoCoca-Cola

日本ハム

日本のROA:低い水準に収斂

世界のROA:格差が大きい

アドバンテージ・マトリクス

分散型事業

規模を大きくできない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

手づまり型事業

どこも儲からない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

規模型事業

規模が大きければ儲かる

ROA

規模

多数

少数

業界の競争要因の数

小 大

優位構築性の可能性

分散型事業

規模を大きくできない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

手づまり型事業

どこも儲からない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

規模型事業

規模が大きければ儲かる

ROA

規模

分散型事業

規模を大きくできない

ROA

規模

分散型事業

規模を大きくできない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

手づまり型事業

どこも儲からない

ROA

規模

手づまり型事業

どこも儲からない

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

特化型事業

やり方によっては儲かる

ROA

規模

規模型事業

規模が大きければ儲かる

ROA

規模

規模型事業

規模が大きければ儲かる

ROA

規模

多数

少数

業界の競争要因の数

小 大

優位構築性の可能性

キリン

3

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(出所)Moody’s Financial Metrics およびパシフィックデータより

みずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2009年8月末現在の時価総額がUSD10億以上の米国・西欧・日本の食品製造企業を対象とし、各社の2008年度決算を含む過去5期分の決算数値より作成(注)

日本企業の売上高は各社決算期中の平均為替レートによりUSD建に換算した数値を使用(注)

日本企業にはサントリー㈱(非上場)を含めた

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

営業利益5期平均

売上高(2008年度)

欧米と日本の食品製造業(時価総額10億ドル以上)の営業利益率比較

大企業グループ(時価総額10億ドル以上)は、売上高300億ドルを境に「トップ5」とその他の企業に大別される

その他の有力企業集団では、海外では営業利益率10%超の食品企業が多数存在

USD(M)

NestleUnilever

Kraft foods

PepsiCo

Coca-Cola

キリン&サントリー

赤:日本企業

青:欧米企業

欧米諸国と日本の収益性比較(営業利益率)

4

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欧米諸国と日本の収益性の差異要因(仮説)

なぜ日本の食品メーカーは収益性が低いのか?

P/Lの比較分析は困難

・国別に会計制度が異なる

・原価や販売管理費の内訳不明

・事業の構成が多様

仮説②仮説②

仮説①仮説①

本調査では、以下の仮説を公表データと食品企業へのヒアリングによって検証

「日米企業の収益率格差(一橋大学日本企業研究センター研究叢書/伊丹敬之編著」で、日本産業全般の低収益性が研究されており、食品業界に特化した研究成果もみられる

何れも、財務比較分析には一定の限界があると付言されている

日本の食品バリューチェーンの特殊性など、

構造的な問題に起因

重視する経営指標の違いなど、企業の

経営価値観の違いに起因

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欧米企業が重視する経営目標世界の食品時価総額トップ10企業について、投資家向けプレゼンテーション資料(直近)で各社が公表している定量目標、及び「Financial Highlights」等で強調している経営指標(実績)を調査

経営価値観の違い経営価値観の違い

中長期の定量目標 単年度の定量目標 強調している経営指標(実績)

会社名 本拠地 売上高売上高の

オーガニック成長率販売数量 EBIT

EBITマージン

成長率(増加bp)当期利益 フリーキャッシュフロー

Net Debt/

EBITDAEPS成長率

配当

自己株取得

ネスレ スイス 5-6%

ザ コカ・コーラカンパニー 米国 5-6% 3-4% 6-8% 5年で$27B~$35B high s ing le di g i t

ペプシコ 米国 数量の成長率を超える mid-s ing le-dig i t 前年+$1B 低10% 自己株取得$2.5B

ユニリーバ イギリス

アンハイザー・ブッシュ・インベブ ベルギー

クラフト・フーズ 米国 4% 3年で+$1B 7-9%

ディアジオ イギリス

SABミラー イギリス

ダノン フランス 8-10% doubl e‐dig i t

ハイネケン オランダ3年間のキャッシュ・

コンバージョン100%以上2.5倍以下

(出所)各社投資家向けプレゼンテーション資料(2009年11月13日現在の直近公表資料)よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

欧米の食品企業(時価総額トップ10)が強調している経営指標

(注)中長期と今期の定量目標が両方記載されている項目は、中長期の目標を記載

①オーガニック成長率

②EBITマージン成長率

③EPS成長率

をアピール

6

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日本企業が重視する経営目標

経営価値観の違い経営価値観の違い

日本の食品企業(時価総額トップ10)が強調している経営指標

(出所)各社投資家向けプレゼンテーション資料(2010年7月26日現在の直近公表資料)よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

中期計画の定量目標 単年度の定量目標長期計画の定量目標

(注)長期、中期、今期の定量目標が重複記載されている項目は、より長期間の目標を記載

日本の食品時価総額トップ10企業について、投資家向けプレゼンテーション資料(直近)で各社が公表している定量目標、及び「通期業績予想」等で強調している経営指標(目標)を調査

①売上高

②営業利益(経常利益)③当期利益

をアピール

会社名 売上高 販売数量営業利益

(経常利益)EBITDA

営業利益率

当期利益 海外事業比率 FCF D/Eレシオ有利子負債額

総資産回転率

自己資本比率

ROA ROE 株主還元 コスト削減

キリンホールディングス 25,000億円 2,500億円 3,410億円 10%以上約30%

(海外売上高比率)0.5倍 0.8以上 10%以上

配当性向30%以上

200億円以上

アサヒビール20,000~

25,000億円12%以上(EBITDA)

650億円20~30%

(海外売上高比率)0.7倍 9%程度

配当性向20%以上

250~300億円

味の素 13,500億円 800億円 5.9%50%以上

(海外営業利益比率)30%以内

2,100億円以内

ヤクルト本社 3,500億円 3,000万本/日 150億円 75億円 46カ国で販売

日清食品ホールディングス 7,000億円 600億円 515億円 250億円 8%配当性向

40%

日清製粉グループ本社 4,670億円 247億円 138億円 5.0%

山崎製パン 9,100億円 260億円 84億円

東洋水産 3,280億円 255億円 150億円

日本ハム 11,500億円 350億円 3.0% 170億円880億円

(外部顧客売上高)383億円 0.54倍 1,700億円 49.4% 4.8%

キッコーマン 3,200億円 260億円 8.1%1,500億円(売上)

156億円(営業利益)7.4%

明治ホールディングス 12,600億円 450億円

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欧米と日本の経営目標の違い

経営価値観の違い経営価値観の違い

Organic information Organic results and volumes exclude the first twelve months’ results and volumes relating to acquisitions and the last twelve months results’ and volumes relating to disposals.

オーガニックの評価は、今後12カ月間の事業買収の結果と直近12カ月間の事業売却に

関連する数量を除いて行う

オーガニック成長率売上高

EBITマージン成長率

EPS成長率

営業利益(経常利益)

当期利益

成長性を重視規模と安定性を重視

重視する

経営指標

重視する

経営指標

経営価値観経営価値観

欧米と日本では、目標として設定する経営指標に明らかな違いが見られ、背景には「会社」と「ステークホルダー(社会・環境・顧客・従業員・株主)の関係についての考え方の差異があると考えられる

オーガニック成長率は、規模を切り離して考えられる経営目標

低成長事業の売却は

目標達成に貢献

(出所)SABMiller

FY2008投資家向けプレゼンテーション資料より抜粋

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消費者ニーズの違い(ヒアリング結果)

賞味期限間近の商品はイヤ

賞味期限間近の商品はイヤ

特売時を狙って買う特売時を狙って買う

「自然なもの」や「国産品」が買いたい

「自然なもの」や「国産品」が買いたい

キレイな状態で買いたい

(例:容器の凹みはイヤ)

キレイな状態で買いたい

(例:容器の凹みはイヤ)

幅広い品揃え

から選びたい

幅広い品揃え

から選びたい

賞味期限は

左程気にせず

賞味期限は

左程気にせず

必要な時・

買える時に買う

必要な時・

買える時に買う

「自然なもの」は

自分で作ったもの

「自然なもの」は

自分で作ったもの

容器が凹んで

いても中身は同じ

容器が凹んで

いても中身は同じ

購入の主体は

定番商品でOK 購入の主体は

定番商品でOK

日本の消費者ニーズ例 アジアの消費者ニーズ例

日本の消費者は世界有数の「sophisticated consumers」

日本の消費者の満足水準の高さは、グローバル企業も認識しており、日本をイノベーションセンターとして位置づける企業も

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

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日本の安心・安全意識(ヒアリング結果)

「安全」と「安心」が混同されている調味料メーカーA社

納品する段ボールの凹みに対して小売から苦情が来ることもある菓子メーカーB社

飲料中の異物混入に伴う回収基準はサイズ米国7㎜以上に対し、日本は2~3㎜以上

飲料メーカーC社

納期は、賞味期限の1/3以内が一般慣行

生産工程、流通工程における検品コストが非常に大きい食品卸D社

行過ぎた安心・安全意識の是正を求めるメーカーの声は、非常に多い

「安全」と「安心」の区分が求められている

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

中国では、缶の凹みくらいでクレームがくることはない小売E社

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消費者の安心・安全意識(参考資料)

(資料)内閣府「食品表示に関する消費者の意識調査」(2002年7月)

カテゴリー安全係数

左記の安全係数を設定している

具体的理由

米菓

A社

0.38風味が良いうちに消費されるよう、

歯ごたえ、食感の保持を考慮

和菓子

B社

0.69

理化学試験、微生物試験では13ヶ

月以上の品質を保証できるが、おい

しさを保持するため賞味期限を短め

に設定

スナック

C社

0.38他商品との横並びで5~6ヶ月の賞

味期限を設定

油菓子

D社

0.50透明フィルム使用のため、高い照度

下に継続しておかれた場合の劣化

を考慮

E社0.70

製造後、市場の保管状況により品質

の変動があるため、賞味期限は一

番厳しい環境で設定

※安全係数=食べられる限界の期間に対するメーカーの賞味期限設定係数(1.0未満)

(資料)農林水産省「菓子業界における賞味期限設定、納入・販売期限、返品に関するアンケート調査結果等の概要」

加工食品を選ぶ際に消費者が見る表示菓子メーカーの「安全係数」設定とその根拠

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

賞味期限

価格

食品添加物

原材料名

鮮度

原産地・原産国

調理法・保存法

生産者名・製造業者

使用上の注意

遺伝子組換

内容量

ブランド名

有機・無農薬の表示

栄養成分表

アレルギー物質

キャッチコピー

無回答

その他

賞味期限

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

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メーカーに比して小売業の事業所・企業数が多く、上位小売業の市場寡占度も低い

小売事業所数(ヒアリング結果)

食品製造業者に対する食品小売業者の倍数

日本は小売店舗数が多く、メーカーの販売・営業活動が煩雑化している冷凍食品メーカーE社

小売企業数が多い日本はメーカー・小売業の直接取引に不向きであり、中間流通の役割が重要食品卸F社

(出所)経済産業省「工業統計表」、「商業統計表」、米国センサス局オンラインデータベース、EUROSTAT「From Farm to Fork」、「Retail Trade in the European Union」に基づき、みずほコーポレート産業調査部作成

大手小売3社の累計シェア(推定)

・日本

約1割

・米国

2~3割

・英国・ドイツ:

5~6割

・フランス

6割強

・日本

約1割

・米国

2~3割

・英国・ドイツ:

5~6割

・フランス

6割強

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

0

2

4

6

8

10

12

日本 米国 英国 ドイツ フランス

(小売業事業所・企業数÷製造業事業所・企業数[単位:倍])

12

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日本はW/R比率が歴史的に高く、多段階の商流・物流下で煩雑・不明瞭な取引慣行が定着

また、1990年代初めの需要飽和化以降は、小売からの取引条件が厳しさを増す状況

(出所)経済産業省「工業統計表」、「商業統計表」、米国センサス局オンラインデータベース、EUROSTAT「From Farm to Fork」、

「Retail Trade in the European Union」に基づき、みずほコーポレート産業調査部作成

商流・物流の複雑性及び多様性

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

食品販売におけるW/R比率

リベートの種類が多数且つ複雑で管理するのが大変菓子メーカーG社

小売からすればどんな注文の仕方をしても仕入価格が変わらないので、物流サービスに対する要求がどんどんエスカレート

コンサルティングH社

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

日本 米国 英国 ドイツ フランス

(卸売業売上÷小売業売上[単位:倍])

全国へのきめ細かい配送が可能全国へのきめ細かい配送が可能

メーカーのメリット・デメリット

流通コストのブラックボックス化流通コストのブラックボックス化

中小メーカーにも販売機会を提供(再編・淘汰が進まない要因にも)

中小メーカーにも販売機会を提供(再編・淘汰が進まない要因にも)

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欧米では事前に条件を明確化した契約取引が主流である一方、日本では、メーカーが明文化されていない費用拠出を小売業者に求められることも少なくない

不透明な根拠に基づくコスト負担(参考資料)

(資料)(財)食品産業センター「平成20年度食品産業における取引慣行の実態調査報告書」

アンケート調査への回答に見られる具体事例

・売上減にも係らず、前年と同額の決算協賛金を

強引に要求してくる。

・新店オープン協賛、創業祭協賛等事前に話し合

いがなく、一方的に要求されるケースもあり。

・さかのぼった時期に対する協賛要請がある。

協賛金

・事前に了解なく安売りをして、後から値引きして

ほしいと言われた。

・EDIにて注文を受けたが、出荷後確認を行った

ところ、連絡も無く取り消されていた。納品をして

しまった為、引き取りを要求したが、半額での

引取りになった。

値引き

・センターフィー支払率の根拠説明は一切無し。

一方的に提案されている。

・金額の検証が出来ず、不透明である。

・納品価格取り決め後に発生するセンターフィー、

価格変更なしでのセンターフィー値上げがある。

センターフィー

・新店・改装時の初回ゼロ円納品等を要求される。・開店納品時に、納品問屋通じて一方的に納品

全金額の半分を値引きしてくる。事前の相談も

一切なし

・ある商品について取り決めた特売回数を超えて

発注。しかも特売の発注しか無い。

買い叩き

・自分の会社で製造している商品の売り場以外の

手伝いをさせられている場合の方が多い。

従業員派遣

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

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競合メーカー数と生産性の違い

(資料)UNdata、EUROSTAT、FAO、USDA、ZMP、農林水産省ヒアリングに基づき、みずほコーポレート銀行

産業調査部作成

(注)日本、米国は2005年、その他は2004年データ。

各国における生乳生産量/牛乳・乳製品メーカー数

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

日本 フランス 英国 米国 ドイツ

国内生乳生産量÷企業数

(単位:千トン)

日本の飲料業界は世界的に見て、プレイヤー数が多いと思う。飲料メーカーI社

精糖業を例にとると、諸外国に比べて工場数が多く、1工場当たり生産規模が低水準にある

各国の生乳生産量≒生乳処理量と見た場合、日本の1企業当たり数量は欧米に比べて低水準

1,3001,400

2,400

3,400

600

13

43

8

1

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

日本 豪州 韓国 米国 英国

0

2

4

6

8

10

12

14

規模 工場数

精製糖工場数・規模の比較

(単位:トン/日、件)

(資料)農林水産省「砂糖及び甘味資源作物政策をめぐる現状と課題」(2006年2月)

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

冷凍食品メーカーJ社 業界再編は、非合理的な背景からなかなか進まない。

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16

セグメント毎に固有の理由

製粉・乳業 国内農業保護の問題から高い原料調達を強いられている

油脂・調味料・畜産 原料の海外依存度が高い

ビール 日本は税率が高い

清涼飲料・菓子 新商品数が多く、商品のライフサイクルが短い

冷凍食品 低温物流コストが嵩むうえ、家庭用で大幅値引き販売が定着

(出所)日刊経済通信社「酒類食品産業の生産・販売シェア」(平成19年度版)より、みずほコーポレート産業調査部作成

清涼飲料・菓子・冷凍食品の市場寡占度(2006年) ビールに占める酒税・消費税の比率

寡占度の差(競争が激しい)

原料価格の差

税金の差

セグメント別に見た低収益性の背景

食品バリューチェーンの特殊性食品バリューチェーンの特殊性

0

10

20

30

40

50

日本 イギリス アメリカ フランス ドイツ

(%)

(出所)アサヒビール「FACTBOOK」より、みずほコーポレート産業調査部作成

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

清涼飲料

菓子

冷凍食品

1位 2位 3位 4位 5位 その他

約670社

約3,100社

約880社

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日本の食品業界の日本の食品業界の低収益性の構造低収益性の構造

利益ある成長を目指すなら海外市場開拓のスピードアップが不可欠

利益を圧迫する外部環境利益を圧迫する外部環境

利益よりも‘生残り’を重視する経営利益よりも‘生残り’を重視する経営

日本の食品バリューチェーンの特殊性など、

構造的な問題は、メーカー利益を圧迫

メーカーはきめ細かい商品やサービスによる

‘生残り’を重視せざるを得ない

海外市場での成長基盤は未整備海外市場での成長基盤は未整備

海外での成長基盤はまだ小さく、

国内の安定利益に依存せざるを得ない(目標経営指標が規模・安定性重視になる)

負のスパイラルからの脱却負のスパイラルからの脱却

さらに激化する国内市場競争さらに激化する国内市場競争

バリューチェーンを構成する各企業で、

価格とコストの微妙なコントロールが続く

日本は’守るだけの市場‘の為、優秀な人材は日本よりも中国に優先的に配置している

グローバル企業A社

経営資源配分の事例

(出所)各社ヒアリング等よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成 17

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海外売上高比率と営業利益率の関係嗜好品・副食等のブランドメーカー(酒類・清涼飲料・菓子・調味料等)においては、海外売上高比率が高い企業の多くが高収益体質

米国企業は巨大な日本の約2倍のマザーマーケットを抱えているため、海外売上高比率は小さ目になる傾向

(出所)Moody’s Financial Metrics アニュアルレポート、有価証券報告書よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2009年8月末現在の時価総額がUSD10億以上の米国・西欧・日本の食品製造企業を対象とし(非上場のサントリーを含む)、各社の2008年度決算を含む過去5期分の決算数値より作成(注)

所在地別セグメント情報がない企業は、海外売上高比率を一律5%とした(注)

西欧企業の所在地別セグメント情報にEUやWestern Europe と記載がある場合は、それ以外を海外として算出

ブランドメーカーの海外売上高比率と営業利益率

米国企業群

Kraft Foods

Diageo

SABMiller

Kellogg

HJ Heinz

ConAgra Foods

Orkla ASA

Brown-Forman

Lindt & Spruengli

Hansen Natural

Remy Cointreau

Tootsie Roll Industries

C&C Group

Britvic

Nestle SA

Coca-Cola Co/The

PepsiCo Inc/NC

Unilever

Anheuser-Busch InBev

Groupe Danone

General Mills

Cadbury

Carlsberg

Campbell Soup

Coca-Cola Enterprises

Molson Coors BrewingHeineken Holding

Hershey

Pepsi Bottling Group

Dr Pepper Snapple

JM Smucker

McCormick

PepsiAmericas

Constellation Brands

Davide Campari-Milano

Damm

Del Monte Foods

Central European Distribution

Premier Foods

Lancaster Colony

サントリー

キリンHD

味の素

日清食品HD

ヤクルト本社

東洋水産 キッコーマン

アサヒビール

サッポロHD

コカ・コーラウエストカゴメ

キユーピーハウス食品

江崎グリコ

明治製菓

宝HD

伊藤園

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

海外売上高比率

営業利益率

(5期平均

海外比率30%未満・利益率10%未満

海外比率30%超・営業利益率10%超

18

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海外売上高比率と営業利益率の関係②

小麦粉・油脂・製糖・水産加工・畜産加工などの主食・食品素材メーカーや、加工用・業務用・PB専業メーカーであっても、海外売上高比率が高い企業の営業利益率は高い

但し、嗜好品・副食メーカーに比べ利益率は低く、海外企業でも国内市場依存型の企業が多い

(出所)Moody’s Financial Metrics アニュアルレポート、有価証券報告書よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2009年8月末現在の時価総額がUSD10億以上の米国・西欧・日本の食品製造企業を対象とし、各社の2008年度決算を含む過去5期分の決算数値より作成(注)

所在地別セグメント情報がない企業は、海外売上高比率を一律5%とした(注)

西欧企業の所在地別セグメント情報にEUやWestern Europe と記載がある場合は、それ以外を海外として算出

米国企業群

素材・業務用食品メーカーの海外売上高比率と営業利益率

Parmalat

SuedzuckerRalcorp Holdings

Tate&Lyle

Barry Callebaut

Ebro Puleva

Marine Harvest

Smithfield FoodsNutreco Holding

CSM

Agrana Beteiligungs

BongrainMaple Leaf Foods

ViscofanAustevoll Seafood

Associated British FoodsSara Lee

SaputoHormel Foods

Kerry Group

Tyson Foods

Dean Foods

Aryzta

Green Mountain

Danisco

Flowers Foods

Seaboard

Fromageries Bel

TreeHouse Foods

GlanbiaCampofrio Food

Canada Bread

味の素

不二製油日清製粉G本社

日本ハム山崎製パン

明治乳業

ニチレイ

森永乳業

雪印乳業

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

海外売上高比率

営業利益率

(5期平均

海外比率10%未満・利益率5%未満

海外比率10%超・営業利益率5%超

赤字は製パン関連企業

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高利益率なグローバル食品企業の地域セグメント別営業利益率

グローバル食品企業の営業利益率おける、海外事業の貢献度は高いか?

グローバル食品企業の地域セグメント別営業利益率

g

営業利益率が国内よりも海外の方が高い企業は、調査対象企業の半数のみ(酒類以外ではネスレのみ)

グローバル食品企業の海外事業利益率は、ホームエリアよりも低いケースも

(出所)各社アニュアルレポートよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2009年8月末現在の時価総額がUSD10億以上の米国・西欧の食品製造企業のうち、海外売上高比率30%超かつ営業利益率10%超で、地域別営業利益率を公表している企業について記載

社名国内

営業利益率

海外

営業利益率自国エリア

ディアジオ 18.5% 23.7% 欧州 北米 29.3% International 22.2% アジア・パシフィック 10.1%

ABI 7.8% 26.9% 西欧 北米 21.7% ラテンアメリカ 39.0% 中・東欧 5.7% アジア・パシフィック 10.1%

SABミラー 7.3% 22.2% 欧州 北米 41.1% アジア・アフリカ 16.9% 南アフリカ 20.3%

ケロッグ 17.1% 15.8% 北米 欧州 14.9% ラテンアメリカ 20.3% アジア・パシフィック 12.8%

ハインツ 21.2% 13.8% 北米(市販用) 欧州 17.9% アジア・パシフィック 11.2% 米国(業務用) 8.6% その他海外 11.4%

クラフト・フーズ 8.0% 2.9% 米国 欧州 1.9% 新興国市場 4.5%

ダノン 16.0% 11.7% 欧州 アジア 14.8% その他海外 10.2%

ユニリーバ 19.6% 16.8% 西欧 米国 22.3% アジア・アフリカ 11.8%

ネスレ 12.2% 16.5% 欧州 北米 16.5% AOA(アジア等) 16.5%

ハイネケンHD 7.2% 10.3% 西欧 米国 6.3% アフリカ・中東 9.2% 中・東欧 12.0% アジア・パシフィック 16.5%

キャドバリー 13.0% 11.5% ユーロゾーン BIMA 19.1% 米国 10.6% アジア・パシフィック 11.5%

モルソン・クアーズ 17.5% 16.5% 米国圏 カナダ 24.2% イギリス 5.9%

海外エリア

(数値は地域別セグメント毎の営業利益率)

赤字は営業利益率が 海外 > 国内

米州

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日本の上場食品企業(海外売上高比率10%以上)の地域セグメント別営業利益率

日本の食品企業の海外事業は、利益ある成長を実現しているか?

日本の海外展開先進企業の地域セグメント別営業利益率

g

キラーコンテンツによる海外市場開拓企業と、M&Aによる海外市場獲得企業の海外事業利益率が高い

時価総額

USD10億以上の企業では、総じて利益ある成長を実現している

(出所)各社アニュアルレポートよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2009年8月末現在の時価総額がUSD10億以上の米国・西欧の食品製造企業のうち、海外売上高比率30%超かつ営業利益率10%超で、地域別営業利益率を公表している企業について記載

社名国内

営業利益率

海外

営業利益率自国エリア

サントリー 4.9% 8.3% 日本 アジア・オセアニア 5.9% 米州 11.3% 欧州 13.6%

キリンHD 6.6% 8.3% 日本 アジア・オセアニア 8.1% その他 9.3%

味の素 3.1% 6.6% 日本 アジア 9.0% 米州 6.7% 欧州 1.9%

日清食品HD 7.6% 0.9% 日本 北米 -5.7% その他の地域 8.0%

ヤクルト本社 7.4% 17.3% 日本 米州地域 25.3% アジア・オセアニア地域 12.4% ヨーロッパ地域 -1.4%

東洋水産 6.9% 10.5% 日本 北米 10.5%

キッコーマン 2.6% 9.6% 日本 北米 9.3% その他の地域 10.9%

不二製油 4.9% 3.1% 日本 アジア 2.5% 米州 5.1% 欧州 3.0%

日清オイリオG 2.7% 1.4% 日本 アジア 1.4%

マルハニチロHD 1.8% 4.6% 日本 北米 5.5% ヨーロッパ 0.7% アジア 3.5% その他の地域 -6.8%

日本水産 1.9% -1.9% 日本 北米 -2.6% 南米 4.3% アジア -8.0% ヨーロッパ 2.0%

サカタのタネ 16.4% 1.4% 日本 北米 -2.8% 欧州 5.8% その他地域 1.5%

理研ビタミン 3.7% 1.8% 日本 アジア 1.7% その他 2.1%

太陽化学 3.1% 2.9% 日本 アジア 3.8% アメリカ 1.4%

海外エリア

(数値は地域別セグメント毎の営業利益率)

赤字は営業利益率が 海外 > 国内

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利益ある成長を遂げる企業

国内で生き残るが薄利な企業

市場が拡大する海外での事業比率向上は、利益ある成長に直結

複数の国で収益の柱ができれば(多国籍化すれば)、更なる収益性向上施策を打てるなど、好循環が生まれる傾向がみられる

グローバル化

多国籍化

国内集中

海外進出拡大

中小・零細 中堅・準大手 国内大手 世界クラス

トップブランド集中

カテゴリー特化PBシフト

地域特化

既存事業強化経営統合

ソフトアライアンス

国内不採算事業の整理

成長事業への新陳代謝

海外の利益

国内の利益

国内市場が抱える構造的な問題は当面続く

競争による負のスパイラル

経営ステージ別の国内経営戦略

(出所)各社ヒアリング等よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

事業エリア

事業規模

利益ある成長は海外事業次第利益ある成長は海外事業次第

22

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あらためて問う、規模の優位性

g

リスクの大きい海外市場に投資するには、一定規模以上の企業規模が必要

g

但し、事業の成長と収益性向上は、「商品カテゴリー×エリア」単位での競争に勝つことで実現する為、

別のファクターが必要

海外展開はリスクがあり、現地工場を作るにも、一定以上の規模は必要

但し、企業規模と商品の販売力とは直接関係ない調味料メーカーA社

競合企業の大きさは、実際の競争力はカテゴリー単位なので関係ない菓子メーカーB社

実際の競争は、「お茶」「炭酸」などカテゴリー毎の競争

飲料市場全体のシェアが伸びても、小売店の「棚割り」は単純には増えない飲料メーカーC社

食品産業では、国内外問わず、局地戦で勝てる「商品」と「スピーディーなエリア展開力」がより重要

報道等ではメーカー間の規模格差に焦点があてられ易いが、本当に「規模」は食品業界における競争力の源泉か?

国内・海外の食品メーカーへのヒアリングにより確認

(出所)ヒアリング等によりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

23

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24

海外展開にはキラーコンテンツが必要

その国では全く新しいカテゴリー

カテゴリー同士の組合せや 形態変化で新しいコンセプトを消費者に提供する新機軸商品

海外市場の開拓(≠買収による獲得)は、現地の食習慣や嗜好の壁を乗り越えるような‘キラーコンテンツ’によって行われる

キラーコンテンツには、A:新しいカテゴリーと、B:新しいコンセプトの2種類がある

(出所)ヒアリング等によりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

キラーコンテンツとはキラーコンテンツとは

キラーコンテンツがなければ、海外市場開拓はできない調味料メーカーA社

米国企業が作らないような菓子で、いち早く市場に参入することが重要菓子メーカーB社

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25

ネスレの海外展開力を支える仕組み:情報フランチャイズシステム

ネスレの 大の強みは、膨大なケーススタディーの本部集約と、それを現地化された各拠点が利用する「情報フランチャイズシステム」

ネスレ本部(スイス/ヴェヴェー )

ケーススタディーが少ない企業のエリア展開

ケーススタディーが多い企業のエリア展開

情報の引出し多い

情報の引き出し少ない

情報

情報

情報

次の展開が早い成功確率が高い

次の展開が遅い失敗も多い

(出所)

ネスレグループ企業情報「会社概要」よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

I T 効果で

社内情報の活用は

飛躍的に加速

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海外展開に必要な「情報」とは

事業展開や商品開発に必要な情報は、どの産業でも多岐にわたるが、食品産業では、生活習慣、食習慣、嗜好の差が地域レベル(国レベルよりも細かい)で異なること、それらが人口構成や家族構成の変化で変動する点にも対応する必要がある

プレミアム市場では‘おいしさ’や‘栄養’だけでなく、購買シーンや食シーンに合わせた‘五感’に訴えるブランディングが必要になり、「現地」でしかわからない情報が増える

自国から学習できる情報自国から学習できる情報

現地の経験で培われる情報現地の経験で培われる情報

・政治動向

・経済動向

・人口・概況

・労働市場

・外資規制

・税制

・労働法

・貿易関連法

・知的財産法

・衛生・添加物規制

・食品表示規制

・市場規模

・競争環境

・物流システム

・生産インフラ

・気候・風土

・歴史・宗教

・価値観

・ライフスタイル

・取引交渉術

・採用・募集方法

・マネジメント手法

・原料関連情報

・人脈作りノウハウ

・ニセモノ摘発方法

・小売動向

・購買行動

・食習慣

・嗜好の変化

食品産業で特に重要

地域数

商品カテゴリー数

より緻密な運用が必要

仮説構築のためのケーススタディと、それを活用する人材活用術としての「現地化」が極めて重要な産業

仮説構築のためのケーススタディと、それを活用する人材活用術としての「現地化」が極めて重要な産業

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ネスレの海外展開力を支える仕組み:人材教育と人材交流

(資料)

ネスレグループ企業情報「私たちが大切にしているもの」より抜粋

(資料)

Nestle S.A.公表資料「Performance through People 」(2008年6月)

ネスレの研修体系

グローバルレベルでの人材活用

グローバルな人材交流による情報共有グローバルな人材交流による情報共有

新しいビジネスの着想新しいビジネスの着想

917の経営上の重要ポストにつき、平均2人以上の後継者を予め認定

CEOが、年間平均24日を研修センターに出向いて社員に経営者の考えを伝えている

その他の人材育成の工夫

「経営に関する諸原則」「マネジメント及びリーダーシップの基本原則」「考働規範」を各国の言語で全従業員に配布

(出所)

ネスレグループ企業情報掲載内容より抜粋

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ネスレの海外展開力を支える仕組み:共通の経営管理システム

全般管理(インフラストラクチャー)

人事・労務管理

技術開発

調達活動

購買物流 製造 出荷物流販売

マーケティングサービス

マージン

情報システムの活用等により、1998年から2008年に約110億ドルのオペレーション・コスト削減を達成

GLOBEとは・・・

ネスレの事業効率化プログラム遂行を円滑化

する世界規模のマネジメント情報システム

(出所)

Nestle S.A.公表資料「Creating Performance Gaps versus Competition 」(2008年6 月)

グローバル展開によるシナジー効果は大きい

グローバル展開によるシナジー効果は大きい

ネスレの事業効率化の推移と海外展開力との関係

グローバルに展開してもシナジー効果は限定的

グローバルに展開してもシナジー効果は限定的

企業買収時の迅速な後方支援企業買収時の迅速な後方支援

グローバルなベストプラクティス共有グローバルなベストプラクティス共有

グローバルなシェアードサービスグローバルなシェアードサービス

ネスレのグローバル展開におけるシナジー

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ネスレの海外展開力を支える仕組み:事業の新陳代謝

長期的な外部環境予測に基づく明確なビジョンを持ち、ビジョンに忠実な事業の新陳代謝を徹底

(資料)

ネスレグループ企業情報「グローバル企業ネスレ」より抜粋

栄養、水事業を積極的に買収栄養、水事業を積極的に買収

成長性の低い事業は売却成長性の低い事業は売却

ネスレの将来ビジョン:「栄養・健康・ウエルネス」への進化

ノバルティスメディカルニュートリションの

買収(2007年7月)等

食が人の心理面にも大きく貢献する世界を想定した大学との共同研究

2007年より全社員が栄養研修を受講

M&A以外の取組みも

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ネスレの海外展開力を支える仕組み:パフォーマンス評価指標

ネスレでは実行すべき具体的な施策をKPIとして詳細に設定し、評価している

「どんな」戦略を「どう」実践するかについては、組織全体で徹底的に討論される

マネージャーの役割は、細かいプロセス管理ではなく、KPIの測定に基づく「結果の分析」

(資料)

ネスレグループ企業情報「2008年パフォーマンス要約」より抜粋

ネスレの栄養・健康・ウエルネス事業におけるパフォーマンス評価指標

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0

200

400

600

800

1,000

1,200

88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%売上高 原価率 販管費率 営業利益率億CHF

31

ネスレの業績推移

「GLOBE」によるグループ共通コストの削減効果が、2005年以降の販売管理費削減、及び営業利益率の向上に貢献していると考えられる

(資料)

Bloomberg 及びNestle S.A.アニュアルレポートよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

ネスレの業績推移(1988年以降)

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ネスレの企業価値推移

企業価値は拡大しており、2000年代ではPBRは3.0倍以上を維持

D/Eレシオは0.4~1.1倍の間でコントロールされている

ネスレの企業価値推移

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

時価総額 ネット有利子負債(左軸) PBR(右軸) DER(右軸)

(億CHF)

(資料)

Bloomberg 及びNestle S.A.アニュアルレポートよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

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日系食品メーカーのグローバル化への道筋は、「新カテゴリー型」と「新基軸型」の2パターン

「新基軸型」による海外展開を図る企業は、専ら3つの企業価値向上施策を組み合わせ、グローバル化の加速を図っている

グローバル

新陳代謝

多国籍化による

面の拡大

「新基軸」商品による

海外進出

M&Aによる

経営資源獲得

注:

新カテゴリー = 独自の研究開発成果に基づく、海外市場では全く認知されていないカテゴリー

注:

新基軸商品

= 海外に既にあるカテゴリーの中で、カテゴリー同士の組合せや 形態変化で新しいコンセプトを消費者に提供する商品

ネスレ、ユニリーバ

etc

「新カテゴリー」商品

による海外進出

ソフトアライアンス

不採算事業の整理

1 2

グローバル化

多国籍化

海外進出拡大

国内集中

ケーススタディの積上げ

グローバル人材の育成

事例にみる、グローバル化へのステップ

33

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狙い

△優良案件に限った純投資に

留まる(シナジー創出は後回し)

・人材育成を待つ時間はなく、

優良案件ならやむを得ない

△特定分野での限定的効果

・ポストマージャーで経営速度が

低下するよりもベターな選択

△損失計上など、痛みを伴う

・決断しにくいが、残しておくと

海外展開に意識が向かわない

時間コストの圧縮

海外事業基盤の獲得

コスト削減

国内投資額の圧縮

収益力向上

経営資源の海外シフト

投資先にテコ入れ

できる人材が不足

投資先にテコ入れ

できる人材が不足

ライバル企業にも

メリットを供与

ライバル企業にも

メリットを供与

新しい成長事業が

育たないと内外の

合意が得にくい

新しい成長事業が

育たないと内外の

合意が得にくい

クロスボーダーM&A(マイノリティ出資含む)

による経営資源獲得

ソフトアライアンス

不採算事業の整理

評価課題

(出所)みずほコーポレート銀行産業調査部作成

施策

課題もあるが、今後も事例は増える見通し課題もあるが、今後も事例は増える見通し課題もあるが、今後も事例は増える見通し

海外展開を意識した企業価値向上施策

34

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35

日本の食品メーカーのM&Aによるエリア展開状況酒類清涼飲料セクターをターゲットとするケースではアジア・オセアニア地域への集中投資が見られるが、加工食品セクターの買収には特徴的なエリア集中投資は見られない(事例も少なく、M&Aは限定的な活用に留まる)

販路・現地ブランドの獲得による海外市場開拓の「橋頭保づくり」が始まった段階とみられる

酒類・清涼飲料セクターをターゲットとしたIn-Out 加工食品セクターをターゲットとした

In-Out

西欧・ロシアにも関心、但し特定エリアへの集中は見られず

調味料・即席麺で僅かな事例のみ、M&Aの活用は限定的

西欧・ロシアにも関心、但し特定エリアへの集中は見られず

調味料・即席麺で僅かな事例のみ、M&Aの活用は限定的

アジア・オセアニア地域での買収が中心

欧米ブランド企業の国内外地盤を避ける戦略

アジア・オセアニア地域での買収が中心

欧米ブランド企業の国内外地盤を避ける戦略

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品・酒類・清涼飲料セクターによるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを記載(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象

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0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

100

200

300

400

500

600

700

00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年1~9月

$50億以上ディール $100億$以上のディール 全体-($50億以上ディール) 件数USD(億) (件)

36

欧米企業のクロスボーダーM&Aのトレンド

過去10年間において、欧米企業によるクロスボーダーM&Aは年間30~40件前後行われている。

2009年はリーマンショックの影響で、件数・金額ともに激減する見通し

欧米食品メーカーによるクロスボーダーM&A実績推移

Unilever社によるBest foods社の買収

Nestleによる米ラルストンピュリナ社(ペットフード)の買収

Interbrew SAによる、AmBevの買収

仏Danoneが蘭Numicoを買収

InBevによるAnheuser-Buschの買収

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品・酒類・清涼飲料セクターによるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象

投資額の合計は、50億ドル以上の大型案件の有無によってバラつきがある

過去10年間における大型案件を除く平均Deal Valueは、約2億ドル/件

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欧米食品メーカーによる先進国/新興国別の投資動向

先進国

新興国 先進国

新興国

~2004年9月(

5Years

) 2005年10月~(

5Years

欧米食品メーカーのクロスボーダーM&Aを、ターゲット企業の所在国で分類(先進国・新興国)すると、 近5年間は新興国をターゲットとしたディールが増加していることがわかる

但し、先進国をターゲットとしたディールも減ってはいない

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品・酒類・清涼飲料セクターによるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象

件件

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

Advanced Emerging

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

Advanced Emerging

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欧米のセクター別クロスボーダーM&Aの傾向

欧州・米国の、①食品セクター、②清涼飲料セクター、③酒類セクターのについて、クロスボーダーM&Aにおけるターゲットセクター及びターゲットエリアの傾向を分析

ターゲットは、どのセクター?

どのエリア?

Bidderを所在国・セクター毎に6種類に分けて分析

米国

欧州

食品 清涼飲料 酒類

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北米

12%

西欧

80%

東欧 1.4%

南米1.2%

中国 0.7%

アジア

4.3%

その他0.5%

39

米国の食品セクター企業によるクロスボーダーM&A

米国の食品セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

Food

54件

(98%)

Beverages

1件

(2%)

ターゲットはFoodセクター

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

外円:金額構成比

金額:西欧が8割

件数:新興国が5割

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

北米 13%

西欧 31%

東欧 17%

南米 11%

中国 6%

アジア 17%

その他

6%

54件157億ドル

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北米

68%西欧

28%

東欧 0.3%

南米0.5%中国 1%

アジア

0.8%

その他1.5%

40

欧州の食品セクター企業によるクロスボーダーM&A

欧州の食品セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

ターゲットはFoodセクター

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

外円:金額構成比

金額:北米が7割

件数:北米・西欧が約7割

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

Food

109件

(79%)

Beverages

29件

(21%)

北米 27%

西欧 41%

東欧 7%

南米 8%

中国 2%

アジア

7%

その他

9%

138件820億ドル

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北米

0%

西欧

31%

東欧

39%

南米

3%

中国 0%

アジア

20%

その他

6%

41

米国の飲料セクター企業によるクロスボーダーM&A

米国の飲料セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

金額:東欧・アジアが6割

件数:新興国が6割、西欧が3割

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

北米

6%

西欧 31%

東欧 31%

南米 16%

中国 0%

アジア 6%

その他

10%

32件37億ドル

Food

8件

(25%)

Beverages

24件

(75%)

ターゲットはBeveragesセクター

外円:金額構成比

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北米

87%

西欧

13%

東欧0%

南米0%

中国 0%

アジア0%

42

欧州の飲料セクター企業によるクロスボーダーM&A

欧州の飲料セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

外円:金額構成比

金額:北米が9割

件数:北米・西欧のみ

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

Food

1件

(33%)Beverages

2件

(67%)

北米 33%

西欧 67%

東欧 0%南米 0%

中国 0%アジア 0%

3件26億ドル

ターゲットはBeveragesセクター(3件のみ)

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北米

35%

西欧

6%東欧

0%南米

12%

中国

0%

アジア

38%

43

米国の酒類セクター企業によるクロスボーダーM&A

米国の酒類セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

外円:金額構成比

金額:アジア・南米が5割

件数:西欧・南米が7割

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

北米 14%

西欧 57%

東欧 0%

南米 14%

中国 0%

アジア

14%

7件37億ドル

Food

0件

Beverages

7件

ターゲットはBeveragesセクター(7件のみ)

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北米

64%

西欧

12%

東欧

3%

南米

19%

中国

2%

アジア 0.2% その他0.8%

44

欧州の酒類セクター企業によるクロスボーダーM&A

欧州の酒類セクター企業によるクロスボーダーM&Aの傾向分析(2000年以降)

ターゲットはBeveragesセクター

ターゲットセクター(Beveragesは酒類を含む)

ターゲットエリア

内円:件数構成比

外円:金額構成比

金額:北米・欧州・南米で97%

件数:新興国が5割

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成(注)

2000年以降に成立した食品セクター企業によるUSD5M(または€5M)以上のIN-Out ディールを集計(グループ会社への出資拡大は除く)(注)

出資比率30%未満(アジアでは10%未満)の取引の場合は、Deal ValueがUSD100M(または€100M)以上のディールが対象(注)

件数はdeal valueが非公表案件(但し、上記条件に該当すると推測されるもの)を含み、金額は公表案件のみを集計

北米

5%

西欧 28%

東欧 22%

南米 8%

中国 14%

アジア

3%その他

4%

81件1145億ドル

Food

0件

Beverages

81件

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(まとめ)欧米のセクター別クロスボーダーM&Aの傾向

米国

欧州

食品 清涼飲料 酒類

ターゲットセクター Food Beverage Beverage

ターゲットエリア件数:新興国5割金額:西欧8割

件数:新興国が6割、西欧が3割

金額:東欧・アジアが6割

件数:西欧・南米が7割金額:アジア・南米が5割

ターゲットセクター Food Beverage Beverage

ターゲットエリア件数:北米・西欧が7割

金額:北米が7割件数:北米・西欧のみ

金額:北米が9割

件数:新興国が5割金額:北米・欧州・

南米で97%

(出所)Merger Marketよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

(注)Beverageには酒類と清涼飲料の両セクターが含まれる

サンプル数少

サンプル数少

米国企業は欧州市場を、欧州企業は北米市場をターゲットとしたM&Aで事業基盤強化を図りつつ、新興国市場を開拓している構図がみてとれる

例えば、欧州の有力酒類メーカーは北米市場を、コカコーラ、ペプシコなどの米国清涼飲料メーカーは欧州市場をまず開拓してきた

欧米企業は、M&Aによるグローバル化を図る一方で、事業は得意分野や成長期待分野に集中している(後述の具体事例ご参照)

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46

ネスレ(スイス)のクロスボーダーM&A

g

ネスレは、事業の「新陳代謝」を活発に実施

重点事業領域の栄養食品・水の事業買収を進める一方、主力事業でも欧州・アジアで一部は売却

(出所)Merger Marketより、みずほコーポレート銀行産業調査部作成

Compl. Date Target Company Deal ValueUSD(m)

stake 国 事業

2009/3/26 Sweet Leaf Tea 16 35% 米国 紅茶

2008/11/16 FoodTech International 20 - 米国 食肉代替品

2008/10/13 Pulmuone Waters 14 49% 韓国 水

2008/9/16 Materna Laboratories 14 51% イスラエル ベビーフード

2008/1/1 Ruzskaya Confectionery Factory (RKF) NA - ロシア 菓子(チョコレート)

2007/10/10 Sources Minerales Henniez SA 128 - スイス 水

2007/8/31 Gerber Products Company 5,500 - 米国 ベビーフード

2007/7/2 Novartis Medical Nutrition 2,525 - スイス 医療用栄養食品

2007/3/13 Green's Foods Limited 104 - オーストラリア ペットフード

2006/9/30 Jenny Craig Inc 600 - 米国 ダイエット食品

2006/8/3 Erikli Su Ve Mesrubat Sanayi Ve Ticaret AS NA - トルコ 水

2006/7/14 Burns Philp (Uncle Toby's business) 668 - オーストラリア シリアル

2006/5/31 Delta Ice Cream SA 288 - ギリシャ アイスクリーム

2006/1/19 Dreyer's Grand Ice Cream Inc 2,595 33% 米国 アイスクリーム

2005/11/7 Musashi 7 - オーストラリア エネルギー飲料

2005/9/27 Proteika NA - フランス プロテイン食品

2005/9/12 ESD (Europeene de Sante et de Dietetique) NA - フランス ダイエット食品

2005/5/12 Societe Source de TABERKACHENT NA - アルジェリア 水

2005/1/31 Wagner Tiefkuehlprodukte GmbH NA 49% ドイツ 冷凍ピザ

主な買収実績(2005年以降)

栄養食品・水

関連事業

主な売却実績(2005年以降)

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2008/6/24Nestle Australia Ltd (dairy and yoghurtdessert business)

34 - オーストラリア 乳製品・ヨーグルト

2008/6/12Nestle Italia (Italian dried pasta and rusksbusiness in Buitoni Sansepolcro plant)

NA - イタリア パスタ

2008/6/3 Water Partners Bottling SA NA - インドネシア 水

2008/4/18Harzer Grauhof Brunnen; RietenauerMineralquellen

NA - ドイツ 水

2008/1/31 Maitre Paul BV NA - オランダ 冷凍パン・冷菓

2007/12/29Family Frost InternationalTiefkuhlheimdienst GmbH

NA - ドイツ 冷凍食品

2007/10/1Nestle Canada (Canadian Carnation brandcanned milk products business)

NA - カナダ 乳製品

2007/3/30 Nestle Waters Philippines 5 - フィリピン 水・清涼飲料

2006/9/30 Nestle Vending K.K. NA 85% 日本 自動販売機

2006/9/22Nestle Schoeller GmbH and Co KG (twomanufacturing plants)

NA - ドイツ アイスクリーム

2006/3/1Goya Inc; Nestle Philippines Inc (chocolatemanufacturing and distribution assets)

5 - フィリピン チョコレート・砂糖

2005/6/7Nestle SA (Gorinchem powdered milkfactory)

NA - オランダ 粉ミルク

2005/5/31 Nestle (Production plant in Bolsward) NA - オランダ 牛乳・乳製品

2005/3/2 Pezzullo Molini Pastifici Mangimifici Spa 12 - イタリア パスタ

2005/1/4Nestle Polska SA (chocolatemanufacturing plant)

NA - ポーランド 菓子

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47

ダノン(フランス)のクロスボーダーM&A

g

ダノンは、ヌミコ(オランダ)の買収などにより、事業再構築を急速に進めている

健康関連ビジネスへの投資を進め、ビスケット、チーズ、ビール、パスタ事業等は売却

ダノンのポートフォリオ変化(1996年~2008年)

(資料)DANONEのFY2008投資家向けプレゼンテーションより抜粋

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48

クラフトフーズ(米国)のクロスボーダーM&A

g

クラフトフーズは、菓子事業への集中投資の一方で、事業リストラを進めている

ナビスコブランドを活用できるビスケットなど菓子事業に集中投資し、食品素材や乳製品は売却

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2007/11/30Groupe Danone SA(Biscuits and Cereal products business)

7,646 - フランス ビスケット・シリアル

2006/9/6United Biscuits(Southern European division)

1,070 - スペイン ビスケット

2003/4/8 Family Nutrition Company S.A.E 77 - エジプト 栄養食品・ビスケット

2003/1/27 Kar Gida NA - トルコ スナック菓子

2002/1/15 Lanes Food Group 62 - オーストラリア ビスケット・クラッカー

2002/1/4Stollwerck AG (Central and EasternEuropean confectionery business)

NA - ハンガリー 菓子

2001/3/2 Societe Des Cafes NA - モロッコ コーヒー

主な買収実績(2000年以降) 主な売却実績(2000年以降)

2010年1月クラフトフーズは英キャドバリーを197億USドルで買収

(出所)Merger Marketより、みずほコーポレート銀行産業調査部作成

菓子事業

食品素材・乳製品事業 注:海外企業への国内事業売却を含む

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2008/10/31 Maarud and Estrella NA - スウエーデン ポテトチップス

2008/4/22 Artiach 120 - スペイン ビスケット

2008/3/14 Carcesa NA - スペイン 缶詰

2007/12/31 Veryfine Products, Inc. NA - 米国 ジュース

2007/12/12 Kraft foods Inc (Cream cheese business ) NA - スペイン クリームチーズ

2007/8/31 Kraft Foods Jamaica Limited NA - ジャマイカ 市販食品

2006/11/10 Minute Rice 280 - 米国 米

2005/12/21 Marsa 19 49% トルコ 植物油脂

2005/5/5 Kraft Foods (yogurt business) 59 - 米国 ヨーグルト

2005/2/14 Kraft Foods Inc. (UK Dessert Business) 135 - イギリス デザート

2003/12/1 Invernizzi Ambrogio E Figlio S.A.S. NA - イタリア チーズ

2003/9/5 Kraft Foods (retail rice brands) 23 - ドイツ 米

2002/11/14 Kraft Foods Inc (Taffy Business) NA - 米国 水飴

2002/11/1Kraft Foods Inc (yeast and industrial bakeryingredients business)

110 - ブラジル パン材料・酵母

2002/1/31 Kraft Foods Inc. (Mexican Pasta business) NA - メキシコ パスタ

2002/1/11Kraft Foods Inc.(Tres Estrellas baking products business)

NA - メキシコ ベーカリー

2001/11/30 Kraft Foods Inc. (Brazilian Dairy Business) NA - ブラジル 乳製品

2000/8/11Kraft Foods(French Chewing Gum & Candy Business)

377 - フランス ガム・キャンディー

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49

ペプシコ(米国)のクロスボーダーM&A

g

ペプシコは、スナック・飲料事業などの買収によって、販路開拓を進めている

西欧、東欧、中東、南米など幅広い国で事業買収を進めている(ターゲット業種は比較的多彩)

主な買収実績(2005年以降) 主な売却実績(2005年以降)

(出所)Merger Marketより、みずほコーポレート銀行産業調査部作成

西欧東欧・中東 南米 オセアニア

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2009/6/4Teeba Investment for Developed FoodProcessing Company PSC

77 75% ヨルダン 飲料・乳製品

2008/12/30 Alimesa S.A. 8 - アルゼンチン 粉末チョコレート

2008/12/11 Lebedyansky JSC 2,000 - ロシア 飲料(ジュース)

2008/10/29 Spitz International Inc. NA - カナダ ヒマワリ・カボチャの種

2008/8/6 Marbo Product D.o.o NA - セルビアモンテネグロ スナック菓子

2008/7/15 Comercio de Doces Lucky Ltda NA - ブラジル スナック菓子

2008/5/6 Sobol Aqua JSC 7 - ロシア ボトラー

2008/5/1 Vitamin Brands Limited 15 - イギリス 機能性飲料

2008/1/8 Penelopa NA - ブルガリア ナッツ

2007/8/20 Sandora LLC 542 80% ウクライナ ジュース

2007/1/4 Bluebird Foods Ltd 169 - ニュージーランド スナック菓子

2006/6/2 Sara Lee Corporation (一部のみ) 166 - オランダ ナッツ

2006/1/2 Star Foods S.A. 50 - ポーランド スナック菓子

2005/8/9 Sakata Rice Snacks Australia Pty Ltd. NA - オーストラリア 米菓子

2005/7/13 Punica Getranke GmbH NA - ドイツ フルーツジュース

2005/2/22 Pete and Johnny Ltd 40 - イギリス フルーツジュース

Compl. Date Target CompanyDeal ValueUSD(m)

stake 国 事業

2006/8/2 PepsiCo(一部のみ) 47 - イギリス シリアル

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50

ディアジオ(英国)のクロスボーダーM&A

g

ディアジオは、2000年代前半までに酒類専業化を終え、新興国市場の開拓に注力

新興国を含む酒類事業の買収に集中し、先進国の酒類事業・酒類ブランドや非酒類事業は売却

主な買収実績(2000年以降) 主な売却実績(2000年以降)

(出所)Merger Marketより、みずほコーポレート銀行産業調査部作成

注:海外企業への国内事業売却を含む

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2009/6/16 Stirrings Inc NA 80% 米国 カクテル用飲料

2007/1/6Sichuan Chengdu QuanxingGroup Co

66 43% 中国 スピリッツ

2006/9/6A1 Group Limited/ Diageoplc (Joint Venture)

17 - ロシア スピリッツ販売

2005/8/25The 'Old Bushmills'Distillery Company Limited

361 - イギリス ウイスキー

2005/2/8 The Chalone Wine Group 251 - 米国 ワイン

2005/2/25 Ursus Vodka Holding NV 188 - オランダウォッカ、スコッチ、ジン等の製造・卸

2004/12/28 Glenmorangie plc 607 - イギリス ウィスキーの卸

2001/12/21Seagram Wine & SpiritBusiness

8,150 - カナダ ワイン・スピリッツ

新興国 注:海外企業からの国内事業買収を含む

先進国の酒類事業・酒類ブランド 非酒類事業

Compl. Date Target CompanyDeal Value

USD(m)stake 国 事業

2005/8/24United Beverages GroupLtd. (一部のみ)

13 - アイルランド 飲料卸

2002/12/13 Burger King Corporation 1,435 - 米国 ファーストフード

2002/10/15 Seagram (一部のみ) NA - カナダラム

(ブランド)

2002/5/9Diageo (Glen Ellen and MGVallejo)

83 - 米国ワイン

(ブランド)

2002/5/8Seagram Company Ltd(一部のみ)

NA - カナダ 清涼飲料

2002/2/19 Four Roses Distillery 77 - 米国ウイスキー(ブランド)

2002/1/21 Oddbins Limited 82 - イギリス ワイン小売

2001/11/1Diageo plc (Croft andDelaforce)

75 - スペイン ワイン製造

2001/3/31 Pillsbury Co 10,400 - 米国 冷凍生地等

2000/9/28UDV Industrial E ComercioLimitada

NA - ブラジル スピリッツ

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欧米企業事例にみられるインプリケーション

海外企業のクロスボーダーM &A の動向にみられる、日本企業へのインプリケーションは以下のとおり

成長の軌道成長の軌道 エリアの優先度エリアの優先度

多角化

エリア拡大

②②

成長事業に絞込み

PepsiCoKraft FoodsNestle

DANONEDiageoAタイプ Bタイプ

(出所)みずほコーポレート銀行産業調査部作成

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日本の食品メーカーによるアジア市場開拓に向けて

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諸外国企業との「強み・弱み」の比較

日本企業日本企業欧州企業欧州企業 台湾企業台湾企業米国企業米国企業

異文化経験と

語学力が不足

異文化尊重

ローカル対応重視

華僑文化圏では

適合力あり異文化適応力異文化適応力

事業展開力事業展開力

商品開発力商品開発力

自社の合理性を

追求(黒船タイプ)

段階的な投資

慎重

大規模

スピーディ

大規模

スピーディ

適所投資

スピーディ

日本企業の強み・弱みを、アジアへの展開時に必要と考えられる①異文化適合力、②事業展開力、③商品開発力の3点から、諸外国と比較

新基軸開発型

オーバースペック

成功ブランド活用型

全ての価格帯

成功ブランド活用型

単一スペック

海外モデル移植型

値ごろ感重視

赤字:強み

青字:弱み

(出所)各社ヒアリングなどよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

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欧米・アジア・日本企業のターゲット市場

高所得者

中所得者

低所得者

所得者層別のターゲット市場の視点から、欧米、アジア、日本の企業の特徴を図示

欧州企業のアジア市場戦略は「手頃な価格帯を中心としたオールプライス戦略」、日本は品質・価値訴求型の商品で市場参入

日本企業日本企業

欧州企業欧州企業 台湾企業台湾企業

米国企業米国企業

プレミアム商品

品質・価値訴求商品

成功モデル商品

価格訴求商品

ノーマル商品

エントリー商品

(出所)各社ヒアリングなどよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

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(参考資料)欧州企業の価格戦略事例

ネスレ

(資料)Nestle S.A.公表資料「AOA-Asia, Oceania, Africa and Middle East」( 2008年11月)

Popularly Positioned Products

「手の届く価格帯の製品群」

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プレミアム戦略の是非(ヒアリング結果)

欧米が興味を示さないニッチな高付加価値商品だからこそ、勝機がある

食文化の壁もあり、一般ユーザーに広めるのは、そもそも困難

当社は海外市場でのボリュームは狙っていない

調味料メーカーI社

飲料メーカーJ社オールラウンドプレーヤーになるつもりはない

新基軸商品に特化し、特定カテゴリーのNo.1を目指している

中国ではハイエンドでも十分なボリュームの獲得が可能と考えている

海外メーカーO社

海外メーカーP社

現地の原料や中古の工場を活用する等で、手ごろな価格設定は可能になる

しかし、日本企業は経営の安全性を 重視し、そうした戦略は取らない

当社もプレミアム市場を狙う場合があるが、日本は常にプレミアム市場狙い

日本企業は、求められていない価値で差別化を図ろうとするので赤字になる

菓子メーカーK社中所得者層の収入拡大により、高価格帯でも消費量は増える

品質を落としてまで安売りする必要はないと考えている

いち早く市場進出し、安物が出回る前にデファクトを作ることが重要

菓子メーカーL社プレミアム市場を狙っていたが、うまくいっていない

ボリュームゾーンで工場稼働率を上げたいが、商品がプレミアム向き

飲料メーカーM社調味料メーカーN社

日本の品質基準の設定が高すぎるのは事実

品質基準のダブルスタンダードが必要だが、レピュテーションリスクがある

カテゴリー特性や企業の競争ポジションから、‘積極的にプレミアム市場を狙っている’企業と、‘プレミアム市場しか選択できない’問題意識から、見直しの必要性を感じている企業に大別される

海外の目線

海外の目線

積極派

積極派

見直し派

見直し派

(出所)各社ヒアリングなどよりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

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欧米・アジア・日本企業の戦略比較

総じて、日本企業の戦略はシェア拡大に奏功しにくい傾向

根源的競争力

・高付加価値・新カテゴリー創出型の商品設計

・近代流通を主体とする販路

・現地企業とのJV(近年は日-日も)・日本向け「逆輸入」を含む輸出販売や、

業務用・OEM対応(一部)

・地元政府との関係構築に注力

・バリュー・チェーン関係者に対する接点強化

・M&Aによるスピーディな事業拡大

・値頃感のある自社ブランドのスペックを展開

・現地の嗜好・経済性にあわせた商品設計

・海外企業(日本・欧米等)の技術取り込み

・地方・伝統流通販路の重点開拓

・企業グループ内の連携

ものづくりのDNA

豊富なグローバル人材

成功済ビジネスモデル

華僑系同士の

コミュニケーション力

段階的な投資

(慎重)

段階的な投資

(慎重)

大規模投資大規模投資

価値観共有を

背景とする

適所投資

価値観共有を

背景とする

適所投資

日本企業

欧米企業

アジア企業

アジア戦略の特徴投資スタンス

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日本の食品企業のアジア戦略オプション

日本企業としては、自社の経営資源の特性に応じて、以下の戦略オプションの選択があり得る

オプション3オプション1 オプション2

ニッチ市場で粗利の大きいビジネスに特化

「量」より「質」を追求

国内外でM&Aや合従連衡を図り

スピーディにグローバル展開のノウハウを蓄積

展開スピードの速さで勝負

「オーバースペック」傾向の解消を通して、より幅広い消費者層を獲得

「薄利多売型」ビジネスにシフト

日本型戦略の進化欧米型戦略の取り込み アジア型戦略の取り込み

日本企業のアジア戦略オプション

理想は、各戦略オプションの組合せにより「良質な食品を、より早く、より多くの人へ」

(出所)みずほコーポレート銀行産業調査部作成

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日本企業に有効な「アジア展開モデル」のヒント

経営権の取得による海外展開は、①マネジメントリスク、②投資リスク、の2つの観点から、日本企業にとってはハードルが高いとの見方も

グローバル企業の海外展開の本質は、「標準化」と「現地化」を組み合わせた「フランチャイズシステム」であることから、経営権の取得を伴わない展開モデルも目指すべき方向の一つと考えられる

グローバル食品企業の海外展開の本質は「フランチャイズシステム」グローバル食品企業の海外展開の本質は「フランチャイズシステム」

原液レシピ原液レシピ

NestleCoca-Cola

各地のヒト、資本、ディストリビューション網をそのまま活用

経営原則や理念は共有するが、その実現方法は

現地に任せる

ブランド

情報システムブランド

情報システム標準化

現地化

(出所)各社ヒアリング等よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

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「アジアの食文化の質的向上を、早く、より多くの人へ」の実現が、日本企業の利益に

日本企業の強みをアジアで活かすビジネスモデル

課題は、適正な対価の受け取る工夫

海外でも売ることを想定した商品開発海外でも売ることを想定した商品開発

ライセンス料・配当

技術力・品質管理ノウハウ新機軸商品アイデア・素材

出資

工程の一部をブラックボックスにする工程の一部をブラックボックスにする

知的財産保護への取組み強化知的財産保護への取組み強化

Application Innovation

早く、広い展開 脱・価格競争

ものづくりDNAの標準化(脱・職人芸)ものづくりDNAの標準化(脱・職人芸)

日本企業がアジアに提供できる価値は、「技術力」、「品質管理ノウハウ」、「新機軸商品のアイデア」

海外事業を自ら手掛けて活用するよりも、現地企業に積極的に提供した方が、早く、広範囲に活用できる可能性が高い

(出所)各社ヒアリング等よりみずほコーポレート銀行産業調査部作成

現地企業 日本企業

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