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褥瘡ケアはトータルケア ~ みんなで取り組む ~
あきしま相互病院褥瘡委員会
発表者:野内 貴幸
共同研究者:一沢夏枝・奈木加代子・古川広志・熊谷 美麻
鳴島美緒・本間義崇・大高美和
当院の特徴
2003年9月 療養型病院として開院
2病棟(計102床)と通所リハ(24/日)
個室料金をとらず安心して療養出来る病院として運営している。
患者:平均年齢87歳 担送率85%
医療区分2・3比率 93%
施設基準:療養入院基本料1 看護・介護20:1
褥瘡患者:入院患者の約13%、予備軍約70%
介護・看護・医療の目標
• 「食事」、「排泄」、「入浴」、「睡眠」、「離床」、残存機能を最大限に引き出す。
• 「生活リハビリ」で高齢者の生活の再構築を図ること!!!
当院の褥瘡委員会の活動
• 2003年9月に多職種参加型の褥瘡回診を開始し褥瘡委員会を設置。
• 月3回の褥瘡回診と月1回の褥瘡委員会の実施。
• 困難事例には、同一法人の急性期病院の皮膚科医師や皮膚・排泄ケア認定看護師にコンサルト。
多職種参加の褥瘡回診
褥瘡治療の転機
・ラップ療法の導入:2006年にラップ療法を導入
・リハビリの効果:
2008年~リハビリの施設基準をアップ、リハビリスタッフの褥瘡回診・委員会に参加開始
・定期的な病棟スタッフへの学習会・カンファレンスを開催
(マルチグローブ・ローリングマット・トランスファーボード等の活用)
⇒安楽なポジショニング・トランスファー・体位変換が可能
⇒褥瘡ケアが飛躍的に改善された。
事例②
80代、女性、 病名:アルコール依存症・認知症・肺癌(ステージⅢb) 多発性胃潰瘍・鉄欠乏性貧血 家族構成:娘1人・孫2人との4人暮らし 現病歴: ・2007年頃~徐々にADL低下 ・2009年 5月頃~寝たきり 7月 仙骨部に褥瘡形成 8月 急性期病院に入院となる。
創の経過
↓
事例②結果
リハビリ:週5回
車椅子座位の耐久性の向上
看護・介護:3食、体操・レクへの参加で、離床時間を促し、コミュニケーション・意欲の向上につなげた。
栄養:体重が33→40kgに増加、BMIは15.1→18.6へ、栄養状態は高→低リスクに改善。
事例① 50代、男性 病名:アルコール依存症・ウェルニッケコルサコフ症候群 家族構成:一人暮らし 現病歴:
・1999年アルコール依存症に伴う神経障害による歩行障害
・2009年11月 転倒にてオイルヒーターにて頭部熱傷、ADL
低下
・2009年12月 褥瘡形成(仙骨部、右大転子部、左下腿、
両踵)し敗血症性ショックとなり急性期病院に入院
事例①創の経過
事例①結果
リハビリ:週5回
起居・移乗動作の介助量の軽減
看護・介護:熱心な声かけ、離床、入浴
→発語・笑顔↑、意欲の向上
栄養:体重が50→52.3kgに増加、
BMI17.3→18.1へ、
栄養状態は中→低リスクに改善
社会環境:在宅退院へ方針転換、
現在、在宅復帰プログラム進行中
考察
1. 多職種参加型褥瘡回診による治療・ケアの評価、方針変更のスピーディーな実践
2. 開放性ウエットドレッシング療法(ラップ⇒モイスキンパッドの導入)
3. トータルケアの実践=生活の再構築 4. 職員の意識の向上
最後に
• 褥瘡は治癒までに数ヶ月単位のケアが必要。
• 療養型病院(慢性期医療)は褥瘡治療環境にあるといえる。
• 医師・薬剤師・栄養士・リハビリスタッフ・看護師・介護職のチーム医療がベース
• 当院の強みを生かした「トータルケア」の前進
急性期病院入院時
(発症約2ヶ月後) サイズ 13.2x7.5cm
処置:ゲーベン+ガーゼ
・処置:洗浄+穴あきラップ+尿取り大パッド(オムツ交換の度に洗浄)
・5日目からモイスキンパッドに変更。
当院入院直後 (発症4ヶ月後)
サイズ 7x6cm
発症約6ヶ月後 (サイズ6x3cm)
発症約8ヶ月後
3.5x2cmに縮小するが、創周囲かぶれ・掻痒感・疼痛を訴え、ミニラップ+周囲プロペトワセリン塗布に変更。
発症約9ヶ月後
2x2cmに縮小、モイスキンパッド+周囲アズノール塗布に変更し、かぶれや疼痛も徐々に軽減。
発症約6ヶ月後
4x2cmに縮小するが、
滲出液過多によるものと思われる創周囲のかぶれあり、
穴明きラップ+大パッドに変更
(発症11ヶ月後) 治癒
発症10ヶ月後 褥瘡サイズ1x1cmになり、プロペト塗布のみに。
発症11ヶ月後 褥瘡治癒となる。
急性期病院入院時 (発症後約1週間)
サイズ 15x11.5cm
処置:ゲーベン+ガーゼ
褥瘡部位:
仙骨部:11x11cmのⅢ度
右大転子部:2x1cmのⅢ度
処置:穴明きラップ+大パット保護
当院入院直後 (発症約3ヶ月後)
サイズ 11x11cm
発症後約5ヶ月後
(サイズ 6x5cm)
仙骨部:週1回の回診で外科的デブリ
右大転子部:ほぼ治癒
処置:1日2~3回の洗浄モイスキンパッド交換で縮小傾向
発症7ヶ月後
(サイズ3.5x3cm)
仙骨部:良性肉芽盛り上がり
処置:モイスキンパッド+周囲プロペト1日1回へ