8
462 (462~469) 小児保健研究  Ⅰ.研 究 背 景 乳児期の食物アレルギーの有病率は,乳児期で5.5 ~13.1歳児で5.4と報告されており 1, 2) ,乳幼児 期に多い疾患である。原因食物を摂取すると蕁麻疹や 掻痒感,眼瞼浮腫などの皮膚症状や下痢,嘔吐,腹痛 などの消化器症状や,咳,喘鳴(ゼイゼイ),呼吸困 難などの呼吸器症状が出現するとされている 3) 。また, アナフィラキシーショックという重篤な全身症状を引 き起こし,生命の危険にさらされる恐れもある。こう した危険に日々対応する母親は,日常的にストレスを 抱えていることが推察され,ストレスに対処できない 場合,抑うつ状態などの精神的な不安定さや不適応行 動につながる恐れもある。臨床的には,不適切な食物 除去により子どもが低栄養となるなどの身体的発達を 阻害される事例もあり 4) ,子どもの発達への影響も懸 念される。 誤食によるアナフィラキシーショックや死亡に至る ケースがあるにもかかわらず,FA 児をもつ保護者に 対する支援はまだ途上である。FA 児の母親は,離乳 食時期から除去食への対応が求められ,健常児であっ ても育児への不安やストレスが高い時期であり,支援 が求められている。 先行研究においては,FA 児の母親や家族は QOL が低下しており,食物除去の数やアナフィラキシー ショックとの関連も報告されていることが示されてい 5,6) が,WHO の QOL 尺度は包括的な生活の質を測 定することを目的としており,慢性疾患児を抱えた 家族への支援方略を得るためには十分ではなく,FA 児の保護者支援につながる結果は得られにくい。国 外において,FA 児の保護者を対象とした QOL 尺度 (FAQOL︲PB:FoodAllergyQualityofLifeParental Burden questionnaire 7) ,FAQOQ︲PF:Food Allergy Quality of Life Parent Form 8) )の信頼性・妥当性が 検証されているが,日本語版においては未だ十分に検 証されていない。また,国内での育児ストレス尺度を 用いた先行研究 9) においては,食物除去の数との関連 が示されているが,FA 児の母親が求める支援方法に TheParentingStressofMothersWhoHaveEarlyChildhoodwithFoodAllergies MikaYugeta 湘南医療大学保健医療学部看護学科(看護師 / 臨床心理士 / 研究職) 〔論文要旨〕 本研究の目的は,食物アレルギーの子ども(以下,FA児)をもつ母親の育児ストレスへの影響要因を明らかにし, 支援の在り方の一助とすることである。FA 児の母親199名を対象にした質問紙による調査を行った結果,子ども のアナフィラキシーショックの経験の多さや,﹁外食に関すること﹂,﹁治療経過(治るかどうか)の不安﹂にスト レスを感じる母親は,全般的な育児ストレスが有意に高かった。さらには﹁子どもの側面﹂はもちろん﹁親の側面﹂ でのストレスも有意に高く,FA 児の母親は親としての機能を十分に果たせていないと感じ,社会的に孤立してい る可能性があり,支援が求められている。 Key words:食物アレルギー,乳幼児,母親,育児ストレス 〔2877〕 受付 16.10. 4 採用 17. 6.27 食物アレルギーのある乳幼児をもつ 母親の育児ストレス 弓気田 美 香  Presented by Medical*Online

食物アレルギーのある乳幼児をもつ 母親の育児スト …...1.母親の属性 母親の平均年齢34.4歳(SD4.5),父親の平均年齢 36.4歳(SD4.9)であり,両親ともに30歳代が多かった。母親の就労状況は,﹁就労なし﹂が106名(63.1%),﹁就

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Page 1: 食物アレルギーのある乳幼児をもつ 母親の育児スト …...1.母親の属性 母親の平均年齢34.4歳(SD4.5),父親の平均年齢 36.4歳(SD4.9)であり,両親ともに30歳代が多かった。母親の就労状況は,﹁就労なし﹂が106名(63.1%),﹁就

 462�(462~469)� 小 児 保 健 研 究 

Ⅰ.研 究 背 景

乳児期の食物アレルギーの有病率は,乳児期で5.5~13.1%,3歳児で5.4%と報告されており1,2),乳幼児期に多い疾患である。原因食物を摂取すると蕁麻疹や掻痒感,眼瞼浮腫などの皮膚症状や下痢,嘔吐,腹痛などの消化器症状や,咳,喘鳴(ゼイゼイ),呼吸困難などの呼吸器症状が出現するとされている3)。また,アナフィラキシーショックという重篤な全身症状を引き起こし,生命の危険にさらされる恐れもある。こうした危険に日々対応する母親は,日常的にストレスを抱えていることが推察され,ストレスに対処できない場合,抑うつ状態などの精神的な不安定さや不適応行動につながる恐れもある。臨床的には,不適切な食物除去により子どもが低栄養となるなどの身体的発達を阻害される事例もあり4),子どもの発達への影響も懸念される。

誤食によるアナフィラキシーショックや死亡に至るケースがあるにもかかわらず,FA 児をもつ保護者に

対する支援はまだ途上である。FA 児の母親は,離乳食時期から除去食への対応が求められ,健常児であっても育児への不安やストレスが高い時期であり,支援が求められている。

先行研究においては,FA 児の母親や家族は QOLが低下しており,食物除去の数やアナフィラキシーショックとの関連も報告されていることが示されている5,6)が,WHO の QOL 尺度は包括的な生活の質を測定することを目的としており,慢性疾患児を抱えた家族への支援方略を得るためには十分ではなく,FA児の保護者支援につながる結果は得られにくい。国外において,FA 児の保護者を対象とした QOL 尺度

(FAQOL︲PB:Food�Allergy�Quality�of�Life�Parental�Burden�questionnaire7),FAQOQ︲PF:Food�Allergy�Quality�of�Life�Parent�Form8))の信頼性・妥当性が検証されているが,日本語版においては未だ十分に検証されていない。また,国内での育児ストレス尺度を用いた先行研究9)においては,食物除去の数との関連が示されているが,FA 児の母親が求める支援方法に

The�Parenting�Stress�of�Mothers�Who�Have�Early�Childhood�with�Food�AllergiesMika�Yugeta湘南医療大学保健医療学部看護学科(看護師 / 臨床心理士 / 研究職)

〔論文要旨〕本研究の目的は,食物アレルギーの子ども(以下,FA 児)をもつ母親の育児ストレスへの影響要因を明らかにし,

支援の在り方の一助とすることである。FA 児の母親199名を対象にした質問紙による調査を行った結果,子どものアナフィラキシーショックの経験の多さや,﹁外食に関すること﹂,﹁治療経過(治るかどうか)の不安﹂にストレスを感じる母親は,全般的な育児ストレスが有意に高かった。さらには﹁子どもの側面﹂はもちろん﹁親の側面﹂でのストレスも有意に高く,FA 児の母親は親としての機能を十分に果たせていないと感じ,社会的に孤立している可能性があり,支援が求められている。

Key words:食物アレルギー,乳幼児,母親,育児ストレス

〔2877〕受付� 16.10.� 4採用� 17.� 6.27

報 告

食物アレルギーのある乳幼児をもつ母親の育児ストレス

弓気田 美 香 

Presented by Medical*Online

Page 2: 食物アレルギーのある乳幼児をもつ 母親の育児スト …...1.母親の属性 母親の平均年齢34.4歳(SD4.5),父親の平均年齢 36.4歳(SD4.9)であり,両親ともに30歳代が多かった。母親の就労状況は,﹁就労なし﹂が106名(63.1%),﹁就

 第76巻 第5号,2017� 463 

言及しているとは言い難い。FA 児の母親の育児ストレスと食物除去や母親が食物アレルギーに関してどのようなことにストレスを感じているのかとの関連を検証することで,より適切な支援策を提案することが可能となると考える。そこで本研究では,FA 児をもつ母親の育児ストレスと食物除去や食物アレルギーに関するストレスとの関連を明らかにすることを目的とする。

Ⅱ.対象と方法

1.調査対象

神奈川県内にある総合病院小児科・小児アレルギー科外来において,食物アレルギーと診断され受診目的にて来院した0~5歳の子どもをもつ母親199名に対して質問紙を配布し,172名の回答を得た(回収率86.4%)。そのうち,食物除去に関する項目が欠損していた4名を除外し,168名を分析対象とした(有効回答率97.7%)。

2.調査方法と調査期間

小児アレルギー外来に診療目的で来院した0~5歳の子どもの母親に対し,食物アレルギーの診断の有無を確認した後,研究の目的,意義,方法,倫理的配慮について文書および口頭で説明し,同意の得られた母親に質問紙を渡した。診察の待ち時間を利用して回答を依頼し,全ての回答が終了しなかった母親には切手貼付済みの封筒を渡し,自宅にて回答後1週間を目安に返送を依頼した。調査期間は2011年5~8月までとした。

3.質問紙の構成

ⅰ.対象者の背景

母親の背景は,両親の年齢と就労状況,家族形態とした。子どもの背景は,月齢・性別・出生順位,食物除去の数,原因食物,アナフィラキシーショックの経験回数,他アレルギー疾患合併の有無,保育所・幼稚園への通園と給食対応とした。ⅱ.食物アレルギーに関する母親のストレス要因

﹁食物アレルギーに関する母親のストレス要因﹂は,食物アレルギーに関する具体的なストレス要因を示すために先行研究10)を参考に作成した質問項目である。

﹁食物アレルギーに関してどのようなことにストレスを感じているか﹂に対して,﹁除去食を作ること﹂,﹁外

食に関すること﹂,﹁医療費に関すること﹂,﹁治療経過(治るかどうか)への不安﹂,﹁ほかの病気の発症への不安﹂,﹁子どもの身体的発達への影響への不安﹂,﹁子どもの心理的影響への不安﹂,﹁家族の理解・協力が得られない﹂,﹁家族以外の周囲の理解・協力が得られない﹂,﹁幼稚園・保育所との連携﹂の項目の中から最大3つまでの多肢選択式で回答を求めた。ⅲ.育児ストレス尺度

育児ストレス尺度には,日本語版 PSI 育児ストレスインデックス(以下,PSI)11)を使用した。PSI は,慢性疾患をもつ子どもの母親の育児ストレス尺度としてAbidin12)が開発し,奈良間らにより,日本語版の信頼性・妥当性が検証されている13)。PSI では,親としての役割を果たすことにそれなりの重要性を感じていれば,心理的,社会的,物資的,生理的な資源がどのように使えるかによって,育児にやりがいを感じたりストレスを感じたりするとされている11)。78質問項目から構成され,PSI 総点は全体的な育児ストレスを示しており,高得点ほど育児ストレスが高いことを示す。親の側面は8下位尺度(﹃親役割によって生じる規制

(7項目)﹄,﹃社会的孤立(7項目)﹄,﹃夫との関係(5項目)﹄,﹃親としての有能さ(7項目)﹄,﹃抑うつ・罪悪感(4項目)﹄,﹃退院後の気落ち(4項目)﹄,﹃子どもに愛着を感じにくい(3項目)﹄,﹃健康状態(3項目)﹄)で構成される。子どもの側面は7下位尺度(﹃親を喜ばせる反応が少ない(8項目)﹄,﹃子どもの機嫌の悪さ(7項目)﹄,﹃子どもが期待通りにいかない(5項目)﹄,﹃子どもの気が散りやすい/多動(5項目)﹄,

﹃親につきまとう/人に慣れにくい(5項目)﹄,﹃子どもに問題を感じる(4項目)﹄,﹃刺激に敏感に反応する/ものに慣れにくい(4項目)﹄)で構成されている。内的整合性を示す Cronbach 信頼性係数αは PSI 総点で0.75,子どもの側面0.81,親の側面0.79,下位尺度は0.86~0.63で最も低かったのは﹁健康状態﹂であった。

4.分析方法

対象者の背景の特徴を明らかにするため記述統計値を算出し,その後母子の背景と育児ストレスとの関連を検討するため,母子の背景を独立変数,PSI 総点を従属変数とした一元配置分散分析を行った。さらに,

﹁食物アレルギーに関する母親のストレス要因﹂と育児ストレスとの関連を検討するため,﹁食物アレルギーに関する母親のストレス要因﹂を独立変数,PSI 総

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Page 3: 食物アレルギーのある乳幼児をもつ 母親の育児スト …...1.母親の属性 母親の平均年齢34.4歳(SD4.5),父親の平均年齢 36.4歳(SD4.9)であり,両親ともに30歳代が多かった。母親の就労状況は,﹁就労なし﹂が106名(63.1%),﹁就

 464�� 小 児 保 健 研 究 

点とその下位尺度を従属変数とした t 検定を行った。データ解析には,統計解析ソフト IBM�SPSS�Statis-tics�vol.23を使用し,有意水準は p<0.05とした。効果量は一元配置分散分析ではη2,t 検定では d を算出した14)。

5.倫理的配慮

調査の目的や方法,研究への参加の自由,不参加または参加の中断があった場合も不利益を受けないこと,質問紙は無記名となっており,得られた情報は個人が特定されない状態で管理,分析し,発表されることなどを文書および口頭で説明し,同意の得られた方のみを対象者とした。本研究は国立病院機構相模原病院倫理審査委員会の承認を得た。

Ⅲ.結   果

1.母親の属性

母親の平均年齢34.4歳(SD4.5),父親の平均年齢36.4歳(SD4.9)であり,両親ともに30歳代が多かった。母親の就労状況は,﹁就労なし﹂が106名(63.1%),﹁就労あり﹂が62名(36.9%)で専業主婦が多かった。父親は﹁就労あり﹂が166名(97.0%),﹁就労なし﹂が2名(3.0%)であった。家族形態は,核家族が152名

(90.5%),複合家族が12名(7.1%),母子家庭が4名(2.1%)で,父子家庭はいなかった。

2.子どもの属性

子どもの平均月齢は37.8�月(SD19.8),性別は男児が104名(61.9%),女児が64名(38.1%)で男児が多かった。出生順位は第1子が96名(57.1%),第2子が58名(34.5%),第3子以上が13名(7.7%),無回答1名(0.6%)であった。

食物除去の数は平均2.6�(SD1.8)で,1種類の除去を必要とする子どもが58名(34.5%)で最も多く,2種類45名(26.8%),3種類24名(14.3%),4種類以上が41名(24.4%)であった。原因食物は鶏卵が125名(74.4%)で最も多く,牛乳83名(49.4%),小麦41名(24.4%),ナッツ類41名(24.4%),大豆15名(8.9%),魚類・ゴマ・そばがそれぞれ14名(8.3%)の順であった。アナフィラキシーショックの経験は,﹁なし﹂が138名

(82.1%),﹁1~2回の経験あり﹂が25名(14.9%),﹁3回以上の経験あり﹂が5名(3.0%)で,最大6回であった。他アレルギー疾患との合併は,﹁なし﹂が66名

(39.3%),アトピー性皮膚炎との合併が56名(33.3%),喘息との合併が18名(10.7%),アレルギー性鼻炎との合併が2名(1.2%),アトピー性皮膚炎と喘息またはアレルギー性鼻炎との合併が26名(15.5%)であった。

子どもの就園は95名(56.5%)で,そのうち47名が保育所に,48名が幼稚園に通園しており,未就園の子どもは73名(43.5%)であった。通園先でアレルギー対応の給食を提供されているのは,保育所では47名中36名(76.6%),幼稚園では48名中10名(20.8%)であった。幼稚園では30名が弁当を持参していたが,アレルギーの有無にかかわらず全員が弁当を持参している幼稚園も含まれていた。

3.食物アレルギーに関する母親のストレス要因

﹁食物アレルギーに関するストレス要因﹂を質問した結果を図に示した。﹁外食に関すること﹂と回答した母親が101名で最も多く,次いで﹁治療経過(治るかどうか)への不安﹂が74名,﹁除去食を作ること﹂が65名,﹁子どもの心理的影響への不安﹂が33名,﹁幼稚園・保育所との連携﹂が25名の順で多かった。

4.母子の背景とPSI 総点との関連

母子の背景が育児ストレスに及ぼす影響を明らかにするため,母親の背景を独立変数とし PSI 総点を従属変数とした一要因分散分析を行った結果を表1に示す。母親の背景の違いによる PSI 総点の平均値に有意な差は認められなかった。

子どもの背景が育児ストレスに及ぼす影響を検討するため,子どもの背景を独立変数に,PSI 総点を従属変数とした一要因分散分析を行った(表2)。アナフィ

外食に関すること

治療経過(治るかどうか)への不安

除去食を作ること子どもへの心理的影響への不安

子どもの身体的発達への不安

幼稚園・保育所との連携ほかの病気発症への不安

家族以外の理解・協力が得られない

家族の理解・協力が得られない

医療費に関すること

0 20 40 60 80 100 120

(人)

N=168101

7465

33

2625211373

10174

6533

2625211373

図 食物アレルギーに関するストレスを母親がどのように感じているか(最大3つまでの多肢選択式)

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 第76巻 第5号,2017� 465 

ラキシーショックの経験回数に有意な差が認められ(p< .05),多重比較の結果,経験なし群と比較して3回以上の経験あり群の育児ストレスが有意に高まることが示された(p< .05)。また,有意な差は示されなかったものの経験回数が多くなるほど PSI 総点の平均値が高まる傾向がみられた。その他の背景要因と PSI 総点との有意な関連は示されなかった。

5.食物アレルギーに関する母親のストレス要因と PSI

総点,下位尺度得点との関連

食物アレルギーに関する母親のストレス要因において,回答人数の多かった﹁外食に関すること﹂,﹁治療経過(治るかどうか)の不安﹂,﹁除去食を作ること﹂に対するストレスの有無を独立変数とし,PSI 総点と下位尺度得点を従属変数としたt検定を行った(表3)。﹁外食に関すること﹂では PSI 総点(p< .01),﹁子

どもの側面﹂(p< .02),﹁親の側面﹂(p< .01),下位尺度では﹁子どもの機嫌の悪さ﹂(p< .03),﹁子どもに問題を感じる﹂(p< .00),﹁刺激に敏感に反応する/ものに慣れにくい﹂(p< .03),﹁親役割によって生じる規制﹂(p< .01),﹁社会的孤立﹂(p< .00),﹁親としての有能さ﹂(p< .04)で有意差が認められた。﹁治療経過(治るかどうか)への不安﹂では PSI 総点(p< .01),﹁親の側面﹂(p< .02),﹁子どもに問題を感じる﹂

(p< .01),﹁親としての有能さ﹂(p< .01),﹁健康状態﹂(p< .02)で有意差が示された。

Ⅳ.考   察

1.食物除去の数や原因食物,アナフィラキシーショッ

クの経験が母親の育児ストレスに与える影響

除去食物の数が多いことや,原因食物が日常的に摂取する鶏卵,牛乳,小麦などの食品であることは,PSI で示される全体的な育児ストレスに影響を及ぼすと考えられたが,本研究においてはそのような結果は示されなかった。しかしアナフィラキシーショックの経験は母親の育児ストレスに直接影響することが示された。アナフィラキシーショックは,原因食物を少量摂取したのみで全身性の症状が出現し循環不全を呈し意識障害を伴うなど生命にかかわる状態となり,そうした経験を繰り返すことは親として大きなストレス要因になることが推察される。米国における先行研究5)

においても,アナフィラキシーショックの経験は FA児の家族の QOL の低下を招くことが明らかになっている。本研究においては全体的な育児ストレスを高め,親としての養育機能そのものにも影響を与える可能性が示唆された。食物アレルギーによるアナフィラキシーショックの頻度は10%という報告15)もあり,FA児が経験する可能性は高く,医療者はアナフィラキ

表1 FA 児の母親の属性と育児ストレスとの関連n M(± SD) F 値 p 値 効果量

母親の年齢20歳代 12 166.2(±42.1)

3.75 .026�(多重比較 n.s) .0630歳代 99 182.8(±29.2)

40歳代 17 163.5(±36.8)

父親の年齢20歳代 10 170.3(±34.8)

1.33 .27 .0230歳代 82 182.2(±31.6)40歳代 36 173.2(±32.9)

母親の就労状況

就労なし 87 180.0(±32.2)

.41 .80 .01正規雇用 26 180.1(±28.6)非正規雇用 15 174.0(±39.3)自営業 2 187.0(±19.8)その他 2 156.0(±14.1)

父親の就労状況正規雇用 118 179.7(±32.5)

.19 .83 .00非正規雇用 3 172.3(±14.3)自営業 10 174.4(±32.8)

家族形態核家族 124 179.4(±32.0)

.07 .93 .00複合家族 7 174.6(±35.3)母子家庭 1 178.0

PSI 総点を従属変数とした一要因分散分析結果(欠損値は除く)。効果量はη2を算出。

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 466�� 小 児 保 健 研 究 

表2 FA 児の属性と母親の育児ストレスとの関連n M(± SD) F 値 p 値 効果量

子どもの年齢 0歳 19 172.6(±31.2)

0.65 .664 .03

1歳 24 181.3(±23.6)2歳 23 177.4(±34.9)3歳 23 173.1(±30.0)4歳 20 186.5(±35.2)5歳 23 183.4(±36.9)

子どもの性別 男児 79 180.3(±29.1)0.29 .589 .00

女児 53 177.3(±36.0)子どもの出生順位 第1子 74 182.2(±32.4)

1.86 .140 .04第2子 46 177.3(±31.2)第3子 9 171.0(±29.5)第4子 2 133.5(± 4.9)

食物除去の数 1種類 43 183.0(±31.2)

1.55 .205 .092種類 37 172.2(±26.7)3種類 20 172.8(±34.3)4種類以上 32 185.9(±36.0)

原因食物 鶏卵 あり 97 178.8(±33.2)

0.04 .833 .00なし 35 180.1(±28.8)

 牛乳 あり 62 175.9(±32.8)1.21 .273 .01

なし 70 182.0(±31.1) 小麦 あり 31 178.9(±38.5)

0.00 .973 .00なし 101 179.2(±29.9)

 ナッツ類 あり 33 181.5(±33.6)0.24 .623 .00

なし 99 178.3(±31.5) 大豆 あり 14 177.7(±28.9)

0.03 .864 .00なし 118 179.3(±32.4)

 魚類 あり 13 164.7(±34.8)2.98 .087 .02

なし 119 180.7(±31.4) ゴマ あり 10 183.5(±33.5)

0.20 .653 .00なし 122 178.7(±31.9)

 そば あり 10 195.6(±31.7)2.93 .090 .02

なし 122 177.8(±31.7)アナフィラキシーショックの経験

経験なし 109 177.1(±31.6)4.02 .020 .061~2回 18 180.9(±27.7)

3回以上 5 217.4(±35.8)アレルギー疾患合併 合併なし 55 175.6(±30.3)

1.85 .142 .08 アトピー性皮膚炎 38 175.0(±30.2) 喘息または鼻炎 17 182.2(±40.2) アトピー性皮膚炎と喘息または鼻炎 22 192.7(±30.0)通園先と給食対応 保育所に通園 FA 対応の給食 25 175.8(±31.9) 通園主効果

お弁当を持参 4 180.8(±17.2) 1.96 .164 .02給食 + お弁当持参 5 161.8(±39.0) 給食主効果

 幼稚園に通園 FA 対応の給食 8 202.4(±35.6) 1.08 .359 .03お弁当を持参 26 189.8(±33.9)

交互作用給食 + お弁当持参 3 170.0(±32.8)

 未就園 59 174.3(±29.8) 0.46 .635 .01従属変数は PSI 総点。通園先と給食対応は二要因分散分析の結果。� *�p<0.05その他は一要因分散分析の結果(欠損値は除く)。多重比較は TukeyHSD 法。�効果量はη2を算出。

*

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 第76巻 第5号,2017� 467 

表3 PSI 下位尺度を従属変数とした「食物アレルギーに関する母親のストレス要因」t 検定感じている 感じていない

t 値 df有意確率

効果量n M SD n M SD (両側)

外食に関すること

PSI 総点 81 184.98 32.26 51 169.78 29.42 2.72 130 0.01 0.49子どもの側面 91 82.57 17.94 58 75.76 15.04 2.40 147 0.02 0.40

親を喜ばせる反応が少ない 98 10.82 3.06 65 10.52 2.70 0.63 161 0.53 0.10子どもの機嫌の悪さ 101 17.63 4.99 64 15.95 4.15 2.24 163 0.03 0.36子どもが期待どおりにいかない 100 9.29 3.70 66 8.52 3.23 1.39 164 0.17 0.22子どもの気が散りやすい / 多動 100 14.10 4.08 65 13.22 3.48 1.44 163 0.15 0.23親に付きまとう / 人に慣れにくい 100 12.66 3.87 66 11.82 3.89 1.37 164 0.17 0.22子どもに問題を感じる 99 10.23 3.36 67 8.75 2.99 2.92 164 0.00 0.46刺激に敏感に反応する / ものに慣れにくい 99 8.57 2.73 65 7.63 2.48 2.22 162 0.03 0.35

親の側面 89 102.43 19.48 57 93.26 19.21 2.79 144 0.01 0.47親役割によって生じる規制 98 21.76 5.04 65 19.58 5.05 2.69 161 0.01 0.43社会的孤立 97 15.82 4.94 65 13.18 4.63 3.42 160 0.00 0.55夫との関係 100 12.13 4.77 63 11.05 4.31 1.46 161 0.15 0.24親としての有能さ 99 21.33 3.76 67 20.12 3.55 2.09 164 0.04 0.33抑うつ・罪悪感 99 9.57 3.10 66 9.14 3.31 0.85 163 0.40 0.13退院後の気持ち 100 8.17 2.85 65 8.02 3.25 0.32 163 0.75 0.05子どもに愛着を感じにくい 100 6.11 2.30 67 5.66 2.20 1.27 165 0.21 0.20健康状態 99 7.37 2.42 67 6.64 2.26 1.96 164 0.05 0.31

治療経過(治るかどうか)の不安

PSI 総点 58 187.07 33.12 74 172.86 29.76 2.59 130 0.01 0.45子どもの側面 67 81.39 17.65 82 78.72 16.73 0.94 147 0.35 0.16

親を喜ばせる反応が少ない 71 10.92 2.92 92 10.53 2.92 0.83 161 0.41 0.13子どもの機嫌の悪さ 74 17.32 4.94 91 16.70 4.59 0.84 163 0.40 0.13子どもが期待どおりにいかない 73 9.25 3.26 93 8.77 3.73 0.86 164 0.39 0.13子どもの気が散りやすい / 多動 72 13.47 4.17 93 13.97 3.62 -0.82 163 0.42 -0.13親に付きまとう / 人に慣れにくい 73 12.23 4.10 93 12.40 3.74 -0.27 164 0.79 -0.04子どもに問題を感じる 73 10.44 3.37 93 9.00 3.10 2.86 164 0.00 0.45刺激に敏感に反応する / ものに慣れにくい 73 8.30 2.91 91 8.11 2.47 0.46 162 0.65 0.07

親の側面 62 103.47 20.12 84 95.44 19.01 2.46 144 0.02 0.41親役割によって生じる規制 71 21.68 5.13 92 20.28 5.09 1.73 161 0.09 0.27社会的孤立 71 15.01 5.37 91 14.57 4.66 0.56 160 0.58 0.09夫との関係 72 11.83 4.19 91 11.62 4.95 0.30 161 0.77 0.05親としての有能さ 72 21.69 4.09 94 20.19 3.28 2.63 164 0.01 0.41抑うつ・罪悪感 71 9.82 3.31 94 9.07 3.07 1.49 163 0.14 0.23退院後の気持ち 73 8.51 3.18 92 7.79 2.83 1.52 163 0.13 0.24子どもに愛着を感じにくい 73 6.22 2.25 94 5.70 2.27 1.47 165 0.14 0.23健康状態 72 7.58 2.37 94 6.69 2.32 2.43 164 0.02 0.38

除去食を作ること

PSI 総点 55 183.76 31.48 77 175.78 32.08 1.42 130 0.16 0.25子どもの側面 62 78.81 16.50 87 80.71 17.64 -0.67 147 0.51 -0.11

親を喜ばせる反応が少ない 64 10.08 2.60 99 11.10 3.05 -2.21 161 0.03 -0.35子どもの機嫌の悪さ 65 16.97 4.62 100 16.99 4.85 -0.03 163 0.98 0.00子どもが期待どおりにいかない 65 8.46 3.32 101 9.32 3.63 -1.53 164 0.13 -0.24子どもの気が散りやすい / 多動 65 13.66 3.93 100 13.81 3.84 -0.24 163 0.81 -0.04親に付きまとう / 人に慣れにくい 64 11.61 3.74 102 12.77 3.93 -1.89 164 0.06 -0.30子どもに問題を感じる 64 9.84 3.10 102 9.50 3.41 0.65 164 0.51 0.10刺激に敏感に反応する / ものに慣れにくい 65 8.03 2.63 99 8.30 2.70 -0.64 162 0.52 -0.10

親の側面 58 102.79 19.49 88 96.25 19.72 1.97 144 0.05 0.33親役割によって生じる規制 64 21.73 5.31 99 20.34 4.97 1.70 161 0.09 0.27社会的孤立 62 15.50 5.03 100 14.31 4.91 1.49 160 0.14 0.24夫との関係 64 12.16 5.04 99 11.42 4.32 0.99 161 0.32 0.16親としての有能さ 64 21.47 3.60 102 20.45 3.75 1.73 164 0.09 0.28抑うつ・罪悪感 64 9.70 3.38 101 9.20 3.05 0.99 163 0.32 0.16退院後の気持ち 64 7.91 3.09 101 8.24 2.95 -0.69 163 0.49 -0.11子どもに愛着を感じにくい 65 5.72 2.10 102 6.06 2.37 -0.93 165 0.35 -0.15健康状態 64 7.22 2.39 102 6.99 2.38 0.60 164 0.55 0.10

PSI 総点を従属変数とした t 検定の結果(欠損値は除く)。効果量は d を算出。d=0.2程度で小(small)の効果量,d=0.5程度で中(medium)程度の効果量,d=0.8程度で大(large)程度の効果量。

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 468�� 小 児 保 健 研 究 

シーショックの経験がある FA 児の母親は,高いストレス状態に置かれていることを念頭に支援する必要がある。

2.母親の食物アレルギーに関するストレス要因と育児

ストレスの特徴

﹁外食に関すること﹂にストレスを感じている母親は,PSI 総点で示される全体的な育児ストレスをはじめ,子どもの特徴に関連するストレスや親機能に関連するストレスのどちらにおいても有意にストレスが高まる傾向が示された。外食に関することにストレスを感じることは,子どもが食物アレルギーであるという特徴が要因であるはずであるが,母親は親としての役割を十分に果たせていないと感じ,ストレスを高めていることが示唆される。ラザルスの認知的評価ストレス理論によれば,ストレスへの認知的評価と対処ができないことが,ストレスの高まりに影響を与える17)とされている。一方で,ストレスへの対処方法が示されることで,ストレスを低減できる可能性も示されている16)。FA 児の母親の育児ストレスを高める要因には,子どもが食物アレルギーであることをどのように捉え,対処できているかということが関連している可能性が示唆される。つまり,FA 児を育児するうえで外食への対応方法を示すことが育児ストレスの低減,ひいては母親の養育行動を適切なものとする可能性があると考えられる。

さらに外食に関してストレスを感じている母親は,子どもの機嫌が悪くなりがちで,刺激に敏感に反応したり,ものに慣れにくかったりすると感じており,社会的孤立ストレスも高くなっている。外食のしにくさが FA 児の育てにくさや母子の密着関係となり,ストレス要因となっている可能性がある。親子が孤立しないよう社会全体で食物アレルギーの母子に対する理解を深める支援が求められている。﹁治療経過(治るかどうか)への不安﹂のストレス

があることが,育児ストレスを高める傾向が示された。食物アレルギーは,乳幼児期に発症し,加齢とともに耐性獲得し摂取できるようになることが多いが,学齢期に達しても耐性が獲得されず,わずかな原因食物にも反応を示す場合もある。食物アレルギーの経過は多様であり,不透明な先行きに不安を感じる母親は多いのではないかと考えられる。食物アレルギーは多様な経過をたどることも踏まえつつ,今後予測できる治療

経過について説明することで,母親の育児ストレス低減につながるのではないかと考える。

3.本研究の限界と今後の課題

本研究における対象者は,都市部にある小児アレルギー科を持つ総合病院に通院している FA 児の母親である。専門の施設を受診することが難しい地域に住む FA 児の母親の育児ストレスとは異なる可能性がある。今後は専門の施設がない地域を対象にした調査や,食物アレルギーの子どもとその家族がおかれている現状の理解を促すためにどのような社会的支援が必要であるかを検証する必要があると考える。また,食物アレルギーでない子どもをもつ母親との育児ストレスの違いを明らかにすることで,FA 児をもつ母親の育児ストレスの特徴がさらに明らかになると考えられ,今後の課題である。

4.結 論

本研究においては,以下の結論を得ることができた。1.アナフィラキシーショックの経験回数は,FA 児

の母親の育児ストレスの高まりに影響する可能性がある。2.外食に関することや治療経過(治るかどうか)の

不安が FA 児の母親の育児ストレスを高めている。3.FA 児の母親の育児ストレスは,親としての機能

を十分に果たせていないと感じ,社会的に孤立していることが関連しており,社会的な支援が求められている。

謝 辞

調査にご協力いただきましたお母様方,医師・栄養士・

看護師の皆様に心より感謝申し上げます。

本研究は,2011年白百合女子大学大学院文学研究科発

達心理学専攻修士論文集,第7回乳幼児保健学会学術集

会において発表した内容を再分析している。

利益相反に関する開示事項はありません。

文   献

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〔Summary〕The�objective� of� this� study� is� to� reveal� the� factors�

influencing� the�parenting�stress�of�mothers�of�children�

with� food� allergies(hereinafter� referred� to� as� FA�

children)and�to�assist�the�methods�of�support�currently�

in� place.In� the� results� of� a� survey� conducted� by�

questionnaire�with�199�mothers�of�FA�children,�mothers�

who� feel� stress“regarding� eating� out”and“anxiety�

about� treatment�progress(whether� the� child�will� be�

cured)”and�the�frequency�of�the�child’s�experience�with�

anaphylactic� shock�had� significantly�higher�parenting�

stress�overall.Furthermore,stress�due� to“children’s�

factors”was�significantly�high,but�because�stress�due�to

“parent’s�factors”was�also�significantly�high,and�because�

mothers�of�FA�children�may� feel� they�are�not�able� to�

sufficiently�function�as�parents�and�may�be�socially�isolated,

support�is�required.

〔Key�words〕

food�allergy,early�childhood,mother,parenting�stress

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