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軽水炉評価 軽水炉評価 軽水炉評価 軽水炉評価 技術の 技術の 技術の 技術の課題 課題 課題 課題 大阪大学大学院工学研究科 機械工学専攻 2012年日本原子力学会春の年会(福井大学)熱流動会計算 科学技術会合同企画「我が国におけ軽水炉 評価技術の今後」

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軽水炉シビアアクシデント評価軽水炉シビアアクシデント評価軽水炉シビアアクシデント評価軽水炉シビアアクシデント評価技術の技術の技術の技術の課題課題課題課題

大阪大学大学院工学研究科

機械工学専攻

片岡 勲

2012年日本原子力学会春の年会(福井大学)熱流動部会・計算

科学技術部会合同企画セッション「我が国における軽水炉シビアアクシデント評価技術の今後」

軽水炉シビアアクシデント解析コード

• MELCOR (サンディア国立研究所)

• MAAP4 (EPRI)

• SAMPSON(エネルギー総合工学研究所)

• THALES(日本原子力開発機構)

• ASTEC (フランス、ドイツ)

• 今回の福島事故の解析に用いられている

• 多くの熱流動現象をモデル化

• 熱流動現象とモデル化と評価技術の課題

シビアアクシデントの諸現象

 

溶融開始前後原子炉冷却系熱水力溶融開始前後原子炉冷却系熱水力溶融開始前後原子炉冷却系熱水力溶融開始前後原子炉冷却系熱水力挙動挙動挙動挙動

• LOCAやSBOなどの起因事象

• 燃料の破損溶融に至るまでの原子炉冷却系内の熱水力挙動

• 従来からモデル化とコード

• RELAP,TRAC,CATHARE等の熱水力解析コード

• 十分な精度で解析が可能

燃料棒ヒートアップ挙動燃料棒ヒートアップ挙動燃料棒ヒートアップ挙動燃料棒ヒートアップ挙動

• 燃料ペレット・ギャップ・被覆管の熱伝導、被覆管の膨張・破裂、Zr-水反応、被覆管の脆化破損、ZrとUO2の共晶反応、被覆管の溶融

破損等の現象のモデル化

• ギャップコンダクタンス、Zr-水反応モデルに

よる感度が大

• こうしたモデル化の一層の高度化が必要

• 炉心の崩壊熱の正確な評価

溶融炉心移動挙動.下部プレナムデ溶融炉心移動挙動.下部プレナムデ溶融炉心移動挙動.下部プレナムデ溶融炉心移動挙動.下部プレナムデブリ拡がり、冷却ブリ拡がり、冷却ブリ拡がり、冷却ブリ拡がり、冷却挙動挙動挙動挙動

• 溶融デブリの冷却のメカニズムが特に重要

• 格納容器下部ヘッドの溶融デブリの冷却

• 上部の水の沸騰熱伝達により冷却

• 沸騰の過程についての十分な知見は得られていない

• デブリの固化とともにデブリ内部に亀裂が生じその小さな間隙を冷却水が流入して冷却

• 溶融デブリと圧力容器下部ヘッドの間に間隙に水が流入して冷却

• 溶融デブリ内の密度分布や発熱分布、自然対流特性

下部ヘッドの溶融デブリ挙動

燃料内燃料内燃料内燃料内FP放出挙動、原子炉冷却系内放出挙動、原子炉冷却系内放出挙動、原子炉冷却系内放出挙動、原子炉冷却系内

および格納容器内FP移行および格納容器内FP移行および格納容器内FP移行および格納容器内FP移行挙動挙動挙動挙動

• 今回の福島事故においても水素爆発、ドライベント等によって大量の放射性物質が放出

• ソースタームを評価する上でFP挙動は極めて

重要

• FPの多くはエアロゾルの形で放出

• エアロゾルの拡散、付着、浮遊やスクラビング、スプレイ等による除去特性についての知見が必要

格納容器内熱水力挙動格納容器内熱水力挙動格納容器内熱水力挙動格納容器内熱水力挙動

• 圧力容器破損• 格納容器内には、溶融デブリ、水蒸気等が放出され、温度、圧力は上昇

• 圧力が設計圧を大幅に超えると格納容器が破損• 大量の放射性物質が放出• 沸騰や凝縮を伴う、多次元、多相の複雑な熱流動現象• 最も厳しいものが格納容器直接加熱(DCH)

• 今回の福島島事故、格納容器圧力の複雑な挙動やドライウェルとウェットウェルでの圧力の違い等、未解明の課題が多い

• 今後モデルの一層の高度化が必要

デブリ・コンクリート反応デブリ・コンクリート反応デブリ・コンクリート反応デブリ・コンクリート反応挙動挙動挙動挙動

• 溶融デブリが圧力容器底部を貫通し落下

• 格納容器底部のコンクリートを反応し浸食

• 今回の福島事故でもこの現象が起きている

• コンクリートのとの化学反応、CO2の発生に伴

う複雑な多相流動伝熱現象

• 実験を含めたモデル化が行われている

• 上部から注水した場合の冷却の有効性等、未解決の課題も多い

デブリコンクリート反応

水蒸気爆発水蒸気爆発水蒸気爆発水蒸気爆発

• 高温の溶融炉心が水中に流入する際に大規模な爆発が起こる現象

• 今回の福島事故では水蒸気爆発は起こらず(高圧状態や低サブクール度では起きにくい)

• 潜在的な危険は非常に大きい

• 実験と解析が行われ多くの知見

• 非常に高速で複雑な現象であり、一層のモデルの高度化が必要

水素混合挙動、水素燃焼挙動水素混合挙動、水素燃焼挙動水素混合挙動、水素燃焼挙動水素混合挙動、水素燃焼挙動

• 格納容器内での水素混合挙動や水素燃焼挙動については実験と解析が行われてきた

• 今回の福島事故においては、原子炉建屋内での水素爆発• 水素混合挙動は非常に複雑な現象であり(スプレイや蒸気の存在の影響等)知見は不十分

• 乱流場での水素燃焼の詳細解析は十分に解明されていない点が多く現在も研究が鋭意進められている。

• 爆発的燃焼• 爆燃(火炎速度が音速以下)• 爆轟(火炎速度が音速以上で衝撃波が発生)• 特に多次元の爆轟については、理論的な解析が難しくモデルが未確立• 今後原子炉建屋内も含めた、水素混合、燃焼挙動のモデル化が極めて重要

• 水素がどのような経路で格納容器や建屋内に放出されるかをベント操作との関連を含めて特定することが重要

水素燃焼挙動解析

• 燃焼・化学反応を含む多成分圧縮性流れ• 乱流モデル:k-εモデル

• 燃焼モデル:多数の素反応の熱力学諸量のデータベースとそれから燃焼反応を解析し反応物質の組成を計算

• Chemkin(米国サンディア国立研究所)等の計算プログラム

• 未解明の素過程が多く現在も研究が進められている

燃焼の解析

• 平衡常数を用いて燃焼での各物質の組成が計算できる。まず燃焼に関わる反応とその反応物質のギブスの自由エネルギーのデータから平衡常数を求め、それから各物質の組成を求めることができる。

• しかしながら非常に簡単な反応

• でも実際の素反応は次の16種類ある

OH2OH2222

→+

 

  OH2OH2222

→+

の素反応

燃焼の解析

• 実際の燃焼の解析

• これら多数の素反応の熱力学諸量のデータベースとそれから燃焼反応を解析し反応物質の組成を計算するプログラムによって解析を行う

• Chemkin等の計算プログラムが広く利用され

ている。

CHEMKIN

• CHEMKINとは– 米国サンディア国立研究所の研究グループが1980年ごろから開発

– 素反応計算,輸送計算,表面反応計算の各パッケージと,サブルーチン群.またそれらを利用したアプリケーションツール群

– 燃焼や火炎の研究燃焼や火炎の研究燃焼や火炎の研究燃焼や火炎の研究でよく用いられている– 現在はバージョン4.1.バージョン2まではソースコード公開(無償).バージョン3以降は商用コードとなりソースコードは非公開.

• SENKIN

– CHEMKINに含まれるアプリケーションツールのひとつ

– 均質ガスの化学反応計算• (断熱)等圧過程,等積過程• (断熱)体積が時間変化する過程

• 等温・等圧過程• 等圧で温度が時間変化する過程

燃焼の形態

• 予混合燃焼– 燃料ガスと空気をあらかじめ混合させておいて燃焼させる。火炎が伝搬する。ガソリンエンジンの燃焼など

• 拡散燃焼– 燃料ガスと空気の境界において燃焼が起こるもの。燃料ガスは火炎面まで拡散していく。火炎は伝搬しない。ガスバーナ、ろうそく、ディーゼルエンジンの燃焼。

• 表面燃焼– 固体や液体の表面において燃焼が起こるもの。炭の燃焼、ナトリウムの燃焼

予混合火炎の伝搬速度

• 火炎面の前後での

• 質量、運動量、エネルギーの式を解くことにより火炎の伝播速度が計算できる。

• 火炎面において衝撃波が発生する場合を爆轟(デトネーション)とよぶ

予混合燃焼の諸量の分布

 

まとめ

• シビアアクシデント評価技術

• これまでの研究、コード開発において多くの現象についての基本的な物理メカニズムの理解とそのモデル化は行われていた

• 今回の福島第一原子力発電所のシビアアクシデントにおける諸現象もその個別の現象についてはこれまで解析とモデル化が行われてきた

まとめ

• しかしながら、個別の炉について、シビアアクシデントがどのように進むのか、またどの現象が起きて、どの現象が起きないのか評価することは十分ではない(ドライウェルとウェットウェルの圧力挙動等)

• 今回はDCHや水蒸気爆発は起こりうる条件ではあったが起きなかった

• また、シビアアクシデントは格納容器の中での現象を評価していたが、今回は建屋での水素爆発が事故の進展に大きな影響を及ぼした

まとめ

• シビアアクシデント解析コードの検証、実証• これまでも個別の実験によって検証、実証が行われてきた• 今回の福島の事故の情報をもとに、シビアアクシデントの全体の評価が可能となるような検証、実証が必要

• これで必要になった個別の事象のモデルの高度化を基礎的な実験、解析等により進める

• 従来の事故解析コードは高温高圧に対するものが多く低圧については解析が十分ではなかった

• 低圧、低温の現象も多いので大学等においても小規模実験が可能(スケーリングが重要)

• 事業者、学会等ですでに開始されている