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2020 1 月改訂(第 3 版) 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読みください。― 処方箋医薬品 注) キノロン系経口抗菌剤 (ラスクフロキサシン塩酸塩錠) 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 1.本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者 2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」 の項参照) 3.小児等(「小児等への投与」の項参照) 杏林製薬株式会社 ------------------------------------------------- 注)注意-医師等の処方箋により使用すること 市販直後調査 2020 1 月~2020 7 新医薬品の「使用上の注意」の解説

市販直後調査...ラスビック®錠75mg ラスビック®錠75mg(一般名:ラスクフロキサシン塩酸塩)は、杏林製薬株式会社により創製されたキノロ

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2020年 1月改訂(第 3版)

― 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読みください。―

処方箋医薬品注)

キノロン系経口抗菌剤

(ラスクフロキサシン塩酸塩錠)

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】

1.本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者

2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」

の項参照)

3.小児等(「小児等への投与」の項参照)

杏林製薬株式会社

-------------------------------------------------

注)注意-医師等の処方箋により使用すること

市販直後調査 2020 年 1 月~2020 年 7 月

新医薬品の「使用上の注意」の解説

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ラスビック®錠 75mg

ラスビック®錠75mg(一般名:ラスクフロキサシン塩酸塩)は、杏林製薬株式会社により創製されたキノロ

ン系抗菌剤です。

キノロン系抗菌剤は、広い抗菌スペクトルを有し、様々な領域の感染症に対して汎用されてきました。

その使用頻度の高さから、我が国では特に大腸菌においてキノロン系抗菌剤に対する耐性菌の増加が

懸念され、細菌性市中呼吸器感染症の代表である市中肺炎の治療においては、耐性菌抑制等の観点

からキノロン系抗菌剤は第二選択として位置付けられています。しかし、市中肺炎治療の第一選択とさ

れているβ-ラクタム系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤においても近年耐性菌の出現が問題となっており、

これらの薬剤に対する耐性菌が予測される場合、高齢者や肺に基礎疾患を有する患者の場合等にお

いては、キノロン系抗菌剤の使用が考慮されています1)。また、耳鼻咽喉科領域感染症に対する治療に

おいても、キノロン系抗菌剤は、重症例や、第一選択薬であるβ-ラクタム系抗菌剤による治療効果が

認められない中等症例に推奨されています2)。

肺炎等の治療に優れた効果を示すと同時にキノロンの安全性面での課題を軽減することを目的とし

て探索を行い、血中濃度を抑えても高い治療効果を示すことが可能な薬剤として、ラスクフロキサシン塩

酸塩を見出しました。国内において杏林製薬株式会社が、呼吸器感染症及び耳鼻咽喉科領域感染症

に対する臨床試験を進め、その結果、有効性、安全性及び忍容性が確認されたことから、2017年6月に

承認申請を行い、本剤は、2019年9月に「咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、

急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎」の適応で承認されました。

本冊子では、本剤のご使用に際しての注意事項を項目ごとに解説いたしました。本剤の適正使用の

一助となれば幸甚に存じます。

は じ め に

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ラスビック®錠 75mg

1 【効能・効果】 ......................................................................................... 1

2 <効能・効果に関連する使用上の注意> ........................................................ 1

3 【用法・用量】 ......................................................................................... 1

4 <用法・用量に関連する使用上の注意> ........................................................ 2

5 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 ......................................................... 2

6 【使用上の注意】 ..................................................................................... 3

6.1 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) ............................................ 3

6.2 重要な基本的注意 ............................................................................. 4

6.3 相互作用 ......................................................................................... 5

6.4 副作用 ........................................................................................... 7

6.5 高齢者への投与 ............................................................................... 11

6.6 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ............................................................. 11

6.7 小児等への投与 ............................................................................... 12

6.8 適用上の注意 ................................................................................. 12

参考文献 ................................................................................................. 12

目 次

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ラスビック®錠 75mg

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1 【効能・効果】

<適応菌種>

本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラー

リス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィ

ラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

<適応症>

咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸

器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎

[解説]

市中肺炎患者を対象とした国内第Ⅱ相試験(AMX-T201)及び国内第Ⅲ相試験(AMX-T301)、慢性

呼吸器病変の二次感染及び急性気管支炎患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(AMX-T302)、副鼻腔

炎患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(AMX-T303)、並びに中耳炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲

膿瘍を含む)及び咽頭・喉頭炎患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(AMX-T304)の結果から、本剤の

適応菌種を「本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタ

ラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボ

テラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)」とし、効能・効果を「咽頭・喉頭炎、扁桃

炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳

炎、副鼻腔炎」と設定しました。

2 <効能・効果に関連する使用上の注意>

咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、副鼻腔炎への使

用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した

上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

[解説]

「咽頭・喉頭炎」、「扁桃炎」、「急性気管支炎」又は「副鼻腔炎」のいずれかの効能・効果を有する抗微

生物薬に共通の注意事項です。

抗菌薬の適正使用がなされるよう注意喚起するために、平成 30年 3月 27日付 薬生安発 0327「第 1

号「抗微生物薬の「使用上の注意」の改訂について」に従い記載しました。

3 【用法・用量】

通常、成人には、ラスクフロキサシンとして 1 回 75mgを 1日 1 回経口投与する。

[解説]

キノロン系抗菌剤は、Cmax が大きいほど耐性菌の発現を抑制することができるとされており、その指標

としてCmax/MICが知られていること 3),4),5)、患者の服薬コンプライアンスも考慮し、投与回数を分割せず

1回投与量を大きくする方が望ましいと考えたため、1日 1回投与としました。

第Ⅱ相二重盲検比較試験(AMX-T201)において、本剤 75mg及び 150mg 1日 1回投与の用量反応

性を検討したところ、臨床効果及び微生物学的効果は両投与群共に 90%以上の治癒率を示しました。

安全性については、75mg 投与群と比較して、150mg 投与群で副作用の発現割合が高く、また因果関

係が否定できない重篤な有害事象(白血球減少症)が 150mg群で 1例に認められました。以上を踏ま

え、どちらの用量においても十分な有効性が得られると考えられたことから 75mg 1日 1回投与を選択

し、第Ⅲ相試験を実施しました。第Ⅲ相試験において、市中肺炎及び副鼻腔炎に対する本剤 75mg 1

日 1回投与で有効性が認められ、安全性に関しても、大きな問題は認められませんでした。

呼吸器感染症で実施した PK/PD解析の結果では、AUC0-24/MICが 15を上回る被験者で 90%以上の

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ラスビック®錠 75mg

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微生物学的効果及び臨床効果が得られており、本剤 75mgで 1日 1回投与によって 95%以上の被験

者がこの PK/PD ターゲット値を上回ることが確認されました。さらに、PK/PD 解析に基づく耐性化リス

クの評価では、S.pneumoniae が原因菌として検出された全症例で、耐性化抑制の目安とされる

Cmax/MIC>5及びCtrough>MPCを満たしており、他の菌種についてもH.influenzae検出症例の 90%以上

で Cmax/MIC が 8 を上回っていたことから、主要原因菌の本剤 75mg で 1 日 1 回投与による耐性化リ

スクは低いことが示唆されています。

以上より、75mg 1日 1回投与を臨床用法・用量としています。

4 <用法・用量に関連する使用上の注意>

本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治

療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

[解説]

抗菌薬の不適正使用による耐性菌の増加を防ぐための対策としてキノロン系抗菌剤の注意を参考に記

載しています。(平成5年1月19日 薬安第5号「抗菌性物質製剤の使用上の注意事項の変更につい

て」)

5 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】

1.本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者

2.妊婦又は妊娠している可能性のある女性

(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

3.小児等

(「小児等への投与」の項参照)

[解説]

1.本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対して過敏症の既往歴のある患者は、アナフィラキシー

等の重篤な過敏症を起こすおそれがあるため、投与しないでください。

〈本剤の成分〉

ラスクフロキサシン塩酸塩、 アルギン酸、クエン酸二水素ナトリウム、結晶セルロース、

ステアリン酸マグネシウム、 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、 ヒプロメロース、

酸化チタン、 マクロゴール400、 黄色三二酸化鉄、 カルナウバロウ

2.動物実験(ラット)において、本剤は胎盤を通過し、母動物と同程度の曝露が胎児で認められてい

ます。胚・胎児への影響に対する安全域が狭いことから妊娠又は妊娠している可能性のある女性

には投与しないでください。

3.国内臨床試験において使用経験はなく、動物実験(若齢イヌ)で関節軟骨障害が認められていま

す。小児等には投与しないでください。

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ラスビック®錠 75mg

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6 【使用上の注意】

6.1 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1) 中等度以上の肝機能障害のある患者

[血漿中濃度上昇のおそれがある。](「薬物動態」の項参照)

[解説]

本剤の肝機能障害患者における血中動態を評価した臨床薬理試験(AMX-T106)において、本剤

75mg を単回経口投与したときの中等度の肝機能障害を有する被験者における Cmax及び AUClastは 2

例のデータしか得られていませんが、肝機能正常被験者(AMX-T103)よりも高値を示し、そのうち1例

では 2 倍以上高値でした。国内第Ⅱ相試験(AMX-T201)において、本剤 75mg 投与群と比較して、

150mg 投与群では有害事象及び副作用の発現割合が高い傾向が認められており、国内臨床試験に

おける中等度の肝機能障害を有する被験者に本剤を投与した経験は非常に限られ、重度肝機能障

害者に本剤を投与した経験はありません。本剤は、CYP3A4 により代謝されるため、中等度肝機能障

害者と比較して重度肝機能障害者においてラスクフロキサシンの血漿中曝露量がさらに上昇すると想

定されます。以上より、中等度及び重度の肝機能障害者には慎重に投与してください。

(2) てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

[痙攣を起こすおそれがある。](「重大な副作用」の項参照)

[解説]

国内臨床試験においててんかん等の痙攣性疾患は報告されていないものの、キノロン系抗菌剤のク

ラスエフェクトと考えられ、本剤による発現の可能性は否定できないため、てんかん等の痙攣性疾患の

ある患者、またはこれらの既往歴のある患者は痙攣が誘発されるおそれがありますので、慎重に投与

してください。なお、キノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)

の受容体結合を阻害することで、痙攣誘発作用を有することが知られています 2),6)。

(重大な副作用の項も参照ください。)

(3) 重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者

[QT 延長を起こすおそれがある。](「重大な副作用」、「薬物動態」の項参照)

[解説]

健康成人におけるQT/QTc評価試験 (AMX-T111)において、225mg投与群ではQTcFの延長は陰

性と判定されていますが、450mg投与群、750mg 投与群では陽性と判定されています。感染症患者を

対象として実施した第Ⅱ相試験(AMX-T201 )及び第Ⅲ相試験(AMX-T301、AMX-T302、

AMX-T303及び AMX-T304)の本剤投与群において QTcF間隔の絶対値が 500msを超えた症例又

は QTcF 間隔の変化量が 60ms を超えた症例が一定数認められています。キノロン系抗菌剤のクラス

エフェクトと考えられ 6)、本剤による発現の可能性は否定できないと考えられるため、慎重に投与してく

ださい。

(重要な基本的注意及び重大な副作用も参照ください。)

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

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(4) 重症筋無力症の患者

[症状を悪化させるおそれがある。](「重大な副作用」の項参照)

[解説]

厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡(平成 22年 8月 10日付)が発出されています。キノロン

系抗菌剤では重症筋無力症を悪化させることが報告されており 6),7)、クラスエフェクトと考えられます。

重症筋無力症の患者は症状を悪化させるおそれがありますので、慎重に投与してください。

(重大な副作用の項も参照ください。)

(5) 大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若

しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者

[海外の疫学研究において、キノロン系抗菌剤投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リ

スクが増加したとの報告がある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]

[解説]

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知 (平成 31年 1月 10日付)の「使用上の

注意」の改訂に従い、注意喚起しています。通知では、キノロン系抗菌剤投与後に大動脈瘤

及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの海外疫学研究が挙げられています 8),9),10),11)。大

動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者またはこれらの疾患の既往歴・家族歴を有する患

者、もしくはリスク因子(マルファン症候群、血管型エーラスダンロス症候群、高安動脈炎、巨細胞性

動脈炎、ベーチェット病、高血圧、アテローム性動脈硬化症等 12))を有する患者は慎重に投与してくだ

さい。

(重要な基本的注意及び重大な副作用の項も参照ください。)

(6) 高齢者

[腱障害があらわれやすいとの報告がある。]

[解説]

キノロン系抗菌剤と腱障害の関係に着目した観察研究についての系統的文献レビューの報告におい

て、高齢者では腱障害発現のリスクが高いとの報告の文献が紹介されています 13)。高齢者には慎重

に投与してください。

6.2 重要な基本的注意

大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部

又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導す

ること。大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族

歴若しくはリスク因子を有する患者では、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること。(「慎

重投与」、「重大な副作用」の項参照)

[解説]

慎重投与の項と同じく、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知(平成 31 年 1

月 10 日付)の「使用上の注意」の改訂に従い、注意喚起しています。キノロン系抗菌剤投与後

に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの海外疫学研究があります 8),9),10),11)。

大動脈瘤、大動脈解離は、ともに大動脈破裂の危険性があり、致死的転帰をたどるおそれがあり

ますので、早期に破裂の可能性を見つけ出して治療することが重要です。

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6.3 相互作用

ラスクフロキサシンは CYP3A4 の基質であり、CYP2C8 及び CYP3A4に対し阻害作用を示

す。

[併用注意](併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

アルミニウム、マグネ

シウム、カルシウム、

鉄、亜鉛を含有する製

制酸剤

ミネラル入りビタミ

ン剤等

本剤の効果が減弱されるお

それがあるので、本剤と同時

に服用させないこと。(「薬物

動態」の項参照)

これらの金属イオンを含む薬

剤と難溶性のキレートを形成

し、本剤の吸収が阻害されると

考えられている。

フェニル酢酸系、プロ

ピオン酸系非ステロイ

ド性消炎鎮痛剤

フルルビプロフェン

痙攣を起こすおそれがある。

症状が認められた場合、両剤

の投与を中止するなど適切

な処置を行うこと。

中枢神経における GABAA 受

容体への結合阻害が増強され

ると考えられている。

リファンピシン

フェニトイン

カルバマゼピン

本剤の作用が減弱する可能

性がある。

CYP3A4を誘導する薬物と併

用することにより本剤の血中

濃度が低下する可能性がある。

テオフィリン

アミノフィリン水和物

テオフィリンの作用を増強

させるおそれがあるので、併

用する場合にはテオフィリ

ンを減量するなど適切な処

置を行うこと。

機序は不明であるが、本剤との

併用によりテオフィリンの血

中濃度が上昇する。(「薬物動

態」の項参照)

クラスⅠA 抗不整脈薬

キニジン、プロカイン

アミド等

クラスⅢ抗不整脈薬

アミオダロン、ソタ

ロール等

QT 延長を起こすおそれがあ

る。

併用により QT 延長作用が相

加的に増加するおそれがある。

副腎皮質ホルモン剤(経

口剤及び注射剤)

プレドニゾロン

ヒドロコルチゾン等

腱障害のリスクが増大する

との報告がある。これらの薬

剤との併用は、治療上の有益

性が危険性を上回る場合の

みとすること。

機序不明

[解説]

1.アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛を含有する製剤

臨床薬理試験(AMX-T101)において乾燥水酸化アルミニウムゲル/水酸化マグネシウムを含有する

製剤を併用したところ、本剤の吸収が低下しました。血中濃度の低下により本剤の効果が減弱するお

それがあります。

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ラスビック®錠 75mg

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2.フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤

動物試験(ラット)において、本剤とフェンブフェンの活性代謝物である 4-ビフェニル酢酸又はフルル

ビプロフェンアキセチルとの併用による痙攣誘発作用は認められませんでした。一方、キノロン系抗菌

剤は、フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用により痙攣を誘発すること

が知られています。

3.リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン

本剤は主に肝酵素CYP3A4で代謝を受けるため、CYP3A4を誘導する薬剤との併用で本剤の曝露量

低下が予想され、本剤の効果が減弱するおそれがあります。

4.テオフィリン、アミノフィリン水和物

本剤とテオフィリンとの経口投与時の相互作用試験(AMX-T104)において、テオフィリンの Cmax及び

AUC がそれぞれ 1.2 倍に上昇しました。テオフィリン及びアミノフィリン水和物の作用が増強されるお

それがあります。

5.クラスⅠA 抗不整脈薬、クラスⅢ抗不整脈薬

QT延長を起こす薬剤との併用により、本剤の QT延長作用が相加的に増加するおそれがあります。

6.副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)

キノロン系抗菌剤と腱障害の関係に着目した観察研究についての系統的文献レビューの報告におい

て、機序は不明ですが、コルチコステロイド併用群では、対照群よりも腱障害発現のリスクが増大する

との報告の文献が紹介されています 13)。

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6.4 副作用

国内で実施された臨床試験において、531例中 62 例(11.7%)に副作用(臨床検査値異常

を含む)が認められた。主な副作用は、下痢、好酸球数増加各 7例(1.3%)、ALT 上昇 5例

(0.9%)であった。(承認時)

[解説]

呼吸器科領域感染症又は耳鼻咽喉科領域感染症の患者を対象とした国内第Ⅱ相及び第Ⅲ相臨床

試験において発現した副作用を基に記載しました。

副作用の一覧を以下に示します。

副作用一覧

安全性評価対象例数 531例

副作用発現例数 62例(11.68%)

副作用の種類 発現件数(%) 副作用の種類 発現件数(%)

[血液およびリンパ系障害] 1例* (0.19) 血中インスリン増加 2 (0.38)

白血球減少症 1 (0.19) 血中カリウム増加 1 (0.19)

[耳および迷路障害] 2例* (0.38) 血中トリグリセリド増加 1 (0.19)

回転性めまい 1 (0.19) 好酸球数増加 7 (1.32)

耳不快感 1 (0.19) γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 3 (0.56)

[胃腸障害] 14例* (2.64) 尿中血陽性 1 (0.19)

腹部不快感 1 (0.19) インスリンCペプチド増加 1 (0.19)

腹部膨満 1 (0.19) 肝機能検査異常 1 (0.19)

上腹部痛 1 (0.19) 白血球数減少 4 (0.75)

便秘 1 (0.19) 血小板数増加 1 (0.19)

下痢 7 (1.32) 尿中蛋白陽性 2 (0.38)

消化不良 1 (0.19) 血中アルカリホスファターゼ増加 1 (0.19)

悪心 2 (0.38) [筋骨格系および結合組織障害] 3例* (0.56)

[一般・全身障害および投与部位の状態] 2例* (0.38) 頚部痛 1 (0.19)

異常感 1 (0.19) 四肢痛 1 (0.19)

倦怠感 1 (0.19) 腱痛 1 (0.19)

[感染症および寄生虫症] 3例* (0.56) [神経系障害] 2例* (0.38)

口角口唇炎 1 (0.19) 頭痛 2 (0.38)

口腔ヘルペス 1 (0.19) [呼吸器、胸郭および縦隔障害] 2例* (0.38)

真菌性耳感染 1 (0.19) 喘息 1 (0.19)

[臨床検査] 30例* (5.65) 器質化肺炎 1 (0.19)

アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 5 (0.94) [皮膚および皮下組織障害] 5例* (0.94)

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 2 (0.38) 紅斑 1 (0.19)

血中ビリルビン増加 1 (0.19) そう痒症 2 (0.38)

血中クレアチニン増加 1 (0.19) 発疹 2 (0.38)

血中ブドウ糖増加 1 (0.19)

*:器官別大分類の合計数は発現例数

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(1)重大な副作用

1)ショック、アナフィラキシー(頻度不明)

ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、

血圧低下、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

医薬品の一般的注意事項です。国内臨床試験においてショック、アナフィラキシーの発現は

ありませんが、発現を予測することが困難であり、発現した際には迅速な対応が求められま

す。

2)白血球減少症(0.19%)

白血球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合に

は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75又は 150mg反復経口投与)の安全性評価対象例 531例において、重篤な副

作用「白血球減少症」が 150mg投与群で 1例(0.19%)(AMX-T201)報告されています。

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

3)間質性肺炎(0.19%)

発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部 X 線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれること

があるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の

投与等の適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75又は 150mg反復経口投与)の安全性評価対象例 531例において、重篤な副

作用「器質化肺炎」が 75mg投与群において 1例(0.19%)(AMX-T301)報告されています。

4)QT 延長、心室頻拍(Torsades de pointes を含む)(頻度不明)

QT 延長、心室頻拍(Torsades de pointes を含む)があらわれるおそれがあるので、観察

を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

健康成人におけるQT/QTc評価試験(AMX-T111)において、225mg投与群ではQTcFの延

長は陰性と判定されていますが、450mg投与群、750mg投与群では陽性と判定されています。

感染症患者を対象として実施した第Ⅱ相試験(AMX-T201)及び第Ⅲ相試験(AMX-T301、

AMX-T302、AMX-T303及びAMX-T304)のラスクフロキサシン投与群においてQTcF間隔の

絶対値が500msを超えた症例又はQTcF間隔の変化量が60msを超えた症例が一定数認めら

れています。キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられています。

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

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5)低血糖(頻度不明)

低血糖があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投

与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75又は 150 mg反復経口投与)の安全性評価対象例 531例において、低血糖は

報告されていませんが、非重篤な副作用として血中ブドウ糖増加 1 例(0.19%)、血中インスリン増加 2

例(0.38%)、インスリンCペプチド増加 1例(0.19%)が報告されています。また、キノロン系抗菌剤のクラ

スエフェクトと考えられています 6)。

6)偽膜性大腸炎(頻度不明)

偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれるおそれがあるので、腹痛、頻回の

下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

腸内細菌叢に対する影響を検討した国内臨床試験(AMX-C101)において、本剤(400mg をカプセル

に充てんした製剤)を反復経口投与したときに、偽膜性大腸炎の発現はありませんが、腸内細菌叢に

対する影響を検討した臨床試験において、腸内細菌数の減少が認められています。また、C.difficile

が検出され、C.difficile Toxin陽性の症例が認められています。

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

7)アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)

アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれるおそれがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、

発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75 又は 150mg 反復経口投与)の安全性評価対象例 531 例において、筋骨格

系および結合組織障害の非重篤な副作用として頚部痛 1 例(0.19%)、四肢痛 1 例(0.19%)、腱痛 1

例(0.19%)が報告されています。また、動物実験 (若齢イヌ)で関節軟骨障害が認められています。

キノロン系抗菌剤と腱障害の関係に着目した観察研究についての系統的文献レビューの報告があり

ます 13)。

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

8)肝機能障害(頻度不明)

肝機能障害(AST上昇、ALT 上昇等)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、

異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75又は 150mg反復経口投与)の安全性評価対象例 531例において、非重篤な

副作用としてアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 2 例(0.38%)、アラニンアミノトランスフェラー

ゼ増加 5例(0.94%)、肝機能検査異常 1例(0.19%)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 3例(0.56%)

が報告されています。また、キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられています。

(本剤の承認された用法・用量は、1日1回75mgです。)

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9)横紋筋融解症(頻度不明)

筋肉痛、脱力感、CK 上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪

化を伴う横紋筋融解症があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認めら

れた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験(本剤 75又は 150mg反復経口投与)の安全性評価対象例 531例において、非重篤な

副作用として頚部痛 1例(0.19%)、四肢痛 1例(0.19%)、腱痛 1例(0.19%)が報告されています。また、

キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられています。

(本剤の承認された用法・用量は、1日 1回 75mgです。)

10)痙攣(頻度不明)

痙攣があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与

を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験において痙攣の発現はありませんが、キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられて

います。キノロン系抗菌剤は脳内の抑制性神経伝達物質である GABA の受容体結合を阻害すること

で痙攣を誘発するとされています 6)。

11)錯乱、せん妄等の精神症状(頻度不明)

錯乱、せん妄等の精神症状があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認

められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

国内臨床試験において錯乱、せん妄等の精神症状の発現はありませんが、キノロン系抗菌剤のクラス

エフェクトと考えられています。

12)重症筋無力症の悪化(頻度不明)

重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異

常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

[解説]

キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられ、本剤による発現の可能性は否定できないことから設定

しました。なお、2010年に米国 FDAは、すべてのフルオロキノロン系抗菌剤に対し、添付文書の重症

筋無力症の悪化に関する記載の変更を求めています。また、米 FDA、EMA・PRAC、ANSM 等の外国

規制当局は、他の治療オプションがある副鼻腔炎、気管支炎、単純性尿路感染の患者において、キノ

ロン系抗菌剤に関連した重篤な副作用はベネフィットを上回ることについて通知しています。その副作

用には、重症筋無力症の悪化が含まれています。厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡(平

成 22年 8月 10日付)が発出されています。

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13)大動脈瘤、大動脈解離(頻度不明)

大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、異常が認められた場合には適切な処

置を行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)

[解説]

慎重投与の項と同じく、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知(平成 31 年 1

月 10 日付)の「使用上の注意」の改訂に従い、注意喚起しています。通知では、キノロン系抗

菌剤投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの海外疫学研究が挙げら

れています 8),9),10),11)。また、キノロン系抗菌剤のクラスエフェクトと考えられています。

(2)その他の副作用

次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.5~2%未満 0.5%未満

消化器 下痢 悪心

血液 好酸球数増加、白血球数減少

皮膚 瘙痒症、発疹

肝臓 ALT上昇、γ-GTP上昇 AST上昇

その他 頭痛、血中インスリン増加、尿中蛋白陽性

[解説]

呼吸器科領域感染症又は耳鼻咽喉科領域感染症の患者を対象として実施した第Ⅱ相試験及び第Ⅲ

相試験において、本剤投与群で発現した副作用のうち 2例以上発現した副作用を記載しました。

6.5 高齢者への投与

本剤の臨床試験成績では、高齢者(65~88歳)において認められた副作用の種類及びその

発現率は、非高齢者(16~64 歳)と同様であったが、一般に高齢者では生理機能が低下し

ているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。

[解説]

一般に高齢者では肝機能、腎機能等の生理機能が低下していると考えられることから、高齢

者への投与について、注意喚起するために記載しています。

6.6 妊婦、産婦、授乳婦等への投与

(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

[動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されており、器官形成期に本剤を経口投与した

群の胎児に発育遅延及び骨格異常(肋骨の短小)が認められている。]

[解説]

動物実験(ラット)において胎児への移行が報告されており、器官形成期に本剤を経口投与した群の

胎児に発育遅延及び骨格異常(肋骨の短小)が認められています。妊娠又は妊娠している可能性の

ある女性には投与しないでください。

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ラスビック®錠 75mg

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(2) 授乳中の女性には本剤投与中は授乳させないことが望ましい。

[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]

[解説]

実験動物(ラット)において乳汁中移行が認められています。本剤投与中は授乳を避けてください。

6.7 小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児には投与しないこと。

[動物実験(若齢イヌ)で関節軟骨障害が認められている。]

[解説]

実験動物(若齢イヌ)において、本剤投与により関節軟骨障害が認められています。関節軟骨障害は、

キノロン系抗菌剤に共通して認められ、成長期の関節への負荷により生じると考えられています。小児

等には投与しないでください。

6.8 適用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤は PTPシートから取り出して服用するよう指導すること。

[PTP シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞

炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

[解説]

本剤の最終包装形態が PTP包装であることから、平成 8年 3月 27日付 日薬連発第 240号「PTPの

誤飲対策について」及び平成 8 年 4 月 18 日付 日薬連発第 304 号「PTP の誤飲対策について(改

訂)」に従い設定しました。

参考文献

1) 日本化学療法学会雑誌 2014; 62: 110-7

2) 日本鼻科学会.急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン 2010年版

3) Madaras-Kelly KJ, et al., Diagn Microbiol Infect Dis. 2000; 37(4): 253-260

4) Craig WA. Clin Infect Dis. 2001; 33(Suppl 3): S233-237

5) Drusano GL, et al., Antimicrob Agents Chemother. 1993; 37(3): 483-490

6) 堀誠治 化学療法の領域 2007; 23(1):133-140

7) Sieb,J.P. Neurology 1998; 50: 804-807

8) Lee CC et al. JAMA Intern Med.2015; 175(11): 1839-1847

9) Pasternak B et al. BMJ 2018; 360: k678

10) Daneman N et al. BMJ Open 2015; 5: e010077

11) Lee CC et al. J Am Coll Cardiol. 2018; 72(12): 1369-1378

12) PRAC recommendations on signals adopted at the 3-6 Sep 2018; PRAC

13) Stephenson AL et al. Drug Saf 2013; 36: 709–721

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添付文書の改訂に十分ご留意ください。 ●その他詳細につきましては添付文書をご参照ください。

作成年月:2020.013_1

一般名:ラスクフロキサシン塩酸塩〔JAN〕 略号:LSFX注)注意-医師等の処方箋により使用すること

処方箋医薬品注) 薬価基準収載

〈資料請求先:くすり情報センター〉フリーダイヤル 0120-409341

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】1. 本剤の成分又は他のキノロン系抗菌剤に対し過敏症の既往歴のある患者2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性(「妊婦、産婦、授乳婦等への投

与」の項参照)3. 小児等(「小児等への投与」の項参照)

【組成・性状】成分・含量(1錠中) ラスクフロキサシン塩酸塩81.23mg(ラスクフロキサシンとして75mg)

添加物アルギン酸、クエン酸二水素ナトリウム、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ

剤形 フィルムコーティング錠色調 淡黄色

外形

直径:7.8mm 厚さ:3.8mm 質量:約196mg

【効能・効果】<適応菌種>本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、プレボテラ属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)<適応症>咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、副鼻腔炎<効能・効果に関連する使用上の注意>咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、副鼻腔炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

【用法・用量】通常、成人には、ラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与する。<用法・用量に関連する使用上の注意>本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

【使用上の注意】1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)中等度以上の肝機能障害のある患者[血漿中濃度上昇のおそれがある。](2)てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすおそれがある。](「重大な

副作用」の項参照)(3)重篤な心疾患(不整脈、虚血性心疾患等)のある患者[QT延長を起こすおそれがある。](「重大な副

作用」の項参照)(4)重症筋無力症の患者[症状を悪化させるおそれがある。](「重大な副作用」の項参照)(5)大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリ

スク因子(マルファン症候群等)を有する患者[海外の疫学研究において、キノロン系抗菌剤投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]

(6)高齢者[腱障害があらわれやすいとの報告がある。]2.重要な基本的注意

大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子を有する患者では、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること。(「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照)

3.相互作用ラスクフロキサシンはCYP3A4の基質であり、CYP2C8及びCYP3A4に対し阻害作用を示す。

[併用注意](併用に注意すること)薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛を含有する製剤 制酸剤 ミネラル入りビタミン剤等

本剤の効果が減弱されるおそれがあるので、本剤と同時に服用させないこと。

これらの金属イオンを含む薬剤と難溶性のキレートを形成し、本剤の吸収が阻害されると考えられている。

フェニル酢酸系、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤 フルルビプロフェン等

痙攣を起こすおそれがある。症状が認められた場合、両剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。

リファンピシンフェニトインカルバマゼピン

本剤の作用が減弱する可能性がある。

CYP3A4を誘導する薬物と併用することにより本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

テオフィリンアミノフィリン水和物

テオフィリンの作用を増強させるおそれがあるので、併用する場合にはテオフィリンを減量するなど適切な処置を行うこと。

機序は不明であるが、本剤との併用によりテオフィリンの血中濃度が上昇する。

クラスⅠA抗不整脈薬 キニジン、プロカインアミド等クラスⅢ抗不整脈薬 アミオダロン、ソタロール等

QT延長を起こすおそれがある。 併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤) プレドニゾロン ヒドロコルチゾン等

腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。

機序不明

4.副作用国内で実施された臨床試験において、531例中62例(11.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、下痢、好酸球数増加各7例(1.3%)、ALT上昇5例(0.9%)であった。(承認時)(1)重大な副作用1)ショック、アナフィラキシー(頻度不明)

ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、血圧低下、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2)白血球減少症(0.19%)白血球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

3)間質性肺炎(0.19%)発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

4)QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

5)低血糖(頻度不明)低血糖があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

6)偽膜性大腸炎(頻度不明)偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれるおそれがあるので、腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

7)アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害(頻度不明)アキレス腱炎、腱断裂等の腱障害があらわれるおそれがあるので、腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

8)肝機能障害(頻度不明)肝機能障害(AST上昇、ALT上昇等)があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

9)横紋筋融解症(頻度不明)筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

10)痙攣(頻度不明)痙攣があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11)錯乱、せん妄等の精神症状(頻度不明)錯乱、せん妄等の精神症状があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

12)重症筋無力症の悪化(頻度不明)重症筋無力症の患者で症状の悪化があらわれるおそれがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

13)大動脈瘤、大動脈解離(頻度不明)大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)

(2)その他の副作用次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.5 ~ 2%未満 0.5%未満消化器 下痢 悪心血液 好酸球数増加、白血球数減少皮膚 瘙痒症、発疹肝臓 ALT上昇、γ-GTP上昇 AST上昇その他 頭痛、血中インスリン増加、尿中蛋白陽性

5.高齢者への投与本剤の臨床試験成績では、高齢者(65~88歳)において認められた副作用の種類及びその発現率は、非高齢者(16 ~ 64歳)と同様であったが、一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。

6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与(1)妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

[動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されており、器官形成期に本剤を経口投与した群の胎児に発育遅延及び骨格異常(肋骨の短小)が認められている。]

(2)授乳中の女性には本剤投与中は授乳させないことが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]

7.小児等への投与低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児には投与しないこと。

[動物実験(若齢イヌ)で関節軟骨障害が認められている。]8.適用上の注意

薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシー卜から取り出して服用するよう指導すること。[PTPシー卜の誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜ヘ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

【承認条件】医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

【包装】PTP包装:50錠(10錠×5)

【投与期間制限医薬品に関する情報】「*」本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付、一部改正)に基づき、2020年11月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。

**2020年 1月改訂(第3版)*2019年11月改訂

販 売 名和 名 ラスビック錠75mg

一 般 名和 名 ラスクフロキサシン塩酸塩 承 認 番 号 30100AMX00242000

洋 名 Lasvic Tablets 75mg 洋 名 Lascufloxacin Hydrochloride 薬 価 収 載 *2019年11月

日 本 標 準 商 品 分 類 番 号 876241 販 売 開 始 **2020年 1月

貯 法 室温保存

使 用 期 限 外箱に表示