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被災地派遣報告書(第9班) - Fujiyoshida...1 被災地派遣報告書(第9班) 私たち第9班派遣職員は、平成24年2月20日から3月22日までの32日間、被災

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被災地派遣報告書(第9班)

私たち第9班派遣職員は、平成24年2月20日から3月22日までの32日間、被災

地派遣で仙台市役所に行って参りました。これまで、第1班から第7班までが泉区役

所にて、第8班が若林区役所にて、「罹災証明発行に係る建物被害認定調査」を行って

きましたが、私たちは被災者からの義援金申請の内容に関する審査・調査事務を行う

こととなり、これまでの被災地派遣の職務とは内容が違うため、多少不安な気持ちを

抱きながら仙台市役所に赴いたことを記憶しています。

2月 20日に仙台市役所本庁8階にある健康福祉局健康福祉部社会課の広瀬課長を

尋ねました。社会課に入室した際は、職員、臨時職員の方は公務に追われ、誰も会話

を交わすことなく、緊張感が漂う職場であるという印象を受けました。

その後、実際の執務場所となる仙台市役所北庁舎4階の健康福祉局健康福祉部社会

課分室に行きました。入室した際には職員数の多さに驚きました。災害義援金支給と

いう自治体業務では通常取り扱うことのない事務に対して、仙台市が多くの職員を投

入しているということを改めて認識することができました。

仙台市役所 仙台市役所北庁舎

翌日21日の午前中に業務に関わる事前研修が行われました。まずは、仙台市の概要、

組織機構及び所掌事務から始まり、社会課の組織、事務分掌の説明を受けました。社

会課は、地域福祉係、保護係及び災害救助費精算班から構成されており、地域福祉係

は私たちが勤務した災害義援金班、災害援助資金貸付班、生活再建支援金班、弔慰金

班などから構成されているとのことでした。各係の事務量の増加に伴い臨時職員が多

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数任用されており、社会課全体の職員数は職員、臨時職員を含めて約70名であり、現

場では臨時職員が多いに活躍しているとの話を聞きました。

災害義援金班は3グループから構成されており、まずは被災者からの義援金申請書

類の内容を審査する審査グループ、審査グループが審査した申請書のうち、添付書類

の不備等から支給を決定することができない案件について申請内容に関する調査を行

う調査グループ、審査グループが支給決定した申請及び調査グループが調査した後、

支給を決定した申請について支給事務を行う支給グループの3グループから構成され

ていました。研修では、義援金に関連するものとして被災者生活支援金、被災者資金

貸付金等の説明があり、改めて災害に関連する事務量の多さを痛感いたしました。

21日の午後から実際に業務を始めました。災害義援金班では、調査グループに東京

都職員1名、支給グループでは東京都職員1名及び墨田区職員が1名配属されており

ました。本庁8階の社会課には東京都職員1名、横浜市職員2名が配属されておりま

した。調査グループに配属された私たち2人は東京都職員に業務のノウハウを教えて

いただきながらのスタートとなりました。

調査グループ所属の東京都職員は毎年富士登山競走山頂コースに出場しており、昨

年も4時間8分で完走したとのことでした。毎年富士登山競走の練習のため、自宅が

ある東京都八王子市から中央自動車道を利用して富士吉田市を訪れるとのことです。

富士吉田市職員が派遣されることを聞いたとき、私たちと会うことを本当に楽しみに

していたそうです。毎年富士吉田市役所を訪れているため庁舎内部にも詳しく、特に

庁舎内トイレの配置場所については、富士登山競走レース前に使用することから、そ

のほとんどを記憶しているようでした。最初にそのような話を聞き、緊張感、不安感

が解消されましたことを鮮明に記憶しています。

さて、本題に戻りますが、私たちが行うこととなった義援金支給に関する事務につ

いて説明します。今回の義援金は東日本大震災の被災者に対し、全国の方から日本赤

十字社、中央共同募金会、日本放送協会、NHK厚生文化事業団に寄せられた義援金、

宮城県に寄せられた義援金及び仙台市に寄せられた義援金を、宮城県災害義援金配分

委員会、仙台市災害義援金配分委員会において決定した基準に基づき配分するもので

した。例としては、人的被害(死亡・行方不明者がいる世帯)に対しては100万円が

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支給されることなどです。私たちが赴いた時には、この人的被害に対する義援金申請

事務についてはほぼ終了しており、私たちが取り扱った申請事務は、住家被害に対す

る義援金事務でありました。義援金は住家被害に対して全壊が100万円、大規模半壊

が75万円、半壊が50万円支給されます。被災した住家の世帯主に対して災害見舞金

として支給されるものです。先ほど述べたとおり、審査グループで支給を決定するこ

とができない申請書が調査グループに回ってきます。被災者からの申請書のうち、約

9割が即座に支給を決定することができる事案なのですが、残り1割が支給を決定す

ることができず、調査グループに回ってきます。

住家被害に対する義援金支給の決定を受けるためには次の資料を申請書の資料とし

て添付する必要があります。

(1) 身分証明書(運転免許証、健康保険証など)の写し

(2) 預金口座通帳の写し

(3) り災証明書

(4) 世帯全員の住民票の写し又は外国人登録原票記載事項証明書

これらの書類が資料として添付されていれば義援金支給が決定されます。しかしな

がら、平成23年3月11日の東日本大震災発生当時、住民登録をしていない方も多く

おりました。このような方々が義援金申請をした事案を審査・調査することが私たち

の職務でありました。住民登録がなされていない世帯に対しては、震災当時に居住の

実態を明らかにする資料として公共料金支払証明書(水道・電気・ガスのうち2種類

以上)を添付する必要があります。公共料金支払証明書(領収書)には住所地が記載

されており、震災当時の居住の実態を明らかにする資料としては信頼性が高いため、

住民登録がなされていない世帯については、これらの資料の提出を求めました。審査・

調査した事案としては、仕事の関係から夫婦が別居せざるを得ない単身赴任世帯、住

民登録をしていない学生世帯、り災証明書では住家となっているが固定資産税課税台

帳上では、店舗、事務所などの非住家となっており、実際に生活の居住実態があった

のかどうか不明な世帯など事案が様々でありました。

ちなみに調査グループに回ってくる事案については、震災当時マンション、アパー

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トなどに賃貸借契約を締結し居住していたという事案が大部分でありました。住家被

害に対する義援金については建物被害認定調査において、全壊、大規模半壊又は半壊

と判定された住家に震災当時居住していた世帯主に対して支給されます。基本的には、

1居室1配分というのが原則であります。しかしながら、夫婦別居世帯等については

公共料金の使用量から判断して本当に生活の居住実態があったのか疑問に感じる事案

もあり、1件1件で居住実態が異なることから、支給を決定する場合については慎重

な判断が求められました。このため、様々な事例に対応するため、一定の基準を定め

て対応しました。

例としては、公共料金支払証明書(領収書)が1種類しか提出されなかった場合は、

次のような居住の実態を明らかにするための挙証資料を申請者に求めました。

(1) 他の公共料金の領収書

(2) 震災前後の消印が押印された郵便物の写し

(3) (1)及び(2)も提出できない場合は、申請者本人が震災当時確かに居住していた

旨を記載した申立書やマンション・アパートの場合は賃貸借契約書など

私たちの調査グループでは、審査グループから支給に疑念がある事案について、内

容を精査したうえで申請者に震災当時の居住実態の聞き取り調査を行ったり、先述し

た挙証資料の提出を求める通知を発送する事務を臨時職員が行っていました。特に、

私たちは臨時職員に電話での聞取り調査を依頼していましたが、臨時職員の電話対応

の巧妙さには驚きましたし、深い感銘をも覚えました。私たちが仙台市で仕事を無事

に遂行することができたのは、臨時職員の方々のサポートがあったおかげであると認

識しております。

ところで、義援金審査調査事務を行っていて少々疑問に感じたことがあります。繰

り返しになりますが、住家被害に対して全壊が100万円、大規模半壊が75万円、半壊

が50万円支給されます。被災した住家の世帯主に対して災害見舞金として支給される

ものです。

被災した方々に義援金を公平・平等に広く配分するという趣旨は理解できますが、

東日本大震災において多くの日本国民の皆様があの大津波に呑み込まれていく家々を

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テレビ画面等で視聴し、少しでも津波で被災した方々のためになればと思い、義援金

を寄付したものと考えます。津波で流されてしまい全壊と判断された住家と津波で流

されなかったものの全壊と判断された住家で義援金の額が同額であることに対して疑

問が残り、津波で流された住家に対しては、もっと手厚く保護してあげてもいいので

はないかと感じました。手厚く保護することで少しでも津波で被災された多くの方々

が仮設住宅の生活から脱却し、新しい家で復興を目指し新しい生活を始めていただき

たい。そのような気持ちを抱いて義援金を寄付した方は多いはずであると思っていま

す。

また、マンション・アパートの貸主に対しては義援金が配分されず、借主に対して

義援金が配分されることについても疑問に思いました。地震でマンション・アパート

の持ち主は耐震・修繕工事等で多額の費用がかかるにもかかわらず、義援金が配分さ

れません。マンション・アパートの持ち主に対しても義援金を支給してもいいのでは

ないかと思いました。しかしながら、震災後の混乱時にスタートした義援金支給はも

う既に始まっており、このような疑問を抱きつつも、県・市の配分委員会が決定した

基準に基づき、毎日申請件数の処理を行ってきました。

派遣当初は慣れない生活に戸惑いを感じましたが、次第に仕事にも生活にも慣れた

後は1か月間という期間ではありましたが、仙台市職員、東京都職員をはじめとした

出会いなど意義ある日々を過ごすことができました。

執務光景 調査グループのみなさんと

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東日本大震災仙台市追悼式

最後に私たちが派遣された期間中に東日本大震災発生1年後の追悼式が仙台市にて

行われましたので、報告いたします。

仙台市では東日本大震災発生から1年となる3月11日、犠牲となった方々を追悼

し、復興を成し遂げることを誓うため、仙台国際センターにおいて追悼式典を開催

しました。併せて多くの市民の皆さまにも追悼に参加していただけるよう、各区役

所にも献花場を設けて、震災で犠牲となられた方々の冥福を祈りました。今年は3

月11日が日曜日であったため、震災で大切なご家族を亡くされたご遺族の方、多く

の市民の皆様方の参列のもと、追悼式が行われました。この追悼式については、仙

台市総務企画局秘書課(追悼式典・献花場)及び震災復興本部震災復興室が所管で

あったため、私たち社会課勤務職員に対しては追悼式への参加は義務付けられな

かったものの、私たちも震災で犠牲となられた方々の冥福を祈るため、自主的に参

加いたしました。

まず、追悼式が行われるメイン会場の大ホールについては、遺族の方々だけしか入

場することができなかったので、別の会場に入りました。会場に入ると受付において

1本の菊の花を渡され、菊の花で飾られた東日本大震災犠牲者の献花台に献花をして

冥福を祈りました。午後2時20分、仙台フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリン演

奏から始まりました。午後2時30分、会場に設営された大型テレビの画面から政府主

催の「東日本大震災一周年追悼式」が放映されました。

開式の辞、国歌斉唱の後、震災発生時刻の午後2時46分、1分間の黙とうが行われ

ました。参列した方の中からはすすり泣く声が聞こえ、非常に切ない気持ちになりま

した。その後、内閣総理大臣式辞、天皇陛下のことばを放映した後、午後3時からは

仙台市の追悼式が始まり、大型画面を通じて会場に放映されました。仙台市長の式辞

の後、遺族代表の方が式辞を述べました。その方は年齢60歳で妻と母を津波で亡くし

たとのことでした。震災後、なぜ自分自身が助けてあげることができなかったのか、

生きる希望も失せ、自分を責め続けたそうです。年齢的なこともあり、精神的にも体

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力的にももう一度気力を振り絞って頑張って生きていく気持ちにはなかなかなれな

かったそうです。しかしながら、娘夫婦の孫の誕生を契機としてもう一度頑張ってみ

ようという気持ちになれたそうです。

また、復興の誓いとして市内高校生男女各1名、男子生徒は仙台市立仙台高校の男

子生徒及び仙台市立仙台商業高校女子生徒が復興の誓いを述べました。2人ともが同

級生が震災で亡くなりましたが、亡くなった方々のためにも私たちの手でこの街を復

興させると力強く誓いの言葉を述べていました。今後、復興に向けてがんばっていく

という強い気概を感じることができました。さらに、市内高校生による合唱、曲目は

「ビリーブ」、「明日という日が」の2曲でしたが、清楚な歌声が会場に響き渡ってい

ました。復興への歩みは始まったばかりかもしれませんが、力強い言葉を聞き、この

若い世代の方々の力で必ず仙台市は復興すると強く実感した追悼式でありました。

仙台国際センター 献花台

天皇陛下の御言葉 奥山恵美子仙台市長の式辞

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今振り返りますと1か月間という期間は、あっという間に過ぎ去りましたが、貴重

な体験・経験ができたことと思っております。今後一刻も早く被災された方々の復興

を心から祈念申し上げまして報告といたします。

派遣職員 第9班

上下水道部管理本部

課長補佐 奥脇 正彦

都市基盤部管理本部

課長補佐 小野 直