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はじめに 職場である工業高等専門学校で安全講座を行っている。対象は機械 工学科 1 年 2 年生であり、機械工学実験実習から実技教育以外の時間 を分けてもらい実施している。安全講座の内容は、危険予知活動トレー ナー研修を参考とした危険予知トレーニング(KYT)である。学生 を対象としているため、特定の仕事、特定の危険源に重点を置く内容 を避け、様々な危険の発見を行うことにより、危険につながる事象、 すなわち危険源に気づく感性(危険感受性)を向上させるようトレー ニングを行っている。安全講習の成果を測る方法について試行した事 を報告する。 評価方法について 安全講座の趣旨から、講義前と後で危険感受性に変化を生じている 事を期待している。 危険感受性を評価する方法として、危険源の検出による方法を試し た。受講者に複数の危険源が書かれている図 1.危険なガレージ 1) 示し、危険を感じた場所にマークを付けさせる。一人KYTの1ラウ ンドに相当する作業であり、短時間に行わせることで感性による気づ きを期待している。これを安全講座の前後に実施し、検出箇所の数、 危険感受性の評価について 安全安心社会研究センター 客員研究員  野口一英 客員研究員活動報告 128 安全安心社会研究

危険感受性の評価について - nagaokaut.ac.jp · 2014-05-23 · 検出した対象等から危険感受性の変化を読み取る。 危険源の検出結果 対象は機械工学科1学年、前期実習が終了した時に安全講座を行っ

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はじめに

職場である工業高等専門学校で安全講座を行っている。対象は機械工学科1年2年生であり、機械工学実験実習から実技教育以外の時間を分けてもらい実施している。安全講座の内容は、危険予知活動トレーナー研修を参考とした危険予知トレーニング(KYT)である。学生を対象としているため、特定の仕事、特定の危険源に重点を置く内容を避け、様々な危険の発見を行うことにより、危険につながる事象、すなわち危険源に気づく感性(危険感受性)を向上させるようトレーニングを行っている。安全講習の成果を測る方法について試行した事を報告する。

評価方法について

安全講座の趣旨から、講義前と後で危険感受性に変化を生じている事を期待している。

危険感受性を評価する方法として、危険源の検出による方法を試した。受講者に複数の危険源が書かれている図1.危険なガレージ1)を示し、危険を感じた場所にマークを付けさせる。一人KYTの1ラウンドに相当する作業であり、短時間に行わせることで感性による気づきを期待している。これを安全講座の前後に実施し、検出箇所の数、

危険感受性の評価について安全安心社会研究センター 客員研究員 野 口 一 英

客員研究員活動報告

128 安全安心社会研究

検出した対象等から危険感受性の変化を読み取る。

危険源の検出結果

対象は機械工学科1学年、前期実習が終了した時に安全講座を行った。学生人数41名、個人の検出数変化を観察した。 ・検出延べ数は、安全講座前204件、安全講座後253件。 ・検出件数の個人変化は、増加30名、減少3名、変化無し8名。

このうち検出件数が増加している者は、受講前の危険源に加えて新たな危険源を見つけている。

まとめ

簡易的な評価方法として、危険源の検出による方法を試行してみた。安全講座前後で検出数が増加していることから、受講により危険感受性が向上する傾向があると考えられる。

危険源として学生が検出した対象に偏りが見られる。次年度も同様の調査を行い偏りの原因について明らかにしたい。

                 《参考文献》1)David Bonamy PEARSON Longman Technical English1,Page76

図1 危険なガレージの図

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