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平均年齢80歳に近い「アラ 80(ハチマル)合唱ヤロー」が描く夢は壮大なロマンです。共通のスタン
スは歌って楽しく聴いて嬉しくなる曲、遠い日の追憶に浸れる思い出の歌、日本や世界中で大ヒットした懐か
しい名曲を男声合唱で歌うことです。
それもピアノ伴奏だけでなく、団員が弾ける全楽器を駆使して伴奏陣を構成し、音楽の幅を広げ多彩な音色
を楽しみつつ歌うのです。使えるのはアコーディオン、ベース・ギター、ウクレレ、ハーモニカ、フルートで
すが、いずれヴァイオリンも取り入れたい。
どの合唱団でも歌う定番曲、凝ったハーモニーで余り楽しくない難曲、決まりきった型通りのステージ構成
は採りたくありません。今は未熟ですが行く末は映画音楽、ミュージカル主題歌にも挑戦してみたいな。発展
途上の合唱団だけに思い描く夢は大きいのです。
現段階で審査員の先生や客席の皆さんに言われるのは「人数の多さと楽しそう」だけですが、お陰さまで人
材には事欠きません。
伴奏陣営にはラッパ吹きも加えたい。「法螺話は止せ!」と叱られそうですが、そんな曲も手持ちしていま
す。歌の中に短調の軍歌がさりげなく流れます。歌っていて込み上げるものがあり、聴く人の涙を誘う歌詞で
す。残念ながらソロ曲ですが、いずれステラ団内で男声合唱用に編曲して演奏したいと思っています。
私達ステラは「アラ 80」の今が後期青春時代なのです。合言葉は「粋で、いなせで、恰好良い」。声はいつ
までも若々しく、歌はスタイリッシュでありたい。それが願望です。
明治、大正、昭和初期という栄光と苦難の時代を生き抜いた私達の祖・父母の世代からも良い曲が生まれま
した。貧困と戦争・平和と繁栄の両方を経験したのが私たち昭和生まれ世代です。幸い昭和後期と平成時代に
戦争は起こしませんでした。先人や私たち世代が創り,遺した日本の名曲の数々を、後世代に歌い継ぐのは私
たち世代の使命でもありましょう。
世界中で生まれた歌曲、民謡、タンゴ、ジャズ、日本の歌謡曲から演歌までジャンルを問わず、「名曲は良
いもの」として男声合唱で歌い継ぎます。団員の武藤茂さんは名編曲者ですし、若き指揮者の南方隼紀さん、
ピアニストの畑真理さんも編曲を勉強中です。他の合唱団が歌わない曲も団内で編曲して歌うのがステラの
特長です。
発行 男声合唱団アンサンブル・ステラ ステラ・ファンクラブ事務局 木村 孝一(☎042-452-3835)
ステラ・ニュース事務局 樋野 隆弘(☎090-4819-7787)
ステラ・ホームページ http://www2.odn.ne.jp/ensemble-stella/index.html
高橋誠
の
鯔いな
背せ
な話
≪特集≫
「タンゴ」雑学講座(Ⅰ)
第 24号 2019年 3月
◎ 夢をみよう、見なければ、正夢は生まれない
―あら80、60人の団員が描く壮大なロマン―
代表 高橋 誠
2
本格的にタンゴと呼べるものは、意外に浅い歴史しかなく、19世紀末頃、南米アルゼンチ
ンに興って世界中に広まった4分の2ないし8分の4、後年は4分の4拍子でも書かれたダン
ス音楽です。因みに日本では、2014年にタンゴ上陸100周年のお祝いがありました。
我が国では、タンゴは大きく次の二種類に分けられます。
① アルゼンチンタンゴ;リズミカル、情熱的、粋で、いわば下町
風か。小節の1拍目と3拍目にアクセント。バンドネオン(ア
コーディオンの一種で19世紀前半にドイツにて考案)が用い
られることが多く、鋭いスタッカートでリズムを刻むにも拘ら
ず打楽器を欠くことが多い。馴染みの曲としては、ラ・クンパ
ルシータ、エル・チョクロ、さらば草原よ等。
② コンチネンタルタンゴ;ヨーロッパに渡って形を整えたもの。
メロディアス、情緒的、上品でいわば山の手風か。リズムは、
_のハバネラ(後述)。通常のポピュラー音楽での管弦楽編成に近く、バンド
ネオンのような鋭く明快なスタッカートはない。馴染みの曲としては、小雨降る径、小さな
喫茶店、碧空等。
Ⅰ. アルゼンチンタンゴ
タンゴの発祥には諸説ありますが、通説は次の通りです。
17世紀にイギリスで流行っていたカントリーダンスが、17世紀末フランス、スペインを
経由してキューバに伝わり、首都ハバナの名をとってダンサ ハバネラ(ハバナの踊り)と呼
ばれて1800年頃に大流行しました。これが19世紀半ばからモンテヴィデオ(ウルグワイ
の首都)やラ・プラタ川を挟んで対岸のブエノスアイレス(アルゼンチンの首都)の港湾労働
者等から成る下層社会に持ち込まれ、パンパ(アンデス山脈に至る大草原)などから流れ込ん
できた、牧童や農民(その多くは原住民のインディオや黒人)が親しんでいた情熱的、呪術的
な祭典音楽とも言うべきカンドンベと融合し、タンゴの原型であるミロンガが誕生しました。
因みに Tan-goは「太鼓を叩く時の音」の意味だとする説もあります。
スペインの作曲家セバスティアン・イラディエル(1809~65)は当時スペイン領のキュ
ーバへの旅行で、ハバネラを知り、1840年にそのスタイルを生かし、エル・アレグリート
(ビゼーがオペラ「カルメン」に取り入れ、ハバネラのアリアとして有名になる)とラ・パロ
マ(欧米で絶大な人気を博し、コンチネンタルタンゴの基本のリズムとなる)を発表するに至
ります。
ハバネラのリズムは、タンゴのみならず、スペインではフラメンコ、イタリアではカンツオ
ーネ、更に日本では演歌にまで影響を及ぼしています。海の向こうのタンゴと「別れの一本
杉」や「遠くへ行きたい」等の演歌が親戚だとは一寸嬉しいではありませんか。
◎ ホームコンサートに向けて練習を開始したタンゴ
関連ということで、アコーディオン歴だけで古希を
越える根橋さんに、タンゴ全体を見渡せる見取り
図を描いていただきました。
トップテナー 根橋 剛
≪特集≫
「タンゴ」雑学講座(Ⅰ)
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タンゴは、1870年~80年頃から次第にリズムや曲調が整って来て、名歌手や名演奏家
の活躍により、ヨーロッパにも伝わりました。折からの社交ダンスブームに沸くパリなどで大
いにもてはやされ(狂乱の1920年代)その人気がアルゼンチンに逆輸入されて、今まで貧
民窟や暗黒街などの下層社会のいかがわしい音楽として蔑まれてきたものが次第に一般社会に
認められるようになってきました。そうして1930年代の最盛期を迎え、タンゴはアルゼン
チンの国民的音楽として定着します。
ここで、各時代を画した重要な音楽家4名を大略ご紹介します。
① ヴィンセンテ・グレコ(1886~1924)
楽団に初めてバンドネオンを採用し、彼自身バンドネオンの名手。タンゴは初期の頃は、ギ
ターやヴァイオリンだけで演奏されていたが、1911年「ロドギレス・ペーニャ」を自作自
演して熱狂的な歓迎を受けた。これ以降楽団は、ヴァイオリン(2~6本)、バンドネオン(2
~6本)ピアノ、コントラバスの構成が標準となり、これをオルケスタ・ティピカ(標準的な
楽団)と呼ぶ。
誕生の経緯からも、タンゴの演奏には踊りがつきもので、初期では男一人、その後男2人、そ
して官能的、情熱的な男女一組の踊りへと進化。
② カルロス・ガルデル(1890?~1935)
タンゴ王と呼ばれるアルゼンチン最大のスター、名歌手、名作曲家にしてバンドマスター。
1917年、深い哀愁を帯びた「我が悲しみの夜」を歌い、一大センセーションを巻き起こ
し、以降水準の高い歌謡としてのタンゴが認められることになる。
自らの楽団を率いヨーロッパに遠征し、タンゴへの関心と創作意欲を高めコンチネンタルタン
ゴ発生の素地を作ったことからコンチネンタルタンゴの生みの親と言っても良い。1929年
にパリのダンスホール「フロリダ」で「さらば我が友よ」で絶賛を浴びたのは今でも語り草。
③ フランシスコ・カナロ(1888~1964)
ウルグァイ生まれ、アルゼンチン育ちのヴァイオリンの名手、名作曲家にしてバンドマスタ
ー。1925年、パリの「フロイダ」に出演し、歴史的な大成功をおさめ(この成功を讃えて
作曲されたのが、名曲「パリのカナロ」)大衆好みの派手な演奏スタイルで、人気最高のバンド
リーダーとして君臨し、1930年代にかけての黄金時代を牽引した功労者。1961年初来
日。
④ アストル・ピアソラ(1921~1992)
イタリア移民二世としてアルゼンチンで生まれたバンドネオンの名手、作曲家にしてバンド
マスター。1950年代に新しいサウンドの「ノニーノ」を発表し、タンゴ作曲法に変革をも
たらす。パリ、ニューヨークなどで広く演奏活動を行いながらも不遇であったが、1975年
の「リベル・タンゴ」で見直され、一つの時代を作った。最近のタンゴは、全般に昔より早い
ペースで演奏されることが多いが、ピアソラの曲も同様であり、ミロンガへの先祖返りかと思
われる程。
II.コンチネンタルタンゴ
(次回のステラ・ニュースに掲載いたします)
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余談になりますが、私がバンド用に編曲した楽譜が
欲しくてアルゼンチンに出張した折、
タンゴハウスに出演していたバンドに譲ってくれと頼
み込んだところ「タンゴはソウル(魂)で演奏するも
のだ。楽譜なんかないヨ」と断られてしまいました。
ということで「ステラもソウルで歌いましょう!」
私の偏愛タンゴ一覧(発表順)アルゼンチン、コンチネンタル(*)
1903 エル・チョクロ(El Choclo)
1908 ヌエヴェ・デ・フリオ(Nueve De Julio)
1910 夜明け(El Amanecer) フェリシァ(Felicia)
1911 ロドリゲス・ペーニャ(Rodriguez Pena)
1916 ラ・クンパルシータ(La Cumparsita)
1918 バンドネオンの嘆き(Quejas De Bandoneon)
1920 夢のタンゴ(Tango Du Reve)(*)
1923 カミニート(Caminito)
1925 *ジェラシー(Jalousie)(*) 淡き光(A Media Luz)
1926 奥様お手をどうぞ(Ich Kusse Ihre Hand Madame)(*)
1927 黄昏のオルガン弾き(Organito De La Tarde)、パリのカナロ(Canaro En Paris)
1928 さらば友よ(Adios Muchachos) バラのタンゴ(Tango Delle Rose)(*)、
小さな喫茶店(In Einer Kleinen Konditorei)(*)
1930 ジーラ・ジーラ(Yira Yira) 小雨降る径(Il Pleut Sur La Route)(*)
黒き汝が瞳(Zwei Dunkle Augen Schauen Mich An)(*)
1931 モンテカルロの一夜(Eine Nacht In Monte Carlo)(*)
1932 台風(El Huracan)
1936 碧空(Blauer Himmel)(*)
1937 夜のタンゴ(Tango Notturno)(*)
1938 夕暮れ(Ein Lied Ohne Warte)(*)
1945 さらば草原よ(Adios Pampa Mia)
1950代 真珠採りのタンゴ(Perlenfischer)(*) ノニーノ(Adios Nonino)
1964 恋心(L’amour, C’est Pour Rien)(*)
1975 リベル・タンゴ(Liber Tango)
トップテナー 根橋 剛
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★ 今年に入り下記の演奏会に参加いたしました。
(1)第19回白いうた 青いうたフェスティバル IN 鎌倉
2019.1.13(日) @鎌倉芸術館
2015、16年に引き続き、新実徳英(作曲)と谷川雁(作詞)による21世紀への抒情歌と銘打った
「白青フェス」に参加し、平均年齢78歳の最高齢者の演奏のせいもあってか(?)会場から盛大にして暖か
な拍手を頂きました。
演奏曲:「われもこう」「壁消えた」「なぎさ道」
指揮者:岡山尚幹
三世代どころか四世代にわたる老若男女が、歌
集「白いうた青いうた」に収められた合唱曲(全
53曲)を歌い、聴き合い、各演奏後に新実先生
が、懇切丁寧で親身な講評を加えるというアット
ホームなコンサート。
今回は、多様な楽器を駆使したり、奇抜な振り付けや前奏、間奏等に自己流のアレンジを加えたりする等の
演奏も多く、例年以上に賑やかで楽しい盛り上がりを見せ、また参加者のレベルも着実に上がってきているよ
うな印象を受けました。ステラの演奏に対しては、新実先生から、指揮者の89歳という年齢に驚かれるとと
もに「あと10年は大丈夫ですね」との力強い言葉や特に「われもこう」のファルセット(裏声)が見事との
お褒めを頂きました。
全員で、恒例の新実先生の指揮の下、「二十歳」「卒業」を合唱するとともに、来年20回を迎える記念すべ
き演奏会(新趣向を盛り込みたいとのこと)での再会を約してお開きとなりました。
(2)第23回シニアコーラスTOKYOフェスティバル
2019.2.11(月・祝) @東京オペラシティコンサートホール
東京都を中心に、千葉、神奈川、埼玉県からも、のど自慢のシニア36団体が
参加し競う中、ステラは昨年同様、楽器伴奏付きで健闘するものの今回は入賞を
果たせませんでしたが、これをも糧にして、今後選曲や演奏内容も吟味しつつ一
層練習に励んで参ります。
演奏曲:「ザ・ロンゲスト・デイ」「サイド・バイ・サイド」
今回は審査委員長が服部克久先生から三枝成彰先生に急遽変更になったことも
あってか、従来の楽しく元気溌剌なパーフォーマンスの評価が薄れ、アカペラ、
ハーモニーなど合唱技術面の重視へと審査基準が変わってきたことが、講評から
も如実に窺われました。今回の三位までの上位入賞者は全て初参加グループで、
確かな実力とともに新鮮さが高く評価されたように感じられました。(因みに、ステラは前回三位、前々回は
二位入賞でした。)
ステラ 掲示板
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ステラについては、演奏後、会場の聴衆から盛大な拍手とともに大きな声も掛かり、アンケートに答える形
で「男声合唱特有の迫力に満ちた歌声と様々な楽器のコラボが、楽しくステージを盛り上げ、客席を幸せにし
てくれました。一人一人が歌を愛し、人生を楽しんでいる様子が伝わってきました」といった感想が寄せられ
ました。
審査員の中には、ステラにかなりの高得点を付けられた先生もおられたようで、「お祭りやフェスティバル
の感じで、人数が多い上に色々な楽器も加わり、とても恵まれたグループですね。リズム感もいつもながら健
在で自分達が楽しんでいるのが良く分かります」といった講評を頂きましたが、岸信介先生の「演奏は素晴ら
しく会場の皆さんも大いに楽しんでいたが、審査員の声として、昨年と同じ感じであるとの意見があり、今年
は見送りとなった。何か工夫が
あると良かったと思います。」
とのコメントが、今回の結果の
全体感を良く表しているよう
に思われました。
ステラは、優勝第一主義の合
唱団ではなく今後とも、心を
一つにして楽しく、元気一杯
で歌う方針を踏襲して参りた
いと考えていますが、出場団
体の水準が確実に上がってき
ている中、こうした優れた合唱団に刺激を頂きながら一緒に歌えることの喜びを噛みしめつつ、さらなる高
みに向かい精進を重ねていきたいと決意を新たにしています。
★ 本年 11月に「第5回ホームコンサート 2019」を開催します
2020年予定の「第7回定期コンサート」に先立ち、恒例の「ホームコンサート」(第5回)を、11月
28日(木)三鷹芸術文化センター;風のホール(大ホール)にて開催いたします。詳細は、ステラ・ニュ
ースやHPにて別途ご案内致しますが、日本の名曲、ステラ愛唱曲の数々に加え、懐かしのポップス・魅惑
のタンゴ等多彩な楽器付きでバライティに富んだ演奏をお楽しみ頂きたいと練習に励んでいます。
今回は、満並びに数え年で卒寿(90歳)を迎える団員が5名にのぼることから、会場の皆様と共に祝意
を表させて頂きたく、特別コーナーを設ける予定にしています。卒寿5人衆のそれぞれの個性を生かした企
画を準備中ですので、こちらもご期待頂きたいと存じます。