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実践例集 仲間づくり 《参加型学習編》 平成22年(2010年) 鹿児島県教育庁人権同和教育課 人権教育指導資料

実践例集 仲間づくり - pref.kagoshima.jp · はじめに 現在,鹿児島県教育委員会では,「鹿児島県人権教育・啓発基本計画」に基づいて,す

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実践例集

仲 間 づ く り《参加型学習編》

平成22年(2010年)

鹿児島県教育庁人権同和教育課

人権教育指導資料

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はじめに

現在,鹿児島県教育委員会では,「鹿児島県人権教育・啓発基本計画」に基づいて,す

べての学校及び地域社会において,同和教育をはじめとする人権教育の充実のための取組

を推進しているところであります。また,平成20年3月に文部科学省から出された『人

権教育の指導方法等の在り方について〔第三次とりまとめ〕』の具体化を図るために,様

様な研究会や研修会等を通じて,その改善・充実に取り組んでいるところであります。

その中でも,学校における人権教育の推進においては,児童生徒が発達段階に応じて,

人権に関する知的理解の深化と人権感覚の涵養を基盤として,人権擁護の意識,意欲,態かんよう

度,さらに実践行動まで高めていくことが求められております。

そのためには,児童生徒一人一人が,教育活動全体を通して,学校・学級での生活や学

習活動の中での自己存在感を実感したり,受容的・共感的・支持的な人間関係を育成した

りすること,また,自己決定の力や責任感を育成すること等と絡めて,自分の生き方を見

つめ,仲間とともによりよく生きる道筋を探る営みが必要であります。そのための「仲間

づくり」は,人権教育の推進に欠かせない大切な要素であります。

そこで,その推進の支援資料の一つとして,これまでに引き続き,今年度は『人権教育

指導資料 実践例集 仲間づくり《参加型学習編》』を作成いたしました。

児童生徒が,「自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること」ができるために必

要な人権感覚を身に付けていくには,単なる座学的方法にとどまらず,主体的に活動する

「協力的,参加的,体験的な学習」が不可欠であります。

各市町村教育委員会をはじめ,それぞれの学校においては,本資料を職員研修や授業づ

くりに活用し,実践を通して「人権が尊重される学校づくり」に着実につなげていかれる

ことを期待いたします。

また,これまで発行しております,『人権教育指導資料 実践例集 仲間づくり』(平成

20年度発行)及び『人権教育指導資料 実践例集 仲間づくり《男女平等教育編》』(平

成21年度発行)につきましても,今後とも継続的な活用をお願いいたします。

最後になりましたが,本指導資料を作成するに当たり御尽力をいただきました関係機関,

学校及び資料作成委員の方々に心からお礼を申し上げます。

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目 次

○ はじめに

1 人権教育における指導方法の改善・充実に向けて(1) 人権教育を通じて育てたい資質・能力 …………………………………………… 1(2) 人権教育の指導方法の基本原理 …………………………………………………… 2

2 参加型学習について(1) 参加型学習とは …………………………………………………………………… 3(2) 参加型学習の進め方 ……………………………………………………………… 3(3) 参加型学習の基本的な流れ ……………………………………………………… 4(4) 参加型学習を通して身に付けさせたい力 ……………………………………… 6

3 学校における参加型学習の実践例

1 アルバムをつくろう ………………………………………………………………… 7

2 「形が合ったよ」 ………………………………………………………………… 14

3 あなたならどうする? …………………………………………………………… 18

4 なんて答えたらいいでしょう …………………………………………………… 22

5 「ぽっかぽか」の気持ちを伝えよう(人権週間・人権集会) ……………… 26

6 救命ボートの中で ………………………………………………………………… 31

7 聞き上手,話し上手になろう! ………………………………………………… 36

8 ロールレタリングで自分を見つめよう ………………………………………… 40

9 言葉の力(「ひとこと」を考える) ……………………………………………… 42

10 バリアフリー ……………………………………………………………………… 45

○ 参考資料1 アイスブレーキングの実践例-①~⑥ …………………………………………… 482 アクティビティの実践例-①~④ ………………………………………………… 54

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1 人権教育における指導方法の改善・充実に向けて (1) 人権教育を通じて育てたい資質・能力

自分の人権を守り,他者の人権を守ろうとする意識・意欲・態度をはぐくむためには,

人権に関する知的理解を深めるとともに,人権感覚を育成することが必要である。 知的理解を深めるための指導を行う際にも,人権についての知識を単に一方的に教え

込んだり,個々に学習させたりするだけでは十分ではなく,児童生徒ができるだけ主体

的に,他の児童生徒とも協力し合うような方法で学習に取り組めるよう工夫することが

求められる。 人権感覚を育成する基礎となる「価値的・態度的側面」や「技能的側面」の資質・能

力に関しては,言葉で説明して教えるというような指導方法で,はぐくむことは到底で

きない。例えば,自分の人権を大切にし,他の人の人権も同じように大切にする,人権

を弁護したり,自分と違う考えや行動様式に対しても寛容であったり,それを尊重する

といった価値・態度,コミュニケーション技能,批判的な思考技能などのような技能は,

言葉だけで教えることができるものではなく,児童生徒が自らの経験を通して,初めて

学習できるものである。 つまり,児童生徒が自ら主体的に,しかも学級の他の児童生徒たちとともに学習活動

に参加し,協力的に活動し,体験することを通して初めて身に付くといえる。民主的な

価値,尊敬及び寛容の精神などは,それらの価値自体を尊重し,その促進を図ろうとす

る学習環境の中で,また,その学習過程を通じて,初めて有効に学習されるものである。 したがって,このような能力や資質を育成するためには,児童生徒が自分で「感じ,

考え,行動する」こと,言い換えれば,自分自身の心と頭脳と体を使って,主体的,実

践的に学習に取り組むことが不可欠である。

= 学校における人権教育の推進 =人権教育の目標 【人権教育を通じて育てたい資質・能力】

(関連)

人権教育の指導方法等の在り方について【第三次とりまとめ】より

児童生徒が,発達段階に応じ,

人権の意義・内容等について理

解するとともに,「自分の大切

さとともに他の人の大切さを認

めること」ができるようになり,

それが,様々な場面等で具体的

な態度や行動に現れるようにす

ること。

自分の人権を守り他者の人権を守るための

実践的な行動

自分の人権を守り他者の人権を守ろうとする意識・意欲・態度

人権に関する知的理解(知識的側面)

人権感覚(価値・態度的側面/技能的側面)

人権が尊重される教育の場としての学校・学級

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(2) 人権教育の指導方法の基本原理

児童生徒が,人権に関する知的理解を深めるとともに人権感覚をはぐくんでいくため

には,人権教育の指導方法の基本原理として,その学習の基盤に児童生徒の「協力」,

「参加」,「体験」を中核に置くことが大切である。

「協力」,「参加」,「体験」を中核とする学習形態には,それぞれ次のような特徴

があると一般に考えられている。

なお,「体験的な学習」に関しては,我が国の人権教育や人権啓発においても,「参

加体験型学習」の名で普及してきたところであるが,特に人権感覚の育成の観点から

も,体験的学習の本質に関する理解の深化が求められている。

つまり,「参加体験型学習」では,「参加すること・体験すること」それ自体が目

的なのではなく,個々の学習者における自己体験等から,他の学習者との協同作業と

しての「話し合い」,「反省」,「一般化」,「適用」という具体的・実践的な学習

の過程を丁寧に進めることによって,体験した事柄を内面化し,自己変容へと結び付

けさせることが大切である。

①「協力的な学習」

児童生徒が自分自身と学級集団の全員にとって有益となるような結果を求め

て,協力しつつ共同で進める学習である。こうした協力的な学習は,生産的・建

設的に活動する能力を促進させ,結果として学力の向上にも影響を与える。さら

に,配慮的,支持的で責任感に満ちた人間関係を助長し,精神面・心理面での成

長を促し,社会的技能や自尊感情を培う。

③「体験的な学習」

具体的な活動や体験を通して,問題を発見したり,その解決法を探究したりす

るなど,生活上必要な習慣や技能を身に付ける学習である。自らの心と頭脳と体

とを働かせて,試行錯誤しつつ,身をもって学ぶことで,生きた知識や技能を身

に付けることができる。

②「参加的な学習」

学習の課題の発見や学習の内容の選択等も含む領域に,児童生徒が主体的に参

加することを基本的要素とする。児童生徒は参加を通して,他者の意見を傾聴し,

他者の痛みや苦しみを共感し,他者を尊重し,自分自身の決断と行為に対して責

任を負うことなどの諸能力を発展させることができる。

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2 参加型学習について (1) 参加型学習とは

ここでいう参加型学習とは,人権教育の学習の方法として用いられているワークショ

ップ(一般的に共同作業場の意味で用いられる)のことである。 この参加型学習は,人権に関するテーマについて様々な意見を出し合い,他の人の意

見から何かを学び取ったり,気付いたりすることを目的とした学習や研修,啓発活動に

有効である。自分で考え,感じ,表現する体験活動を通して,お互いの人権が大切にさ

れていることのよさに気付き,身の周りの人権問題を解決するための態度や技能(スキ

ル)を高め,日頃の実践力を身に付けていこうとする学習方法の一つである。 つまり,参加者の主体的な活動とコミュニケーションを大切にする学習手法を用い,

差別や偏見に対する「気付き」を大切にしながら,単に知的理解にとどまらず,自分で

「感じ,考え,行動する」という主体的・実践的な学習を高めていこうとするものであ

る。そして,その学習形態や学習の効果は,次のとおりである。

(2) 参加型学習の進め方

参加型学習は,ファシリテーター(促進役)によって進められ,その役割は重要である。学校での授業においてファシリテーターは,主に指導者がその役を担うことになること

から,児童生徒一人一人を深く理解し,お互いが大切にされていると実感できるような

学校・学級の雰囲気づくりにかねてから取り組むことが大切である。

【学習形態】

○ 参加者が積極的に学習できるように,人権問題に関わる直接的な体験の手法を

多様に取り入れる。

○ ゲーム的な要素も取り入れ,和やかな雰囲気の中で学習する。

○ 参加者同士やファシリテーター(促進役)と参加者も対等な関係で語り合い,

共に学び合う形態をとる。

【効 果】

○ 体験的な活動と話合いを通して,参加者一人一人に,差別や偏見についての「気

付き」が生まれ,その「気付き」が深まっていく。また,人権に関わる問題場面

での対応の仕方(スキル)を高めることができる。

○ 参加者同士のコミュニケーションが促進され,力を合わせて人権課題の解決に

向かおうとする実践的な態度を培うことができる。

○ 年齢や性別や社会的な立場などにとらわれない人とのつながり,温かい研修の

雰囲気により,今後の研修参加への意欲を高めることができる。

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また,学級PTAや家庭教育学級,その他社会教育における研修会等においても同

様に,できる限り参加者の実態把握を行うことで,学習内容や展開を工夫しやすくな

る。 例えば,「参加者は,このようなことを知りたがっているのでは…。」「このテーマ

からは,こんな話合いが行われるのでは…。」「参加者から,こういったことを聞き出

してみたい…。」など,学習の目的に沿った話合いの展開を,あらかじめイメージす

ることが大切である。そして何より,参加者が学習を通して,お互いのことを知り,

協力し合うことから得られる達成感を持てるようにすることが大切である。 そのようなことから,ファシリテーターとしては,次のようなことに留意して学習

を進めることが大切である。

(3) 参加型学習の基本的な流れ

参加型学習の基本的な流れとアクティビティの例は,次のとおりである。参加者の実

態や学習の目的に応じて,学習の導入や展開などの工夫が大切である。 学習過程 学 習 活 動 主な活動内容

導 入

○ アイスブレーキング

初めて会ったばかりで緊張している参加者の気持ちを

少しずつほぐしていくとき,参加者同士が,温かい雰囲気

や,何でも言える,何でも受け取ってくれるという安心感

などをつくりだす活動。

・ 学習の場の雰囲気づくり

・ 課題への方向付け

(意欲付け)

展 開

○ アクティビティ

ワークショップで実施する,一つのまとまりのある行動

を伴った活動。

・ 課題に沿った追究活動

(アクティビティの例を参照)

まとめ

○ シェアリング

参加者の疑問や感情の起伏を明らかにしながら,お互い

の理解を深める活動。

・ ファシリテーターを中心と

した活動の振り返りとまとめ

○ 和やかな雰囲気づくりに努め,いろいろな考え方を認める。

○ 参加者の主体性を尊重し,問題の解決に当たっては参加者の意見を尊重する。

○ 話合いの過程を大切にし,マイナス意見であっても,貴重な話題提供として受

け止める。(ただし,偏見や差別意識を助長するような発言に対しては,話合い

の中で修正していく。)

○ 参加者同士の対立的な状況が起きたり,参加者のプライバシ-が侵害されたりし

ないように,事前に参加者の構成や実態などに十分配慮する。

また,自分と違う立場の意見を尊重し,否定しないなど,参加型学習の約束につ

いて参加者(児童生徒等)と共通理解をする。

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【アクティビティの例】

~ ブレーンストーミング ~ 各自が思いつくままに自由にアイデアを出し合

って,最善策を見付ける話合いのことである。テー

マに沿ってできるだけ多様な意見を出して,参加者

がそれぞれの知識を共有できるようにする活動。

~ ロ ー ル プ レ イ ~ 役割演技と訳される。他の人のことを演じ合うこ

とによって,その人の立場や気持ちを実感したり,

自分自身を振り返ったりすることを目的とする活

動。

~ 体 験 型 学 習 ~ トラストウォーク,車いす体験,貿易ゲームなど

の模擬演技,疑似体験を通した学習のことである。

現実にある問題状況の中から重要な要素を取り出

し,一定の状況を模擬的に体験する活動。

~ ディベート(ロールプレイ・ディベート) ~意見が分かれる論題について,肯定側と否定側に

分かれて議論し,講評によって論題の重要性や課題

を明らかにする活動。参加型学習では,体験として,

肯定・否定の役を演じてもらいながら議論するロー

ルプレイ・ディベートがよく用いられる。

~ ラ ン キ ン グ ~ 様々なテーマについて,10個程度の権利・命題,

具体的な品物等をカード等に記入し,参加者が自分

にとって重要だと考える順序にダイヤモンド型等

にランキング(順位付け)する。その後,その根拠等

を整理し,参加者が意見交換,討議する活動。

~ フォトランゲージ ~ 一枚の写真の一部を参加者全員が鑑賞し,それぞ

れがもった印象などを出し合う。その後,全体像を

見て,その写真本来の意味やメッセージから感じた

ことを発表し合うことを通して,自分自身のステレ

オタイプを自覚するなど,写真を使った活動。

~ ゲ ー ム ~ 「ジャンケン自己紹介」など,学習過程の導入段

階でのアイスブレーキングでよく使われる。また,

伝言ゲームのように展開段階で参加者のコミュニ

ケーションを深めたり,貿易ゲームなど,それ自身

が大きなテーマを扱ったりする活動。

~ フィールドワーク ~ 実際に現地に出かけ,歴史的事実や現実に触れる

活動。また,人権に関わる体験者との交流など,人

との出会いを通して,様々な人の生き方や思いなど

感じ取り,学習を深めていくことを目的とした活

動。

~ K J 法(ケージェー法) ~ 収集した膨大な資料を整理するために,あらかじ

め少人数のグループに別れ,カードを使って仲間分

けをする。そして,項目ごとの分類を一枚の図にま

とめ,全体を見ながら討議を進め,さらに,課題を

明確にしながら解決を探っていく活動。

~ フィルムフォーラム ~ 課題をテーマとした映画やビデオテープ,DVD

などを参加者全員で鑑賞し,司会進行のもとに参加

者全体で討議を行う活動。

※ 平成22年度人権教育資料 「なくそう差別 築こう明るい社会」参照

~ ケーススタディ(事例研究) ~ 事例に基づいて行われる学習のことで,個人,家

族,集団,地域社会または文化などの事例について,

その発達段階と環境との関係を分析する活動。

~ アサーティブトレーニング ~自分の考えを主張するだけではなく,相手の立場

を考えながら,自分の思いを的確に相手に伝えるた

めの考えと技能(スキル)を身に付けるためのトレ

ーニング。

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(4) 参加型学習を通して身に付けさせたい力 [自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること]ができるために必要な人権感

覚は,繰り返し言葉で説明するだけで身に付くものではない。そのため,人権感覚をは

ぐくむ学習方法の一つとして,本資料では参加型学習に焦点を当てている。

大切なことは,自分と他の人の大切さが認められるような学校・学級の環境の中で,

他の人とともによりよく生きようとする態度や集団生活における規範等を尊重し,義務

や責任を果たす態度,具体的な人権問題に直面してそれを解決しようとする実践的な行

動力などを,児童生徒が身に付けられるようにすることである。

そのような基盤の上に,教育活動全体を通じて,例えば,次のような力や技能などを

総合的にバランスよく培うことが求められる。参加型学習を行うに当たっても,その具

体化を図る学習として位置付けていくことが大切である。

○ 他の人の立場に立って,その人に必要なことや,その人の考えや気持ちなどを察

する想像力,共感的に理解する力。

○ 考えや気持ちを適切かつ豊かに表現し,また,的確に理解することができるよう

な,伝え合い,分かり合うためのコミュニケーションの能力やそのための技能。

○ 自分の要求を一方的に主張するのではなく,建設的な手法により他の人との人

間関係を調整する能力及び自他の要求を共に満たせる解決方法を見いだして,それ

を実現させる能力やそのための技能。

参加型学習を通して身に付けさせたい力。例えば…。

~ 自尊感情(セルフエスティーム) ~自分を肯定的に認め,「自分らしさ」に自信を持

ち,自分を価値あるものとして思えるようになるこ

とである。そうして,自分の立場と自分の生き方に

“誇り”をもてるようになることである。

自分を大切に思えることが,他の人を大切に思う

気持ちにもつながるものである。

~ コミュニケーション能力 ~ 人の話を聞いたり,情報を吸収したり,質問した

り,自分の気持ちをはっきりと,相手への配慮を忘

れずに表現する力である。

自分の気持ちを伝えられることが,人権や差別の

問題について理解を深め,人の思いを分かろうとす

ることが,他者の権利にも関心を持つことにもつな

がるものである。

~アサーティブネス(非攻撃的自己主張)~相手を傷付けず尊重しながら自己主張するとい

うことであり,分かりやすくいえば,「私はこう思

う」ということである。

本音や気持ちを出し,もめごとの原因を掘り下げ

る中で,子どもの隠れた願いや気持ちを全員のもの

にしながら,一人一人を生活から含めて,丸ごと受

け止めようとする意識や態度をはぐくむことにつ

ながるものである。

~ 協力できる力と仲間づくり ~ 共通の目標に向かって,人と協力し合える態度や

技能であり,そのような活動を通して,仲間の立場

に気付き,助け合いや思いやりの態度をはぐくむこ

とである。

そのようなことで,集団の一員としての実感をも

つことができ,協調性をはぐくみ,相互依存という

認識をもつことにつながるものである。

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3 学校における参加型学習の実践例

1 アルバムをつくろう

1 ね ら い○ 自分のことを肯定的に表現させる中で,自分らしさを発見させて,自分のよさに気付かせる。

○ 自分のことを振り返るきっかけとし,いろいろな自分を見つめさせて,自分を大切にしようとする気持ちをもたせる。

○ 感想を言ったり,聞いたりしながら,互いに知り合うことを通して,コミュニケーションの力を身に付けさせる。

2 学習活動の概要ワークシートをもとに,自分のことを書いていく。その後,自分の書いた

ことを伝え合い,互いの思いを共有し合う。

3 対 象 小学校低学年~

4 時 間 45分~120分

5 準 備 ワークシート(一冊の絵本になるように工夫する)筆記用具,色鉛筆

6 学習形態 個人 → グループ → 一斉

7 展 開 例

過程 主な学習活動 指導上の留意点

1 今の自分の好きなところや頑張っ ○ 日頃の行動をもとに,いいとこていることなどを自由に出し合う。 ろを見つめさせ,自分を肯定的に

導 捉えられるようにする。友達の気付きやアドバイスも発表させる。

○ ワークシートを見ながら,どん入 2 今の自分を見つめながら,自分や なことを書いていくかを知らせ,

家族のことをワークシートにまとめ 活動の見通しと興味・感心を持たていくことを知る。 せる。

5分ポイント:授業者が自分のアルバムを作って提示すると,イメージしやすい。

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3 ワークシートに沿って,自分のこ ○ それぞれが自信を持って自分のとを書く。 ことを書き表せるように,日頃の① 自己紹介:名前・年齢・似顔絵 様子などから伝わるよさを話す。② 家族紹介:人数・似顔絵 また,具体的に考えにくかった③ 好きなこと:好きなことや物 り多くのことを思いつかなかった④ わたしの五感:「五つの感覚」 りする場合には,後で,書き加え

展 を使って感じることの中で,そ ていくようにする。れぞれ好きなもの

⑤ わたしの気持ち:自分の気持ち⑥ わたしの夢:なりたいものや叶

開 えたいこと⑦ 表紙絵:自分の表したいこと

※ 枠にこだわらず,書けるところを書いていく。

3 0 ~105分

4 書いたものを1冊に綴じる。 ○ その他の作品も一緒に綴じる場合には,学年・学期末まで保管しておく。

5 作ったアルバムを隣の人やグルー ○ グループに限らず,多くの子どプで交換して読み合う。 もと交換し,交流できるようにす

る。

6 アルバムを作った感想を全体で発 ○ 自分と同じ気持ちの友達がいたま 表し合い,友達と今の気持ちを共有 ことや,友達のことで新しく知っと する。 たことなどを,今の気持ちも含めめ て発表させるようにしたい。

10分 7 学習のまとめをする。 ○ できあがった作品は,家族に自信を持って話すようにする。

8 参 考(1) 子どもたちの感想・反応等

○ 一つ一つのことを丁寧に書こうとし,じっくりと自分のことを考えている様子が見られた。

○ 「自分の好きなこと」や「五感など」,友達と同じだったときには,「ぼくも同じだ」とか,「わたしも,そう書いたよ。」などの会話が聞かれ,友達のことを知る喜びにあふれていた。

ポイント:時間が取れる場合は,「一項 目 ず つ 書 い て 発 表 す る 」な ど , 交流を多く持つようにすると,より肯定的に自分を捉えることができる。

ポイント:ワークシートの活用に当たって,様々な状況から気になる子どもがいる場合は,事前に保護者等と十分連携を図りながら進めていくようにする。

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○ 一枚一枚を仕上げていく中で,「自分だけの作品を作る」という気持ちが生まれ,もっと自分のことを書きたいという意欲をもつことができた。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

ア 「準備したワークシートに記入し,発表する」という活動ではあるが,発表の仕方を工夫していきたい。《参考例》

○「わたしの五感」をもとに「つながりさがし」をする。【教 師】:「みんなは何を見るのが好きと書きましたか?」

【児 童】:「 テレ ビ」「 まんが 」な ど, 自分 の書 いた もの を発表しな がら

同じことを書いたグループをつくって座る。

【 教 師】:「 こ の グル ー プは , 何 を見 る のが 好き なグ ルー プで すか 。」

【グループ】:「わたしたちは,テレビを見るのが好きです。」

※ 当然,1人のグループができることもあるが,他の子たちも共感できる

も の だ と 思 わ れ る 。 他 の グ ル ー プ か ら 「 ぼ く も」「 わた し も書 い た 」と い

う発表を促したい。また,違う質問では,グループになることが予想され

るので,いくつかの項目でつながりを感じさせるようにする。

イ これ以外にも下記のような学習活動と組み合わせることで,より効果的なものになる。《参考例》

○ 「自 画 像 制 作」:自分の全身を描き,どのくらい成長したかを絵の中に書き加える。可能であれば,「大きな紙に寝る」などして,等身大の自分を友達と協力して書き写すのもよい。

○ 「いいところ探し」:自分の名前を書いたカードを友達に渡し,自分のいいところや好きなところを書いてもらう。それを,「自画像」に貼り付けたり,別紙に貼ったりしてまとめる。

ウ 活動させるときは,子どもの生活状況等に十分配慮するようにする。

(3) 参考図書

○ 「わたし 出会い 発見」 大阪府人権教育研究協議会編

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~ ワークシートの活用に当たって ~

子どもたちは,それぞれの置かれた状況により,様々な気持ちをもち

ながら,学校に通っています。

この実践例では,学級内の自分だけでなく,生活を含めたそのままの自分を,

お互いに受け止め,しっかりと支え合うことができる子ども同士のつながりを

つくるために取り組んだ実践例を紹介してあります。

各学校においては,子ども一人一人の実態や生活背景を深く理解して,学級経

営に取り組んでいると思います。学習に当たっては,事前に学習内容を保

護者等にも十分理解していただくとより効果的です。

また,ワークシートの活用に当たって特に気になる子どもが

いる場合は,保護者等との連携を十分図りながら

取り組むことが大切です。

(1 年生の活用例)

ねん くみ

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わたしのなまえは,

です。

わたしは,

です。

わたしのにがおえ

わたしのかぞくは,( )にんです。

※ 家族の紹介になるので,保護者等と連携を十分図り,

学習の目的を十分理解していただいた上で,活用してください。

※ かぞくのにがおえをかく

さい

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わたしのすきなことは,

わたしの五かん(5つのかんかく)

わたしは, をみるのがすきです。

わたしは, をきくのがすきです。

わたしは, のあじがすきです。

わたしは, のにおいがすきです。

わたしは, をさわるのがすきです。

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わたしのきもち わたしは, のとき,

しあわせです。

わたしは, のとき,

かなしいです。

わたしは, のとき,

( )です。

わたしのゆめ

わたしは, に,

なりたいです。

もしも,おねがいがひとつだけかなうなら,

です。

-13-

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1 ね ら い ○ 友達とルールを尊重し合う中で,仲良く協力することの大切さに気付くようにする。

2 学習活動の概要 5人グループで,言葉や合図を使わずに必要なピースを交換しながら,グループ全員が同じ形の正方形を完成させる活動である。そして,作業を通して,困ったことや感じたこと,気付いたことなどを話し合う。

3 対 象 小学校中学年~ 4 時 間 45分 5 準 備

うう

1 2 3 4 5 ・ 上図のように切った5枚の正方形のカード(グループ数分) ・ 記号ごとにピースを入れる封筒5枚(グループ数分) ・ ルール説明の図とワークシート(感想を書く用紙)

6 学習形態

5人グループ(4人グループのときは,1~4までのピースを使う。) 7 展 開 例 過程 主な学習活動 指導上の留意点

1 5人グループをつくり,ピー

スの入った封筒を配る。

○ グループ編成については,子ども同士

のつながりを考えて配慮する。

2 「形が合ったよ」

グループで一人一つずつ,同じ大きさの正方形を作ろう。

-14-

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10 分

2 パズルの作り方やルールにつ

いての説明を聞く。

【ルール】

○ 全員が,ルールをしっかり理解できた

か,グループごとに確認する。

○ グループ全員が,正方形を作り終わっ

たらゲーム終了ということを伝える。

3 活動1(5分)

作業を開始する。

○ ルールをしっかり守れているか,見守

りながら活動させる。

4 話合い(10分)

作業を中断して話し合う。

○ 困ったことは…。

○ 気付いたことは…。

○ どのようにしたら,みんな

が完成できるか…。

○ 話合いがしっかりできるように,ピー

スを机の中央に置く。

○ 困ったことから順に,意見交換をさせ

る。

25 分

5 活動2(10分)

再び作業を続行する。

○ もう一度,最初からさせる。

○ グループ全員が作り終わったところ

は,後始末をして先に感想を書かせるよ

うにしてもよい。

10 分

6 作業を終えて,感想を出し合

う。

○ 一人一人にワークシートを配って,感

想を書かせる。

○ いくつか感想を発表し合って,まとめ

にする。

ポ イ ン ト : 絵 入 り の 図 を見 せ な が ら ,

ルールを説明すると分かりやすい。

ポ イ ン ト : 全 員 が ル ー ル を 理 解 し て か

ら,作業に入るようにする。

○ 正方 形を 作 って いる 間は ,

言 葉や 合 図 な ど で, お 互い コ

ミ ュニ ケ ー シ ョ ンを 全 く図 ら

ないようにする。

○ ピー スを 他 の友 達に 直接 渡

し たり , 他 の 友 達か ら 取っ た

りしないようにする。

○ 使わ ない ピ ース は, 机の 真

ん 中に 置 く 。 必 要な ピ ース が

あれば,そこから取って作る。

ポイント:困ったことや気付いたこと

なども書かせるようにする。

ポ イ ン ト : こ ん な こ と に 気 を 付 け た と

か,こうしたらうまくいったという視点

から,気付いたことを出させる。

ポイント:2回目の作業に入る前に,グ

ル ー プ で 話 し 合 っ た こ と を 全 体 で 確 認

してもよい。

ポイント:話し合ったことを生かしてで

きるようにする。

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8 参 考 (1) 子どもたちの感想・反応等

○ 自分ができても,グループのみんなができていなかったら,友達の作っている様子をよく見て,自分のピースを出して,自分は他の正方形を作った。グループの他の人も,友達が困っていたら協力していた。だんだんパズルができてきて,心の中でみんながんばれと思ったら,みんなができたので,そのときはとてもうれしかった。友達を思うことはすばらしいことだと思った。

○ みんなで一つずつ正方形を作ることが,最初むずかしそうだった。やってみてなかなかピースが合わず,1回目は終わってしまった。2回目は友達の意見を聞いた。いったんみんなのピースを机の真ん中に返し,もう1回やり直すとできた。グループ4人の心がまとまった。

○ みんなほしい物が友達の所にあって,ほしいという気持ちが伝わらないからむちゃくちゃになったけど,最後にみんなピースを返して,また考えてみたらできた。何秒かのうちに心が一つになったんだ(みんなの気持ちが伝わった)と思う。できたときは,うれしくてすっきりした。

○ 最後に○○さんが困っていたので,わたしの作った正方形のピースを全部,机の真ん中に置いたら,○○さんも自分の持っていたピースを全部置いたので,わたしが○○さんのピースを取って続きをして,○○さんがわたしのピースで正方形を作った。二人ともできたのでうれしかった。思いやる気持ちが大切だと思った。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ しゃべらないとか合図をしないというルールは,あまり日常的でないので,うまく守れる子とそうでない子の個人差が大きいことがある。ゲーム中に柔らかく指摘しながら活動させるようにするとよい。

○ 黙ってするゲームをするなど,約束を守った方が結果は楽しいと思えるような日常的な積み重ねが必要である。

○ 2回目は,できるだけ全員が完成して,達成感を味わえるように,できるだけ時間を多く取るとよい。

○ できるだけ5人グループでした方が,作業が困難になり,途中の話合いのときの協力や,完成したときの達成感がより得られる。

(3) 参考図書

○ 「わたし 出会い 発見」 大阪府人権教育研究協議会編

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ルール説明の図

ルール 言葉はだめ。合図もだめ。そしたらどうすりゃいいの~。

ワークシート

形が合ったよ 年 組 名前 ○ グループで正方形を作る活動をしてみて,思ったことや困ったこと, 気付いたことなどを書きましょう。

○ ○ さ ん の あ

の 形 が ほ し い

んだけど。

○○さん,早く

あ れ を 出 し て

くれないかな。

どうしたらい

いのか,わか

んない。

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3 あなたならどうする?

1 ね ら い

○ 相手の立場を尊重しながら,問題を解決しようとする態度を育てる。○ 自分を肯定的に捉え,大切に思う気持ちを育てる。

2 学習活動の概要

「あなたメッセージ」と「わたしメッセージ」という2通りの伝え方を知り,具体的な場面で,相手を傷付けない言い方を考えてロールプレイを行い,自分が言いたいことを正しく伝える言い方について話し合う。

3 対 象 小学校中学年~

4 時 間 45分

5 準 備 ワークシート

6 学習形態 学級全体,グループ(4~6人)

7 展 開 例

過程 主な学習活動 指導上の留意点

1 学校生活の中で,相手の立場を考えな ○ これまでの経験から,友達と

導 い発言や乱暴な発言について振り返る。 の日常の会話を振り返らせる。

入 2 学習課題を設定する。

自分の言いたいことを相手に正しく伝

10分 えるには,どんな言い方をするのがよい

か考えよう。

3 2つのメッセージについて説明をする。 ○ 学級の実態や学年の発達段階に

展 A.「あなたメッ B.「わたしメッセ 応じて,2つのメッセージの説明

セージ」 ージ」 やワークシートの事例を工夫して,

開 「あなた」への 「わたし」を主体と 児童により身近なものとする。

感情的な,攻撃 して,相手を尊重し ○ 2つのメッセージの違いをしっ

30分 的な主張 ながら,自信を持っ かりと捉えてから,活動させる。

ポイント:子どもの日記や日常

の様子等から,これまでにあった

出来事を,そのときの状況や気持

ちなども含めて客観的に想起でき

るように助言する。

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て自分の言いたいこ

とをきちんと伝える

主体的な主張

(例)クラスで 「わたしはみんなで

授業中,さわい がんばりたいんだ。

でいる友達に対 分からないところが

展 して あったら,教え合い

「やかましい, をしよう。いやなこ

開 人の迷惑を考え とがあったら言って

ろ。じゃまだ。 ね。」

30分 出ていけ。」

○ 様々な言い方が予想されるが,

4 3つの事例を読んで,相手を傷付けな 人それぞれの言い方があり,認め

い言い方を考えて,発表し合う。 合うことが大切であることを確認

してから発表させる。

5 グループで,自分の言いたいことを相 ○ 出てきた意見をもとに,これま

手に正しく伝えるには,どんな言い方を での自分はどうだったかを簡単に

するのがよいかを話し合う。 振り返らせる。

6 今日の学習を通して,これまでの自分 ○ 相手のことを考えるとともに,

を振り返ったり,これからの自分の在り 自分が伝えたいことを伝えること

5分 方についての感想などを発表する。 も大切であることを捉えさせる。

8 参 考(1) 子どもたちの感想・反応等

○ 言い方がきついときがあった。今度から,相手のことも考えた言い方をしたい。○ 自分が言われたらいやだけど,人には強く言っていると思った。○ けんかをしたときの友達の気持ちが分かったような気がした。○ 私が一番思ったことは,相手の気持ちを考えると,けんかにならないのかなということです。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ 非攻撃的自己表現を身に付けるということも大切であるが,日常の失敗や成功の経験を重ねていくことから,本当の優しさなど心の本質に迫るための指導を継続することで,より充実したものになっていくと考えられる。

(3) 参考図書

○ 「わたし 出会い 発見」 大阪府人権教育研究協議会編

まとめ

ポイント:グループでロールプ

レイを取り入れることにより,実

際に言われたときの気持ちなどを

感じられるようにする。

ポイント:自分が言われたとき

の気持ちを考えさせ,2つのメッ

セージの違いを捉えさせる。

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ワークシート

あなたならどうする?

名前( )

☆ こんなことがありました。さて,あなたならどうしますか?AかBどちらか選びましょう。また,ほかに相手をきずつけない言い方を考えてみましょう。

① そうじ時間に,教室でほうきをふり回して遊んでいる友だちがいました。あなたは何と言いますか。

A:なに遊んでいるのよ! B:みんな自分の仕事をしているよ。さっさとそうじしろ! あなたもいっしょにきれいにしよう。

○ ほかに相手をきずつけない言い方を考えて書きましょう。

② できたプリントを先生に見てもらおうとならんでいたとき,あなたの前に人がわりこんできました。あなたは何と言いますか。

A:おまえ何様のつもりだ! B:ずっと前からならんでいるの。ほんとにずうずうしいな。 あなたも後ろにならんでね。

○ ほかに相手をきずつけない言い方を考えて書きましょう。

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③ 運動会の学級たいこうリレーで,アンカーの友達がバトンを落として,あなたのチームが最下位になりました。あなたはアンカーの友達に何と言いますか。

A:まったくどじなんだから! B:だいじょうぶだよ。だれにでもバトあなたのせいでびりになったじゃ ンを落とすことはあるよ。ない。 また今度がんばろう!

○ ほかに相手をきずつけない言い方を考えて書きましょう。

☆ どんな言い方が相手をきずつけたり,攻 撃したりしている言い方でしょうか。自分こうげき

の言いたいことを相手に正しく伝えるには,どんな言い方をするのがよいでしょうか。グループで話し合ってみましょう。

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4 なんて答えたらいいでしょう

1 ね ら い

自分の気持ちや意見を相手に伝える力,相手の意見を聞き理解する力を育てる。

2 学習活動の概要

日常の会話の中で話し手や聞き手が気を付けるべきことを考え,コミュニケーションの在り方について話し合う。その上で相手の気持ちを受け止めた答え方を考え,ロールプレイを行い,伝え方や聞き方で大切なことを話し合う。

3 対 象 小学校高学年~

4 時 間 45分

5 準 備 ワークシート①,ワークシート②

6 学習形態 学級全体,グループ(4~6人)

7 展 開 例

過程 主な学習活動 指導上の留意点1 友達との会話の中で,うまく相手に気 ○ これまでの経験から,友達との

持ちが伝わらなかったり,いやな思いを 日常の会話を振り返らせる。

導 したりしたことについて振り返る。

入 2 学習課題を設定する。

自分の気持ちや意見を相手にうま

10分 く伝える方法や他人の意見の聞き方

について考えよう。

3 普段の会話で,どんなところに気を付 ○ ワークシート①を配布し,話す

けたらよいかを考え,コミュニケーショ 人・聞く人がすべきこと,避ける

展 ンの在り方について話し合う。 べきことを考えさせる。

30分

ポイント:子どもの日記や日常の様

子等から,これまでにあった出来事

を,そのときの状況や気持ちも含め

て,客観的に想起できるように助言

する。

ポイント:意見が分かれた項目につ

いては,例を挙げて,話し合わせ,

状況によって,どちらにもとれるも

のがあることを伝える。

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4 いくつかの場面を挙げて,相手の気持 ○ ワークシート②を配布し,答え

展 ちを受け止めていない答え方や気持ちを 方や会話で気を付けた方がいいこ

受け止めた答え方を考える。 となどに留意しながら,グループ

開 ごとにロールプレイを行う。

30分 5 グループごとの答え方から,伝え方や

聞き方で大切なことを話し合う。

6 今日の学習を通して,これまでの自分 ○ 相手の気持ちを受け止めた答え

を振り返り,これからの自分の在り方に 方をするには,相手の気持ちを考

ついての感想を発表する。 えることが大切であることに気付

5分 かせる。

8 参 考(1) 子どもたちの感想・反応等

○ わたしは,言葉一つで相手の気持ちが変わるんだなと思った。○ 今までの自分は,相手に優しい言葉で言っていても,相手の本当の気持ちをあまり深く考えていませんでいた。

○ わたしも,相手の気持ちを受け止めていない無神経な答え方をしていることが何回かありました。だけど,今日,前でやっていた会話を聞いていると,自分がこんなことを友だちに言っていたと分かって,やめた方がいいと思った。○ 言われる側になって,改めて「言われる人は,こんな気持ちなんだな。」と実感した。今まで受け止めて言っているときと,受け止めていない気持ちで話しているときがあったから,これからはしっかり受け止めて言いたい。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ ワークシート②で学級の実態に応じた文例を挙げることで,普段,自分たちが言ってしまっているなと反省したり,自分も言われたことがあると共感したりするなど,主体的に活動することができた。また,十分に時間を取り,できるだけ多くの文例を挙げることで,子どもたちも様々な角度から考えることができた。

○ ロールプレイを取り入れることで,実際に言われたときの気持ちについても,より深く考えさせることができた。

○ 子ども同士の会話を前提としての活動であるが,日常の教師自身の子どもへ接する際の言葉や会話等に関しても振り返る機会にもなった。

(3) 参考図書

○ 「わたし 出会い 発見」 大阪府人権教育研究協議会編

ポイント:学級の実態に応じた

文例を挙げることで,活動をより

身近なものとさせる。

まとめ

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ワークシート① 「上手にコミュニケーションをするために」

上手にコミュニケーションをするためには,人の言葉を受け止めて,その言葉の意味をくみとる必要がありますね。ふだんの会話で,どんなところに気を付けたらいいかな?□の中から,話す人・聞く人がするべきこと,さけた方がいいことを選んで,その番号

を下の図の中に書き入れましょう。

① はっきりと話す ⑦ ふさわしい言葉を使う

② 簡潔に話す ⑧ 感情に気付く

③ 質問ぜめにする ⑨ 目をそらさない

④ 注意して聞く ⑩ 命令する

⑤ 話に集中する ⑪ 他の人の悪口を言う

⑥ お説教をする ⑫ 反応をする

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ワークシート② 「なんて答えたらいいでしょう」

次のようなとき,どのように答えたらよいか,下の表で考えてみましょう。

① まず,会話をさまたげたり,もめてしまったりする相手の気持ちを受け止めていない答え方を考えてみましょう。

② それから,相手の気持ちを考えてみましょう。③ そして,今度は相手の気持ちを受け止めた上での答え方を考えてみましょう。

① 相手の気持ちを ② 相手の気持ち ③ 相手の気持ちを相手の言うこと 受け止めていない 受け止めた答え方

無神経な答え方

(例)「今日の注 「よわむし。こわが 注射がこわいのか 「本当に心配なんだ射って痛いのか りだな。」 な。心配な気持ち。 ね。だいじょうぶだな?」 よ。」

「鉄ぼうでさか上がりができないんだけど。」

「友だちなんかいらないよ。」

「明日は学校に行 き た く な いな。」

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5 「ぽっかぽか」の気持ちを伝えよう(人権週間・人権集会)

人 権 週 間 1 ね ら い ○ 学級の友達や学校内の異年齢の仲間を大切にすることを考え,協力して楽しい学校

生活を送ることができるようにする。 ○ お互いの人権を尊重しようとする意識を高めることができるようにする。 2 取組の概要 (1) 全校での取組 (2) 学級での取組

ア ボードによる呼び掛け 朝,登校してきた子どもたちに,今日一日がんばって欲しいこと,

こんな一日にして過ごして欲しいという教師の願いなどを記述した

ボードを作成し玄関に掲示する。登校してきた子どもたちは,ボー

ドの内容を読み,自分の一日の生活の中でどう生かしていくかをイ

メージしながら教室に向かう。

イ 朝のあいさつ 「大きな声で,気持ちを込めて,自分から」ということをキーワードにして,毎朝,係

や委員会の子どもが玄関に立って登校してくる子どもたちを迎え,お互いに自分から進ん

であいさつをする雰囲気をつくる。

ウ 校内放送(登校時・給食時・下校時) それぞれの時間に,人権の大切さについて話や人権週間中の活動

内容を紹介する。また,給食時には人権の説話集などを放送する。

エ 人権集会 人権週間中に人権集会の時間を設定する。(詳細は後述)

ア 子どもたちへの板書 毎朝,特に人権尊重の視点を念頭に置いて,担任が黒板に板書を

して,子どもたちへ呼びかける。1週間の中で学級のよいところや

個人のよいところを,より具体的に書くなどする。板書は,年間を

継続した取組にする。

イ あたたかい雰囲気づくり 友達に対して,相手の気持ちを考えて生活するように教師が呼びかける。例えば,落ち

た鉛筆や消しゴムを拾う,忘れた物を貸す,困っている友達に声をかけて手伝うなど。

また,帰りの会では,うれしかったことなどを発表して,お互いにそのときの気持ちを

伝え合う。

ウ 歌(気持ちを合わせる) 朝の会や帰りの会などで,人権をテーマにした曲や学級目標と重なるような曲を歌う。

また,音楽部の先生とも相談して進める。 (例)友達,ビリーヴ,あの青い空

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3 対 象 全児童 4 期 間 学期ごとに1週間(実態に応じて2週間程度の取組にしてもよい) 5 準 備 玄関掲示用のボード,歌のCDと歌詞カード

人 権 集 会 1 ね ら い ○ 人権を尊重する意識を高め,お互いを大切にしながら,協力して楽しい学校生活を

送ることができるようにする。 ○ お互いのよさを理解し,人権に対する一人一人の思いや願いを受け止めることがで

きるようにする。 2 活動の概要 ○ 人権週間中に,一単位時間を集会として設定する。(時数:児童会として算定) ○ 集会の準備・運営は,委員会の児童を中心にして取り組む。

(学校の状況によっては,希望者を募り,実行委員会をつくることも考えられる。)

○ 集会の中で全校児童が主体的に考えたり,活動したりすることができる取組を行う。また,学期ごとに系統的な内容になるように工夫する。

○ 委員会の子どもたちが,自分たちの力で運営し,思いをしっかり伝えられるように準備の時間を十分確保する。

~ 人権集会のイメージ ~

学校目標 → めざす子どもたちの姿 ← 学級目標 [1学期 ] [2学期] [3学期]

(日々につなぐ)

(集会に向けて)

○ 楽しい雰囲気づくり

○ 自分を見つめる

○ 話しやすい雰囲気づくり

○ 思いを伝え合う

○ 互いを大切にする雰囲気づくり

○ これからの自分を考える

年間を通じた,学校・学級での仲間づくり

○ 1か月前……………担当者と委員会の高学年児童で活動内容を検討。

○ 1か月~2週間前…活動内容の決定,各学級への準備の依頼。

○ 2~1週間前………活動の準備,司会進行の役割分担。

○ 1週間前~当日……各学級の進捗状況の確認,進行の練習。

自分の大切さとともに他の人の大切さが,

認められていると実感できるような場の雰囲気づくり

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3 対 象 全児童

4 時 間 45分 5 準 備 歌のCDと歌詞カード,読み聞かせの本,プロジェクター,スクリーン,

人権標語のカード(各学級で清書して準備) 6 展 開 例

(1) 1学期の活動

過程 主 な 学 習 活 動 指 導 上 の 留 意 点

5分

1 はじめの言葉

2 歌 「友達」

※ 歌詞が,友達を大切にする内容で

あり,優しくしようとする意識を高

めることができる。

○ 司会は,委員会の児童を中心に進めてい

くようにする。

35分

3 アイスブレーキング

○ 手つなぎおに

○ じゃんけん列車

4 人権標語の発表

○ 事前に各児童が考えた標語を一人

ずつ発表する。

○ 作品への話合いや,感想を伝え合

う場を設定する。

○ 活動内容は,低学年から高学年の児童が

楽しめることを前提にした内容になるよう

に指導する。委員会の児童が事前に検討で

きるようにする。

5分

5 集会のまとめ

6 おわりの言葉

○ 子どもたちの人権意識の高まりや活動を

通して,人権を尊重していこうとする態度

などを取り上げて,日常生活に生かせるよ

うにする。

ポイント:事前に進行の仕方や役割を

再確認しておき,自信をもって,主体

的に進められるようにする。

ポイント:事前に各学級で,人権尊重

の視点で標語を全児童に考えさせ,

短冊を作成しておく。 ポイント:作成した人権標語の短

冊は,集会後に掲示し,友達同士

で作品を見合えるようにする。

ポイント:集会で見られた,子どもた

ちのよさを,職員間で共有するととも

に,学級づくりにつなぐ。

ポイント:1回目なので,全員が一斉

に活動できる内容にする。

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(2) 2学期の活動(展開部分のみ)

35分

3 アイスブレーキング

○ 誕生日列車

○ もしもしかめよ(ダンス)

4 友達のよいところ発表会

○ 自分の学級や異学年の友達のよい

ところをお互いに発表し合う。

5 絵本の読み聞かせ

・委員会の児童が読み聞かせをする。

○ 1学期と同様に全学年の児童が,一緒に

楽しく活動できる内容になるように指導す

る。

○ 読み聞かせの絵本

は,児童が考えて選

択し,内容は担当者

と相談しながら決め

る。

(3) 3学期の活動(展開部分のみ)

35分

3 アイスブレーキング

○ カードマッチングゲーム

○ チーム対抗じゃんけん列車

4 あなたならどうする?

○ 校内で起こる様々な場面をシミュ

レーションし,「みんなならどうす

るか」を考えて,体験形式にして進

める。

○ 感想を交流する。

○ お互いに,楽しくコミュニケーションを

取りながら活動できる内容を,子どもたち

と相談して決める。

○ 校内での問題点を子どもたちと話し合っ

て,どの場面を劇化するか決める。見てい

る子どもたちに,「自分ならどうするか」

と問いかけながら劇を進めていき,一緒に

考えられるようにする。

ポイント:子ども同士が,より積極的

にかかわり合える内容にする。

ポイント:自分の気持ちをうまく伝える

ことが苦手な子どもなど,気になる子ど

もがいる場合,子どもが普段,出すこと

ができていない思いを,まずは学級の仲

間につなぐ工夫をする。

ポイント:表面的な言動だけでな

く,うれしかったことなどを振り返

らせて,そのときの気持ちを伝えら

れるように,集会に向けて,学級で

話し合っておく。

ポイント:コミュニケーションを図る

ために,相談や協力しながら行う内容

にする。

ポイント:学校の規模にもよるが,低

学年の子どもたちにも配慮して,8~

10 人のグループをつくり,話合いが

できる工夫をする。

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7 参 考 (1) 子どもたちの感想・反応等

○ 人権週間の取組を通して,これまで以上に友達を大切にし,優しくしたり,親切にしたりしようとする姿が見れるようになった。

○ 高学年は低学年に優しく接し,低学年は優しくしてくれる高学年を慕う姿が多く見られたり,休み時間に異学年で楽しく遊んだりする姿が,さらに多く見られるようになった。

○ 全員が標語づくりに取り組むことで,自分や友達の大 切さを考えるようになった。

【子どもの人権標語より】 【全校児童の人権標語の掲示】

(2) 活動に当たっての留意点・アドバイス 人権教育は,人権週間や人権集会のときだけ人権について考えさせるのではなく,

年間を通した日常の学校生活の中で行い,子どもたちに人権感覚をはぐくんでいかな ければならない。そのために,週間や集会以外でも学級の仲間づくりを基盤にして, 普段から次のような取組を行っていく。

○ 一人一人を大切にする意識をはぐくむ

○ 一人一人を大切にする態度を育てる

○ 一人一人を大切にする校内・教室の環境をつくる

【誕生月紹介の掲示】 【集合写真:玄関に掲示】 【人権コーナー】

○ さかせよう やさしい心の 花いっぱい ○ 家族から もらった命 大切だね

友達同士で名前を呼び合うとき,お互いを大切にするために,あだ名で呼ん

だり,呼び捨てにしたりしないで,男女関係なく,また,学年関係なく「○○

さん」と呼ぶように指導する。これは,1年生で入学したときから学校生活の

習慣として身に付けさせるようにし,徹底して行うことで全員がこの呼び方が

できるようになる。もちろん,教師も同じであり,一人一人を大切にする姿勢

を示していく。

校長を中心に,全校朝会,児童集会など,各種の集会で,特に頑張っている

子どもや,友達を大切にできた行為など,おおいに賞賛し,これから自分たち

も友達を大切にしていこうとする姿勢を身に付けられるようにする。紹介され

た友達の気持ちをみんなで共感できるようにする。

「自分は大切にされている」という気持ち,「この学校の,学級の一員なんだ」

という気持ちを強くもたせていくために,校内・学級の設営を工夫する。

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1 ね ら い ○ 活動を通して,「権利の尊重」と「権利の侵害」について理解させる。 ○ 人権尊重の社会を実現しようとする意欲や態度を育てる。

2 学習活動の概要 5~6人のグループをつくり,紐を丸くして作った救命ボートの中で,お互いの足を重ねる。その後,日常生活の中で同じような事柄がないか考え,話し合う。

3 対 象 中学生・高校生 4 時 間 50分 5 準 備 6m位の紐 6 学習形態 グループ(5~6人) ※ 子どもたちの実態によっては,男女別にする。 7 展 開 例

過程 主な学習活動 指導上の留意点

10 分

1 アイスブレーキング

2 本時の学習内容を確認する。

身近な「じんけん」について考えて

みよう。

○ 学級の実態に応じたアイスブレ

ーキングを行う。

30 分

3 「救命ボートの中で」:ワークシ

ートを読み活動する。

5~6人のグループをつく

る。

紐を丸くして,救命ボートを

作り,グループで中心に向かっ

て,体育座りをする。

○ リーダーを決めさせる。

6 救命ボートの中で

ポイント:温かな雰囲気,自由に

話せる場づくりに配慮する。

ポイント:実施日に一番誕生日が近

い人をリーダーにするなど,上下関

係を意識しない選び方を工夫する。

ポイント:教師の説明により,助け

を 待 つ 救 命 ボ ー ト 内 の 緊 迫 し た 状

況をつくる。

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8 参 考 (1) 子どもたちの感想・反応等

〔感想〕

○ 相手の気持ちを考えて,分かり合うことが大切だと思う。これからは相手のことを思っていこうと思った。

○ 窮屈だった。足も楽に伸ばせない。お互いに人の気持ちを考える。一見ふつうのゲームだと思ったけど,人権に関わる事だと感じた。ものすごく分かった。

○ みんなで話合い,一人一人の意見を取り入れる。

30 分

足を重ねる順番を決める。

4 感想等を記入する。

一番下になったときと,一番

上になったときの感想を書く。

円の状態を保ったまま,全員

が足を重ねないで済むようにす

るにはどうすればよいか,考え

を書く。

5 学級での生活を振り返り,体験

を発表させ,話し合う。

○ 姿勢を崩さなければ,じっとして

いてもおしゃべりをしていてもか

まわない。

○ 足が疲れてきたら話し合って,足

を交互に重ねる。

○ 全員が,一番下と一番上を体験す

るように順番を交代させる。

○ 自分の気持ちを主張したことに

より,相手の気持ちを侵害した体験

を思い出させる。

10 分

6 この活動を通して気付いたこと

を記入し,発表する。

○ 自他の権利の尊重,ルールの必要

性,協力の大切さなど,今後の生活

への生かし方を考えさせる。

ポイント:手のひらほどのメモ用

紙(付箋紙等)に,記入してから

中央に置いて話し合うと,全員の

発 表 を 踏 ま え た 話 合 い が し や す

くなる。

ポイント:「足を伸ばす」という主

張が,他の人にどのような影響を与

えているか,そのときの気持ちを書

かせる。

ポイント:「救命ボート」と同じよ

うな事柄が,日常生活の中にないか

考えさせる。

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○ 一番下の人が,とてもいやな気持ちをしていると感じました。相手を優先する,自分は後回しにする。今日言われたこと,考えたことをこれからの日常生活でしていきたいです。

○ 今日の授業を通して思ったことは,『人権は大切』ということです。 一人一人が権利を持ち,だれか一人が自分勝手なことをしてはいけない

ということが,よく分かりました。 ○ 今日は,救命ボートだったけれど,日頃のことを考えれば,「よくこん

なことがあるなぁ」と思った。こんな事があっても,「相手の気持ちを考え,発言をしなきゃなぁ」と思った。

○ あまり深く考えていなくて,今日の授業を通して人権の大切さがよく分かった。これからは,相手のことを考えながら行動していきたいです。

○ 人権はあまり意識していなかったけれど,友だちを思いやっていこうと思った。

〔反応〕

○ 生徒たちは楽しく活動し,体験を通して人権の意義や重要性についての理解が深まった。また,救命ボートの活動が日常生活の様々な場面にうまく置き換えられると,今後の生活に生かしていこうとする意欲に結び付くようである。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ 生徒は楽しい雰囲気の中で授業に参加できる。体格を考えて紐の長さを調節し,窮屈さを体験させた。また,荒波の効果音の使用も緊迫感の演出には効果的だった。

○ ワークシートの2番は,楽しい雰囲気のままで考えさせると深まらないので,しっかりと意識をもたせて考えさせたい。

○ 本活動を日常生活の様々な場面に置き換え,体験を発表し合う時間を充分に確保できると,権利の主張と権利の侵害について,考えを深めさせられる。

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補助資料:進め方 年 組 番 氏名

「救命ボートの中で」

◎ 活 動

ワークシートの事例を読み,実際にその状況を再現し,考え,話し合ってみましょう。

① 5~6人一組で,グループをつくります。 ② その5~6人で円を作って座り,お互いに膝をつけます。 ③ その姿勢を崩さなければ,じっとしていてもおしゃべりしていてもかま

いません。 ④ 足が疲れてきたらグループで話し合って,足を伸ばして交互に重ねてみ ましょう。

⑤ 全員が,一番下と一番上を体験するように,交代して順番にやってみましょう。

◎ 書 く

① 一番下になったときと,一番上になったときの感想を書きましょう。 ② 円の状態を保ったまま,全員が足を重ねないですむようにするにはどう

すればよいか,自分の考えを書きましょう。 ◎ 話し合い

① 日常生活で,「救命ボート」を他のものに置き換えたとき,どのような事柄がありますか。

② この活動を通して,どのようなことに気付きましたか。発表してみまし ょう。

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ワークシート

年 組 番 氏名

「救命ボートの中で」

【活 動】

嵐の海で転覆したヨットの乗組員6人が,救命ボートに乗って救助を待っています。 直径2mの円形のゴムボートの中で,内側を向いて座っています。ボートの

中は狭く,肩と肩が触れ合ってとても窮屈です。足も伸ばせずにお互い膝を抱えて,いつ来るともしれぬ救助を待っています。同じ姿勢を長時間,保ち続けるのはかなり苦痛です。全員で足を伸ばすスペースなどありません。一人が足を伸ばせば,必ず誰かの足の上に乗ってしまいます。下手をすると複数の人の足の下敷きになります。一番下になった人はたまったものではありません。 1 感想を書きましょう。

○ 一番下になったとき

○ 一番上になったとき 2 円の状態を保ったまま,全員が足を重ねないですむようにするにはどうす

ればよいか,自分の考えを書きましょう。

3 この活動を通して気付いたことを書きましょう。

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7 聴き上手,話し上手になろう!

1 ね ら い○ コミュニケーション・スキル(話す能力,相手の話を聴く能力)を育成する。○ 相手から聴いた話の内容をグループ内の他の人に紹介する活動を通して,要領よく話をまとめて伝えるスキルを身に付けさせる。また,この活動でどれぐらい相手の話を聴けたかを確認させる。

2 学習活動の概要学級内でグループをつくり,その中で自分の思うことを相手に伝えたり,相手の話を

しっかりと聴いて,それを他の人に伝える活動を行う。まず,選んだテーマについて,2人1組になって交互に1分間ずつ話をする。その後,自分が聴いた話の内容や感じたことをグループ内に紹介する。

3 対 象 中学生・高校生

4 時 間 50分

5 準 備 ① 「いま,どんなきもち?」(大阪府人権教育研究協議会作成)※ ホームページからダウンロードして使用できます。

② ワークシート(裏面に「いま,どんなきもち?」を印刷する。)

6 学習形態 グループ(6人または8人)→ 2人1組 → グループ → 一斉

7 展 開 例過程 主な学習活動 指導上の留意点

1 本日の活動のねらいを聞く。 ○ 本日の活動のねらいをしっかりと生徒

に確認した上で活動に入る。

導 聴き上手,話し上手になろう! ※「聴く」と「聞く」の違いを伝える。

2 6人または8人のグループをつくり,○ まず,座席の順にグループをつくらせ

入 誕生日の順に向かい合って座る。 る。その後,コミュニケーションを図る

(例) 教 1 3 5 7 ことで,素早く誕生日の順に座り直すこ

卓 2 4 6 8 とができることを伝えてから移動させる。

10分

3 ワークシートの裏面にある「いま, ○ すぐには表現できない生徒もいるので,

どんなきもち?」を使って,自分の今 ワークシートを配付したら,少し時間を

の気持ちと,その理由を紹介する。 とってから誕生日の順に紹介させる。

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4 グループ内で話すテーマを,例の中 ○ 2人1組で話すときのルールを確認す

から2つ選ぶ。 る。

話 ・自分の言葉で話す。

展 【話すテーマ】(例) す ・どの程度まで話すかは自分で

・「最近,うれしかったこと」 人 決める。

開 ・「最近,感動したこと」 ・中傷や干渉をせず,最後まで

・「今,一番興味を持っていること」 聴 しっかり聴く。

・「今,一番頑張っていること」 く ・話す人が話しやすいようにう

30分 ・「今までで一番楽しいと思ったこと」 人 なずいたり,相づちをうった

・「今までで一番悲しいと思ったこと」 りしながら聴く。

5 選んだテーマについて,自分が話す ○ 1つのテーマについて1分間話すこと

内容をメモする。 ができるように内容を考えさせる。

6 グループ内で2人1組になり,先に ○ 話すことに慣れている場合は,話す時

話す方を決め,選んだテーマについて 間を増やしてもよい。

話す。 ○ 後で他者紹介をすることを伝えておく。

※ まず,1つのテーマにつき1人が 相手の話を聴くときはメモを取らないよ

1分間話し,次にもう一人が話す。 うにし,必要な場合は,お互いが話し終

同様にして,次のテーマに入る。 わった後に取るようにする。

7 グループ内で他者紹介をする。聴い ○ 聴いた話の内容を肯定的な表現で他の

た人が,自分の相手の話の内容や印象 人に伝えるようにする。

に残ったところを同じグループの他の ○ 人によって印象に残ることが異なるこ

人に紹介する。(一人につき1分間) とをあらかじめ理解させておく。

○ メモは参考にさせてもよいが,他者紹

介をするときには,グループのメンバー

を見て話すようにさせる。

ま 8 一人一人が学習を振り返り,感じた ○ 話す側と聴く側を体験してみての感想

と こと,今後,取り組んでいきたいこと や他者紹介をした感想を記入させる。

め をワークシートに記入し,発表する。 ○ 今回,学習したことをどのように生活

10分 の中に取り入れて行くかを考えさせる。

8 参 考(1) 子どもたちの感想・反応等

〔感想〕

○ 相手のことがよく分かって,聴くことも話すこともすごくおもしろかったです。自分の話も真剣に聴いてくれてうれしかったです。これからは相手の話をしっかりと聴いて,相手が話してよかったと思えるようにしたいです。

○ みんなのいろいろなことを知ることができて楽しかった。特に,意外な面を見ることができてよかったです。これからもいろんな人と話したいです。

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○ 普段あまり話さない友達とでも,話したら話がはずんだ。自分のことをちゃんと相手に伝えられた。コミュニケーションをとることは大切だと思った。

○ 実際に2人1組でスピーチを交わすことは難しいと思いました。たったの1分間だと思っていましたが,その1分がすごく長く感じました。また,相手のスピーチを1分間聴き,それをすべて覚えきるのもすごく難しかったです。

○ 友達とのおしゃべりと違って,長くしゃべらないといけないので大変でした。聴いてもらうときは,こっちを向いてくれると聴いてるんだなと思うことが分かって話しやすかったです。

○ 今日,相手の目を見て話をしたり聴いたりしていると,はずかしくなりました。だけど,一生懸命に話をしているんだなあと思ったり,聴いてくれているんだと思いました。

○ 目を見て話を聴いたら,気持ちが伝わってくると思うからいいなと思った。これからは話をするときとか,聴くときは目を見て話したい。

○ 普段は,あまり相手の目を見て聴いていないけど,この時間で目を見て聴くと,とても話がおもしろくなりました。これからは目を見ながら,相づちをして話を聴きたいと思います。

〔反応〕

中学生になると,一対一で話すことを恥ずかしいと感じる生徒が多い。そのために活動がスムーズにいかないのではないかと懸念していた。しかし,子どもたちの感想から,ほとんどの生徒が恥ずかしそうにしながらも,楽しそうに活動に取り組んでおり,この活動が相手の新たな一面の発見にもつながったことが分かった。また,日常の学校生活では,どうしても特定の友人と過ごすことが多くなり,同じ

学級にいてもほとんど話をしたことがないという生徒同士もいる。この活動はグループ編成を変えたり,テーマを変えることで,何度でも行うことが可能である。そうすることで子どもたちの仲間づくりにつながり,子ども同士のコミュニケーション能力を高めることにもつながると感じた。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ 授業の始めに,本時のねらいをしっかりと生徒に確認した上で活動に入ることが重要である。その後に誕生日順に座り直させることで,コミュニケーションを図ることの重要性を実感させる。

○ 話す人・聴く人それぞれの立場になったときの約束事を徹底させる。それにより子どもたちが,相手の立場になって話したり,聴いたりすることを守ろうとする。

○ 1分間という時間を強調して話をさせることで,話が早く終わってしまった場合でも,何とか話をつなごうとする姿勢が見られた。また,教師が時間の合図をすることで,役割を交代するときや次のテーマに移るときに活動がテンポ良く進んだ。

(3) 参考資料

○ 「いま,どんなきもち?」(大阪府人権教育研究協議会作成)

※ ホームページ http://homepage3.nifty.com/daijinkyo/

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ワークシート ( )組( )番 氏名( )

今日のテーマ 聴き上手,話し上手になろう!

【導入】 裏面にある「いま,どんなきもち?」を使って,自分の今の気持ちと,その理

由を紹介しよう!(誕生日の順に)

【活動1】

① 下の中からグループ内で話し合うテーマを2つ選ぼう!

・「最近,うれしかったこと」 ・「最近,感動したこと」

・「今,一番興味を持っていること」 ・「今,一番頑張っていること」

・「今までで一番楽しいと思ったこと」 ・「今までで一番悲しいと思ったこと」

② 選んだ2つのテーマについて,自分が話す内容と理由をメモしよう!

③ 2人1組で選んだテーマについて話してみよう! 《1つのテーマにつき一人1分間》

[メモ](ただし,話を聴くときは書かずに,後で書くようにする)

【活動2】 自分が聴いた話を,グループ全員に紹介しよう!(他者紹介) 《一人1分間》

【振り返り】 今日の授業の感想を書いてみよう!

(話す人と聴く人を体験してみての感想,今後の生活で大事にしたいことなど)

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8 ロールレタリングで自分を見つめよう

1 ね ら い

○ 対人関係のストレスを解消し,自尊感情を高める。 ○ 立場を変えて考えることにより,自分の感情を客観視し,自己を内省するとともに他者を理解し共感する心を育てる。

○ 他者への共感を今後の対人関係に生かす。

2 学習活動の概要

「ロールレタリング」とは「役割交換書簡法」とも呼ばれ,家族や友人などの立場になって自分自身と手紙を交換するというカウンセリング技法である。本活動では,まず普段抑えている誰かへの感情を手紙にして書き,時間をおいてから次はもらった立場になって返事を書く。これにより相互理解を深め,対人関係を良くすることを目標とする。

3 対 象 中学生・高校生 4 時 間 1回目30分程度,2回目40分程度(2回目は一週間程度おく) 5 準 備 便箋,封筒,感想用紙,封筒を厳封し保存するための糊や箱など 6 学習形態 学級全体 → 個人 7 展 開 例 1回目

過程 主な学習活動 指導上の留意点

導入

5 分

1 本時の目的を理解する。

(普段,抑えている感情を手紙に書く)

○ 思っていることを素直に書けるよ

うに生徒をリラックスさせる。

25 分

2 筆記用具を準備し,提示されたテーマに

ついて考える。 テーマ「○○への手紙」

※ ○○には自分が何か不満をもっている

相手や苦手な相手など,関係がうまくい

ってない人物(個人)を想定する。

3 想定した人物への不満などを正直に思い

のまま手紙に書く。

※ 周りの人と一切話をしない。

※ 書き方などは自由にする。

4 書いた手紙を封筒に入れ,記名して回収

箱に集める。

○ 相手の設定に躊躇する生徒には,

日常の些細な不満でも構わない旨を

説明して考えさせる。

○ 手紙の内容は誰にも知られないこ

とを繰り返し伝え,率直な気持ちを

そのまま書くように伝える。

○ 回収した手紙は,その場で封印す

る。

ポイント:後で返事を書くので,

できるだけ個人で想定させる。

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2回目

過程 主な学習活動 指導上の留意点

5 分

1 本時の目的を理解する。

(立場を逆にして前回の手紙に返事を書くこ

とによって,自分の感情を客観的に見つめ

るとともに,相手の気持ちを考えてみる。)

○ 「ロールレタリング」という活動

の意味を説明し,本時の目的と取り

組む心構えを理解させる。

25 分

2 返却された前回の封筒を開封し,今度は

受け取る側の立場になってその返事を書

く。「□□への手紙」(□□は自分)

※ 注意事項は1回目に同じ。

3 2つの手紙を読み返しながら,「ロールレ

タリング」で感じたことを感想用紙に記入

する。

○ その後開封されてないことを示

し,生徒に前回の手紙を返却する。

○ 3回目以降も実施の予定がある場

合は返事をまた回収する。

10 分

4 自分の感情を客観的に見つめ直すことや

相手の立場になって考えることの重要性を

再認識し,これからの仲間づくりに生かし

ていく。

・ 指導者がこの活動のねらいを振り

返り,今後の対人関係に生かしてほ

しいポイントを確認する。

8 参 考

(1) 子どもたちの感想・反応等

○ 自分が悩んでいることが,そのときは一生懸命だったのが,時間が過ぎて考えるとしょうもなく思えてきた。そのとき届かなかった言葉も,今ではすんなり自分に届くと思う。手紙を書いているときに,沢山の解決方法というのはあって,自分をどれだけ見失わずに毎日を過ごし,めげずにやれるかが大事だなと思った。

○ 今まで溜まっていたことを全部手紙に書けたのでよかった。返事を書くときは(相手はこんなこと思っているのかな?)と思いながら書きました。すると相手の思っていそうなことがすぐに思い付きました。相手に対して書いた手紙も自分に当てはまることが全部でした。

○ 初めてこんな風に紙に今までの気持ちをぶつけて,ストレスが解消された気がした。自分が書いた手紙を相手の立場になって返事を書いただけで,すごく人の見方が変わり驚いた。本当にやってよかったと思う。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ 生徒たちが本音を率直に手紙にすることが重要なので,手紙の内容については完全に秘密にすることを強調して信頼を得るようにする。

○ 後に返事を書くことを意識すると,最初の手紙に本音が出しにくいので,1回目は目的をストレス解消とだけ説明した方が展開しやすい。

○ 時間的な余裕があれば,さらに返事を書いて活動を継続させたり,活動を通して感じたことを出し合って,話合いをさせたりしてもよい。

ポイント:時間をかけてもいいの

で,相手の立場になって考えさせ

る。

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9 言葉の力(「ひとこと」を考える)

1 ね ら い

○ 自分と他の人の体験を交流させることにより,自尊感情を高めるとともに他者への共感や他者を尊重する心をはぐくむ。

○ 一つの言葉の背景や影響力について,意見をまとめたり交換したりすることで,言葉の使い方について考え,今後の人間関係づくりに生かしていく。

2 学習活動の概要

一つの言葉についての体験をグループ内で語り合い,言葉の持つ影響力やその言葉の背景にあるものについて考えていく。その後,全体でも意見交換を行いながら言葉の力について考え,これからの人間関係づくりに生かしていく。

3 対 象 中学生・高校生 4 時 間 50分 5 準 備 ワークシート 6 学習形態 学級全体 → グループ(3~6名程度)→ 一斉 7 展 開 例

過程 主な学習活動 指導上の留意点

15 分

1 詩「ひとこと」を読む。

2 この活動のねらいを理解し,自分の経験し

た「ひとこと」について考える。

3 これまでの体験や気持ちを各自でワーク

シートに記入する。

○ 詩の朗読は指導者でも生徒で

も構わないが,できるだけ共感が

湧くように読み方を工夫する。

25 分

4 3~6名程度のグループをつくり,代表者

(記録者)と発表順を決める。

5 各自がワークシートに記入した内容をグ

ループ内で発表する。

6 全員の発表を聞いたら,グループで話し合

いたい「ひとこと」を一つ選ぶ。

※最も共感者が多かった「ひとこと」など。

7 選んだ「ひとこと」について考えながら,

グループで言葉のもつ影響力やその言葉の

背景について自由に話し合う。

ポイント:自己紹介を応用したア

イスブレーキングを行うなど工

夫してもよい。※8(2)参照

ポイント:発表が苦手な生徒には

指導者がフォローをするなど,話

合いがスムーズにいくよう配慮

する。

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10 分

8 グループの代表者は選んだ「ひとこと」を

紹介し,話し合った内容を発表する。

9 発表内容を全員で話し合いながら授業を

振り返り,今回の授業を今後どのように生か

していけばよいか考える。

10 この授業で考えたことや感想を各自でワ

ークシートにまとめる。

○ 各グループの発表を板書して

意見や感想を促すことにより,

全員でグループ討論の結果を共

有する。

8 参 考 (1) 子どもたちの感想・反応等

○ 授業を受けて,今まで自分の言った言葉を一回でもいいから振り返ってみようと 思った。これからは言葉一つ一つに気を付けて,人を傷付けないようにします。何 かの発言で誰が傷付くか分からない,言葉の力ってすごいと思いました。 ○ 授業の最初の方は「なぜ,こんなことをするんだろう。」と思っていたけど,やる意味が徐々に分かった。これからは言葉のもつ意味を考えていきたい。

○ 言葉の力は,小さかったり大きかったり,良かったり悪かったり,どんなものにも形を変えます。何気なく言った一言が人を元気にしたり,追い詰めたりします。これからはもっと考えて言葉を遣っていきたいです。

(2) 授業に当たっての留意点・アドバイス

○ 自分の体験を話すのは多少なりとも勇気のいることなので,クラスの雰囲気などを十分に考慮して,グループ構成やアイスブレーキングを行った方が良い。アイスブレーキングとしては,ゲーム的な自己紹介(ネームチェーン〔P49 参照〕など)が簡単に行える。

○ 具体的な結論が出るテーマではないので,生徒たちが言葉というものを考えるきっかけとしてこの授業を位置付けて,指導者は無理にまとめようとしない方がよい。

(3) 参考図書

○ 「ひとこと」藤田久子詩集『二つの木の実』(けやき書房)

ポイント:できるだけ自由な発言

を促す。

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言葉の力 ワークシート

「ひとこと」

いえばよかった ひとこと かなしみを浴びた ひとこと

いわねばならぬ ひとこと はきすてるような ひとこと

いいそびれた ひとこと

いってはならぬ ひとこと たったひとつの さりげない言葉が

人の心を まどわせ

さまざまな 思いをひめた 絶望の淵に立たせる

大切な言葉の ひとつひとつを 魔術のような言葉の綾に

胸につみ重ねて 生きてゆくには とまどう わたし

あまりにも

わたしの心は 小さすぎます 言葉を消す 消しゴムはない

という ひとことが

グサリと 心に刺さったひとこと クローズアップされ

やさしく つつんでくれた ひとこと 心に残ります

1 あなたが覚えている「ひとこと」を考えてみよう。 ① 詩中の下線部から一つの「ひとこと」を選び,その言葉を書いてみよう。

ひとこと ⇒

② この言葉に関して,思い出す場面やそのときの気持ちを説明してみよう。

2 それぞれの「ひとこと」についてグループで話し合ってみよう。 ① グループで選んだのはどんな言葉?

ひとこと ⇒

② 「ひとこと」のもつ力やその言葉の背景について,グループで話し合ってみよう。

3 言葉の力について考えたことや授業の感想を書いてみよう。

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1 ね ら い ○ 私たちが生活する中でのおかしさを見つけ,自らが自発的に障壁を取り除く解決方法を探る。

○ だれもが相互に人格と個性を尊重し,支え合う「共生社会」の実現を目指すために「バリアフリー」の意味を理解する。

2 学習活動の概要

様々な障壁によって,特定の人が社会資源を利用できず,社会参加できない状況を改善し,より充実した社会制度や環境整備が行われていくことで,だれもが相互に人格と個性を尊重し,支え合う「共生社会」が実現されていくことを学習する。

3 対 象 中学生・高校生 4 時 間 50分 5 準 備 拡大した資料1・2,付箋紙,筆記具 6 学習形態 個人 → グループ(5~6人)→ 一斉 7 展 開 例

過程 学習内容及び学習活動 指導上の留意事項

5分

1 アイスブレーキングにより,グループ

をつくる。(5~6人)

2 本時のテーマ「バリアフリー」とは,

どのような街か考える。

○ 架空の航空券の座席票を配り,5人

程度のグループに分ける。

○ 各班に(資料1)を拡大したものを

配布する。

30 分

3 配布された(資料1)を基に各班で絵

の中の街について考えられる生活する

上で困る場所を話し合い,付箋で印を付

けながら改善する方法を探る。

○ 資料中の?印等のヒントを活用す

るようにアドバイスを適宜行う。

10 バリアフリー

ポイント:上下関係を意識させな

い分け方を工夫する。

ポイント:グループごとに駅・道

路・建物等に分けて,考えるよう

に指示を与えてもよい。

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8 参 考 (1) 子どもたちの感想・反応

○ 自分の住んでいる街も意外と住みやすい街だと思った。 ○ 自分の気付いた部分と,グループの他の人が気付いた部分が,全く違っていて驚いた。

○ 自分たちが気付かないことで,きつい思いをしている人がたくさんいることを知って良かった。もっと僕が,きつい思いをしていることも気付いて欲しい。

(2) 留意点・アドバイス

○ 自分たちが生活する中でのおかしさを見つけ,自らが自発的に障壁を取り除く解決方法を探れるような授業展開をする。

○ 「総合的な学習の時間」等を利用して,実際に学校周辺の道路や建物を見て歩き,自分たちの街にも興味・関心が向けられるように工夫すると,より理解ができる。また,生活雑貨などのユニバーサルデザインを例にすることもできる。

(3) 参考図書

○ 障害を知る本①「障害と私たちの社会」 大月書店発行

30 分

4 それぞれのグループが考えた意見を

発表する。

5 (資料2)を配付し,自分たちの付箋

の確認と気付かなかった部分について

お互いに確認をする。

○ 様々な気付きを認めながら意見を

集約していく。

○ どんな場所が気付きにくいのかを

確認する。

15 分

6 自分たちの「学級」は,バリアフリー

か考える。

○ お互いの人格と個性が大事にされ

る「学級」になっているか確認する。

ポイント:様々な状況の人たちが

いることを知ることと,どんな気

持ちで生活しているか,思いをめ

ぐらして考えることの大切さに気

付くようにする。

ポイント:学級や個人に対する不満

や我慢していたことなども出てく

ることが予想される。話合いが,形

式的・批判的にならないように,な

ぜそう思ったのか,生徒の内面を十

分引き出せるようにする。

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(資料1)

(資料2)

(障害を知る本①「障害と私たちの社会」 大月書店発行)

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~ 参 考 資 料 ~

参加型学習を進めるに当たっては…

ここでは,いくつかのアイスブレーキングとアクティビティ

の実践例を紹介します。

「とりあえず,ワークショップで何かをやってみたい」とい

う気持ちが先行すると,本末転倒になることもあります。職員

研修や授業の目的に応じて,内容や方法に工夫を凝らし,計画

を立てて取り組みましょう。

ぶれない視点で

みんなで

ゴールをめざそう

失敗しても

それは次の

エネルギーへ…

大切なことは

達成感を

得られること

大切なことは

想像する心

イメージする心

参加者みんなが

対等な関係で…

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アイスブレーキングの実践例-①

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐし,誰とでも気軽に言葉を交わせる雰

囲気をつくる。

2 準備するものストップウォッチ

3 活動の流れ

参加者に自由に座ってもらい,活動の進め方について説明する。

・ 自己紹介を兼ねたじゃんけんゲームをします。皆さんには,自由に相手を

見つけてじゃんけんをしてもらいます。

・ 勝った人から,「名前」「今の気分」「好きな色」を相手に伝えます。負けた

人は,勝った人が言った後に,同じように伝えます。

※ 内容は実態に応じて変更する。学級で行う場合は,活動の時間に呼ん

でほしい名前(ゲームネーム)にするのも効果的です。

・ お互いの紹介が済んだら,新しい相手を見つけてじゃんけんをします。

・ できるだけ多くの人とじゃんけんをしましょう。勝った回数は覚えておい

てください。制限時間は3分です。さあ始めましょう。

スタートの合図を行い,3分間計測する。 終わりの合図を行う。 勝った回数を確認し,多かった人に拍手をする。 参加者に感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項勝ち負けを強調しすぎないように配慮し,最後に自分の周囲の人に「ありがとう」

と声をかけて,場所を移動するように働きかけてもよい。

じゃんけん自己紹介

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アイスブレーキングの実践例-②

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐし,活動を通してお互いの名前を覚え,

誰とでも気軽に言葉を交わせる雰囲気をつくる。

2 準備するものボールやぬいぐるみなどの柔らかいもので,投げて当たっても痛くないもの。

3 活動の流れ(1グループは8人~10人)

参加者に円形に座ってもらい,活動の進め方について説明する。

・ 始めるのは誰からでもかまいません。一人ずつ,自分が呼ばれたい呼び名(以

降:「ゲームネーム」)をみんなに言います。

・ 全員が言い終わったら,「みんな,お互いの名前を覚えましたか?」と確認し

てください。この段階で覚えることができたらすごいですね!

・ 最初に投げるものを持っている人が,誰にでもかまいませんから,その人の

ゲームネームで「○○さん」と呼びかけて,さらに「●●です」と,自分のゲ

ームネームを言い,○○さんにボールをやさしく投げて渡してください。

・ ボールをもらった人は,投げてくれた人に「●●さん,ありがとう」と,お

礼を言って別の人に,同じようにボールを渡します。これをどんどん,繰り返

していきます。

・ やり方が分かってペースがつかめたら,ボールの数を増やしていきましょう。

・ 投げたい人がいるのだけれど,その人の名前が分からない。そういう場合は

どうしますか?その人を見て,態度で訴えてください。

・ では,始めましょう!

スタートの合図を行い,状況をみながら,グループにボールを追加する。 状況に応じて,終わりの合図を行う。 グループでお互いのゲームネームを覚えたか確認させる。 グループで感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項 投げられるものについては安全性の高いものにする。 参加者の発達段階に応じて,投げ方について事前指導を行った方がよい。

(例)…優しく投げる。相手が取りやすいように投げる。 実際の名前を覚えた方がいい場合は,ゲームネームでなくてもよい。

ネ ー ム ト ス

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アイスブレーキングの実践例-③

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐし,活動を通してお互いの名前を覚え,

誰とでも気軽に言葉を交わせる雰囲気をつくる。

2 準備するもの特になし。

3 活動の流れ(1グループは7~8人)

参加者に円形に座ってもらい,活動の進め方について説明する。

・ まず,最初の人が名前を言って,自己紹介します。

・ 次の人は,前の人の名前を言ってから,自己紹介をします。「○○さんの隣の

●●です。」

・ その次の人は,一番目の人と二番目の人の名前をいってから,自己紹介をし

ます。「○○さんの隣の●●さんの隣の△△です。」

・ このようにして,前の人の名前をすべて言ってから,自分の自己紹介をしま

す。

・ 何分で全員の名前を言えるようになるでしょうか。名前を言えるようになっ

たグループは,ゲームをやめて報告してください。

・ さあ,始めましょう。

スタートの合図を行う。 名前を言えるようになったグループの報告を受ける。 状況に応じて終わりの合図を行う。 グループでお互いの名前を覚えたか確認させる。 グループで感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項 名前を忘れたときは,お互いに教え合うようにする。 状況に応じて,自分が呼ばれたい呼び名(ゲームネーム)にしたり,好きな食べ物等を紹介内容に加えたりして行うのもよい。

ネームチェーン(積み上げ式自己紹介)

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アイスブレーキングの実践例-④

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐしながら,互いに理解し合おうとする

活動を体験し,積極的に研修に参加できる雰囲気をつくる。

2 準備するものストップウォッチ

3 活動の流れ

参加者に活動の進め方について説明する。

・ 私たちは言葉を使ってコミュニケーションをしています。しかし,言葉を使

わなければ,コミュニケーションは成り立たないのでしょうか。

・ 今日は,まず最初に,言葉を使わないコミュニケーションを体験していただ

きます。どのようになるでしょうか。

・ これから,誕生日の早い順に一列に並んでいただきます。先頭は1月で,12

月が後ろになります。偶然誕生日が同じだった場合には,お互いに判断して前

後を決めてください。

・ 私が「始め」と言ってから「終わり」と言うまで,一言もしゃべってはいけ

ません。言葉を使わずに並ぶことができるのでしょうか。もし,できるとすれ

ばどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

・ それでは始めましょう。

スタートの合図を行う。 全員が並び終わるまでの時間を計る。 全員が並び終わったら「終わり」の合図を行う。 順番通りに並ぶことができたか,1人ずつ誕生日を言ってもらう。間違えがあれば,その場で並びを修正する。誕生日が同じ人がいれば,並び方の前後を決めた理由を聞いてみるのもよい。 かかった時間を発表し,参加者に隣同士で感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項 楽しくゲーム感覚で取り組んでもらえるように声かけをする。 名前の五十音順に並び替えをするのもよい。

バースデーライン

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アイスブレーキングの実践例-⑤

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐし,積極的に研修に参加できる雰囲気

をつくる。

2 準備するもの特になし。

3 活動の流れ

参加者に活動の進め方について説明する。

・ みんなで,円になります。

・ 左手を,手のひらを上にして,隣の人の斜め前に出します。右手は人差し指

を下に向けて立て,右隣の人が出した左手の上に置きます。

・ 私が「キャッチ!」と言ったら,右手はつかまらないように素早く上に上げ

て,左手は隣の人の指をつかむように素早くつかまえます。

・ 試しにやってみましょう「キャッチ!」

・ どうでしたか? では,手を変えてやってみましょう。

右手の手のひらを上にしてしてください。左手の人差し指を立てて置いてく

ださい。

「キャッチ」

上記の流れで繰り返し行う。 ある程度繰り返したら終わる。 すべてつかまえた人,逃げられた人について確認等を行う。 参加者に小グループで感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項 楽しくゲーム感覚で取り組んでもらえるように声かけをする。 安全面への配慮も指導しておく。 「キャベツ」や「キャット」など,「キャッチ」と似た言葉を入れると,さらに盛り上がる。

キャッチ キャッチ キャッチ

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アイスブレーキングの実践例-⑥

1 ねらい人権学習の導入として参加者の緊張をほぐし,積極的に研修に参加できる雰囲気

をつくる。

2 準備するものストップウォッチ

3 活動の流れ

参加者に活動の進め方について説明する。

・ 今から1分を計ってもらいます。但し,時計を見てはいけません。

目を閉じてください。

・ 私が「はい」と言ったときから,ちょうど1分だと思うときに,黙って手を

上げてください。私が「いいです」と言うまで,目を閉じていてください。

・ それでは始めます。「はい」

スタートの合図を行う。 誰が一番1分に近いか観察しながら,1分30秒位で終了する。 一番近かった人を紹介する。 参加者に小グループで感想を話し合わさせ,数人から感想を聞く。

4 配慮事項 一番近かった人の感想も紹介するとよい。 繰り返し行った後,設定時間を変更して行うのもよい。

1分を計りましょう

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《アクティビティの実践例-①》

「喜怒哀楽 ~言葉について考える~」

1 ね ら い 言葉の使い方について考え,互いに過ごしやすい「集団(学級)」に

していくにはどういうことが必要なのかを考える。

2 対 象 中・高校生,一般

3 時間の目安 40~50分

4 資料・準備等 グループ数の水性マーカー,模造紙,付箋紙

5 形 態 グループ(5~6人) → 一斉

6 進 め 方 言葉は,聴いてくれる人がいるから生まれます。私たちが話をする

ときは,常に言葉を受け取る人の立場に自分をおいて,「話すことので

きる力」をはぐくむことが大切ではないでしょうか。 段 階 主 な 活 動

導 入

展 開

ま と め

1 ウォーミングアップ(グループづくり)

* 進行役1名,記録役1名を選出

2 今まで,人から言われてうれしかった言葉や言われたい言葉にはどんな

言葉があるか,一人5枚ずつ付箋紙に書き出す。

◇ 5つないときは,思いついただけでよい。

◇ 言葉だけでなく,態度でもよい。

◇ 自分のことを書き出すので,他の人に強要したり,個人攻撃をしたりし

ないことを始めに約束する。

3 書き出した言葉について,それぞれ1人1分以内で理由を説明する。

4 進行役を中心に「言われてうれしかった言葉」,「言われたい言葉」につ

いて,共通する項目を考えて分類する。話し合った内容は,模造紙にまと

める。

◇ それぞれの身近な状況や話題等から感じていることをたくさん出して

もらう。「それはおかしい」「間違っている」などといったコメントは控え

るが,それぞれの発表については自由に意見を出し合う。

5 各グループの模造紙を黒板に貼り,話し合ったことを発表(各2分以内)

する。時間があれば,意見交換をする。

6 まとめをする。

参考図書:「人権教育ファシリテーター・ハンドブック/基本編」角田尚子・ERIC国際理解教育センター

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《アクティビティの実践例-②》

「募集・応募書類に学ぶ ~人権のフィルターを~」

1 ね ら い 就職時の募集・応募書類を通して,差別につながるものは何かとい

うことについて考え,一人一人が互いを認め合う社会にしていくため

には,どういうことが必要なのかを考える。

2 対 象 中・高校生,一般

3 時間の目安 40~50分

4 資料・準備等 募集・応募書類の見本(及び拡大版),付箋紙

5 形 態 グループ(5~6人) → 一斉

6 進 め 方 「全国高等学校統一用紙」制定への取組を,これまでの人権教育の

学習の積み重ねと位置付けるとともに,改めて,募集・応募書類につ

いての学習をすることを通して,「差別を見抜き,差別をしない,差別

を許さない生き方へつないでいく」力をはぐくみます。(状況により,社

用紙を使っても構わない。社用紙は,進路保障関係の書籍等を参考にする。) 段 階 主 な 活 動

導 入

展 開

ま と め

1 ウォーミングアップ(グループづくり)

* 進行役1名,記録役1名を選出

2 全国高等学校統一用紙(履歴書・調査書)が制定される前まで使用され

ていた,会社独自の応募用紙(社用紙《例》)を見て,自分なりに気付いた

ことや,疑問に思ったことを考えてみる。また,付箋紙を活用し疑問に思

った場所に,その内容を記入する。

◇ 思いつくままに気になったことや気が付いたことを書き出す。

◇ 付箋の利用は何枚でもよい。

◇ 自分の意見として書き出すので,他の人の意見を否定したり,批判した

りしないようにする。

3 付箋を貼った理由について,それぞれ1人1分以内で理由を説明する。

4 進行役を中心にどこに問題があるのか,それはどのような点なのかにつ

いて話し合う。話し合った内容は,拡大した社用紙にまとめる。

◇ それぞれが感じていることをたくさん出してもらう。「それはおかしい」

「間違っている」などといったコメントは控えるが,それぞれの発表につ

いては自由に意見を出し合う。

5 各グループの拡大した社用紙を黒板に貼り,話し合ったことを発表(各

2分以内)する。時間があれば,意見交換をする。

6 まとめをする。

※ 全国高等学校統一用紙については,平成 22 年度人権教育資料「なくそう差別 築こう明るい社会」を参照。

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《アクティビティの実践例-③》

「お母さんの仕事」(男女共同参画社会)

1 ね ら い 性別による固定的な役割分担について考える活動を通して,男女共

同参画社会の実現に向けて,男女がそれぞれの人権を尊重する態度を

はぐくむととともに,男女平等意識の大切さに気付く。

2 対 象 中・高校生,一般

3 時間の目安 40~50分

4 資料・準備等 ①シート1「お母さんの仕事」

②シート2「職業に関するチェックシート ~思い浮かぶのは~」

③付箋紙

5 形 態 個人 → グループ → 一斉

6 進 め 方 女性が,ある分野の仕事に就くことが制限される原因について考え

ます。

また,別紙の話をもとにお姉さんがお母さんの仕事を否定的に見て

いるのはなぜか,みんなで考えてみましょう。 段 階 主 な 活 動

導 入

展 開

ま と め

1 ウォーミングアップ(グループづくり)

* 進行役1名,記録役1名を選出

2 女性の割合が極端に少ないと思われる職業を考えて,カードに書き出す。

3 グループになって,自分たちのカードをもとに,性別による偏りがみら

れる原因について考える。

◇ 仕事の向き,不向きはどのような基準によって決められているか。

◇ その基準は,どんな根拠に基づくものかに留意しながら話し合う。

4 お姉さんが,お母さんの仕事を肯定できないと考える原因について,グ

ループで考える。

5 職業に関するチェックシートを使って,職業名を聞いて思い浮かぶ,身

近な人や有名人等を記入する。

◇ 特定の分野で女性が少ないことは,性別による職業の偏りを生み出す一

因になることに留意し,意見交換をする。

6 まとめをする。

参考図書:「気づく・学ぶ・広げる 人権学習/人権教育指導者用手引き」和歌山県教育委員会

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シート1

「お母さんは,タンクローリーの運転手」

僕のお母さんは,タンクローリーの運転手をしています。 お母さんは,車の運転が好きで大型免許を取り,主に工場に薬品

を運搬している運送会社に勤めています。 僕は,お母さんが大きな車の運転手をしていることを,友達に「か

っこいい」と自慢していますが,中学生のお姉ちゃんは,お母さん

が男性ばかりの職場で働いていることを,あまりうれしく感じてい

ないようです。 ある日,お母さんが運搬している途中,薬品に触れて,やけどを

してしまいました。お母さんのけがは軽症ですみましたが,お姉さ

んは,けがをしたお母さんに,仕事をやめるようお願いしました。

「男の人がする仕事を,どうしてお母さんは好きこのんでしてい

るの。おかしいじゃない。危ないからやめて欲しい。」 「あのね,由美子。お母さんは,この仕事が好きなの。男の人で

も,時々,けがをすることがあるのよ。それは,どの仕事でも同じ

なの。お母さんは,男も女も同じ仕事をするのがいいと思っている

の。私はこの仕事が好きなの。力だって男の人に負けないから。」 あくる日,お母さんはいつもと同じように,朝早くから仕事に出

かけていきました。お母さんが,けがをするのは心配だけど,毎日

元気にがんばるお母さんが大好きです。

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シート2

「思い浮かぶのは女性?男性?」

※ 次の職業名を聞いて,思い浮かぶのは女性?男性?どっちでしょう。

パイロット

( )

弁 護 士

( )

看 護 師

( )

栄 養 士

( )

伝統工芸の職人

( )

小 説 家

( )

コンピュータ エンジニア

( )

気象予報士

( )

パン屋さん

( )

植木職人

( )

ケーキ屋さん

( )

銀 行 員

( )

教 師

( )

消 防 士

( )

警 察 官

( )

スポーツ

トレーナー ( )

画 家

( )

花屋さん

( )

車の整備士

( )

医 師

( )

トラックの

運転手 ( )

ガーデニング

デザイナー ( )

写 真 家

( )

板前さん

( )

バレエダンサー

( )

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《アクティビティの実践例-④》

「権利の熱気球」(いろいろな価値に気付く)

1 ね ら い 自分が必要とする権利でも,その人の立場や考え方で順位付けが異

なることに気付くとともに,それを認め合うことが大切であることを

知る。

2 対 象 小学校高学年 ~ 一般

3 時間の目安 30分

4 資料・準備等 ①シート1「私たちの権利のリスト」

②シート2「私たちにとってどれが大切?」

③10個の権利を乗せた熱気球のイラスト

5 形 態 グループ(5~6人) → 一斉

6 進 め 方 熱気球には,10個の「権利」が乗せられています。突然,熱気球

の高度が下がり始めました。下降を止めるためには,権利を外に捨て

て,熱気球を軽くしなければなりません。どの権利から捨てるか,最

後まで残す権利は何かを考えてみましょう。 段 階 主 な 活 動

導 入

展 開

ま と め

1 ウォーミングアップ(グループづくり)

* 進行役1名,記録役1名を選出

2 シート1を読み,放棄してもよい権利と長く持っていたい権利について

考え,順位を記入する。

(最初に投げ捨てる権利を10,最後まで残しておく権利を1とする。)

3 シート2に記入し,グループ内(学級内)で意見交換をし,気付いたこ

とや感想を発表する。

◇ 司会者が各グループの進行

① それぞれ資料に順番を付けてもらう。(5分程度)

② 各自,自分の付けた順番とその理由を簡単に発表してもらう。

③ それぞれの違いについて,意見交換をし合う。

* 結論をまとめる必要はない。

◇ ファシリテーターの役割

① 自分の担当するグループを巡回し,必要に応じて参考意見等(答えでは

なく,自分だったら・・・)を言う。

② お互いの思いがちがうことを大切にする。

* 答えは必要ではない。この話合いで何を感じたかが大切であること

を押さえる。

4 まとめをする。

参考図書:「人権教育ファシリテーター・ハンドブック/基本編」角田尚子・ERIC国際理解教育センター

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シート1 ランキングカード

「権利の熱気球」で大切にしたいこと

熱気球には,10個の「権利」が乗せられています。突然,熱気球の高度が下がり始めま

した。下降を止めるためには,権利を外に捨てて,熱気球を軽くしなければなりません。ど

の権利から捨てるか,最後まで残す権利は何かを考えてみましょう。

自分だけの空間を

持つ権利

きれいな空気を

吸う権利

お金を自由に

使う権利

人を愛し

人から愛される権利

職場で楽しく

過ごす権利

みんなと

異なっていることを

認められる権利

家族と楽しむ権利

十分な食べ物と

きれいな水を

与えられる権利

自由な時間を

もつ権利

話を聞いてもらう

権利

※ 捨てる順番に10,9,8,・・・・2,1と数字を入れましょう。

参考図書:「ワークショップ「気づき」から「行動」へ」

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シート2

「わたしたちにとって,どれが大切か?」

※ 捨てる順番に10,9,8,・・・・2,1と数字を入れましょう。

権利 \ 名前

自分だけの空間

きれいな空気

お金を自由に使う

愛し愛される

職場で楽しく

異なっていること

家族と楽しむ

十分な食べ物と水

自由な時間をもつ

話を聞いてもらう

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表紙絵

平成21年度「人権に関するポスターコンクール」(小学校高学年の部 最優秀賞受賞作品)

中種子町立油久小学校 5年 秋田 優衣 さん

人権教育指導資料作成編集委員

南 九 州 市 立 川 辺 小 学 校 教諭 山田 健一いちき串木野市立市来小学校 教諭 京田 隆志出 水 市 立 荘 小 学 校 教諭 中村 弘姶 良 町 立 建 昌 小 学 校 教諭 重久 由美子薩摩川内市立入来中学校 教諭 川尻 友美伊 佐 市 立 大 口 中 学 校 教諭 三嶋 正登県 立 出 水 工 業 高 等 学 校 教諭 竹下 篤哉県 立 有 明 高 等 学 校 教諭 古澤 庸

人権教育指導資料 実践例集 仲間づくり《参加型学習編》

平成22年(2010年)鹿児島県教育庁人権同和教育課

〒890-8577 鹿児島市鴨池新町10番1号