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資源開発環境調査 イラン・イスラム共和国 Jomhoori e Islami e Iran (Islamic Republic of Iran)

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資源開発環境調査

イラン・イスラム共和国

Jomhoori e Islami e Iran

(Islamic Republic of Iran)

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目 次

第 1 部 資源開発環境調査

1. 一般事情································································1

2. 政治・経済概要 ··························································1

3. 鉱業概要································································2

4. 鉱業行政································································7

5. 鉱業関係機関 ··························································· 10

6. 投資環境······························································· 13

7. 地質・鉱床概要 ························································· 18

8. 鉱山概要······························································· 22

9. 新規鉱山開発状況 ······················································· 28

10. 探査状況······························································ 28

11. 製錬所概要 ···························································· 29

12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況 ························ 34

第 2 部 地質解析

1. 地質・地質構造 ························································· 35

2. 鉱床··································································· 40

3. 鉱床胚胎有望地域 ······················································· 52

資料······································································ 54

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- 1 - イラン

第 1 部 資源開発環境調査

1. 一般事情

1-1. 面積 1,648,195 ㎢

1-2. 人口 6,490 万人(02 年 3 月 イラン中銀発表)

1-3. 首都 テヘラン

1-4. 人種 ペルシャ人(アゼリ系トルコ人、クルド人、アラブ人等)

1-5. 公用語 ペルシャ語、トルコ語、クルド語等

1-6. 宗教 イスラム教(主にシーア派)、キリスト教、ユダヤ教、

ゾロアスター教

1-7. 地勢等

アケネス朝ペルシャ(紀元前 5 世紀)、ササン朝ペルシャ(紀元 3 世紀)時代には大版

図を築く。その後、アラブ、モンゴル、トルコ等の異民族支配を受けつつもペルシャ人と

してのアイデンティティーを保持し、1925 年パフラヴィ(パーレビ)朝が成立。1979 年、

ホメイニ師の指導の下成就したイスラム革命により現体制となる。イラン・イラク紛争(80

~90 年)及びホメイニ師逝去後、89 年にハメネイ大統領が最高指導者に選出され、ラフ

サンジャニ政権(2 期 8 年)を経て、97 年にハタミ政権が発足。01 年第 2 次ハタミ政権が

発足

2. 政治・経済概要

2-1. 政体 イスラム共和制

2-2. 元首 セイエド・アリー・ハメネイ師

2-3. 議会 一院制任期4年 定数 290 名

(議長:ゴラムレザー・ハッダー・アーデル)

2-4. 政治概況

89 年ホメネイ師死去。翌日専門家会議においてハメネイ大統領が最高指導者に選出。89

年 7 月憲法改正、国民投票により承認。同日の第5期大統領選挙でラフサンジャニ氏が当

選、8 月にはラフサンジャニ内閣が発足した。00 年には第 6 期国会選挙改革派が圧勝し、

5 月には改革派が過半数をを閉める第6期国会が発足された。2001 年第8期大統領選では

ハタミ師が前回を上回る得票数を獲得し、第2次ハタミ内閣発足。2003 年第2回地方評議

会選挙では前国主要都市で保守派が圧勝。2004 年第7期国会選挙では、保守派が圧勝して

いた。

2-5. 主要産業 石油関連産業

2-6.GNP 1,022 億ドル 一人当たり 1,650 ドル(00 年)

2-7.通貨 イラン・リアル(IRR)

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2-8.為替レート 1US$=8,853IRR(2005/02 現在)

年末 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年

1US$= 1,752.29 2,262.93 1,750.95 7,951.98 8,272.11

(International Financial Statistics 2004)

2-9. 貿易(02~03 年)

輸出 281.9 億ドル:原油

輸入 237.9 億ドル:機械、食糧、鉄鋼、車両

対日貿易(単位:百万ドル)

94 年 95 年 96 年 97 年 98 年 99 年 00 年 01 年

輸出額 2,758 2,820 3,216 3,556 2,441 3,161 5,353 5,018

貿易品 原油(51.4 万 B/D)

輸入額 911 660 713 885 850 571 572 793

貿易品 機械類、金属品、自動車、化学品

2-10. 経済概況

イランは世界第5位の石油・世界第2位の天然ガスの埋蔵量を有する有数の産油国である。

民間資本は商業が中心であるが、農畜産業も盛んで食糧自給率が約 70%を占めている。

イランはその経済政策として、原油モノカルチャー経済から脱却、市場経済体制への以

降を目的とした構造調整政策を推進しており、2000 年 4 月より第3次5ヵ年計画(~2005

年)を実施中である。2002 年には新外国投資法が成立し、同年 10 月には同法施行法令が

公布された。

米国は 1995 年の大統領令で米企業によるイランとの取引禁止にし、1996 年にイラン向

け石油・ガス開発投資を行った外国企業に対し制裁を課す「対イラン・リビア」制裁法

(ILSA)を成立させ、対イラン経済制裁を実施してきている。2001 年 8 月には同法は 5 年間

延長された(但し、2 年後に行政府は見直し勧告を行うことができる)。

3. 鉱業概要

イランは石油・天然ガスなどの炭化水素系資源のみならず、ベースメタル、レアメタル

および工業用鉱物資源にも富んでおり、旧来のモノカルチャー的な経済構造からの脱却を

目指してエネルギー分野以外での鉱業活動の拡大が進められている。ちなみに、1998 年~

2000 年の間における金属鉱物資源の生産量は表 D-2 に示したように、銅鉱、鉛・亜鉛鉱、

製鉱およびクロム鉱が主要な鉱種であり、なかには若干の生産減が見られるものの、おお

むね安定した生産を維持している。

非金属鉱物資源ではカオリン、岩塩、石膏、石灰石などに恵まれており、いずれも生産

量の増加が認められる。

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1960 年頃までのイランの鉱業は石油鉱業を主としたものであって、鉱業開発の意欲の大

部分も石油の開発に向けられていた。事実、石油開発はイラン石油公社(NIOC:National

Iranian Oil Company)を中心として活発に行われていた。一方で、石油以外の鉱産資源

の開発は近代的な地質学を取り入れて行われることもなく、旧来の幼稚な方法によって数

種の鉱物を採掘するに止まっていた。イランでは、極めて古い時代からブロンズ、鉛、鉄、

トルコ石などが使われていた事実はあるが、それらいわゆる狸掘りで得られていた鉱石に

過ぎなかった。1959 年以降、国連の援助を得て地質調査所が創設され、諸外国の専門家の

指導を得て、それをもとに近代的地質学を駆使する鉱物資源の開発が始められた。その後、

鉱物資源の開発調査は極めて目覚しく、Sar Cheshmeh 銅鉱山や Angouran 鉛・亜鉛鉱山な

ど世界的規模の鉱床を初めとして数多くの有望な鉱床が開発されてきた。

しかしながら、イラン・イスラム革命の前から鉱産物の生産量が減少し始め、Sar

Cheshmeh 鉱山の開発が始まったにも拘らず、革命に続くイラン・イラク戦争により鉱物資

源の開発は停滞していた。

イラン・イラク戦争後は、ラフサンジャニ大統領やハタミ大統領による脱石油経済への

取り組みにより、鉱物資源の生産は徐々に拡大している。

3-1. 鉱産品目別生産量

第 3-1 図にイランにおける主要な鉱物資源生産量の推移を示す。

第 3-1 図 イランの鉱物資源生産量の推移(出典:World Metal Statistics)

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第 3-1 表に、エネルギー資源も含む鉱産物の品目・年次別生産量を示す

第 3-1 表 イランのエネルギー・鉱物資源の生産量

Commodity 1998 1999 2000

Crude oil 193,000 191,700 193,300

Natural gas(bill,㎥) 50 51 57

Hard coal 1,810 1,820 1,815

Iron ore 12,300 12,400 12,370

Copper ore 14,500 14,400 14,500

Manganese ore 190 205 160

Chromite ore 860 850 760

Lead-zinc ore 1,520 1,605 1,260

Gold(kg) 822 760 765

Barytes 180 205 183

Bentonite 135 355 735

Bauxite 260 175 440

Magnesite 120 145 140

Dolomite 265 280 285

Feldspar 125 140 156

Kaolin 760 810 860

Industrial clay 310 320 405

Salt 1,450 1,500 1,560

Quartzite&silica 1,080 1,050 960

Sodium sulphate 495 510 420

Gypsum 9,750 9,850 10,700

Limestone 32,200 34,500 35,000

Dimensional stone 6,100 6,480 7,810

Others* 8,300 9,000 14,800

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3-2. 埋蔵量

第 3-2 表 イランの鉱物資源埋蔵鉱量(Economic&International Affair,M.M.M.,1999)

No Minerals Reserves

(mill.T)

No Minerals Reserves

(mill.T)

No Minerals Reserves

(mill.T)

1 Asbestos 70 11 Fluorspar 3.1 21 Nepheline,

Syenite

147

2 Barite 4.4 12 Gold(t) 150 22 Orpiment 0.03

3 Bauxite 116 13 Gypsum 2400 23 Phosphate 16.5

4 Bentonite 14.6 14 Iron Ore 2708 24 Salt 158

5 Boron 0.02 15 Kaolin 100 25 Silica,

Quartz

77

6 Chromite 8.5 16 Pb+Zn

Ore

237 26 Silver 0.4

7 Celestlte 1.8 17 Magnesit 3.6 27 Talc 0.38

8 Coal 1345 18 Mn Ore 9.7 28 Turqoise 500(t)

9 Cu Ore 2600 19 Mica 0.2 29 Dimension

Stone

3000

10 Feldspar 2.7 20 Molybde-

Num

0.05 30 Limeston 4500

以下、主な金属毎に鉱業の趨勢を記す。

(1)銅

2000 年におけるイランの銅鉱石生産量は 128.3 千トンで、そのほとんどが Sar Cheshmeh

鉱山からのものである。Sar Cheshmeh 鉱山は国営イラン銅工業公社(NICICO:National

Iranian Copper Industries Company)によって運営されている。

NiCICO は政府の民営化政策が進められるまでは唯一の産銅会社であり、銅地金及び副産物

の生産に加え、イランにおける販売も手がけている。同社は 1972 年の Sar Cheshmeh 鉱山

の正式な開山とともに設立され、1976 年の現在の社名となった。

(2) アルミニウム

国営のイラン・アルミニウム社(IRALCO:Iran Aluminium Company)が経営する Arak 精

錬所(能力 120,000t/y)と半民営の Almahdi 社(Almahdi Aluminium Corp)の Almhadi 精

錬所(一部稼動、能力予定 110,000t/y)がアルミニウム地金を生産している。原料のアル

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ミナは全景輸入しているが、イラン北東部の Khorrasan 州で低品位ポーキサイト鉱床が発

見されており、イランは原料ソースとして期待を寄せているが、1999 年に完成予定であっ

たアルミナ製錬所の建設が進んでいない。また、東アゼルバイジャン州の霞石閃長岩鉱床

からアルミナを生産するためのプレ F/S を実施中である。

(3)クロマイト

クロマイトは主に、ホルムズ州バンダル・アッバスの北東の Faryab、ケルマン州南部の

Esfandegeh、ホラサン州 Sabzevar 北部でクロマイトを採掘されている。これらの鉱山は

Faryab 社によって経営されている。同社は 1994 年からフェロクロムの生産(Abandan 工

場、能力 14,000t/y)、も行っており、日本は 2000 年に約 5,500t のフェロクロムを輸入

している。

(4)鉛・亜鉛

主な鉛・亜鉛鉱山として、ザンジャン州の Angouran 鉱山(生産量 Zn60,000t/y、

Pb40,000t/y)、エスファン州の Irankuh 鉱山(生産量 Zn20,000t/y、Pb6,000t/y)、ヤズ

ド州の Kushk 鉱山(生産量 Zn20,000t/y、Pb2,000t/y)があり、これらの鉱山は全て国営

である。また、ザンジャン州に Zanjan 鉛・亜鉛製錬所があり、Angouran 鉱山の鉱石を製

錬しているほか、小規模の鉛・亜鉛製錬所がイランにはある。

3-3. 輸出額

第 3-3 表 イランの対日貿易(全品目)額の推移(単位:百万ドル)

92 年 93 年 94 年 95 年 96 年 97 年 98 年 99 年 00 年

輸出 2,603 2,419 2,758 2,820 3,216 3,556 2,441 3,161 5,356

輸入 2,649 1,452 911 660 713 885 850 571 573

主要鉱産物の生産動向

(単位:t)

年 2000 2001 2002 2003

亜鉛

モリブ

デン

147,200

17,200

80,000

1,400

146,300

11,800

70,300

1,400

140,700

8,100

75,000

2,400

146,100

8,100

75,000

2,000

出典:World Metal Statistics, March 2004

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- 7 - イラン

4. 鉱業行政

4-1. 法律

鉱業法は 4 章 36 条、鉱業法実施細則は 5 章 75 条からなる。

以下は、鉱業法及び鉱業法実施細則の要点を取りまとめたものである。

(1)定義及び総則

鉱業法第 1 章は、定義及び総則であり、探査免許(Exploration License)や採鉱免許

(Exploitation License)等を定義しているほか、鉱物を第一分類から第四分類に分け、

第一分類(普通砂及び普通粘土を除く)及び第二分類について、金属鉱山省が管轄すると

している。

(2)探鉱

鉱業法第 2 章及び鉱業法実施細則第 1 章において探鉱に関する規定が定められている。

探鉱活動は公的部門、協同組合部門、民間部門(国内企業及び外国企業)が行えるとさ

れ、探鉱の実施には探鉱免許を取得する必要がある。探鉱免許の範囲は最大 40 ㎢である

が、省の承認があればこれより広い範囲を設定することもできる。また探鉱許可の有効期

間は 1 年間で、第二分類、すなわち金属鉱床の場合には、省の裁量で延長可能である。探

査許可の申請者は、探査企画書、探査計画書を提出し、省の審査を受けて、探査許可が得

られる。なお、探査許可は省の認可を得た上で、有効期間内に一度だけ譲渡することがで

きる。

探査完了後、探査許可所有者は探査作業に関する報告書を提出し、省の承認により発見

証明書(discovery certificate)が発行される。発見証明書の所有者は、証明書の発行

から 1 年以内に省に対して、探鉱許可を申請することができる。

(3)採鉱

採鉱は、鉱業鉱山省から採鉱許可を得た上で実施することができる。

採鉱許可の期間は、埋蔵量、採鉱計画書等を勘案して省が決定し、最高 25 年とするが、

申請により延長可能である。また、第三者への譲渡も可能である。鉱山が国有地区域内及

び天然資源区域内で行われる場合には、鉱区の土地を復元あせることを目的として、ロイ

ヤルティーの保証金と 3%の天然資源(ロイヤルティーの 6 カ月分に相当)を採鉱免許発

行の前に支払う必要がある。

なお、鉱山はその規模や政治的、社会的、経済的な条件により大規模鉱山として指定さ

れる場合があり、このような鉱床の採掘方法は政府が決定するとされている。

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- 8 - イラン

第 4-1 表 イラン鉱業法における鉱物の分類

ロイヤルティーの決定は、省の裁量に委ねられており、以下のような採鉱許可所有者の

望ましい利益を基準として、決定される。

・ 坑内掘り鉱山に関しては、鉱物の粗鉱価格の 6%を限度

・ 露天掘り鉱山に関しては、鉱物の粗鉱価格の 10%を限度

・ 坑内掘りと露天掘りの双方の方法で採鉱される鉱山に関しては、鉱物の粗鉱価格の 8%

を限度とする。

分 類 鉱 物

第一分類 石灰岩、石膏、普通砂及び砂利、普通粘土、海洋貝殻、鉱物火山灰、水性塩及び

岩塩、泥灰、砕石及び建築用石材、これらの類似物質

第二分類 1) 鉄、金、クロム、錫、水銀、亜鉛、銅、チタン、アンチモン、モリブデン、

コバルト、タングステン、カドミウム、その他の金属

2) 硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アルカリ塩、硫酸塩、炭酸塩、塩化物(第一

分類で指定された塩化物は除く)、これらの類似物質

3) 雲母、黒鉛、滑石、耐火粘土、長石、シリカ質岩石及び砂、真珠岩、珪藻土、

沸石、ポーキサイト、ペンガラ、黄色土、工業用土壌、これらの類似物質

4) ダイアモンド、エメラルド、ルビー、硬玉、トルコ石、各種のめのうなどの

宝石及び準宝石、これらの類似物質

5) 各種の装飾石材及びファサード石材

6) 各種の石炭及び非オイルシェール

7) 炭化水素ガスを除き、水及び鉱物ガスからなる抽出可能な鉱物

第三分類 石炭を除き、原油、天然ガス、瀝青、オイルシェール、天然アスファルト岩石、

オイル被覆砂、及びこれらの類似物質など、全ての炭化水素物質。瀝青、オイル

シェール、天然アスファルト岩石は、石油省によって、あるいはそのいずれかの

提携会社又は子会社によって採鉱されていない場合には、鉱物の第二分類の一部

を形成するものとみなす。

第四分類 全ての一次、二次放射性物質。

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4-2. 政策

イランは 2000 年 3 月から始まった第 3 次 5 カ年計画において、過度に石油・天然ガス

に依存した経済構造からの脱却を目指して、天然資源をベースとした工業の開発、民間部

門の投資促進、輸出産業の振興を強調している。非エネルギー天然資源も輸出産業の一つ

として注目されているものであり、1999 年 10 月に鉱業に関する投資フォーラムをテヘラ

ンで開催するなど、鉱業投資の拡大を期待している。

4-3. 税制

4-4. 鉱業政策

イラン政府は、1998 年 5 月に新鉱業法を、1999 年 3 月にその実施細則を制定し、私企

業や外資に対して鉱業活動を解放し、1999 年 10 月には、イラン政府は鉱業投資セミナー

をテヘランで開催するなど外資の導入に積極的である。

工業鉱山省がイランの鉱業政策を司る機関である。なお、工業鉱山省は 2001 年に鉱業

申請者 工業鉱山省

探査免許の申請 受領証の交付

鉱区の登録

登録区域の通知

探査作業の実施に関す

る企画書の提出

(二ヶ月以内)

探査計画書の作成

(二ヶ月以内)

企画書の審査及び探査計画書作

成のための許可証の発行

(二ヶ月以内)

探査計画書の審査及び探査免許

の発行

(20 日以内)

工業鉱山省は探査免許を交付

するにあたり、殉教官の家族、

退役軍人、協同組合、協同出

資会社、地方の有資格個人、

などに優先権を与える義務を

負う。(鉱業法第 11 条)

第 4-1 図 探鉱許可手続きの流れ

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省と鉱山金属省が合併したものである。同省は鉱業にかかる外資活動の承認や鉱業法に則

って、探査権・採掘権の付与や採掘権料の決定を行うが、例えば、採掘権料に関しては、

鉱業法に明確な規定が無いなど、工業鉱山省の裁量に任せられている部分が多い。また、

外資の割合についても交渉次第であり、工業鉱山省は、鉱山は 50%未満、製錬所は 80%未

満としているが、鉱山で 83%のシェアを得た事例も見られる。

経済の石油依存からの脱却を目指すイラン政府は 2003 年も引き続き非鉄鉱業の促進、

特に銅鉱業・製錬の拡張を推し進めた。

5. 鉱業関係機関

5-1. 政府機関

イランの政府機関としては、イラン地質調査所を始め、幾つかの機関があり、それらに

ついて以下に組織と活動を記す。

5-1-1 工業鉱山省

工業鉱山省(Ministry of Industry and Mines, http://www.mmm.gov.ir/)は、2001 年に

工業省(Ministry of Industry)と鉱山金属省(Ministry of Mines and Metals)が合併して

できた新しい組織の省で、イランにおける鉱業関係の監督官庁である。

工業鉱山省の分掌としては、探鉱権・採掘権の許認可の権限を有するほか、鉱山保安に

対する監督権を有する。 又、工業鉱山省の傘下には、イラン地質調査所や国営の銅公社、

鉄鋼公社、アルミニウム公社の各分野別の公社組織がある。(第 5-1 図 参照)

5-1-2 イラン地質調査所

イラン地質調査所(Geological Survey of Iran, http://www.gsi-iran.org/)は、1962 年

に設立され、イラン国内の地質調査、地質図作成を行い、又、エネルギー資源を除く鉱物

資源の探査・評価を実施している。本部をテへランに置いて職員 700 人を擁しているが、そ

のほかに地域事務所を持ち、それらは北西部(タブリーズ)、北東部(マシュハド)、南部(シ

ラーズ)、南西部(アフワーズ)、南東部(ケルマン)他に配されて各地域を分掌して活動し

ている。 (組織については第 5-1 図 参照)

5-2. 公営機関

5-2-1. 国営銅公社

国営銅公社(National Iranian Copper Industries Company, http://www.nicico.com/)

については 鉱業概要の銅の項を参照されたい。

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第 5-1 図 イラン工業鉱山省組織図

5-2-2.その他

イランにおける鉱業関連の、その他の組織としては、次の 2 つの機関が挙げられ、何れ

も探査から開発に至るまで様々に係わってくることとなる。

① イラン商鉱工業会議所

(Iran Chamber of Commerce, Industries & Minee, http://www.iccm.org/)

② イラン投資・経済・技術援助機構

(0IETAI: 0rganization for Investment, Economic and Technical Assistance of Iran)

(イランの投資促進機関)

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- 12 - イラン

第 5-2 図 イラン地質調査所組織図

5-3. 鉱業会社

民間企業のイランにおける最近の探査・開発の動向としては、ここ数年来、外資を含む

多くの企業がイランにおいて探鉱・開発活動を積極化しているが、その概要を企業リスト

として次の第 5-1 表に示す。

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第 5-1 表 最近のイランにおける探鉱・開発活動中の企業

外 国 企 業 イ ラ ン 企 業

Anglo Amerjcan (英国)、

Anzex Resources(カナダ)、

BHP-Billiton(豪州)、

China Nonferrous Metal Industries

Foreign EN (中国)、

Herald Resources(豪州)、

Persian Resources(豪州)、

Teck-Cominco(カナダ)、

Union Capital(カナダ)、

Zarcan International(カナダ)

Ahar Consolidated Copper Mines、

Calcimine Public、

ESKO (Ehya Sanaye Khorasan)、

GIMCO (General Iranian Mining Co.)、

Glominco、

Iran Zinc Mine Development、

MINEX、

NICICO

(National Iranian Copper Industires)、

ITOK

6. 投資環境

近年、イランは世界経済への復帰を進めており、2000 年 5 月には、世界銀行が 1993 年

以来初の新規ローンを承認したほか、イランは WTO への加盟を求めている。鉱業分野は外

国からの投資が見込まれる分野の一つであり、メジャー企業が少なからず関心を持ってい

る。

イランは比較的リスクが高い国であるといわれ、経済・政治改革の遅延、外貨収入の石

油への依存、国際的な資本市場の欠如が主な原因とされている。

イランの外国投資政策では、1999 年以来、政府は外資の活動に関連した規定を整備して

きた。これらの動きは、イランがこれらの規定を導入してきたのは、外資を誘致し、技術

移転、国内の生産、雇用及び輸出を増加させ、経済発展を図ろうとしたためである。イラ

ン政府のこのような動きは、外国投資家からは一般的に好意的に受け止められている。し

かし、革命後の 1979 年に制定された共和国憲法では、外資のイラン国内での活動を認め

ていない(ただし、解釈により 49%までのシェアは可能)にも関わらず、イランにおける

外国投資に関係した基本法令は革命前の 1955 年に制定された「外国投資の誘致と保護に

関する法律(The Law for the Attraction and Protection of Foreign Investments、以

下“LAPFI”)」であり、この整合性が懸念されている。

なお、イラン政府は新外国投資法の制定を進めているが、護憲評議会に却下されており、

今後の行方は不透明である。

6-1. 外資法

1955年に制定されたLAPFI及び1956年の「外国投資の誘致と保護に関する実施細則(The

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Regulation Implementing Law on the Attraction and Protection of Foreign Investments、

以下“LAPFI 実施細則”)」が現在もイランの外国投資に関する基本的な法令である。

外国投資政策は、経済大蔵大臣、農業大臣、外務大臣、工業大臣、鉱山・金属大臣、計

画・予算庁長官からなる「投資に関する高等評議会(High Council for Foreign

Investment)」によって決定される。政策の実施は、経済大蔵副大臣、外務副大臣、工業

副大臣、鉱山・金属副大臣、計画予算庁副長官、イラン中央銀行副頭取、イラン商工会議

所会頭による「監督委員会(Organization for Investment,Economic and Technical

Assistance of Iran、以下“OIETAI”)が外国投資案件に関する窓口となる。

(1)外資比率の制限

1992 年 5 月 6 日の「投資に関する高等評議会」による規定では、外資の比率を決めない

状態で、外国投資家による投資申請は審査・総裁され、外国投資家とイラン国内の企業と

の合併の比率は、個々の事例ごとに OIETAI によって決定される。従って、特別な許可が

あれば外資がシェアの過半を占めることも可能であるが、実質上イラン側パートナーが必

要となる。

(2)投資分野

LAPFI によって、工業、鉱業、農業、運輸における開発、リハビリテーション、生産活

動に投資業種を限定されている。

(3)外国投資手続き

一般的に、6 段階の手続きが必要である。

① イラン側パートナーの決定

プロジェクトを有する関連省庁や OIETAI、銀行や金融機関、イラン商工会議所等を通じ

てイラン側のパートナーを決定する。直接イラン側の企業へコンタクトを取ることも可能。

② 認可(Agreement in Principal)の取得

イラン側パートナーとともに、プロジェクトに関係する省庁に対して、申請する。関係

省庁の認可後、設備の輸入や工場建設、インフラ使用の手続き等、プロジェクトを開始す

ることができる。

③ 外国投資保護の認可申請

外国投資として LAPFI における法的保護を教授するために、OIETAI に認可申請をする。

④ 審査

OIETAI は関係省庁との調整や申請書類の審査を行い、レポートを監督委員会に提出する。

監督委員会は、問題ないと判断した場合、経済大蔵省に送られる。

⑤ 内閣経済評議会による政令発布

投資認可は個別の案件ごとに内閣経済評議会の政令として発布される。

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⑥ 合併企業の設立

6-2. 税制

6-2-1. 輸出入と通関

(1)輸入 イスラム法に反する品目(豚、アルコール、麻薬等)の輸入が禁止されている他、国内

産業保護のために輸入が規制されている品目がある。輸入に際しては関税に加えて、国内

産業保護のため商業利益税(Commercial Benefit Tax)が課せられる。なお、鉱業法実施

細則第 54 条によれば、鉱業活動に必要な機器類の輸入に関しては、工業鉱山省の認可の

上、商業利益税が免除される。

(2)輸出 国内消費者保護のために輸出が規制されている品目があるほかは、輸出が禁止されてい

る品目はない。また、輸出振興のために輸出に対するインセンティブや各種免除が与えら

れる品目がある。

6-2-2. 所得税

法人及び個人の利益、収入に対して直接税法(Direct Taxation Act)により課税される。 イラン国内の法人に対しては、課税対象収入の 10%の法人税が課され、残りの 90%に収

入に応じて課税(12~54%)される。また、地方税 3%が課せられる。

6-2-3. 税の優遇措置

鉱業関連の外国投資に関する税の優遇措置には次のようなものがある。 (1)所得税の免税 テヘランの半径 120km 以上及びイスファンの半径 50km 以上の地域での鉱業活動に関

しては、関係省庁の認可の上で、優先順位に従って 8 年、6 年、4 年の免税措置が得られ

る。外資とイラン企業の合併企業に対しては、最低 6 年間の免税措置が得られる。プロジ

ェクトの優先順位は各 5 カ年計画の始めに政府が決定する。鉱業に関しては、優先順位 1に含まれているものもあり、この場合 8 年間の免税措置が得られる。

(2)免税期間の延長 鉱業活動が未開発地域(Less Developed Area)で行われる場合には、(1)の免税期間が

延長される。延長期間は(1)の免税期間の半分の期間である。例えば、(1)で 8 年間の免税

期間が得られる場合には、半分の 4 年が延長され、合計 12 年の免税期間が得られる。未

開発地域は計画予算庁によって各 5 カ年計画の始めに決定される。

(3)申告課税所得からの控除

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開発許可(Exploitation Permit)が得られた場合、申告課税所得の 20%が控除される。

(4)既存施設の更新等に対する免税 既存の鉱業施設あるいは凍結されていた鉱業施設の修理、拡張、完成に適当と考えられ

る鉱業活動から得られた申告利益は免税される。

(5)上場企業に対する免税 テヘラン証券取引所に株式を上場している企業は、10%の法人所得税の減税。

6-3. 労働

外国人労働力の採用は原則として禁止されており、民間外国人を雇用する場合は、社会

労働省から労働許可を取得する必要がある。民間外国人を雇用する条件として、イランに

とって必要とする専門的な技術を有する労働力でなくてはならない。労働許可の申請及び

更新時には、労働税として月額所得の 30%を納税しなければならない。 イラン人の雇用に対しては、法的な制限はないが、深刻化する失業問題を背景として、

雇用を求める行政指導がある。

雇用・就労に係る暦は、イランでは 3 月 21 日を新しい都市の始まりとする独自の太陰暦

を採用している(ちなみにイラン暦の 1380 年は 2001 年 3 月 21 日から 2002 年 3 月 20日まで)。休日は、イスラム諸国と同様金曜日であり、一般的に木曜日は半休である。祭

日は宗教関係のものが多く、イスラム暦によるため毎年変わる。

6-4. 治安

イランにおける最近の一般治安状況に関しては、旅行など短期滞在レベルでは全く問題

がないとされ、外国人に対する一般犯罪に注意すればよいと言われている。 但し、イランは基本的に厳格なシーア派イスラム教宗教国家あることから、同国内での行

動に関しては特に宗教的・文化的な面から慎重な行動と対応が求められる。 又、後述の反政府活動と関連して、同国の内政が混乱した 1999 年には、彼ら反政府勢力に

よると見られる外国人誘拐事件なども発生したが、その後穏健・改革派の現ハタミ政権の

政策が定着して国内情勢が安定するに従い、深刻な治安関係事件は発生しなくなっている。 しかし、一方で同国の情報・治安省(MOIS)と、イスラム革命防衛隊(IRGC)による活動に

ついては米国が終始『国際テロ支援』として非難を続けており、米国による攻撃が目前に

迫っている隣国イラクに次いで「悪の枢軸」と名指しされた同国での調査活動などについ

ても中・長期的な治安に関してはマクロな中東情勢の推移や近隣諸国の治安も含めて注意

深く見ていく必要がある。 イラン国民の多数がシーア派イスラム教徒であり、保守的原理主義的か、革新的世俗的

かの違いはあれ、現政権がシーア派で構成されていることから、少数派であるスンニ派や、

国内に取り込まれた異民族クルド人などは陰に陽に差別の対象とされ、歴史的な経緯もあ

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って彼らを中心に反体制派を国内外に生むこととなった。 その最たるものが隣国イラク・バグダッドを拠点としてきたムジャヒディン・ハルクで

ある。ムジャヒディン・ハルク (正式名称:イスラム人民戦士機構、MKO: Mujahedin-e Khalq Organization)は、現政権に対してテロ事件や誘拐事件など武装闘争を続けてきて

いる。 又、イラクとの北部国境域からトルコ南東部にかけての一帯にはクルド人が居住してき

たが、彼らは独自の国家を持てず、何れの国でも少数民族として同化政策の名の下に政治

的、文化的、社会的な面だけに留まらず人権面からも様々な迫害を受け続けてきた。 こ

うした中で、イランではイラン・クルド民主党(KDPI)が、北西部クルド地域(クルディスタ

ンの東端に相当)で『自治と、イランとの連邦化』を求めているが、約 600 万人のクルド

人(同国人口の約 1 割)を抱えるイラン政府は『イラク領のクルド人がたとえ連邦の一部と

してでもクルド国家を作ることは、自国内の分離独立運動に結びつく可能性もあり、許さ

れない』との基本政策を変えず、周辺国と同様に『同化政策』を強制している。 周辺ではイラク側でクルド愛国同盟(PUK)とクルド民主党(KDP)が北部を実効支配

しており、又トルコでは非合法ゲリラ組織「クルド労働者党」(PKK)が武装闘争を続けてい

る。更に、シリアでも総人口の 10%に及ぶクルド人を抱えており、これら各国とも『非常

に微妙な問題』として同化政策が強制されているが、根本的な問題解決にはなっていない。 中東情勢は非常に流動化しつつあり、イラン一国だけでなく、各国の状況が相互に影響

し合うので、マクロには中東・欧州全域におけるこれらの反政府勢力の動向は注視し続け

る必要がある。特に、イラクに拠点を置き、サダム・フセイン政権の庇護を受けてきたム

ジャヒディン・ハルクと米国との関係が今後のイラン反体制派の行動を予測するうえでポ

イントとなり、イラン国内での治安にも少なからず影響を及ぼすであろう。 具体的な治安情報に関しては現地での業務関係先などからの情報収集と解析により、危

険の回避に努める必要がある。

6-5. 交通

イランにおける交通手段は、都市間交通としては航空機の他長距離バスの便が数多くあ

り、幹線道路網は整備され、良好に維持されており道路事情は良いと言える。鉄道の整備は

限られていることからその比重は比較的小さいものとなっている。 航空機に関しては米国による経済制裁の影響で部品調達に難があるとの情報もあるもの

の、航空機事故に関する情報は少なく、それなりの整備と運行が維持されているものと見ら

れる。 道路交通による事故状況に関しては、イラン全体で非常に劣悪な状態にあり、特に都市

間高速道路と大都市圏内での交通事故は多発しており、毎週300名が死傷との情報もあが、

あながち大げさとはいえない状況である。テヘランなど都市部での交通マナーは先進国の

それとは全く違い、交通ルールは守られないので、自分で車の運転をすることは避けるだ

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けでなく、道路の通行、横断などにも十分な注意を払う必要がある。交通ルールの面では

交差点での右折は常時可能である他、マナー的にも交通信号を守らないバイクなども多く、

小さな交通事故は異常に多発している。

6-6. 電力

イランの電力に関しては、その発電設備能力は約 31GW で、その内 75%は天然ガス火力

発電、残りは水力発電(7%)と石油火力発電となっている。 現在、イランにおける電力産業では国営の電力会社 Tavanir が発電と送電を任されて

いるが、イラン政府は電力部門でも民営化を検討中である。 電力需要に関しては、イランでは年率 7~8%と大幅な需要増加がみられるため、政府は

2015 年までにはその発電能力をさらに 30GW 拡大することを目指して計画を進めており、

具体的な数値としても 2003 年度末(2004 年 3 月 19 日)までに約 3GW の新設発電所の稼

働が見込まれている。 これらの電力拡大計画の内容は、水力発電プロジェクト 4 件(発電能力総計:6,400MW)、 火力発電プロジェクト 4 件(同 4,180MW)他となっている。 近年の実績例としては、2002 年 4 月にイラン北部 Qazvin 地方で Shahid Raja’i 火力発電所(1,000MW、コンバインドサイクル)及び、2003 年 2 月の Kerman における

1,272MW コンバインドサイクル発電所の運転開始などが挙げられる。 イラン政府は 2002 年 6 月には日本の住友商事と Tavanir 及び IPP プロジェクト(20 年契約で 1,000 MW 級コンバインド・サイクル・ガス・タービン発電所建設・運用)に関

する MOU を調印した他、2003 年 1 月には北西部 Ardebil にイランで最初の地熱発電所

を建設する計画を発表するなど電力開発に注力を続けている。

7. 地質・鉱床概要

7-1. 地質概要

イランは地質的にはユーラシア・プレートとアラビア・プレートとの接合域にあたる。こ

の事がイランの北端と南部において比較的若いアルプス造山帯の Alborz 山脈と Zagros 山

脈の褶曲産地をそれぞれ発達させ、それらの間に挟まれてイラン高原が広がる現在の形を

もたらし、関連したアルプス期の火成活動の存在とともに、この地域を特徴づけている。

南側のアラビア・プレート上の卓状地は、かつてアフリ力大陸の一部を構成していたも

ので、基盤が先力ンブリア界から成り、その上に古生界から中生界、更に新生界までの地

層が累重している。このアラビア卓状地は現在ぺルシャ湾およびイラン南部の Zagros 褶

曲山地の基盤を構成している。

一方、北側のカスピ海中央域からその東南にかけての広大な地域(テュランプラットフ

ォーム)は、ユーラシア・プレートの南の一部を構成し、これがその南側で西から東に連な

る Kopet Dagh 山脈~Western Hindukush 山脈などの大褶曲山脈の基盤を構成している。

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7-2. 地質構造

イランがアラビア・プレートとユーラシア・プレートとの接合部であり、そこにアルプス

造山帯の南北 2 帯が存在することから、同国の大局的な地質構造としてはそれらに支配さ

れた北西-南東方向の地質的な延びが特徴的である(Fig.1-3-1 参照)。

すなわち、イラン南部では北西から南東に延びる Zagros 褶曲帯があり、又、北端では

Kopet Dagh 帯がカスピ海から南東に延び、これら両プラットフォームの間に、挟まれて北

側に Alborz 帯とその南に Central-East Iran 帯が分布する。

イランは次の 3 大構造単元に分類されている;

① テュラン・プレートの南部の縁地域 (North Iran 縫合帯の北方地域)

② イラン・プレート域 (イラン中央部~東部の Iranian Microplate 地域)

③ ザグロス褶曲/造山帯域 (Zagros 衝上断層帯の SW 地域)

(アラビア・プレート北東部縁辺地域)

当地域の火成活動としては力レド二ア期およびアルプス期のものが主であるが、特に

Central-East Iran 帯および Alborz 帯では後期白亜紀~古第三紀の火山活動並びに漸進世

~中新世の深成活動が特徴的である。

7-3. 鉱床概要

前述の通り、最近のイランにおける非エネルギー、金属資源の中では銅鉱、鉛・亜鉛鉱、

鉄鉱およびクロム鉱の鉱業生産比率が高まっている。

イランではこれら主要鉱種の探査や開発だけでなく、最近は貴金属鉱床の探査も広く

行われるようになり、カーリン型の金鉱床発見なども報じられている。

イランの主要鉱床の内、銅鉱床が集中するのは、主に第三紀の火成活動が著しかった

Urmieh - Bazman 火山帯、Khur - Anarak 地域および Binalud - Alborz 帯 (Momenz Zdeh

and Walther,1984)の 3 帯である。

銅鉱床の内でも斑岩型の Cu-Mo-Au 鉱床が主に胚胎するのは、Sanandaj - Sirjan 変成帯

に並行に延びている Urmieh -Bazman 火山 帯であり、サーチェスメ銅鉱床はその代表格

である。

鉛・亜鉛鉱床の分布は広く、Zagros 褶曲帯と Kopet Dagh 以外のほとんど全ての地質構造

帯中に及ぶ。鉛・亜鉛鉱床のタイプとしては鉱脈状および層状鉱床が多いが、Zagros 帯で

は稀に、ミシシッピバレー型の鉱床が見られる事がある。

鉱床タイプと鉱化時代との関係については、層準規制型の層状~レンズ状鉛・亜鉛鉱床

は、インフラカンブリア紀、シルル-デボン紀および三畳紀の鉱化作用に多く見られ、脈

状鉱床型はアルプス造山期の火成活動に関連して胚胎されたとされる。

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第 7-1 図 イランの地質図 (Waterman and Hamilton, 1975 に加筆)

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第 7-2 図 イランの主要な金属鉱床分布図

クロム鉱床の分布は、Zagros 衝上断層帯および Central-East-Iran マイクロ・プレート

北部の Sabzevar 縫合帯に沿って分布するオフィオライト複合岩体中に見られ、比較的規

模の大きいものとしては Hormoz 海峡北東の白亜紀オフィオライト帯(調査域外)中に胚胎

されているものが知られている。

金・銀に関してはイランでは規模的に大きい鉱床はこれまでのところ知られていないが、

情報としては Urmieh-Bazman 火山 帯で幾つか金鉱床の発見が報告されている。例えば、

同火山帯の北西部域でアンチモニン・砒素鉱床群が分布している地域内でカーリン型の金

鉱床が最近発見されたとの報告もある(Asadi et al.,2000)。

上記の鉱種以外にも、イランでは鉄鉱、硫化鉄鉱、マンガン、重晶石、燐鉱、岩塩、カ

リ塩などの鉱物資源に関しては規模的にも比較的大きい鉱床の賦存が知られている。

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8. 鉱山概要

銅は国営企業National Iranian Copper Industries社(NICICO)が経営するSar Cheshmesh

鉱山(斑岩銅型鉱床)から生産されている。Sar Cheshmesh 鉱山は露天掘鉱山、選鉱場、製

錬所、精錬所、銅加工プラントからなる。生産設備能力は、硫化鉱石採掘 40,000t/日、鉱

石破砕 41,000t/日、製錬(銅アノード)145,000t/年、精錬所(銅カソード)158,000t/年、ロ

ッド加工 107,000t/年、銅棒状地金(billet)41,242t/年、銅平板(slab)34,360t/年である。

亜鉛・鉛は主に Angouran 鉱山(ミシシッピバレー型鉱床)、Irankuh 鉱山、Kushk-Bafq

鉱山の 3 鉱山から生産されている。Angouran 鉱山の経営は Iran Zinc Mine Development

社(51%)と Tech Cominco 社(49%)が行い、他の 2 鉱山は NICICO が行っている。金は Sar

Cheshmesh 鉱山の他にイラン政府が経営する Mouteh 鉱山から生産される。クロム鉄鉱石は

Faryab、Esfandegeh、Foroumad-Gaft の 3 鉱山から生産される

Sar Cheshmeh 銅鉱山:粗鉱生産量を現在の 14 百万 t/年から、1 期工事後は 21 百万 t/

年に、2 期工事後は 28 百万 t/年にする計画である。1 期及び 2 期の開発工事費は 190 百万

US ドルで、うち 65 百万 US ドルは設備機器購入費である。選鉱場も 2 期に分けて粗鉱処理

能力を拡大する。1期工事の投資額は181百万USドルで、2003年6月現在の進捗率は92.69%

である。本工事には古い浮選設備の改造・現代化も含む。2 期工事計画は現在検討中であ

る。現在の給鉱品位は銅 0.95%で精鉱年産 372,000t であるが、1 期工事後は 0.78%と

527,000t、2 期工事後は 0.78%と 702,000t となる。

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鉱山概要(操業鉱山) 記号 Iran-CuMoAu-Sar Cheshmeh

国名/地域 :Iran/南東部

名前 :Sar Cheshmeh

位置 :Iran 南東部、Kerman 市の西方、約 100Km に位置する。

緯度・経度 :

会社名(権益比率):National Iranian Copper Industries 社(NICICO)

鉱床 鉱種 :Cu Mo Au

埋蔵鉱量 :

1)2001 年 1,250 百万 t、0.6%Cu, 0.03%Mo, 0.27g/tAu, 3.98g/tAg

カットオフ 0.25%Cu

金属鉱業事業団(2002):イラン・イスラム共和

国の資源開発環境 平成 14 年 3 月

2)1200 百万 t 0.7% Cu, 0.03% Mo Peter Leaman (2002): MMAJ Forum

鉱床タイプ :ポーフィリーカッパー

地質概要 :鉱床は Kerman の西~南東部を北西~南東方向に伸びる第三紀の火山岩

帯のほぼ中央部に位置する。この火山岩帯中には多くの銅、鉛、亜鉛鉱床が胚胎

されている。鉱床の母岩となっている中新世の Sar Cheshmeh 花崗閃緑斑岩岩体

は古第三紀始新世の火山岩類に貫入している。地表では ENE-WSW 方向の長軸を持

つ楕円状の形態を示す。この岩体には非常に多くの岩脈が見られる。

鉱化作用の場は古第三紀の安山岩類とそれに貫入する岩株状の Sar Cheshmeh

花崗閃緑斑岩の岩体が主となっている。Sar Cheshmeh 花崗閃緑斑岩は後の貫入ス

テージの“後期”斑岩と角礫パイプに貫かれており、更にこれら全体が、より後

期の NNW-SSE 系の岩脈の大群により切られている。これらを母岩とする Cu-Mo 鉱

化作用はポーフィリーカッパー鉱床の典型的形態を示し、Sar Cheshmeh 花崗閃緑

斑岩岩体の中心で弱く、周辺部で長楕円形のリング状に濃集している。カリ長石

―黒雲母フィリック変質帯に初生鉱化作用が著しい。

鉱石鉱物は初生帯は黄銅鉱と黄鉄鉱、二次富化帯は輝銅鉱を主とし、他に斑銅

鉱、赤銅鉱、自然銅、孔雀石、藍銅鉱などが見られる。方鉛鉱、閃亜鉛鉱、輝水

鉛鉱は石英脈を伴う珪化岩中に産す。溶脱された地表部の二次富化帯では輝銅鉱

が鉱染状、まれに細脈状の産状を呈し、その厚さは 50m以上に及ぶ。

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鉱化作用の年代: 新第三紀中新世(5-25Ma)

発見の経緯 :1966(7?)年。

生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年:1974 (1972?)

年 粗鉱生産量

Mt

品位

% Cu

精鉱生産

品位 金属量

tCu

回収率

%

1999 13 1.00 120,000 e

2000 14.5 e 1.00 130,000 e

2001 13.4 e 0.70 130,000 e

2002 16.18 0.70 130,000 e

2003 18 e 0.70 135,000 e

Raw Materials Data August 2004

生産設備能力は製錬(銅アノード)145,000t/年、精錬所(銅カソード)158,000t/

年、ロッド加工107,000t/年、銅棒状地金(billet)41,242t/年、銅平板

(slab)34,360t/年

粗鉱生産量を14 百万t/年から、1 期工事後は21 百万t/年に、2 期工事後は28 百

万t/年にする計画である。1 期及び2 期の開発工事費は190 百万US ドルで、うち

65 百万USドルは設備機器購入費である。選鉱場も2 期に分けて粗鉱処理能力を拡

大する。1 期工事の投資額は181百万US ドルで、2003 年6 月現在の進捗率は92.69%

である。本工事には古い浮選設備の改造・現代化も含む。2 期工事計画は現在検討

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- 25 - イラン

中である。現在の給鉱品位は銅0.95%で精鉱年産372,000t であるが、1期工事後は

0.78%と527,000t、2 期工事後は0.78%と702,000t となる。

(金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢

JOGMEC)

採鉱法 :露天掘。生産設備能力は、硫化鉱石採掘40,000t/日、鉱石破砕41,000t/

副産物等 :Mo Au

文献

・ 金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC

・ Raw Materials Data August 2004

・非鉄金属鉱山データ&マップ 世界の主要な鉱山 銅 2004 年 3 月 (社)日本メタル

経済研究所

・ 非鉄金属鉱山データ&マップ 世界の主要な鉱山 銅 2002 年 3 月 (社)日本メタ

ル経済研究所

・ Peter Leaman (2002): MMAJ Forum

・ 金属鉱業事業団(2002):イラン・イスラム共和国の資源開発環境 平成 14 年 3 月

・ (財)国際鉱物資源開発協力協会(2003):平成 14 年度資源開発協力基礎調査 プロ

ジェクト選定調査報告書 イラン・イスラム共和国 平成 15 年 3 月

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- 26 - イラン

鉱山概要(操業鉱山) 記号 Iran-ZnPb-Angouran

(Raw Materials Data August 2004 では Angouran の名前は無く、Iran の亜鉛生産者によ

る全生産量は National Iranian Lead and Zinc Co (NILZCO)となっている。所有者は State

of Iran となっている。Raw Material Data August 2003 では Angouran(所有者は State of

Iran)となっている。Iran の亜鉛生産はほとんどが Angouran からのものと思われるので、

ここでは NILZCO と Angouran は同一のものとみなし Angouran として記載した。)

国名/地域 :Iran/ザンジャン州

名前 :Angouran

位置 :Zanjan 市の西方 90Km。テヘランの北西 450km。

緯度・経度 :

会社名(権益比率):

Iran Zinc Mine Development 社 51%

Tech Cominco 社 49%

(金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC)

あるいは

State of Iran 100%

(Raw Materials Data August 2003/ Raw Materials Data August 2004 では

Angouran

の名前は無く、NILZCO となっている。)/Infomine(2001 年 6 月現在)

鉱床 鉱種 :Zn Pb

埋蔵鉱量・品位:

1)1999 年(国際的に認められた方法で算出されたものではない。SRK Consulting

社(英)の Annels 氏。)

酸化鉱 14.6 百万 t、 22.6%Zn、 4.6%Pb

硫化鉱 4.7 百万 t、 27.7%Zn、 2.4%Pb

2)2000 年 資源量

露天掘り酸化鉱 20 百万 t, 35%Zn

硫化鉱 4 百万 t, 30%Zn Infomine

鉱床タイプ :ミシシッピバレー型(酸化鉱)/噴気堆積型(硫化鉱)

地質概要 :SRK Consulting 社(英)の Annels 氏が 2003 年 1 月に英国・レスター大

学で開催された学会(MDSG)で発表したところによると、Angouran 鉱床は酸化鉱と硫化鉱か

らなる。酸化鉱は交代鉱床的性質を有し、硫化鉱は SEDEX(噴気堆積)的性質を有する特異

な鉱床である。また亜鉛品位が高いことで知られる。周辺の地質や鉱床の成因に関する調

査はほとんどなされておらず、情報に乏しい。

生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年:

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- 27 - イラン

年 粗鉱生産量

Mt

品位

%

精鉱生産量

t

品位

%

金属量

Zn t

回収率

%

1999 70,000 e

39,000 *

2000 70,000 e

2001 70,000 e

2002 70,000 *

2003 --

Raw Materials Data August 2004 (Angouran の名前は無く、NILZCO となってい

る。)

*Raw Materials Data, August 2003 Raw Materials Group(日本メタル経済研究

所 2004 年 3 月 非鉄金属鉱山・製錬所データ&マップ -亜鉛― よりの孫

引き。)

採鉱法 : 酸化鉱は露天掘りで採掘されており、現在 2,900mL まで採掘されてい

るが、最終的には 2,780mL まで達する計画である。硫化鉱は坑内掘りと

なる。

選鉱法 :鉱山から 20Km 離れた選鉱所で仮焼亜鉛(Zn calcine)を生産する。

副産物等 :鉛 40,000t/年

文献

・ 金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC

・ Raw Materials Data, August 2003 Raw Materials Group

・ 海外鉱業情報 特集号:世界の鉱業の趨勢 Vol.33 No.1 2003 年 5 月 金属鉱業事業

・ Raw Materials Data August 2004

・ 金属鉱業事業団(2002):イラン・イスラム共和国の資源開発環境 平成 14 年 3 月

・ (財)国際鉱物資源開発協力協会(2003):平成 14 年度資源開発協力基礎調査 プロ

ジェクト選定調査報告書 イラン・イスラム共和国 平成 15 年 3 月

・ http://www.infomine.com

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- 28 - イラン

9. 新規鉱山開発状況

Miduk 銅鉱山:Kerman 県の Shar Babak の北東 42km に位置する。資源量は 145 百万 t、

銅品位 0.8%、精鉱生産規模 150,000t/年(銅品位 30%)、投資額 255 百万 US ドル、2003 年 6

月現在のプロジェクト進捗率は 93.39%で、2003 年半ばの生産開始が予定されていたが、

生産が開始されたかどうかは不明である。

Sungun 銅鉱山:East Azerbaijan 県の北西部に位置する。資源量は 384 百万 t、品位 0.67%

であるが、1,000百万tを超える可能性があるという。精鉱(銅品位30%)処理能力150,000t/

年の選鉱場を建設中であり、2003 年 6 月現在のプロジェクト進捗率は 50.62%で、2005 年

半ばの操業開始が予定されていて、現在採掘準備で表土剥土中であるが、その過程で出た

鉱石は Sar Cheshmeh 銅製錬所に送られて処理されている模様である。

10. 探査状況

10-1. Union Capital 社

Union Capital 社(豪)が 33%の権益を有する Mehdiabad 亜鉛鉱床(イラン)は 2004 年 3 月

現在でボーリング調査と金属回収試験の実施中であり、2004 年後半に試験採掘とパイロッ

ト・プラント設置が行われる予定である。その後、亜鉛年産 30,000t 規模の実証プラント

を建設し、2006 年には実証プラントの操業を軌道に乗せたいと同社は計画している。

実施中のボーリング調査は推定資源量を確定資源量とするためのもので、最初に採掘が

計画されている East Ridge が対象であり、計画の 3,000m のうち 760m が完了している。

金属回収試験は酸化鉱石から SX-EW 法で亜鉛を回収するもので、鉱石から亜鉛を選択的に

溶解させる工程に課題があり、現在の亜鉛回収率は 70%である。金属回収試験の結果を受

けて 2004 年半ばにプラントのフローシートが決定される。イランの法律では採掘計画と

回収工程が決定して初めて採掘許可が付与され、試験採掘が可能になる。実証プラント建

設の資金調達方法は現在検討中であるが、最近の亜鉛、鉛、銀の価格回復で本プロジェク

トへの国際的関心は高まっていると同社はコメントしている。

10-2. Rio Tinto 社

Rio Tinto 社(英)は 2002 年に Kordestan 県 Qorveh に位置する Dashkasan で大規模金鉱

床を発見し、2003 年は探鉱ボーリング、冶金試験、資源評価作業を行った。Rio Tinto 社

の現地責任者 D. Wilkinson 氏の発言として報じられたところによると、Rio Tinto 社は、

イラン工業・鉱山省との協定の下、1999 年から 2003 年まで Rio Tinto 社は Dashkasan に

4 百万 US ドルの探鉱費を支出しており、Dashkasan 金鉱床の品位は 1.8~2 g/t 程度で、

Dashkasan プロジェクトの経済性評価は 2年以内に開始される予定であるという。また Rio

Tinto 社の探鉱の焦点はこれまでイラン北西部にあったが、今後は西部地域に移す計画で

あるという。

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- 29 - イラン

10-3. Zarcan 社

Zarcan International Resources(Zarcan)社(本社カナダ)は 2002 年 6 月に取得した 10

地区の探鉱許可の延長を 2003 年 5 月にイラン工業・鉱山省から得た。それらは Sistan va

Baluchestan 県に位置する。同県の 30,800km2について広域的地質調査を 4 年かけて実施

した結果、地質図、地化探、鉱業史、物理探査を考慮して選ばれたものであり、いずれも

約 40km2である。2003 年は鉱区維持のための現地調査を継続したが、うち 1 鉱区について

は立ち入りができず、現地民族と交渉中である。またそれぞれの鉱区について JV パート

ナーをテヘランで模索中である。

11. 製錬所概要

イランの主要な銅製錬所と、その増強又は新設工事に関しては次の情報がある。

Sar Cheshmeh 銅製錬所:粗銅生産量を現在の 131,000t/年から 200,000t/年とすべく、予

備調査を実施し、現在一部工事を実施中である。2003 年 6 月現在の進捗率は 14.59%であ

る。電気銅生産能力については、現在の 140,000t/年から 200,000t/年とするため、最適

工法の検討を 2001 年から実施している。低品位鉱石を対象とした湿式精錬の導入につい

て外国企業と共同調査を行っている。

Khatoon Abad 銅製錬所:Sar Cheshmech 銅鉱山・製錬所から 45km の地点にある。粗銅

生産能力 80,000t/年、投資額 246 百万 US ドル、精鉱は Miduk 鉱山他から給鉱される。2003

年 6 月現在のプロジェクト進捗率は 95.68%で、2003 年の生産開始が予定されていたが、

生産が開始されたかどうかは不明である。

また、鉛亜鉛精錬所に関しては、Iran Zinc Production Company(IZPC 社)による年産

10 万 t の亜鉛製錬所建設に対する入札の案内が 2003 年 4 月に行われている。この製錬所

はテヘランの西 340km にある Zanjan に建設され、Zanjan の北西 90km にある Angouran 鉱

山の酸化鉱石を直接浸出法で処理するものである。その結果、Outokumpu-Lurgi

Metallurgie 社(独)を中心とするコンソーシアムが最低価格の 200 百万 US ドルを提示し、

300 百万 US ドル前後の Bateman 社(南ア)グループと Tecnicas Reunidas 社(スペイン)グル

ープとの競争に勝って優先入札者となった。契約はイランの 2003 年会計年度内(2004 年 3

月まで)に結ばれるものの、IZPC 社の資金調達が完了する 9~12 か月後に建設が開始され

る見込みである。建設期間は 3 年が見込まれている。Outokumpu-Lurgi Metallurgie 社のコ

ンソーシアムを形成するのは、ABB 社(欧州)、Taim-TFG(スペイン)、Kahan Roba(イラン)、

Boland Payeh(イラン)である。

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製錬所概要(操業) 記号 :Iran-Cu-Sar-Cheshmeh

国名/地域 : Iran/Kerman

名前 : Sar-Cheshmeh Copper Smelter/Refinery

位置 : Sar-Cheshmeh, Kerman

会社名(権益比率):State of Iran

主要生産金属 :Cu

生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年

生産量 (金属量 千トン) 年

溶錬 精錬

1999 124.0 e 131.3

2000 140.0 e 145.0 e

2001 153.0 e 150.0 e

2002 150.0 e 157.0 e

2003 146.0 e 160.0 e*

Raw Materials Data, August 2004, Raw Materials Group

*金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC

によると2003年現在の粗銅生産量を131,000t/年から200,000t/年とすべく、予備

調査を実施し、現在一部工事を実施中である。2003 年6 月現在の進捗率は14.59%

である。電気銅生産能力については、2003年現在の140,000t/年から200,000t/年と

するため、最適工法の検討を2001 年から実施している。

製錬方法 :

溶錬 :反射炉

精錬 :ELR

低品位鉱石を対象とした湿式精錬の導入について外国企業と共同調査を

行っている。

備考 :Dow Jones & Reuters 社が Al-Bawaba News 発として 5 月 4 日に報じたところに

よると、イラン銅公社の Morad Alizadeh 社長は同社が開発中の銅鉱山と製錬所が

近く生産を開始する予定であると明らかにした。イランの第 1 四半期(3/19~

6/20)に生産開始が予定されている製錬所は、Miduk 製錬所、Khatunabad 製錬所、

Sarcheshmeh 製錬所(拡張分)である。また開発中の Sungun 銅鉱山も第 1 四半期中

に生産を開始する予定であるという。同社長によれば、2005 年 3 月には銅生産能

力は 280,000t に増えるという。現在の生産能力は 158,000t(カソード)である。

(2004. 5. 6 ロンドン 霜鳥 洋)

文献:

・ Raw Materials Data, Feb. 2002, Raw Materials Group

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- 31 - イラン

・ Raw Materials Data, Feb. 2004, Raw Materials Group

・ Who Owns Who in Mining 2001

・ 金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC

・ Raw Materials Data, August 2004, Raw Materials Group

・ JOGMEC (2004) : ニュースフラッシュ No.04-16, 5 月 13 日

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- 32 - イラン

製錬所概要(操業) 記号: Iran-Cu-Khatoon Abad

国名/地域 : Iran/

名前 : Khatoon Abad

位置 : Sar Cheshmech 銅鉱山・製錬所から45km の地点

会社名(権益比率):

主要生産金属 :Cu

生産量 (直近 5 ヵ年) 生産開始年

年 生産量

1999

2000

2001

2002

2003 生産開始予定

粗銅生産能力80,000t/年

2004 年の生産開始が予定されていたが、生産が開始されたかどうかは不明である。

備考 :投資額246 百万US ドル、精鉱はMiduk 鉱山他から給鉱される。2003 年6 月現在

のプロジェクト進捗率は95.68%

Dow Jones & Reuters 社が Al-Bawaba News 発として 2004 年 5 月 4 日に報じたと

ころによると、イラン銅公社の Morad Alizadeh 社長は同社が開発中の銅鉱山と製

錬所が近く生産を開始する予定であると明らかにした。イランの第 1 四半期(3/19

~6/20)に生産開始が予定されている製錬所は、Miduk 製錬所、Khatunabad 製錬所、

Sarcheshmeh 製錬所(拡張分)である。また開発中の Sungun 銅鉱山も第 1 四半期中

に生産を開始する予定であるという。同社長によれば、2005 年 3 月には銅生産能

力は 280,000t に増えるという。現在の生産能力は 158,000t(カソード)である。

(2004. 5. 6 ロンドン 霜鳥 洋)

文献:

・ 金属資源レポート 2004.05 Vol.34 No.1 特集号:世界の鉱業の趨勢 JOGMEC

・ JOGMEC (2004) : ニュースフラッシュ No.04-16, 5 月 13 日

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鉱山製錬所位置図

操業鉱山

Iran-CuMoAu Sar Cheshmeh, 100Km W of Kerman:Lat; 28° 56' 60N,Long; 57° 53' 60E

Iran-ZnPb Angouran, 450~400?km NW of Teheran,(Angoran:Zanjan)

Iran-ZnPb

Irankuh鉱山(=BAMA Pb/Zn): located in the Irankuh area 20km SW of the Esfahan

Province(AabeNil)

Kushk-(Bafq)鉱山: 165km E of Yezd and 45km NE of Bafq town. Lat; 31° 43'

53N,Long; 55° 48' 40E

探鉱開発

Iran-Cu Meduk (Meydouk), 42km NE of Shar Babak,Kerman.

Iran-Cu Sungun, NW 75Km(?) of Ahar, East Azerbaijan. Lat; 38°41' N,Long;46°43'E

Iran-Zn Mehdiabad, SE 80Km of Yazd, Lat; 31° 19' 54N,Long; 54° 54' 46E

精錬所

Iran-Cu Khatoon Abad,45Km frm Sar Cheshmech. Lat; 28° 19' 48N,Long; 57° 51' 33E

Sungun

Angouran

Teheran

Irankuh

Esfahan

Mehdiabad Kushk

Meduk

Sar Cheshmeh/Cu Smelter/Refinery

Khatoon Abad

Shiraz

Mashhad

Tabriz

Iran

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- 34 - イラン

Iran-Cu Sar-Cheshmeh Copper Smelter/Refinery

12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況(金属鉱業事業団、JMEC 等)

海外地質構造調査

1974~1977 年度 イラン中部

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- 35 - イラン

第 2 部 地質解析

1. 地質・地質構造

1-1. 地質概要

イランは地理的にはユーラシア大陸とアラビア半島に挟まれた地域であり、イラン高原

はユーラシア大陸南部の地震帯に位置し、地震の多発地帯でもある。すなわち、この地域

は地質的にはユーラシア・プレートとアラビア・プレートとの接合域にあたる。この事がイ

ランの北端と南部において比較的若い造山帯の Alborz 山脈と Zagros 山脈をそれぞれ発達

させ、それらの間に挟まれてイラン高原が広がる現在の形をもたらし、この地域の特徴と

なっている。

南側のアラビア・プレート上の卓状地は、かつてアフリ力大陸の一部を構成していたも

ので、基盤が先力ンブリア界から成り、その上に古生界から中生界、更に新生界までの地

層が累重している。このアラビア卓状地は現在ぺルシャ湾およびイラン南部の Zagros 褶

曲山地の基盤を構成している。

一方、北側のカスピ海中央域からその東南にかけての広大な地域は、テュランプラット

フォームと呼ばれ、ユーラシア・プレートの南の一部を構成する部分であり、これがその

南側で西から東に連なる Kopet Dagh 山脈~Western Hindukush 山脈などの大褶曲山脈の基

盤を構成している(CGMW,I982)。

イランとその周辺の地質を広域的に俯瞰すると、イランの褶曲帯は、西方ではトルコから

グルジアを経てアルメ二アに延びており、東方はイラン国内の Dash-I Lut 地塊および

Farah 地塊からそれぞれアフガ二スタンとパキスタンへと連なっていて、これらのアルプ

ス期の褶曲山地がイランの南北にあること、及びそれらと関連したアルプス期の火成活動

の存在が示されている。

1-2. 地質および地質構造

上述したように、イランの地質がアラビア・プレートとユーラシア・プレートとの接合部

であり、そこにアルプス造山帯の南北 2 帯が存在することから、同国の大局的な構造とし

てはそれらに支配された北西-南東方向の地質的な延びが特徴的である(Fig.1-3-1 参

照)。

すなわち、イラン南部では北西から南東に延びる Zagros 褶曲帯があり、又、北端では

Kopet Dagh 帯がカスピ海から南東に延び、これら両プラットフォームの間に、挟まれて北

側に Alborz 帯とその南に Central-East Iran 帯が分布する。

Zagros 褶曲帯を構成するのはアラビア・プラットフォーム上に堆積した厚い堆積岩類

(中生界・古生界の炭酸塩岩や砂岩・頁岩類)であり、Kopet Dagh 山脈の褶曲帯では、それを

構成するチュラン・プラットフォーム(ユーラシア・プラットフォーム)の南縁に中生界の

堆積岩類が堆積している。

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- 36 - イラン

更に、Central-East Iran を構成するのは、その基盤のプレ力ンブリア界とインフラ力

ンブリア系、それらを被覆した古生界、中生界および新生界の堆積物からなる。これらの

地層はキンメリア期とアルプス期の変動を被り複雑な地質構造を呈するに至った。

当地域の火成活動としては力レド二ア期およびアルプス期のものが主であるが、特に

Central-East Iran 帯および Alborz 帯では後期白亜紀~古第三紀の火山活動並びに漸進世

~中新世の深成活動が特徴的である。

第 1-1 図 イランの地質図 (Waterman and Hamilton, 1975 に加筆)

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- 37 - イラン

1-3 イランの主要な地質構造単元

イランは次の 3 大構造単元に分類されている;

① テュラン・プレートの南部の縁地域 (North Iran 縫合帯の北方地域)

② イラン・プレート域 (イラン中央部~東部の Iranian Microplate 地域)

③ ザグロス褶曲/造山帯域 (Zagros 衝上断層帯の SW 地域)

(アラビア・プレート北東部縁辺地域)

(Table1-3-1;Lensch 他,1984 および Momenzadeh and Walther, 1984)

これら各構造帯はほぼ北西-南東、若しくは北西-東方向に伸長しており、更に東のア

フガ二スタンおよびパキスタンとの国境付近では大規模な南北性のトランスフォーム断

層である Harirud 断層などにより、地層の水平的な著しい変位が見られる(第 1-2 図参照)。

① テュラン・プレート地域

この構造単元である北イラン縫合帯の北側地域の Kopet Dagh 山脈はテュラン・プラッ

トフォームの南縁部であり二畳系堆積物~三畳系堆積物を基盤とする。この Kopet

第 1-1 表 イランの脂質構造区分

Lensch e tal. (1984) Plate Momenzadeh and

Walther (1984)

Kopet Dagh Turan P}ate Kopet Dagh

Binalud (-Alborz) Alborz Range

Joghatay Sabzevar Zone

Orion-Kashmar Area

Zeberkuh-Osbakkuh Area

Lut Block

Nayband-Tabas Area Central-East-Iran Iran Plate Central-East-Iran

Saghand-Bafq Area Microplate (Lut Block)

Khur-Anarak Area

Ardakan-Yazd Area

Ardestan-Nain Area

Urmieh-Bazman Volcanic Bett

Sanandaj-Sirjan Metamorphic Belt Sanandaj-Sirjan Zone

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- 38 - イラン

Zagros Fold Belt Arabian Plate Zagros

Dagh 山脈を構成するのはジュラ紀~漸新世の厚さ 6,000m 以上の海成層(~浅海性堆積物)

である。 その特徴としては、この地域が後期アルプス期の造山運動で形成されたため、ほ

この褶曲帯には、殆ど火成活動はないが、例外的な火成活動の痕跡としては、北東部に分

布する三畳系地層や三畳系以前の地層中に塩基性火山岩が挟在される例がある。

この North Iran 縫合帯は、へルシニア期から早期キンメリア期にかけての時期にはテ

ュラン・プレートとイラン・プレートの境界域であったものと考えられる。

ぼ並行して配列する褶曲構造が発達し、またその褶曲は非対称となっている事である。

第 1-2 図 イランの地質構造区分

② イラン・プレート地域 (イラン中央部~東部の Iranian Microplate 地域)

この構造単元に相当するのはイラン中央部のマイクロ・プレート地域と Alborz(Elburz)

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山脈の地域である。それらの地域は、さらに Sanandaj-Sirjan 帯(南側)と 0rumiyeh -

Dokhtar 火山帯(北側)に区分される(Lensch and Davoudzadeh, 1984)。

Sanandaj-Sirjan 帯は、その南側を Zagros 衝上断層で境され、北側では 0rumiyeh -

Dokhtar 火山帯と接しており、それらの北西延長はアルメニア・アゼルバイジャンの一部を

経由して、トルコの Taurus 帯に延びている。この Sanandaj-Sirjan 帯の地質は主に古生界

と中生界から成り、キンメリア初期の変動を受けているが、第三系については、堆積岩、

火成岩共に非常に少ないのが特徴である。

0rumiyeh-Dokhtar火山帯は上記のSanandaj-Sirjan帯の北側に並行配列してNW-SEに延

びていて、その特徴としては、後期白亜紀~第四紀にかけて全域での活発な火山活動が挙

げられる。この構造帯の南の部分は Sahand-Bazman 帯として現在は別に区分される

(Hezarkhani and William-Jones, 1998)。 この Sahand-Bazman 帯の特徴は、新第三紀の

カルクアルカリ火山岩類とそれらを貫く第三紀中新世の石英モンゾニ岩、石英閃緑岩の活

動であり、それ故にこれらを母岩する斑岩型の Cu-Mo 鉱床胚胎のポテンシャルが高い構造

帯として注目されてきた。

又、その北西延長部である、0rumiyeh-Dokhtar 火山帯は、イラン北部の Alborz 山脈お

よびイラン東部の Lut 地塊と並び、活発な火山活動があったことが知られている。これら

の地域での火山活動は主として安山岩質およびデイサイト質の活動が卓越しているもの

の、その他に玄武岩、流紋岩やアルカリ火山岩類の分布もごく一般的である。Alborz 山脈

では始新世の火山岩類が卓越するが、それらは海底火山活動に起因すると考えられる事か

らこの地域が当時リフト域であった事が示唆されている(Jankovic and Petrascheck,1997

他)。

Alborz山脈の北西部はイラン北西部のカスピ海南西地域ではSahand-Bazman帯に遮られ

ているが、この Alborz 帯そのものは Sahand-Bazman 帯に被覆された下に延びており、マ

クロにはその延長は、アルメニア~グルジア(小コーカサス山脈)を経由して西に折れ、ト

ルコの Pontid 帯に繋がっていると考えられる(Hezarkhani and William-Jones,1998)。

Central-East-Iran マイクロ・プレートはその周囲と断層(~断層帯)によって接してお

り、北側では Great - Kavir 断層で Alborz 帯と接し、南側では Nein Baft 断層で

Zahand-Bazman 帯と接し、更に東側では Harirud 断層で東イラン帯(East-Iran belt)と接

している。これら Central-East-Iran マイクロプレート周辺の断層帯には数多くのオフィ

オライト複合岩類が分布するが、その活動時期は白亜紀とされる。

③ Zagros 褶曲/造山帯

Zagros 衝上断層の南西地域に広がる低地は、イランの主たる構造単元の一つであり、ペ

ルシャ湾を挟んで中東の油田地域として重要である。

Zagros 衝上断層から南西側にはペルシャ湾との間に Zagros(造山/褶曲)帯(Zagros

ologenic/fold belt/zone)があり、この地帯はアラビア・プレート上で中生代から新生代

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- 40 - イラン

に堆積した海成層から成る。この造山帯の北西延長はイラク及びトルコへ連なり、南東延

長はイラン南東端の Makran 付加コンプレックス帯へ連続している。この帯の海成堆積物

の分布はイランの陸域からぺルシャ湾とオマーン湾を経てサウジアラビア、クェートの一

帯に広範に発達していて、これが中東地域での石油・天然ガスの主たる胚胎層を構成して

いる。

Zagros 帯を構成する堆積物は三畳紀以降にアラビア・プラットフォーム北東部の縁辺域

(古テーチス海)に堆積したもので、厚さは数千メートル以上及ぶ。その後、古テーチス海

はその南に新たに形成され始めたネオテーチス海が発達するにつれて次第に北方へ押や

られ、堆積の場としては急速に衰退していった (Sengor and Natal’in,1994)。

この Zagros 帯堆積物の岩相は、古生界や三畳系から第三紀中新統までのフリッシュを

主とする堆積物と、後期中新統から洪積統の礫質物とからなっている。

Zagros 帯の南東部を特徴づける数多くの岩塩ドームは、アラビア・プレートの基盤岩類

をなす上位インフラカンブリア紀の岩塩層をその起源とし、それらがアルプス変動期にプ

ラグ状に中生界中に貫入したものである (Lensch et al.,1984)。

2. 鉱床

前述の通り、最近のイランにおける非エネルギー、金属資源の中では銅鉱、鉛・亜鉛鉱、

鉄鉱およびクロム鉱の鉱業生産比率が高まっている。

イランではこれら主要鉱種の探査や開発だけでなく、最近は貴金属鉱床の探査も広く

行われるようになり、カーリン型の金鉱床発見なども報じられている。

以下に、主要な非鉄金属鉱床(銅-モリブデン、金-銀、鉛-亜鉛他)の事例について記す。

2-1 主要鉱床の分布

イラン国内の主要鉱床についてはイラン地質調査所(GSI: Geological Survey of Iran)

が取りまとめた Mineral Distribution Map of Iran(1976)にその分布が示されている。ま

た、イランの地質構造区分については、Lensch et al. (1984)による区分について

Momenzadeh and Walther(1984)は更に細分したうえで鉱床の生成期に関して検討を加えた。

前掲の第 4-1 表に両者による地質構造区分の対比を示す。

この検討によれば、銅鉱床が集中するのは、主に第三紀の火成活動が著しかった Urmieh

- Bazman 火山帯、Khur - Anarak 地域および Binalud - Alborz 帯 (MomenzZdeh and

Walther,1984)の 3 帯である。

銅鉱床の内でも斑岩型の Cu-Mo-Au 鉱床が主に胚胎するのは、Sanandaj - Sirjan 変成帯

に並行に延びている Urmieh -Bazman 火山 帯であり、サーチェスメ銅鉱床はその代表格

である。

鉛・亜鉛鉱床の分布は広く、Zagros 褶曲帯と Kopet Dagh 以外のほとんど全ての地質構造

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帯中に及ぶ。鉛・亜鉛鉱床のタイプとしては鉱脈状および層状鉱床が多いが、Zagros 帯で

は稀に、ミシシッピバレー型の鉱床が見られる事がある。

鉱床タイプと鉱化時代との関係については、層準規制型の層状~レンズ状鉛・亜鉛鉱床

は、インフラカンブリア紀、シルル-デボン紀および三畳紀の鉱化作用に多く見られ、脈

状鉱床型はアルプス造山期の火成活動に関連して胚胎されたとされる。

クロム鉱床の分布は、Zagros 衝上断層帯および Central-East-Iran マイクロ・プレート

北部の Sabzevar 縫合帯に沿って分布するオフィオライト複合岩体中に見られ、何れもポ

ディフォーム状の鉱体を特徴とする。クロム鉱床群の内でも比較的規模の大きいものとし

ては Hormoz 海峡北東の白亜紀オフィオライト帯(調査域外)中に胚胎されているものが知

られている。

金・銀に関してはイランでは規模的に大きい鉱床はこれまでのところ知られていないが、

情報としては Urmieh-Bazman 火山 帯で幾つか金鉱床の発見が報告されている。例えば、

同火山帯の北西部域でアンチモニン・砒素鉱床群が分布している地域内でカーリン型の金

鉱床が最近発見されたとの報告もある(Asadi et al.,2000)。

上記の鉱種以外にも、イランでは鉄鉱、硫化鉄鉱、マンガン、重晶石、燐鉱、岩塩、カ

リ塩などの鉱物資源に関しては規模的にも比較的大きい鉱床の賦存が知られている。

2-2 鉱床生成区と鉱床生成期

(1) 鉱床生成区

イランとその近隣諸国を含めた鉱床生成区について Jankovic and Petrascheck (1997),

Pouba and Vanecek (1994)などの議論が報告されている。これらは何れも、大区分に留ま

るが、Pouba and Vanecek (1994)の例ではアジアの Tethyan Alpides 域における大鉱床区

を三分し、更にその一部を細分して次のように分類した。

① コーカサス・アジア小鉱床生成区 (The Caucasian-Asia Minor province)

② イラン・アフガニスタン鉱床生成区 (The Iranian-Afganistan province)

②-a エルブールズ鉱床生成帯 (The Elburs metallogenic zone)

②-b イラン中央地塊鉱床生成帯

(Metallogenic zone of the Central Iranian massifs)

②-c ザグロス・マクラン鉱床生成帯 (The Zagros-Makran metallogenic zone)

②-d スレイマン・キルタール鉱床生成帯

(The Suleyman-Kirtar metallogenic zone)

③ ヒンドゥークシ・クシュ及びヒマラヤ鉱床生成区

(The Hindu-Kush and Himalayan province)

上記の区分は Momenzadeh and Walther (1984)によるイランの地質構造区分とも概ね一

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致している。 なお、上記区分の”Elburs”は”Alborz”の英語表記(例: Momenzadeh and

Walther (1984)の区分)である。

以下に、②イラン・アフガニスタン鉱床区の細分につき記す。

②-a エルブールズ鉱床生成帯 (The Elburs/Albors metallogenic zone)

この鉱床生成帯はその西半部は調査対象域外であるが、同帯における鉱床としては、始

新世の火山岩類中に胚胎される Zeh-Abad 鉛・亜鉛鉱床(鉱脈型)や Shah-Ali-Baglu 鉛・銅鉱

床などが主要な鉱床とされ、ほかにイラン北部(アゼルバイジャン州)の花崗閃緑岩に伴う

多くのスカルン型銅(モリブデン)鉱床が知られている。

又、同地方では近年斑岩型銅鉱床として規模が比較的大きい Sungun 鉱床(域外)が発見

されており、開発されつつある。 但し、この Sungun 銅鉱床やその他の小~中規模の鉱床

を胚胎するアゼルバイジャン地方は Hezarkhani and Williams-Jones (1998)の区分では

Sahand-Bazman 帯に属し、又 Lensch et al. (1984)では Urmieh-Bazman 火山 帯に相当と

されている。それらに拠れば Sungun 銅鉱床やその他の小~中規模の鉱床は、エルブールズ

鉱床生成帯とは別の鉱床生成帯として区分すべきものともされる。

また、イラン北西部の Mashad 市近傍にある世界最大のトルコ石鉱床については、銅鉱

化作用との関連の面からこの鉱床を含む地域全体が注目に値するとされる。

②-b イラン中央地塊鉱床生成帯 (Metallogenic zone of the Central Iranian massifs)

この鉱床生成帯に賦存する多くの鉛・亜鉛鉱床は、Yazd 地域、Anarak 地域などに分布

し、主に中生代の炭酸塩岩類中のレンズ状~脈状鉱床が卓越する。主要な鉱床の例として

は Mehdi Abad 鉱床、Kusk 鉱床、Merjard 鉱床および Nakhlak 鉱床などが知られ、比較的

早期に発見・開発された事からイランにおける非鉄金属鉱業の黎明期から 1970年代までそ

の中核的な役割を果たしてきた。

この鉱床生成帯に属する Sar Cheshmeh 鉱床などの斑岩型銅・モリブデン鉱床は中新世の

花崗閃緑岩の活動と関係した鉱化作用とされ、この鉱床生成帯はイランから更に東方、パ

キスタン南部に連らなり、Saindak 鉱床を胚胎する鉱床生成帯へとつながった一連のもの

と考えられている。

又、この鉱床生成帯では、イランの主要な鉄鉱床となっているスカルン型の磁鉄鉱鉱床

が Kerman の北西の Bafq 地方に分布しており、その主要な例としては Chador-Malu 鉱床、

Chogart 鉱床などが知られている。

②-c ザグロス・マクラン鉱床生成帯 (The Zagros-Makran metallogenic zone)

この鉱床帯で特徴的な鉱化作用のタイプとしては、炭酸塩岩類を母岩とする交代型、も

しくは裂罅充填型の鉛・亜鉛鉱床、および白亜紀のオフィオライトに胚胎するポディフォ

ーム型のクロム鉱床が主な位置を占めている。クロム鉱床の例では Amir 鉱床、Shahriar

鉱床、Shey-Ali 鉱床などが知られている。

但し、この内、主要な多くの鉛・亜鉛鉱床は区分としては北東側に隣接する Sanandaj -

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Sirjan(変成)帯に属すと考えるのが妥当(Hezarkhani and Williams-Jones,1998)とされ

る。

Zagros 褶曲 帯には顕著な火成活動がなく、ベースメタル鉱床に乏しいとされてきたが、

最近、この鉱床帯で中規模のミシシッピバレー型の鉛・亜鉛床の賦存が確認されたとの報

告がある (Liaghat et al., 2000)。

②-d スレイマン・キルタール鉱床生成帯 (The Suleyman-Kirtar metallogenic zone)

この鉱床生成帯はパキスタンやアフガニスタンにおけるアルプス期の鉱床区に相当し

ていて、イラン側でもクロム鉱床を始めとして鉱床が幾つか知られているものの、卑金属

鉱床の賦存は極めて少ないとされる。

(2) 鉱床生成期

調査対象域であるイラン中央部から東部にかけて賦存する主な金属、非金属鉱床の生成

期について以下に概要を記す。これは主に Momenzadeh and Walther (1984)に拠った。

イランの主要な鉱床生成期はとしては古い地質時代から順に、次の 5期にまとめられる;

a). インフラ力ンブリア紀

b). シルル紀-デボン紀

c). ペルム紀、前期~中期三畳紀

d). ジュラ紀、前期白亜紀

e). 後期白亜紀-第三紀

これら 5 期の各々について以下に記す。

a) インフラカンブリア紀の鉱化作用

この時期の鉱化作用としては、層準規制型の鉄-燐灰石鉱床とベースメタルから成る硫

化物鉱床が特徴的で、主に Saghand-Bafq 地域に賦存する。

この時期の例とされる Bafq 地域の Chador Malu 鉄鉱床は大規模なカルデラの環状破砕

帯内に鉱化が生じたパイプ状磁鉄鉱鉱体(Forster and Jafarzadhe,1984)とされる。

b) シルル紀-デボン紀の鉱化作用

後期シルル紀初期とデボン紀後半に層準規制型の鉄鉱床とベースメタル鉱床が

Central-East - Iran マイクロ・プレート上に生成された。それに伴い、その周辺には鉱脈

型の鉛・亜鉛鉱床が生成されたが、これは層準規制型鉛・亜鉛鉱床から金属が再移動したも

のと考えられる。

デボン紀後期には北東部 South Binalud 山地 (Binalud-Alborz 帯)域に層状鉄鉱床およ

び多金属鉱床が生成され、同様な鉱化は南東部 Zeber-Kuh-Sarhangi 山地でも認められる。

これらの鉱床は塩基性の火山活動に関連した火山-堆積岩層中に胚胎する層準規制型鉱床

と考えられる。

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c) ペルム紀-三畳紀の鉱化作用

ペルム紀の鉱化作用として知られているものは比較的少なく、Lut 地塊での炭酸塩岩を

母岩とする層準規制型および鉱脈型の鉛・亜鉛鉱床程度であるが、一方その後の、前期三

畳紀から中期三畳紀にかけては、西 Alborz 地域、Central Iran 地域、Central Zagros 地

域などで炭酸塩岩中に多くの層準規制型の鉛・亜鉛鉱床が生成されている。

d) ジュラ紀-前期白亜紀の鉱化作用

中央 Lut 地域には Sorkh-Kuh 花崗閃緑岩の貫入に関連した斑岩型 Cu-Mo 鉱化作用が知ら

れている。この岩体の時代は同位体分析(全岩・黒雲母 Rb/Sr 法)でジュラ紀(165 Ma~170

Ma)とされた(Tarkian et al.,1984)が、これは中央 Lut 地域では最も古いマグマ活動の一

つであった。

一方、イラン中央部から調査域外の西部にかけてもジュラ紀から前期白亜紀の数多くの

層準規制型の鉛・亜鉛(重晶石・蛍石)鉱床が賦存するが、それらの内でも主要な鉱床は大半

が前期白亜紀に Esfahan-Malayer (-Hamadan)地域(Sanandaj-Sirjan 帯)内に生成されたも

のである。

e) 後期白亜紀-第三紀の鉱化作用

イランの主要な貴金属・ベースメタル鉱床(金、銅、鉛・亜鉛)の多くは、この後期白亜紀

から第三紀の鉱化期に集中的に生成され、その賦存域も殆ど全ての地質構造帯に及んでい

ることが知られている。

中央 Lut 地域ではこの鉱床生成期に 2度の独立したカルクアルカリ岩質の火山活動があ

り、後期白亜紀には Gazu 花崗閃緑岩に伴い斑岩型銅の鉱化作用を生じ、古第三紀(始新世

-漸進世)には安山岩・デイサイト火山底に Cu,Pb-Zn 鉱脈鉱床を生成する鉱化作用をもたら

した。

Zagros 衝上断層帯に並行配列する Urmieh-Bazman 火山帯の南東部 (Kerman 市の西南西)

に Sar Cheshmeh 斑岩 Cu-Mo 鉱床が胚胎するほか、この鉱床生成帯には数多くの鉱脈型、

斑岩型の銅鉱床および鉛・亜鉛・重晶石鉱床が賦存している。それらの鉱化作用は漸進世~

中新世の花崗閃緑岩質、石英モンゾニ岩質貫入岩に関連したものとされる。

この鉱床生成帯の鉱床は Zagros 衝上断層帯から北東側に約 150km の距離に、断層帯と

ほぼ平行して断続的に配列する火山-深成岩帯の中に発達する。このことから当鉱床生成

帯の鉱化と密接に関係したこれらの火山-深成岩帯は、テーチス海洋プレートがイラン・プ

レートの下部に潜り込んでマグマが形成され、それが地下浅所に貫入した火成活動による

もので、更にこの火成活動と関連して鉱化作用がもたらされたとされる。

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2-3 主要鉱種の鉱床タイプ

イランの金属鉱床の概要については USBM (1991)、Mining Journal (1997)などでまとめ

られており、同国で高い資源ポテンシャルを有する鉱種として、銅、鉛・亜鉛、クロムな

どが指摘されてきた。

また、最近の報告によれば、金・銀鉱床をターゲットにした調査も進められてきた結果、

カーリン型の金鉱床など、新たな情報も得られつつある。

イラン全土にわたる主要金属鉱床の分布(GSI,1976)を Fig.1-3-3 に示す。同図には約 90

の鉱床だけがプロットされているが、知られている金属、非金属鉱床および鉱徴地の総数

は 500 以上ある。

銅鉱床のタイプには斑岩型、スカルン、鉱脈、層準規制など幾つもが知られているが、

それらの中で最も重要な位置を占めるのは斑岩型銅(-モリブデン)鉱床である。その中で

も、第三紀漸進世~中新世の貫入岩に関係した鉱床が一番多く、分けても Sahand-Bazman

帯 (= Urmieh-Bazmann 火山岩帯)中には何カ所もの斑岩型銅鉱床が発見されている

(Shahabpour, 1992 その他)。 Kerman 市の西南西地域のサーチェスメ銅鉱床はその代表的

なものである。

一方、鉛・亜鉛鉱床はイランの金属鉱床の中でこれまで最も数多く見出され、且つ、今

後もその資源ポテンシャルは銅鉱床と共にきわめて高い位置を占めるとされる。 鉛・亜

鉛鉱床のタイプの主なものでは、次のタイプなどが知られている。

1)ミシシッピバレー型鉱床

2)黒色頁岩中の層状鉱床

3)熱水性鉱脈鉱床 その他

ミシシッピバレー型の鉛・亜鉛鉱床は中生代の炭酸塩岩を母岩とする層状~塊状鉱床で、

地表付近では酸化鉱(白鉛鉱、菱亜鉛鉱、異極鉱など)に富み、その深部で鉛・亜鉛の硫化鉱

へ移行する。このタイプの代表的な鉱床の一つが Angouran 鉱床で、その埋蔵鉱量(酸化鉱

+硫化鉱の合計)は 2600 万トンとされる(EMG, 2001)。

黒色頁岩中の層状鉛・亜鉛鉱床は、インフラカンブリア紀、古生代、中生代の黒色頁岩層

中に胚胎する噴気堆積性の鉛・亜鉛鉱床(Burnol, 1968)である。このタイプの典型的な鉱床

としては Bafq 地方の Kushke 鉱床が挙げられ、その鉱量は 500 万トンと推定されている。

熱水性鉱脈鉱床は Alborz zone、Central-East-Iran などの構造帯中に広範に分布して

おり、その母岩は主に後期白亜紀~古第三紀の火山岩類で、鉱量的には殆どが中~小規模

のものである。

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第 2-1 図 イランにおける金属鉱床分布図

2-4. 主要鉱床の産状と成因

イランの金属鉱床については USBM(1991)、Mining Journal(1997)などでその概略が

まとめられている。それらによると、銅、鉛・亜鉛、クロム鉱床についての資源ポテンシ

ャルの高いことが報告されているが、最近では、金・銀鉱床に関する調査も進められてお

り、カーリン・タイプの金鉱床など、新しい知見も発表されている。

① 銅、鉛・亜鉛鉱床の産状

主要金属鉱床の分布については第 2-1 図に示した。同図には約 90 の鉱床がプロットさ

れているが、金属・非金属鉱床(鉱徴地を含む)の総数は 500以上に及んでいる(GSI,1976)。

これらの内、ペルシャ湾岸の Zagros fold belt 域を除くイラン東半部については GSI に

よる記載に基づいた鉱床・鉱徴地の一覧表があるので巻末に転載する。

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銅鉱床としてはポーフィリー、スカルン、鉱脈、層準規制などのタイプが認められてい

るものの、最も重要なものとしてポーフィリー・タイプの銅(-モリブデン)鉱床がある。

なかでも、第三紀漸新~中新世の貫入岩に伴う鉱床が最も多く、とくに、Kerman 西南西地

域の Sar Cheshmeh 鉱床を含む Sahand-Bazman zone(-Urmieh-Bazmann 火山岩帯)中には

数カ所以上のポーフィリー鉱床が見出されている(たとえば Shahabpour,1992)。

鉛・亜鉛鉱床はイランの金属鉱床中でその数が最も多く、かつ、その資源ポテンシャル

は銅鉱床とともにきわめて高いといえよう。鉛・亜鉛鉱床のタイプとしては 1)ミシシッ

ピバレー鉱床 2)黒色頁岩中の層状鉱床 3)熱水性鉱脈鉱床などがある。

ミシシッピバレー・タイプの鉱床は中生代の炭酸塩岩を母岩とする層状~塊状鉱床で、

地表付近では酸化鉱(白鉛鉱、菱亜鉛鉱、異極鉱など)に富み、その深部において硫化鉱

へ移行する。代表的な鉱床として、Angouran 鉱床があり、酸化鉱+硫化鉱の合計の埋蔵鉱

量は 2600 万トンといわれる(EMG,2001)。

黒色頁岩中の層状鉱床はインフラカンブリア、古生代、中生代の黒色頁岩層中に胚胎す

る噴気堆積性の鉛・亜鉛鉱床(Burnol,1968)である。その典型は Bafq 地方の Kushke 鉱

床で、鉱量 500 万トンと推定されている。

熱水性鉱脈鉱床は Alborz zone,Central-East Iran などの構造帯中に広範な分布を示す。

これらは主に後期白亜紀~古第三紀の火山岩類中に胚胎しており、中~小規模な鉱量を持

つ鉱床がほとんどである。

② Sar Cheshmeh ポーフィリー銅-モリブデン鉱床

Sar Cheshmeh 鉱床はイランの南東部、Kerman 市の西方、約 100km に位置する。この鉱

床の開発の歴史はきわめて古く、古代まで遡る。鉱床の再発見は 1966 年で、その後 1969

年まで探査が実施され、1977 年に本格的な生産が開始された。イランにおける現在までの

銅生産量のほとんどはこの鉱山からのものであり、最近の 3 年間における銅およびモリブ

デンの生産量は表 1 に示した通りである。Sar Cheshmeh 鉱山ではさらに、選鉱場および精

錬所の処理能力の拡大を計画している(EIA,1999)。

Sar Cheshmeh 鉱山は Kerman の西~南東部を北西-南東方向に伸びる第三紀の火山岩帯の

ほぼ中央部に位置する。この火山岩帯は Zagros fold belt および Sanandaj-Sirjan

metamorphic belt に平行して分布し、多くの銅、鉛・亜鉛鉱床を胚胎している。Sar Cheshmeh

花崗閃緑岩体は古第三紀火山岩類に貫入する東北東-西南西方向の伸びをもつ岩体で、楕

円状を示し、きわめて多くの岩脈に貫かれる(図 D-5)。

鉱化作用は安山岩類とそれに貫入する岩株状の Sar Cheshmeh 花崗閃緑斑岩(Sar

Cheshmeh porphyry)岩体において著しい。Sar Cheshmeh porphyry は“Late”porophyry and

breccia に貫かれ、それらはさらに極めて多くの NNW-SSE 岩脈群に切られる。Cu-Mo 鉱化

は Sar Cheshmeh porphyry の周辺部で顕著であるが、1.4%Cu 以上の高品位部はその岩体

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の北東部および北西部に集中する。Mo の濃集は岩体の北西部に見られる(図 D-6)。これ

らの鉱化帯はカリ長石帯(セリサイト帯を伴う)および黒雲母帯に分布と調和的である。

すなわち、Sar Cheshmeh porophyry によって貫かれた古第三紀の安山岩類がカリ長石化・

セリサイト化および黒雲母化変質を被った熱水変質帯であり、0.4%Cu 以上の品位分布範囲

(長径 2km×短径 1km)におおむね一致する。

Sar Cheshmeh 鉱床の埋蔵鉱量(1975 年および 2001 年)は次の通りである。

③ Sungun ポーフィリー銅鉱床

Sungun 鉱床はイラン北西部、アゼルバイジャン省 Ahar の北西、約 75km に位置する。鉱

床は白亜紀の炭酸塩岩類および始新世の火山-堆積岩類中に貫入した閃緑岩、花崗岩閃緑

岩および石英モンゾニ岩およびその周辺に生成している(図 D-7)。銅鉱化作用の多くは

カリウム変質帯に、その一部はセリサイト変質帯に伴われる。銅鉱化帯はモンゾニ岩~石

英モンゾニ岩体を中心として、北北西-南南東に伸びた直径 2km、短径 600-1,300m の広

がりを示す。鉱化帯は鋼硫化物を伴う網状~細脈状石英脈および鉱染状同硫化物から成る。

鉱化作用の早期には石英+輝水鉛鉱+硬石膏±カリ長石±セリサイトを主とし、少量の黄銅

鉱、斑銅鉱、磁鉄鉱および輝蒼鉛鉱を伴う。

これまでの探査結果から、この鉱床の埋蔵鉱量は確定鉱量 5 億トン以上、粗鉱の平均品

位は 0.76%Cu、0.01%Mo であり、その開発に期待がかけられている(EIA,1999)。

したがって、Sungun 鉱床の鉱化変質作用は石英細脈~網状脈によってもたらされ、それ

らは鉱化変質ステージから、以下の 4 グループに分けることができる。各ステージはそれ

ぞ れ 以 下 の よ う に 特 徴 的 な 鉱 物 組 み 合 わ せ を 示 し て い る ( Hazarkhani and

Williams-Jones,1998;Hazarkhani et al.,1999)。すなわち;

1975 2001

Supergene ore

Grade

92,348,000t

1.996%Cu

-

Hypogene ore

Grade

335,175,000t

0.895%Cu

0.03%Mo

1,250,000,000t

0.6%Cu

0.03%Mo

0.27 g/t Au

3.98 g/t Ag

Cutoff grade 0.4%Cu

calculation: from surface

to 2350m-bench elevation

0.25%Cu

-

Sar Cheshmeh 鉱床の埋蔵鉱量表

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GroupⅠ期では連続性の乏しい石英脈(幅 0.5-3mm)とその周辺の鉱化変質で、主に貫入

岩体の早期の小裂力中に生成した。脈の周辺には輝水鉛鉱を生じ、石英脈の中にはカリ

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第 2-2 図 Sungun 鉱床の地質及び鉱化変質帯図(Hezarkhani and William-Jones,1998)

(上):Sungun 鉱床地質図 (下)鉱化変質帯図

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長石、硬石膏、黄銅鉱、斑銅鉱、黄鉄鉱などが多い。輝蒼鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱はしばし

ば輝水鉛鉱の包有物として存在する。変質はカリウム変質を主とし、僅かにフィリックお

よびプロピライト変質を伴う。液体包有物による熱水の温度は 420±60℃と推定されてい

る(Hazarkhani and Williams-Jones,1998)。

GroupⅡ期ではⅠ期の脈を切る石英脈あるいはオフセットする石英脈が多く、脈幅

3-30mm で比較的連続性に富む。脈の周辺はセリサイト化が著しい反面、カリ長石に乏しい。

脈石英はおおむね粗粒で、結晶は脈壁に斜交する。鉱石鉱物は石英脈中に不連続的に生じ、

その多くは黄銅鉱と黄鉄鉱で、僅かに磁硫鉄鉱を伴う。包有物による鉱化溶液の温度は 360

±60℃で、塩濃度はかなり高い。

GroupⅢでは石英細脈は GroupⅠ・Ⅱ期の脈を切る。その脈幅は 3~50mm で、連続性もか

なりよい。石英は脈の縁辺に集中し、その中央部では硬石膏、方解石、硫化物などを伴う。

概して、黄鉄鉱に富み、その結晶中に僅かに黄鉄鉱を包有する。変質鉱物はセリサイト、

方解石、硬石膏が主で、少量の緑泥石を伴う。この期の熱水の温度は 240~330℃と推定さ

れる。

GroupⅣ期は鉱床生成期最後のイベントであり、石英脈は乳濁状石英、方解石および石

膏から成り、Ⅰ~Ⅲ期の石英脈を切っている。それらの脈幅は最大 17cm であり、主とし

てプロピライト変質帯中に生じる。硫化鉱物としては黄鉄鉱がほとんどを占め、僅かに閃

亜鉛鉱および方鉛鉱を認める。

Sungun 鉱床の最初の地質鉱床調査は Ladame(1945)によって行われ、その平均品位は 1

~2%Cu,1g/t Au と報告され(Geological Survey of Iran,1969)、花崗閃緑岩体の周辺

に生成したスカルン型鉱床と考えられていた。

本格的な深部探査は(深度 1,000m)1991 年に開始され、その初生鉱体の品位 0.7%Cu、

浅成富化鉱体品位 1.5%Cu を把握した。現在、2002 年を目途とした露天採掘による開発

(180,000t/y 銅精鉱)に期待が寄せられている(EIA,1999)。

④ Zarshuran 金鉱床

Zarshuran 鉱床はイラン北西部、Takab town の北約 35km、北緯 36 度 43 分、東経 47 度

8 分に位置する。この地域は先カンブリア時代およびカンブリア紀の変成岩類を基盤とし、

第三紀鮮新-中新世の堆積岩ならびに中新世の貫入岩類から構成され、さらにそれらを第

四系がおおっている。

Zarshuran 鉱床地域にはこれまで、雄黄(As₂S₃)、鶏冠石(AsS)や輝安鉱(Sb₂S₃)な

どを主とする鉱床が賦存し、数百年前から砒の産地としても良く知られていた。また、こ

の地域は砂金の産地でもあった。

この地域での本格的な金の調査は 1990 年以降に実施されてきた。さらに、Zarshuran 鉱

床の西方 14km では浅熱水性金銀鉱床(Agh-Darreh 鉱床)の探鉱も行われている。

Zarshuran 鉱床は先カンブリア時代の黒色頁岩を主とする Zarshuran unit 中に賦存し、

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その鉱床母岩が炭質物および炭酸塩類にきわめて富んでいるのが特徴であり、鉱化帯の走

向延長は 5-6km に達する。

鉱床付近の断裂としては NW-SE 系と NE-SW 系とが卓越的な発達を示し、主要な鉱化帯は

これら両断裂系の交点に位置する。鉱石鉱物はミクロンないしオングストローム・サイズ

の金、雄黄、鶏冠石、輝安鉱、グチェル鉱、辰砂、タリウム鉱物、重晶石、含 Au-As 黄鉄

鉱などである。

鉱化作用の時期の検討は K/Ar 法および Ar/Ar 法により、全岩と変質鉱物を対象として

行われて、14.2±0.4Ma を得ており、この地域の中新世の火山活動の時期とほぼ同一と考

えられる。

鉱化作用の初期には母岩中の炭酸塩類などの移動と石英の沈殿があり、その後の鉱化作

用の主要期には粘土化変質を伴った塊状の珪化作用で特徴づけられる。その後期には鉱脈

化が卓越し、主要な珪化作用は断層の交叉する箇所やガウジなどに生じている。以上のよ

うな産状から、これらの鉱床の特徴はカーリン型金鉱床のそれと極めて類似する(Asadi et

al.,1999 and 2000)。

Zarshuran 鉱床の埋蔵鉱量は最近のトレンチならびにボーリング探査などから、鉱量

2.5mill.t、品位 10g/tAu(Au 金属量:25t)が計上され、その開発が待たれている。

3. 鉱床胚胎有望地域

ポーフィリー銅・モリブデン鉱床(Sar Cheshmeh および Sungun)および金鉱床

(Zarsbhuran)については詳細な鉱床記載や最近の探査・開発状況などに関する資料が公

表されてきており、それらの入手が可能となっているためにその概要取り纏めも可能とな

った。

しかし、鉛・亜鉛やクロム鉱床に関しては、それらがかなり大きな資源ポテンシャルを

有すると推測できるにもかかわらず、詳細な鉱床記載や資源量について、最近の資料を入

手することが依然として困難で最新の情報を欠いている。イランにおける鉛・亜鉛鉱床は

古生代から新生代第三紀までの長い地質時代にわたり、きわめて多くの層状、レンズ状あ

るいは脈状鉱床が Central- East Iran 地域に広範に分布する。なかでも、Sanandaj-Sirjan

metamorphic belt、Sahand- Bazman belt および Lut block に集中的に賦存する。また、

最近ではミシシッピバレー・タイプの鉛・亜鉛鉱床(Kube Surmeh)が Zagros fold belt

中から報告されている。これらの地域での系統的な探査の結果が期待される。

銅鉱床もイランでは古生代から新第三紀までの地質時代にいろいろなタイプの鉱床が生

成しているが、なかでも、Sar Cheshmeh や Sungun 鉱床に代表されるポーフィリー・タイプ

の Cu-Mo 鉱床が特に注目に価する。ポーフィリー・タイプの鉱化作用は Lut Block およびそ

の周辺域と Sahand-Bazman belt に多数発見されている。とくに、Central Iranian volcanic belt

(Sahand- Bazman belt と同義)中には Sar Cheshmeh 鉱床を始めとして、数個以上におよぶポ

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ーフィリーCu-Mo 鉱床(鉱徴地を含む)が見出されており(例えば Shahabpour,1992)、そ

れらのポテンシャルの高さから今後の探査成果に大きな期待が寄せられ得る。有望地域とし

ては北西部 Sungun ポーフィリー銅鉱床周辺と Sar Cheshmeh ポーフィリー銅鉱床の間の探査

空白域は特に興味が持たれる。

その他に注目される点として、鉄鉱化作用の賦存域にニッケル鉱化作用がコバルトを伴う

可能性のある点で、この観点から Kerman の NW の鉄鉱床群を初めとして、鉄鉱化作用と、

他の鉱種(例えばコバルトの他にも IOCG 鉱床など)との関係も含めた探査が系統的ななされ

ることが期待される。

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