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日英語節複合における時制表現に関する考察 話者の状況の視点という概念を通して龍 城 正 明 1.はじめに 時間と時制という概念は各言語において特有のものとされる。確かに多く の言語には過去,現在,未来という時間的概念が存在しても,それを具現す る文法形式が常に過去,現在,未来という時制をもっているか否かは一定 していない。特に日本語の場合は,よく知られているように,時間的概念の 過去,現在,未来は存在するが,時制としては,過去と非過去というつの 時制しかない。また,英語では節が複合されると主節と従属節の間で,時制 の一致という文法的制約が生じるが,日本語にはそのような際だった制約は 生じない。このことから,主節と従属節からなるつの節間においての時制 の取り扱いが英語と日本語では異なることになる。その点に注目し,本稿で は選択体系機能言語学(Systemic Functional Linguistics=SFL)の枠組みで日 英語の節複合(clause complex)の具現表現の差異を時制の扱いを中心に対 照的に分析する。特に日本語では話者の視点が時制への裁量権をもつことに 鑑み,これを話者の「時の状況の視点(viewpoint of situation of time)」と呼 ぶことを提唱する。それにより,節複合における従属節に具現する時制とし ての形式は,現在を具現する日本語の時制である非過去というよりは,実は 時制をもたない「不定形(innitive)」と分析するほうが,日本語の時制分析 には適切であることを論じる。

日英語節複合における時制表現に関する考察 · 1.はじめに 時間と時制という概念は各言語において特有のものとされる。確かに多く

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日英語節複合における時制表現に関する考察―話者の状況の視点という概念を通して―

龍 城 正 明

1.はじめに

 時間と時制という概念は各言語において特有のものとされる。確かに多く

の言語には過去,現在,未来という時間的概念が存在しても,それを具現す

る文法形式が常に過去,現在,未来という3時制をもっているか否かは一定

していない。特に日本語の場合は,よく知られているように,時間的概念の

過去,現在,未来は存在するが,時制としては,過去と非過去という2つの

時制しかない。また,英語では節が複合されると主節と従属節の間で,時制

の一致という文法的制約が生じるが,日本語にはそのような際だった制約は

生じない。このことから,主節と従属節からなる2つの節間においての時制

の取り扱いが英語と日本語では異なることになる。その点に注目し,本稿で

は選択体系機能言語学(Systemic Functional Linguistics=SFL)の枠組みで日

英語の節複合(clause complex)の具現表現の差異を時制の扱いを中心に対

照的に分析する。特に日本語では話者の視点が時制への裁量権をもつことに

鑑み,これを話者の「時の状況の視点(viewpoint of situation of time)」と呼

ぶことを提唱する。それにより,節複合における従属節に具現する時制とし

ての形式は,現在を具現する日本語の時制である非過去というよりは,実は

時制をもたない「不定形(infinitive)」と分析するほうが,日本語の時制分析

には適切であることを論じる。

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2.SFLにおける節と節複合

 2.1.節の定義

 Hallidayによると,節(clause)とは,主語(Subject)と定性(Finite)か

ら成る叙法部(Mood)と,それ以外の要素から成る残余部(Residue)によっ

て具現する単位とされ,一般に言う「文」とは区別される1。というのも文

とは,通常ピリオドによって終わる単位とされるが,これは書き言葉にのみ

適用されるものであって,話し言葉の単位とは考えられていない。従って,

Halliday は,曖昧な「文」という定義を用いず,叙法部と残余部から成る単

位を「節」と呼び,これを分析の基本単位としている。

 また日本語では,英語の主語と定性に当たる単位が必ずしも明確ではない

ため,Halliday の定義による節を直接流用することは難しい。そのため,常

に主語や定性が明示されるわけではない日本語の分析単位として,the Kyoto

Grammar2 では疑似節(quasi clause)という名称を与えている。これは,英

語のように定性となる要素,例えば助動詞などが必ず具現するとは限らず,

日本語では動詞や形容詞を中心とするひとつのまとまりのある単位として具

現することがある点,また定性が演算辞(operator)として発話機能の情報

提供,情報探求という要素になり得ない点がある3。従って,日本語では節

であったとしても,オペレータという機能をもった定性という概念を欠く単

位として具現し得るからである。

 しかしながら,本稿では日英語の対照のため,以後英語の節と日本語の疑

似節をまとめて,便宜的に節と呼んで分析を行うこととする。

 2.2.節複合とは

 SFLでは,節という単位が分析の基本単位となるので,その節が複数個集

まった単位を節複合と呼ぶ。節複合を構成する節の間には,節の並立的な構

造を持つ並立節複合(paratactic clause complex)と,主従関係から成る従属

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龍 城 正 明 日英語節複合における時制表現に関する考察―話者の状況の視点という概念を通して― 195

節複合(hypotactic clause complex)の二つがあり,これらは節の結合関係(taxis)

と呼ばれる4。本稿では特に主となる節における時制がいかに従となる節に

影響を及ぼすかという観点から時間と時制について見ていくが,特に従属節

複合にみられる時制の具現について日英語対照の観点から考察していくこと

にする。

3.従属節複合における時間と時制

 時制に関しては,日本語は過去・非過去の2分類であると述べたが,以下

では英語との対照のため,現在を具現する場合は現在形,また「だろう」な

どの未来を表す語彙が付加される場合は未来形と呼び,本稿では非過去につ

いては現在形と未来形を用いることとする。また,過去についても英語との

対照,特に時間的概念を想起させる意味で過去や大過去(過去完了形)とい

う時制術語を用いることにする。

 英語には時間と時制が一致している点に加え,主節と従属節においては主

節がコントロールする時制の一致という文法的制約がある。そのために,主

節と従属節間における時制の扱いに関して,日本語の観点からすれば特に問

題ない表現も,英語では極めて奇異に感じられる表現がある。この点につい

て下記の例(1)を見てみたい。

(1) *Mike thinks that he wins the tournament.

 (1)は,「マイクは試合に勝つと思う。」という節を文字通りに英訳したも

のあり,日本語では従属節の「勝つ」と主節の「思う」には,2つの現在時

制を用いて表現してもなんら問題はない。一方英語では(1)の例文は下記

(2a-d)のいずれかでないと,母語話者には奇異に感じられると言う。その

意味では従属節には現在形ではなく,未来の意味解釈が必要であるというこ

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とになる。

(2) a. Mike thinks that he will win the tournament.

b. Mike thinks that he is going to win.

c. Mike thinks he is winning.

d. Mike thinks he has won.

 以上の(2a-d)からもわかるように,英語には時制の一致という文法的制

約の他に,現在形で thinks と具現されたとしても,その内容が未来であれば,

時制は助動詞 will や現在進行形による未来形として具現されるのが自然であ

る。

 一方日本語では,

従属節時制 主節時制

(3) a. マイクは試合に勝つと思う。 現在 現在

b. マイクは試合に勝つだろうと思う。 未来 現在

c. マイクは試合に勝ったと思う。 過去 現在

 となり,(3a-c)に見られるように,日本語の節複合「マイクは試合に勝

つと思う。」では主節と従属節の時制は常に同じである必要はなく,従属節

には未来,過去という時制が具現する。これには英語のように時制の一致と

いう文法的制約はなく,従属節に具現する時制は話者のその時点で強調した

い状況によって変化することがわかる。即ち,主節における「思う」に対し,

話者の考える,あるいは見ている状況判断によって,従属節の時制は悉く変

化して伝えることが可能である。特に,話者の伝えたい考えや内容は,話者

が現在置かれている状況により変化するもので,それは主節の話者がどの時

点の状況を伝えたいのか,即ち,現在か過去か,もしくは未来かによって変

化させることができる。それと同じくその思考内容や言内容もそれが起こっ

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た時点での報告ということになれば,当然ながら,主節の時制とは関係なく,

時制も変化することになる。これが,話者の「状況の視点(viewpoint of

situation)」と呼ばれる捉え方で,日本語のように主節と従属節との間に時制

の一致がない言語では,ひとえに話者の伝えたい思考内容が言内容となり,

その時点での報告がなされる。これは日本語においては極めて自然な発話行

為であると言えよう。言い換えれば,日本語の従属節は話者の視点による時

制解釈が可能であると言うことができる。

 さらに,主節が過去時制の場合は以下の(3)に見るように,日本語では

主節の過去に関係なく,現在,過去,未来と様々な時制をもった表現が具現

される。

従属節時制 主節時制

(3) a. マイクは試合に勝つと思った。 現在 過去

b. マイクは試合に勝ったと思った。 過去 過去

c. マイクは試合に勝つだろうと思った。 未来 過去

 しかし,英語の場合は,先述のとおり,日本語のように自由に従属節の時

制を変化することは許容されず,主節の時制にコントロールされた時制が具

現することになる。

(4) a. * Mike thought that he wins the tournament.

b. * Mike thought that he will win.

c. * Mike thought that he has won.

d. Mike thought that he won.

 ただし,日本語の場合も主節と従属節の2つに異なる時制が具現するのは,

思考や言動に関わる事象のみで,単なる行動や物質的な内容を具現する場合

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には見られない。したがって,過程構成(transitivity)5で分析される動詞の意

味化では,これらの現象は心理過程(mental process)と発言過程(verbal

process)のように従属節表現が可能な過程のみに生じる,と分析することが

できる6。

4.日英語の節複合,特に投射表現(projection expression)に関する時制の分析

 節複合では,発言過程としての「言う」を一般的な例としてあげることが

できるが,本節ではこの「言う」という発言過程による主節とその言内容を

投射した従属節の時制について見ていくことにする。

 先ず,以下の例文(6a-d)を見てみたい。

(6) a. “I am being paid by the hour,” she said.

b. She said she was being paid by the hour.

c. 「私は時間で給料が支払われる」と彼女は言った。

d. 彼女は時間で給料が支払われると言った。

 (6a)では投射内容が直接に表現されているので,主節の時制が過去であっ

ても言内容は現在形で具現されている。一方,(6b)では言内容として具現

されている従属節は主節の said が過去形であることから,当然ながら,時制

の一致の制約をうけ,その言内容が発話時点の時制に関係なく過去形となっ

て具現されている。

 これに反して(6a, b)に相当する日本語(6c, d)では,主節の「言う」が

「言った」と過去時制として具現されても,言内容の時制は,共に「支払わ

れる」という現在時制が用いられている。

 以上の点から英語と日本語における時制転移は直接話法と間接話法との間

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で顕著な特徴が見られることになる。

 英語の間接話法における時制転移は Quirk et al.(1985)によると,以下の

ように整理され,彼等によると,これは後方転移(backshift)と呼ばれている。

(7)Backshift in Indirect Speech

時制の流れ直接話法 間接話法現在形 過去形過去形 過去形または過去完了形

現在完了形 過去完了形過去完了形 過去完了形

(Quirk et al., 1985, A Comprehensive Grammar of the English Language, p. 1026)

表(1)

 英語における時制の後方転移は間接話法における以下の例にも見られる

が,これは(8)のイタリック体で表示された部分の,時制の一致という文

法上の制約により具現されるものと言える。

(8) a. ‘The exhibition finished last week,’ explained Ann.

b. Ann explained that the exhibition finished / had finished the

preceding week.

c. ‘I’ve been waiting over an hour for you,’ she told him.

d. She told him that she had been waiting over an hour for him.

 このような英語の間接話法の時制転移に対し,日本語では同じ間接話法の

表現であっても,主節の時制に関わらず従属節の時制は自由に具現する。例

えば,主節が過去時制であるからと言って,従属節にあたる言内容の時制が

過去や過去完了に限られることはない。このことから,英語の時制が「後方

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転移」であるのに対し,日本語では統語上の相違から「前方転移」であると

言うことができる。さらに,この従属節の時制は表(2)に示すように話者

の状況の視点によって選択されることになる。

(9)日本語の前方転移 直接話法 間接話法

主節時制 従属節時制 主節時制 従属節時制現在形 現在形 現在形 現在形過去形 現在形 過去形 現在形

表(2)

 具体例としては(10a-d)に見られるように,日本語の場合は,主節の「言

う」という発言過程の時制にかかわらず,話者の状況の視点により,言内容

の時制は現在,過去,大過去(過去完了)という3つをもって具現可能である。

(10) a. マーガレットはバラが好きだと言う。

b. マーガレットはバラが好きだと言った。

c. マーガレットはバラが好きだったと言う。

d. マーガレットはバラが好きだったと言った。

 以上の点から,英語と日本語の主節,従属節の時制に関しては以下のよう

にまとめることができよう。

(11) 英語では過去に起こった出来事は従属節でも過去時制で具現さ

れ,これは時制の一致という文法的制約による。

日本語では過去に起こった出来事でも従属節内では現在時制(不

定形)を用いて具現される。さらに従属節内では時制の一致と

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いう文法的制約はなく,過去,現在,未来という様々な時制が

具現可能である。

5.日英語節複合の時制の具現について

 本節では,Dan Brown 著 The Lost Symbol に見られる英文の節複合とその日

本語訳を用い,英語と日本語の時制転移の具現形について対照させながら分

析していくことにする。

 5.1 日英語の時制具現に関する対照分析

 先ず,以下の英語の例文(12-14)を参照し,それに対して日本語の翻訳

者が与えている日本語訳を見てみたい。

(12) a. In this case Nuñez’s instincts sensed nothing that caused him any

fear. (p. 18)

b. この時,ヌニェスの本能は恐怖を呼び覚ますものを何も感じ

とらなかった。

 (12a-b)に用いられる動詞の時制をまとめると以下の表(3)のようになる。

英語 日本語

主節時制 過去形(sensed) 過去形(とらなかった)

従属節時制 過去形(caused) 現在形(呼び覚ます)

表(3)

 以下(13)でも同様の動詞の時制の相違が見られる。

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(13) a. Langdon felt a sudden sinking sensation now guessing this was

probably about. (p. 38)

b. 何となく思い当たることがあり,ラングドンは気分が急に沈

んでいくのを感じた。

 また,(13a-b)も下記の表(4)のようにまとめられる。

英語 日本語主節時制 過去形(felt) 過去形(感じた)従属節時制 過去形(was) 無時制(あり)

表(4)

 (13b)では,「あり」は連用形として具現されているので,時制辞は具現

されていないので,無時制と言えるが,かといって,これが英語のように主

節の時制の一致規則により,明らかな過去形で具現されているわけではない。

 次に例(14)を見てみよう。これは主節,従属節に加え,従属節中に関係

節が具現されている例である。

 

(14) a. Langdon felt a sudden chill as he recalled the words of the man

who had brought him here. (p. 51)

b. ここへ自分を誘い出した男のことばを思い出し,急に寒気を

覚えた。

 (14a-b)で用いられる主節,従属節,関係節の動詞はそれぞれ次のように

分析できる。ここでの「思い出し」も(13b)と同じく,不定形とし,形式

としての過去形とは分析できない。これらは以下の表(5)にまとめて表示

する。

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英語 日本語主節時制 過去形(felt) 過去形(感じた)従属節時制 過去形(recalled) 無時制(思い出し)関係節時制 過去完了形(had brought) 過去形(誘い出した)

表(5)

 さらに,(15)では関係節を含んだ従属節の動詞時制の具現について見て

みよう。

(15) a. More than half of the framers of our Constitutions were Masons,

men who strongly believed that the stars and fate were intertwined,

men who paid close attention to the layout of heavens as they

structured their new world. (p. 29)

b. 憲法起草者の半数以上はフリーメイスンで,星と運命が密接

に結びついていると固く信じ,新世界を打ち立てるにあたっ

て天の配置に細心の注意を払ったんだよ。

 以上の例を見る限り,日本語では従属節の言内容は常に現在時制,もしく

は無時制をもって具現されているが,例えば,現在形という形式(form)が,

意味(meaning)としても現在を具現しているかというとそうではない。こ

こでは形式は現在形であってもその意味は過去を具現しているというのが適

切であろう。その点,ここでの現在形というのは「形式としての現在形であ

り,意味としては過去を具現している。」というのが適切な分析である。し

たがって,日本語の場合は従属節の現在形というのは,無標の具現形であり,

その意味でこれは純然たる「現在形」ではなく,不定形(infinitive)と呼ぶ

に相応しい形式であると言える。

 ここでの不定形とは,時制をもたない形式としての動詞の原形のことを言

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い,それ自体で時制を具現することはなく,話者の状況の視点により,時制

の変化が生じる可能性がある形式である。したがって,上で見た連用形のよ

うな時制辞をもたない無時制の形式も本稿では不定形と呼ぶことにする。

 言い換えれば,日本語では主節の時制が主であり,従属節の時制は形式と

して,現在形を用いているが,意味はその話者の視点により,現在とも過去

とも解されるということになる。以上の分析に基づくと,(15)は,以下(16)

のように分析することも可能であろう。

(16) 憲法起草者の半数以上はフリーメイスンで,星と運命が密接に

結びついている(こと)と固く信じ,新世界を打ち立てる(こと)

にあたって点の配置に細心の注意を払ったんだよ。

 (16)に示したように,「結びついている」のは「結びついていること」で,

また「固く信じ」は「固く信じている状態」,さらに「新世界を打ち立てる」

は「新世界を打ち立てること」にあたって,とあたかも名詞化されたように

解されるので,すべてこの表現は現在形として時制をもった形式ではなく,

不定形であると解することができる。

 以上をまとめると,以下の表(6)のように分析することが可能となる。

日本語 英語時間

形式 節の状態 形式 節の状態結びついている 不定形 下位ランク節2 were

intertwined 過去形 従属節 過去

信じ 不定形 下位ランク節1 believed 過去形 主節 過去

打ち立てる 不定形 下位ランク節1 structured 過去形 従属節 過去

払った 過去形 主節 paid 過去形 主節 過去表(6)

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 5.2 日英語の時の認知分析

 次に英語話者の時の認知という観点から分析を試みることにしたい。以下

の図(1)を見てみよう。

話者の時間視点

believed

were intertwined

節:主節形式:過去形意味:過去

節:従属節形式:過去形意味:過去

節:主節形式:過去形意味:過去

節:従属節形式:過去形意味:過去

節複合1

節複合2

paid

structured

⎫⎬⎭⎫⎬⎭

図(1)英語話者の時の認知構造

 図(1)は英語話者の視点を示したものであるが,これによって明確なのは,

形式は常に過去形であり,それが具現する意味も過去のことを述べている点

である。この場合は複文構造が2重構造になっているが,主節の believed に

影響されている従属節の were intertwined も当然ながら過去時制であり,ま

た複文構造2でも主節が paid という過去時制であり,従属節の structured も

過去時制で具現されている。

 しかしながら,これを翻訳した日本語では,話者の視点は以下の図(2)

ようになって具現されていることになり,節構造そのものが異なった具現形

となる。

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話者の時間視点 話者の時間視点

払った

形式:過去形意味:過去

形式:不定形意味:過去信じる

結びついている

打ち立てる

図(2)日本語話者の時に関する認知構造: 無標構造の話者の視点

 図(2)を見ると判るように,日本語では,主節に対する話者の視点と従

属節に対する話者の視点という2つの視点があることが判る。それは,主節

の形式が過去時制であると同時に従属節の意味も過去であるのに対し,従属

節では,「信じ」,「結びついている」,「打ち立てる」と全てが形式としては

現在形,もしくは不定形で具現されている。しかし不定形の表現が実際に表

す意味は全て過去であるという点が日本語の特徴であろう。したがって,も

しこれらの従属節の出来事が明確に主節より以前の,いわゆる大過去に起

こったものであるなら,話者の視点としては,話者の状況の視点が優先され,

すべて過去形を用いることも可能である。その意味では,日本語は時制の一

致こそないが,従属節における時制は不定形(現在形)と過去形の2つの形

式が具現するということになる。この点については,次の図(3)を参照さ

れたい。

 さらに,英語と日本語の節複合における構造と時の認知を異なるダイアグ

ラム形式で表現すると,以下の図(4, 5)のようになり,その構造と時の認

知構造の違いがよく理解出来るはずである。

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龍 城 正 明 日英語節複合における時制表現に関する考察―話者の状況の視点という概念を通して― 207

話者の時間視点 話者の時間視点

払った

信じた

結びついていた

打ち立てた

話者の状況の時間視点

形式:過去形意味:過去の中の過去

意味:過去の中の過去の中の過去

形式:過去形意味:過去

図(3)日本語話者の時の認知構造: 有標構造の話者の状況の視点

節複合1

believed

were intertwined

believed were intertwined paid structured

節複合2

paid

structured

時間の認識

図(4)英語における2つの主節と従属節からなる構造の時制表示

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結びついている

信じ

払った

打ち立てる

図(5)日本語における節複合の時の視点

 この2つの図(4, 5)から判るように,英語の場合は,2つの節複合が具

現する場合は,2つの主節と従属節にわかれ,それぞれに主節と同じ時制が

従属節にも具現されており,その意味では従属節が主節に埋め込まれたよう

な形式をとる。さらに時の認知としては,この場合すべて並列に過去時制で

具現されている。これが後方転移と言われる所以である。

 一方,日本語の場合は,従属節は主節の中に埋め込み構造となっているが,

当然ながら,主節の時制と従属節の時制は異なった形式で具現されている。

しかしながら,日本語では主節の時制が文法的(形式)にも意味的にも過去

である場合も,具現されている形式は単なる現在形ではなく,不定形として

具現されているものとする。したがって,従属節の意味的な時制は現在では

なく,過去として解するが,形式としては現在形と同形の不定形となるので

ある。

 以上の点から,主節における話者の時の視点と,従属節に具現する話者の

状況の時の視点は,それらが同じ場合は従属節の形式は不定形として具現さ

れ,日本語では多くの場合,この形式が具現するので,これは無標構造と呼

ぶことにする。しかし,もし従属節の時制が主節の時制と異なる場合は,話

者があえてその時点での時の視点をもって,その情景を強調したいために,

不定形ではなく,過去形を用いて大過去として具現することになる。したがっ

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龍 城 正 明 日英語節複合における時制表現に関する考察―話者の状況の視点という概念を通して― 209

て,この場合は,有標構造として分析すべきであろう。無標構造と有標構造

に見られる主節と従属節の意味と具現形式に関しては,以下の表(7)のよ

うになる。

(18)日本語の主節と従属節の意味と具現形式

a. 無標構造主節時制 従属節時制

意味 過去 過去具現形式 過去形 不定形

b. 有標構造主節時制 従属節時制

意味 過去 大過去具現形式 過去形 過去形

表(7)

 以上の点に鑑み,英語の和訳には無標(18a)と有標(18b)の場合が考え

られるが,それについては,以下の例(19)に対する日本語訳(20, 21)を

見てみよう。

(19) As far as she knew, he had kept a secret from her only once… a

wonderful secret that was hidden at the end of this very hallway.

(20) キャサリンの知る限り,ピーターが自分に対して秘密を作る

なんて,たった一度しかなかった。(無標訳)

(21) キャサリンの知る限り,ピーターが自分に対して秘密を作っ

たことは,たった一度しかなかった。(有標訳)

 (20)の日本語訳では,上述のごとく,主節の時制が過去であっても,従

属節の時制は不定形として具現される(20)のが一般の日本語訳となり,こ

の場合は無標構造と言うことができる。しかし,(21)のように主節の時制

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が過去であり,従属節の時制も過去を用いた場合は,話者が特にその行動が

生じた時点のずれを示すために,過去形を用いた結果である,という解釈か

ら有標構造ということになる。

 以上,英語と日本語の節複合時制を Dan Brown の The Lost Symbol に見ら

れる例を用い,英文と日本語訳に見られる節複合時制の具現方法の違いをみ

てきた。

 英語が時制の一致という文法的な制約をうけ,節複合の時制が決定される

のに対し,日本語では主節と従属節という2つの節に具現する時制は,通常

は主節の時制により決定されるが(無標構造),時には従属節の時制が話者

の特別な判断,即ち「話者の状況の視点」により時制の決定を判断している

と言えよう(有標構造)。したがって,日本語の場合は英語のように,単な

る時制の一致という文法的な制約のみで,従属節の時制が決定されるのでは

ないことに留意したい。

 また,重複節複合において通常は主節の時制がすべての従属節の時制に影

響しているという事実は,the Kyoto Grammarでいうところの伝達的ユニット

(communicative unit=CU)の分析方法に通じるところがある。即ち,CU 分析

では,ひとつの CU 内では最初に具現したスープラテーマにより,以下のテー

マは覆面テーマ(Veiled Theme)として,テクスト内では具現されることが

なかった。これはスープラテーマが射程範囲にあるテーマをコントロールす

るために,以下のテーマは具現する必要がない,という日本語の特徴として

分析されてきた。

 本分析による動詞の時制については,CU とみなされる重複節複合内では

主節の動詞の時制が具現されれば,話者の時の視点が強調されない,無標構

造では従属節内の動詞はたとえ複数個具現されたとしても,それぞれには時

制を付与する必要がないという分析を行った。テーマ分析と異なるのは,スー

プラテーマにコントロールされているテーマが覆面された要素としてテクス

ト内では具現されないのに反し,本分析では動詞=過程中核部が命題の過程

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龍 城 正 明 日英語節複合における時制表現に関する考察―話者の状況の視点という概念を通して― 211

を担う重要な要素であるため,形式としてテクスト上に具現される点である。

しかし,その時制に関しては,いちいち過去形をもって具現する必要はなく,

無標テクストでは,主節の過程中核部と同じ時制によりコントロールされて

いるという分析の結果,従属節に具現する過程中核部は多くは時制を持たな

い形式,即ち,本稿でいう「不定形」として具現されることになるのである。

6.おわりに

 本稿では日英語の節複合における時制転移について見てきた。英語の場合

は,節複合の時制は主節の時制によって決定され,この文法的制約が時制の

選択に影響していると言える。また,英語では主節の時制が先行するため,

節複合における従属節の時制は後方転移(backshift tense)と呼ばれた。さら

に,節複合が複数個具現するような構造をもつ重複節複合の場合は,それぞ

れの主となる主節の時制により,従属節の時制が決定された。

 一方,日本語の場合は,通常,節複合の時制は主節の時制に関係なく,従

属節では現在形(もしくは無時制形)で具現されているように見えるが,実

は,これは形式上の具現であり,意味解釈としては主節の時制にコントロー

ルされていることが多い。しかし,従属節内で話者が特に強調したい時制を

具現する場合は,過去や大過去として具現することも可能である。したがっ

て,通常の場合は,現在形ではなく不定形として具現しているという分析を

行った。また,このように主節の時制に関係なく不定形で具現される従属節

の動詞形をもつ構造を本稿では無標構造と呼んだ。しかし,時には従属節に

見られる話者の時の視点により,従属節の時制が主節とは関係なく,過去や

大過去といった時制をもって具現されることがあり,このような構造を本稿

では有標構造と呼んだ。

 ただ,重要な点は,英語の重複節複合の場合,それぞれの主節の時制によっ

て,従属節の時制がコントロールされていた(時制の一致)のに対し,日本

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語の時制構造は,節複合であれ,重複節複合であれ,話者の視点が時制を決

定する,即ち,「話者の状況の視点」という概念が時制決定に重要な役割を

演じていることがわかった。この時制決定は従属節内で生じるため,統語上,

日本語の主節時制が従属節時制よりも後方に具現することから,時制の転移

は「前方移転(forward shift)」と呼ぶ時制転移が生じていることになる。

 以上のことにより,本稿では「話者の状況の視点」という概念が発話構造

の中で重要な意義をもっている点を示唆し,同時に日本語の時制とは無標構

造では主節における話者の視点が最優先され,それに続く従属節では不定形

という形式をもって具現される点を論じた。これにより,日本語の記述的観

点からの the Kyoto Grammar の分析に CU の概念を用いた新しい視点が加

わったと言え,今後の日本語分析に寄与することができれば,著者の喜びと

するところである。

注 1 Halliday, 1994, An Introduction to Functional Grammar (2nd ed.), p. 95以下及び Eggins,

2004, An Introduction to Systemic Functional Linguistics (2nd ed.), p. 151以下参照。 2 The Kyoto Grammarとは同志社大学において龍城を中心に開発されている SFLの枠組みでの日本語記述文法である。詳しくは,龍城(2009)を参照のこと。

3 定性がオペレータとして機能するとは,英語では be動詞や助動詞などが情報探求(いわゆる疑問文)の場合では節頭にくる(語順の変化)が,日本語では節末に疑問助詞「か」を付与することで,情報探求という発話機能を具現する。したがって,日本語の定性には英語のようなオペレータという概念は存在しない。

4 Clause complexの定義や分類については,Matthiessen, (2001) p.249以下に詳述されているので参照のこと。

5 過程構成(transitivity)とは,SFLにおける意味化の過程であり,節の中心となる要素,例えば動詞を意味化して具現する分析である。英語の場合は過程中核部となる要素は動詞に限られるが,日本語の場合は,the Kyoto Grammarの分析では,過程(process)の過程中核部を意味化して分析することにより,動詞のみならず,形容詞や形容動詞も同じく過程中核部と分析される。

6 ハリデーによる過程構成には物質,行動,心理,発言,関係,存在という6つの

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過程型が分類されているが,これらは動詞を意味化して分析したものである。ここで挙げた心理過程とは,Mike believes her excuses. のように,心的表現を表す動詞の意味化であり,発言過程と Simon told his friend a story.のように人間の発話する行動を具現する過程を言う。その場合,多くは that節をとることができ,従属節を具現することが可能となる。詳しくは龍城(2009)を参照のこと。

参考文献

Eggins, Suzanne (2004) An Introduction to Systemic Functional Linguistics (2nd ed.) London: Continuum.

Halliday, M. A. K. (1994) An Introduction to Functional Grammar (2nd ed.). London: Arnold.Halliday, M. A. K., & Matthiessen, C. M. I. M. (2004) An Introduction to Functional

Grammar (3rd ed.). London: Arnold.Matthiessen, C. M. I. M. (2001) “Combining clauses into clause complexes, A multi-faceted

view” in Complex Sentences in Grammar and Discourse. Essays in Honor of Sandra A. Thompson eds. Bybee, Joan and Michael Noonan. Amsterdam: John Benjamin.

Quirk, R., et al. (1985) A Comprehensive Grammar of the English Language. London: Longman.

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Synopsis

A Contrastive Analysis of the Tense Sequence of English and Japanese Clause Complexes—With Special Reference to the Concept of a

Viewpoint of Situation—

Masa-aki Tatsuki

It is well known that English is a language having a sequence of time

system. Japanese, however, does not have such a strict grammatical system.

Consider the following examples.

1. Taro wa shiai ni kat-u to omo- u

Taro Theme game Dat. Win Pres Comp. think Pres

“Taro thinks that he will win the game.”

2. Taro wa shiai ni kat-ta to omo-u “Taro thinks that he won the game.”

3. Taro wa shiai ni kat-u to omo-tta “Taro thought that he won the game.

4. Taro wa shiai ni kat-ta to omo-tta “ Taro thought that he had won the

game.

As is shown in the above Examples (1-4), the combination of kat-u (win,

Present), kat-ta (won, Past), omo-u (think, Present), omot-ta (thought, Past)

are freely converted according to the context. This cross combination in the

tense system can be found mainly in mental processes, such as omou=think

or verbal processes, such as iu=say functioning as Processes(=verbs) of a

main clause in the clause complex. The verb kat-u in Example (3) seems to

manifest the present tense; however, the form this present-tense construction

takes does not properly signify the meaning of the verb, since the verb of the

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main clause omot-ta (thought) manifests the past-tense form. It is thus

natural to suppose that this form might manifest itself as the past tense. In

other words, the form and the meaning do not agree in the form of kat-u in

Example (3). Accordingly, in this paper, the verb in the subordinate clause

seems to be represented as a present tense form, and can be analyzed as an

“infinitive”, i.e., a tenseless element of the subordinate clause.

The above interpretation seems to illustrate the verb sequence agreement

of the English language. The Japanese tense system, however, also allows

for manifestations of the past tense form in the subordinate clause,

irrespective of the verb tense in the main clause, i.e., the present tense form

of the main clause but the past tense form in the subordinate clause

illustrated in Example (2). Regarding this point, the Japanese tense system

does not behave in the same fashion as the verb sequence agreement of the

English tense system.

It appears that the Japanese tense manifestation in the subordinate clause

can be varied according to the speaker’s viewpoint in order to intensify the

speaker’s time preference in a given context.

Arguing from the above examples, it suffices to say that the Japanese

tense manifestation between the main and the subordinate clause can be

executed by the speaker’s view of his or her situation.

As illustrated in Examples (1,3), the infinitive appears in most of the

subordinate clauses of the Japanese Clause Complexes, so that the structure

having this infinitive form will be considered an unmarked structure of the

Japanese tense system. On the other hand, the verb of the subordinate clause

manifested differently from the main clause, as illustrated in Examples (2,3),

can be considered as a marked case. Regarding this marked case, this paper

will offer a plausible interpretation of this cross tense system in Japanese by

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making use of the concepts of the viewpoint of situation, a speaker’s mental

viewpoint of the utterance proposed in the Kyoto Grammar, which has been

developed for the Japanese lexico-grammatical analysis based on the

Systemic Functional Linguistics framework.