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造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは? 自己、もしくは自己以外の造血幹細胞を、
患者に輸注する療法の総称
*血液幹細胞(Hematopoietic Stem Cell)とは?
全ての新しい血液細胞を生み出すとともに、自分のコピーを作り、常に血液の維持を行っています。
造血幹細胞移植の目的
1.大量化学療法を実施するための支持療法
骨髄抑制を低減して、抗がん剤を増やす事
で抗腫瘍効果を増強する事が可能
2.造血器官の置換
造血器官を置き換える事で造血機能が正常化
3. 同種移植(他人からの移植)では免疫効果
移植片 対 白血病細胞 効果
残存する白血病細胞を異物と認識して攻撃する
造血幹細胞移植は
生体臓器移植である
悪い臓器(悪い造血細胞)を取り出して
良い臓器(正常の造血細胞)を入れる
造血幹細胞移植は
生体臓器移植とどこが違う?
1:メスの代わりに抗がん剤、放射線
2:手術でなく 輸血のように移植する
3:臓器はすぐには働きださない
4:拒絶と反対の免疫反応(GVHD)
無菌室、抗生物質、輸血などの支持療法が必要
造血幹細胞移植の種類 造血幹細胞を誰から採取するか…
◎本人(患者)から採取
自家(自己) Auto(オート)
◎本人以外から採取
同種 Allo(アロ) HLAがある程度一致した同胞・血縁者(兄弟等)、
非血縁者(バンク)、臍帯血
自家移植と同種移植との違い
自家移植 自分の幹細胞を用いる 自分の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤による骨髄抑制から、 血球を回復させることが目的
同種移植 他人の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤±放射線 骨髄抑制から血球を回復させることに加え 免疫反応による腫瘍細胞の駆逐することが目的
造血幹細胞移植の種類
幹細胞を採取する源から… ◎骨髄から採取して移植 BMT (Bone Marrow Transplantplantation)
◎末梢血から採取して移植 PBSCT (Peripheral Blood Stem Cell Transplantation)
◎臍帯(へその緒)血から採取して移植 CBT (Cord Blood Transplantation)
採取の事を「ハーベスト」と
言います
自家移植について
自家移植と同種移植との違い
自家移植 自分の幹細胞を用いる 自分の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤による骨髄抑制から、 血球を回復させることが目的
同種移植 他人の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤±放射線 骨髄抑制から血球を回復させることに加え 免疫反応による腫瘍細胞の駆逐することが目的
移植
(auto-PBSCT)
自己
末梢血
幹細胞
autologous
peripheral
blood stem cell
transplantation
正常造血
赤血球
白血球
血小板
単球
好中球
リンパ球 幹細胞
・CD34陽性 ・骨髄に存在
自己末梢血幹細胞移植とは
あらかじめ自分の造血幹細胞を,末梢血から採取して(自己末梢血幹細胞),凍結保存する.
抗がん剤の大量投与
悪性細胞 正常の血液細胞
悪性細胞の強い減少効果
正常の血液細胞も破壊されてしまう
造血幹細胞を解凍して点滴
•大量抗がん剤治療により、悪性細胞へより強い治療効果が得られる.
•大量抗がん剤治療による造血障害の副作用を,自己末梢血幹細胞によりレスキューする.
正常の血液細胞が回復
http://www.hsct.jp/review/0507/rv3.php
自己末梢血幹細胞採取の流れ
末梢血幹細胞採取 使用機材:COBE spectra apheresis system
遠心分離にて赤血球層、単核球層、血漿を分離、採取
PRP分離後の採取末梢血幹細胞 凍結保護液 保護プロテクターで -80℃で凍結保存
凍結保護液を末梢血幹細胞に添加 凍結専用バッグに末梢血幹細胞を移す
末梢血幹細胞保存
細胞保存用スペース
処理した細胞は-80℃で凍結保存
保存細胞を液体窒素を 用いて輸送(移植日)
凍結末梢血幹細胞を37〜40℃の 恒温漕で急速解凍し, 輸血用ルートで静脈内に点滴静注
造血幹細胞移植の実際
自家末梢血幹細胞移植とは
・あらかじめ自分の造血幹細胞を採取(Harvest)
・抗癌剤の量、種類を増やすことで抗腫瘍効果を高める (超大量化学療法)
・超大量化学療法による骨髄不全に対して、
とっておいた幹細胞を体に戻し(Transplantation)
正常造血能を回復させる
まとめ
同種移植について
自家移植と同種移植との違い
自家移植 自分の幹細胞を用いる 自分の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤による骨髄抑制から、 血球を回復させることが目的
同種移植 他人の幹細胞を用いる → 大量の抗がん剤±放射線 骨髄抑制から血球を回復させることに加え 免疫反応による腫瘍細胞の駆逐することが目的
同種造血幹細胞移植による “total cell kill”
大量化学療法
+放射線療法 同種免疫反応
腫瘍
同種造血幹細胞移植とは
造血幹細胞を,他の人(ドナー)から提供を受け(骨髄,末梢血,臍帯血),点滴投与.
抗がん剤投与
悪性細胞の減少
正常の血液細胞も減少
ドナーの造血幹細胞を点滴
ドナー由来の血液細胞が回復
「免疫反応」が悪性細胞を攻撃
「免疫反応」が患者の臓器を攻撃
残っているから再発する
•治癒の可能性
•免疫反応による臓器障害の危険性
悪性細胞 正常の血液細胞
移植片対宿主病
GVHD
造血器悪性腫瘍に対する治療
1. 通常の抗がん剤治療
2. 超大量抗がん剤治療
自家移植;骨髄, 末梢血
(自分→自分)
同種移植:骨髄, 末梢血, 臍帯血
(他人→自分)
再発 合併症
超大量抗がん剤治療 + 免疫療法
注:ミニ移植は「超大量化学療法」ではありません
移植前処置とは?
1)生着の促進
拒絶をおこす患者リンパ球を抑制
骨髄にスペースをつくる
2)がん細胞を殺す
放射線
抗がん剤 他人の幹細胞の輸注
代表的前処置
放射線照射を含むもの
放射線照射を含まないもの
全身放射線照射 +
エンドキサン
ブスルファン +
エンドキサン
造血幹細胞移植の際の移植前処置;全身放射線照射
レシピエント(患者さん)には造血幹細胞を移植する前に白血病細胞等を含む
造血機能を破壊するため全身放射線照射や大量の抗癌剤投与が行われる
骨髄非破壊的造血幹細胞移植(ミニ移植)
若年者 高齢者
臓器機能が低下した人
骨髄破壊的 移植前治療 骨髄非破壊的 移植前治療
移植前処置の開発経緯
TBI 生着:可能
腫瘍コントロール不十分
CY+TBI 高い生着率
高い腫瘍効果
BU+CY 肺障害患者
施設の問題
Flu+BU
Flu+Mel
RIC: reduced-intensity conditioning ①高齢者は標準的な骨髄破壊的な前処置に耐えられない
②移植による後遺症や生活の質の低下などの問題
③移植片対腫瘍効果に対する理解が深まり、悪性腫瘍
の根絶には移植前処置よりも重要性が高い
免疫抑制効果
抗腫瘍効果
前処置の種類
TBI 2Gy
免疫抑制
骨髄抑制 フル移植 ミニ移植 RIST
Reduced intensity stem cell
transplantation
Ful+CY
Flu+TBI2
Gy
Flu+CY+
TBI2Gy
Flu+Mel
Flu+BU8
Flu+BU8+
ATG Flu+BU16
BU16+CY120
CY120+
TBI12Gy
造血幹細胞移植:幹細胞
骨髄液の採取
全身麻酔下に両側腸骨稜より穿刺吸引する
末梢血幹細胞採取
脱血
ルート
返血
ルート 遠心分離により
単核球層を採取
採取された単核球,幹細胞分画を含む
ACD
臍帯血とは
1. 胎児と母体を結ぶ、臍帯の血管と
胎盤の中に含まれる血液
1. 70~100mlのなかに、有核細胞 約10億個が含まれる
2. 造血幹細胞・リンパ球が含まれる
3. 造血幹細胞は、より未分化な、より強力な増殖能力を有する
4. リンパ球のT細胞の主体を、naïve T細胞が占め、免疫学的に 寛容
移植する造血幹細胞源の多様性
1. HLA一致同胞
2. HLA1座不一致血縁、 一致非血縁骨髄・末梢血
3. HLA1座不一致非血縁骨髄・末梢血
臍帯血、 HLA2−3座不一致血縁(ハプロ一致)
各種造血幹細胞のメリット・デメリット 骨髄 末梢血幹細胞 臍帯血
ドナーに関して
メリット
確実に細胞数が得られる
経験が多く安定している
全身麻酔が不要
自己血貯血が不要
なし
デメリット
全身麻酔が必要
骨髄穿刺術の副作用
自己血貯血を必要とする
GCSFの安全性
体外循環の合併症
十分な細胞が得られない可能性
なし
患者に関して
メリット
経験が多い 早期に移植ができる
造血回復が早い
HLA2-3座不適合でも可
早期の移植が可能
(緊急移植も可能)
GVHDが軽い
デメリット
移植調整に時間がかかる GVHDが増加する 生着が遅い
拒絶の可能性
易感染性
拒絶と移植片対宿主病
同種(他人からの)移植では、 自家移植では、基本的に認められない免疫反応がおこりうる。
免疫とは何か? 同種造血幹細胞移植を理解するために
免疫担当細胞
=リンパ球など
ウイルス
細菌など
人間の細胞
攻撃
攻撃
非自己
=自分ではなないもの
を識別,攻撃
•非自己を識別
•非自己を攻撃・排除
•主にリンパ球が担当
•リンパ球は造血幹細胞からできる
•同種造血幹細胞移植後のリンパ球はドナー由来のものになる
◆HLAやマイナー抗原などの蛋白質
免疫力 ・自身の体を守るために、自分以外の異物(細菌,ウィルス等)を攻撃して排除する力 ・白血球が中心的な役割 ・他人の細胞も攻撃するので、移植時には患者とドナーの免疫力が様々に反応
拒絶と移植片対宿主病の違い
拒絶 固形臓器移植の場合、患者さんの免疫力がドナーの臓器を排除しようとします 造血幹細胞移植の場合は、移植前処置で患者さんの免疫力が低下しているので、 ドナーの造血幹細胞が拒絶されてしまう事は滅多にありません
拒絶と移植片対宿主病の違い
GVHD(移植片対宿主病) ドナーの白血球(特にTリンパ球)が患者さんの体内に住み着くと(生着)、ドナーの白血球が患者さんの色々な内臓を攻撃するという反応。
拒絶と移植片対宿主病の違い
HLAとは?
HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)
赤血球にA、B、O型があるように、白血球にも個人固有の
抗原を有しています(A抗原・B抗原・DR抗原を各2個、計6個
⇒6座と呼ぶ)。
なので…移植される幹細胞の持ち主(ドナー)のHLA型が
一致しないと、拒絶反応を起こしてしまいます。
◎HLAの一致する確率は、兄弟姉妹で1/4、それ以外では数100人~数万人に1人(遠い昔に兄弟だった人の子孫同士)
HLA適合に関して HLA適合の意義
患者とドナーのHLA抗原に違いが多ければ多いほど、GVHD・拒絶な
どの危険性が高くなります。 一方で、HLAが異なる場合、ドナーの
リンパ球は患者の腫瘍細胞を攻撃します(GVL効果)。
移植後、GVHDを発症した患者の方が発症しなかった患者よりも腫
瘍の再発が少ないことや、HLA適合同胞間移植よりもHLA適合度
の悪い非血縁間骨髄移植の方が、再発が少ない事も知られています。
非血縁移植; 6座一致 血縁移植; 1座不一致まで 臍帯血移植; 2座不一致まで
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
父 母
HLA型が一致する確率は同胞間で4人に1人、それ以外では数百人から数万人に1人の頻度である。
HLAの遺伝様式
子① 子② 子③ 子④
HLA適合と移植
◆HLA血清型不適合(抗原不適合)が移植におよぼす影響
不適合HLA抗原が多いほど GVHD発症頻度が高い
1抗原不適合
2抗原不適合
3抗原不適合
GV
HD
発症
頻度
Beatty, 1985
KM Sullivan, Blood. 1989 73:
1720-1728
GVHDとGVLが相関する
再発率
急性GVHDも,慢性GVHDも
起こらなかった場合
何らかのGVHDが出た場合の方が再発率は低い
同種造血幹細胞移植後の免疫反応の功罪
HLA
←好ましくない免疫反応
好ましい免疫反応→
GVLの存在 GVHD:過ぎたるは及ばざるが如し
重症GVHDでは 成績は 悪くなる
早期 中期 後期
0 -15 30 100 360〜
細菌
真菌
ウイルス
GVHD
造血の由来
サイトメガロウイルス 帯状疱疹ウイルス
肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、皮膚感染症
間質性肺炎、肝炎、胃腸炎、骨髄抑制など
単純ヘルペスウイルス
肺炎、敗血症
口内炎
アデノウイルス
出血性膀胱炎
皮疹
移植後の日数
急性GVHD 慢性GVHD
患者 ドナー
皮疹、肝障害、下痢 口内炎、肝障害、皮疹、消化器症状
角結膜炎、骨髄抑制など
免疫能
前処置 関連毒性
嘔気、粘膜障害、下痢、心肺肝腎などの臓器障害
生着前期(0~30日) 移植前処置関連毒性 易感染性であり細菌・真菌・ウイルスによる感染症
移植後早期(31~100日) 造血回復期 急性GVHD(細胞性免疫異常) 血管障害
移植後後期(100日~) 慢性GVHD(網内系機能障害と細胞性免疫・液性免疫)
移植後の時期別合併症
前処置関連毒性 ●嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの一般的抗がん剤の副作用 ●粘膜障害のための口内炎や下痢など
疼痛が強い場合は、一時的に麻薬などの鎮痛薬の 使用も検討されます。
●心筋障害(エンドキサン心筋症)、肺障害、肝障害 (薬剤性や肝中心静脈閉塞症)、腎障害
(薬剤性や血管障害による血栓性微小血管障害症)などの重要臓器への障害
GVHD(移植片対宿主病)
急性GVHD ; 移植後3ヶ月以内。 皮膚・肝臓・胃腸に障害 慢性GVHD ; 移植後3ヶ月以降。 皮膚・口腔/眼乾燥・呼吸障害
急性GVHD;移植片対宿主病(移植されたT細胞による)
皮疹 水様性下痢 胆汁うっ滞の肝障害
移植後早期(31~100日) 造血回復期 急性GVHD(細胞性免疫異常) 血管障害
予防法
短期MTX+CSA(シクロスポリン) 短期MTX+FK506(タクロリムス) 治療法
ステロイド剤
慢性GVHD;移植片対宿主病 (生着後に分化成熟したT細胞による)
移植後後期(100日~) 慢性GVHD(網内系機能障害と細胞性免疫・液性免疫)
①皮膚症状;最も高頻度。四肢に出現する扁平苔癬様皮疹。悪化すると強皮症へ。 ②肝臓症状;胆汁うっ滞型肝障害を呈する ③眼・口腔症状;シェーグレン症候群様の唾液・涙液分泌障害により発症。乾燥・炎 症・潰瘍など、重症化すれば、経口摂取不可能・失明も。 ④呼吸器症状;閉塞性細気管支炎(BO)が重要。間質性肺炎にも注意 ⑤その他;食道炎、膣炎症など
治療 全身的には免疫抑制剤(ステロイド、シクロスポリン、タクロリムス等) 局所療法も並行して施行。
GVHD予防
カルシニューリン阻害剤
(シクロスポリン・タクロリムス)
+
メソトレキセート (もしくはプレドニン)
主
副
– ATG
(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン:サイモグロブリン)
– 間葉系幹細胞輸注療法
– Anti CD25(IL-2R)抗体 (シュミレクト)
– TNF阻害薬
(Infliximab:レミケード、 Etanercept:エンブレル )
– MMF (セルセプト)
ステロイド以外の急性GVHDの
(保険外を含む)治療
保険適応外
その他の合併症
移植後10年後まで 2.2~3.5% (通常の3.8~8.3倍)
二次性発がん
眼・骨関節
1.免疫抑制療法の中止 中止だけで再寛解導入も(特にCML)
2.DLI(Donar lymphocyte infusion; ドナーリンパ球輸注) CMLにおいて特に効果(約90%)。それ以外は一時的
3.化学療法 標準治療なし。通常の50~70%程度のDose
4.再移植 合併症などリスク上昇。
再発後の対処
HLA半合致移植 (Haplo transplantation)
●少子化に伴い HLA一致血縁(兄弟)が得られにくい ●病状が安定せず、骨髄バンクドナーのコーディネイトが待てない ●充分な細胞数の臍帯血が得られない 上記の様な場合でも、HLA半合致ドナーであれば、 血縁に多く見つかる可能性(次ページ参照)があり、 また、準備も骨髄バンクよりは比較的速やかにできることがある。
例;子③に対するHLA半合致ドナーは、父(ABDR)、母(ABDR),子④(ABDR) となる(基本的に、両親は必ずHLA半合致となる)
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
A
B
DR
父 母
HLA半合致移植
子① 子② 子③ 子④
●HLA半合致移植ではHLA3座不一致のため、拒絶や 重度のGVHDのriskがある ●ATG(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)を含む GVHD予防やpost –cyclophosphamide(PT-CY)を用いての 拒絶やGVHDの予防を行うHLA半合致移植が 注目されています。
ATGを用いたHLA半合致移植
●GVHD予防にシクロスポリン/タクロリムスにATG±ステロイド を併用する
(ATGの投与量、投与時期は施設によってそれぞれです) ●前処置後に残存し拒絶を起こす患者さんのリンパ球及び 移植された幹細胞に混入し、GVHDを起こすドナー由来の リンパ球をATGで排除する
PT-CYを用いたHLA半合致移植
●幹細胞移植後に、患者さんの体内で活性化するドナー由来のリンパ球を、移植後にエンドキサンを投与することで、排除する
●移植された造血幹細胞は、エンドキサンを不活化する酵素を有しており影響を受けにくい。
●現時点では、保険適応ではなく、臨床試験として行われてい
る移植法です
day -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 5 10 20 30 40 50 60 180
フルダラビン シクロホスファミド
全身放射線照射
移植
フィルグラスチム
ミコフェノール酸モフェチル
タクロリムス
ブスルファン
day -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 5 10 20 30 40 50 60 180
フルダラビン
全身放射線照射
移植
シクロホスファミド
フィルグラスチム
ミコフェノール酸モフェチル
タクロリムス
Post-CY
フル
ミニ
移植後に体内で活性化しGVHDを起こすリンパ球を 抗癌剤であるシクロホスファミドで排除する
造血幹細胞移植療法の適応(成人)
一般的には
• 重篤な臓器障害やコントロール不能の感染症を有さない症例
• 通常の治療では長期生存は困難と予想され、
造血幹細胞移植により予後の改善が期待できる症例
患者さんの病状や施設間により適応はそれぞれですので、最終的には主治医との相談で決定されます。
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
急性骨髄性白血病(AML)
急性前骨髄性白血病(APL)
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
急性リンパ性白血病(ALL)
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
骨髄異形成症候群(MDS)
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
悪性リンパ腫 (ML)
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
多発性骨髄腫(MM)
造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻 2014
再生不良性貧血(AA)
慢性骨髄性白血病(CML)
造血幹細胞移植の適応ガイドライン 2002
移植療法は多様化している
ひとことで移植といっても様々な移植が あり移植の種類によって難易度が全く違う 標準的な移植で解決していたことが 再び問題点として浮かび上がる ミニ移植で高齢者移植が多くなった HLA不一致移植で 拒絶・GVHD・感染症が 再びクローズアップ
基本
応用
どんどん変わってきている
1:臓器(幹細胞)の種類が増えてきた
2:メス(前処置)の種類も増えてきた
4:こんな免疫抑制剤の使い方が・・・
3:HLAのバリアを越えて、半分で大丈夫?
これが
造血幹細胞移植の多様化
ほとんどの患者さんにドナーが見つかる時代
どんな移植が適切なのかを決定する必要がある
決定する時のポイント
疾患の状態:寛解か非寛解か
急ぐ移植か、待機的な移植か
どの幹細胞を用いるか
患者さんの状態
合併症の有無、感染症の有無
全身状態
最初は骨髄移植だけだった・・・
ドナーが見つかるかどうかだけで、選択の余地がなかった