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2018 広島大学附属中・高等学校 「中等教育研究紀要」第 65 号別刷 松本  茂 自ら学ぶ意欲を育む授業実践 陸上競技(ハードル走)の実践から

自ら学ぶ意欲を育む授業実践 陸上競技(ハードル走)の実践から · する意欲を育むことに繋がると考えている。 2.研究の目的 小木曽1)は,生徒らが運動を好きになったきっか

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2018

広島大学附属中・高等学校「中等教育研究紀要」第 65 号別刷

松本  茂

自ら学ぶ意欲を育む授業実践陸上競技(ハードル走)の実践から

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広島大学附属中・高等学校中等教育研究紀要〈第65号 2018〉

Shigeru MATSUMOTO:A track-and-field (a hurdle race) practice to realize self-motivated learning.

 本稿は,自ら学ぶ意欲を育む指導の一環として,陸上競技(ハードル走)の授業実践について報告する。昨今の体育科教育においては,生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現するために,

「楽しさ」を味わうことのできる授業が取り上げられてきた。また,合理的に課題を解決するために,思考し判断するとともに,他者に伝える力を養うことも目指されており,他者との関わり合いの中で楽しさを味わわせることが求められている。一方で,体力の向上についても言及されており,生涯スポーツの観点から体育授業の在り方を探っていかなければならない。 ハードル走は,自己記録の更新を目標に,記録に挑戦する楽しさと,他者との競い合いに楽しさを感じられる教材である。今回の授業では,他者との関わり合いの中で「走るのが速い=ハードル走も速い」ではないことに気づかせ,どのように身体操作すれば,よりよくハードルを走り越え,記録を向上させることができるかについて取り組ませた。また,教師側の支援は,教え,協力し合い,他者と活動する楽しさを実感し,自ら学ぼうとする意欲を高められるような授業になり得ていたかを検討した。

1.はじめに

 次期学習指導要領改訂にむけた「主体的・対話的(協働的)で深い学び(アクティブ・ラーニング)」は,目的としてではなく,手段としてのアクティブ・ラーニングが強調されている。とりわけ保健体育科においては「活発な身体活動や議論」がアクティブ・ラーニングとして捉えられがちだが,対話的な学びの対象が,各個人内での思考,試行を重ねていくものも主体的・対話的(協働的)で深い学び(アクティブ・ラーニング)であるとも考えられる。主体的・対話的(協働的)で深い学びから何を学ぶかという視点に加え,どのように学び,何ができるようになるかという視点を考えたい。 本校保健体育科では「主体的な学び」「対話的(協働的)な学び」「深い学び」という3つの柱を授業展開の視点として学びの過程や在り方を考えてきた。課題の発見とその解決を念頭に置き,対話(協働)を通じて自らの考えを広げて深め,見通しを持って粘り強く,自らの学習活動を振り返って次につなげる課題解決的な学習を展開している。個人やグループの課題を相互観察や話し合いから発見し,その課題の解決に向け,運動の行い方の工夫をすることは,自ら学ぼうとする意欲を育むことに繋がると考えている。

2.研究の目的

 小木曽1)は,生徒らが運動を好きになったきっかけは「能力的にできる」ことで,一方嫌いになったきっかけは「怖い」こと,そして「能力的にできない」ことである。この「怖い」については,「できないから怖い」,すなわち「能力的にできない」ことが強く関連するため,「運動ができるか/できないか」が好き嫌いに大きな影響を及ぼしていると述べている。 陸上競技の授業は,「ただ走ったり,跳んだり,投げたりするだけ」といった単純な運動の繰り返しをイメージしている傾向があり,運動能力の高い者が良い結果を出すものだとして,好意的に捉えている生徒は少ないように感じられた。そのような生徒には,「できないから怖い」や「上手くいかないことを他者から認められるのが怖い」,「上手くいかないから怖い」といった要因があり,ハードル走については,「ハードルに足があたって痛い」や「ハードルに足が引っかかってこけるから怖い」などといった,ハードルに関する不安が多くみられた。 ハードル走では,ハードルを越えながらインターバルを一定のリズムで走り,タイムを向上したり,競走したりできるようにするよう指導すること2)と

自ら学ぶ意欲を育む授業実践陸上競技(ハードル走)の実践から

松 本   茂

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されており,記録の向上や競走の楽しさや喜びを味わうことができるようにすることに言及している。記録の向上や競走の楽しさを実感することは,その運動が持つ課題を解決することなどに楽しさや喜びを感じ,運動を反復することから始まる。ハードル走特有の,一定のリズムで滑らかにハードルを走り越えることで,単に走ることだけでは味わえない楽しさを感じることができる。 そこで本研究では生徒の内面的変化にも目を向けながら,ハードルへの恐怖心をできうる限り取り除き,ハードル走に挑戦しようとする意欲を引き出そうとした。そして記録を向上させるために,身体をどのように操作すれば効率的にハードルを走り越せるようになっていくかを理解させ,試行錯誤できるよう,ハードルの材質や高さ,インターバルの調整も行わせ,上手くいかなかったことが上手くいくようになる過程や,個々の課題も意識しながら試行できるようにした。これら教師側の支援が,学びの主体者である生徒の主体的・対話的(協働的)な学びが導き出せる場の設定,教具の工夫になり得ているか,さらには「生徒らそれぞれが記録の向上を目指し,ハードル走の楽しさを味わうことができる」授業になり得ているか検討することを目的とした。

3.研究の方法

(1)研究対象  広島大学附属中学校2年生女子 63名

(2)研究期間  2018年1月~3月

(3)研究方法 ①40mハードル走の記録や技能点変容の分析。 ②学習ノート記述内容の分析。 ③ 事前・事後のアンケートから,「体育」「陸上競技」

「ハードル走」の好感度分析。(4)教師の支援Ⅰ.教育用ソフトハードルの使用(図1)  板の部分がスポンジになっており,支柱から

分離する特徴があり,「ハードルに当たると痛い」「ハードルに引っかかってこけそう」といったハードルへの恐怖心を払拭するねらいで導入した。

Ⅱ.ハードル高の変更  正規規格の76.2cmから68.0cmへ変更した。今回

は授業時数が6時間と少なく,抜き脚の技能定着が難しいと判断し,抜き脚を立てにしてもハードルに引っかかりにくい状況をつくった。

Ⅲ.インターバルの選択  「ハードルを跳ぶタイミングが分からない」と

いった上手く越えていくタイミングやリズムについてのつまずきが垣間見れた為,4.5m ~6mを50cmずつ調整し,身体操作のしやすい状況に気づかせようとした。

Ⅳ.学習ノートの活用  表1に示したように,毎回の授業で意識したい

点,それを自分がどれだけ達成でき,課題を残したのかを振り返るために用意した。生徒の活動全てを口頭でフィードバックすることは不可能であり,各々の目標や課題を意識化する効果が得られると考えた。また,他者との関わり合いを持ち,気づきを伝えやすい環境をつくるため,「ベストアドバイザー」や,「どんなアドバイスをしてもらったか」を書き留める欄を設けた。

図1 教育用ソフトハードル3)

表1 学習ノート(記述項目)

今日の目標意識したい点

インターバル        m      ㎝

今日のタイム ″

40mH-40mタイム差 ″

技能点(目標達成度) 点

出来た事

次への課題

今日のベストアドバイザー

どんなアドバイスをしてもらえた?

(5)学習計画 表2に示したような学習計画をもとに,授業を行った。 第1時限のオリエンテーションでは,今回の全6

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回の授業における学習目標を共有し,第2時限目以降の動機づけを行った。また,ハードル走を安全に行うために,ハードルを正しい向きで置くことや,ハードルを逆から跳ばないことを指導した。インターバルの途中で止まってしまったり,ハードルを跳べなかった時には,慌てずその場に留まり,後方から人が走ってこないことを確認して走路を離れるようにも指導した。教師側の支援として教育ハードルを用いたため,教具の説明を行った。授業を展開する前の生徒の内面を把握するために事前アンケートを実施した。 第2時限は,各個人の走力からハードル走の目標を決めるため,40m走の記録測定を行った。40mハードルの記録から40m走の記録を引いて算出する,技能点を表3のように設定し,1時間毎の目標を個人内で評価できるようにした。また,ハードリングの技能構造をリード脚と抜き脚に分けて理解させ,実際に取り組ませた。その時のインターバルは4種類設定し,どのインターバルが走りやすいかも体感させた。 第3時限では,初めて40mハードルの記録測定を行った。その後,ハードルをリズムよく,スムーズに走り越える為にはどのような位置で踏切,着地をすればよいかを生徒らに考えさせ,確認の練習を繰り返させた。 第4時限~第5時限では,ハードリング中の身体の扱い方や記録向上のために,スタートから1台目までのアプローチの重要性に触れ,課題練習に取り組ませた。また,それらの課題練習が記録向上に繋がったかを検討するために,毎時間確認の記録会も行うこととした。 第6時限では,これまでの練習成果をみる記録会を行い,本単元のまとめを行った。また,事後のアンケート記入も行った。 1時間の授業は,クラス毎に用具の準備を分担させ,ハードルを走路に並べた状態で授業をスタートさせた。その後,準備運動として体操・ストレッチ,2人ペアでの鬼ごっこや変形ダッシュ等で他者との関わり合いを持たせながら筋温を高め,関節可動域を確保しようとした。学習計画に沿ってその日の課題やポイントを提示し,生徒の学習カードから抽出した言葉をもとに生徒らにも共有させた。各々がその日の課題やポイントを意識して練習をしながら,スタート地点に戻るまでの間に他者の動きを観察させ,その時の気づきを伝えるようにも指導した。この時,教師が示した課題やポイントに限らず,自分たちが気づいた点について話し合うようにも付け加えた。その日の記録測定を終えた後,学習ノートの

まとめに取りかかり,できたことや課題,どんなアドバイスをもらったかを整理させ,提出させた。授業終わりの挨拶後,クラス毎に協力して用具の片付けを行わせた。

表2 学習計画

時間 学習内容

1

○オリエンテーション・学習目標 ハードル技術やルール, マナーの確認 事前のアンケート記入

2○40m走記録会・自分に合ったリード脚・抜き脚, インターバルを探す

3○はじめの記録会・踏切と着地の位置を探し,インターバルの リズムを感じる

4○課題の確認・ハードリング中の目線,上半身の扱い方に 気づく

5○課題の確認・ スタートから1台目までの歩数やスピードの

確認

6 ○まどめの記録 ・事後のアンケート

表3 技能点

得点 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

タイム差 0.9未満

0.9~1.2

1.2~1.5

1.5~1.8

1.8~2.1

2.1~2.4

2.4~2.7

2.7~3.0

3.0~3.3

3.3以上

4.結果と考察

(1)40mハードル走の記録や技能点変容について 第3時限~第6時限,計4回の記録測定を行い,その変容を確認した。 図2に示したように,1回目の記録測定から徐々に記録の向上がみられ,標準偏差の値からも集団のばらつきが少なくなった事が確認された。また,図3に示したように,技能点の向上もみられ,数値のばらつきも少なくなった事が確認された。 この結果から,第3時限~第5時限までの学習が40mハードルの記録向上に寄与したと考えられた。一方,そもそもハードル走に慣れ親しんでいない集団が,はじめの記録会から4回の記録会で記録を向上させ続けたのは,単にハードル走そのものへの慣れであり,技術構造を理解し,体現出来るようになったと断言するには至らないとも考えられた。

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1回目 2回目 3回目 4回目

9.57(±1.13) 9.25(±0.98) 9.01(±0.94) 8.74(±0.75)

図2 40mハードル記録の変容

1回目 2回目 3回目 4回目

5.45(±2.50) 6.07(±2.03) 7.09(±1.90) 7.85(±1.60)

図3 技能点の変容

(2)学習ノート記述内容について 学習ノートにはフリーページを設け,必要に応じてメモ代わりに使用させた。そこには教師の言葉掛けや,生徒らのコミュニケーションから得られた情報を書き留めている生徒が複数いた。自分たちで必要な情報を忘れず,自らの課題として意識化している行動であると考えられた。上手くハードルを走り越えている生徒の動きに着目し,「手でつま先を触るような感じだった」と記入した生徒が,次の時間の目標にそれを記していた。「上手い」ということを他者から学びとり,実際に自分もやってみようとする姿勢がみられた。 他者の動作から「跳び方の美しさ」の気づきを得て,『美しいハードリングには「ト・ト・トーン」といったリズムがある』と記述し,次時の目標・意識したい点にしている生徒がいた。その美しさが何に起因するかを学び取ったものだと考えられ,他者から学

び取り,自らの課題としてすぐに応用したのではないかと考えられた。 「向かい風が厳しかったためインターバルを調整した結果,スムーズに走れた」という記述がみられた。これは,どのインターバルで走れば身体操作がしやすいかを考え行動したことが読み取れる。またこの生徒は厳しい条件でありながら,自己記録の更新をしていた。

(3)事前・事後アンケートについて アンケートの項目は事前・事後ともに,「体育は好きですか」「陸上競技は好きですか」「ハードル走は好きですか」「ハードルは怖いですか」の4項目とした。

Ⅰ.事前アンケート  アンケート結果は,表4に示したようになった。  単元に入る時点で過半数の生徒が体育に好感を

持っていた。体育に好感を持っている集団ではあるが,陸上競技,ハードル走に関してはそれと反する結果となり,ハードルへの恐怖心が高かったことからハードル走への好感度も下がったことが考えられた。しかしこれらの要因については,教育用ソフトハードルの使用など,教師の支援によって大部分が解決できるとも考えられた。

表4 事前アンケート

そう思う

まあそう思う

まあそう思わない

そう思わない

体育は好きですか 29% 26% 32% 13%陸上競技は好きですか 3% 29% 42% 26%ハードル走は好きですか 3% 23% 32% 42%ハードルは怖いですか 45% 32% 7% 16%

Ⅱ.事後アンケート  アンケート結果は,表5に示したようになった。

この6時間の授業では,ハードル走のみ行ったため,ハードル走を通して,より体育の好きな集団になったと考えられた。陸上競技の好感度については,ハードル走以外にも多くの種目がある為,ハードル走のみで陸上競技の好感度を測ることは難しいと考えたが,陸上競技へ前向きな関心を抱かせることはできたと考えられた。ハードル走への好感度は顕著であった。好感を持っている生徒が,事前アンケートでは26%だったのが52%に倍増した。生徒の記述から,「板の部分が柔らかかっ

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

タイム

1回目 2回目 3回目 4回目

109876543210

点数

1回目 2回目 3回目 4回目

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たため痛くなく,怖くなかった」「みんなが走っている姿を見て,どうすれば良いかが分かってきて怖さが軽減した」といったものが多くみられた。ハードルへの恐怖心が拭われた面もあるだろうが,事前と事後で怖さについての割合が大きく変容していないことから,他者の動きを見取り,自分の身体操作に置き換えたとき,どのようにすれば良いかの内化と外化が行われたことが大きな要因であると考えられた。

表5 事後アンケート

そう思う

まあそう思う

まあそう思わない

そう思わない

体育は好きですか 33% 37% 20% 10%陸上競技は好きですか 17% 23% 47% 13%ハードル走は好きですか 13% 39% 35% 13%ハードルは怖いですか 39% 25% 25% 11%

5.総合考察

 40mハードル走,技能点,ともに集団として向上したが,そもそもハードル走に慣れていない集団であったために,反復することで単に慣れた結果であるとも考えられた。一方で,ハードル走に慣れるということから技能習得は始まるとも考えられ,6時間という限られた時間内でハードル走が嫌いと感じている生徒,ハードルが怖いと感じている生徒にも,ハードル走に慣れ,何度もハードル走に取り組める教具の工夫や,場の設定が一定の効果を生んだと考えられた。 アンケート結果から,事前事後の変容として「体育好き」が55%から70%に増加した。前述の通り,6時間の授業でハードル走にしか取り組んでいないため,ハードル走を通して,体育がより好きな集団になったことが考えられた。また,ハードル走好きの生徒も倍に増加し,自由記述には身体操作に触れている記述が見られた。これはハードルへの恐怖がある程度緩和され,ハードルをとにかく越えることから,いかにスピードを維持したより良いハードリングができるかを意識する余裕もでてきたことも考えられた。 学習指導要領では,記録の向上や競争の楽しさ・喜びを味わうことができるようにすることにも言及しており,今回の授業ではこれらの点について担保

できたのではないかと考えられた。

6.まとめ

 本研究では,深い学びの学習プロセスを意識しながら授業づくりを行った。ねらいとした「生徒らそれぞれが記録の向上を目指し,ハードル走の楽しさを味わうことができる」これを,事前アンケートから得られた,生徒の実態をもとに,教具の工夫,場の設定,学習ノートの活用で達成できると考えた。小木曽1)の報告から,運動を嫌いになったきっかけとなる,「怖い」や「能力的にできない」となる障壁を,できうる限り排除しつつ,ハードルのもつ楽しさを残そうと考えた。結果として,ハードルへの恐怖心を和らげることに繋がり,多くの生徒がハードル走に好感をもち,ハードル走を通じ,集団として体育好きを増やすことにもなった。これは,他者がハードル走を行っている姿からコツを学び取った生徒も出現したことなどから,他者の良いところ,自分の課題について理解してもらうなど,他者と関わり合う学習活動も影響したと考えられた。これらのことから,本研究について教師が行った支援は,自ら学ぼうとする力や姿勢を育むことができたと考えられた。

[引用文献]

1)小木曽一之,『中学・高校陸上競技の学習指導「わかって・できる」指導の工夫』,道話書院,2017年,14-16

2)文部科学省,中学校学習指導要領解説保健体育編,2017年

3)ASICS(アシックス),「教育用ソフトハードル」, http://www.moshimo.com/item_image/ 0070900028962/2/1.jpg(閲覧日:2017年11月3日)

[参考文献]

藤生栄一郎,鮫島康太,貴志泉,中塚義実,征矢範子,「体育活動中の事故防止と授業づくりの考え方-体育実技の授業の中でできること、すべきこと-」,筑波大学附属高等学校研究紀要,2016年

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