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軽量耐熱複合材CMC技術開発 事業評価用資料 平成24年11月29日 第1回 航空機関連分野技術に関する 施策・事業評価検討会 資料6-8-4

軽量耐熱複合材CMC技術開発 事業評価用資料...第4期科学技術基本計画(2011年8月閣議決定) 高効率輸送機器(次世代自動車、鉄道、船舶、航空機)やモーダルシフト等の

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軽量耐熱複合材CMC技術開発

事業評価用資料

平成24年11月29日

第1回 航空機関連分野技術に関する 施策・事業評価検討会

資料6-8-4

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目 次

1. 事業の目的・政策的位置付け…………………………………………… 1

1-1. 事業の目的…………………………………………………………… 1

1-2. 政策的位置付け……………………………………………………… 2

1-3. 国の関与の必要性…………………………………………………… 5

2. 研究開発目標……………………………………………………………… 6

2-1. 研究開発目標………………………………………………………… 6

2-2. 全体の目標設定……………………………………………………… 6

2-3. 個別要素技術の目標設定…………………………………………… 9

3. 成果、目標の達成度………………………………………………………10

3-1. 成果……………………………………………………………………10

3-1-1. 全体成果

3-1-2. 個別要素技術成果

3-1-3. 特許出願状況等

3-2. 目標の達成度…………………………………………………………17

4.事業化、波及効果……………………………………………………………18

4-1. 事業化の見通し………………………………………………………18

4-2. 波及効果………………………………………………………………20

5. 研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等…………………21

5-1. 研究開発計画…………………………………………………………21

5-2. 研究開発実施者の実施体制・運営…………………………………23

5-3. 資金配分………………………………………………………………24

5-4. 費用対効果……………………………………………………………25

5-5. 変化への対応…………………………………………………………26

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1. 事業の目的・政策的位置付け

1-1. 事業目的

大きな技術波及効果によって環境をはじめ、情報、材料等の分野に高付加価

値を生み出す航空機関連技術について、材料・構造・システム関連等の中核的

要素技術力を一層強化・保持することを目標とする、航空機・宇宙産業イノベ

ーションプログラムの一環として本事業を実施する。

航空機産業は、先行する欧米諸国の他、後発のアジア諸国等発展途上国を含

めた国際的な産業競争の激化が進む中、その発展を通じて我が国産業構造の高

度化に大きく貢献することが期待される。また、航空機関連技術は、高度な先

進技術を要することから、その技術波及効果によって、輸送機器を始めとした

様々な分野に高付加価値を生み出す上で重要な役割を果たす。

特に、材料・構造関連分野においては、航空機等の輸送機器の構造等部分に

先進材料を早期に導入することで軽量化・高性能化等によるエネルギー使用合

理化が期待される。このことから、次世代構造部材創製・加工技術開発(軽量

耐熱複合材CMC技術開発)を行い、1300℃の耐熱性を有し、かつ金属材

料よりも軽量なCMC(Ceramic Matrix Composites)を航空機エンジンに適用

することで、航空機エンジンの高性能化、軽量化等を図り、省エネルギーに資

することを目的とする。

海外でも米国のGE社(図1-1-1参照)、仏国のSNECMA社(次頁図

1-1-2参照)が国の支援も受け、その実用化を目指して開発しているが、

平成 21 年 6 月ファンボローエアショーで、GE社による e-core 開発がアナウ

ンスされて以来、CFM社(両社の合弁会社)の民間エンジンへのCMC実用

化研究が加速している。CMCは次世代航空機用エンジンの耐熱材料としては

最も期待されるものであり、本材料の実用化に成功することで航空機用エンジ

ンビジネスでのゲームチェンジを狙えるため、他社に先行して開発することが

非常に重要である。

CMCで主に適用される SiC 繊維は東北大で開発され、現在も日本でしか製

造できないため、我が国はCMCの基盤技術で大きな強みをもっており、素材・

加工・製品化まで国内サプライチェーンを構築できる次世代材料として、我が

国が競争力を有することが可能である。CMCはCFRPに次いで、航空機と

いう先端分野において我が国の競争力を高める重要な材料である。しかしなが

らGE社、SNECMA社等による繊維メーカの囲いこみが始まるなど、競争

は一層厳しくなっている状況である。このような状況での本研究開発は我が国

の優位性を獲得するためには時機を得たものと言える。

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図1-1-1 米国のGE社の試作部品例

(出典;Aviation Week、GE社発表資料)

図1-1-2 仏国のSNECMA社の試作部品例(燃焼器ライナ);

(出典;SNECMA 社発表資料)

1-2. 政策的位置付け

本研究開発は、経済産業省の「航空機・宇宙産業イノベーションプログラム」

のもとで実施されている。このプログラムは、今後、市場規模の拡大が見込ま

れるとともに、その先端的な部品、材料、システム技術の波及効果を通じて我

が国製造業全体の高度化をもたらし、また安全保障上の重要な基盤である航空

機産業に関連する技術開発を積極的に推進することを目的としている。このプ

ログラムのもと本研究開発はエンジン高性能化と軽量化のため、先進複合材料

である耐熱セラミック複合材のCMC部材開発、設計試作および評価を通じて、

革新的な構造部材の創製・加工技術の開発能力の獲得を目指しており、同プロ

グラムの中に適切に位置付けられている。本研究開発が所期の成果を達成する

タービン静翼

タービンシュラウド

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ことにより、プログラムの目的の実現に大きく貢献することが期待される。

また、航空機・宇宙産業イノベーションプログラムおよび本研究開発は以下

の施策とも密接に関連して実施されている。

○第4期科学技術基本計画(2011年8月閣議決定)

高効率輸送機器(次世代自動車、鉄道、船舶、航空機)やモーダルシフト等の

物流を効率化するための手法に関する研究開発、導入を推進するとされている。

また、産学官の「知」のネットワークを強化し、産学官の連携を一層拡大する

ための取組を進めるとされている。

また、航空機分野の技術戦略マップのなかで、我が国航空機産業が目指すべ

き方向性として、機体・エンジンの全機開発、国際共同開発における地位の維

持・拡大が挙げられている。国際共同開発における地位の維持・拡大では、必

要な要素技術での優位性を獲得し、質の面でもより高度な役割を担うこととさ

れている。この目指すべき方向性のもと定められた図1-2-1の「航空機分

野の導入シナリオ」に本研究開発は適切に位置付けられている。

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図1-2-1 航空機分野の導入シナリオ

(出典;技術戦略マップ2010、経済産業省 HP)

2010

研究開発研究開発

広く産業技術を対象とした研究開発のうち航空機関連技術にも裨益するものを

含む

目 標

航空機産業航空機産業 防衛省機製造業全体の底上げ民間機

防衛省機の研究開発及び調達防衛省機の研究開発及び調達・人材育成支援 ・ビジネス面からの支援・貿易保険 ・プロダクトサポート強化・中小企業支援 ・国際ルールづくり

・産業インフラ整備 等

導入シナリオに導入シナリオに沿った沿った

研究開発支援研究開発支援

技術的波及

防衛省機の効率的な研究開発及び調達

航空機産業政策航空機産業政策拡大・高度化への総合的支援

・防衛機民間転用の円滑化支援

調達等

航空機産業の高度化への総合的な体制航空機産業の高度化への総合的な体制

①国産機で世界に航空機ソリューションの提供

②環境航空機向けの部品・素材ソリューションを提供し、高い技術力で世界のトップランナーとして次世代旅客機等の開発を主導

③航空機分野への他産業や中小企業の参入を促し、製造業の総動員による厚みと競争力のある高付加価値航空機産業を実現

2015 2020 2025 2030

国際共同開発国際共同開発次期中大型民間輸送機

超音速旅客機

○関係省庁○関係省庁 ○国の研究機関○国の研究機関 ○産業界○産業界 ○大学等○大学等

社会ニーズ 安全性安全性 環境適合性環境適合性 経済性経済性

連携

導入シナリオ

材料・構造技術

機体構造の信頼性向上機体構造の信頼性向上

機体構造軽量化による経済性向上機体構造軽量化による経済性向上

高レート高レート//低コスト製造技術の実現低コスト製造技術の実現

構造健全性診断技術を前提とした構造設計技術の確立 等

多機能化複合材、高強度複合材等の統合設計技術の確立 等

大物、複雑形状液相成形技術の自動化による高効率化、低コスト化 等

高信頼性診断技術の確立・適用/複合材耐衝撃構造設計技術の実機適用 等

複合材の性能を最大限に活かす構造設計技術の確立/複合材の多機能化(耐雷等)追求 等

複合材脱オートクレーブ成形技術の確立/金属材料加工・接合技術高度化 等

エンジン要素技術

化石燃料消費量の低減:ガスタービン性能向上、新方式推進システム化石燃料消費量の低減:ガスタービン性能向上、新方式推進システム

騒音や有害排出物の低減騒音や有害排出物の低減

高信頼性・耐空性と低運航費用との両立高信頼性・耐空性と低運航費用との両立

世界最先端レベルを上回る要素効率 等

超音速機も含めた新形態機体・エンジンの低騒音化 等

超高信頼性推進システムの実現/代替燃料利用の拡大 等

複合材適用による低・高温部重量低減/オープンロータ等新たな推進システムの実現 等

ジェット騒音・ファン騒音の能動制御技術開発/低NOx化のための各種燃焼技術の確立 等

大型鍛造部材製造技術開発による低コスト化/要素試験・システム計測技術高度化 等

燃料電池利用等新たな推進システムの実現

装備品

(システム)技術

低燃費・機体重量低減低燃費・機体重量低減

信頼性・整備性向上信頼性・整備性向上

機体・運航安全性機体・運航安全性

液体水素タンクの実用化 等

全電気航空機の実用化/代替電源システムの実現 等

操縦負荷低減最適化設計、耐雷防爆設計技術の確立・検証 等

複合材の脚構造適用・脚インテグレーション・型式認証のための検証 等

高電圧・大容量発配電システムの実用化/高光度LED、有機EL等の実用化 等

パイロット操縦負荷低減技術開発/周波数選択・反射制御材料の実用化検討 等

航空機用燃料電池システム等の実用化

全機開発

技術

機体・エンジンのインテグレーション技術の獲得機体・エンジンのインテグレーション技術の獲得

設計技術、組立加工技術等の統合管理技術の確立 等環境適応型小型航空機用エンジンの実現 等

防衛省機の民間転用に必要な研究 等

空力技術

パイロット負担軽減、離着陸時の後続機の事故防止パイロット負担軽減、離着陸時の後続機の事故防止

機体の燃費向上機体の燃費向上

市場投入が可能な超音速機の実現市場投入が可能な超音速機の実現

後流渦を低減させる空力設計手法の確立

層流制御技術の確立/機体全体の干渉抵抗低減手法の確立 等

後流渦の低減装置開発 等

摩擦抵抗低減設計技術の構築/誘導抵抗低減デバイス開発 等

ソニックブーム低減技術の確立 等

失速防止のための空力デバイスの設計技術の確立

次期150席クラス民間輸送機(B737X等)

次期中小型民間輸送機用エンジン

2010

研究開発研究開発

広く産業技術を対象とした研究開発のうち航空機関連技術にも裨益するものを

含む

目 標

航空機産業航空機産業 防衛省機製造業全体の底上げ民間機

防衛省機の研究開発及び調達防衛省機の研究開発及び調達・人材育成支援 ・ビジネス面からの支援・貿易保険 ・プロダクトサポート強化・中小企業支援 ・国際ルールづくり

・産業インフラ整備 等

導入シナリオに導入シナリオに沿った沿った

研究開発支援研究開発支援

技術的波及

防衛省機の効率的な研究開発及び調達

航空機産業政策航空機産業政策拡大・高度化への総合的支援

・防衛機民間転用の円滑化支援

調達等

航空機産業の高度化への総合的な体制航空機産業の高度化への総合的な体制

①国産機で世界に航空機ソリューションの提供

②環境航空機向けの部品・素材ソリューションを提供し、高い技術力で世界のトップランナーとして次世代旅客機等の開発を主導

③航空機分野への他産業や中小企業の参入を促し、製造業の総動員による厚みと競争力のある高付加価値航空機産業を実現

2015 2020 2025 2030

国際共同開発国際共同開発次期中大型民間輸送機

超音速旅客機

○関係省庁○関係省庁 ○国の研究機関○国の研究機関 ○産業界○産業界 ○大学等○大学等

社会ニーズ 安全性安全性 環境適合性環境適合性 経済性経済性社会ニーズ 安全性安全性 環境適合性環境適合性 経済性経済性

連携連携

導入シナリオ

材料・構造技術

機体構造の信頼性向上機体構造の信頼性向上

機体構造軽量化による経済性向上機体構造軽量化による経済性向上

高レート高レート//低コスト製造技術の実現低コスト製造技術の実現

構造健全性診断技術を前提とした構造設計技術の確立 等

多機能化複合材、高強度複合材等の統合設計技術の確立 等

大物、複雑形状液相成形技術の自動化による高効率化、低コスト化 等

高信頼性診断技術の確立・適用/複合材耐衝撃構造設計技術の実機適用 等

複合材の性能を最大限に活かす構造設計技術の確立/複合材の多機能化(耐雷等)追求 等

複合材脱オートクレーブ成形技術の確立/金属材料加工・接合技術高度化 等

エンジン要素技術

化石燃料消費量の低減:ガスタービン性能向上、新方式推進システム化石燃料消費量の低減:ガスタービン性能向上、新方式推進システム

騒音や有害排出物の低減騒音や有害排出物の低減

高信頼性・耐空性と低運航費用との両立高信頼性・耐空性と低運航費用との両立

世界最先端レベルを上回る要素効率 等

超音速機も含めた新形態機体・エンジンの低騒音化 等

超高信頼性推進システムの実現/代替燃料利用の拡大 等

複合材適用による低・高温部重量低減/オープンロータ等新たな推進システムの実現 等

ジェット騒音・ファン騒音の能動制御技術開発/低NOx化のための各種燃焼技術の確立 等

大型鍛造部材製造技術開発による低コスト化/要素試験・システム計測技術高度化 等

燃料電池利用等新たな推進システムの実現

装備品

(システム)技術

低燃費・機体重量低減低燃費・機体重量低減

信頼性・整備性向上信頼性・整備性向上

機体・運航安全性機体・運航安全性

液体水素タンクの実用化 等

全電気航空機の実用化/代替電源システムの実現 等

操縦負荷低減最適化設計、耐雷防爆設計技術の確立・検証 等

複合材の脚構造適用・脚インテグレーション・型式認証のための検証 等

高電圧・大容量発配電システムの実用化/高光度LED、有機EL等の実用化 等

パイロット操縦負荷低減技術開発/周波数選択・反射制御材料の実用化検討 等

航空機用燃料電池システム等の実用化

全機開発

技術

機体・エンジンのインテグレーション技術の獲得機体・エンジンのインテグレーション技術の獲得

設計技術、組立加工技術等の統合管理技術の確立 等環境適応型小型航空機用エンジンの実現 等

防衛省機の民間転用に必要な研究 等

空力技術

パイロット負担軽減、離着陸時の後続機の事故防止パイロット負担軽減、離着陸時の後続機の事故防止

機体の燃費向上機体の燃費向上

市場投入が可能な超音速機の実現市場投入が可能な超音速機の実現

後流渦を低減させる空力設計手法の確立

層流制御技術の確立/機体全体の干渉抵抗低減手法の確立 等

後流渦の低減装置開発 等

摩擦抵抗低減設計技術の構築/誘導抵抗低減デバイス開発 等

ソニックブーム低減技術の確立 等

失速防止のための空力デバイスの設計技術の確立

次期150席クラス民間輸送機(B737X等)

次期中小型民間輸送機用エンジン

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1-3. 国の関与の必要性

軽量耐熱複合材CMC技術を適用する航空機用エンジンは過去一貫して低燃

費化の傾向にあるが、昨今のエアライン競争の激化等に起因する極めて厳しい

経済性要求に対応するため、将来的にも一層の高性能化が求められる。一方で、

航空需要の伸びに伴って大気汚染や地球温暖化といった地球環境問題やエネル

ギー問題への対応が重要であり、エネルギー使用の合理化や今後ますます厳し

くなる環境要求に対応した技術開発の必要性が強く認識されている。航空機用

エンジンの低燃費化を図るには、冷却空気の低減、および重量の低減が有効で

あり、先進材料の適用によってこれらを達成することが求められる。

一方、材料開発は一般的に開発費が膨大かつ投資回収期間が極めて長いとい

う“事業リスク”を伴う。本研究開発で取り組む軽量耐熱複合材CMC技術も

高温化・軽量化と低コスト化を同時に満足する、従来の延長線上に無い革新的

な材料・技術コンセプトを適用することが不可欠であり、技術的挑戦が必要と

なる。このため、長期にわたる巨額の投資を必要とし、民間企業のみでは抱え

きれない膨大な開発リスクを伴う。加えて、本研究開発は、変動することが十

分予想される10年先以降の将来市場を見通しての技術開発であることからも、

民間企業では直ちに取り組み難い状況にある。

民間企業が直ちに取り組みにくいリスクはあるものの、本研究開発の成果は、

民間機用エンジンだけでなく発電用ガスタービン、自動車等のブレーキディス

ク、ロケット用スラスタノズル、産業炉用の耐熱部材等に適用され、その熱効

率を大幅に改善し、もって石油消費量の削減に貢献することが予測される。こ

れによりエネルギーセキュリティー及び地球温暖化対策の国策の推進に貢献で

きるため、エネルギー需給構造高度化対策として重要な政策的位置付けにある。

また、航空機用エンジン要素技術であるCMC技術の維持向上は自国の安全

保障上重要であること、ならびに国家の戦略的産業技術との位置づけから、欧

米先進各国では政府が相当規模の支援を行っている。米国ではGE社が、仏国

では、SNECMA社が国の支援を受け、その実用化を目指して開発中である。

我が国においても過去、通商産業省(現、経済産業省)の支援の下、「超音速輸

送機用推進システム研究開発(HYPR)」、「環境適合型次世代超音速機用推進

システムの研究開発(ESPR)」、「先進材料利用ガスジェネレータ技術開発(A

MG)」の各プロジェクトを実施し、航空機用エンジン基盤技術の整備に取り組

んできた。今後、必要な要素技術での優位性を獲得し、質の面でもより高度な

役割を担うためには、継続的な国の支援が重要である。

波及効果としても、CMCの適用技術は、材料、構造技術から構成され、本

研究開発の成果は極めて広範囲な産業分野に適用されることが期待される。

さらに、開発する材料は、シリコン、カーボンなどの地球上にありふれた材

料から構成され、希尐資源戦略上国益にかなうものである。

以上のことから、本研究開発は国が関与すべき事業であると考えられる。

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2.研究開発目標

2-1. 研究開発目標

耐熱性が1300℃と高く軽量なセラミックス基複合材(CMC)を航空エンジ

ンに適用し、高温部の冷却空気量を削減するとともに軽量化を図ることにより、

エンジンの大幅な燃費改善を目指す。本研究では、基盤的な研究開発として、

複雑な形状を有するタービン静翼に適用可能な複雑形状織物、成型方法の最適

化を図り、実体形状を試作することにより適切な製造プロセスを確立する。こ

のプロセス開発と温度・応力解析によりタービン静翼として成立性の目処を得、

かつ重量を30%以上軽量化することを目標とする。

2-2. 全体の目標設定

目標設定理由を以下に示す。

CMCを燃焼器やタービン等の高温部へ適用した場合、ニッケル基合金と比較す

れば図2-2-1に示すように燃料消費率(SFC;Specific Fuel Consumption)

や推重比の大幅な改善が見込めることが報告されている。強度の絶対値が低く、

製造制約でニッケル基合金より厚肉で単純形状にする必要があるが、密度が1

/4程度(ニッケル基合金9.0g/cm3、CMC2.2g/cm3)であること

から、目標として軽量化30%を設定した。

図2-2-1 CMCを適用した場合のメリット (出典;GE社論文)

注)右端はCMCの耐熱温度を1300℃、中2つは1200℃とした場合

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表2-2-1 セラミックマトリックスの各成型法の比較

反 応

粉末の含浸性

100

wt%大

残存Siあり~95

wt%大

MI

(米)

形成速度遅い

~20

wt%中

PIP

(日)

形成速度遅い

1~5

wt%小CVI(仏・米・日)

問題点原料寄与率

形成速度方法 反 応

粉末の含浸性

100

wt%大固相含浸

残存Siあり高温で強度低下

~95

wt%大

MI法

(米)

形成速度遅い

~20

wt%中

PIP法

(日)

形成速度遅い

1~5

wt%小CVI法(仏・米・日)

問題点原料寄与率

形成速度方法

気相

ポリマー

固相+溶融金属

固相+固相(混合比制御が容易)

C + Si (liquid) → SiC ( + C + Si)未反応分残存

Si + C → SiC

反 応

粉末の含浸性

100

wt%大

残存Siあり~95

wt%大

MI

(米)

形成速度遅い

~20

wt%中

PIP

(日)

形成速度遅い

1~5

wt%小CVI(仏・米・日)

問題点原料寄与率

形成速度方法 反 応

粉末の含浸性

100

wt%大固相含浸

残存Siあり高温で強度低下

~95

wt%大

MI法

(米)

形成速度遅い

~20

wt%中

PIP法

(日)

形成速度遅い

1~5

wt%小CVI法(仏・米・日)

問題点原料寄与率

形成速度方法

気相

ポリマー

固相+溶融金属

固相+固相(混合比制御が容易)

C + Si (liquid) → SiC ( + C + Si)未反応分残存

Si + C → SiC

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表2-2-1にセラミックマトリックスの各成型法の比較を示す。各国でも

現在 CMC の実用化を目指して開発中であるが、米国の成型法では耐熱性が約1

200℃と比較的低く、仏国の成型法はコストが高い。より具体的には、日本

の CMC はマトリックス成型に固相含浸法(SPI法)を適用し金属Siの残留

がない。これにより1300℃でも適用可能と耐熱性に優れ、低コストを実現

している。また、米国 CMC はマトリックス形成に液相含浸法(MI法)を適用

しており、比較的低コストだが金属Siの残留により耐熱性が低い。仏国 CMC

はマトリックスを気相含浸法(CVI法)のみで行っており、コスト、靭性に

务る。また、界面層組成の影響で耐熱性が低い。

以上のことから、日本の CMC は世界トップレベルの耐熱性とコスト競争力を

潜在的に有していると言える。(なお1300℃の耐熱性と30%の軽量化によ

る大幅な燃料使用量の削減効果は、2030年には年間10 万klとなる。第

5-4項参照)

具体的にエンジンへの適用部品を考えた場合、複雑な形状を有したタービン

静翼で成立性を確認できれば、その他の部品へ開発成果を応用することが期待

できる。タービン静翼のような複雑形状を CMC を構成する織物や部品構造によ

ってどのように付与するか、複雑形状でのセラミックマトリックスの含浸手法

をどのように最適化していくかが課題である。また、現状のニッケル基合金は

精密鋳造技術の発達により、部品の冷却を複雑な翼部内面構造、冷却孔の適切

配置によって成立させている。CMC でこのような最適冷却構造を取るのは難しく、

さらに一般的な金属より熱伝導率が一桁低いため、冷却する視点からは効率が

悪くなる。成型可能な簡易な構造で、かつ成立する冷却方法の設定も課題であ

る。従って、研究開発目標を達成するために、以下の3つの要素技術(課題)

に分けて研究開発を行う。

(1)複雑形状成型法の開発

(2)冷却構造の検討

(3)成立性の検討

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2-3. 個別要求技術の目標設定

研究開発目標を達成するため、3つの要素技術に分けて研究開発を実施した。

表2-3-1に要素技術(課題)毎にその目標設定を示す。

表2-3-1 個別要素技術の目標

要素技術 目標・指標

(事後評価時点)

設定理由・根拠等

(1)

複雑形状成型

型法の開発

タービン静翼の試作と、タービ

ン静翼に適した複雑形状織物

成型技術および高効率含浸法

を確立

タービン静翼はエンジン部

品の中でも形状が最も複雑

であり、この試作に成功する

ことで他の部品の成型が可

(2)

冷却構造の

検討

CMC に適した冷却構造を選定

し、その冷却性能データを取得

CMCは熱伝導率が低く製

造性からも制約が多いため、

CMC独自の最適冷却構造

が必要。構造成立性の目処を

得るためには、その冷却性能

データが必要

(3)

成立性の検討

取得した材料データ及び冷却

性能データを基にCMC静翼

を設計後に製造し、実環境にお

ける検証試験を行い、解析結果

と合わせてCMC静翼成立性

の目途を得る

CMC静翼の成立性を確認

するためには、実環境におけ

る検証試験による健全性の

確認が必要

なお、今回の中間評価では、前回の中間評価以降に実施した平成22年度以降

の成果について報告する。

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3.成果、目標の達成度

3-1. 成果

3-1-1. 全体成果

複雑形状成型法の開発及び冷却構造の検討は平成21年度までに完了し、平

成22年度以降は、成立性の検討を実施した。冷却基礎データを基にインピン

ジ冷却及びフィルム冷却構造を採用した CMC タービン静翼を設計し、試作した

CMC 静翼を用いて冷却性能試験を行い、冷却性能データを取得した。冷却性能

データを基に CMC 静翼の構造を設定し、試作したタービン静翼について、熱サ

イクル試験、実体強度試験、実環境における検証試験(エンジン実証試験)を

実施した。これらの全ての試験において目標を達成した。

残された実施項目として、取得数を増やした材料データを用いた解析を行っ

て精度を上げ、CMC 静翼の成立性に目途を得る。

3-1-2. 個別要素技術成果

(1) 冷却性能試験機の設計・製作・機能確認

冷却性能試験機の設計、製作、機能確認試験を実施し、目標とする主流条件

および各冷却流条件を実現できることを確認した。

(2) CMC 翼の冷却設計

過去に取得した、平板形態、翼列形態の試験による基本的な冷却性能データ

を基に CMC 翼の冷却設計を行った。翼内部にインピンジ冷却(噴流衝突冷却)、

翼表面にフィルム冷却を採用した形態を採用し、目標の冷却効率を達成するた

めに必要な冷却空気流量がミニマムとなるように、最適化設計を実施した。

(3) 無冷却及び冷却条件下における温度分布の取得

CMC 翼を冷却性能試験に供試し、無冷却条件下における温度分布データを取

得した。試験機を定格条件で静定させた状態から、燃焼器の全てのバーナーの

燃料を瞬時に遮断して燃焼器を停止させる熱衝撃試験を実施した。試験後の

CMC 翼には損傷や変形等の異常は見られなかった。

さらに冷却試験を実施した。採用した二種類の冷却方式の冷却効果を各々把

握するために( I )内部冷却(インピンジ冷却)のみを採用した場合、( II )

内部冷却とフィルム冷却を併用した場合の2通りの条件にて試験を実施し、冷

却性能データを取得した。当該データは実エンジン条件における温度解析に反

映した。

(4) CMC 材料データの取得

実エンジン環境における検証試験を可能とするため、平成23年度は、室温

と高温の引張強度と、室温の引張疲労強度、熱物性データを取得した。

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(5) エンジン実機相当条件下における CMC 冷却静翼の構造検討

まず、CMC 翼を使うメリットを定量的に把握するために、実エンジンにメタ

ル翼を搭載した場合と CMC 翼を搭載した場合の2ケースについて、タービン翼

の冷却設計を行った。その結果として、CMC 翼はメタル翼に比べて冷却空気流

量を約45%削減可能という予測結果が得られた。

次に、冷却翼を仮定し、エンジン実機相当条件における温度分布を解析した。

本解析には、冷却性能試験で得られた CMC 翼の冷却性能データ、およびこれま

でに取得した CMC の熱伝導率等を用いた。

取得した温度分布を元に、CMC 冷却翼のエンジン実機相当条件下での構造強

度の評価として構造解析を実施した結果を図3-1-1に示す。解析結果より、

構造的に特殊である翼部とバンド部の連結部分以外では、今年度までに得られ

た CMC材料データから実エンジン条件下でも十分な強度を有することが分かっ

た。翼部とバンド部の連結部分は(8)の実体強度試験にて十分な強度を有す

ることを確認した。

図3-1-1 CMC 冷却翼のエンジン実機相当条件における翼部繊維方向の

応力コンター図

(6) CMC 静翼試作

実エンジン環境における検証試験用に試作した CMC 静翼を図3-1-2に、

その材料仕様を表3-1-1に示す。翼形状は、これまで翼高さ方向でどの断

面も同じ形状である二次元翼型としていたが、空力特性を向上させる三次元形

状とした。また、これまでは繊維とマトリックスの固着を防止する界面コーテ

ィングの材質はカーボンとしてきたが、より耐熱性に優れた BN(Boron

Nitride;窒化ホウ素)を適用した。織物構造は、翼部には中空構造に適した織

物(C材)を、バンド部には厚肉の平板構造に適した織物(A材)を適用し、

翼部とバンド部を一体化した。マトリックスは CVI( Chemical Vapor

Infiltration;化学気相含浸)、SPI(Solid Phase Infiltration;固相含浸)、

PIP(Polymer Impregnate and Pyrolysis;液相含浸)の3種類を適用した。

前縁 後縁

腹側 背側

-100%-80%-60%-40%-20%020%40%60%80%100%

翼部 CMC材の引張強度を

100%とする

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試作した CMC 静翼について、外観、重量、X線CT等による評価を実施し、実

環境の検証試験に供する CMC静翼を目標仕様通りに成形できたことを確認した。

図3-1-2 試作した CMC静翼の外観

表3-1-1 CMC静翼の材料仕様

構成 仕様

繊維 SiC 繊維

界面コーティング BN(窒化ホウ素)

織物 翼部+バンド部一体織物

マトリックス CVI 法、SPI法、PIP法により含浸

(7) 熱サイクル評価

前項で試作した実エンジン環境での検証試験形態の CMC翼を用いて熱サイク

ル試験を実施し、繰り返し熱応力に対する健全性を確認した。試験装置は既存

のガスバーナー加熱装置を使用し、CMC 静翼に加熱と放熱を繰り返す熱サイク

ルを負荷した。熱サイクル試験形態を図3-1-3に示す。エンジン実機での

加熱状態を模擬するために供試体の両隣にダミー翼を配置して供試体の前面

から翼面を加熱した。温度計測結果から翼面の最大温度は想定試験条件である

約 1200℃を満足しており、各部の温度分布も想定範囲内であることが確認でき

たため、この条件にて 5000 サイクルの熱サイクル試験を実施した。試験後の

観察でクラック等の損傷は確認されなかった。

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図3-1-3 熱サイクル試験形態

(8) 熱サイクル負荷後の実体強度試験

CMC 静翼にエンジン実機で発生するような曲げ荷重を機械的に負荷する試験

を実施し、熱サイクル負荷前後での試作翼の実体強度を確認した。熱サイクル

負荷前後の強度を比較するために、熱サイクル負荷のない供試体、熱サイクル

を 100 サイクル負荷した供試体による実体強度試験を実施した。熱サイクルを

負荷した後の供試体に外観や X 線 CT で検出できるレベルの損傷は見られなか

った。実体強度試験形態を図3-1-3に示す。エンジン実機で発生する荷重

を模擬するためにアウタバンド部をエンジンと同様に保持し、翼面に荷重を負

荷した。

実体強度試験の結果、熱サイクル負荷前後で破壊箇所の変化は見られなかっ

た。破壊荷重は、ばらつきはあるものの両者ともにエンジン実機での想定荷重

の4倍以上であり、熱サイクル負荷前後の強度低下は見られない。以上により

試作翼実体にて、熱サイクル負荷後において強度低下を示すことなく十分な強

度を有することが確認した。

図3-1-3 試験形態概念図

(9) CMC 静翼成立性

3-1-2(4)項に示した CMC 材料データと、3-1-2(5)項に示し

た有限要素法による解析結果から強度評価を実施した。評価箇所を図3-1-

4に、評価結果を表3-1-2に示す。試作翼の構造強度については、3-1

供試体

ダミー翼

供試体

ダミー翼

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-2(7)、(8)により試作翼の健全性を確認した。以上により、CMC 静翼の

成立性に目途が得られた。

図3-1-4 評価箇所

表3-1-2 強度評価

評価箇所 翼部 バンド部

(アウターバンド)

バンド部

(インナーバンド)

翼とバンド部

との連結部

ア)

発生応力

または

発生荷重

3-1-2(5)項の有限要素法による

数値解析結果

エンジン想定

荷重を 100%

とする

イ)

許容応力

または

許容荷重

今年度までに取得した材料の引張強度を 100%とする

3-1-2項

の試作・試験

による

ウ) 評価 ○ ○ ○ ○

(10) 実エンジン環境下の検証実験

試作した CMC静翼を実エンジン環境に曝露して機能健全性を確認する試験を

実施するために、既存ガスタービンエンジン(図3-1-5)のタービン部分

を改修し CMC 静翼タービン静翼を搭載した。図3-1-6に示すように既存エ

ンジンのタービン1段静翼全周30枚のうち、4枚の翼を CMC 静翼に置き換え

た。検証試験においては、CMC 静翼入口ガス温度が 1050℃以上となる条件で 400

時間以上の運転を実施した。試験後、エンジンを分解し CMC 静翼の外観および

ミクロ検査を行い、問題のないことを確認した。

以上により、実エンジン環境において CMC タービン静翼が健全に機能するこ

とを検証した。

バンド部(アウタバンド)

バンド部(インナーバンド)

翼部 翼部とバンド部の

連結部分

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図3-1-5 検証試験用エンジン断面図

図3-1-6 CMC静翼組立状態(前視)

タービン1段静翼

エンジン前側 エンジン後側

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3-1-3. 特許出願状況等

表3-1-3に本研究開発での発表・特許等件数を、表3-1-4に発表・

特許リストの一覧をそれぞれ示す。

表3-1-3 発表・特許等件数

要素技術 特許等件数(出願を含む) 発表/投稿

複雑形状成型 4件 8件

冷却構造 0件 0件

成立性の確認 0件 0件

計 4件 8件

表3-1-4 発表・特許リスト

題目・メディア等 時期

発表 ASME Turbo Expo2012 “Cooling Performance Tests of a CMC

nozzle with annular sector cascade Rig”

H24.6

投稿 The American Ceramic Society ASME “Experimental and

Numerical Study on Application of a CMC Nozzle for High

Temperature Gas Turbine”

H24.1

発表 IGTC 2011 年大阪” Annular sector cascade rig tests of a

CMC stator vane with cooling structure”

H23.11

投稿 出願 No. 2011-2596111 平滑表面を有するセラミックス基複

合部材およびその製造方法

H23.11

投稿 日本ガスタービン学会誌 「CMC 材を用いた冷却タービン

翼モデルの冷却性能に関する研究」

H23.10

発表 2011 ターボ機械・航空宇宙の空力伝熱セミナー 「CMC タービ

ン静翼を用いた冷却性能試験および熱衝撃試験」

H23.9

発表 第 39 回日本ガスタービン学会年定期講演会「CMC 材を用い

た冷却タービン翼モデルの冷却性能に関する研究」

H23.7

発表 日本機械学会 2009 年度年次大会「航空エンジン用 CMC 部

品の強度評価」

H21.9

特許 出願 No. 2009-065051 構造物の製造方法及び構造物 H21.3

特許 出願 No. 2009-081254 フランジ部を備える中空構造物の製

造方法、フランジ部を備える中空構造物、及びタービン翼

H21.3

特許 出願 No. 2009-075954 CMCタービン静翼 H21.3

特許 出願 No. 2009-075962 CMCタービン静翼 H21.3

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3-2. 目標の達成度

表3-2-1に第2章で設定した目標個別要素技術達成度を示す。各要素技

術について順調に中間目標を達成しており、事業終了時の最終目標が達成でき

る見通しである。これより事業終了時の全体目標としても達成できる見通しで

ある。

表3-2-1.目標に対する成果・達成度の一覧表

要素技術 目標・指標 成果 達成度

複雑形状成型 タービン静翼の試作と、タ

ービン静翼に適した複雑形

状織物成型技術および高効

率含浸法を確立

・中空翼とバンド部を織物で一体化

したタービン静翼を試作した。

・織物成形、マトリックス含浸、機

械加工とも結果は良好であり、複雑

形状織物成型技術および高効率含浸

法を確立した。

◆以上により最終目標を達成した

達成

冷却構造の

検討

CMCに適した冷却構造を

選定し、その冷却性能デー

タを取得

・インピンジ+フィルム冷却構造を選

定した。レーザーにて冷却孔加工を

可能とした。

・試作した CMC 静翼を用いて冷却性

能データを取得した。

◆以上により最終目標を達成した

達成

成立性の確認 取得した材料データ及び冷

却性能データを基にCMC

静翼を設計後に製造し、実

環境における検証試験を行

い、解析結果と合わせてC

MC静翼成立性の目途を得

る。

・取得した材料データ、冷却性能デ

ータを基に CMC 静翼を設計、エンジ

ンに搭載可能な CMC 静翼を製造し

た。

・試作した CMC 静翼を用いてエンジ

ンによる実環境における検証試験を

実施し、30%以上の軽量化と十分な

健全性を有することを確認した。

・試作した CMC 静翼を用いた熱サイ

クル試験にて要求寿命を満足した。

・今後、材料試験データを追加し、

構造解析にて成立性を確認する。

◆以上により最終目標を達成できる

見通し

達成

(見込

み)

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4.事業化、波及効果

4-1. 事業化の見通し

本研究開発にて、CMCの事業化への鍵となる複雑形状成形技術は開発でき

ることから、他の航空エンジン部品への展開が可能となる。部品開発に目処が

ついたため、基盤技術として残された設計・製造・修理の課題に取り組むこと

で、航空エンジンへのCMC適用に向けての大きなリスクは無くなる。今後、

部品設計・解析・製造開発を並行して進め、材料試験規格の設定、材料データ

ベース取得、実部品設計・製造、エンジン耐久試験等を実施し、実機適用の段

階に移行する。(図4-1-1参照)

得られた成果の利用主体は、今後開発される各種の航空機用エンジンを想定

している。また、事業化に至るまでの期間として、材料試験規格化・材料デー

タベースの取得を3年以内に行うことを想定している。

さらに、事業化を確実にするためには、現在の試作レベルの製造量から量産

規模の製造量に飛躍的に拡大できる見通しが必要不可欠であり、量産時の製造

プロセス条件、速度を実証することが重要である。本研究開発で設定した製造

プロセス条件、速度を実証する実証設備を導入する計画であり、実機適用を確

実にする。

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図4-1-1 事業化(実機適用)までのステップ

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4-2. 波及効果

(1)その他の産業への適用

航空機産業は、極めて先進的な技術が最初に投入される高付加価値産業であ

るとともに、関連する技術の裾野が極めて広く、多方面の産業分野に波及可能

である。本事業も例外ではなく広い分野で新技術を開発しており、それらの技

術は輸送機器製造業、エネルギー産業、素材産業等に波及効果が期待できる。

航空産業では、ボーイング787などの炭素繊維複合材の利用拡大において、

日本の航空機メーカの競争力強化に貢献しており、現在自動車業界等へ展開さ

れつつある。

同様に複合材としてCMCがそれに続く日本競争力強化に繋がることが期待

される。また、図4-2-1に示すように、技術波及が可能な輸送(自動車、

鉄道、ロケット等)、エネルギー機器(ガスタービン、工業炉等)の分野におい

て、耐熱性の高いCMCを活用することによる日本の競争力強化が見込まれる。

図4-2-1 波及効果が見込める製品例

軽量高性能ブレーキディスク

(自動車、航空機、鉄道;SGL H.P.)

耐熱外壁

(再突入機;JAXA H.P.)

スラスタノズル

(衛星・探査機)

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5.研究開発マネジメント・体制・資金・費用対効果等

5-1. 研究開発計画

第3、4章で述べた個別要素技術について、CMCタービン静翼の開発を平成2

0年度より5年間に渡り、図5-1-1に示す計画で進めている。以下に概略

を示す。

平成 20年度は、セラミックマトリックスの高効率な新規含浸法である固相含

浸法を複雑翼形状に適用するための成型条件の検討を行い、翼-バンド部分割

構造、一体構造等についてそれぞれ繊維織物の試作を行った。また、CMCの製造

制約性を考慮した中空翼構造を検討し、冷却孔の検討を行った。これらと並行

して、成立性の確認を行うため、材料試験により CMC の基礎的なデータを取得

し、最終年度の冷却性能試験用の CMC 静翼の概略形状とその仕様を検討に着手

した。

平成 21 年度は、CMC 静翼の複雑形状を模擬する供試体を用いた固相含浸法の

最適化を行い、分割型と一体型の静翼を試作し成形性及び接合部強度を確認し

た結果、中空冷却翼に適した織物構造として一体織物を選定した。また、H20年

で設定した CMC平板への加工条件をもとに、CMC翼形状供試体への冷却孔加工試

験を実施し、その試験後の翼形状供試体について、冷却基礎データを取得した。

さらに、成立性の確認を行うために、CMC設計に必要な高温の材料強度、物性を

追加取得した。平成 20年度に設定した概略構造をもとに、詳細設計と冷却性能

試験機の製作に着手し、平成 20 年度に実施した概略構造検討結果と取得した材

料データをもとに、CMC静翼の概略解析を行い、主要な寸法を設定した。

平成 22 年度は、平成 21 年度に選定した中空冷却翼に適した織物構造、最適

化を行ったマトリックス含浸手法を元に、冷却性能試験に供するモデル静翼の

試作を完了した。試作した静翼について熱サイクル試験を実施し、ミクロ組織

をX線CT検査で調査し熱負荷の影響を評価した。また、平成 21年度に開始し

た冷却性能試験機の設計および製作を完了した。試験機が問題なく稼動するこ

とを確認した後、試作した CMC 静翼を用いて無冷却条件下での温度分布を取得

した。取得した温度分布と平成 21 年度までに行った冷却性能基礎試験の結果を

元に、温度解析に用いるデータを推定した。さらに、冷却性能試験に用いる CMC

静翼の詳細な形状を設定し、取得した材料物性データ、および冷却性能試験の

結果を元に、無冷却条件下での温度・応力解析を実施した。

平成 23 年度は、平成 22 年度に行った無冷却条件下での温度分布取得結果に

基づき、冷却空気を所定量流した場合の冷却性能試験を実施し、温度解析に用

いるデータの取得を完了した。有限要素法による CMC 静翼の温度・応力解析を

実施した。さらに、CMC 静翼を試作し、熱サイクルを負荷した前後の CMC静翼の

実体強度を確認した。これらの結果と、温度・応力解析の結果から、CMC静翼の

成立性に目処が得られるか評価し、実エンジン環境に CMC 静翼を曝露する実環

境の検証試験を開始した。

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平成 24 年度は、平成 23 年度実施分と合わせて 400 時間以上の実環境の検証

試験を実施した。当該試験後に CMC静翼の外観、およびミクロ検査等を行ない、

構造健全性を確認し、実エンジン環境に CMC 静翼を長時間曝露した場合におい

て問題がないことを確認した。一方、熱応力の影響が大きい CMC 静翼において

課題と考えられる熱サイクルに対する耐久性を確認するために、平成 23年度に

引き続き 5000回以上の熱サイクル試験を実施した。

さらに、CMC の物性値(熱物性、弾性係数など)、強度(引張、圧縮、疲労、

クリープなど)データを取得し、平成 23年度までに取得した別バッチにおける

特性と比較し、設計に用いたデータを確認し精度の向上を図る。

これらの材料試験、実環境評価の結果を基に CMC静翼の成立性を確認する。

図5-1-1 研究開発計画

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5-2. 研究開発実施者の実施体制・運営

図5-2-1に実施体制を示す。本研究開発は、公募による選定審査手続き

を経て、株式会社IHIが経済産業省からの委託を受けて実施している。研究

開発の実施、運営に当たっては、研究開発を統括するためのプロジェクトリー

ダー(株式会社IHI航空宇宙事業本部技術開発センター材料技術部部長 荒

井幹也)を設置した。

図5-2-1 研究開発実施体制

株式会社IHIは、航空エンジン用の CMC 部品開発については、「超音速輸送

機用推進システム研究開発(HYPR)」、「環境適合型次世代超音速推進システ

ム研究開発(ESPR)」、「先進材料利用ガスジェネレータ技術開発(AMG)」

など、複数の研究開発プロジェクトや実用化助成事業においてタービン部の大

型無冷却翼、シュラウド、テールコーン部品等に適用可能な織物とセラミック

マトリックスを含浸する技術を開発した経験が豊富にあり、十分な研究開発と

製造の能力を有している。織物にセラミックマトリックスを低コストで含浸す

る技術については、社内研究の他、航空宇宙工業会(SJAC)受託研究など

の研究開発プログラムを通じて開発した経験が豊富にあり、十分な研究開発の

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能力を有している。

タービン冷却技術については、国産ジェットエンジンの高圧空冷タービンに

ついて、国内唯一無二の実績と技術力を有しており、近年では「超高温耐熱材

料 MGCの創製・加工技術研究開発(MGC)」、「環境適応型小型航空機用エンジ

ン研究開発(エコエンジン)」などの研究開発プログラムを通じて、世界最高水

準を狙った独自の高性能冷却技術の開発も進めている。

また、株式会社IHIは航空エンジンの国内売上高3600億円の7割を占

める(平成20年度実績:日本航空宇宙工業会)トップシェアのメーカとして、

V2500、GE90、CF34エンジン等の国際共同開発にも数多く参加し

ており、これまでも研究開発成果を実用化に繋げている。

また、プロジェクトリーダーである株式会社IHI航空宇宙事業本部技術開

発センター材料技術部部長 荒井幹也は、昭和61年4月から平成20年3月

まで、株式会社IHIにて金属材料の開発業務に従事し、粉末冶金ニッケル合

金、酸化物分散強化合金、チタンアルミ金属間化合物、ニッケル基単結晶合金

等の開発を担当し、平成20年4月より現職につき、材料技術部を統括するだ

けでなく、平成21年度には社団法人日本航空宇宙工業会素材専門委員会での

委員長に選出され、取りまとめとして日本の航空機産業へ貢献していることか

らも、研究開発責任者として十分な能力を有する。

5-3. 資金配分

表5-3-1に年度毎に総事業費として予算額を示す。当初、平成20年度

からの3年間の予定であったが、平成23年度と平成24年度に実環境による

検証試験を実施することとし、合計5年間の事業として実施した。

表5-3-1 資金年度配分(政府予算額)

(単位:百万円)

年度 平成 20 21 22 23 24 合計

複雑形状成型法の開発 39 28 0 0 0 67

冷却構造の検討 14 17 0 0 0 31

成立性の確認 47 50 65 125 100 387

合計 100 95 65 125 100 485

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5-4. 費用対効果

本研究開発によって得られる技術は民間用、防衛用を問わず航空エンジン

に適用できる基盤技術であり、深刻化する資源の枯渇、地球温暖化防止などの

面から燃料消費を抑えた次世代の高性能エンジンでの実用化が期待される。本

研究成果によりタービン静翼、排気ノズル等の航空機用エンジン部品(重量が

全体の5%相当)への適用が可能となる。各部品で30%の軽量化が見込まれ、

エンジン全体では約1.5%の軽量化となる。また、金属部品に比べ耐熱温度を

200℃上昇させることにより冷却空気を約30%低減できることから、エン

ジンの熱効率向上による燃費改善は約5%と見込まれる。さらに冷却空気の削

減は、その流路面積に相当する分のエンジンのコンパクト化につながり、エン

ジン重量を約3%低減する効果が見込まれる。CMC化による軽量化分と合わ

せ約4.5%の重量低減となり、これは巡航時間が短く軽量化の効果が大きい小

型機で約1.3%、中大型機でも約0.2%の燃費改善に換算できる。熱効率向

上と軽量化の燃費改善効果を合わせると、小型機で約6.3%、中大型機で約5.

2%となり、CMCを適用することにより5%以上燃費を改善する省エネ効果

が可能と期待される。(図5-4-1参照)

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図5-4-1 CMC材料適用による航空エンジンの高性能化

日本のエアラインの2030年の年間燃料使用量は730万kl程度であり、

本研究成果等により6%燃費が向上すると、2030年には年間10万kl程

度の燃料使用量削減に繋がる。この値は年間65億円程度の省エネ経済効果と

なり、研究開発費の総額と省エネ経済効果から算出される費用対効果について

も2%程度に抑えることができ、十分に効果があるといえる。

5-5. 変化への対応

特に大きな変化はなし。

(*1)CMC適用部位 燃焼器ライナ、高圧タービン静翼、高圧タービンシュラウド、低圧タービン静翼、排気ノズルこれらの部品が、エンジン全体重量に占める割合は、約5%

CMC適用

冷却空気量削減(TITは維持)

CMC化による部品の軽量化(*1)

熱効率向上

エンジンの小型軽量化

タービン入口温度(TIT)の上昇 NOxの上昇

燃費改善

旅客機用として不適

壁温200℃上昇可

比重1/4

×

エンジン重量1.5%削減

冷却空気流量30%削減

燃費改善5%

エンジン重量3%削減

小型機6.3%改善中大型機5.2%改善

金属よりも肉厚必要で、適用対象部品の重量は

30%削減

エンジン重量合計4.5%削減

燃費改善小型 1.3%中大型 0.2%

重量削減と燃費改善の関係小型機は巡航時間が短く、重量削減による燃費改善効果が高い中大型機は巡航時間が長く、重量削減による燃費改善効果が低い

(*1)CMC適用部位 燃焼器ライナ、高圧タービン静翼、高圧タービンシュラウド、低圧タービン静翼、排気ノズルこれらの部品が、エンジン全体重量に占める割合は、約5%

CMC適用

冷却空気量削減(TITは維持)

CMC化による部品の軽量化(*1)

熱効率向上

エンジンの小型軽量化

タービン入口温度(TIT)の上昇 NOxの上昇

燃費改善

旅客機用として不適

壁温200℃上昇可

比重1/4

×

エンジン重量1.5%削減

冷却空気流量30%削減

燃費改善5%

エンジン重量3%削減

小型機6.3%改善中大型機5.2%改善

金属よりも肉厚必要で、適用対象部品の重量は

30%削減

エンジン重量合計4.5%削減

燃費改善小型 1.3%中大型 0.2%

重量削減と燃費改善の関係小型機は巡航時間が短く、重量削減による燃費改善効果が高い中大型機は巡航時間が長く、重量削減による燃費改善効果が低い