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駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成 20 年3月 兵庫県

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駐車場整備計画ガイドプラン

~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~

平成 20 年3月

兵庫県

Page 2: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

はじめに

20 世紀は「都市の時代」といわれ、我が国でも戦後の高度経済成長や人口急増の過程

で都市はたゆみなく膨張を続け、そこでの都市づくりは、経済性や効率性を優先したも

のとなっており、駐車場対策においても、自動車交通需要が増大する中、道路交通の円

滑化を図り、都市の機能の増進に寄与することを目的として駐車場の量の確保が図られ

てきた。

このような中、阪神・淡路大震災では経済性を重視した 20世紀都市の脆弱性が明らか

になり、新たなまちづくり像として、県民一人ひとりが地域社会のなかで安全に、安心

して暮らし、地域への愛着を育むことができる魅力あるまちを、生活者の視点に立ち、

地域住民の信頼と協働によって創り上げるまちづくりが示され、展開されることとなっ

た。

さらに、人口減少・少子高齢社会を迎える中で、駐車場対策においては、単に駐車場

の量の確保を図るのではなく、既存の駐車場の有効活用を図るなど地域特性に応じた対

策を公共交通とも連動し、全体として調和のとれた交通体系の下で展開していくことが

重要となってきている。

そこで、平成 18 年 11 月に、県と関係 11 市で「中心市街地駐車場対策検討協議会」を

設立し、中心市街地の活性化に資するソフト対策を絡めた「総合的な駐車場対策」に係

る協議及び情報交換を行った結果、平成 19年度に駐車場実態調査等を実施し、その結果

を踏まえて、県が「駐車場整備計画ガイドプラン」を策定することとなり、有識者及び

行政職員によって構成する「中心市街地駐車場対策検討委員会」(委員長:土井勉神戸国

際大学教授)を設置して、具体的な内容について検討を行ってきたところである。

本冊子は、駐車場対策の実施主体である市町が、施設単位に駐車施設を確保するだけ

でなく、既存駐車施設の有効活用を図るなど地域特性に応じた総合的な駐車場対策を講

じる際の手引書となるものである。

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駐車場整備計画ガイドプラン

~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~

目 次

はじめに

1 策定のねらい .......................................................1

(1) 成熟社会のまちづくり ............................................. 1

(2) 総合的な駐車場対策の必要性 ....................................... 1

(3) 駐車場整備計画の意義・役割 ....................................... 2

(4) 駐車場整備計画ガイドプランの位置付け ............................. 2

2 県内の中心市街地における駐車・駐輪の現状と課題..................... 3

(1) 実態調査の内容 ...................................................3

ア 駐車・駐輪台数調査 ............................................. 3

イ アンケート調査 ................................................. 5

ウ ヒアリング調査 ................................................. 6

(2) ケーススタディ地区における駐車・駐輪の実態....................... 7

ア 阪急西宮北口駅周辺地区 ......................................... 7

イ JR加古川駅周辺地区 .......................................... 9

ウ 阪急川西能勢口駅周辺地区 ......................................11

(3) アンケート調査結果と課題 ........................................13

ア 中心市街地での来街者の滞在時間 ................................13

イ 中心市街地での回遊性 ..........................................14

ウ 駐車場・駐輪場から目的施設までの歩行距離

(徒歩で移動しても良い距離) ......15

エ 駐車場の選択要素 ..............................................17

オ 駐車場情報の取得手段 ..........................................18

(4)3地区の実態から見た駐車対策の課題 ...............................19

ア 地区全体では既に駐車容量に余裕があることを踏まえた

新規駐車施設の取り扱い.......19

イ 駐車場の利用状況のアンバランスへの対応 ........................20

ウ 路上駐車車両への対応 ..........................................21

エ 駐輪(自動二輪車及び自転車等の駐車)対策......................22

オ 自動二輪車駐車需要への対応 ....................................24

3 総合的な駐車場対策の基本的な考え方 ................................25

(1) 施設単位の対策から地域で考える総合的な施策へ....................25

(2) 中心市街地駐車場対策の方向性 ....................................25

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ア 総合的な駐車場対策の範囲 ......................................26

イ 駐車場の整備から活用へ ........................................27

ウ 安全で快適な交通環境の確保と駐車場 ............................27

エ まちづくりに応じた戦略的な駐車場整備 ..........................27

オ 地域と一体となった総合的な駐車対策 ............................28

カ 協議会等を設置し地区の課題を解決 ..............................28

キ 民間と行政の役割分担 ..........................................28

(3) 市町による駐車施策に係るマスタープラン

及び駐車場整備計画の策定促進 ..........29

ア 駐車施策に係るマスタープランの策定 ............................30

イ 駐車場整備計画の策定 ..........................................31

(4) 駐車場附置義務の見直し .........................................31

ア 特定用途の細分化 ..............................................32

イ 地域ルールによる基準の弾力化 ..................................32

ウ 自動二輪車に関する附置義務 ....................................32

(5) 総合的な駐車場対策の推進 .......................................33

ア 歩行動線等を考慮した戦略的な駐車場の配置......................33

イ 荷捌き等の短時間駐車需要への対応 ..............................33

ウ 料金設定と情報提供 ............................................33

エ 取締りと啓発 ..................................................34

オ 小規模な路外駐車場・月極駐車場の抑制 ..........................34

4 駐車場整備計画策定の手引き ........................................35

(1) 駐車場整備地区の指定に係る基本的な考え方等.....................35

ア 基本的な考え方 ................................................35

イ 指定フロー ....................................................35

ウ 駐車場整備地区の見直し ........................................36

(2) 駐車場整備計画の策定に係る基本的な考え方等.....................36

ア 基本的な考え方 ................................................36

イ 策定フロー ....................................................36

ウ 駐車場整備計画の見直し ........................................36

(3) 駐車場整備計画の策定項目 .......................................39

ア 路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する基本方針................39

イ 路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標年次及び目標量............39

ウ 路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標量を達成するために

必要な路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する施策....39

エ 地方公共団体の設置する路上駐車場で、駐車場整備地区内

にある路外駐車場によっては満たされない自動車の駐車需

要に応ずるため必要なものの配置及び規模並びに設置主体..........40

オ 主要な路外駐車場の整備に関する事業計画の概要..................40

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カ 地域特性に応じた駐車施設の整備 ................................40

5 駐車場附置義務の見直しの手引 ......................................41

(1) 見直しのポイント ...............................................41

ア 標準駐車場条例の改正状況の確認 ................................41

イ 駐車場の利用実態を踏まえた独自規定の検討......................44

ウ 附置基準の弾力化のための地域ルール導入の検討..................45

(2) 駐車場附置義務条例の規定モデル .................................48

6 総合的な駐車場対策の展開方策 ......................................60

(1) 駐車場のマネジメントからはじめるまちづくり....................60

ア タウンセンターマネジメント ....................................60

イ マネジメント・インフラとしての共通サービスポイントカード......60

ウ 自家用車による移動を減らすための施策 ..........................61

(2) 社会実験による駐車施策及びマネジメントの具体化.................61

ア トランジットモールやモールの社会実験 ..........................61

イ 余裕のある駐車ロットの転用実験 ................................62

ウ 駐車・駐輪行動を探る実験 ......................................62

エ 補助交通に関する実験 ..........................................62

オ 共通サービスに関する実験 ......................................62

カ 共通サービスポイントカードに関する実験 ........................62

(3) モデル地区における施策提案 .....................................68

ア 阪急西宮北口駅周辺地区 ........................................68

イ JR加古川駅周辺地区 ..........................................69

ウ 阪急川西能勢口駅周辺地区 ......................................70

おわりに

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1 策定のねらい

(1) 成熟社会のまちづくり

今、わが国は、少子高齢の本格的な人口減少社会を迎えつつあり、総人口は既に減少局面に

転じ、50年後には9千万人を下回ると言われている。兵庫県でも、2010 年の 562 万人を最高に、

その後は人口が減少していくことが見込まれる。少子化と高齢化は、世界的に例を見ない早さ

で進行し、人口構造が変化している。

このような中、本県では、平成 13 年2月に「21世紀兵庫長期ビジョン」を策定した。その

中では、創造的市民社会(人の自律を支える)、環境優先社会(営みの循環を促す)、しごと活

性社会(しごとの創造を図る)、多彩な交流社会(県土の活用を進める)の4つを目指すべき社

会像として、7つの圏域ごとに地域ビジョンをまとめ、参画と協働のもと、ビジョンの実現に

向けた取組みを進めて行くことにしている。

また、まちづくり施策に関しては、県民等とのパートナーシップのもと、生活者の視点に立

って、安全に安心して暮らすことができる人間サイズのまちづくりを推進するため、平成 12年

3月にまちづくり基本条例に基づき「まちづくり基本方針」を策定(平成 19 年7月改訂)した

ところである。

一方、交通施策に関しては、平成7年 10 月に策定された「ひょうご21世紀交通ビジョン」

で、地域の活動を支援する交通体系の強化、人と自然に配慮した交通の確立、快適で多様な交

通の創出等を基本目標に掲げ、これを受けて平成 18 年3月に策定された「ひょうご交通10カ

年計画」では、人口減少社会・高齢社会の到来、環境への意識の高まり、ユニバーサル社会の

進展、情報通信技術の進歩、価値観の多様化等の時代潮流の変化や公共交通の現状と課題を踏

まえつつ、地域づくりと生活者の視点から公共交通の充実に向けた基本戦略と施策体系、さら

に県内6地域における公共交通施策の推進方向等を取りまとめたところである。

(2) 総合的な駐車場対策の必要性

これまでの駐車場対策においては、自動車交通需要が増大する中、道路交通の円滑化を図り

都市の機能の維持及び増進に寄与することを目的として、都市計画駐車場等の整備や一定要件

を満たす建築物に対する駐車場の附置義務により量の確保が図られてきた。

しかし、上述のまちづくりに関する方針や計画の方向性と整合を図りつつ、人口減少と少子

高齢化という大きな社会情勢の変化に的確に対応するためには、将来的な総需要の減少等を見

据えながら計画的に供給を調整し、各駐車施設の経営の効率性を高めるなどの対策を地域ごと

に考えていく必要がある。さらに、身体障害者、高齢者、幼児同伴者等の移動制約者が移動し

やすい空間づくりにも配慮し、駐車施設が生活者及び来街者の満足を獲得するための交通結節

点となるよう、駐車場対策を再構築していくことが求められる。

そのためには、特に中心市街地における駐車場対策を、環境と経済性の両立なども含めた施

策の総合化の中で、自動車や自転車などの私的交通と鉄道やバスなどの公共交通がうまく連動

し「全体としての調和」を実現できる総合的なものにしていく必要がある。

1

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(3) 駐車場整備計画の意義・役割

駐車場整備計画は、駐車場法第4条の規定により、原則として駐車場整備地区ごとに市町が

策定する路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する計画であり、当該地区における駐車場の整

備に関するマスタープランとして位置付けられるものである。

駐車場整備計画には、駐車需要の質及び量の観点から、駐車場の整備に関する基本方針、駐

車場の整備の目標年次及び目標量、公共と民間の整備の分担、駐車場の有効利用に関する施策

等について定めることとされている。

駐車場整備計画を定める際は、当該市町の土地利用や都市施設等に関する都市計画との整合

を図るとともに、必要に応じて、総合的な都市交通計画の一環として実施される駐車需要を削

減する方策等、駐車場整備以外の対策も含めて定めることができることになっているが、現実

には、急激なモータリゼーションの進展による中心市街地の駐車場不足を解消するための計画

にとどまっている。

これまでは、施設の新増築の際に施設ごとの駐車需要に対応する駐車場を原因者に整備させ

ることを原則としながら、必要に応じて通勤や観光等による駐車需要に対応する都市計画駐車

場等を行政が整備し、量の確保を中心とした駐車場対策が実施されてきた。

しかし、成功事例としては主に国外のものになるが、中心市街地のにぎわいのためには「歩

きやすく人が集まる空間づくり」を推進することが重要であり、そのためには、駐車場に停め

て中心市街地を回遊できるような駐車場の配置と駐車行動を誘導するための施策が必要となる。

このように、駐車場対策をソフト対策も絡めた総合的なものにしていくためには、施設ごと

に実施されてきたこれまでの駐車場対策を、地域で考える総合的な施策に転換していく必要が

ある。その中で、これまで駐車場関連に限定されていた来街者へのサービスを、公共交通の利

便性確保等にも拡げることにより、駐車需要を削減することも可能となる。

今後は、地区としての駐車需要を把握し、それぞれの地区の特性や交通体系のあり方も視野

に入れながら、整備目標(駐車容量)、民間と行政の役割分担等を明らかにした上で、駐車場整

備計画を策定することが求められる。

(4) 駐車場整備計画ガイドプランの位置付け

「駐車場整備計画ガイドプラン」は、地域特性に応じた総合的な駐車場対策の実施に向けた

手引書であり、中心市街地における駐車場対策を中心市街地の活性化や公共交通を中心とする

都市交通の再構築に資するものと位置付けられるものである。

今後、駐車場対策の実施主体である市町において施策の具体化に向けた検討が進められ、地

域特性に応じた総合的な駐車場対策の推進を図ることが期待される。

2

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2 県内の中心市街地における駐車・駐輪の現状と課題

駐車場整備計画ガイドプランの作成に当たり、ケーススタディとして県内のタイプが異な

る3つの中心市街地において「駐車及び駐輪の実態」、「来街者・住民の中心市街地での交通

行動」、「駐車場利用者の意向」などを把握した。また、駐車施策に関する課題を把握するた

め、ケーススタディ地区や県下を代表する企業等に対して「駐車施策に対する意向等」を把

握した。

(1) 実態調査の内容

ア 駐車・駐輪台数調査

(ア) 調査の目的

阪急西宮北口駅、JR加古川駅、阪急川西能勢口駅の自動車の駐車実態及び自動二

輪車・自転車等(自転車、原動機付自転車)の駐輪実態を把握するため、駐車場利用

台数及び路上駐車台数、駐輪場利用台数及び路上駐輪台数を調査した。

<ケーススタディ地区の概要>

①阪急西宮北口駅周辺地区

(西宮市:人口約 47 万人、阪急西宮北口駅乗降客数:約 79千人/日)

・阪急西宮北口駅を中心に東西に阪急神戸線、南北に阪急今津線が走るとともに、阪

急バス及び阪神バスの路線が多数発着する公共交通の要衝である。

・この地区では、平成 20年 11 月の開業を目指して阪急西宮スタジアム跡地において

ショッピングセンター開発計画が進んでいるほか、サティ跡地においても大規模集

客施設の立地が見込まれるなど民間開発のポテンシャルが非常に高い。

②JR加古川駅周辺地区

(加古川市:人口約 27万人、JR加古川駅乗降客数:約 42千人/日)

・JR加古川駅を中心に東西にJR山陽本線、北にJR加古川線が走るとともに、

神姫バスの路線が多数発着しており、東播磨地域における公共交通の要衝である。

・当地区には駅の南西方向に加古川市の中心市街地となる寺家町商店街があるほか、

その両端にヤマトヤシキとニッケパークタウンという大規模商業施設が立地して

いるが、寺家町商店街では空き店舗の増加が続いている。

③阪急川西能勢口駅周辺地区

(川西市:人口約 16 万人、阪急川西能勢口駅乗降客数:約 147 千人/日)

・阪急川西能勢口駅を中心に東西に阪急宝塚線、北に能勢電鉄妙見線が走るとともに、

阪急バスの路線が多数発着し、阪神地域北部の公共交通の要衝である。

・駅周辺にはアステ川西など大規模商業施設が集積しており、休日には周辺道路の交

通渋滞が著しい。

3

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(イ) 調査の種類と内容

① 駐車場利用台数調査

地区内の駐車場及び駐輪場のうち調査実施について了解が得られた箇所について、

平日(平成 19年 11 月 29 日(木))と休日(平成 19 年 12 月 1 日(土))の 2日間、調

査員が 10時台、13 時台、16 時台の利用状況を目視で確認し、駐車場利用台数、駐輪

場利用台数を把握した。

② 路上駐車・路上駐輪台数調査

あらかじめ各市にヒアリングを行った上で選定した「路上駐車が多い路線・区間」

について、上記の2日間で、調査員が 10時台、13 時台、16時台の路上駐車・路上駐

輪の状況を目視で確認し、台数を把握した。

表1―1 実態調査実施箇所数等

駐車場 駐輪場

ケーススタディ地区名

対象駐車

場数

調査実施

箇所

対象駐輪

場数

調査実施

箇所

路上駐車台数調査対象区間

延長

阪急西宮北口駅周辺地区 13箇所 6箇所 8箇所 5箇所 約 1,030m

JR加古川駅周辺地区 27箇所 19箇所 7箇所 4箇所 約 450m

阪急川西能勢口駅周辺地区 21箇所 7箇所 16箇所 4箇所 約1,580m

4

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イ アンケート調査

(ア) 調査の目的

地区への来街者や地区内に居住する住民等の中心市街地内での行動実態並びに公共

交通機関への転換の可能性等を把握するため、アンケート調査を実施した。

(イ) 調査の種類と内容

アンケート調査の種類とそれぞれの調査内容等は以下のとおりである。

表1-2 アンケート調査の実施概要

①来街者アンケート ②住民アンケート ③駐車場利用者

アンケート

調査対象 通行者

・市内の小学生の家族(西宮市、

川西市)

・住民基本台帳よりランダムサン

プリングした 1,500 名(加古川

市)

駐車場利用者

調査時期

平成 19 年 12月 1 日(土)

及び平成 19 年 12 月 6 日

(木)の 9:00 から 17:00

・平成 19 年 12 月初旬に配布し、

12 月下旬に回収

平成 19 年 12 月初旬に設置し、

12 月下旬に回収

調査方法 街頭において調査員によ

る聞き取り調査を実施

・市内の小学校を介しアンケート

票を配布回収(西宮市、川西市)

・市が実施する、中心市街地活性

化に関するアンケート調査と併

せて実施。調査の対象者に郵送

により配布・回収(加古川市)

駐車場内に、アンケート票及び

回収箱を設置

主な調査

項目

①回答者の属性

②来街の頻度、目的、利

用交通手段

③滞在時間

④駐車場の選定理由

⑤公共交通への転換可能

性等

⑥バイク・自転車の利用

状況等

①回答者の属性

②駅周辺地区へ行く頻度、目的、

利用交通手段

③滞在時間や立ち寄り施設数

④平均買い物等金額

⑤駐車場の選定理由、目的施設ま

で徒歩でいける距離、遠く離れ

た駐車場を利用する条件

⑥公共交通への転換可能性等

⑦バイク・自転車の利用状況等

注)加古川市は、中心市街地活性

化調査の中で実施したため、

調査項目が一部異なる。

①回答者の属性

②来街の頻度、目的

③滞在時間や立ち寄り施設数

④平均買い物等金額

⑤駐車場の選定理由、駐車場情

報の入手手段、目的施設まで

徒歩でいける距離、遠く離れ

た駐車場を利用する条件

⑥公共交通への転換可能性等

⑦まちづくり、駐車・駐輪対策、

公共交通(電車、バス)等に

ついての意見

5

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(ウ) アンケート調査票の配布数と回収数

アンケート調査票の配布・回収状況は以下のとおりであり、地域の協力があったこ

とからかなり高い回収率となっている。

表1-3 アンケート調査の回収状況

ウ ヒアリング調査

(ア) 調査の目的

駐車容量の相互融通、駐車施設の集約化等についての意向や協力する場合の前提条

件を把握するため、駐車場所有者等のヒアリング調査を実施した。

(イ) ヒアリング調査の対象

(ウ) 実施時期

平成 19 年 12 月から平成 20 年 2 月にかけて実施した。

○商業者:6者 ○ホテル:2者

○開発者:2者 ○交通・運輸事業者:4者

○駐車場・駐輪場事業者等:5者 ○交通管理者:3者

対象地区 対象 配布数 有効回収数 有効回収率

住民 1,600 832 52.0%

来街者 --- 254 ---

駐車場利用者 --- 26 ---

合計 --- 1,112 ---

住民 1,500 498 33.2%

来街者 --- 257 ---

駐車場利用者 --- 134 ---

合計 --- 889 ---

住民 1,600 720 45.0%

来街者 --- 284 ---

駐車場利用者 --- 23 ---

合計 --- 1,027 ---

阪急西宮北口駅周辺

阪急川西能勢口駅周辺

JR加古川駅周辺

6

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(2) ケーススタディ地区における駐車・駐輪の実態

ア 阪急西宮北口駅周辺地区

(ア) 駐車の実態

★平日:H19.11.29(木)

休日:H19.12.1(土)

図2-1a 阪急西宮北口駅周辺地区の駐車実態

阪急西宮ガーデンズ駐車場台数:2,980台

1 1

2

2

3

4

:SC施設付帯駐車場

:SC以外の施設付帯駐車場

:一時貸し駐車場

:路上駐車調査箇所

5

乗降客数

79,337(人/日)

西宮市人口

472,999(人)H19.2.1現在

5.P-zone駐車場(一時預り)料金:200円/30分

P-zone駐車場(一時貸し)(駐車容量:44台)

2631

2731

19

35

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

P-zone駐車場の利用実態(駐車容量:44台)

4.大阪建設駐車場(専用)(SC以外の施設付帯駐車場)

大阪建設駐車場(SC以外の施設付帯駐車場)(駐車容量:13台)

5

9

4

7

34

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

大阪建設駐車場の利用実態(駐車容量:13台)

2.兵庫県立芸術文化センター駐車場(一時預り)料金:300円/60分

※平日の調査日(11/29)は閉館日のため公演なし

県立芸術文化センター駐車場(駐車容量:164台)

453

57

6 12

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

県立芸術文化センター駐車場の利用実態(駐車容量:164台(第1、第2の合計)

○コンサート等の開催時以外はほとんど活用されていない ○SC施設付帯駐車場などのピークカットに活用可能である

3.プレラ西宮駐車場(一時預り)料金:150円/30分

プレラ西宮駐車場(駐車容量:102台)

614842

6062 58

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

プレラ西宮駐車場の利用実態(駐車容量:102台)

周辺路上駐車状況 駅前広場ほか7地点で調査

路上駐車台数

10

13

25

39

22

17

0

10

20

30

40

50

10時台 13時台 16時台

路上駐車台数(台)

平日

休日

路上駐車の実態

1.アクタ西宮駐車場(一時預り)料金:150円/30分

アクタ西宮駐車場(駐車容量:731台)

214 232 208

731

291

455

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

アクタ西宮駐車場の利用実態(駐車容量:731台(東館、西館の合計)

○ピーク時間では満車になっているが、それ以外の時間帯の駐車台数は少ない

阪急西宮北口駅周辺地区における附置義務駐車場の整備台数等

施設名 主な用途 標準駐車場条例 西宮市駐車場施設附置条例大店指針※

アクタ西宮共同住宅店舗等

540台 593台 653台 731台ピーク時間:休日16時台   数:731台(率:100%)

芸術文化センター

劇場 201台 201台 243台(一般開放164台)

ピーク時間:休日13時台   数:57台(率:34.8%)

プレラにしのみや

共同住宅公民館等

93台 105台 105台(一般開放102台)

ピーク時間:休日10時台   数:62台(率:60.8%)

その他 57台

合計(調査対象駐車場)

(1,054台)ピーク時間:休日16時台   数:856台(率:81.2%)

整備中阪急西宮ガーデンズ

店舗 1,058台 1,058台 2,719台 2,980台 平成20年秋共用予定

※大規模小売店立地法第4条第1項に基づく「大規模店舗を配置する者が配慮すべき事項に関する指針」※アクタ西宮については、西館の数値が不明のため東館の数量を2倍にして試算※阪急西宮ガーデンズは整備予定数

利用状況

既存施設

区分 駐車場の必要台数(計算値)実際の整備台数

西宮北口駅から約200m圏域

西宮北口駅から約300m圏域

・阪急西宮北口駅周辺地区には、一時預りと月極・専用を合わせて 1,000 台を超える駐車施設が

整備されているが、実態調査対象駐車場全体のピーク時利用率を見ると、路上駐車を含めても平

日で約30%、休日でも約80%であり、地区全体としては駐車容量が駐車需要を上回っている。

(2(4)アで詳述)

・一時預り駐車場でも実態調査対象駐車場全体のピーク時利用率は6割前後となっており、特に、

県立芸術文化センター駐車場は利用率がおおむね1割以下と低い。このことから、既存の一時預

り駐車場では余裕がかなりあると考えられ、その有効活用が課題である。

・平日と休日を比較すると、全体では休日の利用が多いが駐車場ごとに見ると利用特性に大きな

ばらつきが見られる。これは、附帯施設の用途や料金体系の違いによるものと考えられる。

・路上駐車の実態については、商業施設が高密度に立地している北東部や北西部で、休日の午前

や平日の夕方に路上駐車台数が多くなっており、荷さばきのための駐車あるいは送迎のための駐

車であると見られる。

5 2

料金:200円/30分 料金:300円/60分

4

3

料金:150円/30分

1

料金:150円/30分

(駐車容量:164台(2箇所合計))

(駐車容量:731台(2箇所合計))

(一時預り) (一時預り)

(専用)

(一時預り)

(一時預り)

○駐車場に空きがあるのに、荷さばき車両や短時間の路上駐車が多い

7

Page 13: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

(イ) 駐輪の実態

★平日:H19.11.29(木)

休日:H19.12.1(土)

平日の10時台について北東第1駐輪場と北西第3駐輪場に入場出来なく、調査できていない

図2-1b 阪急西宮北口駅周辺地区の駐輪実態

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

西宮北口南東第1駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

西宮北口南東第1駐輪場(原付バイク)

0

20

40

60

80

100

120

10時台 13時台 16時台

平日(月極) 平日(時間貸し)

休日(月極) 休日(時間貸し)

利用率

(%

西宮北口北東第1駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

120

10時台 13時台 16時台

平日(月極) 平日(時間貸し)

休日(月極) 休日(時間貸し)

利用率

(%

西宮北口北東第1駐輪場(原付バイク)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

西宮北口北西第3駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

120

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

アクタ西宮(原付バイク)

0

20

40

60

80

100

120

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

アクタ西宮(自転車)

A. (有料) 自転車:305台、原付:29台

D. (有料) 自転車:419台

E. (有料、3時間まで無料) 自転車:820台、原付:95台

CD

EE

0

100

200

300

400

500

600

平日 休日平日 休日平日 休日

10時台 13時台 16時台

自転車 原付バイク バイク

路上駐輪台数

(台

西宮北口地区路上駐輪

○朝10時の段階で、商業施設利用者以外の利用と見られる自転車で60%に達しており、本来目的の買い物客が利用ができない状況が見られる。

西宮北口北西第3駐輪場(自転車)の利用実態

西宮北口南東第1駐輪場(自転車)の利用実態

西宮北口北西第3駐輪場(原付)の利用実態

西宮北口北東第1駐輪場(自転車)の利用実態 西宮北口北東第1駐輪場(原付)の利用実態

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

西宮北口南西第1駐輪場(原付バイク)西宮北口南西第1駐輪場(原付)の利用実態

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

西宮北口南西第1駐輪場(自転車)西宮北口南西第1駐輪場(自転車)の利用実態

アクタ西宮(原付)の利用実態

アクタ西宮(自転車)の利用実態

西宮北口駅から約200m圏域

西宮北口駅から約300m圏域

路上駐輪の実態 ○駅の北西部、南口駅前広場で路上駐輪が多く見られる。 ○南口駅前広場では、市営駐輪場の利用率が60%に達していないにもかかわらず、広場の歩道上に駐輪しているという問題がある。

・阪急西宮北口駅周辺地区は、平成12年の第4回京阪神PT調査データで地区

への集中トリップ(自由目的)における二輪車分担率を見ると、平日、休日

ともに約 30%となっており自転車等の利用がかなり多い。このため、随所に

通勤・通学用の駐輪場が整備され、地区全体では 4,000 台強の駐輪場が整備

されている。

・これらの駐輪場の利用状況を、実態調査対象駐輪場の利用率で見てみると、

路上駐輪を含めても全体的には平日が80%、休日が60%であり、地区全体と

しては駐輪容量が駐輪需要を上回っている。(2(4)エで詳述)

・実態調査を実施した駐輪場ごとの利用状況を見ると、平日、休日とも利用率

が5割以下の駐輪場もあり、その有効利用が課題と考えられる。

・一方、路上駐輪の実態調査結果を見ると、駅の北西部で道路上の死角となる

部分(例えば電柱や看板の陰等)に路上駐輪が多いほか、駅南口の駅前広場で

の路上駐輪が多く、特に自動二輪車が多いことから自動二輪車の駐車施設整

備が課題と考えられる。

E

自転車

原付

原付自転車

自転車

原付

自転車

原付

C. (有料) 自転車:1402台(月極)、372台(一時預り)原 付:117台(月極)、40台(一時預り)

B. (有料) 自転車:450台 原 付: 31台

8

Page 14: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

イ JR加古川駅周辺地区

(ア) 駐車の実態

図2-2a JR加古川駅周辺地区の駐車実態

1

2

3

4

5

6 7

89

10

乗降客数

42,054(人/日)

加古川市人口

266,976(人)H19.2.1現在

JR加古川駅から200m圏域

JR加古川駅から300m圏域

:SC施設付帯駐車場

:SC以外の施設付帯駐車場

:一時貸し駐車場

:路上駐車調査箇所

3.パーク24加古川駅前(一時預り)料金:400円/30分(平日)    100円/30分(休日)

パーク24加古川駅前(駐車容量:8台)

99 9

12

020406080100120140160

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

パーク24加古川駅前の利用実態(駐車容量:8台)

○銀行に併設された駐車場で、平日は銀行利用者のみが利用しやすい料金体系(銀行利用者に対しては無料チケット支給)としているが、休日は、百貨店や商店街の直近であることから短時間利用者が利用しやすい料金設定(ワンコイン)としており、利用率が高い(有効利用のための柔軟な料金施策の重要性を示唆している)

路上駐車台数

2016

2624

26

27

0

10

20

30

40

10時台 13時台 16時台

路上駐車台数(台)

平日

休日

周辺路上駐車状況 ベルデモール北ほか4地点で調査

JR加古川駅周辺地区の路上駐車実態

9.加古川中央モータープール(一時預り)料金:250円/30分

加古川中央モータープール(駐車容量:17台)

7

17

9

1214

11

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

加古川中央モータープールの利用実態(駐車容量:17台)

○荷さばき車両や短時間の路上駐車が多い

2.但陽信用金庫駐車場(専用)

但陽信用金庫駐車場(駐車容量:16台)

9

53

1616 16

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

但陽信用金庫駐車場の利用実態(駐車容量:16台)

10.オーエムパーキング(一時預り)料金:300円/60分

オーエムパーキング(駐車容量:328台)

160 166 172196

156201

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台利用率(%)

平日

休日

オーエムパーキングの利用実態(駐車容量:328台)

8.駅前立体駐車場(一時預り)料金:200円/30分

駅前立体駐車場(駐車容量:390台)

192

256201 194

125

287

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

駅前立体駐車場の利用実態(駐車容量:390台)

7.平成パーキング(一時預り)料金:350円/60分

平成パーキング(駐車容量:32台)

1721

13

23

16

22

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

平成パーキングの利用実態(駐車容量:32台)

5.パークンパーク(一時預り)料金:200円/30分

パークンパーク(駐車容量:19台)

7 86

8

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

パークンパークの利用実態(駐車容量:19台)

4.タイムズビエラ加古川パーキング(一時預り)料金:200円/30分

タイムズビエラ加古川パーキング(駐車容量:62台)

28

414147 48

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

タイムズビエラ加古川パーキングの利用実態(駐車容量:62台)

6.OKパーキング(一時預り)料金:400円/60分

OKパーキング(駐車容量:60台)

2532

18

39

25

52

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

OKパーキングの利用実態(駐車容量:60台)

1.ニッケパークタウン駐車場(一時預り)  料金:最初の2時間無料      (以後、100円/30分)

ニッケパークタウン駐車場(駐車容量:150台)

72

129131143135 144

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

ニッケパークタウン駐車場の利用実態(駐車容量:150台)・JR加古川駅周辺地区には、一時預りと月極・専用を合わせて約

1,400 台の駐車場が整備されているが、実態調査対象駐車場全体

のピーク時利用率を見ると、路上駐車を合わせても全体で平日、

休日とも概ね8割であり、地区全体としては駐車容量が駐車需要

を上回っている。(2(4)アで詳述)

・一時預り駐車場の利用実態としては、買い物目的で来街した駐車

場利用者は商業施設附帯の駐車場や商業施設に近い駐車場の利

用が中心となっていると思われ、特に、ニッケパークタウンは2

時間無料ということもあり平日、休日ともに利用率が高い。一方

で、駅前の大規模独立駐車場では利用率が平日、休日とも6割程

度であり、その有効活用が課題と考えられる。

・路上駐車の実態については、ベルデモールで最大 14 台(休日 16

時台)、駅前通りで最大14台(休日16時台)の路上駐車がある。

3料金:400円/30分(平日)

100円/30分(休日)

9

料金:250円/30分 2 10 8

7

料金:300円/60分 料金:200円/30分

料金:350円/60分

料金:200円/30分

5

料金:200円/30分

4

料金:400円/60分

6料金:最初の2時間無料

(以降、100円/30分)

○最初の2時間を無料としており、平日、休日ともに高い利用率となっている

1

(一時預り)

(一時預り)

(専用) (一時預り) (一時預り)

(一時預り)

(一時預り)

(一時預り)(一時預り)

(一時預り)

9

Page 15: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

(イ) 駐輪の実態

図2-2b JR加古川駅周辺地区の駐輪実態

A

B

C

D

○ベルデモールでは買い物用2時間無料駐輪施設が整備されているが、それも含めた数字である

○商業施設附帯の駐輪施設に停めて駅に向かう利用者も多く、駅に近い駐輪場は開店時間前に満車になる場合もある。

D.小門口駐輪場(無料)  自転車(原付バイク含む):500台

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

10時台自転車

13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

小門口無料駐輪場(自転車+バイク)の利用実態

0

50

100

150

200

250

平日 休日 平日 休日 平日 休日

10時台 13時台 16時台

自転車 原付 自動二輪

路上駐輪台数

(台

加古川ベルデモール

路上駐輪施設(2時間無料)

※駐輪マスが切れていないため容量は不明

0

20

40

60

80

100

10時台自転車

13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

加古川駅南自転車駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台原付バイク

13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

加古川駅南自転車駐輪場(バイク)加古川駅南自転車駐輪場(原付)の利用実態

B.加古川駅東自転車駐輪場(有料) 自転車(原付バイク含む):1,823台

0

20

40

60

80

100

10時台自転車

13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

加古川駅東自転車駐輪場(自転車+原付)の利用実態

C.駅前パチンコ屋駐輪場(無料) 自転車(原付バイク含む):127台

0

20

40

60

80

100

120

10時台自転車

13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

駅前パチンコ屋駐輪場(自転車+原付)の利用実態

JR加古川駅から200m圏域

JR加古川駅から300m圏域

A.(有料) 自転車:1,248台 原 付: 136台

加古川駅南自転車駐輪場(自転車)の利用実態

D. (無料) 自転車(原付バイク含む):500台

自転車 原付

A

A.(有料) 自転車(原付バイク含む):1,823台

B

自転車+原付

○駅から遠い駐輪場は無料にて運用されており、計画台数を遙かに上回る利用がされている。

自転車+原付

A.(無料) 自転車(原付バイク含む):127台

C

自転車+原付

・JR加古川駅周辺地区においては、地区全体で4,000台

強の駐輪場が整備されている。

・これら駐輪場の利用状況を、実態調査対象駐輪場全体の

ピーク時利用率で見ると、路上駐輪を含めても平日が

85%、休日が 65%であり、地区全体としては駐輪容量

が駐輪需要を上回っている。(2(4)エで詳述)

・実態調査を実施した駐輪場ごとの利用状況を見ると、加

古川市では各駐輪場の効率的利用促進策として料金を

駅近くは有料、遠いところは無料にしている。その結果、

駅近くの有料駐輪場の利用率が低い一方で、駅から離れ

てはいるが無料の駐輪場の利用率がかなり高い状況に

なっている。また、商業施設附帯の買い物用駐輪施設の

一部では、駅から5分程度離れているものの無料である

ことから駅利用の自転車等に占拠され買い物客が利用

できない状況も見られる。

・路上駐輪の実態については、ベルデモールの路上でピー

ク時には200台を超える路上駐輪があるが、これらはベ

ルデモール歩道上に整備された買い物用短時間駐輪施

設の中に停めている。

10

Page 16: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

ウ 阪急川西能勢口駅周辺地区

(ア) 駐車の実態

★平日:H19.11.29(木)

休日:H19.12.1(土)

図2-3a 阪急川西能勢口駅周辺地区の駐車実態

1

2

3

4

5

6 7

○地区内には「1日 最大900円」という駐車場もあり、供給過多の状況を反映していると思われる

:SC施設付帯駐車場

:SC以外の施設付帯駐車場

:一時貸し駐車場

:路上駐車調査箇所

乗降客数

147,929(人/日)

川西市人口

157,496(人)H19.2.1現在

1.アステ川西駐車場(一時預り) 料金:400円/60分

アステ川西駐車場(駐車容量:304台)

161

289

134

261

191

235

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

アステ川西駐車場の利用実態(駐車容量:304台)

6.228パーキング(一時預り) 料金200円/30分

228パーキング(駐車容量:216台)

115

143163

8865

94

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

288パーキングの利用実態(駐車容量:216台)

JR 川西池田駅に近く P&R 用駐車場としての利用が多い

3.JA兵庫駐車場(専用)

JA兵庫駐車場(駐車容量:25台)

27 2624

1819 19

0

20

40

60

80

100

120

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

JA兵庫駐車場の利用実態(駐車容量:25台)

7.小花パーキング(一時預り) 料金200円/30分

小花パーキング(駐車容量:130台)

837171

9889

99

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

小花パーキングの利用実態(駐車容量:130台)

5.川西能勢口駅屋上駐車場(一時預り) 料金:400円/60分

川西能勢口駅屋上駐車場(駐車容量:160台)

122221 1811 18

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

川西能勢口駅屋上駐車場の利用実態(駐車容量:160台)

4.川西第2駐車場(一時預り)料金:200円/60分

川西第2駐車場(駐車容量:116台)

40

5456

9098

81

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

川西第2駐車場の利用実態(駐車容量:116台)

2.川西公用駐車場(専用)

川西市公用駐車場(駐車容量:60台)

3023

35 3833 35

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

利用率(%)

平日

休日

川西市公用駐車場の利用実態(駐車容量:160台)

周辺路上駐車状況 川西能勢口西側ほか10地点で調査

路上駐車台数

2225

252929

0

10

20

30

40

10時台 13時台 16時台

路上駐車台数(台)

平日

休日

川西能勢口駅の路上駐車場の実態

○駐車場に空きがあるのに、荷さばき車両や短時間の路上駐車が多い

川西能勢口駅から約300m圏域

川西能勢口駅から約200m圏域

・阪急川西能勢口駅周辺地区においては一時預りと月極・専用を合

わせて約1,000台の駐車場が整備されているが、実態調査対象駐

車場全体のピーク時利用率を見ると、路上駐車を含めても全体で

平日、休日とも概ね 65%程度であり、地区全体としては駐車容量

が駐車需要を上回っている。(2(4)アで詳述)

・一時預り駐車場の利用実態としては、駐車場によって平日の利用

が少ないもの、逆に休日の利用が少ないものがあるほか、利用率

が平日、休日とも 2 割以下という駐車場もあり、既存駐車場の有

効活用が課題と考えられる。

・路上駐車の実態は、地区全体でピーク時30台(休日10時台)、駅

北側ではピーク時 14 台(休日 13 時台)、駅南側ではピーク時 17

台(休日 10 時台)であり、荷さばき車輌や短時間の路上駐車が多

い。

料金:400円/60分 1

料金:200円/30分 6 3

料金:200円/30分

○他の一時預り駐車場に比べ、中心市街地から遠方であるが低料金のため休日の利用率は高い ○目的地からの距離に応じた料金施策の重要性を示唆している

7料金:400円/60分

5

料金:200円/60分 4

2

(一時預り)

(一時預り) (専用) (一時預り) (一時預り)

(一時預り)

(専用)

11

Page 17: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

(イ) 駐輪の実態

★平日:H19.11.29(木)

休日:H19.12.1(土)

図2-3b 阪急川西能勢口駅周辺地区の駐輪実態

A

C

D

○鉄道利用者の利用を防止するため「2時間まで無料」として買い物客用の駐輪スペースを確保している

C.川西能勢口西駐輪場  自転車:620台  原 付:362台

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西能勢口西駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西能勢口西駐輪場(原付)

D.阪急川西能勢口駐輪センター  自転車:334台  原 付:170台

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

阪急川西能勢口駐輪センター(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

阪急川西能勢口駐輪センター(原付)

A.川西池田北立体駐輪場  自転車:740台  原 付:503台

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西池田北立体駐車場(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西池田北立体駐車場(原付)B.川西池田北第2駐輪場  自 転 車 : 84台  原   付: 279台  自動二輪:  31台

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西池田北第2駐輪場(自転車)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西池田北第2駐輪場(原付)

0

20

40

60

80

100

10時台 13時台 16時台

平日 休日

利用率

(%

川西池田北第2駐輪場(自動二輪)

0

200

400

600

800

1000

平日

休日

平日

休日

平日

休日

10時台 13時台 16時台

自転車 原付バイク バイク

路上駐輪台数

(台

川西能勢口駅南側歩行者天国

○平日は 10 時台で既に80%以上の利用があり、通勤・通学者用駐輪スペースの利用率は高い。

川西池田北立体駐輪場(原付)の利用実態

川西池田北第2駐輪場(自転車)の利用実態 川西池田北第2駐輪場(原付)の利用実態 川西池田北第2駐輪場(自動二輪)の利用実態

川西能勢口駅南側歩行者

専用道路区間の駐輪実態

○駅前広場や歩行者道路に路上駐輪が見られ、最大1,000台が放置されている。

川西能勢口西駐輪場(原付)の利用実態

川西能勢口西駐輪場(自転車)の利用実態

阪急川西能勢口駐輪センター(自転車)の利用実態

(有料)

(有料)

(有料)

川西池田北立体駐輪場(自転車)の利用実態

・阪急川西能勢口駅周辺地区には、地区全体で3,000台強の駐輪場が整

備されており、これらの駐輪場の利用状況を実態調査対象駐輪場全体

のピーク時利用率で見ると、路上駐輪を含めても平日が 70%、休日

が 40%であり、地区全体としては駐輪容量が駐輪需要を上回ってい

る。(2(4)エで詳述)

・実態調査を実施した駐輪場ごとの利用状況を見ると、駅近くの駐輪場

で平日に8割を超える高い利用率となる駐輪場があるが、総じて平

日、休日ともに利用率が6割以下の駐輪場が多く、休日には4割以下

の利用率となっている。なお、商業施設附帯の買い物用駐輪施設の一

部では、開店前に駅利用者の自転車等が止められるため買い物客が駐

輪施設を利用できない場合が見られる。

・路上駐輪の実態については、休日における路上駐輪が多く、特にペデ

ストリアンデッキのある駅南口の駅前広場や駅南側の歩行者道路で

の路上駐輪が多く見られ、休日午後のピーク時には、地区全体で約

1,000台の自転車等が放置されている。

D. (有料) 自転車:740台 原 付:503台

自転車

原付 B. (有料)

自 転 車: 84台 原 付:279台 自動二輪: 31台

自転車 自動二輪原付

C. (有料) 自転車:620台 原 付:362台

C

自転車

原付

D. (有料) 自転車:334台 原 付:170台

自転車 原付

D

A

川西能勢口駅から約300m圏域

川西能勢口駅から約200m圏域

12

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(3) アンケート調査結果と課題

ア 中心市街地での来街者の滞在時間

図2-4a 来街者の滞在時間別構成比

図2-4b 自家用車利用者(自ら運転)の滞在時間別構成比

・ 来街者を対象に実施したアンケートで滞在時間について調べた結果、2時間以上が全

体の 30~58%、4時間以上が 8~28%と、各地区によって特性が大きく異なっている。

・ 地区別に見ると、JR 加古川駅周辺地区では、4時間以上が平日 28%、休日 20%と、

長時間滞在が多い傾向にある。これは、大規模商業施設で提供される駐車場サービスに

「最初2時間を無料、以後も買い物代金に応じて最大4時間まで無料」等があり、商業

施設に長時間滞在を促す対策が実施されていることによるものと考えられる。

6

11

5

6

2

54

53

30

27

40

39

22

31

26

21

33

46

6

17

16

6

9

3

4

11

4

6

3

3

5

27

9

13 5

1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平日

休日

平日

休日

平日

休日

西宮

加古川

川西

30分未満 30分~2時間未満 2~4時間未満

4~8時間未満 8時間以上 滞在しない(素通り)

n=213

n=201

n=232

n=231

n=244

n=211

無回答を除く

11

13

7

11

4

58

60

22

33

39

30

26

20

33

33

43

28

15

6

7

5

19

17

7

18

7

4

152 7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平日

休日

平日

休日

平日

休日

西宮

加古川

川西

30分未満 30分~2時間未満 2~4時間未満

4~8時間未満 8時間以上 滞在しない(素通り)

n= 19

n= 15

n= 27

n= 18

n= 28

n= 40

無回答を除く

・ 図2-4aと図2-4bを比較して、来街者のうち自家用車利用者(自ら運転)の滞

在時間の特徴を見てみると、阪急西宮北口駅地区では自家用車利用者の方が滞在時間が短

い傾向にある一方で、JR 加古川駅周辺地区及び阪急川西能勢口駅周辺地区では総じて自

家用車利用者の方が滞在時間が長い傾向にある。

13

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イ 中心市街地での回遊性

・ 住民アンケートで中心市街地に来た時の訪問店舗数について調べた結果、主要な商業

施設が1つしかない阪急西宮北口駅周辺地区を除いて、他の2地区では7~8割近くの

人が複数の施設を訪問している。

① JR加古川駅周辺地区及び阪急川西能勢口駅周辺地区では、複数店舗を訪問する人が

67~78%に達している。 ② 阪急西宮北口駅周辺地区では1箇所が全体の 50%超を占めているが、これは、現在、同地区には「アクタ西宮」以外に主要な商業施設がないためと考えられる。

図2-5a 平休別の訪問店舗数構成比

・ 図2-5aと図2-5bを比較すると、自動車を使って中心市街地に来たと答えた人

の訪問店舗数の方が全体よりも、複数店舗を訪問している人の割合が高い傾向にある。 ・ 特に、阪急川西能勢口駅周辺地区については自動車利用の場合の方が複数店舗を訪問

する傾向が強いが、これは、当該地区は、商業施設から独立した一時預り駐車場(提携

駐車場)が多く、これが地区の共通資源として活用されていることや、商業施設で2時

間無料などの駐車サービスが行われており、この駐車サービスの合間に他の施設を訪問

できることから、結果的に複数店舗を巡るという動きを誘発していると考えられる。

図2-5b 自動車利用者(自ら運転)平休別の訪問店舗数構成比

52

53

27

24

17

32

31

46

42

42

10

10

17

22

28

1

2

3

5

5

2

2

3

4

5

5

5

1

1 3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平日

休日

加古川

平日

休日

西宮

川西

1箇所 2箇所3箇所 4箇所5箇所以上 滞在しない(素通りでよそに行く)

n=646

n=678

n=456

n=650

n=594

行かない、無回答を除く

37

36

31

15

10

36

38

48

49

46

16

17

14

27

31

2

6

2

6

9

2

7

3 6

3

3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平日

休日

加古川

平日

休日

西宮

川西

1箇所 2箇所

3箇所 4箇所5箇所以上 滞在しない(素通りでよそに行く)

n=343

n=398

n=515

n=446

n=252

行かない、無回答を除く

14

Page 20: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

ウ 駐車場・駐輪場から目的施設までの歩行距離(徒歩で移動しても良い距離) ・ 「駐車場から目的施設まで徒歩で移動しても良い距離」を住民アンケートの中で聞い

た結果、地区ごとに特性の違いが見られ、例えば、200m以上でも移動するという割合

は、阪急西宮北口駅周辺地区が 62%、JR加古川駅周辺地区が 31%、阪急川西能勢口駅

周辺地区が 83%となっている。

・ 一方、500m以上でも徒歩で移動するという割合は、阪急西宮北口駅周辺地区が 11%、

JR加古川駅周辺地区が 5%、阪急川西能勢口駅周辺地区が 24%と低いが、駐車料金の

さらなる割引や歩行環境の改善等、条件を良くすることにより歩行距離を伸ばす可能性

があることも把握されており、料金施策等の利用促進策次第で 500m程度の範囲内まで

は自動車駐車場の利用圏域になると考えられる。

図2-6a 駐車場から目的施設まで徒歩で移動しても良い距離構成比

図2-6b さらに遠い駐車場を利用する際の条件(住民アンケート)

<阪急西宮北口>

10分から15分(900m)程度

1%

5分から10分

(500m)程度10%

3分から5分

(300m)程度17%

3分(200m)程度

34%

1分から2分

(100m)以内23%

1分未満(目的施設の

建物の中の駐

車場など)15%

15分(1000m)以上でも歩く

0%

n=650

<阪急川西能勢口>

15分(1000m)以上でも歩く0%

1分未満(目的施設の建物の中の駐車場など)

5%1分から2分(100m)以内12%

3分(200m)程度32%

3分から5分(300m)程度27%

5分から10分(500m)程度22%

10分から15分(900m)程度

2%

n=531

8%

55%

4%

63%

21%

86%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

いかなる条件でも利用しない

歩きやすい環境(動く歩道や屋根、商店街の中)が整っている

まちなか用のレンタサイクルなどがある

買い物等におけるさらなる割引がある

駐車場と駅や店舗を結ぶバスに無料や安い料金で乗れる

駐車料金が安い

n=650

<阪急西宮北口>

15%

3%

17%

18%

18%

40%

60%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

回答無し

その他

駐車場からの沿道が楽しい

駐車場からの道路が歩きやすい

ショッピングカートを使って駐車場

まで行ける

駐車料金の割引サービスがある

駐車料金が安い

n=500

<JR加古川>

7%

47%

3%

64%

22%

90%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

いかなる条件でも利用しない

歩きやすい環境(動く歩道や屋根、

商店街の中)が整っている

まちなか用のレンタサイクルなどがある

買い物等におけるさらなる割引がある

駐車場と駅や店舗を結ぶバスに

無料や安い料金で乗れる

駐車料金が安い

n=531

<阪急川西能勢口>

<加古川>

3分程度の距離26%

目的施設の建物の中15%

隣接地19%

2分程度の距離35%

5~10分4%

その他1%

n=429

無回答除く

15

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※JR加古川駅周辺地区は調査を行っていない

図2-7 駐輪場から目的施設までの歩行距離構成比

<阪急西宮北口>

1分未満(目的施設の

建物の目前や隣)26%

1分から2分(100m)以内

35%

3分(200m)程度

27%

4分から5分

(300m)程度9%

5分(300m)以上3%

n=527

<阪急川西能勢口>

1分未満(目的施設の建物の目前

や隣)26%

1分から2分

(100m)以内30%

3分(200m)

程度26%

4分から5分(300m)程度12%

5分(300m)以上6%

n=291

・ 駐輪場については、JR加古川駅周辺地区を除く 2地区で、住民アンケートの中で

「駐輪場から目的施設まで徒歩で移動しても良い距離」を聞いているが、その結果、

2 地区ともほぼ似たような特性を示しており、例えば、100m以上でも徒歩で移動す

るという割合は、阪急西宮北口駅周辺地区と阪急川西能勢口駅周辺地区が同じ 74%、

200m以上でも徒歩で移動するという割合は、阪急西宮北口駅周辺地区が 39%、阪急

川西能勢口駅周辺地区が 44%となっている。

・ 駐輪場の場合は、買い物等の短時間の駐輪需要に関しては、駐車場よりもさらに目

的地に近い場所を求めており、駐輪場の整備に際しては位置の選定が重要な要素であ

ると考えられる。

16

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エ 駐車場の選択要素

・ 駐車場の選択理由を来街者アンケートで見てみると、「駐車料金が安いこと」、「目的

施設に近いこと」の2つが駐車場選択の大きな要素としてあげられている。 ・ このほか、「目的施設の駐車場である(目的施設と提携している)こと」「割引が受け

られること」「入りやすい・出やすいこと」「停めやすいこと」などが駐車場を選択する

場合の重要な要素となっている。 ・ 駐車場の有効利用を促進するためには、駐車場の設置位置とバランスを考えた料金設

定や共通駐車場サービス等施策を一定エリアで一体的に実施する必要がある。

図2-8 駐車場の選択理由(来街者アンケート)

<回収場所/阪急西宮北口>

22

64

25

81

18

1

29

0

14

1

18

3

3

10

1

29

51

31

66

34

3

23

0

20

0

17

6

3

9

0

17

74

19

93

5

0

33

0

10

2

19

0

2

12

2

0 25 50 75 100

目的施設の(目的施設と提携してい

る)駐車場である

           目的施設に近い

目的施設を利用すると駐車料金が割

り引かれる

          駐車料金が安い

駐車場が広いこと・ゆったりしていて

停めやすい

)   駐車場の形式(平面・立体等

   駐車場に入りやすい・出やすい

クレジットカード、電子マネーによる支

払いが可能

  雨に濡れずに目的施設にいける

         駐車場に管理人がいる

          いつも空いている

          利用し慣れている

     所在地が分かりやすい

               特になし

               その他

全体

平日

土休日

(%)

全体 n=77平日 n=35休日 n=42

<回収場所/JR加古川>

34

70

10

68

22

5

19

0

7

5

8

9

5

11

6

40

72

4

57

19

2

21

0

2

4

11

9

2

9

6

27

68

17

80

24

7

17

0

12

5

5

10

7

15

5

0 25 50 75 100

目的施設の(目的施設と提携してい

る)駐車場である

目的施設に近い

目的施設を利用すると駐車料金が割

り引かれる

駐車料金が安い

駐車場が広いこと・ゆったりしていて

停めやすい

)駐車場の形式(平面・立体等

駐車場に入りやすい・出やすい

クレジットカード、電子マネーによる支

払いが可能

雨に濡れずに目的施設にいける

駐車場に管理人がいる

いつも空いている

利用し慣れている

所在地が分かりやすい

特になし

その他

全体

平日

土休日

(%)

全体 n=88平日 n=47休日 n=41

<回収場所/阪急川西能勢口>

35

61

32

64

14

0

27

0

10

3

13

9

4

0

1

32

71

23

68

10

0

24

0

13

6

18

8

5

0

0

39

50

43

59

19

0

30

0

7

0

7

9

4

0

2

0 25 50 75 100

目的施設の(目的施設と提携している)駐車場である

目的施設に近い

目的施設を利用すると駐車料金が割

り引かれる

駐車料金が安い

駐車場が広いこと・ゆったりしていて

停めやすい

)駐車場の形式(平面・立体等

駐車場に入りやすい・出やすい

クレジットカード、電子マネーによる支

払いが可能

雨に濡れずに目的施設にいける

駐車場に管理人がいる

いつも空いている

利用し慣れている

所在地が分かりやすい

特になし

その他

全体

平日

土休日

(%)

全体 n=116平日 n=62休日 n=54

17

Page 23: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

オ 駐車場情報の取得手段

・ 駐車場情報の取得手段を、駐車場利用者アンケート結果で見てみると、「実際に現地

を確認して」が最も多く、次いで「道路上の駐車場案内板等から」となっており、目的

地近くになってから駐車場情報を取得している人が多い。このことが、特定の駐車場へ

の集中や、うろつき交通による渋滞の原因になっていると考えられる。 ・ 「店舗の掲示板やホームページから」(インターネット)の利用は3番目に多く、JR加古川駅周辺地区での利用が比較的多いが、総じてまだインターネット利用は少ない。

また、カーナビ、携帯電話は、阪急西宮北口駅周辺地区では比較的使われているが、JR加古川駅周辺地区や阪急川西能勢口駅周辺地区では利用が少ない。

・ インターネットやカーナビ等の利用促進を図ることも重要であるが、駐車場案内板を

郊外に設置することにより、中心部に進入する前に駐車場情報を運転者に伝えることが、

駐車場の有効利用や道路交通の円滑化に有効であると考えられる。

図2-9 駐車場情報の取得手段(駐車場利用者アンケート)

81

6370 67

19

3 4 54 1 0 24 8124

148

2330

22

4 40 4

333523

35

7

1516

0

25

50

75

100

西宮 加古川 川西 総計

現地確認して 道路上の案内板 カーナビから携帯電話から 道路地図から 店舗の掲示板やHP特にない その他

(%)

18

Page 24: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

(4) 3地区の実態から見た駐車対策の課題

ア 地区全体では既に駐車容量に余裕があることを踏まえた新規駐車施設の取扱い

・ すべてのケーススタディ地区で地区全体でのピーク時駐車場利用率が概ね 8 割以下

となっており、地区全体では既に駐車容量が駐車需要を上回っていると考えられること

から、今後の新規駐車場の整備についてどう考えていくかが課題である。

① 今回実施した実態調査の結果、各地区の地区全体でのピーク時駐車場利用率(路上駐車を含む駐車需要と容量の比)は 65%~81%であり、ピーク時においても駐車容量に余裕

がある。

② 地区別に地区全体での駐車場利用率を見ると、阪急西宮北口駅周辺地区では、平日は

終日 30%台と低いが、休日には午後に利用率が急激に高くなり、16 時台には 81%とな

っている。JR加古川駅周辺地区では、平日休日の差はさほど大きくないが休日午後が

少し利用が多くなりピークが午後 13 時台の 76%となっている。阪急川西能勢口駅周辺

地区では平日休日の差はほとんどなく、ピークは平日午後 13時台の 65%となっている。

③ 阪急川西能勢口駅周辺地区では、「1日最大 900 円」という駐車場が見られるなど値引

き合戦が激しく、供給過多の状況を反映している。

図2-10 3地区の地区全体での駐車需給バランス

阪急川西能勢口駅周辺地区における駐車需給の状況(平日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

阪急川西能勢口駅周辺地区における駐車需給の状況(休日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,011台

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,011台

52.1%65.0%

48.9%

52.9%63.1% 60.1%

阪急西宮北口駅周辺地区における駐車需給の状況(平日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

阪急西宮北口駅周辺地区における駐車需給の状況(休日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

28.5%32.1% 31.2%

39.9%

60.1%

81.2%

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,054台

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,054台

JR加古川駅周辺地区における駐車需給の状況(平日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

56.5%64.7%

51.5%

JR加古川駅周辺地区における駐車需給の状況(休日)

0

200

400

600

800

1000

1200

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場

一時貸し駐車場 路上駐車

46.5%

76.2%66.1%

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,082台

需給調査を実施した駐車場の総容量:1,082台

19

Page 25: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

イ 駐車場の利用状況のアンバランスへの対応

・ 駐車場の利用実態を種類別に見ると、混雑する駐車場がある一方で余裕のある駐車場

があるなど、駐車場間での利用状況のアンバランスが見られる。混雑緩和のためには余

裕のある駐車場をいかに有効活用するかが課題である。

・ また、平日と休日で利用率に大きな差が見られる駐車場があり、個別駐車場の有効利

用促進も課題である。

① 実態調査を行った3地区の駐車場種類別(ショッピングセンター(以下「SC」

という。)施設附帯駐車場、SC以外の施設附帯駐車場、一時預り駐車場)の利用状

況を見ると、総じてSC施設附帯駐車場の利用率が高く、ピーク時の駐車場利用率

は 95%を超えているが、一時預り駐車場については同利用率が約 50~80%と低く、駐

車場間での利用のアンバランスが見られる。また、SC附帯駐車場については、平

日の利用率が3割程度にとどまる駐車場もある。

② 地区別に見ると、阪急西宮北口駅周辺地区では、SC施設附帯駐車場は休日 16

時台に満車になっているが、平日はピーク時でも利用率が 32%にとどまっている。

これ以外の駐車場についてはピーク時利用率が約 25~80%となっており、中でも、

県立芸術文化センターの駐車場は休日午後のピーク時(35%程度)を除いて利用率が

概ね 10%かそれ以下にとどまっている。

③ JR加古川駅周辺地区については、ニッケパークタウン(商業施設)附帯の駐車

場では、最初の2時間を無料としており平日休日ともにピーク時 85%を超える高い

利用率となっているが、一時預り駐車場では利用率がピーク時で約 70%となってい

る。

④ 阪急川西能勢口駅周辺地区についても、SC施設附帯駐車場の駐車場では、平日

休日ともに 85%を超える利用率になっているが、一時預り駐車場では利用率がピー

ク時でも約 50%となっている。

図2-11 3地区の駐車場種類別の駐車需給バランス

阪急川西能勢口駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(平日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

44.1%

67.1%

50.0% 95.1%

57.6%

46.6%

53.0%

40.5%

69.4%

阪急川西能勢口駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(休日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

62.8%

41.2%

42.3%85.9% 47.3%

63.5%

77.3%46.9%

65.9%

阪急西宮北口駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(平日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

29.3%

17.9% 59.1%

31.7% 28.5%

22.2% 24.7% 70.5% 61.4%

阪急西宮北口駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(休日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

39.8%

62.4%

100.0%

25.4% 43.4%

27.6% 43.2% 79.5% 70.5%

JR加古川駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(休日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

90.0% 95.3% 96.0%

36.7%

69.7%

57.8%

100.0% 100.0% 100.0%

JR加古川駅周辺地区 駐車場種類別利用台数(平日)

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

10時台 13時台 16時台

総駐車台数(台)

SC施設付帯駐車場 SC以外の施設付帯駐車場 一時貸し駐車場

87.3%

56.3%

48.8%

86.0%

31.3%

59.0%

48.0%

18.8%

50.4%

20

Page 26: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

ウ 路上駐車車両への対応

図2-12 各地区の路上駐車の実態

<写真>

59

195

4

6

0

10

20

30

10時 13時 16時

乗用車 トラック

阪急西宮北口駅周辺地区(平日)

(台)

22 21 19

2 5

1

0

10

20

30

10時 13時 16時

乗用車 トラック

JR加古川駅周辺地区(平日)

(台)

1823

20

7

6

2

0

10

20

30

10時 13時 16時

乗用車 トラック

(台) 阪急川西能勢口駅周辺地区(平日)

・ すべてのケーススタディ地区で、常時路上駐車が見られる。乗用車については銀行等

の利用者の短時間駐車であり、トラックについては荷さばきのための駐車である。今後、

路上駐車の削減を一層推進していく上ではこれらの短時間駐車需要への対応が重要な課

題である。

写真2-1 加古川駅周辺の短時間駐車の様子

21

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エ 駐輪(自動二輪車及び自転車等の駐車)対策

① 実態調査を実施した3地区とも、既に 3,000 台以上の駐輪場が整備されているが、そ

のほとんどが通勤・通学用の施設として利用されている。

② 商業施設に附帯する無料の駐輪場の一部では、通勤・通学者が駐車するため買い物客

が利用できない状況が見られる。また、このため有料化(2時間までは無料)して施設利

用者が利用しやすいようにしている例もある。

③ 地区別に見ると、阪急西宮北口駅周辺地区では、駅北西部の道路上の死角の部分(例え

ば電柱や看板の陰等)に路上駐輪が多くなっている。また、駅南口広場でも路上駐輪が多

く、特に歩道部分等に自動二輪が駐車しているのが目立つ。

④ JR加古川駅周辺地区では、現在、路上駐輪が顕著なのはベルデモール商店街のみで

あるが、ここには、2時間までの利用に限定された買い物用の路上駐輪場が整備されて

いる(調査では収容台数が明確でないため、路上駐輪としてカウントしている)。また、

ニッケパークタウンの買い物客用駐輪場は、駅から5分程度離れているものの無料であ

ることから、通勤通学目的と見られる利用者に占拠され買い物客が駐輪できない場合が

見られる。(商業事業者ヒアリング結果による)

⑤ 阪急川西能勢口駅周辺地区では、休日における路上駐輪が多く、特に川西能勢口駅南

口駅前広場や川西能勢口駅南側歩行者道路での路上駐輪が多く見られる。また、通勤通

学目的の自転車の一部が開店前の商業施設の顧客用駐輪場に停まっており、買い物客が

利用できない場合が見られる。(商業事業者ヒアリング結果による)

⑥ なお、路上駐輪は、快適な歩行空間の確保を阻害しており、地区内の歩行空間の改善

や良好な景観の形成、まちなかの回遊性を確保するため、施設の提供とともに路上駐輪

がしにくい環境(違法取締りの強化、看板撤去や電柱の地中化等)等の総合的な路上駐

輪対策が必要である。

・ 各地区とも総容量が需要を上回っており、容量的には余裕がある。特に、阪急川西能

勢口駅周辺地区の休日 13 時台は、駐車施設の容量に対し需要が 68%にとどまる中で、

路上駐輪がその半数近く(43%)も占める。

・ 各地区とも、商業施設等の無料駐輪場に通勤・通学者が駐輪するため、買い物客が利

用できないなどの実態が見られ、駐輪行動に対応した駐輪施設をいかに確保するかが課

題である。

22

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阪急西宮北口駅周辺地区の 駐輪実態

JR加古川駅周辺地区の 駐輪実態

阪急川西能勢口周辺地区の 駐輪実態

図2-13 3地区の自転車等の駐輪需給バランスの状況

写真2-2 阪急西宮北口駅周辺の駐輪状況 写真2-3 阪急川西能勢口駅周辺の

歩行者専用道路の駐輪状況

2028 2016 1937

112 348273 263288360

196

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:3,092台

阪急川西能勢口駅周辺地区における駐輪需給の状況(平日)

74.9% 84.0%94.0%

1300 1177 1071

17 5408 408

430 507 318

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:3,092台

阪急川西能勢口駅周辺地区における駐輪需給の状況(休日)

56.0% 68.2% 58.3%

3329 3290 3241

114178 201142168 60

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:3,834台

JR加古川駅周辺地区における駐輪需給の状況(平日)

91.2% 94.2% 84.3%

2490 2446 2259

100119 115121150 75

101

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:3,834台

JR加古川駅周辺地区における駐輪需給の状況(休日)

68.9% 72.7% 66.5%

2922 2919 2779

224256

25635

256 259222

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:4,142台

阪急西宮北口駅周辺地区における駐輪需給の状況(平日)

76.7%87.4%

80.4%

2040 2040 1900

481356

149107197

113170

0

1000

2000

3000

4000

5000

10時台 13時台 16時台

施設内:駅(通勤・通学) 施設内:買い物用

路上:駅(通勤・通学) 路上:買い物用

需給調査を実施した駐輪施設の総容量:4,142台

阪急西宮北口駅周辺地区における駐輪需給の状況(休日)

54.0%

67.2%61.2%

23

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オ 自動二輪車駐車需要への対応

① 地区別に見ると、阪急西宮北口駅周辺地区駅の駅南口広場で、特に歩道部分等に自動

二輪が駐車しているのが目立つ。

② 現状では、既存の駐輪施設は原付の利用は可能であるものの自動二輪車は利用できな

いなど、自動二輪車が利用可能な駐車施設は限られている。

写真2-4 西宮北口駅周辺の路上駐車状況 写真2-5 川西能勢口駅周辺の路上駐車状況

・ 阪急西宮北口駅周辺と阪急川西能勢口駅周辺地区では、自転車等に加えて自動二輪車

の路上駐車が見られる。今後、快適で安全な歩行空間を確保していく上では、自動二輪

車駐車需要への対応も重要な課題である。

24

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3 総合的な駐車場対策の基本的な考え方

(1) 施設単位の対策から地域で考える総合的な施策へ 前述のとおり、阪急西宮北口駅周辺地区、JR加古川駅周辺地区、阪急川西能勢口駅周辺

地区において、駐車容量と需要の関係を調査し、「地区としての駐車容量」について評価した

ところ、路上駐車を考慮しても容量に余裕が生じていることが判明した。 このことは、小売店舗や集客施設等の建物ごとに駐車場の整備を行うこととしてきたこれ

までの諸制度は、施設が大規模化する流れの中で顧客の囲い込み施策となることから受け入

れられてきた感があるものの、地区としての需給管理を行うものではないことから、必要以

上に駐車施設を整備させてしまうことにつながることを示している。 また、駐車場の整備義務のない商店街や医院等についても、顧客用サービスとして、各々

が月極駐車場を確保していることが判明した。 調査により判明した課題を解決するためには、施設ごとの駐車場対策から地域で考える総

合的な施策に転換していくことが重要である。そうすることにより、駐車需要のピークが異

なる施設間での相互融通が可能となることから駐車施設の利用効率が向上し、その結果、個々

の施設に対する附置義務基準の緩和が可能となる。また、附置義務基準の緩和により生じる

既存施設の余裕部分を活用することにより、新規立地者が駐車場を整備することなしに進出

できるという平等な制度環境が整うことになる。 さらに、大規模駐車場に利用を集約することで、余剰となる駐車場を他の用途に転用する

ことが可能となる。その一つは、今回の実態調査で判明した、駅周辺の歩道や細街路等にお

ける路上駐輪(自動二輪車や自転車等の路上駐輪)を解決する資源として活用することであ

り、さらに余裕がある場合は、中心市街地らしい土地利用に復することも可能となる。

(2) 中心市街地駐車場対策の方向性

中心市街地における駐車場対策を施設ごとの対策から地域で考える総合的な施策にしてい

くことで、地区としての駐車の需給管理が可能となり、需要追随型の対応ではなく、人口減

少及び少子高齢化に伴う社会経済情勢の変化や地区の交通特性等に応じた対応が可能となる。 また、中心市街地のにぎわいのためには、「歩きやすく人が集まる空間づくり」を推進する

ことが重要であると言われて久しいが、我が国においては未だ具体的な事例は見られない。

駐車場に停めて中心市街地を回遊できるような駐車場の配置と駐車行動を誘導するための料

金設定等の施策を実施するとともに、身体障害者、高齢者、幼児同伴者等の移動制約者が移

動しやすい空間づくりに配慮することにより、駐車場を生活者及び来街者の満足を獲得する

ための交通結節点とすることができる。 このように、駐車場対策を入り口としてまちづくりを進めることにより、環境負荷が小さ

く環境と調和するまちづくり、ユニバーサル社会を実現する安全・安心のまちづくり、そし

て何より地域の魅力を高めるまちづくりが可能となる。 そこで、駅周辺部の中心市街地において新たな都市像にふさわしい交通結節点として駐車

施設を再編・再配置し、その有効活用や集約化を図るとともに、公共交通機関との連携等ソ

フト対策を絡めた総合的な駐車場対策を推進するものとする。

25

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ア 総合的な駐車場対策の範囲

アンケートにより、駐車料金が安ければ 300m から 500m 程度の範囲内で歩いて目的施設に向かうという意向がわかったが、逆にこのことは、駅から 300m から 500m 程度の範囲で適切な駐車料金を設定するとともに中心部に入る前に満空情報を提供することにより

うまく誘導しなければ、特定の駐車場に需要が集中し、渋滞やうろつき交通を誘発するなど、

道路交通の円滑化という駐車場法の本来の目的が達成できないということを示している。 一方、自転車等の駐輪の場合、アンケート結果では自動車よりも目的地に近い駐輪施設を

求めているが、現地踏査を行うと、通勤通学用の長時間の駐輪需要がかなり駅から遠い店舗

等の無料施設に集中している実態もあった。 以上のことから、地区の交通特性を考慮して駅から 300m から 500m 程度の範囲内を施策が総合的に実施されるべき地区とし、その地区内において、平日・休日の駐車施設等の利

用特性を考慮した料金設定と情報提供により、自動車(四輪)の駐車を誘導する必要がある。

魅力ある回遊空間の創造○建物毎の駐車場附置を避け、良好な景観の形成や歩行環境の確保を進める。○空き家・空き店舗等の駐車場への安易な転用を防止し、地域の魅力を活かしたまちづくりを進める。○路上駐輪の削減を図るため、余裕のある駐車場の転用や路上において駐輪スペースを確保するとともに適切な料金設定を行うことにより快適な歩行空間の形成を促進する。

地域の活力を創出○利用実態に応じて、駐車場の集約化(効率的運用)等により駐車場附置義務基準を緩和し起業・立地を促進する

○配送のコストを縮減し起業・立地の魅力を更に高める。

魅力を高めるまちづくり

環境と調和するまちづくり

○地域特性に応じて、自動車や自転車などの私的交通と公共交通のバランスのとれた総合交通体系を目指す。

○駐車・駐輪施設の配置と鉄道駅や駅周辺の市街地をつなぐ公共交通の利便性(交通情報提供・便数・ルート)確保を一体的に進め、環境負荷の小さい交通体系を目指す。

○地域特性に応じて、駐車・駐輪施設を再編・再配置する。

安全・安心のまちづくり

暮らしを支える交通環境の確保○天候やその日の状況等によって移動手段を選択できる交通環境を確保する。○大規模集客施設や商店街などを含む多様な主体とともに、駐車施設や交通サービスを快適に利用できる環境づくりを進める。○円滑な配送システムを確保するため、荷さばき駐車施設の共同化などの施策を推進する。

ユニバーサル社会○生活者、通勤通学者、来街者などあらゆる人々が使いやすい交通環境を確保する○駐車・駐輪施設・バスターミナル・駅・道路などにおいて、バリアフリー対策を講じるなど、移動制約者の安全性を確保する。

魅力ある回遊空間の創造○建物毎の駐車場附置を避け、良好な景観の形成や歩行環境の確保を進める。○空き家・空き店舗等の駐車場への安易な転用を防止し、地域の魅力を活かしたまちづくりを進める。○路上駐輪の削減を図るため、余裕のある駐車場の転用や路上において駐輪スペースを確保するとともに適切な料金設定を行うことにより快適な歩行空間の形成を促進する。

地域の活力を創出○利用実態に応じて、駐車場の集約化(効率的運用)等により駐車場附置義務基準を緩和し起業・立地を促進する

○配送のコストを縮減し起業・立地の魅力を更に高める。

魅力を高めるまちづくり

環境と調和するまちづくり

○地域特性に応じて、自動車や自転車などの私的交通と公共交通のバランスのとれた総合交通体系を目指す。

○駐車・駐輪施設の配置と鉄道駅や駅周辺の市街地をつなぐ公共交通の利便性(交通情報提供・便数・ルート)確保を一体的に進め、環境負荷の小さい交通体系を目指す。

○地域特性に応じて、駐車・駐輪施設を再編・再配置する。

安全・安心のまちづくり

暮らしを支える交通環境の確保○天候やその日の状況等によって移動手段を選択できる交通環境を確保する。○大規模集客施設や商店街などを含む多様な主体とともに、駐車施設や交通サービスを快適に利用できる環境づくりを進める。○円滑な配送システムを確保するため、荷さばき駐車施設の共同化などの施策を推進する。

ユニバーサル社会○生活者、通勤通学者、来街者などあらゆる人々が使いやすい交通環境を確保する○駐車・駐輪施設・バスターミナル・駅・道路などにおいて、バリアフリー対策を講じるなど、移動制約者の安全性を確保する。

26

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イ 駐車場の整備から活用へ

都市における道路交通機能を向上させるために、道路や駐車場の整備が行われてきた。

その結果、路上駐車台数の削減等において一定の成果を挙げている。 しかしながら、今回の実態調査で判明したとおり、駐車需要を駐車容量が上回っている

状況の中でも路上駐車が常時見られることからも、整備した駐車場が十分に活用されてい

ないと考えられる。平成 18年 6月の改正道路交通法施行により違法駐車の取締りが強化され、路上駐車の一層の削減と駐車場利用率の向上が期待されるが、今回の実態調査を行っ

た3地区とも、常時 20台程度の路上駐車が観測されたことからもわかるとおり、依然として路上駐車の問題があるという状況には変わりはない。 このため駐車場の効率的な活用策に取組まないまま、整備のみを行うことは、非効率で

あるばかりか、渋滞やうろつき交通の誘発など新たな駐車問題を発生させる原因になる。 今後は、既存の駐車場を最大限活用するための、有効活用策を実施することが重要であ

る。 ウ 安全で快適な交通環境の確保と駐車場

近年の道路上における駐車需要は、乗用車のみならず、自動二輪車、荷さばき車両、客

待ちタクシー等さまざまな路上駐車を発生させている。 このような路上駐車は、車両の円滑な走行環境や歩行環境を阻害するばかりでなく、都

市活動を低下させ、大気汚染や CO2の増加、交通事故の増加等、都市における交通環境を悪化させる原因となっている。 道路は重要な都市施設であり、その改善は中心市街地を活性化させるための重要な要素

である。そのため、駐車施設を都市の交通体系を構成する施設の一つとして位置づけ、駐

車施設や駐車施策の充実を図ることにより、円滑な都市活動を維持し、安全で快適な交通

環境を確保することができる。 エ まちづくりに応じた戦略的な駐車場整備

駐車需要に対し、供給量が不足している地区では、これまで同様に駐車場の整備を着実に

進めることが必要である。しかしながら、単に、台数を確保するだけの整備を行っても、駐

車場の利用は見込めず、ドライバーの駐車行動に応じた駐車場整備が必要である。 ドライバーの駐車行動は、その目的・地区の特性によって異なると考えられることから、

駐車需要や地区特性を的確に捉え、駐車場の配置・容量や駐車サービスに反映させ、利用し

やすい駐車施策を講じることが重要である。 なお、荷さばきなどの配送業務、事務所や銀行等での用務に伴い発生する短時間停車のた

めの駐車スペースについても附帯施設として確保するとともに、必要に応じて路上での施設

整備や一定時間道路を開放するなどの対策を講じる必要がある。

27

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オ 地域と一体となった総合的な駐車対策

路上駐車対策は、「駐車場の整備」、「駐車場利用の円滑化」、「違法駐車の取締り」が一体的

に行われてはじめて効果が得られる。そのため、駐車場を整備しただけでは不十分であり、

これらを一体的に実施する必要がある。 路上駐車対策を効果的に進めるためには、行政、地元警察、地域の商店街や居住者、交通

事業者等が一体となって取組む必要があり、参加の枠組みづくりが求められる。 そのため、行政が主体となり、総合的な駐車場対策を立案するとともに、地域の協力体制

を確立し、それぞれの役割分担のもとで、駐車対策を実施することが重要である。

カ 協議会等を設置し地区の課題を解決

地区の駐車容量の余裕分を駐輪対策等の地区の課題を解決するための資源として活用し

ていくとともに、今後の新規立地に際しての駐車スペースとして活用することにより、既

存駐車施設の利用効率を向上させることができる。 さらに、利用実態や駅・施設からの距離に応じた料金設定、満空情報の提供等を実施し、

駐車・駐輪行動を誘導するためには、建物や施設を新増築する者がそれぞれの計画で整備

するのではなく、住民、商業者(小規模な店舗、医院等含む)、既存駐車場管理者、道路管

理者、交通管理者等の利害関係者により構成される協議会等を設置し、中心市街地活性化

方策について十分協議し、施策の総合化を図っていく必要がある。 キ 民間と行政の役割分担

駐車対策は、民間と行政が適切な役割を果たし、相互に連携協力しながら進めていく必要

がある。

(ア)民間の役割 駐車場の整備については、駐車需要を発生させる原因者が自ら整備することが原則であり、

原因者が担うべきである。 また、駐車場を経営・管理する事業者については、ドライバーの駐車行動に応じた駐車場

の整備や駐車場のバリアフリー化、共通駐車券等による既存駐車場の利用の円滑化等、地区

全体の駐車需要に対する総合的な施策への取組みが求められる。交通事業者等についても、

駐車施策との積極的な連携が必要である。

(イ)行政の役割 地域特性に応じたまちづくりの観点から、駐車に関する施策的な枠組みの構築に向けて取

組むことが最も重要である。その中で、既存駐車場の有効活用など駐車に関する総合的な施

策を計画・立案し、駐車問題を解決するための施策を実施していくことが求められる。 また、違法駐車を排除し良好な交通環境を確保するとともに、通勤・通学や観光需要に対

応する公共駐車場やバスターミナル等の整備や荷さばきなどの短時間の駐車需要に対応する

ための施設整備等が行政の役割である。 多様化した駐車問題は、それぞれの地域の実情に合わせた対策が必要であり、基本的には

28

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市町が駐車施策を立案し推進する主体である。 市町は、各地区の実情を十分に把握して、地元警察、地域の商店街や居住者、交通事業者

などと協議会等を設立するなどにより、連携・協力しながら駐車施策を実施していくことが

重要である。 県は、広域的な立場から計画立案のための方向性を示し技術的な助言を行うとともに、市

町が総合的な駐車場対策を実施する際には、関係団体等と密接に連携し、必要な駐車場整備

や施策を推進していく。特に、総合的な駐車場対策を実施するための市町の企画立案への支

援を行うとともに、支援制度の拡充等について国等に働きかけていく。 (3) 市町による駐車施策に係るマスタープラン及び駐車場整備計画の策定促進

駐車場の整備については、駐車場整備地区ごとに策定される駐車場整備計画が、当該地区

におけるマスタープランの役割を果たすことになるが、このような地区ごとの計画だけでな

く、市町の区域全体から見た都市における駐車施策に関する基本計画として、駐車施策に係

るマスタープランが併せて必要である。 このマスタープランは、かつては平成3年 11月 25日付け建設省通達(駐車施設整備に関

する基本計画の策定等の推進について)に基づき、「駐車場整備に関する基本計画」として策

定することになっていたが、現在では、都市計画法第 18条の2に定める市町マスタープランの中に盛り込む形で策定することになっており、都市計画運用指針には次のように定められ

ている。

4.地区の交通施設に関する都市計画の考え方

【運用指針】 ① 各地区の状況によっては、良好な居住環境の保全、中心市街地の活性化、都心部等

における交通の輻輳・集中の解消などその地区特有の都市交通上の課題に対応する必

要がある場合が考えられる。その場合、上記の2.の都市交通調査等を踏まえ、例え

ば、地区内の立地施設の特性を考慮した交通需要の把握等の追加調査を行うなど、当

該地区におけるきめ細かな調査・検討を行うことが望ましい。 このような特定の課題に対応する必要のある地区の調査においては、地区内交通の

安全性や利便性、快適性の確保、広域的道路との整合性、バスや鉄道等の公共交通の

利用促進等に配慮しつつ、補助幹線街路、区画街路、歩行者専用道、自転車専用道、

自動車駐車場、自転車駐車場等の交通施設の必要性、配置、規模等についての検討を

行い、必要なものを都市計画に定めることが望ましい。

② 大規模な都市開発や大幅な容積率の緩和等の実施により、新たに相当規模の交通量

の発生及び集中が想定される場合については、開発地区及びその周辺地区において開

発等に伴う発生集中交通量を予測・評価し、必要に応じて当該開発等の計画内容の見

直しや地区周辺の道路、鉄道等の都市計画の変更等について総合的に検討することが

望ましい。

29

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ア 駐車施策に係るマスタープランの策定

(ア) マスタープランの意義

このマスタープランは、市町における駐車場整備をはじめとする駐車施策に関する基本

方針等を定めるものであり、多様化する地区特有の駐車問題に総合的に取組むための方針

や具体的な施策を示すものである。 そこで市町は、マスタープランの策定時に、地区における駐車問題の状況を踏まえ、必

要に応じて駐車場整備地区の指定や変更の検討を行うこととする。

(イ) マスタープランの基本項目

マスタープランは、以下の5項目を基本として策定する。 ① 多様化した駐車問題への対応の方針 ② 駐車施設の整備に関する基本的事項 ③ 既存駐車施設の有効活用に関する基本的事項 ④ その他の駐車対策 ⑤ 地区別対策案

①多様化した駐車問題への対応の方針 当該区域の現況の調査等の結果に基づき、駐車問題が生じている地区の把握と原因分

析を行い、各地区で発生している駐車問題に関して、市町における基本的な対応方針を

定める。 ②駐車施設の整備に関する基本的事項 駐車需要と供給のバランスの把握、駐車施設整備の行政と民間の役割分担、附置義務

駐車施設に対する考え方(地域ルールの適用の可能性の検討)等の駐車施設の整備方針

に関する基本的な考え方を定める。 また、駐車場整備地区の指定・変更及び駐車場整備計画の策定・見直しについても、

この中で検討を行うこととする。 ③既存駐車施設の有効活用に関する基本的事項 当該地区における駐車場の案内誘導策を始めとした既存駐車施設の有効活用策に対す

る基本的考え方を定める。また、有効活用策の基本的な考え方について検討を行う。 ④その他の駐車対策 駐車対策は、乗用車だけでなく、自動二輪車、客待ちタクシー、荷さばき車両、観光

バス等、地域の課題に応じた対策が必要である。 ⑤地区別対策案 総合的な駐車場対策という視点で、全体での方針を受け駐車問題の課題ごとに、その

取組方針を示す。また、地区別の課題に対する特徴を考慮した上で対策案を策定する。

30

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その対策案は、効果を継続的に発現していくことが重要であるため、行政、地元警察、

地域住民、商店街等の組織が一体となって具体化し実施していく必要がある。 イ 駐車場整備計画の策定

駐車場整備計画については、従来は公共駐車場を整備するための計画に終始してきたが、

駐車場整備地区における駐車需要と容量を管理するものとして充実させることが求められる。

(ア)駐車場整備計画の策定

駐車場整備地区に関する都市計画が定められた場合においては、駐車場整備計画を定め

ることが市町に対し義務付けられている。平成 18年の駐車場法改正により、今後は自動二輪車の駐車場についても駐車場整備計画に位置付ける必要がある。

(イ) 駐車場整備地区と駐車場整備計画の関係

駐車場整備計画は原則として駐車場整備地区ごとに作成する。ただし、土地利用状況、

駐車特性等を勘案し、駐車場整備地区を複数の地区(以下、「分区」という。)に分けて、

駐車場整備計画を策定することが適切な場合は、分区ごとに駐車場整備計画を策定できる。

この場合、その公表については、分区ごとではなく、駐車場整備地区全体を同時に行うこ

とが望ましい。

(ウ) 「路上駐車場」及び「路外駐車場」の扱いについて

駐車場整備計画における「路上駐車場」及び「路外駐車場」については、それぞれが一

般公共の用に供される駐車場のみを指すものであり、継続的に特定の者が利用するいわゆ

る月極駐車場等は含まれない。一般公共の用に供される部分と専用的に使用される部分が

併設される駐車場についても、前者のみが「路外駐車場」に該当する。 しかし、地区全体の駐車容量を考える場合、こうした月極駐車場についても、その利用

実態を把握しておくことが望ましい。

(エ) 道路管理者と調整

道路管理者の整備による駐車場については、道路管理者が策定した当該駐車場に係る計

画を踏まえ、駐車場整備計画に含める。 (4) 駐車場附置義務の見直し

駐車場法第 20条は、附置義務を課する建築物について、自動車の駐車需要を生じさせる程度の大きい用途を特定用途と定め、特定用途に供する建築物で特定用途に供する部分の延べ

面積が条例で定める規模以上のものを対象としている。 ※特定用途= 劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送用スタジオ、公会堂、集会場,展示

場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店、待合、キヤバレー、

カフエー、ナイトクラブ、バー、舞踏場、遊技場、ボーリング場、体育館、

百貨店その他の店舗、事務所、病院、卸売市場、倉庫及び工場

31

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国がひな形として示している「標準駐車場条例」では、例えば人口 50万人未満の都市においては、対象区域の特定用途に供する建築物に一律の規制が行われる内容になっている。

しかしながら、特定用途に供する建築物の種類は多様であり、その種別によって自動車の

駐車需要を生じさせる程度が異なり、また、用途地域が同じであっても地区特性により駐車

需要が異なっていることから、きめ細やかな規則とするための見直しが必要である。 また、自動二輪車が駐車場附置義務の対象となったことに対応するための見直しが必要で

ある。 ア 特定用途の細分化

(ア) 商業店舗以外の用途についての基準を別に規定

交通特性の影響を反映しやすいよう、特定用途を店舗系・業務系・興行系に細分化し、

実態に即した基準を設定する。 特に、興行系特定用途(劇場、映画館、演芸場、観覧場、放送スタジオ、公会堂、集

会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店、飲食店等)は、利用者が荷物

を伴うことが多い店舗系の施設と異なり、公共交通の利便性がより敏感に駐車需要に影

響すると考えられる。興業系特定用途の基準を店舗系と分離することにより、交通特性

に応じた基準設定が可能となる。

(イ) 実態に即した附置義務基準の設定

交通特性の影響を反映した基準として、「標準駐車場条例」(国による技術的助言)で

は人口規模に応じた基準が示されているが、特定用途の種別への意識が十分ではないた

め附置義務基準を設定する際には、(ア)の観点を盛り込んで特定用途の分類を再構築するとともに、より実態に即した附置義務基準を設けることが望ましい。

イ 地域ルールによる基準の弾力化

さらに、鉄道駅周辺地区などにおいて、その地区特性に応じて附置義務基準を弾力的に

運用できるよう、「駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、

市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な駐車施設の附置の確保が図られると認めら

れる場合」には、特例基準によることを定める。 この場合、駐車場整備計画に地域ルールの適用地区及びそこでの附置義務の方針を明記

するとともに、地元市町、駐車場設置者、住民団体、交通管理者、道路管理者等で構成す

る市域ルール策定協議会を設置して地域ルールを検討することとする。 ウ 自動二輪車に関する附置義務

自動二輪車は近年、違法駐車が問題になり、駐車場法改正(平成 18年5月)で自動二輪車の駐車場確保に関する法的位置付けが明確になったことから、駐車場附置義務条例に自

動二輪車の附置義務基準を定める。

32

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(5) 総合的な駐車場対策の推進

今後の駐車場対策は前述のとおり、施設ごとの対策から地域で考える総合的な施策にして

いくことが重要であり、このような視点で駐車場整備計画や駐車場附置義務条例の見直しを

行うとともに、以下のような具体的な駐車場の配置、運営等のための新たな戦略的な施策を

展開することにより、総合的な駐車場対策として推進する。

ア 歩行動線等を考慮した戦略的な駐車場の配置

中心市街地の魅力と活力を高めるためには、来街者の滞在時間の延長やリピーターとし

て再度の来街を促すことが必要である。 そのためには、買物、飲食、観光等の多くのサービスを提供することや快適な空間づく

りが不可欠であることから、駐車場の配置は、ショッピングモール等における歩行動線や

移動距離に配慮して、戦略的に計画することが重要となる。 イ 荷さばき等の短時間駐車需要への対応

中心市街地における商業活動を円滑に行うためには、荷さばきなどの短時間の駐車需要

に対する施策が欠かせない。 そのためには、一定規模以上の店舗等に対しては附置義務により荷さばき駐車施設を整

備させるとともに、それを近隣で共同利用することが有効である。 また、既存駐車場(平面)や空店舗等を荷さばきの拠点にすることにより、共同集配が

可能となる。 なお、トランジットモール化に当たっては荷さばきが特に大きな課題となるが、開店前

の一定時間を荷さばき用に開放することにより、特別な荷さばき施設を整備することなく、

一般車両の通行がない良好な環境で作業することができる。 さらに、タクシー、観光バスや送迎バスなどの乗降施設を、中心部へのアクセスの良い

ところに交通広場として設けるほか、店舗等の附帯駐車場の中にタクシー乗降場を設ける

など、既存施設を活かした利便性確保などが求められる。 ウ 料金設定と情報提供

駐車・駐輪行動を誘導する際には、適切な料金設定と情報提供が需要である。 中心部に多い短時間の駐車需要に対応し路上駐車を減らすためには、「用務の近くで安心

して気軽に停められる」施策が必要である。料金設定としては「1時間 300円」ではなく「100円 20分」(ワンコイン方式)というような利用しやすい料金設定が求められる。時間当りの単価を中心部ほど高くすることにより、長時間の駐車需要は外へ向かうことから、

地区の外縁部に駐車場を集約する際には、利用者のニーズを十分把握し料金設定するとと

もに、駐車場から中心部までの距離によっては補助交通を付加することが必要である。 なお、駐車・駐輪施設の無料開放は、郊外のパーク&ライド駐車場などで採用すべきで

あり、行動を誘導する必要のある中心市街地では採用すべきではない。 また、情報提供については中心市街地に入る前に的確に行う必要があり、そうすること

で特定の駐車場への利用の集中を避け、渋滞やうろつき交通の発生を防ぐことができる。

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また、情報提供による混乱をさけるためには、希望していた駐車場が「満」で、「空」と案

内された他の駐車場に入った場合でも同程度の料金で同様のサービスが受けられるよう、

駐車料金やサービスポイントの利用などの仕組みを地区で統合化しておく必要がある。

エ 取締りと啓発

中心市街地を歩くと、自動二輪車の駐車や自転車等の駐輪により、歩行空間や景観を阻

害していることがよくあるが、利用しやすい場所に利用しやすい料金設定の駐車・駐輪施

設を確保し、利用の促進を図ることと併せて、取締りや啓発を一体的に行うことが重要で

ある。 また、看板、街路樹、ベンチなどが死角となり、違法駐車を誘発していると思われる箇

所も多いことから、看板の撤去や整序に加えて、街路樹やベンチの整備に際してはこうし

た行為を誘発しないよう配置や管理を検討する必要がある。 オ 小規模な路外駐車場・月極駐車場の抑制

住宅跡地等が、当面の土地活用として小規模な路外駐車場や月極駐車場になる事例が多

く見られる。こうした駐車場の供給は、地区で需給管理を行い、駐車行動を誘導する際の

かく乱要因となることから抑制が必要となる。現行制度ではこうした土地利用を直接規制

することはできないため、合意形成等による抑制方策を中心とした次のような方策を講じ

ることが望ましい。 ① 地区の合意と交通管理者(警察)との連携により、回遊空間とすべき街路をトランジ

ットモールとし、自動車及び自動二輪車等の進入を禁止することにより、その沿道に

おける駐車場化を抑制する方策 ② トランジットモール以外の沿道について、建築基準法に基づく建築協定(地区内の土

地所有者等全員の合意が必要)や地区計画等により、駐車場の出入口の位置等につい

て一定の規制する方策

今後、全体の利益を追求する観点から、私的な駐車場設置を規制しようとする動きが出

てくれば、欧州の大都市では一般的となっている逆附置義務制度(エリアを指定して駐車

場を必要以上に設置させない制度)や、駐車場の設置を禁止・抑制すべきエリアにおいて、

駐車場の面積やロット数に対して一定の取得税や保有税を徴収する方策など、市町の政策

判断で適用できるような法制度づくりを提案することも考えられるところである。

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4 駐車場整備計画策定の手引き

(1) 駐車場整備地区の指定に係る基本的な考え方等

ア 基本的な考え方

駐車場整備地区とは、都市の一定区域に指定されるもので、駐車場整備と建築物におけ

る駐車施設の附置等の措置を総合的に講ずることによって、道路交通の円滑化を図り、都

市機能の低下を防止しようとするものである。

都市計画法では、第 8条第 1項第 8号に規定するところの都市計画に定める地域地区の

一つである。

イ 指定フロー

駐車場整備地区の指定は、図4-1にしたがって行う。

一定の用途地域の指定があるか ・要件を満たす6用途地域の指定を受けているか ・商業、業務系以外の用途指定地域では4つの特別用途地区に該当

しているか

自動車交通(自動二輪車を含む)が著しくふくそうしており、かつ駐

車問題が生じている地区か ・1車線あたりの混雑度・交通量 ・ピーク時走行速度 ・ピーク時駐車密度、ピーク時路上駐車密度 ・当該地域面積に対する地区の建築総面積の比率等の各指標は要件

を満たしているか また、客待ちタクシー、荷さばき車両、観光バス等の駐車問題が

生じているか

検討対象地域

検討の対象となる

地区の現況調査

交通ふくそう地域の周辺に位置しているか ・交通ふくそうの影響が周辺に及んでいる地域か

駐車場整備地区の指定

図4-1 駐車場整備地区の指定フロー

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ウ 駐車場整備地区の見直し

駐車場整備地区を含め、都市計画で定められる地域地区の見直しについては、市町マス

タープランの中で検討する必要があり、駐車場整備地区の見直しの時期については、用途

地域の見直し等を考慮しながら、状況に応じて見直しすることとする。

また、駐車場法の改正(平成 18年 5月改正、平成 18年 11月施行)に伴い、駐車場法

の対象となる「自動車」の定義に自動二輪車も含まれることとなった。

現行の駐車場整備地区及び駐車場整備計画は、自動二輪車の駐車需要を前提としていな

い。そのため、市町は自動二輪車の駐車需要を勘案し、対応が必要と認められる区域につ

いて、駐車場整備地区に関する都市計画変更を行うこととする。

(2) 駐車場整備計画の策定に係る基本的な考え方等

ア 基本的な考え方

駐車場整備計画の策定に際しては、駐車場法第4条に規定される各項目について検討を

行い、整備計画の立案を行う。

また、計画策定に先立ち、駐車場整備地区の駐車実態を明らかにするため各種調査を実

施し、駐車場整備計画策定時の基礎資料とする。

イ 策定フロー

駐車場整備計画の策定フローは図4-2のとおりである。

駐車場整備計画の策定に当たっては、地区の駐車実態を調査し、地区の駐車問題を

把握・分析する必要がある。調査を円滑に進め、結果をより正確で有用なものとする

ためには地区の商業者の協力が不可欠となる。すなわち、行政側主導の一方的な調査

では協力が得られにくいだけでなく、協力なしで各駐車場の利用状況を把握しようと

すると多大な費用を要することになってしまうからである。

したがって、調査を効果的に実施するためには、調査に先立ち、まず、商業者等と

ともに組織づくりを進めることが重要である。先に組織づくりを進めることにより、

各駐車場の容量と需要(利用状況)等についての実効性の高いデータの提供を受ける

ことが可能となる。

このような役割分担により市町は、課題抽出や全体像把握のための基礎的な調査と

提供を受けたデータの集計、分析に力を注ぐことで、効果的で実効性の高い駐車場整

備計画を策定することが可能となる。

ウ 駐車場整備計画の見直し

駐車場整備計画の見直しについては、その対象地区となっている駐車場整備地区の見直

しを行う際に合わせて行う。

また、駐車場法の改正(平成 18年 5月改正、平成 18年 11月施行)に伴い、駐車場法

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Page 42: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

の対象となる「自動車」の定義に自動二輪車も含まれることとなった。

現行の駐車場整備地区及び駐車場整備計画は、自動二輪車の駐車需要を前提としていな

い。そのため、市町は自動二輪車の駐車需要を勘案し、対応が必要と認められる区域につ

いて、駐車場整備地区に関する都市計画変更及び駐車場整備計画変更を行う。

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駐車場整備地区

駐車実態調査の実施 地区の駐車問題に対応した調査体系の検討 ・駐車施設調査 ・駐車場利用実態調査 ・路上駐車台数調査 ・駐車者アンケート調査 ・車庫確保状況調査 ・自動車利用に関するアンケート調査 ・駐車場経営者意向調査

現況分析 ・現況の駐車需給バランスの検討及び駐車施設の不足

量の把握

図4-2 駐車場整備計画の策定フロー

駐車場整備計画

駐車場運営計画

連携

駐車場整備計画の策定 (1)路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する基本方針 (2)路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標年次及び 目標量

(3)上記の目標量を達成するために必要な路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する施策

(4)地方公共団体の設置する路上駐車場で駐車場整備地区内にある路上駐車場によっては満たされない自動車の

駐車需要に応ずるため必要なものの配置及び規模並び

に設置主体 (5)主要な路外駐車場の整備に関する事業の計画の概要 (6)地域ルールによる駐車施設の整備

TMO、商工会等の

組織づくりを先行さ

せることにより、効率

的で実効性の高い調

査を実施することが

可能

(6(2)カ参照)

38

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(3) 駐車場整備計画の策定項目

駐車場整備地区における現状分析により明らかにされた駐車実態を基に、駐車場整備計

画に掲げる各項目について定める。

なお、駐車場法の改正(平成 18年 5月改正、平成 18年 11月施行)に伴い、現地では

駐車場法の対象となる「自動車」に自動二輪車も含まれている。

ア 路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する基本方針

現状分析によって明らかにされた駐車場整備地区内における駐車問題や、駐車場整備の

現況を踏まえた市町の駐車場対策に対する基本的な方針を定める。

基本方針は当該市町の土地利用、都市施設等に関する都市計画に整合するように定める

必要がある。

また必要に応じて、総合的な都市交通計画の一環として実施される駐車場需要を削減す

る方策等、駐車場整備以外の対策も含めて定める。

イ 路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標年次及び目標量

駐車場整備の目標年次は、駐車場整備地区内における路上駐車場及び路外駐車場の整備

目標とする年次であり、当該市町の実情に応じて設定されるものであるが、おおむね 10

年後程度を目標とし、必要に応じて中間目標年次として 5 年後程度、長期目標年次として

20年後程度を加える。

駐車場整備の目標量は、目標年次に向けての整備目標台数を、路上駐車場と路外駐車場

ごとに設定する。

この場合、当該地区の状況・特性等により、平日あるいは休日のいずれか大きい将来駐

車需要量に基づくことが望ましいが、少なくとも現在の駐車場不足を背景として発生して

いる都市の諸問題を相当程度緩和する整備目標量は確保する必要がある。

なお、道路交通法第 49条の規定に基づき公安委員会が設置するパーキング・メーター等

は駐車場法第5条の規定に基づく路上駐車場には当たらないが、地区全体の駐車容量を考

える場合、こうした施設についてもその実態を把握しておくことが望ましい。

ウ 路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標量を達成するために必要な路上駐車場及び路外

駐車場の整備に関する施策

駐車場整備地区内における路上駐車場及び路外駐車場の供給方針と、それに対する公共

と民間の整備分担及びそれぞれの整備を推進するための施策等について定める。(公共駐車

場の整備施策、民間駐車場の整備施策、建築行為に伴う駐車施設の附置に関する施策、駐

車場の有効利用に関する施策等)

路外駐車場の整備に関する公共と民間の整備分担については、駐車需要の質及び量の観

点から公共と民間のそれぞれが分担する駐車場整備の基本的な考え方を示す。

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駐車場整備に関する施策については、目標年次までに当該地区内で実施されることが見

込まれる施策について盛り込み、また市町独自の駐車施設整備施策については、目標年次

までに実施しようとしている施策についても記述する。

エ 地方公共団体の設置する路上駐車場で、駐車場整備地区内にある路外駐車場によっては

満たされない自動車の駐車需要に応ずるため必要なものの配置及び規模並びに設置主体

この項目で定められる路上駐車場は、地方公共団体により設置される(法第5条第1項)。

地方公共団体が都市計画的観点から路上駐車場が必要であると判断した場合には、駐車場

整備計画に「地方公共団体の設置する路上駐車場で駐車場整備地区内にある路外駐車によ

っては満たされない自動車の駐車需要に応ずるため必要なものの配置及び規模並びに設置

主体」を定めて、路上駐車場を設置する(法第 5条第 1項)。

路上駐車場は、路外駐車場によって満たされない駐車需要に応ずるための暫定的なもの

であるという位置付けにあるため、その設置により道路交通上支障の生じないことを担保

する必要から、路上駐車場の配置及び規模の基準が定められている。(施行令第 2条)。

オ 主要な路外駐車場の整備に関する事業計画の概要

駐車場整備計画の円滑な目標達成を図るために、都市計画駐車場やこれに準ずる特に重

要な路外駐車場の整備に関する事業計画の概要を定める。

「主要な路外駐車場」とは、都市計画駐車場、法第 12条の規定により届け出なければな

らない駐車場(以下「届出駐車場」という。)、又は公的融資を受ける駐車場とし、イの目

標年次までに事業化が見込まれるものについて、市町が駐車場の規模、位置及び事業主体

等における個々の路外駐車場の計画概要を定める。

駐車場整備計画の策定後においても、路外駐車場の新設又は増設が予想され、これらの

うち適当を考えられるものを必要に応じて、当該計画に「主要な路外駐車場」として位置

付けるため、この計画の概要に掲げる事項については、年 1 回程度適当と定める時期に見

直しを行う。

「主要な路外駐車場」については、駐車場整備計画において、その位置や規模、事業主

体の「計画の概要」を定め、その整備の促進を図るが、税制面においても、これらの路外

駐車場については、不動産取得税及び固定資産税の軽減措置が講じられている。

カ 地区特性に応じた駐車施設の整備

駐車場附置義務条例は、建築物に対する駐車施設の附置義務基準を定めているが、建築

物単位で設置すべき駐車施設の台数のため、地域によっては基準どおりに駐車施設を設け

ることが不合理な場合もあるため、条例による一律の基準によらない地区特性に応じた駐

車施設の附置(地域ルール)を可能にする改正を行う。

40

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5 駐車場附置義務の見直しの手引

(1) 見直しのポイント

駐車場附置義務については、3(4)で述べたとおり、国がひな形として示している「標

準駐車場条例」が人口規模には着目しているが、特定用途の種別への着目は十分とは

いえないものとなっていることから、地区特性に応じたきめ細かな規制へと見直しを

行うことが必要である。

また、自動二輪車も附置義務の対象となったことへの対応も必要である。

ア 「標準駐車場条例」の改正状況の確認

駐車場附置義務についてはこれまでも見直しが行われてきており、「標準駐車場条例」の

改正状況を概観することで、各市町で制定している条例において見直しを要する事項を確

認する。 【平成2年6月 11日改正】 ① 特定用途における附置義務の延べ面積の下限値の改正【第 25条2項】 特定用途における附置を義務付ける建築規模を2,000㎡から人口おおむね50万人以上の都市は 1,500㎡、人口おおむね 50万人未満の都市は 1,000㎡に改正した。

② 足切り制度の廃止【第 25条】 改正前は、附置義務量を算出するにあたり下限値を超える部分に対して附置を課してい

たが、延べ床面積の全部に対して附置義務を課すとともに、6,000 ㎡までの建築物については、緩和措置を設けることとした。

図5-1 駐車場附置義務の基準

建築物が負う 附置義務駐車台数

緩和台数

建築物の延床面積

附置義務駐車台数

見直し後

(見直し前)

6,000㎡ (足切り基準) 附置義務適用基準

41

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【平成3年 11月 26日改正】 ① 非特定用途における附置義務の延べ面積の下限値の改正【第 25条】 駐車場法及び施行令の改正にあわせ、非特定用途の附置を義務付ける建築規模を 3,000㎡から 2,000㎡に改正した。

② 罰則規定における罰金額の改正【第 35条】 第 35条に規定する附置義務駐車施設の附置、管理等に関する条項に違反するものに対する罰金の額を、第 34条1項違反は 10万円以下を 50万円以下に、第 33条1項違反は3万円以下を 20 万円以下に、第 30 条2項違反は1万円以下を 10万円以下にそれぞれ改正した。

【平成6年1月 20日改正】 ① 荷さばきのための駐車施設の附置義務を追加【第 25条の2】 荷さばきのための駐車施設の附置に関する規定を下表のとおり規定した。

(人口がおおむね 50万人未満の都市の場合) (ア)地区 駐車場整備地区又は商業地区若しくは近隣商業地域 周辺地区又は自動車

ふくそう地区 (イ)足切基準

2,000平方メートル 3,000平方メートル

(ウ)建築物の用途

百貨店その

他の店舗の

用途に供す

る部分

事 務 所 の

用 途 に 供

する部分

倉 庫 の 用

途 に 供 す

る部分

特定用途(百

貨店その他

の店舗、事務

所及び倉庫

を除く。)に

供する部分

特定用途に供する部

(エ)附置を義務付け

る駐車1

台当たり

の床面積

3,000 平方メートル

5,000 平方メートル

1,500 平方メートル

4,000 平方メートル

5,000平方メートル

(オ ) 6,000平方メー

トル未満

の場合の

緩和係数

6,000平方メートル-延べ面積 2×延べ面積

6,000平方メー トル-延べ面積

1- 延べ面積 1-

42

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備考 1 (ウ)欄掲げる部分は、駐車施設の用途に供する部分を除き、観覧場にあっては、屋外

観覧席の部分を含む。 2 (オ)欄に規定する延べ面積は、駐車施設の用途に供する部分の面積を除き、観覧場に

あっては、屋外観覧席の部分を含む。 (※) 人口がおおむね 50万人以上 100万人未満の都市、人口がおおむね 100万人以上の

都市については、別途基準値を規定。 ② 荷さばきのための駐車施設の規模【第 29条4項】 荷さばきのための駐車施設のうち自動車の駐車の用に供する部分の幅、奥行き、建築限

界を規定した。 【平成 16年7月2日改正】 ① 附置を義務付ける駐車施設一台あたりの床面積(原単位)の基準が参考である旨の周知

【第 25条、第 25条の2】 標準駐車場条例第 25条等において示している原単位は目安に過ぎず、従来より条例の制定にあたっては各都市における効果・影響等についての十分な調査の下に適切な原単位を

設定すべき旨示していたが、この趣旨をさらに明確にして地方公共団体独自の政策判断に

応じた設定を推奨した。 ② 地区ごとに別途の基準を適用すること(ローカルルールの導入)の推奨【第 25 条、第

25条の2】 地区の交通特性等によって駐車需要に違いがあることに加えて、地区内の交通処理計画

の内容に応じて新たに設置すべき駐車施設の量が変わることから、地区特性に応じたきめ

の細かい基準の設定を推奨した。 ③ 隔地における附置義務駐車施設について【第 30条、第 30条の2】 小規模な附置義務駐車施設が多数設置されることは、駐車場の出入口が随所に設けられ

ることによる交通阻害や土地の効率的な利用の観点から問題が多い。このため、まちづく

りや地区交通処理の方針と連動して、建築物及びその敷地「以外」の場所(いわゆる「隔

地」)で駐車施設を効果的に確保することを推奨した。 第 30条では、市長がやむを得ないと認める場合には建築物から 200m以内と規定していたが、交通の安全及び円滑化又は土地の有効な利用に資するものとして市長の認定を受け

たものについては隔地に附置義務駐車施設を設置できることにした。

【平成 18年 11月 30日改正】 ① 自動二輪車のための駐車施設の附置義務を追加【第 25条の3】 駐車場法の改正に伴い、自動二輪車のための駐車施設の附置に関する規定を下表のとお

り規定した。

43

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(人口がおおむね 50万人未満の都市の場合) (ア) 駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地

周辺地区又は自動車ふくそう地

(イ) 1,000 平方メートル 2,000 平方メートル

(ウ) 百貨店その他の店舗

の用途に供する部分

特定用途(百貨店その他の

店舗除く。)に供する部分

特定用途に供する部分

(エ) 3,000 平方メートル 8,000 平方メートル 8,000 平方メートル

(オ) 1,000 平方メートル×(6,000 平方メートル-延べ面積)1-

(6,000 平方メートル-1,000 平方メートル)×延べ面積

6,000 平方メートル-延べ面積

2×延べ面積

備考

1 (ウ)欄に掲げる部分は、駐車施設の用途に供する部分を除き、観覧場にあっては、屋

外観覧席の部分を含む。

2 (オ)欄に規定する延べ面積は、駐車施設の用途に供する部分の面積を除き、観覧場に

あっては、屋外観覧席の部分の面積を含む。

(※) 人口がおおむね 50万人以上の都市については、別途基準値を規定。 ② 自動二輪車のための駐車施設の規模【第 29条4項】 自動二輪車のための駐車施設のうち自動二輪車の駐車の用に供する部分の幅、奥行きを

規定した。

イ 駐車場の利用実態を踏まえた見直しの検討

「標準駐車場条例」の改正にも盛り込まれている荷さばきのための駐車場施設の附置義務

の追加及び自動二輪車のための駐車施設の追加について対応する必要がある。

加えて、今回県が行った実態調査の結果から見ると交通特性の影響を反映しやすいよう、

特定用途を店舗系①・業務系②・興行系③に細分化するとともに、実態に即した附置義務基

準を設けることが望ましい。「標準駐車場条例」の表をベースに見直し内容を示すと次の表の

とおりとなる。

特に、基準の低減が可能と考えられる興行系特定用途③は、劇場、映画館、演芸場、観覧

場、放送スタジオ、公会堂、集会場、展示場、結婚式場、斎場、旅館、ホテル、料理店及び

飲食店である。

1-

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(ア) 駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域 周辺地区又は自動車

ふくそう地区 (イ) 特定用途に供する部分の床面積と非特定用途に供する部分

の床面積に 0.5を乗じて得たものとの合計 特定用途に供する部

分の床面積 (ウ) 1,000平方メートル 2,000平方メートル (エ) 百貨店そ

の他の店

舗の用途

に供する

部分

事務所、病院、

卸売市場、倉庫

及び工場の用

途に供する部

特定用途(百貨

店その他の店

舗、事務所、病

院、卸売市場、

倉庫及び工場

を除く)

非特定用途

に供する部

特定用途に供する部

(オ) 〔①〕 〔②〕 〔③〕 450平方メートル

〔③〕

(カ) (1,000平方メートル×(6,000平方メートル-延べ面積)) 1-

(6,000平方メートル×(イ)欄に掲げる面積 -1,000平方メートル×延べ面積)

人口がおおむね 50万人未満の都市の基準を見直し ・〔①〕100平方メートル ・〔②〕200平方メートル ・〔③〕450平方メートル

(注)上記の数値は、兵庫県が行った実態調査に基づき算定したものであり、基準検証のサンプルが

少ないことから、基準設定に当たっては詳細な調査を行った上で、当該市町にふさわしい基準を

定めることが必要である。

ウ 各市町における附置基準の弾力化のための地域ルール導入の検討

(ア) 地域ルール導入の必要性

駐車施設の附置義務制度は、原則として建築物単位に一律の基準によって駐車施設の

設置を義務付け、駐車施設の量の確保を図るものであるが、地域によっては、基準どお

りに駐車施設を設けることが過剰な義務付けとなり、不合理な場合がある。 このため、駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市

長が地区特性に応じた基準に基づき、地区全体として必要な駐車施設の附置の確保が図

られていると認める場合に、特定の駐車施設の台数の軽減、駐車施設の集約設置等、地

区特性に対応した駐車施設の整備基準(以下「地域ルール」という。)を導入し、地域ルー

ルに基づく駐車施設の設置を可能にしておくことが必要である。

6,000平方メートル -延べ面積

延べ面積 1-

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(イ) 地域ルールのイメージ

一般型 公共交通が発達した地区 街並みの形成に重点を

置く地区

地域

地区のイメージ

一般地区 設置台数 A

B

C

駐車施設過剰 ・公共交通充実 ・自動車分担率が少ない 設置台数 A’=X1A

B’=X2B

C’=X3C

(特定用途ごとに自動車分

担率を反映し緩和) (X1<1、X2<1、X3<1)

駐車施設設置困難 ・高容積率 ・小規模敷地 ・都心商店街 設置台数 A”≦A+B+C

B”=0

C”=0

附置例の概要

・一般の附置義務基準 ・駐車施設の需要調査等に基

づき、附置義務基準を緩和 ・共同化も可能

・建築敷地 500㎡以上の建築物に集約整備(整

備補助あり) ・一方、建築敷地 500㎡未満の建築物は附置

義務免除(負担金あ

り) 効果

・対象建築物に駐車施設

が整備 ・過大な駐車施設の整備費用

の軽減と地域全体に対す

る駐車施設の整備の両立

が可能

・地域全体に対応する駐

車施設の整備が可能 ・駐車施設の出入口の集

約化 (ウ) 地域ルールの適用地区

地域ルールの適用地区は、都市計画法第 8 条に基づく駐車場整備地区内にあって、次のいずれかに該当する地区とする。

① 公共交通機関が集中する業務地区で、駐車施設の供給が過剰であることが明らか

な地区

A

B

C

A”

B”

C”

B’

C’

A’

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② 高密度の商業地区で、街並みの形成上、建築物単位よりも街区単位で駐車施設を

集約配置することが望ましい地区

(エ) 駐車場整備計画における地域ルールの適用地区の位置付け

駐車場整備計画に、次に掲げる事項を定めることとする。 ①地域ルールの適用地区(以下「適用地区」という。) ②適用地区における路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する基本方針 ③適用地区における路上駐車場及び路外駐車場の整備の目標年次及び目標量 ④③の目標量を達成するために必要な路上駐車場及び路外駐車場の整備に関する施 策

(オ) 地域ルール策定協議会の設置

地域ルール策定主体(市町)は、地域ルール策定協議会(以下「協議会」という。)を

設置することとする。 地域ルールの実効性を確保するためには、交通及び駐車施策に係わる主体並びに地区

の住民の協力が必要である。このため、協議会の構成員は次のとおりとする。 ①地域ルールの策定主体:市町の所管部局 ②地区の関係者:附置義務駐車場の設置者、商店会、住民団体等 ③交通管理者:所轄警察署 ④道路管理者:国、県、市町の所管部局 ⑤学識経験者 等

(カ) 適用地区の調査及び分析

協議会は、適用地区の交通特性等の調査及び分析並びに違法路上駐車対策等の検討を

行い、地域ルールの案を策定することとする。 地域ルールの策定にあたっては、以下の調査分析を行うこととする。なお、必要に応

じて、地区を鉄軌道や道路等の配置を考慮して分割し、交通特性に応じた分析を行うも

のとする。 ①地区の交通特性(自動車分担率、公共交通機関の利用率等) ②土地・建物利用の現状と将来予測 ③駐車施設供給量の現状(設置場所、規模、台数、利用率等)及び将来予測 ④駐車施設需要量の現状と将来予測 ⑤路上駐車場の現状及び将来予測 ⑥地域ルールを適用しない場合の条例による附置義務台数との比較 ⑦地域ルール参加者の調査(敷地規模、位置等) ⑧その他地域ルール策定のために必要な事項

(キ) 地域ルールの策定

地域ルール策定主体は、協議会の案を尊重して、次に掲げる事項を定めた地域ルール

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を策定し、これを駐車場整備計画に定めることとする。 ①適用地区における駐車施設の附置基準 ②駐車施設の効率的な活用方法(駐車施設への自動車誘導策等) ③地域ルールの実効性を確保するための方策 ④その他必要な事項

(ク) 地域ルールの検証

駐車施設の需要は交通特性等により変化する。このため、駐車施設の適切な配置を確

保するには、地域ルールの定期的な検証、見直しが必要である。 協議会は当該地区に地域ルールが適用された日から、原則として 1 年以内に、地域ル

ールの成果を検証することとする。また、検証の結果、協議会は必要に応じて地域ルー

ルの見直しを行い、地域ルール策定主体に対して地域ルールの見直し案を報告すること

とする。 地域ルール策定主体は、報告を受けた見直し案を尊重し、速やかに地域ルールの改正

又は廃止を行うこととする。

(2) 駐車場附置義務条例の規定モデル

本県各市町の人口は、150万人超の神戸市を除き、姫路市、西宮市、尼崎市でも 50万人前後であることから、「標準駐車場条例」の人口 50 万人未満の市に係る規定例を参考に、

(1)の見直しのポイントに従った改正事項を盛り込むとともに、規定事項の表現の改善等を

図ることとして定めている。具体的な規定例は次のとおりである。

【モデル条例】 ○○市建築物における駐車施設の附置等に関する条例

(趣旨) 第1条 この条例は、駐車場法(昭和 32年法律第 106号。以下「法」という。)第5章の規定に基づき、建築物に附置する自動車の駐車のための施設(以下「駐車施設」という。)の規模その

他の駐車施設の附置等に関して必要な事項を定めるものとする。 (定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 自動車 道路交通法(昭和 35年法律第 105号)第2条第 12項第9号に規定する自動車をいう。

(2) 駐車 道路交通法第2条第 12項第 18号に規定する駐車をいう。 (3) 駐車場整備地区 法第3条第1項に規定する駐車場整備地区をいう。 (4) 駐車場整備計画 法第4条第1項に規定する駐車場整備計画をいう。 (周辺地区及び自動車ふくそう地区の指定)

第3条 法第 20条第2項に規定する周辺地域内で条例で定める地区(以下「周辺地区」という。)は、駐車場整備地区又は都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)第8条第1項に規定する商業地域(以下「商業地域」という。)若しくは同号に規定する近隣商業地域(以下「近隣商業地域」

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という。)に隣接する同法第5条の規定により指定された都市計画区域(以下「都市計画区域」

という。)内において、市長が指定する区域とする。 2 法第 20条第2項に規定する周辺地域、駐車場整備地区並びに商業地域及び近隣商業地域以外の都市計画区域内の地域であって自動車交通の状況が周辺地域に準ずる地域内又は自動車交通

がふくそうすることが予想される地域内で条例で定める地区(以下「自動車ふくそう地区」と

いう。)は、自動車交通の地区的ふくそうが予想されるとして市長が指定する区域とする。 3 市長は、前2項の規定により周辺地区又は自動車ふくそう地区を指定したときは、その旨を

告示しなければならない。 (建築物の新築の場合の駐車施設の附置)

第4条 駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域内において、特定用途(法第 20条第1項に規定する特定用途をいう。以下同じ。)に供する部分の床面積と、非特定用途(特定用途

以外の用途(共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿を除く。)をいう。以下同じ。)に供する部分の

床面積に 0.5 を乗じて得た面積との合計の面積(以下この項において「基準床面積」という。)が、1,000 平方メートルを超える建築物を新築しようとする者は、その建築物のうち次表の(1)の項に掲げる建築物の部分の床面積をそれぞれ同表の(2)の項に掲げる面積で除して得た数値を合計した数値(建築物の延べ面積(駐車施設、専ら道路交通法(昭和 35 年法律第 105 号)第3条に規定する大型自動二輪車及び普通自動二輪車(いずれも側車付きのものを除く。以下

「特定自動二輪車」という。)の駐車のための施設(以下「自動二輪車専用駐車施設」という。)

並びに共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿の用途に供する部分の面積を除き、観覧場にあっては

屋外観覧席の部分の面積を含む。以下同じ。)が 6,000平方メートルに満たない場合においては、当該合計した数値に同表の(3)の項に掲げる算式により算出して得た数値を乗じて得た数値とし、小数点以下の端数がある場合には、切り上げるものとする。)の台数以上の自動車が駐車す

ることができる規模を有する駐車施設をその建築物又はその建築物の敷地内に附置しなければ

ならない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な駐車施設の附置の確保が図られていると認める場合

(2) 前号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合 (1)

百貨店その他の店

舗の用途に供する

部分

事務所、病院、卸

売市場、倉庫及び

工場の用途に供

する部分

特定用途(百貨店その他

の店舗、事務所、病院、

卸売市場、倉庫及び工場

を除く。)に供する部分

非特定用途に供す

る部分

(2) 150平方メートル 200平方メートル 400平方メートル 450平方メートル (3) 1,000平方メートル×(6,000平方メートル-建築物の延べ面積)

6,000平方メートル×基準床面積-1,000平方メートル×建築物の延べ面積 (備考) (1)の項に掲げる建築物の部分は、駐車施設、自動二輪車専用駐車施設並びに共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿の用途に供する部分を除くものとし、観覧場にあっては屋外観覧席

の部分を含むものとする。

1-

49

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2 周辺地区又は自動車ふくそう地区内において、特定用途に供する部分の床面積が 2,000 平方メートルを超える建築物を新築しようとする者は、その建築物のうち、次表の(1)の項に掲げる建築物の部分の床面積をそれぞれ同表の(2)の項に掲げる面積で除して得た数値を合計した数値(建築物の延べ面積が 6,000 平方メートルに満たない場合においては、当該合計した数値に同表の(3)の項に掲げる算式により算出して得た数値を乗じて得た数値とし、小数点以下の端数がある場合には、切り上げるものとする。)の台数以上の自動車が駐車することができる規模を有

する駐車施設をその建築物又はその建築物の敷地内に附置しなければならない。ただし、市長

が特に必要がないと認める場合は、この限りでない。 (1) 百貨店その他の店舗の用

途に供する部分 事務所、病院、卸売市場、

倉庫及び工場の用途に供す

る部分

特定用途(百貨店その他の

店舗、事務所、病院、卸売

市場、倉庫及び工場を除

く。)に供する部分 (2) 150平方メートル 200平方メートル 400平方メートル

(3) 6,000平方メートル-建築物の延べ面積 2×建築物の延べ面積

(備考) (1)の項に掲げる建築物の部分は、駐車施設、自動二輪車専用駐車施設並びに共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿の用途に供する部分を除くものとし、観覧場にあっては屋外観覧席

の部分を含むものとする。

(建築物の新築の場合の荷さばきのための駐車施設の附置) 第5条 駐車場整備地区若しくは商業地域若しくは近隣商業地域又は周辺地区若しくは自動車ふ

くそう地区内において、特定用途に供する部分の床面積が 3,000 平方メートルを超える建築物を新築しようとする者は、その建築物のうち次表(1)の項に掲げる建築物の部分の床面積をそれぞれ同表の(2)の項に掲げる面積で除して得た数値を合計した数値(建築物の延べ面積が 6,000平方メートルに満たない場合においては、当該合計した数値に同表の(3)の項に掲げる式により算出して得た数値を乗じて得た数値とし、小数点以下の端数がある場合は、切り上げるものと

する。)の台数以上の規模を有する荷さばきのための駐車施設をその建築物又はその建築物の敷

地内に附置しなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区の特性に応じた基準に基づき、必要な荷さばきのための駐車施設の附置の確保が図られていると認

める場合 (2) 市長が敷地の形状等により荷さばきのための駐車施設を設置することが著しく困難であると認める場合

(3) 前2号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合

1-

50

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(1) 百貨店その他の店舗の用途に供する

部分

事務所の用途に供

する部分 病院、卸売市場、

倉庫及び工場の用

途に供する部分

特定用途(百貨店そ

の他の店舗、事務所、

病院、卸売市場、倉

庫及び工場を除く。)

に供する部分 (2) 3,000平方メートル 6,000平方メートル 3,000平方メートル 4,500平方メートル

(3) 6,000平方メートル-建築物の延べ面積 2×建築物の延べ面積

(備考) (1)の項に掲げる建築物の部分は、駐車施設、自動二輪車専用駐車施設並びに共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿の用途に供する部分を除くものとし、観覧場にあっては屋外観覧席

の部分を含むものとする。

2 前項の規定により附置しなければならない荷さばきのための駐車施設の駐車台数は、前条の

規定により附置しなければならない駐車施設の駐車台数に含めることができる。 (建築物の新築の場合の自動車二輪専用駐車施設の附置)

第6条 駐車場整備地区若しくは商業地域若しくは近隣商業地域又は周辺地区若しくは自動車ふ

くそう地区内において、特定用途に供する部分の床面積が 1,000 平方メートルを超える建築物を新築しようとする者は、その建築物のうち次表の(1)の項に掲げる建築物の部分の床面積をそれぞれ同表の(2)の項に掲げる面積で除して得た数値を合計した数値(建築物の延べ面積が6,000 平方メートルに満たない場合においては、当該合計した数値に同表の(3)の項に掲げる式により算出して得た数値を乗じて得た数値とし、小数点以下の端数がある場合は、切り上げる

ものとする。)の台数以上の特定自動二輪車が駐車することができる規模を有する自動二輪車専

用駐車施設をその建築物又はその建築物の敷地内に附置しなければならない。ただし、次のい

ずれかに該当する場合は、この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な自動二輪車専用駐車施設の附置の確保が図られていると認める

場合 (2) 前号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合

(1) 百貨店その他の店舗又は事務所の用途に供する部分

特定用途(百貨店その他の店舗及び事務所を

除く。)に供する部分

(2) 3,000平方メートル 8,000平方メートル

(3) 1,000平方メートル×(6,000平方メートル-建築物の延べ面積) 5,000平方メートル×建築物の延べ面積

(備考) (1)の項に掲げる建築物の部分は、駐車施設、自動二輪車専用駐車施設並びに共同住宅、長屋、寄宿舎及び下宿の用途に供する部分を除くものとし、観覧場にあっては屋外観覧席

の部分を含むものとする。

1-

1-

51

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(大規模な事務所等の特例) 第7条 前3条の規定にかかわらず、次表の(1)の項に掲げる地区又は地域内に同表の(2)の項に掲げる用途のいずれかに供する部分の床面積が 10,000 平方メートルを超える建築物を新築しようとする者について第4条、第5条第1項又は前条の規定を適用する場合においては、第4条

第 1 項の表の(1)の項、第4条第2項の表の(1)の項、第5条第1項の表の(1)の項又は前条の表の(1)の項に掲げる建築物の部分の床面積は、当該部分の床面積のうち 10,000 平方メートルを超え 50,000 平方メートルまでの部分の床面積に 0.7 を、50,000 平方メートルを超え 100,000平方メートルまでの部分の床面積に 0.6を、100,000平方メートルを超える部分の床面積に 0.5をそれぞれ乗じて得た面積の合計に、10,000平方メートルを加えて得た数値の面積とする。

(1) 駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域

周辺地区又は自動車ふくそう地区

(2) 事務所、病院、卸売市場、倉庫又は工場 事務所 (建築物の増築又は用途変更の場合の駐車施設の附置)

第8条 建築物を増築しようとする者又は建築物の部分の用途の変更で、当該用途の変更により

特定用途に供する部分の床面積が増加することとなるもののために法第 20 条の2第1項に規定する大規模の修繕又は大規模の模様替(以下単に「用途変更」という。)をしようとする者は、

当該増築又は用途変更後の建築物を新築したものとみなし第4条及び前条の規定を適用した場

合に附置しなければならない最小の規模の駐車施設の駐車台数から、当該増築又は用途変更前

の建築物を新築したものとみなしこれらの規定を適用した場合に附置しなければならない最小

の規模の駐車施設の駐車台数を減じて得た台数(増築又は用途変更前の建築物に現に附置され

ている駐車施設の駐車台数が、増築又は用途変更前の建築物に附置しなければならない最小の

規模の駐車施設の駐車台数を上回っている場合は、その上回っている分の台数を控除する。)以

上の自動車が駐車することができる規模の駐車施設を、当該増築又は用途変更に係る建築物又

はその建築物の敷地内に附置しなければならない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、

この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な駐車施設の附置の確保が図られていると認める場合

(2) 前号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合 (建築物の増築又は用途変更の場合の荷さばきのための駐車施設の附置)

第9条 建築物の増築又は用途変更をしようとする者は、当該増築又は用途変更後の建築物を新

築したものとみなし第5条及び第7条の規定を適用した場合に附置しなければならない最小の

規模の荷さばきのための駐車施設の駐車台数から当該増築又は用途変更前の建築物を新築した

ものとみなしこれらの規定を適用した場合に附置しなければならない最小の規模の荷さばきの

ための駐車施設の駐車台数を減じて得た台数(増築又は用途変更前の建築物に現に附置されて

いる荷さばきのための駐車施設の駐車台数が、増築又は用途変更前の建築物に附置しなければ

ならない最小の規模の荷さばきのための駐車施設の駐車台数を上回っている場合は、その上回

っている分の台数を控除する。)以上の規模を有する荷さばきのための駐車施設を、当該増築又

は用途変更に係る建築物又はその建築物の敷地内に附置しなければならない。ただし、次のい

52

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ずれかに該当する場合は、この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区の特性に応じた基準に基づき、必要な荷さばきのための駐車施設の附置の確保が図られていると認める

場合 (2) 市長が当該建築物の構造及び敷地の状態から、やむを得ないと認める場合 (3) 前2号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合 2 前項の規定により附置しなければならない荷さばきのための駐車施設の駐車台数は、前条の

規定により附置しなければならない駐車施設の駐車台数に含めることができる。 (建築物の増築又は用途変更の場合の自動二輪車専用駐車施設の附置)

第 10条 建築物の増築又は用途変更をしようとする者は、当該増築又は用途変更後の建築物を新築したものとみなし第6条及び第7条の規定を適用した場合に附置しなければならない最小の

規模の自動二輪車専用駐車施設の駐車台数から、当該増築又は用途変更前の建築物を新築した

ものとみなしこれらの規定を適用した場合に附置しなければならない最小の規模の自動二輪車

専用駐車施設の駐車台数を減じて得た台数(増築又は用途変更前の建築物に現に附置されてい

る自動二輪車専用駐車施設の駐車台数が、増築又は用途変更前の建築物に附置しなければなら

ない最小の規模の自動二輪車専用駐車施設の駐車台数を上回っている分の台数を控除する。)以

上の特定自動二輪車が駐車することができる規模の自動二輪車専用駐車施設を、当該増築又は

用途変更に係る建築物又は建築物の敷地内に附置しなければならない。ただし、次のいずれか

に該当する場合は、この限りでない。 (1) 駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域において、市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な自動二輪車専用駐車施設の附置の確保が図られていると認める

場合 (2) 前号に定める場合のほか、市長が特に必要がないと認める場合 (適用除外)

第 11 条 次のいずれかに該当する建築物の新築又は増築若しくは用途変更をしようとする者については、第4条から前条までの規定は、適用しない。 (1) 建築基準法(昭和 25年法律第 201号)第 85条に規定する仮設建築物 (2) この条例の施行後、新たに駐車場整備地区、商業地域、近隣商業地域、周辺地区又は自動車ふくそう地区に指定された地区又は地域内において、当該地区又は地域に指定された日か

ら起算して6月以内に新築又は増築若しくは用途変更の工事に着手する建築物 (3) 駐車場整備地区又は商業地域若しくは近隣商業地域内において非特定用途に供する建築物で、市長が特に駐車施設を附置する必要がないと認めたもの (建築物の敷地が地区又は地域の内外にわたる場合の駐車施設等の附置)

第 12条 建築物の敷地が駐車場整備地区、商業地域若しくは近隣商業地域、周辺地区若しくは自動車ふくそう地区又はこれら以外の地域の2以上の地区又は地域にわたる場合は、その敷地に

ついて地区又は地域ごとの面積を算出し、そのうち最も大きな面積を占める部分が属する地区

又は地域内に当該建築物があるものとみなして、第4条から第 10条までの規定を適用する。 (駐車施設等の附置の特例)

第 13条 第4条から第 10条までの規定の適用を受ける建築物の新築又は増築若しくは用途変更

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をしようとする者は、その建築物の構造又は敷地の位置、規模等により交通の安全及び円滑化

又は土地の有効な利用に資するものとして市長が認める場合その他市長が特にやむを得ないと

認める場合においては、その建築物又はその建築物の敷地内に駐車施設、荷さばきのための駐

車施設又は自動二輪車専用駐車施設(以下、「駐車施設等」という。)を附置しないことができ

る。この場合において、当該新築又は増築若しくは用途変更をしようとする者は、その建築物

の敷地からおおむね 300メートル以内の場所に駐車施設等を設けなければならない。 2 建築物の新築又は増築若しくは用途変更をする地区又は地域の地形、交通事情等からして、

第4条から第 10 条までの規定により建築物に附置しなければならない駐車施設等を2以上の建築物のために一団として設けることが合理的であると認められる場合において、その駐車施

設等が規則で定める規模以上になるときは、当該建築物の新築又は増築若しくは用途変更をし

ようとする者は、第4条から第 10条までの規定にかかわらず、その建築物又はその建築物の敷地内に駐車施設等を附置しないことができる。

3 第4条から第 10 条までの規定の適用を受ける建築物の新築又は増築若しくは用途変更をしようとする者が、その建築物からおおむね 300 メートル以内の場所において、法第 10 条第1項の規定により都市計画として決定された路外駐車場を建設する場合は、その建築物又はその

建築物の敷地内に附置する駐車施設等の駐車台数を、第4条から第 10条までの規定により算出した駐車台数からその路外駐車場の駐車台数の2分の1の範囲において規則で定める限度の駐

車台数を控除した駐車台数とすることができる。 4 第5条及び第9条の規定にかかわらず、これらの規定の適用を受ける建築物の新築又は増築

若しくは用途変更をしようとする者が、建築物又は建築物の敷地外に他の者と共同で荷さばき

を行うための駐車施設を整備することその他のこれらの規定により建築物又は建築物の敷地内

に附置しなければならない最小の規模の荷さばきのための駐車施設を整備することに代わる措

置として市長が認める代替措置を講ずるときは、当該代替措置の内容に応じ、これらの規定に

より附置しなければならない荷さばきのための駐車施設を附置せず、又は市長が定める規模を

有する荷さばきのための駐車施設とすることができる。 5 前各項の規定の適用を受けようとする者は、あらかじめ、市長の承認を受けなければならな

い。承認を受けた事項を変更しようとするときも、また同様とする。 (駐車施設等の構造等)

第 14条 第4条、第7条、第8条又は前条の規定により設けなければならない駐車施設の自動車の駐車の用に供する部分の規模は、駐車台数1台につき幅 2.3 メートル以上、奥行5メートル以上とし、自動車を安全に駐車させ、かつ、円滑に出入りさせることができるものとしなけれ

ばならない。 2 前項の規定にかかわらず、市長が特に必要があると認める建築物については、車いす使用者

のための駐車施設として、少なくとも1台以上の自動車の駐車の用に供する部分の規模を、駐

車台数 1台につき幅 3.5メートル以上、奥行6メートル以上としなければならない。 3 第5条、第7条、第9条又は前条の規定により設けなければならない荷さばきのための駐車

施設の自動車の駐車の用に供する部分の規模は、駐車台数1台につき幅3メートル以上、奥行

7.7メートル以上、はり下の高さ3メートル以上又は幅4メートル以上、奥行6メートル以上、はり下の高さ3メートル以上とし、自動車を安全に駐車させ、かつ、円滑に出入りさせること

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ができるものとしなければならない。ただし、その建築物の構造又は敷地の位置、規模等から

市長が特にやむを得ないと認める場合においては、この限りではない。 4 第6条、第7条、第 10条又は前条の規定により設けなければならない自動二輪車専用駐車施設の特定自動二輪車の駐車の用に供する部分の規模は、駐車台数1台につき幅 1メートル以上、奥行 2.3 メートル以上とし、特定自動二輪車を安全に駐車させ、かつ、円滑に出入りさせることができるものとしなければならない。

5 前各項の規定は、特殊な形態の駐車施設等又は特殊な装置を用いる駐車施設等であって、自

動車が有効かつ安全に駐車することができると市長が認めたものについては、適用しない。 6 市長は、第1項から第4項までに定めるもののほか、駐車施設等の構造又は設備について必

要な技術的基準を定めることができる。 (届出)

第 15条 第4条から第 10条までの規定により駐車施設等を附置する者は、当該駐車施設等の位置、規模及び構造について、あらかじめ市長に届け出なければならない。届け出た事項を変更

する場合も、また同様とする。 (駐車施設等の管理)

第 16条 第4条から第 10 条まで又は第 13 条の規定により設けられた駐車施設等の所有者又は管理者(第 13条第5項の規定により市長の承認を受けた者を含む。第 18条第1項において同じ。)は、当該駐車施設等をその設置の目的に適合するように管理しなければならない。 (措置命令)

第 17条 市長は、第4条から第 10条まで、第 13条及び第 14条までの規定に違反した者に対して、相当の猶予期限を定めて、駐車施設等の設置、改善その他当該違反を是正するために必要

な措置をとることを命ずることができる。 (立入検査)

第 18条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、駐車施設等若しくは駐車施設等を設けるべき建築物の所有者若しくは管理人に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員

に、駐車施設等若しくは駐車施設等を設けるべき建築物若しくはその敷地に立ち入り、その駐

車施設等若しくは駐車施設等を設けるべき建築物若しくはその敷地の設備その他の物件を検査

させ、若しくは関係者に質問させることができる。 2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明証を携帯し、関係者に提示し

なければならない。 3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはなら

ない。 (補則)

第 19条 この条例の施行に関して必要な事項は、規則で定める。 (罰則)

第 20条 第 17条の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。 2 第 18条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をした者、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは

質問に対して陳述せず、若しくは虚偽の陳述をした者は、20万円以下の罰金に処する。

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第 21条 法人の代表者若しくは法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、前条の違反行為をしたとき、行為者を罰するほか、その法人又

は人に対して、同条の罰金刑を科する。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、平成○年○月○日から施行する。 (経過措置) 2 この条例の施行の際現に存する建築物又は現に新築、増築若しくは用途変更の工事に着手し

ている建築物に係る駐車施設等については、この条例の規定は適用しない 3 この条例の施行の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。 【解説】 1 題名及び趣旨規定(第1条) 「標準駐車場条例」では、題名を「○○市駐車場条例」とし、その第2章及び第3章で公の

施設としての市営駐車場の設置及び管理に関する事項を規定し、第4章及び第5章で建築物に

おける駐車施設の附置に係る取締法規となる事項を規定しているが、前者と後者は、全く趣旨、

性格を異にする事項であるから、条例を制定する際は、両者を分けて、それぞれ制定するのが

望ましい。 そこで、後者の条例であることがよくわかるように、題名及び趣旨規定を定めている。 2 建築物の新築の場合の駐車施設の附置の規定(第4条) この条例の最も基本となる条項である。 「標準駐車場条例」では第 25条で附置を義務付けられる駐車施設1台当たりの建築床面積(原単位)が一応建築物の用途、人口規模別に示されているが、建築物の用途別といっても特定用

途を百貨店その他の店舗及び事務所とそれ以外に2分しただけで、人口 50万人未満の都市にあっては、どちらの区分とも同じ原単位となっており、地区特性に応じたきめ細かい基準にはな

っていない。 そこで、原単位については、「標準駐車場条例」の人口 50万人未満の都市に適応される数値をベースに、今回の実態調査の結果や、他の自治体における規定の状況などを勘案して定めて

いる。実態調査の結果をそのまま反映すると、5(1)イに示す原単位となるが、サンプル数が少ないことから、他の自治体の規定状況も考慮して、若干緩和した原単位としている。

具体的には、3(4)アや5(1)イで述べたとおり、特定用途を店舗系、業務系及び興行系に細

分化して定めている。 駐車台数の原単位の設定例は次のとおりであり、用途を細分化する方向で独自の基準を定め

ている市でも、わずかな修正にとどまっている。

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区分 その他特定用途 非特定用途

モデル条例百貨店等店舗

150m2

事務所等

200m2 400m

2450m

標準駐車場条例(人口100万人以上) 250m

2450m

同  上(人口50万人未満) 150m2 450m2

札幌市条例(人口190万人) 250m2 400m2

名古屋市条例(人口224万人) 250m

2450m

神戸市条例(人口153万人)

百貨店等店舗

200m2

事務所

300m2 250m

2450m

事務所のみ

200m2

百貨店等店舗・事務所

200m2

150m2

200m2

また、非特定用途に供する部分についても基準を設けているが、住居系用途(共同住宅、長

屋、寄宿舎及び下宿)については、集客施設ではなく一般の自動車の駐車需要を生じさせるも

のではないことから、算定から除外している。同様の考え方による規定例としては、名古屋市、

川崎市、横浜市、堺市及び神戸市の各条例がある。 さらに、当該基準について特定用途の細分化を図るだけでなく、より地区特性に応じたきめ

細かい基準が設定できるよう地域ルールによる基準の弾力的運用を定めている。 具体的には、ただし書で「駐車場整備地区のうち駐車場整備計画が定められている区域にお

いて、市長が地区特性に応じた基準に基づき、必要な駐車施設の附置の確保が図られていると

認める場合」には本文の基準を適用せず、地区特性に対応している駐車施設の整備基準(地域ル

ール)による旨を定めている。 「標準駐車場条例」では、地域ルールへの対応に相当する規定として第 25 条、第 25 条の2、第 25条の3のそれぞれの第2項で、一定のエリアにおける緩和された基準及び第 25条第3項、第 25条の2第4項、第 25条の3第3項で市長が別の基準を定めて地区の適応除外を定めているが、前者では対応不十分であり、後者では白紙委任のような条項になっているので、関係条

項(第4条第1項及び第2項、第5条第 1 項、第6条並びに第 8 条から第 10 条まで)にただし書の規定を設けている。 なお、「標準駐車場条例」では、この規定(第 4条)に相当する第 25条のただし書で非特定 用途に供する建築物の適用除外を定めているが、規定の趣旨にかんがみ、第 11条で規定する。

3 建築物の新築の場合の荷さばきのための駐車施設の附置の規定(第5条) この規定は、駐車施設の附置台数の内数として荷さばきのための駐車施設の附置の台数を規

定し、路上等で行われている積卸し等を建築物又は建築物の敷地内で行うことにより、道路交

通の円滑化を図り、都市の機能の維持及び増進を図るものである。 内数としての位置付けから、駐車施設の附置の規定(第4条)とバランスのとれた規定とし

て定めている。 ただし書についての考え方については、2で述べたとおりである。

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駐車台数の原単位の設定例は次のとおりであり、独自の基準を定めている市では、いずれも

「標準駐車場条例」よりも緩和された基準となっている。

区分 百貨店等店舗 事務所 倉庫 その他特定用途

モデル条例 3,000m2

6,000m2

病院、卸売市場、

倉庫及び工場

3,000m2

---

標準駐車場条例(人口100万人以上) 2,500m

25,500m

22,000m

23,500m

同  上(人口50万人未満) 3,000m2 5,000m2 1,500m2 4,000m2

札幌市条例(人口190万人) 6,000m

28,000m

2 --- 7,000m2

横浜市条例(人口365万人) 3,000m2 8,000m2

倉庫及び工場

3,500m2 6,500m2

名古屋市条例(人口224万人) 5,000m

2 --- 2,500m2

10,000m2

4 建築物の新築の場合の自動二輪車専用駐車施設の附置の規定(第6条) この規定は、駐車場法の改正により、自動二輪車も自動車の概念に含まれ、附置義務の対象

となったが、自動二輪車が駐車できる駐車施設が極めて少ないことから、自動二輪車専用駐車

施設の附置の台数を規定し、路上等で行われている自動二輪車の駐車を建築物又は建築物の敷

地内で行うことにより、道路交通の円滑化を図り、都市の機能の維持及び増進を図るものであ

る。 駐車施設の附置の規定(第4条)を補完する制度となるので、これとバランスのとれた規定

として定める。 なお、自動二輪車専用駐車施設が附置義務の対象となってから間がなく、独自の実態分析が

困難なことから、「標準駐車場条例」が採用している原単位を用いて定めている。ちなみに、自

動二輪車の駐車施設について先行的に定めている市条例の規定を見ると、横浜市条例が百貨店

その他の店舗及び事務所以外の特定用途に供する部分の原単位を 10,000 ㎡として独自性を出しているが、川崎市条例や塩竈市条例では「標準駐車場条例」と同じ原単位を用いている。基

準設定に当たっては詳細な調査を行った上で、各自治体にふさわしい基準を定めることが必要

である。 ただし書についての考え方については、2で述べたとおりである。 5 大規模特例についての規定(第7条) 駐車場整備地区、商業地域及び近隣商業地域における大規模特例を定めているが、第4条で

業務系の特定用途に着目したことを考慮し「標準駐車場条例」で定める事務所だけでなく他の

業務用途(病院、卸売市場、倉庫及び工場)にも特例を拡大している。

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6 建築物の増築又は用途変更の場合の駐車施設等の附置の規定(第8条~第 10条) 建築物の増築又は用途変更の場合の駐車施設等の附置について、建築物の新築の場合とのバ

ランスを考慮しながら定めている。 「標準駐車場条例」は第 27条のみで規定しているが、適用関係が解釈に委ねられる要素の多い文言になっているため、駐車施設、荷さばきのための駐車施設及び自動二輪車専用駐車施設に

ついてそれぞれ明確に定めている。 7 駐車施設の附置の特例についての規定(第 13条)

隔地駐車場について「標準駐車場条例」では第 30条第1項で市長の認定を受けた隔地駐車場を附置義務駐車場とみなす旨を定めているが、隔地の程度、許容される台数に何ら制限がなく、

市長のフリーハンドに委ねる規定となっているため、一定の基準の設定が適切であると判断し、

第1項及び第3項で隔地の程度を建築物の敷地からおおむね 300 メートル以内の場所とし、許容される台数を2分の1以下で規則で定める台数と定めている。隔地の程度を 300 メートル以内としたのは、今回の実態調査として行った駐車場から目的地まで歩ける距離についてのアン

ケート調査の結果を考慮したことによる。 また、駐車施設を2以上の建築物のために一団として設置する場合に、これらの建築物の利

用上最低限必要な一定の駐車台数が確保できるときは、附置の特例を認める旨を第2項で定め、

さらに、荷さばきのための駐車施設について代替措置を講じた場合に当該代替措置の内容に応

じた附置の特例を認める旨を第4項で定めている。 なお、附置の特例により設置される隔地駐車場が小規模な駐車施設に分散することは好まし

くないことから、隔地駐車場としての規模要件等を規則で定めておく(例:500 平方メートル以上の路外駐車場で、法第 11 条の規定による構造及び設備の基準を満足する駐車場とする。)ことが望ましい。

8 駐車施設等の構造等についての規定(第 14条) 荷さばきのための駐車施設の構造について、「標準駐車場条例」で定めている後方での荷さば

きを想定した構造(幅3メートル以上、奥行き 7.7 メートル以上、はり下の高さ3メートル以上)のほか、側面での荷さばきを想定した構造(幅4メートル以上、奥行き6メートル以上、

はり下の高さ3メートル以上)についても基準を定めている。 第6項で市長は第1項から第4項のほかに技術的基準を定めることができる旨を定めており、

地域ルールに基づいて設置する駐車施設について独自の基準を定めることが可能になるように

している。 9 駐車施設等の設置、変更の届出(第 15条) 駐車施設の附置の遵守を促し、また、設置内容について指導助言できるように事前届出制度

を定めている。

10 規定内容の明確化等の規定の整備(全般)

解釈上の疑義が生じないよう規定内容の明確化や規定内容の補足を行うなど規定の表現を工

夫するとともに、規定順を整理し、わかりやすい体系となるように定めている。

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6 総合的な駐車場対策の展開方策

今回実施した実態調査から、ショッピングセンターなど店舗系用途の駐車場附置義務基準は

ピーク対応としては概ね適正であるが、鉄道駅周辺など公共交通の利便性の高い地区において

は、劇場などの興業系用途などは基準の低減が可能であることが判明した。

建物ごとに駐車場を整備させてきた駐車場対策をはじめ、これまでの都市計画制度は、標準

ルールを定め、そのルールの範囲内で個別に最適解を求めるというものであったが、実態調査

の結果は、個別(施設ごと)では最適であっても全体(地区)では必ずしも最適にはならない

ということを示している。

この駐車場整備計画ガイドプランで提案する「地域ルールによる駐車場附置義務基準の弾力

化」は、地域ルールの策定主体(市町の所管部局)、地区の関係者(附置義務駐車場の設置者、

商店会、住民団体等)、交通管理者(警察)、道路管理者等が協議会を設置し、合意形成して駐

車場整備計画を策定することを前提とするものである。これにより、商業施設等の駐車場は当

該施設の駐車場であると同時に地区全体で駐車・駐輪対策を実施する上での資源となる。

「地域ルール」の策定を通して駐車・駐輪に関する総合的な施策を推進することにより、自

動車や自転車などの私的交通を誘導し、子供やお年寄りを含めた住民や来街者が安心して歩け

る「歩きやすく人が集まる空間」を創出することが、人を呼び込むことのできる魅力あるショ

ッピングモールを中心市街地に現出させる第一歩ではないかと考える。

(1) 駐車場のマネジメントからはじめるまちづくり

ア タウンセンターマネジメント

郊外のショッピングセンターはオーナーによりマネジメントされているが、中心市街地にお

いて郊外のショッピングセンターと同様のマネジメントを行うためには、複数主体の合意形成

によるマネジメント(タウンセンターマネジメント)が不可欠となる。

タウンセンターマネジメントは、郊外のショッピングセンターが成功した要因を中心市街地

に取り入れようとする試みで、1980 年代初頭にイギリスにおいて取組みが始められた概念であ

る。

以下のような、郊外のショッピングセンターが持つ長所を中心市街地に取り入れていくため

には、民間事業者、商工会議所、コミュニティ団体、地方自治体等で構成するマネジメント組

織を設立し、課題を解決するための施策を推進していくことが求められる。

① 歩行者通路・車輌アクセス道路・駐車場等の一体的管理によるアクセスの良さ

② 歩行動線を考慮した店舗等の配置、プロモーションとマーケティングの実施

③ 消費者を誘引する特別なイベントや催しを開催するマネジメント組織の存在

④ 定期的な清掃とごみ収集による清潔な環境

イ マネジメント・インフラとしての共通サービスポイントカード

店舗、飲食店、事務所、医院など様々な規模・業態の施設が混在する中心市街地において、

駐車場等の一体的管理、プロモーション、清潔な環境の確保などの施策を全体で推進する際に

は、サービス水準や施策に必要な経費をどのように分担するかについて明確にする必要がある。

そのためには、まず、地区全体でマーケティングを行い、来街者の属性、来街時移動手段(駐

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車行動含む)、地区内での行動特性などを把握することが欠かせない。さらに、プロモーショ

ンや特別なイベントなどの施策効果を次の施策展開に活かしていくためには、常時計測型のマ

ーケティングを導入することが望ましい。

この常時計測型のマーケティングに有効と思われるものの一つが共通サービスポイントカ

ードである。店頭のレジ等においてポイントの付与を受け、それを駐車・駐輪料金の決済、公

共交通運賃の決済、換金等に使えるようになれば、マーケティングの省力化が可能となる。

ウ 自家用車による移動を減らすための施策

自家用車による移動を減らすためには、中心市街地と郊外の住宅地付近にある店舗等の双方

が維持、活性化されることにより、日用品については郊外の住宅地付近において徒歩や自転車

で買物ができる持続可能な商業環境が構築される必要がある。

持続可能な商業環境の中で、中心市街地は、その近隣居住者のニーズと広域の非日常的ニー

ズを満たす空間としての施策を展開すべきであり、駐車施策や交通施策に関して郊外の住宅地

付近にある店舗等との連携を図るべきである。

例えば、共通サービスポイントカードが使えることで、郊外の住宅地付近の店舗付帯の駐車

場に停めてバスで中心市街地に向かい、観劇やショッピングを楽しんだあと近隣店舗に戻り、

食料や日用品の買物をして帰宅するというような行動を可能にする仕組みが求められる。

このように、郊外施設も含めた既存施設の連携を進めるとともに、サービスポイントをより

環境負荷の小さい交通手段に厚く還元するための仕組みを創ることにより、郊外のショッピン

グセンターに対抗できるサービスをトータルで提供できる。そうすることで、バスなどの公共

交通の利用促進や中心市街地における自動車交通需要や駐車需要を低減できる。

(2) 社会実験による駐車施策及びマネジメントの具体化

前述のとおり、中心市街地において、駐車場等の一体的管理、プロモーション、清潔な環境の

確保などの施策を全体で推進する際には、サービス水準や施策に必要な経費をどのように分担す

るかについてのルールづくりが必要となる。

店舗、飲食店、事務所、医院など様々な規模・業態の施設が混在する中でこうしたルールづく

りを行うためには、地区全体での実態把握が欠かせない。実態把握の上で、駐車場整備の目標な

ど、地区としての駐車施策をはじめとする様々な活性化施策の実施スキームを検討することにな

る。

こうした取組みをいきなり実施に移していくことは、特に先導的に実施する場合には非常にハ

ードルの高いものとなることから、以下に示す社会実験を組み合わせて実施することにより施策

の具体化と組み合わせの最適化を図り、施策に参加する商業者や利用者の理解と参加意欲を高め

ていくことが必要である。

ア トランジットモールやモールの社会実験

特定の街路において、自動車や自転車などの私的交通を排除し、オープンカフェや仮設店舗

等を設けて実験を行う。

規模の大きな都市では、都市単位でカーフリーデー(自動車から解放される日)を実践する。

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イ 余裕のある駐車ロットの転用実験

余裕のある駐車ロットを、荷さばき駐車施設、自動二輪車や自転車等の駐車・駐輪施設に転

用する際の戦略を探るため、以下に示すような手順あるいはパターンで利用されやすい配置計

画についての実験を行う。(図6-1参照)

① 荷さばき駐車施設については、既存施設の共同利用を進めるとともに、利用しやすい平

面駐車場や駐車場の1階部分の一部を需要に応じて荷さばき駐車施設に転用する。

② その上で、各駐車施設(四輪)のロットの一部を転用し、自動二輪車や自転車等の駐車・

駐輪施設を設ける。

③ あるいは、駐車施設(四輪)の内、中心部に近く、自動二輪車や自転車等の駐車・駐輪

施設としての利用が見込めるものを選定し、施設単位で転用する。

ウ 駐車・駐輪行動を探る実験

駐車・駐輪施設の有効活用が可能となり、駐車・駐輪行動がうまく誘導できる各施設の料金

設定を探る。

料金設定を少しずつ変化させるとともに、満空情報を提供しながら、各駐車・駐輪施設の利

用台数をカウントする。

アの転用実験と併せて実施することで、駐車対策と駐輪対策を総合的に推進する際の施策を

探ることが可能となる。

エ 補助交通に関する実験

駐車需要に比べて駐車容量が不足している地区において郊外に駐車場を整備する場合、郊外

の再開発予定地が開発された際の駐車施策を探る場合、郊外の住宅地等にある店舗との連携方

策を探る場合で、駐車場から中心市街地までの距離が 500m を超えるような場合などに、中心

市街地の主要な施設をつなぐ補助交通(巡回バス)を導入した場合の効果とコスト探る。また、

実験中にアンケートを実施し利用者の反応を確認する。

オ 共通サービスに関する実験

買物等で得たポイントを、地区内のどの駐車施設でも使える共通駐車サービス、さらに、公

共交通や徒歩での来街者にも換金等で還元するサービスを実施し、施策と集客効果の関係を探

る。また、実験中にアンケートを実施し利用者の反応を確認する。

カ 共通サービスポイントカードに関する実験

共通サービスの提供とマーケティングを同時に行うためのインフラである共通サービスポ

イントカードの基本設計に向けた実験を行う。

オープンハウス等において、地区内での買物レシートをポイントに置き換え、上記エの共通

サービスのためのポイントとして利用できる仕組みを探る。

この仕組みが確立できると、来街者の各施設における行動と駐車需要の関連を把握すること

が可能となり、収集したデータを用いて地域ルールによる駐車容量を設定することができる。

(図6-2及び6-3参照)

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Page 68: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ ⑰

市条例 大店指針既存駐車容量

地域ルールによる駐車場必要台数(附置義務台数)

大店指針余剰となる駐車容量(③-④)

仮定の附置義務台数

建物附帯で確保する駐車容量

隔地で確保する駐車容量

四輪車用駐車施設の転用ロット数(⑧÷5)

余剰となる駐車容量(⑥-⑩)

既存駐車容量(仮定)

仮定の附置義務台数

新たに確保する駐車容量

隔地で確保する駐車容量

四輪車用駐車施設の転用ロット数(⑭÷10)

余剰となる駐車容量(⑪-⑯)

     

600 700 750 700 700 50 20 0 20 0 50 50 60 0 10 0 50

   

200 - 250 60 - 190 10 0 10 0 190 0 20 20 0 2 188

   

100 - 100 60 - 40 5 0 5 0 40 50 50 0 0 0 40

- - 50 0 - 50 - 40 - 8 42 - - 420 - 42 0

- - 20 10 - 10 5 - 5 0 10 - - - - 0 10

900 700 1,170 830 700 340 40 40 40 8 332 100 130 440 10 44 288合計

Ⅰ 施設附帯駐車場新たに発生する自動二輪車及び自転車等の附置義務については隔地駐車場に賃借

現状の施設形態

新たに発生する自転車等の附置義務に対して既存駐車施設の一部転用で対応、自動二輪車は隔地で

新たに発生する自動二輪車の附置義務については隔地駐車場に賃借

医院や小規模店舗等の月極専用駐車場で、現状は附置義務駐車場ではないが協議会に参加、便宜上附置義務に参加

Ⅴ 専用駐車場

総合的な駐車場対策の基本スキーム試算

現状(台)

北西地区における自動二輪車及び自転車等の駐車需要に対応するため、二輪専用の駐車施設に転用、隔地駐車場として賃貸も実施

Ⅱ 施設附帯駐車場

Ⅲ 施設附帯駐車場

Ⅳ 平面の一時貸し  駐車場

地域ルールにより合意した各施設の附置義務台数等

自動車(四輪車)

自動二輪車 自転車等

区 分

二輪車

自動車(四輪車)の駐車場対策以外への展開方針

既存施設の増床や新規立地に当たってのストック、または荷捌き駐車施設へ転用資源として活用する

駐車需要の観測結果をもとに、地区の駐車容量(デザインデイ)及び各施設の駐車場必要台数を決定

駅周辺の駐輪需要(違法駐輪)へ対応するため、平面の使い安い既存駐車場を転用する

駅周辺の自動二輪車の駐輪需要(違法駐車)へ対応するため、平面の使い安い既存駐車場を転用する

図6-1 総合的な駐車場対策の基本スキーム

(余裕のある駐車ロットの転用により、自動二輪車、自転車等の駐車スペースを確保)

63

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図6-2 新規の駐車需要に対する政策決定フロー

No

地区の容量を超えてしまう

Yes容量にまだ余裕あり

(Aの判断)

No

Yes

No

(Aの判断)

Yes

Yes

No

(Aの判断)

Yes

No

(地区の判定)

(地区の方針)

現状の駐車容量でやっていくか

地区の駐車容量S

地区の駐車需要D

現状の駐車容量に収まるかS>D+Da

算定された必要台数を設置するか

新規立地者A新規需要Da

・Aは自前でDaを整備・案内システム整備費をAから徴収

地区の駐車容量が増加S+Da

・Aは地区の空き容量を賃借

地区の駐車容量はそのままS

算定された必要台数を設置するか

・Aは自前でDaを整備・案内システム整備費をAから徴収

地区の駐車容量が増加S+Da

・Aは地区の不足分(D+Da-S)を自前で整備、残りは賃借・案内システム整備費や負担割合を検討

Aは地区の空き容量を賃借

・Aは地区の空き容量を賃借

地区の駐車容量はそのままS

・地区として公共交通の利用促進を充実

地区の駐車容量はそのままS

地区の駐車容量が増加D+Da

地区内の案内システム完備

地区の容量がこの中間数となる整備台数をAが選択できるものとする

地区の容量がこの中間数となる整備台数をAが選択できるものとする

Aが中間的な対応を選択できるものとする

※ 自動二輪車、自転車等の駐車スペースを確保する際の既存施設の駐車必要台数の見直しにも活用できる

64

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図6-3a 新規施設の必要駐車台数の算定手法(常時計測データによる算定手法)

ある日の各施設の常時観測 データの合計

駐車台数

駐車台数

駐車台数

駐車台数

観測時刻

観測時刻

観測時刻

観測時刻

365 番目

順位

順位

順位

順位

順位

建物用途が同種の波形を

床面積比で増幅して推定

各日のピーク時

各日のピーク時

各日のピーク時

各日のピーク

新規施設の 必要台数

Ⅲの必要台数

Ⅱの必要台数

Ⅰの必要台数

地区の容量

①地区の交通特性や平日休日の駐車需

要を考慮して、地区の駐車容量を決定す

る(パーフェクトには対応できない)

Ⅰの施設

Ⅱの施設

Ⅲの施設

新規施設

②設定した地区の容量を満た

す各施設の必要台数

65

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第1段階 1週間あるいは1ヶ月単位で定時計測を行い、長期計測の測定時刻を探る

第2段階 1年間定時計測したと仮定した場合のデータ集計

観測時刻

14 時 14 時

14 時

12 時

施設Ⅲ 施設Ⅱ 施設Ⅰ 合計 駐車台数

休日平均

観測時刻

16 時

16 時

16 時

14 時

施設Ⅲ 施設Ⅱ 施設Ⅰ 合計 駐車台数

平日平均

休日(約 120 日/365 日)駐車台数

順位

合計

休日 14 時の駐車台数 駐車台数

順位

施設Ⅰ

休日 14 時の駐車台数駐車台数

順位

施設Ⅱ

休日 12 時の駐車台数駐車台数

順位

施設Ⅲ

平日(約 245 日/365 日)駐車台数

順位

平日 16 時の駐車台数 駐車台数

順位

平日 16 時の駐車台数駐車台数

順位

平日 14 時の駐車台数駐車台数

順位

各施設において休日 14 時に観測したデータの合計

を、大きい方から並べる

各施設において平日 16 時に観測したデータの合計

を、大きい方から並べる

66

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第3段階 測定時刻が平日と休日とで異なるが、休日と平日のデータを合成し、新規施設の必要

台数 を算定

図6-3b 新規施設の必要駐車台数の算定手法(定時計測データによる算定手法)

365 番目

順位

順位

順位

順位

順位

建物用途が同種の波形を

床面積比で増幅して推定

各日のピーク時

駐車台数

新規施設の 必要台数

Ⅲの必要台数

Ⅱの必要台数

Ⅰの必要台数

地区の容量

①地区の交通特性や平日休日の駐車需要

を考慮して、地区の駐車容量を決定する

(パーフェクトには対応できない)

Ⅰの施設

Ⅱの施設

Ⅲの施設

新規施設

②設定した地区の容量を満たす

各施設の必要台数

67

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(3) モデル地区における施策提案

総合的な駐車対策の実施イメージを分かりやすく示すため、実態調査を行った3地区をモデルとして実

施が考えられる施策を提案した。なお、これは、あくまでも施策実施のイメージを示すために県が作成し

たものであり、実際に各地区でどのような駐車対策を進めていくかについては、各市及び各地区の関係者

が今後協議して定めるべきものである。

ア 阪急西宮北口駅周辺地区 【当該地区の課題】

図6-4 阪急西宮北口駅周辺地区の駐車対策に関する課題

図6-5 阪急西宮北口駅周辺地区における施策実施イメージ図

【阪急西宮北口駅周辺地区における提案施策】

○駐車場整備地区の指定

・駅周辺の概ね 300 メートルの商業施設等が集積するエリアを駐車場整備地区に指定することが考え

られる。

○地区ルールを検討する組織の立ち上げ

・行政、商業者や交通・運輸事業者、駐車場事業者など、まちづくりのプレーヤー間の連携によるま

ちづくりの対策を検討できる組織などが必要である。

○既存駐車場有効活用策

・新規附置義務駐車場の過度な整備を抑制するため、既存駐車場を共同利用することができる枠組み

が必要である。

・広域エリアから利用可能な駐車場の情報提供(満空状況など)が有効である。

・共通駐車券やICカード等を活用し、地区全体を共同駐車場として一元管理することが考えられる。

・既存駐車場の余剰分の転用により、荷さばき車両、自動二輪車及び自転車の駐車施設の確保が可能と

なる。

○自動車利用者以外の優遇制度(例:買い物ポイント制の導入等) ・ICカード等を活用し、買い物金額に応じた徒歩、公共交通利用者への料金還元制度などが考えら

れる。

○自転車駐輪対策

・駅北西部に自転車駐輪場を整備することが有効である。

○その他の駐車対策

・附置義務基準に自動二輪車、荷さばきを追加し、大規模建築物でのこれらに対応する駐車施設を確

保することが必要である。

・北西部の小規模店舗の駐車需要を束ねる形でのフリンジ駐車場の整備を検討する。

・地区南部の準工業地域に立地する大規模マンションの駐車場も視野に入れた取組みが求められる。

【アクションプログラムの計画例】

1.中心市街地活性化のための環境整備 ・歩行者空間の環境整備 ・新規開発地区周辺の交通混雑防止 2.駐車需要の変化への対応 ・新規開発に対する附置義務の緩和 3.既存駐車施設の有効活用 ・平日の利用促進 ・駅北西部の放置自転車対策への活用 4.多様化している駐車問題への対応 ・駅南口駅前広場自動二輪車放置対策 ・商業施設以外の附帯駐車場の有効活用 ・荷さばき駐車対策 5.総合的な対策推進のための体制整備等 ・地区内関係者等の協議体制の整備

駐車場整備地区

ショッピングセンター等

フリンジ駐車場の整備

荷さばき施設の確保

既存時間貸し駐車場の集約化

新規施設の附置義務駐車場の共同利用

ショッピングセンター

既存駐車場の自動二輪、自転車駐車

施設への転用

通勤・通学用駐輪場が少なく、電柱の間、看板の間などに放置二輪車が横行→歩行環境の悪化

貨物車の路上荷さばきが多い→まちなみ等の景観が悪化

自動二輪車の駐車が発生→歩行環境の悪化

鉄道により、4つの部分に分断→自動車による移動は不便

利用のピークとオフピークに差がある→有効活用が課題

休日は満車平日の占有率は30%→平日の有効活用が必要

駐車場約3,000台を有する大規模SCが2008に秋に開業予定→交通集中による混雑激化の恐れ

概ね10年後

駐車場整備地区の指定

駐車場整備地区の都市計画決定

地域ルールを検討する組織の立ち上げ

組織の立ち上げ

調査及び分析

駐車場整備計画に掲げる事項の検討

駐車場整備計画の策定

既存駐車場の有効活用方策

隔地制度等による駐車施設の相互利用

駐車場の情報の提供

地区における駐車場の一元管理

空き駐車スペースの荷さばきへの転用

空き駐車スペース自動二輪車及び自転車等の駐車施設への転用

自動車利用者以外の優遇制度

自転車駐輪対策

その他の駐車対策

自動二輪車、荷さばき車両用の駐車施設の附置義務

駐車場の集約及びフリンジ化

大規模マンションとの連携による駐車対策

定期的な見直し

68

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イ JR加古川駅周辺地区

【当該地区の課題】

図6-6 JR加古川駅周辺地区の駐車対策に関する課題

図6-7 JR加古川駅周辺地区における施策実施イメージ図

【JR加古川駅周辺地区における提案施策】

【アクションプログラムの計画例】

○駐車場整備地区の指定

・駅周辺の概ね 300 メートルの商業施設等が集積するエリアを駐車場整備地区に指定することが考え

られる。

○地区ルールを検討する組織の立ち上げ

・行政、商業者や交通・運輸事業者、駐車場事業者など、まちづくりのプレーヤー間の連携によるま

ちづくりの対策を検討できる組織を立ち上げることが必要である。

○既存駐車場有効活用策

・新規附置義務駐車場の過度な整備を抑制するため、既存駐車場を共同利用することができる枠組み

が必要である。

・広域エリアから利用可能な駐車場の情報提供(満空状況など)が有効である。

・共通駐車券やICカード等を活用し、地区全体を共同駐車場として一元管理することが考えられる。

・商業施設と駐車需要ピークが重ならない施設(美術館など)の誘致を行い、既存駐車場の有効利用

を図ることが考えられる。

○自動車利用者以外の優遇制度(例:買い物ポイント制の導入等) ・ICカード等を活用し、買い物金額に応じた徒歩、公共交通利用者への料金還元制度などが考えら

れる。

○その他の駐車対策

・南西部の小規模店舗の駐車需要を束ねる形でのフリンジ駐車場の整備が有効である。

1.中心市街地活性化のための環境整備 ・寺家町商店街の歩行者空間の環境整備 ・交差点渋滞の解消 2.駐車需要の変化への対応 ・新規開発に対する附置義務の緩和 3.既存駐車施設の有効活用 ・大規模一時預り駐車場の利用促進 ・商業施設の駐輪場を占拠している放置自転車等の対策に活用

4.多様化している駐車問題への対応 ・商店街において荷さばき車両の路上駐車が見られ、歩行環境改善の観点から、路上空間の利用等も含めた荷さばき駐車スペースの確保が必要

・自動二輪車駐車施設が不足 5.総合的な対策推進のための体制整備等 ・地区内関係者等の協議体制の整備

ショッピングセンター等

駐車場整備地区

ショッピングセンター デパート

市内回遊バス運行

荷さばき施設の確保

中心市街地と連携

フリンジ駐車場の整備

概ね10年後

駐車場整備地区の指定

駐車場整備地区の都市計画決定

地域ルールを検討する組織の立ち上げ

組織の立ち上げ

調査及び分析

駐車場整備計画に掲げる事項の検討

駐車場整備計画の策定

条例制定など

既存駐車場の有効活用方策

隔地制度等による駐車施設の相互利用

駐車場の情報の提供

地区における駐車場の一元管理

空き駐車スペースの荷さばきへの転用

空き駐車スペース自動二輪車及び自転車等の駐車施設への転用

自動車利用者以外の優遇制度

その他の駐車対策

駐車場の集約及びフリンジ化

コミュニティバス等の運行による地区内回遊性の向上

定期的な見直し

交差点における渋滞の発生

公共交通の空白地帯の存在

路上荷捌きが多い

交差点における渋滞の発生

JR加古川駅

通勤通学用のものと思われる放置自転車等が商業施設の駐輪場を占拠

一時預り駐車場の利用率は、ピークでも6割程度

市街地内回遊バス運行の廃止

交差点における渋滞の発生

公共交通の空白地帯の存在

路上荷捌きが多い

交差点における渋滞の発生

JR加古川駅

通勤通学用のものと思われる放置自転車等が商業施設の駐輪場を占拠

一時預り駐車場の利用率は、ピークでも6割程度

市街地内回遊バス運行の廃止

69

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ウ 阪急川西能勢口駅周辺地区

【当該地区の課題】

図6-8 阪急川西能勢口駅周辺地区の駐車対策に関する課題

図6-9a 阪急川西能勢口駅周辺地区における施策実施イメージ図(第1ステップ)

【阪急川西能勢口駅周辺地区における提案施策(第1ステップ)】

○駐車場整備地区の指定

・駅周辺の概ね 300 メートルの商業施設等が集積するエリアを駐車場整備地区に指定することが考えら

れる。

○地区ルールを検討する組織の立ち上げ

・行政、商業者や交通・運輸事業者、駐車場事業者など、まちづくりのプレーヤー間の連携によるまち

づくりの対策を検討できる組織を立ち上げることが必要である。

・原単位調査等を行い、開発事業に関する条例の改正や附置義務条例に向けた検討を行う。

○既存駐車場有効活用策

・新規附置義務駐車場の過度な整備を抑制するため、既存駐車場を共同利用できる枠組みが必要である。

・広域エリアから利用可能な駐車場の情報提供(満空状況など)が有効である。

・共通駐車券やICカード等を活用し、地区全体を共同駐車場として一元管理することが考えられる。

・既存駐車場の空きスペースの転用により、荷さばき車両、自動二輪車及び自転車の駐車施設の確保が

可能となる。

○自動車利用者以外の優遇制度(例:買い物ポイント制の導入等) ・ICカード等を活用し、買い物金額に応じた徒歩、公共交通利用者への料金還元制度などが考えられ

る。

1.中心市街地活性化のための環境整備 ・地区内歩行者空間の環境整備 ・休日の幹線道路交通渋滞(混雑駐車場の出入口を起点とする渋滞)の改善

2.駐車需要の変化への対応 ・新規開発に対する附置義務の緩和 3.既存駐車施設の有効活用 ・一部駐車場が混雑する一方で他の駐車 場に空きが目立っている

・駅周辺の買い物用駐輪施設不足への対応 4.多様化している駐車問題への対応 ・駅周辺路上において荷さばき車両の路上駐車が見られ、歩行環境改善の観点から路上空間の利用等も含めた荷さばき駐車スペースの確保が必要

・自動二輪車駐車施設が不足 5.総合的な対策推進のための体制整備等 ・地区内関係者等の協議体制の整備

駐車場整備地区

既存駐車場への 二輪車の受け入れ

駐車需要の分散・平準化

駐輪場の整備

荷さばき駐車施設への転用

買い物用駐輪施設への転用

駐輪場の整備

ショッピングセンター

川西能勢口駅

JR川西池田駅

通勤通学用の定期利用駐輪施設はほぼ満車。一時預り利用は空きが発生→買い物駐輪への対応

商業施設の駐輪施設では開店前に鉄道利用者に駐輪されている→買い物駐輪への対応

駐輪施設の有料化、但し2時間無料で、鉄道利用者を排除している→買い物駐輪への対応

商業施設の利用者の自転車等が商業施設の駐輪施設から歩道にはみ出し

駐車場間で利用率に差がある→駐車場の有効利用

買い物用とみられる自転車等の駐輪が横行→買い物駐輪への対応

川西能勢口駅

JR川西池田駅

通勤通学用の定期利用駐輪施設はほぼ満車。一時預り利用は空きが発生→買い物駐輪への対応

商業施設の駐輪施設では開店前に鉄道利用者に駐輪されている→買い物駐輪への対応

駐輪施設の有料化、但し2時間無料で、鉄道利用者を排除している→買い物駐輪への対応

商業施設の利用者の自転車等が商業施設の駐輪施設から歩道にはみ出し

駐車場間で利用率に差がある→駐車場の有効利用

買い物用とみられる自転車等の駐輪が横行→買い物駐輪への対応

70

Page 76: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

図6-9b 阪急川西能勢口駅周辺地区における施策実施イメージ図(第2ステップ)

【阪急川西能勢口駅周辺地区における提案施策(第2ステップ)】

【アクションプログラムの計画例】

○駐車場整備地区の指定

・中央北地区を駐車場整備地区として新たに指定することが考えられる。

○駐車場の整備、有効活用

・中央北地区における再開発区域内に駐車場を整備する際には、駅周辺との連携により駐車場の合理

的運用を模索する。

・既存地区で実施している、ITを活用した駐車場案内システムや共通駐車場サービス券に、中央北

地区の駐車場を加え、駐車場の共同利用など既存ストックの有効活用を模索する。

○補助交通の整備

・中央北地区と阪急川西能勢口駅周辺との連携及び周辺の病院や公園施設などへアクセスするための

補助交通を模索する。

再開発区域

二輪車の受け入れ

駐車需要の分散・平準化

駐輪場の整備

荷さばき駐車施設への転用

買い物用駐輪施設への転用

駐輪場の整備

駐車場整備地区

ショッピングセンター

駐車場整備地区

補 助

交 通 の 運 行

駐 車 需 要 の 共 有 化

駐車場の整備

概ね10年後

駐車場整備地区の指定

駐車場整備地区の都市計画決定

地域ルールを検討する組織の立ち上げ

組織の立ち上げ

調査及び分析

駐車場整備計画に掲げる事項の検討

駐車場整備計画の策定

条例制定など

既存駐車場の有効活用方策

隔地制度等による駐車施設の相互利用

駐車場の情報の提供

地区における駐車場の一元管理

空き駐車スペースの荷さばきへの転用

空き駐車スペース自動二輪車及び自転車等の駐車施設への転用

駐車場の整備、有効活用

中央北地区での駐車場の整備

補助交通による利便性と回遊性の確保

駅前地区と中央北地区の駐車場の相互利用・一元管理

自動車利用者以外の優遇制度

定期的な見直し

71

Page 77: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

おわりに

平成 19年7月に中心市街地駐車場対策検討委員会(委員長:土井勉神戸国際大学教授)を設置

し、阪急西宮北口駅周辺地区、JR加古川駅周辺地区、阪急川西能勢口駅周辺地区の3地区をモ

デル地区として、中心市街地における総合的な駐車場対策について検討を進めてきた。

モデル地区において駐車台数調査等を行った結果、駐車容量にかなり余裕があること、一方で

自動二輪車及び自転車等の路上駐車が深刻な問題であることがわかった。

こうした実態を踏まえ、これまでの施設毎の駐車場対策を見直し、地域ルールによる総合的な

駐車場対策により、「利害関係者の連携による中心市街地活性化のマネジメントを駐車場対策から

はじめていこう」というみちしるべとして「駐車場整備計画ガイドプラン」を策定した。

策定後、県としては、パンフレットの配布等を通じて、駐車場整備計画ガイドプランの目指す

方向性を県民や商業者等に PR していくとともに、関係市と県で構成する中心市街地駐車場対策

検討協議会等を通じて、駐車場附置義務基準の弾力的運用や中心市街地活性化に向けた基本施策

の具体化について、さらに検討を進めていきたいと考えている。

また、制度改正があった場合はもちろんのこと、この駐車場整備計画ガイドプランを参考に社

会実験や施策が実施された場合には、必要に応じて内容に磨きをかけていくことにより、時代の

変化に即応したより実践的なものにしていきたいと考えている。

今後、駐車場整備計画ガイドプランが県下の各市町において活用され、この中で提唱している

「環境と調和するまちづくり」、「安全・安心のまちづくり」、「魅力を高めるまちづくり」が推進

されれば幸いである。

中心市街地駐車場対策検討委員会の委員の先生方にはお忙しいにも関わらず委員会にご出席い

ただき熱心にご検討いただいた。伊藤潤子委員には消費者の見地から、西田純二委員には都市交

通のあり方や市街地再開発等の見地から、根本敏行委員にはマネジメントに関する見地から貴重

なご意見やアドバイスをいただいた。土井勉委員長にはいろいろな見地からのご意見をうまく取

りまとめていただき「施設単位から地域で考える駐車場対策を目指して」という駐車場整備計画

ガイドプランのコンセプトができあがった。また、モデル地区として委員会に参加いただくとと

もに事務局の作業を支えていただいた西宮市、加古川市、川西市のご担当、さらに、アンケート

調査にご協力いた住民の皆様、実態調査、ヒアリング調査にご協力いただいた方々に、あわせて

お礼申し上げる次第である。

Page 78: 駐車場整備計画ガイドプラン · 駐車場整備計画ガイドプラン ~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~ 平成20年3月 兵庫県

駐 車 場 整 備 計 画 ガ イ ド プ ラ ン

~地域で考える総合的な駐車場対策を目指して~

平成 20 年3月 発行

発行:兵庫県

連絡先:兵庫県 県土整備部 まちづくり局 都市計画課

〒650-8567 兵庫県神戸市中央区下山手通5丁目 10 番1号

TEL 078-341-7711(代表)