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九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 若者言葉にみられる言語変化に関する研究 堀尾, 佳以 https://doi.org/10.15017/1500450 出版情報:九州大学, 2014, 博士(芸術工学), 論文博士 バージョン: 権利関係:全文ファイル公表済

若者言葉にみられる言語変化に関する研究 · 目次 序章 0.1 研究に至った経緯 1 0.2 学問的意義 1 0.2.1 自然談話における「新しい語彙」「新しい活用」

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九州大学学術情報リポジトリKyushu University Institutional Repository

若者言葉にみられる言語変化に関する研究

堀尾, 佳以

https://doi.org/10.15017/1500450

出版情報:九州大学, 2014, 博士(芸術工学), 論文博士バージョン:権利関係:全文ファイル公表済

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若者言葉にみられる言語変化に関する研究

The study on language variations and changes

in Japanese new words and phrases Wakamono

堀尾 佳以

Kei Horio

2015 年 3 月

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目次

序章 0.1 研究に至った経緯 1

0.2 学問的意義 1

0.2.1 自然談話における「新しい語彙」「新しい活用」 2

0.2.2 言語変化の比較 2

0.2.3 共時的視点 2

0.2.4 通時的視点 2

0.3 資料 2

0.4 章立ての構成 4

第1章 目的と方法 1.1 目的とその具体的内容 5

1.1.1 変化を捉える 5

1.1.2 自然談話の文字化 5

1.1.3 文法化とその過程 6

1.2 方法論 6

1.2.1 言語学的特徴 6

1.2.2 共時的分析と通時的分析—文法化の可能性 7

第2章 言語変化と若者言葉の定義 2.1 言語変化とは 9

2.2 若者言葉とは 11

第3章 現代日本語に見られる言語変化に関する先行研究 3.1 言語変化に関する先行研究 15

3.1.1 活用変化に関する先行研究 15

3.1.1.1 動詞 15

3.1.1.2 接辞「-さ」 16

3.1.1.3 動詞化接辞「—る」、名詞化接辞「—さ」の定義 18

3.1.1.3.1 動詞化接尾辞「-る」の定義 18

3.1.1.3.2 名詞化接辞「-さ」の定義 18

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3.1.2 新しい語彙に関する先行研究 19

3.1.3 先行研究の問題点 22

3.2 本研究の位置づけ 22

3.2.1 本研究における言語学的観点との関わり 23

第4章 1990 年代後半から 2000 年代の若者言葉の語彙変化 4.1 動詞 24

4.1.1 新しい語彙 24

4.1.1.1形態的特徴 24

4.1.1.2 統語的特徴 25

4.1.1.3 意味的特徴 26

4.1.2 活用の変化 29

4.2 形容詞 31

4.2.1 形容詞とは 32

4.2.1.1 「形容詞」の定義 32

4.2.1.2 「い形容詞」と「な形容詞」 32

4.2.1.2.1 「い形容詞」と「な形容詞」の違い 33

4.2.1.2.2 「い形容詞」と「な形容詞」の曖昧な部分 34

4.2.2 「新しい形容詞」の語彙 34

4.2.2.1 「新しい形容詞」の仮定義 34

4.2.2.2 形態的特徴 35

4.2.2.3 意味的特徴 36

4.2.3 「い形容詞」と「な形容詞」の派生形式 39

4.2.3.1 「~過ぎる」 39

4.2.3.2 「~げ」 40

4.2.3.3 「~くさい」 40

4.2.3.4 「い形容詞」と「な形容詞」の派生形式のまとめ 41

4.2.4 活用の変化 42

4.2.4.1「い形容詞」「な形容詞」活用 従来と新しいものの比較 42

4.2.4.2 「新しい形容詞」の活用 43

4.2.5 「○○ない」の変化 43

4.2.5.1「○○ない」の従来の意味 44

4.2.5.2 「○○ない」の「新しい用法」 44

4.2.5.3 「すごい」の新用法 46

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4.2.6 「新しい形容詞」の特徴 47

4.3 程度の副詞 49

4.3.1 「程度の副詞」の新しい語彙 49

4.3.1.1形態的特徴 49

4.3.1.2 意味的特徴 51

4.3.2 接尾辞「に」による副詞化 53

4.3.3 「程度」の類型 54

4.3.4 「程度の副詞」の特徴 56

4.4 名詞 57

4.4.1 接辞「〜さ」による新しい語彙 57

4.4.1.1 名詞化とは 57

4.4.1.2 名詞化する種類と方法 58

4.4.1.3 従来の名詞化接尾辞「-さ」 58

4.4.1.4 名詞化接尾辞「-さ」に見られる変化 58

4.4.2 接尾辞「-さ」の言語学的特徴 59

4.4.2.1 形態的特徴 59

4.4.2.2 統語的特徴 59

4.4.2.3 意味的特徴 65

4.4.3 名詞化接辞「〜さ」まとめ 65

4.5 新しい表現 67

4.5.1 ぼかし言葉 67

4.5.1.1 「ぼかし言葉」とは何か 67

4.5.1.2 「ぼかし言葉」の言語学的アプローチ 68

4.5.1.3 「ぼかし言葉」の分析 68

4.5.1.5 ぼかし言葉の特徴 81

4.6 若者言葉の「変化」まとめ 83

第5章 若者言葉の発展性 —「文法化」の可能性の観点から— 5.1 文法化とは 84

5.1.1 「文法化」分析のための基準 85

5.1.2 「再分析」と「類推」 86

5.1.2.1 「再分析」と「類推」の定義 87

5.1.2.2 「再分析」と「類推」の共通点・相違点 88

5.1.2.3 「再分析」および「類推」を「文法化」として扱う理由 90

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5.1.3 文法化のプロセス 90

5.1.4 本研究の立場と指針 91

5.1.5 「文法化」に関する先行研究 92

5.2 若者言葉にあるとされる「文法化」 93

5.2.1 文法化 (再分析+類推) 94

5.2.1.1. 接辞「—っぽい」 94

5.2.1.2. —くさい 97

5.2.1.3 〜ていうか/っていうか/ってゆうか 100

5.2.1.4 な形容詞化接辞 「—げ」 103

5.2.1.5 若者言葉に見られる「文法化」現象と未完了の事例 106

5.2.2 類推 107

5.2.2.1 「-的」の類推 108

5.2.2.2. 名詞化接辞「—さ」 115

5.3 今後の課題 120

終章 6.1 結論 121

6.1.1 「若者言葉」に見られる変化のまとめ 121

6.1.1.1 動詞化接辞「—る」 121

6.1.1.2 新しい形容詞 121

6.1.1.3 程度の副詞 122

6.1.1.4 名詞化接辞「-さ」 124

6.1.1.5 ぼかし言葉 125

6.1.2 文法化 126

6.1.2.1 若者言葉の文法化プロセス 126

6.1.2.2 類推 128

6.2 “variation” か ”change” か 129

6.3 本論文の独創性および学問的意義 130

6.3.1 新しい視点 130

6.3.2 方法論 130

6.3.3 分析法 130

6.3.4 見解 130

6.3.5 知見 131

6.4 今後の課題 131

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6.5 今後の若者言葉の可能性 131

6.6 おわりに 132

謝辞 133

資料 134

付録 167

参考文献 212

参考サイト 218

論文内使用 URL 出順一覧 220

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序章

生きている言語は常に変化し続けている。現代日本語ももちろん、「生きている言語」で

あるため「変化」を続けていると考えられる。この「変化」とは何であろうか。これまで

現代日本語の「若者言葉」に見られる現象については、語彙など部分的な研究はあっても、

「言語変化」としての研究はされて来なかった。

本論文では 1990年代後半から 2000年代1の「若者言葉」について、従来のルールでは説

明がつかない斬新な用例を取り上げ、言語学的に分析する。本論文は社会言語学的視点を

中心に、現代日本語における語彙・意味・文法・用法の「変化」について、考察を行う。

ここでいう「変化」には、世代によるギャップだけでなく、その世代が年を重ねていく

上で残るものと一過性のものがあると考えられるため、この点も考慮しながら研究をすす

める。

0.1 研究に至った経緯

日常生活で出会う「新しい言葉」「新しい意味」に新鮮味を感じ、その言語体系を知りた

いと考えたのが、この研究を始めたきっかけである。これまでも卒業論文では「る言葉」

を、修士論文では「ぼかし言葉」を取り上げ、「若者言葉」について研究を続けてきた。様々

な新しい用法や語彙を収集し、分析を進めていくうちに、それらの言葉遊び・隠語として

の機能のほかに、ある一定のルールが存在することが分かった。その「世代に関わらず使

用されているルールの根底にあるのは何か」を解明したいと考えたのが本研究に至った理

由の一つである。

また「若者言葉」は、これまで一般書籍等で取り上げられることはあったが、言語学的

にはあまり研究されてこなかった分野である。そこで、今後の言語変化研究のためにも、

現在の移行の状況を書き留めておくことで、今後の変化を見る際に、共時的かつ通時的に

変化の過程を見ることができると考えたのも、もう一つの理由である。

0.2 学問的意義

本論文で分析対象とする「現代日本語に見られる変化」は、これまでほとんど研究され

てこなかった分野であり、フロンティア的研究となる。もちろん、先行研究はあるが、作

例や出自が不明なものや、ドラマなどの自然ではない言語行動が対象となりやすく、自然

談話を言語学的に分析したものは少ない。そこで、本論文の独自性を以下に示す。

1 1996 年以降、2007 年頃までをさす。厳密な出自年度は定かでないためである。

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0.2.1 自然談話における「新しい語彙」「新しい活用」

自然談話録音資料や文字化資料を使用することで、1990年代後半から 2000年代の「日本

語」を記録して分析を行う。そのため「新しい語彙」「新しい用法」の特徴を捉え、体系を

明らかにすることができる。文字化された資料の情報だけでは分からなかった変化、特に、

既存語彙の意味変化について、語用論の視点からも分析することで、変化を明らかにする

ことができる。

0.2.2 言語変化の比較

「新しい語彙」や「新しい活用」の収集・分析によって、現在の日本語について記録し、

過去の日本語との比較、および未来の日本語の予測ができる。日本語の言語変化について

研究する際、比較することができる資料となりうる。

0.2.3 共時的視点

現代日本語の、現時点において使用が認められる言語変化と考えられるものについて、

共時的に分析を行う。若者言葉を中心とするため変化が継続するもの、消滅するものなど

が考えられるが、本論文では主に新しい活用や語彙について 1990 年代後半から 2000 年代

まで2の資料を基に、現時点で起こっている変化を捉える。

0.2.4 通時的視点

本論文で取り上げるものは、主に 1990 年代後半から 2000 年代にかけて起こった「新し

い変化」であるが、通時的に分析できるものは以前の日本語とも比較する。そうすること

で、従来のルールから外れているとされるものについて「いつ頃から」・「なぜ」・「どのよ

うに」外れたのかその原因を探り、変化の過程を示せると考える。

もちろん、15年程度で「通時的」と言えるかという問題は出てくるだろう。しかし、従

来は「通時的」分析とされる「文法化」の傾向が見られるものも実際に存在していた。そ

こで、何年間といった時間的な幅に捉われること無く、変遷の過程を示したい。

0.3 資料

本論文では、実際に使用されている現代日本語を分析対象とするため、言語学的分析を

行うにあたって、自然談話録音資料・文字化資料・記述資料3を収集した。

2 「共時的」ではあるが、言語の変化について観察する際、1年単位では難しいため、10 年程の期間をとる。 3 新聞記事、インターネット記事をさす。

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動詞化接辞「—る」:1999年、2006年の 2回にわたる調査により、483語を収集。

現代用語の基礎知識および文献資料、テレビなどから集め、分析した。

新しい形容詞:2001年・2004年に収集した若者の会話録音資料

テレビ番組の中でも「自然談話」であると考えられるバラエティ番組、視聴者参加型番組

で使用されているものも対象とする。これは、出演者が使う言葉はシナリオによって書か

れたものではなく、自然に発話している、と考えられるからである。この理由により、前

もって決められた台詞を使用しているドラマは、分析の対象外とする。

程度の副詞:2007年 9月、同志社女子大学の女子大生 132名を対象に記述式アンケート

を実施。「程度を表す副詞」56語を収集

名詞化接辞「−さ」:全国の新聞を網羅した検索エンジン「検索デスク4」を主に利用。

1739 件中、従来の用法に合致しない 415 の使用例を収集し分析した。

ぼかし言葉:九州大学大学院生、東京女子大学大学生、大学卒業後の20代社会人(東京・

京都・滋賀・福井・大阪)の、合計 20名による自然談話録音資料をそれぞれ収集、文字化

したものを使用した。「ぼかし言葉」は「若者言葉」と関連があり、若者の間で活発に使用

されている、ということから、21 歳~26 歳の年代に絞り、自然な会話を MD に録音し、文

字化するという方法を取った。

その他、抽出語彙の例文引用については、インターネット上の新聞・雑誌内の検索がで

きる「検索デスク」5や「グーグル検索」6を参考に行う。

新しい語彙や用法と考えられるものは、従来のいわゆる国語教育で指導される文法等と

異なると思われる表現である。それらが実生活の中でどのように使用されているのか、出

来るだけ自然談話から集めるよう努めた。ただし限界があり、特に会話の場面や使用者に

よっては収集しようとした新しい表現や用法、使用される語彙が出て来ないことも多かっ

た。そこで、メディアから収集できる語彙も分析対象とした。新聞や雑誌などで使用され

ている語彙にも変化が認められるため、新聞や雑誌から文単位の引用により収集した資料

も分析対象とする。ただし、先行研究で紹介された語彙、つまり作例や出自の明らかでな

いものに関しては参考程度にとどめる。

4 http://www.searchdesk.com/news.htm 5 http://www.searchdesk.com/news.htm 6 http://news.google.co.jp/nwshp?hl=ja&ned=jp

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0.4 章立ての構成

本論文は以下の6章からなるが、その概略を述べておく。

第 1 章で本論文の目的と方法について述べ、第2章で「言語変化」と「若者言葉」を定

義する。

第3章では、現代日本語に見られる「言語変化」及び「若者言葉」に関する先行研究を

まとめ、問題点を指摘するとともに、社会言語学・認知言語学・言語類型論のそれぞれの

視点から本論文の位置づけを述べる。

第4章では、「語彙変化」を中心に、品詞ごとの形態的・統語的・意味的特徴を示す。本

論文では、動詞・形容詞・副詞・名詞・新しい表現を取り上げる。

第5章では、「文法化とその過程」と題し、現代日本語に見られる文法化と、文法化の過

程について考察する。

終章では、論文の独自性、新発見、新視点なども確認しながら、結論をのべる。また今

後の課題についても述べる。

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第1章

目的と方法

1.1 目的とその具体的内容

本論文の目的は、以下の2点である。

①自然談話(話し言葉)を録音・文字化して残すことで、これまで気付かれず、研究対象

とならなかった語彙や用法を抽出する。

②分析にあたっては、2010年頃までに確認できた若者言葉の「変化7」を捉え、記録し、そ

の法則性を明らかにする。

「新しい語彙」や「新しい活用」だけでなく従来の表現であっても、その意味や使用に変

化が見られるものについて、その特徴を明らかにする。

1.1.1 変化を捉える

現段階で確認できる「変化」を捉え、その法則性を記録する。

新しい語彙は数多く生まれている。ただし、それらの語彙は無秩序に造られるのではな

く、従来のルールによるものと、新たなルールに則ったものの、大きく2つに分けられる。

本論文では、現代日本語の中でも特に若者言葉を中心に、その語彙変化を見ていくが、

品詞ごとに、それぞれの形態的・統語的・意味的特徴をまとめる。どのような「変化」が

起こっているかを明らかにする。また、新たなルールが存在するか否かの検討も含め、新

しく造られた語彙や活用に見られる変化についても分析を行う。

1.1.2 自然談話の文字化

自然談話(話し言葉)を文字化して残すことで、これまで気付かれず、研究対象となら

なかった語彙や用法についても分析する。

これまでの談話録音資料は、国立国語研究所のまとめたコーパス8以外には殆どない。し

かも、その内容は自由対話とは言え、その収集方法は初対面の人が会話をするものであっ

た。これでは使用語彙が限られてしまう可能性もあるため、「自然談話」であっても「若者

言葉」を収集するための資料としては適切ではない。

7 ここでいう「変化」とは、従来のルールとは異なる形態や語彙や活用だけでなく、新たに造られた語彙も

含め、これまでの日本語には無かったとされるものをさす。 8 http://www.ninjal.ac.jp/products-k/katsudo/seika/corpus/public/index_j.html

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そこで本論文の自然談話録音資料9は、「若者言葉」が出やすいと考えられる 20代の友人

同士の会話に限った。また二人だけの会話ではなく、グループ会話も採用した。このよう

にして収集した自然談話を文字化すると、コンテクストを示すことができる為、語彙だけ

の変化にとどまらず、語用論的特徴も捉えることが出来る。

また、現在の資料を残すことで、通時的研究の際にも資料として役立つと考える。

1.1.3 文法化10とその過程

本研究では「文法化」についても言及する。ここで言う「文法化」とは、内容語から機

能語へといったオーソドックスな機能変化だけでなく、機能語から他の機能語へと変化し

たものも、大きく「文法化」と捉える。

これまでの若者言葉に関する研究においては、その特異な語彙の形態や意味に焦点をあ

てたものはあったものの、「若者言葉」における規則性や文法については、殆ど研究されて

こなかった。そこで本研究では「文法化」についても取り上げることとした。

なぜ本研究で「文法化」について言及するかというと、「若者言葉」にルールや規則があ

る、ということを証明した上で、それらが実際にどの程度「文法化」し、実用化されてい

るのか、その変化の過程について 10 年から 15 年といった短いスパンではあるものの、追

跡することができるからである。

1.2 方法論

ここでは、分析を進める方法論について述べる。

本論文は現代日本語における言語変化を見るため、

① 言語学的特徴

② 共時的分析と通時的分析—文法化の可能性

以上2点を中心に分析を行う。

1.2.1 言語学的特徴

言語学的特徴について、それぞれ項目ごとに見ていく。

音声・音韻・アクセントの特徴

音声・音韻・アクセントの特徴について、実例を挙げながらまとめる。

従来の表現と、新しい語彙・表現と考えられるものが同じ表記であった場合、音声・音

韻・アクセントにおいてどのような違いが見られるのか、検討する。

9 0.3 資料に概要を掲載。また、品詞ごとの節でより詳しい情報を記す。 10 文法化の先行研究や定義については第5章で詳しく述べる。

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形態的特徴

新しい語彙・活用と考えられるもの自体の構造がどうなっているのかを調べる。特に、

それぞれの新しい語彙・活用の形態に見られる特徴について分析を行う。

統語的特徴

新しい語彙・活用と考えられるものの、前後に来る語彙・品詞についてどのような特徴が

あるのかを調べる。何らかの特徴が存在しているはずであり、それらの傾向をまとめ、解

明する。

意味的特徴

従来のものと形態が同じであっても、異なった意味を持たせた使用が見られる語彙があ

る。そこで、それらの語彙の意味的特徴における変化について探る。

語用論的特徴

新しい語彙・活用・意味を、コンテクストとの関わりから分析する。コンテクストによ

って働きが異なる場合、その使用法や意味に差があるのかどうか、といったことにも注目

する。

以上のように、それぞれの言語学的特徴をとらえる。

1.2.2 共時的分析と通時的分析—文法化の可能性

本研究では、1990 年代後半から 2000 年代の「若者言葉」について分析を進める。つま

り、その時期に使用されていた、その当時においては「新しい」語彙や用法を「共時」と

して取り扱う。一方で、15 年程度という短いスパンではあるものの、「新しい」用法が定

着してゆく過程を捉えることを目的として「通時的」観点から分析を試みる。新しい用法

がどのように文法的な変化を経て、内容語や機能語からその他の機能語へと変化していく

のか。いわゆる「文法化」が起こっているのか否か、先行研究で「文法化」したとされる

ものの中でも若者言葉である「っぽい」や「っていうか」などの表現について検証を行う。

ここで、「通時的」について補足する。本来の言語変化研究においては「通時」とは 50

年、100 年といった長い期間を対象とするものが多い。ただし、本研究で対象とした言語

表現は短い期間(つまり、共時的)であっても変化が起こり、文法化しつつある。その意

味で「通時的」な分析と位置づけ、その特徴を示す。

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これは、今までの「通時的研究」とは異なるものであるが、短い期間でも変化が捉えら

れる、ということを示す。これは今までにない視点で、今までにない題材を取り扱い、短

い期間であっても「通時」として捉えようとしている点において、新たな挑戦でもある。

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第2章

言語変化と若者言葉の定義

「若者言葉」の変化を探る前に、そもそも「言語変化」とは、どのようなものなのか。

そして「若者言葉」とは、どういった現象の表出をさすのだろうか。分析する前にまず、

先行研究から言語変化と若者言葉についてその特徴や働きをまとめ、定義し、言語学的分

析の際の指針とする。

2.1 言語変化とは

言語学において、「言語変化」とは何をさすのだろうか。本論文では新しい活用・語彙を

対象とするため、新しい現象に関する先行研究についてまとめる。

まず、湯浅(2005)は、言語変化について次のように論じている。

湯浅 英男 (2005:7-21)

言語研究において、言語が変化するということは自明のこととして捉えられて

いる。また同時にそれぞれの言語が備える文法カテゴリーもそうした言語変化を

通して豊かになったり、時には衰退あるいは合理化の方向に向かう。

1300 年代の変化は進化的変化、つまりそれを引き起こした言語体系の観点から

完全に説明可能な変化であった。そしてより最近の変化は、適合的変化、つまり

当該の言語体系の外側に位置する要因に言及せずには説明できないような変化

なのである。

前述の適合化規則がいわば伝統的な規範への適合を目指したのに対し、ここで

の適合的変化は近隣の方言への適合を目指す。

若い世代による革新的な言語変化が起こったとしても、適合化規則の適用に

よって年輩の世代とのコミュニケーションが阻害されず、変化自体も急激なもの

とはならないという主張を行なった。ただそうした適合化規則に基づく変化――

つまり「適合的変化」-は、Andersen に従うならば言語体系とは直接関わらず、

言語体系に関わる「進化的変化」とは根本的に異なる。

ただ言語変化には、音韻も含めた言語形式の実体的な変化の他に、構文なども

含めた同一言語形式への解釈的つまりは再分析的な変化(ある意味では文法形式

に対する認知的変化と言ってもよい)という新たな次元の類型を付け加えること

が可能であろう。

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次に、村上(1972:71-92)は、言語変化の中でも特に、その変異要素について社会変化で

あると述べている。また、「言語は社会的制度であるから、言語変化を説明する為に依る所

の唯一の変異要素は社会変化であり、言語差異はその結果に他ならない―それは時には直

接的であり、よりしばしば間接的である」と基本的な考えを示している。

言語変化と社会の関係については現在では二つの大きな流れがある。一方は、

純粋に言語構造それ自体に autonomy と規則性を見いだし、そこから言語の普遍

性に迫ろうとする行き方であり、他は、現実の言語に内在する多様性から、人間

の言語使用の事実へと進み言語の実体を知ろうとする行き方である。

言語行動の変動即ち言語変化における言語構造の変化のメカニズム、又はその

変化過程と類似する点があることに気づく。

また、井上(2000:180-183)は、「乱れ」と言われる現象が出る原因を「単純化や明晰化」

であると断言している。

最近の日本語の多様な言語変化を考察してみると、様々な相互影響関係が見え

てくる。

いつの世にも若い者の風俗やことばは非難されるが、実は「乱れ」とされる

現象の多くは古くから連綿として続いていた言語変化である。長期間変化しつづ

けるからには、理由がある。「乱れ」と言われる現象が出る原因を考えると、たい

てい見つかる。単純化(簡略化・省エネ)や明晰化である。つまり言語構造自体

に変化理由がある。(略)いずれにしろ、現代の日本語は変化を重ねている。変化

には言語構造に基づく理由と言語外の社会的要因による理由があり、変化の源を

たどると百年近く、また数百年におよぶ前史を持つ。しかも地方からの流入もあ

る。またある現象が起こるとその影響で別の現象が引き起こされることも或る。

バリエーションと変化や、バリエーションが生じる環境などについては、Chambers ほか

(2002:213,236,267)でも述べられている。

Change presupposes a period of variation although variation need not

produce change.

Variation occurs in environments where the constraints are unable to

distinguish between candidates that are almost equally good in terms of

markedness and faithfulness.

The goal of work on language variation within sociolinguistics has mainly

been concerned with the understanding of how language operates in society.

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以上のように、先行研究では「言語変化」そのものの定義は特にされていない。

湯浅(2005)によると、言語変化は進化的変化と適合的変化に大別されている。若者言葉に

限って言えば、「革新的変化」と感じるものも、実は内在している文法規範から大きく逸脱

はしておらず、適合的変化であると考えられる。

本論文は村上(1972)の言う「現実の言語に内在する多様性から、人間の言語使用の事実へ

と進み言語の実体を知ろうとする行き方」を対象として分析を進める。

variation は「派生しうるもの」、change は「変わっていくもの」なのだろうか。そして、

本論文で対象とする現象は、規則性を持って造られた造語による語彙拡大であるが、これ

は変化ではなく多様化なのであろうか。つまり、change ではなく variation なのだろうか。

この疑問については、分析を進めた上で最終的に結論を出す11こととする。

「言語変化」については文字通りの意味で使用され、改まって定義している先行研究は

ほとんどない。そこで、本論文では「言語変化」を以下のようにまとめる。

「言語変化」とは

誤用から生まれたもの、従来の語彙の活用・形態・意味に変化があるもの、特に、本研究では

「若者言葉」を分析対象としており、従来のいわゆる文法に合致しないものや「非文」となって

いたはずのものの変化も「言語変化」の一つとする。言語接触による新造語なども含め、同一

言語の中で時間をかけて変化していくもの、または同時代に見られる変化、全てをまとめた

ものをいう。

本論文で分析対象としている若者言葉は、社会言語学の範疇にあるため、主に共時的な

言語変化を扱うが、通時的視点として「文法化」現象の分析も行う。

2.2 若者言葉とは

近年、日本語に対する関心が高まるとともに、若者言葉についても様々な研究がなされ

てきた。ここでは、本研究で対象としている「若者言葉」について、先行研究ではどのよ

うに定義されているのかを挙げ、本研究での定義を行う。

まず、「若者文化術語集」で中野(1987:6) は、若者の用法について

若者文化圏では、すべてが規範的<用法>である。伝統的・規範的言語習慣に

窮屈さを感ずるのは、いつの時代も前衛的な表現者か、若者である。彼らは、

11 6.2 で詳しく述べる。

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不断に、逸脱と新しい用法を試みている。そのうちのいくつかが、部分文化の中

で規範として認められ、さらに、そのいくつかが全体文化の中で規範となる。時

には無意識で、時には意識的に使われる新語と新しい用法には、若者の感性・心

情がより多量に含まれているということである。したがって、そのことばたち

から若者の感性と心情の現在を、読みとることが可能になる。

としている。

次に、「現代若者コトバ辞典」では、猪野ほか(1988:はじめに)が

流行そのものは若者たちの選択で決まるといってよい。新しいコトバを自分

たちの感性で大胆に創り出していくのも若者たちだ。その旺盛で鮮烈な表現力は

とどまるところを知らない。

と記している。

また、加藤 (1999:68-69)は「日本語七変化」において「新しいコトバ」について

「古いコトバは悪い」、「新しいコトバは良い」という風潮が一般的になったの

です。(中略)若者にとって『古いコトバを使う人』は『旧製品』のように、価値

の低い人のように見えます。(中略)新しいモノが出ると、新しいコトバが生まれ

ます。

と述べた。

それまでの「若者言葉」とは違った視点から分析したのが米川(1999)の「おもしろい現

代語語彙」である。その 41 ページに、

おもしろい現代語語彙の代表と言えば若者語である。なぜなら、若者語は会話

の「ノリ」を第一にしたことばの娯楽だからである。 (中略)若者語は仲間内の

会話に使用するために、その時その場を楽しく過ごそうとするために、おもしろ

くなければ会話ではないと考えているところから生まれた。すなわち、会話の「ノ

リ」を求めて生まれたことばである。そこで、やたらと語を省略したり、新しい

語形をつくり出したり、また本来の意味・用法を変えたりしてみせる。

と、若者語(=若者言葉)が作られる理由についても言及した。

同様に、若者が話す「若者ことばとどう向き合うか」について、藤原 (2000:21-22) は

若者は「若者ことば」を使うことにより会話を楽しんでいます。また、「若者こ

とば」は若者同士の連帯意識を強める働きを持っています。

(中略)若者は暗号に近いことばを発して、相手とコミュニケーションを図り

それ自体を楽しむという状況があります。

と指摘し、若者が「若者ことば」を使う理由について考察した。

他にも、今川(2000:5-9)は「若者言葉は未来の鑑!? 」で

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若者言葉は移ろいやすく、特に語尾は変化しやすいと考えられる。

若者文化の根元を察するに、やはりテレビや雑誌などのメディアの力が大きく

働いていると思われる。(中略)多感な 10 代をはじめとする「若者」たちは、

敏感にその「流行」をキャッチし、無意識のうちに時代を作ってきた。

(中略)この流れによって「流行」のスピードが加速化し、その世相に乗って

言葉も生まれ、消えていったのではないかと私は考える。かれらはそれぞれ時期

が来れば、きちんと話ができる素養を持っているし、その気持ちも持っている。

とした。つまり「若者言葉」は「流行」と関わりがあり、「言葉が生まれ、そして消えてい

った」と分析している。

一方、千葉 (2000:11)は「若者言葉の一特性」で、女性の男言葉、タメ口と人間関係の

親疎について言及している。

若い女性たちが使う男言葉は、タメ口の近縁種、あるいは変種といえるであろ

う。大人世代からみれば、タメ口は礼を失した乱暴な物言いだが、若者から言わ

せれば、丁寧な言い方は相手に壁をつくった話し方だ。タメ口はむしろ親しみの

こもった表現という認識である。

以上のように、これまでの様々な「若者言葉」に関する研究の中で、最も言語学的かつ

学問的な分析を行ったのは米川(1998)の「若者語を科学する」であろう。

俗語は社会・文化・世相をよく反映しており、言葉と社会の関係を見ることが

できるからである。流行語や若者語はこれが顕著である12。

若者語とは中学生から三十歳前後の男女が、仲間内で、会話促進・娯楽・連帯・

イメージ伝達・隠蔽・緩衝・浄化などのために使う、規範からの自由と遊びを

特徴に持つ特有の語や言い回しである。個々の語について個人の使用、言語意識

にかなり差がある。また時代によっても違う。若者言葉13。

単に若い世代に使われている新方言は必ずしも若者語ではない。古い方言が

衰退し、ライフスタイルも変化し、上の世代と若い世代とでは使用する言語変種

に違いが見られるが、そういう意味での若い世代の言葉をさすのではない。右に

書いたような条件がつく若い世代の言葉である14。

この著書の中で述べられた「若者語の特徴」について、pp.18-19 より抜粋する。

①仲間内の言葉である。これはヨソ者には使わないということであり、仲間内

ゆえに隠語めいた言葉であるということである。このヨソ者には先生、名前も

知らない人は当然のこと、名前を知っていても仲間意識のない人が含まれる。

12 P. 11 13 P.15 14 P.16

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若者語をヨソ者が訳のわからない変な言葉と批判⇒的外れの批判

②会話促進・娯楽・連帯・イメージ伝達・隠蔽・緩衝・浄化などのために使う

言葉である。若者語はひとことで言えば、会話の「ノリ」のための言葉である。

そのためにやたらと語を省略したり、新しい語形を造り出したり、本来の意味・

用法を変えたりしてみせる。

③規範からの自由と遊び

若者は最も先鋭的に個人の自由を主張し、どの面を見ても従来の規範から自由で

ある。その中で、言葉の規範から自由に、悪く言えば勝手に新たな語を造り出し、

新たな意味と用法で使っているのが若者語と言える。また、自由だからこそ、

言葉に縛られることなく、逆に言葉を遊んでみせる。緊張した社会には言葉に

遊びはないが、平和で緩んだ社会には言葉に遊びがある。若者語はこの平和な

社会で遊んでいる人々の言葉である。

以上の先行研究をふまえ、本論文では「若者言葉」について次のように定義する。

「若者言葉」とは

中学生から20代の男女が、若者世代15である就職前までの時期に、仲間内で使用する。

使用し始めるのが「若者」であり他の世代では使用されていない新しい表現や語彙を指す。

新しい語彙や用法は、規範からの逸脱や遊びであり、そこから生み出された新しい言葉

をさす。特に、規範からの逸脱(例:動詞化「事故る」名詞化「親切さ」)、メディアを利

用して広がった方言(例:「ばり」)などがある。

「若者」世代は年を重ねてもその当時の「若者言葉」を使い続ける可能性がある。また

メディア16などで広く認知された表現や語彙などが他の世代でも使用され定着していく可

能性もある。

なお、本研究では 1990 年代後半から 2000 年代の「若者言葉」とされていた表現や語彙を分析

対象としている。論文発表時(2015 年)には様々な年代で使用され定着しているもの、既に聞かれ

なくなったものなど含まれていることを付記しておく。

本章では、「言語変化」および「若者言葉」を定義した。この定義に基づき、次の章から本論文の

分析を進める。

15 「他世代では使われていないのか」という疑問があるだろう。本研究では 1990 年代後半から 2000 年代に

かけて使用され始めた新しい語彙や用法について分析を進めている。そのため、本論文発表時点(2015 年 2

月)では若者世代だけでなく他の世代で広く使用されているものもある。これは 1990 年代後半は若者言葉

だったものが当時の若者世代の年齢が上がり、2010 年代以降は定着したと考えられる。 16 発信し始めた人がはっきりしている、メディア・コピーライター主導とされる表現も存在するが、本研究

では特定の語彙ではなく、機能ごとに分析を行う。

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第3章

現代日本語に見られる言語変化に関する先行研究

本章では、現代日本語において現在起こっていると考えられる「言語変化」に関する先

行研究についてまとめ、それぞれの問題点を指摘するとともに解明すべき点をあげる。

3.1 言語変化に関する先行研究

現代日本語の「言語変化」に関する研究は、大きく2つに分類できる。1つは活用変化

に関するものであり、もう1つは新しい語彙に関するものである。

3.1.1 活用変化に関する先行研究

これまでの研究で、特に「若者言葉」の活用変化に関するものとしては、米川(1998)や

飯野ほか(2003)などがある。ここでは、それぞれの問題点を指摘する。

3.1.1.1 動詞

まず、米川(1998:36)の「若者語を科学する」では

<文法を変える>「する」をつけてサ変動詞化する場合、上の名詞は意味上運動性のもの。

人を表す運動性のない名詞につける。

例:女子大生する

という例を挙げているのが、この例の出自が不明である。これまで「する」によっても動詞が作ら

れてきたが、最近ではあまり使用されていないものもある。

また飯野ほか(2003)は「新世代の言語学」社会・文化・人をつなぐもの」のはじめに viii で、

「日本語を勉強している留学生がこの問題を解こうとすると、まず『コクる』がどの動詞グループ

に属しているかを考え、次のその動詞グループの活用ルールに沿って『て形』や『ない形』や『ば

形』を作るといった意識的作業をしなければならない。これに対して、日本語の母語話者なら、たと

えそれが『コクる』のように本来のことばを短縮し、限られた人にしか使われていない若者言葉でも、

誰もが同じように、無意識に、しかも瞬時に活用できるのである。なぜならば、そこには私たちが普

段意識しないで使っている共有された『ことば』のルールがあるからである。」とした。ここでは、

動詞化接尾辞「-る」の活用について述べられているが、具体的な例や関連資料などは提示され

ていない。「はじめに」の為、言語学的分析は行われていない。「誰もが同じように、無意識に、

瞬時に」活用できる、という根拠は全く示されていない。

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同様に、動詞化について北原(2003:356-358)では次のようにまとめられている。

「~する」を付けて動詞化する方法は、新語を生み出す原動力ともなっている。まず、

「カタカナ語+する」という形によって新しい動詞を簡単に作ることができる。「フィットする」

「ヒットする」「アタックする」「ペーストする」「ゴールインする」など、数限りない。カタカナ語に

は、とかくの批判もあるが、「~する」の造語力の強さは、「~だ」による形容動詞と並んで、

日本語の語彙を拡大することに貢献している。

最近では「お嫁さんする」「主婦する」「孝行息子する」「受験生する」「OL する」「青春する」

のように、動作と結びつきにくい名詞にも適用されている。これらは、「いかにも~らしく(まる

で~のように)振舞う」「典型的な~の振る舞いをする」いったニュアンスで使われる。俗語的

であるので使う場面をわきまえなければならないが共有のイメージに訴えて言いたいことを

簡単かつ的確に表現した巧みな言い方だともいえる。

なお、新しい動詞を作る造語法には、ほかにも「~る」を付けて動詞(五段活用)にする

方法もある。(略)しかし、「~する」に比べると、造語力ははるかに低い。またほぼ例外なく

俗語的なニュアンスを帯びるので注意が必要である。

以上の記述は分析と言うには資料が少なく、「する」を付けて動詞化する造語法は数限りなく

多いとする根拠が明らかではない。「お嫁さんする」「たばこする」といった用法の出自、使用例とも

に明らかではない。

「る」による動詞化については、「『~する』に比べると、造語力ははるかに低い。」とあるが、その

数値には触れておらず、どの程度の差があるか、なぜ「造語力ははるかに低い」のか、説明が不

適切である。「-する」による造語が一般的(無標)とされ「-る」は有標であるため使用傾向は限

定的となる。しかし、使用法は年代によって異なるため、「―する」の方が動詞化「る」よりも造語力

が高いという傾向が覆る可能性はないのだろうか。

3.1.1.2 接辞「-さ」

次に、接辞「-さ」について記述のあるものをあげる。まず、新村(1974:991)は「広辞苑」

第四版であるが、

「さ【接尾】 形容詞の語幹、形容詞型助動詞のあるもの及び形状性名詞について、その

程度、状態をあらわす名詞をつくる。源桐壺『あさましううつくしげ‐添ひ給へり』。

とある。「広辞苑」で挙げられた例である「うつくしげさ」は現代日本語ではない。この用例のみで

「名詞を名詞化する」とは言えない。

同様に、「日本語文法大辞典」山口(2001:272)には

①その程度・状態にあることを示す。 「その美人さで恋人がいないなんて」

とあるが、接辞「-さ」の用例は出典が明らかではなく、実際に使用されているかどうか信憑性が

低い。

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より言語学的に分析したと考えられる清瀬 (1989:13-14)は、「日本語文法新論」-派生

文法序説―の中で次のように述べた。(注:傍線筆者)

名詞から派生せられた名詞は 名詞由来名詞(Denominal Noun)と呼ばれるが、日本語

の実名詞17には、文法的な性 (gender) も無ければ数 (number) も無いので、実名詞に

由来する派生実名詞というものは存在しない。しかし、実名詞に接辞「-的」が接尾すると、

「学問的」「欧米的」など形状名詞18の語幹を派生する。形状名詞の語幹に接辞「-ソウ」が

接尾すると、「元気ソウ」「気ノ毒ソウ」など様相(evidential)を表す形状名詞を派生する。さら

に、形状名詞の語幹に接尾して実名詞を派生する接辞には、「静カサ」「親切サ」「丈夫サ」

などの例に見られる様に「-サ」がある。

この「名詞から派生せられた名詞は名詞由来名詞(Denominal Noun)と呼ばれるが、日本語の実

名詞には、文法的な性(gender)も無ければ数(number)も無いので、実名詞に由来する派生実名

詞というものは存在しない」ので、「名詞+さ→名詞化された語彙」という変化を全面的に否定して

いる。独自の分類であるが「―サ」の分析は殆どない。

また、インターネット上で公開されていた「日本語ボランティア<すずめ>の忘れっぽい自

分のための文法ノート」19には次の表があった。

この資料では従来あまり使用されてこなかった「元気さ」「親切さ」「スポーティさ」などが例として

挙げられているが、実際にどのように使用されているのか、といったことについては、全く触れられ

ていない。

17 名詞のうち、思想の主題たる事物・概念を指示する「机」「花」「赤」「哲学」のような音は、接尾辞「-ガ」

「-ヲ」等を従えて主格(nominative case)・対格(accusative case)等に立ち得るものであり、この一類

の音を 実名詞(Noun Substantive)と呼ぶ。(P.4) 18 事物の性質や状態を表現する「静カ」「明ラカ」「急」「綺麗」のような音(中略)は、実名詞とは性質を異に

し、「-ガ」「-ヲ」等の接尾辞を伴い得ず、したがって、文の主語(subject)に立ったり、客語(object)

として用いられたりする事も無い。 (P.4) 19 http://www.geocities.jp/neko5suzume/gn02.htm#ta#ta (2006 年 6 月閲覧。現在は閲覧不可能。)

い形容詞 優しい→ 優しさ、嬉しい→ 嬉しさ 面白い→ 面白さ、

つらい→ つらさ 暗い→ 暗さ、懐かしい→ 懐かしさ

い A 形活用 子供っぽい→子供っぽさ

山田さんらしい→山田さんらしさ

な A 元気な→ 元気さ、 親切な→ 親切さ、便利な→ 便利さ

スポーティーな→スポーティーさ

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3.1.1.3 動詞化接辞「—る」、名詞化接辞「—さ」の定義

以上のように、活用変化に関する先行研究から動詞化接尾辞「-る」及び名詞化接辞「-さ」を次

のように定義する。

3.1.1.3.1 動詞化接尾辞「-る」の定義

「る」によって動詞語彙を作る際は省略が多用される。これは、動詞化接尾辞「-る」のルールと

関連があると考えられる。つまり「る」を付加するものの拍数との関係があるだろう。特に、外来語の

省略との関係が考えられるため、分析を行う際の参考とする。動詞化する接尾辞「-る」を付けて

作った語彙についての、これまでの研究から次のようにまとめることができる。

① 他の品詞を動詞化する接尾辞である。

② 「若者言葉」である

先行研究に挙げられているものは例が少なく、言語学の各分野に添って分析したものもあまり

ないため、本研究ではできる限り多くの語彙を集め分析することとする。また「若者言葉」や「俗語」

の要素が強いとされているが、実際は古くから使用されている語彙も同じように動詞化接尾辞「-

る」によって作られたものも存在しているのである。例えば、「牛耳る」は夏目漱石が使用したのが

始まりとされている。

これまでの「-る」による動詞化語彙は

① 出自がはっきりとわからないもの

② 使用開始年が定かでないもの

③ 現在は使用されていないが、資料には残っているもの20

④ 地域性のある語(特に固有名詞由来のもの)

などがあると考えられる。これらの点に留意し、分析を行いたい。

3.1.1.3.2 名詞化接辞「-さ」の定義

従来の接尾辞「-さ」がどのような品詞を名詞化するのか、また作られた(名詞化された)名詞が

どういった意味を含むのかについて、先行研究・関連文献をあげ、問題点を指摘する。先行研究・

関連文献で、接辞「-さ」の用法や役割などについて用例を挙げ言語学的に分析し、まとめたも

のは少ない。また接辞「-さ」について挙げられている用例も異なり、言語学的分析も同じように行

われているわけではない。どのような特徴が挙げられているのか、以下にまとめる。

・名詞に付加できる = 2 資料

・「な形容詞21」に接辞「-さ」をつけられる = 5 資料(「な形容詞」に制限がある=1 資料のみ)

20 流行語を含む。 21日本語文法では「形容詞」「形容動詞」とあるが、本研究では活用や名詞との関係から「い形容詞」「な形

容詞」を使用する。

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・ 「名詞+さ→名詞化語彙」に言及 = 2 資料

しかし、ここに挙げられた特徴も、文献によっては見解が異なる。

例えば、「日本語文法大辞典」には「美人さ22」など「名詞」に接辞「-さ」を付けるとする資料があ

る。しかし、他の先行研究・関連文献では、接辞「-さ」の付加について、殆ど分析されていない。

名詞化「—さ」の問題点

・名詞を名詞化するという、従来には無かった用法が使用され始めている。このような「-さ」に関

する変化は、なぜ起こったのだろうか?

・「状態を表わす名詞」は、「美人」以外にも野心家、紳士、自慢、勉強家など「すごく、とても」

などの程度を示す形容詞の副詞用法や副詞などが直接修飾する名詞がある。しかし、こ

のような名詞に「-さ」を付加しても、一般的には認められないものとなるはずである。そうする

と「美人さ」という名詞にも疑問が残る。ここは素直に「美しい」+「〜さ」である「美しさ」でいいの

ではないだろうか。作例かどうかも分からず、出自が定かではない。この「美人さ」の使用例につ

いても調べたい。

・関連資料には、「元気さ」「親切さ」「スポーティさ」といった、これまであまり耳にしなかった語彙が

挙げられているが、これらの語彙は、実際にどの程度使用されているのだろうか。

先行研究では、活用について、動詞化接辞「-る」、名詞化接辞「―さ」について言及さ

れてはいるものの、それを「言語変化」であるとは指摘していない。

3.1.2 新しい語彙に関する先行研究

次に、新しい語彙を作る方法に言及した先行研究を挙げ、問題点を指摘する。

「若者語を科学する」 米川明彦(1998:51)

省略による造語

a 上略:元の語形がわかりにくい ○例 (わ)ざとらしい/(友)達

b 中略:形容詞に多い ○例 うっと(おし)い/きも(ち悪)い

c 下略:三拍語になる例が多い ○例アクセ(サリー)/お気に(入り)

d 二か所以上を省略:稀 ○例 コンサ(ー)バ(ティブ)/(う)るせ(ぇ)

e 複合語の各要素の上部を省略: 稀 ○例 (自動)車(学)校

f 複合語の各要素の下部を省略: 各要素省略2拍+2 拍⇒4拍

g 複合語前項要素の上部と後項要素下部省略:

22 「日本語文法大辞典」P.272 「その美人さで恋人がいないなんて」という例が挙げてあるが、2012 年の現

時点では不自然である。

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20

h 複合語前項要素の下部と後項要素上部省略:

i 複合語の前項要素の下部だけを省略: ○例 ポケ(ット)ベル

j 複合語の後項要素の下部だけ省略: ○例朝一(番)/自己中(心)

k 文や句を短縮:省略の最も進んだ形態 ○例きれ(いな)カジ(ュアル)

どた(んばで)キャン(セル)

l 複合語の三か所を省略: ○例 セ(ー)ラ(ー服)コン(プレックス)

長い拍数を持つ語彙を省略する場合、3拍または4拍に語彙を省略するのを好む傾向が窺えると

している。2000年代には使用されていない語彙も多くある。

新書「口のきき方」 梶原しげる (2003:130) では、調査対象が明示されていない。

「超 MM」:流行っていると言われた二〇〇一年はじめ、都内の若者二〇〇人に調査したと

ころ、例外なく全員が、そんな言葉を日常的に使ったことなど一度も無いという答えでした。

以上のように、どのような調査をどのように実施したかも不明である。特に「超」や「MM」「MK」など、

他の語彙との関連を調査するべきだが、「超 MM」という語彙についての調査にとどまっている。

「日本語ウォッチング」 井上史雄 (1998:75)では、新しい表現である「みたく」について言及され

ている。(下線および数字は筆者。)

新しい形容詞の誕生といえば、「……のように」にあたる言い方が、形容詞と同じ活用を

とろうとしている例がある。「みたい」「みたく」で、「バカみたい」「鳥みたく飛びたい」のように

使われるようになった。

この「みたい23」は最後がイで終わるので、「固い」「冷たい」などの形容詞とそっくりにひび

く。形容詞なら「固く」「冷たく」というクの付く形がある。さらに、①「酒を飲みたい」「顔を見た

い」などの助動詞タイとも形がそっくりで、「飲みたく(なる)」「見たく(ない)」などという活用形

にならって、「・・・・・みたく」が生まれたと考えられる。

(略)「みたく」も形容詞のようにふるまっていることをみた。前にふれたように、形容詞は

現代語では生産力を失って、新たなことばを生み出すことがないように見えても、活用体系

を保って、他の語もまきこむ力はまだもっているわけである。

(「うざい」について)流行語とは違う。少しずつ広がっており、②長期的な言語変化の反映

として扱うことができる。現在の日本語はさらに大きな変化、国際化に見舞われている。

③具体的に目立つのは英語の影響であり、雨傘のたとえを拡大すると、上から降る雨に

相当する。

23 筆者注:本来は「〜みたいだ」で、「だ」が脱落しているが井上(1998)ではこのまま記載されている。

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21

この著書で示された分析については、次のような問題点がある。

①助動詞「タイ」、つまり「飲みたい」「見たい」とは活用の仕方が似ているが、「…みたく」を付加し

て造る「新しい形容詞」とは異なる。

②「うざい24」の語源である方言が時間をかけて広がって、東京に流入し、全国へ広がった、という

経緯があるため、「長期的な言語変化」だが、「い形容詞」活用へ統一化の可能性もある。

③「新しい形容詞」の造語にも関連することであるが、英語から新しい単語を作る場合「な形容詞」

を造るが、「い形容詞」へと活用が統合されているかどうかについては言及されていない。

以上のように、井上(1998)は新しい使用例を取り上げたという点では斬新であるが、量的・質的研

究分析ではなく、どのように結論を導き出したのか明らかではない。

「現代形容詞用法辞典」 飛田良文・浅田秀子(1991:ⅸ25)

日常の会話やテレビドラマなどに頻出し、慣れ親しんでいる俗語(「ヤバイ」「ダサい」

「がめつい」「けったくそわるい」など)や使用者が多いと思われる方言的な語(「あほくさい」

「かったるい」「ぼろい」など)も、記述できる範囲でできるだけとりあげるよう努めた。

さらに、他の語について形容詞を作る造語成分(「-らしい」「-がましい」「-ぽい」「-た

らしい」など)も個別にとりあげた。これらは従来の学校文法において、接尾語扱いされたり

助動詞扱いされたりして文法上の位置が定まっていなかったため、まとまった解説があまり

ほどこされなかった語群である。

この著書で取り上げられているものは「形容詞の新用法」と関係があるもので、作例を用いて説明

されているが、作例では実態をつかめたとは言えない。

これらも新しく語彙を増やしていく際に使われている。特に、「造語成分」については文法化の章26

で、その「文法上の位置」についても言及する。

「日本語使い方考え方辞典」 北原保雄監修(2003)

形容動詞 (pp.180-183) 白川 博之

造語力の高さでは形容詞をしのぎ、日本語の語彙の拡大に貢献している。(略)いずれに

しても、形容詞のほかに形容動詞という品詞があるおかげで、日本語はその文法体系を

少しも損なうことなく簡単に外来の語彙を取り入れることができていることは確かである。

この辞典で白川は、日本語ではない外来語に「~だ」を付けることで、新しい形容動詞を作ること

ができると指摘しているが、この造語法は外来語が中心で、日本語の他の品詞を形容詞・形容動

詞にする場合について触れられていない。

24 「うざったい」が短縮したもの 25 「本書の特色と使い方」より。 26 5章「文法化とその過程」で述べる。

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22

更に、「新世代の言語学」飯野他(2003:71)では「若者言葉」について、「若者言葉は常に変化し

ているし、若者以外の人でも使う場合もある。それを踏まえたうえで、ここでは最近取りあげられて

いる『若者言葉』の特徴を見てみよう。まず、若者言葉は語彙レベルに顕著に現れる。短縮したり2

つのことばを混ぜ合わせたりと様々な方法で新しいことばを創りだす。」としている。

そして、いくつか具体例を挙げている。

次にアクセント・発音にみられる若者言葉の特徴もある。アクセントの平板化では「カレシ」

や「かなり」などがよく取りあげられている。(略)相手の知らないことをまるで知っているかの

ように共感・同意を求める用法の「~じゃないですか」もある。この用法では初対面の人に

「私って英語がだめじゃないですか」と言ったりする。さらに、「~ってゆうかぁ」と言って話を

切り出す言い方や「あした、試験とかあるし・・・」の「~とか」、「あの人、かっこいいみたい

な・・・」の「~みたいな」といった一連のぼかし表現もある。」というものである。しかし、ここに

挙げてある例は不自然なものが多く、出自も明らかでない上、言語学的な分析は行われて

いない。

以上のように、先行研究でも 1990 年代後半から 2000 年代にかけて新しく出て来た語彙や表現に

関する記述はあるものの、分析については問題があると言える。

3.1.3 先行研究の問題点

本章で見てきた先行研究では、全体的に

・分析の使用例の出自が不明。

・分析対象の用法が曖昧。

・分析が断片的で全体が概観出来ない。

といった点に共通した問題があった。「若者言葉」に関する先行研究もある特定の語彙を分

析したものが多く、それぞれの語彙の形態的・統語的・意味的な変化については言及され

ていない。つまり、「若者言葉」の側面は見られるものの全体的な把握ができず、言語変化

の一端を担っていることも証明できていない。

以上のことをふまえ、本論文では

・活用について

・語彙について

以上2点を明らかにするために、自然談話を中心に分析を進め、「言語変化」とどのように

関わっているのかを見る。

3.2 本研究の位置づけ

ここでは、本研究が言語学的にどのような位置づけにあるのかを明確にする。

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23

3.2.1 本研究における言語学的観点との関わり

2 章および 3 章であげた先行研究では、現代日本語の中でも「若者言葉」で起こってい

る現象の一部について研究がなされていた。しかし、言語学的観点の細かい分析はあまり

行われてこなかったというのが現状である。特に、作例のみを使用したものや、少数の例

のみで分析されたものがあるため、「若者言葉」を学問の一領域として確立できなかったと

言えよう。

そこで本研究では、先行研究で取り上げられた現象について多角的に見るだけでなく、

実際の使用例を用いることで、実証していく。

具体的にどのような言語学的観点で分析を進めるべきかを検討し、本論文では社会言語

学的観点を中心に分析を進める。

これまでの研究からも、コミュニケーションにより言語は多様に変化することが分かっ

ている。そこで、現代日本語の中でも「若者27」の年代における言語現象について、その変

化を捉える。また、社会的属性だけでなく、会話やコミュニケーションを分析することに

より、その実態を明らかにするという点において、社会言語学的観点との関わりがある。

認知言語学的視点から、若者が使用している語彙や用法について、その言語運用の面を

ふまえた分析と説明を試みる。特に、意味については語用論的側面も含め、言語運用によ

る実態を把握する。

27 本論文では、2 章で示した「若者言葉」の定義にもあるように「中学生から 20 代の男女」を「若者」とし

ている。

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24

第4章

1990 年代後半から 2000 年代の

若者言葉の語彙変化

本章では、現代日本語の中でも特に1990年代後半から2000年代に見られた若者

言葉の現象について、文法項目ごとに「変化」を記し、分析する。より特徴的な現象とし

て表れているものとして

【 動詞 ・ 形容詞 ・ 副詞 ・ 名詞 ・ ぼかし言葉 】

以上のように、大きく5つに分類し、それぞれの言語学的特徴を分析する。そのため、

実際の使用例を挙げながら、形態的特徴・意味的特徴を中心に分析を進めていく。

4.1 動詞

動詞化接尾辞「-る」をもつ比較的新しい動詞について 1999 年、2006 年の 2 回にわた

る調査により、現代用語の基礎知識および文献資料、テレビなどから 483 語を収集し、言

語学的に分析を行う。

先行研究は分析というよりはその造語法の紹介にとどまり、語彙の収集と分析はされて

いないようである。

4.1.1 新しい語彙

分析を進めるにあたり動詞化接尾辞「-る」による語彙を、先行研究・参考文献・自然

談話資料などから 483語を収集した。1999年、2006年の 2回にわたる調査と、継続した資

料収集を行ったものである。これらの語彙を言語学的分類によって、それぞれの特徴をま

とめる。実際にどのような語彙があるのか、いくつかを具体的に挙げる。

○例デコる、ポシャる、チクる、告る、拒否る、イモる、パクる、ヤニる、等

これらの新しい語彙について、言語学的特徴はどのようなものがあるのだろうか。

以下、実例を挙げながら見ていく。

4.1.1.1形態的特徴

付加する語彙、またはその省略語彙に「-る」を付けるだけで、簡単に動詞にすることが

できるというのが、動詞化接尾辞「-る」の基本的な働きである。それでは、形態的には

どのような特徴があるのだろうか。

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五段動詞28

「-る」により、「動詞である」という標示になる。動詞化接尾辞「-る」によって造ら

れた動詞は、いわゆる「五段動詞」と同じ活用をする。「一段動詞29」の活用はとらない。

そのため、新しく作られた語彙は、日本人であれば活用を考える必要はなく、機械的に「五

段動詞」と同じように変化させることが出来る30。ではなぜ一段動詞ではなく、五段動詞が

選択されたのか。

動詞化「る」の語幹となる部分には影響が無い活用は五段動詞の活用である。また、動

詞の中では五段が一般的、つまり「無標」であるため五段動詞が選択されたのではないか

と考える。

4.1.1.2 統語的特徴

では実際にどのような品詞に「る」を付け、動詞化しているのだろうか。1999年以前の

ものと、2006年に収集した語彙の品詞を分類し、グラフにしたものを以下に挙げ、比較を

行う。では 1999年以前の「る」によって作られた 326語、2006年に 157語の動詞31を収集

し、品詞により分類し、品詞ごとにみる。

①動詞

動詞に「る」を付けたのではなく、省略したものである。形態は異なるためここでは新造

語として数える。 ○例しくる=しくじる

②名詞

名詞の示すもののようになる、即ち、「(名詞)のようになる」、あるいはその名詞と関わり

のある動きをするという意味の動詞を作る。 ○例昆布る、ご馳る、事故る

③固有名詞

1999年以前の語彙は、固有名詞が多数使用されていたが、2006年の収集ではあまり無かっ

た。固有名詞を動詞化する特徴としては、固有名詞が示す店や地名などが判断できる程度

に(時には判断できないが)省略して語幹とする傾向がある、ということである。また、

人名や地名など、一部を除いてほとんどがカタカナ表記されている。

○例デニる、ハゲる32、ググる、アサヒる

28日本語教育の分野では「1 グループ」と呼ばれる。 29 日本語教育の分野では「2グループ」と呼ばれる。 30 新世代の言語学—社会・文化・人をつなぐもの—飯野ほか(2003) 31 卒業論文「る言葉について」収集資料による語彙の総計が 326 語彙である。 32 「ハーゲンダッツへ行く。」という意味で、髪が薄くなる「禿げる」とは異なる。

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26

29

5 2

124 126

2413

124

711 22

0

20

40

60

80

100

120

140

動詞 形容詞 な形容詞 名詞 固有名詞 擬音語 擬態語 外来語 方言 隠語 語源不明

動詞化接尾辞「る」品詞別 総合

④い形容詞・な形容詞

い形容詞・な形容詞はどのような状態であるかを表す語彙であるため、その語彙を使っ

て動詞を造ることはあまり無いようである。1999年以前と 2006年を総合しても、483語の

うち 8語しかなかった。 ○例ほそる、がめる、エロる、ななめる

⑤外来語

動詞に限らず、語彙を増やすには外来語を取り入れるのが一番手っ取り早い。そのた

め、外来語が多く使用されることは容易に予測がつく。全体的に見ても 483 語中 116 語、

つまり約 4分の 1が外来語である。

○例コスメる(cosmenity+る)、コンパる(companion+る)ステクる(stick+る)、

アピる(appeal+る)、コピる(copy+る)、ミスる(miss+る)

⑥その他(語源不明)

動詞化「る」によって作られた語彙であることは明らかだが、その動詞の語幹となっ

ている語の品詞が分からないものを「語源不明」に分類している。

○例いじゃける、かつぎゅる、キケる、だいまる、デボる、ふける、へくる

以上のように、語幹となる語は品詞に偏りがあることが分かった。2006 年迄の語彙 483

語をグラフにすると次の図1のようになる。

図1. 動詞化接尾辞「—る」 語幹

4.1.1.3 意味的特徴

他の品詞、特に名詞や固有名詞に「る」を付けて動詞を作るが、品詞の転換だけでなく、

意味にどのような影響があるのだろうか。ここからは品詞ごとに見ていく。

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① 動詞

動詞の場合は、省略したものが多い。ここでは省略された語彙ではなく、元々の語彙と

は異なる意味で使用されている語彙を取り上げ、表1でそれぞれの語彙を詳しくみていく。

○例 キレる、焦げる、落ちる、すべる

表1. 動詞化「—る」 意味的特徴の変化

新しい意味 従来の意味

キレる 怒りが爆発すること 一続きの物が刃物によって力を加えられたり引っ張られたりして

離ればなれになる。

焦げる 日焼けをすること 火で焼けて、黒または茶色になる。

落ちる チャットから抜ける

こと

高い所から低い所へ移動する。それ自身の重みによって上から下

へ移る。

すべる 冗談が受けないこと 物の表面をなめらかに移動する。とどまっていられなくて、なめ

らかに動く。

ここに挙げた動詞は、これまでも使用されてきた語彙であるが、従来の意味と異なるた

め、ここでは意味の変化とした。

②名詞

「(名詞)のようだ」という意味となる。その名詞のようになる、という変化を示す。

○例 ブタる、昆布る

③固有名詞

動詞となった固有名詞が行ったことを模倣する、同じように振舞うことを示す。ある人

物が行った行動を取り上げ、「同じようなことをする」「同じように振舞う」ことを指す動

詞を作る。 ○例 安倍る

「安倍る」は 2007年、選挙に大敗したにもかかわらず続投を決めた安倍首相が突然退任

を表明し全てのことを投げ出したことから、「自分の責任を全て放棄してしまい、逃げるこ

と」を指す言葉となった。

このように、ある特定の人物が行った行動の中でも特に問題行動となるものに「る」を

付け、そのような行動をすることを批判する意味も込められている。また、個人名に「る」

を付けて動詞にするだけではなく、会社名などにも付けられることがある。

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○例 アサヒる33…捏造する。でっちあげる。

この他にも、「固有名詞+る」という形で「そこで何かをする」といった意味を加えるこ

とができるものがある。

○例 マクる、よしぎゅる、デニる、ハゲる

レストランや店の名前を短く省略し、「そこへ行く、そこで食べる」ということを示す。

これらの語彙を好んで使うのは高校生・大学生が多いことからか、全体的に値段の安い店

が多いようである。

また、固有名詞の場合は次のような特徴もある。「その場所で乗り換え等をする」意味と

なる。特定の動詞でしか使えないが、固有名詞の中でも地名にのみ付けられる。

○例 たんばばる…丹波橋で電車(近鉄⇔京阪)の乗り換えをする

「固有名詞+る」によって動詞化した語彙は、全国的に通用するものもあれば、一部地

域34でしか使えないものもある。このように、固有名詞を動詞化する場合、

1 模倣する、同じように振舞う

2 ある特定の人物の問題行動をすること、またその批判

3 場所の固有名詞で何かをする、その場所へ行く

4 その場所で乗り換え等をする

などの意味を加えるということが分かった。

ここで、「なぜ動詞化なのか」という疑問が残るが、新しい語彙を作り出す造語力の高さ

だけでなく、活用も出来るというところに「動詞化」を選んだ理由があると考えられる。

米川(1998)が指摘したように、若者言葉の特徴が「規範からの逸脱」「言葉遊び」にあると

するならば、活用や応用が効きやすく更なる拡がりがあるという点からも「動詞化」が好

んで使用されていることがうかがえる。

④擬音語・擬態語

擬音語・擬態語を動詞にして「その語が表す様子である」という意味となる(表2)。

表2. 擬音語・擬態語の動詞化

ガボる ガボッとはまる キャピる キャピキャピはしゃぐ

グサる グサッとささる ダボる ダボダボのルーズソックスを履く

ウダる ウダウダする テカる 顔が皮脂でテカテカ光る

33 朝日新聞社が『アベする』なる語句を創出し、明確な根拠なく「(若者の間で)この言葉が流行している」

と捏造としか考えられない記事を書いてまで、自らの論調に相容れない安倍首相(当時)を執拗に攻撃した

ことから出来た語彙。(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%B5%A5%D2%A4%EB) 34全国的なものと地域的なものについて区別するべきではあるが、本論文では一括して分析を行った。地域性につい

ては今後の研究に譲る。

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29

語幹+「る」拍数6拍1%

2拍1%

てる1%

5拍3%

4拍20%

3拍74%

擬態語は 4 音節のもの畳語であることが多いため、そのうち 2 音節のみを使用し、語幹

としているようである。その状態を伝えるだけでなく「そのようにする」という意味を加

えて動詞としている。

⑤外来語

外来語を「る」により動詞化して作った語彙は、485語のうち、116語と多い。この外来

語の動詞は、英語を日本語に訳して、その意味を持つ動詞にしている。いくつかの例を表

3にあげる。

表3. 外来語の動詞化

動詞化語彙 元の語彙 品詞 外来語の意味 動詞化接尾辞「る」による意味

サボる Sabotage 名詞 破壊活動 授業や仕事などを抜け出して休む事

テる Tel 名詞 電話 電話をかける

タクる Taxi 名詞 タクシー タクシーに乗る

バグる Bug 名詞 PC処理上の誤り パソコン等が壊れる、おかしくなる

パニクる Panic 動詞 あわてふためく パニックに陥る

外来語そのものの意味を使用するだけでなく、日本語の五段動詞と同じ活用をする語彙

に変えるものが多い。動詞化接尾辞「-る」は、名詞や他の品詞を動詞にするのに使用さ

れてきた接辞であるが、日本語だけではなく、外来語を動詞化する際も使用されている。

4.1.2 活用の変化

動詞化する接辞「る」によって作られた動詞は

省略によって短くされたものが多く、全体の拍数が

3拍・4拍となるものが多い。では実際の内訳は

どうなっているのだろうか。

収集した 483語について「る」を加えた「語幹+る」

の拍数をまとめると図2のようになる。

「る」を含めた拍数は「3拍」「4拍」を合わせると

94%である。つまり、「る」を使って作った動詞は、

3拍・4拍が好まれるようである。 図2. 語幹+「る」拍数

形態「~てる」

先行研究で、「する」や「る」によって作られる動詞について語彙をいくつか挙げて紹介

していたのだが、「る」で作られた動詞が「五段動詞である」という指摘や実際の活用には

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触れられていなかった。また、先行研究で取り上げられた語彙についても使用された時期

など明らかでない場合が多い。最近では「する」によって動詞を作るという方法はあまり

使用されていないようである。代わりによく見かけるようになったのが「~てる」である。

○例 いけてる、きょどってる、ナルってる

「きょどってる」は「挙動不審な行動をしている」という様子を示す。また、「ナルって

る」は「超ナルシストである」となる。つまり、「~てる」はアスペクトの観点からも結果

の継続を表しているため、人や物の状態に使用されることが多い。変化の結果が持続する

結果相として「~てる」のみで使う場合が多い。「いけてる」や「ナルってる」は「いける」

「ナルる」という形で使用されることはない。

また、「~てる」という型から派生して、「~てく?」という勧誘の例も見られる。勧誘

であるので、疑問文としてのみ使われ、文末は尻上がりイントネーションとなる。

○例 カフェってく? チャリってく?

もちろん、「る」を付けて動詞化し、それを「~ている」の形にしたものとも考えられる

が、これは「~ている」の形でしか使えないものもある。

本研究で分析した動詞化接尾辞「-る」の特徴をまとめると次のようになる。

①動詞化「る」は活用する際、五段動詞と同じ活用35をする。

②名詞、固有名詞などに付加し、

・ その名詞、固有名詞のようである

・ そのように行動する・固有名詞(店名)へ行く/で食べる

・ 名詞、固有名詞の特徴を持つといった意味を付加する。

③外来語、擬音語・擬態語などに付けて五段動詞を作る。

語彙を増やすということは、その言語が生きていることを示す証拠であろう。動詞を新

たに増やすが、動詞化接尾辞「-る」によって作られる動詞は、同じ活用を使用するよう、

現時点では五段動詞とされていることが分かった。また、意味的特徴としては、品詞によ

って異なるが、それぞれの語彙が持つ特徴と関わる意味を加えている。

35 1グループであることを示す。

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31

4.2 形容詞

次に、現在の若者が使用している「新しい形容詞」と考えられるものについて詳しく分

析を行い、その特徴を捉える。形容詞にどのような変化が起こり、「新しい形容詞」が生ま

れたのか、その原因を究明するとともに実際の自然談話録音資料の収集・分析し、実態を

明らかにする。

そこでまず、実際のサンプルを収集し、分析を行い、「新しい形容詞」が持つ特徴をまと

める。そのために、2001 年(表4)・2004 年(表5)に収集した若者の会話録音資料、テ

レビ番組の中でも「自然談話」であると考えられるバラエティ番組、視聴者参加型番組で

使用されているものも対象とする。これは、出演者が使う言葉はシナリオによって書かれ

たものではなく、自然に発話している、と考えられるからである。この理由により、前も

って決められた台詞を使用しているドラマは、分析の対象外とする。

のべ30人の属性は次の通りである。

表4. 2001年収集分 被験者属性一覧

身分 性別 年齢 出身 身分 性別 年齢 出身

1 大学院生 女 23 福岡 16 大学生 女 22 不明

2 大学院生 女 26 福岡 17 大学生 女 22 不明

3 大学院生 女 23 鹿児島 18 社会人 女 23 岡山

4 大学院生 女 23 山口 19 社会人 女 23 滋賀

5 大学院生 男 23 福岡 20 社会人 女 23 広島

6 大学院生 男 23 愛知 21 社会人 女 24 大阪

7 大学院生 男 22 山口 22 社会人 女 24 兵庫

8 大学院生 女 25 福岡 23 社会人 女 24 福井

9 大学生 女 22 福岡 24 社会人 女 23 京都

10 大学生 女 22 福島 25 フリーター 女 24 大阪

表5. 2004年収集分 被験者属性一覧

身分 性別 年齢 出身 身分 性別 年齢 出身

1 会社員 女 24 岡山 16 大学生 女 20~23 不明

2 大学院生 女 25 福岡 17 バーテン 男 26 不明

3 大学院生 女 25 福岡 18 専門学校生 女 21 大阪

4 会社員 女 24 京都 19 大学院生 女 29 福岡

5 教員 女 27 福岡 20 公務員 女 26 福岡

6 会社員 女 30 福岡 21 大学院生 女 27 福岡

7 教員 女 25 滋賀 22 フリーター 女 27 福岡

8 アルバイト 女 26 大阪 23 木村拓哉 男 31 東京

9 お笑い芸人 男 39 大阪 24 教員 女 24 滋賀

10 お笑い芸人 男 42 大阪 25 会社員 女 24 広島

11 大学生 女 22 福岡 26 教員 女 26 福岡

12 大学生 女 21 福井 27 教員 女 29 福岡

13 大学生 女 22 大阪 28 大学院生 女 26 福岡

14 会社員 女 27 福岡 29 大学院生 男 26 愛知

15 大学院生 女 28 福岡 30 大学院生 女 26 福岡

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32

形容詞の中でも「な形容詞36」であるはずなのに「い形容詞」と同じ活用をしているもの

がある。これらは日本語教育の現場でも学習者がよく間違えるものであるが、現在若者の

間で使用されている「新しい形容詞」を見ると、日本人までもが、「い形容詞」と「な形容

詞」が同じ活用をしている場合がある。その他にも新しい語彙や造語など、「新しい形容詞」

があるようだ。

最終的には、「新しい形容詞」の特徴と性質を提示し、自然談話内で実際に発話された時

にその発話の意味するもの、表現するものを正確につかむためには、どうすれば良いのか

を考えていく。

4.2.1 形容詞とは

形容詞に関する先行研究についてまとめ、「従来の形容詞」について定義する。

4.2.1.1 「形容詞」の定義

分析対象である「新しい形容詞」を浮き彫りにするために、「従来の形容詞」とは、どう

いうものなのかを示す。先行研究を参考に「従来の形容詞」についてまとめる。

「形容詞」とは

「単独で述部を形成できる判断詞」であり、物やことがらの性質、状態などを表すと

ともに、話し手の主観的判断、感情などを表す。後に続く名詞または名詞句を修飾

するほかに、単独で述語となったり、連用修飾をしたりすることができる。「形容詞」

は後に続く語や使い方によって活用し、その活用の違いから「い形容詞」と「な形容詞」

に区別されるが、この二つの形容詞は統語的・意味的特徴を多く共有している。

4.2.1.2 「い形容詞」と「な形容詞」

4.2.1.1 でもまとめたように、形容詞は 2 つに大別されている。日本語教育の現場で使

用され定着している「い形容詞」と「な形容詞」である。これは国語文法の表現で言えば、

「形容詞」と「形容動詞」とも言われるものである。先に挙げた先行研究の中に、「形容動

詞は、意味的には物事の性質や状態を表す点で形容詞に似ているが、文法的には活用の仕

方が名詞によく似ている。いずれにしても、動詞には似ても似つかず、形容動詞という名

前は『名は体を表す』になっていない恨みがあるので、形容詞との類似性をとらえて『な

形容詞』と呼ばれることもある。37」とある。そこで本論文でも、「形容詞」「形容動詞」で

はなく、「い形容詞」「な形容詞」を採用する。

36 いわゆる「形容動詞」。ここでは日本語教育で使用する「い形容詞」「な形容詞」を採用。4.2.1.2 参照。

37 岩波「日本語使い方考え方辞典」監修:北原保雄「形容動詞」白川博之

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33

また、本研究の分析の際、従来の形容詞の基本的な活用と比較する必要があるため、「い

形容詞」と「な形容詞」の基本的活用を表6にまとめておく。

表6. 「い形容詞」と「な形容詞」の基本的活用

4.2.1.2.1 「い形容詞」と「な形容詞」の違い

「い形容詞」と「な形容詞」は、「それぞれ活用のしかたは異なっているが、文中での役

割などは殆ど同じである38」と先行研究にもあるように、基本的な役割は同じである。基本

的な役割が同じであるとすると、「い形容詞」と「な形容詞」の違いは、何なのであろうか。

活用だけでなく、様々な面からの比較が必要となる。先行研究を参考にそれぞれが持って

いる特徴を比較すると、次のような「違い」が見受けられる。

表7. 「い形容詞」と「な形容詞」の比較

「い形容詞」は、語源が大和言葉であるため、造語性に乏しく、単独で用いられること

は少ないが、それに対して「な形容詞」は漢語、外来語を語源とする語が多いため、造語

性が豊かであり、造語法も簡単であるため新しい形容詞を容易に造ることができる。また

「な形容詞」は物事の状態や、話し手の判断を表すものが大半で、感情、願望、否定を表

すものは少ない。名詞的要素が強く名詞にもなるため、活用の仕方も名詞とほぼ同じであ

る。

38「形容詞」西原ほか著 名柄迪監修(1988) 荒竹出版

形容詞 名詞接続 否定形

い ○○い→○○い+名詞 ○○い→○○くない

な ○○だ→○○な+名詞 ○○だ→○○じゃない

語源 造語性

い形容詞 和語 乏しい

な形容詞 漢語、外来語、名詞からの転成が多い 豊かである

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34

4.2.1.2.2 「い形容詞」と「な形容詞」の曖昧な部分

「形容詞39」では、「C 紛らわしいもの」として、次のようにまとめている。

1.い形容詞およびな形容詞の両方の活用

暖かい 柔らかい

暖かな 柔らかな

2.い形容詞でありながらな形容詞の活用の一部(連体形のみ)を持つ

大きい 大きな(連体詞)

小さい 小さな

おかしい おかしな

しかし、「『い形容詞』でありながら『な形容詞』の活用の一部(連体形のみ)を持つも

の」は「な形容詞」ではなく連体詞であり、修飾機能のみもつ。このように、両方の活用

を持つように見えるため「い形容詞」か「な形容詞」か、はっきり区別することが難しく、

これを「曖昧な部分」と呼ぶことにする。このような「曖昧な活用」が、本研究で解明し

ようとしている「新しい形容詞」に、何らかの影響を与えている可能性もある。「な形容詞」

が「い形容詞」の活用をする、西日本の形容詞活用と関連があると考えられる。

4.2.2 「新しい形容詞」の語彙

現在、若者の間で使われている言葉や、マスメディアで聞かれる言葉の中で、形容詞の

活用が「従来の形容詞」とは異なると考えられるものが見受けられる。ここで収集・分析

するものが本当に「新しい形容詞」なのか40、単なる「用法の派生」であるのかは、分析を

行って結論を出すこととする。「従来の形容詞」の活用から見れば、「誤用」と思われるも

のが多数使用され、定着しつつあるという現状を認識し、この変化を論理的に証明する。

4.2.2.1 「新しい形容詞」の仮定義

現在使用されている形容詞の中で、「従来の形容詞」とは異なる形容詞の用法があり、こ

れを「新しい形容詞」とし、仮定義を行う。

「新しい形容詞」の仮定義

「従来の形容詞」とは異なり、既存のルールに従わない活用を行うものや、従来と

同じ活用を行ったにもかかわらずその意味するものが異なるもの、「形容詞」の造語

法が異なるものを「新しい形容詞」とする。

この仮定義を参考に、実際に考えられる「新しい形容詞」について考察する。

39 形容詞 西原ほか(1988) 40 「日本語ウォッチング」井上史雄(1998:79~80)に「『ちがかった』『ちがくなる』などの新しい形容詞

とも共通性がみられる。」とあるように、これらの形容詞を「新しい形容詞」とする記述もある。

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35

4.2.2.2 形態的特徴

米川(1998:50-55)で、まとめられていた「若者言葉41」の省略方法を参考に、「新しい形

容詞」の例を挙げる。

①省略 形容詞を省略する方法は大きく2つに分けられる。

1中略 元々ある語彙の中略をするが、殆どの語彙は5拍・6拍のものを3拍に短縮。

○例 ぎこい きしょい きわい きもい はずい はんぱない むずい

2形容詞の複合語 一つ以上の形容詞を含み何らかの省略をして造った形容詞を挙げる。

a. 省略(い) い 前項要素下部だけを省略

これも二種類に分けられる。特に、人の様子を表す語彙に使われる。

a-1: 形容詞―(並列)― 形容詞

並列は、同等である形容詞を二つ並べ一つの語彙にしたものである。

○例 エモイ エロかっこいい

a-2: 形容詞―(逆接)― 形容詞

逆接に関しては後項部分に重点があり、二つの相反する要素を一つにまとめた語彙

である。その二つの特徴を持つものを指す。 ○例カッキモイ キモかわいい

b. 省略(い) 省略(い) 各要素の下部を省略 2拍+2拍⇒4拍

二つの形容詞を組み合わせ、どちらも各要素の下部である「い」を省略したもので

ある。前項要素2拍と後項要素2拍をあわせ、4拍で一単語としている。前項・

後項どちらの要素も、元々の形容詞を省略し、使用している。また従来の形容詞

でも一つの形容詞のうち2拍を使用し組み合わせている。

○例 キショウザ キモウザ

c. 省略(い)+名詞

形容詞と名詞を組み合わせて省略し、形容詞修飾した名詞を造っている。これは

名詞を見るだけで、どんな名詞なのか判断できる。

○例 キモヲタ ダサ男 だらしな系

41 米川の著書では「若者語」とあるが、本論文では「若者言葉」で統一する。

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36

d. 省略+省略い 前項要素下部・後項要素上部を省略

他の省略に比べ、元の語彙の復元がやや困難である。

○例えもい=え(ろい)+(き)もい うざもい=うざ(い)+(き)もい

e. 三語以上の複合語

このルールに当てはまる語彙は少ない。省略して造った一つの語彙で様々な要素

を含んでいることを示すことができる。

○例 かちょもい:か(なり)+ちょ(う)+(き)もい

副詞 + 副詞 + 形容詞

もいもいさい:(お)もい+(き)もい+(く)さい

形容詞+ 形容詞 + 形容詞

f . 副詞+形容詞

副詞の一部と後項形容詞の語幹が重なるものや方言42を使用するなどして、語彙を

増やしている。

○例ちょうざ チョッパズ でらうま まじうざ かなきしょ マスウザ

②倒置 ○例 バイヤ まいうー

以前から業界用語や隠語では、倒置という方法が使用されていた。ここで挙げた例のう

ち、「まいうー」は出自がはっきりしているものである。2000 年に始まったテレビ東京系

の番組「debuya43」で、パパイヤ鈴木と石塚英彦44が使い始めたものである。2001年に、女

子大生を対象に実施したアンケートでは「まいうー」に対する拒否反応もあったが、現在

は定着し若者の間でも使用されている。

「新しい形容詞」は、省略する形が多く、その省略によって元の語彙を変化させるため、

更に倒置して変化する必要性がないためか、倒置の例は少ない。

4.2.2.3 意味的特徴

語彙としては既存のものであるが、従来の意味・辞書に記載されている意味とは異なる

ものを集め、以下に示す。

42 2005 年頃から共通語で新しい語彙を造るのではなく、各地の既存の方言が流行した。 43 2000 年当時は深夜番組。2003年 10 月より 19:55~「元祖!でぶや」というタイトルで放送。 44 「でぶや」出演タレント。若者ではない、パパイヤ鈴木(当時 34 歳)と石塚英彦(当時 38 歳)が考えた

「まいうー」が流行語となり、2013 年現在でも使用されている。

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37

①痛い

良い状態ではないことを表す。「だめだ」「やばい」「きちんとしていない」など、否定的

な意味を持つ。「痛い」を使うことでマイナスイメージを示す。

○例 1 A:そういえば来週、○○ちゃんの結婚式やろ?

B:そうなんよー。今月ぎりぎりなのに…痛いわー。

A:結構大きいもんね、出費が…

ここでは、やりくりが大変な時に大きな出費で「痛い」としている。財布や財政的にダ

メージがある、という意味で使われている。

○例 2 A:あいつ、痛いわ。

対象となる人物の性格などが、常識から外れている、またはとんでもない様子であること

を示す。ある人物の奥堂や言動に対して、特に、マイナスの出来事について使われる。

②おいしい

「おいしい」は従来食べ物に使われる形容詞だったが、自分にとって何らかの利益があ

る、または得をするものについて使用する場合がある。

○例 3 A:もう、勘弁してくださいよー。

B:A(人名)、おいしいなぁ、その状況。

特にテレビでお笑い芸人がよく使っているが、これは「笑いがとれる」「ウケる可能性が

高い」といった意味で使われている。だが「うらやましい」とは異なるものであり、「おい

しい」とされる人の「得をすること」に焦点がある。

○例 4 A:ちょっと聞いてやー。最悪ー。

B:どうしたん?

A:また○○に面倒くさいこと押し付けられたー。

B:そうなん?うまいこと逃げんと。

あの子いっつもおいしいとこだけ持っていくんやって。

この場合は、「自分にとって都合が良いこと」「自分にとって利益となること」を「おい

しい」とする。物事の一番いい所だけを取る、という意味で使われている。

○例 5 A:うーん、別にそんなに忙しくないけど。

B:そうなん?あー、じゃあ、明日とか暇?

A:えー、うん、まあね。なんで?

B:あのね、おいしいバイトがあるんだけど、どうかな、と思って。

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38

「あなたにとって良い話」という意味である。「おいしい」バイトとは、時給が良い、内

容があまり大変ではない、楽なものをさす。「良い」ことを強調していると言える。

③普通に

前後の文脈から考えても「普通に」そのものには意味を持たせていない45ようである。

○例 6(エレベーターで)普通に 5階だ。降りなきゃ。

大学構内のエレベーターの中で学生がしていた会話である。「普通に 5 階だ。」の前まで

は、全く別の会話をしていた。だが、突然「普通に」が出てきた。何をさして「普通に」

なのか、さっぱり分からない。ここでは「もう5階だ」といった文脈だが、従来の「普通

に」とは異なった意味で使用されていると考える。

○例 7 A:(ギターを弾いている)

B:ギター、普通に超うまいね。

自分の為にギターを弾いてくれた人に対して、演奏終了後に発したことばである。「普通

に」と「超」はレベルで見ると明らかに不整合なのにもかかわらず、一緒に使用されてい

る。このように使われる「普通に」は「普通に」という固定した形で使用され、「普通だ」

「普通の」といったものは使用されない。

この意味と用法は、特別な文脈というよりは、前のコンテクストと異なる話題・内容に

ついて話をする場合に用いられているようである。「何か」を表わしているものだと考えら

れるが、どのような意味で、どのような意図で使われているのだろうか。「普通に」が出て

きた理由も解明するために、もっと用例を集め、コンテクストを分析する必要がある46。

本研究で収集した自然談話ではほとんど出てこず、資料が少なすぎたため、今後も収集を

続け、分析を行う。

④素で

「素」というのが「本来の」「飾り気の無い元のままの」というのではなく、「本気で」

「まじで」と同意義で使用されている。

○例 8 : 素でやばい。

○例 9 : それって、素で言ってる?

これ以外の例が無かったため、分析するには資料不足である。ただし、従来の使い方とは異なっ

ていることは明らかであり、意味が変化している、ということは言える。

45 2013 年の現時点では「意味は無い」と考えるが、この用例については更なる分析が必要であろう。 46 本研究で収集した資料では、これ以外の用例が無かった。同じように使用されているコンテクストを分析

できれば良いが、使用例が見つからなかった。より詳しい研究は今後に譲る。

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⑤びみょう

「ハッキリしない」というのが従来の意味であるが、ここでは「イマイチである」「あ

まり良くない、気に入らない」といった意味で使用され、マイナスの意味が含まれている。

○例 10 :うわぁ、この味付け、びみょー。

○例 11 A:○○にあの話、した?

B:うーん、まだなんやけど…。びみょーやわ。

「あまり美味しくない」ということを明言したくない場合や「あの人に知らせるのはあ

まり気が進まない」場合に使用する表現である。

⑥やばい

「やばい」は元々やくざなどが使用していた隠語で、悪い意味や、マイナスイメージで

使用されてきた。もちろん、従来通りの「悪い」意味で使用されている場合もあるが、最

近では「すばらしい」「良い」など、プラスのイメージで使われることも多くなってきた。

○例 12 : これ、やばいっすよ。まじでうまいから。47

4.2.3 「い形容詞」と「な形容詞」の派生形式

「い形容詞」と「な形容詞」には、様々な派生形式がある。その派生形式によって品詞

を変化させたり、同じ品詞だが意味を付け加えたりするものがある。これらの派生形式は、

「い形容詞」と「な形容詞」から新たな語を派生させる、という働きがあるため、その派

生形式やその派生方法について、「新しい形容詞」との関連が考えられる。本章で分析する

派生形式は【 〜過ぎる ・ 〜げ ・ 〜くさい 】である。

それぞれの派生形式についてみていこう48。

4.2.3.1 「~過ぎる」

「い形容詞」と「な形容詞」に「過ぎる」を付加することで、動詞を派生させるもので

ある。程度の高いことを示す。

○例可愛過ぎ(る)

47 SMAP×SMAP の「ビストロ SMAP」コーナーで木村拓哉が発言。(2004 年。放送日は不明) 48 ここでは先行研究「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」を参考にまとめることとする。

全てを引用するわけではない。このうち、「〜げ」「〜くさい」については、先行研究で「『文法化』の特徴が

見られる」とされているため、5章(「〜げ」: 5.2.1.4、「〜くさい」: 5.2.1.2)で詳しく述べる。

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40

「~過ぎる」は「い形容詞」も「な形容詞」も同じように変化させて単語を派生させて

いる。「新しい形容詞」に「過ぎる」をつけ、さらに「る」を省略している。

○例やばすぎ(る) キモすぎ(る)49

4.2.3.2 「~げ」

「〜げ」について白川ほか(2001)に「『~げ』はもっぱらい形容詞とともに用いられ必ず

そのような様子であるという意味を表します。また『楽しげ、苦しげ、悲しげ、懐かしげ』

など感情を表すい形容詞とともに使われると外観から状態を推察して述べる言い方になり

ます。50」とあるように、「そのような様子である」という意味を持たせることができる「〜

げ」は、意味を付け加えるだけでなく、文法的機能を持つ接尾辞である。「げ」を付加する

ことで「な形容詞」を造ることができる。

○例退屈げ51 悲しげ さびしげ いわくありげ 心配げ 楽しげ 苦しげ

食べたげ 言いたげ 怪しげ 懐かしげ 心細げ 美しげ 読みたげ

4.2.3.3 「~くさい」

従来の「~くさい」は、日本語文型辞典(1998)に「いかにもそのような様子であるとい

う意味を表す。あまりよいと思われていないものに使われることが多い。よくない意味を

表す形容詞に付き、その意味を強めるのに用い52」ていた、と記されている。「くさい」が

「い形容詞」であるため、これを付加することで元の品詞を「い形容詞」に変え、派生語

を造っている。

○例インチキくさい、インテリくさい、バタ臭い、古臭い、面倒くさい、

けちくさい、ガスくさい

「ようだ・みたいだ・そう思うが確信が持てない」といった意味も含むようになったも

のがある。また、「よくない意味を表す語」に「~くさい」を付けてその意味を強めていた

が、一般の名詞や動詞の過去形にも使用できるようになった。

49 「動詞」とするか「名詞」とするか、という問題も考えられるが、ここでは「形容詞」+「派生形式」で

できた語彙を取り上げ、その品詞については論じない。 50 「中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック」 2001 年 白川博之 監修 51 な形容詞は「~げ」を加えると非文法的であるため、「退屈げ」「心配げ」なども非文法的である。人によ

ってはその使用に差がある可能性がある。 52 「教師と学習者のための日本語文型辞典」 くろしお出版 グループ・ジャマシイ

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41

○例 13 棺おけくさくない?

(探していた)棺おけなんじゃない?/棺おけっぽくない?

14 明日は無理くさい。

→無理だと思う

15 あそこにあったくさい。

例 13では、探していた「棺おけ」らしきものをさして「〜みたいだ/〜のようだ/〜っ

ぽい」と同じように「〜くさい」を使用している。

例 14は「無理だと思う」ものを、若干の余地を残した形で「くさい」を使用して、クッ

ションを入れている。そうすることで「無理」と直接的、ストレートな表現で言わないで

すむ。

例 15 のように今現在はそこにないが、「あそこ」に存在していた可能性がある、という

表現のかわりに「くさい」を使用している。

ここで、なぜ「〜くさい」を使用しているかということについて検討する。「疑わしい」

「可能性がある」という意味で使われているようである。デジタル大辞泉の「臭う53」には、

「はっきりとはわからないが、その可能性が感じられる。多く、好ましくない物事にいう。

『何か魂胆が -—・うぞ』」とある。この「におう」との関連が考えられる。現段階では使

用例が少なく分析するのが難しいため、今後も研究を続ける。

4.2.3.4 「い形容詞」と「な形容詞」の派生形式のまとめ

以上のように、「い形容詞」と「な形容詞」の派生形式をみると、どちらも同じように「い

形容詞」または「な形容詞」(またはその語幹)に付加することによって派生させているよ

うである。ということは「い形容詞」も「な形容詞」も派生形式が同じということになる。

ここでみた派生形式の場合、付加する接尾語によって、新しく造られる語が「い形容詞」

になるか、「な形容詞」になるか、「動詞」になるか、ということが決まっている。つまり、

派生する前の語が「動詞」なのか「い形容詞」なのか、「な形容詞」なのかによって左右さ

れるのではなく、付加する派生形式それ自体によって左右される、ということが言える。

53 「におう(臭う)」デジタル大辞泉 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/166262/m0u/

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42

4.2.4 活用の変化

「新しい形容詞」の中でも一番大きな変化であると考えられるのが、「な形容詞」が「い

形容詞」と同じ活用をするようになってきている、という現象である。「い形容詞」と「な

形容詞」について従来のものと新しいものを比較し、表8にまとめる。

4.2.4.1「い形容詞」「な形容詞」活用 従来と新しいものの比較

実際にどのような活用をしているのか、従来のものと新しいものを比較してみよう。

○例 好きじゃない⇒好きくない 派手に⇒派手く ぶすじゃない⇒ぶすくない

変じゃない⇒へんくない 静かだった⇒静かかった

表8. 「い形容詞」「な形容詞」従来の活用との比較

活用 活用

い形容詞 否定

過去

○○い→○○くない

○○い→○○かった

な形容詞 否定

否定

過去

過去

○○だ→○じゃない

○新○○だ→○くない

○○だ→○だった

○新○○だ→○かった

従来好きだ →好きじゃない ○新好きだ →好きくない

従来静かだ →静かだった ○新静かだ →静かかった

「小さい」「小さな」といった語彙があるように、「い形容詞」が「な形容詞」の活用を

使用することが可能であるならば、「な形容詞」が「い形容詞」の活用を使用することも可

能だ、と考え「新しい形容詞(用法)」を生み出していったのではないだろうか。その活用

から、「な形容詞」が「い形容詞」の活用を採用するという流れが生まれ、現在も使用して

いるが、この変化は一部の「な形容詞」において定着しつつある。今後は「な形容詞」が

「い形容詞」の活用法をとるようになるのか現時点では分からないが、これからも増えて

いくのではないか。ただし、「な形容詞」が「い形容詞」の活用を使用する語彙は限られて

いる。また、方言との関連も無視できない。西日本の一部地域では「な形容詞」も「い形

容詞」の活用を使用している語彙もあるため、全国的な調査の必要がある。

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43

4.2.4.2 「新しい形容詞」の活用

形容詞の活用では「~ない」の形、つまり否定形を造る際の活用法に変化が見られるよ

うである。本来ならば「な形容詞」の場合、文法的には「~じゃない」という形になるべ

き所を、現在「~くない」のように「い形容詞」の否定形の活用を応用していると考えら

れる語句が存在する。

○例 ぶすくない、変くない

「新しい形容詞」では、否定形を作る際、「い形容詞」「な形容詞」共に「い形容詞」の

活用によって「ない形」を造る。しかし実際の例を見てみると、従来の文法では「非文法

的」とされている「な形容詞」を「い形容詞」の活用法で活用させる例が存在している。

○例 16 A:この服どう?

B :うーんちょっと派手くない?

これは「な形容詞」に「い形容詞」の「ない形」の作り方を適用していると考えられる。

「い形容詞」と「な形容詞」の「ない形」活用は異なっているが、どちらかの活用を使用

する場合があるようだ。ただし、「な形容詞」に「い形容詞」の「ない形」の活用を適用で

きる使用例が少ないため、限られた範囲での使用であると考えられる。例えば、他の「な

形容詞」でも、「ハンサムだ」「ワイルドだ」などのように、外来語を形容詞に変化させた

ものには使用できないためである。

4.2.5 「○○ない」の変化

○例 17 A:かわいくなくない?

B :かわいいの?かわいくないの?どっち?

「かわいくなくない?」という発話を聞いて、聞き手が肯定・否定のどちらなのか判別

できない、という場面に遭遇した。どちらも大学院生ではあったが、属性は異なっていた54。

ただし、この「○○ない」が活用されたことによる混乱であることは確かである。

そこで、「○○ない」について従来の意味と、その使用に見られる変化について分析する。

54使用している人の属性、特に西日本では好んで使用されているため、育った地域による影響が大きい場合がある。

この、属性による使用の差については、他の研究に譲る。

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44

4.2.5.1「○○ない」の従来の意味

「○○ない」はある「もの」がそうではない、ということを示す。つまりこれは、ある

「もの」やその性質を否定するものである、というのが従来の使用法である。先行研究を

まとめ、「○○ない」の従来の意味を提示する。

ない〔打消しの助動詞〕

①「何度考えてもわからない」のように打消しの意味。

②「よかったら家へ来ない」「そろそろやめにしないか」のように、勧誘の気持ちを

こめた質問の意味を表す。・・・してはどうか。

動詞「ある」について「あらない」とはならない。その場合、形容詞「無い」を

用いる。

「面白くない」「おだやかでない」のように、形容詞・形容動詞、およびその活用型

の助動詞につく「ない」は、形容詞の「無い」であって、区別される。

②で「か」などがつかず「ない」で終わるときは、上昇調のイントネーションを伴う。

従来の「ない」の意味は、「打ち消し」や「勧誘」であった。

○例 18 かわいくない。

この例は「かわいい」の打ち消しであるため「かわいい」という状態ではないことをさす。

4.2.5.2 「○○ない」の「新しい用法」

「〜ない」の「新しい用法」は、どのようなものがあるのだろうか。従来の用法では「動

詞+ない」という形で「勧誘の気持ちをこめた質問」の意味を表したが、この用法が拡大

されて「形容詞」にも使用できるようになった、つまり使用できる品詞の拡大が起こった

のだろう。さらに、この用法が「形容詞」に適用される際、「ない」の形を作るために、「い

形容詞」の活用法を採用し、「な形容詞」の活用法は除外したということもあり得る。これ

は、それまで「な形容詞」だったものが「い形容詞」の活用によって活用・使用されてい

たという背景があったと考えられる。

また、「新しい形容詞」では従来の「○○ない」の意味とは異なる意味を持たせていると

考えられる。若者を中心に使用されている方法、「半疑問文」で使用される場合の「○○な

い?」は、従来の意味とは異なる意味で使用されている。「ある『もの』がそうではない」

のではなく、「ある『もの』が『そのもの』だ」ということや、「ある『もの』が持ってい

る性質の通りである」ということを聞き手に確認する用法が新たに造られ、使用されてい

る。例をあげて見てみよう。

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45

○例 19 A:このままとか可愛くない?

B:あー、そうやんな。

従来の動詞の用法であれば「よかったら家へ来ない」の場合、「『か』などがつかず『な

い』で終わるときは、上昇調のイントネーションを伴う」のであるが、その意味は「勧誘」

である。ここに挙げた例の場合は形容詞であるため「勧誘」ではない。では何を表すかと

いうと「同意を求める」ものである。例の F19は「私は可愛いと思うけど、あなたはどう?」

「あなたもそう思う?」と相手の同意を求める働きを持たせている。これに対して F20 も

「そうだね」と同意している。この「新しい用法」を使用した発話者(F19)は「肯定」の

返答を期待している。しかし、実際には反対されることもある。

○例 20 A:こっちのが良くない?

B :そう?あっちのが良いんやない?

自分の意見を述べる時に「良いよね」と断定せず、尻上がりイントネーションで相手に

聞くという所に、「同意を求める」「賛成して欲しい」という気持ちが現れているのであろ

う。従来の用法と若者言葉における用法の比較を表9にまとめる。

表9. 「○○ない」の従来の用法と「若者言葉での用法」の比較

従来の用法 若者言葉での用法

①品詞拡大 動詞+ない → 勧誘 形容詞+ない→同意を求める

②イントネーション 勧誘の場合、上昇 同意を求める場合、上昇

③意味の変化 勧誘の気持ちをこめた質問 同意して欲しい

聞き手がもし、この「新しい用法」を知らなければ、同意を求められていると考えずに

混乱し、ミスコミュニケーションが起こるだろう。

○例 21 A : あれはかわいくなくない?(尻上がりイントネーション)

こっちのがかわいいやん。

B:「かわいくなくない」って、かわいいん?かわいくないん?どっち?

A:「かわいくないと思うんだけど、どう?」っていう意味で聞いたんやけど。

B: そうなん?分からんやった。(笑)

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46

イントネーションにより、「文面のみから判断される意味」とは異なる場合である。ここ

で「かわいくなくない」という形をとり、更に「新しい用法」を使用した。そのため、混

乱したと考える。

○例「かわいくない」 ⇔ 「かわいくない」(尻上がりイントネーション)

「かわいくない」という言葉を聞いた時に、何通りかの意味が考えられる。これまで使

われ、認知されてきた意味で使用する場合には、従来どおりのイントネーションにより「か

わいいとは思わない」という意味でとることができる。しかし、尻上りイントネーション

になった場合は、従来のものとは少し異なり、「かわいいよね?」と自分の感想を述べ、更

に相手に対し同意を求めたり確認したりする意味を含んでいるとも考えられるのである。

これは「新しい形容詞」の一つであろう。このように、「かわいい」を否定するパターンと

意味について表10にまとめる。

表10. 「かわいい」否定のパターンと意味

「かわいい」否定のパターン 意味

かわいくない

⇒否定

「かわいい」否定

かわいくない?(尻上がり)

⇒同意を求める

「かわいい」発話者肯定・同意して欲しい

かわいく なく ない?(尻上がり)

⇒否定 ⇒同意を求める

「かわいい」否定 + 同意して欲しい

→かわいくないんじゃないか

かわいくなく(は)ない

⇒否定 ⇒否定

「かわいくない」ということはない

→かわいくないこともない

このように、同じ言葉を聞いた場合でも、受け取り手によってその内容の解釈にずれが

生じる。その解釈のずれは、イントネーションに起因するものもあれば、その活用によっ

て異なる意味ととられる場合もある。

なお、使う人によって意味が変わることはないが、世代によって頃なる可能性がある。

2000年代の若者が使用した「かわいい」の否定については、尻上がりイントネーションや

二重否定などがあったことを記しておく。

4.2.5.3 「すごい」の新用法

「すごい」はすでに定着し、「すごく」と活用すべきところでも「すごい」と固定して使

用する傾向がある。テレビ番組で字幕には「すごく難しくて」と書いてあっても、実際に

は「すごい難しくて」と発話している、といったことが見られる。

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47

すごい+動詞 ○例 すごいむかつく

形容詞 ○例 すごいおしゃれ すごいきれい

これは本来「形容詞」だが、ここでは副詞的に働いて、形態は接頭辞のようになってい

る。つまり、「超~」とおなじように使われている。

○例 22 A:あっ!知ってる!おいしいよね

B:そうそうそう、あそこスゴイ好き!でね、なんかね…

この「すごい」は会話の中でも頻繁に使用されているようである。

4.2.6 「新しい形容詞」の特徴

米川(1998:127)「日本語には形容詞が少ないため、若者は新たに造語して不足を補い、

かつそれを使うことを楽しんでいた。55」ということからも、外来語からの新しい語を創造

する場合には主に「な形容詞」を造ってきた、ということが言えるであろう。しかし、新

しい形容詞の用法としては、「な形容詞」だけではなく、「い形容詞」も多く造られている、

つまり用法が拡大していると言える。では、仮定義と分析結果をあわせて見てみよう。

「新しい形容詞」の仮定義

「従来の形容詞」とは異なり、①既存のルールに従わない活用を行うものや、

従来と同じ活用を行ったにもかかわらず、その②意味するものが異なるもの、

③「形容詞」の造語法が異なるものを「新しい形容詞」とする。

①既存のルールに従わない活用を行うものは「な形容詞」の「い形容詞化」が挙げられる

が、現段階ではごく一部の「な形容詞」に起こっている現象である。

②意味するものが異なるものは、意味的特徴で挙げた語彙で分かるとおり従来のものとは

異なる意味を持たせ、意味範囲を拡大していることが分かった。

③「形容詞」の造語法が異なるものを挙げたが、これは外来語の造語法が特に新しい方法

を取っているということが言える。

「形態的特徴」・「統語的特徴」・「意味的特徴」について具体例を挙げ、言語学的分析を

行った上で、以下のように「新しい形容詞」をまとめることができる。

55 「現代若者ことば考」米川明彦

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48

「新しい形容詞」の特徴

造語①省略により生まれた語彙

②外来語を派生させた語彙⇒従来の用法を使用・応用して語彙を拡大

③語幹として使用できる語彙・品詞の許容範囲を拡大

活用①「な形容詞」の「い形容詞」化(一部)「い形容詞」の「な形容詞」化

②派生形式の変化

意味従来の形容詞の意味と異なる意味を持つ

以上のような特徴を持つものを「新しい形容詞」とする。

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4.3 程度の副詞

まず従来の「程度の副詞」とはどういうものか定義し、代表的な例を示す。

以上のような、従来の「程度の副詞」とは異なる、新しい「程度の副詞」語彙を収集し、

①使用方法…どのような機能・意味を持ち、どういった語彙と一緒に使用されている

のか。

②使用状況…どの程度認知され、その使用範囲はどのようになっているのか。

語彙ごとにその使用の傾向を細かく分類し、特徴を明示したい。

4.3.1 「程度の副詞」の新しい語彙

テレビといったメディアや、大学生に実施した記述式アンケートなどから、従来のもの

とは異なる「程度を表す副詞」56語を収集した。これらの語彙について使用例を見ながら

分析していく。ここで分析するのは、「程度の副詞」と同じ働きを持つ新しい語彙であるが、

必ずしも「副詞」であるとは限らない。接頭辞のように使用されているものもあるが、こ

こでは程度を表す語彙として分析する。品詞については、後に詳しく述べる。

4.3.1.1形態的特徴

「程度の副詞」を増やすために、他の語彙を利用して新しい「程度の副詞」を作ってい

る。これまでのものとは異なり、新しく出てきた語彙で、従来は無かったものの特徴をま

とめる。

程度の副詞とは… 副詞のうち、程度や数量を表す。

程度および数量を表す従来の副詞は次のようなものである。(「副詞」名柄迪より)

強調を表す言い方:おおいに、極めて、ごく、ずっと、ぐっと、さんざん、やたら

程度をやわらげる言い方:かなり、相当、だいぶ、なかなか、よほど

程度の進行を表す言い方:いっそう、さらに、なお、ますます、もっと

「こ・そ・あ・ど」を使った言い方:こんなに、どんなに、どのくらい、いかに、

そんなに

数量が多い場合:すっかり、すべて、そっくり、いっぱい、うんと、たくさん、

よく、殆ど

数量などを限定する言い方:せいぜい、ただ、たった、単に

数量などをはっきり限定しない言い方:およそ、ざっと、約

ほとんど、完全に近い状態:たいがい、だいたい、たいてい、ほぼ

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①漢字一文字

漢字を使用し、後節する語彙の程度がはなはだしい様子を表すもの。特に強調を表すた

め、激しい様子を連想させる語彙が選ばれている。【激・鬼・即・爆・超・真】などがある。

○例 激ウマ・即レス・爆睡・超ムカつく・真逆

②名詞の転用「程度を表す副詞的用法」

ある特徴を持つ名詞の意味を利用し、程度の副詞と同じ働きをさせている。これらの語

彙の品詞は名詞であるが、副詞的用法をしている。【大人・鬼・カメ・クソ・ゲロ・バカ・

ブタ】などがある。

○例 大人買い・鬼カワイイ・カメレス・クソゲー・ゲロマブ・バカ売れ・ブタ鞄

③擬音語・擬態語

従来の「程度の副詞」では擬音語や擬態語が使用されることはなかったが、新たな拡大

の方法として、擬音語・擬態語を使用するというものがある。元の語彙とその意味を記す。

表 11. 新しい「程度の副詞」意味の変化

新語 擬音語

擬態語 従来の意味 新しい用法での意味

ガツ ガツガツ 貪欲なまでに物事をする。むさぼる ガリガリよりも程度が高い

がっつり 新語 ― しっかり。たっぷり。思いきり

ガンガン がんがん 勢いの盛んなさま どんどんと、力の限り

さくっと サクッ すこし固い粉状のものを,割ったり

噛んだりしたときの音を表す

さっさと。てきぱきと。簡潔に。

あっさりと、さらっと

ずたぼろ ズタズタ

+ボロボロ

ずたずた=細かく切れ切れになる

ぼろぼろ=破れたり壊れた様子

ひどい有様である

(省略形)

チラ ちらり その動きが素早い、またはごく僅か 気になる様子で少しだけ

チョビ ちょびっと 量や程度の少ないさま。ほんの

少し。ちょっと。

少しだけ

○例 ガツ勉・がっつり食う・ガンガン攻める・さくっと帰る・チラ見

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51

④方言

方言由来のものを使い、「程度の副詞」を増やしている。これは、2004 年頃から若者の

間で流行した方言の使用と関係があると考えられるが、使用時期・使用範囲など定かでは

ない。ある一部地域でのみ使用されてきた方言が、全国的に使用され始めた。従来の「程

度の副詞」にある語彙を方言に置き換えたものである。【バリ(福岡)・むっちゃ(関西)・

めっちゃ(関西)・デラ(名古屋)】などがある。これは、出身地に関わらず使用が見られ

ることが、記入式アンケートの結果から分かった。

○例 バリかわいい・バリバリもてる・むっちゃ好き・めっちゃ良い・デラやばい

⑤外来語

外来語を利用して、新しい語彙を拡大している。元の意味が程度を表す語彙であるため、

意味はそのままであるが、外来語の後ろに「スル動詞」となりうる名詞が付けられ、その

行為の程度を示す。【フル・プチ】などがある。

○例 フルシカト・プチ整形・プチ家出

⑥他の品詞の「副詞的用法」

「程度の副詞」は、元来「副詞」であったはずだが、程度の大小・高低などを表すもの

として本来名詞であった物など、他の品詞も副詞として使用するようになってきている。

その中でも名詞・擬音語などがある。

○例オニ・さくっと

また、一部地域で使用されていたはずの程度を表す方言56が、全国的に「程度の副詞」と

して使用57されていた。

○例バリ・ブチ

そこで、本研究では、「程度の副詞」の「副詞」にとらわれることなく、「程度の副詞」

と同じような働きを持つ、他の品詞の語彙も取り上げることとする。

4.3.1.2 意味的特徴

元の語彙と異なる意味を持たせ、程度を表すのに使用している。

56 「めっちゃ」「むっちゃ」に関して、使用されている傾向はあるが、実際に他地域の使用に関する調査が

必要である。 57 2008 年調査当時、使用されていた。

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①名詞の意味変化

ここで挙げる語彙は、元の語彙の「名詞」が持つ特徴を、程度の表現に利用している。

形態・統語的に特徴的なのは、程度副詞は一般に形容詞か副詞か、動詞を修飾するのが一

般的だが、ここでの新しい程度副詞は修飾される品詞は殆どが名詞又は名詞類である。【ブ

タ靴、大人買い、馬鹿売れ】もこのような用法があったが、それは修飾される名詞が程度

を表わせる「名詞」のみであった。具体例を表 12に示す。

表 12. 「程度の副詞」の意味変化【名詞】

元の意味 程度の副詞としての意味 例 修飾する

品詞

大人 十分に成長した人 財力があり好きなように振舞う 大人買い 名詞

鬼 恐ろしい怪物 怖い⇒すごく 鬼キモイ 形容詞

カメ カメ目爬虫類の総称 亀のように遅い カメレス58 名詞

クソ 糞 嫌、つまらないもの ⇒ひどい クソゲー 名詞

ゲロ 嘔吐物 吐くくらい(-)⇒すごく(+) ゲロまぶ 形容詞

バカ 馬鹿、頭が悪い バカみたい(-)⇒すごく(+) バカ売れ 名詞類

ブタ 動物の豚 豚のように太った、大きい ブタ鞄 名詞

特に「ゲロ」「バカ」などは、元の語彙がマイナスの意味を持つのに対し、転用した際は

プラスの意味を持つようになっている。これは強調する際にインパクトを与えることが目

的とされているため、従来は使用されていなかったマイナスのものを使用しているのであ

ろう。「馬鹿売れ」の「馬鹿+N」パターンは一般的に生産的なものである。

②性質・様子

性質や様子を表す語彙であるが、従来の意味とは少し異なっている。【こ・地味に・速攻・

ちょい・半端ない・マジ・やや】などがある。具体的に意味の変化を見てみよう。

○例 こやじ・速攻行かなきゃ・ちょい悪・マジやば・ややウケ

58 カメレス:カメのようにレスポンスが遅い、つまりカメのように返事が遅いことをあらわす。

クソゲー:つまらない、酷いゲーム

ゲロマブ:すごくマブい=すごくきれいだ

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53

表 13. 「程度の副詞」の意味変化【性質・様子】

従来の語彙の意味と極端な違いがあるわけではないが、その語彙から連想されるイメー

ジが利用されているようである。

③語彙化されたもの

これまで見たように、従来の「程度の副詞」とは異なる語彙があるが、その中でも他の

語彙への応用力は無い。つまり生産性が低いか全く無いものがある。例えば「大人買い」

や「ブタ鞄」のように限定された語彙にのみ付けられており、「程度の副詞」にまで発展し

た機能ではなく、その途上の、語彙化されている段階のものである。これらは一般に程度

副詞として途中の発達段階を示す好例であり、面白い例である。

4.3.2 接尾辞「に」による副詞化

従来の「程度の副詞」でも「に」を付けることによって副詞化されている語彙があった60。

従来の用法と同じように語彙を拡大していると考えられるが、数はあまり多くない。新し

い語彙として挙げられる接尾辞「に」を付けて副詞化しているのは「さりげに」「なにげに」

の2例だが、使用する際、次のような制限がある。

・特定の語彙や状況でのみ使用する。

・「に」によって副詞の働きを持つため、「に」を必ずともなう。

「程度の副詞」として、これまでは曖昧なもの・中間を表すものはあまり無かったが、

次のような例が見られる。

59 「半端ではない」が「はんぱない」に省略された形。 60 {いかに・おおいに・ことに・さらに・じつに・それだけに・とくに・むしょうに}が例として挙げられる。

新語 従来の意味 新しい意味

こ 形や規模が小さい,程度が軽い等の意。 小さい、子ども

地味に 態度や行動が控え目。 こっそりと

速攻 すばやく攻めること。 すばやく、すぐに

ちょい ちょいと。ちょっと。 ほんの少しだけ

半端ない59 物事が完成していないこと。どっちつかず 突き抜けて甚だしい様子

マジ 「まじめ(真面目)」の略。 本気、真剣、本当に

やや 分量・程度がわずかであるさま。 少しだけ(程度が低い)

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54

曖昧/中間 微妙 さりげに 何気に

○例 23 A: 明日のコンパ、どうする?

B: そうなんだよね…微妙に行けそう。

A: 分かったら電話して。

○例 24 A: 先が見えんわー。

B: そやねん。何気にもうすぐ 30やし…

A: どうなるんやろうねー。

「程度の副詞」では、「大⇔小」「高⇔低」といった、尺度を持つものの両極、どちらか

であることを示す場合に用いられることが多かった。しかし「曖昧・中間」を表す語彙が

使用されるようになってきたようである。

ここで「微妙に」は次の「行ける」を修飾しているが、意味としては否定的であるから、

この用法は単に副詞というだけでなく、「否定」の意味を含んでいる。しかし、完全な否定

ではない。ただ、これは「否定辞がないのに否定の意味を持つ語彙」であり、珍しい例と

言えるだろう。

4.3.3 「程度」の類型

「程度の副詞」と言っても、様々な「程度」を表している。その類型を表 14にまとめる。

表 14. 「程度の副詞」の類型

大・高・速 小・低・遅

量 ガツ・ガツガツ・がっつり

ガンガン・フル

ちょい・プチ・やや・チラ

速度 即・速攻・サクッと カメ

大きさ 巨・ド コ・チョビ・貧

評価 クソ・死にかけ・ずたぼろ 地味に

対の関係に無いが、「すごい・すごく」を示すものが多い。

鬼 がぜん ガン 激 ゲロ 超 ドン バカ 爆

バリ バリバリ フル マジ むっちゃ めっちゃ

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55

表 17. 新しい程度副詞の類型

従来は方言であった【バリ・バリバリ・ブチ・むっちゃ・めっちゃ】も「すごい・すご

く」を表す語彙として、全国的に使用されているようである。程度の甚だしい様子を表す

ための語彙が多い。

ここで、従来の語彙と新しい語彙の類型比率を比較してみよう。

従来の「程度の副詞」については「現代副詞用法辞典」飛田ほか(1994)から該当語彙を

抜き出し、それぞれの解説にあるキーワードを「類型」の分類に使用する。例は次の表 15

に示す。

表 15. 従来の「程度の副詞」類型分類例61

まけず

おとらず 両者の状態や程度に差がない様子を表す。 候君は劉君にまけずおとらずよく勉強する。 合致

とことん 程度を強調する様子を表し、必ずしも最終段

階への到達は意味しない。

明日は休みだから、今夜はとことん飲み明か

そう。 強調

それだけ ある数量や程度を限定する様子を表す。 お前の言いたいことはそれだけか。 限定

たった 数量が少ないことを誇張する様子を表す。 彼女は大仕事をたった一人でやりとげた。 誇張

いちばん 程度が最高である様子を表す。 ひいたら薬を飲んで寝るのがいちばんだ。 最高

これらのキーワードを参考に、新しい「程度の副詞」についても分類を行った。つまり、

表 16、表 17および図 3、図 4の類型については飛田ほか(1994)の分類を参考としている。

表 16. 従来の程度副詞の類型

はなはだしい 44 合致・適当 6

強調・誇張 25 最高 5

少ない 17 マイナス 4

上回る・高まる 13 その他 8

表 16.では従来の類型について、表 17.では新しい程度副詞の類型についてまとめた。

この 2つの表を参考に、次のページに掲げる図 3と図 4で類型分類の比較を行う。

その前に、従来の程度の副詞に当てはまらないものについて説明を加えておく。新しい

ものに見られた類型は「量が多い」「(-)⇒(+)」「普通」「程度が軽い」「比較」「スピード」

などがある。

61 これらの例は一部であり、資料に「程度の副詞」一覧を従来のものと新しいもの両方を掲載する。

はなはだしい 13 普通 2

強調 17 程度が軽い 2

少ない 6 比較 2

量が多い 5 スピード 3

最高 1 その他 3

(-)⇒(+) 2

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56

(従来) 類型その他

7%マイナス3%

最高4%

合致・適当5%

上回る・高まる

11%

少ない14%

強調・誇張20%

はなはだしい36%

【新】類型その他

5%スピード5%比較

4%程度が軽い

4%

普通4%

(-)⇒(+)4%

最高2%

量が多い9%

少ない11%

強調29%

はなはだしい23%

図 3. 従来の類型 図 4. 新しい語彙の類型

従来のものと比べると、新しいものでは「強調」が多い。また、従来には無かった「マ

イナスをプラスに」意味変化して使用する語彙や、「普通」、「スピード」などの「程度の副

詞」が新たに加えられているようである。

4.3.4 「程度の副詞」の特徴

新しい「程度の副詞」についてまとめると次のようになる。

・ 程度を表す語彙【漢字一文字・名詞など】

⇒元の語彙の品詞にとらわれず程度の副詞と同様に使用している。

・擬音語・擬態語などを使用するようになった。

・ 新しい語彙を「程度の副詞」として使用する場合は、元の語彙の持つ意味が重要な

役割を果たしている。

・新しい「程度の副詞」は、インパクトを与えることが出来るものを選んでいるようである。

・表記は個人差があるが、語彙によっては様々な表記が使用されている。

・ ある特定の新しい「程度の副詞」の場合には、修飾される品詞が「名詞」または

「名詞類」であることが多くなっている

以上のように、「程度の副詞」にも新たな語彙が加えられ、変化が起こっていることが分

かった。

本研究では、従来のものとは異なる新しい「程度の副詞」について、その言語学的特徴

を明らかにすることができた。また、形態的には他の品詞の副詞的用法など、これまでに

ない語彙の拡大があった。意味も従来のものとは異なっていることが確認できた。このよ

うに、新しい「程度の副詞」の実例とともに特徴を示せた。

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57

4.4 名詞

次に、名詞について見ていくが、名詞の「新しさ」については、出自や使用開始が不明

であるものが多い。その為に判断が難しいが、名詞を名詞化するなど明らかに従来のもの

と異なる名詞化接辞「〜さ」を中心に論じる。

4.4.1 接辞「〜さ」による新しい語彙

接辞「〜さ」は従来のものに加え適用範囲を広げているようであるが、「〜さ」を使用し

た新しい名詞「大事さ」に興味を持ったのがきっかけである。

広辞苑によると「元来『〜さ』を付加し、他の品詞を名詞に変える文法的機能を持つ、

生産性の高い接辞」である。その接辞「-さ」による新しい造語を、全国の新聞を網羅し

た検索エンジン「検索デスク62」で検出した。1739 件の例があり、その中でも従来の用法

に合致しない 415の使用例を収集した。

表 4. 2001 年収集分 被験者属性一覧(再掲)

身分 性別 年齢 出身 身分 性別 年齢 出身

1 大学院生 女 23 福岡 16 大学生 女 22 不明

2 大学院生 女 26 福岡 17 大学生 女 22 不明

3 大学院生 女 23 鹿児島 18 社会人 女 23 岡山

4 大学院生 女 23 山口 19 社会人 女 23 滋賀

5 大学院生 男 23 福岡 20 社会人 女 23 広島

6 大学院生 男 23 愛知 21 社会人 女 24 大阪

7 大学院生 男 22 山口 22 社会人 女 24 兵庫

8 大学院生 女 25 福岡 23 社会人 女 24 福井

9 大学生 女 22 福岡 24 社会人 女 23 京都

10 大学生 女 22 福島 25 フリーター 女 24 大阪

そこで、本研究では接尾辞「-さ」によって造られた名詞について解明する。なぜ他の

名詞化接辞「〜感」などではなく「〜さ」を加えるのか。「〜さ」が漢語に付きやすい理由

は何か。「〜さ」について定量的に計りたい。また、新しい造語の特徴を捉え、その使用例

から実態を明らかにすることが本研究の目的である。

4.4.1.1 名詞化とは

まず「名詞化」とはどういうものか、その種類と名詞化の方法を 4.4.1.2に示す。次に、

名詞化する接辞「-さ」の従来の用法について、先行研究を参考にまとめる。

62 http://www.searchdesk.com/news.htm

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58

4.4.1.2 名詞化する種類と方法

名詞化する接辞や語彙を表 18に挙げる。

表 18. 名詞化の種類63

4.4.1.3 従来の名詞化接尾辞「-さ」

名詞化接辞「-さ」は、便利で生産性の高い接辞であり、その働きによってこれまでも

語彙が増えてきた。ここでは先行研究・関連文献を参考に、従来の接辞「-さ」について

まとめる。

4.4.1.4 名詞化接尾辞「-さ」に見られる変化

名詞化する接尾辞「-さ」は、「い形容詞」に付けたり、「な形容詞(の一部)」64にも付け

られ、他の品詞から名詞を派生させる接辞として、これまでも使用されてきた。しかし、

現在の使用例を見てみると、従来の「-さ」とは異なると考えられるものが見受けられる。

実際の使用例と現在の使用状況をふまえ、名詞化する接辞「-さ」に見られる変化はどの

ようなものなのか、どのように使用されているのかをまとめる。特に、

・「な形容詞」に関する使用制限⇒許容範囲の拡大

・従来の接辞「-さ」の用法と言語学的特徴

・名詞に付加する新用法とその言語学的特徴

以上の変化について、調査・分析を行うことで、名詞化接尾辞「〜さ」に起こっている変

化を明らかにすることができると考える。

63 「日本語ボランティア《すずめ》の忘れっぽい自分のための文法ノート」を改訂。 64 全ての「な形容詞」に付けられるかどうかは、先行研究などで言及されておらず、詳細については不明で

ある。

さ 高さ、勤勉さ い/な形容詞 ⇒名詞

方 話し方、笑い方 動詞(ます形)⇒名詞

よう 言いよう、聞きよう 動詞(ます形)⇒名詞

性 重要性 形容詞⇒名詞

目 細め、控えめ い形容詞(語幹)⇒名詞

動詞(ます形)⇒名詞

げ 楽しげ、やさしげ い形容詞⇒名詞

感 やりきった感 動詞 ⇒名詞

他の品詞を名詞に変える文法的機能を持ち、生産性の高い接辞である。

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59

本研究の分析に使用する「-さ」使用例、資料は、自然談話録音資料にはほとんど出て

こなかった。そこで、ンターネット上の語彙を中心に、特に全国の新聞を網羅した検索エ

ンジン、「検索デスク65」を主に利用したところ、1739 件中、415 の使用例を収集すること

ができた。この 415例の分析を行う。

4.4.2 接尾辞「-さ」の言語学的特徴

国立国語研究所「かたりぐさ」を使用し、接辞「-さ」が付加できる語彙を漢語と和語

に分類、その品詞を調べる。従来のものと結果を比べ、変化が見られるものの特徴を捉え

ることとする。

4.4.2.1 形態的特徴

接辞「-さ」には付加することで他の品詞66を名詞に変える働きがある。つまり、名詞化

するという性質から形態的特徴は従来のものと同じである。

4.4.2.2 統語的特徴

統語的特徴では、「-さ」をつける語幹について主に見ていく。

①簡素化

他の名詞や名詞化する接辞があるにもかかわらず、「-さ」を付けて名詞化している。

○例 25:「独裁の闇解明進まず スピード重視、公平さ疑問」(東京新聞 - 2006 年 6 月 19 日)⇒ 公平性

26:学術的真偽を別にして、緊迫さに欠けた ... (東亜日報 2006 年 6 月 28 日) ⇒ 緊迫感

27:敏捷(びんしょう)さが傑出していた。 (読売新聞 - 2006 年 12 月 25 日) ⇒ 敏捷性

28:改憲論議の行方は不透明さを増している。 (中国新聞―2007 年 8 月 7 日) ⇒ 不透明性

従来は「~性」や「~感」等も使用していたが「-さ」を多数使用するようになってき

ている。これらの例からも分かるように「-さ」以外の他の接辞を使わずに名詞を造るこ

とで、名詞化ルールを統一簡素化していると考えられる。

②語幹使用範囲の変化

どのような語彙に「-さ」を付けて使用しているのであろうか。具体例を挙げる。

○例 29:…下品で粗暴」とその悪質さを指摘していた。(北海道新聞 - 2006 年 12 月 18 日)

30:…惨敗中田になかったおちゃめさ、調整力…(ライブドアニュース 2006 年 6 月 24 日)

31:監督には、がむしゃらさが足りないと映っていたのだ。(朝日新聞 - 2007 年 8 月 5 日)

32:シンプルさと軽量さはうまく使えば、…(ビジネスコミュニケーション - 2006 年 12 月 17 日) 65 http://www.searchdesk.com/news.htm 66 ここでは一般的な品詞の変化について述べているが、本研究の名詞化する接辞「~さ」は名詞に付加され

ることもあるようである。

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60

和語

18%

漢語

65%

外来

15%

混交

2%

33: 足達勇輔氏(略)は、そんな豪胆さを感じたという。(朝日新聞 - 2006 年 6 月 22 日)

以上のように、これまでは使用されていなかった語彙にも使われるようになってきてい

る。どのような語彙に使用されているのか、漢語や和語、品詞などに分類し、それぞれ見

ていこう。

②-1 漢語と和語、外来語

接辞「-さ」を付ける語幹についてであるが、

今回収集した従来のものと異なると考えられる

415例の語彙のうち 65%が漢語である。(図5に

示す。)従来の用法で使用していた語幹だけでなく

類義語の語幹にも接辞「-さ」を付加し、拡大

使用するようになったと考えられる。

従来は「い形容詞」、つまり和語を中心として

「-さ」が付けられていたが、漢語にもその使用が 図 5. 接辞「〜さ」の語幹

拡大され、同様に外来語にも広がっているようである。

ここで「なぜ漢語が多く使用されているのか」について検討する。まずは、これまでの

ルールでは付加できなかった漢語にまで許容範囲が広がったことに伴い、使用例が増加し

ていると考えられる。その他にも、次の節で取り上げる「大切さ」と「大事さ」のように

既に使用されていた語彙からの派生も影響していると言えよう。

②-2 漢語と漢語の類義語

大切さ → 大事さ

どちらの語彙も漢語であり、な形容詞語幹なので、同じように見えるが、従来は「大切さ」

を使用していた。現在では「大事さ」も使用されている。

○例 34: 信じることの大事さを教わった。(読売新聞 - 2006 年 12 月 18 日)

35: 「日ごろ平和の大事さを忘れていないか」などと...(琉球新報 - 2006 年 6 月 21 日)

36: 愚直な努力の大事さを強調。着々と…(スポーツ報知 - 2006 年 12 月 21 日)

37: 遅らせた経験から食事の大事さを実感したという。(西日本新聞 - 2007 年 7 月 14 日)

38: お客さまの信頼やブランド価値の大事さ、企業の…(神戸新聞 - 2007 年 8 月 5 日)

「大事」は、「だいじ」(漢語)「おおごと」(和語)のように、同じ漢字で異なる読みが

ある。漢字表記のままでは、漢語か和語か判別し難いため、これまでは使用されていなか

ったが、語彙拡大のため許容されるようになったと考えられる。 この「大事さ」が使用

され始めたのがいつ頃かは定かでない。

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61

以上のように「大事さ」が使用され、着実に使用頻度が増えていることが、このグラフ

からも分かる。いつから使用されたかが問題なのではなく、使用数が増えるにつれ、「大事

さ」に対する違和感が無くなり、定着しつつあるということが分かる。このように、従来

は漢語には、あまり使用されてこなかったにもかかわらず、現在は「-さ」を付加できる

語彙が増えていることから、{和語・漢語・混交語・外来語}の区別だけでなく、品詞にも

目を向け、その使用について調べてみることとする。これまでの使用とは異なる 415例を、

品詞や和語・漢語などの点から語種辞書「かたりぐさ」の分類に沿って分けると、次の表

19.のようになる。

表 19. 【和語・漢語・外来語・混交語】 品詞別

本研究で分析を進める 415 例については、従来から使用されているものは含んでいない

ため漢語に付加したものが突出している。しかし、従来は「和語に付加する」という規則

があったため和語が少ない訳ではない。つまり、本研究で対象とした新しい語彙について

「新しいものは漢語に『〜さ』を付けたものが大半を占める」ということが示せた。同様

に、「な形容詞」や「な形容詞/名詞」の語彙数が他の品詞と比べて多いのも、従来の規則

では作ることが出来なかったからであろう。従来通り和語に付加した比較的新しいものや、

外来語に付けたものもあったため、許容範囲が拡大したと言える。

従来のものは、「な形容詞」「名詞」、両方を有する語彙に接辞「-さ」を付けることは少

なかった。しかし、接辞「-さ」を付加できる語幹の使用範囲を広げたため、な形容詞/

名詞どちらも有する語彙を語幹とし、接辞「-さ」によって名詞化されるようになったと

考えられる。な形容詞/名詞どちらも有する語彙にしようできるようになったことから、

更に名詞のみの語彙も使用可能となったようである。

名詞にも「さ」を付けるものが見られる。元の語が名詞なのだから、わざわざ名詞化す

る必要は無いはずだが、実際には 415例中 34例あった。この用例については、本節④の「名

詞」+「さ」で詳しく述べる。

イ A ナ A ナ/N N 副詞 その他 計

和語 26 27 9 3 0 9 74

漢語 0 93 141 27 4 4 269

外来語 0 26 2 4 0 30 62

混交語 0 6 0 0 0 4 10

26 152 152 34 4 47 415

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62

②-3 外来語

外来語に接辞「-さ」を付ける場合、語幹となる語彙の品詞は、ほとんどが「な形容詞」

だが、「い形容詞」と「名詞」にも付けられる。しかし、現時点においては、「な形容詞/

名詞」ともに有する外来語の語幹に接辞「-さ」を付けることはない。

○例 39: …ものから、都会的なジェントルさをアピールすべく...(bounce - 2006 年 6 月 22 日)

40: E280に上質感とスポーティさを高めた特別限定車 (カービュー - 2006 年 6 月 5 日)

41: ダイナミックさに高級感をプラスした!(Corism - 2006 年 6 月 21 日)

42: …そのあまりのファジーさ(あいまいさ)に、「もっと…(読売新聞 - 2006 年 11 月 27 日)

43: …象徴やアクティブさをデザイン化…(日経プレスリリース - 2006 年 12 月 18 日)

44: …カジュアルさを追求する出来となっており、…(GAME Watch - 2006 年 12 月 21 日)

45: 計算しつくされたキャッチーさが満点!(BARKS - 2006 年 12 月 13 日)

46: 彼の“素”のクレイジーさをよく知るマイク…(エキサイト - 2006 年 11 月 30 日)

47: …がついており、シュールさを増している。(朝日新聞 - 2006 年 12 月 13 日)

48: …ような表情から、さらにセクシーさが感じられる。(中央日報 - 2007 年 7 月 25 日)

49: …シリーズは、フェミニンさを強調した、…(日経プレスリリース - 2007 年 7 月 26 日)

50: …しかし、ワイルドさを残しながら洗練された…(レスポンス - 2006 年 12 月 19 日)

これまでは、「グロさ」のような語があり、外来語に「さ」を付けたものが全く無かった

わけではない。しかし、この「グロさ」は「グロテスク」という外来語から「グロい」と

いうい形容詞を造り、それを更に「-さ」によって名詞化されてできた語である。このよ

うな造り方とは異なり、現在使用されている「外来語+-さ」によって造られた語は、

ファジー+い → *ファジい フェミニン+い→*フェミい

など「い形容詞」は作られておらず、外来語に直接「-さ」を付けている。

②-4 な形容詞

「な形容詞」に名詞を接続していた従来の方法をとらずに、接辞「-さ」で名詞化する

ことで、使用範囲の拡大に繋がっているようである。

そっくりな姿 ⇒ そっくりさ

○例 51: あまりのそっくりさに会場…(CINEMA TOPICS ONLINE - 2006年 11月 27 日)

52: …心身の強靭さに頼った戦法が…(朝日新聞 - 2006年 6月 25 日)

53: 対策の鍵はメール識別技術の高度さにあり(ZDNet Japan - 2006年 6月 15日)

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63

54:リピーターも増え、みな、自由さを楽しみ…(神戸新聞 - 2006年 6月 23日)

55: 堅苦しさがない、自由さが伝わってくる…(伊那毎日新聞 - 2006年 6月 22日)

56: 仕事も確実さに加えスピードと…(河北新報 - 2006年 12月 22日)

57: でも掃除は普段のこまめさが一番。私は…(朝日新聞 - 2006年 12 月 20日)

58: 「戦闘の苦悩や醜悪さ」から目を…(北海道新聞 - 2006年 12月 15 日)

59: 空虚さ抱えた大人を描く 米映画…(西日本新聞 - 2007年 7月 27日)

60: …原爆の悲惨さを後世に伝える大切さ…(日本海新聞 - 2007年 8月 7日)

61: …祭は、その勇壮さ、華麗さが知られる。(北陸中日新聞 - 2007年 8月 5 日)

「な形容詞」の場合、「~な点」「~な面」や、「の」などで名詞句を形成しているが、こ

の用法の代わりに接辞「-さ」を付けることで名詞化しているのである。

③接頭辞との共起

接辞「-さ」は、接頭辞{不・無・非・未・御}等とは共起できないのだろうか。本研

究で収集した資料 415例のうち、接頭辞を含むものは、次の 11例であった。

非常識さ・不安定さ・不可解さ・不自然さ・不親切さ・不確かさ・不適任さ・不透明さ・

無秩序さ・無表情さ・有意義さ

○例 62: …マネジャもその非常識さに気づいても…(ITpro - 2006年 12月 20 日)

63: 株価が不安定さの度合いを強めて…(日本経済新聞 - 2007年 7月 26 日)

64: 若者たちの暴走にはなお不可解さが残る ...(朝日新聞 - 2006年 6月 25日)

65: 見比べても、不自然さが浮かび上がる。…(中日新聞 - 2007年 7月 8日)

66: その不親切さに当初戸惑う人もいたが、…(神戸新聞 - 2006年 6月 23 日)

67: …の力不足と不適任さを指摘する…(bounce - 2006年 6月 26日)

68: 以上のような世界経済の不透明さ、政策選択…(朝日新聞 - 2006 年 6月 26日)

69: …で問題になった無秩序さは、フランス…(中央日報 - 2006年 6月 26 日)

70: …キュートだが、無表情さが、仮面…(ウォーカープラス - 2006年 6月 26日)

71: …研修があること自体に有意義さを感じて(swissinfo - 2006年 6 月 15日)

「不確かさ」は混交語で、それ以外は漢語である。漢語を外来語と捉え、接辞「-さ」

を付加したと考えられる。また、「表情の無さ」で接辞「-さ」を使えることから「無表情」

にも使用拡大したのであろう。

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26

152 152

34

4

47

0

20

40

60

80

100

120

140

160

い形容詞 な形容詞 な形容詞/名詞 名詞 副詞 その他

接辞「~さ」 語幹【新造語】 品詞別

以上のように接頭辞との共起の例もあるが、2000年代では少なかった。今後使用範囲が

拡大していく可能性がある。

④「名詞」+「さ」

「名詞」+「さ」は、これまでと異なる 415例の中で 34の用例が見られた。

○例 72: …など、かえって悪質さが際立だっている。(南日本新聞 - 2006年 12 月 3日)

73: 絢爛(けんらん)さに社会性をにじませた(北國新聞 - 2006年 12 月 15日)

74: …を思い起こさせる磐石さがあった。(スポーツニッポン - 2006年 6 月 20日)

75: …考えられないような貧困さ、厳しい(デイリースポーツ - 2006年 12 月 10日)

76: …文章の玲瓏(れいろう)さはさすがに…(産経新聞 - 2006年 12 月 9 日)

77: …インテリアからにじみ出る粋さ。(Open Tech Press - 2006年 12月 20 日)

78: 学術的真偽を別にして、緊迫さに欠けた ...(東亜日報- 2006年 6 月 28日)

語幹の品詞を拡大する際、「な形容詞」を接辞「-さ」で名詞化するようになった。次に

「な形容詞/名詞」の両方を持つ語彙に接辞「-さ」を付加できるようになった。その用

法がさらに拡大して、「名詞」にも接辞「-さ」を付けられるようになったと考える。

⑤語幹の品詞

従来の用法では、な形容詞と同形で名詞が存在する場合、「さ」は付加しない。

○例元気な 元気が(ある/ない)

しかし、「元気さ」のように使用される例が見られるようになった。従来のものとは異な

る、接辞「-さ」の語幹を品詞別に分類すると、図6のグラフのようになる。

図 6. 接辞「—さ」の語幹品詞分類

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今回収集した語彙は、な形容詞、な形容詞/名詞、が多く、名詞も 34語が確認されたこと

から、語幹にくることのできる品詞の拡大が証明できた。

4.4.2.3 意味的特徴

どのような語彙でも拡大したからには、何らかの原因・理由が考えられる。それでは、

名詞化する接尾辞「-さ」を付けることで、どのような意味的変化が期待され、使用され

るようになったのだろうか。

従来は、あまり付加されることの無かった「な形容詞」や「名詞」に「-さ」を付け、

語彙の拡大が行われるようになった。特に、「名詞」+「さ」によって語彙が造られたが、

形態的には変化が見られない。語彙拡大だけでなく、「名詞」+「さ」には「さ」を付けた

何らかの「意味」があるのではないだろうか。また、外来語に接辞「-さ」を付けること

で意味に変化は現れるのだろうか。

まず考えられるのが、接辞「-さ」の持つ意味を付加するため、という理由である。接

辞「-さ」の持つ「付加した品詞の状態・程度・性質を示す」という意味を加えている。

一般的な事物の性質・状態に関する「な形容詞」には接辞「-さ」が「付加できる」、な形

容詞で表される一個人、人の性質・状態については「付加できない」とされてきた。

特に一個人や人の性質・状態については評価や尺度で計れるものではない為と思われる。

○例 79 : Aさんは親切だ。

79’:*Aさんの親切さは他の人と比べものにならない。

優しさ

同じようにして造られた、「やんちゃさ」について見てみよう。

○例 80 : 彼はやんちゃだ。

80’: 彼のやんちゃさは、影を潜め…

実際の例は、次のようなものがある。

○例 81: 次第に“やんちゃ”さが...(明大スポーツWEB - 2006年 6月 20日)

82: やんちゃさは影を潜め、すっかり大人…(スポーツ報知- 2006年 12 月 18日)

この語には元々レベルが存在しないがレベルを持たせ、特に高いレベルにある、もしく

は極端である、ということを示すために、「-さ」が使用されている可能性がある。

4.4.3 名詞化接辞「〜さ」まとめ

これまで使われてきた接辞「-さ」によって名詞化されたものと、用法の拡大と考えら

れるものを、様々な角度から比較する。

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表 20. 接尾辞「-さ」の比較

従来のもの 用法の拡大

語幹の品詞 い形容詞 ◎

な形容詞 不明

名詞 ×

い形容詞 ◎

な形容詞 ◎

名詞 ◎

和語/漢語 和 ◎

漢 不明

和 ◎

漢 ◎

外来語 不明 ○ な形容詞中心

意味 不明 状態・程度・性質ではない語彙

→レベルを持たせる

語彙を拡大する際、接辞「-さ」は、従来は「程度・尺度」を表すい形容詞・な形容詞

に付けられていたが、その許容範囲が広がったと考えられる。

本研究では、名詞化接辞「-さ」について以下のことが明らかとなった。

・「従来の働き」と「現在見られる変化」

・接辞「-さ」を付加できる語彙の拡大と特徴

・「名詞」+「さ」という語彙が存在する。

・「-さ」の持つ意味を付加するために、名詞に「-さ」を付けるようになった。

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67

4.5 新しい表現

若者が使う表現の中には、品詞で分類し難いものもあるため、ここでは「新しい表現」

としてまとめる。1990年代後半には「ぼかし言葉」が流行し、現在も使用されているもの

もある。また、「バイト敬語」なるものが出現し、その使い方には疑問が投げかけられると

同時に、日本語に対する関心が高まった時期でもあった。

そこで、本節では「ぼかし言葉」を中心に分析を進める。

4.5.1 ぼかし言葉

従来の「あいまい表現」とは異なる「ぼかし言葉67」について、実際の自然談話資料を分

析し、具体的にどのようなものなのかを記す。また、特徴・用法・働きについて使用例よ

り分析し、「ぼかし言葉」とは何なのかを解明する。

4.5.1.1 「ぼかし言葉」とは何か

本論文で「ぼかし言葉」を分析していくにあたって、「ぼかし言葉」について、まず定義

する。

「ぼかし言葉」とは、以下の三条件を満たすものとする。

・付け加えることで、表現をぼんやりとしたものにするもの

・除外しても、文の大意は変わらないが、ニュアンスに差があるもの

・責任の所在がどこにあるのかを、分からなくしてしまうもの

先行資料『平成 11 年度国語に関する世論調査』、『2001 年度版現代用語の基礎知識』よ

り、「ぼかす言い方」「ぼかし言葉」として挙げられていた語を掲載する。

『平成 11年度国語に関する世論調査』

・~のほう ・~とか ・~的 ・~、みたいな

『2001年度版現代用語の基礎知識』

・…とか(ぁ) ・…って感じ ・…する人

・…ってゆうか/つうかぁ/てぇゆうかぁ

・だもんで ・それって ・なんかさあ ・…じゃん ・…じゃないですか

・…じゃね? ・…かも(ね) ・…したんだー ・したいっちゃしたい

・だっちゅーの ・だぴょん ・…系(なごみ系・いやし系) ・モード

・…的 ・気分 ・…状態

67 堀尾(2002)修士論文「ぼかし言葉について」に詳しい。

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68

以上を参考に「ぼかした言い方」「ぼかし」に選ばれた語彙の実例を挙げながら検証する。

本研究では、「ぼかし言葉」分析の資料として、九州大学大学院生、東京女子大学大学生、

社会人(東京・京都・滋賀)、及びフリーター(大阪)の合計 20 名による自然談話録音資料

をそれぞれ収集、文字化したものを使用する。「ぼかし言葉」は「若者言葉」と関連があり、

若者の間で活発に使用されている、ということから、21歳~25歳の年代に絞り、自然な会

話をしてもらい、MDに録音するという方法をとった。合計 18時間におよぶ文字化資料は、

巻末に付録68として添える。

4.5.1.2 「ぼかし言葉」の言語学的アプローチ

言語学的アプローチでは、「ぼかし言葉」が

・どのような用法で使用されているのか

・文中、コンテクスト内での役割について

・「ぼかし言葉」自体が、どのような意味を持つのか

といった、機能や意味を中心にまとめていく。分析の手順としては、収集した自然談話録

音資料を使用し、そこで出てきた例を挙げ、その言語学的レベルに合わせて分析していく。

前出の「ぼかし言葉」関連資料には挙げられていない

[…みたいな/…っぽい/…くらいの]

以上3つを含めることにした。その理由としては次の2点が挙げられる。

①従来の用法と異なる使用例が見受けられる。

既存の表現だが、従来使われているものと使用する場合の制約などに変化が見られ

る。

②従来の意味とは異なる意味で使用されているものがある。

この場合、さらにその意味は、他の「ぼかし言葉」と類似したものである。

これらの理由から、使用例を挙げながら、加えた 3点についても同じように分析する。

4.5.1.3 「ぼかし言葉」の分析

本研究で分析対象とする「ぼかし言葉」は、以下の 18項目である。

①とか ②…ってかんじ ③…(する)人 ④…ってゆうか ⑤…だもんで

⑥…じゃないですか ⑦それって ⑧なんかさあ ⑨…かも(ね)

⑩したいっちゃしたい ⑪…系 ⑫…的 ⑬…気分 ⑭…状態

⑮…のほう ⑯…みたいな ⑰…っぽい ⑱…くらいの

68 本論文の例は自然談話録音資料から多数掲載したが、全ての例の出典ではないことを記しておく。

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この 18項目について、次の5つのレベルで分析を行う。

Ⅰ.アクセント・イントネーション

Ⅱ.形態レベル

Ⅲ.統語レベル

Ⅳ.意味レベル

Ⅴ.その他 語用論(談話)レベル

レベル別に例文および言語学的特徴を挙げ、その分析を行う。最終的には、共通する特

徴を「ぼかし言葉」の特徴として整理する。

ここで、自然談話録音資料より、例文を挙げるが、話し手 20人は英語大文字で区別する。

また、「ぼかし言葉」それぞれに付けた数字については、録音したグループ内の発話のうち、

話し手個人の使用数ではなく、その「ぼかし言葉」の出現した順を記すことにした。

Ⅰ.アクセント・イントネーション

アクセント・イントネーションに特徴が見られたのは「④ってゆうか69」であった。ここ

では実際の会話例におけるアクセント・イントネーションの特徴について記す。

文頭で turn-taking(話者交替)として働く「ってゆうか」

○例 83 A:今日な、駅でカメラ買って来たっちゅうねん。

B :わー、すごい

A : ってゆうかな、チャリンコ持って行かれてるかもしれへんって

=(買って来た)ということはいいが、自転車を持って行かれるかもしれない

B:なんで?

文頭で turn-taking (話者交替)として働く「ってゆうか」の場合は、「ゆ」の部分でのみ

高くなっている。意味との関連によってアクセントの上げ下げが激しい。

アクセント・イントネーションの変化については、「ぼかし言葉」の場合、「みたいな」の

アクセント・イントネーションは、使用される場面によって異なっている。その違いは以

下の 2通りである。

1疑問+みたいな

2断定+みたいな

69 本研究では促音で始まる表記を採用する。実際に発音する場合「てゆうか」の直前の拍がどんなものでも、まず閉鎖

の状態になる。歯茎に舌端が接触した状態から [te] へ移動する時少し破裂する。その後 [te] を発音するので、その若

干の破裂を「っ」(促音)で表記する。アクセントを左右する要素に使用の違いが考えられる。

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「~みたいな」の直前にくるものによって、アクセント・イントネーションが変化してい

る。実際に、例を挙げて見ていく。

1~?みたいな

○例 84 :どこがいいん?みたいなかんじやって、自由に発言権がなかってん(笑)

85 :知ってる?みたいなか//んじで

疑問の最終拍、つまり「…みたいな」の直前の拍は、疑問文であるため高くなる。そ

れに呼応して「…みたいな」の「み」の部分も高くなる。しかしその後「たいな」の部

分は低いままである。

2~、みたいな

○例 86 :そうそう。(2.0)だけど、親にしてみれば、納得いかない、みたいな

87 :みんな若かった、みたいな。平均年齢的に。なんか、丁度 12時になった

「…みたいな」の直前部分が断定なので、直前の拍のアクセントは低いものが多い。「み」

の部分は高くなる。

従来のものは、Ⅰの「疑問+みたいな」と同じアクセント・イントネーションだと言え

る。「ぼかし言葉」では、従来のものと、新しいものの、2種類を使い分けている。

アクセント・イントネーションに特徴のある「ぼかし言葉」は、他にはなかった。

Ⅱ.形態レベル

次に形態レベルを見ていくが、「⑪…系」、「⑫…的」、「⑭…状態」、「⑰…っぽい」の 4 項

目に変化が見られた。

⑪…系

名詞/形容詞+系 →名詞

○例 88 :なんか肉系多いよなあ、私たち

「~系」を付けることで、何らかの系統を表す。形容詞にも付けられ、名詞化させる。

ある枠組みで、傾向が同じものをまとめ、その中へ入れていく時に使用される。

固有名詞+系 →名詞

○例渋谷系=渋谷のマルキュー(109)で売っているような服を着ている人

これらの特徴を持つ人々を指す。これは地名が使われている例であるが、人名も使われる

ことがある。枠組みを代表する人を、グループの名前にしてしまい、系統が似ていれば、

そのグループに属する、ということになる。 ○例キムタク系、ノリカ系

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71

⑫…的

名詞/固有名詞+的 →名詞

○例 89 :何でなん?って。私的にはこれから盛り上がって行く予定やったのに、

90:多分気持ち的に余裕ないと思うね。

91 :かおりちゃん的には、話し合って?いきたいねんけど、周りの先生は

これまでは漢語+的という形が好んで使用されていたようだが、2000年代の若者言葉で

は人名+的または、私+的という使い方がされている。これは「あいまい語辞典」の中の

「中国語で『~の』にあたる助辞『的』を英語の“-tic”という形容詞接尾辞に見立てた」

という「~的」の一般的な使い方とは異なっている。なぜなら人名+的も私+的も形容詞

になったわけでは無いからである。

現在使用されている「~的」は名詞の働きをしている。更に「~的には」という形で使

われている。これは、「あいまい語辞典」で、従来の「~的」の意味②として挙げられてい

る意味に近い。人名が許されるようになり、許容度が上がったため、「~的」の前項は名詞

であれば何でも良い。「~的」の結合形式は多様化した反面、意味は狭められたのである。

⑰…っぽい

名詞+っぽい →形容詞

「~っぽい」を付けることで、名詞を形容詞に変化させる。また、「~っぽい」という形

だけでなく、活用させて「~っぽく」という使い方もされる。この「~っぽい」という言

い方は以前からされており、特別新しい接尾辞であるという印象は受けない。例にもある

ように「大人っぽい、ぐちっぽい、きざっぽい、飽きっぽい、荒っぽい」などの表現が以

前から存在していた。これは、コンテクストで取り上げられた人の特徴や性質を表すもの

であった。しかし「ぼかし言葉」の用法では、状態を表すものであるが、その状態は人に

限らず、もの、グループなどについても表すことができる。ある一定の概念に基づき、そ

の情報を共有していることを前提として使用する。

○例 92 :すっごいおいしそうじゃない?これ、ミルフィーユっぽくない?

「ミルフィーユだよね」と断定するのではなく、相手の同意を求める曖昧な推量なのであ

る。つまり、あるグループに属すると考えられるものと同じ特徴を持つ、と話者が自分で

判断し、そう考えた場合に「~っぽい」は使用されるのである。

形態レベルまとめ

従来は付けていなかった品詞や語彙にも使えるようになり、許容範囲が拡大している。

特に、名詞や固有名詞につけ、既存の語彙の幅を広げるという特徴がある。

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72

Ⅲ.統語レベル

次に、「ぼかし言葉」を付ける語幹となる部分の品詞について、それぞれどのような統語

になっているのかを、表 21にまとめた。

表 21. 「ぼかし言葉」を付加する品詞

発話 引用 動詞 形容詞 名詞 固有 N

1 とか ○ ○ ○ ○ ○ ○

2 …ってかんじ ○ ○ ○ ○ ○

3 …(する)人 ○

4 …ってゆうか ○ ○

5 …だもんで 従来のものと同じ

6 …じゃないですか 従来のものと同じ

7 それって 従来のものと同じ

8 なんかさあ 従来のものと同じ

9 …かも(ね) 従来のものと同じ

10 したいっちゃしたい 例なし

11 …系 ○ ○

12 …的 ○ ○

13 …気分 例なし

14 …状態 ○

15 …のほう ○ ○

16 …みたいな ○ ○ ○

17 …っぽい ○

18 …くらいの ○ ○

①とか

引用+「とか」

○例 93 :受けたい人は残ってテスト受けて下さい、とか言われて、//

94 :うちケーキ好きだから、やたら喜んでケーキ食おうとか言ってさー

95 :え、いいよ、いいよとか言って。私じゃないし、とか言って。うそうそ(笑)

96 :なんかね私がね、買って来るねとか言ってて//なかなか買ってこなかったから

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聞き手または第三者の発話に「とか」を付加し、「話し手ではない人の発話」であること

を示している。自己引用に「とか」を付け、聞き手が、元の発話をその時点で聞いていな

い場合である。誰が何を言ったのか、どこからどこまでが誰の発話なのか、といったこと

を理解しやすくすることができる。

○例 97 :先生、それほんまに買うのん?って言われて、買うで、[とか/って]言ったら、

うそー、[とか/って]いって言われて、買うって、[とか/って]言ってほんまに

買いに行って、なんか、先生なんか変なもん買ってんで、[とか/って]言われて

この例文の「とか」の部分に「って」を使用すると、混乱を来たす部分が出てくる。

「買うって、[とか/って]言って、」

「って」「って」「って」と 3 回続くと、聞き手は引用がどこなのか分からなくなり、混乱

する。そこで「とか」を使用し、引用部分がどこなのかを、明確にすることができる。

動詞+「とか」

○例 98 :今度社員旅行で、グアム?とか、どっか行くとか言って、

99:前から思っててんけど千夏っちゃんとこ面白そうやねん。海行ったりとか

終止形・否定形の後に付けることが多い。「とか」は動詞の活用形全てに付けられる。

また、テンスに左右されない、という特徴も持つ例が次の 100と 101の例である。

○例 100 :○ちゃんにすごい失礼なこと言って、凄いむかついたとかって言ってた

101:強制終了してる・・・もう、せーへんから、もうむかつく、とかって(笑)

このことからも、動詞に「とか」を付加する際の制限はほぼない、と言える。

形容詞+「とか」

○例 102:空間意識ってあるやん、外国人は嫌いだけど日本人は好きとかっていうのを

103:すごいですよ、やぶいとか。電車に乗りよって、あ、今やぶかったとか

→終止形 →過去形

形容詞の終止形、または連体形を用いる。過去形・否定形は使うことができる。「とか」は

ほぼ何にでも付加できるが形容詞の活用形の一部には使用できない。

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名詞+「とか」

○例 104:ね、もう、こんななの。プリクラとか比じゃないって

105:それやったら電車とかバスとかで//乗り放題とかのが

「とか」の前に来る語彙は、それ以外の選択肢があるもの(例えば食べ物の種類など)で

ある。並列の「と」「や」の代用とされることもあるが、最後の並列要素にも「とか」を付

けることが可能である、という点で「と」「や」とは異なる。

また、後に続くものを、話し手が限定せず、漠然としたものもある。

○例 106:んー、なんか、友達関係とかってもう//出来ちゃってるからー

ここで「省略された対象」として連想されるものは、話し手や聞き手によって異なる可能

性がある。例えば、友達関係以外に何がくるのか予想できる。ただし、

○例 107:まだ語学の学校とか決めてないんだよ

ここでは、「留学先の国に行く前に、決めておかなければならないことや物」という、カテ

ゴリーに属するものを連想する、ということについては先の例と同じである。

固有名詞+「とか」

○例 108:土曜日か、日曜日にー、まあ、新宿とかでー、ぶらーっとして

109:なんかね、こういうメールが入って来たの。ドラゴンメールとかって言って

人名の並列であれば、話し手と聞き手の間にある程度の人間関係が必要だが、地名や

モノの場合、そのものを知っていれば話し手と聞き手の関係に関わらず、使用出来る。

②…ってかんじ

引用+「ってかんじ」

○例 110 :乗り越えられるかなあってかんじらしい

111 :過去は過去、今を生きてんねん、ってかんじがするからな、

112 :(笑)食わせろってかんじ(笑)

話し手が元の発話を思い出す場合、またはコンテクスト内での登場人物の考えや発話を

想像する場合に付けられる。「かんじ」は話し手本人の感覚であり、自分の判断で元の発話

者とされる人物の考えを想像した、ということを示すことになる。

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「ってかんじ」の直前は自分の意見であるが、言い切っていないのには理由がある。例

えば、「ってかんじ」の代わりに、言い切りの形「よ」を入れてみよう。

○例 112’ :(笑)食わせろよ(ってかんじ)(笑)

「ってかんじ」と「よ」の場合を比較すると、聞き手に与える印象がかなり変わることが

分かる。「よ」では強すぎる印象を「ってかんじ」で柔らかくし、聞き手がいる場合に使用

できない表現にも使えるようにしている。

動詞+「ってかんじ」

○例 113 :そうやねえー、結構ねえ。大恥かいたってかんじやけどねー、

114 :人気落ちたよな、全盛期は過ぎたってかんじ

動詞の過去形・終止形を用いる。完了したことについて、その仕手(動作主など)に対

する話し手の主観による判断となる。「ってかんじ」を付加し、話し手本人の感覚であると

伝える。

形容詞+「(って)かんじ」

「い形容詞」+「かんじ」

○例 115 :酸っぱいかんじ、さわやか

116 :あとね、なんかね、前髪が可愛いかんじになっ//た。

「な形容詞」+「かんじ」

○例 117 :ふーん、なんか、ねえ、結構ボーイッシュなかんじで

118 :こう、ちぐはぐなかんじがしてる(笑)

「い形容詞」は原形に、「な形容詞」は形容詞ではないものに「な」を付けて形容詞化し、

更に「話し手の価値判断基準」として用いている。形容詞が前置していた用法から、品詞

を選ばない「新しい用法」へと、機能が拡大していった。

名詞+「ってかんじ」

○例 119 :これいつの電話番号ってかんじ、これ、多分茨木(笑)

120 :そうそう、それよりもこっちのほうが高級ってかんじだよね

あるものや事柄についての自分の感覚や感想なので、「ってかんじ」の前項に名詞が含ま

れているのである。

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③…(する)人

動詞+「する人」

○例 121 : 持ってるかどうか聞くの忘れてたの。MDかなんか持って//る人?

122 :だって○ちゃん、腐ったおにぎり食べてもあたらへん人やで

話し手を含む、話題となる人物の特徴を説明する。現在形または進行形で使用されるこ

とが多く、過去形ではあまり使用されない。ある人物の特徴といった現在の新しい情報を

既知情報として捉えている。動詞に後置することが多く、形容詞・副詞・名詞には殆ど付

けられない。

④…ってゆうか

動詞+「ってゆうか」

○例 123 :いうことはちょっとシャットアウトされるってゆうか興味ない、みたいな

124 :○○だって落ち着いとるよ。落ち着いとるってゆうか、

125 :っていうか今日ねえ、してたってゆうか、時々してるんだけど、今日ね

テンスに左右されない。動詞の活用などに関らず、どんな動詞にも使用することができる。

自然談話録音資料には、過去形の例があまり出なかったが、実際の会話では使用されてい

る。

固有名詞+「ってゆうか」

○例 126 :この組み合わせが。まりちゃんにはのんちゃんってゆうか

127 :アラブ系の人がしてるって、アラブっていうか・・・

どんな固有名詞にも付加することができる。あまり制約はない。

⑪…系

名詞+「系」

○例 128 :え?なんで?おじさん系が多いの?若い人いるの?

129 :うん、なんかご飯系とか食べたい

単独の語彙としてはその意味しか持たないものに、「系」を加えることでカテゴリーを持た

せる。

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固有名詞+「系」

○例 127(再掲) :アラブ系の人がしてるって、アラブっていうか・・・

自然談話録音資料には出なかったが、これ以外にも「シブヤ系」や「アキバ系」など特定

の地名に付けられることが多く、芸能人など有名な人の名前にもつけられる。この「系」

は人物の特徴を示すのに使われることが多いため、交通機関や番組名といった固有名詞に

は付けられない。

⑫…的

名詞+「的」

○例 130 :まあ、流れ的に入っていく話で

131 :何でなん?って。私的にはこれから盛り上がって行く予定やったのに、

132 :なんか違う。なんか、それが逆にキャラクター的に許される//から、

人物、人の動きに関するものに付けられる。何にでも付けることができるが「的」の後ろ

は「には」や「に」といったものが付け加えられることが多い。元々は「熟語」+「的」

で使用されていたものが、自分や人についても使われるようになった。

特に「私的」については様々な角度から考察を進める必要があるため、5章で詳しく分

析を行い、その働きについて述べる。

固有名詞+「的」

○例 133 :かおりちゃん的には、話し合って?いきたいねんけど、周りの先生は

134 :で、△君的にも私□□って大事な友達やねんって言ってて、△君も…

固有名詞では人名のみに来ることができる。他に考えられるとしても地名以外には無い。

というのは「的」を加えることで、その人物の考え方や性格などについて、その人の視点

で述べることができるようになるのであり、他の固有名詞は考えられない。

⑭…状態

名詞+「状態」

○例 135 : また来て、それに返して、みたいな、今、一応文通状態やねん

従来は形容詞などに付加され、名詞には付けられなかったものであるが、名詞に「状態」

を付けることで、その名詞の動きや特徴を示すようになったと考えられる。

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⑮…のほう

名詞+「のほう」

○例 136 : CMに出るっていう噂を、噂っていうかファンクラブの方で、言ってた

137 : 今な、なんかドリンクのほうラストオーダーって言われてんけど、

名詞、または固有名詞にのみ付けられ、動詞・形容詞・副詞には付けられることがない。

話し手が相手(聞き手)の求めるものや必要としているもの、または話し手が考えて先を

読むものがくる。TPOにあわせて名詞・固有名詞に来ることができるものは限られてくる。

固有名詞+「のほう」

○例 138 :肉団子 9丁目になります//お後こちらが「とりあえず」のほうになります

139 ://お待たせいたしました、湯葉しゅうまいのほうになります

「バイト敬語」として教えられることもあるため、一般的な会話ではほとんど使われな

いが、店の商品名に付けられることが多い。

⑯…みたいな

発話文+「みたいな」

○例 140 :躍動感溢れる論文にしようと思ったのに、みたいな(笑)

141 :バイトで会って、そしたら普通やったらまた遊びに行こうや、みたいに

考えてはいたが発話していないもの、実現できなかったもの、などが「みたいな」で引

用される。元発話では聞き手に対して言えなかったことを、今現在の聞き手には言える場

合にも使う。元発話で言えなかった、その引用部分には否定的な要素が含まれていること

が多い。動詞のみにかかるのではなく、発話文全体に対してかかるものである。

動詞+「みたいな」

○例 142 :笑って誤魔化す、みたいな、うそうそ

143 :中央があいてて、周りにこう学校が、クラスが、教室がある、みたいな。

言い切り形に後置される。「みたいな」が話し手の感覚で判断していることを示す。話し手

が、その表現が強かったり、きつかったと判断した場合、後で付け加えることもできる。

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名詞+「みたいな」

○例 144 :むっちゃ問題学校みたいなとこ行ってて、

145:皆で?行ったりするん?なんか、イベントみたいなん

名詞そのものだと言い切らずに、そのものではないが似ている、とする。名詞であれば

何にでも付加することができ、似たものから、コンテクスト中の名詞の実態を知ることが

できる。

⑰…っぽい

名詞+「っぽい」

○例 146 :っていうかねえ、カスタードっぽいパンを今日食べてき//ちゃったから

147 :なんか、うちっぽくて、その買ってきたケーキが(笑)

名詞であれば、ほぼ何にでも付けられるようになった。

⑱…くらいの

引用+「くらいの」

○例 148 :あっちは 10時位に出てんだけど、ぐらいな//かんじ

149 :住むよ、まじで。仕事終わって最終に間に合う、くらいの

現在形・未来形には付加できるが、過去形には後置されない。「…くらいの」には「今現

在(またはその時点で)自分は○○である、という感覚である」という含意があるためで

ある。過去形に付けられるのはコンテクスト全体が過去の時点で進行している場合となる。

なお、「くらいの」の後は文が続いてはいない。後続する場合でも「くらいな」+「もの/

かんじ」といった決まった形が好まれる傾向にある。

統語レベルまとめ

本研究で分析した「ぼかし言葉」は、動詞、名詞との統語が好まれている。「ぼかし言葉」

そのものが持つ意味とも深い関わりがある。⑤から⑩、⑬の7項目について、統語レベル

では従来のものと変化が見られないため、「ぼかし言葉」とは言えない。

Ⅳ.意味レベル

意味レベルで変化が見られたのは、以下の8項目である。

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表 22. ぼかし言葉 まとめ

ぼかし言葉 新しい意味 従来のものとの違い

ってかんじ 「~という気がする」

「~という感覚である」

話し手本人が感じたこと、話し手の

感覚であることを示す。

前置引用部分や語彙のニュア

ンスを変化させる。

…(する)人 「(自分は)◯◯する人のようだ」

話し手が自分自身のことを第 3者の

立場で表現することで「ぼかす」。

「自分はこうだ」と言い切らず

第三者の立場に立ち、自分のこ

とでは無いかのように表現。

ってゆうか 言い換え:「というよりもむしろ…」

話題選択:「(関連する)△△って…」

割込:「それよりも、私はね…」

導入: 「そういえば」

新情報:「そのことについて(情報)」

目的や機能で意味が異なる。

…系 「○○という系統に分類されるも

ののうちの1つ」

同類項・類似性

「~の仲間/~の類」

「~に似ている/~っぽい」

あるものを含んだカテゴリー

全般を指し特定の語彙に使用。

話題そのものの知識がなくて

も、大体どのような[もの/人]

であるかの予想がつく

状態 状況説明:○○という状況である

○○をしている

類似:○○のような、○○に似た

変化後:○○になってしまった

[もの/人]の状況を分類。

共通情報や知識を利用し、

即座に理解できる。

みたいな ~ミタイナ」:

「ようだ・みたいだ・だろう」の

使用範囲網羅。更に用法を拡張

「~ミタイダ」=文末

「~ミタイナ」=名詞が後置

新「~ミタイナ」

=「連体修飾止め」

っぽい F2 :フレッシュっぽい

あるものや人に対して、他のもの・

それに当てはまると考えられる、名

詞や形容詞を使って表現する

従来:ある人物の特徴などにつ

いて「~のようである」

新用法:人だけでなく「もの」

にも使えるようになった。

くらいの H3 :店長もできる、ぐらいの

「そのくらいの」

従来:名詞・形容詞に付加

新用法:動詞・発話文に拡大

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Ⅴ.その他 語用論(談話)レベル

「ってゆうか」の機能

「ってゆうか」の使用範囲は幅広い。率直に反対意見を述べるよりも「ってゆうか」と

いうクッションを挟むことによって、会話自体が柔らかい印象になる。機能としては

・談話中の話題と関連しているけれども、別の話題へと転換する。

・「ってゆうか」を使用することで、その話し手が話題をコントロールできる。

・「より適切なものへの言い換え」のニュアンスを持たせる機能もある。

「ってゆうか」は、ほとんどが文頭に来ており、そのうち発話者の発話の始めに出ている。

このことから「ってゆうか」は turn-takingの中の TRP(話者交替適確箇所)の目印となる。

コンテクストとのかかわり

一文だけでは意味の違いが掴みにくいものがある。コンテクストによって、意味が分かる

と考えられるため、以下にコンテクストを載せる。

○例 150 A :え、頼んでたん、これで終わりやったっけ? ← 料理の確認

B :え、あの湯葉なんとかは? ← 足りないものについて

A :これこれこれこれ。えー? ← 前文のものを指摘

B :あれー? ← 疑問

A :うん、これだけっぽい。 ← 回答(ぼかした表現)

B :ほんま。どうする? ← 他の案

注文していた料理に対して、全て揃ったのかどうかを確認している場面である。ここでの

「これだけっぽい」の意味としては、「これだけのようである」や「これだけみたいだね」

と近い。しかし、「これだけだよ」とは言い切っていない。つまりどちらの場面でも、その

場にいる聞き手に対して断定的に言うことを避けている。間違っていた場合に、この場面

で言い切らなかったことで、責任を問われずに済むのである。

なお、「どういう場面で使うか」という点に関しては、若者言葉が仲間内の言葉であると

いうことからも、その相手は友人や親しい人であるということを記しておく。

4.5.1.5 ぼかし言葉の特徴

本研究では「ぼかし言葉」について分析・調査を行った結果から、「ぼかし言葉」の特徴

について提言する。

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「ぼかし言葉」の特徴

音声的な特徴=「ぼかし言葉」自体のアクセント・イントネーションは、前置する発話文

や語彙に左右されない。

形態的な特徴=・「ぼかし言葉」そのものが「ぼかす」意味を持ち、発話文を引用する場合

や語彙に後続する

・形態素として、語彙に付加されることで、その語全体がぼんやりする

以上の2種が考えられる。

統語的な特徴=発話文に「ぼかし言葉」を加えることにより、発言の責任はあるが、その

内容・判断についての、責任の所在が明らかではないものを、引用できる。

動詞のみ、名詞のみに付加されるもの、品詞を選ばないものがある。

語用論的特徴=コンテクストの中で、元々の単語、元来の用法とは異なる使われ方を

(談話レベル) してぼかした表現となるものがある。

その他 =非文法的だと考えられるものは「~的」だけだが、これも「~的」を「~

は」と同じ、主題化の代わりに用いている、とすることで、文法に沿った

ものである、と言える。

「ぼかし言葉」全体の特徴としては、「ぼかし言葉」を付けることで、グループ化し、その

語彙に関連するカテゴリーを包括することができるようになる。また、あいまいで責任の

所在があやふやとなる。

「ぼかし言葉」であるかどうかを判断する場合は、「ぼかし言葉」の形態的な特徴を利用

する。語彙や形態素を取り除いた時に、その表現が断定的になるものは、その取り除いた

もの自体が「ぼかし言葉」の働きを持つ「ぼかし言葉」である、と言える。

本研究により、次の 11項目を「ぼかし言葉」とする。

①…とか ②…ってかんじ ③…(する)人 ④…ってゆうか ⑪…系 ⑫…的

⑭…状態 ⑮…のほう ⑯…みたいな ⑰…っぽい ⑬…くらいの

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4.6 若者言葉の「変化」まとめ

本章の分析結果をまとめると表 22となる。

表 22. 若者言葉の「変化」

活用の特徴 意味の特徴 その他

動詞化

接辞

「-る」

動詞化「る」は五段動詞の活用をとる。 名詞、固有名詞などに付加し、

・名詞、固有名詞のようだ

・そのように行動する

・固有名詞(店名)へ行く

・名詞、固有名詞の特徴を持つ

外来語、擬音語・擬態語

⇒五段動詞

新しい

形容詞

①な形容詞い形容詞化(一部)

い形容詞な形容詞化

②派生形式の変化

従来の形容詞の意味と

異なる意味

①省略により生まれた語彙

②外来語を派生させた語彙

⇒従来の用法を使用・応用

③語幹として使用できる

語彙・品詞の許容範囲拡大

程度の

副詞

特定の新しい「程度の副詞」

修飾される品詞が「名詞」または「名詞

類」

新しい語彙を「程度の副詞」とし

て使用する

⇒元の語彙の持つ意味が重要

【漢字一文字・名詞など】

⇒元の語彙の品詞に捉われず

程度の副詞と同様に使用。

擬音語・擬態語使用。インパクト

を与えることが出来るもの。

名詞化

接尾辞

「-さ」

従来はい形容詞に付けられ、名詞には

付けられなかった。

用法の拡大:い形容詞・な形容詞・名

詞全て付けられる。漢語にも付けられ

る。外来語はな形容詞を中心。

状態・程度・性質を表さない語彙

にレベルを持たせる

接尾辞「-さ」従来は「程度・尺

度」を表すい形容詞・な形容詞

に付けられた⇒許容範囲拡大。

「名詞」+「さ」が存在。

「-さ」の持つ意味を付加。

ぼ か し

言葉

「ぼかす」意味、発話文を引用する場合

や語彙に後続。形態素として、語彙に

付加⇒その語全体がぼんやりとする

発言の責任はあるが、その内容・判断

についての責任の所在が明らかではな

いものを引用。

動詞にのみ付けられるもの、名詞にの

み付加されるもの、品詞を選ばないも

のがある。

「ぼかし言葉」自体でぼかす意味

があるもの

その「ぼかし言葉」を付けることで

付加された引用部分や語彙の意

味を変えるもの

どちらの「ぼかし言葉」にも共通

⇒「ぼかし言葉」の有無でその文

全体のニュアンスが変わる。

「ぼかし言葉」自体のアクセント・

イントネーションは、前置する発

話文や語彙に左右されない。

コンテクストの中で元々の単語、

元来の用法とは異なる使われ

方をしてぼかした表現となるも

のがある。

「~的」を主題化の代わりに使

用=文法に沿ったもの。

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84

第5章

若者言葉の発展性 —「文法化」の可能性の観点から— 2000 年代、日本語がブームとなり、「若者言葉」に関する言語学的研究も盛んになった。2004 年

に国立国語研究所が実施した調査70では、言語一般について「乱れている71」と感じる人が多いと

の結果が出ている。つまり、言語変化に関する認識はルールの存在よりも「乱れ」として捉えられて

いるということである。しかし、本論文の 4 章で述べてきた通り、各現象について一見、無秩序なよ

うでいて、実はルールがあることが分かった。では、この「ルール」はどのように変化してきたのだろ

うか。

1.2.2 でも文法化の可能性について示唆したが、本研究では 1990 年代後半から 2000 年

代に使用されていた、その当時においては「新しい」語彙や用法を「共時」として取り扱

う。一方で、15 年程度という短いスパンではなるものの、「新しい」用法が定着してゆく

過程を捉えることを目的として「通時的」観点から分析を試みる。

新しい用法がどのように文法的な変化を経て、内容語や機能語からその他の機能語へと

変化、つまり「文法化」が起こっているのか否か。本章では先行研究が「文法化」したと

明示した表現について実例を挙げながら検証を行う。

まずは三宅(2005)などの先行研究に若者言葉における「文法化」として示されたものについて、

1990 年代後半から 2000 年代前半の若者言葉を中心に考察する。「文法化」について先行研究よ

り定義をまとめ、これまでの研究項目を整理する。その上で、現代日本語の中でも若者言葉に見

られる「文法化」の具体例を分析する。

「文法化」と定める基準については、まず「文法化」を定義し、その上で基準を明らかに72する。

5.1 文法化とは

まず、先行研究では「文法化」について、どのように記述されているのかを見ていこう。

菅井(2003:173)では、文法化について「内容語(語彙的内容を持った要素で、動詞や名詞など)

が機能語(語彙的内容が希薄で、助動詞や前置詞、助詞など)に通時的に変化すること。」と、まと

めている。

大堀 壽夫(2004:26)は、内容語・機能語に捉われず、「それまでの文法の一部ではなかった形が、

歴史的変化の中で文法体系(形態論・統語論)に組み込まれるプロセスである。より具体的には、

70 http://www.ninjal.ac.jp/archives/genzai/ishiki/index.html 2013 年 6 月 26 日閲覧 71 「ふだんの生活の中で現在接している言葉が、『非常に乱れていると思う』者(32.2%)は3割強で,『ある程度乱れ

ていると思う』(50.3%)という者を合わせると,8割以上が言葉の乱れを感じている(図 9-2-1)。」と調査結果をまとめて

いる。

http://www.ninjal.ac.jp/archives/genzai/ishiki/9-2.html 2013 年 6 月 26 日閲覧 72 5.1.1 で詳しく述べる。

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85

自律性をもった語彙項目が付属語となって、文法機能をになうようになる変化。」と指摘した。

より広義の「文法化」を示した金水 敏(2004:34)には「『文法化』と呼ばれる現象には、自律的な品

詞・形態を持つ語が付属的な品詞・形態を持つ語へと変化していく統語論的・形態論的側面と、

語の具体的な意味が抽象的な意味へと変化していく意味論・語用論的な側面がある。」とある。

また、橋本(2008:13-21)73では、「動詞や名詞といった内容を表す語が、助動詞や代名詞のような

文法的機能を帯びるようになる意味変化」としている。

メイエ(1912 :64)によると「語の『文法化(grammaticalisation)』が起こると、新しい形式が創造され、

その言語にそれまで表現手段のなかったカテゴリーが導入され、体系全体の構成までが変わって

しまう。」という。

以上のように、これまでの先行研究をまとめると、「文法化」は次のように定義できる。

文法化とは

言語変化の一つ。それ自体の語彙的意味をもつ語または句である内容語74が、従来

使われてきた意味を喪失し、文法を表す語や接辞といった、機能語75としての性格を

もつもの76に変わることをいう。

このように「文法化」を定義した上で、本節では文法化の認定基準について再考し、特徴や要素、

プロセスについてまとめる。その上で現代日本語に見られる現象を分析する。

5.1.1 「文法化」分析のための基準

「文法化」であることを証明するためには、「文法化」の基準を明らかにし、その基準に沿っている

ものを「文法化」と認める。また、先行研究によって「文法化」現象の範囲が異なるため、本研究の

立場と指針を記す。

ここではまず、「何をもって機能語化したと言えるか、という基準を明確にする必要77」がある。この

認定基準の問題について三宅(2005:65)では「指標となるような基準を複数、設定するという方策

が妥当なのではないか」としている。つまり、内容語と機能語のカテゴリーの、中間段階に位置す

るものがあるというのだ。例えば、“てくる78”の文法化について、次のように説明している。

73 統計数理研究所共同研究リポート No.217 「動的システムの情報論(7)自然言語のダイナミズム」 74 現代日本語文法では自立語ともいう。自立語は活用する語(動詞・形容詞・形容動詞)と活用しない語(主

語になる体言=名詞と、主語にならない副詞・連体詞・接続詞・感動詞)に分けられる。 75 現代日本語文法では付属語ともいう。付属語には活用する助動詞と、活用しない助詞の二種類の語がある。

付属語は単独で一語を成す。一方、接辞は常に語の一部となる語であって単独では一語を成さない。 76 ここでは、機能語=付属語だけではなく、接辞も「文法化」の機能を持っているものとして扱う。 77 三宅(2005:64) 78 三宅(2005:65-66)これ以外にも、“~だす”についても考察している。詳しくは三宅(2005)参照。

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86

三宅(2005:66-68)

(18)彼は待ち合わせ場所に歩いてきた

(19)彼は近ごろ頭髪が薄くなってきた

(18)では“来る”が本来持つ項(この場合は着点)である“待ち合わせ場所に”が生起して

いるため、補助動詞形とは言え、本動詞としての性質を失っていないことが分かるが、

(19)ではそのような項が生起しておらず、また意味も本来的な「移動」としての意味から

アスペクト的な意味に抽象化されていることから、ほぼ助動詞化しているとみなせる。

そして、次例のようなものはこれらの中間段階に位置するものであろう。

(20)彼はコンビニで雑誌を買ってきた

この例では、着点を表す項は生起しておらず、また“コンビニで”は“コンビニで買う/

*コンビニで来る”の対比からも分かるように“買う”により認可されたものであり、“来る”

によるものではない。このため、(20)の“てくる”は(18)よりも本動詞としての性質に欠ける

とみなされるが、しかし一方で、「移動」という本来の意味は多少なりとも残しており、(19)

ほど意味の抽象化が進んでいるとは思えない。

このように、「文法化」であることを証明するためにも、認定基準を決める必要がある。特に、「共

時的研究における文法化研究の意義(三宅 2005:66-68)」と大堀(2004:26-33)にある文法化の基

準を参考に、本研究における認定基準を以下の通りとする。

「文法化」認定基準

1.内容語が従来になかった機能を新たに持ち、「意味の漂白」と「脱範疇化」が起こったと

考えられるもの。

2.内容語・機能語のカテゴリーに準ずるものを含める。特に機能語に新たな機能を付け

加えたものなど、必ずしも「内容語から機能語」の枠組みに入っていない場合であっても、

現象の変化が認められると考えられるものは「文法化」とする。特に「機能語から機能語」

についても「文法化」とする。例えば「機能語」である接尾辞79の形態変化、及び接尾辞

が語尾に変化する「規則性」についても検討する。

以上2点のいずれかに当てはまるものを「文法化」とし、分析を進める。

5.1.2 「再分析」と「類推」

「文法化」について分析していく上で、「再分析」と「類推」とはどういうものかを示しておく必要があ

る。

79 学校文法の助動詞・助詞などをさす。

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87

5.1.2.1「再分析」と「類推」の定義

従来、使用されている「再分析」と「類推」についてまとめる。まずは「再分析」について先行研究

での記述を整理する。

「再分析」に関する記述

Hopper&Traugott(1993:40-41)では、”Change in the structure of an expression or class of

expressions that does not involve any immediate or intrinsic modification of its surface

manifestation”とし、

cild-had‘conditionofachild’>childhood

f r e o -dom ‘realm of freedom’ > freedom

m a n -lic ‘body of a man, likeness of a man’ > manly

といった例が挙げられていた。また、Hopper&Traugott(2003:51)でも

[[back] of the barn] > [[back of] the barn]

という例があった。日本の研究者では、橋本80 (共同研究リポート No.217)が「再分析能力」につ

いて「文の区切りを文脈や既存知識に基づいて推論する能力」と示している。一方、宮下81は「再

分析は、一般に生成文法的な言語変化の研究において、言語変化の主要なメカニズムと考えら

れている。そういった枠組みでは、次の世代の学習者が言語を学習する過程において、言語構造

の再分析が行われることで言語変化が生じると仮定される。」としている。

以上の先行研究から、本研究では「再分析」を次のように定義する。

「再分析」とは

文法規則が統語的・語用論的・音声学的に変わること。ある表現が既存知識に基づいて、

古いものから新しいものへ変化する。言語構造の再分析が行われることで言語変化が

生じると考えられる。

次に、「類推」に関しては次のような先行研究があった。

「類推」に関する記述では、亀田(1995)が「類推の基本方式」として次のような手順を示した。

80 「共同研究リポート No.217」は発行年記載なし。 81 発行年記載なし。ただし、「2004 年 11 月 27 日に行われた、日本独文学会北陸支部 2004 年度研究発表会におけ

る口頭発表「文法化研究の発展と展望」に基づきつつ、大幅に加筆したもの」とある。P.33。

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88

[手順1]未知語の入力

[手順 2]類似用例(既知)の検索

[手順 3]視点の選択

[手順 4]類似用例に基づく未知語の意味生成

[手順 5]未知語の意味の出力

また、斎藤(2009)は「過去の記憶の中で類似した事例を探し、現在の知識に応用する推論方法。」

であるとし、橋本82は「文法的ルールをそのルールが適用されていなかった形式に拡大適用するこ

と。」とした。

以上の先行研究を参考に、本研究でいう「類推」を定義する。

「類推」とは

再分析によって変わった文法規則が言語一般に広まる現象。

例として“full” から “-ful” への変化が挙げられる。

a basket full of apples → a cupful of tea → hopeful

5.1.2.2 「再分析」と「類推」の共通点・相違点

次に、「再分析」と「類推」の共通点と違いについて考えていこう。

宮下(2004)は「Hopper/Traugott のように、再分析を用いて文法化を把握しようとする研究者がい

る一方、Haspelmath (1998) のように、文法化は再分析の考え方なしでも説明できるという主張も

ある。」と指摘している。本研究では、「再分析」と「類推」によって言語変化が起こるとする説をとり、

その共通点と相違点をまとめる。

再分析と類推については、Hopper&Traugott (1993)に

a. a basket full of apples

b. a cupful of tea

c. hopeful

という例があり、a.で「再分析」が、b.で「類推」がなされている。

また、Hopper&Traugott (2003)では、「再分析」と「類推」の違いについて述べるとともに、 ”be

going to”の文法化についてその過程を4つに分け、文法化の過程すなわち StageⅡが「再分析」

であり、StageⅢは「類推」である、と指摘している。

82 脚注 66 と同じく、「共同研究リポート No.217」より。発行年記載なし。

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Hopper&Traugott (2003:69)より

From the perspective outlined here, reanalysis and analogy (generalization) are distinctly different

mechanisms and have different effects. Reanalysis essentially involves linear, syntagmatic, often

local, reorganization and rule change. It is not directly observable. On the other hand, analogy

essentially involves paradigmatic organization, change in surface collocations, and in patterns of

use. Analogy makes the unobservable changes of reanalysis observable. The interaction of

reanalysis and analogy can be represented for the development of be goin to from directional

phrase to future as in Figure 3.2.

StageⅠ is the stage of the progressive with the directional verb and a purposive clause. StageⅡ

is that of the future auxiliary with a verb of activity; it is the result of reanalysis. StageⅢ is that of

the extension via analogy of the directional class of verbs to all verbs, including stative verbs. And

StageⅣ is the stage arising out of reanalysis of the complex auxiliary to a single morpheme gonna.

Stages Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ all still coexist in PDE. In the next chapter we will discuss some further

extensions of the distinctions between reanalysis and analogy, specifically with respect to meaning

changes.

StageⅠ be going [to visit Bill]

PROG Vdir [Purp. clause]

StageⅡ [be going to] visit Bill

(by reanalysis) TNS Vact

StageⅢ [be going to] like Bill

(by analogy) TNS V

StageⅣ [gonna] like/visit Bill (by reanalysis)

以上の先行研究と、前節の定義をまとめ、共通点と相違点を整理し、表 17.に示す。

表 23.「再分析」と「類推」 共通点・相違点

共通点 相違点

再分析 ・文法規則の変化に関わる。

・相互の現象により、更なる変化が起こる。

再分析⇒類推⇒再分析⇒類推…

・古いものから新しいものへの変化

・より統語的な変化

類推 ・ 再分析で変化した現象が拡散

一般化。境界線が曖昧になる

Synagmatic axis

Mechanism: reanalysis

Paradigmatic axis

Mechanism: analogy

Figure 3.2 Schema of the development of auxiliary be going to

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90

本節では、「再分析」と「類推」についてまとめ、共通点・相違点を示した。

5.1.2.3 「再分析」および「類推」を「文法化」として扱う理由

本研究では、「再分析」と「類推」を文法化として扱うが、それには

・ 「再分析」「類推」も「文法化」と同じく文法規則の変化に関わっている。

・ 従来になかった機能を新たに持ち(再分析)、拡散させる(類推)。

・ 接尾辞や語尾の「規則性」と関わりがある。

といった理由が挙げられる。

「再分析」「類推」と文法化については、前出の宮下(2004)で「Haspelmath (1998) のように、文

法化は再分析の考え方なしでも説明できるという主張もある。」ことが指摘されている。しかし本研

究では「再分析」「類推」ともに「文法化」として扱い、認定する際は文法化の認定基準に準ずる。

5.1.3 文法化のプロセス

文法化の程度83については「文法化の度合いもさまざま84」であるが、その尺度については諸説

があるものの、共通して使用されるような確固たるものはまだ出来上がっていない。

“Grammaticalization” Hopper & Traugott(2003:49)では、次の図.7 のような変化の過程を提示し

ている。

図 7.変化の過程

また、“Degrammaticalization” Norde(2009:55)においては、

The cline of grammaticality has been criticized for being an oversimplification, ‘which blithely

confuses content change and morphosyntactic change’(Andersen 2008:15). Nevertheless, the

cline of grammaticality is of some use as a first criterion to select potential cases of

degrammaticalization. For as we will see later on, a shift from right to left on this cline is attested

in all types of degrammaticalization. This, of course, by no means implies that all movement

(gradual or not) towards the lexical pole is a case of degrammaticalization (cf. Lightfoot

2005:587),(略)

83「文法化の程度を計るパラメータは、『重点性』、『結束性』、『可変性』と、『範列的』、『統辞的』であり、

これらを組み合わせた6つの基準で『文法化の程度』が把握できる」とする研究(宮下:2006)もある。 84 加藤(2010)P.36

A > A > B

B

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91

と、「一方向への変化」に関する先行研究を挙げている。しかし、“ Lexicalization of function words

and affixes ”の節において、“lexicalization is essentially non-directional.”とあり、語彙化には方向

性がないとしている。ただし、非文法化(Degramaticalization)と語彙化(Lexicalization)のはっきり

した違いとして、 (i) the suffix is taken out of its context to serve as a noun, whereas

degrammaticalization is a context-internal change, and (ii) it is not the reverse of a

grammaticalization change, because there is no evidence of nouns becoming a suffix ‘in one bang’.

以上の2つの理由が挙げられている。

先行研究の変化の過程を参考に、本研究では文法化の「語彙的意味をもつ語または句である

内容語が、文法を表す語や接辞となる機能語または更なる機能を加えたものに変わる」特徴を考

慮し、その過程を3段階に分ける。

1.従来とは異なる用法で、品詞が変わるものが現れる。

2.自立性を失い始めるとともに、接語化・接辞化など、従来の機能とは異なる働きが

見られる。従来のものと新しいものが共存する時期。

3.機能語または更なる機能を付加したものとなる。=文法化

この過程を考慮し、分析を進める。

5.1.4 本研究の立場と指針

これまでの先行研究では、「文法化」について、変化の過程を文学や和歌などの文献に求め、

形態や統語について論じてきた。

本研究では、過渡期にあると考えられるものも含め、自然談話を中心とした記録資料を用いて分

析する。また、大堀(2004:30)の「文法機能を果たすために何らかの形が採用された、というプロセ

スを中心に考えるなら、文法化と見なすべきである。」とする論を参考に、本研究では「文法機能の

付加・拡大が見られる文法辞典には記録のない現象」を「文法化」とみなす立場をとる。

また、本研究における分析の指針として、「文法化したもの」と「文法化の過程にあるもの」に大別

し考察を進める。「文法化したもの」とは、つまり

・内容語から機能語となったもの

・機能語の機能拡大が認められるもの

であり、「文法化の過程にあるもの」としては

・「意味の漂白」は起こっているが、「脱範疇化」は確認できないもの

・「意味の漂白」は確認できないが、「脱範疇化」が起こっているもの

などが考えられる。これらについても具体的な現象を上げ、「文法化」の過程か否かも含めて検討

する。

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「文法化の過程にあるもの」は、現段階での現象としては「文法化」とまでは言えないものの、今

後「文法化」していく可能性を孕んでいるものである。「用法間の連続性85」でこそ、変化の過程を

捉えることができる。より具体的な例を挙げて説明すると、ある容量一杯であることを示す“full” は、

カップが一杯である、という意味を持つ“cupful” を経て、希望が一杯である“hopeful”へと「文法化」

していったとされている。

現代日本語の中でも特に過渡期にあたる“cupful”のような現象に注目しながら分析する。完全

に「文法化」してしまったものを過去の使用例に遡って変化を捉えるだけではなく、「文法化」の過

程にある、現在変わりつつある現象を記録していくところに価値があり、面白さがあると考える。

5.1.5 「文法化」に関する先行研究

これまでの日本語における「文法化」研究は主に、個別の現象について歴史言語学的に分析さ

れてきた。これらの先行研究を三宅(2005)がまとめていた。その文章を筆者が表にしたものが、次

の表 22.「文法化一覧」である。

表 24. 文法化一覧86

品詞 文法化

格助詞 〜において、 〜について、 〜によって、 〜にとって、

〜に対して、 〜に関して、〜に際して、 〜に限って、

〜をめぐって、 〜をもって・・・

格助動詞化

する動詞

おく、 つく、 よる

接続助詞 〜たところ

助動詞化 N だ、 複合動詞後項

て形接続補助動詞

〜てくる、 〜てやる、 〜てくれる、 〜てもらう、

〜てしまう(=〜ちゃう)、 〜ている、 〜てある、

〜ておく、 〜てみる、 〜ていく

半統語論的複合動詞

〜きる、 〜遂げる、 〜尽くす、 〜おおす、 〜あげる

その他 〜かもしれない、 〜にちがいない、 〜がある、 〜がする

〜らしい / 〜っぽい / 〜くさい(≒らしい)

くらい、ほど、だけ、ばかり

接頭辞 お < おん < おほみ

85 三宅(2005)による。 86 三宅(2005)に挙げられていた先行研究より、筆者作成。

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これらの先行研究の中で、現代日本語の表現は殆ど扱われておらず、変化する可能性のある

ものとしての例を挙げているものには以下の 3 例がある。(下線 は筆者による。)

三宅(2005:64 , 72)

(9) 29 歳で結婚できたらいいなみたいな

(51) あっ、ケイタイ、忘れたっぽい/くさい (≒らしい)

ナロック(2005 : 117)

形容動詞型助詞「みたい(-mitai)」が形容詞の活用を獲得しつつある(「みたく」(-mita.ku)

など)ことに見られる。

内田(2001 : 5)

例1 なんか、<ドラゴン>とかって書いてある

以上の例はあるものの「文法化」についての分析はなされておらず、可能性のみを示唆している。

5.2 若者言葉にあるとされる「文法化」

現代日本語の中でも、1990 年代後半から 2000 年代前半の若者言葉に見られる「文法化」に関

して、全体を概観した研究はほとんどない。三宅(2005)がまとめているが、新しい現象についての

言及は、あまりなされていない。そこで本研究では、先行研究で「文法化」とされたものについて、

実例を挙げて細かくみていく。その際、「文法化(再分析+類推)」と「類推」に大別して分析を進

める。本論文で分析するのは、表 25 にあげる 6 項目である。

表 25. 先行研究で文法化とされた若者言葉

先行研究で「文法化」であるとされたものであるが、全て機能語である。ただし、それぞれについ

て分析はなされていない。次の節から、細かく分析する。

文法化(再分析+類推) 類推

—っぽい

—くさい

っていうか/ってゆうか

—げ

—的

—さ

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5.2.1 文法化 (再分析+類推)

本節では、先行研究で「文法化」したと示されていた、「—っぽい」「—くさい」「っていうか」「—げ」の

実例をあげ、検証していく。それぞれの「語彙の拡大」と、そこに見られるルールについて、[従来

のもの]・[共存期]・[変化]に分け、本当に「文法化」が起こっているのかどうか、その判断も含め、

分析を進める。

5.2.1.1. 接辞「—っぽい」

「—っぽい」は名詞を形容詞化する接辞で、日本語文型辞典(1998:234)には、

「子供っぽい・水っぽい」は話し手のマイナス評価を含む。プラス評価を表すときには

「子供らしい・みずみずしい」が用いられる。

とあり、マイナス評価を持つ。

岩崎(2007:134-135)「『-ぽい』の展開と文法化」では、新しい用法について以下のようにまとめ

ている。

近年の「-ぽい」には以下のように、句接続の例が見られる。

(1)今日はテストがあるっぽい。

句接続の「-ぽい」については(略)助動詞的に使用されているとする考察もある。(略)

区接続の「-ぽい」が成立するに至った経緯について考察を加えた。(略)意味用法の展開

を調査した。その結果、「-ぽい」は、主に動詞連用形に接続詞、「すぐに/よく(上接動詞)

の状態になる」意を表す用法と、名詞・色の名・形容詞/形容動詞の語幹などに接続し、

「そのような感じである」意を表す用法に分かれ、異なった展開が認められる。後者の用法

では上接語及び意味用法に拡張が見られる。特に名詞接続の用法は著しく拡張する。

例えば「あの人は女っぽい」では

(2)a(あの人は女であり)いかにも女らしい女である87。

b(あの人は男であり)女みたいな男である。

c(あの人の性別は分からないが)その特徴から判断するに、女のようである。

(略)前掲(1)のような句接続の例は、(2c)のような用法を介して、モダリティ表現に関わる

文法形式へと用法が拡張したのではないかと考えられる。

87 日本語教育の現場では「-っぽい」は「名詞や動詞の連用形に付いて、『その感じがする・傾向がある』

などの意味を表すい形容詞を作る」。一方、「-らしい」は「名詞に付き、そのものの典型的な性質がよく表

れていることを表す」。つまり、「女」であると判断できるのに「その感じがする」という意味は成立しない

ため、本研究では先行研究の(2)a の解釈は支持しない。

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95

この先行研究で「あるっぽい」が句接続として成立し、用法が拡張したという。この主張も踏まえ

つつ、「-っぽい」がどのように「文法化(と考えられる新しい用法に変化)」していったのかを見て

いこう。

「—っぽい」は「話し手が評価する」という機能を持つ。

○例 151 彼は子供っぽい。

151’彼は子供っぽいと山田さんは言った。

151” 彼は子供っぽいそうだ。

以上の例のように、発話の主体が誰であっても文が成立し、伝聞の助動詞「そうだ」とも共起できる。

この従来の用法と比べ、付加できる品詞の許容範囲が拡大していった。特に、「様子を表す名詞」

に付加していたものが「状態を表すな形容詞」にも使える88ようになり、用法が拡大したと言える。次

の例の「駄目」は「状態を表す『な形容詞』」である。名詞の性質も有するな形容詞語幹89にも使用さ

れるようになったと考えられる。「駄目(名詞—な形容詞語幹)」について見てみよう。

○例 152 彼は駄目っぽい。

152’ 彼は駄目っぽいと山田さんは言った。

?152” 彼は駄目っぽいそうだ。

この例では『彼』が主語ではあるが、「駄目」なのは「彼=人」ではなく、「彼」が参加する予定だった

事態について述べられており、用法が異なる。

語幹になりうる名詞に様々なものが使用されるようになっていくにつれ、「そうだ」との共起が難し

くなる。(2)”と同じように、従来の語幹となりうる名詞ではない「馬鹿」についても

? 「彼は馬鹿っぽい」そうだ。

どちらの文も、状況やコンテクストによっては使用できるため、非文とまでは言えないものの従来の

ような許容度ではないことが分かる。

更に、動詞や助詞にも付けられるようになり、語幹の許容範囲が他の品詞にまで広がった。

次の例は、(2)の主語「彼は」を「明日は」に変えたものである。

○例 153 明日は駄目っぽい。

153’ 明日は駄目っぽいと山田さんは言った。

?153” 明日は駄目っぽいそうだ。

人間以外のものが主語のように見えるが、ここでは「明日は(彼の予定としては/彼のスケジュー

ルは)駄目なようだ」となり、「彼(または彼女)」といった「人」の主語が隠れている。この場合も、

88 前出の岩崎(2007)にもあるように、先行研究で「な形容詞にも接続できる」という指摘はされている。しかし、そこに

至った経緯は示されていない。 89 国立国語研究所の語種辞書「かたりぐさ」では「名詞—形容動詞語幹」とある。

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96

(3)(3)’については成り立つが、「そうだ」との共起は、やはり難しいようである。

次に、人間以外(非動作主)が主語となった例を見てみよう。

○例 154 明日はテストがあるっぽい。

??154’ 明日はテストがあるっぽいと山田さんは言った。

*154” 明日はテストがあるっぽいそうだ。

以上の例 152”、153”、154”から、伝聞の助動詞「そうだ」との共起は難しい。「助動詞+助動詞」

が成立しないことからも、「—っぽい」が助動詞としての機能を持っていると言える。この例のように、

文全体が「『~っぽい』と一緒になる」のは一般化しているようだが、その広がりについて学生 65 人

に対して「〜っぽい」の使用に関する調査90を実施した。その結果、「〜っぽい」と「そうだ」が共起し

た例は出なかった。

「〜っぽい」が付けられるものについては、あくまでも「節や文」であり、その許容範囲拡大とともに、

「ぽい」そのものの機能が変化している(表 26)。ほとんどが節・文がつく例であり、その点が従来の

用法や、中間期のものとは異なるように見える。

表 26. 接辞「—っぽい」の変化

従来 共存期(従来+新用法) 変化

例 忘れっぽい

水っぽい

大人っぽい

馬鹿っぽい

駄目っぽい

ミルフィーユっぽい

テストがあるっぽい

忘れたっぽい

これだけっぽい

ばれたっぽい

機能 名詞/な形容詞+っぽい

前項の許容範囲拡大

前項の許容範囲:更に拡大

動詞や助詞に付けられる

意味 〜しやすい

〜の傾向がある

(前項)のようだ

(前項)と判断できる

(前項)と判断した

(前項)だと思う 推定

この表から、「―っぽい」の直前の語が用法の変化に影響を及ぼしていることが分かる。1つの語

句(例えば、「大人っぽい」)については、その通時的変化は見られない。しかし、「―っぽい」が付

けられる直前の語の許容範囲は、確実に広くなっていることが見て取れる。

また、「―っぽい」には、使用できる時間的制約がある。

○例 155 決定前: 消費税が 10%になるっぽい。 ⇒ 情報から自分で判断。

155’決定後: 消費税が 10%になる。 ⇒ 事実

90 2013 年 6 月 20 日〜27 日に 10 代、20 代の学生に実施。「〜っぽい」の使用について、従来のものとは異

なる「新しい用例」を提示し、それと同じ「〜っぽい」を使用するか否かを調べた。また使用する場合は、

その使用場面およびコンテクストを自由記述させた。

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97

このように、「-っぽい」は、法令などが施行されるといった時間的制約がある場合は、その決定前

にしか使えない。これは、「―っぽい」の意味「~のようである」または「推定」であることから、決定

事項には使用できないという、語彙そのものの意味に起因するものである。

馬鹿っぽい ダメっぽい これだけっぽい

より客観的 より主観的・自分の考えのみ。

誰が見てもそう判断できる 他者がどう考えるかは別。

図 8. 「っぽい」の変化

ここで、「文法化」であると言えるかどうかについて考察する。三宅(2005)の「文法化」の指摘では、

いくつかの例が挙げてあるだけであり、文法化そのものの変遷や意味についての考察はない。現

在の使用状況を調べたが、「あるっぽい」、「○○だけっぽい」、「(動詞辞書形/タ形」っぽい」とい

った限定的な用法しか出てこなかった。

以上の結果をふまえて、 「—っぽい」を「文法化」認定基準に照らしてみる。

1.従来になかった機能を新たに持ち、「意味の漂白」と「脱範疇化」が起こったと考えられる。

=名詞から動詞など他の品詞に拡大

2.「 機能語 → 機能語 」への、拡張が認められる。

様子を表す→ 伝聞・推定

つまり、「—っぽい」の一部においては「文法化」する可能性はあるものの、「—っぽい」が「文法化」

しているとは言えない。

5.2.1.2. —くさい

従来の「・・・くさい」は、「いかにもそのような様子である」という意味を表す。

ア ・・・のにおいがする。

イ ・・・のように感じられる。

ウ いやになる程・・・だ。

従来の用法では、様子や状態をあらわし、名詞につける。また、名詞を修飾することもできる。

○例 156 あの話はインチキくさい。

156’インチキくさい話

157 あの人の顔はバタくさい。

157’バタくさい顔

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この「-くさい」はその意味に、マイナス評価を含んでいる。それでは、「主観的な判断を表す」新

しい用法を見てみよう。

○例 158 明日は無理くさい。

*158’無理くさい明日

159 あれ、棺桶くさくない?

??159’棺桶くさいもの(=あれ)

この例にあるように、「な形容詞」だけでなく「名詞」にも「—くさい」を使用できるようになった。しか

も「—くさい」を付けることにより「○○のようだ」という意味を付加することができる。ただし、(7)'の用

法は修飾用法であるため、この新しい用法が浸透していない証拠と言える。

これらは「くさい」の用法の変化ではあるが、「文法化」とまで言えるのだろうか。また、この変化の

要因は何なのだろうか。

これらの例を収集した時点では、まだ形容詞を派生させる接尾辞であり、「ない」と共起しているこ

とから、機能の変化は認められない。だが、動詞に後接する次のような例も出てくる。

○例 160 あそこにあったくさい。

*160’ あったくさい場所(=あそこ)

161 電車の隣の人を豚とか Dis ってたらバレたくさいので、北千住で途中下車したわ91。

? 161’バレたくさいこと(=Dis ってた92内容)

動詞に後接し、「ようだ・みたいだ・そう思うが確信が持てない」といった意味も含まれるようになった。

マイナスイメージのものから主観的な判断へ、意味も変化した。

以上の結果から、接辞「-くさい」の変化について表 27 にまとめる。

表 27. 接辞「—くさい」の変化

従来 共存期(従来+新用法) 変化

例 インチキくさい バタくさい 無理くさい 棺桶くさい あったくさい バレたくさい

機能 様子・状態を表す名詞に

付ける

従来は使われていなかった

名詞全般・な形容詞に使用

動詞の過去形にも使用

節・文へ拡大

意味 マイナス評価を含む

・・・ように感じられる

嫌になるほど・・・だ

推測

・・・のようだ

・・・みたいだ

主観的判断

そう思うが確信が持てない

91 http://togetter.com/li/420477 2013 年 2 月 4 日閲覧 92 「Dis る」若者言葉:「る言葉」の「〜ていた」。軽蔑し攻撃すること。語源:disrespect=軽蔑、無礼

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確かに、動詞の過去形にも使用できるようになる、といった変化はみられた。しかし、これは本当

に「文法化」と言える変化なのだろうか。1990 年代後半から 2000 年代前半では、使用された例は

あるが、数が少ない。本研究で収集した4例しかないため、分析し、結論を導くことは出来ない。

先行研究である三宅(2005)では、「~くさい」を「文法化」としているが、その根拠は定かではな

い。ただし、従来の「~くさい」の前に来る品詞の形態が違うので、明らかに異なった使用例である

ことは分かる。より具体的に見ていこう。「~っぽい」と同じく、「~くさい」の結合形は形容詞の語幹

であり、従来は様子・状態を表す名詞に付けられていた。それが、「無理だ(=な形容詞)」や「棺

桶(=名詞)」など使用条件が緩和されていった。そして、品詞の拡大は進み、「あったくさい」など

動詞の過去形にまで語幹部分が拡大したことが分かる。

表 28. 「~っぽい」と「~くさい」の置き換え

元の文 置き換え 元の文 置き換え

今日はテストがあるっぽい あるくさい 忘れたっぽい。 忘れたくさい

明日は駄目っぽい 駄目くさい あれ、棺桶くさくない? 棺桶っぽい

これだけっぽい ??これだけくさい あそこにあったくさい。 あったっぽい

ばれたっぽい ばれたくさい Dis ってたらバレたくさいので バレたっぽい

以上の置き換えを見てみると、「~っぽい」と「~くさい」は殆どが置き換え可能である。ここで唯一、

置き換えに疑問が残る例を見てみよう。

○例 162 これだけっぽい

?? 162’ これだけくさい

イントネーションによって使い分けることもできるが、「これだけ(が)臭い(=におう)」という文も成

り立つ。そのため、どちらの意味なのかを使い分けるため、「これだけのようだ、これだけっぽい」と

いう意味の「これだけくさい」は使いにくいのではないか、という仮説が立てられる。しかし、やはり

用例が少な過ぎる。「~っぽい」と「~くさい」が、どのように異なるのかについても、現段階で収集

した例から導くことは難しい。

「—くさい」の「文法化」認定について、基準に照らしてみると

1.従来になかった機能を新たに持ち、「意味の漂白」と「脱範疇化」が起こったと

考えられる。

動詞など他の品詞にも拡大していることから、語幹の範囲拡大が認められる。また、

マイナス評価という意味はなくなっている点でも「変化した」と言える。

2.「 機能語 → 機能語 」へ、現象の変化が認められる。

形容詞派生接尾辞 → モダリティ

ただし、用例が少なく一般化されたとまでは言えないため、「文法化」とは認められない。

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100

5.2.1.3 〜ていうか/っていうか/ってゆうか

本研究の4章「ぼかし言葉」で分析したように、「〜っていうか」には①接続詞としての「っていうか」

②発話の最初につけ、“turn-taking”の役割を果たすものがある、ということが分かった。田辺

(2009:57)によると、「というか」の文法化は以下の4段階で起きたとしている。

第一段階 複合助詞表現「というか」 ‘A’というか‘B’ A と B は同一品詞である。

例 1:正直言って、まだまだ使いづらい。というか、コンセプトを具現化する上で(略)

第二段階 従属節表現「ていうか」「ってか」「つうか」

A と B は、示す範囲が広くなり、同一品詞とは特定できないが、意味的に譲歩性が

ある。(それにしても、だけど)発話の中で使われる。

例 2:ま、僕に非はあるんですが。つうかルミさんは完全に人を舐めてますね。(略)

第三段階 会話指標

聞き手への働きかけを目的とした語用論的機能を強める。A 部分は、相手の発話

に拠るので、「ってか」から、いきなり発話を始める形をとる。

例4:つーか 植物が知ったバージョンがもともと携帯だったんだろね。

第四段階 フィラー・呼びかけ語的意味

例5:つーか使っているブラウザーはどれ?

この研究では、音韻変化について詳しく分析しているが、この「文法化」の変化の段階について

は疑問が残る上、第一段階の例文も不適切である。「フィラー93」はまだしも、「呼びかけ語」とは、

分析の観点がどこにあるのか、また三段階、四段階ともに使用例がネットの語彙だけなので、自然

談話ではないという点でも、この分析だけで「現代日本語」に見られる変化として判断するのは難

しい。

そこで本研究で収集した自然談話録音資料を文字化したものを例としてあげ、分析する。従来

のものが A=B であったのに対し、新しいものは「=」ではないが、「≒」で言い換えるものが出て来

た。

A≒B

○例 163 こっちのいうことは、ちょっと、シャットアウトされるってゆうか、興味ない、みたいな

164 っていうか今日ねえ、してたってゆうか時々してるんだけど、今日ね、見て(笑)

=していた =している

93 つなぎ語

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ここに挙げた「シャットアウトされる」のと「興味が無い」のは、等しくはないものの意味が似通ってい

る。「シャットアウトされる」は「自分の意見や考え(=こっちのいうこと)」についてであるため、「意見

や考えを撥ね付けられてしまう」となる。ここでは「自分が好きな音楽について」話していた。その際

「シャットアウトされる」と感じたのは言われた本人(=話し手)で、「興味ない」と判断したのは話し

手である。ここでは、言われたことに関して判断した2つのことを並べて述べている。どちらもマイナ

ス評価であるが、全く同一ではないため、「≒」である。つまり「意見が聞き手に受け入れられず、

聞き手は興味が持てない」ということから、類義語的表現として使用されていると判断した。

また、「してた」と「時々してる」は、過去の習慣だったというだけではなく、今でも時々するもので

ある。頻度や時制は一致しないが、「する」ことについては等しいため、「≒」となる。

A⇒B

次に、A⇒B と話題が転換するものが出てくる。

○例 165 おいしいよねー。ってゆうか早くケーキが食べたい

例 165 では、「おいしい」と「早く食べたい」に共通するのが「ケーキ」である。「(○○という、目の前

には無いが両者が共通して知っている)おいしいケーキ」の話題から、「(今、目の前にある、この)

おいしいケーキを食べたい」という話題へ転換している。ここでは「っていうか」の前項と後項が類

似していた A≒B が【類似語彙の転換】であったのに対し、そこから更に【文単位での転換】へと用

法が拡大していることを示している。語彙が転換されていたものが文へと広がることで、A という話

題から B という話題へ移る際にも「っていうか」が使用されている。「っていうか」の前項(共通して知

っている、ケーキはおいしいという話題)から後項(目の前にある、おいしいケーキを早く食べたい、

という話)となっており、「類似した話題への転換」が見てとれる。

○例 166 A:大人っぽいね、それ考えたら

B:っていうかね、落ち着いとるんよね、私より//大人っぽい

A: 落ち着いとるね

B:ねー

A:○○(B の名前)だって落ち着いとるよ。落ち着いとるっていうか、

C:しっかりはしてますよね

例 166 では、A も B も倒置を使用しているため分かりにくい。そこで、並べ替えた上で共通語の表

現とする。

166’ A:それ考えたら大人っぽいね

B:っていうかね、私より落ち着いとるんよね//大人っぽい

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166’を見ると、A と B といった話者交替はあるものの、C という人物について

話者 A「大人っぽい」 + っていうか + 話者 B「落ち着いている」

話者 A、B の C に対する評価が「っていうか」で結ばれている。この例では、人物 C についての評

価という点で共通している。

これまでが「ってゆうか」を挟んだ語彙や文の転換であるのに比べて、次の例(14)は「ってゆうか」

が文頭にあり、 ターン奪取と り

の機能を持っている。

(A)⇒B

○例 167 A: 今日な、駅でカメラ買って来たっちゅうねん。 ⇒話題1「カメラ」

B: わー、すごい

A : ってゆうかな、チャリンコ持って行かれてるかもしれへんって ⇒話題2「自転車」

この例 167 では S がカメラの話をしていた際、「カメラを買うために立ち寄った場所に止めた自転

車」について話題転換するため、“turn-taking”の機能も持つ「ってゆうか」を用いている。

以上のように、「〜ってゆうか」は使用される過程において、【語彙⇒類似語彙】から【文⇒同様の

文】となり、【話題⇒次の話題】と、機能が変化していった。

これらの例をもとに、文法化の流れを表にまとめると、次の表 29 のようになる。

表 29. 「〜っていうか」

従来 共存期(従来+新用法) 変化

具体例 A というか B シャットアウトされるっていうか興味ない

おいしいよねーっていうか早く食べたい

っていうか(文頭)

○○っていうか

機能 複合助詞 類似表現

語彙転換 ⇒ 文単位の転換 ⇒

話者交代

話題転換

意味 同等の物への

言い換え

類似のものへの言い換え

文単位で関連した話題へ転換・展開

話者交代

(文頭のみ)

変化 「A=B」 「A≒B」 「A⇒B」 「(A)⇒B」

一番大きな変化としては、接続詞から文頭の“turn-taking”の役割を果たすものへの変化、つま

り文法から語用論的指標94への変化が起こった点である。それまでになかった機能が付加された

ので、「文法化」したと言える。また、形態的変化としては「接続詞」に変質したとも考えられる。

94 「談話の指標」とも考えられる。

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ここでも、「—っていうか」の「文法化」認定について、基準に照らしてみる。

1.従来になかった機能を新たに持ち、「意味の漂白」と「脱範疇化」が起こったと考えられる。

同等のものへの言い換え

→話者交代/話題転換・展開、そして turn-taking(接続詞的用法)へと変化

2.「 機能語 → 機能語 」へ、現象の変化が認められる。

複合助詞 → 交代・転換

以上のことからも、 「—っていうか/ってゆうか」は「文法化」していると言える。

5.2.1.4 な形容詞化接辞 「—げ」

ここで取り上げる「―げ」は、「な形容詞」になる接辞である。従来は「制約・機能」として、「『な形

容詞』を造る接尾辞であり、全てのい形容詞につくわけではない」というルールがあったが、新しい

用法として次のような語が認められた。

○例 : 退屈げ95 悲しげ さびしげ いわくありげ 心配げ 楽しげ 苦しげ 食べたげ

言いたげ 怪しげ 懐かしげ 心細げ 美しげ 読みたげ

そもそも、「い形容詞」は人やモノの状態・様子を表すものであるため、「な形容詞」にする必要性

は無いと言える。では、なぜ「な形容詞」にする必要があったのか。

さびしげ=さびしそうな様子

心配げ=心配そうな様子

例として挙げたもの以外にも、形容詞でないものにも付く。では、「―げ」は具体的にどんな語彙

に付くのだろうか。その分布について考察する。

表 30. 「−げ」を付加する品詞と例

95 な形容詞は「~げ」を加えると非文法的であるため、「退屈げ」「心配げ」なども非文法的である。人によ

ってはその使用に差がある可能性がある。

品詞 形態 例

い形容詞 ○○い 美しい ⇒ 美しげ

接尾辞 ○○たい 食べたい ⇒ 食べたげ

形容詞

○○ない

ない ⇒ なさげ

打ち消し 自信ない ⇒ 自信なさげ

助動詞

名詞/な形容詞 ○○だ 退屈だ ⇒ 退屈げ

○○そう いわくありそう ⇒いわくありげ

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「いわくありそう⇒いわくありげ」とあるように「そう」を「げ」に置き換えられるようになった。このように

様態の「そうだ」と「〜げ」は意味が酷似していることもあり、形態的に共起しないことがわかる。

用例が少ないため、一般化されているものではないが、「−げ」は何にでも付けられる訳ではない。

例えば「高い」や「黄色い」など、『ある程度の指針』や、『一般的な基準』があり、人によって判断が

異なるとは言えないものには使用できない。この表現を使用するメリットは

・まわりから見ても判断できる「様子」を短くまとめられる。

・話し手ではなく、第 3 者についての表現である、という mark を付けられる。

といった点が挙げられる。この例からも、客観的に使用される形容詞にも使用できるようになった、

ということが分かる。

また、「デジタル大辞泉」には既に「よさげ」の項目もある。

よさげ96[形動]

《形容詞「よい」の名詞形「よさ」に接尾語「げ」の付いた語。若者言葉》

よさそうなようすだ。よさそうである。「けっこう―な番組」「気持ち―に歌う」

次に、「—げ」がどのように変化していったのかを考察する。例えば従来の用法に則ったものに

はかない ⇒ はかなげ

⇒ *はかなさげ

がある。これは形容詞に「げ」を付加したものであり、「さ」は入れない。

ところが

自信(の)ない 自信なげ

自信なさげ

この場合、「自信なげ」でも「自信なさげ」でも、どちらでも成立する。その理由は何だろうか。

これには、「ない」が助動詞も形容詞も存在していることに要因があると考える。

助動詞の「ない」 ⇒ なげ

形容詞の「ない97」 ⇒ なさそう

日本語文法大辞典(2001:546)には、

⑥助動詞「そうだ」や動詞「すぎる」を下接する場合は、語幹「な」に接尾語「さ」を付けて、

「なさそうだ」「なさすぎる」の形で用いる。「お前の方が確かに松茸にはありつけなさそうだ」

(曽野綾子・太郎物語)「余りにも歯に衣を着せなさすぎる」(同)

とある。形容詞の「ない」は「なさそうだ」となり、助動詞の「ない」と同一の変化をとり、「なさげ」と変

化した、と考える。

96 http://kotobank.jp/word/良さげ 97 「美しくない」「静かでない」などは、「は」「も」を間にはさんで、「美しくはない」「静かでもない」と

いう言い方ができるからで、「ない」は自立語とされ、助動詞でなく形容詞として扱われるわけである(橋本

進吉『助詞・助動詞の研究』昭 44、『新文典別記ロ語篇』昭 13)。日本文法大辞典より(2001:546)

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自信ない 自信なげ

自信なさそう

⇒ げ

暑くなさげ 【推測】 現在地以外の場所について

【判断】 同じ場所に居る他者の様子を見て判断する

では、実際の使用例と、その文法化について検討する。

○例 168 「無理なら削除でもいいです・・。」と連絡先と共に悲しげなナビが送られてきたことが

169 着物からあやしげなアンティークまで様々な物が揃う京都の東寺弘法市に…

170 ウサン臭い!アブない!巷に転がる、いわくありげな職業を著者がすべて実体験。

171 本編とは関係なさげです

172 画像が非常にやばげだったんですが、結果はどうだったんでしょう。

以上のように、「-げ」の変化についてまとめたものが次の表 31 である。

表 31. 「—げ」の変化

従来 共存期(従来+新用法) 変化

具体例 悲しげ、寂しげ あやしげ いわくありげ なさげ/やばげ

機能 な形容詞派生 い形容詞+げ

様子

◯◯いそう⇒げ

推測

助動詞化

ない⇒なさそう⇒なさげ

後接=だった(過去)

意味 そのようである 〜のような 〜そうな 〜と思う 〜そう、〜と思う

〜だろう

変化 〜そう⇒〜げ

置き換え

主観的断定

過去形への接続可能

ここで挙げた例を考えても、「—げ」に「—そう」を置き換えた場合にも文は成立する。では、あえて

「—げ」を使用する理由は何だろうか。それは2つ考えられる。

1つは、「—げ」を使用することで主観的な断定であることを明確に示す狙いがある。

○例 173 : 違和感なさそうな「レタス風」傘!

なさげ

2つめは、過去形への汎用である。従来の用法では、過去形「だった」が後接することはできない

が、「なさげ」「やばげ」には「だった」を使用できるようになった。つまり、「主観の判断」を過去のも

のにまで使えるようにすることで、機能を拡大したと言える。

「~げ」は「い形容詞」も「な形容詞」も同じように変化させて単語を派生させている。ただし、現段

階では特定の語にのみ「げ」を付けているようで、全てに使える訳ではない。より一般的なルールと

しては、主に「ある/ない」といった存在動詞と形容詞に付けられる。ただし「ない」は「なさげ」単独

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で使えるのに対し、「ある」は「ありげ」単独での使用例がない。

ありそう(な) → ありげ

あそこ に ありそう → *あそこにありげ

「~げ」については、「推測」からより「主観的・断定的」となり、意味にも変化が見られることから「文

法化」への変化の過程にあると考えられる。以上の例と分析からも、「○○そう」の代わりに「○○げ」

が使用されるようになったと言えよう。「○○そう」というのが話し手の主観・判断であったのに対し、

「げ」は主観であることにかわりはないが、様子・有様を断言し、よりはっきりと言い切ってしまう。

では、「—げ」の「文法化」認定について、基準に照らしてみよう。

1.従来になかった機能を付加されたが、意味は変化せず使用範囲が広がっただけである。

「−そう」→「—げ」に置き換え

2.「 機能語 → 機能語 」へ、現象の変化が認められる。

な形容詞派生 → 助動詞化

これまでの調査により、「—げ」だけでなくその前の要素も含めて、「文法化」に至る変化があること

が分かった。しかし、「—げ」そのものが「文法化」したとまでは言えない。

5.2.1.5 若者言葉に見られる「文法化」現象と未完了の事例

本節では、若者言葉に見られる「文法化」について、認定基準に照らし合わせながら検討してき

た。その結果をまとめたのが、次の表 32 である。

表 32. 若者言葉の文法化特徴(まとめ)

—っぽい —くさい —っていうか —げ

脱範疇化

動詞など

他の品詞へ拡大

動詞など

他の品詞へ拡大

語彙の転換

→文単位の転換

“turn-taking”

「−そう」

→「—げ」に置換

意味

しやすい/傾向

→主観的判断

「マイナス評価」の

漂白

言い換え

→話題転換

話者交代:漂白

そのようである

(一般的)

→主観的判断

機能 機能語 → 機能語

様子を表す

→ 伝聞・推定

形容詞派生接尾辞

→ 助動詞

複合助詞

→ 交代・転換

な形容詞派生

→ 助動詞化

文法化判定

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

文法化

語基を含めた変化

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

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上記に挙げた「文法化」における特徴として特筆すべきは、「機能語→機能語」の変化である。

従来の研究で「文法化」として取り上げられたものは「意味を持つ語彙」から「機能語」への変化で

あったが、本研究では「機能語」から「機能語」であっても、その内容が異なるものであれば「文法

化」と規定することとした。

本節で取り上げた例からも「脱範疇化」と「機能」については顕著であるが、「意味の漂白」につい

ては完全な「漂白」とまでは言い切れないものもある。今後、「文法化の未完了」である変化が本当

に「文法化」するのか、経過を観察する。

5.2.2 類推

5.1.2で「再分析」と「類推」についてまとめたが、本節ではまず、「類推」の類似性についてまとめ

る。早瀬ほか98(2005:110-111)には、類推に関わる類似性について次のように記している。

認知科学における類推研究であるHolyoak and Thagard(1995)に従えば、類推が起こるため

に本質的に必要とされる類似性とは、次の3つである(Holyoak and Thagard 1995,Ch.3)

(30)類推に関わる類似性:

a.対象のもつ属性レベルの類似性

b.対象が関わる関係の類似性(一次的関係)

c.一次的関係どうしに見られる高次の類似性(システム・レベル)

このうち類推において重要視されるのは(30a)の「属性レベルの類似性」よりも、(30b)の

「関係の類似性」もしくは(30c)の「高次レベルの類似性」である。つまり、属性そのものより

関係の類似性が、類推を促進する動機となる(以下略)。

これ以外にも、認知の理論や架空の語彙を使用した言語進化などが先行研究にあるが、具体的

な日本語の「類推」現象について論じたものは殆どなかった。

そこで、本研究では若者言葉の中でも「類推」と考えられる「-的」と「-さ」について検討する。そ

の際、Holyoak and Thagard(1995) のいう(30)類推に関わる類似性について

a.対象のもつ属性レベルの類似性

b.対象が関わる関係の類似性(一次的関係)

c.一次的関係どうしに見られる高次の類似性(システム・レベル)

以上3点を中心に分析を進める。その際、認知文法の用法基盤モデル99のスキーマも示す。

98 「認知文法の新展開」 早瀬尚子、堀田優子(2005) 99 早瀬ほか(2005:72)「結果的には規則のように働くとしても、規則のような所与のものではなく、あくまで

も経験の中からカテゴリー化・抽象化のプロセスを経て、ボトムアップ式に直接得られるもの」をさす。こ

のスキーマは「定着度によって、その位置づけや重要度がさまざまである。広範囲に適用可能なスキーマも

あれば、局所的で例外の多いスキーマもある(同:73)」。

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108

5.2.2.1 「-的」の類推

従来の「—的」の使い方は、王(2010)で先行研究をまとめ、新しい用法についても言及されている。

ただし、毎日 NEWS パックを分析資料としているため、新しい用法の例としては適切ではなく、また、

分析が十分ではない。

ここで取り上げる「~的」は従来のものとは異なる。具体的な例を挙げる。

○例 174 :来ると来ないでは大きな違いだよね、立場的にも

175 :天神と同じくらいかな、距離的には

「的に」を省略した「立場も」「距離は」でも、文は成り立っている。従来は、漢語の中でも直前の

要素で使用できる語彙が限定されていた。このような従来の「—的」用法との比較100について、ここ

では「類推」の視点から分析する。

a.対象のもつ属性レベルの類似性

「—的」の直前の要素が「名詞」であるという属性が同じではあるが、直前の要素が「漢語」と

「和語」という違いがある。

b.対象が関わる関係の類似性(一次的関係)

従来 = あるものや人に対する評価、傾向、グループ分け

若者言葉 = 話し手や人名の傾向

つまり、対象との関わり方は類似している。

c.一次的関係どうしに見られる高次の類似性(システム・レベル)

【X的な名詞】・・・形容動詞(=な形容詞)として働き、「Xとしては」という意味を持たせる。

新しい用法の「—的」に関する先行研究は、遠藤(1984)、浅井ほか(1997)、小出(2004)、金澤

(2005)、王(2011)がある。以下に示し、問題点を指摘する。

まず遠藤(1984 : 125-138)では、「『風見鶏的』『マクロ的』のように和語や外来語につく用法もあり、

極めて繁殖力の強い接尾語といえる。(ア)「的」を取り除くと語として成り立たなくなるもの、(イ)「的」

がなくても語として存在し、機能をもつもの、の2種類に分かれる。」とある。しかし、この論文で指

摘されている(イ)は派生語ではあるが、一語漢語と結合したものが多く、この「的」との結合により語

形が安定し、使われ易くなったと考えられる。

また、浅井ほか(1997 : 52-61)では「調査項目⑧「何々的」で不自然なもの」として

・この服は長さ的にはちょうどよい

・色的に派手な車が通った

・書類的には全部がそろっています

・気持ち的には理解ができます

などがあげられている。その分析としては

100 4章の「ぼかし言葉」で既述。

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109

「的」という語は、以前からある種の違和感をもって見られているようだ。(略)外来語が

「的』の前に付く語を除くと、残りは 291 であった。これらの語は、漢語に「的」が付けられ

たもので、『和語』と『的』が結合した語はない。101

「的」の多用、濫用が、和語まで巻き込んだ形で増えてきているのはなぜなのであろう

か102。(略)(1)〜のような (2)〜の性質を帯びた (3)〜の状態をなす同じような働きを

することばで、若い人がよく使う言葉に「〜らしい」「〜みたい」「〜くさい」「〜っぽい」

「〜系」がある。(略)若い人に多い、対人関係を過度に意識した、ことばの使い方として

指摘をする人もいる。いずれにしても、伝えるべき内容をあいまいにする働きが、この

「的」には備わっているようである。

とあるが、使用法を比較した調査は、なされていない。加えて「伝えるべき内容をあいまいにする

働きが、この『的』には備わっているようである。」とする根拠がない。

小出(2004 : 1-14)では、より具体的な例が挙げられ、分析を進めている。

「X的にはYはZだ」となるとした場合、XとZの間に事象としての包含関係があるか検証

した。XはZを含む関係で、Xに「的」が付けられている。

27.キリン的には”やっちゃイケナイ”味という…

28.しかしラーメン的に言うと、チャーシューの味が…

「XはZはYだ」という形ならば、自動的に「X的にはZはYだ」などへの書き換えが可能か

どうか。

30a.天気予報はTBSはいい。⇒天気予報的にはTBSはいい。

31b.私は昨日は大学にいた。⇒??わたし的には昨日は大学にいた。

取り立て詞ハを用いた表現と、「的には」を用いた表現の違いは、文全体の発話行為と

しての性格の違いにあるということになる。「的」を使った文が新たに分担するようになった

領域ということになろう。(略)主張的なモダリティを持つことが観察された。

主張的評価的な発話行為とは(略)話者の主観とのかかわりの深いものであり、それを

「〜的には」という表現が可能にしている。

しかしここに列挙された例、特に30の例は不自然であり、出自も明らかではない。「主張的な観

点を持つことが観察された。」とあるが、この結論に至った理由が明確でない上、例が少な過ぎる。

次に、金澤(2005 : 91-104)を見てみよう。

「わたし的」「自分的」においては、「〜的に」に含まれる用例のうちの大多数が、「〜的

には」の形を取っている「〜的」の新用法の拡がりは前接語の多様化や「〜的」の意味

の拡がりといった、謂わば語レベルの変化に止まるのではなく、そこから進んで文法と

してのレベルや、更に言えば話者の表現方法に関わるレベルにまで、その特色が及ん

101 P.56 102 P.58

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110

でいると考える方が自然

①文頭にいきなり「〜的」が来る。

②「的」の後に「に」、とりわけ「には」が接続して、以下に続いてゆく場合が多い。

③述語の部分には、二元的・絶対的な好/悪の感情を示す表現が来る。

この論文では「二元的・絶対的な好/悪の感情を示す表現」との指摘があるが、全てではないは

ずである。発話者の判断・好悪であって、2項対立ではない。

そして、王(2011 : 77)では「的」について通時的研究を行った。

明治末からその年代つまり昭和後期までの間に「的」の語基部分に文や句が現れると

いう使い方はなく、新たに出現したのは平成に入ってからである。従って、「的」付きな形

容詞の語基部分に「句」が現れるというのは典型的な特徴からの新しい拡張ではなく、

一種の「再生」とも言える現象であろう。

という分析がなされている。ここで「一種の『再生』とも言える現象」とあるが、「再生」よりは「回帰」と

言えるのではないか。この現象は「全然」にも見られるものである。

これらの先行研究をふまえ、 従来の「的」がつく語彙と、新しい用法の例および意味の変化をま

とめると表 27 になる。

表 33. 「的」の変化

従来の「的」がつく語彙には、どのような特徴があるのだろうか。

広辞苑(第 6 版)には「的」がつく語彙が 450 語あり、そのうち漢語418語、外来語 6 語が語幹の中

心を占めている。その他に和語が2語、品詞が不明である語幹を持つものは23語あった。和語が

つくのは「浪花節的103」と「ぬえ(鵺)的」であり、使用例は以下のようなものがあった。

103 国立国語研究所の語種辞書「かたりぐさ」では和語に分類されている。

的 例 意味

従来 漢語 + 的 感動的

保守的

感動するような

「保守」の傾向がある

新しい用法

名詞

人名 + 的

気持ち的に

私的には

気持ちの上では

私としては

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111

「浪花節的」

[形動]言動や考え方が義理人情を重んじ、通俗的で情緒的であるさま。「―な解決」104

○例 :本家本元の浪花節の人気も営業の世界での浪花節的105営業手法もどちらも減ってきて

いまして(略)

浪花節的106な感情が入ってしまうけど上村騎手に勝ってもらいたいね

「鵺(ぬえ)的」

[形動]つかみどころがなくて得体の知れないさま。

「―な人物」「―存在」107

○例 :法運用史から解き明かされる独禁法の

「ぬえ的108」性格。

GXR は開発コンセプトが鵺的109である

以上のような使用例があるが、一般的には

あまり使用されていないようである。

広辞苑(第6版)の「—的」語幹の属性をグラフに

すると、右のようになる。 図9. 広辞苑「—的」の語幹

一方、語種辞書「かたりぐさ」には 71 語の「的」があり、そのうち混交語は 2 語のみでそれ以外は

全て漢語である。しかし、上記2つの資料にはない、新しいものが出て来ている。次の例を見てみ

よう。

○例 176 :まあ、流れ的に入っていく話で

177 :何でなん?って。私的にはこれから盛り上がって行く予定やったのに、

178 :かおりちゃん的には、話し合って?いきたいねんけど、周りの先生は、もう、

179 :多分気持ち的に余裕ないと思うね。

180 :でもね、なんか違う。なんか、それが逆にキャラクター的に許される//から、

181 :で、△君的にも、私□□って大事な友達やねんって、言ってて…

182 :来ると来ないでは大きな違いだよね、立場的にも

183 :天神と同じくらいかな、距離的には

以上のように、新しい用法の「—的」は名詞である。従来のものとの違いは、「和語」にも接続可能に

なったという点である。

104 デジタル大辞泉 http://kotobank.jp/word/浪花節的 2012 年 11 月 9 日閲覧 105 http://jyouhoukan.net/column/251_naniwabusi.htm2012 年 11 月 9 日閲覧 106 http://blog.livedoor.jp/ken1326shirasawa/archives/65109804.html2012 年 11 月 9 日閲覧 107 http://kotobank.jp/word/鵼的 2012 年 11 月 9 日閲覧 108 http://sustainability.shinnihon.or.jp/publish/pdf/publish007nihontekikozo_app.pdf2012 年 11 月 9 日閲覧 109 2009.11.28 の記事。http://suigei.blog10.fc2.com/blog-entry-1275.html 2012 年 11 月 9 日閲覧

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112

早瀬ほか(2005:122)によると、「スキーマ110の定着度が高くなると、類似のパターンをさらにたや

すく作り出せるようになるが、そこでスキーマの再分析が行われ、-er 語尾の語を基底語として求め

るはずの制約がゆるめられ、新たな表現の可能性が生まれてくることになる」という。そこで、「—的」

にもこの流れが当てはまるのかどうか、検討する。

○ 漢 ○

○ 語 ○

○ 和 ○ —的

○ 語 ○

○ 名 ○

○ 詞 ○

図 10. 用法基盤モデル「—的」のスキーマ

まず、「漢語」に「的」を付ける用法が拡がり、スキーマとして定着度が高くなった。蓄積された表

現の中で「私的(してき)」と「私的(わたしてき)」が両方とも存在することとなった。両者は異なった

意味と用法によって使用されるようになり、「呼称+的」という用法が広がる。これは「漢語+的」と

いう統語的語彙的結合のルールの類似パターンである。ここからスキーマが再分析され、制約が

ゆるめられたと考えられる。つまり、「呼称」だけでなく「和語」にも使用が可能となった。

「接辞の創発」という現象111は日本語にも見られる112。「—的」は、語彙を増やす接辞的な役割を

果たし、若者を中心に定着しているようである。これも、言語接触の影響を受けて生み出されたス

キーマの例であると考えられる。

山梨(2000:181)、 Langacker (1993:2)のスキーマを図にすると、次のようになる。

スキーマ

プロトタイプ 拡張

図11. スキーマ

110 スキーマとは物事の捉え方を可視化したものであり、認知意味論においてメタファーやメトニミーとあわ

せて用いることで、言語の実態を究明する。 111 「〜チック(ティック)」などによる語彙は、王(2011)に類推でないことが指摘されている。 112 早瀬ほか(2005:122)

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113

王(2011:83-84)では、「的」が付く語彙の分析で全体像を示しているが、「新しい用法」に絞った

ものではない。そこで、「新しい用法」にのみ言及するため、まず「的」の意味を示す。

的113 [接尾]

1 名詞に付いて、形容動詞の語幹をつくる。

アそのような性質をもったものの意を表す。「文学―表現」「詩―発想」

イそれについての、その方面にかかわる、などの意を表す。「教育―見地」「政治―発言」

「科学―方法」

ウそのようなようすの、それらしい、などの意を表す。「大陸―風土」「平和―解決」

「徹底―追求」

2 人名や人を表す語(また、その一部)に付いて親しみや軽蔑(けいべつ)の気持ちを込めて、

その人を呼ぶのに用いる。「取―(=下級の力士)」「泥―(=泥棒)」「幸―(=幸次郎)」

次に、「新しい用法」の拡張のうち、Ⅰのな形容詞(=形容動詞)語幹をつくるものについて、山

梨(2000:181)、 Langacker(1993:2)および山下(2011:139)、内田(2009)のスキーマを参考にすると、

図 12.のようになる。

的 Ⅰ 拡張1

気持ち的

図 12. 「—的」新しい用法(Ⅰ) のスキーマ

大辞泉の「的」に関する補足説明には、「最近、『わたし的には~』『ぼく的には~』とい

う若い人が増えて批判の対象となった。これは『わたしは~』『ぼくは~』と直截に言うの

を避けた言い方である。『わたしとしては~』『ぼくとしては~』とぼかした表現で、『個人

的には~』『将来的には~』などと同じ用法と見てよい。」とある。しかし、「かおりちゃん

的」や「○○君的」など、固有名詞に付けて使用する例も見られることから、この「人+

的」についてスキーマを用いて検討する。

113 大辞泉 http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?dtype=0&dname=0na&index=12652300

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114

固有名詞

的 Ⅰ 拡張1 拡張2

個人的 私的(わたしてき) かおりちゃん的

拡張2’ 拡張3

俺的、わし的 あいつら的

図 13. 「人+的」のスキーマ

このように、最初は「人」=「個人」に「的」が用いられていたものが、「私」にも使用

されるようになり、1人称から固有名詞へと拡張されていったと考えられる。これらは、「人

+〜としては」という意味で使用されている。

なお、この「私的」については、「自分的」、「俺的」、「わし的」といった、1人称の他のバリエーショ

ンも生まれ、拡張を続けていることが確認された。一人称の拡張はさらに進み、2013 年1146 月時点

では、2 人称複数である「あいつら的」といった複数にまで使用されるようになった。

以上のように、「『的』の類推」について、実際の使用例を分析し、スキーマによる考察を行った。

本節では、「的」は類推により使用範囲を拡大し、意味にも変化が起こっていることが分かった。

114 2013 年 6 月 20 日〜27 日に宇都宮大学で 65 名に実施した、「〜っぽい」、「〜的」、「〜くさい」の使用に

関するアンケート結果による。

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115

5.2.2.2. 名詞化接辞「—さ」

日本語文法大辞典によると、接尾語には以下の2種類があるとしている。

(1)上の語基になんらかの意味を付け加えるもの

(2)上の語基になんらかの意味を付け加えるとともに文法的に別の品詞の資格を与えるもの

これに従うと、「—感」や「—性」は(1)であるが、「—さ」は

(ア)主として形容詞・形容動詞の語幹に付いて名詞をつくるもの。

「さ」(大きさ・見事さ)=属性そのものや属性の程度を表す。

とあるように、名詞を作るものである。しかし、従来は「—感」や「—性」などの語彙を使用していたも

のを、「—さ」にする例も見られるようになった。実際の使用例を見てみよう。

○例 184 :学術的真偽を別にして、緊迫さに欠けた ... (東亜日報 2006 年 6 月 28 日)

⇒ 緊迫感

「—感115」は、広辞苑によると、「物事にふれて心を動かすこと。きもち」という意味を持つ。

○例 185 :各国部隊がパリで行進 革命記念日、多様さ象徴 (福井新聞 - 2007 年 7 月 14 日)

⇒多様性

「—性」は、日本語文法大辞典では「そのような性質を持つことを表す」ものであり、広辞苑では

「物事のたち。傾向」という意味であるとしている。ここでも「—性」のかわりに「—さ」を用いている。

本来ならば、「-感」や「-性」という接尾辞で異なる意味を与えていたにも関わらず、「-さ」に置き換

えてしまっている。

もう1つの異なる例を見てみよう。語基が独立していないためである。「チャラい」の語基は元々が

「チャラチャラしている」で、擬音語である。しかし、語種辞書「かたりぐさ」の「〜性」を語基に持つ

語彙94語は混交語7語以外が漢語であり、擬音語に付けるものはないとされている。

「チャラい」は 1980 年代116には既に使用が認められ、2000年代後半から耳にする機会が増えた。

「チャラい」という形容詞が定着し、そこから、名詞化の「さ」によって「チャラさ」ができた。

「チャラい」は、「緊迫さ」「多様さ」と何が違うのだろうか。「チャラい」からは「*チャラ性」という言

葉は、現時点で作れない。その理由は、「い形容詞」を経て、名詞:「チャラさ」がつくられたという

仮説が立てられることにある。

これまでの用法では、「い形容詞」の「い」を「〜性」に置き換えることで名詞を造ることはできない。

また、「〜感」や「〜性」の語幹は漢語または混交語であるため、和語が主である「い形容詞」には

付けられない。

緊迫した ⇒ 緊迫性 ⇒ 緊迫さ

チャラチャラした ⇒ *チャラ性

115 日本語文法大辞典には、接尾語としての「—感」は掲載されていない。 116 「日本俗語辞典」http://zokugo-dict.com/による。

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116

⇒名詞

「チャラさ」が使用されるようになった一方で、「チャラ性」という語彙ができなかった理由としては、

「『チャラい』が定着したから」ではなく、「〜性」を付加できる語彙が限られているためであろう。

多様な ⇒ 多様性 ⇒ 多様さ

つまり「な形容詞」など従来の用法から「〜性」の語彙が派生し、そこから「−さ」へと拡大していった

と言えよう。しかし、「チャラチャラ」などの擬音語・擬態語には「感」や「性」などが付きにくいのでは

ないか。この疑問に関しては、資料が少ないため、現段階では分析できないが、

チャラチャラした⇒チャラい

という語彙が存在していることからも、「形容詞にヒントがあるのではないか」という仮説は立てられ

る。以上のような「-さ」に起こった変化の理由について、類推に関わる類似性について考察してい

く。

a.対象のもつ属性レベルの類似性

「名詞を作る接辞」という属性が同じ。ただし、従来のものが漢語に接辞していたのに対し、

若者言葉では漢語・擬音語・名詞にも使用可能となった。

b.対象が関わる関係の類似性(一次的関係)

従来 = 「—感」「—性」などでも作ることができる

若者言葉 = 「—さ」での代用が可能となった

どちらも「名詞として扱うための対処」を行っているため、対象との関わり方は類似している。

c.一次的関係どうしに見られる高次の類似性(システム・レベル)

Xさ・・・名詞化接辞として名詞を作り、「Xのような」という様子を表す意味を持たせる。

表 33. 「—さ」の変化

機能 意味

従来 かわいい + さ い形容詞

な形容詞(一部)

その程度・状態にある

新用法

多様性 ⇒ 多様さ

緊迫感 ⇒ 緊迫さ

チャラい ⇒ チャラさ

い形容詞

な形容詞(一部)

名詞

漢語+さ

外来語+さ

擬音語+さ

雰囲気

程度が甚だしい

レベルが高い

~なもの

~な様子、~した様子

〜な感じ

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117

置換

新しい用法では、語幹となる語彙の品詞が多様化したことが分かる。

以上のことをふまえ、用法基盤モデル「—さ」のスキーマを示すと、次の図 14 のようになる。

○ 形 ○

○ 容 ○

○ 詞 ○

○ -感 ○ —さ

○ -性 ○ 名詞化

○ 擬 外 ○

○ 音 来 ○

○ 語 語 ○

図 14. 用法基盤モデル「—さ」のスキーマ

まず、形容詞に「—さ」を付ける用法が拡がり、スキーマとして定着度が高くなった。蓄積された

表現の中で「緊迫感」があるにも関わらず「緊迫さ」も使用されるようになった。つまり、「○○感」と

「○○さ」が併用され始めた。これは「形容詞+さ」という語彙的結合ルールの類似パターンであり、

ここからスキーマが再分析され、制約がゆるめられたと考えられる。つまり、「形容詞の名詞化」

だけでなく「漢語・外来語・名詞」にも使用が可能となった。これも、「—的」と同様に、言語接触の

影響を受けて生み出されたスキーマの例であると考えられる。

次に「—さ」の拡張について見ていこう。「漢語+さ」のスキーマは図 15 のように示される。

漢語

さ(プロトタイプ) 拡張1 拡張2

大切さ 大事さ 堂々さ

図 15. 「漢語+さ」のスキーマ

ここでは漢語に「—さ」を付けているが、その付けられる語彙が拡大していることが分かる。

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118

また、「—さ」を付けられる品詞の拡大について見てみると、次の図 16 のようになる。

【い形容詞】+さ 【な形容詞】 【名詞】

おいしさ おしゃれさ やんちゃさ

図 16. 「+さ」品詞変化のスキーマ

ここで注意したいのが、「-さ」の変化である。従来のものは、形容詞の名詞化に使用されてきた

が、新しい用法では「名詞も名詞化」している。これと同じような例が、英語でも見られる。早瀬ほか

(2005:113)では、英語における「名詞の名詞化」について以下のようにまとめられていた。

では、なぜ名詞にまで-er接辞をつけることが可能なのだろう。Ryder(1999)は、いくつか

の理由を述べている。まず、英語には名詞転換動詞が多いため、名詞と動詞の区別が

形態的にはつけられないことがしばしば起こる。次の例は すべて名詞用法と動詞

用法の両方を持つものである。

(34) drain, drill, duel, export, farm, fan, mop, pin, study, walk, work, etc.

(35) He bought a new mop, and he mopped the floor.

このように形式上名詞の区別をしがたいものが、英語には多々見られる。そのことも

手伝ってか、もともと動詞のみをもっぱら基とする-er 形が、その動詞と同型の名詞をも

その基底形としてとると再分析された可能性がある(Ryder1999)。この再分析が行われ

た結果、類推に基づいて、明らかに名詞としてしか解釈できないものにも-er がついた

表現が出てくるようになったと考えられる。

この例と同様に、「なぜ名詞にまで名詞化接辞『—さ』をつけられるのか」について検討する。日

本語では名詞転換できるな形容詞によって造られた新語が多い。名詞とな形容詞の両方の意味・

用法があるため、形態的に区別するのが難しい。

○例 立派な、やんちゃな、ハンサムな、おしゃれな、きれいな 等

もともと「い形容詞」のみをもっぱら語基とする「-さ」が、な形容詞にも許容範囲が拡大したため、

「『な形容詞』と同型である名詞も基底形としてとる」と再分析されたのであろう。図 17 に示す。

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119

名詞+さ 拡張1 拡張2

悪質さ ちゃらんぽらんさ ファジーさ

【名詞:漢語】 【名詞:和語】 【名詞:外来語】

図 17. 「名詞+さ」のスキーマ:和語から外来語へ

現段階では、「い形容詞」でも「-さ」を付けられるものと、そうでないものがある。また、そこからの

拡張として「な形容詞」にも「-さ」が付くものもあれば、付かないものもある。117

この再分析の結果、類推に基づいて、明らかに名詞としてしか解釈できないものにも「-さ」が付け

られるようになったと考えられる。

次に、「—さ」の意味変化について考察する。従来のものは、そもそも「い形容詞」や「な形容詞」

の表す程度や状態にあるものを「名詞」としていた。そのため「かわいさ」は「かわいいものについ

て使用する」ということが前提となっていた。

しかし、新用法では雰囲気・傾向だけでなく「レベルを持たせる」使われ方も散見される。例えば、

「間抜けさ」について新聞記事では次のような使用例があった。

○例 186 : 日本警察の間抜けさに専門家の頭がついていかない118

この場合、「間抜けさ」だけを見てみると、従来の意味であれば

○例 186’: 日本警察は間抜けな状態にあるので、専門家の頭がついていかない

となるだろう。しかし、「警察は間抜け=専門家の頭がついていかない」という図式にはならないの

ではないか。そこで新しい用法として考えると、ここでは単に「間抜け」であることを示すのではなく

○例 186” : 日本警察は間抜けな程度が甚だしく、専門家の頭がついていかない

という意味に解釈できる。つまり、日本警察について「あまりにも『間抜け』のレベルが高すぎる」か

ら、「専門家の頭がついていかない」という後節に繋がる。

117 「い形容詞:1302 語」「な形容詞 986 語」 程度? 118 http://mechag.asks.jp/535276.html (2013 年 7 月 23 日閲覧)

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120

○例 187 : これはまさに絶望的な間抜けさだと思いました。何が?って、ネズミにやられた…119

ここでは、「絶望的に間抜けだと思いました。」で良いところを、わざわざ「間抜けさ」を使用している。

その理由は何だろうか。先の例と同様に置き換えてみる。

○例 187’ : これはまさに絶望的なに間抜けな状態だと思いました。(略)

187” : これはまさに絶望的なに間抜けレベルが高い(だ)と思いました。(略)

このように、単なる「間抜け」というよりは「間抜けのレベルが高い」ということを示すために「—さ」を

付けているのだろう。

以上の例だけでなく様々な例120があるが、【和語・名詞】である「間抜け」が「—さ」を付けることで

程度を表し、短縮した形で表現することができる。

「—感」や「—性」によって名詞を作る場合は意味が限られていたり制約がある121ため、「—さ」で作

る方が簡単に語彙を増やすことができると考えられる。

5.3 今後の課題

「従来、接語や接辞ではなかった自立語が、機能を持つ。」という狭義の「文法化」だけでなく、

より広い意味での「文法化」について分析を進めてきた。結果として、先行研究で「文法化」と指摘

されていたもののうち、「〜っていうか」だけが文法化であると確認できた。しかし、その他の用法に

ついては現段階で「文法化」とは言えず、これから変化していく過程にあると言える。

今後、言語類型論的な視点も含めて、世界の言語にどのような文法変化のパターンがあるのか

を明らかにすることを目指す。本章で論じた「文法化」「文法化の過程にある」接辞や語彙につい

ても、その過程の途中で止まるのか、「文法化」するのかは、今後の動向に注目する必要がある。

新しい語彙が生まれ、変化していく過程を今後も追い続ける。

119 http://ameblo.jp/takashihara/entry-11495914576.html (2013 年 7 月 23 日閲覧) 120 宮本百合子「大橋房子様へ」:貴女は自分の愚かさ、間抜けさを、そんなに可愛がっていらっしゃらないでしょう。

ニコニコ大百科(http://dic.nicovideo.jp/a/馬鹿):馬鹿とは、相手の愚かさ・間抜けさ・滑稽さを侮蔑するため、日本語

で相手をからかったりするときに広く使われる俗語である。(2013 年 7 月 23 日閲覧) 121 「-感」や「-さ」は主に漢語に付けられるが、「期待感」や「不安感」、「やりきった感」などの使用例

もある。

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121

終章

本論文では、「現代日本語における言語変化」について、特に若者言葉に見られる現象を収集・

分析してきた。結論をまとめ、分析過程で出てきた課題について述べる。

6.1 結論

本研究で分析した「若者言葉」に見られる変化と、その「文法化の可能性」について結

論を記す。

6.1.1 「若者言葉」に見られる変化のまとめ

1990年代後半から 2000年代の「若者言葉」に見られる変化の分析結果をまとめる。

6.1.1.1 動詞化接辞「—る」

形態的特徴としては、「-る」により「動詞である」という標示になる。動詞化接尾辞「-

る」によって造られた動詞は、いわゆる「五段動詞」と同じ活用をする。「一段動詞」の活

用はとらない。統語的特徴としては「(元の語)のようになる」、あるいはその元の語と関

わりのある動きをするという意味の動詞を作る。意味に関しては「その名詞のようになる」

という変化や、動詞となった元の語が表す行為や様子を模倣する、同じように振舞うこと

を示す。

本研究で分析した動詞化接尾辞「-る」には①動詞化「る」は五段動詞の活用をとり、

②名詞、固有名詞などに付加することで、名詞、固有名詞の特徴を持つといった意味を付

加する。また、③外来語、擬音語・擬態語などに付けて五段動詞を作るという特徴がある。

動詞化接尾辞「-る」によって作られる動詞は、同じ活用を使用するよう、現時点では

五段動詞とされていることが分かった。また、意味的特徴としては、品詞ごとによって異

なるが、それぞれの語彙が持つ特徴と関わる意味を加えている。

6.1.1.2 新しい形容詞

活用の変化、特に派生形式の変化が見られ、従来のものと形が同じでも異なる意味を持

っている。外来語を派生させた語彙からの語彙拡大と、語幹となる品詞の許容範囲拡大が

見られる。「従来の形容詞」の活用から見れば、「誤用」と思われるものが多数使用され、

定着しつつあるという現状を認識し、この変化を論理的に証明した。

形態的特徴は大きく2つあり、①省略と②倒置である。意味的特徴としては語彙として

は既存だが、従来の意味・辞書に記載されている意味とは異なるものがある。

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122

「新しい形容詞」の中でも一番大きな変化であると考えられるのが、「形容詞」の中でも

「な形容詞」が「い形容詞」と同じ活用をするようになってきている、という現象である。

「小さい」「小さな」といった語彙があるように、「い形容詞」が「な形容詞」の活用を

使用することが可能であるならば、「な形容詞」が「い形容詞」の活用を使用することも可

能だ、と考え、「新しい形容詞(用法)」を生み出していった。そこから、「な形容詞」が「い

形容詞」の活用を採用する、という流れが生まれ、現在も使用しているが、この変化は一

部の「な形容詞」において定着しつつある。

ただし、「な形容詞」が「い形容詞」の活用を使用する語彙は限られている。また、方言

との関連も無視できない。

「新しい形容詞」の特徴:

言語学的分析を行った上で、以下のように「新しい形容詞」をまとめることができる。

造語①省略により生まれた語彙

②外来語を派生させた語彙⇒従来の用法を使用・応用して語彙を拡大

③語幹として使用できる語彙・品詞の許容範囲を拡大

活用①「な形容詞」の「い形容詞」化(一部)「い形容詞」の「な形容詞」化

②派生形式の変化

意味従来の形容詞の意味と異なる意味を持つ

以上のような特徴を持つものを「新しい形容詞」とする。

6.1.1.3 程度の副詞

「名詞」・「名詞類」を修飾する「程度の副詞」が増えているが、元からある語彙を「程

度の副詞」として採用する場合は、元の意味が重要であり、【漢字一文字・名詞など】が使

用されている。

形態的特徴としては、「程度の副詞」を増やすために、他の語彙を利用して新しい「程度

の副詞」を作っている。これまでのものとは異なり、新しく出てきた語彙で、従来は無か

ったものとして、

①漢字一文字○例 激ウマ・即レス・爆睡

②名詞の転用「程度を表す副詞的用法」 ○例 大人買い・鬼カワイイ・カメレス

③擬音語・擬態語 ○例 ガツ勉・がっつり食う・ガンガン攻める・さくっと帰る・チラ見

④方言 ○例 バリかわいい・バリバリもてる・むっちゃ好き・めっちゃ良い・デラやばい

⑤外来語 ○例 フルシカト・プチ整形・プチ家出

⑥他の品詞の「副詞的用法」 ○例オニ・さくっと・バリ・ブチ

などがある。

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123

意味的特徴については①名詞の意味変化で「ゲロ」や「バカ」などが転用した際はプラ

スの意味を持つようになったり、②性質・様子を表す語彙【こ・地味に・速攻・ちょい・

半端ない・マジ・やや】などの意味が変化した。③語彙化されたものの中でも生産性が低

いか全く無いものがある。例えば、「大人買い」や「ブタ鞄」のように限定された語彙にの

み付けられており、「程度の副詞」にまで発展した機能ではなく、その途上の語彙化されて

いる段階のものである。これらは、一般に程度副詞として途中の発達段階を示す好例であ

り、面白い例である。

「程度」の類型についてであるが、「程度の副詞」と言っても、様々な「程度」を表して

いる。「すごい・すごく」を示すものが多い。 ○例鬼 がぜん ガン 激

従来は方言であった【バリ・バリバリ・ブチ・むっちゃ・めっちゃ】も「すごい・すご

く」を表す語彙として、全国的に使用されているようである。従来のものと比べると、新

しいものでは「強調」が多い。また、従来には無かった「マイナスをプラスに」意味変化

して使用する語彙や、「普通」、「スピード」などの「程度の副詞」が新たに加えられている

ようである。

「程度の副詞」の特徴

新しい「程度の副詞」についてまとめると次のようになる。

・ 程度を表す語彙【漢字一文字・名詞など】 ⇒元の語彙の品詞にとらわれず程度の

副詞と同様に使用している。

・擬音語・擬態語などを使用するようになった。

・ 新しい語彙を「程度の副詞」として使用する場合は、元の語彙の持つ意味が重要な

役割を果たしている。

・新しい「程度の副詞」は、インパクトを与えることが出来るものを選んでいるようである。

・表記は個人差があるが、語彙によっては様々な表記が使用されている。

・ ある特定の新しい「程度の副詞」の場合には、修飾される品詞が「名詞」または

「名詞類」であることが多くなっている

以上のように、「程度の副詞」にも新たな語彙が加えられ、変化が起こっていることが分

かった。

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124

6.1.1.4 名詞化接辞「-さ」

接辞「-さ」は、適用範囲を広げているようであるが、元来「-さ」を付加し他の品詞

を名詞に変える文法的機能を持つ、生産性の高い接辞である。その接辞「-さ」による新

しい語を取り上げ、接尾辞「-さ」によって造られた名詞について解明した。

名詞化接尾辞「-さ」に起こっている変化を明らかにするために、本研究の分析に使用

する「-さ」使用例、資料は、インターネット上の語彙を中心に収集した。全国の新聞を

網羅した検索エンジン、「検索デスク」を主に利用したところ、1739件中、415の使用例を

収集し、これらの分析を行った。

形態的特徴としては、接辞「-さ」には、付加することで他の品詞を名詞に変える働き

がある。つまり、名詞化するという性質から形態的特徴は従来のものと同じである。

統語的特徴としては接辞「-さ」が付加できる品詞の種類の拡大が見られる。これまで

見てきたように、従来使用されてきた接辞「-さ」とは異なる例が多く存在することが分

かった。これらは、「誤用」というには使用例があまりにも多いため、変化している過程で

あると考えられる。

名詞化する接尾辞「-さ」を付けることで、どのような意味的変化が期待され、使用さ

れるようになったのだろうか。

従来はあまり付加されることの無かった「な形容詞」や「名詞」に「-さ」を付け、語

彙の拡大が行われるようになった。特に、「名詞」+「-さ」によって語彙が造られたが、

形態的には変化が見られない。外来語に接辞「-さ」を付けることで、接辞「-さ」の持

つ意味を付加するため、という理由が考えられる。接辞「-さ」の持つ「付加した品詞の

状態・程度・性質を示す」という意味を加えている。一般的な事物の性質・状態に関する

「な形容詞」には接辞「-さ」が「付加できる」、な形容詞で表される一個人、人の性質・

状態については「付加できない」とされてきた。特に、一個人や人の性質・状態について

は評価や尺度で計れるものではない為と思われる。

名詞化接辞「-さ」まとめ

語彙を拡大する際、接辞「-さ」は、従来は「程度・尺度」を表すい形容詞・な形容詞

に付けられていたが、その許容範囲が広がったと考えられる。

本研究では、名詞化接辞「-さ」について以下のことが明らかとなった。

・「従来の働き」と「現在見られる変化」

・接辞「-さ」を付加できる語彙の拡大と特徴

・「名詞」+「さ」という語彙が存在する。

・「-さ」の持つ意味を付加するために、名詞に「-さ」を付けるようになった。

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125

6.1.1.5 ぼかし言葉

従来の「あいまい表現」とは異なる「ぼかし言葉」について、実際の自然談話資料から、

特徴・用法・働きについて使用例より分析し、「ぼかし言葉」とは何なのかを解明した。

アクセント・イントネーションに特徴が見られたのは「④ってゆうか122」であった。

文頭でターン奪取として働く「ってゆうか」の場合は、「ゆ」の部分でのみ高くなっている。

アクセントの上げ下げが激しい。

「ぼかし言葉」の場合、「みたいな」のアクセント・イントネーションは、使用される場面

によって異なっている。その違いは1疑問+みたいな、2断定+みたいなの 2通りである。

「~みたいな」の直前にくるものによって、アクセント・イントネーションが変化してい

る。従来のものは、Ⅰの「疑問+みたいな」と同じアクセント・イントネーションだと言

える。「ぼかし言葉」では、従来のものと、新しいものの、2種類を使い分けている。

形態レベルでは、従来は付けていなかった品詞や語彙にも使えるようになり、許容範囲

が拡大している。特に名詞や固有名詞につけ、既存の語彙の幅を広げるという特徴がある。

本研究で分析した「ぼかし言葉」は、動詞、名詞との統語が好まれている。「ぼかし言葉」

そのものが持つ意味とも深い関わりがある。

「ぼかし言葉」の特徴

音声的な特徴=「ぼかし言葉」自体のアクセント・イントネーションは、前置する引用や

語彙に左右されない。

形態的な特徴=・「ぼかし言葉」そのものが「ぼかす」意味を持ち、発話文を引用する場合

や語彙に後続する

・形態素として、語彙に付加されることで、その語全体がぼんやりする

統語的な特徴=「ぼかし言葉」を加えることにより発言の責任はあるが、その内容・判断

についての、責任の所在が明らかではないものを引用できる。

動詞のみ、名詞のみに付加されるもの、品詞を選ばないものがある。

語用論的特徴=コンテクストの中で、元々の単語、元来の用法とは異なる使われ方をして

(談話レベル) ぼかした表現となるものがある。

「ぼかし言葉」を付けることでグループ化し、その語彙に関連するカテゴリーを包括す

ることができるようになる。また、あいまいで責任の所在があやふやとなる。「ぼかし言葉」

であるかどうかを判断する場合、「ぼかし言葉」の形態的な特徴を利用する。語彙や形態素

を取り除いた時に、その表現が断定的になるものは、その取り除いたもの自体が「ぼかし

言葉」の働きを持つ「ぼかし言葉」である、と言える。

122 本研究では促音で始まる表記を採用する。実際に発音する場合「てゆうか」の直前の拍がどんなものでも、まず閉

鎖の状態になる。歯茎に舌端が接触した状態から [te] へ移動する時少し破裂する。その後 [te] を発音するので、その

若干の破裂を「っ」(促音)で表記する。アクセントを左右する要素に使用の違いが考えられる。

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126

6.1.2 文法化

次に、先行研究で「文法化」とされている現象について、文法化であるか否か、分析か

ら答えを導き出した。また、類推についても言及した。

本研究では「文法化」分析のための基準を決め、「再分析」および「類推」も「文法化」として扱うこと

も示し、文法化のプロセスを3段階に分けた。

6.1.2.1 若者言葉の文法化プロセス

先行研究で若者言葉の「文法化」としてあげられた「—っぽい」「—くさい」「っていうか」「—げ」「—的」

「—さ」を中心に分析を行い、どこまでプロセスが進んでいるかを検討した。

接辞「—っぽい」

「助動詞+助動詞」が成立しないことからも、「—っぽい」が助動詞としての機能を持っていると言え

る。「〜っぽい」が付けられるものについては、あくまでも「節や文」であり、その許容範囲拡大ととも

に、「ぽい」そのものの機能が変化している。ほとんどが節・文がつく例であり、その点が従来の用

法や、中間期のものとは異なるように見える。

「—っぽい」を「文法化」認定基準に照らしてみると「—っぽい」の一部においては「文法化」する

可能性はあるものの、「—っぽい」が「文法化」しているとは言えない。

—くさい

「—くさい」の「文法化」認定について、基準に照らしてみると

1.動詞など他の品詞にも拡大していることから、語幹の範囲拡大が認められる。

また、マイナス評価という意味はなくなっている点でも「変化した」と言える。

2.「 機能語 → 機能語 」へ、現象の変化が認められる。

形容詞派生接尾辞 → モダリティ

ただし、用例が少なく一般化されたとまでは言えないため、「文法化」とは認められない。

〜ていうか/っていうか/ってゆうか

「—っていうか」の「文法化」認定について、

1.従来になかった機能を新たに持ち、「意味の漂白」と「脱範疇化」が起こったと考えられる。

同等のものへの言い換え→話者交代/話題転換・展開、そしてターン奪取へと変化

2.「 機能語 → 機能語 」へ、現象の変化が認められる。

複合助詞 → 交代・転換

以上のことからも、 「—っていうか/ってゆうか」は「文法化」していると言える。

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127

な形容詞化接辞 「—げ」

「—げ」の「文法化」認定についてはこれまでの調査により、「—げ」だけでなくその前の要素も含め

て、「文法化」に至る変化があることが分かった。しかし、「—げ」そのものが「文法化」したとまでは

言えない。

若者言葉の文法化特徴

先行研究で「文法化」とされていたものの、変化を【脱範疇化/意味/機能】から分析した。その

結果、「文法化」したものであると言えるのは「—っていうか」のみであり、「—っぽい」「—くさい」「—げ」

は変化がみられるものの、「文法化の未完了」の段階であると言える。

本節で取り上げた例からも「脱範疇化」と「機能」については顕著であるが、「意味の漂白」につい

ては完全な「漂白」とまでは言い切れないものもある。

若者言葉に見られる「文法化」現象と未完了の事例

若者言葉の「文法化」について、認定基準に照らし合わせながら検討した結果をまとめた。

表 32. 若者言葉の文法化特徴(まとめ) (再掲)

—っぽい —くさい —っていうか —げ

脱範疇化

動詞など

他の品詞へ拡大

動詞など

他の品詞へ拡大

語彙の転換

→文単位の転換

“turn-taking”

「−そう」

→「—げ」に置換

意味

しやすい/傾向

→主観的判断

「マイナス評価」の

漂白

言い換え

→話題転換

話者交代:漂白

そのようである

(一般的)

→主観的判断

機能 機能語 → 機能語

様子を表す

→ 伝聞・推定

形容詞派生接尾辞

→ 助動詞

複合助詞

→ 交代・転換

な形容詞派生

→ 助動詞化

文法化判定

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

文法化

語基を含めた変化

⇒文法化とまでは

言えない。

文法化の未完了

上記の「文法化」における特徴として特筆すべきは、「機能語→機能語」の変化である。従来の

研究で「文法化」とは「意味を持つ語彙」から「機能語」への変化であったが、本研究では「機能語」

から「機能語」であっても、その内容が異なるものであれば「文法化」と規定した。

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128

6.1.2.2 類推

「-的」の類推

従来の「—的」用法との比較について、ここでは「類推」の視点から分析した。

まず「漢語」に「的」を付ける用法が拡がり、スキーマとして定着度が高くなった。蓄積された表現

の中で「私的(してき)」と「私的(わたしてき)」が両方とも存在することとなった。両者は異なった意

味と用法によって使用されるようになり、「呼称+的」という用法が広がる。これは「漢語+的」という

統語的語彙的結合のルールの類似パターンである。ここからスキーマが再分析され、制約がゆる

められたと考えられる。つまり、「呼称」だけでなく「和語」にも使用が可能となった。

固有名詞

的 Ⅰ 拡張1 拡張2

個人的 私的(わたしてき) かおりちゃん的

拡張2’ 拡張3

俺的、わし的 あいつら的

図 13. 「人+的」のスキーマ(再掲)

このように、最初は「人」=「個人」に「的」が用いられていたものが、「私」にも使用

されるようになり、1人称から固有名詞へと拡張されていったと考えられる。これらは、「人

+〜としては」という意味で使用されている。

名詞化接辞「—さ」

従来は「—感」や「—性」などの語彙を使用していたものを、「—さ」にする例も見られるようになった。

○例 184 :学術的真偽を別にして、緊迫さに欠けた ... (東亜日報 2006 年 6 月 28 日)

⇒ 緊迫感

本来ならば、「-感」や「-性」という接尾辞で異なる意味を与えていたにも関わらず、「-さ」に置き換

えてしまった。「-さ」に起こった変化の理由について、類推に関わる類似性について考察した。

a.対象のもつ属性レベルの類似性

「名詞を作る接辞」という属性が同じ。ただし、従来のものが漢語に接辞していたのに対し、若

者言葉では漢語・擬音語・名詞にも使用可能となった。

b.対象が関わる関係の類似性(一次的関係)

従来 = 「—感」「—性」などでも作ることができる

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若者言葉 = 「—さ」での代用が可能となった

どちらも「名詞として扱うための対処」を行っているため、対象との関わり方は類似している。

c.一次的関係どうしに見られる高次の類似性(システム・レベル)

Xさ・・・名詞化接辞として名詞を作り、「Xのような」という様子を表す意味を持たせる。

新しい用法では、語幹となる語彙の品詞が多様化したことが分かる。

「なぜ名詞にまで名詞化接辞『—さ』をつけられるのか」についてであるが、日本語では名詞転換

できるな形容詞によって造られた新語が多い。名詞とな形容詞の両方の意味・用法があるため、

形態的に区別するのが難しい。 ○例 立派な、やんちゃな、ハンサムな、おしゃれな、きれいな 等

もともとい形容詞のみをもっぱら語基とする「-さ」が、な形容詞にも許容範囲が拡大したため、

「な形容詞と同型である名詞も基底形としてとる」と、再分析されたのであろう。

現段階では、「い形容詞」でも「-さ」を付けられるものと、そうでないものがある。また、そこからの

拡張として「な形容詞」にも「-さ」が付くものもあれば、付かないものもある。123

この再分析の結果、類推に基づいて、明らかに名詞としてしか解釈できないものにも「-さ」が付け

られるようになったと考えられる。

次に、「—さ」の意味変化について、「—さ」を付けることで程度を表し、さらにその程度が甚だしい

ことを示すことができる。「—感」や「—性」によって名詞を作る場合は制約がある124ため、「—さ」で作

る方が簡単に語彙を増やすことができると考えられる。

6.2 “variation” か ”change” か

本論文の2章(P.10)で、「variation は『派生しうるもの』、change は『変わっていく

もの』なのだろうか。そして、本論文で対象とする現象は、規則性を持って造られた造語

による語彙拡大であるが、これは変化ではなく多様化なのであろうか。つまり、change で

はなく variation なのだろうか。」という疑問を示し、「分析を進めた上で最終的に結論を

出す」としていた。

そこで、“variation” か “change” か結論を出す。

まず、そもそもこの “variation” と “change” は分けられるのか、という問題がある。

例えば名詞化接辞「—さ」において動詞や形容詞の名詞化、という“variation” があった。

variation = 大事さ ← 「大切さ」から拡大

change = ← 名詞の名詞化

123 「い形容詞:1302 語」「な形容詞 986 語」 程度? 124 「—感」や「—さ」は主に漢語に付けられるが、「期待感」や「不安感」、「やりきった感」などの使用例

もある。

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130

この “variation” が種類を増やし、「名詞の名詞化」が起こるに至ったことで“change” へ

と繋がって行く、と考えられるのではないか。この “variation” か “change” か、という

判断も変化の過程では難しい。

本論文だけで若者言葉の全てについて言えるわけではないが、“variation” が多様化し、

今後は “change”に繋がっていく可能性がある、と考える。

6.3 本論文の独創性および学問的意義

本論文は「若者言葉」を分析対象とした研究の中でも次にあげる様々な点において斬新

であり、かつ独創性がある。

6.3.1 新しい視点

「若者言葉」を、一過性の流行語や俗語として扱うのではなく、現代日本語の変化の過

程として捉えた点で新しい。特に、言語学的な分析を行うことにより、そこに独自の法則

やルールを見出した点は独創的である。

6.3.2 方法論

本論文では、自然談話録音資料や、実際に使用されている用例を用いて言語学的に分析

を進めた点で新しい。

特に、社会言語学的、つまり共時的な視点と、文法化についても考察する通時的な視点

により、多角的に分析を行ったのは、これまでに例がない。

6.3.3 分析法

先行研究では、使用されていると考えられるいくつかの例を挙げ、分析しているが、本

論文では実際の用例を多数集め、それらを分析した。品詞ごとに分類し、各項目で信頼に

値するだけの用例数を収集した。言語学的な視点から主に形態論、統語論、意味論を中心

とした分析を行った。

6.3.4 見解

本論文は、

○「若者言葉」を継続的に観察し、分析を行った。

○「行きた日本語」を分析対象とし、傾向と特徴を捉えることができた。

という点からも、他に類を見ないものである。

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131

6.3.5 知見

本論文を執筆していく過程で「若者言葉」には独自のルールがあるということ、そして

それらは無秩序ではなく、脈々と受け継がれてきたものである、ということが分かった。

これは本論文の意義でもあり、独創的な点とも言える。

6.4 今後の課題

本研究全般の共通の課題は、【資料・調査対象・使用範囲/時期】の3点があった。

まず、【変化を捉えるために必要充分な資料か】という点については、分析対象となる現象

の、コンテクストを含めた収集という意味では十分であると言えよう。しかし、定量的な

資料としては、まだまだ例が少ない。例えば、「名詞化接辞『さ』」は、新聞などの資料か

ら 415 の例を収集したが、「新しい形容詞」や「程度の副詞」は新しいものゆえ、収集が

難しかった。「動詞化接辞『—る』」なども、日々新しく生まれているものであるため、ど

のような使用例が、どのような場面、コンテクストで用いられているのかを捉えるのは困

難である。

また、新しい表現の使用に関して【年齢差や性別差】が分かるよう、より多くのデータ

が求められる。ただし、このデータ収集が大変難しく、協力者の存在が重要になってくる。

本研究で対象とした「若者言葉」使用者層は大学生が多いので比較的集めやすいと考えた

が、大学での収集にも限界があった。

他にも【地域性と方言】にのみ見られる現象なのか、言語変化なのか、その現象が定着

してからの判断となるという点も、課題といえる。例えば「きれ(い)くない」は西日本

で使用例が認められるが、「な形容詞」の「い形容詞化」なのか、方言にのみ見られる現象

なのか。今後の変化を継続して観察する必要がある。

新しい表現や語彙については、そもそも「いつ・誰が・どのように」使用を始めたか、

遡るのは難しい。ただ、それらの表現の傾向を捉え、分析し、一過性のものなのか定着す

るものなのか、観察を続けていく。

6.5 今後の若者言葉の可能性

日本語は変化し続けており、今後も変わり続けるだろう。その中でも、若者言葉がどのような要因

によって、どのように作られ、どの程度残るのかは分からない。しかし、5章まで分析してきた結果

から、新造語はランダムに作られているようでいて、その実、ある法則に則っていることが分かった。

つまり、今後もこれまでと同様に新しい語彙が生まれること、その新しい語彙や用法は一定のルー

ルに沿っていることが予測できる。

新たな語彙や表現の観察を続け、今後も日本語の変化について研究を続けていく。

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6.6 おわりに

大学生の時に、自分自身のまわりで使われ始めた「新しい言葉」について疑問を持ったのが若

者言葉に興味を持ったきっかけであった。「最近の若い者は日本語がなっていない」という年配の

方々やマスコミに疑問を持ち、若者言葉のメカニズムを知りたいと考え、「動詞化接辞 『—る』」を卒

論のテーマに選んだ。そこから、若者言葉の新しい表現を追いかけて、はや14年。当時の若者は

若者ではなくなり、「新しい言葉」はメディアを通して知るようになる。つまり「生産者」から「傍観者」

へと立場は変化した。

それでも、日々「若者言葉」は生まれ続け、そしてこれからも新たな言葉が生まれ、消えて行くの

だろう。言語学入門で「言葉は生きている」と学んだ、まさにその「生きている証拠」について研究

を続けてこられたのも、「若者言葉」が面白く、魅力的だったからである。

本研究を通じて、言語学の基礎から「文法化」まで様々なことを学び、考えることができた。今後

も、新しい表現や用法について研究を続け、ライフワークにしていきたい。

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謝辞

博士論文を執筆するにあたり、多くの先生方、協力者の方々に大変お世話になりました。

この場を借りて厚くお礼申し上げます。

まずは、修士課程進学の時から長年に渡り御指導くださった、九州大学大学院芸術工学研究院

の板橋義三先生に心から感謝申し上げます。遅々として筆が進まず、博士課程進学から 12 年も

かかってしまいましたが、いつも変わらず優しく指導してくださいました。しかも北海道、宇都宮と

所属が変わってからも御相談にうかがい、いつまでも諦めない私に根気強く接して下さいました。

板橋先生がいらっしゃったからこそ、論文を完成させることができました。ありがとうございました。

そして、九州大学言語文化研究院の松村瑞子先生にも、修士課程在学中から長年に渡り御指

導いただくとともに、論文執筆に関して励ましていただきました。深謝いたします。

また、ご多忙中にも関わらず審査をしてくださった、九州大学大学院芸術工学研究院の岩宮眞

一郎先生には、審査を引き受けて頂けたこと、そして御指導頂けたことに感謝申し上げます。

更に、同志社女子大学表象文化学部日本語日本文学科の本間洋一先生には、アンケート調査

の度にお世話になりました。同志社女子大学在学中に大学院進学について御相談してから15年

が過ぎ、やっと博士論文を書き上げることができました。九州大学大学院進学を勧めてくださった

こと、いつも応援してくださったことにも、心からお礼申し上げます。

「若者言葉」の収集に際しては、自然談話録音ということで沢山の友人に協力して貰いました。

井上智賀子さん、橋本飛鳥さんほか、皆さんのおかげで生きたデータを収集することができました。

特に、妹であり良き理解者でもある堀尾亜以さんには調査の協力、そして論文執筆中も様々な面

で支えて貰いました。アンケート調査や自然談話録音に協力して下さった九州大学、同志社女子

大学、東京女子大学の学生の皆様にもお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

現在所属しております宇都宮大学大学院工学研究科では、着任当初から井本英夫理事はじめ、

池田宰先生ほか、多くの方に叱咤激励して頂きました。見守って下さった事、感謝しております。

最後になりましたが、大学院進学を勧めるだけでなく、長い学生生活を支えてくれた両親には、

感謝の気持ちでいっぱいです。心から「ありがとう」を伝えたいと思います。

このように沢山の方々に支えられ、励まして頂いて、博士論文を完成させることができました。

「ありがたい」という思い、そして感謝の気持ちを忘れずに、今後も精進して参ります。

本当にありがとうございました。

平成 26 年 10 月吉日

堀尾 佳以

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資料 動詞化接辞「—る」 一覧

程度の副詞 新用法一覧

名詞化接辞「—さ」 一覧

動詞化接辞「—る」 一覧

(足が)ぐれる 高いヒールなどを履いて歩いているときにカクッと転ぶこ

と。 ? 若者用語の小事典

DIS る ラップで相手を罵る事、罵倒を韻で踏む 外来語 若者用語の小事典

J ってる マグマに落とそうとしたり、進路をふさいで前進させないよう

にしている様子 ? 若者用語の小事典

KABA る KABA ちゃんみたいな人の事 固有名詞 若者用語の小事典

PEってる マニアックなゲームをやろうとしている人のこと ? 若者用語の小事典

あぐる 「あぐり」を見る 固有名詞 キャンパス用語集

P.1

あさぼらけって

る かぐや姫のように美しいこと。 名詞 若者用語の小事典

アジる 煽動する 名詞 新P.115

アセロラってる アセロラのように、汗をかいてる。 名詞 若者用語の小事典

アピる 好きな人にアピールする事 外来語 若者用語の小事典

アピる アピールする 名詞

アピる アピタに行く 名詞

アムる カラオケで歌う 固有名詞 キャンパス用語集

P.2

あめる 好きな女性に飴を買って行く。 名詞 新P.212

アライヴる 「アライヴ」という本、CD、ビデオを取り扱っている店に行く

事。 固有名詞 若者用語の小事典

イガる イガグリになる 名詞 専修大学 P.6

いきってる チョウシの進化系 動詞 若者用語の小事典

いきる 生意気である 名詞 キャンパス用語集

P.3

イケてる かっこいい、容姿の素敵な 動詞 若者用語の小事典

いじゃける いらいらする 専修大学 P.7

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いちびる (動)ふざける (派)いちびり 方言 若者用語の小事典

いちびる 度が過ぎたおふざけをする 甲南大学 P.5

いちゃる 調子に乗っている キャンパス用語集

P.4

イってる 目がイってる人。 動詞 若者用語の小事典

イモる ズルをしたりすること。 名詞 若者用語の小事典

イモる 迷う 名詞 専修大学 P.9

いらびる 調子に乗る

イレブる 同上

インベる インベーダーゲームをする 名詞 流P.147

ウシる 牛丼を食べる 名詞 専修大学 P.10

ウダる ウダウダする 擬音語 甲南大学 P.6

ウニる 脳みそがウニの様になる 名詞 キャンパス用語集

P.5

ウノる Uno をする 固有名詞 キャンパス用語集

P.5

エイズる エイズになる 名詞 新P.212

えがわる 駄々をこねる、他人を犠牲にする 固有名詞 流P.202

エスる エスケープする 動詞 新P.54,115,117

えなってる 「えなる」の進行形 固有名詞 若者用語の小事典

えびる キスをする 流P.145

エブる エブリデイズで食事をする 固有名詞 キャンパス用語集

P.6

エロる エロチックを発散する 形容詞 新P.115

えんじょる 援助交際をする 名詞 キャンパス用語集

P.7

エンビる ねたむ 名詞 新P.112

おうしょる 王将で食事をする 固有名詞 キャンパス用語集

P.7

おくがわる 困難を乗り越えて進級する 固有名詞 専修大学 P.16

オケる カラオケに行く 名詞 キャンパス用語集

P.8 読 P.

オケる カラオケに行く 名詞 若者用語の小事典

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おだきゅる 郊外へ出掛けていくこと 固有名詞 新P.118

おづる いいことを言って後で変える 固有名詞 隠語の世界 P.197

オナる 自己満足する 専修大学 P.17

おばる おばさんぽくなる 名詞 キャンパス用語集

P.9

オぺった 整形した 外来語 若者用語の小事典

オペる オペラ女優を追い回すこと 名詞 新P.113

おらがる 安直でいくこと 固有名詞 新P.118

おんみょってる 陰陽師のマネばかりする、陰陽師オタク 名詞 若者用語の小事典

ガイコる 外交から、話をつけること 名詞 新P.118

がくる 勉強する 名詞 隠語の世界 P.185

カジる 喫茶店「カジカ」へ行く 固有名詞 甲南大学 P.11

ガスる ガストで食べる 固有名詞 TBS1999.5.6

ガスる ガストに行く 固有名詞 キャンパス用語集

P.10

かちる 調子にのること。「調子に乗るな=かちるな」 ? 若者用語の小事典

かつぎゅる 御飯を食べ過ぎて胃がもたれる 甲南大学 P.12

かねこる 強引に問題を解決しようとする 固有名詞 隠語の世界 P.197

カビる カビがはえる 名詞

カフェってく? 1)学校帰りに時間があった時「スターバックスに寄って帰

ろうよ?」 外来語 若者用語の小事典

カフェってく? 2)買い物をしていて疲れた時友達に「スターバックスで

休憩していかない?」 外来語 若者用語の小事典

カフェる カフェテリアでお茶を飲む 名詞 甲南大学 P.12

かぶる 御客がどっさり来る 名詞 隠語の世界 P.74

ガボる 泥にはまる 擬音語

ガマってる 自分の事を可愛いと勘違いしているキモイ女の子 名詞 若者用語の小事典

ガメる 人のものを取って自分の物にする 形容詞 甲南大学 P.12

かもる 鴨川で座って話す 固有名詞 キャンパス用語集

P.11

かもる ターゲットにする 名詞 隠語の世界

カモる ゲームセンター等の対戦台で弱そうなひとが入ってきたら

わざと乱入して勝ち、勝利の喜びにひたること、、つまり弱名詞 若者用語の小事典

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い人を倒す事

がんこる 頑固になる 名詞 隠語の世界 P.194

キケる ぐしゃぐしゃになる 専修大学 P.26

きざる きざなことをする 名詞 隠語の世界 P.195

きじる 記事をとる 名詞 新P.118

ぎだる 固有名詞 新P.118

キティる かわいいこと 固有名詞 読P

キテる トレンディであること 週刊朝日 9/24 号

きばる がんばること 動詞 若者用語の小事典

きばる がんばる

ギボる 心霊体験をすること。例:今日ぎぼったんだけどー! 固有名詞 若者用語の小事典

キムる 固有名詞

キャバる 派手に化粧をし、着飾る 名詞 隠語の世界 P.195

キャピる はしゃぐ 擬音語 キャンパス用語集

P.13

ぎゅうじる 牛耳をとる 名詞 流P.187/新 P.118

ギューる 牛丼を食べる 名詞 専修大学 P.28

きょかる 先生などに許可をもらうこと。 名詞 若者用語の小事典

キヨってる 上を向いてぼーっとしてる様子 ? 若者用語の小事典

キョドっとる 迷っている。変な行動をしている。 名詞 若者用語の小事典

きょどる 挙動不審 名詞 若者用語の小事典

ぎょふる 漁夫の利を得る 名詞 新P.118,119

ギられる 自転車などをパクられること ? 若者用語の小事典

ギる 盗む 専修大学 P.29

キレる 自分の怒ったときの脳みそ(?)をコントロールできなくて暴

力をふるったりする。 動詞 若者用語の小事典

キレる 頭にくる 名詞

ぐぐる 検索エンジン「google」で検索をかけること。五段活用可

ぐぐらない、ぐぐります、ぐぐる、ぐぐれば、ぐぐろう 固有名詞 若者用語の小事典

くさってる 腐りかけている人 動詞 若者用語の小事典

ぐさる 痛い言葉 擬音語 若者用語の小事典

ぐちる 愚痴を言う 名詞 新P.118

グリる グリルで食事をすること 名詞 甲南大学 P.12

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ぐれる 愚連隊から、不良のこと 名詞 新P.118

げきる 一生懸命がんばる 名詞 隠語の世界 P.195

ケチる 物や金を惜しむこと 名詞

けつる 赤点をとる 名詞

ゲてる 頭がハゲてる人に気を遣う言い方。 「あいつゲてない?」 名詞 若者用語の小事典

ゲトる 手に入れる 外来語 若者用語の小事典

けぽった げろ吐いた 擬音語 若者用語の小事典

ケミる ハモるってゆぅことぉ!!! 固有名詞 若者用語の小事典

コカる コカコーラを飲む 固有名詞 キャンパス用語集

P.18

コギャル コギャル化すること 名詞 若者用語の小事典

こくる 告白する TV{Happy birthday}

こける 失敗する 隠語の世界 P.196

コケる つまずく 擬音語

こげる 日焼けしたときに使う言葉 動詞 若者用語の小事典

ごじる 新P.212

コスメる めかす 名詞 新P.113

コダマる 写真を自動シャッターで撮る 専修大学 P.36

ごちる ごちそうする 名詞 キャンパス用語集

P.18

ごなる ひとえ 57 move っぽくなる事。おもに気持ち悪い人。 固有名詞 若者用語の小事典

こばる 犠牲者の立場を利用し人気を得る 固有名詞 隠語の世界 P.197

ゴバる パチンコをする 固有名詞 甲南大学 P.19

こびる 媚びを売る 名詞

コピる コピーをとる 動詞

コピル コピーすること 外来語 若者用語の小事典

こぼれる 遅れる 流P.81

こリブる 「こリブレ」で物を買う 固有名詞 キャンパス用語集

P.19

ゴルってる もの凄い顔になること (ゴリラ?) 若者用語の小事典

コンパる 交際する 外来語 新P.112

こんぶる 髪の毛が昆布状になる 名詞 キャンパス用語集

P.19

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コンペる 交際する 名詞

ごんべる 賄賂をとる 固有名詞 新P.58,118

サークる サークル活動に出る 名詞 専修大学 P.39

さぎる 詐欺にあう 名詞 若者用語の小事典

サクラる 萌え萌えなこと。俗にオタク 固有名詞 若者用語の小事典

サクる さくっと帰る☆ 擬音語 若者用語の小事典

サクる 「おさく」へ飲みに行く 固有名詞 専修大学 P.40

サクる サクセスする 固有名詞

サクる サークルKに行く 固有名詞

さだはる 年をとっても頑張る 固有名詞 隠語の世界 P.197

サチる 借りたものを返さない 固有名詞 週刊朝日 8/20、27 号

サチる 飽和すること 名詞

サテる カフェなのでお茶すること。喫茶店のサテンから。 名詞 若者用語の小事典

サドる 相手を虐待して快楽を得る 名詞 隠語の世界 P.46

さびる 錆びてしまう

サブる サブマリンへ行く 固有名詞 専修大学 P.40

サボる 怠ける 名詞 流P.65,113

シアとる シアトルズベストコーヒーショップに行って、コーヒーを飲む

こと。 外来語 若者用語の小事典

ジェラシる やきもちを妬く 名詞 Magic of love

しくった しくじったの略 動詞 若者用語の小事典

しくる しくじる 流P.63

しけてる つまらない 新P.221,72

しける しらける 動詞 若者用語の小事典

しける つまらない

ジゴマる 悪性のいたずらをする 固有名詞 新P.58,113,114

じこる 事故をおこす 流P.88

じぞる 黙り込む 名詞 専修大学 P.44

シディる 妊娠する 流P.145

しではる 控えめなこと 固有名詞 新P.118,119

しなってる 髪がくりくりしてる人の髪 動詞 若者用語の小事典

ジプる 野宿する 名詞 新P.58,115

じへる 自閉症のように一人でつぶやく 名詞 専修大学 P.46

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しめる 殴る、殺すなど。痛めつけるときに使う言葉 動詞 若者用語の小事典

シャカる(釈迦

る)、~った 失敗すること、最低、最悪 固有名詞 若者用語の小事典

しゃしゃる 調子に乗ってる人とかに対して。「まじあいつしゃしゃっとん

な」とか。 動詞 若者用語の小事典

ジャスる ジャスコに行く 名詞

ジャズる ジャズに合わせて踊る、でたらめな生活をする 新

シャネる 全身シャネルで決める 固有名詞 キャンパス用語集

P.23

シャノる シャノアールに行く 固有名詞 専修大学 P.48

じゃびる 新P.212

シャブる シャブシャブを食べる 名詞 専修大学 P.48

しゃみる あまのじゃく 固有名詞 新P.118

しゃれる おしゃれにする 論 P.83

じゅくる 新宿に寄る 固有名詞 専修大学 P.49

ジュネブる くだらない会議 固有名詞 新P.115

ジョイる ゲームセンター「ジョイ」に行く 固有名詞 甲南大学 P.24

ジョイる ジョイシティに行く 名詞

ジョイろうや! ジョイフルでご飯を食べようの略。 固有名詞 若者用語の小事典

ショーる 皮肉を言う 固有名詞 新P.115

ジョナる ジョナサンで時間をつぶす 固有名詞 専修大学 P.50

ジョビる はめをはずす、なりきる 固有名詞 TV「ジョビれば?!」

シラクる 批判を無視し、横暴に振る舞う 固有名詞 平成 P.200

しらける ギャグなどを言って、みんなが静まりかえるコト。 動詞 若者用語の小事典

しんだる 人にたかる 専修大学 P.51

スクランブルっ

てる

交差点など入り混じってる様子。A「この道めっちゃスクラン

ブルってるね~」 B「全くだ!」 外来語 若者用語の小事典

すけべる 助平なことをすること 新P.118

スケる オートバイの後ろに乗せる 名詞 隠語の世界 P.45

スタンバる 今にも〜しようとしている キャンパス用語集

P.25

スタンバる その通り、「スタンバイをする」のことである。学校の先生もこ

れを使った。(学校の先生がこんな事言っていいのか?) 外来語 若者用語の小事典

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ステクる 散歩する 名詞 新P.115

ステる 死ぬ 動詞 隠語の世界 P.69

スネッタ 脛をぶつけた時にとっさに出る、言葉! 名詞 若者用語の小事典

スペクる 投棄する 動詞 新P.115

スベる 言ったりやったりしたことがウケなかったとき言う。 動詞 若者用語の小事典

ずべる 不良少女っぽくなる 名詞 隠語の世界 P.194

ズボる 失敗する、最悪の状態になる 擬音語 キャンパス用語集

P.25

スルーする 無視する 外来語 若者用語の小事典

スルーする 情報などがその人を通して流れていること 外来語 若者用語の小事典

スロる スロットをする 名詞 専修大学 P.55

せきねる 固有名詞 流P.187

セクる セクハラすること 外来語 若者用語の小事典

セブる セブンイレブンに行くこと。 固有名詞 若者用語の小事典

セブる セブンイレブンに行く 固有名詞 読P

セレブってる セレブを気取っているヤシ。 外来語 若者用語の小事典

ソテる ソテーを食べる 名詞 専修大学 P.60

ソバる ソバージュをあてる 名詞 キャンパス用語集

P.27

ソプラる ソプラノで歌うこと 名詞 新P.115

そんぼける 損をする 隠語の世界 P.195

たいじる 退治をする 新P.118

だいまる 本を万引きする 流P.120

たかしまる 高島屋に行く 固有名詞 キャンパス用語集

P.27

タクる タクシーに乗る、タクシーを利用する。 外来語 新P.58,115、若者用

語の小事典

だくる 新P.118

タケる ①意味不明の言葉を話すこと、人。 固有名詞 若者用語の小事典

タケる ②竹田まで行くこと。 固有名詞 若者用語の小事典

タケる 「タケル」へ行く 固有名詞 専修大学 P.62

タコる タコ焼きを食べる 名詞 キャンパス用語集

P.28

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タコる 怠ける 専修大学 P.63

タゴる 居眠りする 固有名詞 新P.115

ダシュぱる ダッシュする。ものすごく急ぐこと。 外来語 若者用語の小事典

ダビる ダビング録音する 甲南大学 P.31

ダフォる ダブルフォルトする 名詞

たぶちる 固有名詞 流P.187

ダブる かさなる 形容詞 新P.115

だべる 駄弁を弄する、第一高等学校の一手専売 新P.119,121

ダベる 話す・喋る 名詞 若者用語の小事典

ダボる ルーズソックスをはく 擬音語 キャンパス用語集

P.28

たまげる びっくりする

ダミってる ダミ声を出している人のこと。 名詞 若者用語の小事典

たむる たむろする キャンパス用語集

P.28

ダルがる ダルいからどこか(コンビニ)でたまる事。 動詞 若者用語の小事典

たんばばる 近鉄・京阪丹波橋駅で乗り換える 固有名詞 キャンパス用語集

P.29

チキってる びびっている。(臆病者という意味の英語、チキンから) 外来語 若者用語の小事典

ちくる いいつける、密告する 擬音語 流P.113

ちクる 先生とかに内緒話とかをいってしまうこと。 擬音語 若者用語の小事典

チクる(2) 秘密にしていた事や悪いことを言いつける時に使う 擬音語 若者用語の小事典

チップる チップ欲しさのサービスをする 名詞 新P.116

ちびる もらす 擬音語

ちびる 小さくなる 形容詞

チャキる えらそうにする キャンパス用語集

P.30

ちゃける ふざけている 名詞 キャンパス用語集

P.30

ちゃづる 茶漬けを食べる 新P.119

チャブる 茶道部へ行く 名詞 専修大学 P.67

ちゃめる お茶目なことをする 新P.119

チャリった 自転車できたこと 名詞 若者用語の小事典

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チャリってく? 自転車に乗ってちょっとそこまで行きませんか? 名詞 若者用語の小事典

チャリる チャリンコに乗る 名詞 キャンパス用語集

P.31

ちゃる 盗む ? 若者用語の小事典

チュワる 中和ビルで御飯を食べる 固有名詞 専修大学 P.68

ちょける おちゃらける TV[FUN]1999.4.9.

ちょっぱる ちょっと、ぱくること ? 若者用語の小事典

チョッパる 盗む 専修大学 P.68

ツーモる 上がること 名詞 新P.116

つばってる えばってる人 ? 若者用語の小事典

つぼる はまること 名詞 若者用語の小事典

ツボる つぼにはまる 名詞 オリエンテーリング用

ツボる 「笑いのツボにはまる」という意味。 名詞 若者用語の小事典

ツボる つぼ八に行く 固有名詞 専修大学 P.70

つもる 女をものにする 名詞

ディグる レコードを掘るという意味 外来語 若者用語の小事典

ディスコる ディスコに行く 名詞 流P.146

ディスる ディスコに行く 名詞

ディズる ディズニーランドに行く 固有名詞

てかる 顔の表面に油が浮いてくる 擬音語 キャンパス用語集

P.33

デカる 怠けること 名詞 新P.113

テクる テクテク歩く 名詞 新P.119

テクる 見せる、テクニックを披露する 名詞

テクル テクテク(?)歩くこと。 擬音語 若者用語の小事典

デコる デコレーション 外来語 若者用語の小事典

デコる 飾り付けること 名詞 新P.113

テトる テトリスをする 固有名詞 キャンパス用語集

P.77

デニる デニーズ食べちゃう? 固有名詞 若者用語の小事典

デニる デニーズで食べる 固有名詞 現代

でばる 変態的行為 固有名詞 新P.58,119,120,222

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144

デぱる 出っ歯の事 名詞 若者用語の小事典

デパる デパートに入る 名詞 新P.116

デブる 肥ること 名詞 TV1999.9.9.

デボる 怠ける 専修大学 P.73

デマる 煽動すること 名詞 新P.116

デモクラチる 名詞 新P.113,114

デモる デモを行う 名詞 隠語の世界 P.47

デリる デリートすること 外来語 若者用語の小事典

テる 電話をする 名詞 甲南大学 P.35

テロる 暴力行為に出る 名詞 新P.116

テンぱる いっぱいいっぱいになること。ひどくあせること。 ? 若者用語の小事典

トーキる 騒々しいこと 名詞 新P.116

ドージョる 道場で飲む 名詞 専修大学 P.75

ドジる ドジをすること。 名詞 若者用語の小事典

ドジる 失敗する、ドジを踏む 名詞 映画 Bad boys

とちる 間違う

ドッペる 落第する 名詞 新P.116,117

とどる 首が丸々と太っている無駄にヤンキーぶってる人のこと 名詞 若者用語の小事典

トドる トドになる 名詞 新P.212

ドトる ドトールに行く 固有名詞 現代

ドナる マクドナルドに行く 固有名詞

ドナる(マクる) マクドナルドで食事をする(関西系の方言)。朝マック、昼ド

ライブスルーだと、ドナりマクりとなる。 固有名詞 若者用語の小事典

トミる マルトミ行く 名詞

ドムる ドムドムに行って食べる 固有名詞 キャンパス用語集

P.34

トラブる トラブルになる 名詞

トラボる ディスコでカッコ良く踊る 固有名詞 流P.186

ドラマる 実生活でドラマの様なことをする 名詞 キャンパス用語集

P.35

トリプる 3回連続でフィーバーする 名詞 専修大学 P.78

ドリる ドリアン食うこと 名詞 若者用語の小事典

ドリる ドリフトに行く 固有名詞 専修大学 P.78

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145

トロットる ふらりと歩き回ること 固有名詞 新P.116

ななめってる 「ななめになってる」の略 な形容詞 若者用語の小事典

なりる なりきるの略 ? 若者用語の小事典

ナルッテる 超ナルシストの事 名詞 若者用語の小事典

ニヒる 否定し去ること 名詞 新P.116

ヌマる 「アサヌマ」でしゃべること 固有名詞 キャンパス用語集

P.37

ネグる 隠語の世界 P.47

ネコる 芸者遊びをする 名詞 新P.119

ノイる ノイローゼになる 名詞 隠語の世界 P.69

ノラる 妻が夫を脅すために家出をする 固有名詞 新P.113

バーバる めちゃくちゃに頑張ること 名詞 新P.116

バイオる 犯す 動詞 新P.112

ハイカる 西洋振ること 名詞 新P.114,202

はいくる 俳句を作る 新P.119

ハウってる うるさいこと。ハウリングからきてる。 外来語 若者用語の小事典

バグる (ゲームやパソコンなどが)こわれる、おかしくなる 外来語 若者用語の小事典

バグる おかしな行動、CDが途中で飛ぶ 名詞

ぱくる そっくり真似をする 名詞 隠語の世界 P.64

パクる 盗む、真似する 擬音語 若者用語の小事典

ハケる 人などがいなくなる 名詞

ハゲる 「ハ-ゲンダッツ」に行くこと 固有名詞 若者用語の小事典

ハゲる ハーゲンダッツに行く 固有名詞 現代

ハゲる 禿になる 名詞

はこる 箱根蕎麦を食べる 名詞 専修大学 P.88

ハジける 失敗したときや調子のいい人のこと 動詞 若者用語の小事典

はしょる 「(語句・文・計算問題)などをとばす」の意。 ? 若者用語の小事典

パシる 言いなりになり雑用などをすること 動詞 若者用語の小事典

パシる パシリする 擬音語

ぱちょる 盗む。例「ビニールがさぱちょられた~」 ? 若者用語の小事典

ハチる 物事を初めてやるときに使う言葉。 使い方・『自分、この店

行くのハチる!』 ? 若者用語の小事典

ぱちる 物を盗む 擬音語

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パチる パチンコに行く 名詞 キャンパス用語集

P.39

パチる ぱくるの変形 ? 若者用語の小事典

バトる 喧嘩する 外来語 若者用語の小事典

バドる 裏切る 固有名詞 流P.203

パニくる パニックになる(なった)。狂ってしまう。きれること。 外来語 若者用語の小事典

パニる 慌てふためく 名詞

ばびる びっくりする ? 若者用語の小事典

はぶる 仲間はずれにする 名詞 若者用語の小事典

はまこる ギャンブルなどで大金をする 固有名詞 流P.170

ハマる 笑いのつぼにはまる

ハミる 仲間外れになる 名詞

ハモる 音が調和している 名詞

はらける うそを言うこと 新P.119,120

パロる パロディをつくる 固有名詞 流P.173

バンはってる 仲間をひきつれてえリーダーぶってるひとのコト=女王ヅラ

ってやつデス 名詞 若者用語の小事典

バンプる 妖婦のように振る舞うこと 名詞 新P.116

ピアる? ピアスの穴あける? 外来語 若者用語の小事典

びくる 驚く キャンパス用語集

P.42

ビコる 尾行すること☆ 名詞 若者用語の小事典

ヒスる ヒステリー状態になる 名詞 隠語の世界 P.69

ぴちる 服がぴちぴちになる 擬音語

ピチる PHSを借りる 名詞 読P

ひできる 気取る 固有名詞 隠語の世界 P.197

ひにくる 皮肉を言う 新P.119

ビニる 「コンビニ」に行くこと 外来語 若者用語の小事典

びびる おびえる 擬音語

ピヨる 気絶する ? 若者用語の小事典

ピヨる ひよこがピヨピヨ応援してくれる 擬音語 専修大学 P.95

ビる ビリヤードをする 名詞 専修大学 P.95

ファウる ファウルする 名詞 新P.116

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ファクシミる FAX で送る 名詞 キャンパス用語集

P.43

ファぶる ファブリーズの略 固有名詞 若者用語の小事典

ファミる ファミコンをする 固有名詞 キャンパス用語集

P.43

ファミる ファミリーマートに行く 固有名詞 キャンパス用語集

P.43

ファミる 仲良くする 名詞 専修大学 P.96

フィーバる ディスコで踊りまくること 名詞 流P.186

ふぃにる 何かを終える時に使う言葉 外来語 若者用語の小事典

フィニる 残った食べ物を食べ尽くす 動詞 キャンパス用語集

P.43

フィバってる テンションが高い様子 外来語 若者用語の小事典

ふかいる くだらない洒落を連発する 形容詞 専修大学 P.97

ふくもとる 巧みに万引きをする 固有名詞 隠語の世界 P.197

ふける 逃げる、駆け落ちする 流P.196

ふさる 運がない 専修大学 P.97

ふせる 美人の嫁をもらう 固有名詞 流P.171

ぶたる 太る 名詞 隠語 P.198 キャンパ

ス P.43

ぶちる 授業をさぼる 擬音語

フューバる 音楽サークル 名詞 専修大学 P.98

フランケる ドツボにはまる 甲南大学 P.45

プリる プリクラをとる 固有名詞 読P

ブルる 携帯が着信して振動する 擬音語 キャンパス用語集

P.43

プレる プレイステーションをする 固有名詞 キャンパス用語集

P.46

ブロカる 仲介報酬を得ること 名詞 新P.116

ベカる 交接する 外来語 新P.116

へクる 間違う 専修大学 P.100

ぺくる 万引きする ? 若者用語の小事典

ベシャル しゃべくりまくること <ベシャリ=しゃべくりまくる人のこと 動詞 若者用語の小事典

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ペダる 学者ぶる 形容詞 新P.116

ペナる ペナルティをかせられる 名詞

へにょる 曲がっている 擬音語 キャンパス用語集

P.46

ヘビる 馬力をかける 形容詞 新P.116,117

ヘモる 出血する 動詞 隠語の世界 P.69

へんげる 変化する 新P.119

ホクオる HOKUO パンで買う、食べる 固有名詞 専修大学 P.102

ポケる? ポケットステーションする? 固有名詞 プレイステーションCM

1999.1

ほごる メッセージを保存する 名詞 キャンパス用語集

P.48

ぼこる ボコボコにする! 擬音語 若者用語の小事典

ボサる ボサボサになる 擬音語

ポシャる 駄目になる 名詞

ほそる 細くなる 形容詞

ボツる 没になる 名詞

ポテる ポテトを食う事 外来語 若者用語の小事典

ホモる ホモになる 名詞 TV「ロマンス」4/12

ポラる ポラロイド写真をとる 名詞 専修大学 P.103

ボる 不当な利益を得る 甲南大学 P.47

マクる マクドナルドに行って食べる 固有名詞 現代

マクル マクドナルドで食事する 固有名詞 若者用語の小事典

まじゃる マージャンをする 名詞 流P.204

まずる 失敗する 形容詞 隠語の世界 P.185

マチョる 筋トレをすること。 外来語 若者用語の小事典

マッチョる スポーツで体を鍛えること 名詞 流P.210

マバシる みんなで集まる 専修大学 P.106

まみる 混ざり込む キャンパス用語集

P.50

マミる マミーを飲む 固有名詞

まんだる 漫談する 新P.119

ミスタる ミスタードーナツでパンを食べる 固有名詞 専修大学 P.109

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ミスドる ミスタードーナツへ行く 固有名詞 専修大学 P.109

ミスる ミスをする事 外来語 若者用語の小事典

ミスる ミスをする事 外来語 若者用語の小事典

ミスる ミスをする 名詞

ミソる 脳みそがウニの様になる 名詞 キャンパス用語集

P.5

ミチる 肉がミチミチする 擬音語

ミニる? ミニストップで、座っておしゃべりすること。 固有名詞 若者用語の小事典

むしる 無視する 名詞 キャンパス用語集

P.51

むしる 無視する 名詞 若者用語の小事典

ムチる ムチムチする 擬音語

めげる 落ち込むこと 名詞 流P.220

メゲる こわれる 甲南大学 P.49

モクる 煙草を吸う 擬音語 キャンパス用語集

P.53

モゲる とれる

モサる 髪がモサモサする 擬音語

モスバる モスバーガーでモスバーガーを食べる事 固有名詞 若者用語の小事典

モスる モスバーガーへ行く 固有名詞 TBS1999.5.6

モスる モスバーガーに行くこと 固有名詞 若者用語の小事典

モダる 現代振ること 名詞 新P.117

モデる モデルになる 名詞 新P.117

モノポる 独占すること 名詞 新P.117

もりもとる 不倫する 固有名詞 専修大学 P.114

やじる 相手を罵ること

ヤニる 煙草を吸う 名詞 キャンパス用語集

P.53

ヤニる たばこを吸う事。 A「先生ぇトイレ行ってきます!」 B「アイ

ツ絶対ヤニりに行くぞ!」 名詞 若者用語の小事典

やぼった しまった、しくじった、やっちゃった、やばいことしっちゃっ

た 動詞 若者用語の小事典

ようろうる 「養老の瀧」に行って飲む 固有名詞 専修大学 P.114

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よしぎ(ゅ)る 吉野家の牛丼を食べに行く 固有名詞 現代

よたる 新P.119

ラクロる ラクロスをする 名詞 専修大学 P.121

ラケる カラオケをする 名詞 キャンパス用語集

P.56

らちる 連れ去る 名詞 キャンパス用語集

P.56

ラチる 拉致すること 名詞 若者用語の小事典

ラビってる 恋をしている人のこと。 外来語 若者用語の小事典

ラブってる 愛しあってっるってこと! 外来語 若者用語の小事典

ラリった パニくったり、あせったりしている時に言う言葉 ? 若者用語の小事典

ラリってる いかれてる ? 若者用語の小事典

ラリっとる 狂っている人のコト。 ? 若者用語の小事典

リドる 「リド」へ行く 固有名詞 専修大学 P.123

リベる 愛すること 名詞 新P.117

るする 留守番電話にメッセージを入れる 名詞 キャンパス用語集

P.57

ルパってる ルパってる?と使う。ルパンみたいなもみ上げに、なってな

い?という意味。 固有名詞 若者用語の小事典

ルンペる 浮浪する 名詞 新P.117

レズる レズビアンになる 名詞 隠語の世界 P.46

レヤる レイヤーを入れる 名詞 キャンパス用語集

P.57

ロケる 遠出の逢い引きをする 名詞 新P.117

ロスる 無駄になる 外来語 若者用語の小事典

ロッテる ロッテリアに行って食べる 固有名詞 キャンパス用語集

P.57

ロンゲる ロン毛にする 名詞 平成 P.207

吉る 吉野屋に行くこと 固有名詞 若者用語の小事典

牛耳る 吉野家にいくこと。 名詞 若者用語の小事典

牛耳る(2) 支配すること。I.E{A こさんは八王子を牛耳ってる。} 名詞 若者用語の小事典

拒否る 拒否する 名詞 若者用語の小事典

欠る 学校の単位を落とすこと。欠点を取ること。 名詞 若者用語の小事典

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孤独ってる 一人で 固有名詞 若者用語の小事典

告る 告白する 名詞 若者用語の小事典

告る(2 告白じゃなく、告発の意 名詞 若者用語の小事典

事故る 事故にあう 名詞 若者用語の小事典

松る 松屋に行くこと 固有名詞 若者用語の小事典

草ってる 草のような感じをかもし出しているヤツに対して使う言葉 名詞 若者用語の小事典

駄菓る 学校帰りに駄菓子屋に行くこと。 名詞 若者用語の小事典

豆る ナッツを食い散らかす事 名詞 若者用語の小事典

邦彦ってる 頭の上のところの毛が自然に立っている人のこと 固有名詞 若者用語の小事典

予備る 予備校に通うこと。予備校生になること。 名詞 若者用語の小事典

与謝野ってる 髪の毛がボサボサになった状態の人に対して使う。与謝野

晶子の『みだれ髪』からきている 固有名詞 若者用語の小事典

落ちる チャットから抜ける(=退室)すること 動詞 若者用語の小事典

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程度の副詞 新用法一覧

読み 例(特殊なもの) 現在の意味

大人 オトナ 大人買い

鬼 オニ

崖っぷち ガケップチ

がぜん ガゼン

ガツ ガツ ガツ勉

がっつり ガッツリ

カメ カメ カメレス

ガン ガン

ガンガン ガンガン 非常に、すごく

巨 キョ 巨乳

クソ クソ クソゲー

激 ゲキ 激ペコ

ゲロ ゲロ

こ コ こやじ

さくっと サクット 程度が軽い。簡単に。さくさく

さりげに サリゲニ さりげ(なく)+接尾語「に」

死ぬ シヌ どうしようもない

死ぬほど シヌホド ア 1-10 非常に、とても大変だ

地味に ジミニ

即 ソク

速攻 ソッコウ すぐにするさま

ちょい チョイ チョイ悪 ちょっと

超 チョウ

チョビ チョビ チョビ髭

ド ド ド貧(ドビン)

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ドン ドン ドン引き

何気に ナニゲニ なにげ(なく)+接尾語「に」

バカ バカ バカ売れ

爆 バク

バリ バリ 福岡方言 1992 年関西で確認

バリバリ バリバリ

ぱ パ 中途半端

半端ない ハンパナイ はんぱなく(ア 1-1)

微妙 ビミョウ ビミョウに

貧 ヒン 貧乳

ブタ ブタ ブタ鞄 パンパンになった鞄

普通 フツウ フツウに

フル フル フルシカト

プチ プチ プチ家出

真 マ 真逆

マジ マジ まじめの略

むっちゃ ムッチャ

めっちゃ メッチャ

やや

デラ

ギザ ネット用語

ほんま

めっさ

かなり

かんなり

相当

結構

むちゃくちゃ

だいぶ

ブチ 山口方言

ハゲ(=激しく) ハゲ切れ

ガチ ガチ逆

ヤバ ヤバウザイ

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154

普通に 普通にノーマル

やたら

激しく 激しく同意

名詞化接辞「—さ」 一覧

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.11 朝日新聞

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.28 産経新聞

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.28 マカロニ・アンモナイト

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.21 中央日報

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.21 GAME Watch

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.11.29 東亜日報

あいまいさ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.12.22 公明新聞

悪質さ 漢 名詞-一般 06.6.15 愛媛新聞

悪質さ 漢 名詞-一般 06.12.03 南日本新聞

悪質さ 漢 名詞-一般 06.12.18 北海道新聞

悪質さ 漢 名詞-一般 06.12.14 なにわWEB

悪質さ 漢 名詞-一般 06.12.17 JanJan

悪質さ 漢 名詞-一般 06.12.14 なにわWEB

アクティブさ 外 名詞-形容動詞語幹 06.12.18 日経プレスリリース

アクティブさ 外 名詞-形容動詞語幹 06.12.18 日経プレスリリース

アクティブさ 外 名詞-形容動詞語幹 06.12.18 カービュー

アグレッシブさ 外 ? 06.12.17 コンピューターワールド

鮮やかさ 和 名詞-形容動詞語幹 2007.7.22 ZAKZAK

”熱さ” 和 形容詞-自立 06.6.23 サンケイスポーツ

暑さ 和 形容詞-自立 06.6.20 中日新聞

あでやかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.6.14 河北新報

甘さ 和 形容詞-自立 06.6.22 朝日新聞

荒らさ 和 形容詞-自立 06.12.17 ZDNet Japan

いいかげんさ 混 名詞-形容動詞語幹 06.6.21 愛媛新聞

粋さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.4 innolife.net

一生懸命さ 漢 名詞-副詞可能 06.6.27 足立よみうり新聞

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一生懸命さ 漢 名詞-副詞可能 06.12.23 西日本新聞

一生懸命さ 漢 名詞-副詞可能 06.12.23 岩手日報

一生懸命さ 漢 名詞-副詞可能 06.12.18 TBS

いびつさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.14 中国情報局ニュース

陰湿さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.12.15 河北新報

うまさ 和 形容詞-自立 06.6.25 日刊スポーツ

おいしさ 和 形容詞-自立 06.6.21 日経プレスリリース

多さ 和 形容詞-自立 06.6.26 JanJan

おおらかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 琉球新聞

おおらかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.23 信濃毎日新聞

おおらかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.22 朝鮮日報

おおらかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.21 埼玉新聞

オシャレさ 和 名詞-サ変接続 名詞-形容動詞語幹 06.12.03 オートバイテル・ジャパン

恐ろしさ 和 形容詞-自立 06.6.18 JanJan

おちゃめさ 混 名詞-形容動詞語幹 06.6.24 ライブドア・ニュース

お茶目さ 混 名詞-形容動詞語幹 06.12.23 ライブドアニュース

愚かさ 和 名詞-一般 06.6.24 JanJan

オロカさ 和 名詞-一般 06.12.09 ライブドアニュース

愚かさ 和 名詞-一般 06.12.15 CINEMA TOPICS ONLINE

快適さ 漢 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 CNET Japan

快適さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.18 読売新聞

確実さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.12.22 河北新報

過激さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 朝鮮日報

カジュアルさ 外 名詞-形容動詞語幹 06.12.21 GAME Watch

堅苦しさ 和 形容詞-自立 06.6.22 伊那毎日新聞

活発さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.5 CNET Japan

活発さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.22 日本海新聞

活発さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.20 新華社通信ネットジャパ

がむしゃらさ 混 ? 06.6.22 朝日新聞

がむしゃらさ 混 ? 06.6.16 日刊スポーツ

がむしゃらさ 混 ? 2007.8.5 朝日新聞

華麗さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.8.5 北陸中日新聞

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かれんさ 漢 名詞-一般 06.6.24 中日新聞

かれんさ 漢 名詞-一般 06.12.13 産経新聞

簡単さ 漢 名詞-一般 2007.7.24 ITpro

完璧さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.16 swissinfo

完璧さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.15 オリコン

完璧さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.05 オリコン

希少さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.17 日刊スポーツ

貴重さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.23 チャイナネット

希薄さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.11.27 ライブドアニュース

厳しさ 和 形容詞-自立 06.6.22 朝日新聞

きめ細かさ 和 形容詞-自立 06.6.16 読売新聞

キャッチーさ 外 ? 06.12.22 スポーツ報知

キャッチーさ 外 ? 06.12.13 BARKS

キュートさ 外 名詞-形容動詞語幹 06.12.16 Fashionsite

器用さ 漢 名詞-一般 07.08.07 Number

強靭さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.12.21 日経プレスリリース

心身の強靭さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.25 朝日新聞

強じんさ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.8.4 日刊スポーツ

強靭さ 漢 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 日本経済新聞

きらびやかさ 和 名詞-形容動詞語幹 2007.7.11 朝日新聞

緊迫さ 漢 名詞-サ変接続 06.6.28 東亜日報

勤勉さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.8.5 ファンキー通信

空虚さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.7.27 西日本新聞

クリーミーさ 外 06.12.10 日経プレスリリース

クレイジーさ 外 06.11.30 エキサイト

グロさ 外 06.6.28 So-net Movie

軽量さ 漢 名詞-一般 06.12.17 ビジネスコミュニケーショ

元気さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.28 OngakuDB.com

元気さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 中日新聞

元気さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 中日新聞

元気さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.23 スポーツニッポン大阪

元気さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.12.10 日刊スポーツ

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157

堅固さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.28 innolife.net

堅固さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.24 Business Wire

健在さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.20 innolife.net

絢爛さ 漢 名詞-一般 06.12.15 北國新聞

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大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.8.3 河北新報

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.8.5 神戸新聞

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.14 西日本新聞

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.8.3 ZAKZAK

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大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.24 日刊スポーツ

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.28 J's GOAL

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.15 日刊スポーツ

大事さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.16 nikkei BPnet

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たくましさ 和 形容詞-自立 06.12.14 ソフトバンクビジネス+IT

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悲惨さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.17 中日新聞

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不透明さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 中国新聞

不便さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 JanJan

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不便さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.22 デーリー東北新聞

不便さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.03 中国情報局ニュース

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豊富さ 漢 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 南日本新聞

豊富さ 漢 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 朝日新聞

豊富さ 漢 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 日本経済新聞

ポジティブさ 外 06.11.28 オリコン

まじめさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.23 中日新聞

まじめさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.17 北京週報 日本語版

まじめさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.19 室蘭民報

まじめさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.16 IT media

まじめさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.15 河北新報

間抜けさ 和 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.20 innolife.net

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166

身軽さ 和 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 OngakuDB.com

見事さ 和 名詞-形容動詞語幹 06.12.09 産経新聞

惨めさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.6.24 JanJan

未熟さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.7.18 産経新聞

無邪気さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 ウオーカープラス

無秩序さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 中央日報

むなしさ 和 形容詞-自立 06.6.20 中国新聞

無念さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 朝日新聞

無念さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 朝日新聞

無表情さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.26 ウオーカープラス

モロさ 和 形容詞-自立 06.6.22 日刊スポーツ

脆さ 和 形容詞-自立 06.12.16 中日スポーツ

”やんちゃ”さ 和 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.20 明大スポーツ WEB

やんちゃさ 和 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.18 スポーツ報知

有意義さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.15 swissinfo

優位さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.6.23 日刊スポーツ

優位さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.8.5 河北新報

勇壮さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.8.5 北陸中日新聞

優美さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.11.26 徳島新聞

有利さ 漢 名詞-形容動詞語幹 06.6.23 日刊スポーツ

ゆたかさ 和 名詞-形容動詞語幹 06.6.21 カービュー

ユニークさ 外 2007.8.3 朝日新聞

ゆるさ 和 形容詞-自立 06.12.21 エキサイト

ゆるさ 和 形容詞-自立 06.12.19 ASCII24

妖艶さ 漢 名詞-形容動詞語幹 2007.7.29 なにわWEB

要害堅固さ 漢 06.12.17 読売新聞

リアルさ 外 2007.7.17 GameSpot Japan

冷静さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 2007.7.26 日刊スポーツ

冷静さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 デイリースポーツ

冷静さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 07.08.07 スポーツニッポン

玲瓏さ 漢 名詞-一般 06.12.09 産経新聞

わい雑さ 漢 名詞-一般 名詞-形容動詞語幹 06.12.21 読売新聞

ワイルドさ 外 06.12.19 レスポンス

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167

付録 自然談話録音資料 16 時間分より(抜粋)

1

:でも、なんていうか、○○の好みには沿ってる//よね、やっぱり

: //うん、

:ひょろ、ひょろ//っとしてて

: //そう、華奢系でー、

:背が高くてー、

:うーん、細いっていう・・・

:お正月のときは、完全に友達//でー

: //友達って感じ

:ほんとに何で来たの?ってかんじ//だったんだー

: //うん、そうそう

なんか別にそこまで、深い意味は無かったんだけど、私も

:はあ、はあ、こん時は意識はしてた?

:うん、ちょっと、すごい性格もいいしね、とかは思ってて、//

: //うんうん。

2

:私が福岡好きやけさー、//まあ、むこうは名古屋が好きやけさー、//

: //うん //うん、まあお母さんとかねえ、福岡の人と、とか

は思うやろうけど

:名古屋に帰るとかは言ってるけど

:ミルクティーのお客様//

:まあ、飲んで

:(3.0)

やっぱ、(3.0)やっぱドクターは厳しいんだね

はい。あ、ありがとー(1.0)食後とか言ってなかったっけ、これ

:うん、ゆっとった。まあいいや。

3

:同じ専攻?

:ううん、アメリカ史やってる

:経済みたいなかんじ?そんなんではないん?

:どうなんだろ、(1.0)なんか、でも、歴史だからねえ、//

: //うん、

4

:じゃあ、留学とかしないの?彼は。アメリカ//に

: //外国に行ったことがない、とかいう人なのよ

一回は行かないかんて言いよるけど

:帰りが遅いのが、なんか気にくわんみたい

:何時くらいに帰るの?午前まえ

:終電で帰るのでー、

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168

:あ、午前前くらい

:うん、家に着くのが 12 時半ってかんじ。午前過ぎちゃうのでー、12 時まわっちゃうのでー、

それが毎日続くとね

:え、何だっけ?2 時間くらいかかるんだっけ?あっちは 10 時位に出てんだけど、ぐらいな

//かんじ

://そうそう。(2.0)だけど、親にしてみれば、納得いかない、みたいな

5

:こんなのあるんだねー//、知らなかった

: //ねー、

友達がね、なんか、あのー、(1.5)調査とかでやっぱ、使ってたからー、//

: //うんうん、

:私も買わないかんなー、って思っとったんやけど、こういういい機会がないとね、

6

:△△に会うときとかは、どうしよるん?//どっか別のとこ行ったり・・・

: //え?えー、

だいたいねえ、水曜日か木曜日に会社の帰りに家に来てー、//泊まっていくかー

: //うん、うん、

:土曜日か、日曜日にー、まあ、新宿とかでー、ぶらーっとして

7

:△△も細かったよね

:でもねー、なんかねー、(1.0)やせない、ね、うん。前の方が痩せてた

:ふーん、でもいいよ、痩せてなくて

:(3.0)だよね、痩せすぎだよねー、あれねえ、

:細かったもんね、//△△もね、

: //うん、それこそ私も、やばい、体重超えたことあるし、//ぐらいの

: //うそー

っちゅうか、うん、でも私も聞いとってさー、

おー、私のが重かった時期あるじゃんっていうぐらいの//重さでさー

: //そうでしょー

8

:心労がたまって痩せだした

:何でやねん!?とか思うけど

:でもいいじゃん、醜く太るよりはさあ、

:まあね、でも幸せ太りってあるじゃない

9

:東京にあるもんって、//いずれは絶対全国に広まっていくじゃん、//

: //うん、 //うん、そうね、そうね

:そう考えると単に最新のものがいち早く楽しめるだけでさー、//

: //うん、

:東京らしいものって、無いなって、//思うよ

: //あー、それは良く聞くねー。

:ねー、なんか

:でも、妹は東京から帰りたくないとかって言ってる。

:あ、そうなんだー

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:んー、なんか、友達関係とかってもう//出来ちゃってるからー

: //あー、こっちにねえ、

友達がいるんだったら、それもあるよね、

だってねえ、うちらだって、京都にいられるんだったら、ずっと居たいってかんじだったし

:あー、それはあるよね

10

:暇があればさー、ほんと、試写会で、舞台挨拶行くから、とか言って徹夜で並んで行けるしさー

:そうねー

:うん。(2.0)それは学生だからできる//んだもん、そういうことが

: //そうねー、そうねー

やっぱ働きだすとちょっと違うしねー、状況も、//ねー

: //うん

:身分も

:そうそう

:時間の使い方も、あ、でもお金の使い方も違うんじゃない?

:うーん、以外にねえ、学生の時のがねえ、お金持ちだった

:え、そうなの?

:っていうかねえ、贅沢してたなあって思う

:結構食べ行ったりしよったしねえ。それは思う。

:友達とか見とったらさあ、なんかさあ、お金の使い方が違う

:え、外食しないとか?

:(1.0)そういうのもあるしー、なんか、(2.0)ちょっとした、こういうペット買ったりとか、

そういうのでも

:あ、買わないとか?

11

:普通やん、やっぱ親にさあ、日本で言ったらねえ、//アメリカとかやったら

: //うん、うん、

:学生の、大学なったら自分の//力で行くっていうのが普通かもしれんけど

: //うん

:日本のさあ、まだ一般的な考え方としては、学生はまだ親の庇護の元、みたいな所があるから

そういう面でほら、自立してる人とかが多いい

:うんうんうん

12

:この前なあ、○○に会ってから、何?!みたいなことあってん。

:あー、それ聞かな、って思っててん

:人生最大のなあ、あのー、苦しみを味わったわ

:なんなん?

13

:○○今、めっちゃ大変らしいで

:あー、そうらしいなあ

:聞いた?

:なんか、△△からちらっと聞いた

:△△から?もうなー、学校なー、すごいらしい

:そうなん?

:もう、かわいそうっていうか、乗り越えたらすごいけど、乗り越えられるかなあって

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かんじらしい

:そうなん?

:むっちゃ問題学校みたいなとこ行ってて、

:生徒がやばいってこと?

:そうそうそう、先生もやばいねんけど

:(笑)

14

:なんかなー、私立の学校で、あのー、ちょっと専門的なことできんねんか。

仕事しながらでも来れるし、来れるけど、

:うんうんうん

:何も目的持ってない子にはどうとでもなる学校で、

:なるほどな

:やから、目的もってある子は、すごいまじめにやってあるけど、目的持ってへん子は、

何もしいひん、みたいな

:なるほどな。そりゃ大変やなあ

:そうそうそう。でな、茶髪にしてきたらなー、//家に電話せなあかんねんて

: うんうんうん

:で、初日に電話した家が 18 件とか言って

:うっそ

:ほんまほんま。そんでな、直してくるまで毎日電話せなあかんねんて。

ピアスとかもなー

:あー、大変やなあ。

:○○ちゃん的には、話し合って?いきたいねんけど、周りの先生は、もう、

そんなんな、暴力じゃないけど、言って聞かんねんから、っていうかんじなんやって

:あー、

:でもそんなやり方やったら、先生からはわーって言われるし、生徒からも、がーって

言われて

:板ばさみやん

:そうなんよ

:きついなあ

:号泣したとか言ってたもん。とうとう泣いてしまったって

:あらら

15

:今日な、駅でカメラ買って来たっちゅうねん。 ○例 83

:わー、すごい

:っていうかな、チャリンコ持って行かれてるかもしれへんって

:なんで?

:カメラ買ってたから

:えー、どうなんどうなん?

:写真がねー、これしかない。なんか、あんまり写真が好きな人やないねんか

:えー。

16

:すごい悩んでる手紙が来て、それに返事書いて、また来て、それに返して、みたいな、

今、一応文通状態やねん ○例 135

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171

:あー、そっかそっか

:結構いろんな事で悩んであるみたいやで。なんかな、好きな人、好きなんかどうか

分からん人に//

: 言いわれてて?

:言い寄られてんねんけど、その人には彼女がおって、みたいな

:あれー?!

:でも、それはどうなん?○○?みたいな

17

:どうなん?年上ってさっき言わんかった?

:10 歳年上

:(2.0)は?

:それはまあ、どうでもいいねんけど

:どうでもいいのん?

:まあ、流れ的に入っていく話で

:じゃあ、最初っから、まず上流から

18

:なんか、もう遠くて、よく覚えてないねんけど

:あー、かなり前やもんなあ、約 1 年も前の話やんな

:で、次の日バイトで会って、そしたら普通やったら、また遊びに行こうや、みたいに

なるねんけど、その日から・・・

19

:もう、今年の 3 月位まで。

:何で?

:っていうか、何か、何かが気に食わんかったんやと思うねんけど

何でなん?って。私的にはこれから盛り上がって行く予定やったのに、

:そうそう、そうやんな

:どうなん?みたいになるやんか

:そやな

20

:○君っていうねんか、その子が、で、○君から誘われても、次、△君、

△君っていうねんか、その友達はな、

:あー、

:△君と会うまでは、あのー、会わんとくわ、みたいなかんじで言ってあって、んけど、

もう 1 週間せんうちに、今日誘われて、××で二人で会っっとってん、みたいな事

言われてさー。えーっ?ってなるやんか

:なるよ

:どうなってるん?って

21

:私は△君に相談するし、ずっと友達やからな、//立場的には私もしんどいし ○例 174, 182

: うんうん。あー、そやな

:△君もしんどいし、って言っててん。でも、話聞いてくれるから、別の、

それぞれ別として。自分の立場を排除して話聞いてくれるからいいねんけど

22

:どないやねん?ってなって

:うんうんうん

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172

:で、△君的にも、私□□って大事な友達やねんって、言ってて、△君もそれ知ってて、 しゃt181

:うんうんうん

:自分大事な友達なんちゃうん?ってなるやんか。彼女に対してもな。で、私と△君も、

ずーっと仲いい友達やから

23

:だからどっちの相談も、私からも相談するし向こうからも相談するし、で、こっちにも

:あるし、みたいな

:こっちはこっちで彼氏的によっかかってるし、私、友達、めっちゃな、ちゃんとな、

友達として見極めろ、って怒られてん、私が

:△君から?

24

:音楽のことに対して、音楽めっちゃ好きやんか。だから、私がこの音楽好きって、

今まで全然言われへんかってん

:あー、そうなんや

:だから、好きって言っても、はあって言われるかんじやってん。

:あー、

:どこがいいん?みたいなかんじやって、自由に発言権がなかってん(笑)

:そうなんや、知らんかった

25

:○○がいいって思うもんは、私はいいと思わんかったけど、いいと思うこともあったし、思わんことも

あったけど、まあ普通に聞いとってん

:あー、あー、あー

:こっちのいう事は、ちょっと、シャットアウトされるっていうか、興味ない、みたいなかんじで言われて

○例 163

26

:やっぱ意識するよ

:えー、そう?そうでもないよ。あんましちゃだめなんだって

:カメラ目線とかしちゃだめなんでしょ

:え?してもいいよ。とか言ってんのね、(笑)

:こんにちは

:そうだ、//名前

27

:あー、あとね、あれがいるんだって、どこに一番長く住んだか

:福島県です

:ずっとそうだよね。福岡県です。とか言ったりして(笑)

:福つながりで

:ね、そうだね。でもそう言っちゃうと福井とかいろいろ繋がるから

:いやいやいや

:いろいろとか言ってもそれくらいなんだけど

28

:じゃあ、まずケーキ争奪戦といきますか。すっごいおいしそうじゃない?これ

ミルフィーユっぽくない? ○例 92

:これ何?

:ナポレオンって書いてた(笑)

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173

:じゃなくて、内容だよ

:中身?

:中身中身てんじn

:カスタードじゃん

:まんまやないか、分かるじゃん、そんなのー(笑)

:そう、カスタードと、パイを、パイ生地を//重ねて

: //シフォン、スポンジあるよ

:あ、スポンジあるね。しかも底は多分ジャムかなんか//入ってる

: //おいしそー

:まあね、

:まあね、微妙にね

29

:私は多分予想をたてる。予想をたてるよ。予想たてたよ、いいよ

:えー。

:どれがいい?どれがいい?とか言って

:えー、うーんと、この二つのどっちかがいい//なあ

: //多分そうだろうと思ったよ、やはりね

:こっち!

:やっぱりな(笑)

:嬉しそう

:シフォンにいくと思ったんだ

:っていうかねえ、カスタードっぽいパンを今日食べてき//ちゃったから

: //あー、そうかあ

:違うのでいこっかなーと思って

:なるほど

30

:さっきのたこ焼きが今日最初のご飯だったんだけど。

はーしんどい。でもお腹も意外と空いてないんだよねー

:まじでー?ずっとさー、なんだっけ、なんか説明会終わった後にさあ、//

: //うんうんうん、

:受けたい人は残ってテスト受けて下さい、とか言われて、//

: //あー、はー、はー

:ずっと受けててさー、ぐーぐー鳴ってて恥ずかしかった

31

:大森って品川っていうか

:下のイメージがある

:品川よりも京浜東北で神奈川寄りだから、ま、2つなんだけどね

:え、山の手も並走?

:山の手はもう、品川まで//しか行かないから、

: //あっ、じゃあ、

もう//そっから先

: //私は神田から京浜東北線でそのまま真っ直ぐ行っちゃった

32

:さすが私

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:えへへへ、へへへへ、とか言って

:こわ

:笑って誤魔化す、みたいな、うそうそ

:誤魔化しまくり

:すごいんで、すごいんで、すごいんでとか言って(笑)

33

:風月堂なくなっちゃったでしょ、//確か

: //ね、神戸デザートアイランドとかいう

:うちの親もほら前来た時さー、引越しする時さー、そっからケーキ買ってきたよ、馬鹿でかいの

:へー、

:うちケーキ好きだから(2.0)やたら喜んでケーキ食おうとか言ってさー

なんか、うちっぽくて、その買ってきたケーキが(笑)

:(笑)あー、そうなんだ。ホール?ホール?

:違ーう。こんな、

:あ、細長いやつ。

:そうそうそう、

34

:3分の 1 ずつ食べんの?

:当然。そう、で、乗ってんのが、チョコとかじゃなくて、生クリームが好きだから、メロンとか、

そんなのしか乗ってないんだよ、イチゴとメロンとオレンジみたいの、//ちゃっちい、やつ

: //あー。ありがち

:はあ?とか言って

:まあ、ここのケーキって、結構あれだね、意外とちゃっちいね、

35

:みっちゃん昨日決まったんだって

:どこ?

:東京三菱

:え?まじですかー。//銀行?

: //おかしくない?

:銀行?銀行?

:うん、//銀行

: //で?よかったねえ、//えー、ちょっと似合わなーい

: //え?銀行以外にあんの?//東京三菱

: //ない(笑)

:(笑)あー、びっくりしたー(笑)

:(笑)ごめんね

:まあ、一応確認したんだよね、今ね、

:銀行?って

:そうそう、銀行

:え?銀行マン?似合わ//ないんだけど

: //えっ、でもね、行くなら銀行系っていうのは、

前からそういうかんじだったの、

36

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:リクルーターっていうのは、OB とか、//いて

: //うんうん、

:その人事の人じゃなくてー、//下の人が、

: //あっ、はいはいはい

:何年目かの人とかが、もう、リクルーターってゆって、そのとる、人、やるの。

人事部が担当するんじゃなくて。その人とかが、結構いいって思ったら、もう、大体のところ

通るの。通るわけ。

:あっ、そうなんだー。

37

:忙しいみたい、でも、暇ないんだー、って言ったら、うん、全然、やること一杯あって忙しい

って言ってた

:多分気持ち的に余裕ないと思うね。

:っていうかねえ、あとほら、卒論なくて、ゼミ論

:ゼミ論?

38

:食べ過ぎ、ここ 3 日間

:え、いいよ、いいよとか言って。私じゃないし、とか言って。うそうそ(笑)

それは冗談だけどー

:え、なに、その、昨日の時はー、別に変な間は無かったの?

:うん

:何か言いたいのは無かったんだ

:うん

39

:昨日は不意じゃん、//いきなり電話来たんだからさー

: //うん、

:そうだよ、でも逆も然りじゃん、私だって、あー、まー、いいや。まーいいや、とか言って

40

:うちら何分くらいから始めたっけ?もうそろそろ良かったりとかすんのかな?

:何分とかって分//かるんかな?

: //こんなんでいいのかね?

:いんじゃん?

:どうよ?

:333、334、なんか、この、ご、なんか微妙な(2.0)あれでございます

:カウンターとかないの?

:カウンターがそれで、その微妙でございます。(2.5)

秒で無しってかんじ。分で無しってかんじ。意味不明―訳わかんない(笑)

これ絶対やばいよ。まあいいや。結構しゃべったよね

41

:だから分かるでしょ?私がずっと言ってたこと//

: //失敬、うん

:ねえ。

:え?なになに?なになに、とか言って(笑)

:インカレの//時とかに言ってた

: //あっ、はいはいはいはいはいはい。え、私分かんなかったっけ?

:うーん、そんな訳じゃないけどー、

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:あー、びっくりした、分かる。

:で、言ってたじゃん、1 人で言ってたじゃん

:そうだよね、私はそういう状態は無かったもんね

:で、それはー、しょうが、しょうがないっていうかさー、

まあ、時が経てば、みたいな、かんじだったじゃん。

42

:2 日目かなんかにさ、3 人で喋った時もさ、ほら、言ったでしょ、私が。

それは立場が違うからだよって、言ったでしょ。

:そりゃあね、そりゃそうですよ。

:来ると来ないでは大きな違いだよね、立場的にも

:そう、ね、まあ、なるへそ

:古

:(笑)

43

:あ、発表お疲れさん

:あ、うーん。もうめちゃくちゃやったよー

っちゅうかね、レジュメをねー、ちゃんと作って行ったんやけどー、

1ページ読んだら、レジュメ読むのやめよっか、って

レジュメ読むとなんか平板になって退屈だからー、レジュメ置いて、自分の言葉で皆に

説明しなさい//

: うひょー

:って言われて、もうなんか、あたしさ、結構2日位あんま寝てなくってさあ、もう、

あー、後は読んで、質問受けるだけ、みたいな結構さー、軽く行ってたら、うん、

そんなんでから、もう、頭真っ白になって、なんか、言い訳にならんけどねえ、

結局は分かってなかったんやけど。なんかしどろもどろってかんじで

:まあ、みんななるよ、どうしても。パニくった?

:そうやねえー、結構ねえ。大恥かいたって感じやけどねー、

:いやいや、それは誰でもあることやし。私なんかいっつもそうよ。毎回そうよ。

こないだね、相当ごまかそうと思ってね、なんか発表の原稿をレジュメを作ったのが

もう2週間以上前で、//

: うん

:発表決まっとったけんね、・・・

44

:友だち、何分くらいに着くんかねえ、

:どうかな、20分くらいで着くんやないかねえ。結構忙しい?今日

:ううん、大丈夫大丈夫。え、なんか、あれやったと?

:うん?

:えっと、あ、さっき博多//駅やった

: 昼まで仕事でー、で、あの、仕事場は天神なんよ。

:あー、そうなんや。

:で、なんかちょっとフラフラ水着を見るとか言って。今度社員旅行で、グアム?とか

どっか行くとか言って、

:いいねえ。

:水着をね。

:いいねー。

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45

:水着かー、水着とか大学2年とか、3年とかに買ったっきりよ。

:なかなか行かんもんね。あー、でもね、私、海行くんやったら女の子同士で行きたい。

:なんかねー。もうやだ。

46

:なんか、美味しいお店連れて行ってくれたらいいね。

:うん。西新とかねえ、あの辺案内というか、知ってるよね。

:多分ね、西新

:バスで近い?

:バスで近いし、そんな遠くないけんね。歩いて行ける

:えっ?行けれる?

:何分ぐらい?20分か30分くらいやけんね。

:へー、ま

:ちょっとかかるけど、でも、歩いて行ける距離だから、別に。天神と同じくらいかな、○例 175 183

距離的には

:あー、そんななんだ。

47

:楽しみだなあ。っちゅうか、全然知らない人と会うっていうこと自体が嬉しい。

:ね、ドキドキするよね。

:最近ね、そんなの全然ないから

:うん、やっぱほら、どうしてもさ、コミュニティーに入っちゃって、2年目とかなると、

決まってくるからねー。

48

:○○ちゃんは?なんか調査っていうか、調べ物とかは?

:うーん、なんか、論文読みまくって、

:先行研究とか?

:とか、は、読みまくって、その上で、自分のなんか新しい視点とか、

:あー、

:持っていかんといけんのやけどねー、

49

:やけ、なんか同じ論文の中でも重要な部分と重要じゃない部分とあるやん、

私は、なんか重要じゃないとこも、重要な部分と同じように比重をかけて、

わーって書くわけ。なんか文章がすっごい平板だし、なんかそういう方法?ってなんか

うーん、もうそろそろそういう方法は止めたほうがいい、とか、結構厳しかったー。

まあ、愛情、愛のムチってかんじやけどー。

50

:だから、多分、でも先生の言ってることはよく分かるからー、また頑張ろうっていう

気にもなるし、それが、なんでそんなこと言うの?って思う人もやっぱいるよね、

中にはね、

:うん、

:それはやっぱ思わないし、あー、もう、ほんと、ねえ、分かるからね、よく、

:ね、そうやって、なんか自分の中でそうやって理解できていけばさ、なんかやり方とかもあるし、先

生も先生で、やっぱ指導をしてくれるわけだからね、

:そうねー、なんかねー、昔の私やったらここでなんか、こう、ほんとに落ち込んで、何もできない人

だったけど、

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:大丈夫、大丈夫、

:でも、なんか全然大丈夫。

:うん。

51

:フランスに今お父さんが単身赴任してて、

:うんうん、

:なんか、最初は一人で行ってたんだけど、勝手に向こうで体壊して、

:あらららら

:で、なんか、お母さんも一緒に来てください、とか言われて

:ほーう

:したらなんか、一人で家にいるのは危ないから、とか言って言われて、

一緒に行く//ことになって、

: //いやーん、いいやん

52

:でも、いいチャンスだね。

:うーん、でもなんか怖いよー。

:なんで、なんで?

:だって、そんなになんか自分でやっていけるかどうか分かんないし、

:うん、うん、

:まだ語学の学校とか決めてないんだよ ○例 107

:うん、うん、

:でもライブとか向こうでいっぱい行こうと思って

:あー、いいなー

53

:チョコレートシフォンのお客様

:はい

:ご注文のほうは、以上でよろしかったでしょうか

:はい

:ごゆっくりどうぞー

:わー、なんかすごいね

:満足ってかんじ

54

:髪の毛切ったね

:うん

:○○ちゃんがねー、MD かなんかねー、持ってるかどうか聞くの忘れてたの

MD かなんか持って//る人?

: うん、うん。なんでなんで?

:最近すごいね、いっぱい新機能が付いたパソコンを買った//のよー

: うんうん

:最近凝っててー

:あー、そうなんだー。じゃあ是非ぜひ

55

:あ、でも 8 月に行っちゃうんだっけ?

:うん、でもまだ分かんないんだけどね

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179

:そっかー

:でも一人で勝手に色々決めちゃってて、ドコモの 1 年割引とか解約しに行ったり

先輩に言ったらまだ早いんちゃう?って、

:(笑)

56

:いいなー、私も海外逃亡したいよー

:○○ちゃんもイギリスとか行ってたよね

:一人でぽいって行ってね、あまり実にはなってないかもしれへんけど

57

:送り火、今年年末にもやったのよ。

:あー、うん、見に行った?

:うん。すごかったよ

:あー、ほんと。世紀をまたごして

:うん、みんな若かった、みたいな。平均年齢的に。なんか、丁度 12 時になった時に

:うん

:四条の橋の上で//見てたんだけど

: はいはい

:その辺の若い子が“Happy New Year!”とか言って、抱き合ってんだよね

:あー、

:もうついてけなくて

58

:でもね、京都らしくっていいなあって思ってた

:うん、年越しした後はねー、スタバとかでお茶のんで越そうと思ってたのに、50m 位

列ができてて、

:へー、

:もう、みんな並んでて、寒いのに、スターバックスのコーヒー片手に、川原で 30 分位

震えながら飲んでて、

:うんうん

:しょうがないからファーストキッチンで、もういや、とか言いながら

59

:久々のご対面をしてきた

:なんかね、図書館にも、〇〇先生のゼミ?

:うんうん

:にいた子。名前は覚えてないんだよね。

:どの子だろ?

:すんごい大人しいかんじの子なんだけど、

:大人しいかんじ。クラスどこだろ?

:あ、でも私より後かもしれない。

60

:うそー、私たちって何だったんだのよねー。

:そうだよね

:一番おばさんの 4 回生の時にさー、大変な思いをして・・・

:そうよー。なんなの?この段差の違いは、みたいな

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180

61

:〇〇先生どうだった?

:あー、吉海はね、どうだったかな?でも、そこそこ居たような気がする

:なんかねー、妹が、うちって姉妹校□□ってあったじゃない。あそこやねんかー、

で、結構講師で行ってる人が多いらしくって、

:ふーん

:〇〇先生最高―!とか、私が、同女だっていうの知ってるからさ、〇〇先生最高って、

お姉ちゃんに言っといてって言われたんだけど、って、うっそー、みたいな

:そうだよねー、それはねえ、

:□□にあげるよってかんじ

62

:1 年目って買うやんか。いる、とか思って

:うん、それで捨てれないんだよね

:使わないしね

:そういう本、大量にあるよ、家に

:いらないー、とか思いながら、捨てれないんだよ(笑)なんか、まあ、いつか

使わんかなー、とか//思いながら

: そうよねー、家は妹が再利用してる

:あ、ほんとにー

:うん、妹は、意外となんか、そういうところからこういうのを//見るっていうか

: あー

:お姉ちゃん、本借りてくわとかって

:あー、じゃあ、いいねー

:もう、あげる、って

:あー、そっかそっか

63

:女の世界って怖いよね、って思うよね

:でもね、あそこに慣れるとね、今、会社、情報機器系の会社なんだけど、

:うんうんうん、

:男の人だらけじゃん。ご飯も一緒に食べれなかったもん

:なんで?

:なんとなく

:え?なんで?おじさん系が多いの?若い人いるの?

:なんかねー、工学部にいそうなすごく変な人

64

:キャピキャピしてて、みんな楽しそうなんだけど、

:あー(笑)

:でも、この子達とはつるめない、とか思って。一人相当若いふりして頑張ってる

:あー、そっかー。あ、ラジオ体操とかすんの?

:うん。社員研修あって、その時やらされて、

:やらなきゃいけないんだ、頑張って

:前のおじさんがねー、相当リズム感無くてね、(笑)ずれてんの。必死に頑張って

なんか太極拳の真似しだして、もう、私びっくりしたんだけど、みたいなかんじで

:(笑)まあ、なかなか楽しそうやね

65

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181

:私がノイローゼになっちゃって

:あ、そうなの?

:いや、深刻なものじゃなくて、なんか、あまりにも言われすぎて、すごく神経質になっちゃって、

:あー、

66

:私でも、○先生だったからさ、写真とってくださーい!!って言って、

:でもね、現像して後から写真見たら、えっ、すごい

:(笑)

:ね、もう、こんななの。プリクラとか比じゃないって

:うんうん

:そしたらね、送ってよー、とか言われてて、でもこれはやだー、とか思って

:(笑)送らんかったの?

:うん。怖いこわい。

67

:〇〇先生にあこがれて入ったって子、結構いるんだよね

:え、そうなの?

:うん、なんかね、私の友達で○ちゃんって子の妹がね、丸山先生にあこがれて同女に来ました、

とか言ってて、

:そうなんだ

:なんで〇〇ちゃん知ってんの?とか言ったら、えー、有名じゃないですか、とか言われて、

えーってかんじで、私、ゼミの生徒だけど知らない、とか思って

68

:〇〇先生初めて見た時に、私すごい一目ぼれをしてしまってね、

:ときめいちゃったのね(笑)

:この先生に習うんだー、とか思ってて、まだ 1 年の時から、日本語教師になるにはどうすればいい

ですか、とか聞いてて、

:そうなんだ、積極的だね

69

:でもね、言葉に敏感にならない?なんか、勉強してたら

:なる!

:今、うちの製品が、あの、ミスがありましたので、大変申し訳ないです、っていう文書を打つんだけ

ど、そういう、原稿って男の人が書いてくるんだけど、ほとんど二重敬語

:あー、今の取りたかった!っとかって思うの

:へー、すごいかも。私の、卒論が//外国人の、なんかな、しぐさ?かな、//

: //うん、うん //うん、うん

:空間意識ってあるやん、//外国人は嫌いだけど日本人は好きとかっていうのを勉強

: //あー、はいはい

:したりしてて、映画見てたりとかしても、今、あなたはこれよ、とかって、(笑)

70

:なんか、すっごいキツイ子。まじめだけど。昔○○ちゃんがいじめられたって言ってた

:あ、○○かな?

:うん、そんな名前やったかな

:私、上の名前が思い出せない

:なんか、○○ちゃんに、すごい失礼なこと言って、すごいむかついたとかって言ってた

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:あ、やっぱ、多分○○だよ(笑)そゆこと言うの、多分○○しかいないわ。

71

:うん、たしか福祉関係だったと思う。なんかね、○○ちゃんってあんまり好き嫌いない子なんだけ

ど、//なんかね、言ってた

: //うんうん、クラス全員から結構言われてた

72

:あっ!知ってる!おいしいよね

:そうそうそう、あそこスゴイ好き!でね、なんかね、仕事の帰りにバイトの人に、

なんか見に行かない?とか言われて、9 時くらいに電話して、9 時に、ゾロゾロって

女の子が帰るの、怖いんだけど、//連なって、

: //いいじゃん、いいじゃん

73

:何のシングルだったっけ?とか言って

:(笑)で、何のシングル?って?

:たぶん、ここの部分とかに印刷してあるんだけど、とかね、

74

:ティセラの CM に出るっていう噂を、噂っていうか、ファンクラブの方で、言ってた

:へー、え、ファンクラブ入ってたんだったら取れなかったの?

:そう、間に合わなかったの

75

:いや、そんな弱々しくないはずやし、うん、大丈夫やろー、

:最近ね、起動が遅くなって、

:あー、なるなるなるなる、

:で、シャットダウンもできなくなって、

:あー、なるー(笑)

:今ね、やられてるよね、(笑)

:あー、でもチェックかけると、どうしてもね、遅くなるって言うからねー。うーん、

大丈夫でしょ。そんなん、よっぽどね、なんか、何回も強制終了しまくってね、相当

荒い使い方せんとね、壊れんって言いよった

:強制終了してる・・・もう、せーへんから、もうむかつく、とかって(笑)

:分かる、わかる(笑)

76

:多分ね、チリソースだけやったら、辛かったと思うっちゃん

:うんうん

:だけね、混ざっとる方にした

:美味しい

:うん

:南国に居る気分

:(笑)

77

:親にばれん?

:ばれたんやない?持って来てって言ったけん(笑)

:(笑)あ、その辺は大丈夫なんだ

:うん、別にプリクラとかは(2.0)平気

:(3.5)でも何も言われんやった?

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183

78

:これもう開けてしまおう

:なんで?

:え、だってなんか〇〇(人)にあげれって言われたけど、〇〇(人)にあげるのってなかなか難しく

ない?コンタクト取れんとって

:あー、そうなん

:うん、でもうちの校長、なんかおかしく張りきっとうらしくて、

:うん。嬉しいんやろ

:いやー、知らない。なんか、教案をね、月曜に集めてね、火曜に返すから、とか言って

:見たいって?

:見たいって。えー、なんか

:熱心な人やねえ。

:うーん、かなりね。結構優秀な子がね、おってね、その子がね、なんかもう、

見せろって言われて、そしたら、こんなんじゃだめだ、とか言われたとか//言って

: ショックー

:って言いよった

79

:長くなって、短くなってってかんじやけんね

:ふーん、なんか、ねえ、結構ボーイッシュなかんじで

:だいたいいっつもボーイッシュよね

:よく言われます。もう生徒たちにも、先生絶対運動部でしょー、とか言って//〇〇(高校名)

: 見える見える

ソフトボールとか

:(笑)言われます。私運動できるとよく思われるんですよー、

:実際は?

:できないですよ。やった、やったことないですから

80

:まあ、都会に来て、都会に馴染めない人びとが集まるようなかんじの

:ふーん

:で、慶応、結構早い人は早いんですよね

:へー、

:あの辺、山すごいでしょ。

:あの辺?日吉?

:慶応の方は、あれっ?日吉・・・自体っていうよりも、神奈川の方が山すごいごつくて、

もう、すごいですよ、やぶい、とか。電車に乗りよって、あ、今やぶかった、とか

言うんですよ。マニアックな競技なんですよ

:へー。なんか東工大の//

: はいはいはい、

:東工大で、オリエンテーリングやってた友達いるから、もう、全然 1 年くらい

連絡とってないけど

:あー、かなり運動部なかんじで、うちは意外とイベント系なんですよ。

:そうなん?

:インカレで、いくつも、なんか最近まあ、一橋大とかも一緒に入ってきたいらしくて

二人くらい来て、入れてくれって、言ってましたよ

81

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184

:なんか、あのー、あったかいお茶飲みたい

:あ、ほんとー、じゃあ、ちょっと待って

:っていうか、あれ?

:あー、あんねえ、ポットがねえ、

:お湯、これで沸かしたら?

82

:なんか似てるようで似てないよね

:あっ、そうですね。やっぱり基本的なとこは、似てるのかもなんですけど、

:うーん

:顔似とる?

:うーん、そっくりってわけじゃないけど姉妹だなってかんじがする

:でも寝とるとこ見たら、あ、○○だなってかんじ(笑)

83

:寝言もいっぱい多分聞かれとる

:まじで?

:私寝言言う?

:寝言、言うねえ。

:言いますよね

:言う、言う

:時々ぽっ、て言うよ。しかもね、それ以外と不満系が多い。(笑)

:あー、もう、とか言いながら

:えー、私△△ん家で寝言言いよる?

:寝言、うん、言うね。

:何て言っとった?

:なんて言いよるかは分からんけど、なんかむにゃむにゃってかんじで

84

:3つ違いだっけ?3つ違い?

:そうそうそう

:大人っぽいね、それ考えたら

:っていうかね、落ち着いとるんよね、私より//大人っぽい

: 落ち着いとるね

:ねー

:○○だって落ち着いとるよ。落ち着いとるっていうか、 ○例 166

:しっかりはしてますよね

:そう、しっかりしてる

:あ、しっかりは、とか言っちゃった

:すごいしっかりしてる。きゃぴきゃぴしてるけど、しっかりしてる。

:そうそうそう。娘さんっぽいっていうのは、そのきゃぴきゃぴしとることって。

:あー、はいはい

85

:あー、結構、前見た時よりかっこいい。別の人?これ

:前見た時って、いつ見たん?

:あのー、○○に、//プリクラ見せてもらった時よりかっこいい。

: //ほんまや

:えー、なんかかわいいかんじ

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:なんか違うー

:えー、なんか前と全然違う、いくつ?

:1こ下やねんか、だから//△△ちゃんたちとおない

: //なんか少年のようやで//なんか違うでー

: //えー、背高いん?

86

:一番おっきいトマト半分こしょうか、◇◇ちゃん、

:うん

:取ったらええやん

:食べたらええやん

:ううん、いいの、

:めずらしくトマト嫌いな人//おれへんな

: //私この辺食べるからいいよ

:え、いいの?ごめんなー、

:はよ取り、みんな(笑)

:△△ちゃん、一番でかいやつじゃなくていいの?

:え、一番でかいのこれと思ってんけど、あ、//ちゃうかった?

: //私もこれと思ってんけど

:じゃ、◎◎ちゃんこれ取りー

:いいで、はいはいはいはい

:ごめん、飛んだ、とか言って

:○○、どこまで参加できるんか分からんし

87

:9 丁目は食べて帰って

:そうね

:地獄の肉団子 9 丁目になります、//お後こちらが「とりあえず」のほうになりまーす ○例 138

: //来たっ!

:はい、はい

88

:あー、辛!辛い、やっぱり

:前、なん、何丁目食べたん?

:多分6やね

:6ぐらい

:辛さの度合いで数字が違うの?

:そうそうそう

89

:あー、この前うちの近所にな、//郵便局に強盗入ってん//入ったんやんか

: //うん //えー、怖

:な、次の日な、捕まったんな、うちの家の近所の人やってん(笑)

:うそー

:知ってる人やったん?

:うちのお母さん見たことあるって言ってたけど、

:いくつの人?

:53 ぐらいの

:おじさん?

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186

:多分

:不況で?

:しかもな、テロの次の日やって、全然な、事件、なんて//いうん、大きくならんかってん

: //あー

90

:なんか夏のルミナリエのかなりちゃっちいバージョンやってて、それ見に行く時に、

なんか、あのー、藤木直人//来るって言って

: //野外ライブとかって言って

:千何番やったよなあ

:そう//1 時間ぐらい前行って

: //1 時間ぐらい前から行ったのに、千何番やって、でもなんかグチャーって入るから一緒やね

んか

91

:なんか一番面白かったんがな、

なんかこの曲は//

: //お待たせいたしました、湯葉しゅうまいのほうになります

:からい?一番面白かったんがな、//いち・・・

: //聞いてない、みんな

:◆◆聞いてんのー?

:ここが盛り上がるところやから聞いて

:一番面白かったんがな、この曲はリラックスしている自宅のソファーで作りました。聞いてください、

ソファー(笑)

:ってな、そん時な、そのまんまやん!って言ってんか、そしたらその前の人もな、丁度

同じタイミングで、そのまんまやん!って、さすが関西//やからな、

: //わーって笑いが起こって

92

:なんかドラマん時がいいわ。

:あー

:顔の区別がつけへん、いるやん、同じような顔の人

:でもなんか、安藤政信と、なんやったっけ?えーっと、中村俊介ってよく間違えられるよな

93

:こないだ山田花子が間違えてはった。良かったですー、赤影、とか言って

:それちゃう?

:でもアンコールしーひんのがびびった、普通アンコール絶対するやろ、それしーひん

かったのがちょっとびびった

94

:とりあえず美味しいなん、

:美味しい?

:っていうか、◎◎ちゃん気をつけたほうがいいで、写真とるのへたくそやし(笑)

:△△に言われたくないねん

95

:辛いよなあ、これ、

:やっぱ 9 丁目行き過ぎたんかなあ、(笑)

:でもこんなもんかなっていうか、辛いけど

:とりあえずって美味しいなあ、とりあえずって聞くと、私心が痛むねんけど

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187

:なんで?

:口癖?

:学校でな、あせった時、とりあえず、とりあえず、ってむっちゃ言ってるからな、

:そのたんびに//この味思い出して

: //なんか胸が痛くなるねん

96

:え、頼んでたん、これで終わりやったっけ?

:え、あの湯葉なんとかは?

:これこれこれこれ。えー?

:あれー?

:うん、これだけっぽい。

:ほんま。どうする?

:〇〇まだ食べたいよなー

97

:口ん中がひりひりする

:やきそばとかもあるよ、ちゃんぽんとか、

:うん、なんかご飯系とか食べたい

:チーズ雑炊って美味しいんかな?

:不思議に美味しいって書いてあるから不思議に美味しいんやろうなあ。これと、ここら辺とか、どれ

がいい?

98

:両方頼んだらええやん

:じゃあ、両方と、チーズ雑炊?

:っていうかな、両方、両方食べてみたい、気がする

:うん、◇◇ちゃん、呼んで

:すいませーん

:なんか激しい人たちやなあ、なんで私たち、がーって、激しいな、私ら

99

:◎◎ちゃん、辛いの強い?

:だって〇〇ちゃん、腐ったおにぎり食べてもあたらへん人やで

:そうなん?

:糸ひいてんもん、(笑)

:糸ひいてんでーって

:で、食べてたの?

:なんかな、家族で、おにぎり、お母さんが握ったんやんか、それを食べとって、糸ひいてんでーっ

て言ってな、妹が言うねんな、

糸ひいてんの分かってて、食べとってん。腐ってんかなー、って言っとって

:腐ってるやろ

:うちの妹はおなか壊した

:うそー

100

:結構、平井堅なあ、こないだなあ、大きなのっぽの古時計って NHK でやってた時、英語結構ぺら

ぺらやって//んかー

: //あー、ごめん

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:素敵やん、あーゆう人でもいいかなあ、//なんて

: //あーゆう人でもって(笑)平井堅に失礼やから

101

:2大、3大要素の2つはクリア。ひょろっとしてて、背が高くて・・・

:何?ひょろっとしてて背が高い?

:一緒ちゃうん?あ、細いってこと?

:◆◆の、もう1こは何なん?

:なんや

:顔がかっこいい、とかお金持ってるとか(笑)

:医者?

:ごめんね、今、何大要素にしようかと思って、ちょっと、(笑)まあ、とりあえずちょっと

:とりあえず3(笑)

102

:要素達成のために

:全員、全員もう、

:来て、みたいな

:でもサンコンさんは嫌やからな

:サンコンさん嫌なんや

103

:○○、お酒は大丈夫?ちゃう、帰りになんか、はあーっ、とかなって、なんかちゃうとこまで行ったり

//したら

: //大丈夫、//終点やし

: //終点やんなあ。戻っておいで(笑)

:始発、とか言って

104

:私お酒に酔ってきてんけど

:私かっかしてきた

:大丈夫?フローズンとかはどうなん?

105

:そういえば、〇〇ちゃんと△△ちゃんて、ワイン飲み放題かなんか行ってなかった?

:うん、(1.5)あほになった、あー、って//二人で

: //うん、飲み放題

:カクテル飲み放題、ワイン飲み放題とか、かなり、3,4回行ってるよな

106

:ほんまにもう、未練ないの?

:ない、ないっていうか、縛られてたから、ま、いっかー

:そんなに縛られてたん?

:言ってやりたかったなあ

:結構、独占欲強かったもんなあ

:そうそう、いいかーって、

:自由に出来ていいんやない?

:そうそう、一人が自由でいいかも、って

107

:ちゃうで、□□中国行くねんから

:あー、うそー

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:いつ?

:紹介してもらって、やろ?(笑)

:まだ、これから、メールが、メーリングリスト

:あー、あー、あー

:で、紹介してくれる、っていう//話があるから、

: //え、紹介って別に、ただ、中国のなんか、関係の集まり

とかに、教えてくれはんねんな

:あー、いいやん

:真剣に酒見てはる人がここにおんねんけど

:あー、ごめんごめん

:「つまみぐい」のほうになります

:美味しそーう!

108

:これにしたら?シソの味が

:なんやそれ?

:一緒か。違うのにしたらいいかなーとか思って

109

:最近芸能ニュースに疎いわあ。

:疎いわー。

:全然見てない

:とりあえずキムタクが、北琵琶湖に別荘を買う、とかいう噂を

:どこに?

:キムタクが北琵琶湖に別荘を買う

:ちゃうで、芦屋やで

:ちゃうで、北琵琶湖やでー

:琵琶湖に買うの?//別荘を?//

: //うん //うん

110

:人気落ちたよな、全盛期は過ぎたってかんじ

:うん、落ちた。

:じゃあ、次に誰が来るか、

:藤木さん

:うー、それは

:名前挙がっててん

:やろー?

111

:○○、忘れたー(2.0)こんなかんじ、見て!こんな感じ!可愛いやろ、可愛いやろ?

:ありがとー、かわいい!

:かわいいやろ?//580 円(笑)

: //かわいい、かわいい

112

:足りるよね。

:うん、っていうか、余ったらどうしよう?

:余ったら、あのー、手紙書くわ、これで、(笑)

:じゃあねー、気をつけてねー

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190

113

:犬には、なんか、あかんもんあんねんな

:玉ねぎ

:玉ねぎあかんねんな

:カニとかも、

:食べさせたら玉ねぎ病かなんかになんねん

:えー

114

:え、◆◆ちゃん、コンパそんな行ってんの?

:行ってない、行ってない

:5 回ぐらい、かれこれ、

:えー、まじで?

:えー、そうなん?

:行ってないって、

:2 回ぐらいかな

:2 回ぐらいかね

115

:消防士コンパとか行ってん

:何?

:もー、なあ、△△ちゃん、がっちり系あかんやんか、私、もう、だーい好きやからなあ、代わりに行き

たかった

116

:じゃあ、なん、吉本新喜劇に出てくる人みたいなんは?

:あれかな、理科の実験、とかいうの

:うん、うん

117

:韓国風やってさー、

:美味しそう

:美味しそうやなあ、生牛いっとく?

:牛かー

:なんか肉系多いよなあ、私たち

:一口って

:っていうか、これってたまたま、□□が乗っけただけやんな

118

:私いっつも朝そんなかんじやねんか、化粧濃いでって皆に言われて、昼はだーれも言われへん。

落ちてんねん。朝だけ朝だけ、朝はかなり念入り

:お店では言われたことない、もっとマスカラ付けーって言われる

:えー、そうなんや

:ちょっとさー、△△、ワインレッドのマスカラ買おうかなー

:ワインレッド?

:赤だし、赤だし、赤で、いこうかと

:でも△△ちゃん

:ん?目をさませって?

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191

119

:買い物依存症なんかなって、

:あー、そうなん?

:依存症になりそうな勢い。ストレスたまったら、買い物行きたーい、何か買いたーい

:今度買い物行こうや

:日曜日とか、ガーンって買ったりする時とか

:いいなー

:水着買いたい、水着、水着

120

:私な、やっと部屋きれいにして、かわいいの飾ったとこやねん

:全部並べてや、この

:一緒、一緒に並べなあかんねんな

:すごいわ、これー

:っていうかな、これ、真剣にな、欲しい、と思ってな、ずーっと悩んでたらな、あの、クラブの子がな、

先生、それほんまに買うのん?って言われて、買うで、とか言ったら、うそー、とか言って言われて、

買うって、とか言って、ほんまに買いに言って、なんか、先生なんか変なもん買ってんで、とか言わ

れて ○例 97

:(笑)て、疑われてたん?(笑)なんかなー、この辺とかいいねんけど、やばい目一杯

:やろー

:このままとか可愛くない?

:あー、そうやんな

121

:このままかざって、プラスチックに入れたまま

:これとか最悪やし

:(笑)いかついわ

:これいい、鼻ぐあいが、(笑)

122

:全国大会で神奈川の小田原行ってん

:なんの全国大会?

:定時制とかやから、すぐ行けんねん。でも、来年もっと上手い人とかが入ってきたら、私どっかに飛

ばされんねん、嫌やー、バトミントンでいいー。バスケとかなったら、どうしよーう?

:楽しそうやねえ

:なんかなあ、生徒と一緒に写真とってんか、そしたらな、なんかな、全然知らん子に見せたらしくっ

てな、全然知らん子にな、先生って制服着てた人やんな、って。着せてもらってん。

:どういうこと?どういうこと?

:だから、ホテルで、暇やったから、制服貸して//って言って、なんか、それを

: //うそー、それ着て、なんかやばいなあ

:全然知らん子が、あ、この先生って生徒の制服着て撮ってた先生やんな、って言ってて

:あやしーい(笑)

:でも、なんか、着たかってんか、結構、前の母校よりは可愛いから、ちょっと着さして、って言って

着てんか。

123

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192

:で、写真撮ってんか、な、それを全然知らん子が見せてたみたいで、知らん子に見せた

らしくって、//全然知らん子に、制服着たよな、とかって言われて//ん。

: //うん //うわー

124

:お祭りみたいやって、花火も上がったし、ガチャガチャもあったし、プリクラとかあって、

:撮ったん?

:いや、あの、顔が、ほら

:あー、なんかくり抜いて//ある

: //駅、駅の、駅前とかにある、のがあって、絵書いてあって、あれあれ。あれで

撮って、あんなんとかあって、

:なんで写真持って来てくれへんかったん?

125

:いやあ、なんか、好青年//

: //やろー、ちゃうねん、前にな、//○○と前会った時に

: //うん

:写真見せてもらってんか。そんとき、//ちょっと、えーってかんじやってんか//

: //うん //うん

:でもこれ見たら結構//

: //えー、なんかいい人//そう

: //やろ?

126

:うそー、私旅行とかしたことない・・・

:(笑)

:ごめん、暗くなった

:いいやん、でもよく続いてんなー

127

:なんか、一人で感じ悪い、一人でウォークマン聞いてる人みたい(笑)

:(笑)マイクつけてんの?▲▲ちゃんも撮られてんねや(笑)

:▲▲もいい男ってゆってっで。

:あー、すいません

127

:何時から?

:10 時から

:えっ、10 時?

:10 時からで、遅い時は 12 時とかから

:10 時っていいなあ

:うん。でも実際には 9 時半には出勤してる

128

:××さん▲▲さん、一番優しかったから、また来るわー、ってメモしてはって、もう来んといてーと

か(笑)

:あー、かわいいなんか、なんか

129

:うん、だから、道聞かれて、南区とかに住んでる人やったら、あー、分かったわかった、って言ってくれ

るけど、ほんとに知らん人やと、説明できん。

:え、でも私が行った時も結構大きかったやろ、あれよりでかなってんちゃうん?なんか改装//した

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193

とか

: 店が広くなった

130

:□□ちゃん、小豆だめやってんな

:あー、そうやんな

:お食事のほうラストオーダーとなりますが、よろしいですか?

131

:なんか旅行代理店みたいなかんじ//やな

: //店がまえが?

:店がまえ、なんか

:うん

:なんか、//ここはどこ?っていう

: //そうなん?

:携帯ショップに見えんって、なんか

:でも明るくなった

:まだ?

:移動になったりせんの?移動

:私はずーっと東寺

:そうなん?

:むっちゃ他の人ころころころころ変わってはるで

:結構新しく入って来た人が出て行ってる。(1.0)新しく店できたりとか・・・

:え、なんか、エリアみたいなんないと?京都内とか

132

:何これ?

:レモン。何、人の勝手に触ってんの?

:あ、ごめん、何にも見えんくってな、何をはさむの?パスタ?とか思ってな・・・

133

:シナモンティーのお客様

:ちょっと嬉しいかも

:何が?

:なんか、こんなん乗ってると

:ご注文のほうは以上でお揃いですか?失礼いたします

134

:お店の人に撮ってもらう?

:いや、いい。恥ずかしい思いはもう沢山!って

:とか言いながら撮ってんねんな(笑)

135

:きゅっと上げるんじゃないの?引くとか

:押す、押すんじゃないの?

:何なに、あ、空いた

:あ、押したまんま入れんねん

136

:フレッシュかな、これ。なんかサラっとしてるけど

:フレッシュなんちゃう?

:あ、ちょっと見とって、◇◇ちゃん、あー!入れすぎた

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194

:フレッシュっぽい

137

:クランベリー?

:クランベリーじゃない、クランベリーはもうちょっと酸っぱいと思う

:ベリー、何か5つのベリーとかに入ってそうな(笑)

:あー、なんかそんなかんじ

138

:●●ちゃんち、行ったことあんの?すごーい

:いや、なんか、普通のお家やねんけど、置いてるもんは高そうっていうかんじで、(笑)

:だって、ちゃう、めっちゃ部屋の模様替えとかするらしくて、

:へー

:だから、部屋の模様替えって言ったら模様替えやんか、普通。やなくって、ほんまに壁紙変えたり

とか、(笑)

:すごいな、変え方がな

:カーテンとかも全部変えて?

:そう、すごいねんけど、とか、えー、みたいな(笑)

139

:明日行くー?ってメール打ったら、最近メールチェックしてないから、分かんない、とか言われた

:あのー、連絡網どうすればよろしいんでしょうか?

:あー、あれやろ、伝書鳩(笑)

140

:本気で、どうすればいい?

:うーん、うり

:へ?

:っていうかな、やっぱ携帯のメールがいいわ

:携帯のメールは//よく見る

: //携帯、携帯メール

141

:すっぱい

:酸っぱいかんじ、さわやか

142

:絶対もう寝てるやろ、と思ってメール送ってもすぐ返ってくるから怖いねんか。いつまで起きてんね

ん!とか思って

:△△ちゃんがめっちゃ早いねん、だってな、4 時半とかにな、送るやんか、仕事終わって帰って来

て、10 時半とかに送っても返ってきーひんねん。ごめん、寝てた、とか。(笑)早いから、無理やから、

それ(笑)

143

:それはな、たまたま。いっつもは 12 時には寝てんもん

:遅くって何時くらいなん?

:え、1 時とか 2 時とか

:次の日休みとかやったら、結構、深夜番組見てたりとかする

:同僚どう?同僚

:面白いよ、

:前から思っててんけど、▲▲ちゃんとこ、面白そうやねん。海行ったりとか

:皆で?行ったりするん?なんか、イベントみたいなん

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195

:ってゆうか、会社であんねんな、旅行が。だってこないだ海外行かはりましたんやわ

144

:なーなー、◇◇ちゃん見てどう思う?化粧濃くなったよなあ

:お姉さんってかんじ

:年とった

145

:前から見たらさぞこっけいやろうなあと思って

:何がこっけいなんよ?

:この組み合わせが。〇〇ちゃんには△△ちゃんってゆうか

:こう、ちぐはぐなかんじがしてる(笑)

:なんかな、凸凹みたいな(笑)

:今日、まだこれでも一応、めかしこんでる方やけど、いつももっとふざけてるから、

146

:いくつぐらいに見られる?

:あーでも 25 には見えんって言われた

:どういう意味?

:もうちょっと若く見えるって

:若く?どっちかって言ったらなんか、落ち着いてそう、

:落ち着//いて

: //別に年とってるとか、そういう意味じゃなくて

147

:でも、20 ぐらいの子と何しゃべっていいんか分からん

:あー、それはあるよな

:(2.0)あー、新しく入ってくる子とかなあ

148

:だってなー、生徒になー、おばはんとか言われんねん

:うそー

:△△ちゃんな、18 からしたら、おばはんやねん

:おばはんはな、やっぱむかつくで

:おばはんはな、

149

:この年はやっぱバカにされるわ。身長。ちっちゃいなー、とか言われんねん。女の子に

:女の子に?何か言う?そん時

:あーって笑ってる

:うるさい!って言っとけばええやん

:胸もちっちゃいなー、とか男の子にも言われんねんでー

150

:むこうでも、なー、って言ってしまう

:そりゃーちゃうやろ、とか

:そういうツッコミはできん、むこうには(笑)

151

:神戸に住んでるけど、神戸弁でもないし、大阪弁でもないし、標準語でもないし、ってんで、宇宙

人って言われてるらしいで

:へー

:宇宙語しゃべっとって、とか言われるらしい(笑)

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196

152

:◇◇ちゃん、すごいリアクションー

:あ、ごめん(笑)知らんかったからー

:いいとも行きー。

:いいとも?

:えーってやつ?

:そうですね、やろ

:真剣にやりそうやわ。この人。真面目に。(笑)

:そうですね、とか//言って(笑)

: //○○行ってんろ?

:え、行ったん?

:いいとも見に行ったとか//言ってたで

: //うそー(笑)

153

:太ってるよな

:最近なあ。

:マヨネーズの取りすぎちゃう?いくらマヨラー//やからって

: //っていうか、今もういいわ(笑)も、もういいやん、って

:学園天国やろ、慎吾ママの

154

:なんか、一時期よりは結構、元気なったよな。だって結構やつれてたっていうか、最初

もう、//かなりやつれてた

: //あん時疲れてたん、あん時いつやった?6 月やった?

:なんか//うん

: //6 月末、

:あー、あん時、ほんま大変やってん。

:あと、働き初めぐらいん時とか

:あー、そう//やんな

: //すごかった

155

:特になんも言われへんかって

:なら、良かったなあ。

:すいません、ドリンクのほう、ラストオーダーですが、よろしいですか? ○例 137

:はい。あ、ドリンク?

:ケーキもって言った

:え、え、え、(2.0)すいません

:何か言われたんかな?

:ちょっと、今な、なんかドリンクのほうラストオーダーって言われてんけど、ちょっと

聞いてみて、ケーキ

156

:まだ来てんの?それー

:本気で探してるけどって(笑)

:アドレス変えーやー、//かおりちゃん

: //アドレス変えた、もう、思いっきり来るように//なった。

: //そうやろ

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197

:1 日 30 件とか来てて、うっざー、//とか思って

157

:こないだもなあ、2 人で琵琶湖行ってた時になあ、今、滋賀県の琵琶湖で走っていますー

:そう、ドライブ、ドライブ

:うそー

:会社の人らと旅行みたいなん、

:でもな、ちょっとな、ちかちゃんと、//な、訳有りな男も一緒やってんな

: //訳ありな人

:えー!ちかちゃん

:聞いとる?ちかちゃん

158

:千に花もかわいいけど、千に香る

:やばいやばい、ずーっと、こうやって書いてたかもー(笑)ごめん、ちかちゃーん

:私そういえば、さっき、のりのやつ、//どうしたっけ?

: //登録してないの

:登録してないかも。してないって言ってて、入れるだけいれて、なんか、登録書き換え

ますか、っていう画面、出てなかったような気がするー(笑)

:独り言や、ひとりごと(笑)

159

:そういえばな、何を思い出してんねやろ、▽▽どうしてんの?

:え?

:▽▽どうしてんの?

:知らーん。飛鳥ちゃんが知らんかったら、知らんよ、誰も

:■■ちゃんとな、▽▽に会いたいよな、ある意味、って言っててん(笑)

:そうやんな

:ある意味の、ある意味がよう分からへんねんけど(笑)

160

:過去なんかすぱっとやりそう

:やりそう、やりそう

:誰が?

:▼▼

:あー

:過去は過去、今を生きてんねん、ってかんじがするからな、

:今しか見えてないやろ、多分

161

:市外局番分かるかな?

:市外局番?そんなん分からへん

:ってか、家には掛けんやろ

:これいつの電話番号ってかんじ、これ、多分茨木(笑) ○例 119

:誰が住んでるんって(笑)

162

:■■ちゃん、今度は絶対//呼ぶわ。意地でも(笑)

: //うーん。絶対。■■ちゃんなあ。

:よう滋賀の方来てっで

:京都来るとか言ってんのになあ

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:この前も来るとか言ってん。なんか美術館行きたい//から

: //なんか、イタリア展見に行きます

//とかいって葉書来てた

://そうそうそう

:そのついでに会おう、とか言ってたのに、なんか、部署が変わったから、仕事が入った

から無理って言ってて、それから会ってないから、

163

:部署変わって、休みとりやすくなった、//なってんけど、その、部署、自分の入ってた部署

: //あー、そうなんや

:に、新しく入った人が 2 ヶ月かなんかでやめたらしくって、で、また元に戻ったん

:あー、結局。//行ったり来たり(笑)

: //ショックやなあ

164

: I アプリってどうなん?

:最初はやってた

:何?I アプリって

:なんか、ゲームとかできるやつちゃうん?

:どうなんかなーとか思って

:ゲームとかできる

:ゲームできるのと、情報、ある程度保存できるから、

:あー、なるほどね

165

:▲▲ちゃんの分も入ってるし

:多分な、今日帰ってからやるかもしれへんし

:別にメール来た時は、じゃあ、

166

:嫌やな、今日の◎◎ちゃん、いややったなあ、って打ったら、

:◎◎ちゃんも見てんねんな

:うそーん、とか言って(笑)

:やばいなあ

167

:今度は一緒に飲もうな

:▲▲ちゃん、強そう

:っていうか、強い。強いはず

:いも焼酎とか好き?

:焼酎(笑)

:こないだ会社の人たちと、飲みに行って、めっちゃ調子良くって、麒麟のビール園とかに行って、

そこでジョッキ 3 杯ぐらい飲んで(笑)

:あの、飲み放題(笑)

:気持ちいいわー、気持ちいいわーって、ずっと言ってたって

: //ずっと?(笑)

168

:急に何の話や、すっかり//酔っ払ってるんかと思ったわ

: //あんな、トイレ行って思い出してん(笑)

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:結構、お直しとかしたら高いやんか、で、1 回見に行った時に、あったから、そこで 2、3 着、買って

169

:上で見たら、サイズでかいやんかー

:最近肩幅、腕なー、合うのないねん

:えー

:腕な、ごつくなったらしい(笑)

170

:電車に自転車持込のやつ行きたかった

:行きたかったなあ。まだあるんちゃう?

:え、何それ?

:なんかな、期間、ある期間で、どっかの鉄道が、滋賀県の、どっかの鉄道が、自転車持込で、あのー、

電車に持ち込んで、で、サイクリングできんねんな、コースとかあってん

:へー

:あそこにしようしゃ、しようしゃって

:酔っ払ってる。ほら

:酔っ払ってないよ、えーっと

171

:あの、あれや、のりんちの近く

:そっちのほうの北。まきの、牧野、あそこ何て言うんやったっけ?たかしま、たか、たか、あそこらへ

んやったっけ?

:高橋は知ってんで、あるある、とか言って

:サイクリングロードがあるはず。あんなんやったら行けるわ

:行こうや

:軽いのしか無理

:もう疲れてんねんな

:京都も、自転車借りて、マウンテンバイクで行けんねんけどな、むっちゃ高かった。何万

:何万?

172

:4 千円とか 5 千円とかやった気がする

:それ 1 日?

:うん、マウンテンバイクやったから。それやったら電車とかバスとかで//乗り放題とかのが

: //京都は高いやろ、やっぱり

:えー、私ら、嵐山で借りたんいくらやったん?

173

:私ら 2 人、なんかな、なんやかんや言って、なんか結構払ったりしてるからな、知らん顔して、(笑)

お金、あんまり、なんか高いとか安いとか//分からへん

: //分からへんからなあ

:あほみたいに、あーって

:あれ、何時間とかあった?時間って

174

:想像もつけへんわ。今の仕事してないと思うし(笑)

:やめんの?

:分からんって。今私、就職活動してんねんけど、//一応

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: //そうなん?

:ずーっとしてんねんで、//声でかいけど

: //面接とか行ってんの?

:今日一番のでかさやったな。で、面接とか行ってんの?

:書類送ってる

175

:ローソンはもう、ベテランやから、なんでもできるよ

:かっこいい

:店長もできる、ぐらいの

:そうなんや(笑)

176

:次?

:うん?のんちゃんぐらいやんなあ。

:のんちゃん・・・

:次?って聞こえて

:次誰?みたいな

177

:中学の友達って、結構、だから、なんていうん、(1.0)そういう、なんていうん、結構

ばらばらやんな

:うーん

:高校出て働いた子とか早いな、やっぱり

:そやなー

:そういうのもないねん、私

178

:楽しそう//やなー

: //2 連休なんてなかなか無いやろうなー

:やっぱ、その、シフトの出るの、何て言うの、その前の月の 15 日ぐらいに来月のその

シフトを作るのに、2日だけ好きな日、希望出せんねんかー、早く決まれば、その日できんねんけど

:髪どこで切った?なんかね、すごい雰囲気変わった気がするー。

:えー、っていうか、やっぱ短くなったけんやない?

:あとね、なんかね、前髪が可愛い感じになっ//た。

: //あっ、あー前髪を作ったんだよ、久しぶりに

あー、なんかごめんね//せっかく紹介してもらったのに行かんくなってから

: //えー、なんでなんで

:えー、いいよ全然、それはいいよー

179

:えー、何なにナニなに、▲君?

:うん。

:すっごい、(笑)

:有名人みたいな(笑)サイン付き?

:えー、いいのかな?えー、私、いいよ、やっぱし

:一緒に食べようよう(笑)

:なんかね、私がね、買って来るね、とか言ってて、//なかなか買ってこなかったからね、//

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: //うん、 //うん、

:もしかして買ってきたのかな、//とか

: //へー

:頂きましょう、折角ですから

180

:○○、あれ?

:(笑)

:「と」で終わり?

:「と」で終わり。(笑)

:○○って可愛い名前やねえ。

:えー、可愛くなーい。//やだー

: //なんでー

:なんか、昔の名前、えっ、昔の名前って感じがするー。やだー

:逆に今、ありそうで//ない

: //あーあーあー、

:えー、そう?そうかなあ・・・

:あのね、響きがいい。

:えー、やだー。昔から嫌い(笑)

:ちなみにさ、パーマかけた?

:かけたよー、遅―い!!(笑)遅いよう。そんな分かんない?(笑)

181

:あれ、○○ちゃん、指輪しとったっけ?

:いや、してたよ。

:してた?//

: //っていうか今日ねえ、してたっていうか、時々してるんだけど、今日ね、見て、(笑)//折

れてるー、

: //あらー

:はがれててすごいんだよ。

:今バイトしてる?なんかバイト探してたじゃん。

:今、だめ、もうやってない。

:短期で//やってただけ?

: //やっただけ。うん。あれ結構良かったよー、すごい楽しかったー

:宝石磨いてもらった?

:磨いてもらったー。(笑)

:えー、何なに?

:なんかねー、宝石の、展覧会の、バイトをしたのね、//

: //うん

:そん時に、なんか自分の持ってるアクセサリーとかでもー、クリーニングして欲しい物があったら持

って来てください、って言われて、

:へー。

:でもね、なんかそう、言われたんだけど、持って行けるような雰囲気じゃなかったのー(笑)なんとなく

ね。それで、そこのバイ、社員の人が、クリーニングでこうやってたから、どうやったら綺麗になるんで

すか、とかって言って、こう横で見てたら、なんか、宝石持って来てないの?とか、あ、持って来てる

って言って、あ、じゃあやってあげるよー、とか言われて。

:へー、

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:あー、ラッキー、とか思いながら(笑)

182

:宝石持ってないし

:宝石っていうか、指輪//

: //指輪とか、うん。なんかねえ、すごいよ。汚れがね、泡として出てくるのね。そした

らね、すごい汚れてるって言われた。なんかぶわーって出てきて、(笑)汚れすぎ、とか言われた

(笑)

183

:痩せたけ、なんかいいことあったんかなー、とか思って

:いやあ、さーっぱり、ってかんじ。(笑)

184

:私、結構、精神的にねー、だめになるとね、痩せるほう。

:そうなんだ。じゃあ、去年の夏は、去年の夏こそ幸せいっぱい、って//かんじだったんだー。

: //いやー、幸せじゃなかったあの頃は(笑)まあ、あ

の頃は逆に、なんだろ、食べるほうに走ってたのかなー。私ね、その前がかなり痩せてたの。3 月と

か。

:そうなんだ。

:に、すごい激痩せして、

:ふーん

:激痩せって言っても、まあ、知れてるんだけどー、でも今よりも、3 キロは痩せてた。

185

:でもさ、環境変わると食べるよね、//私もね、//そう言われてみればね、東京居た時から

: //うん、 //うん

:引っ越してきて、//福岡に戻って来て、//1ヶ月で、5 キロぐらい//

: //うん //うん、 //あ、太った?

:太った、太った。

:あー、

:それをずーっとキープして、キープっていうか、あんまり良いキープじゃないんだけど(笑)

186

:東京の頃の写真見ると、痩せてる。ここのとことか//

: //へー、でもちかちゃん痩せてるじゃん

:痩せてるように見えるだけだよ。//

: //うそー、えー。ほそーいとか思うけど。

:細くないよー。

:えー、嘘だー、

:こことか

:えー、そおー?この辺とかすごい痩せて//るじゃん

: //痩せてないよう!

:腕とか細い、とか思うもん

187

:あー、そうそう、メールでさあ、あのー、変なメールとか入ってこない?

:C メール?

:C メールじゃなくて E メールで。E メールは入ってこない?

:うん、何で?差出人とかで分かっちゃうんじゃないの?

188

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:何なに?

:いや、なんか、メールでね、あのー、私の//アドレスで//送信源が私のアドレスで、

: //うん、 //うん

:なんかね、こういう、メールが入って来たの。ドラゴンメールとかって言って、 ○例 109

まあ、出会い系のやつ?

189

:だって、もし私のアドレスでさあ、他の人にも送られてたら嫌じゃん//なんか

: //嫌だよね

:えーっ、とか思って

190

:こういうのって、簡単に出来るんだって。なんか、送る、あ、受信するのにはパスワードとか必要だ

けど、送るのには//なに、パスワードって必要無いから、

: //うん

:割とね、できるんだってさ。

191

:なんか変わった味がするー

:キャラメル

:キャラメル?あー//

: //なんとかキャラメルとかいう紅茶らしい。

:(2.0)おいしい

:おいしいねー。っていうか早くケーキが食べたい

: (笑)食わせろってかんじよね(笑) ○例 112

192

:昨日のね、カラーとかしたら幾らくらいなん?

:カラー?カラーは、した、したことが無いから

:書いてなかった?

:なんか、書いてなかった

193

:誰だっけ、△△ちゃんもそれだった様な気がする

:7 月とかさ、まだ 2 万ぐらいしたけど、7000 円割引

194

:あんまり、葉書に下らんことしか書いてなかったでしょ。

:へっ?

:下らんことしか書いてなかったでしょ?

:あー、結構ね、(笑)

195

:いちいち匂い嗅ぎながらながら食べるなよー

:すごいね、警戒しとーよね

:私は食べるよ!とか//一番に言っておきながら、皆が食べなくても私は食べるよ、とか

: //違う、違う、

:でも、冷蔵庫に入れてると思ったんだもん。

:入れたじゃん、それから。

196

:「東京ばなな大好き」

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204

:何、危険を潜り抜けて(笑)やっと安心できる、今まで何も起こって無いない、みたいな

:まだね、今夜ぐらいは

:ごめんねー、こんなはらはらさせるお土産を・・・(笑)

:ちょっとした、ねえ、こころの準備が、

:そう、なんか止める親を振り切って出てきたからね。

:あ、そうなんだ(笑)

:やめんねー、とか言われながら(笑)

197

:なんかさっき、○○さんとかに会って、そこにも配ってきたし、

:じゃあ、何か起きたら自分の責任ということで、

:急性腸炎とかいって

198

:(笑)なんか食感が違った気がする、とかって(笑)

:こんなに疑われたの、初めて。

:別に、ばななを潰したような、この//

: //っていうか東京ばなな大好き!あれおいしいよねー、とか言って、す

ごい経験者じゃないの?

:勿体無いから一生懸命食べる

:一生懸命(笑)

199

:何、研修かなんか?

:ううん、内定式があって、その後その、資料を集めようと思って、ジャイカ JAPAN とかで、

:へー、

:あれは?おうち//は

: //あー、おうち見たけどねー、やっぱし、まだ早いし、

200

:○さん、それなんすか?

:イングリッシュキャラメル

:へー、あ、ありがとうございます

:お茶じゃん、とか思うけど

:(笑)そんなー(笑)

201

:あのモンブランメールにも触発されて買ったっていう側面もあるのかと・・・

:触発されたどころか、僕はあれで、小野さんとか、知ってそうな人に、何かないんすか?//とかっ

: //っていうか、私が買って来るね、とか言ってたのに、何か、悪かったなー、とかって

:いや、それでね、ほのかにチーズ・ケーキが来るかな、とか

:あ、今日?

:(笑)いや、そんな、当日はありえない、そんな。

202

:ケーキじゃないよね、これ。

:栗っすね。

:うん。栗。

:でも◇◇さん、これなら栗食ったほうがいい、とか言わないで下さいよ。

:えー、言わない、言わない。そこまで私非道じゃないよー。

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205

:いやー、僕は言いかねないので。

203

:ケーキよりもこっちの方がよくない?スポンジが入るよりねえ

:入ってますよ

:ちょっとじゃん。なんか、普通ねえ、こう、大きいけど

:スポンジも入ってる//モンブラン

: //そうそう、それよりもこっちのほうが高級ってかんじだよね

204

:髪の毛ピンクにしたいんだけど

:(笑)

:ピンクに 2 回したけど

:え、したの?ピンクに?

:ピンクを、ピンク、ピンクブラウンとかいう系統

:あれじゃない?ブリーチで最初抜いてからじゃないとならないんじゃない?

205

:染めるの?

:なんか、なんか、染めたいと。めちゃめちゃ

:グリーンとかいいんやないん?

:え、でもグリーン 1 回したけんね。

:そっか

:1 回したのは駄目なんだ?

:ブルーは?ブルー

:いや、でも樋口さん、緑にも色々あるからいいじゃないですか。

:あー、ほんと//・・・

: //メッシュにしたら?

:あー、メッシュねえ

:ピンクと緑混合とか(笑)

:なんか昔のロックバンドみたいな

206

:指導教官にまで駄目出しってどういうことなん?

:あー、なんかね、メールで、

:行けないって//・・・

: //先月は行けなかったやん?それは報告済みで、今月 28 日にトライ、再トライする予定

ですって言ってて、でも、ほら、攻撃で、危険度が上がったから、外務省関連の、

だからやばいかもしれないですねってメールしてたら、よっぽどフィリピンに縁が無いんですね、と

か言われて(笑)

207

:今まで結構ねー、去年行けなかった時もー、大丈夫なのにー、とかってすごい言ってた人だか

ら・・・だから深刻なの。

:あれね、フィリピンと、マレーシアと//、

: //マレーシアも出た?!あっ

:フィリピンとマレーシアとインドネシアは、次のターゲットだから、アメリカの、

ニューヨークタイムズで言ってた。

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206

:アメリカの攻撃するターゲット・・・

:アメリカが?何で?

:そこにね//居るんだよね

: //居るのよ、

:絶対どこでも居るよね。日本にも居る//でしょ

: //あー、居るいる

208

:えー、かなりショック。私のトランクっすねー、スーツケースが、かなりなんか寂しげに(笑)部屋の

片隅に置いてある//・・・

: //準備してるのにね。

:かなり。っていうか、1 回こないだ行けなくなった時に、どうせまたすぐ行くから、って言って、そのま

まにしといて、//

: //でも恵美さん、実際にどうなさるんですか?

:いや、まあ、その絶対行かなきゃいけないわけじゃない?その、修論書くには。

:エステ 84 時間入ったりするんでしょ

:うん、まあね、でも、雰囲気をこう、いい//感じで

: //リアリティっすよね、やっぱねえ

:躍動感溢れる論文にしようと思ったのに、みたいな(笑) ○例 140

:いや、それは多分大丈夫だと思います。//大丈夫、大丈夫

: //フィリピンは行かなかった//ら・・・タイは?

: //いや、行かなかったらフィリピン、なんだから、

題は

:タイじゃなかった?

:タイじゃない。それをフィリピンに一本に絞ったの。2 カ国だと無理だから。

:■■先生には、あー、しつこく言われてたしね。//何で比較するの?って

: //あーそうそう!

:比較する意味が無い、とかって。なんだよてめーとかって(笑)思いながら

今だから言えるけどさー、なんか笑顔を保ちながらもね、そうですねー、とか//言いながら

: //あー、気まずいですね、■■先生とかに//

: //あー、彼がね、一番

言うよ

209

:だってねー、その人は、その人っていうか■■先生はー、(笑)

:◎◎君の悪口//(笑)

: //そう!あ、そう!あ、そうだ

:うそー(笑)

:は、アメリカ一本だから、アメリカ一筋だからさいいけどさー、私は東南アジアなんだよ、とかって思

って(笑)

:まあ、その後の指導教官から、まあ、一本でいいんじゃないの、って言われて、

:それ誰っすか?

:▽▽先生

210

:セブ島?何しに行くんすか?

:うーん、ちょっと(笑)

:ちょっとバカンスに(笑)

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207

:そうそうそう、まあ、息抜きとかね//ある意味

: //へー、美しくなるために行ってくるんすか?

:いいやあ、それは、遊ぶため?(笑)そうそう、バナナボートが面白いらしいんだよ、セブ島の、//友

達情報によると、バナナボートに

: //えっ、バナナ?葉っぱ?

:乗ったことある。//落ちた(笑)

: //ほんと?(笑)

:あれを落ちる人なんているの?

:なんかね、あれ私がいけなかったらしいんだけど、あれね、7人くらいで乗ったんだけど、

:落ちた・・・

:(笑)

:なんかね、なんか、こんな//(笑)ことやりながらね

: //(笑)

:落ちて、落ちて無事なんかね?

211

:なんか、新手のショーかなって、思うよね

:あー、7 人とか乗るんだー。

:そう、それ乗りたかったんだけどね、

:一番後ろとかそうなん?

:え?

:なんか、こう、なってるんだよね。

:何でできてるんですか?//バナナの

: //えっ、普通のゴムボートなんだけど、形がバナナみたいに黄色くて、長いの

:はー

212

:俺ともう1人しかおらんくて、狭いけん、逆に言える、みたいな

:色々私も言われたけど、でも、別に、うちの先生はね…、なんか、これからですよ、みたいなかんじ

で(笑)これから書きはじめます、//とか言って(笑)

: //いい先生だね(笑)

:患者の権利オンブズマンっていう、

:患者の?

:権利オンブズマンっていう、福岡になんかその、患者の権利を促進する立場で、色んな医療相談

とか、受けてる、NPO の組織があって、

:NPO

:へー、NPO 研究?

:うん、そこでの活動と、あと、患者の権利運動の歴史みたいなのをしてる

213

:▼▼先生って誰?

:あのねー、ニュースステーションとかによく出てた//原子力の第 1 人者なんだって

: //原子力の時に

:へー、//そういう、

: //有名ですって言った//入学式の時に

: //そうそうそう、

:私は有名で//すから

: //リアルタイムに歴史作ってます、とか言って

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208

:いや、すごーいねー。

214

:でもね、なんか違う。なんか、それが逆にキャラクター的に許される//から、

: //へー

215

:●●先生入ってるよね、弱者の権利とか//言ってた

: //そうそうそう

216

:結構みんな、皆さん親しい人・・・//

: //っていうか、//修士部屋行ったら

: //修士部屋の主みたいな

:そう、修士部屋行ったら絶対覚える、//みたいな

: //えっ、会ったことあるよ、絶対

217

:でもすごいよー、//すごい

: //ゴッドファーザーみたいな

:どんな人や?

218

:○さんにも言われた。

:張り紙?

:▲▲くんに聞いても分からないかもしれないんだけどね、みたいな//かんじで、

: //あー、知ってる?って

:知ってる?みたいなか//んじで

: //え、何の張り紙っすか?

:結構問題になってるんだよーって

219

:きっちり貼っつけた人は不明

:あー、そうか、そんな//んあったねえ。

: //でしょ

:一番最初にやったのは、ねえ、(1.0)

:一番最初にやったのは、よく//わかる・・・

: //っていうかね、今日大学院掛りに行ってさあ、あの、ほら、

違う違う違う、あの、確認するやつあるやん、あのー、//住所とか、ねえ、名簿の

: //そうね

220

:学位授与書に書かれる名前とか住所とかを、確認して//って

: //え、今日からじゃない?それって

:あ、本当?

221

:ほら、名簿があるの知ってる?今、大学院掛りに。で、私それ確認してたのよ、自分の名前と。で、

◆◆君って、私の1こ前だから、隣なんだけど、空欄なってて、鉛筆で「◆◆ひろし」って書いてあ

った(笑)

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209

:ひろし?

:え、◆◆君、改名したのかな、とか思ってさ(笑)

222

:勘違いかもしれないけど、〇〇君って、別の名前があるとかって言ってなかった?聞いたことな

い?

:ないない

223

:会社まで 5 分

:ここがいいとか地区まで決めとったやろ

:そうそう、地区まで決めて

224

:じゃあ、じゃあ、私が違う車乗って・・・

:追突するんじゃないの?

:いや、っていうか、ちゃんと安全運転するから、走るから、それで//見極めて

: //安全運転?

225

:□□がいいよ

:□□はいい

:えー、でもお金//たまらない・・・

: //□□やだな

:(笑)なんでー

:いやいや、私は寂しいから、□□にしてって//言ったの

: //でも恵美ちゃんさー、なんかさー、

□□には馴染みたくないとか//言って

: //馴染みたくない

:俺も馴染みたくない、もし行ったとしたら

:恵美ちゃん馴染みたくないの?

:馴染みたくない

:なんかすぐ馴染み//そうな

: //私□□から近い所に住みたい(笑)

:住むよ、まじで。仕事終わって最終に間に合う、くらいの

226

:だってさー、あのー、モノレールが出てる浜松町までは、タクシー飛ばせば 10 分位でしょ。10 分、

混んでても 15 分とかで

:じゃあ、六本松まで 5 分、で、羽田//くう・・・

: //六本松?(笑)

227

:どこに遠いんですかって言われちゃった(笑)へっ、会社にも遠くないですか?って

:そんな消極的な・・・

:あとねー、ほら、□□とかね、結構みんな住むでしょー、結構住宅地だから、馴染みたくないの

228

:馴染めないと思うもん、だって。

:えー、でもわかんないよ、この年くらい経ったらなんか

:移住してこないー?とか

:移住っていうか・・・

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210

229

:ってなんか、余裕ないよね、みんな

:そうそうそう、//速い、歩くのが、めっちゃ

: ね、速い。だから、疲れる。だから、そこに実家とかあれば、//いいけど

: //違うよね

:全然基盤がなくて行ってもね・・・

:神戸とか住みたいなー

:住たーい

:神戸とか良さそう。なんか、友達の所にずっとおったけど、

:○○がね、すっごい自慢するんすよ。食べるもん、食べるもん、全部うまい、とか言って

:友達言うよね、

:いいっすか?いい?いいな、行ってみたいな

230

:大阪と東京だったらどっち?

:東京(2 人同時)

:▲▲くんに、//なんか・・・

: //そうそう、私、大阪向きの女だ、とか言われたー(笑)

231

:日本だったら、私もう、福岡か、福岡以外だったら東京かなー、と思う

:あー、そうなんすか、やっぱり

:うーん、だって、一番ね、福岡に帰ってくるの便//利

: //そうねー

:便数も多いし安いし・・・

232

:来た時はホテルに住まわないと、って、そこから通って、

:あー、福岡?

:2 ヶ月のプロジェクトとか有るらしいから、

:あー、そんなんあるんだ。その時は連絡して

:うん、こないだ会った時は、会社の人に会った時は、そこ、キャナルの

:あー、もう宿付き?ずーっと

:そう、だからホテルに泊まって、で、週末とかだけ帰りたい人は帰るの

233

:最初は頻繁に帰るんやないん?

:うん、そう、私もう、まじ通いたいくらいだもんね(笑)

:始発で行って最終//で帰る

: //分かる、その気持ちはわかる

: いや、今がさ、18 とか 19 だったら、そこまでないと思うけど、でも、もうほら、分かるじゃん、自分の

生活の態度とか基盤とかがどこか、っていうのが。だから、今から東京に行っても、そこで新しい基

盤を作れないっていうのも分かってるから、うん。

:一生住むところじゃない、っていうのはもう分かってる//うん

: //あ、そうですね。それはそうかもしれない

:だからむしろ、こっちに帰って来ても、何かできるような、それを修行してこよう、

ぐらいの

:じゃあ、早くイムズ買わないと

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211

234

:いやあ、なんか、学校を作りたいって言ってて、

:○○学園(笑)

:で、デザインとしてはイムズみたいな、筒状がいいわけ。

:あーあーあー

:中央があいてて、周りにこう、学校が、クラスが、教室がある、みたいな。イムズは狭い!

:狭い//っすか

: //おー、狭いときたか

:ちなみに地名は//どこがいいんすか?

: //○○学園なんて、そんなセンスのない名前はつけない!(笑)

235

:あの、あれ?アクロスレベル?

:っていうかね、イムズぐらいのを、3つぐらい建てて、(笑)間をこう、つなぐような、

あれがいい

:三角形?

:でもそれを最近地元の友達に言ったら、なんか、テロで狙われるよとかって(笑)

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外来語に関する意識調査(全国調査)国立国語研究所

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http://www.ninjal.ac.jp/archives/genzai/ishiki/9-2.html

「Disる」使用例(togetter)

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デジタル大辞泉「良さげ」

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デジタル大辞泉 「浪花節的」

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http://kotobank.jp/word/浪花節的

浪花節的営業手法(「浪花節的」使用例)

http://jyouhoukan.net/column/251_naniwabusi.htm

浪花節的な予想(「浪花節的」使用例)

http://blog.livedoor.jp/ken1326shirasawa/archives/65109804.html

デジタル大辞泉 「鵼的」

http://kotobank.jp/word/鵼的

ぬえ的(「ぬえ的」使用例)

http://sustainability.shinnihon.or.jp/publish/pdf/publish007nihontekikozo_app.pdf

ぬえ的である。(「ぬえ的」使用例)

http://suigei.blog10.fc2.com/blog-entry-1275.html

間抜けさに専門家の頭が・・・(「-さ」使用例)

http://mechag.asks.jp/535276.html

絶望的な間抜けさ(「-さ」使用例)

http://ameblo.jp/takashihara/entry-11495914576.html

ニコニコ大百科(単語「馬鹿」について)

http://dic.nicovideo.jp/a/馬鹿

次の2つは 2014 年 10 月 26 日現在閲覧不可:

http://www.ninjal.ac.jp/products-k/katsudo/seika/corpus/public/index_j.html

http://www.geocities.jp/neko5suzume/gn02.htm#ta#ta