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高次脳機能障害とは
国立障害者リハビリテーションセンター 中島八十一
平成28年10月14日 所沢
『記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行
動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生
活及び社会生活への適応に困難を有する障害を行
政的に高次脳機能障害と呼ぶ。』 *高次脳機能障害支援モデル事業評価基準作業班
高次脳機能障害の定義(行政的)
見えない障害
● 見えない
● 外見からは分かりにくい
● 社会に出てから初めて気付かれる
見えない障害と隠れた障害
・見えない
外見からは分かりにくい
社会に出てから初めて気付かれる ・隠れている
利き手が使えない、の陰には・・・
歩けない、の陰には・・・
症例 45歳 男性 43歳 山で転落 意識消失状態で発見
県立中央病院に2か月半入院。右腕神経叢
麻痺に対してリハを受けた。退院後身障手帳2
級を取得
その後自宅にて生活。記憶障害、情動不穏が
目立ち就労困難とされていた。
45歳 近医の勧めで他県の高次脳機能障害支援
拠点機関を受診。高次脳機能障害として精神手
帳2級を取得するとともに、障害者職業センター
で高次脳機能障害者として訓練開始
高次脳機能障害の診断方法
原因疾患から高次脳機能障害の存在を疑う • 脳血管障害 • 頭部外傷 • 窒息(喘息発作、心肺停止 他) • 脳腫瘍術後 • 脳炎
いつ発症したか特定できる 後天性脳損傷(ABI)
⇒見えない障害 ● 見えない
● 外見からは分かりにくい
● 自分から訴えることはない
● 社会に出てから初めて気付かれる ⇒見慣れない行動に気付く ⇒実は見える
どのような症状が見られるのか
⇒見慣れない行動に気付く
できないこと • 思い出せない • すぐ忘れる
その結果、行動に現れること • 同じことを繰り返し質問する⇒聞く方はうるさい
• 不安から他人に急いで内容を伝えようとする • 作り話でごまかす
記 憶 障 害
見えない
記 憶 障 害
行動に現れたこと • 同じことを繰り返し質問する⇒聞く方はうるさい
• 不安から他人に急いで内容を伝えようとする • 作り話でごまかす
対応が可能
対応困難 できないこと • 思い出せない • すぐ忘れる
注 意 障 害
できないこと • 集中できない • ミスばかりする • ふたつのことを同時にできない
その結果、行動に現れること • あくび、うんざりした • 雑音や気を散らす者にあたる • 早く終わって欲しいと訴える
対応困難
対応が可能
遂 行 機 能 障 害
できないこと • 自分で計画を立てて実行することができない • 指示してもらわないと何もできない • 約束の時間に間に合わない その結果、行動に現れること • 言われたこと(通りに)しかできない • 指示を待っているのだと言い張る • 幼稚な行動を見せる
情報処理速度(頭の回転) の障害
できないこと • 情報処理速度の鈍化 • 精神運動活動(歩行、書字、他)の鈍化
その結果、行動に現れること • 急かされることで怒り出す • 会話についていけず、不機嫌になる
対応困難
対応が可能
認知リハビリテーションの原理
• 回復メカニズムに基づいた認知訓練 (再生、可塑性に基づく訓練) • 残存能力を用いた認知訓練
• 環境整備
高次脳機能障害の治療方法
⇒できないことを、できるようにする
⇒行動を受け入れる
⇒残った能力をさがす
高次脳機能障害のある方への 作業活動の支援
特定非営利活動法人いきいき練馬 ウェルネス アンド ワークス
管理者 久保美希子
職員が気を付けていること① ・「前にもやったでしょう」「前にも伝えたでしょう」
は言わない、同じことでも何度でも繰り返し
繰り返し伝える
・「間違っています」というような否定的な
印象を与える言葉は使わない
職員が気を付けていること② ・落ち着いた雰囲気の中で、ご本人たちが安心した
気持ちで作業ができるようにする
・ご本人たちの中に「間違えてしまうかもしれない」
「忘れてしまうかもしれない」という不安があることを
踏まえておく
・責任のある仕事をしていく中で時に間違えを指摘
して、その場ですぐに修正してもらうこともある、
そうした時に関係を壊さないためにも、普段から
信頼関係を築いておくことも大切である