8
物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表されます。私たちの身のまわりに は,運動のようすが変化する例が多くあります。 向きが変わる運動 速さが増していく運動 速さが減っていく運動 速さも向きも変わらない運動 したがって,物体の運動のようすの変化は,運動する速さや向きの変化を観察すれ ばわかります。 ①運動の向きと違った角度で力を受ける運動です。 ②運動と同じ向きに力を受ける運動です。 ③運動と反対向きに力を受ける運動です。 ④力を受けていないか,はたらいている力がつり合っている運動です。 身近な運動,記録タイマー SP0320181A-01 身近な運動 ①物体の運動の向きと違っ� た角度で力がはたらくと� 運動の向きが変わる。� ②物体の運動の向きと同じ� 向きに力がはたらくと� 物体の速さは速くなる。� 摩擦のある面� 斜面� ③物体の運動の向きと反対� の向きに力がはたらくと� 物体の速さは遅くなる。� ④抗力と重力はつり合っている� ので速さも向きもかわらない。 ドライアイス� ガラス板� 抗力� 重力� P P O O I I N N T T ・物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表される。 ・物体に力がはたらくと,物体の運動の速さや向きが変化する。 さらにくわしく 物体の運動のようすは ・記録タイマー ・ストロボスコープ などを使用して調べるこ とができる。 チェック問題¸¹ 練習問題Û *「要点」は『Z Study サポート』に 1 年分をまとめて掲載。実際の教材ではサイズは B5 です。 高校受験コース 中学 3 年 理 科 ハイレベル・スタンダード 「要点」見本

身近な運動,記録タイマーSP0320181A-03 [記録タイマーのしくみ] 記録タイマーは直線的な運動をする物体の位置を一定時間ごとに記録することので

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Page 1: 身近な運動,記録タイマーSP0320181A-03 [記録タイマーのしくみ] 記録タイマーは直線的な運動をする物体の位置を一定時間ごとに記録することので

物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表されます。私たちの身のまわりに

は,運動のようすが変化する例が多くあります。

①向きが変わる運動

②速さが増していく運動

③速さが減っていく運動

④速さも向きも変わらない運動

したがって,物体の運動のようすの変化は,運動する速さや向きの変化を観察すれ

ばわかります。

①運動の向きと違った角度で力を受ける運動です。

②運動と同じ向きに力を受ける運動です。

③運動と反対向きに力を受ける運動です。

④力を受けていないか,はたらいている力がつり合っている運動です。

身近な運動,記録タイマー SP0320181A-01

1 身近な運動

①物体の運動の向きと違っ� た角度で力がはたらくと� 運動の向きが変わる。�

②物体の運動の向きと同じ� 向きに力がはたらくと� 物体の速さは速くなる。�

摩擦のある面�

斜面�

③物体の運動の向きと反対� の向きに力がはたらくと� 物体の速さは遅くなる。�

④抗力と重力はつり合っている� ので速さも向きもかわらない。

二酸化�

炭素の層�

ドライアイス�

ガラス板�

抗力�

重力�

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT・物体の運動のようすは,運動する速さや向きで表される。

・物体に力がはたらくと,物体の運動の速さや向きが変化する。

さらにくわしく物体の運動のようすは・記録タイマー・ストロボスコープなどを使用して調べることができる。

チェック問題��練習問題�

*「要点」は『Z Study サポート』に1年分をまとめて掲載。実際の教材ではサイズはB5です。

高校受験コース 中学3年 理 科 ハイレベル・スタンダード 「要点」見本

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SP0320181A-02

作用と反作用には,次の関係があります。

物体の運動をくわしく調べるためには,物体がいつ,どこにあるかを正確に記録す

る必要があります。そのために,次のような装置があります。

[物体の運動の記録]

①記録タイマー しくみ,使いかたについてはあとでくわしく述べます。

②ストロボスコープ 一定時間ごとに発光を繰り返す装置で,これを用いること

により,物体の一定時間ごとの位置の変化を 1枚の写真

(ストロボ写真)に記録することができます(右図参照)。

[ストロボスコープを使ったいろいろな運動の例]

2 運動の記録

斜面を転がるボール

摩ま

擦さつ

のない水平面を滑るボール

ストロボスコープ

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT物体の運動を正確に記録する装置

・記録タイマー ・ストロボスコープ

チェック問題�

ふりこ�振り子

摩擦のある水平面を滑る物体

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SP0320181A-03

[記録タイマーのしくみ]

記録タイマーは直線的な運動をする物体の位置を一定時間ごとに記録することので

きる装置で,下の図のようなしくみになっています。スイッチを入れると,振動板が

振動し,カーボン紙を通して記録テープ上に点を打っていきます。

振動板の 1 秒間の振動数は東日本で50回,西日本で60回です。打点間の時間は

東日本では50

1 秒,西日本では60

1 秒となります。したがって,東日本では 5 打点の

時間が

501 [秒/打]× 5[打]= 0.1[秒]

となります。

記録テープを取りつけて物体を運動させることにより,一定時間ごとの物体の移動

距離がわかります。

[記録タイマーの使いかた]

①記録テープの一端を物体に取りつけ,テープを記録タイマーにセットする。

②記録タイマーを作動させ,物体を運動させてテープを引かせる。

③テープに記録された打点から,物体の運動を調べる。

たとえば,右の図の場合, 5 打点打つのに,0.1

秒かかり, 5 打点分の間かくが 3.5cmあるので,

この区間での速さは

.. cm

cm0 13 5

35[秒][ ] = [ /秒]

と計算することができます。

3 記録タイマー

振動板�

記録テープ�

カーボン紙�

振動板�

テープ�

打点�

1 打点ごとにテープの動いた距離�

0.1 秒間�

0 5

打点がはっきり区別できるところから,0.1 秒ごとの打点を調べる。�

10 15[cm]

0.1 秒間�0.1 秒間�

0.1 秒間�

3.5 cm

チェック問題�練習問題�

注意しよう記録テープのはじめのほうは打点が重なってしまい正確ではないので,打点がはっきりと区別できるところから打点の間かくを調べる。

Page 4: 身近な運動,記録タイマーSP0320181A-03 [記録タイマーのしくみ] 記録タイマーは直線的な運動をする物体の位置を一定時間ごとに記録することので

SP0320181A-04

ビデオカメラで運動がわかる

ビデオカメラのコマ送りの機能を使って再生すると,刻々と物体の位置が変化するようす

がわかります。物体の運動を調べるとき,ビデオカメラを利用することもできます。

コマ送りで再生する際には,下の図のようにOHPシートを使って,時間ごとの位置をう

つし取れば,物体の運動の速さを求めることができます。

次の文章の空くう

欄らん

にあてはまる語句を答えなさい。

� 物体の運動のようすは運動する( ① )や( ② )で表されます。

①( ) ②( )

� 物体に力がはたらくと,物体の運動の速さや向きが( ③ )します。 ③( )

� 物体の運動を正確に記録する装置には( ④ )や( ⑤ )などがあります。

④( ) ⑤( )

� 記録タイマーは( ⑥ )な運動をする物体の位置を( ⑦ )時間ごとに記録することのできる装置

です。スイッチを入れると( ⑧ )が振動し,( ⑨ )を通して記録テープ上に( ⑩ )を打って

いきます。

⑥( ) ⑦( ) ⑧( )

⑨( ) ⑩( )

� ①・② 速さ,向き(順不同)

� ③ 変化

� ④・⑤ 記録タイマー,ストロボスコープ(順不同)

� ⑥ 直線的   ⑦ 一定   ⑧ 振動板   ⑨ カーボン紙   ⑩ 点

チェック問題

解答

距離を表す目盛り� 方眼のOHPシート�

ビデオカメラ�

ビデオカメラ�

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速さの求めかた SP0320181B-01

[記録テープの分析]

・物体の移動距離→打点間の距離をものさしではかる。

・かかった時間→打点数を数える。数えかたは,右の図

を参照。たとえば,AB間は 5 打点と

数える(つまり, 5 打点とは 5 区間の意味)。

・打点間かくのようす→運動のようすを表している。

[記録テープの処理]

台車の走り始めたところから, 5 打点( 1

秒間に50回打点するタイマー),または,6 打

点( 1 秒間に 60回打点するタイマー)ごとに

テープを切り,右の図のように時間の順番に

紙にはりつけます。

1 秒間に 50回打点する記録タイマーでは 5

打点の時間間かくは,

501 [秒/打]× 5[打]= 0.1[秒]

となります。

右上の図は 5 打点ごとにテープを切り,時間の順番に横に並べたもので,図の

縦軸は 0.1秒間に進んだ距離(台車の速さ)

横軸は 時間

を表しています。このときテープの幅が 0.1秒を表していることになります。

1 記録テープの分析

練習問題���

A

1 2 3 4 5

B

打点間かくが等しい→速さが一定。�

打点間かくが広い→速い。�

打点間かくがせまい→遅い。�

打点間かくがだんだん広くなる�→だんだん速くなる。�

打点間かくがだんだんせまく なる�→だんだん遅くなる。�

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT打点間かくのようすから運動のようすがわかる。

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT記録テープをはってつくったグラフではグラフの縦軸は一定時間に進んだ距

離(速さ),横軸は時間を表す。

0

10

8

6

4

2

[cm] 注意しよう記録テープの最初のほうの打点の重なった部分は使わない。

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SP0320181B-02

[速さ]

時間とともに物体の位置が変わるとき,その物体は運動しているといいます。物体

の運動のようすは,物体の位置が時間の経過につれてどのように変化するかを調べる

ことによって,知ることができます。このとき,時間間かくの基準として用いられる,

1 秒, 1 分, 1 時間などを単位時間といいます。また,物体が単位時間あたりに進む

距離は速さとよばれ,次の式で計算されます。

速さ[m/秒]=m

かかった時間[秒]移動距離[ ]

[時間-速さのグラフ]

横軸に時間,縦軸に速さをとったグラ

フでは,横軸とグラフ線で囲まれた部分の

面積が移動距離を表します。

右図のようなグラフが得られた場合,

移動距離は斜線部分の面積として求める

ことができます。

① 60[km/時]× 1[時間]+ 50[km/時]× 1[時間]= 110[km]

② 70[km/時]× 1[時間]+ 80[km/時]× 1.5[時間]= 190[km]

[平均の速さと瞬しゅん

間かん

の速さ]

移動した全体の距離をかかった時間で割って求めた速さを,平均の速さといいます。

これに対して,時間を非常に短くして求めた速さや,自動車や列車のスピードメータ

ーや球速をはかるスピードガンの表示する速さを瞬間の速さといいます。

2 速さの求めかた

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT速さ 物体が単位時間に移動する距離

速さ[m/秒]=m

かかった時間[秒]移動距離[ ]

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT時間-速さのグラフでは,移動距離は面積で求めることができる。

チェック問題��

チェック問題�

注意しよう速さの単位としてはm /秒のほかに移動距離に cmや km,単位時間に分や時を用いたc m /秒, k m /時,m/分などが用いられることもある。また,m /秒はメートル毎秒,cm/秒はセンチメートル毎秒,m /分 は メ ー ト ル 毎 分 ,km/時はキロメートル毎時と読む。

0 1 2 3 4 5 6時間[時]�

0

60504030

8070

90

2010

速さ�

①� ②�

[km/時]�

3 平均の速さと瞬間の速さ

さらにくわしく速さが変化する運動でも移動距離はグラフの面積で求めることができる。

0 時間�

この面�積が移�動距離�を表す。�

0

速さ�

PPPPOOOOIIIINNNNTTTT平均の速さ 移動した全体の距離をかかった時間で割って求めた速さ。

瞬間の速さ ごく短い時間ごとの速さ。速度計などに用いられる。

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作業

SP0320181B-03

[平均の速さの求めかた]

平均の速さは,移動した全体の距離をかかった時間で割って求めます。

① 100mを 10秒で走る陸上選手の速さ

m10100[秒][ ] = 10[m/秒]

②東京・博多間およそ 1100kmを 5 時間で走る「のぞみ号」の速さ

km5

1100[時間][ ] = 220[km/時]

①,②の速さは,単位が異なるため,速さの比較が簡単にはできません。速さの比

較のためには,単位を変換して,そろえる必要があります。

[速さの単位の変換]

速さの単位はたがいに変換することができます。たとえば,km/時をm/秒や

cm/分などのように変換することができます。なお,次のことは単位を換かん

算さん

する際

によく使うので覚えておきましょう。

1[km]= 1000[m]= 100000[cm]

1[時間]= 60[分]= 3600[秒]

① 1[km/時]を[m/秒]に換算 

1[km/時]= m36001000[秒][ ] = 0.277…[m/秒]

よって,1km/時は,およそ0.28m/秒です。

② 1[km/時]を[cm/分]に換算

1[km/時]= cm60

100000[分][ ] = 1666.6…[cm/分]

よって,1km/時は,およそ1667cm/分です。

km/時とm/秒との変換は次のようにすると簡単に求めることができます。

・ km/時→m/秒 3.6で割る

・m/秒→ km/時 3.6をかける

次の問に答えなさい。

� 家から学校まで,1.5kmを 20分間で進んだときの平均の速さは何 km/時ですか。

� 0.1秒間で,12.8cm進んだときの平均の速さは何 cm/秒ですか。

� 72km/時をm/秒で表しなさい。

� 30m/秒をkm/時で表しなさい。

注意しよう速さを比べるときには単位を同じにして比べる。10m/秒は 36km/時と同じである。陸上選手よりのぞみ号のほうが速い。

練習問題���

Page 8: 身近な運動,記録タイマーSP0320181A-03 [記録タイマーのしくみ] 記録タイマーは直線的な運動をする物体の位置を一定時間ごとに記録することので

SP0320181B-04

� 20分は時間の単位で表すと6020 =

31[時間]です。したがって

. km

311 5

[時間]

[ ] = 4.5[km/時]

20分間で 1.5km進んでいるので、1時間(= 60分)なら,その 3倍の 4.5km進むことになりま

す。したがって,20分間で 1.5km進んだときの平均の速さを時速で表すと 4.5km/時となります。

� .. cm

0 112 8[秒][ ] = 128[cm/秒]

� 72[km/時]= m3600

72 1000[秒]

( × )[ ] = 20[m/秒]

.km

3 672[ /時] = 20[m/秒]

� 30[m/秒]= . km

36001

0 03

[時]

[ ] = 108[km/時]

30[m/秒]× 3.6= 108[km/時]

物体の運動について述べた次の文章の空くう

欄らん

にあてはまる語句を答えなさい。

� 時間とともに物体の位置が変わるとき,その物体は( ① )しているという。

①( )� 1 秒, 1 時間といった( ② )あたりに,物体が移動する距離は( ③ )とよばれ,次の式で表

されます。②( ) ③( )

( ③ )=( ⑤ )( ④ ) ④( ) ⑤( )

� 運動している物体が,ある地点からごくわずかな時間の間に移動した距離をその時間で割って求めら

れる( ③ )を( ⑥ )といい,移動した全体の距離をかかった時間で割った( ⑦ )とは区別

してあつかいます。

⑥( ) ⑦( )

� ① 運動 � ② 単位時間  ③ 速さ ④ 移動距離  ⑤ かかった時間

� ⑥ 瞬間の速さ ⑦ 平均の速さ

別解

別解

別解

チェック問題

解答

作業解説